(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022001
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】万引き防止システム
(51)【国際特許分類】
G08B 13/196 20060101AFI20250206BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20250206BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G08B13/196
G08B25/00 510M
G08B25/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126179
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】523293770
【氏名又は名称】宮川 智明
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】宮川 智明
【テーマコード(参考)】
5C084
5C087
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA09
5C084BB33
5C084CC33
5C084DD11
5C084EE01
5C084GG78
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB73
5C087BB74
5C087DD05
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG09
5C087GG70
(57)【要約】
【課題】 確定者の特定率を向上させ、かつ各店舗における万引き発生率を減少させて、万引き常習者に嫌われ率を高めることで各店舗における万引きによる被害額を抑制すること。
【解決手段】万引き防止システムであって、サーバ装置1は、データ端末2-1~2-Nを特定するためのアカウントを監視員メモリに登録する登録部16-1と、データ端末2-1~2-Nから通報される特定者情報を受信して確定者の可否を認定する認定部16-2と、認定部16-2が認定した確定者に関する情報に基づいて、店舗端末に対してアラートを発行する発行部16-3と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信媒体を介して、店舗端末と、店舗に設置されるネットワークカメラと、前記ネットワークカメラが撮像した動画情報を取得するサーバ装置と、前記サーバ装置が配信する前記動画情報をモニタするユーザが操作するデータ端末とが通信可能な万引き防止システムであって、
前記サーバ装置は、
前記データ端末を特定するためのアカウントをデータベースに登録する登録手段と、
前記データ端末から通報される特定者情報を受信して確定者の可否を認定する認定手段と、
前記認定手段が認定した確定者に関する情報に基づいて、前記店舗端末に対してアラートを発行する発行手段と、
を備えることを特徴とする万引き防止システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
前記店舗端末から通知される前記確定者に関する回答情報に基づいて、前記ユーザに対して報酬を支払う決済手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の万引き防止システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記ネットワークカメラが撮像した前記動画情報にプライバシー処理を施してモニタ画像を生成する画像処理手段と、
前記登録手段が登録したユーザのうち、所定のモニタ条件に従ってランダムに
選択されたユーザに対してモニタ画像を配信する配信制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の万引き防止システム。
【請求項4】
前記配信制御手段は、前記ネットワークカメラが設置された店舗に関する情報を秘匿して配信することを特徴とする請求項3に記載の万引き防止システム。
【請求項5】
前記データ端末は、
前記サーバ装置から配信されるモニタリングアプリケーションをインストールするインストール手段を備え、
前記モニタリングアプリケーションは、ユーザがモニタリングを開始する時刻と、終了する時刻で特定される監視時間を設定する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の万引き防止システム。
