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特開2025-23641情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023641
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20250207BHJP
【FI】
G06Q40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127964
(22)【出願日】2023-08-04
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】523298937
【氏名又は名称】株式会社LIFE FAB
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰
(72)【発明者】
【氏名】檜垣 宣貴
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB57
5L055BB57
(57)【要約】      (修正有)
【課題】退職設定年齢をいつにすれば設定年齢(例えば死亡予定年齢)まで資産が尽きないかどうか把握することを容易化する情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】コンピュータシステムにおいて、プロセッサは、退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する探索部と、前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する出力部と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する探索部と、
前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する出力部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
対象従業員の各年齢における収入に関する情報、各年齢における支出に関する情報を用いて、退職設定年齢を設定した場合において当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否か判定する判定部を更に備え、
前記判定した結果、前記設定年齢までの間で資産が尽きる場合、前記探索部は前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索し、前記出力部は更に判定部による判定結果及び探索部による探索結果を出力し、一方、前記判定した結果、前記設定年齢までの間で資産が尽きない場合、前記探索部は探索せず、前記出力部は判定部による判定結果を出力する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記所属企業の年齢別昇給率を用いて、前記対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定し、当該年齢別労働収入を用いて、前記退職設定年齢に該当する公的年金、退職金、将来の年齢別税金を推定する推定部を更に備え、
前記探索部は、前記退職設定年齢を1歳以上延伸したとき、推定した将来の年齢別労働収入、退職設定年齢によって決定される公的年金、退職金、退職設定年齢によって決定される年齢別税金、前記対象従業員の支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記所属企業から提供された各従業員の労働収入を用いて、労働収入の年齢別昇給率を演算する演算部を更に備え、
前記推定部は、前記演算部によって演算された労働収入の年齢別昇給率を用いて、前記対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定し、当該将来の年齢別労働収入を用いて、退職設定年齢における公的年金を推定する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記所属企業から提供された各従業員の退職金算定情報を用いて、退職金算定用の年齢別昇給率を演算する演算部を更に備え、
前記推定部は、前記演算部によって演算された退職金算定用の年齢別昇給率を用いて将来の退職金算定用の労働収入を推定し、当該将来の退職金算定用の労働収入を用いて、退職設定年齢における退職金を推定する
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記探索部は、前記退職設定年齢を変更した場合に変更後に退職設定年齢により決定される当該公的年金、当該退職金、推定した当該将来の年齢別労働収入といった収入と退職設定年齢により決定される当該将来の年齢別税金、前記対象従業員の支出を用いて、当該退職設定年齢を変更した場合に前記設定年齢まで資産が尽きないか否か判定することを、変更する年数を変えて複数実行することにより、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索し、
前記出力部は、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する手順と、
前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する手順と、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する手順と、
前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで従業員の将来の退職予定時における資産総額を推定することが行われている。例えば、特許文献1では、年金情報を記憶する年金記憶部と、前記年金記憶部から前記年金情報を読み出して、前記年金情報に基づいて一時金の額を算定する一時金算定部と、退職金情報を得る退職金取得部と、前記退職金取得部から前記退職金情報を得て、前記退職金情報に基づいて退職金給付額を算定する給付額算定部と、前記一時金の額と前記退職金給付額とに基づいて受給総額を算定する総額算定部と、従業員の退職予定時における前記受給総額及び従業員の現時点における総資産額に基づいて退職時資産総額を算定する資産算定部とを備える資産形成システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-188069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、従業員によっては定年まで働かないケースも増えてきている。しかしながら、対象従業員が自身の退職設定年齢を自ら設定する場合において、退職設定年齢をいつにすれば設定年齢(例えば、100歳などの死亡予定年齢)まで資産が尽きないかどうか把握することが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、退職設定年齢をいつにすれば設定年齢(例えば死亡予定年齢)まで資産が尽きないかどうか把握することを容易化する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理システムは、退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する探索部と、前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係る情報処理システムは、第1の態様に係る情報処理システムであって、対象従業員の各年齢における収入に関する情報、各年齢における支出に関する情報を用いて、退職設定年齢を設定した場合において当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否か判定する判定部を更に備え、前記判定した結果、前記設定年齢までの間で資産が尽きる場合、前記探索部は前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索し、前記出力部は更に判定部による判定結果及び探索部による探索結果を出力する。一方、前記判定した結果、前記設定年齢までの間で資産が尽きない場合、前記探索部は探索せず、前記出力部は判定部による判定結果を出力する。
