(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022696
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/36 20060101AFI20250206BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20250206BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A61K31/36
A61P3/10
A61P3/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016997
(22)【出願日】2024-02-07
(31)【優先権主張番号】112129165
(32)【優先日】2023-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524052468
【氏名又は名称】蘭亭生物科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Lantyng Biotechnology Corp.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭 茂田
(72)【発明者】
【氏名】郭 盈▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】曾 卉菱
(72)【発明者】
【氏名】曾 泰霖
(72)【発明者】
【氏名】曾 宛平
(72)【発明者】
【氏名】葉 怡玲
(72)【発明者】
【氏名】石 麗仙
(72)【発明者】
【氏名】林 雅虹
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA13
4C086GA17
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】 (修正有)
【課題】牛樟芝由来化合物の新規用途を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される牛樟芝由来の化合物又はその薬理学的に許容される塩は、糖尿病患者の血糖値、血中脂質を低減させる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用であって、前記牛樟芝化合物は、下記式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩である、
牛樟芝化合物の使用。
【化1】
【請求項2】
前記医薬組成物は、薬理学的に許容される担体をさらに含む、
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記糖尿病は、II型糖尿病である、
請求項1に記載の使用。
【請求項4】
前記糖尿病に罹患した患者の血糖を低減させるために用いられることをさらに含む、
請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記糖尿病に罹患した患者の血中脂質を低減させるために用いられることをさらに含む、
請求項3に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛樟芝化合物の使用に関し、特に、糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
牛樟芝(Antrodia camphorata)は、樟芝、ベニクスノキタケ、又は紅樟芝等とも呼ばれ、ヒダナシタケ目(Aphyllophorales)、サルノコシカケ科(Polypoaceae)に属する多年生のキノコであり、台湾特有の真菌であり、台湾の保護樹種である牛樟樹(Cinnamoum kanehirai Hay)の腐った中空部の心材の内壁のみに成長している。牛樟樹が分布数が極め少ないのに加えて、人為的に盗伐されていることで、牛樟樹に寄生しないと成長することができない野生の牛樟芝はさらに稀になり、且つその子実体の成長がかなり遅くて、成長期も6月から10月の間だけなので、非常に高価である。
【0003】
牛樟芝の多くの成分のうち、トリテルペン類化合物に関する研究が最も進んで、トリテルペン類化合物は、30つの炭素からなる六角形又は五角形の天然化合物の総称である。
牛樟芝が持つ苦味は、主にトリテルペン類成分に由来するものである。1995年、Cherng氏らは、牛樟芝の子実体の抽出物に、antcin Aと、antcin Bと、antcin Cとの3種類のエルゴスタン(ergostane)を骨格とする新規なトリテルペン類化合物が含まれることを発見した(Cherng, I. H., and Chiang, H. C. 1995. Three new triterpenoids from Antrodia cinnamomea. J. Nat. Prod. 58:365-371)。
【0004】
Chen氏らは、牛樟芝の子実体をエタノールで抽出することにより、zhankuic acid Aと、zhankuic acid Bと、zhankuic acid Cとの3種類のトリテルペン類化合物を発見した(Chen, C. H., and Yang, S. W. 1995. New steroid acids from Antrodia cinnamomea, -a fungus parasitic on Cinnamomum micranthum. J. Nat. Prod. 58:1655-1661)。
【0005】