【請求項6】
前記発行手段は、所定のアラートレベルに従って複数の通報先にアラートを発行することを特徴とする請求項1に記載の万引き防止システム。
【請求項7】
前記決済手段は、前記店舗端末から通知される確定者に関する回答情報とモニタランキングに基づいて、変動する報酬額を支払うことを特徴とする請求項2に記載の万引き防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店内に設けられるカメラが撮像する動画情報を取得し、かつ、取得した動画情報をモニタするユーザに配信して隠匿行動者を特定して通報する万引き防止システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗には、万引き防止のためのカメラが配置され、別室のモニタで監視する担当者がモニタ画面を凝視して、来店者の行動のうち、経験的に知りうる行動パターンに該当する者を特定して、店員に通報したり、警報を鳴らしたりして対応している。
【0003】
例えば下記特許文献1には、「店員等の負担を増大させることなく、万引き行為の発生を防止することが可能な情報処理システム等を提供するため、複数の撮像装置が店舗内に分散配置されている。サーバは、複数の撮像装置がそれぞれ取得した画像データに基づいて、画像データ中に撮像された人が店舗内に陳列された商品を手に取ったか否かを検知する。サーバは、画像データ中の人が商品を手に取ったことを検知した場合に、画像データが入力された場合に画像データ中に撮像された人が窃盗行為を行ったか否かを示す情報を出力するように学習された学習済モデルを用いて、撮像装置が取得した画像データに基づいて、商品を手に取った人が窃盗行為を行ったか否かを判定する。」ことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなAI技術を利用する防犯システムでは、高性能なカメラを複数台、例えば8階建ての店舗では、各フロアに同数のカメラを設置する必要があり、設備として機能させる場合、初期投資が重く、その効果も高いとは言えないと評価される場合もある。
【0006】
一方、人海戦術で、店舗を見渡す監視員の数を増やすと、防犯会社との契約にもよるが、人件コストが高くなるとともに、その数に比例して怪しい行動をする者を特定できる確率が高いとも言えない場合が多かった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、サーバ装置から監視員を希望するユーザの端末に契約された店舗に設置されるカメラが撮像したリアルタイム動画を配信してモニタリングしてもらい、怪しい来店者を特定して通報してもらうことで、システム構成全体としてのコストを低減させ、かつ、確定者を特定できた場合に、モニタリングしたユーザに報酬を支払える万引き防止システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る万引き防止システムは、所定の通信媒体を介して、店舗端末と、店舗に設置されるネットワークカメラと、前記ネットワークカメラが撮像した動画情報を取得するサーバ装置と、前記サーバ装置が配信する前記動画情報をモニタするユーザが操作するデータ端末とが通信可能な万引き防止システムであって、前記サーバ装置は、前記データ端末を特定するためのアカウントをデータベースに登録する登録手段と、前記データ端末から通報される特定者情報を受信して確定者の可否を認定する認定手段と、前記認定手段が認定した確定者に関する情報に基づいて、前記店舗端末に対してアラートを発行する発行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、システム構成全体としてのコストを低減させ、かつ、確定者を特定できた場合に、モニタリングしたユーザに報酬を支払うことで、確定者の特定率を向上させ、かつ各店舗における万引き発生率を減少させて、万引き常習者に嫌われ率を高めることで各店舗における万引きによる被害額を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本実施形態を示す万引き防止システムの構成を説明するブロック図。
【
図2】
図1に示した万引き防止システムのハードウエア構成を説明するブロック図。
【
図3】
図1に示した万引き防止システムの利用形態を説明するブロック図。
【
図4】
図1に示した万引き防止システムの利用形態を説明するブロック図。
