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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022170
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】バッティングフォーム練習具
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
A63B69/00 505A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126488
(22)【出願日】2023-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日:令和5年5月22日 掲載アドレス:https://www.instagram.com/p/Csi83odNCGl/ 掲載日:令和5年5月22日 掲載アドレス:https://www.facebook.com/reel/1634241530386757 掲載日:令和5年5月22日 掲載アドレス:https://www.tiktok.com/@jacksbeer1207/video/7236011078398774530 掲載日:令和5年6月1日 掲載アドレス:https://www.facebook.com/reel/1072170887503632 掲載日:令和5年6月1日 掲載アドレス:https://www.instagram.com/p/Cs8uey1tJ6l/ 掲載日:令和5年6月2日 掲載アドレス:https://www.tiktok.com/@jacksbeer1207/video/7239736041991572737 掲載日:令和5年6月8日 掲載アドレス:https://www.facebook.com/reel/1020055516024220 掲載日:令和5年6月8日 掲載アドレス:https://www.instagram.com/p/CtOuyGePxHy/ 掲載日:令和5年7月10日 掲載アドレス:https://www.facebook.com/reel/1392721791294863 掲載日:令和5年7月10日 掲載アドレス:https://www.instagram.com/p/CuhNO5tMi1y/ 掲載日:令和5年7月22日 掲載アドレス:https://www.instagram.com/p/Cu__cRouvdk/
(71)【出願人】
【識別番号】323007320
【氏名又は名称】福原 芳之
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 芳之
(57)【要約】
【課題】効率的なバッティングフォームを体得する。
【解決手段】バッティングフォーム練習具は、一方の腕を所定の位置に導く第1アーム10と、他方の腕を所定の位置に導く第2アーム20とを備え、第1アーム10は、第1の方向にのびる第1アーム10をバット本体30のグリップ部31に連結する第1連結部12を有し、第2アーム20は、第1の方向とは異なる第2の方向に伸びる第2アーム20をバット本体30のグリップ部31に連結する第2連結部22を有し、第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕に接する位置で各々の前腕を所定の位置に導く。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の腕を所定の位置に導く第1アームと、
他方の腕を所定の位置に導く第2アームと、
を備え、
前記第1アームは、第1の方向にのびる前記第1アームをバット本体のグリップ部に連結する第1連結部を有し、
前記第2アームは、前記第1の方向とは異なる第2の方向にのびる前記第2アームを前記バット本体の前記グリップ部に連結する第2連結部を有し、
前記バット本体に連結する前記第1アームと前記第2アームが各々の前腕に接し各々の前腕を所定の位置に導くバッティングフォーム練習具。
【請求項2】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1の方向が前記バット本体に対して直交するバッティングフォーム練習具。
【請求項3】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第2の方向が前記バット本体に対して直交するバッティングフォーム練習具。
【請求項4】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
Z軸に平行な第3の方向にのびる前記バット本体に対し、前記第1の方向がX軸に平行で、前記第2の方向がY軸に平行であるバッティングフォーム練習具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1アームまたは前記第2アームのいずれか一方または双方が回動自在に前記バット本体に連結されるバッティングフォーム練習具。
【請求項6】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1アームまたは前記第2アームのいずれか一方または双方が脱着自在に前記バット本体に連結されるバッティングフォーム練習具。
【請求項7】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1アームと前記第2アームが前記バット本体に対して上下位置に配置されるバッティングフォーム練習具。
【請求項8】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
水平面における前記第1の方向と前記第2の方向の角度(θ)が60度以上120度以下であるバッティングフォーム練習具。
【請求項9】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1連結部が前記第2連結部に連結されるバッティングフォーム練習具。
【請求項10】
請求項1に記載するバッティングフォーム練習具であって、
前記第1アームと前記第2アームがプラスチック製であるバッティングフォーム練習具。
【請求項11】
バット本体と、
一方の腕を所定の位置に導く第1アームと、
他方の腕を所定の位置に導く第2アームと、
を備え、
前記第1アームは、第1の方向にのびる前記第1アームを前記バット本体のグリップ部に連結する第1連結部を有し、
前記第2アームは、前記第1の方向とは異なる第2の方向にのびる前記第2アームを前記バット本体の前記グリップ部に連結する第2連結部を有し、
前記バット本体に連結する前記第1アームと前記第2アームが各々の前腕に接し各々の前腕を所定の位置に導くバッティングフォーム練習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッティングフォーム練習具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から素振り練習用バットとしては、試合に用いるバットより重量を重くして素振りに負荷をかけ腕や手首の筋力強化を図るものがある。また、バットの先端方向にスライドする錘をバットに装着し、バットを振ると錘が遠心力にてスライドし、バットのヘッド部側に衝突し、ボールを打ったときの音や感触にてミートポイントを把握できるようにしたものがある(特許文献1、2)。しかし、このような練習用バットは、腕の位置や姿勢、身体の動きが適切に導かれ、矯正されるものではなく、効率的なバッティングフォームの体得に結び付くものではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-24386号公報
【特許文献2】特開平08-33744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、本開示の目的の一つは、効率的なバッティングフォームを体得できるバッティングフォーム練習具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本開示のある態様に係るバッティングフォーム練習具は、一方の腕を所定の位置に導く第1アームと、他方の腕を所定の位置に導く第2アームとを備え、第1アームは、第1の方向にのびる第1アームをバット本体のグリップ部に連結する第1連結部を有し、第2アームは、第1の方向とは異なる第2の方向にのびる第2アームをバット本体のグリップ部に連結する第2連結部を有し、バット本体に連結した第1アームと第2アームが各々の前腕に接し各々の前腕を所定の位置に導く。