なお、Chiang氏らは、1995年にも子実体抽出物から、セスキテルペンラクトン(sesquiterpene lactone)と、2種類のビスフェノール系誘導体との3種類の新規なトリテルペン類化合物、即ち、antrocin、4,7-ジメトキシ-5-メチル-1,3-ベンゾジオキソール(4,7-dimethoxy-5-methy-1,3- benzodioxole)、及び2,2’,5,5’-テトラメトキシ-3,4,3’,4’-ビ-メチレンジオキシ-6,6’-ジメチルビフェニル(2,2’,5,5’-tetramethoxy-3,4,3’,4’-bi- methylenedioxy-6,6’- dimethylbiphenyl)を発見した(Chiang, H. C., Wu, D. P., Cherng, I. W., and Ueng, C. H. 1995. A sesquiterpene lactone, phenyl and biphenyl compounds from Antrodia cinnamomea. Phytochemistry. 39:613-616)。
【0006】
1996年、Cherng氏らは、同様の分析方法で、antcin Eと、antcin Fと、methyl antcinate Gと、methyl antcinate Hとの4種類の新規なトリテルペン類化合物をさらに発見した(Cherng, I. H., Wu, D. P., and Chiang, H. C. 1996. Triteroenoids from Antrodia cinnamomea. Phytochemistry. 41:263-267)。
【0007】
そして、Yang氏らは、エルゴスタンを骨格とする2種類の新規な化合物、即ち、zhankuic acid D、zhankuic acid Eと、ラノスタン(lanostane)を骨格とする3種類の新規な化合物、即ち、15 α -アセチル-デヒドロスルフレン酸(15 α -acetyl-dehydrosulphurenic acid)、デヒドロエブリコ酸(dehydroeburicoic acid)及びデヒドラサルフレン酸(dehydrosulphurenic acid)とを発見した(Yang, S. W., Shen, Y. C., and Chen, C. H. 1996. Steroids and triterpenoids of Antrodia cinnamomea-a fungus parasitic on Cinnamomum micranthum. Phytochemistry. 41:1389-1392)。
【0008】
糖尿病は、内分泌代謝性の慢性疾患に属し、インスリン分泌の絶対的又は相対的な不足による糖、脂肪及びタンパク質の代謝障害疾患であり、臨床ではI型とII型の2種類に分類される。I型は、インスリン依存性糖尿病(IDDM)で、自己免疫によるものがほとんどであり、患者は、膵島β細胞の損傷によってインスリンを分泌することができなくなり、インスリンが絶対的な不足となっている。
【0009】
II型は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)であり、患者の膵島β細胞がインスリンを分泌する機能を有しているが、標的細胞(相応な細胞)のインスリン受容体がインスリンに抵抗しているか敏感ではないため、インスリンが必要な時点で放出されなくなり、又は、受容体とインスリンとの結合力が低下し、よって、インスリンの量が正常であるが、正常な代謝を維持する必要を満たすことができず、血糖値を上昇させて尿糖を増加させ、このような状況は、インスリンの相対的な不足と呼ばれる。
【0010】
出願人が先に出願した特許を例として、例えば、台湾特許I527583号「創傷治癒を促進するための医薬組成物及びその使用」、台湾特許I626053号「毛髪増殖を促進する組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用」、中国特許CN104887661B号「創傷治癒を促進するための医薬組成物及びその使用」、及び中国特許CN201610313277.9号公報「毛髪増殖を促進する組成物の調製のための牛樟芝抽出物及び化合物の使用」を例として、牛樟芝から精製された化合物4,7-ジメトキシ-5-メチル-1,3-ベンゾジオキソール(4,7-dimethoxy-5-methyl- l,3-benzodioxole)(略称SY1)は、創傷治癒促進及び毛髪増殖促進の効果を持ち、且つ、関連医薬組成物の発展の潜在力を有することが開示されている。しかしながら、前記化合物が他の医療用途があるかどうかはまだ研究されてなく、今まで、いかなる文献も前記化合物の血糖や血中脂質の低減などのII型糖尿病の改善に関連する用途を開示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これにより、本発明者らは、牛樟芝化合物に対してかなりの工夫をしたことに基づいて、鋭意研究及び繰り返し試験を行ったうえで、特定の関連応用、例えば本願に開示されている血糖、血中脂質の低減などのII型糖尿病の改善に関連する用途を次第に見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用であって、前記牛樟芝化合物は、下記式(1)で表される化合物又はその薬理学的に許容される塩である、牛樟芝化合物の使用を提供することにある。
【0013】
【0014】
好ましくは、前記医薬組成物は、薬理学的に許容される担体をさらに含む。
【0015】
好ましくは、前記糖尿病は、II型糖尿病である。
【0016】
