(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023655
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】太陽光発電における出力抑制方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20250207BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20250207BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20250207BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
G05F1/67 A
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127983
(22)【出願日】2023-08-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年8月24日に、太陽光発電における出力抑制方法およびシステムに関する発明を含む応募内容を示す書面を長野県庁に提出
(71)【出願人】
【識別番号】510136873
【氏名又は名称】三峰川電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋二
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5H420
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA02
5G066HA13
5G066HA15
5G066HB06
5H420BB14
5H420CC03
5H420DD03
5H420EA47
5H420EB13
5H420EB26
5H420EB30
5H420EB39
(57)【要約】
【課題】利便性の高い太陽光発電システムの発電量を抑制するための方法を提供すること。
【解決手段】コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得するステップ(S110)と、出力制御情報に基づいて太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成するステップ(S120)と、抑制スケジュール情報に応じて太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を、複数のPCS(Power Conditioning System)のそれぞれを独立して制御する複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信するステップ(S160)と、を備える方法。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、
太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得するステップと、
前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成するステップと、
前記抑制スケジュール情報に応じて前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を、複数のPCS(Power Conditioning System)のそれぞれを独立して制御する複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記出力制御情報は、少なくとも、出力抑制を行うべき時間帯を示す出力制御時間帯情報と、当該出力制御を行うべき時間帯における前記太陽光発電システムの発電量の上限値を示す出力上限情報とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を段階的に低下させるための前記抑制スケジュールを生成することを含み、
前記制御指令情報は、当該抑制スケジュールに基づいて前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を低下させる時刻および低下出力量を示す情報を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御指令情報は、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%又は100%の割合で低下させるための情報である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの各々の出力値と前記太陽光発電システムの最大受電電力とに応じて、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%の割合で低下させるか、又は100%の割合で低下させるかを決定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記制御指令情報を送信するステップは、出力が抑制された前記複数のPCSの少なくとも一部について、当該出力の抑制を解除するための制御指令情報を、前記複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するコンピュータ装置。
【請求項8】
コンピュータ装置に請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
太陽光発電システムのパワーコンディショナを制御する第1コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、
前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を外部の第2コンピュータ装置から受信するステップを含み、
