(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023815
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】配車システム及び配車プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20250207BHJP
G06Q 10/0631 20230101ALI20250207BHJP
G06Q 10/109 20230101ALI20250207BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/0631
G06Q10/109
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024104430
(22)【出願日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】P 2023128194
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】517207945
【氏名又は名称】日本情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173679
【弁理士】
【氏名又は名称】備後 元晴
(72)【発明者】
【氏名】肥沼 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】岸 公昭
【テーマコード(参考)】
5L010
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L050CC52
(57)【要約】
【課題】配車計画の突発的な変更による配車担当者の負担を最小限に抑えつつ、乗務員への円滑な意思伝達を可能にした配車システムを提供すること。
【解決手段】配車システム1は、ディスプレイ部12及び当該ディスプレイ部12の表面に配置されたタッチパネル部13を有する電子ボード10と、配車計画を作成してディスプレイ部12に表示させる管理装置20と、を有し、管理装置20は、配車計画に含まれる乗務員名、車両情報及びコース情報を入力する項目に、担当者が、タッチパネル部13を操作して、乗務員名、車両情報及びコース情報が記載された札画像を移動させながら各項目に札画像を配置することによって配車計画を作成させる配車計画作成支援部204と、タッチパネル部13の操作によって入力された乗務員に宛てた情報をディスプレイ部12に表示させる乗務員宛情報表示制御部206と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配車計画を表示可能な少なくとも1台の端末と、
前記少なくとも1台の端末での入力操作に応じて各種処理を実行する管理装置と、を備え、
前記管理装置は、
配車担当者が前記少なくとも1台の端末のいずれかを操作して、前記配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、前記乗務員、前記車両、及び前記配送先を入力する項目に前記札画像を配置する操作の情報を受信する配置操作受信部と、
前記配置操作受信部によって受信された情報に基づいて前記配車計画を作成させる配車計画作成部と、
前記配車計画作成部によって作成された配車計画を含む配車情報を、前記少なくとも1台の端末のうちタッチ操作による入力が可能な電子ボードに表示させる情報表示制御部と、
を有し、
前記管理装置は、前記配車担当者の操作によって入力された複数の前記乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を受信する個別情報受信部をさらに有し、
前記情報表示制御部は、前記個別情報を、対応する乗務員の配車計画とともに所定のタイミングで前記電子ボードに表示させる、
配車システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記乗務員が出勤時に行う前記電子ボードを介した所定の操作を受信した場合に、出勤時間の打刻を行う出勤時間打刻部をさらに有する、請求項1記載の配車システム。
【請求項3】
前記管理装置の前記情報表示制御部は、前記乗務員に係る前記所定の操作を受信した場合に、所定期間における前記乗務員の労働可能時間の残余の目安を前記電子ボードに表示させる、請求項2記載の配車システム。
【請求項4】
配車計画を表示可能な少なくとも1台の端末に、
前記少なくとも1台の端末のいずれかを配車担当者が操作して、前記配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、前記乗務員、前記車両、及び前記配送先を入力する項目に前記札画像を配置する操作を行わせる配置操作指令ステップと、
前記札画像の配置操作を管理装置に送信させる配置操作送信ステップと、
前記配車担当者の操作によって入力された複数の前記乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を管理装置に送信させる個別情報送信ステップと、
を実行させ、
前記少なくとも1台の端末のうちタッチ操作による入力が可能な電子ボードに、
前記配置操作送信ステップにおいて送信された情報に基づいて前記管理装置で作成された配車計画を含む配車情報を表示させる情報表示制御ステップを実行させ、
前記情報表示制御ステップは、前記個別情報を、対応する乗務員の配車計画とともに所定のタイミングで前記電子ボードに表示させる、
配車プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送業での配車計画に係る情報を乗務員に提供する配車システム及び配車プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
運送業での配車計画は、現在でも完全アナログ型であることが多い。完全アナログ型の例として、配車板と通称されるホワイトボードを用い、割り付け対象となる乗務員に対応する矩形領域に車両・業務内容を示すマグネットを貼り付けることが挙げられる。
【0003】
しかしながら、この手法では、ホワイトボードの物理的な大きさが制約となり、表示可能な配車計画が限定される。具体的に、複数日の配車計画を同時に作成することや、過去の配車計画を再利用すること等が難しい。また、複数の配車担当者間での連絡不備等のミスも生じやすい。加えて、ドライバーとの意思疎通の観点から、シフト表、点呼簿等を紙にプリントアウトする必要があるが、ホワイトボードを用いた完全アナログ型の配車計画では、ホワイトボードに掲載した内容をそのまま転記するという作業が生じ、当該プリントアウトに多大な労力を要する。
【0004】
完全アナログ型の不具合を改善する観点から、AIが配車計画を立案する自動配車システムが提案されている。例えば、特許文献1には、タコグラフの設置が義務付けされたタクシー、バス、トラック等の運送業者の運転者が労働基準法を遵守した状態で運行計画を実行できるようにするために、端末が、ソフトウエアを実行することより、運行管理者或いは運転者が運行予定から運行計画を作成する機能と、該運行計画作成工程で作成された運行計画の所要時間を端末に記録された過去の運行情報から算出し、前記運行計画が労働基準法を遵守しているかを判定する機能と、を果たすことについて開示されている。AIが配車計画を立案することにより、配車担当者の負担を低減することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年、物流業界では、必要なものを、必要な時に、必要な量だけ届けるカンバン方式への対応が求められている。カンバン方式への対応の例として、卸売業等の輸送元から、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア等の大手チェーンの各小売店舗へのジャスト・イン・タイム型の臨時配送等が挙げられる。臨時配送には、定期あるいは不定期のセールに対応した数日前に依頼を受ける大量配送のほか、天候の変化等に起因する予想需要と実際の供給とのミスマッチによって生じる前日ギリギリに依頼を受ける突発型の配送も含まれる。
【0007】
運送業の中でも、大規模な集荷拠点どうしを結ぶ拠点間配送や、定まった地域内での決まった経路を回る宅配便での配送とは異なり、拠点から多数の小口配送先への定期的に決まった経路をもたない不定期の輸送を主とする業態においては、臨時配送の要望等に伴う配車計画の変更が高い頻度で行われる。そのため、配車計画が一度完成したと思っても、その後の突発的な変更が生じることも頻繁にある。
【0008】
特許文献1に例示されるAI自動配車は、通常、輸送先の数が増えるにつれ必要とされる計算リソース・時間リソースが増大する。そのため、そのような業態においてAI自動配車を行った場合、臨時配送の要望に対して、必要な計算量がシステムの許容量を超え、膨大な時間を要することで、AI自動配車が対応しきれないことが懸念される。加えて、AI自動配車システムは、自動配車を前提に設計されたユーザインターフェースが配車板と大きく異なるため、従来の配車計画表を利用する配車担当者における習熟が困難であるとの課題がある。
【0009】
その一方で、従来のホワイトボードによるアナログ型の配車においては、突発対応の変更があった場合であっても、配車担当者がホワイトボードの札を交換したり、付箋を貼り付けたりすればよいため、AI自動配車に比べて突発的な変更に対して柔軟に対応し易い。しかしながら、アナログ型の配車においては、上述したように配車担当者の負担が依然として大きいままである。
【0010】
本発明は、配車計画の突発的な変更による配車担当者の負担を最小限に抑えつつ、乗務員への円滑な意思伝達を可能にした配車システム及び配車プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備える。
【0012】
(1) 配車計画を表示可能な少なくとも1台の端末(例えば、電子ボード10、運行管理端末101、物流営業所車載端末102、乗務員端末103、車載端末104)と、
前記少なくとも1台の端末での入力操作に応じて各種処理を実行する管理装置(例えば、管理装置20)と、を備え、
前記管理装置は、
配車担当者が前記少なくとも1台の端末のいずれかを操作して、前記配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、前記乗務員、前記車両、及び前記配送先を入力する項目に前記札画像を配置する操作の情報を受信する配置操作受信部(例えば、配置操作受信部208)と、
前記配置操作受信部によって受信された情報に基づいて前記配車計画を作成させる配車計画作成部(例えば、配車計画作成支援部204)と、
前記配車計画作成部によって作成された配車計画を含む配車情報を、前記少なくとも1台の端末のうちタッチ操作による入力が可能な電子ボード(例えば、電子ボード10)に表示させる情報表示制御部(例えば、乗務員宛情報表示制御部206)と、
を有し、
前記管理装置は、前記配車担当者の操作によって入力された複数の前記乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を受信する個別情報受信部(例えば、個別情報受信部209)をさらに有し、
前記情報表示制御部は、前記個別情報を、対応する乗務員の配車計画とともに所定のタイミングで前記電子ボードに表示させる、
配車システム。
【0013】
(1)によれば、札画像を移動させながら配車計画の項目に札画像を配置することによって配車計画を作成するため、従来のホワイトボードを使用した配車計画の作成感を残すことが可能になり、配車担当者の操作によって配車計画を早めに変更できるため、突発的な変更に柔軟に対応できるようになる。しかも、配車担当者によって入力された乗務員に対して個別に宛てた情報がディスプレイ部に表示されるため、配車担当者と乗務員との間で円滑に意思共有できるようになる。
【0014】
(2) (1)において、
前記管理装置は、前記乗務員が出勤時に行う前記電子ボードを介した所定の操作を行った場合に、出勤時間の打刻を行う出勤時間打刻部(例えば、出勤時間打刻部207)をさらに有する配車システム。
【0015】
