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特開2025-21127硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
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  • 特開-硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021127
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/46 20060101AFI20250205BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20250205BHJP
   G03F 7/038 20060101ALI20250205BHJP
   G03F 7/032 20060101ALI20250205BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20250205BHJP
【FI】
C08F2/46
G03F7/004 512
G03F7/038 501
G03F7/032 501
H05K3/28 F
H05K3/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124862
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博英
(72)【発明者】
【氏名】荒井 康昭
(72)【発明者】
【氏名】嶋宮 真梨子
(72)【発明者】
【氏名】播磨 英司
【テーマコード(参考)】
2H225
4J011
5E314
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AC55
2H225AC72
2H225AD02
2H225AD34
2H225AE06P
2H225AE14P
2H225AE15P
2H225AN36P
2H225AN51P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AP03P
2H225AP09P
2H225AP11P
2H225AP15P
2H225BA16P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J011AA05
4J011AC04
4J011CA05
4J011CC10
4J011PA03
4J011PA43
4J011PA49
4J011PA86
4J011PB25
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA23
4J011QB03
4J011SA04
4J011SA05
4J011SA14
4J011SA15
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA01
5E314AA25
5E314AA27
5E314AA45
5E314BB02
5E314CC15
5E314EE03
5E314FF02
5E314FF03
5E314FF04
5E314FF05
5E314FF06
5E314GG26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】パターン形成が可能で、回路の隠避性、さらにはリフロー後の回路の変色に対する隠蔽性が良好な硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板の提供。
【解決手段】硬化性樹脂組成物であって、硬化性樹脂組成物を絶縁基材の表面に回路を備えた基板上に配して硬化させた硬化物において、絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ前記絶縁基材上のL値と前記回路上のL値と、から算出したΔEab値が1以下となる硬化性樹脂組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂組成物であって、
前記硬化性樹脂組成物を絶縁基材の表面に回路を備えた基板上に配して硬化させた硬化物において、
前記絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ前記絶縁基材上のL値と前記回路上のL値と、から算出したΔEab値が1以下となることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤または着色剤の少なくともいずれかを含有する請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化物が、前記基板側の第1の層と、前記基板側とは反対側の第2の層と、を有し、
前記第1の層を形成する硬化性樹脂組成物が黒色着色剤を1質量%以上含有する請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
第一のフィルムと、前記第一のフィルム上に形成された請求項1に記載の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層とを有する、ドライフィルム。
【請求項5】
請求項1に記載の硬化性樹脂組成物、または請求項4に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化させた硬化物。
【請求項6】
請求項5に記載の硬化物を有するプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられるプリント配線板は、ガラス、エポキシ材や紙、フェノール材などの絶縁材に銅箔を貼り合わせた基材に電子回路パターンがエッチング等により形成され、各種の部品が半田リフローなどを用いて実装されたものである。実装する際に、部品実装箇所以外の回路へ半田が付着しないよう保護するために、あらかじめソルダーレジストを形成する。ソルダーレジストは様々な環境下における回路の保護、電気的なショートの防止などを目的とした永久塗膜である。
【0003】
ソルダーレジストは、例えば、光硬化性樹脂組成物を用いて、アルカリ現像法により形成される(例えば、特許文献1参照)。アルカリ現像法は、基板の全面に光硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥して塗膜を形成し、この乾燥塗膜を露光して部分的に硬化させ、アルカリ溶液により未硬化の光硬化性樹脂組成物を現像して、パターンを形成する方法である。アルカリ現像法は、微細なパターン形成にも対応できるため、プリント配線板の製造に用いられる。
【0004】
ソルダーレジストは、プリント配線板の最外層に形成される。そのため、ソルダーレジストは回路の保護だけではなく、回路を完全に覆い隠すことが求められる場合がある。このため、光硬化性樹脂組成物に着色剤を多く含有するソルダーレジストに用いられる硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-65942号公報