前記制御指令情報は、前記第2コンピュータ装置が、前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得し、前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成し、前記抑制スケジュール情報に応じて前記第1コンピュータ装置を制御するために前記第1コンピュータ装置に送信した情報である、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法を実行するコンピュータ装置。
【請求項11】
コンピュータ装置に請求項9に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電における出力抑制方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の安定供給のために、太陽光発電の発電量(供給量)と消費電力量とはバランスを取る必要がある。従来は、送配電事業者から太陽光発電のシステムを管理する発電事業者に対してメールやファクシミリ等によって出力抑制の指令がなされていた。発電事業者は出力抑制の指令を受け取ると、当該指令に従って太陽光発電システムを制御するために、発電システム用のスケジュールを作成して太陽光パネルの操作などを行っていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】中部電力パワーグリッド株式会社, “再生可能エネルギー等の発電設備の接続について 発電設備の出力制御について”, [online], 中部電力パワーグリッド, [2023年6月15日検索], インターネット<URL: https://powergrid.chuden.co.jp/goannai/ippan/powerconnection/facility/>
【非特許文献2】中部電力パワーグリッド株式会社, “出力制御機能付PCS等技術仕様書(特別高圧) 2020年7月制定 2023年7月改正”, [online], 中部電力パワーグリッド, [2023年6月30日検索], インターネット<URL: https://powergrid.chuden.co.jp/resource/goannai/ippan/powerconnection/facility/fcl_koukai/fcl_koukai_01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような作業は人の手によって行われていたため煩雑であった。再生可能エネルギー発電設備の導入が拡大する見込みの中、火力、揚水発電運転、地域間連系線を活用した広域的な連系運用を送配電事業者側で行っている状況であるが、電力の供給が需要を上回る場合、電力の安定供給を維持するためには太陽光、風力発電等の出力抑制を行う必要がある。太陽光発電は天候によって発電量が頻繁に変動するため需要と供給のバランスを保つのは非常に困難であると共に、昼間の電力需要が下がった時間帯に太陽光発電所の電力出力が最大となると火力発電等の制御だけでは需要を供給が大きくオーバーしてしまう。もしくは、需要と供給のバランスが崩れてしまうことで周波数に乱れが生じ、大規模停電が発生する可能性がある。
以上より、電力の品質安定および安定供給を維持するために天候によって発電量が頻繁に変動しうる太陽光発電の出力を制御する必要があり、近年、経済産業省令の改正によって出力制御のルールが定められた(例えば非特許文献1)。今後は、この経済産業省令の改正によって定められたルールを遵守するように太陽光発電システムを運用しなければならない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、電力の品質安定および安定供給を維持することが可能であり、出力抑制を容易に行うことが可能な出力抑制方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得するステップと、前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成するステップと、前記抑制スケジュール情報に応じて前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を、複数のPCS(Power Conditioning System)のそれぞれを独立して制御する複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信するステップと、を備える方法である。
【0007】
また、本発明の他の態様は、前記出力制御情報は、少なくとも、出力抑制を行うべき時間帯を示す出力制御時間帯情報と、当該出力制御を行うべき時間帯における前記太陽光発電システムの発電量の上限値を示す出力上限情報とを含む、上記の方法である。
【0008】
また、本発明の他の態様は、前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を段階的に低下させるための前記抑制スケジュールを生成することを含み、前記制御指令情報は、当該抑制スケジュールに基づいて前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を低下させる時刻および低下出力量を示す情報を含む、上記の方法である。
【0009】
また、本発明の他の態様は、前記制御指令情報は、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%又は100%の割合で低下させるための情報である、上記の方法である。
【0010】