(2)によれば、乗務員が出勤時に必ずディスプレイ部の表示を見るため、出勤時に乗務員に宛てた情報を確実に伝達することが可能になる。これにより、配車担当者と乗務員との間で円滑に意思共有できるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、突発的な変更による負担を最小限に抑えつつ、乗務員への円滑な意思伝達を可能にした配車システム及び配車プログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態における配車システム1の構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、配車システム1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、乗務員データベース211の一例である。
【
図4】
図4は、車両情報データベース212の一例である。
【
図5】
図5は、配送先情報登録部213の一例である。
【
図6】
図6は、作業情報登録部214の一例である。
【
図7】
図7は、動態情報格納部215の一例である。
【
図8】
図8は、配車情報格納部216の一例である。
【
図9】
図9は、管理装置20で実行される管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【
図11】
図11は、配車プログラムを実行する端末で実行される配車処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、配車計画表の表示画面を示す説明図である。
【
図17】
図17は、管理装置20で実行される残余算出処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態における配車システム1の構成を示す説明図である。
【0020】
[配車システム1の構成]
配車システム1は、電子ボード10と、管理装置20と、を備えている。管理装置20は、ネットワーク100を介して、運行管理端末101、物流営業所端末102、乗務員端末103、車載端末104、及び電子ボード表示制御装置105等との間で通信可能に接続されている。ネットワーク100の種類は、管理装置20と運行管理端末101、物流営業所端末102、乗務員端末103、車載端末104、及び電子ボード表示制御装置105等とを互いに通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワーク100の種類は、例えば、インターネット、携帯電話ネットワーク、無線LAN等である。
【0021】
電子ボード10は、デジタルホワイトボード、電子黒板等とも呼ばれる50インチ以上の大型ディスプレイである。電子ボード10は、乗務員に伝達する配車情報を表示する電気的に表示する。電子ボード10は、従来において配車情報の表示に用いていたホワイトボードの代わりとなるものであり、大画面表示が可能である。
【0022】
電子ボードとして、タッチディスプレイ型、プロジェクター型及びユニット型が知られている。本実施形態では、少なくとも配車担当者が操作可能なタッチパネル式のものであれば、特に限定されない。その点で、電子ボード10は、タッチディスプレイ型であってもよいし、既存のディスプレイにタッチパネルを後付け搭載するユニット型であってもよい。プロジェクター型は、タッチパネル機能を有しないため、好ましくない。
【0023】
管理装置20は、配車システム1を司るサーバに相当し、電子ボード10での入力操作に応じて各種処理を実行する。
【0024】
管理装置20は、配車システム1を司るサーバに相当し、電子ボード10での入力操作に応じて各種処理を実行する。管理装置20は、物流会社が自身で構築する物理サーバであってもよいし、配車システム1を提供する提供会社が構築するクラウドサーバであってもよいが、物流会社にとっての利便性、管理コスト、及び規模や利用負荷などの増大に対応できる度合い(拡張性、スケーラビリティ)を考慮すると、管理装置20は、クラウドサーバであることが好ましい。
【0025】
以下では、管理装置20がクラウドサーバであるものとして説明するが、これに限るものでなく、管理装置20は、電子ボード10のほか、運行管理端末101、物流営業所端末102、乗務員端末103、車載端末104、及び電子ボード表示制御装置105等の端末での入力操作に応じて各種処理を実行可能な機能を有していれば、どのような装置であってもよい。
【0026】
管理装置20は、運行管理端末101、物流営業所端末102、乗務員端末103、車載端末104、及び電子ボード表示制御装置105等から送信される情報に基づいて配車情報を生成し、この配車情報を電子ボード10に表示させる。また、管理装置20は、配車情報を生成するために必要な各種のデータを格納する。
【0027】
運行管理端末101は、運行管理者が操作する端末である。運行管理端末101は、電子ボード10の位置から視認可能な比較的近い場所に配置され、複数のスイッチングハブを介するカスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワーク、イントラネット、無線LAN等の比較的短い距離での通信に用いられるネットワークを介して電子ボード10と通信するよう構成されることが好ましい。上述の配置により、配車システム1は、乗務員と運行管理者との間で密なコミュニケーションを行うことを可能とする。さらに、上述の配置及び通信手段により、配車システム1は、運行管理端末101と電子ボード10との間の通信が組織外を経由して漏洩等するリスクを低減できる。特に、カスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワークでは、通信の確立及び通信速度に対する費用対効果並びに電波傍受による情報漏洩を防ぐ守秘性に優れるとともに、カスケード接続による速度低下を伴わない、ローカルエリアネットワークを介した高速な通信を実現できる。また、無線LAN及びBluetoothは、後付けが容易であり、乗務員、配車担当者等がローカルエリアネットワーク等のケーブルに足を引っ掛けるリスクを低減し、前述のリスクを防ぐために床を底上げ等して床上の配線を避ける工事が不要である点で優れている。
【0028】
物流営業所端末102は、物流営業所の担当者が操作する端末であり、物流営業所の担当者が物流営業所端末102を操作することにより、物流営業所端末102は、管理装置20に荷物を搬入した車両に関連付けられた車両情報、配達先の住所等の配達先情報、荷物の中身等の荷物情報を送信する。
【0029】
乗務員端末103は、車両の乗務員が操作する端末であり、乗務員が乗務員端末103を操作することにより、乗務員端末103は、休暇申請等を送信する。
【0030】
運行管理端末101、物流営業所端末102及び乗務員端末103の種類は特に限定されない。これら端末101,102,103は、デスクトップ型パソコン、ノートパソコン、タブレット端末及びスマートフォン等、どの形態であってもよい。運行管理端末101は、操作性を優先し、デスクトップ型パソコン又はノートパソコンであることが好ましく、物流営業所端末102及び乗務員端末103は、携帯性を優先し、タブレット端末又はスマートフォンであることが好ましい。
【0031】
車載端末104は、車両に取り付けられ、車両の運行データをリアルタイムに管理装置20に送信する、所謂、デジタルタコグラフである。運行データには、車両の位置、走行中・作業中・休憩中と言ったステータス、急ブレーキ・急ハンドル等の情報が含まれる。なお、車載端末104から送信される車両の運行データは、管理装置20の内部又は外部のクラウドに保存され、管理装置20が当該クラウドから車両の運行データを取得できるようにしてもよい。
【0032】
電子ボード表示制御装置105は、管理装置20からの指令に応じて電子ボード10での表示を制御する機能を有するとともに、電子ボード10でのタッチパネル操作に応じて操作情報を管理装置20に送信する機能を有する。電子ボード表示制御装置105の種類は特に限定されないが、電子ボード表示制御装置105は、これらの機能を有していれば足りるため、設置面積や、導入コスト及び維持管理コスト等を考慮すると、電子ボード表示制御装置105は、小型デスクトップパソコン(小型PC、ミニPC等とも称される)であることが好ましい。
【0033】
図2は、配車システム1の電気的構成を示すブロック図である。電子ボード10は、制御部11と、ディスプレイ部12と、タッチパネル部13と、を備えている。
【0034】
制御部11は、管理装置20から電子ボード表示制御装置105を介して受信した配車情報に基づいてディスプレイ部12を駆動制御する。また、制御部11は、タッチパネル部13の操作による入力信号を、電子ボード表示制御装置105を介して管理装置20に送信する。
【0035】
ディスプレイ部12の大きさは、特に限定されないが、配車計画の突発的な変更による配車担当者の負担を最小限に抑える観点から、75インチ以上であることが好ましい。また、ディスプレイ部12の解像度も特に限定されないが、相対的に小さな文字を表示可能で、これまでのアナログ型の配車計画の利便性をできるだけ残す観点から、ディスプレイ部12の解像度は、2K(1920dpi×1080dpi、フルハイビジョン等とも呼ばれる)以上であることが好ましく、WQHD(Wide Quad-HD、2560dpi×1,440dpi)以上であることがより好ましく、4K(3840dpi×2160dpi)以上であることが特に好ましい。
【0036】
タッチパネル部13は、ディスプレイ部12の表面に重ねて配置されており、タッチパネル部13における乗務員がタッチ操作した座標情報が、制御部11から管理装置20に送信される。タッチディスプレイ型電子ボードのようにタッチパネル部13が先付けであってもよいし、ユニット型電子ボードのようにタッチパネル部13が後付けであってもよい。
【0037】
電子ボード10は、トップ画面を起点として、配車板画面や配車計画画面を表示する。
【0038】
トップ画面には、配車板画面や配車計画画面等に画面を切り替えるためのメニュー画面が表示される。更に、電子ボード10には、各種のアラートや、ToDoリスト等が表示される。配車板画面は、配車板を表示する画面であり、配車板には、乗務員に割り当てた業務内容や配送コース等が記載されている。配車計画画面は、配車計画表を作成する画面であり、配車計画表の作成するための各種項目が記入されたフォーマットと、配車計画表の作成を補助するメニュー画面が表示される。
【0039】
管理装置20は、管理装置20全体を制御する制御部200と、制御部200を動作するために必要なプログラムやデータが記憶される記憶部210とを有する。
【0040】
制御部200は、各種の処理を行うプロセッサ(PU,Processing Unit,演算処理装置)を備えている。制御部200は、記憶部210に格納されているプログラムを実行することにより、管理装置20は、動態管理部201、車両管理部202、拘束時間管理部203、配車計画作成支援部204、点呼簿作成部205、乗務員宛情報表示制御部206、出勤時間打刻部207として機能する。
【0041】
また、記憶部210は、乗務員の情報を登録する乗務員データベース211、車両情報を登録する車両情報データベース212、配送先情報を登録する配送先情報登録部213、作業情報を登録する作業情報登録部214、車載端末104から送信される車両位置情報やステータス情報を格納する動態情報格納部215、配車板のデータを、過去分を含めて格納する配車情報格納部216、並びに電子ボード10に表示する配車情報における各種の項目に対応する表示情報、及び当該表示情報がタッチされた場合に表示する表示情報を記憶する表示情報格納部217等を備えている。
【0042】
乗務員データベース211には、乗務員の社員番号、乗務員名、運転免許証有効期限、生年月日、顔写真、勤続年数、無事故期間等が格納される。勤続年数、無事故期間は日付或いは年が変わるごとに自動更新される。
【0043】
図3は、乗務員データベース211の一例である。
図3に示す例には、社員番号「0010」と関連付けられて、乗務員名「山田 太郎」、運転免許証有効期限「2024年8月31日」、生年月日「19△△年8月31日」、顔写真、勤続年数「△年」、無事故期間「△年」等が格納されている。これにより、管理装置20は、これらの情報を配車板画面に表示し得る。また、これにより、管理装置20は、運転免許証の更新通知、勤続年数及び無事故期間に基づく賞与の計算等を行える。
【0044】
