(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021321
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】キャラクタによるチャットボットプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20250205BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125153
(22)【出願日】2023-07-31
(71)【出願人】
【識別番号】523291248
【氏名又は名称】株式会社フラクトライト
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【弁理士】
【氏名又は名称】影山 剛士
(74)【代理人】
【識別番号】100177987
【弁理士】
【氏名又は名称】河野上 真緒
(72)【発明者】
【氏名】中川 優志
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スケーラビリティのあるチャットボットプラットフォームを提供する。
【解決手段】サーバ端末により実行される、複数の事業者にカスタマイズされた、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法であって、前記サーバ端末の制御部は、前記ユーザのユーザ端末から、チャットインターフェースを介して、質問を受信し、前記質問に対する回答を大規模言語モデルに基づいて生成し、前記複数の事業者の各々に対して設定された人格に関する人格データ及びプロンプト文を参照し、前記回答を再生成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ端末により実行される、複数の事業者にカスタマイズされた、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法であって、
前記サーバ端末の制御部は、
前記ユーザのユーザ端末から、チャットインターフェースを介して、質問を受信し、
前記質問に対する回答を大規模言語モデルに基づいて生成し、
前記複数の事業者の各々に対して設定された人格に関する人格データ及びプロンプト文を参照し、
前記回答を再生成する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記回答をユーザ端末に送信し、前記回答とともに、前記回答に関する広告を送信する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記人格は、キャラクタを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記サーバ端末は、前記大規模言語モデルを、前記質問に応じて、複数の大規模言語モデルの中から決定する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記人格データは、前記複数のうち、第一の事業者及び前記第一の事業者と異なる第二の事業者により編集可能である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャラクタによるチャットボットプラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、事業者が、ユーザに対して提供するサービスに付随して、ユーザに、チャットユーザインターフェースを介して、チャットボットと会話する機会を提供し、カスタマーエクスペリエンス向上を図る試みがなされている。特に、大規模言語モデルの技術的進化及び急速な普及により、チャットボットの導入ニーズが拡がりを見せている。
【0003】
その中で、機械ではない、人間に近いチャットボットと会話する機会を提供しようとする試みも図れており、例えば、ペルソナチャットボットに関する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、特定の事業者がサービス対象ユーザに対してペルソナチャットボットを提供する技術に係るものであり、複数の事業者の各々にカスタマイズ化されたチャットボットを導入することを想定していない。
【0006】
そこで、本発明は、複数事業者の各々により活用可能な、スケーラビリティのあるチャットボットプラットフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様における、サーバ端末により実行される、複数の事業者にカスタマイズされた、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法であって、前記サーバ端末の制御部は、前記ユーザのユーザ端末から、チャットインターフェースを介して、質問を受信し、前記質問に対する回答を大規模言語モデルに基づいて生成し、前記複数の事業者の各々に対して設定された人格に関する人格データ及びプロンプト文を参照し、前記回答を再生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数事業者の各々により活用可能な、スケーラビリティのあるチャットボットプラットフォームを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援するシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図1のサーバ端末100を示す機能ブロック構成図である。
