IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スミス アンド ネフュー ピーエルシーの特許一覧

特開2025-19062異なるインピーダンスインクを有するセンサ対応陰圧創傷監視装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019062
(43)【公開日】2025-02-06
(54)【発明の名称】異なるインピーダンスインクを有するセンサ対応陰圧創傷監視装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20250130BHJP
   A61F 13/00 20240101ALI20250130BHJP
   A61F 13/02 20240101ALI20250130BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20250130BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20250130BHJP
【FI】
A61B5/00 102A
A61F13/00 Z
A61F13/02 D
H05K1/09 A
H05K1/18 F
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024185896
(22)【出願日】2024-10-22
(62)【分割の表示】P 2022515461の分割
【原出願日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】1914443.5
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】391018787
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー ピーエルシー
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW PUBLIC LIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Building 5,Croxley Park,Hatters Lane,Watford,Hertfordshire WD18 8YE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ハント、アラン、ケニス、フレイザー、グルージオン
(72)【発明者】
【氏名】クインタナー、フェリックス、クラレンス
(57)【要約】
【課題】改善された創傷監視および/または治療システムを提供する。
【解決手段】創傷監視および/または療法装置のセンサシートは、1つ以上の電気接続を含み得る。電気接続は、異なるインピーダンスを有する複数の導電性インクを含み得る。第1のインピーダンスを有する第1の導電性インクのトラックは、電子構成要素の電気コネクタに結合され得る。第2のインピーダンスを有する第2の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクのトラックに結合され得る。
【選択図】図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサシートであって、
第1の電子構成要素を電気的に接続するように構成された第1の電気コネクタを有する、前記第1の電子構成要素を含む、複数の電子構成要素と、
前記複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、および前記第1の側の反対側の第2の側を有する、実質的に可撓性の基材と、
前記実質的に可撓性の基材上に存在する第1の導電性インクのトラックであって、前記第1の導電性インクが、第1のインピーダンスを有し、前記第1の導電性インクの前記トラックが、前記第1の電子構成要素の前記第1の電気コネクタに電気的に結合されている、第1の導電性インクのトラックと、
前記実質的に可撓性の基材上に存在する第2の導電性インクのトラックであって、前記第2の導電性インクが、前記第1のインピーダンスとは異なる第2のインピーダンスを有し、前記第2の導電性インクの前記トラックが、第1の導電性インクの前記トラックに電気的に結合されている、第2の導電性インクのトラックと、を含み、
表面に適合又は表面を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、若しくは伸縮性である、又は、実質的に、可撓性、弾性、伸張性、若しくは伸縮性である、センサシート。
【請求項2】
前記第1の電気コネクタと前記第1の導電性インクとの間に電気的に結合されたはんだペーストをさらに含み、前記はんだペーストが、前記第1の電気コネクタおよび前記第1の導電性インクを電気的に結合する、請求項1に記載のセンサシート。
【請求項3】
第2の導電性インクの前記トラックが、第1の導電性インクの前記トラックを介して前記第1の電子構成要素に電気的に結合されている、請求項1または2に記載のセンサシート。
【請求項4】
前記第1の導電性インクの前記トラックが、前記第1の導電性インクの第1のトラックであり、前記センサシートが、前記第2の導電性インクの前記トラックに結合された前記第1の導電性インクの第2のトラックをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項5】
前記第1の導電性インクの前記第2のトラックが、前記第2の導電性インクの前記トラックを介して前記第1の導電性インクの前記第1のトラックに電気的に結合されている、請求項4に記載のセンサシート。
【請求項6】
前記第1の導電性インクの前記トラックが、前記第1の導電性インクの第1のトラックであり、前記複数の電子構成要素が、第2の電気コネクタを有する第2の電子構成要素をさらに含み、前記センサシートが、前記第2の電子構成要素の前記第2の電気コネクタに結合された前記第1の導電性インクの第2のトラックをさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項7】
前記第2の導電性インクの前記トラックが、前記第1の導電性インクの前記第2のトラックにさらに結合されている、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項8】
前記第1の電子構成要素が、前記第1の導電性インクの前記第1のトラック、前記第2の導電性インクの前記トラック、および前記第1の導電性インクの前記第2のトラックを介して、前記第2の電子構成要素に電気的に結合されている、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項9】
前記第2の導電性インクの前記トラックが、前記第2の導電性インクの第1のトラックであり、前記センサシートが、前記第1の導電性インクの前記第2のトラックに結合された前記第2の導電性インクの第2のトラックをさらに含む、請求項6に記載のセンサシート。
【請求項10】
第1の電子構成要素が、センサ、増幅器、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオード、またはコネクタのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項11】
前記第1の導電性インクまたは前記第2の導電性インクのうちの少なくとも1つが、銀インクを含む、請求項1~10のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項12】
前記第2の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散が、前記第1の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散よりも小さい、請求項1~11のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項13】
前記第1の導電性インクが、第1の幅を有し、前記第2の導電性インクが、前記第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、請求項1~12のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項14】
前記第1の導電性インクの熱伝導率が、前記第2の導電性インクの熱伝導率よりも高い、請求項1~13のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項15】
前記第1の導電性インクまたは前記第2の導電性インクのうちの少なくとも1つが、電気織物を含む、請求項1~14のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項16】
前記電気織物が、綿である、請求項15に記載のセンサシート。
【請求項17】
前記第1の導電性インクが、繊維を含み、前記繊維が、前記第1の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散を減少させる、請求項1~16のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項18】
前記第1のインピーダンスが、前記第2のインピーダンスよりも大きい、請求項1~17のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項19】
前記第1の導電性インクが、前記第2の導電性インクよりも導電性が高い、請求項1~18のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項20】
前記第2の導電性インクの前記トラックの少なくとも一部分が、前記第1の導電性インクの前記トラックの少なくとも一部分と重複する、請求項1~19のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項21】
前記第2の導電性インクの前記トラックが、導電性グルーまたは導電性テープのうちの少なくとも1つを使用して、第1の導電性インクの前記トラックに電気的に結合されている、請求項1~20のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項22】
前記第1の導電性インクが、第1の量の銀を含み、前記第2の導電性インクが、前記第1の量とは異なる第2の量の銀を含む、請求項1~21のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項23】
前記第2のインクの前記第1のインクのうちの少なくとも1つが、銀、グラファイト、炭素、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、またはナノ銀を含む、請求項1~22のいずれかに記載のセンサシート。
【請求項24】
創傷監視および/もしくは療法システム、ならびに/または前記システムもしくはセンサシートを動作および/もしくは使用し、もしくは図示および/もしくは説明されるような方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月7日に出願された英国仮出願第1914443.5号に対する優先権を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の実施形態は、創傷被覆材およびシステムに組み込まれ得るセンサ統合基材に関し、具体的には、そのような基材に対する設計ルールに関する。
【0003】
関連技術の説明
