(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021450
(43)【公開日】2025-02-13
(54)【発明の名称】往復式電気シェーバーの毛カットユニット
(51)【国際特許分類】
B26B 19/04 20060101AFI20250205BHJP
【FI】
B26B19/04 K
B26B19/04 U
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024120844
(22)【出願日】2024-07-26
(31)【優先権主張番号】2023109884312
(32)【優先日】2023-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524283028
【氏名又は名称】永康市鉄軍電器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100180482
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 将隆
(72)【発明者】
【氏名】童鉄軍
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056BB14
3C056BC01
(57)【要約】
【課題】往復式電気シェーバーの毛カットユニットを提供する。
【解決手段】外刃、内刃、支持体、保持体を備える。前記外刃は外刃弧状壁と2つの対向する外刃長壁を備え、前記支持体は前記内刃を支え、前記保持体は2つの対向する保持壁を備える。前記外刃長壁に追従孔が設けられ、少なくとも1つの前記支持体が前記追従孔を貫通し、前記外刃長壁は前記追従孔を貫通する支持体に沿って移動可能である。カットユニットが皮膚から不均一な圧力を受けたとき、外刃弧状壁は移動する外刃長壁に追従し、変形することなく内刃を包むことができるため、実使用時においても高い毛カット効率を維持できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外刃、内刃、支持体、保持体を備え、
前記外刃は外刃弧状壁と、2つの対向する外刃長壁とを備え、
前記支持体は前記内刃を支え、
前記保持体は2つの対向する保持壁を備え、
前記外刃長壁に追従孔が設けられ、少なくとも1つの前記支持体が前記追従孔を貫通し、前記外刃長壁は前記追従孔を貫通する支持体に沿って移動可能である
ことを特徴とする、往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項2】
前記保持壁に支持孔が設けられ、少なくとも1つの前記支持体が前記支持孔を貫通している
ことを特徴とする請求項1に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項3】
前記保持体に2つの対向する前記保持壁を接続するための接続部が設けられ、前記接続部および前記保持壁はいずれも金属シートである
ことを特徴とする請求項1に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項4】
前記接続部は屈曲しており、2つの対向する前記保持壁は、非平行で、かつ、前記接続部に近い前記保持壁間の距離が前記接続部から遠い前記保持壁間の距離よりも大きい
ことを特徴とする請求項3に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項5】
前記保持壁に凸部が設けられ、前記外刃長壁は前記凸部に当接しており、前記外刃長壁は前記支持孔から離れている
ことを特徴とする請求項1に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項6】
前記支持体は端部と中間部とを有し、前記端部は前記支持孔を貫通可能であるが、前記中間部は前記支持孔を貫通できない
ことを特徴とする請求項1に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【請求項7】
前記支持体は金属製であり、前記端部と前記中間部は直径が異なる円筒状である
ことを特徴とする請求項6に記載の往復式電気シェーバーの毛カットユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復式電気シェーバーの技術分野に関し、特に往復式電気シェーバーの毛カットユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
往復式電気シェーバーは、外刃が非常に薄く変形しやすく小さな孔がいっぱいあるシートであり、屈曲している外刃が内刃を包み、包まれた内刃がバネ圧の作用で外刃に押し付けられ、外刃との共通接触面に沿って往復運動を行う。小さな孔を通って共通接触面に伸びた毛は切断され、共通接触面以外に伸びた毛は内刃と外刃が離れているため切断されない。皮膚による圧力が加わっていない状態では、内刃と外刃は理想的な共通接触面を保っているが、実際の使用において、皮膚は常に内刃と外刃にあらゆる方向から圧力をかけている。皮膚からの圧力が不均一になると、外刃は非常に薄いため変形し、内刃は隣接部品との隙間によりずれるようになり、内刃と外刃の共通接触面の変化につながる。したがって、毛カットの効率は、不均一な皮膚圧力を受けたときの内刃と外刃の共通接触面の大きさにより決定し、共通接触面が大きいほど、毛カットの効率が高くなり、反対に低くなる。
【0003】
従来の毛カットユニットでは、外刃は溶接またはリベット止めによって保持体に固定されているため、保持体に対して移動することができず、内刃と保持体との間の隙間も大きい。皮膚からの不均一な圧力により、内刃は保持体との間に大きな隙間があるため大きな傾きと変位が発生し、外刃は保持体に固定され動けないため変形が発生する。外刃の変形部が内刃との接触から離れ、共通接触面が小さくなり、毛カットの効率が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、皮膚からの不均一な圧力を受けた場合でも高い毛カット効率を維持できる往復式電気シェーバーの毛カットユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る往復式電気シェーバーの毛カットユニットは、外刃、内刃、支持体、保持体を備え、前記外刃は外刃弧状壁と、2つの対向する外刃長壁とを備え、前記支持体は前記内刃を支え、前記保持体は2つの対向する保持壁を備え、前記外刃長壁に追従孔が設けられ、少なくとも1つの前記支持体が前記追従孔を貫通し、前記外刃長壁は前記追従孔を貫通する支持体に沿って移動可能である。
【0006】
前記保持壁に支持孔が設けられ、少なくとも006つの前記支持体が前記支持孔を貫通している。
