(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020632
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法および監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20250205BHJP
B64G 1/10 20060101ALI20250205BHJP
B64D 47/00 20060101ALI20250205BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20250205BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20250205BHJP
G05D 1/46 20240101ALI20250205BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20250205BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20250205BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20250205BHJP
G01S 13/88 20060101ALN20250205BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
B64G1/10 328
B64D47/00
H04N7/18 D
G05D1/00 A
G05D1/10
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
G01S13/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124130
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】523290056
【氏名又は名称】株式会社テラ・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 孝英
【テーマコード(参考)】
5C054
5C087
5H301
5J070
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE11
5C054HA19
5C087AA02
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5C087GG06
5C087GG07
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5C087GG17
5C087GG35
5C087GG70
5H301AA04
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301DD17
5H301GG07
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK18
5H301KK19
5J070AC01
5J070AE02
5J070AE04
5J070AF06
5J070AK31
5J070BB06
(57)【要約】
【課題】捜索対象物を検出した場合に出動機を迅速に呼び寄せる。
【解決手段】監視対象領域Fにおける捜索対象物を捜索する監視機110と、監視機に搭載され、捜索対象物を検出する捜索対象物検出部1400と、捜索対象物検出部が捜索対象物を検出した場合に、捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出部1500と、捜索対象物の検出位置又は捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、検出位置又は移動予測位置における出動機300のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請部2422と、を備える監視システム1。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機と、
前記監視機に搭載され、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出部と、
前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出部と、
前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請部と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記出動機要請部は、前記出動機のアクションとして有人又は無人の航空機又は船の出動を要請する要請信号を送信する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記捜索対象物に関する情報を取得するセンサと、
前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記センサにより取得した前記捜索対象物の検出情報に基づいて、前記要請信号の送信要否を判定又は提案する検出後アクション判定部と、
をさらに備える、
請求項1記載の監視システム。
【請求項4】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記センサにより取得した前記捜索対象物の検出情報に基づいて、前記出動機の出動要請の送信、前記監視機による追跡監視、および外部システムへの通報のうち少なくともいずれを行うか判断又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項5】
前記監視機は航空機であり、
前記監視機は、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物に接近又はカメラのズーム量を増加させることにより前記捜索対象物の接近画像を取得し、
前記検出後アクション判定部は、前記接近画像に基づいて、前記要請信号の送信要否の判定、又は、前記出動機の出動要請の送信、前記監視機による追跡監視および外部システムへの通報のうち少なくともいずれを行うか判断又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項6】
少なくとも前記検出後アクション判定部は、前記監視機と通信可能な運航マネジメントシステムに搭載され、
前記監視機は、前記捜索対象物の前記検出情報として、前記捜索対象物の属性、数又は大きさの情報を前記運航マネジメントシステムに通知する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項7】
前記監視機は、前記センサとして前記捜索対象物の画像を取得するカメラ、または前記捜索対象物の点群データを取得するレーザーセンサを少なくとも備え、
前記捜索対象物を検出した場合に、前記画像または前記点群データを含むデータのリアルタイム伝送を実行又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項8】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機の属性に基づいて前記監視機のアクションを判定又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項9】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が推進機能を有する航空機である場合には、前記監視機が前記航空機を追尾する追跡飛行を行うことを決定又は提案し、前記捜索対象物が推進機能を有する船である場合には、前記監視機が前記船の上空を旋回飛行する追跡飛行を行うことを決定又は提案する、
請求項8記載の監視システム。
【請求項10】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機が前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を継続することを決定又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項11】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機である場合であって、検出された前記捜索対象物が推進機能を有さない物体である場合、あるいは、検出された前記捜索対象物が不審船である場合、前記捜索対象物の近傍に発信機付きのブイを投下することを決定又は提案する、
請求項3記載の監視システム。
【請求項12】
前記出動機は人工衛星を含み、
前記監視システムは、映像又は画像を解析する取得データ管理システムをさらに備え、
前記人工衛星は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記人工衛星により撮影される複数の衛星画像を前記取得データ管理システムへリアルタイム伝送し、
前記取得データ管理システムは、前記複数の前記衛星画像のうち、前記捜索対象物を含む前記衛星画像を、前記捜索対象物を含まない前記衛星画像よりも優先して解析する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項13】
前記捜索対象物に関する情報を取得するセンサと、
前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記センサにより取得した前記捜索対象物の検出情報に基づいて、前記要請信号の送信要否を判定又は提案する検出後アクション判定部を備え、
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記人工衛星による前記衛星画像の前記リアルタイム伝送を、前記捜索対象物を検出した時点以降も継続させ、
前記取得データ管理システムは、前記捜索対象物を検出した時点以降の前記衛星画像において、前記捜索対象物の位置検出を継続する、
請求項12記載の監視システム。
【請求項14】
前記要請を受け入れた前記出動機の到着後における、前記監視機と前記出動機の少なくともいずれかのアクションを前記捜索対象物の属性に応じて決定又は提案する出動機到着後アクション指令部をさらに備える、
請求項1記載の監視システム。
【請求項15】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船又は不審な航空機である場合に、前記監視機と前記出動機の両方で、前記捜索対象物の追跡飛行を実行することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項16】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船であり、前記出動機として船が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡飛行を実施することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項17】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が遭難船であり、前記出動機として船又は航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡飛行又は救助を実施することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項18】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船又は不審な航空機であり、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項19】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は前記捜索対象物の追跡飛行することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項20】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記監視機に前記捜索対象物の追跡飛行を実施させ、前記出動機としての航空機に前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施させる場合に、前記出動機としての航空機による捜索対象範囲を、前記監視機の捜索対象範囲よりも広い範囲とする、
