(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025020633
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法および監視プログラム
(51)【国際特許分類】
B64D 45/00 20060101AFI20250205BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20250205BHJP
G08G 5/00 20250101ALI20250205BHJP
B64U 10/25 20230101ALI20250205BHJP
B64U 20/87 20230101ALI20250205BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20250205BHJP
B64U 101/31 20230101ALN20250205BHJP
【FI】
B64D45/00 Z
B64C13/20 D
G08G5/00 A
B64U10/25
B64U20/87
G08B25/10 A
B64U101:31
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124131
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】523290056
【氏名又は名称】株式会社テラ・ラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 孝英
【テーマコード(参考)】
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C087AA03
5C087BB18
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD17
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG70
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB12
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181MA50
(57)【要約】
【課題】監視機からのデータ回収を迅速に行う。
【解決手段】監視対象領域Fにおける捜索対象物を捜索する監視機110と、監視機に搭載され、捜索対象物を検出する捜索対象物検出部1400と、監視機が捜索対象物を検出した場合に、監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定部2442と、を備える監視システム1。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機 と、
前記監視機に搭載され、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出部と、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定または提案 するデータ回収位置決定部と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点と、
前記データ回収位置決定部の決定した、又は前記データ回収位置決定部の提案に対してユーザが決定した前記データ回収位置まで前記移動型拠点を移動させる移動型拠点指令部と、
をさらに備える、
請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機の位置と、前記移動型拠点の位置とに基づいて、前記監視機および前記移動型拠点の移動所要時間が略均等となる位置を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機が前記無線通信により前記取得データを送信する場合に、前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項5】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部 と無線通信により接続され、
前記データ回収位置決定部は、前記移動型拠点と前記解析部とを接続する前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定の閾値よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項6】
前記監視機および前記移動型拠点の前記データ回収位置までの移動時間を推定する移動時間推定部と、
前記データ回収位置における前記監視機から前記移動型拠点への第1データ伝送時間を推定するデータ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項7】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、
前記データ伝送時間推定部は、前記移動型拠点から前記解析部までの第2データ伝送時間を予測し、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第1データ伝送時間および前記第2データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項6記載の監視システム。
【請求項8】
前記監視機から前記拠点に取得データを伝送する回収態様として、前記監視機を前記拠点に着陸させることにより前記取得データを回収するか、前記監視機から拠点に無線伝送により取得データを送信するか、を決定又は提案するデータ回収方法決定部をさらに備え、
前記移動時間推定部は、前記監視機が前記拠点に着陸する場合に着陸に要する着陸時間を、前記監視機が前記データ回収位置まで移動する時間に合算して前記移動時間を算出し、
前記データ回収方法決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる回収態様を決定又は提案する、
請求項6記載の監視システム。
【請求項9】
前記取得データを回収する設備を備えた拠点と、
あらかじめ設定された前記データ回収位置の候補から複数の候補位置を抽出する回収態様候補抽出部と、
をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記候補位置の中から、前記監視機から前記拠点への前記無線通信の通信強度又は通信速度の少なくともいずれかが所定の第2閾値よりも大きい候補位置を抽出し、前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項10】
前記拠点は固定型拠点であり、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、
前記拠点から前記解析部までの第3データ伝送時間と、を推定する第2データ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、少なくとも前記第3データ伝送時間が、前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項9記載の監視システム。
【請求項11】
前記監視機の前記データ回収位置までの移動時間と、前記データ回収位置における前記監視機から前記拠点への第4データ伝送時間と、を推定する第3データ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項10記載の監視システム。
【請求項12】
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第3データ伝送時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項11記載の監視システム。
【請求項13】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させることを決定する場合に、前記データ回収位置における他の航空機の着陸計画、離陸計画又は飛行計画を参照して、前記監視機が前記他の航空機を待機する待機時間が比較的短い位置を前記データ回収位置に決定又は提案する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項14】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、
前記監視機指令部は、着陸許可情報を取得し、前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させる、
請求項1記載の監視システム。
【請求項14】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点をさらに備え、
前記監視機指令部は、前記移動型拠点が前記データ回収位置に到着した旨の到着情報を取得し、前記到着および前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させる、
請求項14記載の監視システム。
【請求項15】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、
前記監視機指令部は、前記取得データが回収されたことを検出すると、前記監視機に記録されている前記捜索対象物の位置又は前記捜索対象物の捜索を中断した位置に帰還し、前記捜索対象物の追跡飛行、又は前記捜索対象物の位置もしくは前記捜索対象物の捜索を中断した位置における捜索飛行を実行する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項16】
コンピュータが
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出ステップと、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定ステップと、
を実行する、監視方法。
【請求項17】
コンピュータに
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出命令と、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定命令と、
を実行させる、監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視方法および監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、航空機のレーダによって不審船を発見し、船からの発信データにより不審船候補を特定した上で、不審船候補に接近して画像を取得する技術が開示されている。このシステムでは、画像から不審船の外見特徴が認められる場合には外部装置にその旨を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不法行為の監視又は人命救助に資するため、海域又は空域等を監視する技術が知られている。監視機が不審船又は不審な航空機といった不審物、あるいは遭難船等の捜索対象物を発見した場合には、捜索対象物の分析結果に基づく適切な対応を迅速に行うために、監視機が取得した捜索対象物に関する情報を迅速に回収する必要がある。画像や映像等データ量の大きい情報を回収するにあたっては、海域又は空域では設備等の問題により通信速度が遅く実用に耐えない場合がある。また、通信状況は環境等の影響を受けるため、状況によっては、通信により多くの時間を要してしまうおそれがあった。
【0005】
この点、特許文献1記載のシステムでは、取得された情報を分析装置に迅速に入力することはできなかった。
【0006】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、監視機からのデータ回収を迅速に行うことができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る監視システムは、監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機と、前記監視機に搭載され、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出部と、前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定または提案するデータ回収位置決定部と、を備える。
