(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025019555
(43)【公開日】2025-02-07
(54)【発明の名称】下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法とこれに用いる装置
(51)【国際特許分類】
E02D 31/00 20060101AFI20250131BHJP
E02D 3/08 20060101ALI20250131BHJP
E02D 3/10 20060101ALI20250131BHJP
【FI】
E02D31/00 Z
E02D3/08
E02D3/10 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023123218
(22)【出願日】2023-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】521219224
【氏名又は名称】忠平 美好
(71)【出願人】
【識別番号】505186740
【氏名又は名称】宮越 美由紀
(71)【出願人】
【識別番号】521328803
【氏名又は名称】忠平 直哉
(71)【出願人】
【識別番号】505186762
【氏名又は名称】関口 明子
(71)【出願人】
【識別番号】521330585
【氏名又は名称】中林 彩乃
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】忠平 美好
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043DA07
2D043DB02
2D043DB05
2D043EA02
(57)【要約】
【課題】下水道管路又は地下埋設物の地盤の液状化を防止できる液状化防止工法とこれに用いる装置を提供する。
【解決手段】回転駆動装置7により回転して地盤内に挿入されるロッド9と、ロッド9に外装されると共に、外周に砕石投入口21が設けられ、地盤内に挿入されるケーシングパイプ10とを用い、ロッド9とケーシングパイプ10により下水管152の下方まで掘削孔161を形成し、この掘削孔161に砕石22を投入して砕石杭153を構築する。このように下水管152の下方まで形成した掘削孔161に砕石22を投入することにより、地面Gから下水管152の下方までの砕石杭153を構築し、液状化を防止することができ、ケーシングパイプ10により下水管152に大きな側方土圧が加わらないように施工することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動装置により回転して地盤内に挿入されるロッドと、
前記ロッドに外装されると共に、外周に砕石投入口が設けられ、前記地盤内に挿入されるケーシングパイプとを用い、
前記ロッドと前記ケーシングパイプにより下水道管路又は地下埋設物の下方まで掘削孔を形成し、この掘削孔に砕石を投入して砕石杭を構築することを特徴とする下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法。
【請求項2】
既設の前記下水道管路又は地下埋設物を使用状態で施工することを特徴とする請求項1記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法。
【請求項3】
前記ケーシングパイプと前記ロッドの下部を地盤に挿入した後、前記ロッドと前記回転駆動装置の連結を解除し、前記回転駆動装置を上方に移動し、前記回転駆動装置の下方において、前記ケーシングパイプの上端と前記ロッドの上端に、延長用ケーシングパイプの下端と延長用ロッドの下端を連結することを特徴とする請求項1記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法。
【請求項4】
請求項1項に記載の液状化防止工法に用いる装置において、自走式車両に、砕石を積む荷台と、この荷台に砕石を積み降ろす積み降ろし装置とを設けたことを特徴とする液状化防止工法に用いる装置。
【請求項5】
請求項1項に記載の液状化防止工法に用いる装置において、前記砕石投入口に砕石を投入する投入路を備え、この投入路に可撓性を有する先端部を設けたことを特徴とする液状化防止工法に用いる装置。
【請求項6】
請求項1項に記載の液状化防止工法に用いる装置において、複数の前記砕石投入口を開閉する開閉手段を備えることを特徴とする液状化防止工法に用いる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法とこれに用いる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、この種の下水道管路であるマンホールの浮き上がり防止構造として、下水道マンホールの場所打ちコンクリート底版上に、下水路を挟んで対称位置より窄孔ボルトで該底版、底版を貫通し、外管で土の崩壊を防ぎつつ液状化層を窄孔し、さらに非液状化層の所定深さまで窄孔した後、窄孔ボルトを残して、外管を引き抜きつつ固化材を注入してなる杭状のアンカーを形成し、窄孔ボルト頂部は場所打ちコンクリート底版上面で座金・ナットで固定してなる地震時マンホール浮き上がり防止構造(例えば特許文献1)がある。
【0003】
前記マンホール浮き上がり防止構造では、マンホールの内部での作業を必要とするため、施工時にマンホールを使用できなくなるという問題がある。
【0004】
これに対して、大型機械を利用する地盤の液状化抑制工法として、地震動による土粒子間隙水圧を透水効果の高い砂杭や砕石杭で吸収消散する方法が用いられ、この概念を戸建て住宅地等の液状化対策に活用した工法として、液状化抑止工法(例えば特許文献2)があり、液状化抑止工法では、大型の地震に対して、有効性が実証されている。
【0005】
そして、前記液状化抑止工法による砕石柱は高い透水性を有し、地震時には、地盤内で発生する水圧を砕石柱内の間隙で消散して地盤における液状化現象を防止することができ、施工性に優れ、中詰め材を効率良く締め固めて高い支持力が得られる。
【0006】
上記のように砕石杭を構築する液状化抑止工法では、建築物地盤の地耐力向上と液状化防止を目的とするため設計掘削孔の底辺部に所定層厚の砕石投入を行い、その堆積砕石に転圧締固めを行い、この工程の繰り返し作業により周辺地盤も圧密しながら砕石柱を構築する。このため、その施工手法をそのまま既存の下水管路や地下埋設物を施工した場合、圧入砕石の水平方向への拡大により下水管路に対し側方土圧が発生して下水道マンホール及び管路、浄化槽などの地下埋設物の水平変位や部分加圧による破損を生じる虞がある。
【0007】
ところで、特許文献2では、リーダーに昇降手段を昇降可能に設け、この昇降手段により二重管を地中に挿入するが、二重管の長さにより砕石杭の最大深さが決まるため、砕石杭を深く形成するには、二重管の長さが長くなる。このため、例えば道路に埋設された下水道管路や地下埋設物の施工に用いようとすると、道路上空には電線等の上空横断線が張り巡らされているため、所望深さの砕石杭を施工することが困難という課題がある。
【0008】
また、特許文献2の装置では、リーダーを備えた車体の収納部に、砂利や砕石などの中詰め材を収納しておき、投入時には、ベルトコンベアを駆動により投入口から掘削孔の開口部に、中詰め材を該中詰め材の沈下速度に合わせて供給し、中詰め材により砕石杭を構築する。この場合、バックホーにより荷台に砕石を積むには、バケットに中詰め材を収納した状態で、砕石仮置き場と車両間を複数回往復必要があり、砕石運搬のためのバックホーの稼働により経費が増加するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3148230号公報
【特許文献2】特許第3669288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする課題は、下水道管路又は地下埋設物の地盤の液状化を防止できる下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法とこれに用いる装置を提供することを目的とし、加えて、下水道管路又は地下埋設物に大きな側方圧力を加えることなく施工できる下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法とこれに用いる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、回転駆動装置により回転して地盤内に挿入されるロッドと、前記ロッドに外装されると共に、外周に砕石投入口が設けられ、前記地盤内に挿入されるケーシングパイプとを用い、前記ロッドと前記ケーシングパイプにより下水道管路又は地下埋設物の下方まで掘削孔を形成し、この掘削孔に砕石を投入して砕石杭を構築することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、既設の前記下水道管路又は地下埋設物を使用状態で施工することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、前記ケーシングパイプと前記ロッドの下部を地盤に挿入した後、前記ロッドと前記回転駆動装置の連結を解除し、前記回転駆動装置を上方に移動し、前記回転駆動装置の下方において、前記ケーシングパイプの上端と前記ロッドの上端に、延長用ケーシングパイプの下端と延長用ロッドの下端を連結することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、自走式車両に、砕石を積む荷台と、この荷台に砕石を積み降ろす積み降ろし装置とを設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、前記砕石投入口に砕石を投入する投入路を備え、この投入路に可撓性を有する先端部を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、複数の前記砕石投入口を開閉する開閉手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、下水道管路又は地下埋設物の下方まで形成した掘削孔に砕石を投入することにより、地面から下水道管路又は地下埋設物の下方までの砕石杭を構築し、液状化を防止することができ、ケーシングパイプにより下水道管路又は地下埋設物に大きな側方土圧が加わらないように施工することができる。
【0018】
請求項2の構成によれば、既設の下水道管路又は地下埋設物の使用を停止して施工を行う必要がない。
【0019】
請求項3の構成によれば、ケーシングパイプとロッドを地盤に挿入した後、ケーシングパイプとロッドに延長用ケーシングパイプと延長用ロッドを継ぎ足すことにより、全体として装置の高さ寸法を抑えて施工を行うことができる。
