(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022861
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】モータ、固定子及び固定子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20250206BHJP
H02K 3/12 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H02K3/04 D
H02K3/12
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024128123
(22)【出願日】2024-08-02
(31)【優先権主張番号】202310967862.0
(32)【優先日】2023-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524268357
【氏名又は名称】寧徳時代(上海)智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX INTELLIGENCE TECHNOLOGY (SHANGHAI) LIMITED
【住所又は居所原語表記】BUILDING 10, NO. 860, XINYANGGONG ROAD, LINGANG SPECIAL AREA, CHINA (SHANGHAI) PILOT FREE TRADE ZONE, PUDONG NEW AREA, SHANGHAI 201306, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】向 斌
(72)【発明者】
【氏名】黄 立人
(72)【発明者】
【氏名】夏 ▲継▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 乾
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB01
5H603BB07
5H603BB14
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC14
5H603CC17
5H603CD06
5H603CD22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータの構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができるモータの固定子を提供する。
【解決手段】モータの固定子は、固定子鉄心100と、固定子巻線とを含む。固定子鉄心の自体の軸方向に沿う端面110には、固定子鉄心の内壁と外壁112を貫通する複数の巻線スロット120が設けられる。固定子巻線のコイルユニット200aは、組み付けられる複数の第一の導電体を含み、各第一の導電体は、巻線スロットに挿着される少なくとも一つの挿着部を含む。コイルユニットが、複数の第一の導電体によって互いに組み立てられて接続成形されるため、固定子巻線を固定子鉄心に取り付ける場合、予め複数の第一の導電体を互いに接続してコイルユニットを形成してから、コイルユニット全体を、固定子鉄心に設置することができる
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの固定子であって、
固定子鉄心であって、前記固定子鉄心の自体の軸方向に沿う端面には、前記固定子鉄心の内壁と外壁を貫通する複数の巻線スロットが設けられ、前記複数の巻線スロットは、前記固定子鉄心の周方向に沿って間隔をあけて設置される固定子鉄心と、
少なくとも一つのコイルユニットを含む固定子巻線であって、前記コイルユニットは、組み付けられる複数の第一の導電体を含み、各前記第一の導電体は、前記巻線スロットに挿着される少なくとも一つの挿着部を含む固定子巻線とを含む、ことを特徴とするモータの固定子。
【請求項2】
前記コイルユニットの少なくとも二つの前記第一の導電体は、前記周方向に沿ってずれて分布し、
各前記第一の導電体は、それぞれ異なる前記巻線スロットに挿着される複数の前記挿着部を含み、
前記固定子巻線は、各前記巻線スロット内に前記軸方向に沿って積層される少なくとも二つの前記挿着部を設置しており、選択的に、前記コイルユニットは、各前記巻線スロット内に前記軸方向に沿って積層される少なくとも二つの前記挿着部を設置している、ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記コイルユニットは、複数の導電分岐を含み、各前記導電分岐は、直列接続される複数の前記第一の導電体を含み、前記導電分岐の隣接する二つの前記第一の導電体は、接続されて接続構造を形成し、
前記コイルユニットのすべての前記接続構造は、いずれも前記外壁の外側に設置される、ことを特徴とする請求項2に記載の固定子。
【請求項4】
前記第一の導電体は、少なくとも一つの接続部をさらに含み、隣接する前記挿着部は、前記接続部を介して繋がり、
少なくとも一つの前記接続部は、前記内壁の内側に位置する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の固定子。
【請求項5】
前記内壁の内側に位置する少なくとも一つの前記接続部が前記軸方向に折り返され、それによって折り返される前記接続部に繋がる二つの前記挿着部は、異なる層にある、ことを特徴とする請求項4に記載の固定子。
【請求項6】
前記軸方向に、前記接続部の最大サイズは、二つの前記挿着部のサイズの和よりも大きい、ことを特徴とする請求項5に記載の固定子。
【請求項7】
前記内壁の内側に位置するすべての前記接続部は、前記周方向に沿って並んで配置される、ことを特徴とする請求項5に記載の固定子。
【請求項8】
前記第一の導電体の両端には、第一のピンと第二のピンが設けられ、
前記導電分岐の隣接するいずれか二つの前記第一の導電体のうち、一つの前記第一の導電体の前記第一のピンは、別の前記第一の導電体の前記第二のピンと接続されて前記接続構造を形成する、ことを特徴とする請求項3に記載の固定子。
【請求項9】
前記導電分岐の隣接するいずれか二つの前記第一の導電体のうち、一つの前記第一の導電体の前記第一のピンは、別の前記第一の導電体の前記第二のピンと前記軸方向に沿ってオーバーラップされ、
前記第一のピンと前記第二のピンは、オーバーラップ領域で互いに溶接されて前記接続構造を形成する、ことを特徴とする請求項8に記載の固定子。
【請求項10】
前記コイルユニットのすべての前記接続構造は、前記周方向に沿って間隔をあけて設置される、ことを特徴とする請求項8に記載の固定子。
【請求項11】
前記固定子巻線は、前記軸方向に沿って積層配置される複数のコイルユニットを含み、隣接する二つの前記コイルユニットのうち、一つの前記コイルユニットの少なくとも一つの前記接続構造は、別の前記コイルユニットの前記接続構造と前記周方向にずれる、ことを特徴とする請求項10に記載の固定子。
【請求項12】
前記第一のピンと前記第二のピンは、前記径方向に、前記固定子鉄心の中心から離れる方向に沿って延在成形し、又は、
互いにオーバーラップされる前記第一のピンと前記第二のピンは、前記周方向に互いに近い方向に沿って延在成形する、ことを特徴とする請求項8に記載の固定子。
【請求項13】
前記第一の導電体は、導線と、前記導線の外側に被覆される絶縁層とを含み、
前記絶縁層の一端には、第一の開口が設けられ、前記導線は、前記第一の開口から突出する前記第一のピンを含み、
前記第一の開口は、前記外壁に近い第一のエッジと、前記外壁から離れる第二のエッジとを有し、前記第一のピンの延在方向に、前記第一のエッジと前記第一のピンの末端との距離は、前記第二のエッジと前記第一のピンの末端との距離以下である、ことを特徴とする請求項8に記載の固定子。
【請求項14】
前記第一の開口の位置する平面と一つの仮想面とのなす角は、0°~30°であり、前記仮想面は、前記第一のピンの延在方向に垂直であり、前記第二のエッジを通る、ことを特徴とする請求項13に記載の固定子。
【請求項15】
前記第一の導電体は、第一の接続アームと、第二の接続アームとをさらに含み、前記第一のピンは、前記第一の接続アームを介して一つの前記挿着部に接続され、前記第二のピンは、前記第二の接続アームを介して別の前記挿着部に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の固定子。
【請求項16】
前記固定子巻線は、前記軸方向に沿って積層配置される複数の前記コイルユニットを含み、
隣接する二つの前記コイルユニットのうち、一つの前記コイルユニットの少なくとも一つの前記第一の導電体の前記第一の接続アームと前記第二の接続アームは、別の前記コイルユニットから離れる側へ折り返される、ことを特徴とする請求項15に記載の固定子。
【請求項17】
前記軸方向に、隣接する二つの前記コイルユニットの前記接続構造の最小ピッチは、1mm以上である、ことを特徴とする請求項16に記載の固定子。
【請求項18】
周方向に沿って隣接する二つの前記第一の導電体のうち、一つの前記第一の導電体の前記第二の接続アームは、別の前記第一の導電体の前記第二のピンと前記固定子鉄心との間を通過する、ことを特徴とする請求項16に記載の固定子。
【請求項19】
前記第二の接続アームの前記固定子鉄心から離反する側には、別の前記第一の導電体の前記第二のピンを逃がすための逃がし凹部が設けられる、ことを特徴とする請求項18に記載の固定子。
【請求項20】
前記第二の接続アームは、前記逃がし凹部に対応する位置で屈曲し、前記固定子鉄心に向かって突出する凸部を形成する、ことを特徴とする請求項19に記載の固定子。
【請求項21】
少なくとも一つの前記第一の導電体の二つの隣接する前記挿着部間のスパンは、極距離に等しい、ことを特徴とする請求項2に記載の固定子。
【請求項22】
前記第一の導電体は、一体成形構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項23】
前記固定子鉄心の自体の軸方向に沿う二つの端面には、いずれも前記巻線スロットが設置される、ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項24】
前記巻線スロットの延在方向は、前記固定子鉄心の径方向に対して傾斜している、ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項25】
前記巻線スロットの溝面は、底壁面と、前記底壁面に接続される二つの側壁面とを含み、二つの前記側壁面は、前記周方向に沿って間隔をあけて設置され、前記挿着部は、二つの前記側壁面の間に設置され、
前記巻線スロットの前記軸方向に沿う一端には、前記軸方向に沿って前記底壁面に対向する溝口が設けられ、
前記溝口の前記周方向に沿うサイズは、H1であり、前記二つの前記側壁面の前記周方向におけるピッチは、H2であり、H1≦H2である、ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項26】
前記巻線スロットは、前記側壁面に凹みを形成する取り付け溝を含み、
前記固定子は、前記取り付け溝に挿入され、前記軸方向に前記挿着部の移動を制限するためのストッパー部材をさらに含む、ことを特徴とする請求項25に記載の固定子。
【請求項27】
請求項1から26のいずれか1項に記載の固定子を含む、モータ。
【請求項28】
固定子の製造方法であって、
固定子鉄心を提供するステップであって、前記固定子鉄心の自体の軸方向に沿う端面には、前記固定子鉄心の内壁と外壁を貫通する複数の巻線スロットが設けられ、前記複数の巻線スロットは、前記固定子鉄心の周方向に沿って間隔をあけて設置されるステップと、
複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを前記軸方向に沿って前記複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を前記巻線スロット内に挿着するステップとを含む、製造方法。
【請求項29】
複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを前記軸方向に沿って前記複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を前記巻線スロット内に挿着する配置の前に、
導線と、前記導線の外側に被覆される絶縁層とを含む直線状の導電体を提供するステップと、
前記導電体の両端の前記絶縁層を除去するステップと、
前記導電体を屈曲して間隔をあけて設置される複数の挿着部を含む前記第一の導電体を形成するステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記固定子の極数は、2pであり、前記固定子の極距離は、n個の前記巻線スロットであり、
複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを前記軸方向に沿って前記複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を前記巻線スロット内に挿着する配置の前に、2p×n個の第一の導電体を提供するステップをさらに含み、各前記第一の導電体は、第一の挿着部と、第二の挿着部とを含み、前記第一の挿着部と前記第二の挿着部のスパンは、n個の前記巻線スロットであり、
前記の、複数の前記第一の導電体をコイルユニットに予め組み立てるステップは、
2p×n個のスロットを含む組み立て機構を提供するステップであって、2p×n個の前記スロットが前記組み立て機構の周方向に沿って均等に配置されるステップと、
(2p-1)×n個の前記第一の導電体を、反時計回り方向に沿って、開けられる2p×n個の前記スロットに順に積層するステップと、
残りのn個の第一の導電体を組み立て機構の前記スロットに挿入して、コイルユニットを形成するステップであって、いずれか一つの前記スロット内に、前記コイルユニットの一つの前記第一の導電体の前記第一の挿着部は、前記コイルユニットの別の前記第一の導電体の前記第二の挿着部の、前記スロットの底壁に近い側に位置するステップとを含む、ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項31】
複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを前記軸方向に沿って前記複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を前記巻線スロット内に挿着する配置の前に、
m×j個の第一の導電体を提供するステップであって、各前記第一の導電体は、連続的に屈曲し、且つ2×k個の挿着部を含み、m、j及びkは、いずれも正の整数であるステップと、
m個の前記第一の導電体を編成し、サブコイルユニットを作成し、j個の前記サブコイルユニットを製造するステップと、
j個の前記サブコイルユニットを組み立て、コイルユニットを形成するステップとをさらに含む、ことを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2022年09月20日に提案される名称が「モータ、固定子及び固定子の製造方法」であり、国際出願番号がPCT/CN2022/120033である出願の優先権を主張する。
【0002】
本出願は、動力装置分野に関し、具体的には、モータ、固定子及び固定子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
モータは、自動車の軽量化を促進し、電気自動車の航続距離を高め、自動車の空間利用率を高め、パワートレインのコストを低減させるのに重要な措置となった。
【0004】
どのようにモータの構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させるかは、モータ分野の重要な研究方向である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、モータの構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができるモータ、固定子及び固定子の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、固定子鉄心と、固定子巻線とを含むモータの固定子を提供する。固定子鉄心の自体の軸方向に沿う端面には、固定子鉄心の内壁と外壁を貫通する複数の巻線スロットが設けられ、複数の巻線スロットは、固定子鉄心の周方向に沿って間隔をあけて設置される。固定子巻線は、少なくとも一つのコイルユニットを含み、コイルユニットは、組み付けられる複数の第一の導電体を含み、各第一の導電体は、巻線スロットに挿着される少なくとも一つの挿着部を含む。
【0007】
