(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023682
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】計数方法、計数システム、計数プログラム
(51)【国際特許分類】
G06M 9/00 20060101AFI20250207BHJP
G06M 11/00 20060101ALI20250207BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20250207BHJP
【FI】
G06M9/00 Z
G06M11/00 D
G06T7/60 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023128025
(22)【出願日】2023-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】515085451
【氏名又は名称】ノアソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 潘源
(72)【発明者】
【氏名】宮 政
(72)【発明者】
【氏名】唐 鵬貴
(72)【発明者】
【氏名】嶺野 和夫
(72)【発明者】
【氏名】張 彬
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA03
5L096FA52
5L096GA19
(57)【要約】
【課題】
積層体に含まれる対象物を精度よく計数する技術を提供すること。
【解決手段】
積層体の積層面の画像データを取得し、前記画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画し、前記所定領域におけるそれぞれの厚み成分を示す信号プロファイルを生成し、前記所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得し、前記厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体に含まれる対象物の計数方法であって、
画像取得工程と、生成工程と、厚み推定工程と、計数工程と、をコンピュータが実行し、
前記画像取得工程は、積層体の積層面の画像データを取得し、
前記生成工程は、前記画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画し、前記所定領域におけるそれぞれの厚み成分を示す信号プロファイルを生成し、
前記厚み推定工程は、前記所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得し、
前記計数工程は、前記厚み成分に基づき前記対象物を計数する、計数方法。
【請求項2】
前記厚み推定工程は、前記信号プロファイルに含まれる前記厚み成分に基づき抽出される信号ピークの分類結果を生成し、
前記計数工程は、前記分類結果のそれぞれの前記信号ピークに対応する厚み成分に基づき前記対象物を計数する、請求項1に記載の計数方法。
【請求項3】
前記厚み推定工程は、所定以上の厚み成分の強度に応じて、前記分類結果における信号プロファイルに含まれる有効値である信号ピークまたは無効値である強度ピークを判定し、
前記分類結果における厚み成分に基づき前記所定領域の境界線を所定数以上検出した場合、前記無効値を前記有効値として判定し、
前記計数工程は、前記有効値と判定された信号プロファイルが示す厚み成分に基づき前記対象物を計数する、請求項2に記載の計数方法。
【請求項4】
ぞれぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルを推定するモデル推定工程を備え、
前記計数工程は、前記計数モデルにより推定される厚み成分に基づき前記対象物を計数する、請求項1~3の何れか一項に記載の計数方法。
【請求項5】
ぞれぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルであって、それぞれの分類結果に対応する複数の計数モデルを推定し、
それぞれの所定領域の厚み成分の実数値と、前記計数モデルによる厚み成分の算出値と、の差分値に基づき、前記分類結果に対応する複数の計数モデルから最適な計数モデルを決定するモデル推定工程を備え、
前記計数工程は、前記計数モデルにより推定される厚み成分に基づき前記対象物を計数する、請求項2又は請求項3に記載の計数方法。
【請求項6】
積層体に含まれる対象物の計数システムであって、
画像取得部と、生成部と、厚み推定部と、計数部と、を備え、
前記画像取得部は、積層体の積層面の画像データを取得し、
前記生成部は、前記画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画し、前記所定領域におけるそれぞれの厚み成分を示す信号プロファイルを生成し、
前記厚み推定部は、前記所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得し、
前記計数部は、前記厚み成分に基づき前記対象物を計数する、計数システム。
【請求項7】
積層体に含まれる対象物の計数プログラムであって、
画像取得部と、生成部と、厚み推定部と、計数部と、としてコンピュータを機能させ、
前記画像取得部は、積層体の積層面の画像データを取得し、
前記生成部は、前記画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画し、前記所定領域におけるそれぞれの厚み成分を示す信号プロファイルを生成し、