また、本発明の他の態様は、前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの各々の出力値と前記太陽光発電システムの最大受電電力とに応じて、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%の割合で低下させるか、又は100%の割合で低下させるかを決定することを含む、上記の方法である。
【0011】
また、本発明の他の態様は、前記制御指令情報を送信するステップは、出力が抑制された前記複数のPCSの少なくとも一部について、当該出力の抑制を解除するための制御指令情報を、前記複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信することを含む、上記の方法である。
また、本発明の他の態様は、上記のいずれかの方法を実行するコンピュータ装置である。
また、本発明の他の態様は、コンピュータ装置に上記のいずれかの方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0012】
また、本発明の他の態様は、太陽光発電システムのパワーコンディショナを制御する第1コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を外部の第2コンピュータ装置から受信するステップを含み、前記制御指令情報は、前記第2コンピュータ装置が、前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得し、前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成し、前記抑制スケジュール情報に応じて前記第1コンピュータ装置を制御するために前記第1コンピュータ装置に送信した情報である、方法である。
【0013】
また、本発明の他の態様は、上記の方法を実行する第1コンピュータ装置である。
また、本発明の他の態様は、第1コンピュータ装置に上記の方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る出力抑制システムの全体構成の一例を示す図である
【
図2】本発明の一実施形態に係る出力抑制システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】PCSを制御するための2つの制御パターンを示す図である。
【
図4】各PCSの出力抑制後における全体出力値について説明する図である。
【
図7】PLCにおける処理の一例を示すフロー図である。
【
図8】PLCにおける処理の別の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
(出力抑制システムの全体構成)
【0016】
図1は、本実施形態に係る出力抑制システムの全体構成の一例を示す図である。本実施形態に係る出力抑制システム1は、PLC(Programmable Logic Controller)10と、送配電事業者のコンピュータ装置20と、PCS(Power Conditioning System)監視装置30と、PCS35とを含んで構成される。送配電事業者のコンピュータ装置20は、電力の需要と供給のバランスを監視して、発電量を抑制する必要があると判断した場合には、電力出力の抑制指令である出力制御情報を太陽光発電のシステムを管理する発電事業者のPLC10に送信する。PLC10、PCS監視装置30(30-1、30-2、・・・、30-8)、およびPCS35(35-1、35-2、・・・、35-8)は、太陽光発電のシステムの一部を構成し、太陽光発電システムを管理する発電事業者が管理する機器である。PLC10は、PCS監視装置30を制御するコンピュータ装置であり、出力制御情報をコンピュータ装置20から受信すると、当該出力制御情報に基づいてPCS35の出力抑制のための処理を実行する装置である。また、PCS35は、太陽光パネル(図示しない)にて作られた発電電力(直流)を交流に変換する装置である。また、PCS監視装置30は、PCS35を監視する装置である。PCS監視装置30は、PCSの運転/停止状況、発電電力量、故障状況、等の情報をリアルタイムで受信し、PLC10に送信する。なお、PCS35は一般によく知られた装置である。PCS監視装置30およびPLC10は、汎用的なPLCを用いて実現されうる。
【0017】
なお、本実施形態においては、PCS監視装置30およびPCS35は各々8台である場合について説明するが、あくまで一例であって、PCS監視装置30およびPCS35の数はこれに限定されない。また、送配電事業者のコンピュータ装置20から送信される出力制御情報には、出力抑制を行うか否かを示す出力制御信号と、出力抑制を行うべき時間帯を示す出力制御時間帯信号と、当該出力制御時間帯の出力上限値を示す出力上限値信号とが含まれる。
【0018】
PLC10はコンピュータ装置20から出力制御情報を受信すると、出力抑制のための抑制スケジュールを生成する。抑制スケジュールは、出力制御情報に示される出力抑制の条件を満たすように各PCS35の出力をどのように制御するべきかを示す情報である。PLC10は、生成された抑制スケジュールに基づいて各PCS監視装置30を制御するための制御指令情報を各PCS監視装置30に送信する。各PCS監視装置30は、PLC10から受信した制御指令情報に従ってPCS35の出力を制御して抑制する。
【0019】
なお、本実施形態においては、一例として、送配電事業者のコンピュータ装置20において非特許文献2の送配電事業者の技術仕様書に基づいて出力抑制制御が行われるものとして説明する。
(出力抑制システムの機能ブロック)
【0020】
図2は、本実施形態に係る出力抑制システムの機能ブロックの一例を示す図である。本実施形態に係る出力抑制システム1は、PLC10と、送配電事業者のコンピュータ装置20と、PCS監視装置30と、PCS35と、を含んで構成されうる。なお、
図2においてPCS監視装置30およびPCS35は各1台のみ示されているが、