【0020】
請求項4の構成によれば、積み降ろし装置と荷台を装備した自走式車両により砕石を供給して、工事の連続施工が可能となり、同時に砕石ヤードと施工現場の往復移動の回数を削減することができる。
【0021】
請求項5の構成によれば、可撓性を有する先端部をケーシングパイプの外面に接触させて、砕石を砕石投入口に円滑に投入することができる。
【0022】
請求項6の構成によれば、砕石投入口を閉めることにより、地盤にケーシングパイプを挿入する際、地上部分の砕石投入口から内部の土砂が漏れることを防止でき、また、地下水位の高い場合などに砕石投入口からケーシングパイプ内に地中の土砂が侵入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】同上、ケーシングパイプと蓋体の正面図である。
【
図4】同上、振れ止め枠とケーシングパイプの上部の断面説明図である。
【
図5】同上、振れ止め枠とケーシングパイプの上部の平断面図である。
【
図6】同上、ケーシングパイプと蓋体の要部の断面図である。
【
図7】同上、開成固定手段と閉成固定手段の断面図である。
【
図8】同上、
図8(A)はケーシングパイプの連結箇所の正面図、
図8(B)はケーシングパイプの上部の拡大平面図である。
【
図9】同上、ケーシングパイプの連結箇所の正面図である。
【
図11】同上、ケーシングパイプの上部の拡大平面図である。
【
図12】同上、ケーシングパイプと連結蓋の断面説明図である。
【
図13】同上、
図13(A)は雌ジョイントの断面図、
図13(B)は雄ジョイントの正面図である。
【
図15】同上、側面側から見た投入路の斜視図である。
【
図16】同上、
図16(A)は上側から見た投入路の斜視図、
図16(B)は毛体側面部の先端側の平面図である。
【
図17】同上、複数連結したケーシングパイプとロッドの説明図である。
【
図18】同上、ケーシングパイプと連結蓋の連結解除を示す正面図であり、
図18(A)は連結状態、
図18(B)は連結解除後、回転駆動装置がロッドに沿って上昇した状態、
図18(C)は雄雌ジョイントの連結を解除し、回転駆動装置が上昇した状態を示す。
【
図19】同上、ケーシングパイプと延長用ケーシングパイプを連結する作業を説明する正面図である。
【
図21】同上、先端ビットが規定の掘削深度に達した状態の断面説明図である。
【
図22】同上、堆積した中詰め材を水平方向に押し広げる工程を説明する断面説明図である。
【
図23】同上、砕石圧密部分の施工を説明する断面説明図である。
【
図24】同上、柱状砕石杭の施工を説明する断面説明図である。
【
図25】同上、柱状砕石杭の施工が完了した状態の断面説明図である。
【
図26】本発明の実施例2を示す延長用ケーシングパイプの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0025】
本発明の実施例1を
図1~
図25を参照して説明する。同図に示すように、地盤改良装置1は、本体たる自走式の車体2の下部に走行手段たる無限軌道3を有し、この無限軌道3は車体2に搭載した原動機(図示せず)により駆動する。また、車体2の前部にはリーダー5が起伏可能に設けられ、このリーダー5は前後方向の起伏装置(図示せず)により起伏可能になっている。
【0026】
前記リーダー5の前部には案内レール6を設け、この案内レール6に回転駆動装置7を昇降可能に設け、この回転駆動装置7を昇降する昇降駆動装置8を備える。前記回転駆動装置7は基端ロッド9Kを挿通する挿通部11と、前記ロッド9,9A,9S,9Kをロック及びロック解除可能なロッドロック12とを備える。そして、このロッドロック12によりロッド9をロックした状態で、前記ロッドロック12が回転することによりロッド9,9A,9S,9Kを回転駆動する。
【0027】
前記車体2の前方には振れ止め枠13が設けられている。この振れ止め枠13は、車体2の前側左右に前記方向の枠体取付部14,14を固定し、これら枠体取付部14,14に、ケーシングパイプ10の振れ止め用の枠体15を設け、この枠体15は前記リーダー5の前方に位置し、その枠体15内にケーシングパイプ10,10Aが上下移動可能に遊挿される。
【0028】
前記枠体15は、前記枠体取付部14,14間に固定した中央分割枠部16Cと、左右の前記枠体取付部14,14に回動連結部17,17により水平回動可能に連結した左,右分割枠部16L,16Rとからなり、それら左,右分割枠部16L,16Rを閉め、左,右分割枠部16L,16Rの先端同士をロック手段18によりロックすることにより、それら分割枠部16C,16L,16Rにより円形の枠体15が構成される。
【0029】
そして、ロック手段18のロックを解除し、
図5の想像線に示すように、左,右分割枠部16L,16Rを開いた状態で、内部にケーシングパイプ10,10Aの下部を配置し、左,右分割枠部16L,16Rを閉め、ロック手段18により左,右分割枠部16L,16Rの先端同士を連結するより、枠体15内にケーシングパイプ10が振れ止め状態で遊挿される。尚、枠体15の内径は例えば400mm(ミリメートル)、ケーシングパイプ10の外形は355mm程度である。
【0030】
ケーシングパイプ10に連結する延長用ケーシングパイプ10Aを備え、この延長用ケーシングパイプ10Aはケーシングパイプ10に比べて短い。また、前記ケーシングパイプ10,10Aには、その長さ方向に間隔を置いて複数の砕石投入口21が開口して設けられており、砕石投入口21が中詰め材投入口である。尚、上下に隣り合う砕石投入口21,21の間隔は、砕石投入口21の上下寸法と同一である。
【0031】
ロッド9に連結する延長用ロッド9Aを備え、この延長用ロッド9Aはロッド9に比べて短い。また、ケーシングパイプ10,10Aは、ロッド9,9A,9S,9Kと共に回転駆動する場合と、ケーシングパイプ10,10Aは回転駆動せずに、ロッド9,9A,9Sのみが回転駆動する場合がある。
【0032】
また、ロッド9,9A,9Sのみを回転駆動する場合でも、土砂などが入ったケーシングパイプ10,10A内で、ロッド9,9A,9Sが回転することにより、ケーシングパイプ10,10Aをロッド9,9A,9Sと同一方向に回転する力が加わる。これに対して、ケーシングパイプ10,10Aの回転を防止する回転防止手段31を備え、この回転防止手段31を用いてケーシングパイプ10,10Aを回り止めすることにより、砕石投入口21の向きを一定に保つことができる。
【0033】
図3及び
図4に示すように、前記回転防止手段31は、ケーシングパイプ10,10Aに回り止め孔たる長さ方向の長孔32を穿設し、
図5に示すように前記左,右分割枠部16L、16Rの一方である左分割枠部16Lに、前記長孔32に連通する回り止め孔33を設け、これら長孔32と回り止め孔33に、ピン状又は板状の棒状部材34を挿入し、これにより枠体15に対してケーシングパイプ10,10Aを回り止め状態にすることができ、且つ、長孔32の範囲で、ケーシングパイプ10,10Aが上下移動可能となる。
【0034】
尚、回転防止手段31により、ケーシングパイプ10,10Aが枠体15に対して回り止め状態となり、この状態で、ロッド9,9A,9S,9Kが回転することにより、ケーシングパイプ10,10Aを回転しようとする力が加わり、この力により棒状部材34が長孔32の縁に圧接するため、棒状部材34が抜け落ちることがない。
【0035】
また、前記長孔32に対応して、該長孔32の幅方向の拡大を防止する補強部材40が設けられている。この補強部材40は、鋼棒などからなり、前記ケーシングパイプ10,10Aの内面で、両端を長孔32の両側に固定している。尚、補強部材40は、ケーシングパイプ10,10Aの内径より短く、ケーシングパイプ10,10Aの内部のロッド9に当たらない長さと位置で、且つ、棒状部材34が当たらない長さと位置に設けられている。また、補強部材40は、ケーシングパイプ10,10Aの長さ方向に等間隔、例えば300mm間隔で配置されている。
【0036】
図4~
図6に示すように、前記砕石投入口21を開閉する開閉手段41を備える。この開閉手段41は、前記ケーシングパイプ10,10Aの内面に配置する蓋体42を有し、この蓋体42は、左右一定幅の帯板状の鋼板などからなり、ケーシングパイプ10,10Aの内面に対応して湾曲状に形成されている。
【0037】
また、蓋体42は、砕石投入口21の左右幅より幅広であって、砕石投入口21と同形で砕石投入口21と連通する連通開口部43を有し、上下に隣り合う連通開口部43,43の間が砕石投入口21を閉塞可能な閉塞部44であり、この閉塞部44の上下間隔は砕石投入口21の上下寸法と同一に形成され、蓋体42が上下にスライドすることにより、複数(全て)の砕石投入口21を開成状態と閉成状態に切り換えることができる。
【0038】
また、前記開閉手段41は、前記蓋体42をケーシングパイプ10,10Aの内面に沿って上下に案内する長さ方向の案内部材を備え、この案内部材として左右のレール45,45をケーシングパイプ10,10Aの長さ方向に設けている。左右のレール45,45は、蓋体42の左右の縁部を保持し、基端をケーシングパイプ10,10Aの内面に固定した取付片45Aと、この取付片45Aの先端に設けられ、蓋体42の内面側に配置する保持片45Bとを有する略L字形をなす。
【0039】
さらに、ケーシングパイプ10,10Aの内面には、その円周方向に閉成状態の蓋体42の下縁を支持するストッパたる支持部材46が設けられ、この支持部材46は、基端をケーシングパイプ10,10Aの内面に固定した取付片46Aと、この取付片46Aの先端に設けられ、蓋体42の内面側に配置する保持片46Bとを有する略L字形をなし、前記取付片46Aの上面に閉成状態の蓋体42の下縁が当接する。尚、支持部材46は、保持片46Bの無い、ストッパたる取付片46Aのみでもよい。
【0040】
このようにケーシングパイプ10,10Aに対して、蓋体42を下げると、閉塞部44により砕石投入口21が閉塞され、蓋体42を上げると、連通開口部43が砕石投入口21に連通して、砕石投入口21が形成する。
【0041】
また、ケーシングパイプ10,10Aに対して蓋体42をスライドして砕石投入口21を開成するために、ケーシングパイプ10,10Aの上部には長さ方向の長孔であるスライド孔51を設けると共に、このスライド孔51に対応して蓋体42には蓋体孔52を穿設し、これらスライド孔51と蓋体孔52にピン状の操作体たるロックボルト53が挿入される。
【0042】
そして、この例では、スライド孔51と蓋体孔52に横方向のロックボルト53を挿入した状態で、ロックボルト53がスライド孔51の上縁に当接した位置が砕石投入口21の閉成位置であり、ロックボルト53がスライド孔51の下縁に当接した位置が砕石投入口21の開成位置である。尚、ロックボルト53は蓋体孔52に嵌入する。
