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  • 特開-引戸用錠 図1
  • 特開-引戸用錠 図2
  • 特開-引戸用錠 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021490
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】引戸用錠
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/10 20060101AFI20250206BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20250206BHJP
   E05C 3/04 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
E05B65/10 K
E05B65/08 A
E05C3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125208
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】523172811
【氏名又は名称】株式会社セイコク金属
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】青谷 敏男
(57)【要約】
【課題】構造が簡易で、かつ、不正解錠に対する安全性の高い引戸用錠を提供すること。
【解決手段】錠本体1に、引戸の外側から回転操作可能な操作部材2と、スリット8に挿入される突出片31を有し、操作部材2と回転軸22を共有して共回りするガードラッチ3と、ガードラッチ3の内側に設けた、操作部材2及びガードラッチ3と回転軸22を共有して操作部材2及びガードラッチ3に対して所定角度自由に回転する鎌部材4と、引戸の外側から操作可能な、操作部材2及びガードラッチ3の回転を規制する施錠機構5と、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動するようにする連動機構7とを備え、鎌部材4が、鎌部材4を引戸の内側から回転操作可能にする操作部44を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸に設けた錠本体の鎌部材の鎌部を、戸枠に設けたスリットの縁部に掛止することにより施錠する引戸用錠において、
前記錠本体に、引戸の外側から回転操作可能な操作部材と、スリットに挿入される突出片を有し、操作部材と回転軸を共有して共回りするガードラッチと、該ガードラッチの内側に設けた、操作部材及びガードラッチと回転軸を共有して操作部材及びガードラッチに対して所定角度自由に回転する鎌部材と、引戸の外側から操作可能な、操作部材及びガードラッチの回転を規制する施錠機構と、操作部材及びガードラッチと鎌部材とを連動するようにする連動機構とを備え、
前記鎌部材が、該鎌部材を引戸の内側から回転操作可能にする操作部を有することを特徴とする引戸用錠。
【請求項2】
前記連動機構が、ガードラッチと鎌部材との間に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗部材を配設してなることを特徴とする請求項1に記載の引戸用錠。
【請求項3】
前記鎌部材の鎌部の先端面を、傾斜面又は曲面に形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の引戸用錠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸用錠に関し、例えば、人の出入りが可能な内部空間を有する物置等の引戸に設けられる引戸用錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物置に入って作業をしている際に、例えば、子供がいたずらで外から施錠(仮施錠あるいは本施錠)したり、物置の内部に人がいること、例えば、子供がかくれんぼで物置にいることを知らずに誤って他の者が施錠したりすることがある。
このような場合に、物置内に閉じ込められた人が自力での脱出を行えるようにするために、物置の内部から解錠(仮解錠あるいは本解錠)を行えるようにした錠が提案されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-209577号公報
【特許文献2】特開2016-61095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記物置の内部から解錠を行えるようにした錠は、構造が複雑で、物置に用いる錠としては、コストがかかりすぎるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記物置の内部から解錠を行えるようにした錠の有する問題点に鑑み、構造が簡易で、かつ、不正解錠に対する安全性の高い引戸用錠を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の引戸用錠は、引戸に設けた錠本体の鎌部材の鎌部を、戸枠に設けたスリットの縁部に掛止することにより施錠する引戸用錠において、