図1に示されるように複数存在しうる。本実施形態においては、PCS監視装置30およびPCS35はそれぞれ8台存在するとして説明するが、これに限定されない。
【0021】
送配電事業者のコンピュータ装置20は、太陽光発電システムを管理する発電事業者のオペレータ等が操作するコンピュータ装置である。発電事業者が需要と供給のバランスから太陽光発電システムの発電量を抑制すべきと判断した場合には、コンピュータ装置20は、太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報をPLC10に送信する。また、PLC10、PCS監視装置30、およびPCS35は、太陽光発電のシステムを管理する発電事業者が管理する機器である。コンピュータ装置20とPLC10との間、およびPLC10とPLC監視装置30との間は、有線のネットワークによって接続されうる。
(コンピュータ装置20)
【0022】
コンピュータ装置20は、出力制御情報送信部210を備える。出力制御情報送信部210は、出力制御情報をPLC10に送信する。出力制御情報は、少なくとも、出力抑制を行うべき時間帯を示す出力制御時間帯情報と、当該出力制御を行うべき時間帯における太陽光発電システムの発電量の上限値を示す出力上限情報とを含む。出力制御時間帯情報は、本実施形態においては非特許文献2に規定された出力制御時間帯信号であり、出力制御対象の時間帯(出力制御時間帯)を30分単位で示す信号である。また、出力上限情報は、本実施形態においては非特許文献2に規定された出力上限値信号であり、最大受電電力に対する割合(%)で示す。ただし、本実施形態の出力制御時間帯情報および出力上限情報はあくまで一例であり、他の形式の情報であってもよい。また、出力制御情報は他のデータをさらに含んでいてもよい。
(PLC10)
PLC10は、出力制御情報取得部110と、抑制スケジュール情報生成部120と、制御指令情報送信部130とを備える。
【0023】
出力制御情報取得部110は、コンピュータ装置20の出力制御情報送信部210から送信される出力制御情報を取得する。なお、上述したように出力制御情報は複数の情報を含みうるが、各情報は異なるタイミングにてそれぞれ受信されてもよい。また、本実施形態において出力制御情報取得部110は、コンピュータ装置20から送信されてくる出力制御情報を受信することで取得するが、これに限定されない。例えば、メールやファクシミリ等によって出力制御情報が発電事業者によって伝達され、当該出力制御情報を発電事業者のオペレータ等がPLC10に入力するようになっていてもよい。
【0024】
抑制スケジュール情報生成部120は、出力制御情報取得部110において受信された出力制御情報に基づいて太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成する。
【0025】
制御指令情報送信部130は、抑制スケジュール情報生成部120において生成された抑制スケジュール情報に応じて太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を、複数のPCS35のそれぞれを独立して制御する複数のPCS監視装置30の少なくとも一部に送信する。また、制御指令情報送信部130は、出力が抑制された複数のPCS35の少なくとも一部について、当該出力の抑制を解除するための制御指令情報を複数のPCS監視装置30の少なくとも一部に送信する。
【0026】
また、本実施形態において、抑制スケジュール情報生成部120は、複数のPCS35の少なくとも一部の出力を段階的に低下させるための抑制スケジュールを生成する。この時、制御指令情報は、当該抑制スケジュールに基づいて複数のPCSの少なくとも一部の出力を低下させる時刻および低下出力量を示す情報を含む。低下出力量は、電力量であってもよいし、現在の出力量に対する割合などであってもよい。本実施形態において制御指令情報は、複数のPCS35の少なくとも一部の出力を50%又は100%の割合で低下させるための情報である。さらに、抑制スケジュール情報生成部120は、複数のPCS35の各々の出力値と太陽光発電システムの最大受電電力とに応じて、複数のPCS35の少なくとも一部の出力を50%の割合で低下させるか、又は100%の割合で低下させるかを決定する機能を有し得る。
(PCS監視装置30)
【0027】
PCS監視装置30は、PCS制御部310を備える。PCS制御部310は、PLC10の制御指令情報送信部130から送信される制御指令情報を受信して、当該制御指令情報に基づいてPCS35の出力を抑制する。また、複数のPCS監視装置30はそれぞれ独立して自身が接続されたPCS35の出力を抑制することができる。
(抑制スケジュールの生成)
以下、PLC10の抑制スケジュール情報生成部120における抑制スケジュールの生成の一例について説明する。
【0028】
非特許文献2の送配電事業者の技術仕様書に基づく出力制御では、PCS35の出力(発電量)を一定のステップごとに段階的に低下させる方法が認められている。また、PCS35の出力を段階的に低下させる場合、系統への影響を考慮して、各ステップでは最大受電電力の10%以下で抑制していくことが定められている。つまり、例えば、最大受電電力が8580kW(キロワット)であれば、各ステップでは858kW以下ごとにPCS35の出力を低下させなければならない。以下の説明においては一例として、本実施形態の最大受電電力は8580kWであるとして説明する。(ただし、これに限定されない。)
【0029】
また、PCS35の出力を一定のステップごとに段階的に低下させる場合、各ステップの時間幅は最小で30秒であり、最大で1分であることが非特許文献2において定められている。すなわち、最小時間幅では5分でPCS35の全体の出力を0%にし(30秒ごとに10%低下させる)、最大時間幅では10分でPCS35の全体の出力を0%にする(1分ごとに10%低下させる)ことになる。