【
図3】
図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。
【
図4】サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
【
図5】サーバ100に格納されるチャットボットデータの一例を示す図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示される、チャットインターフェース画面の一例である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る、ユーザ端末に表示される、チャットインターフェース画面の他の一例である。
【
図9】本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法の他の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本発明の必須の構成要素であるとは限らない。
【0011】
<構成>
図1は、本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援するシステムを示すブロック構成図である。本システム1は、例えば、ユーザから、事業者に対する商品及びサービスその他の所定の質問文を受け付け、大規模言語モデル(例えば、Chat GPT)により質問文を解析し、チャットボットを介して質問文に対する回答文を出力する処理を実行する、チャットボットプラットフォーム事業者により管理されるサーバ端末100、ユーザにより管理されるユーザ端末200A、200B、及び、地方自治体、サービス事業者その他事業者により管理される事業者端末300A、300Bを含む。なお、説明の便宜上、各端末を単一または特定数のものとして記載しているが、各々数は制限されない。
【0012】
サーバ端末100、ユーザ端末200A、200B及び事業者端末300A、300Bは、ネットワークNW1を介して各々接続される。ネットワークNWは、インターネット、イントラネット、無線LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等により構成される。
【0013】
サーバ端末100及び事業者端末300A、300Bは、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、クラウド・コンピューティング、あるいは、複数のコンピュータからなるクラスタやマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成してもよい。
【0014】
ユーザ端末200A、200Bは、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末等の情報処理装置であるが、スマートフォンや携帯電話、PDA等により構成してもよい。
【0015】
本実施形態では、システム1は、サーバ端末100、ユーザ端末200A、200B及び事業者端末300A、300Bを備え、各端末のユーザが各々の端末を利用して、サーバ端末100に対する操作を行う構成として説明するが、サーバ端末100がスタンドアローンで構成され、サーバ端末自身に、各ユーザが直接操作を行う機能を備えても良い。以下、必要に応じ、ユーザ端末200A、200Bを総称して、ユーザ端末200、事業者端末300A、300Bを総称して、事業者端末300として説明する。
【0016】
図2は、
図1のサーバ端末100の機能ブロック構成図である。サーバ端末100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0017】
通信部110は、ネットワークNW1を介してユーザ端末200、事業者端末300と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信規約により通信が行われる。
【0018】
記憶部120は、各種制御処理や制御部130内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。また、記憶部120は、ユーザに関連する各種データを格納する、ユーザデータ格納部121、及び事業者毎に会話履歴や商品情報を格納する、チャットボット格納部122を有する。なお、各種データを格納したデータベース(図示せず)が記憶部120またはサーバ端末100外に構築されていてもよい。
【0019】