車両情報データベース212には、車両の車種、重量、車両契約情報、車両修理情報を格納する。車両契約情報としては例えば車検満了日がある。車両修理情報は例えばバッテリ交換やオイル交換を行った年月日がある。
【0045】
図4は、車両情報データベース212の一例である。
図4に示す例には、車両番号「1210 8...」と関連付けられて、車種「4tトラック」、重量「△△t」、車両契約情報「車検満了日△△△△年△△月△△日」、車両修理情報「△月△日バッテリ交換、△月△日オイル交換」等が格納されている。これにより、管理装置20は、これらの情報を配車板画面に表示し得る。また、これにより、管理装置20は、車検、バッテリ交換、オイル交換等に係る通知を行える。
【0046】
配送先情報登録部213に登録する配送先情報は、物流営業所端末102からの車両・荷物情報に基づいて格納される。車両・荷物情報は、荷物を積んだ車両に付与された識別番号と、荷物の内容と、配送先と、配送コースと、を含んでいる。
【0047】
図5は、配送先情報登録部213の一例である。
図5に示す例には、識別番号「△△△」と関連付けられて、荷物の内容「青果類」と、配送先「△△マート」と、配送コース「I102」等が格納されている。これにより、管理装置20は、これらの情報を配車板画面に表示し得る。
【0048】
作業情報登録部214に登録する作業情報は、物流営業所端末102からの作業情報に基づいて格納される。作業情報としては、車両への荷物の搬入等がある。
【0049】
図6は、作業情報登録部214の一例である。
図6に示す例には、作業番号「作業5」と関連付けられて、作業の内容「車両への荷物搬入」及び当該作業の注意事項等が格納されている。これにより、管理装置20は、これらの情報を配車板画面に表示し得る。
【0050】
動態情報格納部215には、車載端末104から送信される車両の運行データが格納され、特に、各乗務員による配送業務の開始から終了までの間の車両位置情報やステータス情報が格納される。
【0051】
図7は、動態情報格納部215の一例である。
図7に示す例には、車両の識別番号「△△△」と関連付けられて、車両位置情報「△月△日 △△時△△分△△秒 GPS座標(・・・)」、ステータス情報「異常なし」等が格納されている。これにより、管理装置20は、これらの情報を配車板画面に表示し得る。また、これにより、管理装置20は、これらの情報に係る通知を行い得る。
【0052】
配車情報格納部216には、配車板のデータが格納される。配車板のデータは、乗務員に関する情報、車両に関する情報、配送等の作業に関する情報、乗務員宛の情報等を含む。
【0053】
配車情報格納部216に格納される配車板のデータは、乗務員に関する情報として、例えば、出社時間、勤務時間、及び乗務員データベース211において当該乗務員を特定可能な情報(乗務員情報)等を含むことが好ましい。これにより、管理装置20は、乗務員に関する上述の情報に加え、乗務員データベース211に格納された当該乗務員に係る情報を配車板に表示させることができる。また、これにより、管理装置20は、当該乗務員がタイムカードに打刻したタイミング(出社時間のタイミング)等の所定のタイミングに、乗務員宛の情報を配車板に表示させることができる。
【0054】
配車情報格納部216に格納される配車板のデータは、車両に関する情報として、例えば、車両情報データベース212において当該車両を特定可能な情報(車両情報)を含むことが好ましい。これにより、管理装置20は、車両情報データベース212に格納された当該車両に係る情報を配車板に表示させることができる。
【0055】
配車情報格納部216に格納される配車板のデータは、配送等の作業に関する情報として、例えば、配送先情報登録部213に格納された配送先を特定可能な情報(配送先情報)、作業情報登録部214に格納された作業を特定可能な情報(作業情報)を含むことが好ましい。これにより、管理装置20は、配送先情報登録部213に格納された配送先及び作業情報登録部214に格納された作業を配車板に表示させることができる。
【0056】
配車情報格納部216に格納される配車板のデータは、乗務員宛の情報(個別情報)として、例えば、道路状況に関する情報(道路情報)、臨時便に関する情報(臨時便情報)、他の乗務員の勤務状況に関する情報(勤務情報)等を含むことが好ましい。勤務状況に関する情報は、例えば、乗務員の拘束時間、休憩時間、休暇等に係る情報を含む。配車板のデータが個別情報として道路情報を含むことにより、管理装置20は、所定のタイミングで道路情報を配車板に表示させることができる。これにより、乗務員は、道路情報に基づいた無理のない手順で配送を行うことができる。配車板のデータが個別情報として臨時便情報を含むことにより、管理装置20は、所定のタイミングで臨時便情報を配車板に表示させることができる。これにより、乗務員は、配車板に反映済の定期便等に対応する配送だけでなく、まだ配車板に反映されていない臨時便に関する情報を踏まえた配送をも行うことができる。臨時便に関する情報に関し、動態管理部201により、配送中又は帰庫中の車両を配車板画面に表示させることができる。これにより、配送担当者等は、予定車両が計画通り戻らずに次の配車に影響が出ると予想される場合に、先に帰庫する同様の車両に入れ替え、次の出庫への影響を未然に防ぐことができる。配車板のデータが個別情報として勤務情報を含むことにより、管理装置20は、所定のタイミングで勤務情報を配車板に表示させることができる。これにより、乗務員は、他の乗務員の勤務状況(例えば、拘束時間、休憩時間、休暇等)を鑑みた調整を行いながら配送を行うことができる。
【0057】
図8は、配車情報格納部216の一例である。
図8に示された例には、「乗務員9」に係る配車板のデータとして、出社時間「7:30」、勤務時間「8:00」等の乗務員に関する情報、車両「1210 8...」等の車両に関する情報、配送先情報として最初に行う配送(便1)が「I01コース」であるとの情報等の作業に関する情報、及び個別情報としてのメモ「草加駅入口付近で渋滞中。昼過ぎに△△様から臨時配送の依頼が入りそうです。△△さんは急病のため対応不可。」を含む。これにより、管理装置20は、上述の車両に関する情報、作業に関する情報を配車板に表示すると共に、上述の出社時間が打刻されたタイミングで上述のメモを配車板に表示し、当該乗務員に伝えることができる。よって、当該乗務員は、渋滞があること、臨時配送への対応が予想されること、対応できない乗務ともにいることを確認し、これらを踏まえて「I01コース」に係る配送作業を進めることができる。
【0058】
また、
図8に示された例には、「乗務員26」に係る配車板のデータとして、出社時間「8:00」、勤務時間「8:30」等の乗務員に関する情報、車両「1188 3...」等の車両に関する情報、配送先情報として最初に行う配送(便1)が「D02コース」であるとの情報及び作業情報として便1の次に行う作業が「作業05」であるとの情報等の作業に関する情報、及び個別情報としてのメモ「八条白鳥付近及び旭町2付近で渋滞中。」を含む。これにより、管理装置20は、上述の車両に関する情報、作業に関する情報を配車板に表示すると共に、上述の出社時間が打刻されたタイミングで上述のメモを配車板に表示し、当該乗務員に伝えることができる。よって、当該乗務員は、渋滞があることを確認し、これらを踏まえて「D02コース」に係る配送を進めることができる。
【0059】
配車情報格納部216に格納される個別情報に関し、
図8に示された例では、「乗務員9」に係る配車板のデータに含まれるメモに「草加駅入口付近で渋滞中。昼過ぎに△△様から臨時配送の依頼が入りそうです。△△さんは急病のため対応不可。」との情報が含まれている一方、「乗務員26」に係る配車板のデータに含まれるメモには、上述の情報が含まれず、「八条白鳥付近及び旭町2付近で渋滞中。」との別の情報が含まれている。すなわち、管理装置20は、各乗務員の配送先、作業予定、車両等の違いに基づいて作成された互いに異なるメモを個別情報として各乗務員に向けて表示させることができる。
【0060】
個別情報は、配車担当者等によって入力されたもののほか、手入力された情報に基づく分析結果、車両無線から取得された情報に基づく分析結果、動態管理部201から取得された情報に基づく分析結果、外部の渋滞情報提供サービス、気象情報サービス等から取得された情報に基づく情報を含んでもよい。
【0061】
手入力された情報に基づく分析結果を含む個別情報の生成は、例えば、配車担当者又は乗務員等が手入力した渋滞・事故等に関する情報と乗務員の配車計画とが関連する場合に当該情報を含む個別情報を生成する手順等によって実現される。
【0062】
車両無線から取得された情報に基づく分析結果を含む個別情報の生成は、例えば、車両無線の音声認識結果及び付帯する位置情報から渋滞の有無及び各車両の位置を取得し、渋滞があると判別された場合に当該位置に対応する地名で渋滞が発生しているとの情報を含む個別情報を生成する手順等によって実現される。
【0063】
動態管理部201から取得された情報に基づく分析結果を含む個別情報の生成は、例えば、動態管理部201から各車両の速度及び位置を取得し、速度が所与の閾値を下回る車両について当該車両の位置で渋滞が生じていると判定し、渋滞が生じていると判別された場合に当該位置に対応する地名で渋滞が発生しているとの情報を含む個別情報を生成する手順等によって実現される。
【0064】
外部の渋滞情報提供サービスから取得された情報に基づく個別情報の生成は、例えば、公的なサービス又は民間サービス等の各種渋滞情報提供サービスから渋滞情報(道路情報)を取得し、配送先情報に係るコースと関連する渋滞情報を抽出し、当該渋滞情報を含む個別情報を生成する手順等によって実現される。
【0065】
外部の気象情報サービスから取得された情報に基づく個別情報の生成は、例えば、公的なサービス又は民間サービス等の各種気象情報サービスから気象情報を取得し、配送先情報に係るコースと関連する気象情報を抽出し、当該気象情報を含む個別情報を生成する手順等によって実現される。
【0066】
制御部200の説明に戻る。動態管理部201は、動態情報格納部215に格納されている運行データに基づいて、リアルタイムで車両位置や作業進捗等を管理する。これにより、運行データに基づいてリアルタイムで車両位置や作業進捗等を管理する動態管理サービスと配車計画との連携が実現される。
【0067】
車両管理部202は、車両情報データベース212に基づいて、車両契約情報や車両修理情報を管理する。例えば車検満了日が近づいた場合にはその旨を車両の整備担当者等に報知する。車両契約情報は例えば車検を受けた場合に更新され、車両修理情報は例えばバッテリ交換やオイル交換を行った場合に更新される。これにより、車両契約情報や車両修理情報を管理する車両管理サービスと配車計画との連携が実現される。
【0068】
拘束時間管理部203は、乗務員による配送業務が終了した後に、動態情報格納部215に記憶されているステータス情報に基づいて乗務員の拘束時間を求め、乗務員ごとの拘束時間を管理する。これにより、乗務員ごとの拘束時間を管理する拘束時間管理サービスと配車計画との連携が実現される。
【0069】
配車計画作成支援部204は、配車担当者による配車計画の作成を支援するものであり、配車担当者は、配車計画画面を操作することにより配車計画する。
【0070】
配車計画作成支援部204による配車計画の作成手順について説明する。配車計画を作成する前に、事前に、乗務員データベース211への乗務員情報登録、車両情報データベース212への車両情報登録、配送先情報登録部213への配送先情報登録、作業情報登録部214への作業情報登録、メールテンプレートの作成を行う。メールテンプレート作成は、配車計画を各乗務員に電子メールで送信するために行うものであり、配車担当者がメールテンプレート設定画面を操作することにより、作成可能である。また、事前に乗務員からの休暇申請を反映させたシフト表を作成しておく。シフト表は、運行管理者が乗務員シフト編集画面を操作することにより、作成可能である。
【0071】