【
図5】本実施形態を示す万引き防止システムにおける防犯動画情報の配信処理を説明するブロック図。
【
図6】本実施形態を示す万引き防止システムにおける防犯動画情報処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】本実施形態を示す万引き防止システムにおける防犯動画情報処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す万引き防止システムの構成を説明するブロック図である。
【0013】
図1において、1はサーバ装置で、通信部1-1を用いて、ネットワーク4を介して、店舗BL1~BLNおよび監視作業を行う登録ユーザが操作するデータ端末2-1~2-Nと双方向に通信可能に接続されている。なお、各店舗には、図示しない店舗端末がネットワーク4に接続されているものとする。
【0014】
1-2はコントローラ部で、詳細は後述するハードウエア資源を備える。1-3はデータベースで、データ端末2-1~2-Nを操作する各ユーザの登録ユーザ情報を記憶し、所定の条件に基づいて報酬ランキングを管理する機能を備えている。
【0015】
データ端末2-1~2-Nは、サーバ装置1が登録した登録ユーザY1~YNが紐づけられており、サーバ装置1へのアクセスが承認された場合、店舗BL1~BLNの各フロアに設けるネットワークカメラ(例えばドームカメラ)CA1-1~CA1-6が撮像された防犯動画情報をサーバ装置1から配信されることで、各登録ユーザY1~YNが防犯映像監視業務を行えるように構成されている。データ端末2-1~2-Nは、ネットワーク4に接続するための通信部2-1-1~2-N-1を備えている。
【0016】
なお、各店舗には、同様のカメラシステムが設置されており、サーバ装置1に防犯動画情報を送信しているものとする。
【0017】
ネットワークカメラCA1-1~CA1-6は、通信ユニットTM1~TMNを介して鮮明な防犯動画情報をサーバ装置1に送信しているが、サーバ装置1が各データ端末2-1~2-Nに配信する防犯動画情報は、後述するように画像処理されて、監視対象の顔を特定できないようにプライバシー保護処理がなされる。
【0018】
M1~MNは監視員で、データ端末3-1~3-Nを操作し、サーバ装置1より通知されるアラートを受信して、店舗内のいずれかのフロアで怪しい行動をする入店者を特定監視対象として認識できるように構成されている。
なお、ネットワークカメラCA1-1~CA1-6を配置するフロアには、別途出口方向は避難階段、トイレ、外階段に別途サブカメラを設定する構成としてもよい。
【0019】
図2は、
図1に示した万引き防止システムのハードウエア構成を説明するブロック図であり、
図1と同一のものには同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
図2において、13はCPUで、外部メモリ18に記憶された制御プログラムを実行して、RAM16上に万引き防止プラットフォーム1Aを構築し、各種のデータ処理を実現する。15はキーボードで、ディスプレイ17に表示されるユーザインタフェースに対する操作指示を行う。
【0021】
万引き防止プラットフォーム1Aにおいて、16-1は登録部で、店舗BL1~BLNを監視対象として、所在地、カメラ番号、店舗名称、緊急連絡先情報、管理者が操作するデータ端末3-1~3-Nのメールアドレスを含む連絡先情報を登録する。なお、店舗登録に際して、所定の登録料(年契約、月契約、サブスク契約)を徴収するものとする。
【0022】
また、登録部16-1は、防犯監視員となる各ユーザが操作するデータ端末2-1~2-Nを識別するユーザ情報、端末識別情報、ユーザが希望する監視対象スケジュールをデータベース1-3に登録する。16-2は認定部で、各ユーザが操作するデータ端末2-1~2-Nから通報される特定者情報を受信して確定者の可否を認定する処理を実行する。
【0023】
16-3は発行部で、認定部16-2が認定した確定者に関する情報に基づいて、店舗管理者が操作するデータ端末3-1~3-Nに対してアラートを発行する。なお、アラートの形式は問わないが、各店舗の監視員がどのフロアであるかを認識できる情報が付与されているものとする。また、発行部16-3は、所定のアラートレベルに従って複数の通報先にアラートを発行することが可能に構成されている。これにより、システム上、1つの通報ポイントに限定することなく、アラートを集約するシステムを構築することも可能である。
【0024】