上記技術案では、コイルユニットが、複数の第一の導電体によって互いに組み立てられて接続成形されるため、固定子巻線を固定子鉄心に取り付ける場合、予め複数の第一の導電体を互いに接続してコイルユニットを形成してから、コイルユニット全体を、固定子鉄心に設置することができ、このように配線プロセスを簡略化し、自動化生産の実現を容易にし、さらにモータの構造と組み立てステップを簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができる。コイルユニットの複数の第一の導電体は、接続されて分布式巻線を構成することによって、電磁的に高効率を実現し、空間高調波を低減させ、NVH(雑音Noise、振動Vibrationと音響振動粗さHarshness)を改善することができる。
【0008】
いくつかの実施例では、コイルユニットの少なくとも二つの第一の導電体は、周方向に沿ってずれて分布する。各第一の導電体は、それぞれ異なる巻線スロットに挿着される複数の挿着部を含む。固定子巻線は、各巻線スロット内に軸方向に沿って積層される少なくとも二つの挿着部を設置している。
【0009】
各第一の導電体には、複数の挿着部が設置されるが、第一の導電体の複数の挿着部は、接続されており、このように挿着部の接続工程を減らすことができる。第一の導電体の複数の挿着部が異なる巻線スロットに挿着され、それによって第一の導電体と固定子鉄心の相対位置の安定性を向上させることができる。コイルユニットの少なくとも二つの第一の導電体がずれて嵌合することによって、コイルユニットにおける複数の第一の導電体間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、コイルユニットは、各巻線スロット内に軸方向に沿って積層される少なくとも二つの挿着部を設置している。
【0011】
いくつかの実施例では、コイルユニットは、複数の導電分岐を含み、各導電分岐は、直列接続される複数の第一の導電体を含み、導電分岐の隣接する二つの第一の導電体は、接続されて接続構造を形成する。コイルユニットのすべての接続構造は、いずれも外壁の外側に設置される。
【0012】
コイルユニットの第一の導電体は、外壁の外側で接続し、コイルユニットの第一の導電体の内壁の内側における接続を取り消すことによって、プロセス難易度を低減させ、組み立て効率を向上させることができる。
【0013】
いくつかの実施例では、第一の導電体は、少なくとも一つの接続部をさらに含み、隣接する挿着部は、接続部を介して繋がる。少なくとも一つの接続部は、内壁の内側に位置する。
【0014】
接続部を固定子鉄心の内側に設置することで、複数の第一の導電体の固定子鉄心の内側における接続と組み立てプロセスを減らし、プロセス難易度を低減させることができる。
【0015】
いくつかの実施例では、内壁の内側に位置する少なくとも一つの接続部が軸方向に折り返され、それによって折り返される接続部に繋がる二つの挿着部は、異なる層にある。
【0016】
接続部を折り返すことによって、挿着部の軸方向の距離を変え、さらに少なくとも二つの挿着部を異なる巻線層に設置することを容易にし、固定子鉄心の中心部の空間が窮屈になる問題を改善し、挿着部が層を跨ぐ際に異なる第一の導電体が干渉するリスク及び第一の導電体の絶縁コーティングが破損するリスクを低減させることができる。
【0017】
いくつかの実施例では、軸方向に、接続部の最大サイズは、二つの挿着部のサイズの和よりも大きい。接続部は、軸方向に比較的に大きいサイズだけ折り返して、接続部の応力集中を小さくし、接続部が破損するリスクを低減させることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、内壁の内側に位置するすべての接続部が周方向に沿って並んで配置され、それによってコイルユニットの配置をよりコンパクトにし、接続部間の干渉リスクを低減させる。固定子巻線の内部が整列することで、第一の導電体の絶縁層が破損するリスクを低減させ、固定子の絶縁信頼性を向上させ、固定子の耐用年数を延ばすことができる。
【0019】
いくつかの実施例では、第一の導電体の両端には、第一のピンと第二のピンが設けられる。導電分岐の隣接するいずれか二つの第一の導電体のうち、一つの第一の導電体の第一のピンは、別の第一の導電体の第二のピンと接続されて接続構造を形成する。第一のピンと第二のピンを設置することによって、第一の導電体間の接続の実現を容易にする。
【0020】
いくつかの実施例では、導電分岐の隣接するいずれか二つの第一の導電体のうち、一つの第一の導電体の第一のピンは、別の第一の導電体の第二のピンと軸方向に沿ってオーバーラップされる。第一のピンと第二のピンは、オーバーラップ領域で互いに溶接され、接続構造を形成する。
【0021】
一つの第一の導電体の第一のピンと、別の第一の導電体の第二のピンと軸方向に沿ってオーバーラップさせることによって、この二つの第一の導電体間の溶接の実現を容易にし、第一のピンと第二のピンの相対位置の安定性を改善し、第一のピンと第二のピンの電流通過能力を向上させることができる。
【0022】
いくつかの実施例では、コイルユニットのすべての接続構造は、周方向に沿って間隔をあけて設置される。隣接する接続構造間に隙間があり、第一のピンと第二のピンが互いに溶接され、接続構造を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を低減させることができる。また、接続構造を間隔をあけて設置することで、接続構造の接触短絡のリスクを低減させることができる。
【0023】
いくつかの実施例では、固定子巻線は、軸方向に沿って積層配置される複数のコイルユニットを含み、隣接する二つのコイルユニットのうち、一つのコイルユニットの少なくとも一つの接続構造は、コイルユニットの別の接続構造と周方向にずれる。
【0024】
隣接する二つのコイルユニットの接続構造が周方向に沿って間隔をあけることで、この二つのコイルユニットの接続構造間のピッチを大きくすることができ、一方、第一のピンと第二のピンが互いに溶接され、接続構造を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を低減させることができる。本出願の実施例では、接続構造間の電気的隙間をさらに大きくし、接続構造部の絶縁に対する要求を低減させ、プロセスの複雑性を低減させ、原材料を節約し、生産ラインの稼働タクトを向上させることができる。
【0025】
いくつかの実施例では、第一のピンと第二のピンが径方向に固定子鉄心の中心から離れる方向に沿って延在成形することで、溶接時に第一のピンと第二のピンを把持することを容易にし、大量生産に適用する。
【0026】
いくつかの実施例では、互いにオーバーラップされる第一のピンと第二のピンが周方向に互いに近い方向に沿って延在成形し、第一の導電体の形状を簡略化し、第一の導電体のサイズを小さくし、コイルユニットが固定子鉄心の端部から離れる高さを低減させ、固定子の外側エンベロープのサイズを小さくし、第一の導電体の重量を小さくし、固定子の配置を容易にすることができる。
【0027】
いくつかの実施例では、第一の導電体は、導線と、導線の外側に被覆される絶縁層とを含む。絶縁層の一端には、第一の開口が設けられ、導線は、第一の開口から突出する第一のピンを含む。第一の開口は、外壁に近い第一のエッジと、外壁から離れる第二のエッジを有し、第一のピンの延在方向に、第一のエッジと第一のピンの末端との距離は、第二のエッジと第一のピンの末端との距離以下である。
【0028】
第一のピンが第一の開口から突出することで、他の第一の導電体と接続され、絶縁層による第一のピンと他の第一の導電体との接続の干渉を低減させることを容易にする。上記技術案により、絶縁層の外壁に近い部分は、比較的に大きい長さを有し、別の第一の導電体が絶縁層と外壁との間を通過する際に、二つの第一の導電体間の絶縁性を向上させることができる。
【0029】
いくつかの実施例では、第一の開口の位置する平面と一つの仮想面とのなす角は、0°~30°であり、仮想面は、第一のピンの延在方向に垂直であり、第二のエッジを通る。
【0030】
なす角αを0°~30°に限定することで、絶縁層が導線を覆う面積と第一のピンの露出サイズのバランスをとり、絶縁性能を向上させ、第一のピンと他の構造との接続の実現を容易にすることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、第一の導電体は、第一の接続アームと、第二の接続アームとをさらに含み、第一のピンは、第一の接続アームを介して一つの挿着部に接続され、第二のピンは、第二の接続アームを介して別の挿着部に接続される。
【0032】
第一の接続アームの形状とサイズを制御することによって第一のピンの位置を調節することができ、第二の接続アームの形状とサイズを制御することによって第二のピンの位置を調節することができ、それによって第一のピンと第二のピンは、適切な位置に位置することができる。
【0033】
いくつかの実施例では、固定子巻線は、軸方向に沿って積層配置される複数のコイルユニットを含む。隣接する二つのコイルユニットのうち、一つのコイルユニットの少なくとも一つの第一の導電体の第一の接続アームと第二の接続アームは、別のコイルユニットから離れる側へ折り返される。
【0034】
第一の導電体の第一の接続アームと第二の接続アームを折り返すことによって、二つのコイルユニットの接続構造のピッチを大きくし、接続構造部の絶縁に対する要求を低減させ、プロセスの複雑性を低減させ、絶縁信頼性を向上させることができる。
【0035】
いくつかの実施例では、軸方向に、隣接する二つのコイルユニットの接続構造の最小ピッチは、1mm以上である。
【0036】
上記技術案は、固定子の電気的隙間を大きくし、固定子の絶縁性能を改善し、固定子の信頼性を向上させ、固定子の耐用年数を延ばすことができる。
【0037】
いくつかの実施例では、周方向に沿って隣接する二つの第一の導電体のうち、一つの第一の導電体の第二の接続アームは、別の第一の導電体の第二のピンと固定子鉄心との間を通過する。第一のピンと第二のピンが互いに溶接接続される場合、溶接時の高温による第一の導電体の他の部品への影響を小さくするとともに、第一のピンと第二のピンに対する溶接操作を容易にすることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、第二の接続アームの固定子鉄心から離反する側には、別の第一の導電体の第二のピンを逃がすための逃がし凹部が設けられる。
【0039】
第二の接続アームに逃がし凹部を設置することによって、第二のピンに位置を譲り、第二のピンと他の第一の導電体との第二の接続アームとの積層を回避することができ、コイルユニットの軸方向の厚さを小さくすることができる。逃がし凹部を設置することによって固定子巻線の端部の高さを低減させることができ、固定子の外側エンベロープのサイズが比較的に小さく、モータのサイズがより小さく、モータの配置を容易にする。
【0040】
なお、逃がし凹部を設置することによって、第二のピンと第二の接続アームの位置干渉による相互作用力をさらに改善し、第二のピン位置の安定性に影響を与え、さらに溶接強度に影響を与えることができる。
【0041】
いくつかの実施例では、第二の接続アームは、逃がし凹部に対応する位置で屈曲し、固定子鉄心に向かって突出する凸部を形成する。
【0042】
逃がし凹部に対する凸部を設置することによって、第二の接続アームは、屈曲プロセスによって逃がし凹部と凸部を形成し、第二の接続アームの成形プロセスを簡単にすることができる。
【0043】
いくつかの実施例では、第一の導電体の巻線構造を簡略化するために、少なくとも一つの第一の導電体の二つの隣接する挿着部間のスパンは、極距離に等しい。
【0044】
いくつかの実施例では、第一の導電体は、第一の導電体が比較的に高い接続強度を有するように、一体成形構造であり、第一の導電体の耐用年数を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、固定子鉄心の自体の軸方向に沿う二つの端面には、いずれも巻線スロットが設置されることによって、固定子巻線は、固定子鉄心の異なる側に埋設されることができ、同一の固定子鉄心は、より多くのコイルユニットを収容することができる。
【0046】
いくつかの実施例では、巻線スロットの延在方向は、固定子鉄心の径方向に対して傾斜している。斜巻線スロットを採用することで、モータの電磁雑音抑制がある程度改善されることができる。
【0047】
いくつかの実施例では、巻線スロットの溝面は、底壁面と、底壁面に接続される二つの側壁面とを含み、二つの側壁面は、周方向に沿って間隔をあけて設置され、挿着部は、二つの側壁面の間に設置される。巻線スロットの軸方向に沿う一端には、底壁面と軸方向に沿って対向する溝口が設けられる。溝口の周方向に沿うサイズは、H1であり、二つの側壁面の周方向におけるピッチは、H2であり、H1≦H2である。
【0048】
上記技術案は、予め成形される分布式巻線組み立て予約空間と導体隙間を大幅に減らすことができ、銅充填ファクタを75%以上に達成するとともに、軸方向への線入りを採用することで、配線プロセスを便利にし、より効率的にすることができる。
【0049】
いくつかの実施例では、巻線スロットは、側壁面に凹みを形成する取り付け溝を含む。固定子は、取り付け溝に挿入され、軸方向に挿着部の移動を制限するためのストッパー部材をさらに含む。取り付け溝とストッパー部材を設置することによって、挿着部が巻線スロットから離脱するリスクを低減させることができる。
【0050】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、第一の態様のいずれか一つの実施例による固定子を含むモータを提供する。
【0051】
第三の態様によれば、本出願の実施例は、固定子の製造方法を提供し、この製造方法は、
固定子鉄心を提供するステップであって、固定子鉄心の自体の軸方向に沿う端面には、固定子鉄心の内壁と外壁を貫通する複数の巻線スロットが設けられ、複数の巻線スロットは、固定子鉄心の周方向に沿って間隔をあけて設置されるステップと、
複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを軸方向に複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を巻線スロット内に挿着するステップとを含む。
【0052】
上記技術案では、まず、巻線スロットを有する固定子鉄心を提供し、それから、複数の第一の導電体をコイルユニットに組み立ててから、予め組み立てられるコイルユニット全体を巻線スロット内に組み込み、複数の第一の導電体を一つずつ巻線スロット内に挿着するよりも、固定子の組み立て効率を効果的に向上させることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを軸方向に複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を巻線スロット内に挿着する配置の前に、
導線と、導線の外側に被覆される絶縁層とを含む直線状の導電体を提供するステップと、
導電体の両端の絶縁層を除去するステップと、
導電体を屈曲し、間隔をあけて設置される複数の挿着部を含む第一の導電体を形成するステップとをさらに含む。
【0054】
上記技術案では、第一の導電体は、直線状の導電体から両端の絶縁層が除去された後に直接に屈曲して形成され、後期に導体切断などのプロセスを行う必要がなく、導電体の製造プロセスの複雑性を低減させ、固定子の製造効率を向上させることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、固定子の極数は、2pであり、固定子の極距離は、n個の巻線スロットである。複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを軸方向に複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を巻線スロット内に挿着する配置の前に、
2p・n個の第一の導電体を提供するステップであって、各第一の導電体は、第一の挿着部と、第二の挿着部とを含み、第一の挿着部と第二の挿着部とのスパンは、n個の巻線スロットであるステップをさらに含み、
複数の第一の導電体をコイルユニットに予め組み立てるステップは、
2p×n個のスロットを含む組み立て機構を提供するステップであって、2p×n個のスロットが組み立て機構の周方向に沿って均等に配置されるステップと、
(2p-1)×n個の第一の導電体を、反時計回り方向に沿って、開けられる2p×n個のスロットに順に積層するステップと、
残りのn個の第一の導電体を組み立て機構のスロットに挿入して、コイルユニットを形成するステップであって、いずれか一つのスロット内に、コイルユニットの一つの第一の導電体の第一の挿着部は、コイルユニットの別の第一の導電体の第二の挿着部の、スロットの底壁に近い側に位置するステップとを含む。