【0043】
尚、最初に地中に挿入するケーシングパイプ10において、下部螺旋翼82の上縁82Fがケーシングパイプ10の下縁に当接するまで上部螺旋翼84が内部に入るから、最下部の棒状部材34及び支持部材46の位置は、その内部に入った上部螺旋翼84が当たらないようにケーシングパイプ10の下端から離れた位置に設けられている。
【0044】
また、開成位置で蓋体42を位置固定する開成固定手段55を備え、この開成固定手段55は、前記ケーシングパイプ10,10Aに穿設した透孔55Tと、前記蓋体42に形成され前記閉成位置で前記透孔55Tに連通する雌螺子孔55Mと、前記透孔55Tに挿通すると共に、前記雌螺子孔55Mに螺合するボルト56とを備える。
【0045】
また、同様に、閉成位置で蓋体42を位置固定する閉成固定手段57を備え、この閉成固定手段57は、前記ケーシングパイプ10,10Aに穿設した透孔57Tと、前記蓋体42に形成され前記閉成位置で前記透孔57Tに連通する雌螺子孔57Mと、前記透孔57Tに挿通すると共に、前記雌螺子孔57Mに螺合したボルト58とを備える。前記雌螺子孔57Mは蓋体42の左縁から突出して突出片42Fに穿設されており、左側のレール45の上端は、突出片42Fが当たらない位置にある。尚、これまでのケーシングパイプ10,10Aの組み合わせの説明は、ケーシングパイプ10A,10Aの組み合わせの場合も同様である。
【0046】
上下のケーシングパイプ10,10A及びケーシングパイプ10A,10Aを連結するパイプ連結手段60を備える。尚、ケーシングパイプ10,10Aの連結構造を例にして説明するが、ケーシングパイプ10A,10A同士の連結構造も同様である。
【0047】
パイプ連結手段60は、下のケーシングパイプ10の上部に、その内面に連結受け具61を設け、上のケーシングパイプ10Aの下端に、前記連結受け具61に連結する連結具71を設けている。
【0048】
前記連結受け具61は、前記連結具71が係止する係止受け突条部62を有し、この係止受け突条部62は、ケーシングパイプ10の内面に固定する円弧状の帯板であり、ケーシングパイプ10の内面に対向する位置に一対固定され、上下寸法が一定で、厚さも一定であり、左右方向中央にはケーシングパイプ10の中心方向に突出した位置決め当接部63が設けられている。
【0049】
前記連結具71は、縦長の板片状をなし、基端部72の外面を前記ケーシングパイプ10Aの下端内面に固定し、先端部73をケーシングパイプ10Aの下縁から下方に突出して対向する位置に一対設けられている。前記先端部73の外面には、前記係止受け突条部62に係止可能な係止凹部74が形成されている。また、前記先端部73の先端外面には傾斜案内面75が形成されている。
【0050】
そして、下のケーシングパイプ10の上縁に上のケーシングパイプ10Aの下縁を当接すると、前記係止受け突条部62の高さ位置に前記係止凹部74が合わされ、この状態で、例えば、上のケーシングパイプ10Aを回転すると、係止凹部74に係止受け突条部62が入り、
図8に示すように、連結具71の先端部73が位置決め当接部63に当接した位置で、下のケーシングパイプ10に上のケーシングパイプ10Aの径方向の位置が位置合わせされる。
【0051】
また、前記径方向の位置が位置合わせされた状態で、前記係止受け突条部62に穿設された内外方向の透孔62Tに連通する雌螺子孔73Mが、前記先端部73に形成されている。従って、連結具71の先端部73が位置決め当接部63に当接した位置で、外面側からボルト65を透孔62Tに挿通すると共に雌螺子孔73Mに螺合することにより、上下のケーシングパイプ10,10Aを連結することができる。
【0052】
また、前記透孔62Tは、前記位置決め当接部63の左右両側に穿設されているから、上のケーシングパイプ10Aを反時計回り、時計回りのいずれかに回すことにより、係止受け突条部62に係止凹部74を係止した後、ボルト65で固定することができる。
【0053】
尚、この例では、地中への挿入時にケーシングパイプ10の後側(車体2側)に砕石投入口21が位置し、ケーシングパイプ10の略左右に前記連結受け具61,61を配置し、
図8の矢印Yに示すように、ケーシングパイプ10Aを反時計方向に回して連結具71の先端部73が位置決め当接部63に当接した状態で、一対の連結具71,71が左右に位置するように、連結受け具61,61を取り付けている。
【0054】
従って、一対の連結具71,71を左右に設けたケーシングパイプ10Aは、砕石投入口21を後側に設けることにより、下のケーシングパイプ10Aの砕石投入口21と、上のケーシングパイプ10Aの砕石投入口21とが上下に並ぶ。
【0055】
また、パイプ連結手段60は、
図9に示すように、板状の連結部材77を備え、下のケーシングパイプ10の上端と上のケーシングパイプ10Aの下端の一方の内面に、前記連結部材77を溶接などにより固定し、この例では、上のケーシングパイプ10Aの下端に連結部材77を固定すると共に、この連結部材77の先端を上のケーシングパイプ10Aの下縁から突設している。
【0056】
また、前記連結部材77の下端から突設する部分に雌螺子孔77Mを形成し、ケーシングパイプ10,10Aの連結状態で、前記雌螺子孔77Mに連通する透孔77Tを、下のケーシングパイプ10に穿設し、その透孔77Tに挿通したボルト78を前記雌螺子孔77Mに螺合し、連結部材77によりケーシングパイプ10,10Aを連結する。
【0057】
尚、連結部材77は、前記連結具71,71から周方向に離れた位置にあり、且つ対向する位置に一対設けられている。即ち、
図9では、ケーシングパイプ10,10Aの砕石投入口21を設けた後側の連結具71を図示しているが、前側にも連結具71が設けられている。また、連結具71は、連結部材77をケーシングパイプ10,10Aの内面側に配置してもよい。
【0058】
そして、蓋体42により砕石投入口21を閉め、閉成固定手段57により蓋体42を位置固定した状態で、後述するように、ロッド9とケーシングパイプ10の下部を地中に挿入し、例えば、2.6m(メートル)のケーシングパイプ10の上端が前記枠体15の位置に来たら、ロッドロック12によるロッド9の固定を解除すると共に、ケーシングパイプ10と連結蓋85との連結を解除し、上端からケーシングパイプ10の内部を視認できる位置に回転駆動装置7を上昇する。尚、枠体15は、例えば地面Gから約1.2mの高さ位置にある。
【0059】
回転駆動装置7を上昇するための作業を
図18により説明する。尚、
図18には枠体15は図示省略している。
図18(A)に示すように、連結蓋85をケーシングパイプ10の上端に連結している状態から、回転駆動装置7により連結蓋85を角度回動して、連結受け具61と連結具71との連結を解除する。ここからロッドロック12によるロッド9,9Kのロックを解除すれば、昇降駆動装置8により、
図18(B)に示すように、回転駆動装置7とこれに固定した連結蓋85を上方に移動することができ、ケーシングパイプ10の上端が開口する。
【0060】
尚、ケーシングパイプ10とロッド9に、ケーシングパイプ10Aとロッド9Aを連結する場合は、
図18(B)の状態において、シャーピン100を外すことにより、雄,雌ジョイント91,101の連結を解除し、ロッドロック12により基端ロッド9Kをロックした後、昇降駆動装置8により、
図18(C)に示すように、回転駆動装置7と基端ロッド9Kを上方に移動することができ、延長用ロッド9Aと延長用ケーシングパイプ10Aを、ロッド9とケーシングパイプ10に連結可能な位置まで、回転駆動装置7と基端ロッド9Kを上昇する。
【0061】
ケーシングパイプ10内の土砂が地面Gの位置より上方にあり、砕石投入口21を開くと、砕石投入口21から土砂が外部に落下する場合は、回転駆動装置7を降下し、ロッド9をロッドロック12により固定する。固定後、回転駆動装置7によりロッド9を反掘削方向に回転し、ケーシングパイプ10の下端から内部の土砂を地中に押し出す。尚、この場合、ケーシングパイプ10の地中への挿入長さは略1.4m(2.6m-1.2m)、下水管152は地中略3mに位置する場合は、下端から押し出した土砂により下水管152が影響を受けることはない。
【0062】
少なくとも、ケーシングパイプ10内の地面Gより上方の土砂を地中に押し込んだ後、砕石22を投入する場合は、蓋体42を開成する。尚、この例では、後述するように下水管152は地面Gから3mの深さ位置にあり、ケーシングパイプ10,10Aを3m以上挿入した後、延長用ケーシングパイプ10Aの蓋体42を開成するが、延長用ケーシングパイプ10Aとケーシングパイプ10の蓋体42の開閉作業,回り止め作業等は同一であるから、ケーシングパイプ10を例にして説明する。
【0063】
蓋体42を開閉するため、
図4に示すように、前記枠体15の前記中央分割枠部16Cには、前記スライド孔51及び蓋体孔52に挿入するロックボルト53を着脱自在に取り付ける取付孔54が設けられている。尚、ケーシングパイプ10は、前記回転防止手段31により枠体15に対して円周方向に位置決めされているから、枠体15には、前記スライド孔51及び蓋体孔52に対応する位置に、前記取付孔54を穿設することができる。
【0064】
図4に示すように、枠体15の取付孔54に蓋体孔52の高さが合うようにケーシングパイプ10の高さを合わせたら、取付孔54とスライド孔51と蓋体孔52にロックボルト53を挿入し、ロックボルト53の先端をナット53Nに螺合する。また、閉成固定手段57のボルト58を外し、蓋体42の固定を解除する。
【0065】
この後、回転駆動装置7を上昇し、ケーシングパイプ10をスライド孔51の長さ分だけ持上げると、ロックボルト53が長孔32の下縁に当接し、砕石投入口21が開き、この状態で、開成固定手段55により蓋体42を固定する。尚、連結蓋85に固定した回転駆動装置7を昇降駆動装置8により上昇することにより、ケーシングパイプ10を持ち上げる。
【0066】
ケーシングパイプ10の内部に、外部に落下する土砂が無い場合は、ケーシングパイプ10を所定深さまで地中に挿入した段階、即ちこの例では2.6mのケーシングパイプ10の上端が前記枠体15の位置に来た段階で、蓋体42を開成することができる。尚、この例では、ケーシングパイプ10の下端が下水管152の深さ位置より下方に達してから、砕石22を投入するから、ケーシングパイプ10の蓋体42は開かずに、且つ、ケーシングパイプ10を回り止めせずに、延長用ケーシングパイプ10Aと延長用ロッド9Aを接続し、掘削を続ける。
【0067】
図10などに示すように、前記ロッド9の下端には、先端ロッド9Sが設けられ、この先端ロッド9Sには、先端に向かって先鋭な三角錐形状の掘削ビットたる先端ビット81が設けられ、この先端ビット81の基端は前記ロッド9Sより大きく形成されている。尚、先端ロッド9Sは断面円形である。