【0007】
前記保持体に2つの対向する前記保持壁を接続するための接続部が設けられ、前記接続部および前記保持壁はいずれも金属シートである。
【0008】
前記接続部は屈曲しており、2つの対向する前記保持壁は、非平行で、かつ、前記接続部に近い前記保持壁間の距離が前記接続部から遠い前記保持壁間の距離よりも大きい。
【0009】
前記保持壁に凸部が設けられ、前記外刃長壁は前記凸部に当接しており、前記外刃長壁は前記支持孔から離れている。
【0010】
前記支持体は端部と中間部とを有し、前記端部は前記支持孔を貫通可能であるが、前記中間部は前記支持孔を貫通できない。
【0011】
前記支持体は金属製であり、前記端部と前記中間部は直径が異なる円筒状である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る往復式電気シェーバーの毛カットユニットは、実際の使用において皮膚からの不均一な圧力を受けた場合でも高い毛カット効率を維持できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態をより明確に説明するために、以下に実施形態の説明に必要な図面について簡単に説明する。
【
図1】本発明の一実施形態における外刃の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態における支持体の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態における保持体の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態における内刃の概略図である。
【
図7】本発明の一実施形態による部分的断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態における保持体の未装着時の断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態における支持体と保持体のみを示す断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態における外刃、支持体、内刃のみを示す概略図である。
【
図11】
図10に示すものが皮膚から不均一な圧力を受けた場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の特定の実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すように、この実施形態では、外刃1は金属箔であり、それに8つの追従孔11、1つの外刃弧状壁12、及び2つの対向する外刃長壁13が設けられる。
【0016】
図2に示すように、この実施形態における支持体2は、1つの中間部21と、2つの端部22とを有する金属部材である。中間部21および端部22はいずれも円筒状であり、中間部21の直径が端部22の直径よりも大きい。
【0017】
図3に示すように、この実施形態における保持体3は、接続部31と、2つの対向する保持壁32とを有する。保持壁32に8つの支持孔33が設けられ、保持壁32に凸部34が設けられ、いずれも金属シートであり、接続部31はU字状に折り曲げられている。
【0018】
図4に示すように、この実施形態における内刃の幅はHである。
【0019】
図5はこの実施形態による断面図であり、
図6はこの実施形態の分解図であり、
図7はこの実施形態の部分的断面図である。
この実施形態は、1つの外刃1、4つの支持体2、1つの保持体3、1つの内刃4、及び2つのバネ5を備える。4つの支持体2の両端は、外刃長壁13に設けられた8つの追従孔11をそれぞれ貫通し、追従孔11の幅は、外刃長壁13が中間部21に沿って移動できるように、中間部21の直径よりも若干大きくなっている。続いて、4つの支持体2の端部22が保持壁32にある8つの支持孔33を貫通し、中間部21の端面が保持壁32に当接している。外刃長壁13が支持孔33から遠ざかるように外刃長壁13が保持壁32の凸部34に押し付けられ、これにより、外刃長壁13が中間部21に沿って移動する際に、中間部21と保持壁32との間の隙間に挟まれることを防止できる。内刃4は2つの外刃長壁13の間にあり、2つのバネ5により内刃4が外刃弧状壁12に押し付けられる。
【0020】
図8はこの実施形態における保持体3未装着時の断面図である。接続部31を折り曲げた後、2つの対向する保持壁32が非平行になり、2つの保持壁32間の距離は、接続部31に近い領域では接続部31から遠い領域よりも大きい。図示するように、凸部34間の最小距離L1は、内刃4の幅Hよりも小さい。
【0021】
図9はこの実施形態における支持体2と保持体3のみを示す断面図である。支持体2の端部22が保持壁32の支持孔33を貫通した後、中間部21の直径が支持孔33の直径よりも大きいため、2つの保持壁32は支持体2により広がり、凸部34間の最小距離L2は内刃4の幅Hよりも若干大きい。したがって、中間部21の長さを制御することにより、内刃4と2つの凸部34との間の隙間を制御できる。隙間が十分に小さいと、内刃4が支障なく往復運動できるだけでなく、皮膚からの不均一な圧力下でも内刃4の傾きや変位を十分に小さくすることができる。この実施形態では、支持体2および保持体3はともに金属製であるため、溶接により剛性を高めることができる。
【0022】
図10はこの実施形態における外刃1、支持体2、内刃4のみを示す概略図であり、同図に示すように、支持体2の両端はそれぞれ追従孔11を貫通している。追従孔11の幅は中間部21の直径よりも若干大きいため、外刃長壁13は中間部21に沿って移動可能であり、この図面においてその移動方向は上下方向である。同図は、カットユニットが皮膚からの圧力を受けておらず、内刃4と外刃弧状壁12が理想的な共通接触面101を有することを示す。
【0023】
図11は
図10に示すものが皮膚から不均一な圧力を受けた場合の概略図である。同図に示すように、圧力F>fとなり、このとき内刃4は若干の傾きと変位が発生し、外刃長壁13は中間部21に沿って移動し、この図面においてその移動方向は下向きである。左側の外刃長壁13は移動量が小さく、右側の外刃長壁13は移動量が大きいので、外刃弧状壁12は、移動する外刃長壁13に追従し、変形することなく内刃4を包むことができる。内刃4と外刃円弧壁12との共通接触面101は小さくならないので、高い毛カット効率を維持できる。
【符号の説明】
【0024】
1 外刃
11 追従孔
12 外刃弧状壁
13 外刃長壁
2 支持体
21 中間部
22 端部
3 保持体
31 接続部
32 保持壁
33 支持孔
34 凸部
4 内刃
101 共通接触面