医学のほぼすべての分野は、治療される組織、器官、または系の状態に関する改善された情報から、特に、そのような情報が治療中にリアルタイムで集められる場合に、利益を得ることができる。センサデータ収集を使用することなく、多くのタイプの治療が依然として日常的に行われており、その代わりに、このような治療は、定量的センサデータではなく、介護者または他の限定された手段による目視検査に依存する。例えば、被覆材を介した創傷治療および/または陰圧創傷療法の場合、データ収集は、概して、介護者による目視検査に限定され、多くの場合、下にある創傷組織は、包帯または他の視覚的障害によって不明瞭であり得る。無傷で、傷のない皮膚であっても、潰瘍につながり得る、易感染性の血管またはより深い組織の損傷などの、肉眼では不可視である、下にある損傷を有する場合がある。創傷治療と同様に、ギプスまたは他の包囲体による体肢の固定を必要とする整形外科的治療中、下にある組織に関する限定された情報のみが集められる。骨プレートなどの内部組織修復の事例では、連続した直接センサ駆動データ収集は、実施されない。さらに、筋骨格機能を支持するために使用されるブレースおよび/またはスリーブは、下にある筋肉の機能または体肢の動きを監視しない。直接治療以外には、患者パラメータを監視する能力を追加することによって、ベッドおよび毛布などの一般的な病室用品が改善され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005-532841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした創傷監視および/または治療システムは、組織と接触することによる固有の問題を示している。加えて、創傷は、障害なく治癒されるべきである。同時に、そのようなシステムがヒトまたは動物の組織上での使用に対して信頼性および安全性を確保するよう注意しなければならない。
【0006】
したがって、改善された創傷監視および/または治療システムに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一部の事例では、創傷監視および/または療法装置のセンサシート(創傷被覆材など)は、複数の電子構成要素を含む。複数の電子構成要素は、少なくとも第1の電子構成要素を含み得る。第1の電子構成要素は、第1の電子構成要素を電気的に接続するように構成された第1の電気コネクタを含み得る。創傷監視および/または療法装置は、実質的に可撓性の基材を含み得る。実質的に可撓性の基材は、複数の電子構成要素を支持する第1の創傷に面する側、および第1の側の反対側の第2の側を含み得る。創傷監視および/または療法装置は、第1のインピーダンスを有する第1の導電性インクのトラックを含み得る。第1の導電性インクは、実質的に可撓性の基材上に存在し得る。第1の導電性インクのトラックは、第1の電子構成要素の第1の電気コネクタに電気的に結合され得る。創傷監視および/または療法装置は、第1のインピーダンスとは異なる第2のインピーダンスを有する第2の導電性インクのトラックを含み得る。第2の導電性インクは、実質的に可撓性の基材上に存在し得る。第2の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクのトラックに電気的に結合され得る。
【0008】
前述の段落のセンサシートはまた、本明細書の記載の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。はんだペーストは、第1の電気コネクタと第1の電子構成要素との間に電気的に結合され得る。はんだペーストは、第1の電気コネクタおよび第1の電子構成要素を電気的に結合することができる。第1の導電性インクは、第2の導電性インクよりも、はんだペーストと良好に接合する(例えば、優れた電気接続を形成する)ことができる。第2の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクのトラックを介して第1の電子構成要素に電気的に結合され得る。第1の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクの第1のトラックとすることができる。センサシートは、第2の導電性インクのトラックに結合された第1の導電性インクの第2のトラックを含み得る。第1の導電性インクの第2のトラックは、第2の導電性インクのトラックを介して第1の導電性インクの第1のトラックに電気的に結合され得る。第1の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクの第1のトラックとすることができる。複数の電子構成要素は、第2の電気コネクタを含む第2の電子構成要素を含み得る。センサシートは、第2の電子構成要素の第2の電気コネクタに結合された第1の導電性インクの第2のトラックを含み得る。
【0009】
前述の2つの段落のうちのいずれかのセンサシートはまた、本明細書の記載の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。第2の導電性インクのトラックは、第1の導電性インクの第2のトラックに結合され得る。第1の電子構成要素は、第1の導電性インクの第1のトラック、第2の導電性インクのトラック、および第1の導電性インクの第2のトラックを介して、第2の電子構成要素に電気的に結合され得る。第2の導電性インクのトラックは、第2の導電性インクの第1のトラックとすることができる。センサシートは、第1の導電性インクの第2のトラックに結合された第2の導電性インクの第2のトラックを含み得る。第1の電子構成要素は、センサ、増幅器、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオード、またはコネクタのうちの少なくとも1つを含み得る。第1の導電性インクまたは第2の導電性インクのうちの少なくとも1つは、銀インクを含み得る。
【0010】
前述の3つの段落のうちのいずれかのセンサシートはまた、本明細書の記載の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。第2の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散は、第1の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散よりも小さくてもよい。第1の導電性インクは、第1の幅を有することができ、第2の導電性インクは、第1の幅よりも大きい第2の幅を有することができる。第1の導電性インクの熱伝導率は、第2の導電性インクの熱伝導率よりも高くてもよい。第1の導電性インクまたは第2の導電性インクのうちの少なくとも1つは、電気織物を含み得る。電気織物は、綿とすることができる。
【0011】
前述の4つの段落のうちのいずれかのセンサシートはまた、本明細書の記載の特徴の中でも特に、本段落に記載される以下の特徴の、任意の組み合わせを含み得る。第1の導電性インクは、繊維を含み得る。繊維は、第1の導電性インクの延伸によるインピーダンスの分散を減少させ得る。第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスよりも大きくてもよい。第1の導電性インクは、第2の導電性インクよりも導電性が高くてもよい。第2の導電性インクのトラックの少なくとも一部分は、第1の導電性インクのトラックの少なくとも一部分と重複し得る。第2の導電性インクのトラックは、導電性グルーを使用して、第1の導電性インクのトラックに電気的に結合され得る。第2の導電性インクのトラックは、導電性テープを使用して、第1の導電性インクのトラックに電気的に結合され得る。第1の導電性インクは、第1の量の銀を含み得る。第2の導電性インクは、第1の量とは異なる第2の量の銀を含み得る。
【0012】
本明細書に記載される方法のうちのいずれかの任意の特徴を、本明細書に記載される他の方法のうちのいずれかの任意の特徴とともに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の実施形態について、添付の図面を参照して、例としてのみ以下に説明する。
図1A】創傷監視または療法システムを例示する。
図1B】電子構成要素を支持する基材を例示する。
図1C】電子構成要素を支持する基材を例示する。
図2A】はんだペーストおよび複数の電気接続を介して基材に電気的に結合された電子構成要素204を含む、例示的な創傷監視および/または療法装置の一部分の断面図を示す。
図2B図2Aの断面図を示し、複数のタイプの導電性インクを含む電気接続の実施例をさらに示す。
図2C図2Aの断面図を示し、重複する電気接続の実施例をさらに示す。
図2D図2Aの断面図を示し、1つ以上の繊維を含む電気接続の実施例をさらに示す。
図3A】複数の電子構成要素と、電子構成要素のうちの1つ以上を電気的に接続する複数の電気接続と、を支持する基材を示す。
図3B】複数の電子構成要素と、電子構成要素のうちの1つ以上を電気的に接続する複数の電気接続と、を支持する基材を示す。
図3C】複数の電子構成要素と、電子構成要素のうちの1つ以上を電気的に接続する複数の電気接続と、を支持する基材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に開示される実施形態は、センサ対応基材を用いて生物学的組織を監視または治療することのうちの少なくとも1つを行う装置および方法に関する。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、特定のタイプの組織または損傷の治療または監視に限定されないが、代わりに、本明細書に開示されるセンサ対応技術は、センサ対応基材から利益を得ることができる任意のタイプの療法に広く適用可能である。いくつかの実施態様では、診断および患者管理決定の両方を行うために、医療従事者によって信頼されるセンサおよびデータ収集を利用する。
【0015】
本明細書に開示されるいくつかのシステムおよび方法は、無傷のおよび損傷したヒトまたは動物の組織の両方の治療に使用されるように構成された基材上に装着されているか、または基材内に埋め込まれている、センサの使用に関する。そのようなセンサは、取り囲んでいる組織についての情報を収集し、そのような情報を、さらなる治療に利用されるように、コンピューティングデバイスまたは介護者に送信し得る。特定の場合、そのようなセンサは、関節炎、温度、または問題を起こす傾向があり、監視を必要とする他のエリアを監視するためのエリアを含む、身体上の任意の場所の皮膚に取り付けられ得る。本明細書に開示されるセンサはまた、例えば、MRIまたは他の技術を実施する前に、デバイスの存在を示すために、放射線不透過性マーカなどのマーカを組み込み得る。
【0016】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、衣服と組み合わせて使用され得る。本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法とともに使用するための衣服の非限定的な例としては、シャツ、パンツ、ズボン、ドレス、下着、外着、手袋、靴、帽子、および他の好適な衣類が挙げられる。特定の場合では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、特定の衣類に溶接または積層され得る。センサシステムおよび方法は、衣類上に直接印刷されてもよく、かつ/または布に埋め込まれてもよい。微多孔膜などの通気性および印刷可能な材料も好適であり得る。
【0017】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、病院用ベッド内などのクッション材またはベッドパッドに組み込まれて、本明細書に開示される任意の特性などの患者特性を監視し得る。特定の場合、そのようなセンサを含有する使い捨てフィルムは、病院用ベッドの上に配置され、必要に応じて除去/交換され得る。
【0018】
いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、センサシステムおよび方法が自立運転するように、エネルギーハーベスティングを組み込み得る。例えば、エネルギーは、熱エネルギー源、運動エネルギー源、化学勾配、または任意の好適なエネルギー源から回収され得る。
【0019】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、スポーツ医学を含むリハビリテーションデバイスおよび治療に利用され得る。例えば、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ブレース、スリーブ、ラップ、支持体、および他の好適なアイテムに使用され得る。同様に、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ヘルメット、スリーブ、および/またはパッドなどの、スポーツ用品に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、脳振盪診断に有用であり得る、加速度などの特性を監視するために、保護ヘルメットに組み込まれ得る。