前記錠本体に、引戸の外側から回転操作可能な操作部材と、スリットに挿入される突出片を有し、操作部材と回転軸を共有して共回りするガードラッチと、該ガードラッチの内側に設けた、操作部材及びガードラッチと回転軸を共有して操作部材及びガードラッチに対して所定角度自由に回転する鎌部材と、引戸の外側から操作可能な、操作部材及びガードラッチの回転を規制する施錠機構と、操作部材及びガードラッチと鎌部材とを連動するようにする連動機構とを備え、
前記鎌部材が、該鎌部材を引戸の内側から回転操作可能にする操作部を有することを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記連動機構が、ガードラッチと鎌部材との間に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗部材を配設してなるようにすることができる。
【0008】
また、前記鎌部材の鎌部の先端面を、傾斜面又は曲面に形成してなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の引戸用錠によれば、ガードラッチの突出片によって鎌部材の不正操作を防止することで防犯面での安全性を確保しつつ、鎌部材の操作部を引戸の内側から回転操作することで、物置等の内部から解錠を容易に行うことができ、簡易な構造で、使い勝手のよい
ものとすることができる。
【0010】
また、前記連動機構が、ガードラッチと鎌部材との間に摩擦抵抗を生じさせる摩擦抵抗部材を配設してなるようにすることにより、操作部材及びガードラッチと鎌部材との連動を円滑に行うようにすることができる。
【0011】
また、前記鎌部材の鎌部の先端面を、傾斜面又は曲面に形成してなるようにすることにより、誤って鎌部材の鎌部が施錠位置にあるときに引戸を閉鎖しても、傾斜面又は曲面に形成した鎌部の先端面がスリットの縁部に沿って滑ることで鎌部材が回転し、衝撃が緩和され、引戸用錠や物置等が損傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の引戸用錠の一実施例の部品図を示し、(a1)は錠本体の側面図、(a2)は同背面図、(b1)は操作部材の正面図、(b2)は同平面図、(b3)は同背面図、(c1)はガードラッチの断面図、(c2)は同背面図、(d1)は鎌部材の断面図、(d2)は同背面図、(e1)は施錠機構のシリンダ錠の平面図、(e2)は同正面図、(f)は施錠機構のカムの背面図である。
図2】同引戸用錠を示し、(a)は解錠状態のときの正面図、(b)は同側面図、(c)は同背面図(鎌部材及び施錠機構のカム省略。)、(d)は施錠状態のときの背面図(鎌部材及び施錠機構のカム省略。)である。
図3】同引戸用錠を示し、(a)は施錠状態のときの背面図、(b)は施錠状態で鎌部材の操作部を引戸の内側から回転操作することで解錠したときの背面図、(c)は鎌部材の鎌部が施錠位置にあるときに引戸を閉鎖したときの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の引戸用錠の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図3に、本発明の引戸用錠の一実施例を示す。
この引戸用錠は、引戸に設けた錠本体1の鎌部材4の鎌部41を、戸枠に設けたスリット8の縁部81に掛止することにより施錠するもので、錠本体1に、引戸の外側から回転操作可能な操作部材2と、スリット8に挿入される突出片31を有し、操作部材2と回転軸22を共有して共回りするガードラッチ3と、ガードラッチ3の内側に設けた、操作部材2及びガードラッチ3と回転軸22を共有して操作部材2及びガードラッチ3に対して所定角度自由に回転する鎌部材4と、引戸の外側から操作可能な、操作部材2及びガードラッチ3の回転を規制する施錠機構5と、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動するようにする連動機構7とを備え、鎌部材4が、鎌部材4を引戸の内側から回転操作可能にする操作部44を有している。
【0015】
錠本体1は、合成樹脂製で、構成部材を組み付けて、引戸に形成した取付孔(図示省略)に嵌合して直接取り付けることができるケース部材からなり、操作部材2の収容部11、施錠機構5としてのシリンダ錠の収容部12及び回転軸22の挿通孔13を有している。
ここで、挿通孔13は、回転軸22、すなわち、操作部材2が、略90°の範囲で回転できる形状に形成されている。
【0016】
操作部材2は、合成樹脂製の部材からなり、摘まみ部21及び回転軸22を有している。
ここで、回転軸22は、錠本体1の挿通孔13に挿通され、操作部材2が、略90°の範囲で回転できる形状に形成されている。
【0017】
ガードラッチ3は、鉄等の金属製の部材からなり、戸枠に設けたスリット8に挿入される突出片31、回転軸22が嵌合される嵌合孔32、連動機構7の鋼球を収容する小孔33及び施錠機構5のカム6が嵌合される凹部34を有している。
ここで、ガードラッチ3は、嵌合孔32に回転軸22が嵌合されることで、操作部材2と回転軸22を共有して共回りするようにしている。
【0018】
鎌部材4は、鉄等の金属製の部材からなり、戸枠に設けたスリット8の縁部81に掛止することにより施錠を行うようにする鎌部41、回転軸22が遊嵌される遊嵌孔42、連動機構7の鋼球が嵌まり込む窪み43及び鎌部材4を引戸の内側から回転操作可能にする操作部44を有している。