配車計画作成支援部204は、労務関連法令に関するチェックを行い、労務関連法令への違反が疑われるチェック結果が得られた場合に当該チェック結果に係る通知を行うことが好ましい。これにより、管理装置20は、労務関連法令に関するチェックに係る配車担当者等の労力を低減できる。当該チェックは、例えば、乗務員の休暇申請、月間労働時間、週間労働時間、及び1日当労働時間等に基づき、配車計画における標準的な配送時間及び作業時間が労働時間及び休憩時間に関する所与の制約条件を満たすか判別する手順を含む。標準的な配送時間は、所与の配送時間を用いる手順、交通情報(渋滞情報・事故情報)及び時間帯等の各種条件に応じて定められた所与の条件付配送時間を用いる手順、配送時間の実績に基づく機械学習が行われたニューラルネットワーク等によって算出された配送時間(被算出配送時間)を用いる手順、及び外部の交通情報提供サービスから得られた予想所要時間を用いる手順、並びに、これらの手順を組合せた手順等によって与えられる。
【0072】
配車計画作成支援部204は、電子ボード10に配車計画画面として配車計画表の作成フォーマットとメニュー画面とが表示される。配車計画表の詳細については後述するが、配車計画表は、配車計画が整理番号に関連付けられて複数の並べて記載されており、配車計画は、乗務員名と車両名と配送コース或いは作業名等を記入する項目を備えている。メニュー画面には、乗務員名が記載された札画像が並べて表示されている。
【0073】
配車計画作成支援部204は、乗務員データベース211、車両情報データベース212、配送先情報登録部213及び作業情報登録部214の登録情報に基づいて、乗務員名と車両名と配送コース、作業名の札画像を作成する。そして、配車計画作成支援部204は、作成した車両名と配送コース、作業名の札画像を、配車計画表における車両名と配送コース、作業名等の項目に配置すると共に、乗務員名が記載された札画像をメニュー画面に並べて配置する。ここで、配車計画作成支援部204は、配車情報格納部216の情報を分析して最も効率的な配送コースを決定し、配送コースの札画像を作成してその札画像を配車計画表の作成フォーマットに配置する。
【0074】
配車担当者は、配車計画画面を操作し、休暇等を考慮して適任と思われる乗務員の札を選択し、フォーマットに移動させたり、車両名や配送コース、作業名の札を移動させたり入れ替えたりすることにより、配車計画表を作成する。
【0075】
そして、配車計画作成支援部204は、配車計画表に記載された乗務員に対する連絡メールを作成し、運行担当者の操作によって、乗務員が所持する乗務員端末103に対して連絡メールを送信する。その後、連絡メールを送信した乗務員が配車計画表を確認する。連絡メールには確認した場合に指定するURLが含まれており、乗務員がこのURLを指定することにより、乗務員が配車計画表を了承した旨の情報が乗務員端末103から管理装置20に送信される。配車計画作成支援部204は、乗務員が了承した旨の情報を管理装置20が受信した場合に、乗務員が了承した旨を配車計画表に反映させる。運行担当者は、配車計画表に記載された全ての乗務員から了承が得られた場合に運行管理者に確認を求める。運行管理者は、確定前の配車計画表を閲覧することが可能であり、配車計画画面を操作して最終的に配車を確定したことを示す指示入力を行う。配車計画作成支援部204は、この指示入力に基づいて、乗務員に見せるための配車板を作成する。作成した配車板のデータは配車情報格納部216に格納される。
【0076】
点呼簿作成部205は、配車情報格納部216に格納された配車板の情報に基づいて、点呼簿を作成する。乗務員名や乗務員が乗車する車両の詳細については、乗務員データベース211及び車両情報データベース212に格納された情報を参照する。点呼簿作成部205は、点呼簿のフォーマットに、業務当日における乗務員名や、乗務員が乗車する車両番号、運行明細を記入したデータを作成し、これらのデータが反映された点呼簿を記憶部210の所定領域に格納する。これにより点呼担当者は、点呼担当者の端末を操作して、管理装置20から点呼簿をダウンロードすることができる。そして、点呼担当者は、点呼時に各種の確認事項を点呼簿に記入する。これにより、点呼担当者は、点呼簿に手書きで乗務員名や運行明細を記入する必要がなくなるため、乗務員に対して乗務前と乗務後に行う点呼にかかる担当者の手間を省くことが可能になる。
【0077】
乗務員宛情報表示制御部206は、タッチパネル部13の操作によって入力された乗務員宛の情報、或いはネットワークを介して管理装置20に送信された乗務員宛の情報をディスプレイ部12に表示させる制御を行う。情報の宛先となる乗務員が出社時間或いは出勤時間の表示項目にタッチした場合に、情報を表示する。また、乗務員宛の情報に表示タイミングを指定する日付等のタイミング情報が関連付けられている場合には、タイミング情報で指定された時間が経過した後に、乗務員が出社時間或いは出勤時間の表示項目にタッチした場合に、情報を表示する。乗務員に宛てた情報は、例えば、配車担当者、事務員、他の乗務員等によって入力された交通情報等である。なお、1人の乗務員が表示を見る時間はせいぜい数十秒程度であるため、乗務員に宛てた情報の表示は、他の乗務員の当日予定を覆う形で大きく表示してもよい。また、管理装置20に顔認証装置や指紋認証装置が接続されており、乗務員が顔認証や指紋認証によって本人確認された場合に、乗務員に宛てた情報をディスプレイ部12に表示してもよい。
【0078】
出勤時間打刻部207は、乗務員が出勤して配車板画面に表示されている出勤時間の項目をタッチすることにより、タッチした時点のクロック21cの時刻を出勤時間の項目に表示させる制御を行う。
【0079】
配置操作受信部208は、配車担当者が少なくとも1台の端末(例えば、電子ボード10、運行管理端末101等)のいずれかを操作して、配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、乗務員、車両、及び配送先を入力する項目に札画像を配置する操作の情報を受信する制御を行う。
【0080】
個別情報受信部209は、配車担当者が少なくとも1台の端末(例えば、電子ボード10、運行管理端末101等)のいずれかを操作して入力した複数の乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を受信する制御を行う。
【0081】
〔管理処理のメインフローチャート〕
図9は、管理装置20で実行される管理処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
図10は、
図9から続く図である。以下は、
図9から
図10を用いた、管理装置20で実行される管理処理の好ましい流れの一例である。
【0082】
[ステップS1:配車計画を表示]
制御部200は、記憶部210等と協働して、乗務員宛情報表示制御部206(情報表示制御部206)を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、配車情報格納部216に格納された配車板のデータによって示される配車計画を電子ボード10等に表示させる処理を実行する(ステップS1、配車計画表示ステップ)。制御部200は、処理をステップS2へ移す。
【0083】
配車計画表示ステップは、配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像を所定の領域に表示する手順を含む。第1札画像、第2札画像、及び第3札画像は、マウス、タッチパネル等の各種入力装置を介した操作によって移動されるよう表示される。
【0084】
配車計画表示ステップにおいて表示を指令する対象は、電子ボード10、運行管理端末101、物流営業所端末102、乗務員端末103等を含む。電子ボード10への表示の指令は、例えば、電子ボード10の表示を制御する電子ボード表示制御装置105を介して行われる。
【0085】
[ステップS2:操作情報を受信したか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、配置操作受信部208を実行する。そして、制御部200は、配置操作受信部208により、操作情報を受信したか判別する処理を実行する(ステップS2、配置操作受信ステップ)。受信したと判別したならば、制御部200は、処理をステップS3へ移す。受信したと判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS6へ移す。
【0086】
ステップS2において受信される操作情報は、配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、乗務員、車両、及び配送先を入力する項目に札画像を配置する操作の情報を含む。当該移動させる操作は、特に限定されず、例えば、移動の起点・終点をそれぞれタッチさせる態様であってもよく、起点から終点までドラッグアンドドロップさせる態様であってもよい。
【0087】
[ステップS3:配車板のデータを更新]
制御部200は、記憶部210等と協働して、配車計画作成支援部204(配車計画作成部)を実行する。そして、制御部200は、配車計画作成支援部204により、配置操作受信ステップにおいて受信された情報に基づいて配車情報格納部216に格納された配車板のデータを更新する処理を実行する(ステップS3、配車計画作成ステップ)。制御部200は、処理をステップS4へ移す。
【0088】
配車計画作成ステップは、配置操作受信ステップにおいて乗務員を入力する項目に第1札画像を配置する操作の情報が受信された場合、当該乗務員を入力する項目に対応する乗務員が当該第1札画像に対応する乗務員となるよう、配車情報格納部216に格納された配車板のデータを更新する。配車計画作成ステップは、配置操作受信ステップにおいて車両を入力する項目に第2札画像を配置する操作の情報が受信された場合、当該車両を入力する項目に対応する車両が当該第2札画像に対応する車両となるよう、配車情報格納部216に格納された配車板のデータを更新する。配車計画作成ステップは、配置操作受信ステップにおいて配送先を入力する項目に第3札画像を配置する操作の情報が受信された場合、当該配送先を入力する項目に対応する配送先が当該第3札画像に対応する配送先となるよう、配車情報格納部216に格納された配車板のデータを更新する。札画像の種類と項目の種類とが一致しない場合、配車計画作成ステップは、配車情報格納部216に格納された配車板のデータを更新しない。
【0089】
[ステップS4:個別情報を受信したか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、個別情報受信部209を実行する。そして、制御部200は、個別情報受信部209により、複数の前記乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を受信したか判別する処理を実行する(ステップS4、個別情報受信ステップ)。受信したと判別したならば、制御部200は、処理をステップS5へ移す。受信したと判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS6へ移す。
【0090】
[ステップS5:個別情報を更新]
制御部200は、記憶部210等と協働して、配車計画作成支援部204(配車計画作成部)を実行する。そして、制御部200は、配車計画作成支援部204により、個別情報受信ステップにおいて受信された個別情報に基づいて配車情報格納部216に格納された個別情報を更新する処理を実行する(ステップS5、個別情報更新ステップ)。制御部200は、処理をステップS6へ移す。
【0091】
[ステップS6:配車計画を表示]
制御部200は、記憶部210等と協働して、情報表示制御部206を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、上述の処理によって更新された配車板のデータにより示される配車計画を電子ボード10等に表示させる処理を実行する(ステップS6、配車計画再表示ステップ)。制御部200は、処理をステップS7へ移す。
【0092】
配車計画再表示ステップにおいて完成版の配車情報を表示させる電子ボード10は、配車担当者が操作する端末と同じであってもよく、異なっていてもよい。すなわち、配置操作受信ステップにおいて受信された操作情報を送信した端末は、当該電子ボード10であってもよく、他の端末(運行管理端末101等)であってもよい。なお、通常、当該端末は、電子ボード10と異なる他の端末(運行管理端末101等)であると考えられる。
【0093】