なお、監視員M1~MNが操作するデータ端末3-1~3-Nは、サブアプリケーションを他の店舗内のフロア担当者が操作するデータ端末と連携することで、アラート情報を共有できるように構成してもよい。
【0025】
16-4は決済部で、データ端末3-1~3-Nから通知される確定者に関する回答情報に基づいて、各ユーザに対して報酬を電子決済により支払う処理を実行する。電子決済には、各種の電子マネーシステムが利用可能に構成されているものとする。
【0026】
16-5は画像処理部で、ネットワークカメラCA1-1~CA1-6が撮像した動画情報にプライバシー処理を施してモニタ画像を生成する処理を実行する。ここで、プライバシー処理とは、部分的モザイク処理、部分的画像置き換え処理、監視対象者の全体を低解像度処理、色変換処理またはこれらの組合せ処理とする。
【0027】
16-6は配信制御部で、登録部16-1が登録した各ユーザのうち、所定のモニタ条件に従ってランダムに選択された各ユーザに対してモニタ画像を配信する処理を実行する。具体的には、例えば5分、7分、15分間隔で、店舗画像を選別してランダムに配信する処理を実行する。なお、同一店舗、同一フロアを複数のユーザが同時に監視するようにスケジュールを割り振るように制御する構成を採用してもよい。また、配信制御部16-6は、ネットワークカメラが設置された店舗に関する情報を秘匿して配信することで、個人情報が登録ユーザに拡散してしまうことを防止することができる。
【0028】
これにより、監視対象者の行動のうち、頭部に動きを注視するユーザと、手部の動きの組合せが同時に認識されることで、より精度の高い防犯監視システムを構築できるからである。
【0029】
また、5分、7分、15分間隔を切り替える制御を実行することで、監視者の緊張度が緩慢となって、監視対象者を見過ごしてしまう事態を回避しつつ、常時視覚的認識力が低下しないように制御している。
【0030】
図3、
図4は、
図1に示した万引き防止システムの利用形態を説明するブロック図であり、店舗BL1を監視対象としたシステム運用例に対応する。
【0031】
登録されたユーザ(登録ユーザY1)がデータ端末2-1を操作して、サーバ装置1から配信されるプライバシー加工されている防犯動画情報を表示画面上で店舗BL1上のいずれかのフロアで怪しい行動(手振り、身振り、カメラの死角に移動を含む)から、万引き行動そのもの、あるいは万引き行動の予備行動(頻繁に見回したり、同じ経路でいったりきたり(徘徊))を発見すると(B1)、サーバ装置1からダウンロードされたアプリケーションが提供するユーザインタフェース上にある発見ボタンを指示して、サーバ装置1にアラートが通報される(B2)。次に、サーバ装置1は、店舗BL1のカメラCA1-1の防犯動画情報の録画を開始する(B3)。
【0032】
次に、サーバ装置1は、店舗BL1のカメラCA1-1の防犯動画情報を行動パターン分析アプリケーションで解析して万引き行動の可否を認定する(B4)。
【0033】
そして、行動パターン分析アプリケーションで解析して万引き行動の蓋然性が高いと判断したら、本アラートを店舗BL1の監視員が操作するデータ端末3-1に通知する(B5)。
【0034】
これを受けて、店舗側では、サーバ装置1から通知される本アラートを確認して、店舗BL1に配置される監視員、またはフロア責任者等に監視活動を開始する指示を行い、保護、当局への通報を含む対処を行う(B6)。
【0035】
その間の処理時間は、データ端末2-1からの通知におおよそ1分を要し、サーバ装置1からの本アラートの通知に4分を想定しているが、その時間を短縮することも可能である。
【0036】
図5は、本実施形態を示す万引き防止システムにおける防犯動画情報の配信処理を説明するブロック図である。本例では、店舗BL1~BL6を登録ユーザY1~Y5が操作するデータ端末2-1~2-Nに配信する例を説明する。
【0037】
図5において、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL1のカメラCA1-1~CA1-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルA-1~A-3を介して受信する。
【0038】
同様に、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL2のカメラCA2-1~CA2-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルB-4~B-6を介して受信する。
【0039】