請求項19記載の監視システム。
【請求項21】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡飛行を実施することを決定又は提案する、
請求項14記載の監視システム。
【請求項22】
前記追跡飛行を実行する前記出動機は、前記監視機とは異なる追跡用センサを実装した航空機である、
請求項15又は16又は17又は21記載の監視システム。
【請求項23】
前記捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置を推定する移動予測部をさらに備え、
前記出動機要請部は、少なくとも前記捜索対象物の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号を外部に送信する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項24】
前記監視対象領域における三角波の形状により、前記捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度の少なくともいずれかを推定する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項25】
前記監視機又は前記出動機としての航空機に搭載された記録モジュールは、前記監視機又は前記出動機の機体から分離され、水に浮くように構成される、
請求項1記載の監視システム。
【請求項26】
コンピュータが
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出ステップと、
前記捜索対象物検出ステップにより前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出ステップと、
前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請ステップと、
を実行する、監視方法。
【請求項27】
コンピュータに
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出命令と、
前記捜索対象物検出命令により前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出命令と、
前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請命令と、
を実行させる、監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視方法および監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機のレーダによって不審船を発見し、船からの発信データにより不審船候補を特定した上で、不審船候補に接近して画像を取得する技術が開示されている。このシステムでは、画像から不審船の外見特徴が認められる場合には外部装置にその旨を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不法行為の監視又は人命救助に資するため、海域又は空域等を監視し、不審船又は不審な航空機といった不審物、あるいは遭難船等の捜索対象物を発見し対処する技術が必要とされている。具体的には、不審物に対しては、検挙又は警告を行う必要がある一方、遭難船に対しては救助を行うといった対処が必要である。また、捜索対象物を発見した場合に必要な対応は複数ある場合があり、適宜の装置で捜索対象物を発見したとしても、当該適宜の装置のみで複数の対応を行うのは困難なおそれがある。
【0005】
この点、特許文献1記載のシステムでは、捜索対象物に対して適切に対応することができなかった。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、捜索対象物を検出した場合に出動機を迅速に呼び寄せることができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る監視システムは、監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機と、前記監視機に搭載され、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出部と、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出部と、前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請部と、を備える。
【0008】
前記出動機要請部は、出動機のアクションとして有人又は無人の航空機又は船の出動を要請する要請信号を送信するものとしてもよい。
【0009】
前記捜索対象物に関する情報を取得するセンサと、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記センサにより取得した前記捜索対象物の検出情報に基づいて、前記要請信号の送信要否を判定又は提案する検出後アクション判定部と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0010】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記センサにより取得した前記捜索対象物の検出情報に基づいて、前記出動機の出動要請の送信、前記監視機による追跡監視、および外部システムへの通報のうち少なくともいずれを行うか判断又は提案するものとしてもよい。
【0011】
前記監視機は航空機であり、前記監視機は、前記捜索対象物検出部が前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物に接近又はカメラのズーム量を増加させることにより前記捜索対象物の接近画像を取得し、前記検出後アクション判定部は、前記接近画像に基づいて、前記要請信号の送信要否の判定、又は、前記出動機の出動要請の送信、前記監視機による追跡監視および外部システムへの通報のうち少なくともいずれを行うか判断又は提案するものとしてもよい。
【0012】
少なくとも前記検出後アクション判定部は、前記監視機と通信可能な運航マネジメントシステムに搭載され、前記監視機は、前記捜索対象物の前記検出情報として、前記捜索対象物の属性、数又は大きさの情報を前記運航マネジメントシステムに通知するものとしてもよい。
【0013】
前記監視機は、前記センサとして前記捜索対象物の画像を取得するカメラ、または前記捜索対象物の点群データを取得するレーザーセンサを少なくとも備え、前記捜索対象物を検出した場合に、前記画像または前記点群データを含むデータのリアルタイム伝送を実行又は提案するものとしてもよい。
【0014】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機の属性に基づいて前記監視機のアクション又はアクション候補を判定又は提案するものとしてもよい。
【0015】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が推進機能を有する航空機である場合には、前記監視機が前記航空機を追尾する追跡飛行を行うことを決定又は提案し、前記捜索対象物が推進機能を有する船である場合には、前記監視機が前記船の上空を旋回飛行する追跡飛行を行うことを決定又は提案するものとしてもよい。
【0016】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機が前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を継続することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0017】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機である場合であって、検出された前記捜索対象物が推進機能を有さない物体である場合、あるいは、検出された前記捜索対象物が不審船である場合、前記捜索対象物の近傍に発信機付きのブイを投下することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0018】
前記出動機は人工衛星を含み、前記監視システムは、映像又は画像を解析する取得データ管理システムをさらに備え、前記人工衛星は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記人工衛星により撮影される複数の衛星画像を前記取得データ管理システムへリアルタイム伝送し、前記取得データ管理システムは、前記複数の前記衛星画像のうち、前記捜索対象物を含む前記衛星画像を、前記捜索対象物を含まない前記衛星画像よりも優先して解析するものとしてもよい。
【0019】
前記検出後アクション判定部は、前記捜索対象物を検出した場合に、前記人工衛星による前記衛星画像の前記リアルタイム伝送を、前記捜索対象物を検出した時点以降も継続させ、前記取得データ管理システムは、前記捜索対象物を検出した時点以降の前記衛星画像において、前記捜索対象物の位置検出を継続するものとしてもよい。
【0020】
前記要請を受け入れた前記出動機の到着後における、前記監視機と前記出動機の少なくともいずれかのアクションを前記捜索対象物の属性に応じて決定又はユーザに提案する出動機到着後アクション指令部をさらに備えるものとしてもよい。
【0021】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船又は不審な航空機である場合に、前記監視機と前記出動機の両方で、前記捜索対象物の追跡飛行を実行することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0022】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船であり、前記出動機として船が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡飛行を実施することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0023】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が遭難船であり、前記出動機として船又は航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡又は救助を実施することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0024】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、検出された前記捜索対象物が不審船又は不審な航空機であり、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は帰還することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡又は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0025】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は前記捜索対象物の追跡飛行することを決定又は提案し、前記出動機は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0026】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記監視機に前記捜索対象物の追跡飛行を実施させ、前記出動機としての航空機に前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施させる場合に、前記出動機としての航空機による捜索対象範囲を、前記監視機の捜索対象範囲よりも広い範囲とするものとしてもよい。