前記厚み推定部は、前記所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得し、
前記計数部は、前記厚み成分に基づき前記対象物を計数する、計数プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に含まれる対象物の計数方法、計数システム、計数プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
板状やシート状の物品は、積層状態で保管される。従来、このような物品を積層状態で撮像することで、それら物品を計数する技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、層状パターンの面を有する種々の計数対象物に層状パターンの層数を簡便かつ正確に計数することが可能な技術を開示する。特許文献1では、層状パターンの面を有する計数対象物10の面を撮影した画像である撮影画像11を取得する工程と、撮影画像11の一部の領域である計数対象領域11Aを抽出する工程と、計数対象領域11A内で基点を特定する工程と、基点に基づいて解析領域15を決定し、解析領域15に基づいて層状パターンの層数を計数する工程と、を有する計数方法を開示する。
【0004】
特許文献2では、基板の計数を容易に、しかも高精度に行うことを可能とする技術を開示する。特許文献2では、一方向に積み重ねられた複数枚の基板の端面の画像を取得するステップと、この画像を構成する各画素の輝度を、この画像において一方向と直交する他方向の画素列ごとに積算して積算値を算出するステップと、この積算値に基づいて画像内の基板を検出するステップと、検出された基板の枚数を計数して計数値を取得するステップと、を有する基板計数方法を開示する。特許文献2では、各画素の輝度を、画像の水平方向(X’軸方向)の画素列ごとに積算して積算値(水平射影値)とすること、更には、エッジ射影値とすることで、基板の厚さや、基板の境界位置、基板の中心位置を算出することが記載されている。
【0005】
特許文献3では、積層された合板の枚数測定作業を自動化し、積層枚数の測定精度を、従来よりも作業性よく経済的に向上可能な積層された合板の枚数測定にかかる技術を開示する。特許文献3では、色の異なる複数種類の薄板材12、13を貼り合わせて構成された合板11を複数枚積層した状態で、その積層枚数を測定可能な積層された合板の枚数測定装置10及びその枚数測定方法であり、撮像手段15により合板11の側面を撮像し、情報処理手段17により、撮像手段15で撮像した積層された合板11の画像から得られた輝度値を用いて、各合板11を構成する薄板材12、13の種類を判別し、合板11の積層枚数を算出することが開示される。特許文献3では、積層体の面を撮像した画像データ処理として、積層体の境界を強調する各種画像処理を行い、板状体間の距離計算、基準ピッチを算出する処理を行うこと、基準ピッチとは基板の厚みに所定の許容値を加味した値であること、ここで算出した基準ピッチを参照して1枚当たりの板状体を特定する候補点Pを付与し、開始位置と判断される候補点Pを確定点P´とすることで、それに連続する複数の候補点を確定点として処理することで、板状体の枚数を計数することが開示されている。
【0006】
特許文献4では、折り加工された複数の用紙1を揃え、光を照射して背部2に輝部5を、背間の凹部に影部6を生じさせ、テレビカメラ7で撮像し、得られた画像信号をアナログ-デジタル変換回路9によって各色に対して多値化した色の強さの信号に変換し、水平走査線1本分を構成する各構成点の色の強さの信号を、算出された基準となる二つの屈曲線と各構成点の色の強さを比較し構成点が下の基準値を越え下の基準値を下方向に越えることなく上の基準値を上方向に越えその後下の基準値を下方向に越えることで一つの非影部と積算し他端まで比較を繰り返し非影部の個数を積算し非影部を用紙の背部分すなわち用紙枚数を計数することが開示されている。
【0007】
特許文献5では、ガラス板Gの厚さに基づき基準ピッチを算出し、前記基準ピッチと等しい候補点を確定点として算出し、算出した全ての確定点を計数する。つまり、ラインセンサ48によって受光した画像内にガラス板Gが存在していると認識し、そのガラス板Gの枚数を計数する板状体積層体の板状体計数装置が開示されている。
【0008】
特許文献6では、2次元イメージセンサカメラ12が、積層されたコンパクトディスク2の側面の画像を2次元画像データとして出力し、画像処理装置14が、この2次元画像データからコンパクトディスクの枚数を算出する積層枚数計数装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2021-071921号公報
【特許文献2】特開2015-228094号公報
【特許文献3】特開2018-036950号公報
【特許文献4】特開2014-002701号公報
【特許文献5】特開2014-032431号公報
【特許文献6】特開平05-197851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
画像認識による積層体に含まれる板状またはシート状の対象物の計数は、正確な枚数の計数の精度に改善の余地があった。特に、鋼板のような材質の対象物は、面内(幅方向)でたわみが生じ、対象物の間に隙間が発生することから、正確に計数できないことが課題であった。
【0011】