以上のような条件に鑑みると、例えば、以下の“NG制御1”“NG制御2”のような制御は行うことができない。
(NG制御1)
【0030】
8台のPCS35を一斉に停止すること:なぜならば、8台のPCS35を一斉に停止すると、通常は最大受電電力の10%を超えて出力を抑制することになるからである。これに対しては、各ステップにおいて8台のPCS35を順番に停止していくことで対応することができる(制御方法1)。なお、この制御方法は、各PCS35の出力が(0kWより大きく)858kW以下の時には、PCS35の全体容量の10%以下で抑制していくという非特許文献2の技術仕様書の上記条件を満たす。
(NG制御2)
【0031】
各PCS35の出力が858kWより大きい時に上記“制御方法1”を実施すること:なぜならば、この場合に8台のPCS35を順番に停止していくと、最大受電電力の10%(858kW)を超えて出力を抑制することになるからである。そこで、本実施形態においては、PCS35の出力抑制方法として、PCS35の出力を50%に抑制するという方法を用いる。すなわち、各PCS35の出力が858kWより大きい時は、あるステップで各PCS35の出力を100%から50%に抑制した後に、次のステップでさらに50%から0%に抑制する(以下、このような制御を「50%制御」という場合がある)。8台のPCS35はこのような制御によって順番に出力が停止されていく(制御方法2)。
【0032】
図3は、本実施形態のPCS35を制御するための2つの制御パターンを示す図である。本実施形態では、各PCS35の出力を50%に抑制する機能を使用するか否かに応じて
図3のように制御パターンが2種類に分類されうる(制御パターン1および2)。以下、各制御パターンについて例を挙げて説明する。
(制御パターン1)
【0033】
以下、制御パターン1について説明する。本説明では一例として、出力抑制を開始しようとする時点での各PCS35の出力が1000kWであり、8台のPCS35の全体の出力が8000kWである場合を想定する。また上述した通り、最大受電電力は8580kWであるとする。なお、8台のPCS35は、ほとんど同一と見なせる環境で太陽光発電を行う太陽光パネルからの出力を交流に変換する装置であるので、8台のPCS35はの出力も全て同一であるとみなすことができる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0034】
本例では各PCS35の出力が1000kWであるので、
図3によれば50%ずつ抑制する機能を必ず使用しなければならない。すなわち、8台のPCS35の出力を順番に50%ごと、すなわち500kWごとに低下させる。以下の説明においては、8台のPCS35をそれぞれ“PCS8”、“PCS7”、・・・“PCS1”と称することにする。まず、1台目のPCS8の出力を最初の30秒間で50%(500kW)低下させ、次の30秒間でさらに30秒でさらに50%(500kW)低下させる。これにより、PCS8の出力は1分間で100%から0%となる。次に、PCS7の出力を同様に30秒ごとに50%(500kW)ずつ低下させ、1分間で100%から0%にする。これを、PCS6、PCS5、・・・と順番に行っていくと、最終的に8分後に全てのPCSの出力は0kWとなる。なお、この制御パターンでは、各ステップは30秒幅であり、各ステップごとにPCS35の全体の出力を、500kW/8580kW(最大受電電力)=約5.8%ずつ低下させることになる。すなわち、制御パターン1によれば、非特許文献2に定められている条件を満たすことができる。
【0035】
なお、上述したように、コンピュータ装置20から出力される出力制御情報には、出力制御を行うべき時間帯における太陽光発電システムの発電量の上限値を示す出力上限情報が含まれる。また、本実施形態においては、出力上限情報は最大受電電力に対する割合(%)によって示される。ここで、
図4は、各PCS35の出力が0%になるたびに(8台の)PCS35全体の出力値がいくつになるか、また、この全体出力値が最大受電電力に対して何%になるかを示す図である。
図4の「全体出力値」と「最大受電電力に対する%」の値は、以下の通り算出することができる。
全体出力値=全PCSの現在の合計出力値-1000(各PCSの現在の出力値)×出力が0%になったPCSの台数
最大受電電力に対する%=全体出力値÷最大受電電力×100
【0036】
例えば、PCS8およびPCS7の出力が0%になると、全体出力値は6000kWとなり、この値は最大受電電力の約69.93%となる。例えばコンピュータ装置20から出力される出力制御情報に含まれる出力上限情報が“50%”という値を示している場合、
図4によれば、PCS5の出力が0%になると全体出力値の最大受電電力に対する割合は46.62%となる。すなわち、PCS8からPCS5までを順番に出力値を0%に低下させることで、出力上限情報の値を満たし、PCS4以降の抑制制御は行う必要はない。
【0037】
この時、PLC10の制御指令情報送信部130から送信される制御指令情報は、以下のような内容となる。すなわち、PCS8からPCS5に対する制御指令情報(PCS監視装置8からPCS監視装置5への制御指令情報)は、100%から50%へ出力を低下させ、さらに50%から0%へ出力を低下させる旨の情報となり、PCS4からPCS0に対しては制御指令情報が送信されなくてもよいし、出力抑制を行わない旨の情報が制御指令情報として送信されてもよい。なお、あるPCSの出力を100%から50%へ低下させればPCS35全体の出力値が、出力上限情報が示す上限値を満たす場合には、その後の当該PCSの出力を50%から0%へ低下させる制御は実行されなくてもよい(後述する制御パターン2においても同様である)。
【0038】