【0056】
上記方案では、編成により複数の第一の導電体が互いに嵌合ストッパーすることができ、コイルユニット内における複数の第一の導電体間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施例では、複数の第一の導電体によって予め組み立てられるコイルユニットを軸方向に複数の巻線スロットに圧入することで、各第一の導電体の挿着部を巻線スロット内に挿着する配置の前に、
m×j個の第一の導電体を提供するステップであって、各第一の導電体は、連続的に屈曲し、且つ2×k個の挿着部を含み、m、j及びkは、いずれも正の整数であるステップと、
m個の第一の導電体を編成し、サブコイルユニットを作成し、j個のサブコイルユニットを製造するステップと、
j個のサブコイルユニットを組み立て、コイルユニットを形成するステップとをさらに含む。
【0058】
上記方案では、複数の第一の導電体を段階的に編成することで、編成難易度を低減させ、組み立て効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、本出願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、自明なことに、以下に記述された図面は、ただ本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの構造概略図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの爆発概略図である。
【
図4】本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の概略図である。
【
図5】本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子巻線の第一の導電体の構造概略図である。
【
図6】本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心と第一の導電体の構造概略図である。
【
図7】本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図である。
【
図8】本出願のいくつかの実施例による固定子の別の局所断面概略図である。
【
図9】本出願のいくつかの実施例による固定子の局所概略図である。
【
図10】本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の局所構造概略図である。
【
図11】本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図である。
【
図12】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図である。
【
図13】本出願の別のいくつかの実施例によるモータの固定子の構造概略図である。
【
図15】本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の構造概略図である。
【
図16】
図13の固定子の組み立てプロセスにおける一概略図である。
【
図17】
図13の固定子の組み立てプロセスにおける別の概略図である。
【
図18】本出願のいくつかの実施例による固定子の別の視点での構造概略図である。
【
図19】本出願のいくつかの実施例による固定子のまた別の視点での構造概略図である。
【
図20】
図19においてAにおける局所拡大構造概略図である。
【
図21】本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図22】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図23】本出願のまた別のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図24】本出願のさらなるいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図25】本出願のいくつかの実施例による固定子のコイルユニットの局所構造概略図である。
【
図26】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の二つの第一の導電体の構造概略図である。
【
図28】
図26に示す固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図29】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の二つの第一の導電体の構造概略図である。
【
図31】
図29に示す固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【
図32】本出願のいくつかの実施例による固定子の第二の導電体の構造概略図である。
【
図33】本出願のいくつかの実施例による固定子の別の第一の導電体の構造概略図である。
【
図34】
図33に示す第一の導電体を含む固定子の構造概略図である。
【
図35】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の概略図である。
【
図36】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の概略図である。
【
図38】本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の局所断面図である。
【
図39】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の局所断面図である。
【
図40】本出願のいくつかの実施例による固定子の製造方法フローチャートである。
【
図41】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【
図42】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【
図43】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【
図44】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【
図45】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【
図46】本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。 図面において、実際のスケールで描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0061】
特に定義されない限り、本出願に使用されるすべての技術的と科学的用語は、本出願の技術分野に属する当業者によって一般的に理解される意味と同じであり、本出願では出願の明細書に使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、本出願を限定することを意図しておらず、本出願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面の説明における用語である「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と特許請求の範囲又は上記図面における用語である「第一」、「第二」などは、特定の順序又は主従関係を記述するためのものではなく、異なる対象を区別するためのものである。
【0062】
本出願に言及された「実施例」は、実施例を結び付けて記述された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも一つの実施例に含まれ得ることを意味している。明細書における各位置でのこのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。
【0063】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明確に規定、限定されていない限り、用語である「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付設」は、広義に理解されるべきであり、例えば固定的な接続であってもよく、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接的な繋がりであってもよく、中間媒体による間接的な繋がりであってもよく、二つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0064】
本出願における用語である「及び/又は」は、ただ関連対象の関連関係を記述するものに過ぎず、三つの関係が存在し得ることを表し、例えばA及び/又はBは、単独のA、AとBとの組み合わせ、単独のBの3つのケースを表してもよい。また、本出願における文字である「/」は、一般的には前後関連対象が「又は」の関係であることを表す。
【0065】
本出願の実施例では、同じ符号が同じ部材を表し、且つ簡潔のため、異なる実施例では、同じ部材に対する詳細な説明を省略する。理解すべきこととして、図面に示す本出願の実施例における様々な部材の厚さ、長さ、幅などのサイズ、及び統合装置の全体的な厚さ、長さ、幅などのサイズは、例示的な説明に過ぎず、本出願に対するいかなる限定も構成すべきではない。
【0066】
本出願に出現された「複数の」は、二つ以上(二つを含む)を指す。
【0067】
現在、新エネルギー自動車の駆動モータにおいて、発明者は、電極の固定子のうち、従来の技術案の多くが、集中式固定子巻線を採用して斜溝の設計を配設して歯溝トルクを小さくするが、斜溝は、モータ固定子鉄心生産及び配線プロセスを非常に複雑にし、従来の固定子に構造と配線プロセスが複雑であり、組み立て効率が低く、量産化と自動化生成を実現しにくいという欠点があることに気づいた。
【0068】
そこで、本出願の実施例は、導電体の配線と巻線方式を調整して、固定子の構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させるモータ、固定子及び固定子の製造方法を提供する。
【0069】
理解の便宜上、以下、まず、本出願に現れた専門名詞について以下のように解釈説明する。
【0070】
固定子:モータにおいて静止して動かない部分であり、その作用は、回転磁界を発生させることである。
【0071】
回転子:モータにおける回転部材であり、作用は、電気エネルギーと機械エネルギーの変換を実現することである。
【0072】
スパン:モータ巻線における同一の素子の二つの素子の辺が電機子表面をまたがる距離であり、一般的には、固定子鉄心に開けられる巻線スロットの数で表される。
【0073】
磁極対数P:磁極対数は、極対数と略称される。モータ巻線が通電後に形成される磁極は、N極とS極とが対となる形式で現れる。磁極総数は、2Pである。
【0074】
極距離:極距離とは、モータの各磁極がエアギャップの周面に沿って占有する距離である。極距離は、固定子鉄心の巻線スロットの数で表されてもよい。例示的に、極距離は、Z/2Pであり、Zは、固定子鉄心の巻線スロットの総数である。
【0075】
極相群:交流モータにおいて、一つの極距離下で同相巻線に属する複数の導電体が直列接続して1群になると、極相群と呼ばれ、コイルユニットとも呼ばれる。極相群内の各導電体の電流方向、電磁作用は、すべて同じであり、このいくつかの導電体は、共同でこの相巻線における磁極を発生させる。
【0076】
相巻線:相巻線とは、1本又は複数本の並列接続分岐から所定の接続法で、直列接続、並列接続で接続される一セットの巻線である。
【0077】
図1は、本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの構造概略図であり、
図2は、本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの爆発概略図であり、
図3は、
図2の円枠における拡大概略図であり、
図4は、本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の概略図であり、
図5は、本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子巻線の第一の導電体の構造概略図であり、
図6は、本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心と第一の導電体の構造概略図であり、
図7は、本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図であり、
図8は、本出願のいくつかの実施例による固定子の別の局所断面概略図である。
【0078】
図1から
図8に示すように、本出願のいくつかの実施例は、固定子鉄心100と固定子巻線200とを含む固定子を提供する。固定子鉄心100の自体の軸方向Dに沿う端面110には、固定子鉄心100の内壁111と外壁112を貫通する複数の巻線スロット120が設けられ、複数の巻線スロット120は、固定子鉄心100の周方向に沿って間隔をあけて設置される。固定子巻線200は、少なくとも一つのコイルユニット200aを含み、コイルユニット200aは、組み付けられる複数の第一の導電体210を含み、各第一の導電体210は、巻線スロット120に挿着される少なくとも一つの挿着部2011を含む。
【0079】
固定子鉄心100は、軸方向Dに沿って対向する二つの端面110を有する。本出願の実施例は、一つの端面110のみに巻線スロット120を設置することができ、二つの端面110に巻線スロット120を同時に設置することができる。
【0080】
固定子鉄心100は、内壁111と外壁112を有し、巻線スロット120の両端は、それぞれ内壁111と外壁112に開口を形成する。内壁111と外壁112とは、固定子鉄心100の壁面であり、選択的に、内壁111と外壁112は、いずれも円筒面である。二つの端面110は、内壁111と外壁112に接続される。
【0081】
例示的に、巻線スロット120は、径方向に沿って固定子鉄心100を貫通する。理解すべきこととして、径方向に沿って貫通するとは、巻線スロット120の両端が内壁111と外壁112に延在することをいい、巻線スロット120の延在方向が径方向と平行であることが要求されない。
【0082】
巻線スロット120の延在方向は、必要に応じて設定されてもよい。いくつかの例では、巻線スロットは、固定子鉄心100の径方向に沿って延在するストレート溝であってもよく、別のいくつかの代替可能な例では、巻線スロットは、径方向に対して一定の角度をなす方向に沿って延在する斜溝であってもよい。
【0083】
固定子鉄心100の周方向に、複数の巻線スロット120は、等間隔で設置されてもよく、不等間隔で設置されてもよい。
【0084】
コイルユニット200aの複数の第一の導電体210は、編成、積層又は他のプロセスと組み付けられてもよい。例示的に、第一の導電体210間には、固定的に接続されてもよく、自体の構造により互いのストッパーを実現してもよい。
【0085】
本出願の実施例は、第一の導電体210の挿着部2011の数を制限しない。複数の第一の導電体210の挿着部2011の数は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの例では、すべての第一の導電体210の挿着部2011の数は、同じであり、例えば各第一の導電体210の挿着部2011は、1つ、2つ、4つ、8つ又は複数であってもよい。別のいくつかの例では、いくつかの第一の導電体210の挿着部2011の数は、別のいくつかの第一の導電体210の挿着部2011の数と異なってもよく、例えばいくつかの第一の導電体210は、一つの挿着部2011を含み、別のいくつかの第一の導電体210は、二つの挿着部2011を含み、いくつかの第一の導電体210は、三つの又は複数の挿着部2011を含む。
【0086】
コイルユニット200aの個数は、一つ又は複数であってもよい。例示的に、コイルユニット200aは、複数であってもよく、複数のコイルユニット200aは、固定子鉄心100の軸方向Dに沿って積層設置されてもよい。
【0087】
各第一の導電体210は、一つ又は複数の挿着部2011を含んでもよい。挿着部2011は、第一の導電体210の有効辺であり、固定子鉄心100に組み込まれ、電磁極エネルギー変換役割を果たす部分である。
【0088】
第一の導電体210の設置には、複数の種類があり、第一の導電体210は、平角線又は丸線であってもよく、平角線の断面は、長方形であってもよく、丸線の断面は、円形であってもよい。本出願の実施例では、平角線を例にして例示的に説明する。他の実施例では、第一の導電体210は、丸線であってもよい。