本発明は、上述した課題に鑑みて、積層体に含まれる対象物を精度よく計数する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明は、積層体に含まれる対象物の計数方法であって、画像取得工程と、生成工程と、厚み推定工程と、計数工程と、をコンピュータが実行し、前記画像取得工程は、積層体の積層面の画像データを取得し、前記生成工程は、前記画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画し、前記所定領域におけるそれぞれの厚み成分を示す信号プロファイルを生成し、前記厚み推定工程は、前記所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得し、前記計数工程は、前記厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
【0013】
このような構成とすることで、積層面の積層方向及び幅方向の所定領域からそれぞれから推定される厚み成分に基づく計数とすることで、領域別に変化する厚みに対応した精度のよい対象物の計数を実現することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記厚み推定工程は、前記信号プロファイルに含まれる前記厚み成分に基づき抽出される信号ピークの分類結果を生成し、前記計数工程は、前記分類結果のそれぞれの前記信号ピークに対応する厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
このような構成とすることで、信号ピークが真の厚み成分である確率が高くなるように信号ピークを分類することができるため、最適な分類結果の信号ピークに対応する厚み成分を用いて精度よく計数を行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記厚み推定工程は、所定以上の厚み成分の強度に応じて、前記分類結果における信号プロファイルに含まれる有効値である信号ピークまたは無効値である強度ピークを判定し、前記分類結果における厚み成分に基づき前記所定領域の境界線を所定数以上検出した場合、前記無効値を有効値として判定し、前記計数工程は、前記有効値と判定された信号プロファイルが示す厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
このような構成とすることで、分類結果に含まれる適切な有効値を採用することで、最適な厚み成分によって精度よく計数を行うことができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、ぞれぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルを推定するモデル推定工程を備え、前記計数工程は、前記計数モデルにより推定される厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
このような構成とすることで、所定領域のそれぞれの厚み成分を反映させた計数モデルを用いることで、最適な厚み成分を参照した計数を実現することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、ぞれぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルであって、それぞれの分類結果に対応する複数の計数モデルを推定し、それぞれの所定領域の厚み成分の実数値と、前記計数モデルによる厚み成分の算出値と、の差分値に基づき、前記分類結果に対応する複数の計数モデルから最適な計数モデルを決定するモデル推定工程を備え、前記計数工程は、前記計数モデルにより推定される厚み成分に基づき前記対象物を計数する。
このような構成とすることで、厚み成分の算出値と実数値の差分値により最適な計数モデルを採用し、より精度のよい計数を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、積層体に含まれる対象物を精度よく計数する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】本実施形態の計数装置の全体の処理フローチャート。
【
図4】本実施形態の信号プロファイル生成のイメージ。
【
図5】本実施形態の生成工程の処理フローチャート。
【
図7】本実施形態の厚み推定工程の処理フローチャート。
【
図9】本実施形態のモデル推定工程の処理フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関する計数システムおよび計数方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0021】
本実施形態では、計数システム、計数装置の構成、動作等について説明するが、同様の構成の計数方法、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを記録したプログラム記録媒体等も、同様の作用効果を奏する。プログラム記録媒体を用いれば、例えば、コンピュータに当該プログラムをインストールすることができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0022】
計数システムは、コンピュータ装置により構成される。コンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置および記憶装置を有する。当該コンピュータ装置は、記憶装置に格納される計数プログラムを、演算装置により実行することで、当該コンピュータ装置を計数装置として機能させることができる。計数方法は、計数装置を含むコンピュータ装置の処理により実現される。