【0008】
本発明の第3の態様に係る情報処理システムは、第1または2の態様に係る情報処理システムであって、前記所属企業の年齢別昇給率を用いて、前記対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定し、当該年齢別労働収入を用いて、前記退職設定年齢に該当する公的年金、退職金、将来の年齢別税金を推定する推定部を更に備え、前記探索部は、前記退職設定年齢を1歳以上延伸したとき、推定した将来の年齢別労働収入、退職設定年齢によって決定される公的年金、退職金(オプションとして更にマッチング拠出額、iDeCo拠出額)、退職設定年齢によって決定される年齢別税金、前記対象従業員の支出(例えば生活費、オプションとして更にマッチング拠出額、iDeCo拠出額)を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する。
【0009】
本発明の第4の態様に係る情報処理システムは、第3の態様に係る情報処理システムであって、前記所属企業から提供された各従業員の労働収入を用いて、労働収入の年齢別昇給率を演算する演算部を更に備え、前記推定部は、前記演算部によって演算された労働収入の年齢別昇給率を用いて、前記対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定し、当該将来の年齢別労働収入を用いて、退職設定年齢における公的年金を推定する。
【0010】
本発明の第5の態様に係る情報処理システムは、第3のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、前記所属企業から提供された各従業員の退職金算定情報を用いて、退職金算定用の年齢別昇給率を演算する演算部を更に備え、前記推定部は、前記演算部によって演算された退職金算定用の年齢別昇給率を用いて将来の退職金算定用の労働収入を推定し、当該将来の退職金算定用の労働収入を用いて、退職設定年齢における退職金を推定する。
【0011】
本発明の第6の態様に係る情報処理システムは、第1から5のいずれかの態様に係る情報処理システムであって、前記探索部は、前記退職設定年齢を変更した場合に退職設定年齢により決定される当該公的年金、当該退職金、推定した将来の年齢別労働収入といった収入と退職設定年齢により決定される当該将来の年齢別税金、前記対象従業員の支出(例えば生活費、オプションとして更にマッチング拠出額、iDeCo拠出額等を含む)を用いて、当該退職設定年齢を変更した場合に前記設定年齢まで資産が尽きないか否か判定することを、変更する退職設定年齢を変えて複数実行することにより、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索し、前記出力部は、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する。
【0012】
本発明の第7の態様に係る情報処理方法は、退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する手順と、前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する手順と、を有する。
【0013】
本発明の第8の態様に係るプログラムは、コンピュータに、退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する手順と、前記探索により得られた設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力する手順と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、退職設定年齢をいつにすれば設定年齢(例えば死亡予定年齢)まで資産が尽きないかどうか把握することを容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2】本実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成図である。
図3】企業情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図4】一時金情報、確定給付企業年金(DB)情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図5】確定拠出年金(DC)情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図6】企業端末に表示される退職金情報ファイルアップロード画面の一例である。
図7】企業端末に表示される従業員情報ファイルアップロード画面の一例である。
図8】情報登録後に企業端末に表示される画面の一例である。
図9】画面遷移と計算処理の例を示す模式図である。
図10】従業員端末において従業員が退職設定年齢及び現在のお金情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図11】日本年金機構から発送される年金定期便の情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図12】DC加入者の情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図13】iDeCo情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図14】情報登録後に従業員端末に表示される画面の一例である。
図15】画面遷移と計算処理の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0017】
上記の課題に加えて、退職設定年齢を設定した場合において当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否か把握することが難しいという問題がある。更に、資産が尽きないか否かを信憑性が高い結果として把握することが難しい問題がある。信憑性が高い結果とは、所属企業の昇給の実態を表した収入と支出を用いて計算していることである。計算に必要な情報と計算方法が企業毎、企業に所属する従業員一人ひとりによって異なるため、難しさの背景には計算の複雑さがある。本実施形態では、その問題も解決し、退職設定年齢を設定した場合において当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないかどうかを信憑性の高い結果として把握することを可能とし容易化する。本実施形態では説明を簡単にするために一例として、一つの企業を対象にしてその企業に所属する複数の従業員に対してサービスを提供する態様について説明する。しかし、これに限ったものではなく、複数の企業を対象にしてその各企業に所属する複数の従業員に対してサービスを提供するようにしてもよく、その場合には企業毎にデータ(例えば労働収入の年齢別昇給率、退職金の算定方法に紐づく企業の情報や所属企業の従業員の情報など)が記憶されてもよい。
【0018】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。図1に示すように、情報処理システムSは、従業員が使用する従業員端末1-1、…、1-N(Nは自然数)とコンピュータシステム2と、企業の管理者(例えば人事部の担当者)が使用する企業端末3を備える。従業員端末1-1、…、1-N、企業端末3の各々は、コンピュータシステム2と通信回路網CNを介して通信可能に接続されている。従業員端末1-1、…、1-N、企業端末3は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン、またはパソコンなどのコンピュータ等であり、少なくとも一つのプロセッサと少なくとも一つのメモリと少なくとも一つの記憶装置(例えばハードディスク)を備える。以下、従業員端末1-1、…、1-Nを総称して従業員端末1ともいう。