同様に、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL3のカメラCA3-1~CA3-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルC-7~C-9を介して受信する。
【0040】
同様に、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL4のカメラCA4-1~CA4-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルD-10~D-12を介して受信する。
【0041】
同様に、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL5のカメラCA5-1~CA5-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルE-13~E-15を介して受信する。
【0042】
同様に、サーバ装置1の通信部1-1が店舗BL6のカメラCA6-1~CA6-3から3箇所の防犯動画情報がチャンネルF-16~F-18を介して受信する。
【0043】
これに対して、サーバ装置1の画像処理部16-5は、複数のプライバシー処理のための複数のフィルタFIL-1~FIL-18を備え、配信制御部16-6が登録ユーザY1に対して、フィルタFIL-1、FIL-6、FIL-10で処理された防犯動画情報が配信されている状態である。
【0044】
同様に、サーバ装置1の画像処理部16-5は、複数のプライバシー処理のための複数のフィルタFIL-1~FIL-18を備え、配信制御部16-6が登録ユーザY2に対して、フィルタFIL-3、FIL-4、FIL-8で処理された防犯動画情報が配信されている状態である。
【0045】
同様に、サーバ装置1の画像処理部16-5は、複数のプライバシー処理のための複数のフィルタFIL-1~FIL-18を備え、配信制御部16-6が登録ユーザY3に対して、フィルタFIL-2、FIL-9、FIL-13、FIL-15で処理された防犯動画情報が配信されている状態である。
【0046】
同様に、サーバ装置1の画像処理部16-5は、複数のプライバシー処理のための複数のフィルタFIL-1~FIL-18を備え、配信制御部16-6が登録ユーザY4に対して、フィルタFIL-5、FIL-11、FIL-14、FIL-18で処理された防犯動画情報が配信されている状態である。
【0047】
同様に、サーバ装置1の画像処理部16-5は、複数のプライバシー処理のための複数のフィルタFIL-1~FIL-18を備え、配信制御部16-6が登録ユーザY5に対して、フィルタFIL-7、FIL-12、FIL-16、FIL-17で処理された防犯動画情報が配信されている状態である。
【0048】
このように、サーバ措置1が備える配信制御部16-6は、アカウント登録者がデータ端末2-1~2-Nにインストールしたアプリケーションに対して、顔のぼかし、解像度を低くする等のフィルタ処理を施しながら防犯動画情報の分配を動的に行っている。
【0049】
その際、サーバ措置1が備える配信制御部16-6は、防犯動画情報を時系列的にランダムに振り分けて同一店舗の同一フロアの防犯動画情報を配信するように制御している。
【0050】
また、サーバ措置1が備える配信制御部16-6は、防犯動画情報を時系列的にランダムに振り分けて同一店舗の同一フロアの防犯動画情報を登録ユーザ同士で重複しないように配信するように制御してもよい。
【0051】
さらに、サーバ措置1が備える配信制御部16-6は各店舗BL1~BLNの各ネットワークカメラCA1-1~CA1-6~CAN―1~CAN―6から送信される防犯動画情報の割り振りが平均的なモニタリング時間となるように制御してもよい。
【0052】
図6、
図7は、本実施形態を示す万引き防止システムにおける防犯動画情報処理の一例を示すフローチャートである。なお、(1)~(19)は各ステップを示し、各ステップは、CPU13が外部メモリ18に記憶される制御プログラムを実行することで実現される。
【0053】
サーバ装置1のCPU13は、通信部1-1がネットワーク4を介して受信した要求がユーザ登録申請であるかどうかを判断し(1)、CPU13は、ユーザ登録申請でないと判断した場合、さらに、CPU13は、通信部1-1がネットワーク4を介して受信した要求が店舗登録申請であるかどうかを判断し(2)、CPU13が店舗申請でないと判断した場合、処理を終了する。
【0054】