【特許文献2】特開2022-63745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、着色剤、特に黒色の着色剤は光吸収性が高く、レジストパターンを形成する際の光硬化が進まず、その含有量によっては所望のパターンが得られない場合がある。
他方で、着色剤の量を減らすと、回路の隠蔽性が低下してしまい、回路を完全に覆い隠すようなデザイン性が求められる塗膜については、その形成が難しくなるといった問題がある。また、部品実装時の熱処理(リフロー)後に基材、および回路の酸化により変色が発生した場合であっても、回路の色に影響しないソルダーレジスト本来の色を保持することが求められている。
【0007】
本発明はこのような事情に基づきなされたものであり、その目的は、パターン形成が可能で、回路の隠避性、さらにはリフロー後の回路の変色に対する隠蔽性が良好な硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明による硬化性樹脂組成物は、
硬化性樹脂組成物であって、
硬化性樹脂組成物を絶縁基材の表面に回路を備えた基板上に配して硬化させた硬化物において、
絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ前記絶縁基材上のL値と前記回路上のL値と、から算出したΔEab値が1以下となることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の態様においては、硬化性樹脂組成物が、光重合開始剤および着色剤の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
【0010】
また、本発明の態様においては、硬化物が基板側の第1の層と、基板側とは反対側の第2の層と、を有し、第1の層を形成する硬化性樹脂組成物が黒色着色剤を1質量%以上含有することが好ましい。
【0011】
また、本発明の別の態様によるドライフィルムは、第一のフィルムと、第一のフィルム上に形成された上述の硬化性樹脂組成物からなる樹脂層と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の態様による硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物、または上述の樹脂層を硬化させたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の別の態様によるプリント配線板は、上述の硬化物を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パターン形成が可能で、回路の隠避性、さらにはリフロー後の回路の変色に対する隠蔽性が良好な硬化物を形成可能な硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を基板上に配して硬化させた硬化物の概略断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を基板上に配して硬化させた硬化物の他の一例の概略断面図である。
図3図3は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を基板上に配して硬化させた硬化物の他の一例の概略断面図である。
図4図4は、本実施形態に係るドライフィルムの一例の概略断面図である。
図5図5は、本実施形態に係るドライフィルムの他の一例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る、硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板について説明する。
【0017】
(硬化性樹脂組成物)
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、絶縁基材の表面に回路を備えた基板上に配して硬化させた硬化物において、絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ絶縁基材上のL値と前記回路上のL値と、から算出したΔEab値が1以下となる。
ここで、ΔEab値とは、色の違いを表すL表色系で用いる色差の値であり、L色空間上の2点間の直線距離を数値で表したものである。
【0018】
ここで、図面を用いてL値、およびΔEab値の測定について説明する。
図1は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を絶縁基材の表面に回路を備えた基板上に配して硬化させた硬化物の概略断面図である。図1においては、基板4上に硬化性樹脂組成物の硬化物52が配置されている。基板4は、絶縁基材の領域(回路の領域51がない領域)と、回路の領域51とを有している。回路の領域51は、導体により形成されている。
硬化物52は、絶縁基材の領域と、回路の領域51との両方に配されている。このときに、絶縁基材上(図1中の(A)方向)から測定されたL値が「絶縁基材上のL値」であり、回路の領域51上(図1中の(B)方向)の硬化物から測定されたL値が、「回路上のL値」である。ここで得られる数値Lは明度を表す。また、色度を表すa、b値は、L値の測定と同時に得られる。さらに、これらの数値をもとに色差ΔEab値を算出する。なお、絶縁基材上のL値と回路上のL値と、から算出したΔEab値は下記のようにして算出される。
ΔEab={(絶縁基材上のL値―回路上のL値)+(絶縁基材上のa値―回路上のa値)+(絶縁基材上のb値―銅箔上のb値)1/2
【0019】
絶縁基材上のL値は、30以下であり、6以下が好ましい。絶縁基材上のL値が30以下であると、隠蔽性が良好になる。
【0020】
絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値は、1以下であり、0.6以下が好ましい。絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値が、1以下であると、隠蔽性が良好になる。
【0021】
値、a値、b値の測定、およびΔEab値の算出は、一般的に行われている方法であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分光測色計を用いて測定できる。
【0022】
図2は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を基板に配して硬化させた硬化物の他の一例の概略断面図である。図2のように、硬化性樹脂組成物の硬化物層13が、基板側の第1の層11と、基板側とは反対側の第2の層12と、を有していてもよい。図2のように硬化物が2層である場合、第1の層を形成する硬化性樹脂組成物の含有する黒色着色剤は、1質量%以上であることが好ましい。
図2のように硬化物が2層を有する際には、硬化性樹脂組成物は1種類であっても2種類であってもよいが、2種類であることが好ましい。

第1の層11と第2の層12との境界は、明確であってもあいまいであってもよい。
【0023】
また、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を、基板に配して硬化させた際に、基板側の領域1の透過率(第1の透過率)と、基材側とは反対側の領域2の透過率(第2の透過率)と、を比較したときに、基材側の領域1の透過率(第1の透過率)の方が低い。