【0008】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点と、前記データ回収位置決定部の決定した、又は前記データ回収位置決定部の提案に対してユーザが決定した前記データ回収位置まで前記移動型拠点を移動させる移動型拠点指令部と、をさらに備えるものとしてもよい。
【0009】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機の位置と、前記移動型拠点の位置とに基づいて、前記監視機および前記移動型拠点の移動所要時間が略均等となる位置を前記データ回収位置として決定又は提案するものとしてもよい。
【0010】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機が前記無線通信により前記取得データを送信する場合に、前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案するものとしてもよい。
【0011】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、前記データ回収位置決定部は、前記移動型拠点と前記解析部とを接続する前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定の閾値よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案するものとしてもよい。
【0012】
前記監視機および前記移動型拠点の前記データ回収位置までの移動時間を推定する移動時間推定部と、前記データ回収位置における前記監視機から前記移動型拠点への第1データ伝送時間を推定するデータ伝送時間推定部をさらに備え、前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案するものとしてもよい。
【0013】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、前記データ伝送時間推定部は、前記移動型拠点から前記解析部までの第2データ伝送時間を予測し、前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第1データ伝送時間および前記第2データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案するものとしてもよい。
【0014】
前記監視機から前記拠点に取得データを伝送する回収態様として、前記監視機を前記拠点に着陸させることにより前記取得データを回収するか、前記監視機から拠点に無線伝送により取得データを送信するか、を決定又は提案するデータ回収方法決定部をさらに備え、前記移動時間推定部は、前記監視機が前記拠点に着陸する場合に着陸に要する着陸時間を、前記監視機が前記データ回収位置まで移動する時間に合算して前記移動時間を算出し、前記データ回収方法決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる回収態様を決定又は提案するものとしてもよい。
【0015】
前記取得データを回収する設備を備えた拠点と、あらかじめ設定された前記データ回収位置の候補から複数の候補位置を抽出する回収態様候補抽出部と、をさらに備え、前記データ回収位置決定部は、前記候補位置の中から、前記監視機から前記拠点への前記無線通信の通信強度又は通信速度の少なくともいずれかが所定の第2閾値よりも大きい候補位置を抽出し、前記データ回収位置として決定又は提案するものとしてもよい。
【0016】
前記拠点は固定型拠点であり、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、前記拠点から前記解析部までの第3データ伝送時間と、を推定する第2データ伝送時間推定部をさらに備え、前記データ回収位置決定部は、少なくとも前記第3データ伝送時間が、前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案するものとしてもよい。
【0017】
前記監視機の前記データ回収位置までの移動時間と、前記データ回収位置における前記監視機から前記拠点への第4データ伝送時間と、を推定する第3データ伝送時間推定部をさらに備え、前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案するものとしてもよい。
【0018】
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第3データ伝送時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案するものとしてもよい。
【0019】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させることを決定する場合に、前記データ回収位置における他の航空機の着陸計画、離陸計画又は飛行計画を参照して、前記監視機が前記他の航空機を待機する待機時間が比較的短い位置を前記データ回収位置に決定又は提案するものとしてもよい。
【0020】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、前記監視機指令部は、着陸許可情報を取得し、前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させるものとしてもよい。
【0021】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点をさらに備え、前記監視機指令部は、前記移動型拠点が前記データ回収位置に到着した旨の到着情報を取得し、前記到着および前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させるものとしてもよい。
【0022】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、前記監視機指令部は、前記取得データが回収されたことを検出すると、前記監視機に記録されている前記捜索対象物の位置又は前記捜索対象物の捜索を中断した位置に帰還し、前記捜索対象物の追跡飛行、又は前記捜索対象物の位置もしくは前記捜索対象物の捜索を中断した位置における捜索飛行を実行するものとしてもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の別の観点に係る監視方法は、コンピュータが監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出ステップと、前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定ステップと、を実行する、監視方法。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明のさらに別の観点に係る監視プログラムは、コンピュータに監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出命令と、前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定命令と、を実行させる。
【0025】
なお、コンピュータプログラムは、各種のデータ読取可能な記録媒体に格納して提供したり、インターネット等のネットワークを介してダウンロード可能に提供したりすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、監視機からのデータ回収を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの全体構成図である。
【
図2】前記監視システムと通信を行う監視機が海域および空域を監視する様子を示す概念図である。
【
図3】前記監視システム、および前記監視システムと通信を行う出動 機の通信態様の例を示す模式図である。
【
図3】(a)前記監視機の1例である航空機の概略斜視図、(b)前記航空機が備える機体制御システムの機能構成図、である。
【
図4】前記監視システムが備える運航マネジメントシステムの機能構成図である。
【
図5】前記監視システムが備える回収態様候補抽出部により抽出されるデータ回収位置の候補位置の例を示す候補テーブルである。
【
図6】前記監視システムが備える所要時間推定部により参照される、データの回収態様と、推定すべき所要時間の内訳の対応関係の例を示す所要時間テーブルである。
【
図7】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第1例を示すフローチャートである。
【
図8】前記監視システムと連携する監視機および拠点システムと、それぞれにおける通信状態の様子の第1例を示す概念図である。
【
図9】前記監視システムと連携する監視機および拠点システムと、それぞれにおける通信状態の様子の第2例を示す概念図である。
【
図10】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
【
図11】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第3例を示すフローチャートである。
【
図12】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第4例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、例を表すに過ぎず、その用途、目的又は規模等に応じて、他の既知の要素や代替手段を採用可能である。
【0029】
<A.一実施形態>
[A-1.構成]
(A-1-1.概要)
図1は、本発明の一実施形態に係る監視システム1(以下「航空データセンシングシステム1」「システム1」ともいう。)の全体構成図である。
【0030】
監視システム1は、監視対象領域F(
図2)における監視機110による捜索対象物の検出に応じて種々の処理を実行するものである。監視対象領域Fは、監視機110による撮影対象となる3次元のエリアであり、例えば水上、水中および上空を指す。また、監視対象領域Fには地上が含まれていてもよい。監視機110は、監視対象領域F内に存在していてもよいし、監視対象領域F外から撮影してもよい。
【0031】
捜索対象物は、例えば、不審船、不審航空機、遭難船、遭難者又は漂流物等を含む。不審船は、例えば領域侵犯をしている船、敵艦、工作船、密入国船、又は密漁船などを含む。不審飛行機は、敵の飛行機を含む。また、不審船および不審飛行機には、密入国、密漁又は密輸等の違法行為を行う機体を含む。遭難船には、例えば被災した災害船、座礁船、転覆船、無人船、漂流船などを含む。漂流物は例えば、船体、墜落機体、漁網又は木材、もしくはその破片、氷河、重油、又は機雷等を含む。なお捜索対象物はこれに限られず、種々の用途に応じて定められた物体を捜索対象物としてよい。
【0032】
図2に示すように、監視機110は、監視対象領域Fの少なくとも一部の監視範囲F110を撮影し、捜索対象物を捜索する装置である。監視機110の詳細については後述する。
【0033】
(A-1-2.監視システム1)
図1に示すように、監視システム1(航空データセンシングシステム1)は、主として、監視機110の飛行及び撮影を管理する機体制御システム1000と、拠点システム2000と、空域・海域監視管制システム3000と、を有する。
【0034】
機体制御システム1000は、監視機110に搭載されるシステムである。機体制御システム1000は、監視機110の各部を制御し、監視機110を定められた経路で運行させ、監視を行わせる。
【0035】
拠点システム2000は、拠点200に構成されるシステムである。拠点システム2000は、監視機110とデータの送受信を行うことで、監視機110が取得したデータを解析するとともに、解析結果等に応じて監視機110の作業計画を立案し、監視機110に送信する。
【0036】
図2に示すように、拠点200は、地上等に固定されて配設される固定型拠点200aであってもよいし、地上を移動可能な車両型拠点200bであってもよい。さらに、拠点200は、海上を移動可能な空母、すなわち船舶型拠点200c(
図3参照)であってもよい。さらにまた、拠点200は、監視機110が離着陸可能な航空機であってもよい。また、拠点システム2000は、拠点200を複数含んでいてもよい。
【0037】