【0027】
前記出動機到着後アクション指令部は、前記捜索対象物を検出した前記監視機が航空機であって、前記出動機として航空機が応じる場合に、前記出動機の到着後に、前記監視機は前記捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施し、前記出動機は前記捜索対象物の追跡飛行を実施することを決定又は提案するものとしてもよい。
【0028】
前記追跡飛行を実行する前記出動機は、前記監視機とは異なる追跡用センサを実装した航空機であるものとしてもよい。
【0029】
前記捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置を推定する移動予測部をさらに備え、前記出動機要請部は、少なくとも前記捜索対象物の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号を外部に送信するものとしてもよい。
【0030】
前記監視対象領域における三角波の形状により、前記捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度の少なくともいずれかを推定するものとしてもよい。
【0031】
前記監視機又は前記出動機としての航空機に搭載された記録モジュールは、前記監視機又は前記出動機の機体から分離され、水に浮くように構成されるものとしてもよい。
【0032】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る監視方法は、コンピュータが監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出ステップと、前記捜索対象物検出ステップにより前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出ステップと、前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請ステップと、を実行する。
【0033】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係る監視プログラムは、コンピュータに監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出命令と、前記捜索対象物検出命令により前記捜索対象物を検出した場合に、前記捜索対象物の検出に関する位置を取得する捜索対象物位置検出命令と、前記捜索対象物の検出位置又は前記捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と、前記検出位置又は前記移動予測位置における出動機のアクションを要請する要請信号と、を外部に送信する出動機要請命令と、を実行させる。
【0034】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、捜索対象物を検出した場合に出動機を迅速に呼び寄せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの全体構成図である。
【
図2】前記監視システムと通信を行う監視機が海域および空域を監視する様子を示す概念図である。
【
図3】前記監視システム、および前記監視システムと通信を行う出動機の通信態様の例を示す模式図である。
【
図4】(a)前記監視機の1例である航空機の概略斜視図、(b)前記航空機が備える機体制御システムの機能構成図、である。
【
図5】前記監視システムが備える運航マネジメントシステムの機能構成図である。
【
図6】捜索対象物の属性と検出後アクションの対応関係の例を示すテーブルである。
【
図7】前記捜索対象物の属性、および出動機の種類に応じた到着後アクションの例を示すテーブルである。
【
図8】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの1例を示すフローチャートである。
【
図9】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの1例を示すフローチャートである。
【
図10】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う検出後アクションの処理の流れの例を示すフローチャートである。
【
図11】前記監視機としての無人航空機と、前記出動機としての衛星の動作の様子の1例を示す概念図である。
【
図12】前記監視機としての無人航空機と、前記出動機としての有人航空機の動作の1例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、例を表すに過ぎず、その用途、目的又は規模等に応じて、他の既知の要素や代替手段を採用可能である。
【0038】
<A.一実施形態>
[A-1.構成]
(A-1-1.概要)
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システム1(以下「航空データセンシングシステム1」「システム1」ともいう。)の全体構成図である。
【0039】
監視システム1は、監視対象領域F(
図2)において監視機110により検出された捜索対象物に応じて種々の処理を実行するものである。監視対象領域Fは、監視機110による撮影対象となる3次元のエリアであり、例えば水上、水中および上空を指す。また、監視対象領域Fには地上が含まれていてもよい。監視機110は、監視対象領域F内に存在していてもよいし、監視対象領域F外から撮影してもよい。
【0040】
捜索対象物は、例えば、不審船、不審航空機、遭難船、遭難者又は漂流物等を含む。不審船は、例えば領域侵犯をしている船、敵艦、工作船、密入国船、又は密漁船などを含む。不審飛行機は、敵の飛行機を含む。また、不審船および不審飛行機には、密入国、密漁又は密輸等の違法行為を行う機体を含む。遭難船には、例えば被災した災害船、座礁船、転覆船、無人船、漂流船などを含む。漂流物は例えば、船体、墜落機体、漁網又は木材、もしくはその破片、氷河、重油、又は機雷等を含む。なお捜索対象物はこれに限られず、種々の用途に応じて定められた物体を捜索対象物としてよい。
【0041】
図2に示すように、監視機110は、監視対象領域Fの少なくとも一部の監視範囲F110を撮影し、捜索対象物を捜索する装置である。監視機110の詳細については後述する。
【0042】
(A-1-2.監視システム1)
図1に示すように、監視システム1(航空データセンシングシステム1)は、主として、監視機110の飛行及び撮影を管理する機体制御システム1000と、拠点システム2000と、空域・海域監視管制システム3000と、を有する。
【0043】
機体制御システム1000は、監視機110に搭載されるシステムである。機体制御システム1000は、監視機110の各部を制御し、監視機110を定められた経路で運行させ、監視を行わせる。
【0044】
拠点システム2000は、拠点200に構成されるシステムである。拠点システム2000は、監視機110とデータの送受信を行うことで、監視機110が取得したデータを解析するとともに、解析結果等に応じて監視機110の作業計画を立案し、監視機110に送信する。
【0045】
拠点200は、地上等に固定されて配設される固定設備200aであってもよいし、移動可能な車両型装置200bであってもよい。また、拠点システム2000は、拠点200を複数含んでいてもよい。
【0046】
拠点システム2000は、主として、機体運航オペレートシステム2100と、取得データ管理システム2200と、通信インフラマネジメントシステム2300と、運航マネジメントシステム2400と、を機能的に有する。
【0047】
機体運航オペレートシステム2100は、監視機110のミッションを生成し、監視機110の移動を制御するシステムである。ミッションは、例えば監視機110の移動経路および移動速度を含む移動計画であり、移動経路は、例えば、旅客機等との干渉を予め避けるために高度150m以下の空域に生成される。機体運航オペレートシステム2100は、監視機110を自動運転させるために、通信インフラマネジメントシステム2300を介して監視機110に制御信号を送信する。
【0048】
取得データ管理システム2200は、映像又は画像を含む取得データを解析するシステムである。取得データ管理システム2200は、膨大な取得データに対する処理を取得データごとに決定し、通信インフラマネジメントシステム2300を介して処理命令を機体制御システム1000又は空間情報データ活用システム4000等に送信する。空間情報データ活用システム4000は、例えば監視機110によるセンシングデータを分析して、地図データやその他情報との統合処理などを行い、統合情報を公開する機能を有するシステムである。取得データ管理システム2200からの処理命令は、例えば、特定のデータを別のシステム1000、4000等に送信する命令、特定のデータを記憶する命令、又は特定のデータを解析する命令である。
【0049】
通信インフラマネジメントシステム2300は、拠点システム2000と機体制御システム1000との間でデータを送受信する通信手段を管理するシステムである。通信インフラマネジメントシステム2300は、例えば、機体運航オペレートシステム2100および取得データ管理システム2200により生成される情報を、機体制御システム1000に送信する。また、通信インフラマネジメントシステム2300は、既存インフラの通信可否に加えて通信速度を監視し、データ送受信の迅速性および緊急性などの判断をした上で、データの送信処理の種別を決定し、データの送受信を実行する。送信処理は、例えばパラレル送信・又は切替送信であってよい。また、通信インフラマネジメントシステム2300は、人によりメモリを物理的に運送することでデータを送信するとよい旨の判断をした場合には、その旨を適宜の表示部に表示させ、管理者にメモリの物理的な運送を要請してもよい。
【0050】
運航マネジメントシステム2400は、監視機110の運航の意思決定と指示を行うシステムである。運航マネジメントシステム2400は、例えば計測および飛行を含む監視機110の作業に関する計画を立案し、通信インフラマネジメントシステム2300を介して機体制御システム1000に送信する。また、運航マネジメントシステム2400は、処理を要する作業の優先順位を決定し、機体制御システム1000に送信してもよい。運航マネジメントシステム2400は、複数の監視機110の計画を立案し、それぞれの機体制御システム1000に当該計画の情報を送信してよい。
【0051】