【0024】
ここで、図面を用いて、硬化物の透過率について説明する。
図3は、本実施形態に係る硬化性樹脂組成物を基板に配して硬化させた硬化物の他の一例の概略断面図である。図3において、基板4上に硬化性樹脂組成物の硬化物層3が配されている。
基板4には、絶縁基材の領域と回路の領域と(図示せず)を有している。
【0025】
硬化物層3は、基板側の領域1と基板側とは反対側の領域2とを有している。基板側の領域1の透過率は、基板とは反対側の領域2の透過率より低い。
「透過率が低い」とは、「硬化物の色が濃い」ことでもある。したがって、第1の透過率が第2の透過率より低いとは、硬化物層3は、基板4から上部に向かって色味が薄くなる層であることを意味する。
【0026】
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物の透過率は、360nm~830nmの範囲における透過率の平均値と定義する。
具体的には、ガラス板上に乾燥塗膜として13±2μmになるように硬化性樹脂組成物の塗膜を形成し、形成した塗膜を紫外可視分光光度計および積分球装置を用いて、300nm~850nmにおけるベースラインからの透過率を測定する。測定の際は、走査速度を400nm/min、走査間隔を1nmとする。
得られた360nm~830nmの範囲における測定値の平均値を、測定した硬化性樹脂組成物の硬化物の透過率とする。
【0027】
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、硬化する性質を有するのであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、光重合開始剤および着色剤の少なくともいずれかを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
【0028】
<光重合開始剤、着色剤>
光重合開始剤、および着色剤は、硬化性樹脂組成物、および硬化物の解像性、および透過率を調節するために含有される。透過率を調整することで、解像性および隠蔽性を良好にすることができる。
【0029】
<<光重合開始剤>>
光重合開始剤は、通常の硬化性樹脂組成物に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、公知のものをいずれも用いることができる。光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
光重合開始剤は、例えば、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類;2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のモノアシルフォスフィンオキサイド類;フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾインアルキルエーテル類;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル)-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン類;フェニルジスルフィド2-ニトロフルオレン、ブチロイン、アニソインエチルエーテル、アゾビスイソブチロニトリル、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
【0031】
光重合開始剤の含有量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100重量部に対して、30質量部~10質量部が好ましく、20質量部~15質量部がより好ましい。含有量の値がこの範囲に含まれると、硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度を向上させることができる。
【0032】
<<着色剤>>
着色剤は、通常の硬化性樹脂組成物に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、黒色着色剤を含有することが好ましく、黒色以外の着色剤を含有してもよい。
【0033】
<<<黒色着色剤>>>
黒色着色剤は、黒色であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、カーボンブラック、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0034】
黒色着色剤の含有量は、固形分換算で、硬化性樹組成物全量に対し、1.0質量%~5質量%が好ましく、1.2質量%~4.5質量%がより好ましい。
特に、図2のように2層の硬化物を形成する場合は、黒色着色剤の量は、下記の量が好ましい。
色味が濃い層(図2の11)を形成する硬化性樹脂組成物の黒色着色剤の含有量は、1質量%~5質量%が好ましい。
また、色味が薄い層(図2の12)を形成する硬化性樹脂組成物の黒色着色剤の含有量は、0質量%~1質量%が好ましい。
【0035】
<<<黒色以外の着色剤>>>
黒色以外の着色剤は、本発明の効果を阻害しない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、赤、青、緑、黄、白などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
【0036】
具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。
【0037】
赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがある。青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系がある。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等がある。白色着色剤としては、ルチル型またはアナターゼ型酸化チタンなどが挙げられる。その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
【0038】
黒色以外の着色剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0039】
<その他の成分>
その他の成分は、通常の硬化性樹脂組成物に用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、熱硬化性成分、カルボキシル基含有樹脂、光重合性モノマー、フィラー、その他の添加剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0040】
<<熱硬化性成分>>
熱硬化性成分は、加熱により硬化するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱硬化性成分は、例えば、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でもエポキシ樹脂が好ましい。
【0041】
エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0042】
熱硬化性成分の含有量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100重量部に対し、40質量部~60質量部が好ましく、45質量部~55質量部がより好ましい。熱硬化性成分含有量の値がこの範囲に含まれると、硬化性樹脂組成物の硬化物の硬度を向上させることができる。
【0043】
<<カルボキシル基含有樹脂>>
カルボキシル基含有樹脂は、分子中にカルボキシル基を有している樹脂であり、従来公知の各種樹脂を用いることができる。硬化性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含有することにより、硬化性樹脂組成物に対し現像性(アルカリ現像性)を付与できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。
【0044】
カルボキシル基含有樹脂の具体例は、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0046】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシ基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0047】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和二重結合を有するモノカルボン酸化合物との反応物の部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0048】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0049】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0050】
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0051】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0052】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0053】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0054】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0055】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0056】
(12)前記(1)~(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0057】
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0058】
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、40mgKOH/g~150mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g~130mgKOH/gがより好ましい。カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像性が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、解像性を向上できる。
【0059】
カルボキシル基含有感光性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000が好ましく、5,000~100,000がより好ましい。重量平均分子量が2,000以上とすることにより、タックフリー性能や解像度を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下とすることで、現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。
【0060】
カルボキシル基含有感光性樹脂の含有量は、硬化性樹脂組成物中において、固形分換算で、20質量%~60質量%が好ましく、30質量%~50質量%がより好ましい。含有量が、20質量%以上とすることにより硬化塗膜強度を向上させることができる。また、含有量が60質量%以下とすることで粘性が適当となり、印刷性が向上する。
【0061】
<<光重合性モノマー>>
光重合性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーである。このような光重合性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート類;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加物あるいはε-カプロラクトン付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート等のフェノール類またはこれらのアルキレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
なお、光重合性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
【0062】
光重合性モノマーの含有量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部~100質量部の割合が好ましい。配合量が、5質量部以上の場合、光硬化性が良好であり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像において、パターン形成がしやすい。一方、100質量部以下の場合、ハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
【0063】
<<フィラー>>
フィラーとしては、公知の無機または有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ、およびタルクが好ましく用いられる。
フィラーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0064】
<<その他の添加剤>>
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、光開始助剤、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、ウレタン化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、重合禁止剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤およびレベリング剤の少なくともいずれか1種、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
【0065】