図1に戻る。拠点システム2000は、主として、機体運航オペレートシステム2100と、取得データ管理システム2200と、通信インフラマネジメントシステム2300と、運航マネジメントシステム2400と、を機能的に有する。
【0038】
機体運航オペレートシステム2100は、監視機110のミッションを生成し、監視機110の移動を制御するシステムである。ミッションは、例えば監視機110の移動経路および移動速度を含む移動計画である。機体運航オペレートシステム2100は、監視機110を自動運転させるために、通信インフラマネジメントシステム2300を介して監視機110に制御信号を送信する。
【0039】
取得データ管理システム2200は、映像又は画像を含む取得データを管理するシステムである。取得データ管理システム2200は、膨大な取得データに対する処理を取得データごとに決定し、通信インフラマネジメントシステム2300を介して処理命令を機体制御システム1000、空間情報データ活用システム4000、設備機材管理システム4100又は予約システム4200等に送信する。
【0040】
空間情報データ活用システム4000は、例えば監視機110により取得される画像又は映像等の取得データを解析するシステムである。すなわち、空間情報データ活用システム4000は、特許請求の範囲における解析部の例である。空間情報データ活用システム4000は、地図データやその他情報との統合処理などを行い、統合情報を公開する機能を有する。空間情報データ活用システム4000は、例えば、クラウドコンピューティングにより論理的に構成され、監視システム1と無線通信により接続されている。また、空間情報データ活用システム4000は、ワークステーションにより構成されてもよい。取得データ管理システム2200からの処理命令は、例えば、特定のデータを別のシステム1000、4000等に送信する命令、特定のデータを記憶する命令、又は特定のデータを解析する命令である。
【0041】
設備機材管理システム4100は、拠点200又は監視機110等の機材の保守管理を行うシステムである。後述する運航マネジメントシステム2400は、設備機材管理システム4100を介して機材の管理状態を参照し、機材の管理状態を加味してデータ回収計画を作成する。また、設備機材管理システム4100は、運航マネジメントシステム2400が生成するデータ回収計画に基づいて、機材等の必要な保守管理を行う。保守管理される機材は、例えば拠点200におけるデータ受信機材の情報や、監視機110が着陸した場合に交換する記録媒体の在庫数や、バッテリの在庫数又は蓄電状況等を含んでいるが、上述に限らず、適宜の機材の情報が格納されていてよい。
【0042】
予約システム4200は、拠点200の予約を管理するシステムであり、より具体的には、拠点200における各種作業のリソースの予約を管理する。リソースは、データ回収に用いられる受信機材、着陸領域、又は作業者の人数等、データ回収に必要な資源全般を含んでいる。また、予約システム4200は、予約に応じてリソースが占有される時間帯、又はリソースが解放される時刻の情報を保持していてよい。後述する運航マネジメントシステム2400は、拠点200等の予約状況を加味してデータ回収計画を作成する。また、予約システム4200は、運航マネジメントシステム2400が生成するデータ回収計画に基づいて、拠点200の予約情報を更新する。
【0043】
通信インフラマネジメントシステム2300は、拠点システム2000と機体制御システム1000との間でデータを送受信する通信手段を管理するシステムである。通信インフラマネジメントシステム2300は、例えば、機体運航オペレートシステム2100および取得データ管理システム2200により生成される情報を、機体制御システム1000に送信する。また、通信インフラマネジメントシステム2300は、既存インフラの通信可否に加えて通信速度を監視し、データ送受信の迅速性および緊急性などの判断をした上で、データの送信処理の種別を決定し、データの送受信を実行する。送信処理は、例えばパラレル送信・又は切替送信であってよい。また、通信インフラマネジメントシステム2300は、人によりメモリを物理的に運送することでデータを送信するとよい旨の判断をした場合には、その旨を適宜の表示部に表示させ、管理者にメモリの物理的な運送を要請してもよい。
【0044】
運航マネジメントシステム2400は、監視機110の運航の意思決定と指示を行うシステムである。運航マネジメントシステム2400は、例えば計測および飛行を含む監視機110の作業に関する計画を立案し、通信インフラマネジメントシステム2300を介して機体制御システム1000に送信する。また、運航マネジメントシステム2400は、処理を要する作業の優先順位を決定し、機体制御システム1000に送信してもよい。運航マネジメントシステム2400は、複数の監視機110の計画を立案し、それぞれの機体制御システム1000に当該計画の情報を送信してよい。
【0045】
また、運航マネジメントシステム2400は、例えば空域・海域監視管制システム3000から、環境又は他機の運航を理由とする管制要求を受け付け、監視機110の作業計画を調整する。さらに、運航マネジメントシステム2400は、監視機110が捜索対象物を検出した場合に、空域・海域監視管制システム3000に対して出動機の派遣を要請する。
運航マネジメントシステム2400が備える各機能構成は、後述する。
【0046】
拠点システム2000の構成は、単独の装置として実現されてもよく、一部又は全部が通信ネットワークNWで接続された複数の装置(例えば監視機110、運航マネジメントシステム2400)等により実現されてもよい。また、運航マネジメントシステム2400の各機能部は、互いに通信ネットワークNWで接続された異なる拠点システム2000に実装されることにより実現されてもよい。さらに、運航マネジメントシステム2400の各機能部は、クラウドコンピューティングにより論理的に実現していてもよい。
【0047】
空域・海域監視管制システム3000は、少なくとも監視対象領域Fの空域および海域を監視するシステムである。空域・海域監視管制システム3000は、監視システム1の外部に配設されている既存の船舶管制システム5000又は航空管制システム6000からの情報を取得する。航空管制システム6000は、例えばドローン運航管理システム(UTM)、運航管理サブシステム(UASSP)、又は航空交通管理システム(ATM )であってよい。すなわち、空域・海域監視管制システム3000は、監視対象領域Fにおける環境や他機等の情報を計測又は取得し、運航マネジメントシステム2400に情報を送信する。運航マネジメントシステム2400は、空域・海域監視管制システム3000からの情報に基づいて、監視機110の作業計画に問題がある場合には、作業計画を変更する。
【0048】
また、空域・海域監視管制システム3000は、運航マネジメントシステム2400から受信した出動機の派遣要請に基づいて、船舶管制システム5000又は航空管制システム6000に出動機を要請する。
【0049】
本実施の形態では、1個の運航マネジメントシステム2400により複数の機体制御システム1000を制御するものとした。しかしながら、1台の監視機110に対して複数の運航マネジメントシステム2400が複数の通信ネットワークNWを介して接続され、すなわちシステムが冗長化されていてもよい。この場合、運航マネジメントシステム2400、又は通信ネットワークに異常が生じた場合であっても、冗長化された他の運航マネジメントシステム2400や通信ネットワークNWによりシステム1の動作、ひいては監視機110による監視および捜索対象物に対する処理を継続することができるため、システム1の信頼性を向上させることができる。
【0050】
図3は、監視システム1と通信を行う各構成の通信態様の例を示す模式図である。
図3に示すように、固定型拠点200a、車両型拠点200bおよび船舶型拠点200c等の拠点200は、ネットワークNWを介して空間情報データ活用システム4000と無線接続されている。空間情報データ活用システム4000および固定型拠点200aは、ネットワークNWと有線で接続されている。また、移動型拠点200b、200cは、ネットワークNWと無線で接続されている。監視機110又は拠点200が取得データを空間情報データ活用システム4000に送信する位置、すなわちデータ回収位置は、後に詳述する運航マネジメントシステム2400によって決定される。監視機110又は拠点200は、データ回収位置において取得データを送信し、空間情報データ活用システム4000はこれを受信する。
【0051】
監視機110は、拠点200と無線で接続されている。また、監視機110およびネットワークNWは、無線により人工衛星300と接続されている。
【0052】
なお、
図1に示す各構成の通信態様は、
図3に示す例に限らず任意であり、例えばインターネット回線等の通信ネットワーク又はLTE等の通信方法を介して、それぞれ相互に通信可能に接続されていてもよい。また、各構成は、人工衛星を介した衛星通信により通信ネットワークと通信接続されてもよい。各無線通信は、専用無線通信網を構成してもよいし、既存の無線インフラを利用してもよい。
【0053】
(A-1-3.監視機110)
(A-1-3-1.監視機110の概要)
監視機110は、例えば、有人又は無人の航空機111、特に無人航空機である。航空機111は、例えば航空機111側方、前方又は上方の領域を検出領域とする検出センサ(
図4(b)の対象物検出センサ1300を参照)を備え、不審航空機等を検出する。また、航空機111の検出センサは、航空機111の下方を検出領域とし、航空機111下方の海上に存在する不審船S200、漂流船、漂流者、又は漂流物等を検出してもよい。
【0054】
また、地上に載置される地上載置レーダ114を監視機110として用いてもよい。地上載置レーダ114は、例えば側方又は上方を監視領域とする広域監視レーダ(図示を省略)を備え、地上から捜索対象物を検出する。
【0055】
移動する監視機110においては、監視する監視範囲F110を、移動とともに変化させながら監視対象領域Fの監視を行う。また、監視機110は、センサの向きを変化させることで監視範囲F110を変化させて監視対象領域Fの監視を行ってもよい。
【0056】
監視機110は、1個のシステム1に複数含まれており、システム1は、1個の監視対象領域Fに複数の監視機110を同時に飛行させたり、監視に用いることで当該監視対象領域Fを撮影することができる。なお、本実施の形態では、監視機110はシステム1に含まれるものとして記載したが、監視システム1には少なくとも監視機110への制御指令を送信する構成があればよく、監視機110自体がシステム1に含まれる態様には限られない。
【0057】
(A-1-3-2.航空機111)
図4(a)は、監視機110の1例である航空機111の一例を示す斜視図である。
本明細書において、「航空機」とは、動力手段(電力、原動機等)、操縦方式(無線であるか有線であるか、及び、完全自律飛行型であるか部分手動操縦型であるか等)を問わず、また、有人か無人かを問わず、自律的に姿勢制御を行う機能を有する飛行体全般を指すこととする。また、航空機は、無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)、飛行体、マルチコプター(Multi Copter)、RPAS(Remote Piloted Aircraft Systems)、又はUAS(Unmanned Aircraft Systems)等と称呼されることがある。
【0058】
航空機111は、飛行するための機構的な構成として、主として機体111a、主翼111bおよび尾翼111c等を備える。なお、航空機111は図示した態様に限らず、適宜の構成が採用できる。例えば、航空機111は、固定翼機の他、回転翼機であってもよいし、固定翼および回転翼を備える垂直離着陸機(VTOL、Vertical Take-Off and Landing aircraft)であってもよい。また、回転翼を備える場合には、障害物に対する回転翼の干渉を防ぐためのプロペラガード(図示せず)を設けてもよい。
【0059】
機体111aには、例えば対象物検出センサ1300が、機体111a下方又は前方に保持されている。機体111aは対象物検出センサ1300を複数備えていてよい。監視機110は、監視機110の周囲にいる人々に対して警告を発報する警報装置、例えば警告灯及びスピーカを有していてもよい。
【0060】
(A-1-4.機体制御システム1000)
(A-1-4-1.機体制御システム1000の機能ブロック)