また、運航マネジメントシステム2400は、例えば空域・海域監視管制システム3000から、環境又は他機の運航を理由とする管制要求を受け付け、監視機110の作業計画を調整する。さらに、運航マネジメントシステム2400は、監視機110が捜索対象物を検出した場合に、空域・海域監視管制システム3000に対して出動機の派遣を要請する。
運航マネジメントシステム2400が備える各機能構成は、後述する。
【0052】
拠点システム2000の構成は、単独の装置として実現されてもよく、一部又は全部が通信ネットワークNWで接続された複数の装置(例えば監視機110、運航マネジメントシステム2400)等により実現されてもよい。また、運航マネジメントシステム2400の各機能部は、互いに通信ネットワークNWで接続された異なる拠点システム2000に実装されることにより実現されてもよい。
【0053】
空域・海域監視管制システム3000は、少なくとも監視対象領域Fの空域および海域を監視するシステムである。空域・海域監視管制システム3000は、監視システム1の外部に配設されている既存の船舶管制システム5000又は航空管制システム6000からの情報を取得する。航空管制システム6000は、例えばドローン運航管理システム(UTM)、運航管理サブシステム(UASSP)、又は航空交通管理システム(ATM)であってよい。すなわち、空域・海域監視管制システム3000は、監視対象領域Fにおける環境や他機等の情報を計測又は取得し、運航マネジメントシステム2400に情報を送信する。運航マネジメントシステム2400は、空域・海域監視管制システム3000からの情報に基づいて、監視機110の作業計画に問題がある場合には、作業計画を変更する。
【0054】
また、空域・海域監視管制システム3000は、運航マネジメントシステム2400から受信した出動機の派遣要請に基づいて、船舶管制システム5000又は航空管制システム6000に出動機を要請する。
【0055】
本実施の形態では、1個の運航マネジメントシステム2400により複数の機体制御システム1000を制御するものとした。しかしながら、1台の監視機110に対して複数の運航マネジメントシステム2400が複数の通信ネットワークNWを介して接続され、すなわちシステムが冗長化されていてもよい。この場合、運航マネジメントシステム2400、又は通信ネットワークに異常が生じた場合であっても、冗長化された他の運航マネジメントシステム2400や通信ネットワークNWによりシステム1の動作、ひいては監視機110による監視および捜索対象物に対する処理を継続することができるため、システム1の信頼性を向上させることができる。
【0056】
図3は、監視システム1と通信を行う各構成の通信態様の例を示す模式図である。
図3に示すように、固定設備200aおよび車両型装置200b等の拠点200は、ネットワークNWを介して空間情報データ活用システム4000と接続されている。空間情報データ活用システム4000および固定設備200aは、ネットワークNWと有線で接続されている。また、車両型装置200bは、ネットワークNWと無線で接続されている。
【0057】
監視機110は、拠点200と無線で接続されている。また、拠点200は、無線により出動機300と接続される。
【0058】
なお、
図1に示す各構成の通信態様は、
図3に示す例に限らず任意であり、例えばインターネット回線等の通信ネットワーク又はLTE等の通信方法を介して、それぞれ相互に通信可能に接続されていてもよい。また、各構成は、人工衛星を介した衛星通信により通信ネットワークと通信接続されてもよい。
【0059】
(A-1-3.出動機300)
出動機300は、監視システム1からの出動要請に応じて、監視対象領域Fの所定の地点に対しアクションを行う機体である。出動機300は、例えば有人又は無人の航空機又は船である。出動機300は、出動機300は、監視機110と同等の構成であってもよい。
【0060】
出動機300は、監視機110とは異なる追跡用センサを実装した航空機であってもよい。例えば、監視機110は長時間稼働することを目的に、軽量又は省電力なセンサを搭載する一方、出動機300は、比較的重量がある、又は電力消費の大きいセンサを搭載していてもよい。この構成によれば、出動機300により監視機110とは異なる態様で捜索対象物を追跡できる。例えば、出動機300は、IRセンサを搭載していてもよい。この構成によれば、人又は火災の検知が容易である。また、出動機300は、暗視カメラを搭載していてもよい。この構成によれば、夜間の監視が可能である。
【0061】
出動機300は、出動の目的に応じて様々な装備を備える。出動機300は、救助又は救援の目的で所定地点に航行する場合に、スピーカ又は救援物資を備えていてもよい。救援物資は、例えば水、消火器、救急箱又は浮き輪等である。また、出動機300は、不審物に対する警告又は検挙の目的で航行する場合には、スピーカ又は兵器を備えていてもよい。監視システム1は、出動機300への出動要請において、所望する装備を合わせて通知してもよく、所望の装備を備えた出動機300が所望の地点に航行してもよい。
【0062】
また、出動機300は、人工衛星であってもよい。出動機300としての人工衛星310(
図11参照)は、運航マネジメントシステム2400からの要請に応じて、監視機110が捜索対象物を検出した位置が監視範囲F110に含まれるように撮影位置を調整してもよい。また、運航マネジメントシステム2400からの要請に応じて、捜索対象物が検出された位置が監視範囲F110に含まれる人工衛星310が選択され、選択された人工衛星310が、出動要請に応じて撮影データの伝送を開始するものとしてもよい。
【0063】
図11に示すように、例えば、航空機111は、捜索対象物を検出すると、捜索対象物の属性と位置を拠点200に送信する。拠点200は、少なくとも当該属性に応じて出動要請を空域・海域監視管制システム3000に送信する。空域・海域監視管制システム3000からの信号に応じた出動機300は、捜索対象物の位置に向かって飛行する。
【0064】
(A-1-4.監視機110)
(A-1-4-1.監視機110の概要)
図3に示すように、監視機110は、例えば、航空機111、船112、人工衛星113および地上載置レーダ114等である。航空機111は、例えば無人航空機である。航空機111は、例えば航空機111側方、前方又は上方の領域を検出領域とする検出センサ(
図4(b)の対象物検出センサ1300を参照)を備え、不審航空機S100等を検出する。また、航空機111の検出センサは、航空機111の下方を検出領域とし、航空機111下方の海上に存在する不審船S200、漂流船、漂流者、又は漂流物等を検出してもよい。
【0065】
船112は、水上、例えば海上を移動しながら監視対象領域Fを撮影する。船112は、側方又は上方を監視領域とする広域監視レーダ(図示を省略)を備え、海上から捜索対象物を検出する。広域監視レーダは、公知の適宜の技術を採用して構成することができる。
【0066】
人工衛星113は、地球の周辺を移動しながら監視対象領域Fを撮影する。
【0067】
地上載置レーダ114は、地上に載置される装置である。地上載置レーダ114は、例えば側方又は上方を監視領域とする広域監視レーダ(図示を省略)を備え、地上から捜索対象物を検出する。また、地上載置レーダ114は、船上又は陸上の移動体に載置してもよく、監視機110は、船上又は陸上に載置された地上載置レーダ114を含んでもよい。
【0068】
移動する監視機110においては、監視する監視範囲F110を、移動とともに変化させながら監視対象領域Fの監視を行う。また、監視機110は、センサの向きを変化させることで監視範囲F110を変化させて監視対象領域Fの監視を行ってもよい。
【0069】
また、監視機110は、上述に記載した態様に限られず、例えば陸上又は船上に載置され、捜索対象物を捜索する種々の構成が含まれてもよい。
【0070】
監視機110は、1個のシステム1に複数含まれており、システム1は、1個の監視対象領域Fに複数の監視機110を同時に飛行させたり、監視に用いることで当該監視対象領域Fを撮影することができる。なお、本実施の形態では、監視機110はシステム1に含まれるものとして記載したが、監視システム1には少なくとも監視機110への制御指令を送信する構成があればよく、監視機110自体がシステム1に含まれる態様には限られない。
【0071】
(A-1-4-2.航空機111)
図4(a)は、監視機110の1例である航空機111の一例を示す斜視図である。
本明細書において、「航空機」とは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、及び、完全自律飛行型であるか部分手動操縦型であるか等)を問わず、また、有人か無人かを問わず、自律的に姿勢制御を行う機能を有する飛行体全般を指すこととする。また、航空機は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、飛行体、マルチコプター(Multi Copter)、RPAS(Remote Piloted Aircraft Systems)、又はUAS(Unmanned Aircraft Systems)等と称呼されることがある。
【0072】
航空機111は、飛行するための機構的な構成として、主として機体111a、主翼111bおよび尾翼111c等を備える。なお、航空機111は図示した態様に限らず、適宜の構成が採用できる。例えば、航空機111は、固定翼機の他、回転翼機であってもよいし、固定翼および回転翼を備える垂直離着陸機(VTOL、Vertical Take-Off and Landing aircraft)であってもよい。また、回転翼を備える場合には、障害物に対する回転翼の干渉を防ぐためのプロペラガード(図示せず)を設けてもよい。
【0073】
機体111aには、例えば対象物検出センサ1300が、機体111a下方又は前方に保持されている。機体111aは対象物検出センサ1300を複数備えていてよい。監視機110は、監視機110の周囲にいる人々に対して警告を発報する警報装置、例えば警告灯及びスピーカを有していてもよい。
【0074】
(A-1-5.機体制御システム1000)
(A-1-5-1.機体制御システム1000の機能ブロック)
図4(b)は、本実施形態の機体制御システム1000の機能構成図である。機体制御システム1000は、監視機110に搭載され、監視機110の飛行及び撮影を管理又は制御する。
【0075】
機体制御システム1000は、情報処理を実行するためのCPU等の演算装置、RAM及びROM等の記憶装置を備え、これによりソフトウェア構成として、主として機体制御部1100、自己位置測位部1200、対象物検出センサ1300、捜索対象物検出部1400、捜索対象物位置検出部1500、捜索対象物移動予測部1600、データ記録部1700、通信部1800および分離部1900の各機能ブロックを構成する。
【0076】
(A-1-5-2.機体制御部1100)
機体制御部1100は、監視機110を動作させる機構および機能部であり、監視機110が航空機111である場合には、航空機111を浮上させて所望の方向に移動するための推力を機体に発生させる。監視機110が船112である場合には、船112を海上で所望方向に移動するための推力を機体に発生させる。監視機110が衛星113である場合には、衛星113の位置を制御してもよい。
【0077】
航空機111に搭載される機体制御部1100は、フライトコントローラとも呼ばれる処理ユニットを有する。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU)、MPU又はDSP)等の1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、メモリ(記憶部)にアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、及び/又はプログラム命令を記憶している。
【0078】