<硬化性樹脂組成物の製造方法>
硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、上記各成分を所定の割合で配合後、室温にて、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等の混練手段、又は、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の攪拌手段により混練又は混合して製造することができる。また、前記混練又は混合の前に、必要に応じて、予備混練又は予備混合してもよい。
【0066】
実施形態に係る硬化性樹脂組成物は、後述のようにドライフィルム化して用いても液状として用いてもよい。また、液状として用いる場合は、1液性でも2液性以上でもよい。
【0067】
(ドライフィルム)
本実施形態に係るドライフィルムは、第一のフィルムと、樹脂層とを有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。
【0068】
<樹脂層>
樹脂層は、後述の第一のフィルム上に形成され、前述の硬化性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる。ここで樹脂層とは、硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥したものであって、後述する第一のフィルムやその他の部材といった他の層が積層されていないものをいう。
樹脂層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0069】
<第一のフィルム>
第一のフィルムとは、ドライフィルムの樹脂層を支持する役割を有するものであり、硬化性樹脂組成物からなる樹脂層を形成する際に、硬化性樹脂組成物が塗布されるものである。
本実施形態においては、基板等の基材上にドライフィルムの樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際には、少なくとも樹脂層に接着しているものをいう。第一のフィルムはラミネート後の工程において、樹脂層から剥離しても良い。特に本実施形態においては露光後の工程において、樹脂層から剥離することが好ましい。
【0070】
第一のフィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を第一のフィルムとして使用することもできる。
【0071】
また、熱可塑性樹脂からなるフィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
【0072】
第一のフィルムとして、熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合、フィルムを成膜する際の樹脂中にフィラーを添加(練り込み処理)したり、マットコーティング(コーティング処理)したり、フィルム表面をサンドブラスト処理のようなブラスト処理をしたり、あるいはヘアライン加工、またはケミカルエッチング等により特定の表面形態を有するものを使用してもよい。
【0073】
第一のフィルムの厚さは、特に制限はないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
【0074】
ここで、ドライフィルムについて図面を用いて説明する。図4は、実施形態に係るドライフィルムの概略断面図である。図4において、第一のフィルム24上に硬化性樹脂組成物からなる層である樹脂層23が配されている。硬化性樹脂組成物からなる層23は、硬化させると硬化物となる。ドライフィルムは、第一のフィルムとは反対側の領域21が、基板と接するように配する。
このドライフィルムを絶縁基材の表面に回路を備えた基板に配して硬化させた硬化物において、絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値が1以下となる。
【0075】
また、樹脂層23は、第1の領域21と、第2の領域22とを有することが好ましい。ドライフィルムを硬化させた硬化物において、第1の領域21の透過率(第1の透過率)と、第2の領域22の透過率(第2の透過率)と、を比較したときに、第1の領域21の透過率の方が低い。
【0076】
図5は、実施形態に係るドライフィルムの他の一例の概略断面図である。図5において、ドライフィルムが、第一のフィルム24上に、硬化すると第1の透過率を有する第1の層31と、硬化すると第2の透過率を有する第2の層32とを有していてもよい。このときに、第1の層31と第2の層32と(これらをあわせて樹脂層33)の境界は明確であってもあいまいであってもよい。
【0077】
<その他の部材>
その他の部材は、通常のドライフィルムに用いられるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、第二のフィルムなどが挙げられる。
【0078】
<<第二のフィルム>>
第二のフィルムとは、樹脂層の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、積層されるフィルムである。具体的には、基板等の基材上にドライフィルムの樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際、ラミネート前に樹脂層から剥離するフィルムである。
【0079】
第二のフィルムは、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができる。なお、第二のフィルムの樹脂層との接着力は、樹脂層と第一のフィルムとの接着力よりも樹脂層と第二のフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。第二のフィルムの接着力が第一のフィルムより小さいことで、第一のフィルムを動かすことがなく第二のフィルムを剥離できる。
【0080】
第二のフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
【0081】
<ドライフィルムの製造方法>
ドライフィルムは、上述の硬化性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター、アプリケーター等で第一のフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50℃~130℃の温度で1分間~30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後膜厚で、1μm~150μm、好ましくは5μm~60μmの範囲で適宜選択される。
【0082】
なお、本明細書において「粘度」とは、特に記載のない限り、JIS Z8803:2011の10 円すいー平板形回転粘度計による粘度測定方法に準じ、25℃、100rpm、30秒値とし、コーン・ロータ1°34′×R24を用いたコーンプレート型粘度計(東機産業株式会社製、TV-35)を用いて測定した粘度をいう。
【0083】