【0006】
以上の構成は、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係るバッティングフォーム練習具を示す概略斜視図である。
図2図1のバッティングフォーム練習具の分解斜視図である。
図3】バッティングフォーム練習具の使用例として構えた状態を示す概略斜視図である。
図4】バッティングフォーム練習具の使用例を示す上方からの概略水平断面図である。
図5】バッティングフォーム練習具の使用例を示す側面からの概略連続図である。
図6】比較例として悪いスイングの例を示す概略連続図である。
図7】バッティングフォーム練習具の使用例を示す正面(ピッチャー側)からの概略連続図である。
図8】バッティングフォーム練習具の使用例の側面からのミートゾーンの概略図である。
図9】比較例として悪いスイングの例のミートゾーンを示す概略図である。
図10】バッティングフォーム練習具の使用例のバット本体の芯の軌道を示す上方からの概略図である。
図11】比較例として悪いスイングの例のバット本体の芯の軌道を示す上方からの概略図である。
図12】本開示の他の実施例に係るバッティングフォーム練習具を示す概略斜視図である。
図13】本開示の他の実施形態に係るバッティングフォーム練習具を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本開示を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0009】
本開示は以下の構成によって特定されてもよい。
本開示の一実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、一方の腕を所定の位置に導く第1アームと、他方の腕を所定の位置に導く第2アームとを備え、第1アームは、第1の方向にのびる第1アームをバット本体のグリップ部に連結する第1連結部を有し、第2アームは、第1の方向とは異なる第2の方向にのびる第2アームをバット本体のグリップ部に連結する第2連結部を有し、バット本体に連結した第1アームと第2アームが各々の前腕に接し各々の前腕を所定の位置に導く。前腕とは手首から肘までの部分を示す。
【0010】
以上の構成は、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。バッターがバット本体のグリップ部を握って構えることで、またスイングすることで、バット本体のグリップ部に連結された第1の方向にのびる第1アームと第2の方向にのびる第2アームが、各々の前腕に接し、各々の前腕に添えられ、各々の前腕を支え、各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導くことができ、またバット本体を握る手首の角度が一定となることで、効率的なバッティングフォームの構え、スイングができるからである。本開示において、効率的なバッティングフォームとは、腕、手首、胸、腰、下半身などのいずれかの身体の動きまたはいずれかの連動をスムーズにできるスイング、スイングの力を効率よくボールに伝えることができるスイング、ボールを打つミートゾーンが広いスイング、力の入るパワーゾーンが広いスイング、インサイドアウトのスイング軌道ができるスイングのうち、少なくともいずれかを満たすスイングを可能にするバッティングフォームを示す。
【0011】
以上の構成は、相対的な位置に配置、固定される第1アームと第2アームが、各々の前腕の相対的位置を維持して各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導くことで構え、スイングが定まり効率的なバッティングフォームを体得できる。以上の構成は、腕を含む身体の複雑な動きと連動で形成されるバッティングフォームを単純化できる。以上の構成は、1または少ないバッターの定点、注意点で各々の前腕が所定の位置、姿勢、角度に定まり、効率的なバッティングフォームの構えができる。例えば、手首、バット本体のグリップエンドなどの位置、またはバット本体の角度などを所定の位置や角度などに定めることで、各々の前腕に接する第1アームと第2アームが、各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導き、効率的なバッティングフォームの構えが可能となる。第1アームと第2アームが、各々の前腕に添えられることで、肩に力の入らない自然な構えができる。バッターがその構えからスイングすることで、インパクトまでの適切なアプローチができ、バットの軌道が定まり、スイングを適正化、安定化できるからである。適切なスイングをなぞって、繰り返すことで、効率的なバッティングフォームを練習、体得できる。以上の極めて単純な構成のバッティングフォーム練習具は、子供から大人まで、初級者から上級者に至るまで使用可能であり、技量、筋肉など各人に応じたスイングが可能であり、異なるスピードでスイングでき、あるいは途中でスイングを止め、スムーズな腕や身体の動きを確認できる。例えば、ゆっくりスイングすることで、腕の位置や姿勢、身体の動きがスイングしながら把握、理解でき、非効率的な動きやフォーム、悪癖などを矯正できる。以上の構成は、簡単に繰り返し練習でき、効率的なバッティングフォームをなぞることができるので、腕の位置と姿勢にはじまり、身体の動き、スイング軌道を安定化でき、両腕と上半身、腰、下半身との連動をスムーズにでき、無駄な動きを少なくでき、その結果、バッターが各人の構え、スイングの型(形)を体得できる。構え、スイングの型は、初級者が効率的なバッティングフォームを体得する期間を短くでき、効率的なバッティングの上達に資する。また構え、スイングの型は、各人のレベルを問わず、各々のレベルに応じたバッティングの上達、改善、矯正、問題点の確認、スランプの対応に有用である。構え、スイングの型を体得した上で、調整、トライを繰り返し、調子の良し悪し、実打、試合など様々な経験を上積みすることで、効率的なバッティングフォームの完成度が高まり、さらにバッティングは上達し、対応可能な範囲を広げることができるからである。
【0012】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1の方向をバット本体に対して直交する方向にできる。以上の構成は、バット本体に対して直交する第1の方向にのびる第1アームが一方の腕の前腕に接して所定の位置、姿勢に導くことができ、またバット本体を握る手首の角度が一定となることで、例えば構えからインパクトまでのアプローチ、スイング、バットの軌道が定まり、安定化して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。本開示において、「直交」とは略直交を含み、具体的には85度以上95度以下の範囲で交わることを示す。「第1の方向がバット本体に対して直交する」とは、第1アームが第1の方向にのびる部分を有することを示し、部分的に第1の方向にのびる部分を有する場合が含まれる。第1アームを直線状に限定するものではない。以下の第2の方向、第2アームについても同様である。
【0013】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第2の方向をバット本体に対して直交する方向にできる。以上の構成は、バット本体に対して直交する第2の方向にのびる第2アームが他方の腕の前腕に接して所定の位置、姿勢に導くことができ、またバット本体を握る手首の角度が一定となることで、例えば構えからインパクトまでのアプローチ、スイング、バットの軌道が定まり、安定化して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。
【0014】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、Z軸に平行な第3の方向にのびるバット本体に対し、第1の方向をX軸に平行、第2の方向をY軸に平行にできる。以上の構成は、Z軸方向にのびるバット本体に対してX軸方向にのびる第1の方向と、Y軸方向にのびる第2アームとが、各々の前腕に接し、添え、支えて、所定の位置、姿勢、角度、相対的位置に導くことができ、またバット本体を握る手首の角度が一定となることで、例えば構え、インパクトまでのアプローチ、スイング、バットの軌道が定まり、安定化して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。