【0023】
本実施形態において、計数の対象物は、積層状態により保管などが可能な板状、シート状の物品である。対象物の材質は、特に制限されないが、本発明は、鋼板のように面内にたわみが生じやすい物品においても精度のよい計数を実現できる。
【0024】
本実施形態において、積層体は、計数の対象物を含む。積層体とは、複数の対象物が積層状態にあり、それらが一体となったものを指す。対象物は、一方向に積層されることで積層体を構成する。積層体の側面(以下、積層面とする)は、対象物の層数を観察可能であり、積層面の層数によって対象物の数量を計数できる。なお、積層の方向は、限定されず、垂直方向や水平方向など何れであってもよい。
【0025】
本実施形態において、積層面を撮像した画像データによって対象物を計数する。計数に用いる画像データは、積層面の少なくとも積層方向に積層体の全体が撮像されたデータであることが好ましい。ただし、計数に用いる画像データは、積層方向に積層体の部分が撮像されたデータであることを制限しない。また、計数に用いる画像データは、例えば、部分的データを複数組み合わせることで積層体の全体像が把握できるデータであってもよい。対象物の厚みは、画像データの画素によりそれぞれの対象物を判別できる厚みであれば特に制限されない。したがって、計数可能な対象物の厚みは、画像データの撮像方法(距離など)や撮像装置の解像度に依存する。
【0026】
図1は、計数システム1のブロック図を示す。計数システム1は、計数装置2と、撮像装置3と、を備える。計数装置2は、撮像装置3により撮像された画像データを有線通信又は無線通信により取得可能に構成されている。なお、計数装置2は、撮像装置3を内蔵し、画像データを取得する態様であってもよい。
【0027】
計数装置2は、機能構成要素として、画像データを取得する画像取得部21と、画像データに基づいて信号プロファイルを生成する生成部22と、信号プロファイルに基づいて推定される厚み成分を取得する厚み推定部23と、厚み成分に基づいて計数モデルを推定するモデル推定部24と、厚み成分に基づき対象物を計数する計数部25と、計数結果を出力する出力部26と、を備える。また、計数装置2は、データベースとしての記憶部DBを備える。記憶部DBは、計数装置2の内部又は外部に備えられ、計数装置2との間で各種データ通信可能な態様であれば、図示例の構成に限定されない。
【0028】
制御部27は、各構成部に接続され、制御指示することで各構成部を制御する。また、制御部27は、記憶部DBと接続され、各種データの記憶および読み出しを実行可能に構成されている。以下の説明において、計数装置2における各機能構成部の動作について不明確とならない限り、制御部27の介在を省略する。
【0029】
計数装置2は、利用者による操作入力を受け付け可能に構成される。計数装置2は、操作入力によって、撮像装置3より画像データを取得する処理、計数対象とする画像データを選択する処理などを、制御部27を介して画像取得部21を制御することで実現する。
【0030】
撮像装置3は、カメラや、カメラ機能を搭載した端末装置などであって、画像データを撮像することができる。撮像装置3は、有線通信、無線通信などにより画像データを計数装置2に送信可能である。なお、撮像装置3により撮像された画像データは、インターネット通信網などを介して計数装置2により取得される態様であってもよい。
図1において、撮像装置3は、1つのみ示したが、複数存在してもよい。
【0031】
図2は、計数装置2のハードウェア構成図を示す。計数装置2は、ハードウェア構成として、制御装置201と、記憶装置202と、通信装置203と、入力装置204と、出力装置205と、を備える。本実施形態において、計数装置2は、サーバ装置、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、計数装置2は、複数のコンピュータ装置により構成され、全体として上述の機能構成要素(21-27)を実現できればよく、
図2に示す構成に限定されるものではない。
【0032】
制御装置201は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、計数プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、計数装置2における全体処理を制御する。記憶装置202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などであって、計数プログラムおよび各種データを記憶する。通信装置203は、有線通信、無線通信などの通信インターフェイスであって、撮像装置3を含む外部装置とのデータ通信の制御を行う。また、通信装置203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行うことで、外部装置とのデータ通信を行うことができるものとする。
【0033】
入力装置204は、利用者による操作入力を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどの少なくとも1つ以上により構成される。出力装置205は、制御装置201による処理結果を出力するディスプレイ、スピーカなどの少なくとも何れか一方により構成される。
【0034】
図3は、計数装置2による全体処理にかかるフローチャートを示す。
【0035】