一方、ステップ(2)で、CPU13は、店舗申請であると判断した場合、店舗名、カメラID(各フロア)、アカウント、管理者名をデータベース1-3に登録する(3)。次に、管理者が使用するデータ端末3-1~3-Nのいずれかについて、アカウントをデータベース1-3に登録して(4)、ステップ(7)以降に進む。
【0055】
一方、ステップ(1)で、CPU13は、ユーザ登録申請であると判断した場合、店舗BL1等のネットワークカメラCA1-1からサーバ装置1に配信され、プライベート処理された店舗動画情報をモニタリングするユーザのユーザ名、アカウント、報酬の支払い先をデータベース1-3に登録する(5)。次に、CPU13は、店舗BL1等をモニタリングするためのモニタリング時間をユーザ毎にデータベース1-3上に設ける管理テーブルに設定する(6)。
【0056】
次に、CPU13は、現在時刻がモニタ開始時刻であるかどうかを判断し(7)、CPU13は、モニタ開始時刻でないと判断した場合、モニタ開始時刻を待機する。そして、CPU13はモニタ開始時刻であると判断した場合、ネットワーク4を介して店舗BL1等より店舗動画情報を受信したかどうかを判断し(8)、店舗動画情報を受信していない間(NO)、ステップ(7)を繰り返す。一方、ステップ(7)で、CPU13は、店舗動画情報を受信したと判断した場合(YES)、CPU13は、店舗動画情報を受信し始めたら、CPU13は、画像処理部16-5を起動して、監視対象者が登録ユーザY1~YNに明確に識別できない画像となるような、例えば低解像度処理を実行する(9)。
【0057】
次に、CPU13は、配信制御部16-6を起動して、プライベート処理された店舗動画情報の配信先(いずれかの登録ユーザY1~YNのアカウント)をランダムに選択する処理を行う(10)。
【0058】
次に、CPU13は、選択された登録ユーザY1~YNに対して、画像処理され、さらに、サイズ加工等の編集がなされた画像を選択された登録ユーザY1~YN宛にネットワーク4を介して配信する(11)。
【0059】
なお、コントローラ部1-2は、データ端末2-1~2-Nからのログインン状況を確認して、配信先として有効なアカウントを認識しているものとする。
【0060】
次に、CPU13は、現在時刻とステップ(7)で確定した配信時刻との差分に基づく配信先切替タイミングであるか否かを判断する(12)。ここで、CPU13は、配信先切替タイミングでないと判断した場合は、ステップ(11)へ戻り処理を繰り返す。
【0061】
一方、ステップ(12)で、CPU13は、配信先切替タイミングであると判断した場合、CPU13は、配信制御部16-6を起動して、配信先をアットランダムに切り替える処理を実行する(13)。これにより、各登録ユーザY1~YNは、データ端末2-1~2-Nが備える表示部に表示される店舗動画情報が動的に切り替わり、新鮮な意識で次のターゲットとなる店舗BL1~BLN(店舗名開示されない)の店舗動画情報のモニタリングを開始することとなる。
【0062】
次に、CPU13は、ネットワーク4を介してデータ端末2-1~2-Nのいずれかから、怪しい行動をしていると特定される可能性が高いと登録ユーザY1~YNが判断した場合に送信されるアラート(第1のアラート)を受信したかどうかを判断する(14)。ここで、CPU13は、第1のアラートを受信していないと判断した場合は、ステップ(11)へ戻り、処理を繰り返す。
【0063】
一方、CPU13は、ステップ(14)で、第1のアラートを受信していると判断した場合は、登録ユーザY1~YNが操作する例えばデータ端末2-1~2-Nから録画データをネットワーク4を介して受信する(15)。
【0064】
なお、データ端末2-1~2-Nは、ユーザ登録時に、サーバ装置1からダウンロードするモニタリグ用アプリケーションにより、データ端末2-1~2-Nのメモリ資源に確保される圧縮画像録画エリアが確保され、エンドレスで1時間動画を記録することが可能に構成されているものとする。
【0065】
次に、CPU13は、認定部16-2を起動して、例えばデータ端末2-1~2-Nから受信した第1のアラートを送信するタイミングを基準として、前後30分、合わせて1時間分の動画情報を再生して、あらかじめ登録された万引き行為の類型と再生画像とを分析して万引き行為と認定できるか否かを判断する(16)。
【0066】
ここで、CPU13は、万引き行為と認定できると判断した場合、データベース1-3に設定された登録ユーザY1~YNに通報報酬を支払う(17)。次に、各店舗BL1~BLNの終了時刻に到達したか、すなわち営業終了を判断して(18)、CPU13は、営業終了時刻であると判断した場合、処理を終了する。