図4(b)は、本実施形態の機体制御システム1000の機能構成図である。機体制御システム1000は、監視機110に搭載され、監視機110の飛行及び撮影を管理又は制御する。
【0061】
機体制御システム1000は、情報処理を実行するためのCPU等の演算装置、RAM及びROM等の記憶装置を備え、これによりソフトウェア構成として、主として機体制御部1100、自己位置測位部1200、対象物検出センサ1300、捜索対象物検出部1400、捜索対象物位置検出部1500、捜索対象物移動予測部1600、空域無線状態監視部1650、データ記録部1700、および通信部1800の各機能ブロックを構成する。
【0062】
(A-1-4-2.機体制御部1100)
機体制御部1100は、監視機110を動作させる機構および機能部であり、監視機110が航空機111である場合には、航空機111を浮上させて所望の方向に移動するための推力を機体に発生させる。監視機110が船112である場合には、船112を海上で所望方向に移動するための推力を機体に発生させる。監視機110が衛星113である場合には、衛星113の位置を制御してもよい。
【0063】
航空機111に搭載される機体制御部1100は、フライトコントローラとも呼ばれる処理ユニットを有する。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU)、MPU又はDSP)等の1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、メモリ(記憶部)にアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、及び/又はプログラム命令を記憶している。
【0064】
処理ユニットは、監視機110の機体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、監視機110が航空機111である場合、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する監視機110の空間的配置、姿勢角角度、角速度、角加速度、角躍度速度及び/又は加速度を調整する。すなわち、機体制御部1100は、監視機110に浮上、前進、旋回、着陸等の各動作を行わせ、離陸から飛行中、着陸までの監視機110の姿勢角制御及び飛行動作を制御する。
【0065】
機体制御部1100は、例えば機体運航オペレートシステム2100から取得した自律飛行プログラムに基づいて、監視機110の飛行を制御することができる。また機体制御部1100は、監視対象領域F、飛行許可/禁止エリア、これに対応する飛行ジオフェンスの情報、2次元又は3次元の地図データを含む地図情報、監視機110の現在の位置情報、姿勢情報(機首方位情報)、速度情報、及び加速度情報等の各種情報及びこれらの任意の組み合わせに基づいてモータを制御することにより、監視機110の飛行を制御することができる。
【0066】
機体制御部1100は、対象物検出センサ1300の向きおよびズーム量等を制御してよい。機体制御部1100は、対象物検出センサ1300の向きに関し、水平に対するピッチ角度および所定の基準方向に対するヨー角度のいずれか又は両方を制御してもよい。機体制御部1100は、監視モードに基づいて、監視モードに設定されている位置、高さ、方向、ズーム量で撮影がなされるように監視機110および対象物検出センサ1300に関する指令を生成し、監視機110に送信する。
【0067】
(A-1-4-3.自己位置測位部1200)
自己位置測位部1200は、人工衛星からの信号を受信し、それに基づいて機体の位置(絶対位置)を測定する。自己位置測位部1200は、特に限定されないが、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)、GPS(Global Positioning System)等を用いて、現時点での自己位置を測定する。自己位置の測定方法として、例えば、RTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)を用いることもできる。位置情報は、少なくとも平面視での2次元での座標情報(例えば緯度、経度)を含み、好ましくは高度情報を含む3次元での座標情報を含む。
【0068】
(A-1-4-4.対象物検出センサ1300)
対象物検出センサ1300は、監視範囲F110において捜索対象物に関する情報を取得するセンサである。対象物検出センサ1300は、例えば捜索対象物の画像を取得するカメラであるが、LiDAR(Light Detection And Ranging)、又はマイクロホン等のセンサであってもよい。また、対象物検出センサ1300は、可視光カメラの他、IRカメラであってもよい。すなわち、対象物検出センサ1300が取得するセンシングデータは、例えば、画像、IR画像、点群データ、位置データ又は音声データを含んでいてよい。
【0069】
対象物検出センサ1300は、図示しないセンサアクチュエータにより向き(監視機110の機体111aに対する対象物検出センサ1300の姿勢)を調整可能である。対象物検出センサ1300は、露出、コントラスト又はISO等のパラメータの自動制御機能を有していてもよい。対象物検出センサ1300の保持部は、機体の揺れ又は振動が対象物検出センサ1300に伝わるのを抑制する、いわゆるジンバル制御の機構を有していてもよい。機体制御部1100は、対象物検出センサ1300および保持部を制御してカメラの撮影範囲等を調整する。
【0070】
対象物検出センサ1300が取得した画像データは、運航マネジメントシステム2400等に送信される。また、画像データは、監視機110自体のデータ記録部1700に記憶されてもよい。
【0071】
(A-1-4-5.捜索対象物検出部1400)
捜索対象物検出部1400は、対象物検出センサ1300により得られる情報に基づいて、捜索対象物を検出する機能部である。捜索対象物検出部1400は、例えば対象物検出センサ1300としてのカメラ等により得られるセンシングデータを解析することで、捜索対象物を検出する。捜索対象物検出部1400は、例えば捜索対象物の属性を検出してもよい。属性とは、例えば捜索対象物の種別に関する情報であって、例えば捜索対象物が推進機能を有するか否か、捜索対象物が不審な航空機又は不審船であるか、又は捜索対象物が遭難船又は遭難者であるか否かの情報を含む。
【0072】
(A-1-4-6.捜索対象物位置検出部1500)
捜索対象物位置検出部1500は、捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、捜索対象物の検出に関する位置を取得する機能部である。捜索対象物の検出に関する位置は、捜索対象物を検出した時点における監視機110の位置座標であってもよい。また、捜索対象物を検出に関する位置は、捜索対象物を検出した時点における監視機110の監視範囲F110を解析することで推定される、捜索対象物の位置座標であってもよい。
【0073】
(A-1-4-7.捜索対象物移動予測部1600)
捜索対象物移動予測部1600は、捜索対象物の所定時間経過後の移動予測位置を推定する機能部である。捜索対象物移動予測部1600は、例えば、対象物検出センサ1300で得られた情報を参照し、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度を算出する。例えば、捜索対象物移動予測部1600は、監視対象領域Fにおける三角波の形状により、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度の少なくともいずれかを推定してもよい。捜索対象物移動予測部1600は、得られた捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて移動予測位置を推定する。
なお、機体制御システム1000は、移動予測位置の推定に代えて、又は加えて、過去の位置、すなわち位置の履歴を推定してもよい。機体制御システム1000は例えば、捜索対象物の位置、移動方向、および移動速度に基づいて、捜索対象物の過去の位置を推定する。
【0074】
(A-1-4-8.空域無線状態監視部1650)
空域無線状態監視部1650は、通信部1800での無線通信実績から、空域毎の無線通信の通信強度と通信速度を監視する機能部である。監視機110は、監視作業に応じて監視対象領域F内の空域を移動する。そこで、空域無線状態監視部1650は、一定時間ごと、又は一定距離ごとに、監視機110の位置座標と、当該位置座標における無線通信の通信強度又は通信速度を計測する。空域無線状態監視部1650は、データ記録部1700を介して、位置座標と、無線通信の通信強度又は通信速度と、計測時刻とを対応付けて監視機110内部の記録媒体に記録する。また、空域無線状態監視部1650は、無線通信状態を取得し、適宜のタイミング又はリアルタイムに運航マネジメントシステム2400に送信してもよい。
【0075】
(A-1-4-9.データ記録部1700)
データ記録部1700は、監視機110による捜索作業により得られたデータを、監視機110内部の記録媒体に記録する機能部である。データ記録部1700は、自己位置測位部1200により得られた位置座標、および対象物検出センサ1300により得られる画像データ等のセンシングデータ等を記録する。また、データ記録部1700は、空域無線状態監視部1650により得られる無線通信の通信状態を記録する。無線通信の通信状態は、例えば無線通信の通信強度又は通信速度である。記録媒体は、例えば、SDカードやRAM等の分離可能な媒体を含んでいてもよい。
【0076】
(A-1-4-10.通信部1800)
通信部1800は、通信ネットワークNWを介しての電波通信が可能であり、例えば、電波通信モジュールを含む。通信部1800は、通信ネットワークNWを介することで、監視機110等との通信が可能である。通信部1800は、例えばWi-Fi、2.4GHz、5.6~5.8GHzの周波数帯域を用いた無線通信により監視機110と無線通信を行う通信機能を備えている。また、通信部1800は、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格を利用して通信ネットワークNWを介して運航マネジメントシステム2400と通信を行うことができる無線通信機能を備えている。
【0077】
通信部1800は、例えば、捜索対象物検出部1400により取得した捜索対象物を検出した旨の情報、捜索対象物の位置、属性、数、大きさおよび捜索対象物移動予測部1600により予測した所定時間経過後の予測位置の情報等を運航マネジメントシステム2400等に送信する。また、通信部1800は、空域無線状態監視部1650により取得した無線通信の通信状態に関する情報を運航マネジメントシステム2400に送信する。さらに、通信部1800は、運航マネジメントシステム2400から、捜索対象物の詳細情報を取得すべき旨の指令等を受信する。
【0078】
通信部1800は、例えば運航マネジメントシステム2400に対してリアルタイム伝送を行ってもよい。通信部1800は、例えば捜索対象物検出部1400が捜索対象物を検出した場合に、対象物検出センサ1300が取得した画像を含むデータのリアルタイム伝送を実行してもよい。なお、このデータは、空間情報データ活用システム4000により解析されるデータよりデータサイズが小さく、例えば低解像度のデータである。監視機110は、捜索対象物を検出すると、拠点200に帰還したり衛星との通信状態のよい位置に移動したりすることで、リアルタイム伝送では送信できない大容量の取得データを空間情報データ活用システム4000に伝送する。
【0079】
(A-1-5.運航マネジメントシステム2400)
(A-1-5-1.運航マネジメントシステム2400の概要)
運航マネジメントシステム2400は、主として、監視機110の取得した取得データを空間情報データ活用システム4000により直接的又は間接的に回収させる回収態様を決定し、関連する構成に指令を送信するシステムである。特に、運航マネジメントシステム2400は、回収態様として、取得データの回収を行うデータ回収位置、データ回収位置において監視機110から空間情報データ活用システム4000に至るデータ伝送を中継する拠点200の使用有無および拠点200の種別、およびデータ回収位置における監視機110から拠点200又は空間情報データ活用システム4000へデータを伝送する伝送方法等を決定する。
【0080】