【0015】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1アームまたは第2アームのいずれか一方または双方が回動自在にバット本体に連結されることができる。以上の構成は、バッター個人の体型、身長、腕の長さ、体力、レベル、調子などに応じて第1アームまたは第2アームの位置を変更、調整することで、各人に応じた効率的なバッティングフォームを練習、体得できる特長がある。また、第1アームまたは第2アームのいずれかの固定位置を変更することで、左右いずれのバッターも使用できる。
【0016】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1アームまたは第2アームのいずれか一方または双方が脱着自在にバット本体に連結されることができる。以上の構成は、第1アームまたは第2アームの位置を変更、調整でき、各人に応じた効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。また、第1アームまたは第2アームを交換でき、異なるバット本体に第1アームと第2アームを装着でき、バット本体を選択して効率的なバッティングフォームを体得できる。また脱着可能な第1アームと第2アームは、収納、持ち運びなど便利に利用できる特長もある。
【0017】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1アームと第2アームが上下位置に配置されることができる。以上の構成は、上下位置に配置される第1アームと第2アームが各々の前腕に接し、添え、支持して、所定の位置、姿勢に導くことで、例えば構えやインパクトまでのアプローチ、バットの軌道、スイングが定まり、安定化して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。例えば右バッターは、ピッチャー側の左手がグリップエンドに近い下側、キャッチャー側の右手がその上側のグリップ部をそれぞれ握り、下側の第1アームが左腕前腕、その上側の第2アームが右腕前腕に接し、所定の位置、姿勢に導くことができる。以上の構成は、上下位置に配置された第1アームと第2アームの間に一方または双方の前腕を配置でき、例えば一方の手で上下位置に配置された第1アームと第2アームの間のグリップ部を握ることができる。
【0018】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、水平面における第1アームと第2アームの角度(θ)が60度以上120度以下にできる。「水平面」は、鉛直方向に伸びるバット本体に対し垂直の平面である。角度(θ)は第1アームと第2アームが同一平面にあると仮定した開き具合を示す。以上の構成は、例えば90度など一定の水平開度の角度(θ)で配置される第1アームと第2アームが各々の前腕に接して、各々の前腕の相対的位置が維持されて各々の前腕を所定の位置、姿勢に導くことで、例えば構えやスイング、特にインパクトまでのアプローチ、バットの軌道が定まり、安定化して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。以上の構成は、一定開度の角度(θ)で固定された第1アームと第2アームが両腕を適正な姿勢、位置に導くことで、多数かつ複雑な組み合わさり、連動するバッティングの要素を単純化でき、構えやトップからインパクトまでの身体を適切な動き、連動を補助し、導き、促すことで効率的なバッティングフォームを実現できる。また以上の構成は、バッター個人の体型、身長、腕の長さ、体力、レベル、調子などに応じて第1アームと第2アームの角度(θ)を変更、調整することで、各人の好みに合わせることができ、各人に応じた効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。また以上の構成は、バッティングフォームを矯正、変更、調整、確認する場合に、徐々に段階的に角度(θ)を変更して、違和感を少なくして対応でき、急激な変更で調子を崩すなど問題点を回避できる。一定開度の角度(θ)でバット本体に固定された第1アーム10と第2アーム20を介して、各バッターが構える際のチェックポイントを明確化できる。チェックポイントとしては、例えばグリップエンド31aの位置、バット本体30の角度、手首の位置や向き、肘の位置、前腕の位置や姿勢、相対的位置などがある。第1アーム10と第2アーム20の角度(θ)を調整して、構えやスイング、フォームをバッターの好みに合わせることができる。
【0019】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1連結部と第2連結部が連結されることができる。以上の構成は、第1連結部と第2連結部の各々のバット本体への連結に加え、第1連結部と第2連結部が連結されることで、第1アームと第2アームのバット本体への連結強度を向上でき、第1アームと第2アームを位置ズレすることなく所定の位置、姿勢に確実に保持して、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。
【0020】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、第1アームと第2アームをプラスチック製にできる。以上の構成は、軽量化できスイングし易く、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。また安価に製造でき、接する前腕に応じた形状などに成形し易い特長がある。また厚み、材質などにより弾力性を有する部分、異なる弾力性を有することもできる特長がある。
【0021】
本開示の他の実施態様に係るバッティングフォーム練習具は、バット本体と、一方の腕を所定の位置に導く第1アームと、他方の腕を所定の位置に導く第2アームとを備え、第1の方向にのびる第1アームをバット本体のグリップ部に連結する第1連結部と、第1の方向とは異なる第2の方向に伸びる第2アームをバット本体のグリップ部に連結する第2連結部とを備え、第1アームと第2アームが各々の前腕に接する位置で各々の前腕を所定の位置に導くことができる。
【0022】
以上の構成は、効率的なバッティングフォームを体得できる特長がある。バッターがバット本体のグリップ部を握って構えることで、またスイングすることで、バット本体のグリップ部に連結された第1の方向にのびる第1アームと第2の方向にのびる第2アームが、各々の前腕に接し、各々の前腕に添えられ、各々の前腕を支え、各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導くことができ、またバット本体を握る手首の角度が一定となることで、効率的なバッティングフォームの構え、スイングができるからである。以上の構成は、相対的な位置に配置、固定される第1アームと第2アームが、各々の前腕の相対的位置を維持して各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導くことで構え、スイングが定まり効率的なバッティングフォームを体得できる。以上の構成は、腕を含む身体の複雑な動きと連動で形成されるバッティングフォームを単純化できる。以上の構成は、1または少ないバッターの定点、注意点で各々の前腕が所定の位置、姿勢、角度に定まり、効率的なバッティングフォームの構えができる。例えば、手首、バット本体のグリップエンドなどの位置、またはバット本体の角度などを所定の位置や角度などに定めることで、各々の前腕に接する第1アームと第2アームが、各々の前腕を所定の位置、姿勢、角度に導き、効率的なバッティングフォームの構えが可能となる。第1アームと第2アームが、各々の位置で、各々の前腕に添えられることで、肩に力の入らない自然な構えができる。バッターがその構えからスイングすることで、インパクトまでの適切なアプローチができ、バットの軌道が定まり、スイングを適正化、安定化できるからである。以上の構成は、効率的なバッティングフォームをなぞって、簡単に繰り返し練習でき、腕の位置と姿勢にはじまり、身体の動き、スイング軌道を安定化でき、両腕と上半身、腰、下半身との連動をスムーズにでき、無駄な動きを少なくでき、その結果、バッターが各人の構え、スイングの型(形)を体得でき、効率的なバッティングフォームを練習、体得できる。構え、スイングの型は、初級者が上達する期間を短くでき、またレベルを問わず、各々のレベルに応じたバッティングの上達、改善、矯正、問題点の確認、スランプの対応などに有用であり、また型を調整、変更しながら考え、理解することも有用であり、効率的なバッティングフォームの練習、体得に繋がる。以上の極め単純な構成のバッティングフォーム練習具は、子供から大人まで、初級者から上級者に至るまで使用可能であり、技量、筋肉など各人に応じたスイングが可能であり、異なるスピードでスイングでき、あるいは途中でスイングを止め、スムーズな腕や身体の動きを確認できる。例えば、ゆっくりスイングすることで、腕の位置や姿勢、身体の動きがスイングしながら把握、理解でき、非効率的な動きやフォーム、悪癖などを矯正できる。