ここで、鎌部材4は、遊嵌孔42に回転軸22が遊嵌されることで、操作部材2と回転軸22を共有して操作部材2及びガードラッチ3に対して所定角度、本実施例においては、略90°自由に回転できるようにしている。
また、鎌部41の先端面41aは、傾斜面(又は曲面)に形成するようにしている。
また、操作部44は、鎌部41が、戸枠に設けたスリット8の縁部81に掛止された施錠状態のときに、ケース部材からなる錠本体1から露出するようにし、鎌部材4を引戸の内側から回転操作することができるようにする。
【0019】
施錠機構5は、シリンダ錠からなり、引戸の外側から操作可能に、錠本体1の収容部12に嵌着されるようにしている。
施錠機構5は、キー(図示省略)で操作されるシリンダ錠の回転部の回転を、回転部に偏心して形成した突起51が嵌挿される長孔61を有する鉄等の金属製の部材からなるカム6に伝達することで、カム6がガードラッチ3の凹部34に嵌合され、操作部材2及びガードラッチ3の回転を規制することで、施錠を行うようにしている。
なお、施錠機構5には、シリンダ錠以外の任意の錠機構を採用することもできる。
【0020】
連動機構7は、ガードラッチ3の小孔33に収容された鋼球が、鎌部材4の窪み43に嵌まり込むことにより、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とが連動するようにするものである。
ここで、ガードラッチ3の小孔33及び鎌部材4の窪み43を、複数個、対応して形成し、各小孔33に選択的にあるいはそのすべてに鋼球を収容するようにすることにより、摩擦抵抗力の大きさに調整することができる。
なお、連動機構7には、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動するようにものであれば、本実施例の機構以外の機構、例えば、ガードラッチ3と鎌部材4との間に摩擦抵抗を生じさせる摩擦板を配設するようにすることもできる。
【0021】
次に、この引戸用錠の動作について説明する。
図2(a)~(c)に示す解錠状態から、操作部材2の摘まみ部21を持って左に90°回転操作することにより、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とが連動することで、鎌部材4の鎌部41を、戸枠に設けたスリット8の縁部81に掛止するとともに、施錠機構5のシリンダ錠をキーで右に90°回転操作することで、カム6がガードラッチ3の凹部34に嵌合され、操作部材2及びガードラッチ3の回転を規制することで、図2(d)及び図3(a)に示すように、施錠を行うことができる。
このとき、鎌部材4が、スリット8に挿入されているガードラッチ3の突出片31によって引戸の外側から覆い隠され、不正操作を防止することで防犯面での安全性を確保することができる。
【0022】
そして、図2(d)及び図3(a)に示すように、施錠(この場合、施錠機構5のシリンダ錠による施錠の有無は問わない。)が行われた状態でも、図3(b)に示すように、ケース部材からなる錠本体1から露出している鎌部41の操作部44によって、鎌部材4
を、連動機構7の操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動される摩擦抵抗に抗して、鎌部材4を引戸の内側から回転操作することで、例えば、物置の内部から解錠を容易に行うことができ、物置内に閉じ込められた人が自力で脱出できる。
【0023】
さらに、鎌部材4の鎌部41の先端面41aを、傾斜面(又は曲面)に形成しているので、誤って鎌部材4の鎌部41が施錠位置にあるときに引戸を閉鎖しても、図3(c)に示すように、連動機構7の操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動される摩擦抵抗に抗して、傾斜面(又は曲面)に形成した鎌部41の先端面41aがスリット8の縁部81に沿って滑ることで鎌部材4が回転し、衝撃が緩和され、引戸用錠や物置等が損傷することを防止できる。
【0024】
そして、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4との連動が絶たれ、操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とに回転位相差が生じても、施錠機構5のシリンダ錠をキーで左に90°回転操作するとともに、連動機構7の操作部材2及びガードラッチ3と鎌部材4とを連動される摩擦抵抗に抗して、操作部材2の摘まみ部21を持って右に90°回転操作することで、図2(a)~(c)に示す当初の解錠状態に復帰させることができる。
【0025】
以上、本発明の引戸用錠について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の引戸用錠は、構造が簡易で、かつ、不正解錠に対する安全性の高いことから、人の出入りが可能な内部空間を有する物置等の引戸に設けられる引戸用錠に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 錠本体
11 操作部材の収容部
12 シリンダ錠の収容部
13 回転軸の挿通孔
2 操作部材
21 摘まみ部
22 回転軸
3 ガードラッチ
31 突出片
32 嵌合孔
33 小孔
34 凹部
4 鎌部材
41 鎌部
41a 先端面
42 遊嵌孔
43 窪み
44 操作部
5 施錠機構
51 突起
6 カム
61 長孔
7 連動機構(鋼球)
8 スリット
81 縁部
図1
図2
図3