画像取得部21は、撮像装置3により撮像された積層体の積層面の画像データを取得する(S11、画像取得工程)。画像取得部21は、画像データに含まれる積層面を対象領域として検出し、該対象領域にかかる画像データを更に取得してもよい。ここで、画像取得部21は、計数に用いる積層面の領域と、計数に用いないその他の領域と、をそれぞれ画像認識により検出し、計数に用いる積層面の領域を対象領域とする。画像認識は、ニューラルネットワークなどの機械学習済モデルを用いることができる。なお、モデルの種類に限定はない。画像取得部21は、画像データを機械学習済モデルに入力し、対象領域にかかる画像データを出力として取得することができる。
【0036】
画像取得部21は、画像データを続く工程において画像処理しやすくするための画像補正処理を実行してもよい。画像補正処理は、台形補正などであって、画像データに含まれる積層面が台形の領域である場合、これを矩形の領域として補正する処理を含む。
【0037】
生成部22は、取得した画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画する(S12、生成工程)。複数の所定領域は、縦横(積層方向、幅方向)のそれぞれに対する任意の区画数により設定される。例えば、区画数は、画像データを縦2、横1に区画する場合、2x1となり、区画後の区画画像数は2となる。区画画像数は、複数であれば制限はなく、例えば、1x2、2x2、4x4、6x4などを設定可能とする。ここで、画像データから区画された1枚の画像は、画像データとの区別のため、区画画像(所定領域)と定義される。なお、区画数は、積層方向及び幅方向のそれぞれに対して複数(縦2以上、横2以上)とすることが好ましい。
【0038】
生成部22は、区画画像のそれぞれの厚み成分の信号プロファイルを生成する(S12、生成工程)。生成工程S12は、後に
図5を参酌しながら詳述する。
【0039】
本実施形態において、信号プロファイルは、区画画像の濃淡データを2次元フーリエ変換することで得られ、横軸は周波数(1/z)、縦軸は厚み成分の強度(I)を示す。周波数は、厚み成分(z)の逆数を示す。なお、厚み成分(z)は、対象物1枚当たりの厚みの値を示す。信号プロファイルにおける厚み成分の強度(I)は、区画画像において当該厚み成分であることの確からしさを示す強度である。
【0040】
図4(a)は、画像データの参考図である。
図4(a)において、画像データは、積層体の幅方向をx、積層方向をyとする。画像データにおける幅方向及び積層方向の位置は、画像成分(x、y)として定義される。
【0041】
図4(b)は、画像データを所定領域に区画した区画画像の参考図である。
図4(b)において、区画数は、4x4であり、区画画像数は、16枚である。ここで、区画画像は、破線により区画されたそれぞれの領域である。なお、破線による区画は、説明のために付したものであり、実際の区画画像に破線は存在しない。
【0042】
図4(c)は、
図4(b)における1つの区画画像の濃淡データを示す。濃淡データは、区画画像のX座標中心におけるY座標の画像の濃淡を示す。
図4(c)では、縦軸はY座標、横軸は濃淡の値を示す。濃淡データは、
図4(b)における16の区画画像に対応する16のデータとして得られる。
【0043】
図4(d)は、区画画像の厚み成分の信号プロファイルの参考図である。本実施形態において、信号プロファイルは、濃淡データを2次元フーリエ変換することで得られる。ここで、信号プロファイルは、
図4(c)における16の濃淡データに対応する16の信号プロファイルが得られる。信号プロファイルは、横軸が周波数(1/z)であり、縦軸が厚み成分の強度(I)のデータに変換されている。このように、信号プロファイルに基づいて、それぞれの所定領域における厚み成分が得られる。対象物の内面のたわみや画像歪みがない理想的な所定領域では、1つの厚み成分が1つの強度ピークとして得られるが、実際は内面のたわみや画像歪みなどにより複数の厚み成分(z)がそれぞれの厚み成分に対応する強度ピークとして得られることが多い。信号プロファイルに含まれる複数の厚み成分(z)は、無差別かつ不確定であるため、その中から真の厚み成分(z)として適切な候補を1又は複数に絞り込むことが好ましい。
【0044】
厚み推定部23は、所定領域のそれぞれから推定される厚み成分を取得する(S13、厚み推定工程)。厚み推定部23は、信号プロファイルが示すそれぞれの所定領域の厚み成分に基づき抽出される信号ピークを分類し、1又は複数の分類結果を生成する。厚み推定部23は、信号プロファイルの信号ピークの分類結果として、複数の厚み成分の推定値を出力することができる。厚み推定工程S13は、後に
図7を参酌しながら詳述する。
【0045】
モデル推定部24は、それぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルを推定する(S14、モデル推定工程)。本実施形態において、計数モデルは、画像成分(x、y)に対する厚み成分(z)を出力することができる。本実施形態において、モデル推定部24は、厚み推定部23により生成されたそれぞれの分類結果に対応する1又は複数の計数モデルを推定することができる。モデル推定部24は、推定された計数モデルが複数の場合、推定された複数の計数モデルから最適な計数モデルを決定する。なお、モデル推定部24は、推定された計数モデルが1つの場合、当該計数モデルを採用し得る。モデル推定工程S14は、後に
図9を参照しながら詳述する。
【0046】
計数部25は、それぞれの所定領域の厚み成分に基づき対象物を計数する(S15、計数工程)。計数部25は、例えば、所定領域ごとの厚み成分に基づき対象物の境界線を検出することで、所定領域ごとに対象物を計数する。計数部25は、積層方向の所定領域の計数結果の和によって、対象物の総数を算出することができる。なお、このとき、モデル推定工程S14は省略可能であってよく、厚み推定工程S13により推定されたそれぞれの所定領域の厚み成分に基づき対象物を計数するものとする。また、モデル推定工程S14を省略する場合、モデル推定部24は、不要となる。