好ましくは、前記糖尿病に罹患した患者の血糖を低減させるために用いられることをさらに含む。
【0017】
好ましくは、前記糖尿病に罹患した患者の血中脂質を低減させるために用いられることをさらに含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を示す図である。
【
図2】経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を示す図である。
【
図3】アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の生化学検査結果を示す図である。
【
図4】アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の生化学検査結果を示す図である。
【
図5】低比重リポタンパク質(LDL)の生化学検査結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
牛樟芝抽出物SY‐Cと化合物SY-1の調製
牛樟芝(Antrodia camphorata)の菌糸体、子実体又は両者の混合物を取って、水又は有機溶剤を用いて抽出し、牛樟芝の水抽出物又は有機溶剤抽出物を得る。まず、1.0kgの牛樟芝の菌糸体、子実体又は両者の混合物を取って、その10倍分のアルコールを用いて2回抽出し、得られたものを合わせて濃縮することにより、約230gの粗抽出物が得られた。
【0021】
前記粗抽出物をさらにジクロロメタン/水(1:1)の溶液で3回分配抽出することによって約102.6gのジクロロメタン層と約127.4gの水層に分けられ、そして、6.0gのジクロロメタン層を取って、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、n-ヘキサン/ジクロロメタン(1:4)、ジクロロメタン、メタノール/ジクロロメタン(5:95)の溶媒を用いて分離した後、LT-E-D-1、LT-E-D-2、LT-E-D-3、LT-E-D-4の4つの画分(fraction)が得られた。
【0022】
上述の4つの画分の取得は、それぞれ、n-ヘキサン/ジクロロメタン(1:4)及びジクロロメタンの溶離液でそれぞれ溶離した後に得られた画分を合併すると、LT-E-D-1が得られ、さらに、メタノール/ジクロロメタン(5:95)の溶離液で溶離すると、その前半に得られた画分をLT-E-D-2とし、後半に得られた画分をLT-E-D-3とし、最後に、メタノールで溶離すると、LT-E-D-4が得られた。ここで、LT-E-D-1画分を回収すると、牛樟芝抽出物SY-Cとなった。
【0023】
牛樟芝抽出物SY-Cにおける有効成分をさらに精製するために、LT-E-D-1層を取り出して、シリカゲルカラムクロマトグラフィー又は分取高速液体クロマトグラフィーで分離精製することにより、以下の式(1)(即ち、SY-1)で表される化合物4,7-ジメトキシ-5-メチル-1,3-ベンゾジオキソール(4,7-dimethoxy-5-methyl-l,3-benzodioxole)を精製することができる。
【0024】
【0025】
ここで、有機溶媒は、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール又はプロパノール)、エステル類(例えば、酢酸エチル)、アルカン類(例えば、ヘキサン)、又はハロアルカン(例えば、クロロメタン、クロロエタン)を含んでもよいが、これらに限定されない。その中でも、好ましいのはアルコール類であり、より好ましいのはエタノールである。前記有機溶剤と菌糸体、子実体又は両者の混合物との重量比は、15:1~5:1であってもよく、好ましくは12:1~8:1であるが、これに限定されない。なお、ジクロロメタン/水溶液の割合は、2:1~1:2の間であってもよいが、これに限定されない。
【0026】
4,7-ジメトキシ-5-メチル-1,3-ベンゾジオキソール(4,7-dimethoxy-5-methyl-l,3-benzodioxole)の抽出については、Tu SH., J Agric Food Chem. 2012 Apr 11;60(14):3612-8を参考にしてもよい。
【0027】
従来の関連研究では、牛樟芝抽出物又は精製されたSY-1化合物であっても、主にその抗腫瘍効果に注目し、糖尿病の治療に関する研究が全くない。これに対して、本発明は、牛樟芝から精製された化合物SY-1及びその塩を用いて実験を行ったところ、いずれもインスリン分泌を促進する効果があることを発見して実証したものであり、未曾有の新規な用途に属する。
【0028】
II型糖尿病マウスの動物モデル
本実験は、国家動物実験センター(台湾の台北市)からのC57BL/6JNarlという四週齢の雄マウスを用いて、23℃±2℃の環境下で12時間明・12時間暗のサイクルで飼育とする。
【0029】
マウスの適応期の一週間で任意の水及び餌をやり、1週間後にグループに分けてEJOY2 CORP.(台湾の新北市)から購入した市販の飼料1320(脂肪含有量11%)及びMEDGENE CO., LTD(台湾の台中市)から購入したD12451(45%高脂肪飼料)を給餌し、12週間誘導する。
【0030】
週ごとに水及び飼料の量を計算し、マットにある尿量を観察し、マウスの状態に変化があるかどうか(データ載せず)をモニターすることにより、マウスが糖尿病モードになるかどうかを確認する。
【0031】
実験期間において、週ごとにマウスの体重及び空腹の血糖値を測定し、その変化を記録する。マウスの空腹の血糖値のmean±3SDを算出する。空腹の血糖値がnormal dietグループのmean+3SDを超える場合、4週間の経管投与を開始し、実験の最後の週に尾静脈採血で経口ブドウ糖負荷試験を行う。