(実施形態1)
【0023】
図1図5A-5E、図7A-7C、図8図10に実施形態1に係るバッティングフォーム練習具100を示す。図のバッティングフォーム練習具100は、バット本体30と、第1連結部12を介してバット本体30に連結される第1アーム10と、第2連結部22を介してバット本体30に連結される第2アーム20とを備えている。
【0024】
図3図4図5A-5E、図7A-7C、図8図10にバッティングフォーム練習具の使用例を示す。図3は、バッティングフォーム練習具100を使用して構えた右バッターの例を示す。図3のバッティングフォーム練習具100は、第1アーム10がピッチャー側の前腕(左腕前腕)、第2アーム20がキャッチャー側の前腕(右腕前腕)にそれぞれ接し、添え、支持し、所定の位置、姿勢に導く。以下、主に右バッターを前提に説明するが、左バッターも同様に使用できる。左バッターの場合、ピッチャー側の前腕が右腕前腕、キャッチャー側の前腕が左腕前腕となる。第1アームまたは第2アームのいずれか一方または双方を回動自在にすることで、また第1アームと第2アームを脱着自在にすることで、左右いずれのバッターも使用できる。
(バット本体30)
【0025】
バット本体30は、バッターが両手で握るグリップ部31と、ボールを打つ打球部32とを有する。打球部32は、上端のヘッドとグリップ部32との間にボールをミートする芯33(スイートスポット)を有する。グリップ部32は、下端にグリップエンド31aを有することもできる。図3の右バッターは、左手を下、その上に右手を置いてグリップ部31を握る。バット本体30がのびる方向を第3の方向とする。図1図3は第3の方向をZ軸方向とする。
【0026】
本開示は、バット本体30の形状、サイズ、長さ、外径、材質などを特定するものではないが、例えば、図1のバット本体30はボールを打つ打球部32からグリップ部31に向けて外径が細くなる円筒状とする。バット本体30は、例えば実際のバット、素振り用バット、バッティングフォーム練習具100用の専用バットなどを使用できる。バット本体30に実際のバットを使用する場合、ティバッティングなどボールを打つ実打練習ができる。バッティングフォーム練習具100用のバットは、例えば実際のバットと同じまたは異なる形状、長さ、サイズ、外径、質量などにでき、また実際のバットを模したバットとして、形状、長さ、サイズ、外径、質量などのいずれかまたは複数が同一または類似するものにできる。例えば、バット本体30は、実際のバットよりも軽量にすることで、スイングし易く、バットの重さを気にせずスイングでき、バッターは、腕の位置、身体の動き、バットの軌道などを意識しながらスイングし易いメリットがある。またスイングする筋力が十分でない子供、女性などにとってもバットの重さに振り回されることなくスイングでき、バッティングフォームの練習、技術向上ができるメリットがある。例えば、実際のバットよりも短いバット本体30は、より軽量にでき、また手首、グリップ部31の位置、移動などを意識し易く、狭い場所でもスイングし易いメリットがある。その他にも、例えば、バット本体30を、伸縮自在や継ぎ足し、分解などできる構造として、長さ、重さを調整可能でき、また収納などに便利にできる。バット本体30は、グリップ部側に向けて細くなる円筒状とは異なる形状にできる。例えば凹凸、線、色彩、目印などを設けることができ、またスイング時の風切り音が出る形状、構造などにでき、バット本体30の軌道、バット本体30の芯33の軌道、インパクト、手首の返し、バットの軸方向に対する回転を把握、認識し易い形状、構造、態様などにできる。
(第1アーム10)
【0027】
第1アーム10は、一方の腕の前腕に接しまたは添え、支持することで、前腕を所定の位置と姿勢に導く。第1アーム10は、前腕、手、手首のいずれかに接触する接触部11と、第1の方向にのびる第1アーム10をバット本体30のグリップ部31に連結する第1連結部12とを有する。接触部11は少なくとも前腕の一部に接触して添える。図3は第1アーム10の上側に接触部11を有している。図3図4の第1アーム10はピッチャー側の前側腕の前腕(左腕前腕)の下側に配置されて、第1アーム10の上方の接触部11が下側から左腕前腕に接触し、添え、支持する形で左腕前腕を所定の位置及び姿勢に導く。第1アーム10が前腕の下側から添える構成は前腕を安定的に支持することができる。第1アーム10の上方の接触部11が左腕前腕を第1アーム10と平行姿勢に導くことができる。また、第1アーム10が第1連結部12を介してグリップ部31に固定されることで、構えやスイングにおいて左手首の角度を定め、左手首がぐらつくことなく、左腕前腕をバット本体30に対し所定の姿勢、例えば垂直姿勢に導くことができる。第1アーム10は、左腕前腕を安定的に支持すると共に、左腕前腕が一定範囲で所定の位置や姿勢から外れることを制限、抑制して、適正範囲の所定の位置または姿勢に導き、また悪い癖などを確認、矯正できる。図3の接触部11は前腕の下面に添えられるが、前腕の側面、上面などに添えることもできる。
【0028】
第1アーム10は、第1の方向に伸びる部分を有する。図1図3は第3の方向(Z軸方向)にのびるバット本体30に対し、第1の方向をX軸方向とする。第1の方向にのびる第1アーム10は、バット本体30と左腕前腕の角度(図1において90度)と、グリップ部31を握る左手首の角度を定めることができる。この左腕前腕と左手首の角度は、肩に力の入らないリラックスした構え、握りを可能とし、スムーズにアプローチに入ることができ、またインパクトでボールの勢いに負けることなく強く押し出すことができる。
【0029】
本開示は、第1アーム10の形状、サイズ、長さ、材質、個数などを特定するものではない。第1アーム10は、前腕に接触し、または前腕に添えられ、もしくは前腕を支持して、前腕を所定の位置と姿勢に導くことができる適切な範囲内とする。例えば、図1は第1アーム10を直線状の筒状とする。筒状は第1アーム10を軽量化でき、また安価に製造し易く低コスト化でき、また前腕を導く強度を確保できる。ただし、第1アーム10、接触部11は全体または部分的に、直線、曲線、筒状、棒状、板状、曲面、平面、またこれらの組み合わせなどにできる。例えば、第1アーム10の接触部11は、前腕に接触する部分の形状、面積に合わせた曲面、凹状、コの字状、L字状などの形状を有することができる。第1アーム10の長さは、例えば5cm以上40cm以下、好ましくは10cm以上35cm以下とする。第1アーム10を長くすることで手首から肘に向けた前腕を支持し易くでき、第1アーム10が短過ぎると前腕への接触が少なく前腕を所定の位置、姿勢に導くことが難しい。また逆に第1アーム10が長過ぎるとスイングの邪魔、障害になるからである。また第1アーム10は一方では前腕を支持すると共に、他方では前腕から外れ易いことが好ましい。それは効率的なバッティングフォームにおいて、インパクトに向けたスイングの途中に直線状の第1アーム10が前腕から外れるからである。スイング中において、第1アーム10が前腕を接触、支持する場合と、第1アーム10が前腕を支持しない場合をバッターに認識し易くすることで、スイングや前腕などの動きの確認が可能となる。第1アーム10または接触部11は1または複数設けることができる。各々の第1アーム10または接触部11が前腕の下面、側面、上面などスイングの邪魔にならない位置で前腕に接し添えることができる。また、強く支持し導く部分と僅かに触れる程度、腕の動きを制限、確認するためなど目的に応じて接触面積、強度、具合などを定めることができる。例えば、第1アーム10はプラスチック製として、軽量化、強度を保持し、製造コストを易くできる。第1アーム10の全部または一部を弾性体として腕の動きに応じて変形または姿勢を変更できる。また弾性素材でカバーすることもできる。また第1アーム10の滑り具合、接触、添え具合を調整する素材を設け、カバーできる。
(第1連結部12)
【0030】