【0019】
図2は、本実施形態に係るコンピュータシステムの概略構成図である。図2に示すように、コンピュータシステム2は一例として、入力インタフェース21と、通信モジュール12と、記憶装置23と、メモリ24と、出力インタフェース25と、プロセッサ26とを備える。なお、ここでは一態様としてコンピュータシステム2は一つのプロセッサ26を備えるとして説明するが、複数あってもよく、すなわち一以上のプロセッサを備えればよい。またここでは一態様としてコンピュータシステム2は一つの記憶装置23を備えるとして説明するが、複数あってもよく、すなわち一以上の記憶装置を備えればよい。
【0020】
入力インタフェース21は、コンピュータシステム2の管理者(例えば、管理団体の従業員)からの入力を受け付け、受け付けた入力に応じた入力信号をプロセッサ26へ出力する。通信モジュール22は、通信回路網CNに接続されており、従業員端末1-1、…、1-N、企業端末3の各々と通信する。この通信は有線であっても無線であってもよい。
【0021】
記憶装置23は例えばストレージであり、プロセッサ26が読み出して実行するためのプログラム及び各種のデータが格納されている。メモリ24は、データ及びプログラムを一時的に保持する。メモリ24は、揮発性メモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0022】
出力インタフェース25は、外部の装置と接続可能であり、当該外部の装置へ信号を出力可能である。プロセッサ26は、記憶装置23からプログラムをメモリ24にロードし、当該プログラムに含まれる一連の命令を実行することによって、判定部262、演算部263、推定部264、探索部266、出力部267として機能する。
【0023】
<企業端末における画面遷移と計算処理>
続いて図3図5に示す企業端末に表示される登録フォームの画面例と図6,7に示す企業端末に表示されるファイルアップロード画面例、そして図8に示す情報登録後に企業端末に表示される画面の一例を参照しつつ、企業端末における画面遷移と計算処理について図9を用いて説明する。
図3は、企業情報を登録するための登録フォームの画面例である。図4は、一時金情報、確定給付企業年金(以下DBともいう)情報を登録するための登録フォームの画面例である。図5は、確定拠出年金(以下DCともいう)情報を登録するための登録フォームの画面例である。図6は、退職金情報のファイルアップロードをするための登録フォームの画面例である。図7は、従業員情報のファイルアップロードをするための登録フォームの画面例である。
【0024】
図3の登録フォームの画面G1には、賞与について賞与頻度を入力するためのテキストボックスB13、賞与月数を入力するためのテキストボックスB14が設けられている。また登録フォームの画面G1には、退職金制度について一時金制度の導入有無を選択するためのラジオボタンB17設けられている。また登録フォームの画面G1には、DB制度の導入有無を選択するためのラジオボタンB19が設けられている。また登録フォームの画面G1には、一時金制度とDB制度の規定内容が同じか否か選択するためのラジオボタンB21が設けられている。このラジオボタンB21を含む領域R13は、企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって一時金制度のラジオボタンB17で「あり」が選択され且つラジオボタンB19で「あり」が選択された場合に表示される。
【0025】
また登録フォームの画面G1には、DC制度の導入有無を選択するためのラジオボタンB22、マッチング拠出の有無を選択するためのラジオボタンB23が設けられている。このラジオボタンB23を含む領域R14は、ラジオボタンB22でマッチング拠出の有無で「あり」が選択された場合に企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0026】
図4において、算定方式の選択によって表示される情報が異なる。画面G2aは、算定方式としてラジオボタンB31で「最終給与比例制」が選択された場合の画面例であり、画面G2bは、算定方式としてラジオボタンB31で「定額制」が選択された場合の画面例であり、画面G2cは、算定方式としてラジオボタンB31で「ポイント制」または「CB」が選択された場合の画面例である。
【0027】
画面G2aにおいて、ラジオボタンB31で「最終給与比例制」が選択された場合、入力するためのテキストボックスなどは表示されない。
【0028】
画面G2bにおいて、ラジオボタンB31で「定額制」が選択された場合、積み上げ年額を入力するためのテキストボックスB32が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0029】
画面G2cにおいて、算定方式としてラジオボタンB31で「ポイント制」または「CB」が選択された場合、領域R31が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
画面G2cにおいて、算定方式としてラジオボタンB31で「CB」が選択された場合のみ、例えば領域R31の下方に、利率を入力するためのテキストボックスB46を含む領域R32が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0030】
領域R31には、ポイント単価を入力するためのテキストボックスB36が含まれている。
【0031】
図5において、算定式の選択によって表示される情報が異なる。画面G3aは、算定式としてラジオボタンB51で「定率制」が選択された場合の画面例であり、画面G3bは、算定式としてラジオボタンB51で「定額制」が選択された場合の画面例であり、画面G3cは、算定式としてラジオボタンB51で「ポイント制」が選択された場合の画面例である。
【0032】
画面G3aにおいて、ラジオボタンB51で「定率制」が選択された場合、拠出額算定割合を入力するためのテキストボックスB53が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0033】
画面G3bにおいて、ラジオボタンB51で「定額制」が選択された場合、拠出月額を入力するためのテキストボックスB56が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0034】
画面G3cにおいて、ラジオボタンB51で「ポイント制」が選択された場合、ポイント単価を入力するためのテキストボックスB59が企業端末3によって例えばjavascript等が実行されることによって表示される。
【0035】
企業端末3は、図3図5の画面において入力された情報をコンピュータシステム2へ送信する。コンピュータシステム2のプロセッサ26はこの情報を受信すると、この情報を記憶装置23に保存する。
【0036】
図6は企業端末に表示される退職金情報のファイルアップロード画面の一例である。ファイルアップロード画面G5aでは、一時金・DBの算定式が最終給与比例制であるとき一時金・DBの減額率と支給率、DCの算定式がポイント制であるときDCの勤続ポイントを含むファイル(具体的には例えばデータG5b)がアップロードされる。ここでデータG5bは当該アップロードされるファイルに含まれる情報の一例である。データG5c~G5fは一時金・DB・DCの算定式別にアップロードする情報をまとめたものである。
【0037】
図6の画面においてアップロード操作がされると、企業端末3はアップロード対象のファイルをコンピュータシステム2へ送信する。コンピュータシステム2のプロセッサ26はこのファイルを受信すると、このファイルを記憶装置23に保存する。
【0038】