より具体的には、例えば、PLSPLC10の出力制御情報取得部110が、出力制御時間帯情報が“9:00~12:30”であり、出力上限情報が“50%”という内容の出力制御情報をコンピュータ装置20から受信したとする。すると、抑制スケジュール情報生成部120は、8台のPCS35の現在の全体出力値によって、制御パターン1または制御パターン2のいずれを採用すべきか(または50%制御を使用するか否か)を判断する。制御パターン1を採用すべきと判断した場合には、PCS8から順番に、各PCSの出力を最初の30秒で100%から50%に低下させ(“抑制制御1”とする)、さらに次の30秒で50%から0%に低下させる(“抑制制御2”とする)、という抑制スケジュールを生成する。また、出力上限情報が“50%”を示すことから、抑制スケジュール情報生成部120は、PCS8からPCS5まで順番に抑制制御1および抑制制御2を行うべきであると判断する。制御指令情報送信部130は、当該抑制スケジュールに応じて、時刻9:00:00に、PCS8を制御するPCS監視装置にPCS8の出力を100%から50%に低下させる旨の制御指令情報を送信する。さらに、時刻9:00:30に、PCS8を制御するPCS監視装置にPCS8の出力を50%から0%に低下させる旨の制御指令情報を送信する。各制御指令情報を受信したPCS監視装置30のPCS制御部310は、時刻9:00:00および時刻9:00:30に送信された制御指令情報に応じてPCS8の出力を50%ずつ抑制する。PCS7以降も同様にして、30秒ごとに抑制制御1および抑制制御2を実行するよう制御指令情報が各PCS監視装置30に送信され、これに応じて各PCS監視装置は各PCSの出力を50%ずつ抑制する。出力抑制を実行しないPCS4以降については、制御指令情報が送信されないようになっていてもよいし、抑制制御を実行しない旨の制御指令情報が送信されるようになっていてもよい。なお、制御指令情報送信部130は、本例のように、出力抑制を行うべきタイミングで抑制すべき出力量(絶対値、現在の出力値に対する割合、等の様々な形式で示されうる)を示す制御指令情報を逐次送信するようになっていてもよいし、出力抑制を行うべきタイミング(時刻、現在から何分後、等の様々な形式で示されうる)と、各タイミングで抑制すべき出力量とを含む制御指令情報を出力抑制を開始するよりも前に予め送信しておくようになっていてもよい。(以下、同様である。)
【0039】
図5は、抑制スケジュールの一例であり、制御パターン1の抑制制御を行う場合の制御指令情報を送信するタイミングを示す図である。
図5の「制御指令情報送信(抑制制御1)」および「制御指令情報送信(抑制制御2)」は抑制制御1および2を実行するための制御指令情報が各PCSに送信されるタイミングを示す(
図5の「No.」が各PCSの番号を示す)。また、「装置状態(抑制制御1)」および「装置状態(抑制制御2)」は、制御指令情報によって各PCSの出力が変化するタイミングを示す。すなわち、本例においては制御指令情報が制御指令情報送信部130から送信されると、ほぼ遅延なく各PCSの出力が変化する。ただし本例はあくまで一例であり、PCSの性能や通信方法などによって、制御指令情報が送信されてから各PCSの出力が変化するまでに遅延が発生する場合がありうる。この場合、遅延を考慮して、出力制御情報の出力制御時間帯情報によって指定される制御開始時刻よりも遅延時間分だけ早く制御指令情報の送信が開始されてもよい(以下に説明する例においても同様である)。
【0040】
また、出力抑制状態を解除する場合も同様である。出力制御時間帯情報によって示される抑制制御終了の時刻が12:30であるので、制御指令情報送信部130は出力が抑制されたPCS8からPCS5について、当該出力の抑制を解除するための制御指令情報を12:30からPCS8~PCS5を管理する各PCS監視装置30に順次送信する。また、この時も、制御指令情報が送信されてから各PCSの出力が復帰するまでに遅延が発生する場合は、当該遅延を考慮して、抑制解除時刻(12:30)よりも遅延時間分だけ早く制御指令情報が送信されてもよい。
(制御パターン2)
【0041】
以下、制御パターン2について説明する。本説明では、一例として、各PCS35の出力が800kWであり、8台のPCS35の全体の出力が6400kWである場合を想定する。制御パターン2は、さらに2つのパターンに分けられる。1つは50%ごとの出力抑制を使用するパターンであり、もう1つは50%ごとの出力抑制を使用しないパターンである。以下、50%ごとの出力抑制を使用する制御パターン2-1と、50%ごとの出力抑制を使用しない制御パターン2-2とについて説明する。
(制御パターン2-1)
【0042】
まず、制御パターン2-1について説明する。本例においても、各PCS35の出力を順番に50%ごと、すなわち400kWごと低下させる。本例でも上述した制御パターン1の例と同様に、PCS8、PCS7、・・・・PCS1の順に、各PCSの出力を最初の30秒間で50%(400kW)低下させ、次の30秒間でさらに30秒でさらに50%(400kW)低下させる。最終的に8分後に全てのPCSの出力は0kWとなる。この制御パターンにおいても、各ステップは30秒幅であり、各ステップごとにPCS35の全体の出力を、400kW/8580kW(最大受電電力)=約4.7%ずつ低下させることになる。すなわち、制御パターン2-1によれば、非特許文献2に定められている条件を満たすことができる。なお、この制御パターンについては上述した制御パターン1と同様に実現することができる。
(制御パターン2-2)
【0043】
次に、制御パターン2-2について説明する。本例においては、各PCS35の出力を順番に100%ごと、すなわち800kWごと低下させる。本例では、PCS8、PCS7、・・・・PCS1の順に、各PCSの出力を30秒~1分間で100%(800kW)低下させる。最終的に8分後に全てのPCSの出力は0kWとなる。この制御パターンにおいては、各ステップは1分間幅であり、各ステップごとにPCS35の全体の出力を、800kW/8580kW(最大受電電力)×100=約9.3%ずつ低下させることになる。すなわち、制御パターン2-2によっても、非特許文献2に定められている条件を満たすことができる。