【0047】
計数部25は、計数モデルにより推定された厚み成分に基づき対象物を計数することができる(S15、計数工程)。計数モデルは、対象の画像データにおける座標(x,y)に対応して変化し得る厚み成分の指標を示す。計数部25は、対象の画像データの座標(x、y)ごとに計数モデルにより導出される厚み成分(z)を参照し、厚み方向(積層方向)に対象物の境界を識別することによって対象物の総数を算出することができる。
【0048】
出力部26は、計数部25による対象物の総数にかかる計数結果に基づき出力する(S16、出力工程)。出力部26は、計数結果を出力装置205のディスプレイなどの表示や、スピーカなどより発する音声として出力する。
【0049】
図5は、生成工程S12による生成処理にかかる処理フローチャートを示す。
【0050】
生成部22は、画像データを積層方向及び幅方向に対して複数の所定領域に区画する(S21)。
【0051】
生成部22は、区画したそれぞれの所定領域を二値化する画像処理を実行する(S22)。ここで、画像処理は、後述の変換処理に適したデータとするための処理であれば、処理の態様は限定されない。
【0052】
生成部22は、それぞれの所定領域を、周波数を示す信号プロファイルに変換する(S23)。本実施形態において、生成部22は、所定領域を2次元フーリエ変換処理することで、画像成分(x、y)を厚み成分(z)の逆数である周波数(1/z)に変換する。周波数変換によって、信号プロファイルは、横軸として周波数(1/z)、縦軸として厚み成分の強度(I)のデータとなる。
【0053】
生成部22は、それぞれの信号プロファイルの信号ピークを判定する(S24)。本実施形態において、厚み成分の強度(I)に対して所定の閾値が設定され、生成部22は、当該閾値を超える厚み成分の強度(I)を信号ピークとして判定する。信号ピークは、閾値を超える高い厚み成分の強度を有する所定の厚み成分を表す。信号ピークは、信号プロファイルに含まれる強度ピークから閾値によって抽出される。
【0054】
生成部22は、全ての所定領域(区画)に対してS22~S24の処理を完了したかを判定し、完了した場合(S25でYES)、処理を完了する。生成部22は、全区画に対して処理を完了していない場合(S25でNO)、次の区画に対して、S22に戻り処理を実行する。
【0055】
図6(a)は、所定領域における信号プロファイルを例示する。ここで信号プロファイルは、横軸は周波数(1/z)であり、縦軸は厚み成分の強度(I)を示す。厚み成分は、周波数の逆数であるため、
図6(a)の左側に近づく程に厚み成分(z)は大きく、右側に近づく程、厚み成分(z)は小さくなる。
【0056】
図6(b)は、S24の信号ピークを判定した信号プロファイルの概要図を示す。厚み成分の強度に対する閾値は、第1の閾値I1、第2の閾値I2を例示する。例えば、第1の閾値I1を採用する場合、信号ピークP1が判定され、第2の閾値I2を採用する場合、信号ピークP1、P2が判定される。これらの厚み成分の強度に対する閾値は、利用者によって任意に設定可能であってよい。
【0057】
図7は、厚み推定工程S13による厚み推定処理にかかる処理フローチャートを示す。
【0058】
厚み推定部23は、生成部22により生成された信号プロファイルに含まれる信号ピークを分類する(S31)。厚み推定部23は、信号プロファイルに含まれるそれぞれの所定領域における厚み成分(z)に基づき信号ピークを分類し、分類結果を生成する。厚み推定部23は、信号プロファイル間で厚み成分(z)が類似する信号ピークを1のグループとして分類する。したがって、厚み推定部23は、信号プロファイル間で分類結果に関連付けられている厚み成分又は厚み成分の範囲に基づいて、信号ピークを分類する。厚み推定部23は、信号ピークに対応する厚み成分を出力することができる。分類の手法は、既存のクラスタリングのアルゴリズムを採用することができ、例えば、k-means法などを採用することができる。
【0059】
厚み推定部23は、各分類結果に関連付けられた厚み成分を参照し、全ての信号プロファイルに対して無効値であるか判定する(S32)。例えば、厚み成分0.2として分類された分類結果の場合、対象の信号プロファイルに厚み成分0.2に相当する強度ピークが含まれる場合に有効値となり、該強度ピークが含まれない場合に無効値となる。
【0060】
厚み推定部23は、対象の信号プロファイルが無効値である場合(S32でYES)、当該信号プロファイルに対応する所定領域において境界線検出処理を実行する(S33)。境界線検出処理は、所定領域の積層方向に対する画像走査による検出処理であって、分類結果に関連付けられた厚み成分によって当該所定領域において境界線を検出できるか判定する。また、境界線を検出できる場合、境界線数を判定する。
【0061】
厚み推定部23は、S33により境界線数が閾値を超えるものか判定する(S34)。この閾値は、境界線の本数に対する値であって、対象物の厚みや所定領域の画像サイズに応じて調整可能であってよい。
【0062】
厚み推定部23は、境界線数が閾値を超える場合(S34でYES)、無効値とされた信号プロファイルに含まれる信号ピークを有効値として判定する(S35)。なお、厚み推定部23は、境界線数が閾値を超えない場合(S34でNO)、無効値とされた信号プロファイルに含まれる信号ピークを無効値として確定させる。
【0063】