【0089】
選択的に、コイルユニット200aは、軸方向Dに沿って巻線スロット120内に設置され、軸方向Dに沿ってコイルユニット200aの配線を行うことで、配線プロセスを便利且つ効率的にする。
【0090】
上記技術案では、固定子は、固定子鉄心100と、固定子巻線200とを含み、固定子巻線200のコイルユニット200aは、固定子鉄心100の巻線スロット120内に埋設される。コイルユニット200aが、複数の第一の導電体210によって互いに組み立てられ、接続成形されるため、固定子巻線200を固定子鉄心100に取り付ける場合、予め複数の第一の導電体210を互いに接続し、コイルユニット200aを形成してから、コイルユニット200a全体を固定子鉄心100に設置することができ、このように配線プロセスを簡略化し、自動化生産の実現を容易にし、さらにモータの構造と組み立てステップを簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができる。コイルユニット200aの複数の第一の導電体210は、接続されて分布式巻線を構成することによって、電磁的に高効率を実現し、空間高調波を低減させ、NVH(雑音Noise、振動Vibrationと音響振動粗さHarshness)を改善することができる。
【0091】
いくつかの実施例では、巻線スロット120の延在方向は、固定子鉄心100の径方向に対して傾斜している。本出願において、斜巻線スロットを採用することで、モータの電磁雑音抑制がある程度改善されることができる。
【0092】
別のいくつかの実施例では、巻線スロット120の延在方向は、固定子鉄心100の径方向と平行であってもよく、このように固定子鉄心100製造の便利性及び後続工程の信頼性を向上させることができる。
【0093】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aの少なくとも二つの第一の導電体210は、周方向に沿ってずれて分布する。各第一の導電体210は、それぞれ異なる巻線スロット120に挿着される複数の挿着部2011を含む。固定子巻線200は、各巻線スロット120内に軸方向Dに沿って積層される少なくとも二つの挿着部2011を設置している。
【0094】
二つの第一の導電体210が周方向に沿ってずれて分布するとは、二つの第一の導電体210が軸方向に沿って完全に重らず、且つ周方向に沿ってずれることをいう。例示的に、コイルユニット200aの二つの隣接する第一の導電体210は、周方向に沿って一つの巻線スロット120をずらす。
【0095】
各第一の導電体210には、複数の挿着部2011が設置されるが、第一の導電体210の複数の挿着部2011が接続されるため、このように挿着部2011の接続工程を減らすことができる。第一の導電体210の複数の挿着部2011が異なる巻線スロット120に挿着され、それによって第一の導電体210と固定子鉄心100の相対位置の安定性を向上させることができる。コイルユニット200aの少なくとも二つの第一の導電体210がずれて嵌合されることによって、コイルユニット200aにおける複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0096】
そのため、本出願の実施例は、モータの構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができるだけでなく、固定子内の各部品間の相対位置の安定性を向上させ、固定子の耐用年数を向上させることができる。
【0097】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aは、各巻線スロット120内に軸方向Dに沿って積層される少なくとも二つの挿着部2011を設置している。コイルユニット200aは、少なくとも2層に編成される。
【0098】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aの複数の第一の導電体210は、周方向に沿ってずれて分布する。複数の第一の導電体210が周方向に沿ってずれて分布するとは、いずれか二つの第一の導電体210が軸方向に沿って完全に重らず、且つ周方向に沿ってずれることをいう。
【0099】
いくつかの実施例では、各巻線スロット120において、複数の挿着部2011は、軸方向Dに沿って積層される。本出願の実施例は、電磁性能の需要に応じて異なる巻線レイヤ数を選択することができ、巻線レイヤ数を合理的に選択することで交流巻線の表皮効果を効果的に抑制し、モータの温度上昇を低減させることができる。例示的に、各巻線スロット120には、四つの挿着部2011が積層設置される。
【0100】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aは、直列接続される複数の第一の導電体210を含む複数の導電分岐201を含む。導電分岐201の隣接する二つの第一の導電体210は、接続されて接続構造2145を形成する。コイルユニット200aのすべての接続構造2145は、いずれも外壁112の外側に設置される。
【0101】
外壁112の外側とは、外壁112の固定子鉄心100の中心から離れる側をいう。
【0102】
例示的に、導電分岐201の複数の第一の導電体210は、同一の相にある。
【0103】
二つの第一の導電体210は、溶接、接着、係止又は他の方式で接続されて接続構造2145を形成してもよい。選択的に、導電分岐201の隣接する二つの第一の導電体210は、溶接され、接続構造2145は、溶接形成される溶接スポットを含む。
【0104】
本出願の実施例では、コイルユニット200aの第一の導電体210は、外壁112の外側で接続され、コイルユニット200aの第一の導電体210の内壁111の内側における接続を取り消すことによって、プロセス難易度を低減させ、組み立て効率を向上させることができる。
【0105】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、少なくとも一つの接続部213をさらに含み、隣接する挿着部2011は、接続部213を介して繋がる。少なくとも一つの接続部213は、内壁111の内側に位置する。
【0106】
接続部213の数は、挿着部2011の数に関連し、例示的に、第一の導電体210がY個の挿着部2011を含む場合、接続部213の数は、Y-1であってもよい。Yは、1よりも大きい正の整数である。
【0107】
選択的に、接続部213と挿着部2011は、一体接続される。
【0108】
接続部213を固定子鉄心100の内側に設置することで、複数の第一の導電体210の固定子鉄心100の内側における接続と組み立てプロセスを減らし、プロセス難易度を低減させることができる。
【0109】
いくつかの実施例では、第一の導電体210の挿着部2011は、偶数個である。
【0110】
いくつかの実施例では、内壁111内側に位置する少なくとも一つの接続部213が軸方向に折り返され、それによって折り返される接続部213に繋がる二つの挿着部2011は、異なる層にある。
【0111】
例示的に、巻線スロット120において、複数の挿着部2011は、軸方向Dに沿って積層される。巻線スロット120の底壁面121から離れる方向に沿って、巻線スロット120における複数の挿着部2011は、それぞれ異なる層にあり、例示的に、巻線スロット120の底壁面121から離れる方向に沿って、巻線スロット120におけるR個の挿着部2011は、それぞれ第一の層、第二の層、……、第Rの層に位置する。Rは、1よりも大きい正の整数である。
【0112】
折り返される接続部213に繋がる二つの挿着部2011が異なる層にあるとは、この二つの挿着部2011の対応する巻線スロット120に位置するレイヤ数が異なることをいう。例えば、接続部213に繋がる一つの挿着部2011は、巻線スロット120において第一の層に位置し、接続部213に繋がる別の挿着部2011は、巻線スロット120において第二の層に位置する。
【0113】
接続部213の折り返し程度は、内壁の内側の空間に基づいて設置されてもよい。
【0114】
接続部213を折り返すことによって、挿着部2011の軸方向Dの距離を変え、さらに少なくとも二つの挿着部2011を異なる巻線層に設置することを容易にし、固定子鉄心100中心部の空間が窮屈になる問題を改善し、挿着部2011が層を跨ぐ際に異なる第一の導電体210が干渉するリスク及び第一の導電体210の絶縁コーティングが破損するリスクを低減させることができる。
【0115】
別のいくつかの実施例では、折り返される接続部213に繋がる二つの挿着部2011は、同じ層に位置してもよい。
【0116】
いくつかの実施例では、同一の第一の導電体210の二つの隣接する挿着部2011の位置するレイヤ数の差は、1以下である。例えば、第一の導電体210の一つの挿着部2011が巻線スロット120内で第一の層に位置する場合、第一の導電体210の、この挿着部2011に隣接する別の挿着部2011は、第一の層に位置してもよく、第二の層に位置してもよい。本出願の実施例は、巻線層を跨ぐ設計を簡略化することができる。
【0117】
いくつかの実施例では、内壁111内側に位置する接続部213は、いずれも軸方向に折り返される。
【0118】
いくつかの実施例では、第一の導電体210の挿着部2011は、少なくとも四つであり、少なくとも一つの接続部213は、外壁112の外側に位置する。
【0119】
いくつかの実施例では、外壁112の外側の接続部213に繋がる二つの挿着部2011は、同じ層に位置してもよく、異なる層に位置してもよい。
【0120】
いくつかの実施例では、軸方向Dに、接続部213の最大サイズは、二つの挿着部2011のサイズの和よりも大きい。
【0121】
接続部213は、軸方向Dに比較的に大きいサイズだけ折り返されて、接続部213の応力集中を小さくし、接続部213が破損するリスクを低減させることができる。
【0122】
図7に示すように、接続部213は、外反の形式を採用し、それに折り返し中に比較的に大きい弧を有させることによって、屈曲応力を小さくし、破損リスクを低減させることができる。
【0123】
いくつかの実施例では、接続部213は、複数の屈曲部213cを含む。接続部213は、複数回の屈曲を経て外反構造を形成し、このように一回の屈曲程度を小さくし、破損リスクを低減させる。
【0124】
いくつかの実施例では、内壁111の内側に位置するすべての接続部213が周方向に沿って並んで配置され、それによってコイルユニット200aの配置をよりコンパクトにし、接続部213間の干渉リスクを低減させる。固定子巻線の内部が整列することで、第一の導電体210の絶縁層が破損するリスクを低減させ、固定子の絶縁信頼性を向上させ、固定子の耐用年数を延ばすことができる。
【0125】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、第一の導電体210が比較的に高い接続強度を有するように一体成形構造であり、第一の導電体210の耐用年数を向上させることができる。
【0126】
選択的に、一体成形される接続部213と挿着部2011は、導体から変形して形成されてもよい。例えば、第一の導電体210が平角線である場合、第一の導電体210は、長方形導体によってワニス除去、打ち抜きが行われた後に金型成形されてもよく、巻状長方形導体は、レベリングされた後に対応する長さの位置でレーザーによるワニス除去を行い、ワニス除去が完了した後に精確な打ち抜きを行い、打ち抜きの長方形導体は、金型3D成形、ワンタイム3Dプレス成形を経て第一の導電体210を形成した後に巻線スロット120内に組み立てられる。3D成形による第一の導電体210の打ち抜き、ワニス除去、3D成形プロセスが制御されやすいため、導体切断を行う必要がなく、プロセスの複雑性を低減させるとともに、生産ラインの運行効率を向上させた。
【0127】
図9は、本出願のいくつかの実施例による固定子の局所概略図であり、
図10は、本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の局所構造概略図であり、
図11は、本出願のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図であり、
図12は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の一つの局所断面概略図である。
【0128】
図2から5及び
図9から12を参照すると、いくつかの実施例では、第一の導電体210の両端には、第一のピン214と第二のピン215が設けられる。導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一のピン214は、別の第一の導電体210の第二のピン215と接続されて接続構造2145を形成する。
【0129】
第一のピン214と第二のピン215を設置することによって、第一の導電体210間の接続の実現を容易にする。
【0130】
いくつかの実施例では、導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一のピン214と別の第一の導電体210の第二のピン215は、軸方向Dに沿ってオーバーラップされる。第一のピン214と第二のピン215は、オーバーラップ領域で互いに溶接され、接続構造2145を形成する。
【0131】
例示的に、接続構造2145は、第一のピン214と第二のピン215との間のオーバーラップ領域と、溶接によって形成される溶接スポットとを含む。
【0132】
例示的に、第一のピン214と第二のピン215は、TIG(非溶融極ガスシールドアーク溶接)によって溶接され、レーザーによって溶接され、又は他の方式によって溶接される。
【0133】
一つの第一の導電体210の第一のピン214と別の第一の導電体210の第二のピン215とを軸方向Dに沿ってオーバーラップさせることで、この二つの第一の導電体210間の溶接の実現を容易にし、第一のピン214と第二のピン215との相対位置の安定性を改善し、第一のピン214と第二のピン215の電流通過能力を向上させることができる。
【0134】
いくつかの実施例では、溶接時に、固定子を軸方向に回転し、又は溶接ヘッドを回転させる方式で自動溶接の識別を実現することができ、溶接は、単点又は複数点の同時溶接を実現することができ、生産効率が高い。予め成形されるコイルユニット200aの溶接部分の位置度が良く、溶接時に第一の導電体210は、自然状態にあり、スプリングバック及び内部応力が比較的に小さく、割れリスクを低減させた。
【0135】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aのすべての接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけて設置される。隣接する接続構造2145間に隙間があり、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接され、接続構造2145を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を低減させることができる。また、接続構造2145を間隔をあけて設置することで、接続構造2145の接触短絡のリスクを低減させることができる。
【0136】
いくつかの実施例では、固定子巻線200は、軸方向Dに沿って積層配置される複数のコイルユニット200aを含む。
【0137】
隣接する二つのコイルユニット200aのうち、一つのコイルユニット200aの少なくとも一つの接続構造2145と別のコイルユニット200aの接続構造2145は、前記周方向にずれる。言い換えれば、一つのコイルユニット200aの少なくとも一つの接続構造2145は、軸方向Dに別のコイルユニット200aにおける接続構造2145と重ならない。
【0138】
隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけて、この二つのコイルユニット200aの接続構造2145間のピッチを大きくすることができ、一方で、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接され、接続構造2145を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を低減させることができる。本出願の実施例は、接続構造2145間の電気的隙間をさらに大きくし、接続構造2145における絶縁に対する要求を低減させ、プロセスの複雑性を低減させ、原材料を節約し、生産ラインの稼働タクトを向上させることができる。
【0139】