第1連結部12は、第1アーム10をバット本体30の所定の位置に連結する。図1図3の第1連結部12は、第1アーム10をグリップ部31に連結、固定する。本開示は、第1連結部12の連結方法、連結構造、形状、サイズ、材質などを特定するものではないが、例えば、図1図2は第1連結部12をグリップ部31に挿通して固定する筒形状とする。例えば、筒形状を挿通する、またはグリップ部31を覆うまたは挟むなど構造、形状の第1連結部12は、各人の所有するバット(バット本体30)に第1アーム10を連結し易く、また取り外し、交換も容易で便利に使用できる。第1連結部12は、スイングに耐え得るバット本体30及び第1アーム10への連結強度を必要とする。第1連結部12は、さらに打球衝撃に耐え得るバット本体30及び第1アーム10への連結強度を有することで、実打に使用するバット(バット本体30)に第1アーム10を連結でき、ティバッティングなど実打練習にも使用できる。第1連結部12と後述する第2連結部22自体をグリップ部31にでき、これをバット本体30に連結、固定できる。第1連結部12はグリップ部31を兼用する形状、構造にできる。第1連結部12がグリップ部31を兼用する場合、グリップ部31の外径、グリップ部31の握り具合など握りに違和感を生じないことが好ましい。第1連結部12の連結、固定方法は特定されず、例えば1または複数のネジを締め込む、第1アーム10を回転しながら締め込むまたは緩める、挟み込む、バックル式、ワイヤー式、ダイヤル式、マジックテープ(登録商標)などで固定でき、また第1連結部12がグリップ部31を兼用する形でバット本体30に連結される、バット本体30または/及び第1連結部12に芯材を設けてバット本体30と第1連結部12が連結されるなどして第1連結部12は第1アーム10を所定の位置に連結できる。第1連結部12は、第1アーム10と同じまたは異なる材質にでき、例えばプラスチック、セラミック、金属などにできる。第1連結部12は、金属など強固な補強材を設けることで、第1アーム10の連結強度を向上できる。第1連結部12は、第1の方向にのびる第1アーム10をバット本体30の所定の位置に連結、固定できる全ての連結具を使用できる。第1連結部12とバット本体30は、凹凸、嵌合部などを設けて、位置決め、嵌合でき、また連結、固定強度を向上できる。第1連結部12は第1アーム10またはバット本体30(グリップ部31)もしくは後述する第2連結部22と一体部材または別部材にできる。第1連結部12は、第1アーム10を所定の姿勢に保持する。図1の第1連結部12は第1アーム10をバット本体30に対して垂直に連結する。バット本体30に対して垂直に連結された第1アーム10が一方の腕の前腕(左腕前腕)に接して所定の位置、姿勢に導き、バット本体30を握る左手首の角度を一定として、構えを作ることができ(図3)、上半身と腰、下半身が連動しつつ前腕と左腕が移動しながらインパクトまでのアプローチをできる(図5A図5E)。第1連結部12は、第1アーム10を脱着自在にバット本体30に連結することができる。この場合、連結位置を調整変更でき、異なるバット本体30への装着が可能となり、破損した場合に第1アーム10を交換できる。
【0031】
第1連結部12は、第1アーム10の連結位置、連結姿勢を定める。第1連結部12は、第1の方向にのびる第1アーム10をバット本体30に連結する。例えば、図1図3の第1連結部12は、第1の方向(X軸方向)がバット本体30の第3の方向(Z軸方向)に対して直交し、第1アーム10をバット本体30に対して垂直に連結する。図3の第1アーム10は第2アーム20よりもグリップ部31の下方位置に配置、連結されて、前側(ピッチャー側)の左腕前腕に接触、添え、支持して、前腕を所定の位置と姿勢に導く。第1連結部12は、第1アーム10をグリップ部31にZ軸を中心に回動自在に連結でき、第1アーム10の連結位置、連結姿勢を調整、変更できる。
【0032】
第1連結部12は、第1アーム10を可動自在に連結できる。この第1連結部12は第1アーム10の位置の調整、変更ができ、第1アーム10を身体と腕の動きに応じた姿勢にでき、バッターに応じた角度設定が可能になる。例えば、第1連結部12は第1アーム10をバット本体30(グリップ部31)の上下方向に移動可能に連結できる。また第1連結部12は第1アーム10を上下方向に傾動自在に連結でき、さらにまた第1アーム10の軸を中心に回動自在に連結できる。例えば第1連結部12は第1アーム10をバット本体30に対して垂直姿勢から下方向(Z軸方向)に傾動自在に連結できる。構えなどスイングの初期の垂直姿勢の第1アーム10が前腕に接触して前腕、手首の姿勢とバット本体30の角度(略直角)を保持し、スイング中にバット本体30をセンター方向に押し出す動作の前後を含め、前腕、手首の姿勢とバット本体30の角度が変化するにつれて第1アーム10が垂直姿勢から下方向に可動することで前腕の動き、角度の変化に対応できる。さらに例えば、第1アーム10の傾動、可動域を限定する、可動強度に強弱をつけて不適な方向への可動を抑制する、第1アーム10が一定以上稼働した際に認識音を出すなどにより、身体の動きとバッティングフォームの適否を確認可能にできる。
(第2アーム20)
【0033】
第2アーム20は、第1アーム10が接する一方の腕とは異なる他方の腕の前腕に接し、または添え、支持することで前腕を所定の位置または姿勢に導く。第2アーム20は、前腕、手、手首のいずれかに接触する接触部21と、第1の方向とは異なる第2の方向にのびる第2アーム20をバット本体30のグリップ部31に連結する第2連結部22とを有する。接触部21は少なくとも前腕の一部に接触して添える。第2アーム20はキャッチャー側の後ろ側腕の前腕(右腕前腕)に接触または支持して、前腕を所定の位置と姿勢に導く。図3図4の第2アーム20は右腕前腕の下に配置されて右腕前腕に添える形で、右腕前腕を第2アーム20の上位置で、第2アーム20と略平行姿勢に導くことができる。また、第2アーム20が第2連結部22を介してグリップ部31に固定されることで、右手首の角度を定め、右腕前腕をバット本体30に対し所定の姿勢、例えば垂直姿勢に導くことができる。第2アーム20は、右腕前腕が所定の位置や姿勢から外れることを制限、抑制して、適正範囲の所定の位置または姿勢に導き、悪い癖などを確認、矯正できる。図3の接触部21は前腕の下面に添えられるが、前腕の側面、上面などを添えることができる。第2アーム20と第2連結部22は、不都合、矛盾のない限り、第1アーム10と第1連結部12の内容が妥当する。
【0034】
第2アーム20は、第2の方向に伸びる部分を有する。図1図3は第3の方向(Z軸方向)にのびるバット本体30に対し、第2の方向をY軸方向とする。第2の方向にのびる第2アーム20は、バット本体30と右腕前腕の角度(図1において90度)と、グリップ部31を握る手首の角度を定めることができる。右腕前腕、手首の角度は、第1アーム10、左腕前腕、手首と同様に、肩に力の入らないリラックスした構え、握りを可能とし、スムーズにアプローチに入ることができ、ボールを強く押し出すことができる。右バッターにとって、左腕はバットを先行してリードする腕であり、右腕は先行する左腕を後ろから補助し押し出す腕である。
【0035】
本開示は、第2アーム20の形状、サイズ、長さ、材質、個数などを特定するものではない。第2アーム20、接触部21、第2連結部22は前腕に接触しまたは添え前腕を所定の位置と姿勢に導くことができる適切な範囲内とし、上述した第1アーム10、接触部11、第1連結部12と同じまたは異なる形状、サイズ、長さ、材質、個数、構造、連結方法、固定方法などにできる。例えば、図1は第2アーム20を直線の筒状とするが、これ以外の形状にできる。第2アーム20の長さは、例えば5cm以上40cm以下、好ましくは10cm以上35cm以下とする。第2アーム20が適切に前腕に接し添え、スイングの邪魔にならないためである。例えば、第2アーム20または接触部21は1つ(図3)または複数設けることができる。各々の第2アーム20または接触部21が前腕の下面、側面、上面などスイングの邪魔にならない位置で前腕に接し添えることができる。また、強く支持し導く部分と僅かに触れる程度、腕の動きを制限、確認するためなど目的に応じて接触面積、強度、具合などを定めることができる。例えば、第2アーム20はプラスチック製として、軽量化、強度を保持し、製造コストを易くできる。第2アーム20を弾性体にでき、また弾性素材でカバーすることもできる。第2アーム20は、第1アーム10、第1連結部12、第2連結部22のいずれかと部材的または機能的に一体化できる。例えば、第1アーム10と第2アーム10を回動して一体化でき、また折り畳んでバット本体30と一体化でき、またさらに取り外して、コンパクト化して便利に収納、持ち運びできる。
(第2連結部22)
【0036】