なお、50%制御を行うか(制御パターン1および制御パターン2-1)50%制御を行わないか(制御パターン2-2)は、例えば、抑制制御開始時のPCS35の全体の出力が最大受電電力の半分以上である場合には50%制御を行い、抑制制御開始時のPCS35の全体の出力が最大受電電力の半分未満である場合には50%制御を行わないと判断するようになっていてもよい。
【0044】
図6は、
図5と同様に抑制スケジュールの一例であり、制御パターン2-2の抑制制御を行う場合の制御指令情報を送信するタイミングを示す図である。
図6の「制御指令情報送信」は各PCSの出力を100%から0%に抑制するための制御指令情報が各PCSに送信されるタイミングを示す。また、「装置状態」は、制御指令情報によって各PCSの出力が変化するタイミングを示す。他の点については
図5と同様である。
【0045】
以上説明したように、制御パターン1、制御パターン2-1、および制御パターン2-2のような制御方法であれば、非特許文献2に定められている条件を満たしつつ太陽光発電システムの発電量を抑制することができる。なお、
図3の条件は、以下のように一般化することができる。
各PCSの出力Xが、最大受電電力kW×10%<XkW、を満たす場合、50%制御を使用して各PCSを順番に停止する(制御パターン1)。
各PCSの出力Xが、0kW<XkW≦最大受電電力kW×10%、を満たす場合、50%制御を使用するか、または使用せずに、各PCSを順番に停止する制御パターン2)。
【0046】
また、送配電事業者のコンピュータ20から出力制御情報がPLC10に送信された場合に、PLC10において50%制御を行うか否かを判断する方法として、以下の方法が用いられうる。
(1)日射量から判断する。
日射計を用いて各PCS35の出力を予測し、予測された各PCS35の出力値の合計が最大受電電力の半分以上である場合には50%制御を行い、当該合計が最大受電電力の半分未満である場合には50%制御を行わないと判断する。
(2)季節と時間とから判断する。
例えば、4月~9月の6時~18時は発電量が大きいことが想定されるため50%制御を行い、1月~3月および10月~12月の8時~16時は発電量が小さいことが想定されるため50%制御を行わないと判断する。
(フロー図)
【0047】
図7は、本実施形態のPLC10における処理の一例を示すフロー図である。
図7のフロー図は、50%制御を行う場合(制御パターン1および制御パターン2-1)に対応する。
【0048】
ステップS110において、出力制御情報取得部110は出力制御情報を取得する。出力制御情報には、出力制御時間帯情報と出力上限情報とが含まれる。ステップS120において、抑制スケジュール情報生成部120は、ステップS110において受信した出力制御情報の出力制御時間帯情報および出力上限情報を用いて、抑制スケジュールを生成する。
ステップS130において、出力抑制するPCS35(PCS監視装置30)の番号kを“8”に設定する。
【0049】
ステップS140において、番号kのPCS監視装置30に制御指令情報を送信する。ここで送信される制御指令情報は、番号kのPCS監視装置30の出力を100%から50%に抑制するものである。
【0050】
30秒経過したら(ステップS150)、ステップS160において、番号kのPCS監視装置30に制御指令情報を送信する。ここで送信される制御指令情報は、番号kのPCS監視装置30の出力を50%から0%に抑制するものである。
30秒経過したら(ステップS170)、ステップS180において、k=k-1とする。
さらに出力抑制が不要となるまで(例えばk=4となるまで)(ステップS190)、ステップS140からの処理を繰り返す。
【0051】
図8は、本実施形態のPLC10における処理の別の例を示すフロー図である。
図8のフロー図は、50%制御を行わない場合(制御パターン2-2。各PCS35の出力値を100%から0%へ制御する場合)に対応する。なお、
図8においては
図7と同一の符号が付されているステップは
図7と同じである。すなわち、ステップS110~S130は
図7と同じである。
【0052】
ステップS210において、番号kのPCS監視装置30に制御指令情報を送信する。ここで送信される制御指令情報は、番号kのPCS監視装置30の出力を100%から0%に抑制するものである。
1分経過したら(ステップS220)、ステップS180において、k=k-1とする。以降、
図7と同様である。
【0053】
図7および
図8に示されるPLC10における処理例を示す処理フロー、およびPCS監視装置30が実行する処理は、一般的によく知られた方法により汎用的なPLCのプログラムとして実現されうる。また、本実施形態においてはPLC10は汎用的PLCであることを想定しているが、一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現可能である。また、PCS監視装置30も一般的なコンピュータ装置と同様のハードウェア構成によって実現可能である。すなわち、例えば、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit)またはマイクロプロセッサ等の電子回路)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、内蔵のハードディスク装置、外付けハードディスク装置、CD、DVD、USBメモリ、メモリスティック、SDカード等に代表されるリムーバブルメモリ、ユーザがコンピュータ装置とデータの入出力を行うための入出力ユーザインタフェース(キーボード、マウス、タッチパネル、スピーカ、マイク、LED(light emitting diode)、等)、他のコンピュータ装置と通信可能な有線/無線の通信インタフェース、およびディスプレイ等を備えるコンピュータ装置であって、プロセッサが、ハードディスク装置、ROM、またはリムーバブルメモリ等の記憶領域に格納されたプログラムをRAM等のメモリ領域に読み出し、処理に必要なデータを、ハードディスク装置、ROM、またはリムーバブルメモリ等の記憶領域から適宜読み出しながらプログラムを実行することで、