【0068】
前記先端ビット81の基端側でケーシングパイプ10の外部には、先端側螺旋翼たる下部螺旋翼82が設けられ、この下部螺旋翼82とロッド長さ方向の間隙83を置いて、基端側螺旋翼たる上部螺旋翼84が前記ロッド9に設けられている。前記間隙83は、螺旋翼82,84の間に設けられた螺旋翼の無い部分である。前記下部螺旋翼82と前記上部螺旋翼84とは同一螺旋方向をなし、下部螺旋翼82を1巻程度の螺旋とし、上部螺旋翼84は下部螺旋翼82より1.5巻程度の螺旋とした。
【0069】
図10に示すように、前記下部螺旋翼82の外径は前記ケーシングパイプ10の外径より大きく形成されており、その上縁82Fに前記ケーシングパイプ10の下端に当接するリング状の当接板88を固定し、この当接板88の下面と下部螺旋翼82の上面との間に、上下方向の支持体たるステー89を、円周方向に複数設け、このステー89は、下部が下部螺旋翼82の上面に固定され、上部が前記当接板88の下面に固定され、その当接板88の上面がケーシングパイプ10の下端に当接する当接部である。尚、当接板88の幅、即ち、外周縁と内周縁の半径の差は、25~45mm程度である。また、当接板88は
図10のみに図示し、他の図面では図示省略している。
【0070】
これにより、ロッド9を引き上げると、当接部たる当接板88がケーシングパイプ10の下端に当たり、ケーシングパイプ10を引き上げることができる。また、ケーシングパイプ10が無回転で、ロッド9を回転しながら引き上げる場合も、ケーシングパイプ10の下端に当接板88の上面が摺動し、ケーシングパイプ10を引き上げることができる。さらに、外周縁と内周縁の半径の差は、25~45mm程度であり、当接板88の中央開口部88Kは、ケーシングパイプ10の内径より僅かに小さく形成され、大きく開口しているから、砕石22が円滑に下方に送られる。また、当接板88の外径は、下部螺旋翼82の外径より小さいから、挿入時の抵抗を小さくできる。
【0071】
また、前記上部螺旋翼84は、前記ケーシングパイプ10の内径より小さく、ケーシングパイプ10内に挿入して回動可能である。
【0072】
前記ケーシングパイプ10,10Aには、回転伝達手段たる連結蓋85(
図4)が連結可能であり、この連結蓋85は、四角形の前記ロッド9,9A,9Kを挿通する四角形の挿通孔86(
図5)を有し、回転駆動装置7のロッドロック12に固定され、挿通孔86にロッド9,9A,9S,9Kがスライド可能に挿入されている。
【0073】
従って、連結蓋85の回転を挿通孔86によりロッド9,9A,9S,9Kに伝達し、連結蓋85とロッド9,9A,9S,9Kが回転駆動され、また、連結蓋85がロッド9,9A,9S,9Kに沿って移動可能に構成されている。尚、連結蓋85は回転駆動装置7のロッドロック12に固定されているから、ロッドロック12によるロッドのロックを解除した状態で、回転駆動装置7と連結蓋85をロッドに沿って移動することができる。また、基端ロッド9Kの基端には、回転駆動装置7に係止して基端ロッド9Kが下に抜けることを防止する抜け止め部87(
図18)を設けることができる。
【0074】
さらに、
図18を用いて説明すると、連結蓋85をケーシングパイプ10に連結し、回転駆動装置7によりロッド9,9A,9S,9Kと連結蓋85を回転駆動すると、ロッド9,9A,9S,9Kと共に、ケーシングパイプ10が回転する。連結蓋85とケーシングパイプ10との連結を解除し、ロッドロック12によるロッド9Kのロックを解除すると、ロッド9,9Kに対して回転駆動装置7と連結蓋85が移動可能となる。
【0075】
また、
図4に示すように、連結蓋85の下面には、一対の前記連結具71,71が設けられている。尚、
図12などに示すように、連結蓋85に設ける連結具71には、前記基端部72は無く、先端部73の上面を連結蓋85の下面に固定している。
【0076】
そして、ロッド9,9A,9S,9Kを降下し、
図11に示すように、ケーシングパイプ10,10Aの連結受け具61,61の間に連結具71,71が位置するようにして、連結蓋85の下面をケーシングパイプ10,10Aの上縁に当接した後、矢印Zに示すように、ロッド9,9A,9Sを時計方向(掘削方向)に回転すると、連結具71の先端部73が位置決め当接部63の一側に当接し、ケーシングパイプ10,10Aに連結蓋85が連結され、ロッド9,9A,9S,9Kの上下動によりケーシングパイプ10,10Aが上下動する。
【0077】
この状態で、ロッド9,9A,9S,9Kを時計方向(掘削方向)に回転すると、ケーシングパイプ10,10Aも一体的に時計方向(掘削方向)に回転し、一方、ロッド9,9A,9S,9Kを反時計方向(反掘削方向)に回転すると、連結具71と連結受け具61の連結が解除され、ロッド9,9A,9S,9Kを持上げることにより、連結蓋85を外すことができる。
【0078】
このように連結蓋85とケーシングパイプ10,10Aを解除可能にするため、前記ボルト65による固定は行わない。尚、ボルト65を用いて連結固定し、連結蓋85を外す前に、ボルト65を外してもよい。これと同様に、ケーシングパイプ10,10A,10A同士の連結も、一側方向のみに回転駆動する場合は、ボルト65を用いなくてもよい。
【0079】
同様に、前記連結蓋85の下面をケーシングパイプ10,10Aの上縁に当接した後、ロッド9,9A,9Sを反時計方向(反掘削方向)に回転すると、連結具71の先端部73が位置決め当接部63の他側に当接し、ケーシングパイプ10,10Aに連結蓋85が連結され、ロッド9,9A,9Sの上下動によりケーシングパイプ10,10Aが上下動する。
【0080】
この状態で、ロッド9,9A,9S,9Kを反時計方向(反掘削方向)に回転すると、ケーシングパイプ10,10Aも一体的に反時計方向(反掘削方向)に回転し、一方、ロッド9,9A,9S,9Kを時計方向(掘削方向)に回転すると、連結具71と連結受け具61の連結が解除され、ロッド9,9A,9S,9Kを持上げることにより、連結蓋85を外すことができる。
【0081】
また、
図10に示すように、先端ロッド9Sの基端には、雄ジョイント91を設け、この雄ジョイント91に着脱自在に連結する雌ジョイント101(
図13)をロッド9の下端に設けている。また、ロッド9の上端に雌ジョイント101を設け、延長用ロッド9Aの上下に雌ジョイント101,91が設けられ、基端ロッド9Kの基端に雄ジョイント91が設けられている。
【0082】
図13に示すように、雄ジョイント91は、角形鍔部92の先端面から断面六角形の挿入部93を先端側に突出し、その角形鍔部92はロッドの外形と同型であり、前記挿入部93の対向する二つの側面部94,94には、シャーピン100の係合する外半円溝部95をロッド9の長さ方向と交差方向に設けると共に、長さ方向にずらして形成している。また、鍔部92の基端側に先端ロッド9Sの基端が溶接部96により固定されている。
【0083】
また、
図13に示すように、雌ジョイント101は、ロッドの外形と同型の角形筒状部102の内部に、前記挿入部93を挿入する挿入受け部103を設け、この挿入受け部103は先端が開口し、断面六角形をなし、前記挿入部93が挿脱可能に挿入される。また、挿入受け部103の対向する二つの内側面部94,94には、前記外半円溝部95に対応して、内半円溝部105,105が形成され、内半円溝部105の両端は、筒状部102の内外を貫通する貫通孔105H,105Hに連通する。
【0084】
また、前記挿入受け部103に挿入部93を挿入すると共に、角形鍔部92の先端面に筒状部102の先端面が当接した状態で、内,外半円溝部105,95によりシャーピン100を圧入するピン孔100Hが形成され、一対のピン孔100H,100Hにシャーピン100を圧入固定することにより、雄ジョイント91と雌ジョイント101が連結され、一方、シャーピン100を抜き取ることにより、雄ジョイント91と雌ジョイント101の連結を解除することができる。尚、雄ジョイント91と雌ジョイント101は、前記連結蓋85の挿通孔86を挿通可能であって、挿通した状態で、上下動することができる。
【0085】
尚、先端ロッド9Sにロッド9を連結した状態で、下部螺旋翼82の上縁82Fと前記ケーシングパイプ10との間の長さは、ケーシングパイプ10に比べて例えば300mm程度長く、ケーシングパイプ10の先端縁に下部螺旋翼82の上縁82Fを合わせた状態で、ロッド9の基端(上端)の雌ジョイント101がケーシングパイプ10の基端縁より上方に位置し、そのロッド9の上端に延長用ロッド9Aを接続し易くなっている。
【0086】
また、雄,雌ジョイント91,101を含んだ延長用ロッド9Aの長さは、延長用ケーシングパイプ10Aと同一であり、
図17に示すように、延長用ケーシングパイプ10Aの上縁から雌ジョイント101が出るように延長用ロッド9Aを配置する。
【0087】
そして、上述したように、ケーシングパイプ10とロッド9の上端に、1本目の延長用ケーシングパイプ10Aと延長用ロッド9Aの下端を連結する際は、
図4に示すように、ケーシングパイプ10の上端が振れ止め枠13の上端から、例えば200mmの高さ位置までケーシングパイプ10を挿入し、回転駆動装置7に、ケーシングパイプ10Aに連結したケーシングパイプ用吊り具(図示せず)と、
図19に示すように、ロッド9Aに連結したロッド用吊り具108を連結し、回転駆動装置7を上昇することにより、ケーシングパイプ10Aとロッド9Aを吊上げる。
【0088】
この場合、ケーシングパイプ10A内にロッド9Aを配置すると共に、ロッド9Aの下端側をケーシングパイプ10Aの下端から例えば200mm程度出した状態で吊上げる。このように、ケーシングパイプ10,10Aの端部から、雄,雌ジョイント101,91が突出することにより、雄,雌ジョイント101,91の連結作業が容易となる。
【0089】
このようにして、先にロッド9の上端に延長用ロッド9Aを連結し、この連結後はロッド用吊り具108を取り外しても、延長用ロッド9Aは自立する。次に、延長用ケーシングパイプ10Aの下端の連結具71,71をケーシングパイプ10の上縁部に挿入するようにして、延長用ケーシングパイプ10Aの下端の連結具71,71をケーシングパイプ10の上端に突合せる。
【0090】
次に、回転駆動装置7を降下し、基端ロッド9Kの下端の雄ジョイント91の挿入部93を、ロッド9Aの上端の雌ジョイント91に挿入し、シャーピン100で連結する。この連結後、回転駆動装置7を降下し、連結蓋85をケーシングパイプ10Aの上縁に被せ、回転駆動装置7により連結蓋85を回転し、連結手段60によって連結蓋85をケーシングパイプ10Aに連結し、さらに、回転駆動装置7により連結蓋85とケーシングパイプ10Aを角度回動して、上のケーシングパイプ10Aの連結具71を下のケーシングパイプ10の連結受け具61に係止し、さらに、ボルト65,68により連結する。