[ステップS7:所定のタイミングであるか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、情報表示制御部206を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、個別情報を表示する所定のタイミングであるか判別する処理を実行する(ステップS7、所定タイミング判別ステップ)。所定のタイミングであると判別したならば、制御部200は、処理をステップS8へ移す。所定のタイミングであると判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS1へ戻し、ステップS1からステップS11の処理を繰り返す。
【0094】
所定タイミング判別ステップにおける「個別情報を表示する所定のタイミング」は、特に限定されない。当該所定のタイミングは、例えば、情報の宛先となる乗務員が出社時間或いは出勤時間の表示項目にタッチしたタイミング、個別情報に表示タイミングを指定する日付等のタイミング情報が関連付けられている場合におけるタイミング情報で指定された時間が経過した後に乗務員が出社時間或いは出勤時間の表示項目にタッチしたタイミング等である。
【0095】
[ステップS8:個別情報を表示]
制御部200は、記憶部210等と協働して、情報表示制御部206を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、所定タイミング判別ステップに係る所定のタイミングと対応する個別情報を電子ボード10等に表示させる処理を実行する(ステップS8、個別情報表示ステップ)。制御部200は、処理をステップS9へ移す。
【0096】
個別情報表示ステップにおける個別情報の表示態様は、特に限定されない。当該表示態様は、例えば、個別情報を見やすくすべく、他の乗務員の当日予定を覆う形で大きく表示する態様、個別情報に確認ボタンを添えて表示する態様等である。
【0097】
[ステップS9:所定の操作があったか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、出勤時間打刻部207を実行する。そして、制御部200は、出勤時間打刻部207により、個別情報表示ステップで表示された個別情報に係る乗務員が出勤時に行う特定の操作があったか判別する処理を実行する(ステップS9、特定操作判別ステップ)。特定の操作があったと判別したならば、制御部200は、処理をステップS10へ移す。特定の操作があったと判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS1へ戻し、ステップS1からステップS11の処理を繰り返す。
【0098】
特定操作判別ステップは、個別情報表示ステップで表示された個別情報に係る乗務員が電子ボード10等を介して出勤時に行う所定の操作に係る情報が受信された場合に特定の操作があったと判別する手順を含むことが好ましい。当該操作は、例えば、配車板画面に表示されている出勤時刻の項目をタッチする操作、配車板画面に表示されている個別情報に添えられた確認ボタンをタッチする操作等である。また、所定操作判別ステップは、呼気アルコール検知器が使用された場合、乗務員データベース211に格納される乗務員の勤怠管理に関する情報を更新する操作があった場合等に特定の操作があったと判別する手順を含んでもよい。
【0099】
[ステップS10:出勤時間を打刻]
制御部200は、出勤時間打刻部207により、特定操作判別ステップにおいて特定の操作を行った乗務員に係る出勤時間を打刻する処理を実行する(ステップS10、出勤時間打刻ステップ)。制御部200は、処理をステップS11へ移す。
【0100】
出勤時間打刻ステップは、配車情報格納部216に格納された出勤時間を更新する手順を含む。また、出勤時間打刻ステップは、個別情報表示ステップで表示された個別情報が確認されたかを配車担当者等が判別できるようにすべく、確認済であることを示す情報を当該個別情報に付する手順を含むことが好ましい。
【0101】
[ステップS11:個別情報の表示を終了]
制御部200は、記憶部210等と協働して、情報表示制御部206を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、個別情報表示ステップにおいて表示された個別情報の表示を終了させる処理を実行する(ステップS11、個別情報表示終了ステップ)。制御部200は、処理をステップS1へ戻し、ステップS1からステップS11の処理を繰り返す。
【0102】
個別情報表示終了ステップにより、確認済の個別情報が長時間に渡って配車板画面を占有し、配車板画面を見づらくすることが防がれる。特に、個人情報の表示態様が他の乗務員の当日予定を覆う形で大きく表示する態様である場合、個別情報表示終了ステップは、覆われていた他の乗務員の当日予定が再度表示され、配車板画面を見やすくする。
【0103】
[配車プログラム送信ステップ]
管理装置20は、配車計画を表示可能な少なくとも1台の端末(例えば、電子ボード10、運行管理端末101等)に後述の配置操作指令ステップ、配置操作送信ステップ、及び個別情報送信ステップを少なくとも含む一連の処理を実行させるプログラム(配車プログラム)を送信する配車プログラム送信ステップを実行する。
【0104】
図11は、配車プログラムを実行する端末で実行される配車処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下は、
図11を用いた、配車プログラムを実行する端末で実行される配車処理の好ましい流れの一例である。
【0105】
(ステップS101:配車計画を表示)
所定プログラムを実行する端末は、管理装置20から受信された配車計画に基づいて、配車計画を表示する処理を実行する(ステップS101、配車計画表示ステップ)。当該端末は、処理をステップS102に移す。
【0106】
(ステップS102:配置操作を指令)
所定プログラムを実行する端末は、少なくとも1台の端末のいずれかを配車担当者が操作して、配車計画に含まれる乗務員名のそれぞれについて設けられる第1札画像、乗務員が乗車する車両のそれぞれについて設けられる第2札画像、及び配送先のそれぞれについて設けられる第3札画像から選択される少なくとも1種以上の札画像を移動させ、乗務員、車両、及び配送先を入力する項目に札画像を配置する操作を行わせる処理を実行する(ステップS102、配置操作指令ステップ)。当該端末は、処理をステップS103に移す。
【0107】
(ステップS103:配置操作を送信)
所定プログラムを実行する端末は、ステップS102において配置する操作が行われた札画像の配置操作を管理装置20に送信させる処理を実行する(ステップS103、配置操作送信ステップ)。当該端末は、処理をステップS104に移す。
【0108】
(ステップS104:個別情報を送信)
所定プログラムを実行する端末は、ステップS102に係る配車担当者の操作によって入力された複数の乗務員のうち1以上の乗務員に宛てた個別情報を管理装置20に送信させる処理を実行する(ステップS104、個別情報送信ステップ)。当該端末は、処理をステップS105に移す。
【0109】
(ステップS105:電子ボードであるか判別)
所定プログラムを実行する端末は、当該端末が電子ボード10又は電子ボード10の表示を制御する電子ボード表示制御装置105のいずれかに該当するか、すなわち、実質的に電子ボード10であるか判別する処理を実行する(ステップS105、電子ボード判別ステップ)。電子ボード10であると判別したならば、当該端末は、処理をステップS106に移す。電子ボード10であると判別しなかったならば、当該端末は、処理をステップS101に戻し、ステップS101からステップS106の処理を繰り返す。
【0110】
(ステップS106:情報表示を制御)
所定プログラムを実行する端末は、上述の少なくとも1台の端末のうちタッチ操作による入力が可能な電子ボード10に、配置操作送信ステップにおいて送信された情報に基づいて管理装置20で作成された配車計画を含む配車情報を表示させる処理を実行する(ステップS106、情報表示制御ステップ)。当該端末は、処理をステップS101に戻し、ステップS101からステップS106の処理を繰り返す。
【0111】
情報表示制御ステップは、個別情報送信ステップにおいて送信され、管理装置20から提供された個別情報を、対応する乗務員の配車計画とともに所定のタイミングで電子ボード10に表示させる。
【0112】
よって、配車プログラム送信ステップによれば、管理装置20は、上述の管理処理に係る配置操作を管理装置20に提供させる一連の処理と、上述の管理処理に係る電子ボード10に配車計画及び個別情報を表示させる一連の処理とを少なくとも1台の端末に実行させることができる。配車プログラムは、これらの処理により、突発的な変更による負担を最小限に抑えつつ、乗務員への円滑な意思伝達を可能にする。よって、管理装置20は、少なくとも1台の端末と協働して、突発的な変更による負担を最小限に抑えつつ、乗務員への円滑な意思伝達を可能にした配車システム1を実現できる。
【0113】
[配車板の表示例]
次に、
図12、
図13を参照しながら配車板の表示例について説明する。
図12、
図13は配車板画面を示す説明図であり、
図12は縦表示の例、
図13は横表示の例を示す。
【0114】
図12に示すように、縦表示の配車板画面には、各乗務員を表示する項目を横方向に並べて配置し、乗務員を表示する項目に対して、乗務員の出勤時刻、乗務員が乗車する車両(車両番号)、当該車両を用いて乗務員が移動する配送先を表示する項目を関連付け、これらの項目を縦方向に並べた表が表示される。
【0115】
各乗務員を表示する項目には、乗務員名と、必要に応じて、顔画像或いは乗務員が作成したアイコンが表示される。出勤時刻の項目には乗務員の出勤時刻が表示される。乗務員が出勤して出勤時間の項目をタッチすることにより、タッチした時点の時刻が出勤時間の項目が表示される。すなわち、乗務員の出勤時刻が電子ボード10に打刻される。
【0116】
車両(車両番号)の項目には、乗務員に割り当てられた車両の番号が表示される。配送先の項目には、乗務員が移動するコースの順番が表示される。
図12では、「1ROUTE」~「6ROUTE」まであり、乗務員は、「1ROUTE」~「6ROUTE」の順に移動する。例えば、乗務員48であれば、まず1ROUTEに記載の「J01コース」を移動し、次に2ROUTEに記載の「C04コース」を移動する。
【0117】
また、当該乗務員宛の情報(個別情報)がある場合には、その情報が電子ボード10に表示される。
図12に示す例では、「7/7 10:00~12:00 駅伝大会のためD6コースの一部が交通規制」との乗務員40に係る個別情報が乗務員21及び乗務員26の情報の一部を覆うように表示されている。これにより、乗務員40は、当該個別情報を容易に確認できる。
図12に示す例において、乗務員40は、乗務員40の列に表示された出勤時刻をタッチし、乗務員21及び乗務員26の情報の一部を覆うように表示された個別情報の表示を終了させると共に出勤時間を打刻できる。1人のドライバーが表示を見る時間はせいぜい数十秒程度であり、打刻とともに個別情報の表示が終了されるため、乗務員40に宛てた情報の表示が他のドライバー(乗務員21及び乗務員26)の当日予定を覆う形で大きく表示されていても、乗務員21及び乗務員26は、個別情報の表示終了後にそれぞれの当日予定を差支えなく確認できる。
【0118】
図13に示すように、横表示の画面には、各乗務員を表示する項目を縦方向に並べて配置し、乗務員を表示する項目に対して、出社時間、到着時間、車両番号、配送コース、メモを表示する項目を関連付け、これらの項目を横方向に並べた表が表示される。
【0119】
横表示の配車板画面には、横表示のトップ画面において表示されていた出勤時間、「便1」~「便6」の項目の代わりに、出社時間、到着時間、「便1」~「便3」、メモの項目が表示される。
【0120】
出社時間の項目には、乗務員が出社しなければならない時刻、到着時間の項目には、乗務員が割り当てられた車両に到着しなければならない時刻、メモの項目には、乗務員に対する伝達事項が表示される。
【0121】
なお、配車板画面に表示する項目は、自由にカスタマイズすることが可能であり、例えば、
図12に示す縦表示の配車板において、配送コースの項目として表示する便数を増減させたり、出社時間、到着時間、メモの項目を追加したり、することが可能である。
【0122】
[配車計画表の表示例]
図14は、配車計画表の表示画面を示す説明図である。
図14に示すように、配車計画表の表示項目は、