なお、運航マネジメントシステム2400は、本実施の形態では拠点200のいずれかに配設される拠点システム2000に含まれているものとして説明したが、監視機110、または空間情報データ活用システム4000に含まれる構成であってもよい。
【0081】
図5は、本実施形態の運航マネジメントシステム2400の機能構成図である。運航マネジメントシステム2400は、例えばワークステーション又はパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、クラウドコンピューティングによって論理的に実現されてもよい。運航マネジメントシステム2400は、各種情報の入力又は出力(画像出力、音声出力)のための入出力部(図示せず)を備えていてもよい。
【0082】
運航マネジメントシステム2400は、情報処理を実行するためのCPU等の演算装置、RAM及びROM等の記憶装置を備え、これによりソフトウェア構成として、主として、通信・位置状態取得部2410、回収態様候補抽出部2420、所要時間推定部2430、回収指令部2440、指示報知制御部2450、通信部2460および記憶部2470の各機能ブロックを構成する。
【0083】
(A-1-5-2.通信・位置状態取得部2410)
通信・位置状態取得部2410は、監視機110が捜索対象物を検出した際の、監視機110および拠点200の位置情報および通信状態を取得する機能部である。
通信・位置状態取得部2410は、主として、位置情報取得部2411および通信状態取得部2412を備える。
【0084】
(A-1-5-2-1.位置情報取得部2411)
位置情報取得部2411は、監視機110および拠点200の位置情報を取得する機能部である。
【0085】
位置情報取得部2411は、主として、航空機位置取得部2411a、拠点位置取得部2411b、および移動型拠点位置取得部2411cを備える。
【0086】
航空機位置取得部2411aは、捜索対象物を検出した時点における監視機110の位置情報を取得する。なお、航空機位置取得部2411aは、データ回収のために帰還することを決定した時点における監視機110の位置情報を取得してもよい。
【0087】
拠点位置取得部2411bは、固定型拠点200aの位置情報を取得する。
【0088】
移動型拠点位置取得部2411cは、捜索対象物を検出した時点における移動型拠点200b、200cの位置情報を取得する。なお、移動型拠点位置取得部2411cは、データ回収のために監視機110が帰還することを決定した時点における移動型拠点200b、200cの位置情報を取得してもよい。移動型拠点位置取得部2411cは、特に、各移動型拠点200b、200cの出動可否の情報を参照し、出動可能な移動型拠点200b、200cの位置情報を取得してもよい。
【0089】
(A-1-5-2-2.通信状態取得部2412)
通信状態取得部2412は、監視機110および拠点200における、他の構成との間の通信状態を取得する機能部である。
【0090】
通信状態取得部2412は、主として、空域通信状態取得部2412a、地上無線通信状態取得部2412b、および拠点通信状態取得部2412cを備える。
【0091】
空域通信状態取得部2412aは、各空域における無線通信状態、すなわち例えば通信強度又通信速度を取得する。空域通信状態取得部2412aは、機体制御システム1000が備える空域無線状態監視部1650により取得された情報を、各空域における無線通信状態として取得する。すなわち、空域の無線通信状態は、例えば、監視機110が飛行した軌跡に沿って得られる。なお、空域通信状態取得部2412aは、監視機110以外の構成から、空域の無線通信状態を取得してもよい。
【0092】
空域通信状態取得部2412aは、各空域の無線通信状態を、無線通信状態を取得した空域の位置座標と対応付けて取得し、記憶部2470に記憶する。各空域における無線通信状態は、監視機110から拠点200まで無線通信によりデータを伝送する場合におけるデータ伝送時間(第1データ伝送時間又は第4データ伝送時間)の推定において参照される。また、空域通信状態取得部2412aは、取得した無線通信状態を、取得時点と対応付けて取得してもよい。
【0093】
地上無線通信状態取得部2412bは、移動型拠点200b、200cから空間情報データ活用システム4000にデータ伝送を行う場合の無線通信状態を取得する。すなわち、地上の無線通信状態は例えば、移動型拠点200b、200cが移動した軌跡に沿って得られる。移動型拠点200は、例えば無線通信インフラを使ってインターネット経由で空間情報データ活用システム4000にデータを伝送する。なお、地上無線通信状態取得部2412bは、移動型拠点200b、200c以外の構成から、地上から空間情報データ活用システム4000に至る無線通信状態を取得してもよい。
【0094】
地上無線通信状態取得部2412bは、各領域の無線通信状態を、無線通信状態を取得した領域の位置座標と対応付けて取得し、記憶部2470に記憶する。船舶型拠点200cでは、例えば三角波を用いて位置座標を取得してよい。この無線通信状態は、移動型拠点200b、200cから空間情報データ活用システム4000に至るまでのデータ伝送時間(第2データ伝送時間)の推定において参照される。
【0095】
拠点通信状態取得部2412cは、固定型拠点200aから空間情報データ活用システム4000にデータ伝送を行う場合の、固定型拠点200aの通信状態を取得する。固定型拠点200aは、例えばインターネット経由で空間情報データ活用システム4000にデータを伝送する。なお、拠点通信状態取得部2412cは、固定型拠点200a以外の構成から、地上から空間情報データ活用システム4000に至る無線通信状態を取得してもよい。
【0096】
拠点通信状態取得部2412cは、各固定型拠点200aの無線通信状態を、固定型拠点200aの識別情報と対応付けて取得し、記憶部2470に記憶する。拠点通信状態取得部2412cは、各固定型拠点200aの無線通信状態を、固定型拠点200aの位置座標と対応付けて取得してもよい。また、拠点通信状態取得部2412cは、回収態様候補抽出部2420からの要請に応じて、要請を受けた時点における固定型拠点200aの無線通信状態を取得してもよい。また、拠点通信状態取得部2412cは、監視機110が捜索対象物を検出したことを契機に、各固定型拠点200aの無線通信状態を取得してもよい。この無線通信状態は、固定型拠点200aから空間情報データ活用システム4000に至るまでのデータ伝送時間(第3データ伝送時間)の推定において参照される。
【0097】
(A-1-5-3.回収態様候補抽出部2420)
回収態様候補抽出部2420は、データ回収態様の候補を抽出する機能部である。回収態様候補抽出部2420は、あらかじめ設定されたデータ回収位置の候補から複数の候補位置を抽出する。
●候補テーブル
図6は、回収態様候補抽出部2420により抽出される回収態様の候補の例を示す候補テーブルT101の例を示す図である。
回収態様は、データの回収方法および監視機110から取得データが回収されるデータ回収位置に大別される。
【0098】
データ回収方法は、例えばデータ回収を行う拠点200の種別およびデータの伝送方法を含む。拠点200の種別として、固定型拠点200a、車両型拠点200b、および船舶型拠点200cの3種類が想定される。また、監視機110から拠点200に至る伝送方法として、着陸して回収させる方法と、監視機110が飛行している状態において無線により伝送させる方法の2種類が想定される。着陸による回収は、例えば、監視機110の記憶媒体が作業者により物理的に取り外され、運航マネジメントシステム2400に挿入されることによりデータを回収する。なお、着陸してデータ回収を行う場合には、記録媒体の回収と合わせてバッテリを交換してもよい。無線通信により回収される場合、監視機110は着陸せず、例えば監視機110が所定の空域に飛行した状態で取得データを伝送する。
【0099】
また、データ回収方法は、拠点200を経由せず、監視機110から空間情報データ活用システム4000に衛星伝送により直接取得データを送信する態様が想定される。したがって、回収態様候補抽出部2420は、計7種の回収態様に、それぞれ複数の候補位置を掛け合わせた回収方法の候補を抽出する。
【0100】
候補テーブルT101には、回収されうるデータ回収位置の候補位置が回収方法ごとに1又は複数格納される。回収拠点が固定型拠点200aである回収態様(No.1およびNo.2)においては、監視機110から固定型拠点200aに取得データが回収される回収位置は固定型拠点200aの位置である。回収態様候補抽出部2420は、監視機110に最も近接する固定型拠点200aを候補位置として抽出してもよい。
【0101】
拠点200が移動式である態様、又は衛星伝送により取得データが監視機110から直接伝送される態様においては、拠点200および監視機110が移動するため、データ回収位置は複数想定され得る。そこで、回収態様候補抽出部2420は、データ回収位置の候補を抽出する。
【0102】
回収態様候補抽出部2420は、データ回収を行う拠点200が車両型拠点200bである態様においては、データ回収位置を陸上位置から複数抽出する。回収態様候補抽出部2420は、データ回収を行う拠点200が船舶型拠点200cである態様、又は衛星伝送によりデータ回収を行う態様においては、データ回収位置を海上位置から複数抽出する。
【0103】
回収態様候補抽出部2420は、移動型拠点200b、200cと監視機110の移動時間が均等となる位置を、候補位置として抽出してもよい。また、移動型拠点200b、200cのうち、監視機110に最も近い拠点200b、200cを抽出した上で、移動時間が均等となる位置を候補位置として抽出してもよい。なお、車両型拠点200bにおいて、監視機110の移動時間が均等となる位置が海上である場合には、回収態様候補抽出部2420は、海岸線上を候補位置として抽出してもよい。特に、監視機110が海上を監視し、車両型拠点200bにより取得データを回収する場合には、海岸でのデータ回収が好適である。海岸付近の離着陸に適した地点は、監視対象領域Fが決まった時点で複数地点を事前に選定され、記憶部2470に記憶されていてもよい。回収態様候補抽出部2420は、事前に選定されている地点の中から候補位置を抽出してよい。着陸地点は、監視機110の種類、すなわち回転翼機かVTOL機か等に応じて異なる大きさ又は形状の地点が選定されていてもよい。なお、海岸への着陸は、VTOL機が好適である。
【0104】
また、回収態様候補抽出部2420は、通信状態取得部2412により取得される空域又は地上の通信状態を参照して、候補位置を抽出してよい。
【0105】
より具体的には、回収態様候補抽出部2420は、互いに異なる指標により抽出した複数の位置を、それぞれ候補位置として抽出する。例えば、回収態様候補抽出部2420は、移動時間が最短となる地点を候補位置A(陸上位置A、海上位置a)、空域の無線通信状態が最も良い地点を候補位置B(陸上位置B、海上位置b)、地上の通信状態が最も良い地点を候補位置C(陸上位置C、海上位置c)、移動距離又は移動時間、空域の通信状態および地上の通信状態のすべてが所定以上良い地点を候補位置D(陸上位置D、海上位置d)として抽出する。候補位置Aは、例えば監視機110と移動型拠点200b、200cとで移動距離又は移動時間が略均等となる地点であってもよい。
【0106】
(A-1-5-4.所要時間推定部2430)
所要時間推定部2430は、監視機110が捜索対象物を検出した時点から、監視機110に蓄積されている取得データを空間情報データ活用システム4000が取得するまでに要する所要時間を推定する機能部である。
所要時間推定部2430は、主として、移動時間推定部2431、データ伝送時間推定部2432、および合計所要時間推定部2433を備える。
【0107】
(A-1-5-4-1.移動時間推定部2431)
移動時間推定部2431は、監視機110および移動型拠点200b、200cのデータ回収位置までの移動時間を推定する機能部である。移動時間推定部2431は、監視機110、車両型拠点200b、船舶型拠点200cのデータ回収位置までの移動時間を推定する。移動時間推定部2431は、他航空機の運航計画から分かる空域の混雑度も考慮して移動予測時間を推定してもよい。また、移動時間推定部2431は、移動型拠点200b、200cが移動する地上の道路状況や、海上の混雑度も考慮して移動予測時間を推定してよい。
【0108】
また、移動時間推定部2431は、着陸する場合には、監視機110が着陸に必要な時間を推定する。この場合、移動時間推定部2431は、他航空機の運航計画や拠点の着陸計画から分かる拠点の滑走路の混雑度も考慮して着陸予測時間を推定してよい。