ドライフィルムを組成の異なる2種類の硬化性樹脂組成物からなる層により製造する際には、2層を同時に製造しても、1層ずつ製造してもよい。2層を同時に製造するとは、それぞれの硬化性樹脂組成物を第一のフィルムに対して同時に塗工することである。1層ずつ製造するとは、一方の層を形成する硬化性樹脂組成物を塗工し、乾燥させた後に、もう一方の層を形成する硬化性樹脂組成物を塗工することである。
また、異なる2種類の硬化性樹脂組成物をそれぞれ1層ずつ塗工して得た樹脂層を、ラミネーター等を用いて貼り合わせて製造してもよい。
【0084】
(硬化物)
実施形態に係る硬化物は、上述の硬化性樹脂組成物、または上述のドライフィルムの樹脂層を硬化させてなる。
硬化物の大きさ、形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【0085】
硬化物の製造方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60~100℃の温度で15~90分間、組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、第一のフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0086】
基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキサイド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0087】
ドライフィルムの基材上への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
【0088】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0089】
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。ドライフィルムの場合には、露光後、ドライフィルムから第一のフィルムを剥離して現像を行うことにより、基材上にパターニングされた硬化物を形成する。なお、特性を損なわない範囲であれば、露光前にドライフィルムから第一のフィルムを剥離して、露出した樹脂層を露光および現像しても良い。さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100~220℃)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
【0090】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10~1000mJ/cm、好ましくは20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0091】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【0092】
(プリント配線板)
本発明の一実施形態に係るプリント配線板は、上述の硬化性樹脂組成物の硬化物を有するものである。
プリント配線板のサイズや種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できる。
【実施例0093】
次に、本発明者らが行った試験について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0094】
<カルボキシル基含有樹脂の合成>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のEPICLON(登録商標)N-695、エポキシ当量:220)220gを撹拌装置および還流冷却器を備えた四つ口フラスコに仕込み、カルビトールアセテート214gを添加し、加熱溶解した。次いで、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1g、および反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0gを添加した。得られた混合物を95℃~105℃に加熱し、アクリル酸72gを徐々に滴下し、16時間反応させた。得られた反応生成物を80℃~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106gを添加し、8時間反応させ、冷却後に取り出した。このようにして、固形分65%、固形分酸価100mgKOH/g、重量平均分子量約3,500、カルボン酸当量561g/eq.のカルボキシル基含有樹脂を得た。
【0095】
<カルボキシル基含有共重合樹脂の合成>
温度計、撹拌装置、滴下ロートおよび還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびメタクリル酸をモル比で1:1:2となるように仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてAIBNを添加し、窒素雰囲気下、80℃で4時間撹拌して樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液を冷却し、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン、触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミドを用いて、グリシジルメタクリレートを、95℃~105℃で16時間の条件で、上記樹脂溶液のカルボキシル基に対し20モル%付加反応させ、冷却後に取り出した。このようにして、固形分65%、固形分酸価120mgKOH/g、重量平均分子量約20,000、カルボン酸当量467g/eq.のエチレン性不飽和結合およびカルボキシル基を併せ持つカルボキシル基含有共重合樹脂を得た。
【0096】
その他、使用した化合物は以下のとおりである。
黒顔料:カーボンブラック(MA100、三菱ケミカル株式会社製)
赤顔料:Pigment Red 149
黄顔料:ペリレンジカルボン酸 ジイソブチル
青顔料:Pigment Blue 15:3
光重合開始剤1:2-[4-(メチルチオ)ベンゾイル]-2-(4-モルホリニル)プロパン(Omnirad(登録商標)369、IGM Resins社製)
光重合開始剤2:ジ‐η(5)‐シクロペンタジエニルビス[2,6‐ジフルオロ‐3‐(ピロール‐1‐イル)フェニル]チタン(IV)(JMT-784、Yueyang Kimoutain Sci-tech社製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA):
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:(EPICLON(登録商標)N-860、DIC株式会社製)
トリグリシジルトリイソシアヌレート
ビスフェノールA ノボラック型エポキシ樹脂:(EPICLON(登録商標)N870、DIC株式会社製のジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート希釈品、固形分70%)
フィラー1:硫酸バリウム(B-30、堺化学工業株式会社製)
フィラー2:タルク(LMP100、富士タルク工業株式会社製)
フィラー3:表面非処理沈降性シリカ(ACEMATT82、Evonik社製)
メラミン