図13に示す配車板画面の表示項目と同様である一方で、出社時間の項目の左隣りに「確」と記入される項目が設定されている。この項目には、乗務員がメールで配車計画を確認し、了承した場合に「確」と記入される。また、ディスプレイ部12の右側領域に、各乗務員名が記された札画像がまとめて表示されている。
【0123】
配車計画表における出社時間、到着時間、車両番号、配送先までのコースの項目は、配送先情報登録部213及び作業情報登録部214に登録されている情報に基づいて自動入力される。乗務員名の項目は配車担当者の操作によって入力される。具体的には、配車担当者がディスプレイ部12の右側領域から乗務にふさわしいと思われる乗務員札を指でタッチし、ドラッグしながら乗務員名の項目の位置まで乗務員札を移動させ、乗務員札から指を離すこと(ドラッグアンドドロップ)により、配車担当者が指定した乗務員名が項目に入力される。なお、既に配置されている所定の乗務員札に、他の乗務員札をドラッグアンドドロップして重ねることにより、所定の乗務員札と他の乗務員札を入れ替えることも可能である。この際、所定の乗務員札は他の乗務員札があった場所に移動する。また、車両番号や配送コースも札画像に記載されており、車両番号やコースの札も移動や入れ替えが可能である。このように、電子ボード10に表示される配車計画表は、従来のホワイトボードによる配車板を模しており、配車担当者は、乗務員名等が記載されたマグネット札をホワイトボードに付けるような感覚で、配車計画表の作成を進めることができる。
【0124】
車両番号の表示項目は、車両の重量や車検満了日等に基づいて色分け表示されている。また、乗務員札を表示する右側領域において、当日、選択されている乗務員の札は色分けされている。また、休暇を取っている乗務員札についても色分けしたり、右側領域から表示を除外したりしてもよい。また、配送コースにおいても、系統毎に色分けされている。これにより、乗務員が配送表を見やすくすることが可能になる。
【0125】
[点呼簿の出力例]
図15は点呼簿の全体を示す説明図、
図16は
図15における二点鎖線で囲む領域を拡大した図である。
点呼簿(点呼記録簿)には、乗務前点呼の記入欄と、乗務後点呼の記入欄とが含まれている。
【0126】
乗務前点呼の記入欄には、整理番号、休日明け日数、乗務員情報、車両番号、運行明細、出動時間指定、日付、点呼時間、点呼方法、確認事項、点呼者印の記入項目が含まれている。
【0127】
乗務員情報には、社員番号、乗務員名、運転免許証期限、無事故期間、勤続年数、誕生日の項目が含まれている。
【0128】
運行明細には、1便~3便まで記入可能である。
【0129】
確認事項の記入欄には、アルコール検査、体温、服装、運転免許証、リフト免許証有無、安全帽、携帯品、安全スローガンカード、疾病疲労、睡眠不足の確認、日常点検の結果、その他必要事項の記入項目が含まれる。
【0130】
アルコール検査の項目には、検知器使用の有無を記入する項目と、検査結果の項目とがある。疾病疲労の項目には、一般と特別の項目がある。
【0131】
乗務後点呼の記入欄には、日付、点呼時間、点呼方法、確認事項、点呼者印の記入項目が含まれている。
【0132】
確認事項の記入欄には、アルコール検査、自動車・道路及び運行状況、携行品、パレットの取扱い問題なかったか、その他必要事項、納品終了検査の記入項目が含まれる。アルコール検査の項目には、検知器使用の有無を記入する項目と、検査結果の項目とがある。納品終了検査の項目には、納品完了の項目と、受領書確認の項目とがある。
【0133】
点呼簿は、確定した配車計画表に基づいて管理装置20が、点呼簿のフォーマットにおける整理番号、乗務員情報、車両番号、運行明細、出動時間指定、日付の項目に、
図16に示すように、乗務員データベース211、配送先情報登録部213及び作業情報登録部214に登録されている情報を参照して自動入力することにより作成される。
【0134】
[配車システム1の機能]
電子ボード10には、上述したようにトップ画面、配車板画面、配車計画画面が表示されるが、それ以外にも、乗務員シフト出力画面、乗務員シフト編集画面、配車板切替グループ画面、乗務員マスタ画面、車両マスタ画面、荷主マスタ画面、配送先マスタ画面、便(コース)マスタ画面、作業マスタ画面、区分マスタ画面、表示設定マスタ画面、休暇情報設定画面、メールテンプレート設定画面が表示される。
【0135】
次に、電子ボード10の各表示画面に関連する各種の機能について説明する。
【0136】
<トップ画面に関連する機能>
免許期限30日前アラート機能:トップ画面に、免許証の有効期限が30日前を切った乗務員数をアラート表示し、このアラート表示の表示ラベルをクリック(或いはタッチ)することで、乗務員マスタ画面に遷移し、乗務員マスタ画面の初期表示として免許期限30日前の乗務員の一覧を表示する。
【0137】
車検満了期限40日前アラート機能:トップ画面に、車検満了日の有効期限が40日前を切った車両台数をアラート表示し、このアラート表示の表示ラベルをクリック(或いはタッチ)することで、車両マスタ画面に遷移し、車両マスタ画面の初期表示として車検満了40日前の車両の一覧を表示する。
【0138】
ToDoリスト登録機能:タッチパネル部13或いは管理装置20を操作して、日付指定したToDoリストを作成し、配車計画画面で該当日付の計画を作成する際に、登録したToDoの内容を閲覧可能とする。また、登録時にPDFファイル(1MBまで)が管理装置20にアップロードでき、配車計画画面で管理装置20からファイルをダウンロードすることも可能である。
【0139】
ニュースリリース機能:トップ画面において、システムのリリース情報を利用者に通達する機能である。
【0140】
<配車計画画面に関連する機能>
画面表示選択機能:配車計画画面において、配車計画表の表示レイアウトを、縦表示、横3列1コース、横3列3コース、横2列5コース、横3列3コース(車格表示なし)、横4列3コースから選択可能にする機能である。
【0141】
計画追加(新規作成)機能:配車計画画面において、日付を指定し、配車計画を新規で作成する機能である。
【0142】
履歴検索(複製機能)機能:配車計画画面において、日付又は、配車台数を条件に設定し、過去の配車計画の一覧を表示し、この一覧の中から選択した過去の計画を複製する機能である。当該機能は、過去の計画のうち、出社時間・到着時間・車両・コースを複製する。また、当該機能は、過去の計画のうち、乗務員を複製するか否かを選択可能に構成される。これにより、配車担当者等は、休暇の乗務員を除く乗務員を複製し、休暇の乗務員に対応する欄を空欄として、配車計画に係る労力を低減する手順と、乗務員を複製せず、乗務員に対応する欄を空欄とし、出勤シフトの都合との整合を取りやすくする手順とから過去の配車計画を複製する手順を選択できる。
【0143】
計画保存機能:配車計画画面において、作成している配車計画を保存する機能である。
【0144】
一括確定機能:配車計画画面において、作成している全計画を一括で確定処理を実行する機能である。なお、計画途中で出社時間・車両・乗務員・コースの未設定データが1件でもある場合にはアラートが表示され、一括確定が行えない。正常に確定された場合は、乗務員マスタにメールアドレスが設定されていれば、乗務員に計画情報をメールで通知する。
【0145】
計画削除機能:配車計画画面において、指定日の作成されている配車計画データを削除する機能である。なお、物理削除となるため、復活はできない。
【0146】
元に戻す機能:配車計画画面において、計画の設定内容をミスしてしまった際に、一つ前の状態に戻す機能である。
【0147】
点呼簿出力機能:配車計画画面において、利用ユーザごとに指定した点呼簿のスプレッドシートテンプレートに合わせて、該当日の配車計画を出力し、ダウンロードする機能である。
【0148】
配車板出力機能:配車計画画面において、利用ユーザごとに指定した配車板のスプレッドシートテンプレートに合わせて、該当日の配車計画を出力し、ダウンロードする機能である。
【0149】
天気表示機能:配車計画画面において、利用ユーザの拠点コードを保持し、気象庁から該当日の天気情報を取得し、表示する機能である。
【0150】
選択削除機能:配車計画画面において、表示されている配車計画の1セルを選択した状態でボタン押下により、選択したセルの内容を破棄する機能である。
【0151】
ドラッグアンドドロップ機能:配車計画画面において、車両・乗務員の札(データ)を、それぞれの列又は行の間でドラッグアンドドロップ操作により移動若しくは入れ替えすることが可能である。便・コースと作業については、コースの列又は行の間で札をドラッグアンドドロップ操作により移動若しくは入れ替えすることが可能である。移動若しくは入れ替えは、管理装置20におけるマウスでの操作、電子ボード10における指などでのタッチ操作により可能となる。計画表の中若しくは、画面右側の乗務員・車両・便(コース)・作業メニューから札を選択し、札の移動若しくは入れ替えが可能である。画面右側から計画表に移動した際は右側のメニュー内の該当札がグレーアウトする。
【0152】
計画詳細設定機能:配車計画画面において、該当列若しくは行のいずれかのセルをダブルクリック又はダブルタップすることで計画の詳細が入力できるダイアログを表示する機能である。
【0153】
確定(個別確定)機能:配車計画画面において、計画内の1計画(横表示は1行、縦表示は1列)ごとに確定する機能である。計画途中で出社時間・車両・乗務員・コースの未設定がある場合は、アラートが表示されて確定が行えない。正常に確定された場合は、乗務員マスタにメールアドレスが設定されていれば、乗務員に計画情報をメールで通知する。
【0154】
確定確認機能:乗務員に通知されたメール内のURLをクリックしてモバイル用のサイトを表示し、出社時間・車両・コースなどを確認したら、確認ボタンを押下することで、配車計画画面の該当計画の出社時間が赤字から黒字に変更され、配車担当は乗務員が確認したことを把握することができる機能である。
【0155】
計画内重複アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、車両・乗務員・便(コース)・作業の札(データ)が重複して設定される場合、重複している旨のアラートを表示し、利用者に問題ないかを確認する機能である。なお、問題なければそのまま設定可能とする。
【0156】
7日間連続勤務アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、乗務員の札(データ)を設定する際に、該当乗務員が7日連続勤務であればアラートを表示し、利用者に問題ないかを確認する機能である。なお、問題なければそのまま設定可能とする。
【0157】
休暇予定乗務員設定アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、乗務員の札(データ)を設定する際に、該当乗務員が該当日に休暇予定であればアラートを表示し、利用者に問題ないかを確認する機能である。なお、問題なければそのまま設定可能とする。乗務員のシフト情報は乗務員管理のシフト編集から登録する。
【0158】
乗務員所持免許設定アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、乗務員の札(データ)を設定する際に、該当乗務員の取得資格が該当車両に必要な免許の種類とミッションタイプに合わなければアラートを表示し、設定できないようにする機能である。
【0159】
免許有効期限設定アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、乗務員の札(データ)を設定する際に、該当乗務員が該当日に免許有効期限切れであればアラートを表示し、設定できないようにする機能である。なお、誕生日から1ヶ月後までアラートは出るが配車は可能とする。
【0160】
メンテナンス車両設定アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、車両の札(データ)を設定する際に、該当車両が該当日にメンテンナンス予定であればアラートを表示し、利用者に問題ないかを確認する機能である。なお、問題なければそのまま設定可能とする。
【0161】
車検切れ車両設定アラート機能:配車計画画面において、配車計画表内でドラッグアンドドロップ若しくは、詳細設定ダイアログからの設定で、車両の札(データ)を設定する際に、該当車両が該当日に車検切れであればアラートを表示し、設定できないようにする機能である。