【0109】
(A-1-5-4-2.データ伝送時間推定部2432)
データ伝送時間推定部2432は、取得データが監視機110から空間情報データ活用システム4000に至るまでのデータ伝送時間を推定する機能部である。データ伝送時間は、データ回収位置における監視機110から移動型拠点200b、200cに至るまでの第1データ伝送時間、移動型拠点200b、200cから空間情報データ活用システム4000に至るまでの第2データ伝送時間、固定型拠点200aから空間情報データ活用システム4000に至るまでの第3データ伝送時間、データ回収位置における監視機110から固定型拠点200aに至るまでの第4データ伝送時間、を含む。すなわち、データ伝送時間推定部2432は、伝送方法ごとにデータ伝送時間を推定する。データ伝送時間推定部2432は、特許請求の範囲におけるデータ伝送時間推定部、第2データ伝送時間推定部、および第3データ伝送時間推定部の例である。
【0110】
データ伝送時間推定部2432は、データ伝送時間の推定において、互いに近接する地点の無線通信状態の取得履歴が記憶部2750に格納されている場合には、取得時点が推定時点に近い無線通信状態を参照してデータ伝送時間を推定してもよい。
【0111】
(A-1-5-4-3.合計所要時間推定部2433)
合計所要時間推定部2433は、各回収態様について捜索対象物の検出地点から空間情報データ活用システム4000までデータ伝送に要する合計所要時間を推定する機能部である。合計所要時間推定部2433は、移動時間推定部2431により推定される移動時間と、データ伝送時間推定部2432により推定されるデータ伝送時間と、を合算することで合計所要時間を推定する。
●所要時間テーブル
図7は、データの回収態様と、推定すべき所要時間の内訳の例を示す所要時間テーブルT102を示す図である。所要時間推定部2430は、所要時間テーブルT102を参照し、推定すべき所要時間を抽出した上で、当該推定すべき所要時間を合計することで合計所要時間を推定する。
【0112】
(A-1-5-5.回収指令部2440)
回収指令部2440は、取得データの回収態様を決定し、回収に要する制御指令を監視機110および拠点200に送信する機能部である。回収指令部2440は、例えば、回収態様候補抽出部2420により抽出される回収態様の候補と、所要時間推定部2430により推定される各回収態様における所要時間と、を参照し、所要時間が最短となる回収方法で回収を行うことを決定する。このような構成によれば、回収態様候補抽出部2420により、候補の態様が限られるため、計算の処理負荷を軽減できる。
【0113】
なお、本発明の技術的範囲は、回収態様候補抽出部2420により抽出された候補から回収態様を決定する構成には限定されず、回収指令部2440により略無限に選定され得るデータ回収位置の候補から最適なデータ回収位置を決定する構成も含まれてよい。
【0114】
回収指令部2440は、主として、データ回収方法決定部2441、データ回収位置決定部2442、監視機指令部2443および移動型拠点指令部2444を備える。
【0115】
(A-1-5-5-1.データ回収方法決定部2441)
データ回収方法決定部2441は、監視機110が捜索対象物を検出した場合に、監視機110が取得した取得データを空間情報データ活用システム4000に回収するデータの回収方法を決定又はユーザに提案する機能部である。データ回収方法決定部2441は、回収方法として、回収する拠点200の使用有無および拠点200の種別を決定又は提案する。また、データ回収方法決定部2441は、回収方法として、取得データを無線伝送により拠点200に回収させるか、監視機110を拠点200に着陸させることで回収するか、衛星伝送により拠点200を介さずに回収するか、を決定又は提案する。
【0116】
(A-1-5-5-2.データ回収位置決定部2442)
データ回収位置決定部2442は、監視機110に蓄積される取得データを回収するデータ回収位置を決定又はユーザに提案する機能部である。データ回収位置は、取得データは、監視機110が着陸した上で回収される位置と、監視機110と拠点200との無線通信により回収される位置の双方の概念を含んでいる。
【0117】
データ回収位置決定部2442は、固定型拠点200aのうち監視機110からの距離が最短の拠点200を、データ回収位置に決定又は提案してもよい。
【0118】
データ回収位置決定部2442は、監視機110の位置と、移動型拠点200b、200cの位置とに基づいて、監視機110および移動型拠点200b、200cの移動所要時間が略均等となる位置をデータ回収位置に決定又は提案する。すなわち、データ回収位置決定部は、監視機110がデータ回収位置まで移動する移動時間と、移動型拠点200b、200cがデータ回収位置まで移動する移動時間が最短になる位置をデータ回収位置に決定又は提案してよい。捜索対象物の位置、監視機110の位置および移動型拠点200b、200cの位置は様々であるところ、本構成によれば、捜索対象物を検出した時点における監視機110および移動型拠点200b、200cの位置に応じた最適なデータ回収位置を選定することができる。
【0119】
データ回収位置決定部2442は、監視機110が無線通信により取得データを送信する場合に、無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きい領域をデータ回収位置に決定又は提案してもよい。この構成によれば、無線通信の通信状態を確保してデータ回収を実行することができる。ひいては、十分な通信速度でデータ回収ができるので、短い伝送時間でのデータ回収を実現できる。
【0120】
データ回収位置決定部2442は、移動型拠点200b、200cと空間情報データ活用システム4000とを接続する無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きい領域をデータ回収位置に決定又は提案する。この構成によっても、無線通信の通信状態を確保してデータ回収を実行することができる。
【0121】
データ回収位置決定部2442は、移動時間および第1データ伝送時間の合計が最短となるデータ回収位置を決定又は提案する。また、データ回収位置決定部2442は、移動時間、第1データ伝送時間および第2データ伝送時間の合計が最短となるデータ回収位置を決定又は提案してもよい。上述のような構成によれば、移動時間およびデータ伝送時間を考慮してデータ回収位置を決定できるので、迅速なデータ回収が実現できる。
【0122】
データ回収位置決定部2442は、候補位置の中から、監視機から拠点200への無線通信の通信強度又は通信速度の少なくともいずれかが所定の第2閾値よりも大きい候補位置を抽出し、データ回収位置に決定又は提案してもよい。このような構成によれば、良好な通信状態を確保して迅速なデータ回収を実現できる。
【0123】
データ回収位置決定部2442は、固定型拠点200aと空間情報データ活用システム4000とを接続する無線又は有線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きく、かつ、第3データ伝送時間が、候補位置の中で最短となるデータ回収位置を決定又は提案してもよい。また、データ回収位置決定部2442は、移動時間および第4データ伝送時間の合計が候補位置の中で最短となるデータ回収位置を決定又は提案してもよい。さらに、データ回収位置決定部2442は、移動時間、第3データ伝送時間および第4データ伝送時間の合計が候補位置の中で最短となるデータ回収位置を決定又は提案してもよい。
【0124】
データ回収位置決定部2442は、設備機材管理システム4100により管理される機材管理状態の情報に基づいて、データ回収位置を決定又は提案してもよい。すなわち例えば、データ回収位置決定部2442は、機材管理状態が十分である拠点200をデータ回収位置に決定又は提案してもよい。また、データ回収位置決定部2442は、機材管理状態が不足している拠点200を、データ回収位置の候補位置から除外してもよい。このような構成によれば、監視機110からのデータ回収をより確実に行わせることができる。
【0125】
データ回収位置決定部2442は、監視機110をデータ回収位置に着陸させることを決定又は提案する場合に、データ回収位置における他の航空機の着陸計画、離陸計画又は飛行計画を参照して、監視機110が他の航空機を待機する待機時間が比較的短い位置をデータ回収位置に決定又は提案してもよい。この場合、データ回収位置決定部2442は、例えば予約システム4200の情報を参照してよい。例えばデータ回収位置の空域は無線通信状態が良好であったとしても、当該空域に他の航空機が複数存在していたり、データ回収位置に他の航空機が着陸している場合には監視機110が待機したりすることとなり、結果としてデータ回収に時間を要するおそれがある。その点、待機時間を加味してデータ回収位置を決定又は提案する構成によれば、待機時間を短縮することで、迅速なデータ回収が実現できる。
【0126】
また、データ回収位置決定部2442は、データ回収位置に決定した拠点200の情報を、設備機材管理システム4100および予約システム4200に送信してもよい。この情報を受信した場合、設備機材管理システム4100は、監視機110によるデータ回収が行われる予定の拠点200に対し、必要な機材の保守管理を行う旨の情報を送信してもよい。この構成によれば、監視機110が拠点200に到達する前に、拠点200における準備を確実に遂行することができる。また、予約システム4200は、当該拠点200の利用予定を更新する。この構成によれば、他の監視機110は、最新の拠点利用予定を参照してデータ回収位置を決定又は提案できる。
【0127】
上述のような構成によれば、取得データの回収を最も迅速に行うことができる回収態様を効率よく算出することができる。また、通信状態は衛星や地磁気の状況などに応じて変化するところ、通信状態を鑑みて回収態様を変更することができるので、状況に応じた柔軟なデータ回収が可能である。
【0128】
(A-1-5-5-3.監視機指令部2443)
監視機指令部2443は、監視機110の着陸を制御する機能部である。監視機指令部2443は、着陸許可情報を取得し、着陸許可情報の取得を契機に、監視機110をデータ回収位置に着陸させる。着陸許可情報は、例えばデータ回収位置としての移動型拠点200b、200cにおいて入力される。また、着陸許可情報は、当該移動型拠点200b、200c以外において適宜の司令官により入力されてもよい。さらに、着陸許可情報は、移動型拠点200b、200cと共に移動する作業者により、移動型拠点200b、200cがデータ回収位置に到達する前に入力されてもよい。この作業者は例えば、データ回収位置の少し手前の位置から、移動型拠点200b、200cがデータ回収位置に到達するのを見越して着陸許可情報を入力する。
【0129】
監視機指令部2443は、移動型拠点200b、200cがデータ回収位置に到着した旨の到着情報を取得し、到着情報および着陸許可情報の取得を契機に、監視機110をデータ回収位置に着陸させてもよい。もし、到着情報または着陸許可情報を取得しない場合には、地上側の着陸準備ができていないと判断して、上空でホバリング待機または固定翼による旋回飛行待機を行う。なお、監視機110がeVTOL機の場合には、バッテリ残量が所定量より多い場合にはホバリング待機を行い、バッテリ残量が所定量より少ない場合には旋回飛行待機を行ってもよい。なお、監視機110がデータ回収位置にいる間は、他の監視機110又は地上載置レーダ114等の他の監視装置により、検出された捜索対象物の監視を継続し、移動位置を把握するとよい。
【0130】
監視機指令部2443は、取得データが回収されたことを検出すると、監視機110に記録されている捜索対象物の位置又は捜索対象物の捜索を中断した位置に帰還させ、捜索対象物の追跡飛行を再開させてもよい。また、監視機指令部2443は、捜索対象物の位置もしくは捜索対象物の捜索を中断した位置において、監視機110による捜索飛行を実行してもよい。また、監視機110がデータ回収位置にいる間、他の監視機や他の監視装置により捜索対象物の位置が把握可能な場合には、監視機指令部2443は、監視機110を監視装置により把握されている捜索対象物の位置に航行させてもよい。
【0131】
(A-1-5-5-4.移動型拠点指令部2444)
移動型拠点指令部2444は、データ回収位置決定部2442の決定したデータ回収態様に応じて、移動型拠点200b又は200cに制御指令を送信する機能部である。移動型拠点指令部2444は、データ回収位置決定部2442の決定したデータ回収位置まで移動型拠点200b又は200cを移動させる。