【0020】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、外科用デバイス、例えば、Smith&Nephew IncによるNAVIO外科システムと協働して使用され得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、外科用デバイスの設置をガイドするために、そのような外科用デバイスと通信し得る。いくつかの実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、潜在的な手術部位への、もしくはそこから離れる血流を監視するか、または手術部位への血流がないことを確認し得る。さらなる外科用データが、瘢痕化の防止を支援し、罹患エリアから離れたエリアを監視するために収集され得る。
【0021】
外科技術をさらに支援するために、本明細書に開示されるセンサは、外科用ドレープに組み込まれて、肉眼では即座に可視ではない場合があるドレープ下の組織に関する情報を提供し得る。例えば、センサ埋め込み可撓性ドレープは、改善されたエリアフォーカスデータ収集を提供するために有利に位置付けられたセンサを有し得る。特定の実施態様では、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ドレープの境界または内部に組み込まれて、手術シアタを制限/制御するフェンシングを作成し得る。
【0022】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法はまた、術前評価のために利用され得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、可能性のある切開部位について皮膚および下にある組織を監視することによるなどの、潜在的な手術部位についての情報を収集するために使用され得る。例えば、灌流レベルまたは他の好適な特性は、個々の患者が外科的合併症のリスクにあり得るかどうかを評価するために、皮膚の表面および組織のより深部で監視され得る。本明細書に開示されるものなどのセンサシステムおよび方法は、微生物感染の存在を評価し、抗菌剤の使用の指示を提供するために使用され得る。さらに、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、圧迫潰瘍損傷および/または脂肪組織レベルを識別するなどの、より深部の組織でさらなる情報を収集し得る。
【0023】
本明細書に開示されるセンサ実施形態は、心血管監視に利用され得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、皮膚に対して配置され得る可撓性の心血管モニタに組み込まれて、心血管系の特徴を監視し、そのような情報を別のデバイスおよび/または介護者に伝達し得る。例えば、そのようなデバイスは、脈拍数、血液の酸素化、および/または心臓の電気的活動を監視し得る。同様に、本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ニューロンの電気的活動を監視するなどの、神経生理学的用途に利用され得る。
【0024】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、可撓性インプラントを含む、移植可能な整形外科用インプラントなどの移植可能なデバイスに組み込まれ得る。そのようなセンサシステムおよび方法は、インプラント部位に関する情報を収集し、この情報を外部ソースに送信するように構成され得る。一部の事例では、内部ソースはまた、そのようなインプラントに電力を提供し得る。
【0025】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法はまた、筋肉中のラクトースの蓄積または皮膚の表面上の発汗量などの、皮膚の表面または皮膚の表面下の生化学的活動を監視するために利用され得る。一部の事例では、グルコース濃度、尿濃度、組織圧力、皮膚温度、皮膚表面導電率、皮膚表面抵抗率、皮膚水和、皮膚浸軟、および/または皮膚の裂けなどの、他の特性が監視され得る。
【0026】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、耳、鼻、および喉(ENT)用途に組み込まれ得る。例えば、そのようなセンサシステムおよび方法は、洞通路内の創傷監視などの、ENT関連手術からの回復を監視するために利用され得る。
【0027】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、ポリマーフィルムを用いた被包などの、被包を伴うセンサ印刷技術を包含し得る。そのようなフィルムは、ポリウレタンなどの、本明細書に説明される任意のポリマーを使用して構築され得る。被包は、電子機器の防水、ならびに局所組織、局所流体、および潜在的な損傷の他のソースからの保護を提供し得る。
【0028】
特定の場合、本明細書に開示されるセンサは、器官保護層に組み込まれ得る。そのようなセンサ埋め込み器官保護層は、関心対象の器官を保護し、器官保護層が定位置にあり、保護を提供することを確認することの両方を行い得る。さらに、センサ組み込み器官保護層は、血流、酸素化、および器官の健康の他の好適なマーカを監視することによるなどの、下にある器官を監視するために利用され得る。一部の事例では、センサ対応器官保護層は、器官の脂肪および筋肉の含量を監視することによるなどの、移植された器官を監視するために使用され得る。さらに、センサ対応器官保護層は、移植中、および器官のリハビリテーション中などの移植後に、器官を監視するために使用され得る。
【0029】
本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法は、創傷(以下により詳細に開示される)の治療、または様々な他の用途に組み込まれ得る。本明細書に開示されるセンサシステムおよび方法に対する追加の用途の非限定的な例としては、無傷の皮膚の監視および治療、血流の監視などの心血管用途、体肢運動および骨修復の監視などの整形外科用途、電気インパルスの監視などの神経生理学的用途、ならびに改善されたセンサ対応監視から利益を得ることができる任意の他の組織、器官、系、または条件が挙げられる。
【0030】
創傷療法
本明細書に開示されるいくつかのシステムおよび方法は、ヒトまたは動物の身体に対する創傷療法に関する。そのため、本明細書における創傷へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の身体上の創傷を指すことができ、本明細書における身体へのいかなる言及も、ヒトまたは動物の身体を指し得る。開示されたシステムおよび方法は、例えば、陰圧源ならびに創傷被覆材構成要素および装置を含む、減圧を伴うか、または減圧を伴わない、生理学的組織もしくは生体組織への損傷を防止もしくは最小化すること、または損傷した組織(例えば、本明細書に説明される創傷)の治療に関し得る。創傷オーバーレイおよびパッキング材料、または、存在する場合には内層を備える、装置および構成要素は、時に総称して被覆材と呼ばれる。一部の事例では、創傷被覆材は、減圧を伴わずに利用されるように提供され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、「創傷」という表現は、切断、強打、または他の衝撃、典型的には皮膚が切断または破損される衝撃によって引き起こされ得る、生体組織への傷害を含み得る。創傷は、慢性または急性の傷害であり得る。急性創傷は、手術または外傷の結果として生じる。それらは、予測される時間フレーム内で治癒の段階を進行する。慢性創傷は、典型的には、急性創傷として始まる。急性創傷は、治癒段階に従わないときに慢性創傷となり得、長期化した回復を結果的にもたらす。急性創傷から慢性創傷への遷移は、患者が免疫不全状態であることに起因し得ると考えられる。
【0032】
慢性創傷は、例えば、慢性創傷の大部分を占め、主に高齢者に影響を及ぼす静脈性潰瘍(脚で発生するものなど)、糖尿病性潰瘍(例えば、足または足首潰瘍)、末梢動脈疾患、圧迫潰瘍、または表皮水疱症(EB)を含み得る。
【0033】
他の創傷の例としては、腹部創傷、あるいは手術、外傷、胸骨切開、筋膜切開、または他の条件のいずれかの結果としての他の大きなもしくは切開性の創傷、裂開創傷、急性創傷、慢性創傷、亜急性創傷および裂開創傷、外傷性創傷、フラップおよび皮膚移植片、裂傷、擦傷、挫傷、火傷、糖尿病性潰瘍、褥瘡、ストーマ、術創、外傷性潰瘍および静脈性潰瘍などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
創傷はまた、深部組織傷害を含み得る。深部組織傷害は、固有の形態の圧迫潰瘍を説明するために、米国褥瘡諮問委員会(National Pressure Ulcer Advisory Panel(NPUAP))によって提案された用語である。これらの潰瘍は、紫色の圧迫潰瘍、悪化する可能性のある潰瘍、および骨隆起のあざなどの用語で、長年にわたって臨床医によって説明されてきた。
【0035】
創傷はまた、本明細書で考察されるように、創傷になるリスクがある組織を含み得る。例えば、リスクがある組織は、切断される潜在性を有し得る(例えば、関節置換/外科的変更/再建)骨隆起の上の組織(深部組織傷害/損傷のリスクがある)または外科手術前の組織(例えば、膝組織)を含み得る。
【0036】
いくつかの開示は、高度な履物、患者の寝返り、オフロード(例えば、糖尿病性足部潰瘍のオフロード)、感染症の治療、システミックス、抗菌剤、抗生物質、手術、組織の除去、血流への影響、理学療法、運動、入浴、栄養、水分補給、神経刺激、超音波、電気刺激、酸素療法、マイクロ波療法、活性剤オゾン、抗生物質、抗菌剤などのうちの1つ以上と組み合わせて、本明細書に開示された技術を用いて創傷を療法する方法に関する。
【0037】
代替的にまたは追加的に、創傷は、局所陰圧(TNP)および/または適用された陰圧の使用によって支援されない従来の高度な創傷ケア(非陰圧療法とも称され得る)を使用して治療され得る。
【0038】
高度な創傷ケアは、吸収被覆材、閉塞被覆材、創傷被覆材または補助材における抗微生物剤および/または創傷清拭剤の使用、パッド(例えば、ストッキングまたは包帯などの緩衝または圧迫療法)の使用などの使用を含み得る。
【0039】
一部の事例では、創傷被覆材は、1つ以上の吸収層を含む。吸収層は、発泡体または超吸収体であり得る。
【0040】
一部の事例では、開示された技術は、非陰圧被覆材とともに使用され得る。創傷部位における保護を提供するのに好適な非陰圧創傷被覆材は、創傷滲出液を吸収するための吸収層と、使用時に吸収層によって吸収される創傷滲出液の視界を少なくとも部分的に遮蔽するための遮蔽要素と、を備え得る。遮蔽要素は、部分的に半透明であってもよい。遮蔽要素は、マスキング層であってもよい。
【0041】
一部の事例では、本明細書に開示される非陰圧創傷被覆材は、創傷接触層を含み、吸収層は、創傷接触層に重なる。創傷接触層は、創傷上に実質的に流体密封シールを形成するための接着剤部分を担持し得る。
【0042】
一部の事例では、本明細書に開示される創傷被覆材は、超吸収繊維、またはビスコース繊維もしくはポリエステル繊維の層をさらに含む。
【0043】
一部の事例では、本明細書に開示される創傷被覆材は、裏当て層をさらに含む。裏当て層は、透明または不透明のフィルムであってもよい。典型的には、裏当て層は、ポリウレタンフィルム(典型的には、透明ポリウレタンフィルム)を含む。
【0044】
一部の事例では、発泡体は、開放セル発泡体、または閉鎖セル発泡体であってもよく、典型的には、開放セル発泡体であり得る。発泡体は、親水性であってもよい。
【0045】
創傷被覆材は、透過層を備えることができ、層は、発泡体であってもよい。透過層は、ポリウレタンフィルムに積層されたポリウレタン発泡体であり得る。
【0046】
非陰圧創傷被覆材は、圧迫包帯であってもよい。圧迫包帯は、浮腫、ならびに、例えば、下肢などの他の静脈およびリンパ系疾患の治療における使用で知られている。圧迫包帯は、内皮に面する層および弾性外層を含む包帯システムを備え得、内層は、発泡体の第1のプライ、および吸収性不織布ウェブの第2のプライを備え、内層および外層は、患者の体肢の周囲に巻き付けられることができるように十分に細長い。