【0032】
実験の最後の日に、国家動物実験センターにて全ての動物(予定外の死亡を除外する)を20時間絶食させ、純二酸化炭素を用いて安楽死させ、死体を剖検し、器官の重量(肝臓)を測定し、肝臓と膵腺の評価を含む粗検査をする。最終死亡時に、予定通りの安楽死と不定期の死亡を含む動物の病変の大部分を記録する。
【0033】
実験設計及び方法
表1:各実験グループ及び薬の追加に関する処理条件
【0034】
経口ブドウ糖負荷試験(最終1週間)
図1~
図2を参照して、
図1~
図2は、それぞれ経口ブドウ糖負荷試験(Oral Glucose Tolerance Test,OGTT)の試験結果を示す。
図1~
図2に示される各グループは、それぞれ表1に示した条件に対応する:グループA(NFD)、グループB(NFD+5)、グループC(NFD+20)、グループD(HFD)、E(HFD+5)、F(HFD+10)、G(HFD+20)、H(グリベンクラミド)。ここで、NFDは通常脂肪食、HFDは高脂肪食、グリベンクラミドはII型(インスリン非依存性)糖尿病患者に対する経口血糖降下薬である。
【0035】
結果に示されるように、第16週目での経口ブドウ糖負荷試験(Oral glucose tolerance test,OGTT)結果に基づいて、血糖降下薬であるグリベンクラミドを加えたグループが、他の全てのグループに比べて、糖水を給餌していない時の空腹の血糖の上昇が高くなる。このことから、4週間の薬物治療を経て、この薬による血糖降下の効果が、SY1に比べて、後期において治療効果が劣っていることが分かった。
【0036】
SY1の給餌について、糖水を給餌した後、30分経過した時点に、SY1は、HFD+5の低用量グループとHFD+10の中用量グループにおいて血糖の低減に顕著な効果が見られる。HFD+5グループの血糖降下効果は、HFD+10グループの血糖降下効果に相当し(n=6、HFD+5及びHFD+10の120分間の血糖平均値は、それぞれ155.83及び155.33である)、且つ高用量のHFD+20グループと血糖降下薬であるグリベンクラミドグループの血糖降下効果よりも顕著である。
【0037】
血液中のALT及びAST生化学分析
血液中には、アラニンアミノトランスフェラーゼALT(Alanine aminotransferase)とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼAST(aspartate aminotransferase)との2種類のアミノトランスフェラーゼが含まれる。ALTは、主に肝細胞内に存在し、ASTは、主に肝臓、心筋、筋肉に存在し、赤血球にも存在する。これらの細胞が種々の原因で破壊されて壊死になると、細胞内のALTとASTが血液中に放出されてしまう。
【0038】
そのため、肝炎、心筋梗塞、筋肉の炎症又は溶血の場合には、AST値が上昇する可能性があり、採血によってこれらの酵素の上昇程度を検出すれば、細胞破壊の程度を推測することができる。同様に、ALT値の上昇は、肝の炎症によるものと言え、上記の2種類の酵素を検査することによって肝機能を評価する。
【0039】
この実験では、Hitachi 7080の血液生化学分析計及び関連試薬を用いて、国家実験動物センターに依頼して検出を行った。結果は、
図3~
図4に示すように、血液中のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)とアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の生化学分析結果がそれぞれ示された。治療後期の肝機能について、各グループ間の差が大きくないが、西洋薬グループの肝機能値が上昇して有意な差になる。この西洋薬の長期服用は肝臓に対して軽微な損害をもたらす可能性があるが、同じ治療期間におけるSY1グループでは、この現象が見られなかった。
【0040】
低比重リポタンパク質(Low-density lipoprotein、LDL)検出
低比重リポタンパク質(LDL)は、リポタンパク質の5つの主な群の1つであり、LDLは、大きな球形のマクロ分子であり、血液の水性環境を経由して疎水性分子(脂質及びコレステロール)を全身に運ぶすることができる。低比重リポタンパク質LDLは、脂肪分子を細胞に移行し、動脈壁内にて酸化されると、アテローム性動脈硬化(atherosclerosis)が生じるおそれがある。酸化された低比重リポタンパク質は、よりプロテオグリカンによって保留されやすいため、これらが内皮に侵入すると、心血管疾患のリスクがある。そのため、高レベルのLDLは、動脈炎(arterial inflammation)に関わり、例えば、アテローム性動脈硬化、虚血性脳卒中及び心筋梗塞などの心血管疾患(CVD)が引き起こす。
【0041】
LDLの検出結果について、HFD+5グループのLDL低下効果は、西洋薬グループのLDL低下効果との差が大きくなく、HFD+10グループのLDL低下効果よりも効果的である。よって、HFD+5グループが血糖の低下及びLDLの低下にとって最適な量であることは証明される。
【0042】
本発明に提供された糖尿病治療用医薬組成物の調製のための牛樟芝化合物の使用は、確かに産業上の利用価値がある。ただし、以上に述べたものは本発明の好適な実施例に過ぎず、当業者にとって、上述した説明に基づいてほかの種々の改良を行うこともできるが、これらの変更は依然として本発明の主旨及び特許請求の範囲によって定義される保護範囲に属するものとする。