【0091】
尚、1本目の延長用ケーシングパイプ10A及び延長用ロッド9Aの上端への2本目の延長用ケーシングパイプ10A及び延長用ロッド9Aの下端の連結と、延長用ケーシングパイプ10A及び連結蓋85の連結も、同様に行われる。尚、ケーシングパイプ10とロッド9の上端が、振れ止め枠13の下方で、地面Gに近い位置までケーシングパイプ10を地中に挿入してから、ケーシングパイプ10とロッド9に延長用ケーシングパイプ10A及び延長用ロッド9Aを連結してもよく、こうすれば1本目のケーシングパイプ10を深く地中に挿入した後、長い延長用ケーシングパイプ10Aを連結することができる。
【0092】
また、
図1に示すように、前記車体2上にはホッパー状の収納部110が設けられ、この収納部110に前記砕石22が収納され、前記収納部110の底部には送り装置たるベルトコンベア111が設けられ、このベルトコンベア111は砕石22を後側から前側に送るものである。前記ベルトコンベア111の終端側には、シュータたる投入路112が設けられ、この投入路112は先端側が低くなる傾斜をなす。
【0093】
図14に示すように、前記ベルトコンベア111の終端側には、砕石22の落下位置に鋼管などの管体からなる落下路113が縦設され、この落下路113内に砕石22が落下し、前記落下路113の下端には前記投入路112の基端が位置する。前記落下路113の上縁にはフランジ部113Fが設けられ、このフランジ部113Fは、車体2に回動自在に設けたフランジ状の回転スライド盤114に連結され、これにより落下路113が回動可能に車体2に設けられている。
【0094】
図14~
図16に示すように、前記投入路112は、底面部115と、この底面部115の左右から立ち上がる左,右側面部116,116とを有し、左,右側面部116,116の上縁の基端側に、連結部たる連結孔116H,116Hを穿設し、これら左右の連結孔116H,116Hにより前記落下路113の外周を挟んだ状態で、連結孔116Hと落下路113とを枢軸117により連結し、左右の枢軸117,117を中心に落下路113に対して投入路112を揺動可能に連結しており、投入路112の前側が上下方向に揺動可能になるように構成している。また、図示しない固定手段により、投入路112は、傾斜角度を調整した状態で、所望の傾斜角度で固定することができる。また、一例として、落下路113は、直径が400mm、高さが200mm程度である。
【0095】
前記投入路112の左右幅はケーシングパイプ10,10Aの直径より大きく、この直径より砕石投入口21の左右幅が狭いため、底面部115の先端側である底面先端部115Sは、先端に向かって幅狭になるように形成され、その底面先端部115Sの先端の左右幅は、砕石投入口21の左右幅に対応している。また、左,右側面部116,116の左,右側面先端部116S,116Sは、基端側より低く形成されていると共に、前記底面先端部115Sに対応して左,右側面先端部116S,116Sの間隔が先端に向かって幅狭になるように構成されている。
【0096】
また、底面部115の先端には、可撓性を有する毛体底面部120が設けられ、底面部120の下面に取付部121を設け、この取付部121は、底面部115に対して前後移動及び移動位置で位置固定可能に設けられている。そして、前記取付部121に、毛体122の基端側を固定すると共に、底面部120の先端から突出した毛体122の先端を自由端とし、複数の毛体122を底面部115の幅方向に並んで密に設け、底面部115の先端から突出した部分を有する。そして、前記ベルトコンベア111と投入路112と落下路113により、砕石22を投入すると投入装置118を構成している。
【0097】
また、左右の側面部116,116の外面には、可撓性を有する毛体側面部123,123が設けられ、この毛体側面部123は、側面部116の外面に取付部124を設け、この取付部124は前記側面先端部116Sより高さ寸法が大きく、前記取付部124に、複数の毛体122を側面部116の高さ方向に並んで密になるように植設してなり、側面部116の先端から突出した毛体122の先端を自由端としている。また、前記取付部124は、側面部116に対して前後移動及び移動位置で位置固定可能に設けられている。
【0098】
前記毛体122はポロプロピレン,ポリ塩化ビニル,ナイロン等の熱可塑性樹脂からなり、毛体122は、断面が略円形で、例えば直径2~3mm程度の棒状をなす。そして、前記毛体底面部120の左右の毛体側面部123,123により、毛体122からなる投入路先端部113Sを構成している。
【0099】
前記左右の毛体側面部123,123の間隔は、先端側に向かって幅狭になるように設けられ、一例として、前記砕石投入口21の左右幅Wが120mm、高さが100mmであれば、毛体側面部123,123の先端の左右方向の間隔幅Kは、それより狭い80~100mm程度であり、間隔幅Kは左右幅Wの0.6倍以上~0.9倍以下であり、左右の毛体側面部123,123の先端が砕石投入口21内に挿入可能に配置されている。尚、毛体底面部120の左右の毛体側面部123,123に挟まれた先端部分の間隔幅も、前記間隔幅Kと略同一であり、即ち、
図16(B)に示すように、前記間隔幅Kは、毛体側面部123,123の先端の内側に位置する毛体122,122の間隔である。
【0100】
そして、毛体底面部120及び毛体側面部123,123は、毛体122の先端が、ケーシングパイプ10,10Aの外面の当接する長さを有し、また、前後に移動して固定することにより当接し、ケーシングパイプ10,10Aが降下すると、先端がケーシングパイプ10,10Aの外面に当接して毛体122が弾性変形し、投入口21の位置に来ると、毛体122の先端が投入口21から内部に入り込み、可撓性を有する投入路先端部113Sは、形状復元性,耐水性,耐摩耗性に優れ、円滑な砕石投入を行うことができる。
【0101】
また、毛体底面部120の左右の毛体側面部123,123は、ほうき状をなし、複数の毛体122の基端側を結束し、毛体122の先端側が広がるように束ねられているから、先端側には毛体122間に隙間があり、先端側で砕石22以外の土砂の一部が投入路先端部113Sから落下し、ケーシングパイプ10,10Aの土砂の侵入を抑制することができる。
【0102】
地盤改良装置1は、
図1に示すように、自動式の材料運搬装置131を備える。この材料運搬装置131は、自走式車両たる車体132は、その下部に走行手段たる無限軌道133を有し、この無限軌道133は車体132に搭載した原動機(図示せず)により駆動する。また、車体132の前部に運転室134を設けると共に、車体132の後部に荷台135を設け、この荷台135は、該荷台135の後部の枢軸136を中心に前側が上下するように傾動可能に設けられ、前記原動機などを動力として傾動駆動する。尚、走行手段は、無限軌道以外に、タイヤなどでもよい。
【0103】
前記運転室134の後部で車体132の左右方向中央に、起重機141を搭載し、この起重機141は縦方向の縦アーム142と、この縦アーム142を車体132に対して縦方向の軸を中心に旋回可能に駆動する旋回駆動手段(図示せず)と、この縦アーム142の上端に回動可能に連結され、流体圧シリンダなどの傾動駆動手段143により先端側が上下するように傾動する傾動アーム144と、この傾動アーム144の先端に回動可能に吊設された先端アーム145とを備える。また、前記傾動アーム144は伸縮手段たる流体圧シリンダ(図示せず)により、伸縮駆動する。
【0104】
前記先端アーム145の下端には、砕石掻揚手段たるクラムシェルバケット147が設けられ、このクラムシェルバケット147は、閉位置と開位置との間で回動する一対のシェル148,148と、これらシェル148,148を開閉する開閉駆動手段149を備える。
【0105】
図1及び
図2に示すように、施工現場には、下水道管路であるマンホール151,151の間に、下水道管路である下水管152が設けられ、この下水管152を挟むようにして且つ千鳥状に配置された下水管用砕石杭153と、マンホール151の周囲を囲むように4箇所設けられたマンホール用砕石杭153Aとが施工される。
【0106】
例えば、従来技術の施工手法をそのまま既存のマンホール151の地盤改良などの施工に適用した場合、圧入砕石22の水平方向への拡大により下水管152に対し側方土圧が発生してマンホール151及び管路、浄化槽(図示せず)などの中空地下埋設物の水平変位や部分加圧による破損の虞が懸念される。
【0107】
これに対して、本実施例では、ケーシングパイプ10,10Aの内部の空洞を利用して下水管152等の埋設物に側土圧負荷をかけない技術を発明した。施工方法は掘削のためケーシングパイプ10,10Aを圧入する過程で、側方土圧の発生しやすい硬質地盤ではケーシングパイプ10の最下端部に設置した螺旋翼82,84を正回転(掘削方向回転)させ地中挿入するケーシングパイプ10,10Aの体積分の土粒子をケーシングパイプ10,10A内に取込み、ケーシングパイプ10の下端において、地山に側土圧を発生させなくする。
【0108】
また、ケーシングパイプ10,10A内に取り込まれた土粒子は軟弱層に達した段階で螺旋翼82,84の逆回転(反掘削方向回転)によってケーシングパイプ10の下端から外に排出し、側方土圧の発生しない軟弱層孔壁に圧密する。またケーシングパイプ10,10A内に残余土砂がある場合は埋設物の土圧影響外の掘削最下端で全ての残余土砂をケーシングパイプ10の下端から排出する方法で対処する。また、現地盤の硬軟状況は施工管理装置モニターにリアルタイムに表示される地盤の反力と螺旋翼82,84の回転トルク数値で目視管理して施工する。尚、螺旋翼82,84に加わる地盤の反力は、ロッドに加わる上向きの力であり、昇降駆動装置8のモータの負荷などから得られる。
【0109】
次に、地盤改良装置1による地盤改良工法である液状化防止工法の施工例を
図20~
図25を参照して具体的に説明する。尚、以下は、既設の中空地下埋設物の施工について説明するが、新設の際に施工にも用いることができる。車体2を施工位置まで移動し、リーダー5を施工位置に合わせ、掘削孔161の位置にロッド9の軸心を合せる。また、ケーシングパイプ10の先端から突出した先端ビット81の先端高さを地面Gに合わせ、掘削前の準備をする。
【0110】
尚、地面Gの下の地盤の掘削を開始する前にケーシングパイプ10の上端に連結蓋85を連結し、また、砕石投入口21を蓋体42により閉成状態にしておく。砕石投入口21を開いたままで、ケーシングパイプ10を地中に挿入すると、地上において、砕石投入口21からケーシングの土砂が溢れ出る虞があるが、砕石投入口21を閉じることにより、土砂の漏れを防止でき、また地下水位が高い場合に土質によっては挿入時孔壁の土砂が侵入する虞があるが、地中において、砕石投入口21に外部からの土砂が侵入することを防止できる。