制御部130は、記憶部120に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ端末100の全体の動作を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。制御部130の機能として、各ユーザ端末からの情報を受け付ける情報受付部131と、情報を処理する、情報処理部132とを有する。この情報受付部131及び情報処理部132は、記憶部120に記憶されているプログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるサーバ端末100により実行される。
【0020】
情報受付部131は、ユーザ端末200から通信部110を介して情報を受付ける。例えば、ユーザ端末200からは、所定の商品及び/またはサービスその他に関する質問文を、ユーザ端末200に表示されるチャットインターフェースを介して受信する。
【0021】
情報処理部132は、ユーザ端末200から受信した質問文等を解析し、質問文に対する回答文を生成する等、所定の情報処理を行う。
【0022】
また、制御部130は、図示しない、画面生成部を有することもでき、求めに応じて、ユーザ端末200のユーザーインターフェースを介して表示される画面情報を生成する。例えば、記憶部120に格納された(図示しない)画像及びテキストデータを素材として、所定のレイアウト規則に基づいて、各種画像及びテキストをユーザーインターフェースの所定の領域に配置することで、ユーザーインターフェースを生成する。画像生成部に関連する処理は、GPU(Graphics Processing Unit)によって実行することもできる。
【0023】
図3は、
図1のユーザ端末200を示す機能ブロック構成図である。ユーザ端末200は、通信部210と、表示操作部220と、記憶部230と、制御部240とを備える。
【0024】
通信部210は、ネットワークNWを介してサーバ端末100と通信を行うための通信インターフェースであり、例えばTCP/IP等の通信規約により通信が行われる。
【0025】
表示操作部220は、提供者が指示を入力し、制御部240からのテキスト、音声及び画像等の入力データに応じて入力データを解析し、出力としてテキスト、音声及び画像等を表示するために用いられるユーザーインターフェースであり、ユーザ端末200がパーソナルコンピュータで構成されている場合はディスプレイとキーボードやマウスにより構成され、ユーザ端末200がスマートフォンまたはタブレット端末で構成されている場合はタッチパネル等から構成される。この表示操作部220は、記憶部230に記憶されている制御プログラムにより起動されてコンピュータ(電子計算機)であるユーザ端末200により実行される。
【0026】
記憶部230は、各種制御処理や制御部240内の各機能を実行するためのプログラム、入力データ等を記憶するものであり、RAMやROM等から構成される。また、記憶部230は、サーバ端末100との通信内容を一時的に記憶している。
【0027】
制御部240は、記憶部230に記憶されているプログラムを実行することにより、ユーザ端末200の全体の動作を制御するものであり、CPUやGPU等から構成される。
【0028】
図4は、サーバ100に格納されるユーザデータの一例を示す図である。
【0029】
図4に示すユーザデータ1000は、ユーザに関連する各種データを格納する。
図4において、説明の便宜上、一ユーザ(例えば、ユーザ単位)(ユーザID「10001」で識別されるユーザ)の例を示すが、複数のユーザの情報を格納することができる。ユーザに関連する各種データとして、例えば、ユーザに関する基本情報(例えば、ログインID、パスワード、ユーザ名、氏名、住所、年齢、連絡先、趣味、嗜好、職業、企業名、部署)、及び会話履歴(例えば、質問文及び回答文)を含むことができるがこれに限定されない。
【0030】
図5は、サーバ100に格納されるチャットボットデータの一例を示す図である。
【0031】
チャットボットデータ2000は、事業者毎のチャットボットのオペレーションに関連する各種データを格納する。チャットボットのオペレーションに関連する各種データとして、例えば、事業者データ(チャットボットを生成、管理する事業者に関する情報、例えば、事業者名、住所、業種、担当者名、連作先等)、ユーザとの会話履歴データ、言語モデル(質問文及び回答文を含むテキストデータをベクトル化し、規定の形式に変換されたデータ、LLM(例えば、ChatGPT、Bart、StableDiffusion等)、データセット(キャラクタデータ(画像データ及びキャラクタ/仮想キャラクタに関連づけられる人格情報等)、質問文及び回答文を含むテキストデータ(キャラクタ/仮想キャラクタによる言い回し、言語、方言等が反映されたデータを含む)、事業者により提供される顧客データ及び知識データ等)、プロンプトデータ(事業者によりカスタマイズされる、言語モデルにより生成される回答文を制御するための条件文(キャラクタ/仮想キャラクタによる言い回し、言語、方言等が反映されるよう制御するコマンド文を含む))等を含むことができるがこれに限定されない。本実施形態の特徴として、事業者毎及び/またはデータセット毎に、質問文に対して適正な回答文を生成するためのデータセットを記録し、また、言語モデルによって生成される回答文について制御を行うためのプロンプトを記録することを特徴とする。