【0067】
一方、ステップ(18)で、CPU13は、営業終了時刻でないと判断した場合、ステップ(8)へ戻り、処理を繰り返す。
【0068】
一方、ステップ(16)で、CPU13は、万引き行為でないと認定した場合は、データベース1-3に確保される警告対象者に登録して(19)、ステップ(17)へ進む。
【0069】
〔第1実施形態の効果〕
本実施形態によれば、店舗BL1~BLN内における防犯監視システムにおける店舗BL1~BLN側の負担、サーバ装置1側のデータ処理負担を軽減し、複数の登録ユーザY1~YNによる外部からの監視員によるサポートにより、より安価で、犯罪者特定率を格段に向上できるシステムを構築することが可能となる。
【0070】
〔第2実施形態〕
上記実施形態では、登録ユーザY1~YNに支払われる報酬額を一定とする例について説明したが、登録ユーザY1~YNのうち、特定率の高いユーザ(モニタランキングが高いユーザ)については、一定の報酬額にプラスした貢献度ボーナスを加算して支払う構成としてもよい。
【0071】
〔第2実施形態の効果〕
本実施形態によれば、各登録ユーザY1~YNは、店舗BL1~BLNの防犯活動により貢献することで、他の登録ユーザY1~YNよりも高額な報酬額を期待することができる。
【0072】
〔第3実施形態〕
特定率の高い登録ユーザY1~YNを1つのチームとしてデータベース1-3に登録することで、動的に編成される登録ユーザに絞って店舗BL1~BLN内の監視業務を一任できるように制御する構成を組み入れてもよい。
【0073】
〔第3実施形態の効果〕
本実施形態によれば、防犯効果の高いモニタリングサービスを提供することで、店舗BL1~BLNと優位な契約を締結することも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
上記実施形態では、店舗BL1~BLN内の万引き防止を図るシステムを想定しているが、介護ビジネスにおける個別の住宅、団地における監視業務に適用することで、警備会社が提供する介護見守りシステムの契約料を格段に低価格化することも可能である。
【0075】
以上の記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0076】
(1)所定の通信媒体を介して、店舗端末と、店舗に設置されるネットワークカメラと、前記ネットワークカメラが撮像した動画情報を取得するサーバ装置と、前記サーバ装置が配信する前記動画情報をモニタするユーザが操作するデータ端末とが通信可能な万引き防止システムであって、前記サーバ装置は、前記データ端末を特定するためのアカウントをデータベースに登録する登録手段と、前記データ端末から通報される特定者情報を受信して確定者の可否を認定する認定手段と、前記認定手段が認定した確定者に関する情報に基づいて、前記店舗端末に対してアラートを発行する発行手段と、を備えることを特徴とする。
【0077】
(2)前記サーバ装置は、前記店舗端末から通知される前記確定者に関する回答情報に基づいて、前記ユーザに対して報酬を支払う決済手段を備えることを特徴とする。
【0078】
(3)前記サーバ装置は、前記ネットワークカメラが撮像した前記動画情報にプライバシー処理を施してモニタ画像を生成する画像処理手段と、前記登録手段が登録したユーザのうち、所定のモニタ条件に従ってランダムに選択されたユーザに対してモニタ画像を配信する配信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0079】
(4)前記配信制御手段は、前記ネットワークカメラが設置された店舗に関する情報を秘匿して配信することを特徴とする。
【0080】
(5)前記データ端末は、前記サーバ装置から配信されるモニタリングアプリケーションをインストールするインストール手段を備え、前記モニタリングアプリケーションは、ユーザがモニタリングを開始する時刻と、終了する時刻で特定される監視時間を設定する機能を備えることを特徴とする。
【0081】
(6)前記発行手段は、所定のアラートレベルに従って複数の通報先にアラートを発行することを特徴とする。
【0082】
(7)前記決済手段は、前記店舗端末から通知される確定者に関する回答情報とモニタランキングに基づいて、変動する報酬額を支払うことを特徴とする。
【符号の説明】
【0083】
1 サーバ装置
2-1~2-N データ端末
3-1~3-N データ端末
16-1 登録部
16-2 認定部
16-3 発行部
16-4 決済部
16-5 画像処理部
16-6 配信制御部