【0111】
挿入時には、ロッド9とケーシングパイプ10の反掘削回転方向での上下動の繰返し作業と、必要に応じて行うロッド9とケーシングパイプ10を螺旋翼82,84の掘削方向に回転させながら、昇降駆動装置8により回転駆動装置7に下向きの力を加えて、ケーシングパイプ10を挿入し、このケーシングパイプ10の下端を設計深さまで挿入する。また、軟弱地盤において、内部の土砂を排出するために反掘削方向の回転を行う以外は、掘削開始から設計深さに達するまで、掘削方向の回転により掘削孔161を形成してもよい。
【0112】
この場合、設計深さは対応する地中構造物、下水管152を例にすれば、下水管152の埋設位置より深く、ロッド9を反掘削方向に回転してケーシングパイプ10の土砂又は砕石22を排出し、この排出により生じる側方土圧が地中構造物に影響を与えない深さである。また、一般的に設計深さの位置は軟弱地盤である。
【0113】
例えば、直径が略600mの下水管152であれば、その600mmの高さ範囲でケーシングパイプ10の先端から土砂や砕石22を排出すると側圧土圧の影響を受けるから、前記高さ範囲以上、安全を考えれば、1000mmの高さ範囲(以下、側方土圧影響範囲Hという)で側方土圧を掛けないように施工し、設計深さは前記高さ範囲より下方に設定する。
図1に示すように、側方土圧影響範囲Hを1000mmとすれば、側方土圧影響範囲Hは、上が下水管152の中心から上に500mmの深さH1と、下が下水管152の中心から下に500mmの深さH2の間となる。尚、設計深さは、深さH2より下方になる。
【0114】
螺旋翼82,84を掘削方向に回転して掘削孔161を形成する場合、
図20に示すように、ケーシングパイプ10内には下部螺旋翼82と上部螺旋翼84との間隙83に砕石22を充填した状態で、ロッド9を掘削方向に回転しながら地盤を掘削することにより地盤をほぐして掘削孔161を形成する。このように下部螺旋翼82を掘削方向に回転すると、下部螺旋翼82の掘削方向の回転により掘削土が上方に移動し、ケーシングパイプ10内に入り込もうとするが、間隙83の砕石22がケーシングパイプ10の下端の蓋として作用し、掘削土砂の侵入を抑制し、これにより掘削土砂の上昇を防ぐことができる。
【0115】
尚、実験の結果では、軟らかい地盤では間隙83の高さを10cm、硬い地盤では間隙83の高さを30cm程度にすることにより、掘削土砂のケーシングパイプ10内への上昇を防止することができた。結果、硬い地盤では軟らかい地盤に比べて間隙83を大きく設定する必要があることが判った。
【0116】
また、上部から投入した砕石22が詰まる虞があるため、上部螺旋翼84は1巻~1.5巻でもよい。そして、反掘削方向の回転により砕石22を間隙83に落とすために、上部螺旋翼84は最低1巻きが必要となり。1.5巻きでは上からの砕石22が詰まり易い。尚、掘削用の下部螺旋翼82は2巻きとした。
【0117】
また、掘削方向の回転でケーシングパイプ10を挿入すると、前記間隙83に砕石22を充填しても、ケーシングパイプ10A内に土砂が上がってくる場合があるから、反掘削方向の回転に切替えてケーシングパイプ10の先端から内部の土砂を排出するようにしてもよい。尚、この例では、螺旋翼82,84の反掘削方向の回転は、
図8の矢印Yに示したように、上から見て反時計回り方向の左回転である。
【0118】
図21に示すように、ケーシングパイプ10とロッド9の掘削方向の回転により、ケーシングパイプ10の下端が設計深さの軟弱地盤に達したら、砕石投入を開始する。尚、
図20及び
図23では、1本のケーシングパイプ10により設計深さに達した場合を例示しているが、上述したように、1本又は2本以上の延長用ケーシングパイプ10A及びロッド9Aを連結して用いる。
【0119】
設計深さまで掘削孔161を形成し、下部螺旋翼82が軟らかい地盤に達したら、ケーシングパイプ10と回転連動するロッド9を、反掘削方向に回転させながら、上下反復運動を繰返し、ケーシングパイプ10の外形体積分の原地盤を圧密しながら、地盤内に挿入する。
【0120】
尚、ケーシングパイプ10の下端が設計深さに達するまで、ケーシングパイプ10内の前記間隙83のみに砕石22を充填しておき、砕石22の追加は行わない。
【0121】
ロッド9とケーシングパイプ10の反掘削回転方向での上下動の繰返し作業と、必要に応じて行うロッド9とケーシングパイプ10の掘削回転方向でのほぐし撹拌作業とにより、
図21に示すように、規定の掘削深度(設計深さ)に達したら、ケーシングパイプ10から連結蓋85を取り外す。
【0122】
これについて、
図18を用いてケーシングパイプ10を例にして説明する。
図18(A)はケーシングパイプ10に連結蓋85を連結した状態で、ロッド9Kを掘削方向である時計回り方向に回転すると、ロッド9Kとケーシングパイプ10が一体的に回転する。
【0123】
ここから前記ボルト65による連結が無い場合、連結蓋85を反時計回り方向に角度回動すると、連結具71が連結受け具61から外れ、ロッドロック12のロックを解除すると、昇降駆動装置8により、
図18(B)のように回転駆動装置7をロッドに沿って上昇することができ、連結蓋85がケーシングパイプ10から外れる。
【0124】
このようにケーシングパイプ10の回転を停止して、ロッド9のみ反時計回り方向に回転させ、ケーシングパイプ10内の上部螺旋翼84によりケーシングパイプ10の下端から掘削土砂を地中に排出し、ケーシングパイプ10内の砕石投入用の柱状円筒空間を確保する。また、ケーシングパイプ10,10Aの直径や長さは柱状砕石杭153,153Aに求める性能に応じて変更できる。
【0125】
ケーシングパイプ10内の上部螺旋翼84によりケーシングパイプ10内の掘削土砂を地盤中に排出し、ケーシングパイプ10内の砕石投入用の柱状円筒空間を確保したら、砕石投入口21を開き、また、振れ止め枠13に位置するケーシングパイプ10,10Aを回転防止手段31により回り止め状態とし、砕石投入口21から砕石22を投入し、ロッド9を反掘削方向(反時計回り方向)に回転する。
【0126】
尚、回り止め状態としたケーシングパイプ10は、連結蓋85との連結が解除されており、そのケーシングパイプ10を引き上げるには、
図10に示したように、ロッド9を引き上げると、下部螺旋翼82の上縁82F位置に固定した当接板88が、ケーシングパイプ10の下縁に当接するため、ロッド9を引き上げることにより、ケーシングパイプ10を引き上げることができる。
【0127】
ケーシングパイプ10内に供給された砕石22は、
図22に示すように、反掘削方向に回転している上部螺旋翼84及び下部螺旋翼82により掘削孔161の底辺部に堆積する。連結蓋85をケーシングパイプ10から外した後、砕石22の転圧作業における回転するロッド9よる突き込みとして、掘削孔161の底辺部に堆積した砕石22に対して、反掘削方向に回転するロッド9を上下動することにより、設定した圧入力で下部螺旋翼82と先端ビット81を堆積した砕石22を突き込み、堆積した砕石22を水平方向に押し広げた後、一旦、堆積した砕石22中から先端ビット81を引き上げ、押し広げた空隙に更に砕石22を追加投入する。
【0128】
前記突き込みを複数回行い、堆積した砕石22が水平方向に押し広げられることにより押し広げた空隙に更に砕石22を追加投入して設定圧入力が支持されるまでこの繰返し転圧作業を行う。即ち、堆積した砕石22が水平方向に押し広げられることにより、
図23に示すように、堆積した砕石22の上面位置が突き込み前より下がり、その上面位置とケーシングパイプ10の下端との間に、地中の土砂は存在するが、砕石22の無い又は下部に比べて砕石22の密度が小さい追加供給可能な部分(前記押し広げた空隙)が形成され、砕石22に転圧作業における追加供給作業として、前記追加供給可能な部分に砕石22を螺旋翼82,84により追加供給し、前記突き込み作業を行い、設定圧入力が支持されるまで繰返し転圧作業を行う。
【0129】
突き込み時にロッド9に加わる反力を測定することにより、設定圧入力(支持力)の確保を確認した後、ロッド9を同位置で左回転のまま砕石22を投入すると、下部には既に締め固まって支持力を満たした砕石魂が有るため、下部螺旋翼82の左回転圧力により水平方向に砕石22は拡底を始める。砕石22の断続投入と下部螺旋翼82の回転により拡底した砕石22は水平方向の原地盤土粒子を圧密し、やがて回転駆動装置7の駆動手段たるモーターの回転トルクが設定した回転トルクを満たした押し込み抵抗反力に達して、掘削孔161の底部に、砕石22が拡底して形成されると共に所定の支持力を有する圧密された砕石22が掘削孔161の周方向に拡大し、このように圧密された砕石22が掘削孔161の周方向に拡大し、球根形状をなす砕石圧密部分154が形成される(砕石圧密部分形成)。尚、現場の状態により、砕石圧密部分154の無い砕石杭153,153Aを施工してもよい。
【0130】
前記回転トルクが設定数値に達したところで、ケーシングパイプ10とロッド9を所定高さ寸法である10cm程度引上げて、圧密杭たる柱状砕石杭153の構築作業を開始する。
【0131】
上述した圧密部分形成の後、
図24に示すように前記砕石圧密部分154上に、ロッド9を内装したケーシングパイプ10の下部より下部螺旋翼82と先端ビット81が突出した状態で、軸方向の位置関係をロックしたロッド9は、あらかじめ数値設定した締固め圧入力と前記回転トルクとで砕石投入と上下反復転圧を繰り返すことにより、地盤軟弱度環境に適した外形寸法の柱状砕石杭153,153Aを地面Gの高さまで形成する(
図25)。この際、砕石22の内部摩擦角度(例えば30度以上)の大きさを利用して原地盤の土粒子圧密を促進することができる。尚、砕石杭153,153Aは、例えば所定高さである10cm(センチメートル)程度ケーシングパイプ10とロッド9を引き上げ(所定高さ引上げ)、砕石22を地中に追加排出し、反掘削方向で上下動を繰り返して(砕石追加・反掘削方向での上下動)砕石22により所定高さ分の砕石杭153,153Aを構築した後(所定高さ分の砕石杭の構築)、再び所定高さだけケーシングパイプ10とロッド9を引き上げ(所定高さ引上げ)、砕石22を地中に追加排出して反掘削方向で上下動きを繰り返し(砕石追加・反掘削方向での上下動)、このように所定高さ毎にケーシングパイプ10から砕石22を掘削孔161に排出し、排出した砕石22の圧密を繰り返し、設計高さの砕石杭153,153Aが構築される(砕石杭構築完了)。
【0132】
但し、ケーシングパイプ10の下端からの土砂及び砕石22の排出,その下端から排出した砕石22のロッド9を用いた締固めは、前記側方土圧影響範囲Hでは行わないか、他の部分より砕石22に加える荷重を下げて施工を行い、中空地下構造物に大きな側方荷重が加わらないようにする。また、マンホール用の砕石杭153Aは、側方土圧範囲が地面Gからマンホール151の底面151Tの下であり、砕石杭153Aの全長を圧密せずに施工してもよい。