処理ユニットは、監視機110の機体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、監視機110が航空機111である場合、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する監視機110の空間的配置、姿勢角角度、角速度、角加速度、角躍度速度及び/又は加速度を調整する。すなわち、機体制御部1100は、監視機110に浮上、前進、旋回、着陸等の各動作を行わせ、離陸から飛行中、着陸までの監視機110の姿勢角制御及び飛行動作を制御する。
【0079】
機体制御部1100は、例えば機体運航オペレートシステム2100から取得した自律飛行プログラムに基づいて、監視機110の飛行を制御することができる。また機体制御部1100は、監視対象領域F、飛行許可/禁止エリア、これに対応する飛行ジオフェンスの情報、2次元又は3次元の地図データを含む地図情報、監視機110の現在の位置情報、姿勢情報(機首方位情報)、速度情報、及び加速度情報等の各種情報及びこれらの任意の組み合わせに基づいてモータを制御することにより、監視機110の飛行を制御することができる。
【0080】
機体制御部1100は、対象物検出センサ1300の向きおよびズーム量等を制御してよい。機体制御部1100は、対象物検出センサ1300の向きに関し、水平に対するピッチ角度および所定の基準方向に対するヨー角度のいずれか又は両方を制御してもよい。機体制御部1100は、監視モードに基づいて、監視モードに設定されている位置、高さ、方向、ズーム量で撮影がなされるように監視機110および対象物検出センサ1300に関する指令を生成し、監視機110に送信する。例えば、機体制御部1100は、捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、捜索対象物に監視機110を接近させる、又は対象物検出センサ1300としてのカメラのズーム量を増加させることにより、捜索対象物の接近画像を取得させるものとしてもよい。
【0081】
(A-1-5-3.自己位置測位部1200)
自己位置測位部1200は、人工衛星からの信号を受信し、それに基づいて機体の位置(絶対位置)を測定する。自己位置測位部1200は、特に限定されないが、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)、GPS(Global Positioning System)等を用いて、現時点での自己位置を測定する。自己位置の測定方法として、例えば、RTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)を用いることもできる。位置情報は、少なくとも平面視での2次元での座標情報(例えば緯度、経度)を含み、好ましくは高度情報を含む3次元での座標情報を含む。
【0082】
(A-1-5-4.対象物検出センサ1300)
対象物検出センサ1300は、監視範囲F110において捜索対象物に関する情報を取得するセンサである。対象物検出センサ1300は、例えば捜索対象物の画像を取得するカメラであるが、点群データを取得するレーザーセンサ(例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging))等のセンサであってもよい。また、対象物検出センサ1300は、可視光カメラの他、IRカメラであってもよい。
【0083】
対象物検出センサ1300は、図示しないセンサアクチュエータにより向き(監視機110の機体111aに対する対象物検出センサ1300の姿勢)を調整可能である。対象物検出センサ1300は、露出、コントラスト又はISO等のパラメータの自動制御機能を有していてもよい。対象物検出センサ1300の保持部は、機体の揺れ又は振動が対象物検出センサ1300に伝わるのを抑制する、いわゆるジンバル制御の機構を有していてもよい。機体制御部1100は、対象物検出センサ1300および保持部を制御してカメラの撮影範囲等を調整する。
【0084】
対象物検出センサ1300が取得した画像データは、運航マネジメントシステム2400等に送信される。また、画像データは、監視機110自体のデータ記録部1700に記憶されてもよい。
【0085】
(A-1-5-5.捜索対象物検出部1400)
捜索対象物検出部1400は、対象物検出センサ1300により得られる情報に基づいて、捜索対象物を検出する機能部である。捜索対象物検出部1400は、例えば対象物検出センサ1300としてのカメラで得られる画像を画像解析することで、捜索対象物を検出する。捜索対象物検出部1400は、例えば捜索対象物の属性を検出してもよい。属性とは、例えば捜索対象物の種別に関する情報であって、例えば捜索対象物が推進機能を有するか否か、捜索対象物が不審な航空機又は不審船であるか、又は捜索対象物が遭難船又は遭難者であるか否かの情報を含む。
【0086】
(A-1-5-6.捜索対象物位置検出部1500)
捜索対象物位置検出部1500は、捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、捜索対象物の検出に関する位置を取得する機能部である。捜索対象物の検出に関する位置は、捜索対象物を検出した時点における監視機110の位置座標であってもよい。また、捜索対象物を検出に関する位置は、捜索対象物を検出した時点における監視機110の監視範囲F110を解析することで推定される、捜索対象物の位置座標であってもよい。
【0087】
(A-1-5-7.捜索対象物移動予測部1600)
捜索対象物移動予測部1600は、捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置を推定する機能部である。捜索対象物移動予測部1600は、例えば、対象物検出センサ1300で得られた情報を参照し、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度を算出する。例えば、捜索対象物移動予測部1600は、監視対象領域Fにおける三角波の形状により、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度の少なくともいずれかを推定してもよい。捜索対象物移動予測部1600は、得られた捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて移動予測位置を推定する。
なお、機体制御システム1000は、移動予測位置の推定に代えて、又は加えて、過去の位置、すなわち位置の履歴を推定してもよい。機体制御システム1000は例えば、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて、捜索対象物の過去の位置を推定する。
【0088】
(A-1-5-8.データ記録部1700)
データ記録部1700は、監視機110による捜索作業により得られたデータを、監視機110内部の記録媒体に記録する機能部である。データ記録部1700は、自己位置測位部1200により得られた位置座標、および対象物検出センサ1300により得られる画像データ等のセンシングデータ等を記録する。記録媒体は、例えば、SDカードやRAM等の分離可能な媒体を含んでいてもよい。
【0089】
(A-1-5-9.通信部1800)
通信部1800は、通信ネットワークNWを介しての電波通信が可能であり、例えば、電波通信モジュールを含む。通信部1800は、通信ネットワークNWを介することで、監視機110等との通信が可能である。通信部1800は、例えばWi-Fi、2.4GHz、5.6~5.8GHzの周波数帯域を用いた無線通信により監視機110と無線通信を行う通信機能を備えている。また、通信部1800は、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格を利用して通信ネットワークNWを介して運航マネジメントシステム2400と通信を行うことができる無線通信機能を備えている。通信部1800は、例えば、捜索対象物検出部1400により取得した捜索対象物を検出した旨の情報、捜索対象物の位置、属性、数、大きさおよび捜索対象物移動予測部1600により予測した所定時間経過後の予測位置の情報等を運航マネジメントシステム2400等に送信する。また、通信部1800は、運航マネジメントシステム2400から、捜索対象物の詳細情報を取得すべき旨の指令等を受信する。
【0090】
通信部1800は、例えば運航マネジメントシステム2400に対してリアルタイム伝送を行ってもよい。通信部1800は、例えば捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、対象物検出センサ1300が取得した画像を含むデータのリアルタイム伝送を実行してもよい。
【0091】
(A-1-5-10.分離部1900)
分離部1900は、監視機110から分離して独立して動作可能な部位であり、いわゆるブイの形状をしている。分離部1900は、運航マネジメントシステム2400のブイ投下指令部2424c(
図5参照)からの指令に基づいて監視機110から物理的に分離される。なお、分離部1900は、機体制御システム1000が備える適宜の構成からの指令に応じて、監視機110から分離されてもよい。監視機110が航空機111である場合、分離部1900は例えば航空機111の飛行中に分離され、海上に落下する。
【0092】
分離部1900は、主として、位置測位部1910、データ記録部1920、および通信部1930を備える。
【0093】
位置測位部1910は、分離部1900の位置座標を測位する機能部である。位置測位部1910は、例えばGNSS等の適宜の技術を用いて分離部1900の位置座標を取得してよい。
【0094】
データ記録部1920は、位置測位部1910により測位された分離部1900の位置座標を記録する記録モジュールである。また、データ記録部1920は、分離部1900が分離される以前に監視機110により取得されたデータの少なくとも一部を記録していてもよい。このような構成によれば、監視機110が墜落したり、不審者等に回収されてしまった場合にも、分離部1900のデータを収集することで、不審者に関する情報を取得できる。データ記録部1920は、記憶される撮影データが破損しないよう物理的に保護されている。
【0095】
通信部1930は、分離部1900が備える情報を運航マネジメントシステム2400等に対して送信する機能部である。通信部1930は、例えば分離部1900の位置座標を運航マネジメントシステム2400に送信する。この構成によれば、監視機110が捜索対象物を検出した後にその場を離れた場合であっても、捜索対象物の位置を運航マネジメントシステム2400に送信することができる。また、位置情報を取得できる構成によれば、分離部1900を回収する場合にも、発見が容易である。この構成は、漂流船や漂流者等、分離部1900の保持に協力的な捜索対象物の位置を把握する際にも有用である。
【0096】
分離部1900は、水に浮くように構成されている。この構成によれば、分離部1900を海上に投下した場合にも、紛失の恐れが少ない。また、漂流者に対して分離部1900を投下する構成においては、漂流者が沈まないようにする一助とすることができる。なお、データ記憶部1920周辺の構成は、他の構成に比べて浮力が高くなるように構成されていてもよい。浮力の調整は、バラスト機構や浮き輪の展開等の適宜の構成により実現されてよい。なお、分離部1900を分離して海上に投下する場合に限らず、監視機自体がバラスト機構や浮き輪の展開等の適宜の構成により水に浮くように構成され、位置測位部1910と通信部1930により、位置情報を運航マネジメントシステム2400等に対して送信するようにしても良い。
【0097】
なお、ここまで説明した監視機110の構成は、出動機300にも適宜採用できる。すなわち、出動機300は、監視機110と同等の構成であってもよい。特に、出動機300は、機体から分離され、水に浮くように構成される分離部を備えていてもよい。