図7は企業端末に表示される従業員情報ファイルアップロード画面の一例である。ファイルアップロード画面G6aでは、アップロードする日付時点の従業員情報である従業員id、年齢、勤続年数、労働収入が含まれる。また一時金、DBの算定式が最終給与比例制であるとき退職金算定月給、DCの算定式がポイント制であるとき役職・等級ポイントを含むファイル(具体的には例えばデータG6b)がアップロードされる。ここでデータG6bは当該アップロードされるファイルに含まれる情報の一例である。データG6c~G6fは一時金・DB・DCの算定式別にアップロードする情報をまとめたものである。
【0039】
図7の画面においてアップロード操作がされると、企業端末3はアップロード対象のファイルをコンピュータシステム2へ送信する。コンピュータシステム2のプロセッサ26はこのファイルを受信すると、このファイルを記憶装置23に保存する。またプロセッサ26は、各年齢に応じた昇給の実態を表すために例えば、最小二乗法によってその企業の各年齢の昇給率(具体的には各従業員の労働収入から求めた労働収入の年齢別昇給率、退職金算定月給から求めた一時金、DBの年齢別昇給率、役職・等級ポイントから求めたDCの年齢別昇給率)を計算し、計算結果を記憶装置23に保存する。
【0040】
図8は、情報登録後に企業端末に表示される画面の一例である。画面G7a、G7bの昇給率を示すグラフは図7の画面G6aにてアップロードされた各従業員の労働収入、一時金の算定式が最終給与比例制であるとき各従業員の退職金算定月給を含む情報から計算された労働収入の年齢別昇給率、一時金の年齢別昇給率を可視化するためにグラフで表示される。G7bの減額率と支給率を示すグラフは図6のG5aにてアップロードされた一時金の算定式が最終給与比例制であるとき一時金の勤続年数別減額率と勤続年数別支給率を可視化するためにグラフで表示される。
【0041】
図9に従って企業端末3における画面遷移と計算処理について説明する。図9は画面遷移と計算処理の例を示す模式図である。
(ステップS110)企業情報を入力するための登録フォームの画面G1が表示される。「一時金なし」、「DBなし」が選択された場合、ステップS170に進む。
「一時金あり」、「DBなし」が選択された場合、一時金情報を入力するための登録フォームの画面G2a、G2bまたはG2cに遷移する(ステップS120)。
「一時金なし」、「DBあり」が選択された場合、DB情報を入力するための登録フォームの画面G2a’、G2b’またはG2c’に遷移する(ステップS130)。
「一時金あり」、「DBあり」が選択された場合において一時金とDBの規定が同じ場合、一時金情報及びDB情報を入力するための登録フォームの画面G2a、G2bまたはG2cに遷移する(ステップS140)。
「一時金あり」、「DBあり」が選択された場合において一時金とDBの規定が同じでない場合、一時金情報を入力するための登録フォームの画面G2a、G2bまたはG2cに遷移し(ステップS150)、DB情報を入力するための登録フォームの画面G2a’、G2b’またはG2’cに遷移する(ステップS160)。
【0042】
(ステップS170)画面G1で「DCあり」が選択された場合のみ、DC情報を入力するための画面G3が表示される。登録後、S180に進む。また、「DCなし」が選択された場合は何も表示されず、S180に進む。
【0043】
(ステップS180)退職金情報のファイルアップロード画面G5aが表示される。登録後、S190に進む。
(ステップS190)従業員情報のファイルアップロード画面G6aが表示される。登録後、S200に進む。
(ステップS200)プロセッサ26は例えばデータG6bの年齢と労働収入を用いて所属企業の年齢別昇給率を計算する。すなわち演算部263は所属企業から提供された各従業員の労働収入を用いて、労働収入の年齢別昇給率を演算する。またプロセッサ26は例えばデータG6bの年齢と一時金またはDBの退職金算定下月給を用いて退職金算定用の年齢別昇給率を計算する。すなわち演算部263は所属企業から提供された各従業員の退職金算定情報を用いて、退職金算定用の年齢別昇給率を演算する。計算処理後、S210に進む。
(ステップS210)管理画面が表示される。
【0044】
<従業員端末における画面遷移と計算処理>
続いて図10図13の従業員端末に表示されるフォームの画面例と図14に示す情報登録後に企業端末に表示される画面の一例を参照しつつ、従業員端末における画面遷移と計算処理について図15を用いて説明する。
図10は、従業員端末において従業員が退職設定年齢及び現在のお金情報を登録するための登録フォームの画面例である。図10の画面G11には、退職設定年齢を入力するためのテキストボックスB111、現在の資産残高を入力するためのテキストボックスB112、現在の生活費を入力するためのテキストボックスB113、現在の労働収入を入力するためのテキストボックスB114が表示されている。ここで退職設定年齢は、その従業員によって設定される将来退職する年齢である。このように、各従業員は、自分が将来退職する年齢を設定することができる。
【0045】
図10の画面G11において従業員によって登録操作がされると、従業員端末1は入力された情報をコンピュータシステム2へ送信する。
コンピュータシステム2のプロセッサ26は例えば記憶装置23に記憶されている対象企業の労働収入の年齢別昇給率と、画面G11で入力された現在の労働収入により、当該企業で働ける最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの将来の年齢別労働収入を計算する(図15のステップS220の一部に対応)。
【0046】
<労働収入の計算方法>
労働収入={労働収入[現在年齢+1]、…、労働収入[現在年齢+i]、…}
【0047】
ここでiはインデックスを表す自然数である。各値の計算は以下の通りである。
【数1】
【0048】
ここでkはインデックスを表す自然数である。このとき昇給率[現在年齢+k-1]は、労働収入の年齢別昇給率から該当年齢を参照する。
【0049】
そしてコンピュータシステム2のプロセッサ26は例えば、記憶装置23に記憶されている対象企業の賞与頻度と賞与月数、計算した年収から当該企業で働ける最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの将来の年齢別標準報酬月額と将来の年齢別標準賞与の年間合計を計算する(図15のステップS220の一部に対応)。
【0050】
<標準報酬月額の計算方法>
標準報酬月額={標準報酬月額[現在年齢+1]、…、標準報酬月額[現在年齢+i]、…}
【0051】
標準報酬月額は、報酬月額の金額範囲別に定められているため報酬月額を計算する。
報酬月額={報酬月額[現在年齢+1]、…、報酬月額[現在年齢+i]、…}
【0052】
各値の計算は以下の通りである。
【数2】
【0053】
このとき労働収入[現在年齢+i]は、将来の年齢別労働収入から該当年齢を参照する。プロセッサ26は報酬月額[現在年齢+i]が該当する金額範囲を検索し、標準報酬月額[現在年齢+i]を求める。ここで、標準報酬月額[現在年齢+i]については、予め報酬月額[現在年齢+i]を引数xとする標準報酬月額[現在年齢+i]の検索関数(x)を用意しておき、報酬月額[現在年齢+i]を入力することによって取得してもよい。
【0054】
<標準賞与の年間合計の計算方法>
標準賞与の年間合計={標準賞与の年間合計[現在年齢+1]、…、標準賞与の年間合計[現在年齢+i]、…}
【0055】
各値の計算は以下の通りである。
標準賞与の年間合計[現在年齢+i]=標準報酬[現在年齢+i]×賞与月数×賞与頻度
【0056】
そしてコンピュータシステム2のプロセッサ26は例えば、入力された退職設定年齢、入力された現在のお金情報(具体的には現在の資産残高、現在の生活費、現在の労働収入)と計算結果を記憶装置23のデータベースに保存する。
【0057】
図11は日本年金機構から発送される年金定期便の情報を登録するための登録フォームの画面例である。図11の画面G12には、年金定期便の情報記録年月を入力するためのテキストボックスB121、情報記録時の標準報酬月額を入力するためのテキストボックスB122、情報記録時の標準賞与の年間合計を入力するためのテキストボックスB123、が表示されている。