いくつかの実施例では、コイルユニット200aが巻線スロット120に挿入される場合、異なるコイルユニット200a間の接続構造2145間の距離が比較的に大きいため、接続構造2145内の第一のピン214と第二のピン215に対してフレア変形処理を行い続ける必要なく、プロセスの複雑性を低減させることができ、フレア変形処理を必要とせずに第一のピン214と第二のピン215位置の安定性をさらに保証し、溶接割れリスクを低減させることができる。
【0140】
また、本出願の実施例は、固定子軸方向サイズをさらに短縮することができ、モータの軸方向サイズをより小さくし、重量をより軽くし、完成車では、ばね下の質量を減らすことができ、多リンク吊り下げ構造、ダミースプリングを配置することで、シャーシの操作性により役に立つ。
【0141】
いくつかの実施例では、選択的に、各コイルユニット200aの複数の接続構造2145は、周方向に沿って均等に分布する。
【0142】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、導線2101と、導線2101外側に被覆される絶縁層2102とを含む。絶縁層2102の一端には、第一の開口2103が設けられ、導線2101は、第一の開口2103から突出する第一のピン214を含む。第一の開口2103は、外壁112に近い第一のエッジ2104と外壁112から離れる第二のエッジ2105を有し、第一のピン214の延在方向Lに、第一のエッジ2104と第一のピン214の末端の距離L1は、第二のエッジ2105と第一のピン214の末端の距離L2以下である。
【0143】
導線2101は、第一の導電体210は、導電機能を実現するための本体部分である。絶縁層2102は、導線2101と固定子鉄心100を絶縁隔離することができる。
【0144】
第一のピン214は、他の第一の導電体210との接続を容易にするように、第一の開口2103から突出し、絶縁層2102が第一のピン214と他の第一の導電体210の接続に干渉することを低減させる。
【0145】
図9に示すように、本出願の実施例は、絶縁層2102の外壁112に近い部分に比較的に大きい長さを有せることができ、別の第一の導電体210が絶縁層2102と外壁112との間を通過する場合、二つの第一の導電体210間の絶縁性を向上させることができる。
【0146】
いくつかの実施例では、第一の開口2103の位置する平面と一つの仮想面とのなす角αは、0°~30°であり、仮想面は、第一のピン214の延在方向Lに垂直であり、第二のエッジ2105を通る。
【0147】
本出願の実施例では、なす角αを0°~30°に限定することで、絶縁層2102が導線2101を覆う面積と第一のピン214の露出サイズとのバランスをとり、絶縁性能を向上させ、第一のピン214と他の構造との接続の実現を容易にすることができる。
【0148】
選択的に、αは、0°、5°、10°、15°、20°、25°又は30°である。
【0149】
いくつかの実施例では、αは、5°~30°である。第一の開口2103は、斜口である。本出願の実施例は、絶縁信頼性を向上させることができる。
【0150】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、第一の接続アーム216と、第二の接続アーム217とをさらに含み、第一のピン214は、第一の接続アーム216を介して一つの挿着部2011に接続され、第二のピン215は、第二の接続アーム217を介して別の挿着部2011に接続される。
【0151】
選択的に、第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、固定子鉄心100の外に位置する。
【0152】
選択的に、第一の接続アーム216、第二の接続アーム217、複数の挿着部2011、第一のピン214及び第二のピン215は、一体構造である。
【0153】
第一の接続アーム216の形状とサイズを制御することによって第一のピン214の位置を調節することができ、第二の接続アーム217の形状とサイズを制御することによって第二のピン215の位置を調節することができ、それによって第一のピン214と第二のピン215は、適切な位置に位置することができる。
【0154】
例示的に、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接接続される場合、溶接時の高温による第一の導電体の他の部品への影響を小さくするとともに、第一のピン214と第二のピン215に対する溶接操作を容易にすることができる。
【0155】
いくつかの実施例では、固定子巻線200は、軸方向Dに沿って積層配置される複数のコイルユニット200aを含む。隣接する二つのコイルユニット200aのうち、一つのコイルユニット200aの少なくとも一つの第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、別のコイルユニット200aから離れる側へ折り返される。
【0156】
第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217を折り返すことによって、二つのコイルユニット200aの接続構造2145のピッチを大きくし、接続構造2145における絶縁に対する要求を低減させ、プロセスの複雑性を低減させ、絶縁信頼性を向上させることができる。
【0157】
本出願の実施例は、コイルユニット200aの外壁の外側に位置する部分をより安定化して整列させることができる。
【0158】
いくつかの実施例では、隣接する二つのコイルユニット200aのうち、一つのコイルユニット200aの複数の第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、いずれも別のコイルユニット200aから離れる側へ折り返される。
【0159】
図11に示すように、いくつかの実施例では、隣接する二つのコイルユニット200aのうち、一つのコイルユニット200aの第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、軸方向Dに沿って一方側へ折り返され、別のコイルユニット200aの第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、軸方向Dに沿って他方側へ折り返される。
【0160】
本出願の実施例は、第一の接続アーム216と第二の接続アーム217の折り返し程度を小さくし、固定子鉄心の外径を大きくし、モータ性能を向上させ、より大きいトルクを出力することができる。
【0161】
図12に示すように、別のいくつかの実施例では、隣接する二つのコイルユニット200aの第一の導電体210の第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、軸方向Dに沿って同一の側へ折り返される。一つのコイルユニット200aの第一の接続アーム216と第二の接続アーム217の折り返し程度は、別のコイルユニット200aの第一の接続アーム216と第二の接続アーム217の折り返し程度よりも大きい。
【0162】
本出願の実施例は、第一の接続アーム216と第二の接続アーム217の折り返し程度を大きくし、固定子の径方向に沿う最大サイズを縮小し、モータ総重量を低減させることができる。
【0163】
いくつかの実施例では、軸方向Dに、隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145の最小ピッチFは、1mm以上である。本出願の実施例は、固定子の電気的隙間を大きくし、固定子の絶縁性能を改善し、固定子の信頼性を向上させ、固定子の耐用年数を延ばすことができる。
【0164】
第一の導電体210の隣接する挿着部2011間のスパンは、異なる巻線に適応するために、全距離、長距離又は短距離であってもよい。
【0165】
いくつかの実施例では、少なくとも一つの第一の導電体210の二つの隣接する挿着部2011間のスパンは、極距離に等しい。即ち少なくとも一つの第一の導電体210の二つの隣接する挿着部2011間のスパンは、全距離である。
【0166】
本出願の実施例は、第一の導電体の巻線構造を簡略化することができる。
【0167】
別のいくつかの実施例では、少なくとも一つの第一の導電体210の二つの隣接する挿着部2011間のスパンは、極距離よりも小さい。短距離巻線は、空間高調波を低減させ、NVHを改善することができる。
【0168】
図13は、本出願の別のいくつかの実施例によるモータの固定子の構造概略図であり、
図14は、
図13のコイルユニットの構造概略図であり、
図15は、本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体の構造概略図であり、
図16は、
図13の固定子の組み立てプロセスにおける一つの概略図であり、
図17は、
図13の固定子の組み立てプロセスにおける別の概略図である。
【0169】
いくつかの実施例では、
図13から
図17に示すように、コイルユニット200aの複数の第一の導電体210は、周方向に沿ってずれて分布する。各第一の導電体210は、互いに接続された第一の挿着部211と、第二の挿着部212とを含む。第一の挿着部211と第二の挿着部212は、それぞれ異なる巻線スロット120に挿着され、同一の巻線スロット120内に、一つの第一の導電体210の第一の挿着部211は、コイルユニット200aの別の第一の導電体210の第二の挿着部212と積層設置される。
【0170】
複数の第一の導電体210が周方向に沿ってずれて分布するとは、複数の第一の導電体210のうちのいずれかの両方が軸方向に沿って完全に重らず、且つ複数の第一の導電体210が、周方向に沿って少なくとも部分的にずれることを意味する。例示的に、
図16に示すように、隣接する第一の導電体210は、周方向に沿って一つの巻線スロット120をずらす。
【0171】
一つの第一の導電体210の第一の挿着部211がコイルユニット200aの別の第一の導電体210の第二の挿着部212と積層設置されるとは、一つの第一の導電体210の第一の挿着部とコイルユニット200aの別の第一の導電体210の第二の挿着部212が固定子鉄心100の軸方向に沿って積層設置されることを意味する。
【0172】
上記技術案では、第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212がそれぞれ異なる巻線スロット120に挿着され、それによって第一の導電体210と固定子鉄心100との相対位置の安定性を向上させることができる。一つの第一の導電体210の第一の挿着部211がコイルユニット200aの別の第一の導電体210の第二の挿着部212と積層設置され、それによってこの二つの第一の導電体210は、互いに積層嵌合され、コイルユニット200aにおける複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させることができる。そのため、本出願の実施例は、モータの構造を簡略化し、モータの組み立て効率を向上させることができるだけでなく、固定子内の各部品間の相対位置の安定性を向上させ、固定子の耐用年数を向上させることができる。
【0173】
いくつかの実施例では、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212は、周方向に沿って設置され、いずれか一つの巻線スロット120内に、コイルユニット200aの一つの第一の導電体210の第一の挿着部211は、コイルユニット200aの別の第一の導電体210の第二の挿着部212の、巻線スロット120の底壁に近い側に位置する。
【0174】
周方向は、時計回り方向又は反時計回り方向であってもよい。
【0175】
選択的に、
図16と
図17に示すように、第一の挿着部211に対応する巻線スロット120と第二の挿着部212に対応する巻線スロット120との間には、一つ又は複数の巻線スロット120がさらに設置されてもよい。上記技術案において、第一の導電体210が第一の挿着部211と第二の挿着部212を介して複数の巻線スロット120を跨る設けることで、第一の導電体210自体のサイズを大きくすることができる一方で、同一のコイルユニット200aの他の第一の導電体210の少なくとも一部がこれらの複数の巻線スロット120に挿着されることができ、それによって複数の第一の導電体210が互いに嵌合され、複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0176】
上記技術案では、いずれか一つの巻線スロット120内に、第一の導電体210の第一の挿着部211がいずれも巻線スロット120の底壁により近いことで、複数の第一の導電体210は、順に編成して重なって嵌合されて2層の巻線を有するコイルユニット200aを形成することができ、且つ第一の導電体210の第一の挿着部211は、そのうちの1層の巻線に位置し、第二の挿着部212は、別の層の巻線に位置し、複数の第一の導電体210は、互いに嵌合ストッパーされ、コイルユニット200aにおける複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0177】
本出願の実施例による固定子では、固定子巻線200のコイルユニット200aは、2層の巻線を含むと考えられてもよく、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212は、それぞれ異なる巻線層に位置する。例えば、コイルユニット200aは、高層巻線と、低層巻線とを含み、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211は、低層巻線に位置してもよく、第二の挿着部212は、高層巻線に位置し、それによって複数の第一の導電体210は、互いに嵌合される。低層巻線は、例えば巻線スロット120の底壁に近い巻線層であり、高層巻線は、例えば巻線スロット120の底壁から離れる巻線層である。他の実施例において、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211はさらに、高層巻線に位置してもよく、第二の挿着部212は、低層巻線に位置する。
【0178】
いくつかの実施例では、少なくとも一つの第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212との間のスパンは、極距離に等しく、第一の導電体210の巻線構造を簡略化することができる。例えば、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212との間のスパンが6つの巻線スロット120である場合、極距離は、6つの巻線スロット120である。
【0179】
いくつかの実施例では、各第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212との間のスパンは、いずれも極距離に等しい。
【0180】
図18は、本出願のいくつかの実施例による固定子の別の視点での構造概略図である。
図19は、本出願のいくつかの実施例による固定子のまた別の視点での構造概略図である。
図20は、
図19においてAにおける局所拡大構造概略図である。
【0181】
いくつかの実施例では、
図13から
図19に示すように、固定子巻線200は、固定子鉄心100の軸方向に沿って積層配置される複数のコイルユニット200aを含む。
【0182】
上記技術案では、複数のコイルユニット200aを設置することによって固定子の磁束量を向上させることができる。
【0183】
固定子巻線200が複数のコイルユニット200aを含む場合、同一のステップに複数のコイルユニット200aを固定子鉄心100の巻線スロット120に挿着してもよい。又は、複数回に分けて、毎回一つのコイルユニット200aを固定子鉄心100の巻線スロット120に挿着してもよい。一つのコイルユニット200aを固定子鉄心100の巻線スロット120に挿着する場合、まず、複数の第一の導電体210を一つのコイルユニット200aに接続し、コイルユニット200a全体を固定子鉄心100の複数の巻線スロット120に挿着してもよく、又は、複数回に分けて、毎回一つの第一の導電体210を巻線スロット120内に挿着してもよい。
【0184】
いくつかの実施例では、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212は、周方向に沿って設置される。第一の導電体210は、第一の挿着部211と第二の挿着部212とを接続する接続部213をさらに含む。
【0185】
選択的に、接続部213は、第一の挿着部211、第二の挿着部212と一体設置されてもよい。他の実施例では、接続部213は、第一の挿着部211、第二の挿着部212と別体に設置されてもよい。
【0186】
上記技術案では、カールクリップ端の接続部213を介して第一の挿着部211と第二の挿着部212とを接続することができる。
【0187】
いくつかの実施例では、接続部213は、第一の挿着部211と第二の挿着部212の固定子鉄心100の中心に向かう側に位置する。