【0098】
(A-1-6.運航マネジメントシステム2400)
(A-1-6-1.運航マネジメントシステム2400の概要)
図5は、本実施形態の運航マネジメントシステム2400の機能構成図である。運航マネジメントシステム2400は、例えばワークステーション又はパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。運航マネジメントシステム2400は、各種情報の入力又は出力(画像出力、音声出力)のための入出力部(図示せず)を備えていてもよい。
【0099】
運航マネジメントシステム2400は、情報処理を実行するためのCPU等の演算装置、RAM及びROM等の記憶装置を備え、これによりソフトウェア構成として、主として、捜索対象物確定部2410、検出後アクション指令部2420、出動機到着後アクション指令部2430、通信部2440および記憶部2450の各機能ブロックを構成する。
【0100】
(A-1-6-2.捜索対象物確定部2410)
捜索対象物確定部2410は、監視機110が取得した画像又は映像を解析し、捜索対象物の属性および位置を確定する機能部である。
捜索対象物確定部2410は、主として、捜索対象物判定部2411、捜索対象物位置判定部2412、および詳細情報取得指令部2413を備える。
【0101】
(A-1-6-2-1.捜索対象物判定部2411)
捜索対象物判定部2411は、監視機110が取得した情報に基づいて、検出された捜索対象物の属性を判定する機能部である。捜索対象物の属性は、例えば検出された捜索対象物が船か航空機であるかの情報であってよい。また、捜索対象物の属性は、検出された捜索対象物が推進機能を有する物体であるか否かの情報を含んでよい。推進機能を有する物体は、例えば船又は航空機である。また、推進機能を有さない物体は、例えば漂流船を含む漂流物である。さらに、捜索対象物の属性は、検出された捜索対象物が不審なものであるか否かの情報を含んでもよい。さらにまた、捜索対象物判定部2411は、検出された捜索対象物の属性として、敵対する敵タイプ、違法行為を行う違法タイプ、民間機体又は人である民間タイプ、および物体である物タイプ、のいずれのタイプに該当するかを判定してもよい。
【0102】
捜索対象物判定部2411は、適宜の画像認識技術により捜索対象物を判定してよい。また、捜索対象物判定部2411は、例えばあらかじめ記憶部2450等又は適宜の装置に格納されたホワイトリスト又はブラックリストを参照し、検出された捜索対象物が不審なものであるか否かを判定してもよい。
【0103】
(A-1-6-2-2.捜索対象物位置判定部2412)
捜索対象物位置判定部2412は、捜索対象物の位置を判定する機能部である。捜索対象物位置判定部2412は、監視機110の自己位置測位部1200により得られるデータに基づいて、捜索対象物の位置が特定可能であるか判定する。また、捜索対象物位置判定部2412は、当該データに基づいて、捜索対象物の位置座標を取得する。捜索対象物位置判定部2412は、監視機110において監視機110自身の位置座標のみが測位されている場合には、監視機110自身の位置座標と、対象物検出センサ1300の向きの情報等に基づいて、捜索対象物の位置座標を推定する処理を行ってもよい。
【0104】
(A-1-6-2-3.詳細情報取得指令部2413)
詳細情報取得指令部2413は、捜索対象物判定部2411又は捜索対象物位置判定部2412において、監視機110から取得した情報によっては捜索対象物の属性又は位置が判定できない場合に、監視機110に対し詳細情報を取得する旨の指令を送信する。指令を受信した監視機110は、例えば捜索対象物により接近したり、ズーム量を大きくして撮影を行う。
【0105】
(A-1-6-3.検出後アクション指令部2420)
検出後アクション指令部2420は、監視機110が捜索対象物を検出した場合に、監視機110を含む各構成により実施するアクションを判定又はアクション案を判定し、アクションに応じた処理を実行、又はユーザにより承認されたアクション案に応じた処理を実行する機能部である。
【0106】
検出後アクション指令部2420は、主として、検出後アクション判定部2421、出動機要請部2422、通報部2423、および監視機指令部2424を備える。
【0107】
(A-1-6-3-1.検出後アクション判定部2421)
●捜索対象物と検出後アクションの対応関係
図6は、検出された捜索対象物の属性と、検出後アクションとの対応関係を格納する検出後アクションテーブルT101の例を示す図である。
検出後アクション判定部2421は、対象物検出センサ1300により取得した捜索対象物の検出情報に基づいて、検出後アクションの態様を決定又はユーザへ提案してもよい。ユーザへ検出後アクションを提案する場合には、ユーザにより実行するアクションをアクション案から承認または選択される。検出情報には、例えば捜索対象物の属性、数又は大きさの情報が含まれる。検出後アクション判定部2421は、機体制御部1100が捜索対象物の検出に応じて捜索対象物の接近画像を取得した場合には、当該接近画像に基づいて検出後アクションの態様を決定又は提案してもよい。
【0108】
検出後アクションは、例えば、出動機300の要請信号の送信、監視機110による追跡監視、および外部システムへの通報のうち少なくともいずれかである。検出後アクション判定部2421は、捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、対象物検出センサ1300により取得した捜索対象物の検出情報に基づいて、要請信号の送信要否を判定してもよい。また、検出後アクションは、監視機110の監視モードを設定する処理、監視機110から取得データ管理システム2200に対する撮影データのリアルタイム伝送および分離部1900の投下を含む。また、1個の捜索対象物の検出に対して、複数の検出後アクションが指定されていてもよい。
【0109】
検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した監視機110の属性又は検出された捜索対象物の属性に応じて、出動を要請する出動機300の種類を異ならせてもよい。例えば、検出された捜索対象物が敵タイプ、違法タイプ又は民間タイプの場合には、即座にアクションを判定し、出動機要請部2422、通報部2423又は監視機指令部2424によりアクションを実行させる。
【0110】
検出後アクション判定部2421は、検出された捜索対象物が物タイプの場合、物の種類、数、大きさに応じて、アクションの要否を判定する。例えば、検出後アクション判定部2421は、検出された捜索対象物が機雷である場合には大きさおよび数に限らずアクションを実行することを決定する。一方、検出後アクション判定部2421は、破片、氷河、重油等の機雷以外の物が検出された場合には、所定以上の大きさ又は個数である場合にアクションを行うことを決定し、物が所定未満の大きさ又は個数である場合には、アクションを行わないことを決定してもよい。なお、検出後アクション判定部2421は、アクション要否を判定後、自動でアクションの要否を決定しても良いが、アクション要否判定結果をユーザに通知して、ユーザから入力される入力信号に基づいてアクションの要否を決定しても良い。
【0111】
図6に示す検出後アクションテーブルT101の内容について説明する。なお、この検出後アクションテーブルT101は1例であり、本発明の技術的思想はこれに限られない。また、検出後アクション判定部2421は、
図6に示す検出後アクションテーブルに基づいて、アクションの内容を判定後、自動でアクションを実行しても良いが、アクション内容の判定結果をユーザに通知して、ユーザから入力される入力信号に基づいて実行するアクションを決定しても良い。
例えば、捜索対象物として不審船および不審飛行機が検出された場合は、通報を行い、いずれの種類の出動機が出動してもよい旨の要請を行う。また、監視機110から取得データ管理システム2200に対する撮影データのリアルタイム伝送を実行する。
図6の例においては、不審船に対しては、分離部1900の投下は行わないものとしている。不審船は移動するため、分離部1900による位置の捕捉は不可能であるためである。なお、不審船を発見した場合に分離部1900の投下を行うものとしてもよい。不審船が監視機110に攻撃することで監視機110に格納されているデータが消失するおそれがあるところ、この構成によれば、データ記録部1920を含む分離部1900を分離して投下することで、攻撃によるデータ消失のリスクを低減することができる。不審飛行機は飛行しているため、分離部1900による位置の捕捉は不可能であるので、分離部1900の投下は行わない。
【0112】
捜索対象物として遭難船および遭難者が検出された場合は、通報を行い、人命救助のため有人の航空機又は船に対して出動要請を行う。なお、航空機と船のいずれが適切であるかは、緊急性や救出対象者の人数、出動可能な船の到着時刻等に基づいて適宜の管理者が判断を入力できるようになっていてよい。また、この場合にも監視機110から取得データ管理システム2200に対する撮影データのリアルタイム伝送を実行する。遭難船又は遭難者の位置を捕捉するため、分離部1900を遭難船又は遭難者の近傍に投下する。
【0113】
捜索対象物として漂流物が検出された場合には、出動要請およびリアルタイム伝送は不要である。ただし、所定の大きさ又は数を超えた漂流物を発見した場合には、通報又は分離部1900の投下を実行してよい。
【0114】
上述した通り、捜索対象物の検出情報に基づいてアクションを判定する構成によれば、捜索対象物の属性に応じたアクションを効果的に実行することができる。
【0115】
検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した監視機110の属性に基づいて監視機110の検出後アクションを判定してもよい。検出後アクションは、例えば監視機110の監視モードを設定する処理である。監視機110は、例えば設定された監視モードに基づいてアクションを実行する。監視モードは、例えば、捜索対象物を追尾する追跡モード、捜索対象物の上空を旋回飛行する第2追跡モード、および捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を継続する周辺捜索モード、捜索対象物に関する取得生データを一次帰還して受け渡す帰還モード等を含む。
【0116】
例えば、検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が推進機能を有する航空機である場合には、監視機110が航空機を追尾する追跡飛行を行う第1追跡モードで運行することを決定又は提案し、捜索対象物が推進機能を有する船である場合には、監視機110が船の上空を旋回飛行する第2追跡モードで運行することを決定又は提案してもよい。
【0117】
また、検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した場合に、監視機110が捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を継続する周辺捜索モードにて運航することを決定又は提案してもよい。
【0118】
検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111である場合であって、検出された捜索対象物が推進機能を有さない物体である場合、捜索対象物の近傍に分離部1900を投下することを決定又は提案してもよい。
【0119】
検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した場合に、出動機300の別の例である人工衛星310(
図11参照)により撮影される複数の衛星画像を取得データ管理システム2200へリアルタイム伝送することを決定又は提案してもよい。