【0047】
陰圧創傷療法
一部の事例では、創傷の治療は、陰圧創傷療法を使用して実施され得る。本開示のシステムおよび方法は、概して、TNPシステムで使用するように適用可能であり得ることが理解されよう。手短に言えば、陰圧創傷療法は、組織の浮腫を減少させ、血流および顆粒組織形成を促し、過度の滲出液を除去することによって、「治癒が困難な」創傷の多くの形態を閉鎖および治癒するのを支援し、細菌負荷(および、それゆえ感染リスク)を減少させ得る。加えて、療法によって、創傷の不安を減らすことが可能になり、より早期の治癒に導く。TNP療法システムはまた、流体を除去し、閉鎖の並列された位置で組織を安定化するのに役立つことで、外科的に閉じられた創傷の治癒を支援してもよい。TNP療法のさらなる有益な使用は、過剰な流体を除去することが重要であり、組織の生存度を確保するために移植片が組織に近接していることが求められる、移植片およびフラップにおいて見出すことができる。
【0048】
大きすぎて自然には閉じられない、もしくはそうでなければ、創傷の部位への陰圧の適用では治癒しない、開放創または慢性創傷の治療のために、陰圧治療を使用することができる。典型的な陰圧(TNP)療法または陰圧創傷療法(NPWT)システムは、創傷の上に流体に対して不透過性または半透過性の被覆を配置することと、創傷を囲む患者の組織に対して被覆を封止する、様々な手段を使用することと、陰圧を被覆の真下に作り出し維持するような手法で、陰圧源(真空ポンプなど)を被覆に接続することと、を伴う。そのような陰圧は、有害なサイトカインまたは細菌を包含する場合がある、過度の流体を除去しながら同時に、創傷部位で肉芽組織の形成を容易にし、平常の体内炎症プロセスを支援することによって、創傷の治癒を促進すると考えられる。
【0049】
NPWTに使用される被覆材のいくつかは、多くの異なるタイプの材料および層、例えば、ガーゼ、パッド、発泡体パッド、または多層創傷被覆材を含み得る。多層創傷被覆材の一例は、NPWTで創傷を治療する、キャニスタなしのシステムを提供するように、裏当て層の下方に創傷接触層および超吸収層を含む、Smith&Nephew から市販されているPICO被覆材である。創傷被覆材は、被覆材から流体を汲み上げるか、またはポンプから創傷被覆材へ陰圧を伝達するように使用されてもよい、長いチューブへの接続を提供する、吸引ポートにシールされてもよい。加えて、Smith&Nephew から市販されている RENASYS-F、RENASYS-G、RENASYS-AB および RENASYS-F/AB も、NPWT創傷被覆材およびシステムのさらなる例である。多層創傷被覆材の別の例は、陰圧を使用せずに創傷を治療するために使用される、湿潤創傷環境被覆材を含む、Smith&Nephew から市販されている ALLEVYN Life 被覆材である。
【0050】
本明細書で使用される場合、-XmmHgなどの減圧または陰圧レベルは、760mmHg(または1atm、29.93inHg、101.325kPa、14.696psiなど)に相当し得る、平常の周囲気圧に対する圧力レベルを表す。したがって、-XmmHgの陰圧値は、760mmHgよりもXmmHg低い絶対圧力、または、言い換えれば、(760-X)mmHgの絶対圧力を反映する。加えて、XmmHgよりも「低い」または「小さい」陰圧は、気圧により近い圧力に相当する(例えば、-40mmHgは-60mmHgよりも低い)。-XmmHgよりも「高い」または「大きい」陰圧は、気圧からより離れた圧力に相当する(例えば、-80mmHgは、-60mmHgよりも高い)。一部の事例では、局所的な周囲気圧は、基準点として使用され、そのような局所的な気圧は、必ずしも、例えば、760mmHgでなくてもよい。
【0051】
本明細書に説明されるいくつかの創傷閉鎖デバイスでは、創傷の縮小の増加が、囲んでいる創傷組織における組織拡張の増加につながり得る。この影響は、場合により、創傷閉鎖デバイスのいくつかによって創傷に適用される引張力の増加と連動して、組織に適用される力を変化させること、例えば、時間とともに創傷に適用される陰圧を変化させることによって増大する場合がある。一部の事例では、例えば、正弦波、方形波を使用して、または1つ以上の生理学的指標(心拍など)と同期して、時間とともに陰圧を変化させてもよい。
【0052】
本明細書に開示されるシステムおよび方法のいずれかは、吸収材を説明するWO2010/061225、US2016/114074、US2006/0142560、およびUS5,703,225、非陰圧創傷被覆材を説明するWO2013/007973、多層創傷被覆材を説明するGB1618298.2(2016年10月28日出願)、GB1621057.7(2016年12月12日出願)、およびGB1709987.0(2017年6月22日出願)、創傷被覆材を説明するEP2498829およびEP1718257、圧迫包帯を説明するWO2006/110527、US6,759,566、およびUS2002/0099318、創傷閉鎖デバイスを説明するUS8,235,955およびUS7,753,894、陰圧創傷療法被覆材、創傷被覆材構成要素、創傷治療装置、および方法を説明するWO2013/175306、WO2016/174048、US2015/0190286、US2011/0282309、およびUS2016/0339158のうちの1つ以上に開示されている特徴のいずれかとの組み合わせで使用され得る。これらの出願の各々の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0053】
センサ対応創傷監視および療法システム
図1Aは、創傷監視および療法システム10を例示する。システムは、制御モジュール24に接続されたセンサ対応創傷被覆材22を含む。本明細書に説明されるように、被覆材22は、患者の創傷の上またはその中に置かれてもよく、様々なセンサを埋め込むか、またはそうでなければ被覆材22内に配置して利用し、それにより、創傷または創傷周囲(傷のない皮膚を含み得る)などの創傷の周囲のエリアのうちの1つ以上から測定データを収集することができる。制御モジュール24は、被覆材22によって収集されたデータを受信、記憶、および処理することができる。通信を容易にするために、被覆材22は、本明細書に記載されるような1つ以上のアンテナなどの1つ以上の通信モジュールを含み得る。一部の事例では、制御モジュール24は、1つ以上のコマンドおよびデータを被覆材22に送信することができる。
【0054】
創傷被覆材22は、使い捨てであってもよく、制御モジュール24は再使用可能であってもよい。一部の事例では、創傷被覆材22は、再使用可能であってもよい。一部の事例では、制御モジュール24は、コントローラとすることができる。一部の事例では、創傷被覆材22は、再滅菌されるか、またはそうでなければ消毒もしくは殺菌され得る。一部の事例では、制御モジュール24は、使い捨てであってもよい。一部の事例では、創傷被覆材22および制御モジュール24は、永久的に接続されてもよく、組み合わされた創傷被覆材および制御モジュールは、使い捨てであるか、または再利用可能であるか、もしくは再滅菌されるか、またはそうでなければ消毒もしくは殺菌され得る。制御モジュール24は、創傷被覆材22上に位置付けられ得る。制御モジュール24は、ケーブルまたは別の有線もしくは無線の電気接続によってなど、創傷被覆材22から空間的に分離され得る。制御モジュール24は、電源(バッテリなど)、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のデータ記憶素子、および通信デバイスを含み得る。一部の事例では、制御モジュール24は、温度センサまたは光(または光学)センサなどの1つ以上のセンサを含んで、創傷被覆材22から離れて位置する患者または環境状態に関する情報を集めることができる。一部の事例では、制御モジュール24の1つ以上のセンサは、加速度計、動きセンサ、またはジャイロスコープを含み得る。
【0055】
創傷被覆材22は、情報をユーザに通信するための1つ以上のインジケータを含み得る。インジケータは、視覚、可聴、触覚、または触知であってもよい。通信された情報は、測定データ、創傷状態等を含み得る。
【0056】
制御モジュール24は、要求されたときに、定期的に、またはそれに類似のときのように、通信デバイス30にデータを通信することができる。通信デバイスが通信範囲に配置されるときに、近距離無線通信(NFC)、RFID、またはそれに類似のものを介してなど、有線または無線インターフェースを介して通信を行うことができる。例えば、通信範囲は、制御モジュール24に対しておよそ3cm以下または以上の範囲以内などで、近接していてもよい。通信デバイス30は、初期化中および治療終了時になど、臨床医によって通信範囲に配置され得る。制御モジュール24は、データを要求する通信デバイス30からのコマンドにデータで応答することができる。通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施され得る。一部の事例では、通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的になど、非電子的に実施され得、制御モジュール24または通信デバイス30のうちの1つ以上は、データのこうした非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0057】
通信デバイス30は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティングデバイス40に有線または無線インターフェースを介して接続され得る。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス30とデバイス40との間のデータの通信に使用され得る。別の例として、データの通信は、1つ以上のメモリ記憶デバイス(例えば、SDカード)などのハードウェアまたはデータ記憶装置の転送を介して実施され得る。一部の事例では、データの通信は、視覚的、聴覚的、または触覚的になど、非電子的に実施され得、通信デバイス30またはコンピューティングデバイス40のうちの1つ以上は、データのこうした非電子通信のためのインターフェースを提供することができる。
【0058】
コンピューティングデバイス40は、被覆材22によって収集されたデータをさらに処理することができる。例えば、コンピューティングデバイス40は、皮膚灌流圧を決定し、有線または無線インターフェースを介してコンピューティングデバイス40にデータを通信するように構成されている、被覆材22および灌流決定デバイス70から収集されたデータを集約することができる。例えば、有線USBプロトコルは、デバイス70とデバイス40との間の通信に使用され得る。
【0059】
コンピューティングデバイス40は、医療データを記憶および処理するリモートコンピューティングデバイス50と有線または無線インターフェースを介して通信するように構成され得る。一部の事例では、リモートコンピューティングデバイス50は、リモートストレージ、サーバー、処理デバイス、または情報ストレージの任意の手段のうちの1つ以上を含む、クラウドコンピューティングデバイスであってもよい。例えば、リモートコンピューティングデバイス50は、Health Insurance Portability & Accountability Act(HIPAA)、データ保護に関する欧州連合の指令など、1つ以上の適用されるセキュリティおよびプライバシー基準に従って、医療データを処理および記憶することができる。リモートコンピューティングデバイス50は、例えば、モバイルデバイス60上など、リモートアクセスおよび表示のために、コンピューティングデバイス40またはモバイルデバイス60のうちの1つ以上によって提供されるデータを利用可能にすることができる。特定の実装形態では、リモートコンピューティングデバイス50上の記憶装置のために、追加のデータを加えることができる。例えば、専用アプリ、ウェブブラウザインターフェース、またはそれに類似のものを介して、モバイルデバイス60によって追加のデータを加えることができる。リモートコンピューティングデバイス50は、創傷被覆材22、灌流決定デバイス70、またはモバイルデバイスのうちの1つ以上からのデータを処理して、1つ以上の治療的療法を提案または調整するなど、治療計画を評価または決定することができる。