【0188】
上記技術案では、接続部213を固定子鉄心100の内側に設置することで、複数の第一の導電体210の固定子鉄心100の内側における溶接を減らし、プロセス難易度を低減させることができる。
【0189】
いくつかの実施例では、接続部213は、第一の接続部分213aと、第二の接続部分213bとを含み、第一の接続部分213aは、第一の挿着部211の固定子鉄心100の中心に近い端から延在し、且つ第一の接続部分213aは、第二の挿着部212に向かって斜めに屈曲して設置され、第二の接続部分213bは、第二の挿着部212の固定子鉄心100の中心に近い端から延在し、且つ第二の接続部分213bは、第一の挿着部211に向かって斜めに屈曲して設置され、第一の接続部分213aは、第二の接続部分213bに接続される。
【0190】
上記技術案では、第一の接続部分213aと第二の接続部分213bは、互いに近い方向に沿って延在成形され、接続部213の総サイズを小さくし、接続部213が固定子鉄心100の中心内に占める空間サイズを小さくすることができる。
【0191】
選択的に、同一のコイルユニット200a内における隣接する二つの第一の導電体210のうち、そのうちの一つの第一の導電体210の第一の接続部分213aと別の第一の導電体210の第二の接続部分213bは、交差し、且つ軸方向に沿って積層設置される。それによって二つの第一の導電体210の第一の接続部分213aと第二の接続部分213bが互いにストッパーされ、複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させる。
【0192】
選択的に、同一のコイルユニット200a内における周方向に沿って隣接する三つの第一の導電体210のうち、そのうちの一つの第一の導電体210の第一の接続部分213aは、前の第一の導電体210の第二の接続部分213bの、巻線スロット120の底壁に近い側に位置し、且つそのうちの一つの第一の導電体210の第二の接続部分213bは、後の第一の導電体210の第一の接続部分213aの巻線スロット120の底壁から離れる側に位置する。
【0193】
上記方案では、そのうちの一つの第一の導電体210の第一の接続部分213aは、前の第一の導電体210の第二の接続部分213bの、巻線スロット120の底壁に近い側に位置し、巻線スロット120の底壁のみを参考として第一の接続部分213aと第二の接続部分213bの軸方向の位置関係を説明する。同様に、そのうちの一つの第一の導電体210の第二の接続部分213bが、後の第一の導電体210の第一の接続部分213aの巻線スロット120の底壁から離れる側に位置する場合、巻線スロット120の底壁のみを参考として第二の接続部分213bと第一の接続部分213aの位置関係を説明する。
【0194】
上記のように、周方向は、時計回り方向又は反時計回り方向であってもよい。周方向を時計回り方向とする場合、そのうちの一つの第一の導電体210の前に位置する第一の導電体210は、そのうちの一つの第一の導電体210の反時計回り方向側に位置する第一の導電体210であり、そのうちの一つの第一の導電体210の後に位置する第一の導電体210は、このそのうちの一つの第一の導電体210の時計回り方向側に位置する第一の導電体210である。
【0195】
本出願の実施例では、同一のコイルユニット200a内における周方向に沿って配列される三つの第一の導電体210のうち、三つの第一の導電体210は、例えば周方向に沿って順にそれぞれ導電体X1、導電体X2と導電体X3であり、導電体X2の第一の接続部分213aは、導電体X1の第二の接続部分213bの巻線スロット120の底壁に向かう側に位置し、導電体X2の第二の接続部分213bは、導電体X3の第一の接続部分213aの巻線スロット120の底壁から離れる側に位置し、即ち導電体X2の第二の接続部分213bは、巻線スロット120の底壁に向かって導電体X3の第一の接続部分213aを圧着するが、導電体X1の第一の接続部分213aは、巻線スロット120の底壁に向かって導電体X2の第二の接続部分213bを圧着し、即ち導電体X2の第一の接続部分213aは、圧着され、導電体X2の第二の接続部分213bがまた別の第一の接続部分213aを圧着することで、複数の第一の導電体210が順に互いに嵌合される。
【0196】
選択的に、導電体X1、導電体X2と導電体X3は、隣接して設置されてもよく、又は導電体X1と導電体X2との間に他の第一の導電体210がさらに設置され、導電体X2と導電体X3との間に他の第一の導電体210が設置されてもよい。
【0197】
いくつかの実施例では、複数の第一の導電体210は、交互に設置され、周方向に沿って、そのうちの一つの第一の導電体210の第一の接続部分213aは、前の複数の第一の導電体210の第二の接続部分213bの、巻線スロット120の底壁に近い側に位置し、そのうちの一つの第一の導電体210の第二の接続部分213bは、後の複数の第一の導電体210の第一の接続部分213aの巻線スロット120の底壁から離れる側に位置する。
【0198】
上記技術案では、第一の導電体210の第一の接続部分213aは、他の複数の第一の導電体210の第二の接続部分213bによって巻線スロット120の底壁に押し付けられるが、第一の導電体210の第二の接続部分213bは、巻線スロット120の底壁の方向に向かって複数の他の第一の導電体210の第一の接続部分213aを圧着し、複数の第一の導電体210が順にラミネート嵌合され、それによって複数の第一の導電体210間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0199】
図21は、本出願のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体210の一部の構造概略図であり、
図22は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体210の一部の構造概略図であり、
図23は、本出願のまた別のいくつかの実施例による固定子の第一の導電体210の一部の構造概略図であり、
図24は、本出願のさらなるいくつかの実施例による固定子の第一の導電体210の一部の構造概略図である。
【0200】
いくつかの実施例では、
図21から
図23に示すように、接続部213は、第一の接続部分213aと第二の接続部分213bにされる屈曲部213cをさらに含む。
【0201】
屈曲部213cの設置方式には、様々であり、ねじれ、折り曲げ、外反又は折り畳みなどの方式で接続部213の局所又は全体を折り返して、屈曲部213cを形成してもよい。
【0202】
上記技術案では、屈曲部213cを設置することによって、第一の挿着部211と第二の挿着部212の軸方向の距離を変え、さらに第一の挿着部211と第二の挿着部212を異なる巻線層に設置することを容易にし、さらに固定子鉄心100中心部の空間が窮屈になる問題を改善し、第一の挿着部211と第二の挿着部212が層を跨ぐ際に異なる第一の導電体210が干渉するリスク及び第一の導電体210の絶縁コーティングが破損するリスクを低減させることができる。
【0203】
いくつかの実施例では、
図24に示すように、第一の導電体210は、複数の屈曲部213cを含んでもよい。選択的に、第一の導電体210は、第一の接続部分213aと第二の接続部分213bを省略することができる。
【0204】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、一体成形構造であり、例えば第一の挿着部211、第二の挿着部212と接続部213は、一体成形構造である。
【0205】
選択的に、第一の挿着部211、第二の挿着部212と接続部213は、一体成形構造であり、U形構造を呈し、第一の挿着部211と第二の挿着部212は、U形構造の二つのアーム部であり、接続部213は、U形構造の底部である。
【0206】
上記技術案では、第一の導電体210が一体成形される場合、例えば第一の挿着部211、第二の挿着部212と接続部213が一体成形される場合、第一の導電体210は、比較的に高い接続強度を有し、第一の導電体210の耐用年数を向上させることができる。選択的に、一体成形される第一の挿着部211、第二の挿着部212と接続部213は、導体から変形して形成される。例えば、第一の導電体210が平角線である場合、第一の導電体210は、長方形導体によってワニス除去、打ち抜きが行われた後に、金型成形されてもよく、巻状長方形導体は、レベリングされた後に対応する長さの位置でレーザーによるワニス除去を行い、ワニス除去が完了した後に精確な打ち抜きを行い、打ち抜きの長方形導体は、金型3D成形、ワンタイム3Dプレス成形を経て第一の導電体210を形成した後に巻線スロット120内に組み立てられる。3D成形による第一の導電体210の打ち抜き、ワニス除去、3D成形プロセスが制御されやすいため、導体切断を行う必要がなく、プロセスの複雑性を低減させるとともに、生産ラインの運行効率を高めた。
【0207】
いくつかの実施例では、
図13から
図20に示すように、第一の導電体210は、第一のピン214と、第二のピン215とをさらに含み、第一のピン214は、第一の挿着部211の接続部213から離反する端に接続され、第二のピン215は、第二の挿着部212の接続部213から離反する端に接続され、コイルユニット200aは、直列接続される複数の第一の導電体210を含む複数の導電分岐201を含み、導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一のピン214は、別の第一の導電体210の第二のピン215に接続される。
【0208】
選択的に、第一のピン214と第二のピン215は、固定子鉄心100の径方向に、固定子鉄心100の中心から離れる方向に沿って延在成形される。
【0209】
上記技術案では、第一の導電体210に第一のピン214と第二のピン215がさらに引き出され、それによって第一の導電体210は、第一のピン214と第二のピン215を介して他の第一の導電体210と互いに接続することができる。コイルユニット200aにおける少なくとも二つの第一の導電体210は、第一のピン214と第二のピン215を介して互いに接続され、直列接続されて導電分岐201を形成する。
【0210】
いくつかの実施例では、
図3から
図8に示すように、導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一のピン214と別の第一の導電体210の第二のピン215は、軸方向に沿ってオーバーラップされて接続される。この第一のピン214と第二のピン215の接触面積を向上させ、第一のピン214と第二のピン215との相対位置の安定性を保証し、第一のピン214と第二のピン215の電流通過量を向上させることができる。
【0211】
選択的に、少なくとも二つの第一の導電体210のうち、そのうちの一方の第一のピン214と他方の第二のピン215は、固定子鉄心100の軸方向に沿って完全にオーバーラップされ、且つ互いに接続される。
【0212】
上記技術案では、二つの第一の導電体210は、第一のピン214と第二のピン215が完全に重なることによって、第一のピン214と第二のピン215の接触面積を向上させ、二つの第一の導電体210間に十分な電流通過面積があることを保証することができる。なお、第一の導電体210はさらに、第一のピン214と第二のピン215が互いに直列接続され、それによって完全な導電分岐201を形成することができる。
【0213】
選択的に、導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210において、第一のピン214と第二のピン215は、オーバーラップ領域で互いに溶接される。例示的に、第一のピン214と第二のピン215は、TIG(非溶融極ガスシールドアーク溶接)によって溶接され、レーザーによって溶接され、又は他の方式によって溶接される。
【0214】
いくつかの実施例では、
図3から
図8に示すように、第一のピン214と第二のピン215は、軸方向に沿ってオーバーラップされて接続される領域で接続構造2145を構成し、コイルユニット200aは、周方向に沿って間隔をあけて設置される複数の接続構造2145を含む。
【0215】
接続構造2145とは、互いに接続された第一のピン214と第二のピン215の重複領域をいう。選択的に、第一のピン214と第二のピン215は、接続構造2145の位置する領域で互いに溶接接続されてもよい。
【0216】
上記技術案では、複数の接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけ、隣接する接続構造2145間に隙間が存在し、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接され、接続構造2145を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を改善することができる。
【0217】
いくつかの実施例では、
図3から
図8に示すように、固定子巻線200は、軸方向に沿って積層配置される複数のコイルユニット200aを含み、隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145は、周方向にずれる。
【0218】
上記技術案では、隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけ、この二つのコイルユニット200aの接続構造2145間のピッチを大きくすることができる一方、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接され、接続構造2145を形成する場合、溶接距離を大きくし、溶接時の相互影響を改善することができる。そして、コイルユニット200aが巻線スロット120に挿入される場合、異なるコイルユニット200a間の接続構造2145間の距離が十分に遠いため、接続構造2145内の第一のピン214と第二のピン215に対してフレア変形処理し続ける必要がなく、プロセスの複雑性を低減させることができ、フレア変形処理を必要とせずに第一のピン214と第二のピン215の位置の安定性をさらに保証し、溶接割れリスクを低減させることができる一方、接続構造2145間の電気的隙間を大きくし、固定子の安全性能を向上させることができる。
【0219】
上記技術案は、固定子軸方向サイズをさらに短縮することができ、モータの軸方向サイズをより小さくし、重量をより軽くし、完成車では、ばね下の質量を減らすことができ、多リンク吊り下げ構造、ダミースプリングを配置することで、シャーシの操作性の向上により役に立ち、隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145を周方向にずらすことで、接続構造2145間の電気的隙間を大きし、接続構造2145における絶縁に対する要求を減らし、プロセスの複雑性を低減させ、原材料を節約し、生産ラインの運行タクトを高めることができる。
【0220】
選択的に、軸方向に沿って隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけて設置される。
【0221】
選択的に、同一のコイルユニット200aの軸方向の両側に位置するコイルユニット200aの接続構造2145が軸方向に沿って互いに積層設置され、それによって隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145の周方向におけるピッチをできるだけ大きくすることができる。
【0222】
例えば、コイルユニット200aの数は、四つであり、四つのコイルユニット200aは、巻線スロット120の底壁から離れる方向にそれぞれ第一のコイルユニット、第二のコイルユニット、第三のコイルユニットと第四のコイルユニットであり、第一のコイルユニットと第二のコイルユニット、第二のコイルユニットと第三のコイルユニット、第三のコイルユニットと第四のコイルユニットの接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけて設置される。そして、第一のコイルユニットと第三のコイルユニット、第二のコイルユニットと第四のコイルユニットの接続構造2145は、軸方向に沿って互いに積層設置される。
【0223】
選択的に、各コイルユニット200aの複数の接続構造2145は、周方向に沿って均一に分布して、隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145間のピッチを大きくする。
【0224】
いくつかの実施例では、第一の導電体210は、第一の接続アーム216と、第二の接続アーム217とをさらに含み、第一の挿着部211と第一のピン214は、第一の接続アーム216を介して繋がり、第二のピン215と第二の挿着部212は、第二の接続アーム217を介して繋がる。