厚み推定部23は、同一として分類された全ての所定区画の信号プロファイルに対してS32の無効値の判定処理を完了したかを判定し、完了した場合(S36でYES)、続くS37の処理に進む。厚み推定部23は、全区画に対して処理を完了していない場合(S36でNO)、次の区画に対して、S32に戻り無効値の判定処理を実行する。
【0064】
厚み推定部23は、全ての分類結果の全ての所定区画の信号プロファイルに対してS32の無効値の判定処理を完了したかを判定し、完了した場合(S37でYES)、処理を完了する。厚み推定部23は、全分類結果に対して処理を完了していない場合(S37でNO)、他の分類結果に対して、S32に戻り無効値の判定処理を実行する。
【0065】
図8は、厚み推定工程における信号プロファイルに含まれる信号ピークの分類の概要説明図である。
図8において、信号プロファイルは区画画像数が3x3の例を示すが、これに限定されない。
図8(c)~(f)において、網掛けの信号プロファイルは、同じ分類に該当する信号ピークが有効値であることを示す。
【0066】
図8(a)は、
図5のS24において、信号プロファイルに対して信号ピークを判定した結果を示す。信号プロファイルS1では、信号ピークP1、P2が判定され、信号プロファイルS2では、信号ピークP3が判定され、信号プロファイルS3では、信号ピークP4が判定されている。
【0067】
図8(b)は、
図7のS31において、それぞれの信号プロファイルの信号ピークを分類した結果を示す。信号プロファイルS1では、信号ピークP1は、第1の信号分類G1に分類され、信号ピークP2は、第2の信号分類G2に分類され、信号プロファイルS2では、信号ピークP3は、第2の信号分類G2に分類され、信号プロファイルS3では、信号ピークP4は、第3の信号分類G3に分類されている。ここで、信号ピークP2、P3は、類似している厚み成分(z)であることから、同じ第2の信号分類G2に分類されている。
【0068】
図8(c)は、第1の信号分類G1の分類結果を示す。第1の信号分類G1の分類結果は、信号プロファイルS1、S5に含まれる第1の信号分類G1に該当する信号ピークを有効値とし、他の信号プロファイルに含まれる第1の信号分類G1に該当する強度ピークを無効値としている。
【0069】
図8(d)は、第2の信号分類G2の分類結果を示す。第2の信号分類G2の分類結果は、信号プロファイルS1、S2、S5に含まれる第2の信号分類G2に該当する信号ピークを有効値とし、他の信号プロファイルに含まれる第2の信号分類G2に該当する強度ピークを無効値としている。
【0070】
図8(e)は、第3の信号分類G3の分類結果を示す。第3の信号分類G3の分類結果は、信号プロファイルS3、S4、S6、S7、S8、S9に含まれる第3の信号分類G3に該当する信号ピークを有効値とし、他の信号プロファイルに含まれる第3の信号分類G3に該当する強度ピークを無効値としている。
【0071】
図8(f)は、
図8(c)の第1の信号分類G1の分類結果に含まれる無効値を有効化する
図7の処理を実行後の第1の信号分類G1の分類結果を示す。ここで、信号プロファイルS3について、信号ピークP5が新たに有効値として判定されている。信号プロファイルS3の第1の信号分類G1に該当する強度ピークは、無効値であったが、仮に有効な信号ピークであると仮定してS33の境界線検出を実行した結果として、S34で有効と判定され、S35で無効値である強度ピークから有効値である信号ピークへと更新されている。
図8(f)では、当初より有効値であった信号プロファイルS1、S5の第1の信号分類G1に該当する信号ピークの他、当初は無効値であった信号プロファイルS2以外の第1の信号分類G1に該当する強度ピーク等について、有効な信号ピークP5と判定されている。このように、
図7の処理は、S24で見落とされた強度ピークを有効な信号ピークとして復活(有効化)させることにより、真の厚み成分を検出する効果がある。
【0072】
図9は、モデル推定工程S14のモデル推定処理にかかる処理フローチャートを示す。
【0073】
モデル推定部24は、モデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルを推定する(S41)。計数モデルは、画像データの画像成分の座標(x、y)における厚み成分(z)を導出するために用いられる。一態様として、モデル推定部24は、それぞれの所定領域の厚み成分を含む入力値によってモデルのパラメータを算出し、当該パラメータを有する計数モデルを推定する。ここで、入力値は、それぞれの所定領域の画像成分の基準値を含むものとする。画像成分の基準値は、例えば、それぞれの所定領域の中心座標などを採用できるが、これに限定されず、それぞれの所定領域において統一で設定された任意の座標であってよい。
【0074】
計数モデルは、関数または機械学習済モデルを採用することができる。ここで、計数モデルは、厚み成分(z)を取得できるものであれば、モデルの種別によって制限されない。
【0075】
本実施形態において、モデルは、2次曲面を生成可能な関数を採用する。本実施形態にかかる関数は、式(1)の通りである。ここで、式(1)のx、yは、所定領域に分割前の画像における座標(x、y)に対応し、式(1)のzは、座標(x、y)における厚み成分(z)に対応する。なお、式(1)のα、β、γ、δ、ε、ζは、それぞれ係数を示す。所定領域の画像成分は、例えば、所定領域の中心位置の値を採用する。モデル推定部24は、同じ信号分類に属する信号ピークの全ての(x、y、z)を式(1)のパラメータを導出するための入力とし、それぞれの入力を近似するように係数を調整する。係数の調整によって、計数モデルのパラメータα’、β’、γ’、δ’、ε’、ζ’が導出されることで、特定の信号分類において成立する計数モデルが生成される。