【0060】
本明細書に説明されるように、モバイルデバイス60は、患者の創傷の1つ以上の画像を撮影することができる。こうしたデータは、有線または無線インターフェースを介してリモートコンピューティングデバイス50に送信され得る。スマートフォンが図示されているが、モバイルデバイス60は、カメラなどの撮像機能を含む任意の好適なコンピューティングデバイスであってもよい。モバイルデバイス60はまた、質問票への応答において医療従事者によって入力されるデータなどの追加のデータを収集することができる。
【0061】
センサ対応基材および創傷被覆材
1つ以上のセンサを含む、いくつかの電子構成要素を組み込む創傷被覆材は、創傷の特徴を監視するために利用され得る。創傷からデータを収集および分析することは、創傷が治癒曲線上にあるか否かを決定すること、適切な療法を選択すること、創傷が治癒したか否かを決定することなどに対する有用な洞察を提供し得る。
【0062】
いくつかの実施態様では、いくつかのセンサ技術が、創傷被覆材、または創傷被覆材装置全体の一部を形成する1つ以上の構成要素で使用され得る。例えば、図1B図1Cに例示されるように、1つ以上のセンサは、基材上または基材内(そのような基材は、「センサ統合基材」または「センサ対応基材」と称され得る)に組み込まれ得る。基材は、四角形を有するように例示されるが、基材が、長方形、円形、楕円形などの他の形状を有してもよいことが理解されるであろう。一部の事例では、1つ以上のセンサを支持する基材は、創傷の上または中に直接的または間接的に配置される個々の材料層として提供され得る。センサ統合基材は、より大きい創傷被覆材装置の一部であり得る。一部の事例では、センサ統合基材は、単一のユニット被覆材の一部である。追加的または代替的に、センサ統合基材は、創傷の上または中に直接的または間接的に配置され、次いで、ガーゼ、発泡体、または他の創傷包装材料、超吸収層、ドレープ、Smith&Nephew によって製造された Pico または Allevyn Life 被覆材などの完全一体型被覆材などのうちの1つ以上を含み得る、二次創傷被覆材によって被覆され得る。
【0063】
センサ統合基材は、創傷と接触して配置され得、流体が、創傷の中の組織への損傷を全くまたはほとんど引き起こさずに、基材を通過することを可能にし得る。基材は、創傷に適合または創傷を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性、または実質的に可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性であり得る。例えば、基材は、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンテトラフタレート(PET)、ポリブタレンテトレアフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマー材料のうち1つ以上などの伸縮性または実質的に伸縮性の材料、または別の好適な材料から作製され得る。
【0064】
伸縮性または実質的に伸縮性の材料は、長さまたは幅など、その開始寸法の5%以下もしくは以上、10%以下もしくは以上、20%以下もしくは以上、または20%超に延伸され得る。一部の事例では、伸縮性または実質的に伸縮性の材料は、延伸された後、開始寸法(長さまたは幅など)の5%以下または以上の範囲以内に戻ることができる。
【0065】
一部の事例では、基材は、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)を含む可撓性ポリマー、ならびに様々なフッ素ポリマー(FEP)およびコポリマーなどで形成され得る、1つ以上の可撓性回路基材を含み得る。1つ以上のセンサは、2層可撓性回路に組み込まれ得る。一部のシナリオでは、1つ以上の回路基材は、多層可撓性回路基材とすることができる。
【0066】
一部の事例では、センサ統合基材は、湿潤または乾燥組織に接着する接着剤を組み込み得る。一部の事例では、1つ以上の可撓性回路を位置付けられ得る1つ以上のセンサが、創傷被覆材の任意の層に組み込まれ得る。例えば、創傷接触層は、創傷接触層の下表面から突出し、創傷に直接接触する、1つ以上のセンサを可能にする、切り欠き部またはスリットを有し得る。いくつかの状況では、1つ以上のセンサは、例えば、吸収層などの創傷被覆材の他の構成要素に組み込まれるか、またはその中に封入され得る。
【0067】
図1Bに示されるように、センサ統合基材100Bは、複数の電子構成要素と、部品のうちの少なくともいくつかを相互接続する複数の電気接続と、を支持し得る。電子構成要素は、センサ、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオードなどの本明細書に説明される任意の電子構成要素のうちの1つ以上とすることができる。電気接続は、電子構成要素のうちの1つ以上を電気的に接続し得る。電気接続は、例えば、銅、導電性インク(銀、グラファイト、炭素、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノ銀のうちの任意の1つまたは任意の組み合わせを含むインクなど)、ナノテクノロジーベースの導電性インク、有機導電性インクなどを使用して基材上に印刷されたトレースまたはトラックであってもよい。電子接続のうちの少なくともいくつかは、可撓性もしくは伸縮性、または実質的に可撓性もしくは伸縮性とすることができる。
【0068】
複数の電子構成要素は、図1B図1Cに例示されるように、外側4×4グリッドおよび内側4×4グリッドで配置され得る、1つ以上のインピーダンスまたは導電率センサ110を含み得る。センサ110は、パッドの任意のペアにわたる組織のインピーダンスまたは導電率を測定するように構成されたパッドとして例示される。2つ(またはそれ以上)の励起パッド115が、例示されるように配置されて、パッドにわたって励起信号を提供し、この励起信号は、組織によって伝導され、これに応答して、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスが、パッド110にわたって測定され得る。1つ以上のアンプ120などの電子構成要素が、組織のインピーダンスまたはコンダクタンスを測定するために使用され得る。インピーダンスまたはコンダクタンスの測定値は、生きている組織および死んだ組織を識別し、治癒の進捗を監視するためなどに使用され得る。内側および外側グリッド内のパッド110の配置は、創傷のインピーダンスまたはコンダクタンス、創傷の外周、または創傷を囲む組織もしくはエリアを測定するために使用され得る。
【0069】
複数の電子構成要素は、創傷または周囲の組織の温度を測定するように構成された1つ以上の温度センサ130を含み得る。例えば、9つの温度センサが、基材100Bの外周の周囲に配置された。1つ以上の温度センサは、1つ以上の熱電対またはサーモスタットを含み得る。1つ以上の温度センサは、較正され得、1つ以上のセンサから得られるデータは、創傷環境についての情報を提供するように処理され得る。一部の事例では、周囲空気温度を測定する周囲センサが、環境温度シフトと関連付けられた問題を排除することを支援するために使用され得る。
【0070】
複数の電子構成要素は、1つ以上の光学センサ150を含み得る。1つ以上の光学センサ150は、創傷の外観を測定するか、または創傷を撮像するように構成され得る。一部の事例では、光を放射する光源または照明源、および創傷によって反射された光を検出する光センサまたは検出器が、1つ以上の光学センサとして使用される。光源は、発光ダイオード(LED)とすることができ、例えば、1つ以上の白色LED、赤色、緑色、青色(RGB)LED、紫外線(UV)LEDなどである。光センサは、色を検出するように構成されたRGBセンサ、赤外線(IR)色センサ、UVセンサなどのうちの1つ以上とすることができる。一部の事例では、光源および検出器の両方は、皮膚に押し付けられることになり、それにより、光が組織中に透過し、組織自体のスペクトル特性を呈することになる。いくつかのシナリオでは、1つ以上の光学センサは、電荷結合素子(CCD)、CMOS画像センサなどの、撮像デバイスを含み得る。
【0071】
一部の事例では、超高輝度LED、RGBセンサ、およびポリエステル光学フィルタが、組織色分化を通して測定するために、1つ以上の光学センサの部品として使用され得る。例えば、表面の色が反射光から測定され得るため、色は、所与の幾何学的形状に対して最初に組織を通過した光から測定され得る。これは、皮膚と接触しているLEDから拡散した散光などからの色感知を含み得る。一部の事例では、LEDは、組織を通して拡散した光を検出するために、近位のRGBセンサと使用され得る。光学センサは、拡散した内部光または表面反射光を用いて撮像し得る。
【0072】
複数の電子構成要素のうちの1つ以上は、制御モジュールによって制御され得る。制御モジュールは、1つ以上のセンサによって取得された1つ以上の測定値を受信および処理し得る。図1Aに例示される24などの外部制御モジュールは、コネクタ(例えば、図1B図1Cのコネクタ140)を介して複数の電子構成要素のうちの少なくともいくつかに接続され得る。一部の事例では、コネクタ140は、図1Cに例示されるように導電性トラック部分の端に位置付けられるか、または図1Bに例示されるように端から離れた位置で導電性トラック部分に取り付けられ得る(例えば、接着剤でトラック部分の上部に取り付けられる)。制御モジュールは、1つ以上のコントローラもしくはマイクロプロセッサ、メモリなどを含み得る。一部の事例では、1つ以上のコントローラは、基材上に位置付けられ得、コネクタ140は、使用されない。一部の事例では、データおよびコマンドは、基材上に位置付けられたトランシーバによるなどの、無線で通信され得、コネクタ140は、使用されない。
【0073】
一部の事例では、1つ以上のpHセンサ、圧力センサ、灌流センサなどの、追加的または代替的なセンサが、基材上に位置付けられてもよい。
【0074】
一部の事例では、基材は、図1Cに例示されるように穿孔され得る。複数の穿孔160が、基材100C内に形成され得、流体が基材を通過することを可能にする。陰圧創傷療法の適用と併せて穿孔された基材を使用することが有利であり得るが、その間、減圧が、被覆材によって被覆された創傷に適用され、創傷から流体(創傷滲出液など)の除去を引き起こす。穿孔160は、図1Bおよび図1Cに例示されるように、複数の電子構成要素および接続の周囲に形成され得る。穿孔160は、スリットまたは孔として形成され得る。一部の事例では、穿孔160は、流体が基材を通過することを可能にしつつ、組織の内成長を防止することを助けるために十分に小さくてもよい。
【0075】
一部の事例では、基材は、基材または基材によって支持される部品のうちの1つ以上を封入または被覆するように被覆され得る。コーティングは、生体適合性を提供すること、電子回路が液体と接触することから遮蔽または保護すること、患者の快適さを増大させるために電子構成要素用のパッドを提供することなどを行い得る。そのようなコーティングは、「コンフォーマルコート」または「ソフトコート」とも称され得る。ソフトコートは、伸縮性または実質的に伸縮性であり得る。ソフトコートは、疎水性または実質的に疎水性であり得る。
【0076】
ソフトコートは、1つ以上の好適なポリマー、1072-M接着剤(例えば、Dymax 1072-M)、1165-M接着剤(Dymax 1165-Mなど)などの接着剤、パリレン(例Parylene Cなど)、シリコーン、エポキシ、ウレタン、アクリル化ウレタン、アクリル化ウレタン代替物(Henkel Loctite 3381など)、または他の好適な生体適合性、かつ実質的に伸縮性の材料から形成され得る。ソフトコートは、例えば、約80ミクロン以下~数ミリメートル以上までの薄いコーティングとすることができる。ソフトコートは、約A100、A80、A50以下よりも低い硬度を有し得る。ソフトコートは、約100%、200%、300%以上を超える破壊時伸びを有し得る。ソフトコートは、約8,000~14,500センチポアズ(cP)の粘度を有し得る。一部の事例では、コーティングは、約3,000cP以上の粘度を有し得る。一部の事例では、コーティングは、約3,000cP未満の粘度を有し得る。