【0120】
図11に示すように、出動機300が人工衛星310である場合、監視機110としての航空機111は、捜索対象物としての不審船S200を検出した場合に、捜索対象物の検出位置を含む監視範囲F110を監視する人工衛星310に通知する。人工衛星310は、捜索対象物を含む衛星画像をリアルタイムで拠点200に送信する。拠点200に備えられる取得データ管理システム2200は、複数の衛星画像のうち、捜索対象物を含む衛星画像を、捜索対象物を含まない衛星画像よりも優先して解析する。この構成によれば、画像解析する海域を絞り込むことで、効率よく捜索対象物を解析できる。また、取得データ管理システム2200は、捜索対象物の現在地の算出および捜索対象物の属性解析を他の処理に優先して実行する。
【0121】
また、検出後アクション判定部2421は、捜索対象物を検出した場合に、人工衛星310による衛星画像のリアルタイム伝送を、捜索対象物を検出した時点以降も継続させ、取得データ管理システム2200は、捜索対象物を検出した時点以降の衛星画像において、捜索対象物の位置検出を継続してもよい。このような構成によれば、監視機110の作業状況に関わらず捜索対象物の追跡を継続できる。
【0122】
なお、運航マネジメントシステム2400は、漁船や海上保安庁等の管理当局からの通報を契機に、通報に含まれる位置情報に応じて監視機110を当該領域に向かわせてもよい。また、運航マネジメントシステム2400は、漁船や海上保安庁等の管理当局からの通報を契機に、通報に含まれる領域を監視する監視機110を抽出し、監視機110から当該領域の情報を送信させ、この情報を元に、捜索対象物確定部2410により捜索対象物の属性および位置情報を判定してもよい。
【0123】
(A-1-6-3-2.出動機要請部2422)
出動機要請部2422は、捜索対象物の検出位置又は捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置と共に、検出位置又は移動予測位置に出動機300の派遣を要請する要請信号を外部に送信する機能部である。ここでいう外部とは、本実施の形態では空域・海域監視管制システム3000である。検出位置又は移動予測位置の情報を要請信号と合わせて送信する構成によれば、出動機300を捜索対象物の位置に迅速に到着させることができる。
【0124】
出動機要請部2422は、出動機300のアクションとして有人又は無人の航空機又は船の出動を要請する要請信号を送信する。また、出動機要請部2422は、少なくとも捜索対象物の移動予測位置と、検出位置又は移動予測位置における出動機300のアクションを要請する要請信号を、空域・海域監視管制システム3000に送信する。
【0125】
この構成によれば、1機の監視機110のみでは行えない複数のアクションを、捜索対象物に対して効果的に実行することができる。また、監視機110により取得したデータを受け渡すために帰還が必要な場合や、監視機110のバッテリ残量が低下し、充電のために帰還が必要な場合にも、出動機300により引き継いでアクションを行うことができるので、捜索対象物に対するアクションを適切に持続できる。
【0126】
なお、出動機要請部2422は、漁船や海上保安庁等の管理当局からの通報を契機に、出動機300の要請信号を空域・海域監視管制システム3000に送信してもよい。
【0127】
(A-1-6-3-3.通報部2423)
通報部2423は、外部システムに通報を行う機能部である。通報部2423は、例えば海上保安庁等の当局に対し通報を行う。通報部2423は、通報信号を送信する際に、検出された捜索対象物の属性および位置の情報を当局のシステムに対し送信する。また、通報部2423は、検出された捜索対象物の数および大きさの情報を当該システムに対し送信してもよい。
【0128】
(A-1-6-3-4.監視機指令部2424)
監視機指令部2424は、検出後アクション判定部2421により決定されたアクションを監視機110に行わせるための指令を、機体制御システム1000又は監視機110に送信する。
【0129】
監視機指令部2424は、主として、監視モード指令部2424a、データ伝送指令部2424b、およびブイ投下指令部2424cを備える。
監視モード指令部2424aは、監視機110の監視モードに関する情報を送信する機能部である。
【0130】
データ伝送指令部2424bは、捜索対象物に関する取得生データをリアルタイムに無線通信する、いわゆるリアルタイム伝送の実行を指令する機能部である。
【0131】
ブイ投下指令部2424cは、分離部1900を監視機110から分離させ、捜索対象物周辺に投下することを指令する機能部である。分離部1900は、位置測位部1910により、捜索対象物の位置を測位する。測位された位置情報は、データ記録部1920に記憶される。また、通信部1930により、当該位置を運航マネジメントシステム2400に送信する。
【0132】
(A-1-6-4.出動機到着後アクション指令部2430)
出動機到着後アクション指令部2430は、要請を受け入れた出動機300の到着後における、監視機110と出動機300の少なくともいずれかのアクションを捜索対象物の属性に応じて決定又はユーザに提案する機能部である。
出動機到着後アクション指令部2430は、主として、到着後アクション判定部2431、監視機指令部2432、および出動機指令部2433を備える。
【0133】
(A-1-6-4-1.到着後アクション判定部2431)
到着後アクション判定部2431は、検出された捜索対象物の属性および出動要請に応じた出動機300の種類に応じて、監視機110および出動機300の出動機到着後アクション又はユーザに提案する出動機到着後アクションを決定する機能部である。到着後アクション判定部2431は、出動要請に応じた出動機300の情報を取得すると、記憶部2450に格納される出動機到着後アクションテーブルT102(
図7参照)を参照し、検出された捜索対象物の属性および出動要請に応じた出動機の種類に応じて、監視機110および出動機300の出動機到着後アクションを決定する。また、到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110の属性に応じて、監視機110および出動機300の出動機到着後アクション又はユーザに提案する出動機到着後アクションを決定する。到着後アクションは、例えば監視機110および出動機300の監視モードを設定する処理である。ここで、到着後アクション判定部2431は、
図7に示す到着後アクションテーブルに基づいて、監視機および出動機のアクションの内容を判定後、アクション内容の判定結果を決定しても良いが、アクション内容の判定結果をユーザに通知して、ユーザから入力される入力信号に基づいてアクションを決定しても良い。
【0134】
なお、到着後アクション判定部2431は、出動機300の到着時点又は到着後に出動機到着後アクションを判定してもよいし、出動要請に応じる出動機300の種類の情報を取得した場合に、出動機到着後アクションを判定してもよい。また、到着後アクション判定部2431は、例えば出動機300の種類に関わらず監視機110の動作が決定される場合には、出動機300の種類を取得する前に、監視機110が行うアクションを判定してもよい。
【0135】
●捜索対象物と出動機到着後アクションの対応関係
図7に示すように、出動機到着後アクションテーブルT102は、検出される捜索対象物と、出動機300の種類と、出動機300到着後に監視機110および出動機300により行われる出動機到着後アクションとの対応関係が記憶されるテーブルである。
【0136】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が不審船S200又は不審航空機S100である場合に、監視機110と出動機300の両方で、捜索対象物の追跡飛行を実行することを決定又は提案してもよい。この構成によれば、監視機110と出動機300による冗長体制での追跡飛行が行えるため、どちらかが墜落した場合でも追跡を継続できる。
【0137】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が不審船S200であり、出動機300として船を要請する場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡を実施することを決定又は提案してもよい。なお、周辺捜索モードは、航空機111でのみ実行が許可され、船112による周辺捜索モードでは実行が禁止されていてもよい。上述の通り監視機110が周辺捜索を行い出動機300が追跡を行う場合には、監視機110は周辺捜索に特化したセンサ(例えば、カメラ、レーダ、またはLiDAR)のみを装備し、出動機300は追跡に特化したセンサ(例えば、IRセンサ(人又は火災の検知が容易)や暗視カメラ(夜間の追跡が可能))の装備を行えば足りるので、各装備を軽量かつ少数にすることができる。
【0138】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が遭難船であり、出動機300として船又は航空機を要請する場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡又は救助を実施することを決定又は提案してもよい。
【0139】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が不審船S200又は不審航空機S100であり、出動機300として航空機を要請する場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案してもよい。
【0140】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機であって、出動機300として航空機を要請する場合に、出動機300の到着後に、監視機110は捜索対象物の追跡飛行することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案してもよい。
【0141】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が不審船S200であり、出動機300として船が応じる場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡を実施することを決定又は提案してもよい。
【0142】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、検出された捜索対象物が遭難船であり、出動機300として船又は航空機が応じる場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡又は救助を実施することを決定又は提案してもよい。
【0143】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機であって、検出された捜索対象物が不審船S200又は不審航空機S100であり、出動機300として航空機が応じる場合に、出動機300の到着後に、監視機110は帰還することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の追跡又は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案してもよい。
【0144】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、出動機300として航空機が応じる場合に、出動機300の到着後に、監視機110は捜索対象物の追跡飛行することを決定又は提案し、出動機300は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施することを決定又は提案してもよい。この場合、到着後アクション判定部2431は、出動機300としての航空機による捜索対象範囲を、監視機110の捜索対象範囲よりも広い範囲としてもよい。