【0032】
<処理の流れ>
図6以降の図を参照しながら、本実施形態のシステム1が実行する、チャットボットによるユーザとの会話を支援する処理の流れについて説明する。
図6は、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法の一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS101の処理として、ユーザは、ユーザ端末200のウェブブラウザまたはアプリケーション等に実装されたチャットインターフェースを介して、特定の商品及び/またはサービス(以下、「サービス」という)その他に関する質問文を入力すると、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、ユーザ端末200から、通信部110を介して、ユーザにより入力された質問文を受信する。制御部130の情報処理部132は、受信した質問文を、ユーザデータ1000として、記憶部120のユーザデータ格納部121に格納する。例えば、
図7に示すように、ユーザ端末300に表示されるチャットインターフェースを介して、「鹿児島で美味しいラーメン屋さんを教えて」という質問文をユーザより受信する。
【0034】
続いて、ステップS102の処理として、情報処理部132は、上記質問文に基づいて、言語モデルにより回答を生成する。具体的には、情報処理部132は、テキストデータとして受信した質問文をベクトル変換し、予め格納されている、質問文に対する回答文の基となるデータセットをベクトル化したベクトル値を言語モデルにより検索し、検出された近似した値に基づいて生成された回答を生成する。
【0035】
続いて、ステップS103の処理として、情報処理部132は、上記生成された回答に対し、記憶部120の格納されたチャットボットデータ2000のうち、データセットとして格納されたキャラクタデータを参照する。例えば、鹿児島県の事業者が管理するチャットボットデータにおいては、歴史上の人物「西郷隆盛」がキャラクタとしてチャットボットに反映され、西郷隆盛に関連づけられた画像及び人格情報が参照される。ここで、人格情報は、西郷隆盛の性格、言動、方言、年齢及び知識等、特定のキャラクタまたは仮想キャラクタに紐づく人格に関する情報をさす。キャラクタデータとして、キャラクタのほか、「税理士」、「シェフ」等の抽象的な仮想キャラクタに関する人格情報が含まれてもよく、仮想の年齢、性格等が設定される。
【0036】
続いて、ステップS104の処理として、情報処理部132は、上記生成された回答に対し、記憶部120の格納されたチャットボットデータ2000のうち、プロンプトデータを参照する。例えば、例えば、鹿児島県の事業者が管理するチャットボットデータにおいては、歴史上の人物「西郷隆盛」のキャラクタがチャットボットに反映される想定で、西郷隆盛に関連するデータセットを参照し、西郷隆盛の言動、方言に準じた回答文を生成するコマンド文を参照する。
【0037】
続いて、ステップS105の処理として、情報処理部132は、上記キャラクタデータ及びプロンプトデータの参照に基づいて、回答情報を再生成する。例えば、ステップS102で生成した回答が、「鹿児島では、×××ラーメンが美味しいと有名です。」であった場合、上記ステップS103及びステップS104で参照した結果、西郷隆盛の知識として「○○○ラーメン」が地元民から人気で、距離感の近い性格を有する場合に、「鹿児島では、○○○ラーメンが美味しいと地元民から有名だよ!」といった回答が、キャラクタのアイコンとともに再生成される。再生成された回答は、サーバ端末100からユーザ端末200に送信され、
図7に示すように、ユーザ端末200のチャットインターフェースを介して表示される。情報処理部132は、回答文を記憶部120のユーザデータ格納部121及びチャットボットデータ格納部122に格納する。ここで、
図7及び
図8に示すように、サーバ端末100は、記憶部120のチャットボットデータ2000に格納されるデータセットとして、回答文に関連する店舗、商品、サービス等の情報が含まれている場合、広告として、ユーザ端末200のチャットインターフェース上に表示させることができる。広告の表示形態として、
図7に示すように、チャットインターフェースのチャットルーム上部に固定表示させることもできるし、チャットルームにおいて、関連する回答文の直下等の近傍に表示させることもできる。固定表示されれば、チャットボットとユーザの会話が続いたとしても、画面上部に常に表示されるため、ユーザに対して、常にその広告に触れる機会を提供することができる。また、回答文の直下等、会話文の本文中に表示させることで、ユーザとの会話も流れの中で自然な形で、あたかも会話しているように広告を提供させることができる。