【0077】
一部の事例では、基材が、より良好に創傷に適合するか、または創傷を被覆するために、伸縮性または実質的に伸縮性であることが望ましい場合があるが、電子構成要素または接続のうちの少なくともいくつかは、伸縮性または可撓性ではなくてもよい。そのような事例では、基材が創傷内または創傷上に位置付けられるときに、望ましくないまたは過剰な局所的な歪みまたは応力が、電子構成要素の支持エリアまたは装着部などの、1つ以上の電子構成要素上に及ぼされ得る。例えば、そのような応力は、患者の動き、創傷の形状またはサイズの変化(例えば、その治癒に起因する)などに起因し得る。そのような応力は、1つ以上の電子構成要素または接続の移動、脱落、または誤作動(例えば、接続解除されているピンまたは別のコネクタからの開回路の生成)を引き起こし得る。代替的または追加的に、1つ以上の電子構成要素によって収集された測定値が、創傷の同じまたは実質的に同じ場所または領域における経時的な変化を正確に取り込むように、1つ以上のセンサなどの1つ以上の電子構成要素の位置を、創傷に対して同じまたは実質的に同じ場所または領域(創傷と接触するなど)に維持することが望ましい場合がある。伸縮性の基材の表面は、例えば、患者が動くときに移動し得るが、創傷に対して1つ以上の電子構成要素の同じまたは実質的に同じ位置を維持することが望ましい場合がある。
【0078】
これらの問題に対処するために、一部の事例では、非伸縮性または実質的に非伸縮性のコーティング(そのようなコーティングは、「ハードコート」とも称され得る)が、1つ以上の電子構成要素、1つ以上の電気接続などに適用され得る。ハードコートは、1つ以上の電子構成要素、1つ以上の電気接続などのための補強または応力緩和のうちの1つ以上を提供し得る。ハードコーティングは、アクリル化または修飾ウレタン材料から形成され得る。例えば、ハードコートは、Dymax 1901-M、Dymax 9001-E、Dymax 20351、Dymax 20558、Henkel Loctite 3211、または別の好適な材料のうちの1つ以上とすることができる。ハードコートは、硬化前に約13,500cP~50,000cPの粘度を有するか、または硬化前に約3,600cP~約6,600cPの粘度を有し得る。一部の事例では、ハードコートは、約50,000cP以下の粘度を有し得る。ハードコートは、約D40~約D65の硬度および/または約1.5~2.5%の線形収縮を有し得る。
【0079】
本明細書に説明されるハードコートまたはソフトコートのいずれも、積層、接着、溶接(例えば、超音波溶接)、光、UV、熱(例えば、加熱)などのうちの1つ以上による硬化のうちの1つ以上によって適用され得る。本明細書に説明されるハードまたはソフトコートのいずれも、光感知などの、コーティングを通る光の透過を容易にするために透明または実質的に透明であり得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれも、EtO滅菌などの滅菌に供されるときに、接着強度を保持し得る。本明細書に説明されるコーティングのいずれも、UV光下などの、蛍光を発光するように改変され得る。
【0080】
いくつかの実装形態では、基材の境界または縁は、切断によって平滑化されてもよく、滑らかな輪郭を有してもよく、繊維を含むなどして、患者の快適さを改善することができる。
【0081】
一部の事例では、基材は、無線通信のための1つ以上のアンテナを含み得る。例えば、1つ以上のアンテナを、基材上の1つ以上の接続またはトレースとして印刷することができる。1つ以上のアンテナは、制御モジュール24などのコントローラを使用することなく、1つ以上のセンサによって収集された測定データを通信するために使用され得る。1つ以上のアンテナを追加的に使用して、電源から無線で電力を受信することができる。特定の事例では、1つ以上のアンテナトレースは、1つ以上のアンテナの共鳴周波数が、患者に対して使用時に基材が応力下にあるときに固定されたままになるように、実質的に非伸縮性の材料(本明細書に記述される)上に位置付けられ得る。1つ以上の共鳴周波数を固定することは、RFIDなどの特定の通信プロトコルに有利であり得る。
【0082】
本明細書に開示されるシステムおよび方法のうちのいずれかは、様々な被覆材およびその構成要素を記述する、2019年4月24日に出願された、「Sensor Integrated Dressings And Systems」と題するG.B.出願第1905696.9号、および様々な被覆材およびその構成要素を記述する、2019年1月20日に出願された、「Sensor Integrated Dressings And Systems」と題するG.B.出願第1905696.9号のうちの1つ以上に開示されている特徴のうちのいずれかと組み合わせて使用され得る。これらの出願の各々の開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0083】
基材上の電気接続
図2Aは、はんだペースト208および複数の電気接続210を介して基材202に電気的に結合された電子構成要素204を含む、例示的な創傷監視および/または療法装置200の一部分の断面図を示す。創傷監視および/または療法装置200は、所望の場合、より少ないまたはより多くの構成要素を含み得ることが理解されるであろう。例えば、基材202は、同じまたは他の電気接続を介して、1つ以上の異なるまたは追加の電子構成要素に電気的に結合され得る。さらに、一部の事例では、電子構成要素204は、例えば、はんだペースト208を介して電気接続210に間接的に結合されるのではなく、電気接続210に直接的に結合され得る。
【0084】
電子構成要素204は、例えば、センサ、アンプ、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、コントローラ、プロセッサ、ダイオード、コネクタなどの本明細書に説明される任意の電子構成要素と同一または類似していてもよい。図示するように、電子構成要素204は、複数の電気コネクタ206を含み得る。例えば、電子構成要素204は、電力、接地、入力、出力、データなどのための1つ以上の電気コネクタ206を含むことができる。一部の事例では、電気コネクタ206は、電気パッド、ピン、またはタブのうちの1つ以上を含む。電気コネクタ206は、電子構成要素204を、基材202上に印刷されたトレースまたはトラックなどの1つ以上の他の電子構成要素、または1つ以上の電気接続210に電気的に接続するために利用され得る。
【0085】
基材202は、本明細書に記載される基材のうちの1つ以上との任意の組み合わせと同一または類似していてもよい。例えば、基材202は、図1Bのセンサ統合基板100Bまたは図1Cのセンサ統合基板100Cの1つ以上の特徴または特性の任意の組み合わせを含み得る。例えば、一部の事例では、基材202は、創傷に適合または創傷を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性、または実質的に可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性である。一部の事例では、延伸され得る電気接続210を利用することが有利であり得る。一部の事例では、電子構成要素204を含む基材202のエリアは、基材202の他のエリアよりも剛直または柔軟性が低い場合があり得る。一部の事例では、基材202は、綿または他の織物繊維などの1つ以上の繊維を含み得る。
【0086】
電気接続210は、基材202上に印刷されてもよく、または基材202と一体化されてもよい。例えば、電気接続210は、基材上にスクリーン印刷されてもよい。一部の事例では、電気接続210は、様々な電気信号、接続、および/または電力が基材202上、その外、またはそれを通ってルーティングすることを可能にする。例えば、電気接続210のうちの1つ以上の組み合わせは、基材202の様々な点を電気的に接続してもよく、および/または基材202上もしくはその外に位置する様々な電子構成要素を電気的に接続してもよい。
【0087】
一部の事例では、電気接続210のうちの1つ以上は、基材202上に印刷されたトレースまたはトラックを含む。例えば、電気接続210は、銅、導電性インク(例えば、銀、グラファイト、炭素、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノ銀のうちの1つ以上を含むインク)、ナノテクノロジーベースの導電性インク、有機導電性インクなど、導電性グルー、導電性テープ、繊維、はんだペースト、またはこれに類するもののうちの1つ以上の組み合わせを含み得る。本明細書に記載されるように、一部の事例では、電気接続210は、1つ以上のタイプの導電性インク、導電性グルー、導電性テープ、繊維、はんだペースト、またはこれに類するものを含み得る。例えば、第1のタイプの導電性インクは、基材202上の第1の場所で利用されてもよく、第2のタイプの導電性インクは、基材202上の第2の場所で利用されてもよい。一部のこうした実施例では、異なるタイプの導電性インクの使用または配置は、導電性インクの1つ以上の特徴または特性に少なくとも部分的に基づいてもよい。例えば、より導電性のインクは、はんだ付けのための領域またはエリアで利用されてもよく、異なるインク(例えば、インクが延伸されたときに抵抗が劇的に変化しないインク)は、基材202上の1つ以上の他のエリアで利用されてもよい。このように、創傷監視および/または療法装置200は、複数の導電性インクの利点を利用することができる。別の実施例として、より導電性のインク、またはより小さなインピーダンスを有するインクを、アンテナトレースなどの通信信号に利用してもよい。
【0088】
一部の事例では、はんだペースト208の部分のうちの1つ以上を、電気接続210または基材202上に印刷することができる。例えば、はんだペースト208は、電気接続210および/または基材202上に印刷することができ、その後、(ボードの残りの部分とともに)加熱して、はんだペースト208を溶融し、機械的接合および電気接続を形成することができる。一部の事例では、はんだペースト208は、導電性グルーまたは導電性テープなどの異なる材料で置き換えられる。一部の事例では、創傷監視および/または療法装置200は、はんだペースト208を含まない。例えば、一部の事例では、電子構成要素204は、はんだペースト208を介して電気接続210に間接的に結合されるのではなく、電気接続210に直接的に結合され得る。
【0089】
複数の導電性インク
異なるタイプの導電性インクは、異なる特性および/または特徴を有し得る。例えば、インピーダンス、インピーダンスの分散(例えば、インクの延伸による)、熱伝導率、電気伝導率などは、使用されるインクのタイプに基づいて変化し得る。それに続くように、一部のインクは、一部の目的に対してより良好であり、その他のインクは、他の目的に対してより良好であり得る。したがって、一部の事例では、創傷監視および/または療法装置200は、複数のタイプの導電性インクを含む電気接続210を利用することができる。さらに、一部の事例では、特定のタイプの導電性インクを、その有利な特性に基づいて基材202上に配置することができる。このように、一部の実装形態では、例えば、異なるタイプの導電性インクの有益な特性を利用するために、2つ以上の異なるタイプの導電性インクを基材202上に配置(または結合)することができる。しかしながら、一部の事例では、1つ以上のタイプの導電性インクは、その特性のうちの1つ以上(例えば、熱伝導率、電気伝導率、インピーダンス、可撓性など)を考慮せず、またはそれらに反して、基材202上に配置され得ることが理解されよう。
【0090】
図2Aと同様に、図2Bは、はんだペースト208および複数の電気接続210を介して基材202に電気的に結合された電子構成要素204を含む、例示的な創傷監視および/または療法装置250の一部分の断面図を示す。図2Bはさらに、複数のタイプの導電性インクを含む電気接続210の実施例を示す。具体的には、電気接続210は、第1のタイプの導電性インク212(本明細書では、時には第1のインク212と称される)および第2のタイプの導電性インク214(本明細書では、時には第2のインク214と称される)を含む。図2Bは導電性インクに関して議論されているが、電気接続210は、追加的または代替的に、1つ以上の金属、導電性グルー、導電性テープ、繊維、蛍光素子、またはこれに類するものを含み得ることが理解されるであろう。さらに、2つのタイプの導電性インクのみが示されているが、追加的または異なるタイプの導電性インクを使用することができることが理解されるであろう。