【0133】
尚、内部摩擦角の大きな砕石22を用いると地盤の締固めに有利であるが、内部摩擦角が30度以上の砕石22を用いると、ケーシングパイプ10内に供給された砕石22が、該ケーシングパイプ10内で固まり、砕石22が固まったままロッド9及びケーシングパイプ10と供に回転し、掘削孔161内に落下供給できなくなる。この場合、ケーシングパイプ10と連結蓋85の連結を解除し、ケーシングパイプ10が回転しない状態で、ロッド9を反時計回り方向に回転すれば、上部螺旋翼84によりケーシングパイプ10の先端側の砕石22が撹拌され、ケーシングパイプ10の先端から砕石22を掘削孔161内に供給できるようになる。
【0134】
また、公知の液状化対策手法として地盤締固め、固化(地盤全体を固める)、置換(土の入替)、地下水位低下(人為的に地下水位を下げる)、間隙水消散(砂杭や砕石杭で水圧吸収)、せん断抵抗力増加(外力に抵抗する力)等が存在するが全て大型機械による大規模工事工法であり戸建て住宅地盤の液状化対策としての使用は現実的に不可能又は困難である。これに対して、本実施例では、上述した施工方法を採用することにより、地盤締固め、置換、土粒子間隙水圧消散、せん断抵抗力強化等を施工工程の中に取り入れ複合的相乗効果により施工域全体の免振と液状化抑制の地盤を構築することでき、この施工方法は液状化抑制工事の施工規模に応じた大きさの施工機械を選択でき、各工種の長所を施工方法の中で取り入れ免振と液状化の相乗効果により抑制性能を高めた結果、施工機械の小型化を可能にした防災技術です。
【0135】
このように本実施例では、請求項1に対応して、回転駆動装置7により回転して地盤内に挿入されるロッド9と、ロッド9に外装されると共に、外周に砕石投入口21が設けられ、地盤内に挿入されるケーシングパイプ10とを用い、ロッド9とケーシングパイプ10により下水道管路たる下水管152の下方まで掘削孔161を形成し、また、ロッド9とケーシングパイプ10により下水道管路たるマンホール151の下方まで掘削孔161を形成し、この掘削孔161に砕石22を投入して砕石杭153を構築するから、下水管152の下方まで形成した掘削孔161に砕石22を投入することにより、地面Gから下水管152の下方までの砕石杭153を構築し、液状化を防止することができ、ケーシングパイプ10により下水管152に大きな側方土圧が加わらないように施工することができる。
【0136】
このように本実施例では、請求項2に対応して、既設の下水道管路たる下水管152を使用状態で施工するから、下水管152の使用を停止して施工を行う必要がない。
【0137】
このように本実施例では、請求項3に対応して、ケーシングパイプ10とロッド9の下部を地盤に挿入した後、ロッド9と回転駆動装置7の連結を解除し、回転駆動装置7を上方に移動し、回転駆動装置7の下方において、ケーシングパイプ10の上端とロッド9の上端に、延長用ケーシングパイプ10Aの下端と延長用ロッド9Aの下端を連結するから、ケーシングパイプ10とロッド9を地盤に挿入した後、ケーシングパイプ10とロッド9に延長用ケーシングパイプ10Aと延長用ロッド9Aを継ぎ足すことにより、全体として装置の高さ寸法を抑えて施工を行うことができる。
【0138】
このように本実施例では、請求項4に対応して、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、自走式車両たる車体132に、砕石22を積む荷台135と、この荷台135に砕石22を積み降ろす積み降ろし装置たる起重機141とを設けたから、起重機141と荷台135を装備した車体132により砕石22を供給して、工事の連続施工が可能となり、同時に砕石ヤードと施工現場の往復移動の回数を削減することができる。
【0139】
このように本実施例では、請求項5に対応して、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、砕石投入口21に砕石22を投入する投入路112を備え、この投入路112に可撓性を有する先端部たる投入路先端部112Sを設けたから、可撓性を有する投入路先端部112Sをケーシングパイプ10の外面に接触させて、砕石22を砕石投入口21に円滑に投入することができる。
【0140】
このように本実施例では、請求項6に対応して、請求項1項に記載の下水道管路及び地下埋設物の液状化防止工法に用いる装置において、複数の砕石投入口21を開閉する開閉手段41を備えるから、砕石投入口21を閉めることにより、地盤にケーシングパイプ10を挿入する際、地上部分の砕石投入口21から内部の土砂が漏れることを防止でき、また、地下水位の高い場合などに砕石投入口21からケーシングパイプ10内に地中の土砂が侵入することを防止できる。
【0141】
請求項1に係り、従来の施工手法をそのまま既存下水道管路に施工した場合、圧入砕石22の水平方向への拡大によりに対し側方土圧が発生し、下水道マンホール151及び管路たる下水管152,浄化槽などの中空地下埋設物の水平移動や部分加圧による破損の虞があった。これに対して、本発明は、ケーシングパイプ10を利用し、地下埋設物の現状地盤地耐力を保持しながら、ほぼ無排土で地下埋設物周辺に液状化防止用砕石杭153,153Aを構築することができる。そして、本発明は既存(新設含む)液状化対策工事において発生する地中埋設物の側方土圧力による水平変位や破損を、鋼管などからなるケーシングパイプ10の中空形状を利用して吸収する工法である。
【0142】
請求項2に係り、従来の地下埋設物の液状化抑止工法として、例えばマンホール151はマンホール自体に内部加工や外周重力加工などの技術が公開されている。この技術は、下水道の供給を停止して行う工事であり既存下水道の耐震化にとって現実的ではない。本発明は、下水道施設などの地下埋設物に非接触で液状化防止する技術で、既存地下埋設物を運用状態で施工する工法を採用する。このため下水道施設を稼働状態でマンホール151の四隅と下水管152の長手方向左右にそれら埋設物に非接触で埋設物底辺部から地面Gまで砕石杭153,153Aを打設し液状化防止することができる。
【0143】
請求項3に係り、市街地の下水道管路及び地下埋設物の液状化対策工事では上空横断線仮迂回等の課題がある。本実施例では、最大地上高4.5m以内での施工でき、電線などの上空横断線の迂回等が不要となり、上空障害物寸法以上の長尺砕石パイルが施工できる工法であり、一例として、施工機本体のリーダー5の地上高は4.3mである。通常、この場合の施工可能長は3.1m程度ですが、ロッド9,9Aの掴み換え機能によりリーダーストロークの最下端まで到達した時点で、2本のシャーピン100によるジョイントロックを外し、短い基端ロッド9Kと回転駆動装置7のみを上昇させ、延長用ケーシングパイプ10Aに内包した延長用ロッド9Aをロッド9に接続し、再度圧入することで、最長6.1mまでの施工が可能になる。よって上空障害物の迂回や撤去の必要はなく。また上空障害のない施工については中間接続が不要で1本ロッドの機械装置を使用することもできる。
【0144】
請求項4に係り、従来は、使用材料の砕石22は砕石仮置き場にストックし利用時に数回に分けバックホーにより小運搬する必要があり、道路などの直線状施工の場合、工事進捗率が早くヤードからの小運搬は往来の安全管理と施工サイクルタイム上現実的ではない。これに対して、材料運搬装置131として、荷台135と積み降ろし装置たる起重機141とを備えた自走可能な装置を利用する。これは材料積降ろし用クラムシェル147と荷台135を装着した自走式材料小運搬装置である。液状化抑止の砕石パイルの円滑な施工において、遅滞のない材料供給が効率施工の可否を左右する。そこで材料の積降用クラムシェル147と荷台135を装備した自走式運搬装置を利用する。砕石仮置き場から装着クラムシェル147で砕石22を大量に積み込み自走運搬して、施工機械本体装着の砕石ホッパーである収納部110にクラムシェル147により積み替える。これにより工事の連続施工が可能になると同時に、バックホーのバケットより大きなクラムシェル147を用いることにより、バックホー利用時の5往復が1往復に激減することで市街地通行のリスク軽減と労務や油脂など直接間接経費の大幅な節約が可能になる。
【0145】
請求項5に係り、鉄製のシューターたる投入路112を用い常時上下揺動する鉄制のケーシングパイプ10,10A内に砕石22を投入する場合、相互緩衝により円滑な砕石投入ができない場合がある。これに対して、硬質材料からなる投入路112により、硬質材料からなるケーシングパイプ10,10A内に砕石22を投入する方法として、毛足の長い「ほうき」状の毛体122を束ねたものを緩衝材として活用する。
【0146】
請求項6に係り、ケーシングパイプ10,10Aの全ての砕石投入口21に開閉蓋たる蓋体42を設ける。これによりケーシングパイプ10,10Aの全ての砕石投入口21を任意開閉することができる。そして、ケーシングパイプ10,10Aの硬質地盤挿入時に、ケーシングパイプ10,10A内に収納した土砂が「ほぐし土」状態で砕石投入口21より溢れ出ることを防ぐ方法として、ケーシングパイプ10,10Aは軸方向直線状に複数の砕石投入口21と閉塞部44が同間隔で交互に設置してある。そのケーシングパイプ10内部の砕石投入口21と同じ位置にケーシングパイプ10,10Aの砕石投入口21と閉塞部44が同じく配列され、上下スライドできる裏蓋鉄板である蓋体42を取付ける、また、蓋体42は上下左右に脱落しないようケーシングパイプ10,10A内部の内面に、長手方向左右と下端にL型アングルからなるレール45,45及び支持部材46を溶接する。また、蓋体42の上端には蓋体42をケーシングパイプ10,10Aに外部からロックピンたるロックボルト53が入る蓋体孔52を設ける。ケーシングパイプ10,10Aに蓋体孔52と同位置に蓋体42の上下スライドすることができるよう楕円のスライド孔51を設ける。また、砕石投入口21の開閉は車体2の振れ止め枠13に設けた回り止め孔33から、回り止め孔33と蓋体孔52に棒状部材34を挿入し、ケーシングパイプ10の上下動の操作により砕石投入口21の開閉が可能になる。また、開成固定手段55及び閉成固定手段57の変形例として、前記雌螺子孔55M,57Mを透孔とし、この透孔を挿通したボルト56,58を、蓋体42の内面に設けたナット(図示せず)に締め込みロックするようにしてもよい。
【0147】
以下、実施例上の効果として、ケーシングパイプ10,10Aの回転防止手段31を備えるから、複数の砕石投入口21の向きを一定にして砕石22を投入することができる。また、回転防止手段31はケーシングパイプ10,10Aに長さ方向に連続する長孔32を備えるが、補強部材40により長孔32の幅方向の拡大を防止することができる。