【0058】
画面G12の領域R121は50歳未満の従業員に表示される情報である。一方、画面G12の領域R122は50歳以上の従業員に表示される情報である。これは年金定期便に含まれる情報が50歳を区切りに変わり、50才未満であると「これまでの加入実績に応じた年金額」が含まれ、50才以上であると「老齢年金の種類と見込額(年額)」(例えば、現在60歳未満では現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して試算された年金額、現在60歳以上ではこれまでの加入実績に応じた年金額)が含まれる。
【0059】
従業員端末1を介してラジオボタンB221のうち「これまでの加入実績に応じた年金額」が選択された場合、従業員端末1によって例えばjavascript等が実行されることによって領域R121の情報が表示される。一方、従業員端末1を介してラジオボタンB221のうち「老齢年金の種類と見込額(年額)」が選択された場合、従業員端末1によって例えばjavascript等が実行されることによって領域R122の情報が表示される。
【0060】
領域R121には、老齢基礎年金を入力するためのテキストボックスB222、一般厚生年金期間の老齢厚生年金を入力するためのテキストボックスB223が含まれている。
一方、領域R122には、老齢基礎年金を入力するためのテキストボックスB226、一般厚生年金期間の老齢厚生年金(報酬比例部分)を入力するためのテキストボックスB227が含まれている。
【0061】
図11の画面G12において従業員によって登録操作がされると、従業員端末1は入力された年金情報をコンピュータシステム2へ送信する。
コンピュータシステム2のプロセッサ26はこの年金情報を受け取ると、例えば年金情報に含まれる年金定期便の情報記録年月と老齢基礎年金(具体的には、50歳未満で記録時の金額、50歳以上で60歳時の金額)から、当該企業で働ける最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別の公的年金(老齢基礎年金)を計算する(図15のステップS240の一部に対応)。
【0062】
<老齢基礎年金の計算方法>
老齢基礎年金={老齢基礎年金[現在年齢+1]、…、老齢基礎年金[現在年齢+i]、…}
【0063】
老齢基礎年金は受給年齢によって基礎額に増額率・減額率が係るため、基礎額を計算する。
【0064】
・50歳未満
老齢基礎年金への支払いが60歳まで継続すると仮定して試算する。
【数3】
ここで、基礎額の満額については、年によって変動するので予め年金定期便の情報記録年月の年を引数xとする基礎額の満額の検索関数(x)を用意しておき、該当年を入力することによって取得してもよい。
【0065】
・50歳以上
基礎額=60歳時の金額
【0066】
各値の計算は以下の通りである。
・現在年齢+i≦60のとき
老齢基礎年金[現在年齢+i]=基礎額×0.76
・61≦現在年齢+i≦65のとき
老齢基礎年金[現在年齢+i]=基礎額×(0.76+(現在年齢+i―60)×0.0048)
・66≦現在年齢+i≦75のとき
老齢基礎年金[現在年齢+i]=基礎額×(1+(現在年齢+i―65)×0.08)
【0067】
プロセッサ26は例えば、年金情報に含まれる情報記録年月と情報記録時の標準報酬月額、情報記録時の標準賞与の年間合計、老齢厚生年金(具体的には50歳未満、60歳以上で記録時の金額、50歳以上60歳未満で60歳時の金額)、計算した将来の年齢別標準報酬月額、将来の年齢別標準賞与の年間合計の参照により、当該企業で働ける最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別の公的年金(老齢厚生年金)を計算する(図15のステップS240の一部に対応)。
【0068】
<老齢厚生年金の計算方法>
老齢厚生年金={老齢厚生年金[現在年齢+1]、…、老齢厚生年金[現在年齢+1]、…}
【0069】
老齢厚生年金は受給年齢によって基礎額に増額率・減額率が係るため、基礎額を計算する。
基礎額={基礎額[現在年齢+i]、…、基礎額[現在年齢+i]、…}
【0070】
基礎額の各値計算は以下の通りである。
【数4】
【0071】
このとき現在の金額は
・50歳未満、60歳以上
【数5】
【0072】
・50歳以上60歳未満
【数6】
【0073】
また、再評価率については、年によって変動するので予め年金定期便の情報記録年月の年を引数xとする再評価率の検索関数(x)を用意しておき、該当年を入力することによって取得してもよい。
【0074】
標準報酬月額[現在年齢+k]、標準賞与の年間合計[現在年齢+k]は、将来の年齢別標準報酬月額、将来の年齢別標準賞与の年間合計から該当年齢をそれぞれ参照する。
【0075】
老齢厚生年金の各値計算は以下の通りである。
・現在年齢+i≦60のとき
老齢厚生年金[現在年齢+i]=基礎額[現在年齢+i]×0.76
・61≦現在年齢+i≦65のとき
老齢厚生年金[現在年齢+i]=基礎額[現在年齢+i]×(0.76+(現在年齢+i―60)×0.048)
・66≦現在年齢+i≦75のとき
老齢厚生年金[現在年齢+i]=基礎額[現在年齢+i]×(1+(現在年齢+i―65)×0.08)
【0076】
コンピュータシステム2のプロセッサ26は例えば受け取った年金情報と上記の計算結果を記憶装置23のデータベースに保存する。
【0077】
図12はDC加入者の情報を登録するための登録フォームの画面例である。
図12の画面G13には、事業者掛金の現在の累計額を入力するためのテキストボックスB131が含まれている。また領域R131は一例としてマッチング拠出ありのときのみ表示される。領域R131には、マッチング拠出の現在の累計額を入力するためのテキストボックスB133、マッチング拠出の現在の拠出有無を選択するラジオボタンB134、現在の拠出がないとき非表示で現在の拠出がある場合に表示される領域R132が含まれている。領域R132にはマッチング拠出の現在の月額を入力するためのテキストボックスB135が含まれている。
【0078】
図12の画面G13で登録された場合、プロセッサ26は以下の処理を実行してもよい。
・DC情報に含まれる事業主掛金の現在の累計額と記憶装置23に記憶されている対象企業の算定式とその算定式に紐づく情報(具体的にはポイント制のとき、現在の役職・等級ポイント、ポイント単価、勤続年数別勤続ポイント、年齢別昇給率。定率制のとき、現在の拠出額算定月給、拠出額算定割合、年齢別昇給率。定額制の時、拠出月額。)により、プロセッサ26は受給最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別の退職金(DC)の金額を計算する(図15のステップS260の一部に対応)。
【0079】
<DCの計算方法>
DC={DC[現在年齢+1]、…、DC[現在年齢+i]…}
各値の計算は以下の通りである。
【0080】
・ポイント制
【数7】
【0081】
退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は、将来の年齢別退職金算定用の労働収入から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。上式の右辺第2項は以下のように表される。
退職金算定用の労働収入={退職金算定用の労働収入[現在年齢+1]、…、退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]、…}
【0082】
ここで退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は次の式で表される。
退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]=(役職・等級ポイント[現在年齢+k]+勤続ポイント[現在勤続年数+k])×ポイント単価×12