【0091】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、異なる熱伝導率、電気伝導率、インピーダンス、柔軟性、またはこれに類するものなどの1つ以上の異なる特徴を有する。例えば、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、異なる電気伝導率を有する。例えば、比較的高い導電率を有するインクは、より薄いトレースを可能にしてもよく、および/または改善された電気接続を可能にしてもよい。このように、一部の事例では、より高い導電率を有するインク212または214は、電子構成要素204の接触エリア(例えば、電子構成要素204が基材に接続されるエリア)および/または電子構成要素204の周りのインクフットプリントなどの様々な接続のためのエリアで利用され得る。さらに、一部の事例では、より高い導電率を有するインク212または214は、電子構成要素204を基材202に装着するために利用され得る。さらに、一部の事例では、より高い導電率を有するインク212または214を、アンテナトレースなどの通信信号に利用することができる。図2Bの実施例に示されるように、第1のインク212は、電子構成要素204を装着するために利用される。したがって、一部の事例では、第1のインク212は、第2のインク214よりも導電率が高い。しかしながら、一部の事例では、第2のインク214は、第1のインク212よりも導電率が高いか、または第1のインク212と第2のインク214は、ほぼ等しい導電率を有する。一部の事例では、1つのインクは、より多くのまたは特定の金属(例えば、銀)を含み、厚みが大きいか、または幅が大きいため、少なくとも他のインクよりも導電率が高い。
【0092】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、異なる熱伝導率を有する。例えば、一部の事例では、第1のインク212は、第2のインク214よりも高い熱伝導率を有する一方で、他の事例では、第2のインク214は、第1のインク214よりも高い熱伝導率を有する。
【0093】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、はんだペースト208とは異なって付着、接着、または接合する。例えば、一部の事例では、第1のインク212は、はんだペースト208と良好な電気接続を行い、第2のインク212は、第1のインク212と異なり、はんだペースト208との電気接続とは良好ではない。一部の事例では、はんだペースト208は、第1のインク212または第2のインク214のうちの1つ以上と少なくとも部分的に重複する。例えば、はんだペースト208は、基材202上の複数の層のうちの1つの層とすることができる。
【0094】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、異なるインピーダンス可変性を有する。例えば、延伸されると、インク上のインピーダンスが変化し得る。例えば、一部の事例では、導電性インク212または214は、延伸されたとき、インクのインピーダンスが比較的一定であるように、比較的低いインピーダンス変動性を有してもよい。別の実施例として、一部の事例では、導電性インク212または214は、延伸されたとき、インクのインピーダンスが揺動するように、比較的高いインピーダンス変動性を有してもよい。一部の事例では、第1のインク212は、第2のインク214よりも高いインピーダンス変動性を有する一方で、他の事例では、第2のインク214は、第1のインク214よりも高いインピーダンス変動性を有する。本明細書に記載されるように、基材202は、実質的に可撓性であり、屈曲しやすい。したがって、一部の事例では、延伸によるインピーダンス変化を最小化または制限するために、屈曲または延伸しやすい基材202上のエリアの少なくとも一部において、より低いインピーダンス変動性を有するインクを利用することが有利であり得る。
【0095】
示されるように、図2Bの実施例では、第2のインク214は、電子構成要素204を装着するためのもの以外の電気接続を行うために利用される。例えば、第2のインク214は、基材202上の様々な点または電子デバイスを電気的に接続する導電性トレースを形成し得る。別の実施例として、第2のインク214は、第1のインク212の2つの異なる部分を電気的に結合するか、または基材202から離れている構成要素またはデバイスへの接続を作り出すことができる。
【0096】
第1のインク212および第2のインク214の配置は、所望に応じて変更することができ、または例えば、第1および第2のインク212、214の特性および/または特徴に基づいて変更することができることが理解されるであろう。例えば、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、少なくとも部分的に混合されるか、または少なくとも部分的に重複している。別の実施例として、第1および第2のインク212、214は、図示されるよりも短く、長く、薄く、または厚くすることができる。さらに、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214の少なくとも一部の部分は、互いに直接的に接続されている。一部の事例では第1のインク212および第2のインク214の少なくとも一部の部分は、互いに間接的に接続されている。例えば、第1のインク212および第2のインク214の少なくとも一部の部分は、導電性グルー、導電性テープ、またはこれに類するものを介して互いに接続され得る。
【0097】
さらに、一部の事例では、電気接続210は、より少ない、またはより多い数のタイプの導電性インクを含み得る。例えば、特定の電気接続212は、第1の導電性インクを含み得る一方で、異なる電気接続212は、第2の導電性インクおよび第3の導電性インクを含み得る。
【0098】
図2Aおよび図2Bと同様に、図2Cは、はんだペースト208および複数の電気接続210を介して基材202に電気的に結合された電子構成要素204を含む、例示的な創傷監視および/または療法装置260の一部分の断面図を示す。図2Cはさらに、複数のタイプの導電性インク(例えば、第1のインク212および第2のインク214)および複数のタイプの導電性インクの間の導電性媒体220を含む、電気接続210の実施例を示す。
【0099】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、少なくとも部分的に重複し得る。例えば、第1のインク212および第2のインク214は、接合点または第1のインク212および第2のインク214が収束する点で少なくとも部分的に重複し得る。一部の事例では、収束点でインク212および214を重複させることは、例えば、それらを横並びで接続させることと比較して、第1のインク212と第2のインク214との間の電気接続を改善することができる。第2のインク214の少なくとも一部分を部分的に覆うように、第1のインク212が第2のインク214の上に延在しているものとして図示されているが、一部の事例では、第2のインク214の少なくとも一部分は、第1のインク212の少なくとも一部分を覆うように延在している。さらに、第1のインク212および第2のインク214は、様々な構成を有し得ることが理解されよう。例えば、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214の少なくとも一部の部分は、横並びである。別の実施例として、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214の少なくとも一部の部分は、一緒に混合されるか、または互いに層状にされる。
【0100】
一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、導電性媒体220を使用して互いに接続され得る。例えば、導電性媒体220は、はんだペースト、導電性グルー、導電性テープまたはこれに類するものを含み得る。一部の事例では、導電性媒体220は、第1のインク212と第2のインク214との間の接続性を改善する。しかしながら、一部の事例では、第1のインク212および第2のインク214は、導電性媒体220を間に有さないで直接的に接続されていることが理解されよう。
一部の事例では、創傷監視および/または療法装置200、250、260、または270のうちのいずれかは、分離マスクまたは層を含み得る。例えば、分離マスクは、電気接続210の分離を維持するために、2つ以上の電気接続210の間に印刷され得る。一部の事例では、分離マスクは、分離マスクが積み重ねられた電気接続210または電子構成要素204を電気的に分離するように、電気接続210または電子構成要素204の積み重ねまたは積層を可能にする。
【0101】
繊維
図2A図2Cと同様に、図2Dは、複数の電気接続210を介して基材202に電気的に結合された電子構成要素204を含む、例示的な創傷監視および/または療法装置270の一部分の断面図を示す。図2Dは、電気接続210の少なくとも一部分に(例えば、導電性インク、導電性媒体などに)埋め込まれた複数の電気織物222を含む電気接続210の実施例をさらに示す。一部の事例では、電気織物222は、電気接続210の延伸によるインピーダンス変動を低減することができる。例えば、一部の事例では、電気接続210の延伸中、電気織物222は、電気接続210内で動き回ることができるが、電気接続210内の他の電気織物222との接続を維持することができる。このように、電気織物222は、延伸によるインピーダンスの変化を防止または制限することができる。
【0102】
図示するように、電気接続210のうちの1つ以上は、電気織物222を含み得る。例えば、電気接続210が導電性インクを含む場合、1つ以上の電気織物222が導電性インクの中にあってもよい。一部の事例では、電気織物222は、第1のインク212の一部の実施例など、延伸によってインピーダンス変動しやすい導電性インクで利用され得る。一部の事例では、このように電気織物222を利用すると、電気接続210が薄くなるか、または薄いトレースを含むようになる。
【0103】
一部の事例では、電気織物222は、単一のタイプの繊維、または2つ以上のタイプの繊維のブレンドなどの繊維を含み得る。例えば、電気織物222は、綿、ウール、ジュート、シルク、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、ケブラー(登録商標)、または合成繊維を含み得るが、これらに限定されない。
【0104】
電気織物222は、異なるパターンおよび密度で埋め込むことができ、電気織物222は、1つ以上の異なる長さを有することができることが理解されるであろう。例えば、一部の事例では、電気織物222は、電気接続210の長さにわたって延在する、1つ以上の連続的な繊維222のストランドを含む。別の実施例として、一部の事例では、電気織物222は、複数の比較的短い電気織物222を含む。例えば、電気接続210の延伸の間、1つ以上の電気織物222は、電気接続210内で移動して、他の電気織物222に向かって、またはそれから離れて移動することができる。一部の事例では、電気織物222の少なくとも一部は、互いに接触し続ける。例えば、電気織物222は、電気接続210内にしっかりと凝縮され得る。一部の事例では、電気織物222の少なくとも一部は、いかなる他の電気織物222にも接触しない。例えば、電気織物222は、電気接続210全体にわたって間隔を置いてもよい。
【0105】
図示するように、一部の事例では、電気接続210は、電気コネクタ206に直接的に結合されている。しかしながら、電気接続210は、例えば、はんだペーストまたは導電性グルーを介して、電気コネクタ206に間接的に結合され得ることが理解されよう。
【0106】
品質管理