【0225】
いくつかの実施例では、周方向に沿って隣接する二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第二の接続アーム217は、別の第一の導電体210の第二のピン215と固定子鉄心100との間を通過する。
【0226】
選択的に、第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212は、周方向に沿って間隔をあけて設置され、互いに接続され、略U形構造を呈し、第一の挿着部211は、U形構造のそのうちの一つのアーム部であり、第二の挿着部212は、U形構造の別のアーム部であり、第一の接続アーム216は、周方向に第二の挿着部212から離れる方向に沿って延在成形され、即ち第一の接続アーム216は、U形構造の内部から離れる方向に沿って延在成形される。同様に、第二の接続アーム217は、U形構造の内部から離れる方向に沿って延在成形される。
【0227】
選択的に、第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、固定子鉄心100の外に位置する。
【0228】
選択的に、第一の接続アーム216と第一の挿着部211は、一体成形されて、第一の接続アーム216と第一の挿着部211との間の接続強度を向上させる。選択的に、第二の接続アーム217と第二の挿着部212は、一体成形されて、第二の接続アーム217と第二の挿着部212との間の接続強度を向上させる。
【0229】
選択的に、第一の接続アーム216と第一のピン214は、一体成形されて、第一の接続アーム216と第一のピン214との間の接続強度を向上させる。選択的に、第二の接続アーム217と第二のピン215は、一体成形されて、第二の接続アーム217と第二のピン215との間の接続強度を向上させる。
【0230】
選択的に、第一のピン214は、第一の接続アーム216の第一の挿着部211から離反する端部から径方向に、固定子鉄心100の中心から離れる方向に沿って延在成形される。選択的に、第二のピン215は、第二の接続アーム217の第二の挿着部212から離反する端部から第二の方向に第二の挿着部212から離れる方向に沿って延在成形される。
【0231】
上記技術案では、一方で、第一の接続アーム216の形状とサイズを制御することによって第一のピン214の位置を調節することができ、第二の接続アーム217の形状とサイズを制御することによって第二のピン215の位置を調節することができ、それによって第一のピン214と第二のピン215は、適切な位置に位置することができる。一つの第一の導電体210の第二の接続アーム217は、別の第一の導電体210の第二のピン215と固定子鉄心100との間を通過し、即ち別の第一の導電体210の第二のピン215は、一つの第二の接続アーム217の固定子鉄心100中心から離れる側に位置し、即ち第二のピン215は、他の第一の導電体210の第二の接続アーム217の外に位置し、第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接接続される場合、溶接時の高温による第一の導電体210の他の部品への影響を小さくするとともに、第一のピン214と第二のピン215に対する溶接操作を容易にすることができる。
【0232】
図25は、本出願のいくつかの実施例による固定子のコイルユニット200aの局所構造概略図である。
【0233】
いくつかの実施例では、
図13から
図25に示すように、第二の接続アーム217の固定子鉄心100から離反する側には、別の第一の導電体210の第二のピン215を逃がすための逃がし凹部217aが設けられる。
【0234】
選択的に、第二のピン215は、対応して逃がし凹部217aの固定子鉄心100の中心から離反する側に位置する。選択的に、少なくとも一部の第二のピン215は、対応して逃がし凹部217aに位置する。
【0235】
逃がし凹部217aの形状設置方式は、様々であり、第二のピン215と第二の接続アーム217が滑らかに過渡的に接続される場合、逃がし凹部217aは、弧状を呈してもよく、逃がし凹部217aの加工成形を容易にする一方で、逃がし凹部217aの形状と第二のピン215、第二の接続アーム217の接続形状とよりよりフィットさせ、逃がし凹部217aは、第二のピン215に位置をより良く譲ることができる。
【0236】
上記技術案では、第二の接続アーム217に逃がし凹部217aを設置することによって、第二のピン215に位置を譲ることができ、第二のピン215と他の第一の導電体210の第二の接続アーム217との積層を回避し、コイルユニット200aの軸方向の厚さを小さくすることができる。逃がし凹部217aを設置することによって固定子巻線200の端部の高さを低減させ、固定子の外側エンベロープのサイズが比較的に小さく、モータのサイズがより小さく、モータの配置を容易にすることができる。なお、逃がし凹部217aを設置することによって、第二のピン215と第二の接続アーム217の位置干渉による相互作用力をさらに改善し、第二のピン215の位置の安定性に影響を与え、さらに溶接強度に影響を与えることができる。
【0237】
選択的に、周方向に沿って隣接する二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一の接続アーム216は、別の第一の導電体210の第一のピン214と固定子鉄心100との間を通過する。選択的に、第一の接続アーム216の固定子鉄心100から離反する側には、別の第一の導電体210の第一のピン214を逃がすための逃がし部が設けられる。
【0238】
いくつかの実施例では、第二の接続アーム217は、逃がし凹部217aに対応する位置で屈曲し、固定子鉄心100に向かって突出する凸部217bを形成する。
【0239】
上記実施例では、逃がし凹部217aに対応して凸部217bを設置することで、第二の接続アーム217は、屈曲プロセスにより逃がし凹部217aと凸部217bを形成し、第二の接続アーム217の成形プロセスを簡単にすることができる。
【0240】
いくつかの実施例では、
図15から
図20に示すように、第一のピン214と第二のピン215は、径方向に、固定子鉄心100の中心から離れる方向に沿って延在成形される。
【0241】
上記実施例では、第一のピン214と第二のピン215が径方向に、固定子鉄心100の中心から離れる方向に沿って延在成形される場合、第一のピン214と第二のピン215と第一の挿着部211などの部品のピッチを大きくすることができ、オーバーラップ設置される第一のピン214と第二のピン215が互いに溶接される場合、高温による他の部品への影響を低減させることができる。互いにオーバーラップされる第一のピン214と第二のピン215が周方向に互いに近い方向に沿って延在成形される場合、第一の導電体210の形状を簡略化することができ、第一の導電体210のサイズを小さくし、コイルユニット200aの固定子鉄心100の端部から離れる高さを低減させ、固定子の外側エンベロープのサイズを小さくし、第一の導電体210の重量を小さくし、固定子の配置を容易にすることができる。上記実施例は、溶接時に第一のピン214と第二のピン215の把持をさらに容易にし、大量生産に適用することができる。
【0242】
図26は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の二つの第一の導電体の構造概略図であり、
図27は、
図26の別の視点での構造概略図であり、
図28は、
図26に示す固定子の第一の導電体の一部の構造概略図であり、
図29は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の二つの第一の導電体の構造概略図であり、
図30は、
図29の別の視点での構造概略図であり、
図31は、
図29に示す固定子の第一の導電体の一部の構造概略図である。
【0243】
別のいくつかの実施例では、
図26から
図31に示すように、互いにオーバーラップされる第一のピン214と第二のピン215は、周方向に互いに近い方向に沿って延在成形される。
【0244】
本出願の実施例は、第一の導電体210の形状を簡略化することができ、第一の導電体210のサイズを小さくし、コイルユニット200aの固定子鉄心100の端部から離れる高さを低減し、固定子の外側エンベロープのサイズを小さくし、第一の導電体210の重量を小さくし、固定子の配置を容易にすることができる。
【0245】
いくつかの実施例では、互いにオーバーラップされる第一のピン214と第二のピン215が周方向に互いに近い方向に沿って延在成形される場合、この第一のピン214と第二のピン215が互いにラップされる場合、円周の重ね合わせ又は交差重ね合わせなどの構造形式を選択することができる。第一のピン214と第二のピン215は、直接に互いにラップされてもよく、又は選択的に、
図26から
図28に示すように、第一のピン214と第二のピン215には、溶接突起218が設置され、溶接突起218は、固定子鉄心100の中心から離反する方向に沿って突出成形され、溶接突起218の軸方向に沿う正投影形状は、半円形又は多角形などの形状を呈してもよい。この第一のピン214と第二のピン215との溶接突起218は、軸方向に沿って互いに積層設置される。固定子の製造階段で、第一のピン214と第二のピン215との溶接突起218が重なる位置に対してクランプしてから溶接接続することができ、溶接は、レーザー又はアーク溶接を採用してもよい。第一のピン214と第二のピン215を周方向に直接ラップすることで固定子の径方向空間を節約することができ、さらにコイルユニット200aの端部の高さを低く抑え、固定子の外側エンベロープのサイズと固定子の重量を小さくする。
【0246】
図32は、本出願のいくつかの実施例による固定子の第二の導電体220の構造概略図である。
【0247】
図32に示すように、コイルユニットは、巻線スロット120に挿着される一つの挿着部2011を含む第二の導電体220をさらに含む。第二の導電体220の構造を簡略化し、第二の導電体220の製造を容易にすることができる。
【0248】
選択的に、第二の導電体220は、一つの挿着部2011と、一つの接続部分221とを含み、挿着部2011と接続部分221は、一体成形構造であり、I形構造を呈し、挿着部2011と接続部分221は、I形構造の延在方向に沿って順に分布する。二つの第二の導電体220は、接続部分221によって互いに接続されて第一の導電体210に似ている形状を形成する。
【0249】
いくつかの実施例では、コイルユニットは、第一の導電体210のみを含んでもよい。
【0250】
図33は、本出願のいくつかの実施例による固定子の別の第一の導電体210の構造概略図であり、
図34は、
図33に示す第一の導電体210を含む固定子の構造概略図である。
【0251】
いくつかの実施例では、
図33と
図34に示すように、各第一の導電体210は、一つの挿着部2011を含み、又は、各第一の導電体210は、連続的に屈曲し、且つ少なくとも三つの挿着部2011を含み、第一の導電体210の少なくとも三つの挿着部2011は、それぞれ異なる巻線スロット120に挿設される。
【0252】
上記実施例では、同一の第一の導電体210の三つ以上の挿着部2011を異なる巻線スロット120に挿着することで、第一の導電体210と固定子鉄心100の接触面積を向上させ、第一の導電体210と固定子鉄心100との相対位置の安定性を向上させることができる。
【0253】
選択的に、第一の導電体210は、8つの挿着部2011を含んでもよい。
【0254】
本出願の実施例は、異なる形式の第一の導電体210、第二の導電体220の組み合わせを採用することができ、それによって予め成形される分布式コイルユニット200aタイプ数を減らし、プロセスの複雑性を低減させ、金型投入コストを最小限に抑えることができる。
【0255】
いくつかの実施例では、同一の第一の導電体210の第一の挿着部211と第二の挿着部212は、対称に設置される。
【0256】
選択的に、第一の導電体210が第一のピン214と第二のピン215とを含む場合、同一の第一の導電体210の第一のピン214、第一の挿着部211と第二のピン215、第二の挿着部212は、対称に設置される。
【0257】
選択的に、第一の導電体210が第一のピン214と、第一の接続アーム216と、第二のピン215と、第二の接続アーム217とを含む場合、同一の第一の導電体210の第一のピン214、第一の接続アーム216、第一の挿着部211と第二のピン215、第二の接続アーム217、第二の挿着部212は、対称に設置される。
【0258】
上記技術案では、対称に設置される第一の挿着部211と第二の挿着部212は、第一の導電体210の力受けのバランスをとることによって、挿着嵌合される複数の第一の導電体210間の位置をより安定化することができる。
【0259】
図35は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の概略図であり、
図36は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の概略図であり、
図37は、
図36に示す固定子の側面図である。
【0260】
いくつかの実施例では、
図35から37を参照すると、固定子鉄心100の自体の軸方向に沿う二つの端面110には、いずれも巻線スロット120が設置される。
【0261】
上記実施例では、固定子鉄心100軸方向の両側にいずれも巻線スロット120を設置することで、固定子巻線200は、固定子鉄心100の異なる側に埋設されることができ、同一の固定子鉄心100は、より多くのコイルユニット200aを収容することができる。
【0262】
図38は、本出願のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の局所断面図である。
【0263】
いくつかの実施例では、
図38に示すように、巻線スロット120は、底壁面121と、底壁面121に接続される二つの側壁面122と、それぞれ二つの側壁面122に接続される二つの斜面123とを含み、二つの側壁面122は、周方向に沿って間隔をあけて設置され、二つの斜面123の対応する側壁面122から離れる端部間に溝口124が形成される。
【0264】
上記実施例では、側壁面122に斜面123を接続することによって、溝口124のサイズを大きくし、コイルユニット200aを巻線スロット120内に埋設することを容易にすることができる。
【0265】
いくつかの実施例では、溝口124の周方向に沿うサイズは、H1であり、二つの側壁面122の周方向におけるピッチは、H2であり、H1≧1.5H2である。
【0266】
上記技術案では、溝口124の周方向の延在サイズが比較的に大きく、且つ二つの側壁面122の周方向におけるピッチの1.5倍よりも大きく、コイルユニット200aが巻線スロット120内に挿着されることを容易にし、コイルユニット200aを巻線スロット120に組み込む効率を向上させることができる。
【0267】
図39は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の固定子鉄心の局所断面図である。
【0268】
図39に示すように、いくつかの実施例では、巻線スロット120の溝面は、底壁面121と、底壁面121に接続される二つの側壁面122とを含み、二つの側壁面122は、周方向に沿って間隔をあけて設置され、挿着部2011は、二つの側壁面122間に設置される。巻線スロット120の軸方向Dに沿う端には、溝口124が設けられ、溝口124と底壁面121は、軸方向Dに沿って対向している。溝口124の周方向に沿うサイズは、H1であり、二つの側壁面122の周方向におけるピッチは、H2であり、H1≦H2である。
【0269】
本出願の実施例では、溝口124を巻線スロット120の溝幅以下にすることができ、それによって予め成形される分布式巻線組み立て予約空間と導体隙間を大幅に減らすことができ、銅充填ファクタを75%以上に達成するとともに、軸方向への線入りを採用することで、配線プロセスを便利にし、より効率的にすることができる。
【0270】
選択的に、H1は、H2よりも小さい。
【0271】
いくつかの実施例では、
図11と
図39を参照すると、巻線スロット120は、側壁面122に凹みを形成する取り付け溝125を含む。固定子は、取り付け溝125に挿入され、軸方向Dに挿着部2011の移動を制限するためのストッパー部材300をさらに含む。
【0272】
取り付け溝125とストッパー部材300を設置することによって、挿着部2011の巻線スロット120から離脱するリスクを低減させることができる。
【0273】
いくつかの実施例では、ストッパー部材300は、絶縁部材であってもよい。ストッパー部材300は、固定子巻線200の溝口位置における絶縁性能を補強することができる。ストッパー部材300は、固定子において絶縁補強と空間ストッパーの二重機能を同時に果たす。