【0083】
ここで上式の右辺の役職・等級ポイント[現在年齢+k]は次の式で表される。
【数8】
【0084】
このとき昇給率[現在年齢+j-1]は、年齢別昇給率から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。また勤続ポイント[現在勤続年数+k]は、勤続年数別勤続ポイントから該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0085】
・定率制
【数9】
【0086】
退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は、将来の年齢別退職金算定用の労働収入から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。上式の右辺第2項は以下のように表される。
退職金算定用の労働収入={退職金算定用の労働収入[現在年齢+1]、…、退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]、…}
【0087】
ここで退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は次の式で表される。
【数10】
このとき昇給率[現在年齢+j-1]は、年齢別昇給率から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0088】
・定額制
【数11】
【0089】
DC情報に含まれるマッチング拠出の現在の累計額が0より大きい場合、マッチング拠出の現在の累計額と月額(ただし現在の拠出有無がないときは0)により、プロセッサ26は受給最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別のマッチング拠出の金額を計算する(図15のステップS260の一部に対応)。
【0090】
<マッチング拠出の計算方法>
マッチング拠出額={マッチング拠出額[現在年齢+1]、…、マッチング拠出額[現在年齢+i]、…}
【0091】
各値の計算は以下の通りである。
【数12】
【0092】
そしてプロセッサ26は図12の画面G13で入力されたDC情報と計算結果を記憶装置23のデータベースに保存する。
【0093】
図13はiDeCo情報を登録するための登録フォームの画面例である。図13の画面G14には、iDeCoへの現在の加入有無を選択するためのラジオボタンB141、iDeCo未加入のとき非表示でiDeCo加入の場合に表示される領域R141が含まれている。領域R141にはiDeCoの現在の累計額を入力するためのテキストボックスB142、iDeCoの現在の月額を入力するためのテキストボックスB143が含まれている。
【0094】
図13の画面G14で登録された場合、プロセッサ26は以下の処理を実行してもよい。iDeCo加入の場合、iDeCo情報の現在の累計額と月額により、受給最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別のiDeCoの拠出金額を計算する(図15のステップS280に対応)。
【0095】
<iDeCoの計算方法>
退職年齢別のiDeCoの拠出金額(以下、iDeCo拠出額ともいう)は以下の式で算出される。
iDeCo拠出額={iDeCo拠出額[現在年齢+1]、…、iDeCo拠出額[現在年齢+i]、…}
【0096】
各値の計算は以下の通りである。
【数13】
【0097】
そしてプロセッサ26は図13の画面G14で登録されたiDeCo情報と計算結果を記憶装置23のデータベースに保存する。
【0098】
図12の画面G13または図13の画面G14で登録された場合、プロセッサ26は以下の処理を実行してもよい。
・一時金またはDB導入ありの場合、記憶装置23に記憶されている対象企業の一時金またはDBの算定式とその算定式に紐づく情報(具体的には最終給与比例制のとき、現在の退職金算定月給、勤続年数別支給率、勤続年数別減額率、年齢別別昇給率。ポイント制・CB制のとき、現在の累計ポイント、現在の役職・等級ポイント、ポイント単価、利率、勤続年数別勤続ポイント、勤続年数別減額率、年齢別別昇給率。定額制のとき、積み上げ年額、勤続年数別減額率。)により、プロセッサ26は受給最大年齢(例えば、定年退職年齢)までの退職年齢別の退職金(一時金またはDB)の金額を計算する(図15のステップS290に対応)。
【0099】
<一時金・DBの計算方法>
一時金・DB={一時金・DB[現在年齢+1]、…、一時金・DB[現在年齢+i]、…}
【0100】
各値の計算は以下の通りである。
・最終給与比例制
一時金・DB[現在年齢+i]=退職金算定用の労働収入[現在年齢+i]×支給率[現在勤続年数+i]×減額率[現在勤続年数+i]
【0101】
退職金算定用の労働収入[現在年齢+i]は、将来の年齢別退職金算定用の労働収入から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0102】
上式の退職金算定用の労働収入[現在年齢+i]は次の式で表される。
【数14】
このとき昇給率[現在年齢+k-1]は、年齢別昇給率から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0103】
また支給率[現在勤続年数+i]、減額率[現在勤続年数+i]は、勤続年数別支給率、勤続年数別減額率から該当勤続年数をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0104】
・ポイント制・CB制
【数15】
【0105】
退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は、将来の年齢別退職金算定用の労働収入から該当年齢を参照する。ここで右辺第1項中のΣで算出される退職金算定用の労働収入の総和は次の式で表わされる。
退職金算定用の労働収入={退職金算定用の労働収入[現在年齢+1]、…、退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]、…}
【0106】
ここで退職金算定用の労働収入[現在年齢+k]は次の式で表わされる。
【数16】
このとき昇給率[現在年齢+j-1]は、年齢別昇給率から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0107】
また勤続ポイント[現在勤続年数+k]、減額率[現在勤続年数+k]は、勤続年数別勤続ポイント、勤続年数別減額率から該当勤続年数をプロセッサ26が参照することで得られる。
ポイント制のとき利率の値は1とする。
【0108】
・定額制
一時金・DB[現在年齢+i]=積み上げ年額×(現在勤続年数+i)×減額率[現在勤続年数+i]
【0109】
減額率[現在勤続年数+i]は、勤続年数別減額率から該当勤続年数をプロセッサ26が参照することで得られる。そしてプロセッサ26は計算結果を記憶装置23のデータベースに保存する。
【0110】
図12の画面G13または図13の画面G14で登録された場合、プロセッサ26は記憶装置23に記憶されている退職設定年齢、現在の資産残高、収入情報(例えば計算した将来の年齢別労働収入、退職年齢別の公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)、退職年齢別の退職金(DC、一時金、DB)、退職年齢別のマッチング拠出額、退職年齢別のiDeCo拠出額)、支出情報(例えば現在の生活費、マッチング拠出の現在の月額、iDeCoの現在の月額)により、年齢別の資産残高及び100歳まで資産が尽きない退職年齢の計算処理を実行する(図15のステップS300に対応)。
【0111】
<資産残高の計算方法>
資産残高={資産残高[現在年齢+1]、…、資産残高[現在年齢+i]、…、資産残高[100]}
【0112】
各値の計算は以下の通りである。
【数17】
【0113】
収入[現在年齢+k]の計算は以下の通りである。