第2連結部22は、第2アーム10をバット本体30の所定の位置に連結する。図1図3の第2連結部22は、第1連結部12の上方位置に配置され、第2アーム20をグリップ部31に連結、固定する。本開示は、第2連結部22の連結方法、構造、形状、サイズ、材質などを特定するものではなく、第2の方向にのびる第2アーム20をバット本体30のグリップ部31の所定の位置に連結、固定できる全ての連結具を使用できる。第2連結部22は、上述した第1連結部12と同じまたは異なる形状、構造、連結方法、固定方法にできる。例えば、第2連結部22は、第2アーム20を脱着自在にバット本体30に連結できる。第2連結部22は、第2アーム20の連結位置、連結姿勢を定める。第2連結部22は、第2アーム20をZ軸中心に回動自在にグリップ部31に連結でき、第2アーム20の連結位置、連結姿勢を調整、変更できる。第1連結部12、第2連結部22は、第1アーム10、第2アーム20を回動、折り畳み、可動、傾動、脱着自在に連結できる。第1連結部12と第2連結部22が互いに連結されて、グリップ部31に連結、固定することで、連結強度、固定強度を向上できる。図1の第1連結部12と第2連結部22は、各々を筒状として上下に配置して連結するが、この他にも、例えば図12に示すように、半円筒状の第1連結部12と、半円筒状の第2連結部22が合わさって、筒状を形成することもできる。
【0037】
第1連結部12または第2連結部22は、第1アーム10または/及び第2アーム20を回動自在にバット本体30に連結できる。第1アーム10と第2アーム20のいずれか一方または双方がバット本体30の中心軸(Z軸)に対して回動自在に連結されることで、第1アーム10と第2アーム20の各々の位置と相対的位置を変更、調整でき、また左右いずれのバッターに対応可能な位置に設定できる。第1アーム10と第2アーム20を、水平面において例えば60度以上120度以下、好ましくは70度以上110度以下の角度(θ)の位置に配置できる。このバッティングフォーム練習具100は、バッター各人の体型、身長、腕の長さ、体力、レベル、調子などに応じて第1アームと第2アームの角度(θ)を変更、調整でき、各バッターに合う腕の形、位置に調整でき、各人に応じた効率的なバッティングフォームを体得できる。例えば90度から始まり、広げたり狭めたり異なる角度(θ)にすることで、合う角度を探すことができる。有名選手の角度、スイング、フォームを真似ることができろ。また、異なる角度(θ)でスイングすることで、違いを把握でき、身体の動き、フォームやスイングを考える、トレースする機会を与えることができ、またスムーズまたは好ましいスイングができない場合と比較して効率的なバッティングフォームの利点、身体の動きを把握、認識、理解、具体的にイメージし易くでき、これらはバッティングフォームの上達に寄与できる。
【0038】
第1連結部12または第2連結部22は、第1アーム10と第2アーム20を、Z軸上において同じまたは異なる高さ、姿勢に配置、連結できる。図1はバッティングフォーム練習具100の基本的形態を示す。このバッティングフォーム練習具100は、第3の方向(Z軸方向)にのびるバット本体30に対し、第1の方向(X軸方向)にのびる第1アーム10と、第2の方向(Y軸方向)にのびる第2アーム20に配置する。図1は、第1アーム10を下位置に、第2アーム20を上位置に、両者を上下位置に配置し、第1アーム10と第2アーム20が異なる高さで、各々第1の方向と第2の方向にのび、第1の方向と第2の方向が交わる、ねじれの位置関係となる。図の第1アーム10と第2アーム20は同じ間隔、高低差で直線状に伸び、第1アーム10と第2アーム20を異なる高さの平面上に平行姿勢に配置する。図3は、上下位置に配置される第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕の下側に位置して下側から各々の前腕を添え、支持する例を示す。この第1アーム10と第2アーム20は各々の前腕を各アームの上にのせて安定的に支持できる。第1アーム10と第2アーム20はその配置、姿勢、形状により所定の位置の各々の前腕に添えることができ、例えば前腕と各々の前腕の下側と下側(図3)ほか、下側と上側、上側と上側、上側と側面、下側と側面などに添えることができる。第1アーム10と第2アーム20の高低差は、各アームが各々の前腕に添えられる位置に応じて適切に定められる。例えば、5cm以上15cm以内として、第1アーム10が前側前腕の下側に、第2アーム20が後ろ側前腕の下側に配置される場合に対応できる。また例えば、30cm以内として、第1アーム10が前側前腕の下側に、第2アーム20が後ろ側前腕の上側に配置される場合に対応できる。図3は、上下位置に配置される第1アーム10と第2アーム20の間に、左腕前腕、手首が位置する。
【0039】
第1連結部12または第2連結部22は、第1アーム10と第2アーム20をZ軸上において同じ高さに配置、連結できる。例えば図12の第1連結部12と第2連結部22は、第1アーム10と第2アーム20をZ軸上において同じ高さに配置、連結する。図12の第1連結部12または第2連結部22は、第1アーム10と第2アーム20を、バット本体30(Z軸)を中心として回動自在、上下左右に可動自在、上下左右に傾動自在に連結する。図において、第1連結部12が第1アーム10を連結、配置する位置の反対側に、第2アーム20を配置、連結する第2連結部22を配置して、各々の連結位置で回動自在、上下左右に傾動自在に連結し、第1アーム10を第1の方向、第2アームを第2の方向に配置可能としている。ただし、これに限定されることなく、例えば、第1アーム10または第2アーム20を連結、配置する位置を図と異なる位置にできる。また、第1連結部12は第1アーム10を第1の方向(X軸)を中心として回動自在、上下左右に傾動自在に連結し、第2連結部22は第2アーム20を第2の方向(Y軸)を中心として回動自在、上下左右に傾動自在に連結することもできる。第1アーム10と第2アーム20をZ軸上において同じ高さに配置され、第1アーム10は前側前腕の上側に、第2アーム20は後ろ側前腕の下側に配置されて、それぞれが各々の前腕に接し、添えられ、支持する。左バッターの場合は、上下反転させ使用でき、あるいは第1アーム10または第2アーム20を回転、姿勢変更することで使用できる。また第1連結部12または第2連結部22は、第1アーム10と第2アーム20を回転して上下または左右に重ねる姿勢に配置でき、収納スペースをコンパクトにできる。
【0040】
バッティングフォームは両腕だけの単純な動きではない。バッティングフォームは、両腕、前腕、手首、胸、体幹軸、上半身、腰、下半身など多数の要素が関わり、複雑に組み合わさり、これらが連動し、さらに前後移動に回転運動が加わる複雑な動きである。これらがスムーズに適切に連動することで、はじめて効率的なバッティングフォームが形成される。バットのスイング軌道も、グリップエンド31aを中心としてバット本体30の先端のヘッドで円弧を描く回転運動だけでなく、バット本体30(グリップエンド31a)がピッチャー方向へ移動する前進運動と、バット本体30の軸方向のひねり回転運動(バットの返しによるローリング)という3つの運動が連動する複雑な軌道である。したがって、バッティングフォーム、スイング軌道の具体的イメージ、目標、指標のない状態で、単に素振りを繰り返すだけでは、効率的なバッティングフォームを体得することは困難である。実際の打撃練習を繰り返しても同様であり、打つことに慣れることが必ずしも効率的なバッティングフォームの体得に繋がらない。また重さを増した素振りバットでスイングの筋力を強化することも効率的なバッティングフォームを体得につながるものでない。バッターがバッティングを上達する、効率的なバッティングフォーム、自分に合う形を体得するためには、長時間を要しているのが実情である。実際のバッティングは、さらに投手が投げるボールを見て、球速、コース、高低、球種を判断し、タイミングを合わせてボールをバットの芯に当てる必要があり、瞬時の認識能力と対応力が要求される。
【0041】