【0038】
このように、本実施形態においては、複数の事業者の各々により生成、管理されたチャットボットデータを提供するプラットフォームとして、様々な形態のチャットボットを提供することができ、質問文に適したキャラクタによる回答のみならず、事業者や地域毎にユニークなデータに基づいた精度の高い回答を提供することができる。ここで、チャットボットデータに含まれ、大規模言語モデルによるチャットボットの性能に影響を与える、データセット及びプロンプトデータについては、一事業者の複数名、または、複数事業者によって参照、編集可能とすることで、チャットボットの改良を促し、さらには、チャットボットデータのマーケットプレイスを提供することで、価値の高いチャットボットの提供を促すこともできる。
【0039】
図9は、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法の他の一例を示すフローチャートである。
【0040】
ステップS201の処理として、ユーザは、ユーザ端末200のウェブブラウザまたはアプリケーション等に実装されたチャットインターフェースを介して、所望の質問文を入力すると、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、ユーザ端末200から、通信部110を介して、ユーザにより入力された質問文を受信する。制御部130の情報処理部132は、受信した質問文を、ユーザデータ1000として、記憶部120のユーザデータ格納部121に格納する。
【0041】
続いて、ステップS202の処理として、情報処理部132は、上記質問文に基づいて、当該質問文に適したチャットボットを決定する。例えば、ユーザが、「プレゼン資料を作成して」という質問文、または「営業資料を作成して」という質問文を入力したとき、質問文に含まれるキーワードに基づいて、または、過去の会話履歴を機械学習することにより、情報処理部132は、記憶部120のチャットボットデータ2000として格納されている、複数のチャットボットデータのうち、その事業者データ、キャラクターデータ等を参照し、質問文に適したチャットボットデータを抽出する。
【0042】
続いて、ステップS203の処理として、情報処理部132は、ユーザ端末200に対し、決定したチャットボットを推奨する。推奨する際に、情報処理部132は、上記決定ステップにおいて、複数のチャットボットが抽出された場合、ユーザ端末200に対し候補として提示し、選択を受け付けることもできる。ここで、情報処理部132は、推奨することに代えて、ユーザに意識させずに、適切なチャットボットを適用し、会話を継続することもできる。
【0043】
このように、チャットボットを利用したユーザにとって、事前に適切なチャットボットを検索のうえ特定することは、チャットボットを利用する意義が損なわれることにもなるため、チャットボット自身が、適切なチャットボットを探し、推奨することで、ユーザは、チャットボットと会話しながら、違和感なく、チャットボットの利用を継続することができる。
【0044】
また、
図9を用いて説明したチャットボットによるユーザとの会話を支援する方法の変形例として、
図10に示すように、例えば、ステップS301の処理として、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、ユーザ端末200から、「会計の仕訳について教えて」という質問文を受信したときに、ステップS302の処理として、情報処理部132は、質問文を送信したユーザのユーザデータ1000を参照し、そのユーザが所属する企業及び部署(経理部)を特定し、ユーザデータに基づいて、ステップS303の処理として、チャットボット(例えば、「税理士Bot」)を決定し、ステップS304の処理として、決定したチャットボットをユーザ端末200に対して推奨したり、ユーザとの会話を継続することができる。
【0045】
図11は、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS401の処理として、ユーザは、ユーザ端末200のウェブブラウザまたはアプリケーション等に実装されたチャットインターフェースを介して、所望の質問文を入力すると、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、ユーザ端末200から、通信部110を介して、ユーザにより入力された質問文を受信する。制御部130の情報処理部132は、受信した質問文を、ユーザデータ1000として、記憶部120のユーザデータ格納部121に格納する。
【0047】