・現在年齢+k<退職設定年齢のとき
収入[現在年齢+k]=労働収入[現在年齢+k]
【0114】
このとき、労働収入[現在年齢+k]は将来の年齢別労働収入から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0115】
・現在年齢+k=退職設定年齢のとき
収入[現在年齢+k]=DC[退職設定年齢]+マッチング拠出[退職設定年齢]+iDeCo[退職設定年齢]+一時金[退職設定年齢]+DB[退職設定年齢]
【0116】
このとき、DC[退職設定年齢]、マッチング拠出[退職設定年齢]、iDeCo[退職設定年齢]、一時金[退職設定年齢]、DB[退職設定年齢]は退職年齢別の退職金(DC、一時金、DB)、退職年齢別のマッチング拠出、退職年齢別のiDeCoから該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0117】
・退職設定年齢+1≦現在年齢+kのとき
収入[現在年齢+k]=老齢基礎年金[退職設定年齢]+老齢厚生年金[退職設定年齢]
このとき、老齢基礎年金[退職設定年齢]、老齢厚生年金[退職設定年齢]は退職年齢別の公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)から該当年齢をプロセッサ26が参照する。
【0118】
支出[現在年齢+k]の計算は以下の通りである。
・現在年齢+k≦退職設定年齢のとき
支出[現在年齢+k]=現在の生活費+マッチング拠出の現在の月額×12+iDeCoの現在の月額×12+税金[現在年齢+k]
【0119】
退職設定年齢<現在年齢+kのとき
支出[現在年齢+k]=現在の生活費+税金[現在年齢+k]
【0120】
このとき、税金[現在年齢+k]は例えば以下の通り計算した将来の年齢別税金から該当年齢をプロセッサ26が参照してもよい。例えば税金は社会保険料、所得税、住民税を含む。
税金={税金[現在年齢+1]、…、税金[100]}
【0121】
(1)現在年齢+i≦退職設定年齢のとき
税金[現在年齢+k]=労働収入[現在年齢+k]×収入に応じた税負担割合
ここで労働収入[現在年齢+k]は将来の年齢別労働収入から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0122】
(2)退職設定年齢<現在年齢+iのとき
(2-1)退職設定年齢<60の場合
(2-1-1)現在年齢+k<60のとき
税金[現在年齢+k]=0
【0123】
(2-1-2)60≦現在年齢+kのとき
税金[現在年齢+k]=(老齢基礎年金[退職設定年齢]+老齢厚生年金[退職設定年齢])×収入に応じた税負担割合
【0124】
(2-2)60≦退職設定年齢の場合
税金[現在年齢+k]=(老齢基礎年金[退職設定年齢]+老齢厚生年金[退職設定年齢])×収入に応じた税負担割合
【0125】
老齢基礎年金[退職設定年齢]、老齢厚生年金[退職設定年齢]は退職年齢別の公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)から該当年齢をプロセッサ26が参照することで得られる。
【0126】
ここで、収入に応じた税負担割合については、収入(例えば労働収入、公的年金(=老齢基礎年金+老齢厚生年金))によって変動するので予め収入を引数xとする率の検索関数(x)を用意しておき、該当収入を入力することによってプロセッサ26が取得してもよい。
【0127】
<100歳まで資産が尽きない退職年齢の計算方法>
(1)上記で計算した退職設定年齢の資産残高について
(1-1)資産残高に0以下の要素がない場合、計算を終了する。これにより例えば「退職年齢(退職設定年齢)歳で100歳まで資産が尽きない見込みです。」と従業員端末1に表示される。
【0128】
(1-2)資産残高に0以下の要素がある場合
(1-2-1)退職設定年齢<働ける最大年齢のとき、退職設定年齢に1加算して資産残高を計算する。(2)に進む。
(1-2-2)退職設定年齢=働ける最大年齢のとき、これ以上加算できないため計算を終了する。これにより例えば「退職年齢を(退職設定年齢)歳から(働ける最大年齢)歳まで延伸しても100歳までに資産が尽きる見込みです。」と従業員端末1に表示される。
【0129】
(2)退職設定年齢+j(1≦j)の資産残高を計算する。
(2-1)資産残高に0以下の要素がない場合、計算を終了する。これにより例えば「(退職年齢を(退職設定年齢)歳から(退職設定年齢+j)歳に延伸することで100歳まで資産が尽きない見込みです。」と従業員端末1に表示される。
【0130】
(2-2)資産残高に0以下の要素がある場合
(2-2-1)退職設定年齢+j<働ける最大年齢のとき、退職設定年齢+jに1加算して資産残高を計算する。(2)に進む。
(2-2-2)退職設定年齢+j=働ける最大年齢のとき、これ以上加算できないため計算を終了する。これにより例えば「退職年齢を(退職設定年齢)歳から(働ける最大年齢)歳まで延伸しても100歳までに資産が尽きる見込みです。」と従業員端末1に表示される。
【0131】
図14は情報登録後の画面の一例である。図14に示すようにト画面G15には、結果と資産残高推移が表示される。結果には、設定年齢(例えば100歳)までに資産が尽きる場合、設定年齢(例えば100歳)まで資産が尽きない退職年齢延伸策が含まれる。退職年齢延伸策として例えば設定年齢(例えば100歳)までに資産が尽きないようにするための延伸後の退職年齢が含まれる。
【0132】
図15に従って従業員端末1における画面遷移について説明する。図15は画面遷移と計算処理の例を示す模式図である。
(ステップS210)退職年齢・現在のお金の登録フォームの画面G11が表示される。
(ステップS220)画面G11にて登録され情報がコンピュータ2へ送信され、プロセッサ26は労働収入・標準報酬月額・標準賞与の年間合計の計算処理を行う。
(ステップS230)次に年金情報の登録フォームの画面G12が表示される。
(ステップS240)画面G12にて登録された情報がコンピュータ2へ送信され、プロセッサ26は公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の計算処理を行う。計算処理後、DC導入ありの場合、ステップS250へ進む。DC導入なしの場合、ステップS270へ進む。
【0133】
(ステップS250)DC情報の登録フォーム画面G13が表示される。
(ステップS260)画面G13にて登録された情報がコンピュータ2へ送信され、プロセッサ26は退職金(DC)とマッチング拠出の計算処理を行う。計算処理後、マッチング拠出併用ありの場合ステップS290へ進む。一方、マッチング拠出併用なしの場合ステップ270に進む。
(ステップS270)iDeCo情報の登録フォームの画面G14が表示される。
(ステップS280)画面G14にて登録された情報がコンピュータ2へ送信され、プロセッサ26はiDeCoの計算処理が行う。計算処理後、ステップS290に進む。
(ステップS290)ステップS260またはステップS280にて計算処理後、プロセッサ26は退職金(一時金・DB)の計算処理を行う。計算処理後、ステップS300に進む。
(ステップS300)ステップS290にて計算処理後、プロセッサ26は資産残高及び100歳まで資産が尽きない退職年齢の計算処理を行う。計算処理後、ステップS310に進む。
(ステップS310)ステップS300にて計算処理後、情報登録後の画面G15が表示される。
【0134】
以上、本実施形態に係る情報処理システムSは、退職設定年齢が当該対象従業員の所属企業の働ける最大年齢(例えば、定年退職年齢)より低いとき、退職設定年齢を少なくとも1歳以上延伸した場合における収入、支出を用いて、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する探索部266を備える。 更に情報処理システムSは、探索により得られた設定年齢まで