【0145】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、出動機300として航空機が応じる場合に、監視機110は捜索対象物の周辺を含む広域を飛行して捜索を実施し、出動機300は捜索対象物の追跡飛行を実施することを決定又は提案してもよい。また、到着後アクション判定部2431は、出動機300として監視機110とは異なる追跡用センサを実装した航空機が要請に応じた場合に、当該出動機に追跡飛行を実施させることを決定又は提案してもよい。
【0146】
到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、出動機300として航空機が応じる場合に、監視機110を帰還させることを決定又は提案してもよい。この構成によれば、監視機110に記録されたデータをいち早く回収し、解析を進めることができる。
【0147】
図12に示すように、到着後アクション判定部2431は、捜索対象物を検出した監視機110が航空機111であって、出動機300として有人の航空機が応じる場合に、捜索対象物を検出した監視機110の飛行高度を低下させてもよい(例えば、150m以下の高度に低下させる)。このような構成によれば、監視機110と出動機300の飛行高度を異ならせることができるため、空域の干渉を防止できる。なお、到着後アクション判定部2431は、出動機300として無人の航空機が応じる場合であっても、監視機110の飛行高度を低下させることで、監視機110と出動機300の飛行高度を互いに異ならせてもよい。
【0148】
応援要請は、様々な種類の出動機に対して行われる。この出動要請は、監視システム1とは異なるシステム、例えば船舶管制システム5000又は航空管制システム6000に送信され、各システム5000、6000により出動要請に応える出動機300が決定される。したがって、監視システム1は、出動要請に応じた出動機300の種類を船舶管制システム5000、航空管制システム6000又は空域・海域監視管制システム3000から取得し、取得された出動機300の属性に応じて監視機110および出動機300のアクションを決定する。このような構成によれば、出動機300の種類に応じた柔軟な対応が実現できる。
【0149】
なお、
図7に示す出動機到着後アクションテーブルT102は、あくまで1例であり、テーブルに格納される具体的なアクションはこれに限られない。また、
図7に示す出動機到着後アクションテーブルT102では監視機110が航空機111である場合について格納されているが、到着後アクション判定部2431は、監視機110の種類に応じて到着後アクションを異ならせてもよい。
【0150】
(A-1-6-4-2.監視機指令部2432)
監視機指令部2432は、到着後アクション判定部2431により決定された監視機110のアクションに関する指令を、監視機110に送信する機能部である。
【0151】
(A-1-6-4-3.出動機指令部2433)
出動機指令部2433は、到着後アクション判定部2431により決定された出動機300のアクションに関する指令を、出動機300に送信する機能部である。
【0152】
(A-1-6-5.通信部2440)
通信部2440は、図示しないモデム等を有し、通信ネットワークNWを介して監視機110、空域・海域監視管制システム3000、空間情報データ活用システム4000、等との通信が可能である。
【0153】
(A-1-6-6.記憶部2450)
記憶部2450は、監視機110および出動機の制御に係る情報を記憶する機能部であり、例えばデータベースである。記憶部2450は、例えば捜索対象物の属性と、検出後アクションとの対応関係を格納する検出後アクションテーブルT101(
図6参照)を記憶する。また、記憶部2450は、捜索対象物の属性と、出動要請を行う出動機の種類と、出動機の到着後に監視機110および出動機が行う到着後アクションとの対応関係を格納する出動機到着後アクションテーブルT102(
図7参照)を記憶する。検出後アクションテーブルT101および出動機到着後アクションテーブルT102は書換可能に記録されていてもよい。
【0154】
(A-1-7.フローチャート)
図8を用いて、捜索対象物検出した場合に実行される処理の流れの1例を説明する。
まず、機体制御システム1000の機体制御部1100により、監視機110による監視対象領域Fの監視を行わせる(ステップS101)。捜索対象物検出部1400により捜索対象物が検出されると、捜索対象物位置検出部1500により検出される捜索対象物の位置、および対象物検出センサ1300により取得される情報を運航マネジメントシステム2400に送信し、ステップS102に移行する。次いで、運航マネジメントシステム2400の捜索対象物確定部2410により、捜索対象物の属性および位置を判定する(ステップS102)。
【0155】
次いで、検出後アクション指令部2420により、捜索対象物の検出後に監視機110が行うアクションを判定し、空域・海域監視管制システム3000又は監視機110等に捜索対象物検出後のアクションに関する指令を送信する(ステップS103)。空域・海域監視管制システム3000を介して当該指令を受信した船舶管制システム5000又は航空管制システム6000もしくは監視機110等は、指令に従って検出後のアクションを実行する(ステップS104)。
【0156】
次いで、運航マネジメントシステム2400の出動機到着後アクション指令部2430により、出動機300の到着後における監視機110および出動機300のアクションを判定し、空域・海域監視管制システム3000、出動機300、又は監視機110等に出動機到着後のアクションに関する指令を送信する(ステップS105)。なお、出動機到着後のアクションの判定および指令の送信は、出動機300が指定領域に到着する前に行われてもよい。出動機300又は監視機110は、出動機300の到着後に、指令に従って出動機到着後のアクションを実行する(ステップS106)。
【0157】
ここで、
図9を用いて、
図8におけるステップS102の詳細を説明する。
まず、運航マネジメントシステム2400が監視機110により取得された捜索対象物の位置および情報を取得すると、捜索対象物確定部2410により捜索対象物の判定を試みる(ステップS201)。次いで、捜索対象物判定部2411により捜索対象物の属性が判定可能であるか判定し(ステップS202)、捜索対象物の属性が判定不可能である場合には(ステップS202でN)、詳細情報取得指令部2413により、監視機110に対して詳細情報の取得指令を送信する(ステップS203)。
【0158】
捜索対象物の属性が判定可能である場合(ステップS202でY)、捜索対象物位置判定部2412により、捜索対象物の位置が判定可能であるか判定し、位置が判定不可能である場合には(ステップS204でN)、ステップS203に移行する。捜索対象物位置判定部2412により位置が判定可能である場合には(ステップS204でY)、処理を終了する。
なお、ステップS202およびステップS204は順不同であり、同時に行われてもよい。
【0159】
次に、
図10を用いて、
図8におけるステップS103の詳細を説明する。
まず、検出後アクション判定部2421により、通報が必要であるか判定し(ステップS301)、通報が必要である場合には(ステップS301でY)、通報部2423により当局の適宜の装置に通報を行う(ステップS311)。通報が不要である場合(ステップS301でN)、又はステップS311の処理の実行後に、ステップS302に移行する。
【0160】
次いで、検出後アクション判定部2421により、出動要請が必要であるか判定し(ステップS302)、出動要請が必要である場合には(ステップS302でY)、出動機要請部2422により空域・海域監視管制システム3000に出動要請を行う(ステップS312)。出動要請が不要である場合(ステップS302でN)、又はステップS312の処理の実行後に、ステップS303に移行する。
【0161】
次いで、検出後アクション判定部2421により、監視機110の監視モードの変更要否を判定し(ステップS303)、監視モードの変更が必要である場合には(ステップS303でY)、監視モード指令部2424aにより監視機110に監視モードの変更指令を送信する(ステップS313)。監視モードの変更が不要である場合(ステップS303でN)、又はステップS313の処理の実行後に、ステップS304に移行する。
【0162】
次いで、検出後アクション判定部2421により、監視機110によるデータ伝送方法の変更要否を判定し(ステップS304)、伝送方法の変更が必要である場合には(ステップS304でY)、データ伝送指令部2424bにより監視機110に監視モードの変更指令を送信する(ステップS314)。データ伝送方法の変更が不要である場合(ステップS304でN)、又はステップS314の処理の実行後に、ステップS305に移行する。
【0163】
次いで、検出後アクション判定部2421により、監視機110からの分離部1900の投下要否を判定し(ステップS305)、分離部1900の投下が必要である場合には(ステップS305でY)、ブイ投下指令部2424cにより監視機110に分離部1900の投下指令を送信する(ステップS315)。分離部1900の投下が不要である場合(ステップS305でN)、又はステップS315の処理の実行後に、処理を終了する。
なお、ステップS301乃至S305は、順番が異なっていてもよいし、同時に行われてもよい。なお、緊急性の高いアクションほど先に判別するようになっているとよい。
【0164】
[A-2.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、捜索対象物を検出した場合に出動機を迅速に呼び寄せることができる。
【0165】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0166】
上記実施形態に関連した説明した一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア並びにソフトウェア及びハードウェアの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る監視システム1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えば通信ネットワークNWを介して配信されてもよい。
【0167】
上記実施形態で用いたフローチャートに関し、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0168】
1 航空データセンシングシステム(監視システム)
1000 機体制御システム
1300 対象物検出センサ
1400 捜索対象物検出部
1500 捜索対象物位置検出部
1900 分離部
110 監視機
111 航空機
2000 拠点システム
2100 機体運航オペレートシステム
2200 取得データ管理システム
2300 通信インフラマネジメントシステム
2400 運航マネジメントシステム
2410 捜索対象物確定部
2420 検出後アクション指令部
2421 検出後アクション判定部
2422 出動機要請部
2423 通報部
2424 監視機指令部
2430 出動機到着後アクション指令部
2431 到着後アクション判定部
2432 監視機指令部
2433 出動機指令部
3000 空域・海域監視完成システム
4000 空間情報データ活用システム
5000 船舶管制システム
6000 航空管制システム
110 監視機
F 監視対象領域
F110 監視範囲
S100 不審な航空機(捜索対象物)
S200 不審船(捜索対象物)