【0132】
また、移動型拠点指令部2444は、決定されたデータ回収態様に応じて、取得データの回収に係る制御指令を移動型拠点200b又は200cに送信する。移動型拠点指令部2444は例えば、監視機110と移動型拠点200b、200cとで無線通信を確立させ、監視機110からの取得データを移動型拠点200b、200cに取得させてもよい。
【0133】
(A-1-5-6.指示報知制御部2450)
指示報知制御部2450は、決定された回収態様を作業者に報知すると共に、作業者がすべき作業を指示する機能部である。指示報知制御部2450は例えば、監視機110が着陸によりデータ伝送を行う場合には、移動型拠点200b、200cにいる作業者に、監視機110から記録媒体を物理的に取り出す旨の指示を通知してもよい。また、監視機110が着陸によりデータ伝送を行う場合には、監視機110と所定の装置を有線接続することでデータ伝送を行ってもよく、指示報知制御部2450は、有線接続を実行する旨の指示を作業者に通知してもよい。また、指示報知制御部2450は、監視機110に挿入する代替の記録媒体又はバッテリの準備をする旨の指示を作業者に通知してもよい。
【0134】
(A-1-5-7.通信部2460)
通信部2460は、図示しないモデム等を有し、通信ネットワークNWを介して監視機110、空域・海域監視管制システム3000、空間情報データ活用システム4000、等との通信が可能である。
【0135】
(A-1-5-8.記憶部2470)
記憶部2470は、監視機110および拠点200の制御に係る情報を記憶する機能部であり、例えばデータベースである。記憶部2470は、例えば候補テーブルT101(
図6参照)を記憶する。また、記憶部2470は、所要時間テーブルT102(
図7参照)を記憶する。候補テーブルT101および所要時間テーブルT102は書換可能に記録されていてもよい。また、記憶部2470は、通信・位置状態取得部2410により取得した位置情報および通信状態を記憶してもよい。
【0136】
(A-1-6.フローチャート)
(A-1-6-1.捜索対象物を検出した場合に実行される処理)
図8を用いて、捜索対象物を検出した場合に実行される処理の流れの1例を説明する。
まず、機体制御システム1000の機体制御部1100により、監視機110による監視対象領域Fの監視を行わせる(ステップS101)。捜索対象物検出部1400により捜索対象物が検出されると(ステップS102)、捜索対象物位置検出部1500により検出される捜索対象物の位置、および対象物検出センサ1300により取得される情報を運航マネジメントシステム2400に送信し、ステップS102に移行する。
【0137】
次いで、運航マネジメントシステム2400の通信・位置状態取得部2410により、通信状態および位置情報を取得する(ステップS103)。次いで、回収態様候補抽出部2420により、回収態様の候補を複数抽出する(ステップS104)。次いで、所要時間推定部2430により、各回収態様における所要時間を推定する(ステップS105)。
【0138】
次いで、回収指令部2440により、取得データの回収態様の候補の中から実行する回収態様を決定し、取得データの回収を実行する(ステップS107)。次いで、取得データを受信した空間情報データ活用システム4000により、取得データの解析を実行する(ステップS108)。
【0139】
●通信状況の様子を示す概念図
図9および
図10を用いて、ステップS103で取得される通信状態と位置情報の例について説明する。
図9においては、地上面L100に、固定型拠点200a-1、200a-2、移動型拠点200b、および船舶型拠点200cが存在している。地上面L100の通信状態は、固定型拠点200aが配設されている領域においては、拠点通信状態取得部2412cにより定期的に取得される。また、地上面L100のうち、固定型拠点200aが配設されていない領域においては、移動型拠点200b、200cが移動した軌跡上において、地上無線通信状態取得部2412bにより得られる無線通信状態が参照される。また、地上面L100の上空に定義される空域L200の無線通信状態は、空域通信状態取得部2412aにより得られる無線通信状態が参照される。
【0140】
地上面L100には、監視機110から拠点200への通信状態が良い領域A100および悪い領域A110が存在している。空域L200には、拠点200から空間情報データ活用システム4000への通信状態の良い領域A200、および通信状態の悪い領域A210が存在している。同図においては、固定型拠点200a-1および船舶型拠点200cは領域A100に含まれており、地上の通信状態が悪い。一方、空域L200には通信状態の良い領域A200と悪い領域A210が散在していることがわかる。
【0141】
図10においては、地上面L100には通信状態の良い領域A100および悪い領域A200が散在している一方、空域L200においては、計測された領域においてはいずれも通信状態がよい領域A200である。
【0142】
公衆回線の通信状態、すなわち通信強度および通信速度は、空域と地上では異なっている。地上の通信状態は、地上の状況により異なる。また、空域の通信状態も、地上の状況等に応じて異なっている。例えば、山間部や谷では通信状態が悪く、通信局と近い位置は、通信状態が比較的良い場合がある。また、拠点200は専用無線設備を有しているため、当該専用無線設備との直接通信エリアでは通信状態が良く、それ以外のエリアでは通信状態が悪い傾向がある。さらに、通信状態は、時刻によっても変化する。
【0143】
上述のような状況において、通信状態取得部2412により複数箇所かつ複数時点において無線通信状態を把握した上で、データ伝送時間推定部2432によりデータ伝送時間を推定し、回収指令部2440によりデータ伝送時間が比較的短い状態で取得データを伝送させる構成によれば、無線通信状態に則した効率の良いデータ伝送が可能である。
【0144】
(A-1-6-2.着陸してデータ回収を行う場合の所要時間を推定する処理)
次に、
図11を用いて、固定型拠点200aに着陸してデータ回収を行う場合の所要時間を推定する処理について説明する。なお、この態様は、
図6の候補テーブルT101の回収態様No.1に対応する。
【0145】
まず、データ回収方法決定部2441およびデータ回収位置決定部2442により、データ伝送拠点の種別、データ回収位置および回収態様を取得する(ステップS201)。次いで、所要時間推定部2430により、監視機110から固定型拠点200aに至る移動時間を推定する(ステップS202)。次いで、固定型拠点200aへの他飛行機の着陸計画を取得する(ステップS203)。次いで、固定型拠点200aの着陸に要する時間を推定する(ステップS204)。
【0146】
また、処理は、ステップS201に次いで、ステップS202と並行してステップS212に移行する。
ステップS212において、拠点通信状態取得部2412cにより、固定型拠点200aの地上における通信状態を取得する。
【0147】
次いで、拠点通信状態取得部2412cにより、固定型拠点200aから空間情報データ活用システム4000へのデータ伝送に係るデータ伝送時間を推定する(ステップS213)。なお、取得データの解析部が固定型拠点200aに配設されている場合には、ステップS213は省略し、ステップS220に進む。
【0148】
次いで、所要時間推定部2430により、ステップS202乃至S204およびステップS212乃至S213により得られた合計所要時間を推定する(ステップS220)。
【0149】
(A-1-6-3.無線伝送によりデータ回収を行う場合の所要時間を推定する処理)
図12を用いて、移動型拠点200b、200cにより無線伝送でデータ回収を行う場合の所要時間を推定する処理について説明する。なお、この態様は、
図6の候補テーブルT101の回収態様No.4に対応する。
【0150】
まず、データ回収方法決定部2441およびデータ回収位置決定部2442により、データ伝送拠点の種別、データ回収位置および回収方法を取得する(ステップS301)。次いで、移動時間推定部2431により、監視機110から移動型拠点200b、200cに至る移動時間を推定する(ステップS302)。次いで、移動時間推定部2431により、移動型拠点200b、200cがデータ回収位置に至るまでの移動時間を取得する(ステップS303)。次いで、移動時間推定部2431により、監視機110のデータ回収位置までの監視機移動時間と、移動型拠点200b、200cのデータ回収位置までの拠点移動時間と、を比較し、時間の長い方をデータ回収位置までの移動時間として採用する(ステップS304)。
【0151】
また、処理は、ステップS301に次いで、ステップS302と並行してステップS312に移行する。
ステップS312において、空域通信状態取得部2412aにより、データ回収の候補位置における空域の通信状態を取得する。
【0152】
次いで、空域通信状態取得部2412aにより、監視機110から空間情報データ活用システム4000へのデータ伝送に係るデータ伝送時間を推定する(ステップS313)。地上無線通信状態取得部2412bにより、データ回収位置における地上の通信状態を取得する(ステップS314)。次いで、移動型拠点200b、200cから空間情報データ活用システム4000へのデータ伝送に係る第2データ伝送時間を推定する(ステップS315)。
【0153】
なお、取得データの解析部が移動型拠点200b、200cに配設されている場合には、ステップS315は省略し、ステップS320に進む。
【0154】
次いで、所要時間推定部2430により、ステップS302乃至S304およびステップS312乃至S315により得られた合計所要時間を推定する(ステップS320)。
【0155】
(A-1-6-4.回収指令部による処理)
図13を用いて、回収指令部2440により監視機110および拠点200がデータ回収を行う処理の流れの1例を説明する。
まず、データ回収方法決定部2441およびデータ回収位置決定部2442により、推定した合計所要時間が最も短いデータ伝送態様を選択する(ステップS401)。次いで、監視機指令部2443により、監視機110にデータ回収位置への移動指示を送信する(ステップS402)。次いで、監視機指令部2443により、監視機110に、選択されたデータ伝送方法でのデータ伝送指示を送信する(ステップS403)。なお、ステップS402およびS403は逆の順序でもよく、同時に行われてもよいが、移動指示を先に行う態様によれば、いち早く移動を開始できるので好適である。
なお、データ回収方法決定部2441およびデータ回収位置決定部2442によりデータ伝送態様を決定する構成に代えて、データ回収方法決定部2441およびデータ回収位置決定部2442がユーザに対しデータ伝送態様を提案し、ユーザが承認入力又は選択入力することで伝送態様が決定される構成であってもよい。
【0156】
決定されたデータ伝送方法が移動型拠点200b、200cを利用する伝送であるかを判定し(ステップS404)、移動型拠点200b、200cを利用しない場合は(ステップS404でN)、処理を終了する。
【0157】
決定されたデータ伝送方法が移動型拠点200b、200cを利用する伝送である場合(ステップS404でN)、移動型拠点指令部2444により、移動型拠点200b、200cに、データ回収位置への移動指示を送信する(ステップS405)。移動型拠点200b、200cがデータ回収位置に到着したか否かを判定し(ステップS406)、データ回収位置に到着すると、ステップS407に移行する。なお、データ回収位置は移動型拠点200b、200cの上空、移動型拠点200b、200cの上部の他、移動型拠点200b、200cの近傍であってよい。このとき、移動型拠点200b、200cには追加用の監視用航空機を用意してもよい。また、データ回収位置が移動型拠点200b、200c上でない場合は、移動型拠点200b、200cの作業者に、監視機110の位置を示し、監視機110に急行するよう指示が出されてもよい。
【0158】
ステップS407では、決定されたデータ伝送方法が着陸か否か判定し、着陸によるデータ伝送の場合は(ステップS407でY)、ステップS408に移行する。無線伝送によるデータ伝送の場合は(ステップS407でN)、ステップS410に移行する。
【0159】