図7または
図8の処理、およびPCS監視装置30が実行する処理が実現されうる。
【0054】
また、
図7または
図8の処理、およびPCS監視装置30が実行する処理を実現する当該コンピュータプログラムは、その一部または全てをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶させ、または有線または無線の通信ネットワークを介してダウンロードされることが可能である。
【0055】
以上説明した本実施形態に係る出力抑制方法および出力抑制システムによれば、送配電事業者からの出力抑制の要請に対して、自動的に抑制スケジュールを生成し、複数のPCS35の出力を抑制することができる。また、従来は、送配電事業者からの出力抑制がメールやファクシミリ等によって発電事業者に通知され、発電事業者は当該通知に従って太陽光発電システムを制御するために、発電システム用のスケジュールを作成して太陽光パネルの操作などを行っていた。しかしながら、送配電事業者のコンピュータ装置20から出力制御情報がデータ通信により送信される場合には、従来の煩雑な作業も不要となる。
【0056】
ここまで、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0057】
また、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
以下の実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0058】
(発明1)
コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、
太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得するステップと、
前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成するステップと、
前記抑制スケジュール情報に応じて前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を、複数のPCS(Power Conditioning System)のそれぞれを独立して制御する複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信するステップと、
を備える方法。
(発明2)
前記出力制御情報は、少なくとも、出力抑制を行うべき時間帯を示す出力制御時間帯情報と、当該出力制御を行うべき時間帯における前記太陽光発電システムの発電量の上限値を示す出力上限情報とを含む、(発明1)に記載の方法。
(発明3)
前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を段階的に低下させるための前記抑制スケジュールを生成することを含み、
前記制御指令情報は、当該抑制スケジュールに基づいて前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を低下させる時刻および低下出力量を示す情報を含む、(発明1)または(発明2)に記載の方法。
(発明4)
前記制御指令情報は、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%又は100%の割合で低下させるための情報である、(発明3)に記載の方法。
(発明5)
前記抑制スケジュール情報を生成するステップは、前記複数のPCSの各々の出力値と前記太陽光発電システムの最大受電電力とに応じて、前記複数のPCSの少なくとも一部の出力を50%の割合で低下させるか、又は100%の割合で低下させるかを決定することを含む、(発明4)に記載の方法。
(発明6)
前記制御指令情報を送信するステップは、出力が抑制された前記複数のPCSの少なくとも一部について、当該出力の抑制を解除するための制御指令情報を、前記複数のPCS監視装置の少なくとも一部に送信することを含む、(発明1)から(発明5)のいずれか一項に記載の方法。
(発明7)
(発明1)から(発明6)のいずれか一項に記載の方法を実行するコンピュータ装置。
(発明8)
コンピュータ装置に(発明1)から(発明6)のいずれか一項に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
(発明9)
太陽光発電システムのパワーコンディショナを制御する第1コンピュータ装置によって実行される出力抑制方法であって、
前記太陽光発電システムの発電量を制御するための制御指令情報を外部の第2コンピュータ装置から受信するステップを含み、
前記制御指令情報は、前記第2コンピュータ装置が、前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための出力制御情報を取得し、前記出力制御情報に基づいて前記太陽光発電システムの発電量を抑制するための抑制スケジュール情報を生成し、前記抑制スケジュール情報に応じて前記第1コンピュータ装置を制御するために前記第1コンピュータ装置に送信した情報である、方法。
(発明10)
(発明9)に記載の方法を実行するコンピュータ装置。
(発明11)
コンピュータ装置に(発明9)に記載の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0059】
1…出力抑制システム
10…PLC
110…出力制御情報取得部
120…抑制スケジュール情報生成部
130…制御指令情報送信部
20…コンピュータ装置
210…出力制御情報送信部
30…PCS監視装置
310…PCS制御部
35…PCS