【0274】
別のいくつかの実施例では、ストッパー部材300は、磁気式部材であってもよい。モータは、磁気式のストッパー部材300を採用した後に、励磁電流を適度に小さくし、パワー因数を改善し、モータ効率を向上させることができ、鉄心損失を低減させることによって、モータの昇温を低減させ、電磁騒音と振動を減らし、磁気式ストッパー部材300が導磁体であるため、モータの磁気漏れを補強し、起動トルクを低下させることができる。
【0275】
選択的に、ストッパー部材300は、外壁から取り付け溝125に挿入され、内壁に向かって取り付け溝125に押し込んで、巻線スロット120の溝口124を密閉することができる。
【0276】
選択的に、本出願の実施例では、コイルユニット200aが複数である場合、コイルユニット200aは、順に巻線スロット120の溝口124によってラミネートされて巻線スロット120内に入ることができる。又は、複数のコイルユニット200a全体を巻線スロット120の溝口124全体から巻線スロット120内に圧入することができる。本出願の実施例による固定子において、コイルユニット200aの構造が簡単であり、配線方式が便利且つ簡単であり、自動化生産の実現を容易にする。
【0277】
選択的に、固定子鉄心100内の巻線スロット120の数と第一の導電体210の数は、実際の必要に応じて調整されてもよい。本出願の実施例において、巻線スロット120の数が48個として例示的に説明し、48個の巻線スロット120は、周方向に沿って均等に固定子鉄心100に分布する。コイルユニット200aの配線プロセスにおいて、即ちコイルユニット200aを巻線スロット120のプロセスに設置し、毎回、1本の第一の導電体210を巻線スロット120内に42本まで積層し、43本目から48本までの全体は、ロボットハンドでクランプされる方式で、巻線スロット120内に位置する第一の導電体210に貼り合わせるまで、巻線スロット120の溝口124から挿入する。一つのコイルユニット200aが配線を完了した後に、二番目、三番目のコイルユニット200aを順に配線する。
【0278】
選択的に、固定子鉄心100が巻回成形される固定子鉄心100を選択することができ、従来プロセスにおける端材と中間円筒料が無駄になるという問題を改善し、スクラップに巻線スロット120に対応する部分のみあり、即ち、巻線スロット120を形成するために除去される一部の材料であり、材料利用率を向上させた。そして、固定子鉄心100成形プロセスが簡単であり、自動化の実現が容易になる。
【0279】
選択的に、固定子鉄心100が高導磁率、低損失のシート状モールドプラスチックなどの複合材料でダイカスト成形され、それによって固定子鉄心100の成形が容易になり、且つ熱処理プロセスが簡単になる。
【0280】
選択的に、固定子鉄心100がさらに分割鉄心を採用して組み合わせられ、それによって固定子鉄心100のサイズと精度が比較的に高く、品質が安定し、生産効率が高いとともに、材料利用率が高く、材料コストを低減させた。
【0281】
選択的に、固定子鉄心100は、片側スロット又は両側スロットを選択してもよく、即ち固定子鉄心100の軸方向の片側又は両側に巻線スロット120を設置する。そうするとコイルユニット200aは、片側又は両側配線を実現することができる。固定子鉄心100の片側スロットの配線方式は、固定子鉄心100には、固定子の取り付け固定を容易にするヨーク部があり、固定子鉄心100両側スロットの配線方式は、材料利用率、モータ効率及びパワー密度を向上させ、重量と体積などを低減させた技術優位性がある。
【0282】
本出願の実施例の固定子は、異なる相数のモータに適用し、異なる電圧とパワー範囲にフィットすることができる。
【0283】
いくつかの実施例では、固定子巻線200は、それぞれ第一の相巻線、第二の相巻線と第三の相巻線である三つの相巻線を含む。選択的に、第一の相巻線は、U相巻線であり、第二の相巻線は、V相巻線であり、第三の相巻線は、W相巻線である。
【0284】
各相巻線は、一つの分岐のみを含んでもよく、複数の分岐を含んでもよい。相巻線の分岐は、並列接続分岐と呼ばれてもよい。
【0285】
相巻線の分岐の数は、任意の整数であってもよく、巻線設計の使用範囲を拡張し、異なる電圧とパワー範囲にフィットする。
【0286】
いくつかの実施例では、固定子巻線200は、全距離巻線、短距離巻線又は多層巻線に接続されてもよい。
【0287】
選択的に、固定子巻線200が三相固定子巻線である場合、各巻線スロット120内の三相分布形式は、様々であり、例えば、12極36スロットの構造形式であってもよく、毎極毎相のスロット数Qは、1である。12極を例にして、巻線スロット120のスロット数は、36スロット、72スロットなどであってもよい。Qを調整することによって5次、7次、11次、13次などの異なる次数の高調波を除去ひいては低減させ、トルク脈動を低減させ、NVHを改善することができる。
【0288】
本出願の実施例は、回転子と、前記いずれか一つの実施例による固定子とを含むモータをさらに提供し、回転子は、固定子鉄心100の内壁に囲まれて形成される空間に設けられる。
【0289】
本出願の実施例のモータは、発電機であってもよく、電動機であってもよい。
【0290】
本出願の実施例は、減速機と上記のモータとを含むパワートレインをさらに提供する。モータと減速機とは、伝動接続される。具体的には、モータの駆動軸と減速機の入力軸は、カップリングなどの伝動部材を介して伝動接続を実現して、駆動力を平角線モータから減速機に出力することができる。
【0291】
本出願の実施例は、上記のパワートレインを含む車両をさらに提供し、上記のパワートレインは、車両内に設置され、車両に運行動力を提供する。具体的には、本実施例において、車両は、具体的には、電気エネルギーで駆動する新エネルギー車両であってもよく、例えば、ここで、新エネルギー車両は、具体的には、ハイブリッド電動車両、純電動車両又は燃料電池電動車両などであってもよく、スーパーキャパシタ、フライホイール電池又はフライホイールエネルギー貯蔵器などの高効率エネルギー貯蔵器を電気エネルギー源として採用する車両であってもよい。
【0292】
図40は、本出願のいくつかの実施例による固定子の製造方法フローチャートである。
【0293】
図40を参照すると、本出願の実施例は、固定子の製造方法をさらに提供し、この製造方法は、以下のステップを含む。
【0294】
ステップS01:固定子鉄心100を提供し、固定子鉄心100の自体の軸方向Dに沿う端面110には、固定子鉄心100の内壁111と外壁112を貫通する複数の巻線スロット120が設けられ、複数の巻線スロット120は、固定子鉄心100の周方向に沿って間隔をあけて設置される。
【0295】
ステップS02:複数の第一の導電体210によって予め組み立てられるコイルユニット200aを軸方向Dに沿って複数の巻線スロット120に圧入することで、各第一の導電体210の挿着部2011を巻線スロット120内に挿着する。
【0296】
本実施例では、まず、巻線スロットを有する固定子鉄心を提供し、それから、複数の第一の導電体をコイルユニットに組み立ててから、予め組み立てられるコイルユニット全体を巻線スロット内に組み込み、複数の第一の導電体を一つずつ巻線スロット内に挿着するよりも、固定子の組み立て効率を効果的に向上させることができる。
【0297】
いくつかの実施例では、ステップS02の前に、
導線と、導線の外側に被覆される絶縁層とを含む直線状の導電体を提供するステップと、
導電体の両端の絶縁層を除去するステップと、
導電体を屈曲させて、間隔をあけて設置される複数の挿着部を含む第一の導電体を形成するステップとを含む。
【0298】
上記技術案では、第一の導電体は、直線状の導電体から両端の絶縁層が除去された後に直接に屈曲して形成され、後期に導体切断などのプロセスを行う必要がなく、導電体の製造プロセスの複雑性を低減させ、固定子の製造効率を向上させることができる。
【0299】
いくつかの実施例では、固定子の極数は、2pであり、固定子の極距離は、n個の巻線スロットであり、
ステップS02の前に、2p×n個の第一の導電体を提供するステップをさらに含み、各第一の導電は、第一の挿着部と、第二の挿着部とを含み、第一の挿着部と第二の挿着部とのスパンは、n個の巻線スロットである。
【0300】
複数の第一の導電体をコイルユニットに予め組み立てるステップは、
2p×n個のスロットを含む組み立て機構を提供するステップであって、2p×n個のスロットが組み立て機構の周方向に沿って均等に配置されるステップと、
(2p-1)×n個の第一の導電体を、反時計回り方向に沿って、開けられる2p×n個のスロットに順に積層するステップと、
残りのn個の第一の導電体を組み立て機構のスロットに挿入して、コイルユニットを形成するステップであって、いずれか一つのスロット内に、コイルユニットの一つの第一の導電体の第一の挿着部は、コイルユニットの別の第一の導電体の第二の挿着部の、スロットの底壁に近い側に位置するステップとを含む。
【0301】
いくつかの実施例では、以下のステップをさらに含む。
【0302】
予め組み立てられるコイルユニットを組み立て機構から取り外す。コイルユニットを装置構造から取り外した後に、ステップS02に進むことができる。上記技術案では、第一の挿着部と第二の挿着部とのスパンが極距離に等しいため、第一の導電体の巻線構造を簡略化することができる。いずれか一つの巻線スロット内に、第一の導電体の第一の挿着部がいずれも巻線スロットの底壁により近いことで、複数の第一の導電体は、順に編成して重なって嵌合されて2層の巻線を有するコイルユニットを形成することができ、且つ第一の導電体の第一の挿着部は、そのうちの1層の巻線に位置し、第二の挿着部は、別の層の巻線に位置し、複数の第一の導電体は、互いに嵌合ストッパーされ、コイルユニット内の複数の第一の導電体間の相対位置の安定性を向上させることができる。
【0303】
図41から
図46は、本出願の別のいくつかの実施例による固定子の製造中の異なる概略図である。
【0304】
図41から
図46を参照すると、本出願の実施例の製造方法は、ステップS02の前に、以下のステップをさらに含む。
【0305】
ステップS03、
図41に示すように、m×j個の第一の導電体210を提供し、各第一の導電体210は、連続的に屈曲し、且つ2×k個の挿着部2011を含み、m、j及びkは、いずれも正の整数である。
【0306】
ステップS04、
図42と
図43に示すように、m個の第一の導電体210を編成し、サブコイルユニット200bを作成し、j個のサブコイルユニット200bを製造し、
ステップS05、
図44から
図46に示すように、j個のサブコイルユニット200bを組み立て、コイルユニット200aを形成する。
【0307】
ステップS03では、各第一の導電体210は、2、4、6、8又は16個の挿着部2011を含んでもよい。例示的に、第一の導電体210は、4つの挿着部2011を含む。
【0308】
例示的に、ステップS04において、
図42に示すように、第一の導電体210を順に編成し、m個の第一の導電体210を編成した後に
図43に示すサブコイルユニット200bを作成する。
【0309】
例示的に、差し込み、反転などの操作により、j個のサブコイルユニット200bを統合してコイルユニット200aを形成することができる。
【0310】
複数の第一の導電体210を段階的に編成することで、編成難易度を低減させ、組み立て効率を向上させることができる。
【0311】
いくつかの実施例では、jは、2である。ステップS04において、まず二つの「三日月状」のサブコイルユニット200bを編成することができる。
【0312】
本出願のいくつかの実施例によれば、
図1から
図12を参照すると、固定子は、固定子鉄心100と、固定子巻線200とを含む。固定子鉄心100の自体の軸方向Dに沿う端面110には、固定子鉄心100の内壁111と外壁112を貫通する複数の巻線スロット120が設けられ、複数の巻線スロット120は、固定子鉄心100の周方向に沿って間隔をあけて設置される。巻線スロット120の延在方向は、固定子鉄心100の径方向に対して傾斜している。
【0313】
固定子巻線200は、軸方向Dに沿って積層配置される複数のコイルユニット200aを含む。各コイルユニット200aは、組み付けられる複数の第一の導電体210を含む。
【0314】
第一の導電体210は、連続的に屈曲し、且つ四つの挿着部2011と、三つの接続部213と、第一のピン214と、第二のピン215と、第一の接続アーム216と、第二の接続アーム217とを含む。
【0315】
四つの挿着部2011は、それぞれ異なる巻線スロット120に挿着され、周方向に沿って配置される。隣接する二つの挿着部2011は、一つの接続部213を介して接続される。内壁111内側に位置する接続部213が折り返し設置され、それによって接続部213に繋がる二つの挿着部2011は、異なる層にある。
【0316】
二つの接続部213は、内壁111の内側に位置する。コイルユニット200aの内壁111内側に位置するすべての接続部213は、周方向に沿って並んで配置される。
【0317】
第一のピン214と第二のピン215は、第一の導電体210の両端に位置する。第一のピン214は、第一の接続アーム216を介して一つの挿着部2011に接続され、第二のピン215は、第二の接続アーム217を介して別の挿着部2011に接続される。
【0318】
第一のピン214、第二のピン215、第一の接続アーム216と第二の接続アーム217は、いずれも外壁112の外側に位置する。
【0319】
コイルユニット200aは、直列接続される複数の第一の導電体210を含む複数の導電分岐201を含む。導電分岐201の隣接するいずれか二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一のピン214は、別の第一の導電体210の第二のピン215に溶接され、接続構造2145を形成する。
【0320】
コイルユニット200aのすべての接続構造2145は、周方向に沿って間隔をあけて設置される。隣接する二つのコイルユニット200aの接続構造2145は、周方向にずれる。
【0321】
説明すべきこととして、衝突しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わせられる可能である。
【0322】
最後に説明すべきこととして、以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前記実施例を参照しながら、本出願について詳細に説明したが、当業者は、依然として前述各実施例に記載された技術案を修正し、又はそのうちの一部の技術的特徴を均等に置き換えることができるが、これらの修正又は置き換えが、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の精神と範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0323】
100、固定子鉄心、110、端面、111、内壁、112、外壁、120、巻線スロット、121、底壁面、122、側壁面、123、斜面、124、溝口、125、取り付け溝、
200、固定子巻線、200a、コイルユニット、201、導電分岐、2011、挿着部、200b、サブコイルユニット、
210、第一の導電体、211、第一の挿着部、212、第二の挿着部、213、接続部、213a、第一の接続部分、213b、第二の接続部分、213c、屈曲部、214、第一のピン、215、第二のピン、2145、接続構造、216、第一の接続アーム、217、第二の接続アーム、217a、逃がし凹部、217b、凸部、218、溶接突起、2101、導線、2102、絶縁層、2103、第一の開口、2104、第一のエッジ、2105、第二のエッジ、
220、第二の導電体、221、接続部分、
300、ストッパー部材、
D、軸方向、L、延在方向。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記第一の導電体は、少なくとも一つの接続部をさらに含み、隣接する前記挿着部は、前記接続部を介して繋がり、
少なくとも一つの前記接続部は、前記内壁の内側に位置する、ことを特徴とする請求項2に記載の固定子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0237
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0237】
選択的に、周方向に沿って隣接する二つの第一の導電体210のうち、一つの第一の導電体210の第一の接続アーム216は、別の第一の導電体210の第一のピン214と固定子鉄心100との間を通過する。選択的に、第一の接続アーム216の固定子鉄心100から離反する側には、別の第一の導電体210の第一のピン214を逃がすための逃がし凹部が設けられる。