【0076】
【0077】
本実施形態において、導出されたパラメータを有する計数モデルは、画像成分(x、y)に対応して変化する厚み成分の推定値(z)の2次曲面を示すものとなる。
【0078】
モデル推定部24は、厚み成分の実数値と、計数モデルによる厚み成分の算出値と、に基づく差分値を導出する(S42)。差分値は、生成した計数モデルを評価するために用いられる。具体的には、モデル推定部24は、推定された計数モデルに対して、所定領域の画像成分の基準値(x、y)を入力することで、計数モデルから厚み成分の算出値を得る。モデル推定部24は、計数モデルの生成に使用した対応する所定領域の厚み成分の実数値を保有する。厚み成分の実数値は、信号ピークに対応する厚み成分であってもよい。モデル推定部24は、厚み成分の実数値と厚み成分の算出値の差分を算出する。モデル推定部24は、全ての所定領域で同様に差分を算出し、それら差分の総和として差分値を導出する。差分値は、計数モデルの精度指標となり得る。
【0079】
モデル推定部24は、全ての分類結果に対してS41、S42の処理を実行する(S43)。
【0080】
モデル推定部24は、それぞれの分類結果に対応する差分値に基づき、最適な計数モデルを決定する(S44)。例えば、分類結果が3つであれば、3つの計数モデルが推定され、それぞれの差分値がS42で導出される。モデル推定部24は、差分値が最も小さい計数モデルを実数値との差分が小さく精度がよいものとして採用することができる。
【0081】
このように、複数の厚み成分の分類結果から推定される複数の計数モデルの中から最適なものを採用する態様とすることで、計数の精度を高めることができる。
【0082】
計数部25は、計数モデルを参照しながら、対象物の計数処理を実行する。
図10は、2次曲面を示す計数モデルのイメージ図である。
図10において、画像成分(x、y)に対応する厚み成分(z)が2次曲面として示されている。計数部25は、2次曲面を用いて、画像データにおける画像成分(x、y)に対する厚み成分の推定値(z)を参照しながら、対象物の計数を実行する。このように、計数モデルを参照することで、幅方向(x)や積層方向(y)によって変化する厚み(z)に対応して精度よく対象物を計数することを実現する。
【0083】
本実施形態において、計数部25は、2次曲面を参照し、画像データにおける対象物を計数する。具体的には、計数部25は、画像データにおける対象物の境界線の検出において2次曲面を参照する。一例として、まず、計数部25は、画像データの中心付近の基準位置において、その画像成分の座標(x、y)を2次曲面に代入することで基準位置の厚み成分(z)を算出する。次に、計数部25は、算出した厚み成分を手がかりに積層方向に画像データを探索することにより、算出した厚み成分(z)と一致する積層板の厚みを有する対象物の境界線を検出する。続けて、計数部25は、検出した境界線付近の座標(x、y)を2次曲面に代入することで当該位置における厚み成分(z)を算出する。なお、ここで、境界線付近の座標(x、y)は、当該境界線から積層方向にz/2(厚み成分の半値)を加算した位置であってよい。計数部25は、検出済みの境界線から算出した厚み成分(z)だけ積層方向に加算した位置で次の境界線を探索する。これらの処理を積層方向の上下端まで繰り返すことで、画像成分に応じて変化する厚み成分によって、積層体に含まれるすべての対象物の計数を精度よく行うことができる。
【0084】
<実施形態2>
図11は、実施形態2における計数システム10のブロック図を示す。計数システム10は、
図11によると、計数装置11と、端末装置12と、を備え、これらが通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。ここで、端末装置12は、複数存在することができる。
【0085】
端末装置12は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータなどを用いることができる。端末装置12は、撮像装置を備える構成であることが好ましい。実施形態2において、端末装置12は、計数の対象とする画像データを計数装置11に対して送信する。
【0086】
計数装置11は、サーバ装置などのコンピュータを用いることができる。計数装置11は、1の装置、または、複数の装置の組み合わせにより構成される。計数装置11は、例えば、クラウドサーバなどの態様をとることができる。
【0087】
計数装置11は、計数装置2と同様の機能構成要素(21-26)を備える。なお、機能構成要素の一部は、端末装置12により実現されてもよいものとする。計数装置11は、端末装置12より画像データを受信し、該画像データにおける対象物を計数する。計数装置11は、計数結果を端末装置12に送信する。
【0088】
端末装置12は、計数装置11より計数結果を受信し、その結果を出力装置としてのディスプレイなどに表示することができる。
【0089】
実施形態2の計数システム10は、例えば、ウェブサービスの態様をとることで、利用者は、端末装置12を用いて対象物の計数結果を取得することを好適に支援することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 計数システム
2 計数装置
21 画像取得部
22 生成部
23 厚み推定部
24 モデル推定部
25 計数部
26 出力部
27 制御部
DB 記憶部
3 撮像装置
10 計数システム
11 計数装置
12 端末装置
NW 通信ネットワーク