ステップS408では、移動型拠点200b、200cからの着陸許可信号を待機する。着陸許可信号の待機は、上空でホバリング又は旋回飛行を行ってよい。例えば、監視機110のバッテリ残量に余裕がある、すなわち所定以上の場合はホバリングを行い、バッテリ全量の余裕がない場合は旋回飛行を行ってもよい。
【0160】
監視機指令部2443は、移動型拠点200b、200cからの着陸許可信号を受信すると(ステップS408でY)、監視機110をデータ回収位置に着陸させる(ステップS409)。ここで、着陸時に監視機110のデータ記録部1700を交換することで監視機110による取得データを回収する。更に、移動型拠点200b、200cにおいて交換用のバッテリを準備している場合には、監視機110のバッテリを交換する。あるいは、移動型拠点200b、200cが予備の監視機(無人航空機)を準備している場合であって、監視機110に異常や故障が見つかった場合には、監視機110を交換することもできる。次いで、取得データを空間情報データ活用システム4000に伝送する(ステップS410)。取得データの伝送が完了すると、監視機110は飛行を再開し、検出した捜索対象物の追跡、又は捜索対象物周辺の捜索飛行を実行する(ステップS411)。
【0161】
[A-2.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、監視機からのデータ回収を迅速に行うことができる。
【0162】
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0163】
上記実施形態に関連した説明した一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア並びにソフトウェア及びハードウェアの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る監視システム1の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えば通信ネットワークNWを介して配信されてもよい。
【0164】
上記実施形態で用いたフローチャートに関し、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1 航空データセンシングシステム(監視システム)
1000 機体制御システム
1200 自己位置測位部
1300 対象物検出センサ
1400 捜索対象物検出部
1500 捜索対象物位置検出部
1650 空域無線状態監視部
110 監視機
111 航空機
2000 拠点システム
2100 機体運航オペレートシステム
2200 取得データ管理システム
2300 通信インフラマネジメントシステム
2400 運航マネジメントシステム
2410 通信・位置状態取得部
2420 回収態様候補抽出部
2430 所要時間推定部
2440 回収指令部
3000 空域・海域監視管制システム
4000 空間情報データ活用システム
5000 船舶管制システム
6000 航空管制システム
100 航空機(移動体)
F 監視対象領域
F110 監視範囲
S200 不審船(捜索対象物)
【手続補正書】
【提出日】2023-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る監視システムの全体構成図である。
【
図2】前記監視システムと通信を行う監視機が海域および空域を監視する様子を示す概念図である。
【
図3】前記監視システム、および前記監視システムと通信を行う出動機の通信態様の例を示す模式図である。
【
図4】(a)前記監視機の1例である航空機の概略斜視図、(b)前記航空機が備える機体制御システムの機能構成図、である。
【
図5】前記監視システムが備える運航マネジメントシステムの機能構成図である。
【
図6】前記監視システムが備える回収態様候補抽出部により抽出されるデータ回収位置の候補位置の例を示す候補テーブルである。
【
図7】前記監視システムが備える所要時間推定部により参照される、データの回収態様と、推定すべき所要時間の内訳の対応関係の例を示す所要時間テーブルである。
【
図8】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第1例を示すフローチャートである。
【
図9】前記監視システムと連携する監視機および拠点システムと、それぞれにおける通信状態の様子の第1例を示す概念図である。
【
図10】前記監視システムと連携する監視機および拠点システムと、それぞれにおける通信状態の様子の第2例を示す概念図である。
【
図11】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第2例を示すフローチャートである。
【
図12】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第3例を示すフローチャートである。
【
図13】前記監視システムが捜索対象物を検出した場合に行う処理の流れの第4例を示すフローチャートである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機と、
前記監視機に搭載され、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出部と、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定または提案するデータ回収位置決定部と、
を備える監視システム。
【請求項2】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点と、
前記データ回収位置決定部の決定した、又は前記データ回収位置決定部の提案に対してユーザが決定した前記データ回収位置まで前記移動型拠点を移動させる移動型拠点指令部と、
をさらに備える、
請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機の位置と、前記移動型拠点の位置とに基づいて、前記監視機および前記移動型拠点の移動所要時間が略均等となる位置を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機が前記無線通信により前記取得データを送信する場合に、前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定条件よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項5】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、
前記データ回収位置決定部は、前記移動型拠点と前記解析部とを接続する前記無線通信の通信強度又は通信速度のいずれかが所定の閾値よりも大きい領域を前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項6】
前記監視機および前記移動型拠点の前記データ回収位置までの移動時間を推定する移動時間推定部と、
前記データ回収位置における前記監視機から前記移動型拠点への第1データ伝送時間を推定するデータ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項2記載の監視システム。
【請求項7】
前記移動型拠点は、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、
前記データ伝送時間推定部は、前記移動型拠点から前記解析部までの第2データ伝送時間を予測し、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第1データ伝送時間および前記第2データ伝送時間の合計が最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項6記載の監視システム。
【請求項8】
前記監視機から前記拠点に取得データを伝送する回収態様として、前記監視機を前記拠点に着陸させることにより前記取得データを回収するか、前記監視機から拠点に無線伝送により取得データを送信するか、を決定又は提案するデータ回収方法決定部をさらに備え、
前記移動時間推定部は、前記監視機が前記拠点に着陸する場合に着陸に要する着陸時間を、前記監視機が前記データ回収位置まで移動する時間に合算して前記移動時間を算出し、
前記データ回収方法決定部は、前記移動時間および前記第1データ伝送時間の合計が最短となる回収態様を決定又は提案する、
請求項6記載の監視システム。
【請求項9】
前記取得データを回収する設備を備えた拠点と、
あらかじめ設定された前記データ回収位置の候補から複数の候補位置を抽出する回収態様候補抽出部と、
をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記候補位置の中から、前記監視機から前記拠点への前記無線通信の通信強度又は通信速度の少なくともいずれかが所定の第2閾値よりも大きい候補位置を抽出し、前記データ回収位置として決定又は提案する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項10】
前記拠点は固定型拠点であり、前記取得データを解析する解析部と無線通信により接続され、
前記拠点から前記解析部までの第3データ伝送時間と、を推定する第2データ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、少なくとも前記第3データ伝送時間が、前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項9記載の監視システム。
【請求項11】
前記監視機の前記データ回収位置までの移動時間と、前記データ回収位置における前記監視機から前記拠点への第4データ伝送時間と、を推定する第3データ伝送時間推定部をさらに備え、
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項10記載の監視システム。
【請求項12】
前記データ回収位置決定部は、前記移動時間、前記第3データ伝送時間および前記第4データ伝送時間の合計が前記候補位置の中で最短となる前記データ回収位置を決定又は提案する、
請求項11記載の監視システム。
【請求項13】
前記データ回収位置決定部は、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させることを決定する場合に、前記データ回収位置における他の航空機の着陸計画、離陸計画又は飛行計画を参照して、前記監視機が前記他の航空機を待機する待機時間が比較的短い位置を前記データ回収位置に決定又は提案する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項14】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、
前記監視機指令部は、着陸許可情報を取得し、前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させる、
請求項1記載の監視システム。
【請求項15】
前記取得データを回収する設備を備えた移動型拠点をさらに備え、
前記監視機指令部は、前記移動型拠点が前記データ回収位置に到着した旨の到着情報を取得し、前記到着および前記着陸許可情報の取得を契機に、前記監視機を前記データ回収位置に着陸させる、
請求項14記載の監視システム。
【請求項16】
前記監視機の着陸を制御する監視機指令部をさらに備え、
前記監視機指令部は、前記取得データが回収されたことを検出すると、前記監視機に記録されている前記捜索対象物の位置又は前記捜索対象物の捜索を中断した位置に帰還し、前記捜索対象物の追跡飛行、又は前記捜索対象物の位置もしくは前記捜索対象物の捜索を中断した位置における捜索飛行を実行する、
請求項1記載の監視システム。
【請求項17】
コンピュータが
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出ステップと、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定ステップと、
を実行する、監視方法。
【請求項18】
コンピュータに
監視対象領域における捜索対象物を捜索する監視機により、前記捜索対象物を検出する捜索対象物検出命令と、
前記監視機が前記捜索対象物を検出した場合に、前記監視機に蓄積される取得データを着陸又は無線通信により回収するデータ回収位置を決定又は提案するデータ回収位置決定命令と、
を実行させる、監視プログラム。