【0162】
排他制御機能:配車計画画面において、配車計画表で選択した日付が別の配車担当者が利用している場合は、表示モードで画面が表示され、計画の変更が行えなくなる機能である。
【0163】
表示グループ単位での設定機能:配車計画画面の右側にあるメニューにおいて、表示グループ単位でグループの切替えを行うことが可能となり、それぞれで配車計画を作成可能にする機能である。切替えするグループの上限は5つまでとし、グループの設定はマスタメンテナンスの配車板切替グループで設定する。
【0164】
<配車板画面に関連する機能>
配車板画面表示選択機能:配車板画面において、配車計画同様に縦表示、横3列1コース、横3列3コース、横2列5コース、横3列3コース(車格表示なし)、横4列3コースから表示レイアウトの選択が可能となり、配車計画画面で作成した計画を表示する機能である。表示されるのは該当日に確定処理された計画のみ表示される。なお、初期表示は当日の計画を表示する。日付の変更は、日付の両側に表示されている矢印を操作することにより可能である。また、利用拠点ごとに当日から翌日の配車計画への切り替え時間を設定し、時間になったら自動的に翌日に切り替えることも可能である。
【0165】
乗務員出社設定機能:配車板画面において、表示されている配車計画の乗務員セルの中から乗務員が自身のセルをタップすることにより、ピンク背景色から白抜きに変更され、出社したことを共有する機能である。
【0166】
乗務員指定アイコン表示機能:配車板画面において、縦表示を選択した拠点に限り、乗務員マスタで乗務員毎に登録したアイコンを配車板に表示することが可能である。
【0167】
付箋表示機能:配車板画面において、付箋編集画面を呼び出し、付箋に情報を書き込んで、付箋を配車板画面の任意の位置に貼り付ける機能である。
【0168】
スプレッドシート出力機能:乗務員シフト出力画面において、対象年月の乗務員のシフト情報をスプレッドシートファイルに出力する機能である。配車グループが切り替わるタイミングで1行空白行を出力する。
【0169】
テンプレートダウンロード機能:乗務員シフト編集画面において、シフト情報を一括登録できるスプレッドシートテンプレートをダウンロードする機能である。ここで、対象年月と乗務員情報とシフト情報が既に登録済みの場合はシフト情報を設定した状態でダウンロードすることが可能である。
【0170】
シフトアップロード機能:乗務員シフト編集画面において、ダウンロードしたスプレッドシートテンプレートに乗務員のシフト情報を設定したのちに、一括で登録する機能である。
【0171】
承認機能:乗務員シフト編集画面において、乗務員がモバイル端末からシフト情報の申請を行った内容を管理者が承認する機能である。承認は、個別又は一括で行うことが可能である。
【0172】
グループ登録機能:配車板切替グループにおいて、配車計画・配車板で設定したグループ単位で画面を切り替えることを可能とするためのマスタデータを登録する機能であり、1拠点最大5グループまで登録可能である。
【0173】
乗務員札登録機能:乗務員マスタ画面において、配車計画で利用する乗務員札(データ)を登録する機能であり、該当乗務員がNGとなっている配送先の確認も可能である。
【0174】
車両札登録機能:車両マスタ画面において、配車計画で利用する車両札(データ)を登録する機能であり、札の文字色・背景色・フレーム色を指定することが可能である。
【0175】
荷主登録機能:荷主マスタ画面において、便(コース)マスタの親となる荷主を登録する機能である。
【0176】
配送先情報登録機能:配送先マスタ画面において、配送先の情報を登録する機能である。この画面から、該当の配送先にNGの乗務員や、車格的にNGの車両などを設定することも可能である。
【0177】
便札登録機能:便(コース)マスタ画面において、配車計画で利用する便(コース)札(データ)を登録する機能である。この画面から、札の文字色・背景色・フレーム色を指定することが可能であり、親となる荷主の設定や、コースに含まれる配送先の設定も可能である。
【0178】
作業札登録機能:作業マスタ画面において、配車計画で利用する作業札(データ)を登録する機能である。この画面から、札の文字色・背景色・フレーム色を指定することが可能である。
【0179】
区分管理登録機能:区分マスタ画面において、画面や機能ごとに使用する区分を管理するマスタを登録する機能である。
【0180】
表示設定機能:表示設定マスタ画面において、配車計画に表示するアナウンスメントや配車板の切り替え時間の設定、確定時メール通知有無などを登録する機能である。
【0181】
個別休暇情報設定機能:シフト編集画面では全体のシフト編集となるが、個別で編集したい場合に休暇情報設定画面で登録・編集を行うことができる。
【0182】
メールテンプレート設定機能は、メールテンプレート設定画面において、確定通知又は、休暇申請時に送信するメールの送信元や複写、メール本文などを登録・編集を行う機能である。
【0183】
呼気アルコール検知器連携機能:呼気アルコール検知器からの検知結果を受信し、アルコールが検知された場合に配車板画面等において警告する。また、当該機能は、アルコールが検知されなかったとの検知結果が受信された場合に、個人情報を表示させる所定のタイミングであると判別する機能を含むことが好ましい。これにより、乗務員は、個別情報表示に係る追加の操作を行うことなく、勤務前に呼気アルコール検知器を利用するタイミングで、個別情報を確認できる。呼気アルコール検知器は、電子ボード10の位置から視認可能な比較的近い場所に配置され、複数のスイッチングハブを介するカスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワーク、イントラネット、無線LAN、Bluetooth、USBケーブル等の比較的短距離での通信に用いられる通信手段を介して電子ボード10と通信するよう構成されることが好ましい。上述の配置により、配車システム1は、呼気アルコール検知器を利用する乗務員が電子ボード10に表示された個別情報を確認しやすくするとともに、当該乗務員と運行管理者との間で密なコミュニケーションを行うことを可能とする。さらに、上述の配置及び通信手段により、配車システム1は、デジタルタイムカードと電子ボード10との間の通信を守秘性、経済性に優れたものとできる。特に、カスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワークでは、通信の確立及び通信速度に対する費用対効果並びに電波傍受による情報漏洩を防ぐ守秘性に優れるとともに、カスケード接続による速度低下を伴わない、ローカルエリアネットワークを介した高速な通信を実現できる。また、無線LAN及びBluetoothは、後付けが容易であり、乗務員、配車担当者等がローカルエリアネットワーク等のケーブルに足を引っ掛けるリスクを低減し、前述のリスクを防ぐために床を底上げ等して床上の配線を避ける工事が不要である点で優れている。
【0184】
デジタルタイムカード連携機能:デジタルタイムカードからの打刻を受信し、出勤時刻に反映させる。また、当該機能は、打刻が受信された場合に、個人情報を表示させる所定のタイミングであると判別する機能を含むことが好ましい。これにより、乗務員は、個別情報表示に係る追加の操作を行うことなく、デジタルタイムカードに打刻したタイミングで、個別情報を確認できる。デジタルタイムカードは、電子ボード10の位置から視認可能な比較的近い場所に配置され、複数のスイッチングハブを介するカスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワーク、イントラネット、無線LAN、Bluetooth、USBケーブル等の比較的短距離での通信に用いられる通信手段を介して電子ボード10と通信するよう構成されることが好ましい。上述の配置により、配車システム1は、デジタルタイムカードを利用する乗務員が電子ボード10に表示された個別情報を確認しやすくするとともに、当該乗務員と運行管理者との間で密なコミュニケーションを行うことを可能とする。さらに、上述の配置及び通信手段により、配車システム1は、デジタルタイムカードと電子ボード10との間の通信を守秘性、経済性に優れたものとできる。特に、カスケード接続を伴わない配線によるローカルエリアネットワークでは、通信の確立及び通信速度に対する費用対効果並びに電波傍受による情報漏洩を防ぐ守秘性に優れるとともに、カスケード接続による速度低下を伴わない、ローカルエリアネットワークを介した高速な通信を実現できる。また、無線LAN及びBluetoothは、後付けが容易であり、乗務員、配車担当者等がローカルエリアネットワーク等のケーブルに足を引っ掛けるリスクを低減し、前述のリスクを防ぐために床を底上げ等して床上の配線を避ける工事が不要である点で優れている。
【0185】
デジタルタコグラフ連携機能:デジタルタコグラフからの動態情報を受信し、動態情報格納部215に反映させる。また、当該機能は、デジタルタコグラフの動作が開始された場合に、個人情報を表示させる所定のタイミングであると判別する機能を含むことが好ましい。これにより、乗務員は、個別情報表示に係る追加の操作を行うことなく、デジタルタコグラフの動作が開始されたタイミング、すなわち乗務員が車両の運用を開始するタイミングで、個別情報を確認できる。
【0186】
配車計画再利用機能:配車計画作成支援部204及び配車情報格納部216に係る機能であって、上述の計画保存機能において配車情報格納部216に保存された配車計画を再利用する機能である。これにより、管理装置20は、保存された配車計画を利用可能とすることを介して、配車計画作成に係る配車担当者の負担を低減できる。
【0187】
拘束時間管理連携機能:拘束時間管理部203及び動態情報格納部215に係る拘束時間管理サービスの機能であって、配車板画面、デジタルタイムカード等から提供された出勤時間、退勤時間等の情報及びデジタルタコグラフ等から提供された勤務状況の情報等に基づいて、乗務員の拘束時間を管理する機能である。これにより、管理装置20は、乗務員の拘束時間の管理に係る配車担当者の負担を低減できる。
【0188】
勤怠/給与管理連携機能:拘束時間管理部203、出勤時間打刻部207、及び乗務員データベース211に係る勤怠/給与管理サービスの機能であって、配車板画面、デジタルタイムカード等から提供された出勤時間、退勤時間等の情報及びデジタルタコグラフ等から提供された勤務状況の情報等に基づいて、乗務員の勤怠及び給与を管理する機能である。これにより、管理装置20は、乗務員の勤怠及び給与の管理に係る配車担当者の負担を低減できる。
【0189】
運行計画管理機能:配車計画作成支援部204及び配車情報格納部216に係る運行計画管理サービスと連携する機能であって、運行計画管理サービスから提供される情報に基づいて配車計画に係る運行計画を管理する機能である。
【0190】
上述した本実施形態によれば、札画像を移動させることによって配車計画を作成するため、従来、配車計画の作成に使用したホワイトボードによる使用感を残している。このため、突発的な変更を最小限に抑えることができる。また、タッチパネル部13の操作によって入力された乗務員宛の情報、或いはネットワークを介して管理装置20に送信された乗務員宛の情報をディスプレイ部12に表示させるため、配車担当者と乗務員との間で円滑に意思共有できる。
【0191】
なお、ディスプレイ部12に表示される乗務員宛の情報は、道路情報に限らず、作業に関する備考等なんでもよい。また、本実施形態によれば、配車板を模したユーザインターフェースとしては、大型タッチパネルディスプレイを使用しているが、通常の大型ディスプレイとマウス等の入力装置との組み合わせでもよい。
【0192】
また、タッチパネルへのタッチ等でディスプレイ部12に表示された乗務員宛の情報は、再タッチで消せるようにしてもよい。また、呼気アルコール検知器からの情報を取得し、この情報を乗務員宛の情報としてディスプレイ部12に表示することにより、乗務員に対して警告可能にしてもよい。また、デジタルタイムカードと連携可能とし、デジタルタイムカードに記入した時刻を運行管理者宛の情報としてディスプレイ部12に表示してもよい。これにより、運行管理者に出勤したことを伝達することができる。また、デジタルタコグラフとし、運行状況を運行管理者宛の情報としてディスプレイ部12に表示してもよい。これにより、運行管理者が、乗務員の運行状況を把握することが可能になる。