一部の事例では、電気接続210は、1つ以上の様々な接続の品質管理を可能にし得る、1つ以上の成分またはマーカを含み得る。例えば、一部の事例では、電気接続210は、蛍光成分を含む。一部の事例では、蛍光成分は、例えば、UV光下での接続をチェックすることなど、品質管理のために使用され得る。別の実施例として、一部の事例では、電気接続210は、可視的であってもよく、またはX線もしくはMRIの下で見ることができる、無線透明材料を含み得る。一部の事例では、これらの成分またはマーカは、生分解性であり得る。一部の事例では、これらのマーカは、品質管理のために使用され得、かつ/またはユーザが、電子機器が創傷および/もしくは創傷被覆材に存在しているかどうか、もしくは電子機器がどこに存在しているかどうかをチェックすることを可能にすることができる。
【0107】
導電性インク
図3A図3Cは、複数の電子構成要素204と、電子構成要素204のうちの1つ以上を電気的に接続する複数の電気接続210と、を支持する基材202を示す。本明細書で論じるように、電気接続210は、第2のタイプの導電性インク214の第1のタイプの導電性インク212を含み得る。さらに、本明細書に記載されるように、第1のインク212および第2のインク214は、異なるインピーダンス、インピーダンスの分散(例えば、インクの延伸による)、熱伝導率、電気伝導率またはこれに類するものなどの、1つ以上の異なる特徴または特性を有し得る。
【0108】
本明細書に記載されるように、一部の事例では、基材202は、創傷に適合または創傷を被覆するために、可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性、または実質的に可撓性、弾性、伸張性、または伸縮性である。したがって、一部の事例では、延伸され得る電気接続210を利用することが有利であり得る。さらに、電気接続210が延伸されたときに特性(例えば、抵抗)が実質的に影響を受けない電気接続210を利用することが有利であり得る。一部の事例では、第2のインク214は、第1のインク212よりも延伸による抵抗変動が少ない場合がある。一部のこうした実施例では、第2のインク214は、屈曲される可能性が高い基材202のエリア上に存在する電気接続210の部分を形成するように選択されてもよい。例えば、図3A図3Cに示すように、基材202にわたって延在している電気接続210は、第2のインク214を含み得る。
【0109】
一部の事例では、電子構成要素204を含む基材202のエリアは、基材202の他のエリアよりも剛直または柔軟性が低い場合があり得る。一部のこうした事例では、電子構成要素204に近接する(例えば、その下にある、および/またはその周辺にある)電気接続210は、第1のインク212を含み得る。例えば、図3A図3Cに示すように、電子構成要素204に近接する電気接続210の部分は、第1のインク212を含んでもよい一方で、電気接続210のその他の部分は、第2のインク214を含んでもよい。このように、第2のインク214は、基材202を横切る電気接続を可能にする一方で、また延伸によるインピーダンス変化を最小化するために利用されてもよく、第1のインク212は、第2のインク214と比較して、その強化された電気および熱伝導性のために利用されてもよい。
【0110】
他の変形例
一部の事例では、1つ以上の電子構成要素は、創傷に面する側の反対側の基材の側の上に位置付けられ得る。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、そのような基材に等しく適用可能である。本明細書に説明される特定の実施形態は、創傷被覆材に関するが、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、創傷被覆材または医療用途に限定されない。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、概して、ユーザによって着用されるか、またはユーザに適用され得る、電子デバイスなどの電子デバイス全般に適用可能である。
【0111】
本明細書に提供される閾値、限界値、期間などのいかなる値も、絶対的な値であることを意図するものではなく、したがって、およその値であり得る。加えて、本明細書に提供される任意の閾値、限界値、期間などは、自動的にまたはユーザによってのいずれかで、固定されるかまたは変動し得る。さらに、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値と等しい場合も包含することが意図される。例えば、正の参照値を超えることは、参照値以上であることを包含することができる。加えて、本明細書で使用される場合、参照値に関連した、上回る、超、未満などの相対的な程度を表す用語は、参照値に関連した、下回る、未満、超などの開示された関係とは逆のものも包含することが意図される。さらに、様々なプロセスのブロックは、ある値が特定の閾値に達するかまたは達しないかを決定することに関して記載され得るが、ブロックは、例えば、ある値が(i)閾値未満であるかもしくは閾値を超えているか、または(ii)閾値を満たすかもしくは満たしていないかに関しても同様に理解され得る。
【0112】
特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特徴、材料、特性、もしくは群は、本明細書に記載の他の任意の態様、実施形態、または実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であることを理解されたい。本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示されるすべての特徴、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのすべてのステップは、そのような特徴またはステップの少なくとも一部が互いに排他的である組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わせられ得る。保護対象は、前述の任意の実施形態の詳細に限定されない。保護対象は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約書、および図面を含む)に開示される特徴のうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせ、または同様に開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規のもの、もしくは任意の新規の組み合わせに及ぶ。
【0113】
ある特定の実施形態が説明されているが、これらの実施形態は、単に例として提示されており、保護対象の範囲を限定することを意図するものではない。実際、本明細書に説明される新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本明細書に記載の方法およびシステムの形態において、様々な省略、置換、および変更がなされ得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、図示または開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップが、図面に示されたものとは異なり得ることを理解するであろう。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、開示されたプロセスにおいて実施される実際のステップまたはステップの順序は、図面に示されたものとは異なり得る。実施形態によっては、上述したステップのうちのある特定のステップが除かれる場合もあれば、他のものが追加される場合もある。例えば、図面に図示した様々なコンポーネントは、プロセッサ、コントローラ、ASIC、FPGA、または専用ハードウェア上のソフトウェアまたはファームウェアとして実装され得る。コントローラ、プロセッサ、ASIC、FPGAおよび類似ものなど、ハードウェアコンポーネントは論理回路を含み得る。さらに、上記に開示された特定の実施形態の特徴および特性は、異なる方式で組み合わされて追加の実施形態を形成し得るが、そのすべては本開示の範囲内に収まる。
【0114】
本開示には、ある特定の実施形態、実施例、および用途が含まれるが、当業者であれば、本開示が、具体的に開示された実施形態の範囲を超えて、他の代替的な実施形態または使用ならびにその明らかな変形および同等物におよび、これには本明細書に記載された特徴および利点のすべてを提供しているとは限らない実施形態が含まれることを理解するであろう。したがって、本開示の範囲は、本明細書における好ましい実施形態の特定の開示によって限定されることを意図するものではなく、本明細書に提示されるまたはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。
【0115】
「し得る(can)」、「できる(could)」、「可能性がある(might)」、または「場合がある(may)」などの条件付き言い回しは、別途具体的に記載されない限り、または使用される文脈の範囲内で別途解釈されない限り、ある特定の実施形態が、ある特定の特徴、要素、またはステップを含む一方で、他の実施形態は含まないということの伝達を意図するのが通例である。したがって、そのような条件付き言い回しは、概して、特徴、要素、もしくはステップが1つ以上の実施形態に多少なりとも必要とされるということ、またはこれらの特徴、要素、もしくはステップが任意の特定の実施形態に含まれているかどうか、もしくは任意の特定の実施形態で実施されるべきかどうかを、ユーザ入力または命令の有無にかかわらず決定するためのロジックが、1つ以上の実施形態に必然的に含まれているということを示唆することを意図するものではない。「備える」、「含む」、および「有する」等の用語は、同義語であり、包含的に、オープンエンドの様式で使用され、追加の要素、特徴、行為、動作などを排除するものではない。また、「または」という用語は、包括的な意味で(排他的な意味ではなく)使用されることにより、例えば、要素の列記をつなぐのに使用される場合、「または」という用語は、列記内の要素のうちの1つ、いくつか、またはすべてを意味する。加えて、「各々」という用語は、本明細書で使用される場合、その通常の意味を有することに加えて、「各々」という用語が適用されている一連の要素の任意のサブセットも意味し得る。
【0116】
「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句などの連言的言い回しは、別途具体的に記載されない限り、ある項目や用語などが、X、Y、またはZのいずれかであり得ることを示唆するのに一般的に使用される文脈によって、別途解釈されるものである。したがって、そのような連言的言い回しは、概して、ある特定の実施形態が、少なくとも1つのX、少なくとも1つのY、および少なくとも1つのZの存在を必要とするということを示唆することを意図するものではない。
【0117】
本明細書で使用される程度を表す言い回し、例えば、本明細書で使用される「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を果たすかまたは所望の結果をもたらす所定の値、量、または特性に近似した値、量、または特性を表す。例えば、「およそ」、「約」、「概して」、および「実質的に」という用語は、所定の量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内である量を指し得る。
【0118】
本開示の範囲は、本節におけるまたは本明細書の他の箇所における好ましい実施形態の特定の開示によって制限されることを意図するものではなく、本節においてもしくは本明細書の他の箇所において提示されるか、またはこの後に提示される特許請求の範囲によって定義され得る。本特許請求の範囲の言い回しは、本特許請求の範囲で用いられている言い回しに基づいて広い意味で解釈されるべきであり、本明細書に記載される例または本出願の手続き中に記載される例に限定されるものではなく、それらの例は非排他的なものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0119】
100B,100C センサ統合基材(センサシート)
202 基材
204 電子構成要素
206 電気コネクタ
208 はんだペースト
210 電気接続
212 第1のインク
214 第2のインク
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
【外国語明細書】