【0148】
また、蓋体42は、砕石投入口21の左右幅より幅広であって、砕石投入口21と同形で砕石投入口21と連通する連通開口部43を有し、上下に隣り合う連通開口部43,43の間が砕石投入口21を閉塞可能な閉塞部44を備えるから、蓋体42の上下動きにより複数の砕石投入口21を同時に開閉することができる。さらに、ケーシングパイプ10,10Aの上部には長さ方向の長孔であるスライド孔51を設けると共に、このスライド孔51に対応して蓋体42には蓋体孔52を穿設し、これらスライド孔51と蓋体孔52にピン状の操作体たるロックボルト53を挿入し、ロックボルト53を固定部たる枠体15に固定し、ケーシングパイプ10,10Aをスライド孔51の分だけ引き上げることにより、蓋体42を確実に開閉することができる。
【0149】
さらに、パイプ連結手段60は、下のケーシングパイプ10の上部に、その内面に連結受け具61を設け、上のケーシングパイプ10Aの下端に、前記連結受け具61に連結する連結具71を設け、ケーシングパイプ10Aを時計回りと反時計回りの両方向で連結することができる。また、前記透孔62Tは、位置決め当接部63の左右両側に穿設されているから、上のケーシングパイプ10Aを反時計回り、時計回りのいずれかに回すことにより、係止受け突条部62に係止凹部74を係止した後、連結固定手段であるボルト65で固定することができる。
【0150】
また、回転駆動装置7に連結蓋85を一体に設けたから、回転駆動装置7により連結蓋85を角度回動してケーシングパイプ10,10Aの上端に連結蓋85及び回転駆動装置7を連結及び連結解除することができ、連結状態で、回転駆動装置7を昇降駆動装置8によって昇降することにより、ケーシングパイプ10,10Aを上下動することができる。さらに、前記連結状態で、ロッドロック12によるロッドのロックを解除すれば、ロッド9のみを上下に動かすことができ、ロッド9の上下動による砕石締固めを行うことができる。一方、連結状態を解除すれば、ケーシングパイプ10,10Aは無回転で、ロッド9を回転しながら上下動することができる。
【0151】
さらに、下部螺旋翼82の外径は前記ケーシングパイプ10の外径より大きく形成されており、その上縁82Fに、前記ケーシングパイプ10の下端に当接するリング状の当接板88を固定したから、ロッド9を引き上げると、当接部たる当接板88がケーシングパイプ10の下端に当たり、ケーシングパイプ10を引き上げることができる。
【0152】
連結蓋85の下面には、一対の前記連結具71,71を設けたから、連結蓋85をケーシングパイプ10,10Aの上端に連結及び連結解除することができる。
【0153】
また、砕石投入口21に砕石22を投入する投入路112は、基端側を中心に前側が左右に向きを調整することができると共に、前側が上下に高さを調整することができるから、砕石投入口21への位置合わせが容易となる。さらに、取付部121は、底面部115に対して前後移動及び移動位置で位置固定可能に設けられ、取付部124は、側面部116に対して前後移動及び移動位置で位置固定可能に設けられ、毛体底面部120と毛体側面部123の前後位置を調整可能に構成したから、砕石投入口21への位置合わせが容易になると共に、使用するケーシングパイプの直径が変わっても、前後位置を調整して対応することができる。
【0154】
また、前記砕石投入口21の左右幅Wに比べて、毛体側面部123,123の先端の左右方向の間隔幅Kが狭く、間隔幅Kは左右幅Wの0.6倍以上~0.9倍以下であり、左右の毛体側面部123,123の先端が砕石投入口21内に挿入可能に配置されているから、砕石投入口21に砕石22を確実に投入することができる。また、左右の毛体側面部123,123は、ほうき状をなし、複数の毛体122の基端側を結束し、毛体122の先端側が広がるように束ねられているから、先端側には毛体122間に隙間があり、先端側で砕石22以外の土砂の一部が投入路先端部113Sから落下し、ケーシングパイプ10,10Aの土砂の侵入を抑制することができる。
【0155】
また、自動式の材料運搬装置131は、砕石掻揚手段たるクラムシェルバケット147を備えるから、多量の砕石22を効率よく、収納部110に移し替えることができる。
【0156】
さらに、下水管152を挟むようにして且つ千鳥状に下水管用砕石杭153を配置し、マンホール151の周囲を囲むようにマンホール用砕石杭153Aを4箇所設けられたから、液状化防止効果に高い砕石杭の配置となる。
【0157】
また、ロッド9の先端に掘削ビットたる先端ビット81を設け、ロッド9の先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼たる下部螺旋翼82と基端側螺旋翼たる上部螺旋翼84とを設けると共に、これら下部螺旋翼82と上部螺旋翼84との間にロッド9の長さ方向の間隙83を設けたから、間隙83に中詰め材たる砕石22を充填してケーシングパイプ10を地中に挿入することにより、砕石22が蓋となって掘削土砂のケーシングパイプ10内への侵入を防止することができる。
【0158】
さらに、ケーシングパイプ10内に投入した中詰め材たる砕石22が固まった場合、連結蓋85非回転モードに切り換え、ケーシングパイプ10が回転しない状態でロッド9を回転することにより、固まった砕石22を撹拌してほぐすことができる。
【0159】
また、螺旋翼82,84を有するロッド9と、このロッド9に外装されるケーシングパイプ10とを用い、ロッド9とケーシングパイプ10を地盤内に所定深さまで挿入し、ロッド9を反掘削方向に回転してケーシングパイプ10内の中詰め材たる砕石22により地盤内に圧密杭たる砕石杭153,153Aを形成する地盤改良工法を用いる液状化防止工法において、ロッド9の先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼たる下部螺旋翼82と基端側螺旋翼たる上部螺旋翼84とが設けられていると共に、これら下部螺旋翼82と上部螺旋翼84との間にロッド9の長さ方向の間隙83が設けられており、ケーシングパイプ10の先端から下部螺旋翼82を突出した状態で、ケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら前記所定深さまで挿入するから、間隙83に中詰め材たる砕石22を充填することにより掘削土砂のケーシングパイプ10内への侵入を防止した状態で、ケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら挿入することにより、地盤を圧密しながら所定深さまでケーシングパイプ10を挿入することができ、ケーシングパイプ10内部に砕石投入用の柱状円筒空間を確保することができる。
【0160】
また、先端側螺旋翼たる下部螺旋翼82が軟弱地盤ではケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら挿入し、下部螺旋翼82が軟弱地盤より固く反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤ではロッド9を掘削方向に回転しながら挿入するから、ロッド9とケーシングパイプ10を反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤では、ロッド9を掘削方向の回転に切り替え、掘削しながら地中土砂をほぐし攪拌を行った後、反掘削方向の回転に戻してロッド9とケーシングパイプ10を地盤に挿入することができる。
【0161】
さらに、ケーシングパイプ10の下端からの土砂及び砕石22の排出,その下端から排出した砕石22のロッド9を用いた締固めは、前記側方土圧影響範囲Hでは行わないか、他の部分より砕石22に加える荷重を下げて施工を行うため、中空地下構造物に大きな側方荷重が加わることがない。また、螺旋翼82,84に加わる地盤の反力と、螺旋翼82,84の回転トルク数値により、螺旋翼82,84位置の現地盤の硬軟状況を判断し、側方土圧影響範囲Hが硬質地盤であれば、軟弱地盤に比べて、螺旋翼82,84により地盤に加える力を下げ、或いは力を加えず、また、螺旋翼82,84の回転数を下げ、あるいは回転しないように施工し、側方土圧影響範囲Hにおける側方土圧を削減することができる。
【0162】
さらに、実施例上の効果として、上部螺旋翼84は下部螺旋翼82より螺旋の巻き数が少ないから、巻き数の多い下部螺旋翼82の反掘削方向の回転により地盤や砕石22を圧密し、上部螺旋翼84は螺旋の巻き数を少なくすることにより、上部から供給された砕石22が上部螺旋翼84の上で詰まり難くなる。
【0163】
また、中詰め材には、内部摩擦角の大きな砕石22を用い、内部摩擦角が30度以上であるから、内部摩擦角度による押し込み圧力の伝播を利用してより広い原地盤の締固めを行うことができる。
本実施例では、実施例1に比べて長い2.5mの延長用ケーシングパイプ10Bを用いている。また、前記振れ止め枠13は、地面Gに接地又は近接して配置するタイプのものを用いている。
そして、振れ止め枠13を地面Gに設置することにより、実施例1に比べて、1本目のケーシングパイプ10を深く挿入した状態で、延長用ケーシングパイプ10Aを接続することができると共に、長い延長用ケーシングパイプ10Aを用いることができ、また、振れ止め枠13の上方に位置する砕石投入口21から砕石22をケーシングパイプ10,10A内に投入することができる。また、実施例1において、振れ止め枠13を地面Gに設置し、ケーシングパイプ10の上端が振れ止め枠13の上端から、例えば200mmの高さ位置までケーシングパイプ10を地中に挿入すれば、1本目のケーシングパイプ10を深く地中に挿入することができ、さらに、長い延長用ケーシングパイプ10Aを用いることができる。
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、先端ビットは三角錐形状のものを示したが、四角錐形状や五角錐形状など角数は四以上でもよい。また、中空な地下埋設物は、実施例で例示したマンホール,下水管,浄化槽以外でも、水道管やトンネルなどの内部が中空で地下に埋設されたものであれば、各種のものに適用可能である。さらに、実施例では、一対(2つ)の連結具と一対(2つ)の連結受け具を用いた連結構造を示したが、3つ以上を用いて連結してもよい。また、請求項には対応しないが、本発明は、液状化防止工法以外でも、地盤改良工法に用いることができることは言うまでもない。さらに、右分割枠部16L,16Rの先端同士をロック及びロック解除するロック手段18は、先端同士に挿脱する縦方向のピンを用いるものなどでもよい。また、下部螺旋翼82と上部螺旋翼84の巻数は、実施例に限定されず、実施例以上,以下にするなど何巻にするかは適宜選定可能である。