消泡・レベリング剤:(KS-66、信越化学工業株式会社製)
溶剤1:芳香族系高沸点溶剤(イプゾール#150、出光興産株式会社製)
溶剤2:カルビトールアセテート
溶剤3:ジプロピレングリコールメチルエーテル
【0097】
【表1】
【0098】
<硬化性樹脂組成物の調製>
表1に示す割合において、各材料を配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。なお、表中の値は溶剤を含む溶液での配合量であり、単位は質量部である。
【0099】
(実施例1~3、比較例1~4)
<評価用基板の作製>
銅張積層板(縦100mm×横150mm×厚み1.6mm、銅厚18μm、FR-4グレード)の横手方向に向かって右側縦100mm×横75mmの領域をエッチングし、左側縦100mm×横75mmの領域に銅を残すことで、絶縁基材上と回路上が評価できる基板、すなわち絶縁基材の表面に回路を備えた基板を得た。
次に、硬化後の厚みが15μmとなるように、表2に記載のL1層の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により得られた基板の全面に印刷し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で10分間乾燥し、その後、表2に記載の組合せにあたるL2層の硬化性樹脂組成物を硬化後の厚みが15μmとなるようにL1層上にスクリーン印刷法で全面に印刷し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で25分間乾燥し、樹脂層を得た。
得られた樹脂層に、メタルハライドランプを搭載した露光装置を用いて積算露光量200mJ/cmでUV照射し、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液により液温30℃で60秒間現像し、熱風循環式乾燥炉にて150℃で60分間熱硬化させた後、高圧灯を搭載した露光装置を用いて積算露光量1,000mJ/cmでUV(紫外線)露光し、硬化性樹脂組成物の硬化物が形成された評価用基板を得た。
【0100】
得られた評価用基板を用いて、各硬化性樹脂組成物の硬化物のL値、a値、およびb値、並びにリフロー後の変色を評価した。評価結果を表2に併記した。
【0101】
<L値、a値、およびb値の測定>
分光測色計(CM-2600d、コニカミノルタ株式会社製)を用いて、上述の評価用基板における回路上(銅上)(図1における(B)の方向)および絶縁基材上(図1における(A)の方向)のL値、a値、およびb値を測定した。
分光測色系の設定は、下記とした。
・測定径:MAV(Φ8mm)
・観察光源:D65
・測定モード:SCI(正反射光含む)
・表色系:CIE 1976 L,a,b
・測定温度:25℃
・測定波長範囲:400nm~700nm
・測定波長間隔:10nm
上述の測定波長範囲において測定された値のうちの平均値を、測定結果のL値、a値、またはb値とした。
絶縁基材上と回路上とのL値から算出したΔEab値は、次の式により求められる。
ΔEab={(絶縁基材上のL値―回路上のL値)+(絶縁基材上のa値―回路上のa値)+(絶縁基材上のb値―回路上のb値)1/2
【0102】
<パターン形成性>
銅張積層板(縦100mm×横150mm×厚み1.6mm、銅厚18μm、FR-4グレード)の横手方向に向かって右側縦100mm×横75mmの領域をエッチングし、左側縦100mm×横75mmの領域に銅を残すことで、絶縁基材上と回路上が評価できる基板、すなわち絶縁基材の表面に回路を備えた基板を得た。
次に、硬化後の厚みが15μmとなるように、表2に記載のL1層の硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により得られた基板の全面に印刷し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で10分間乾燥し、その後、表2に記載の組合せにあたるL2層の硬化性樹脂組成物を硬化後の厚みが15μmとなるようにL1層上にスクリーン印刷法で全面に印刷し、熱風循環式乾燥炉にて80℃で25分間乾燥し、樹脂層を得た。
得られた樹脂層に、150μm幅の細線パターンを形成できるネガフィルムを用いて、メタルハライドランプを搭載した露光装置にて積算露光量200mJ/cmでUV照射し、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液により液温30℃で60秒間現像した。
現像後の絶縁基材上、および回路上に150μmの細線パターンが残存しているか否かについて目視にて観察し、下記評価基準に基づき評価した。
-評価基準-
〇:絶縁基材上、および回路上の150μmの細線パターンが残存
×:絶縁基材上、および回路上の150μmの細線パターンが認められない
【0103】
<リフロー後の変色>
上述の評価用基板をリフロー炉(NIS-20-82C、エイテックテクトロン株式会社製)を用いて、IPC/JEDEC J-STD-020準拠の温度プロファイルに設定し、下記のリフロー条件にて、はんだリフローを3回行った。これは、基板を実装する際に付与されるのと同じ熱履歴を3回与えたことに相当する。なお、はんだリフローを1回終了するごとに評価用基板は室温に戻した。はんだリフローを3回行った後の評価用基板を目視にて観察し、下記評価基準に基づき評価した。
-リフロー条件-
・雰囲気下:空気中
・コンベア速度:0.9m/分間
・予備加熱:150℃~200℃ 180秒間以内
・本加熱:255℃以上 30秒間以内
・ピーク温度:260℃ 10秒間以内
・冷却
-評価基準-
〇:絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値が1を超えない
×:絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値が1を超える
【0104】
【表2】
【0105】
実施例1~3の硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、硬化させた硬化物においては、
絶縁基材上のL値が30以下であり、絶縁基材上と回路上(銅上)のL値から算出したΔEab値が1以下である。これらの硬化物は、パターン形成が可能で、回路の隠蔽性およびリフロー後の回路の変色に対する隠蔽性が良好であることが明らかになった。
これに対し、比較例1の硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、硬化させた硬化物は、基材上のL値が30を超えており、かつ絶縁基材上と回路上(銅上)のL値から算出したΔEab値が1を超えている。
なお、比較例2~4は硬化塗膜が形成できなかった。
以上のことから、絶縁基材上のL値が30以下であり、かつ絶縁基材上と回路上のL値から算出したΔEab値が1以下の硬化物となる硬化性樹脂組成物は、パターン形成が可能で、回路の隠蔽性およびリフロー後の回路の変色に対する隠蔽性に優れる硬化物を提供できる。
【0106】
以上、本発明を実施するための形態について具体的に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
図1
図2
図3
図4
図5