コーチ指導者がバッティングフォームを指導する場合、仮に構えなど静止状態であれば、時間を掛けてバッターの手を取り、バッターの腕、手首、肘などの位置、姿勢を適切に導くことは可能であるとしても、静止状態の指導だけで効率的なバッティングフォームを体得することは容易ではない。それは、まずフォームはスイングの段階により異なるからである。またスイングは静止状態ではなく、腕、腰など身体全身の動きを伴い、しかも腕だけの単純な動きではなく、回転運動に前進運動が組み合わさって連動する複雑な動きであり、静止状態から動作状態に入ることで、またスイング過程で状況が一変し、静止状態で指導されたフォームを維持したままでスイングすることはできないからである。バッティングフォーム練習具100は、第1アーム10と第2アーム20は各々の前腕を所定の位置と姿勢に導くことができる。グリップ部31(手首)の位置とバット本体30の方向(第3の方向)を定めるだけで、各々の前腕の位置と姿勢が定まる。各々の手首の角度も定まる。所定の相対的位置に配置された第1アーム10と第2アーム20は、各々の前腕の相対的位置を維持したまま所定の位置と姿勢に導くことができる。グリップ部31(手首)と各々の前腕の三角形を形成できる。スイングが開始されて、腕などが動き始めた動作状態においても、静止状態と同様に第1アーム10と第2アーム20の相対的位置が維持され、このグリップ部31(手首)と各々の前腕の三角形を維持したまま構えからインパクトに向けてアプローチのスイングを容易にできる。第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕の位置と姿勢を導く補助具として各々の前腕の支持姿勢と相対的位置の基準が存在することで、各々の前腕を含めた腕の移動、上半身と下半身、腰の動きを連動され易くできる。第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕の位置と姿勢を導き、相対的位置を維持することで、バッティングフォームの複雑な要素を単純化できるからである。バッティングフォーム練習具100は、第1アーム10と第2アーム20を備える極めて単純な構造でありながら、バッターが構えるだけで時間を掛けずに効率的なバッティングフォームの構え、アプローチを練習できる。効率的なバッティングフォームをなぞって繰り返すことで、これを体得できる。効率的なバッティングフォームの体得時間を短くできる。また悪い癖を矯正でき、不調時の調整や確認用に使用できる。バッティングフォーム練習具100は、バッター各人がスイング、フォームの個人練習に使用でき、また指導者が指導する際にも有用に使用できる。
【0042】
構えは、スイングのスタート姿勢であり、効率的なバッティングフォームの前提である。構えは、腕や身体の動き、連動を規定し、影響し、バットの出所、スイング軌道、安定性に影響する。例えば、窮屈、不自然な姿勢、肩に力の入った構えなどからは、バットが遠回りする、出にくい、力みのあるスイング、ミートゾーンやパワーゾーンが狭いなどが生じ易く、結果的にタイミングが取りづらい、バッティングの対応範囲が狭くなるなどに繋がり易く、効率的なバッティングフォームでスイングすることは困難である。バッティングフォーム練習具100は、一定開度の角度(θ)で固定された第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕に接し添えられることで、手首と各々の前腕の位置と姿勢を定めることができる。グリップ部31の位置に応じて各々の前腕(腕)の三角形を変えずに維持でき、各々の前腕(腕)を所定の位置と姿勢、相対的位置に促すことができる。例えば、角度(θ)が90度の場合、胸の前で各々の前腕で直角三角形を形成できる。両手で握られたグリップ部31を構えの位置に配置することで、グリップ部31(手首)の位置に応じて三角形の形を変えず、各々の前腕及び両腕が移動されて、所定の位置と姿勢、相対的位置に収まり、構えが定まる。例えば、バッティングフォーム練習具100を使用して、グリップ部31の位置を例えばやや後ろのキャッチャー側寄り(図3)に配置し、バット本体30の第3の方向を定めることで、手首と各々の前腕(腕)が三角形となる構え(図4)を容易に作ることができる。構えを上下左右、前後などにバッターに合う形、位置などに微調整することもできる。第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕に接し、添え、支えとなることで、肩に力を入れることなく、脱力、リラックスした自然な姿勢の構えを作ることが可能となる。バッティングフォーム練習具100は、第1の方向にのびる第1アーム10と第2の方向にのびる第2アーム20が、各々の前腕を所定の位置と姿勢に導き、相対的位置を維持することで、具体的には以下の構えを作り易くできる。例えば、グリップエンド31aを高い位置にした構えを作ることが容易になる。この構えは高い位置から位置エネルギーを利用して勢いをつけてスイング速度を早くできる。例えば、トップに近い位置に構えることが容易になる。この構えはボールに最短距離でアプローチでき、ボールを見極める時間を長くでき、バッターの対応範囲を広くできる。
【0043】
例えば、両脇を開けた構え(後ろ腕の脇を開ける、いわゆるフライングエルボー)が容易になる(図3図5A図7A)。バッティングフォーム練習具100は、第1の方向と第2の方向の角度(θ)が所定の角度(例えば90度)であることで、第1アーム10と第2アーム20の開度が定まり、第1アーム10と第2アーム20に添えられ、支持されて、各々の前腕の位置、姿勢及び相対的位置が定まる。例えば、バッターは前側の前腕の位置や姿勢、グリップエンド31aの位置などを決めることで、容易にフライングエルボーの構えができる。バッターが構えからスイングに入り、第1アーム10と第2アームに各々の前腕が所定の位置、姿勢、相対的位置に導かれることで、バッターはフライングエルボーの構えの長所を享受できる。例えば、この構えは、キャッチャー側の後ろ腕の脇(右脇)を閉めた窮屈なスイングを回避してスムーズな動きを可能とし、キャッチャー側の後ろ腕の肘(右肘)を身体に接近させ易く、インパクトに向けたスイング動作で身体を回転させると共に、右脇を閉め右肘を一気に腹部前に滑り込ませる動作を並行して行うことで、右腕が加速し、スイングスピードを速くできる。また、ピッチャー側の腕の脇(左脇)にもある程度余裕を作り、後ろ側の右腕、右肘の進行を阻害せずアプローチをスムーズに、バットを抜き易く、バットの芯にボールを当てやすく、通常差し込まれやすく対応の難しいインコースのボールに対応し易くできる。また、第1アーム10と第2アーム20に添えられたこの構えは、肩、腕の力みのない状態で、胸の前に両前腕で三角形を作り、スムーズにアプローチに移ることができる。この構えからの右腕の動きは、インサイドアウトのスイングである。すなわち、トップからスイングを開始して(図5A)、右脇を締めながら身体側に近い腹部前に右肘を滑り込ませ(図5B)、グリップエンド31a側を先行させながら通過し、センター方向に腕を伸ばしながら、腰の回転を加えバットを加速させて前方に移動し(図5C)、インパクトでボールを押し込む(図5D図5E)ことで強い打球を打つことができる。ピッチャー側(左側)に壁を作って身体が早く開くことを防止することもでき、インパクトを通じて手首が返ることを防止でき、バットでボールを押し出す力をボールに伝えやすくできる。
【0044】
バッティングフォーム練習具100は、第1の方向にのびる第1アーム10と第2の方向にのびる第2アーム20が、スイングの動作状態においても、各々の前腕を所定の位置と姿勢に導き、相対的位置を維持することで、具体的には以下の構えからアプローチにかけたバッティングフォームを形成し易くできる。バッティングフォーム練習具100は、構え(例えば図5A図7A)から腕の形を変えずにインパクトに向けてアプローチすることを可能とする(例えば図5B図5D図7B図7C)。一定開度の角度(θ)で固定された第1アーム10と第2アーム20の相対的位置が維持されたまま各々の前腕に接し添えられることで、手首と各々の前腕の位置と姿勢、相対的位置を定めることができ、手首と各々の前腕(腕)で形成される(略)三角形を変えずにアプローチに向かうことができるからである。また、一定開度の角度(θ)で固定された第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕に接し添えられ、所定の位置と姿勢に導くことで、癖や効率の悪いスイング、身体の動きを矯正することもできる。始動時の適切な構えからスイングが始まることで、スムーズにスイングに入り、効率的なバッティングフォームを実現できる。ボールの高さ、コースが変更しても、第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕を所定の位置と姿勢に導き、相対的位置を維持することが変わらず、同様に効率的なバッティングフォームを実現できる。
【0045】