続いて、ステップS402の処理として、情報処理部132は、上記質問文に基づいて、当該質問文に適した大規模言語モデル(LLM)を決定する。例えば、ユーザが、「ソウルの最新の観光スポットを教えて」という質問文を入力したとき、質問文に含まれるキーワードに基づいて、情報処理部132は、記憶部120のチャットボットデータ2000として格納されている、複数の大規模言語モデルに関するデータを参照し、大規模言語モデルの長所/短所といった情報に基づき、及び/または、過去の会話履歴を機械学習することにより、質問文に適した大規模言語モデルを抽出する。例えば、BARDという大規模言語モデルは、最新情報と連動しているため、エンターテイメントや旅行に関する情報の検索に向いている、という推定に基づいて、旅行に関する質問文に対して、情報処理部132は、大規模言語モデルとしてBARDを決定することができる。ここで、前提として、チャットボットデータを提供する各事業者が、予め、サービスに適した大規模言語モデルを選択しておくこともできる。
【0048】
続いて、ステップS403の処理として、情報処理部132は、上記質問文に基づいて、当該質問文に適したチャットボットを決定する。例えば、上記の通り、ユーザが、旅行に関する質問をしたときに、旅行に関するチャットボットデータを、情報処理部132は、記憶部120のチャットボットデータ2000として格納されている、複数のチャットボットデータを参照し、質問文に含まれるキーワードに基づき、及び/または、過去の会話履歴を機械学習することにより、質問文に適したチャットボットデータを抽出する。本例では、旅行事業者によって管理されるチャットボットを、質問文に適したチャットボットとして決定できる。
【0049】
続いて、ステップS404の処理として、情報処理部132は、ユーザ端末200に対し、決定したチャットボットを推奨する。推奨する際に、情報処理部132は、上記決定ステップにおいて、複数のチャットボットが抽出された場合、ユーザ端末200に対し候補として提示し、選択を受け付けることもできる。ここで、情報処理部132は、推奨することに代えて、ユーザに意識させずに、適切なチャットボットを適用し、会話を継続することもできる。
【0050】
このように、プラットフォームとして、複数の大規模言語モデル、チャットボットを管理する強みを生かし、チャットボットの利用したユーザが入力した質問文に対して柔軟にチャットボットを適用することができ、回答精度を向上させることができる。
【0051】
図12は、本発明の第一実施形態に係る、チャットボットによるユーザとの会話を支援する方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS501の処理として、ユーザは、ユーザ端末200のウェブブラウザまたはアプリケーション等に実装されたチャットインターフェースを介して、所望の質問文を入力すると、サーバ端末100の制御部130の情報受付部131は、ユーザ端末200から、通信部110を介して、ユーザにより入力された質問文を受信する。制御部130の情報処理部132は、受信した質問文を、ユーザデータ1000として、記憶部120のユーザデータ格納部121に格納する。
【0053】
続いて、ステップS502の処理として、情報処理部132は、上記質問文に基づいて、言語モデルにより回答を生成する。具体的には、情報処理部132は、テキストデータとして受信した質問文をベクトル変換し、予め格納されている、質問文に対する回答文の基となるデータセットをベクトル化したベクトル値を言語モデルにより検索し、検出された近似した値に基づいて生成された回答を生成する。
【0054】
続いて、ステップS503の処理として、情報処理部132は、上記回答文に基づいて、回答文に関連するプラグインを参照する。前提として、大規模言語モデルを介して、事業者のアプリケーションまたは第三者のアプリケーションと連携し、例えば、「この夏のおすすめの旅行先は?」という質問文に対して、「沖縄はいかがですか?」という回答文を生成したうえで、回答文に含まれる情報(例えば、沖縄旅行)に基づいて、アプリケーションを検索し、旅行事業者が提供する旅行予約アプリケーションを決定することができる。
【0055】
続いて、ステップS504の処理として、情報処理部132は、ユーザ端末200に対し、決定したアプリケーション機能を、チャットインターフェースの拡張機能として、回答文とともに生成する。または、情報処理部132は、アプリケーションを利用可能なウェブページにアクセスするためのリンク情報(URL)を、チャットインターフェースに表示させることもできる。
【0056】
このように、プラットフォームとして、他のアプリケーションとの連携しながら、ユーザに対して回答文を提供するだけでなく、回答文に付随する機能を利用させることで、ユーザ体験を向上させることができる。
【0057】
以上、発明に係る実施形態について説明したが、これらはその他の様々な形態で実施することが可能であり、種々の省略、置換および変更を行なって実施することが出来る。これらの実施形態および変形例ならびに省略、置換および変更を行なったものは、特許請求の範囲の技術的範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1 システム 100 サーバ端末、110 通信部、120 記憶部、130 制御部、200 ユーザ端末、300 事業者端末、NW1 ネットワーク