資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報(例えば設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢または退職設定年齢の延伸年数)を含む出力情報を出力する出力部267を備える。
【0135】
この構成により、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢が見つかれば、その延伸後の退職設定年齢を含む出力情報が出力されるので、退職設定年齢をいつにすれば設定年齢(例えば死亡予定年齢)まで資産が尽きないかどうか把握することを容易化することができる。
【0136】
また本実施形態に係る情報処理システムSは、対象従業員の各年齢における収入に関する情報、各年齢における支出に関する情報を用いて、退職設定年齢を設定した場合において当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否か判定する判定部262を備える。
この場合、探索部266は、前記判定した結果、前記設定年齢までの間で資産が尽きる場合、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索し、出力部267は、判定部262による判定結果(すなわち対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否かの判定結果)及び探索部266の探索結果を出力してもよい。一方、前記設定年齢までの間で資産が尽きない場合に、探索部266は探索せず、出力部267は判定部262による判定結果を出力してもよい。
【0137】
この構成により、対象従業員は、当該対象従業員が設定年齢まで資産が尽きないか否かについても更に把握することができる。
【0138】
また推定部264は、前記所属企業の労働収入の年齢別昇給率を用いて、前記対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定し、当該年齢別労働収入を用いて、前記退職設定年齢に該当する公的年金、退職金(更にオプションとしてマッチング拠出額、iDeCo拠出額)、将来の年齢別税金を推定してもよい。
【0139】
この場合、探索部266は、前記退職設定年齢を1歳以上延伸した場合における将来の年齢別収入(具体的には推定した将来の年齢別労働収入と退職設定年齢により決定される公的年金、退職金、更にオプションとしてマッチング拠出額、iDeCo拠出額)、将来の年齢別支出(具体的には退職設定年齢により決定される将来の年齢別税金、前記対象従業員の支出(生活費、更にオプションとしてマッチング拠出額、iDeCo拠出額))を用いて、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する。
【0140】
この構成により、対象従業員の所属企業の労働収入の年齢別昇給率を用いて対象従業員の将来の年齢別労働収入を推定するので、就業期間中の収入となる年齢別労働収入が所属企業の昇給の実態を表しているため推定精度が高いといえる。さらに退職年齢別の公的年金も推定するので、退職後の収入となる公的年金も所属企業の昇給の実態を表しているため推定精度が高いといえる。このため、労働収入の年齢別昇給率を用いることで、退職設定年齢を1歳以上延伸した場合における、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する結果の信憑性を高めることができる。
【0141】
更にこの構成により、対象従業員の所属企業の退職金算定情報の年齢別昇給率を用いて、対象従業員の退職年齢別の退職金を推定するので、退職時の収入となる退職金が所属企業の昇給の実態を表しているため推定精度が高いといえる。このため、退職金算定情報の年齢別昇給率を用いることで、退職設定年齢を1歳以上延伸した場合における、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索する結果の信憑性を高めることができる。
【0142】
また情報処理システムSは、所属企業から提供された各従業員の労働収入を用いて、労働収入の年齢別昇給率を演算する演算部263を更に備える。この場合、推定部264は、演算部263によって演算された労働収入の年齢別昇給率を用いて、対象従業員の将来の年齢別労働収入、将来の年齢別標準報酬月額と将来の年齢別標準賞与の年間合計、退職年齢別の公的年金を推定してもよい。
演算部263は、所属企業から提供された各従業員の退職金算定情報を用いて、退職金算定情報の年齢別昇給率を演算してもよい。この場合、推定部264は、演算部263によって演算された退職金算定情報の年齢別昇給率を用いて、退職年齢別の退職金を推計してもよい。
【0143】
これにより、所属企業から提供された各従業員の労働収入を用いて演算された労働収入の年齢別昇給率を用いるので、労働収入の年齢別昇給率が所属企業の昇給の実態を表しているため、昇給率を用いた推定の推定精度が高いといえる。
また所属企業から提供された各従業員の退職金算定情報を用いて退職金算定情報の年齢別昇給率を演算するので、退職金算定情報の年齢別昇給率が所属企業の昇給の実態を表しているため、昇給率を用いた推定の推定精度が高いといえる。
【0144】
探索部266は、前記退職設定年齢を変更した場合に変更後に退職設定年齢により決定する当該公的年金、当該退職金、推定した将来の年齢別労働収入といった収入と退職設定年齢により決定する当該年齢別税金、前記対象従業員の情報(生活費、マッチング拠出額、iDeCo拠出額)といった支出を用いて、当該退職設定年齢を変更した場合に前記設定年齢まで資産が尽きないか否か判定することを、変更する退職設定年齢を変えて複数実行することにより、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢を探索してもよい。この場合、出力部267は、前記設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を含む出力情報を出力してもよい。ここで設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報は、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢であってもよいし、退職設定年齢の延伸年数でもよい。
【0145】
この構成により、対象従業員は、設定年齢まで資産が尽きない延伸後の退職設定年齢に関する情報を得ることができる。
【0146】
なお、上述した実施形態で説明したコンピュータシステム2の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、コンピュータシステム2の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0147】
また、コンピュータシステム2の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0148】
さらに、一つまたは複数の情報機器によってコンピュータシステム2を機能させてもよい。複数の情報機器を用いる場合、そのうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することによりコンピュータシステム2の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0149】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0150】
以上、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 従業員端末
2 コンピュータシステム
21 入力インタフェース
22 通信モジュール
23 記憶装置
24 メモリ
25 出力インタフェース
26 プロセッサ
262 判定部
263 演算部
264 推定部
266 探索部
267 出力部
3 企業端末
図1
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