バッティングフォーム練習具100は、第1アーム10と第2アーム20が各々の前腕を所定の位置と姿勢に導き、相対的位置を維持することで、具体的には以下のスイングし易くできる。例えば、レベルスイングに適するフォームでバットをスイングできる。例えば、インサイドアウトのスイングをし易くできる。例えば、ミートゾーンを広くできるスイングが容易になる。インパクトでボールを押し込む力の入り易いパワーゾーンを広くでき、バットのスイング力をボールに伝え易い、バットでボールを押し込むことができるスイングをし易くできる。身体の動き、連動がスムーズなスイングをし易くできる。ダウンスイングやアッパースイングの弊害を回避し易いスイングができる。またボールの緩急差、タイミングのズレにも対応し易い、いわゆる懐の深いスイングをし易くできる。これらのスイングは相互に関連し、効率的なバッティングフォームはこれらのスイングを実現できる。本開示において、レベルスイング、ダウンスイング、アッパースイングは、いずれも地面に対してではなく、両肩のラインを基準とする。レベルスイングは、地面に対して水平面でスイングすることではなく、両肩のラインに対してバットの軌道が平行であるスイングを示す。ダウンスイングは、両肩のラインより下方向に向けてスイングする場合、アッパースイングは両肩のラインよりも上方向にバットをスイングする場合を示す。
【0046】
図8にボールの軌道を示す。速球であっても重力によりホームベースを通過する時点である程度下降する。ダウンスイングの場合、バットがボールの軌道に対して上斜めから入るため、バットの芯でボールを捉えるミートポイントはバットの軌道とボールの軌道との交点という点であり、ミートゾーンが狭くなる。加えて、このスイングはボールの下側にバットが入りやすく、ポップフライになり易い欠点もある。アッパースイング場合、バットがボールの軌道に対して下斜めから入るため、ダウンスイングと同様に、ミートポイントはバットの軌道とボールの軌道との交点であり狭くなる。これに対し、バッティングフォーム練習具100は、レベルスイングに適するフォームでバットをスイングできる。レベルスイングは、バットの軌道をボールの軌道に合わせ、ボールの軌道に近いスイング、ボールの軌道を通過する範囲が広いスイングを可能として、ミートポイントの前後幅が長くなり、ミートポイントを線状としてミートゾーンを広くできる(図8)。またバットがボールの軌道に入ることで広角に打球を飛ばしやすくでき、またボールの緩急差にも対応し易くできる。
【0047】
さらに図10に示すインサイドアウトのスイングにより、ボールの軌道にバット本体30の芯33を線状に入れる、すなわちバット本体30の芯33の軌道をボールの軌道に合わせることができ、ミートポイントの前後幅が長くなり、ミートポイントを線状としてミートゾーンを広くでき、バット本体30の芯33でボールを捉え易い。そして、後ろ腕の脇(右脇)を締めながら身体側に近い位置を通過し、腰の回転を加えながら右肘をセンター方向に伸ばしながら押し出すことで、バットを加速させてインパクトできボールを押し込め、強い打球を広角に打て、またボールの緩急差にも対応し易くできる。図10の場合、例えば当初予定のミートポイント(真ん中前)でインパクトした場合センター方向にボールを押し出して強い打球を打て、タイミングが少し遅れて手前側(キャッチャー側)でインパクトした場合でもライト方向に、タイミングが少し早い奥側(ピッチャー側)でインパクトした場合でもレフト方向にボールを押し出して強い打球を打つことができる。アッパースイング(図9)やダウンスイング、アウトサイドインのいわゆるドアスイング(図11)はバットがボールの軌道に点で入り(交点のみ)、ミートゾーンが狭く、またインパクト時にスイング力をボールに伝え難い。これに対しレベルスイング、インサイドアウトのスイングの場合、バットがボールの軌道に線状に入っていくため、ボールの軌道とスイングの軌道が合致し、バットをボールに正面衝突させて力をロスなくボールに伝達でき、インパクト時に力を伝え易く、衝突力を増加できる。レベルスイングは両肩のラインに平行に近いスイングするため、体幹軸に対して垂直にバット本体30が移動し、インパクト時に力を入れ易く、ボールを押し込むことができる。またインサイドアウトのスイングは、バット本体30のグリップ部31がヘッド側の先端部よりも先行し、右肘が身体に巻き付くように身体付近を通過して、インパクトに向けてバット本体30を加速でき、バット本体30をセンター方向に押し出す過程(図5C図5D)が手首の返しを遅くしてインパクト後もボールを押し込むことができる。また、ダウンスイングで生じ易いボールの下側にバットが入り込みポップフライになることを抑制できる。さらに、ダウンスイングやアッパースイングのような身体の回転動作に対してバットの軌道に無理な角度をつける必要がなく、腕や上半身と腰や下半身との連動をスムーズにし易くでき、バットの軌道を体幹軸に対して力の入り易い略垂直にできる。上半身に対しバットの軌道に角度がついて上半身だけで振る手打ちスイングになり易い、ダウンスイング、アッパースイングの弊害も回避できる。またバッティングフォーム練習具100は、インサイドアウトのスイングを過剰に意識しすぎて、後ろ腕の脇を締めすぎる窮屈な動き、不自然な腕の動きを第1アーム10と第2アーム20が所定の位置と姿勢、相対的位置に矯正し、スムーズな動き、回転との連動を促すことができる。
【0048】
さらに、バッティングフォーム練習具100は、適切な位置、範囲において、両腕前腕が第1アーム10と第2アーム20から離れる、当初の接し添える状態を維持しないことで、より強い打球を打つことが可能となる。図5A図5Eにおいて、第1アーム10の第1方向、第1アーム10で支えられる左腕前腕、第2アーム20の第2方向、第2アーム20で支えられる右腕前腕の、各々の姿勢方向を鎖線で示している。例えば、構えからミートゾーンに向けてスイングが始まる段階において、左腕前腕は第1アーム10で支えられ、右腕前腕は第2アーム20で支えられる(図5A図5B)。ミートゾーンに入る前後から、キャッチャー側の右腕前腕が第2アーム20から外れ(図5C図5E)、バット本体10をセンター方向に押し出しインパクトする前後にピッチャー側の左腕前腕が第1アーム10から外れることで(図5D図5E)、インパクトに向けてバット本体30を加速でき、バット本体30(芯33)を押し込んでインパクトしたボールを押し出し、スイングスピード、スイングの力をよりボールに伝えることができる。図6B以降に示す比較例の場合、各々の前腕が第1アーム10と第2アーム20から適切な範囲よりも早く離れており、結果、バット本体30の先端が外側から回るアウトサイドインのスイング(いわゆるドアスイング)になっている。このスイングではバットの先端が遠回りするため効率よくスイングスピードを速くできず、身体の開きが早くなり、腰の回転との連動も難しく手打ちになり易く、また最短でボールを捉えることができない。またボールの軌道にバット本体30の芯33が入るのが点状でありミートゾーンが狭く(図11)、強い打球を打つことも難しい。
(実施形態2)
【0049】
図13に実施形態2に係るバッティングフォーム練習具200を示す。バッティングフォーム練習具200は、第1連結部11を介してバット本体30に連結される第1アーム10と、第2連結部22を介してバット本体30に連結される第2アーム20とを備えている。
【0050】
第1アーム10と第2アーム20は実施形態1と同様である。バッティングフォーム練習具200は、第1アーム10と第2アーム20を、バット本体30に連結固定、装着してスイング練習ができる。バット本体30も実施形態1と同様にでき、上記に述べたことが当てはまる。バット本体30を実際のバットにできるほか、バッティングフォーム練習具200の専用バットにできる。第1アーム10と第2アーム20はバット本体30から脱着自在にできるほか、脱着不可として連結強度を向上することもできる。第1連結部11と第2連結部22とを連結できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示のバッティングフォーム練習具は、単純な構造で、効率的なバッティングフォームを体得できる練習器具として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
100、200…バッティングフォーム練習具
10…第1アーム
11…接触部
12…第1連結部
20…第2アーム
21…接触部
22…第2連結部
30…バット本体
31…グリップ部
31a…グリップエンド
32…打球部
33…芯
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図11
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図13