【0193】
また、手作業による転記が不要になるため、作業負担の軽減が図れる。また、各乗務員との間で情報共有が可能になるため、間違いチェックが容易になり、ケアレスミスを排除することができる。また、車検情報等が自動更新されるため、車両の管理が容易になる。
【0194】
また、配車システム1が過去のデータを分析して配車を行うため、効率的な配車を決定することが可能になり、将来的に配車計画を行える人材を容易に増やすことができる。また、配車担当者は、配車にかかる負担を軽減することができるため、その分、他の計画等に時間を使うことができる。
【0195】
また、乗務員にとっては、運行管理者と乗務員の連絡確認作業を大幅に削減することができるため、連絡確認作業に係る手間を低減することが可能になる。また、乗務員の出勤をシステムが調整するため、出勤に係る乗務員の負担を軽減することができる。また、配送コースをシステムが調整するため、コースの偏りを無くすことができ、運転に係る乗務員の負担を軽減することができる。
【0196】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。例えば、本実施形態によれば、管理装置20と電子ボード10とが別々になっているが、一体型であってもよい。また、本実施形態によれば、電子ボード10のタッチパネル部13へのタッチ操作によって各種の入力が可能であるが、電子ボード10に例えばマウスのような入力機器を接続して、マウスを用いて配車計画表の作成を行ってもよく、更には管理装置20に接続されたマウスの操作によって、各画面における入力操作を行ってもよい。
【0197】
また、本実施形態によれば、乗務員が出勤時間の札をタッチすることによって、出勤時間の打刻が行われるが、マウス操作で配車板画面における出勤時間の札をクリックすることによって打刻を行ってもよく、更には、乗務員によるアルコール呼気検知装置の利用を契機に打刻を行ったり、乗務員によるデジタルタイムカードへの打刻時間を配車板に反映させたりしてもよい。
【0198】
各乗務員が所持するタブレット端末のような乗務員端末103との連携機能を有することが好ましい。例えば、乗務員が乗務員端末103を操作して、文字情報を管理装置20に送信し、管理装置20が付箋機能を使って乗務員端末103からの文字情報を記入した付箋を配車板に貼り付けてもよい。これにより、乗務員がディスプレイ部12を見た後に生じた当日の予定変更(例えば、天候変化等による需要変化を受けた臨時配送依頼、事故・渋滞等による配送/帰着の遅れの手当て等の各種事情に対応する予定変更)にも対応可能である。
【0199】
また、配送コースが含まれている自治体のホームページからイベント情報を抽出し、交通規制が伴うイベントの有無を求め、配送日に交通規制が予定されている場合に、交通規制を避けるコースや時間帯を乗務員に提示してもよい。これにより、マラソン大会や駅伝大会によって国道や県道の一部に所定の時間帯だけ交通規制が予定されている場合、或いは花火大会のように交通渋滞が予想される場合に、交通渋滞に巻き込まれることを避けることができる。
【0200】
<出勤時間の打刻に関する表示>
運送業において、乗務員の年間の拘束時間、1ヶ月の拘束時間、1日の拘束時間、2日を平均したときの1日当たり運転時間、2週を平均したときの1週当たり運転時間、連続運転時間等は、それぞれ法令により原則としての上限が設けられている。また、乗務員の勤務終了後の休息期間等には、原則としての下限が設けられている。しかしながら、多忙かつ考慮すべき事項が多く、配車計画の突発的な変更もある運送業において、乗務員及び配車担当者がこれら上限・下限等に係る当該乗務員の労働可能時間の残余を逐一把握しながら働くのは難しい。
【0201】
配車計画の突発的な変更等による配車担当者の負担を最小限に抑えつつ、上述の各種上限・下限等に係る当該乗務員の労働可能時間の残余を乗務員へ円滑に意思伝達できるよう支援すべく、管理装置20の情報表示制御部206は、乗務員に係る所定の操作を受信した場合に、所定期間における当該乗務員の労働可能時間の残余の目安を電子ボード10に表示させる処理を実行することが好ましい。ここで言う所定の操作は、乗務員が出勤時に行う電子ボード10を介した操作等である。
【0202】
当該処理は、例えば、拘束時間管理部203が、勤務時間、出勤時刻、退勤時刻、運転時間、運転開始時刻、運転終了時刻、休憩時間、休暇等によって例示される乗務員の勤怠に係る情報を記憶部210の乗務員データベース211等に格納及び更新し、情報表示制御部206が、記憶部210に格納された勤怠に係る情報を参照して労働可能時間の残余に係る各種時間を算出し、算出された時間を法令に基づいて設定された所定期間における労働可能時間から引く計算によって、所定期間における当該乗務員の労働可能時間の残余の目安を算出する手順を含む。
【0203】
労働可能時間の残余に係る各種時間は、例えば、乗務員の年間の拘束時間、1ヶ月の拘束時間、1日の拘束時間、2日を平均したときの1日当たり運転時間、2週を平均したときの1週当たり運転時間、又は連続運転時間等である。所定期間における労働可能時間は、例えば、年間の拘束時間の上限、1ヶ月の拘束時間の上限、1日の拘束時間の上限、2日を平均したときの1日当たり運転時間の上限、2週を平均したときの1週当たり運転時間の上限、又は連続運転時間の上限等である。各上限の例は、以下の通りである:年間の拘束時間の上限=3,300時間、1ヶ月の拘束時間の上限=284時間、1日の拘束時間の上限=13時間、2日を平均したときの1日当たり運転時間の上限=9時間、2週を平均したときの1週当たり運転時間の上限=44時間、連続運転時間の上限=4時間。
【0204】
〔残余算出処理のフローチャート〕
図17は、管理装置20で実行される残余算出処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
図18は、前図から続くフローチャートである。以下は、
図17及び
図18を用いた、所定期間における当該乗務員の労働可能時間の残余の目安を算出する処理(残余算出処理)の一例である。
【0205】
[ステップS201:勤務時間を更新するか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、拘束時間管理部203を実行する。そして、制御部200は、拘束時間管理部203により、勤務時間を更新するか判別する処理を実行する(勤務時間更新判別ステップ)。更新すると判別したならば、制御部200は、処理をステップS202へ移す。更新すると判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS203へ移す。
【0206】
勤務時間を更新するか判別する手順は、例えば、退勤時刻が打刻された場合又は手作業で入力された勤務時間のデータが提供された場合に、勤務時間を更新すると判別する手順を含む。
【0207】
[ステップS202:勤務時間を更新]
制御部200は、拘束時間管理部203により、勤務時間を更新する処理を実行する(勤務時間更新ステップ)。制御部200は、処理をステップS203へ移す。
【0208】
[ステップS203:運転時間を更新するか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、拘束時間管理部203を実行する。そして、制御部200は、出勤時間打刻部207により、運転時間を更新するか判別する処理を実行する(運転時間更新判別ステップ)。更新すると判別したならば、制御部200は、処理をステップS204へ移す。更新すると判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS205へ移す。
【0209】
運転時間を更新するか判別する手順は、例えば、デジタルタコグラフからの動態情報、又は、デジタルタイムカード、乗務員端末103、若しくは車載端末104からの運転時間に係る情報等が提供された場合に、運転時間を更新すると判別する手順を含む。
【0210】
[ステップS204:運転時間を更新]
制御部200は、拘束時間管理部203により、運転時間を更新する処理を実行する(運転時間更新ステップ)。制御部200は、処理をステップS205へ移す。
【0211】
[ステップS205:休憩時間を更新するか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、拘束時間管理部203を実行する。そして、制御部200は、出勤時間打刻部207により、休憩時間を更新するか判別する処理を実行する(休憩時間更新判別ステップ)。更新すると判別したならば、制御部200は、処理をステップS204へ移す。更新すると判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS205へ移す。
【0212】
休憩時間を更新するか判別する手順は、例えば、デジタルタコグラフからの動態情報、又は、デジタルタイムカード、乗務員端末103、若しくは車載端末104からの休憩時間に係る情報等が提供された場合に、休憩時間を更新すると判別する手順を含む。
【0213】
[ステップS206:休憩時間を更新]
制御部200は、拘束時間管理部203により、休憩時間を更新する処理を実行する(休憩時間更新ステップ)。制御部200は、処理をステップS207へ移す。
【0214】
[ステップS207:所定の操作を受信したか判別]
制御部200は、記憶部210等と協働して、出勤時間打刻部207を実行する。そして、制御部200は、出勤時間打刻部207により、乗務員が出勤時に行う所定の操作を受信したか判別する処理を実行する(所定操作受信判別ステップ)。受信したと判別したならば、制御部200は、処理をステップS208へ移す。受信したと判別しなかったならば、制御部200は、処理をステップS201へ戻し、ステップS201からステップS210の処理を繰り返す。所定操作受信判別ステップは、特定操作判別ステップと同様でよい。
【0215】
[ステップS208:所定期間の労働時間を合計]
制御部200は、記憶部210等と協働して、情報表示制御部206を実行する。そして、制御部200は、情報表示制御部206により、所定操作受信判別ステップに係る乗務員について、所定期間の労働時間等を合計する処理を実行する(労働時間合計ステップ)。制御部200は、処理をステップS209へ移す。
【0216】
(2週を平均したときの1週当たり運転時間の場合)
労働時間合計ステップにおいて、情報表示制御部206は、拘束時間管理部203と協働して、合計する処理を実行する日の前でもっとも近い起算日から2週間の運転時間それぞれを参照し、その合計を算出する。情報表示制御部206は、例えば、直近の起算日が前週の日曜日であり、かつ、当日が水曜日である場合、前週の日曜日から今週の水曜日までの運転時間を合計する。そして、情報表示制御部206は、得られた運転時間の合計を2で割る手順で、2週を平均したときの1週当たり運転時間を算出する。
【0217】
[ステップS209:残余を算出]
制御部200は、情報表示制御部206により、所定操作受信判別ステップに係る乗務員について、所定期間における上述の乗務員の労働可能時間の残余を算出する処理を実行する(残余算出ステップ)。制御部200は、処理をステップS210へ移す。
【0218】
(2週を平均したときの1週当たり運転時間の場合)
残余算出ステップにおいて、情報表示制御部206は、2週を平均したときの1週当たり運転時間の上限から、労働時間合計ステップにおいて算出された2週を平均したときの1週当たり運転時間を引いて、所定期間(直近起算日からの2週間)における上述の乗務員の労働可能時間の残余を算出する。
【0219】
[ステップS210:残余を表示]
制御部200は、情報表示制御部206により、所定期間と共に、残余算出ステップにおいて算出された残余を表示する処理を実行する(残余表示ステップ)。制御部200は、処理をステップS201へ戻し、ステップS201からステップS210の処理を繰り返す。
【0220】
乗務員における残余の視認性を高めるべく、残余表示ステップにおいて、情報表示制御部206は、所定期間における上述の乗務員の労働可能時間の残余の代わりに、又は、残余に加えて、当該残余の目安を電子ボード10に表示させることが好ましい。すなわち、残余表示ステップにおいて、情報表示制御部206は、所定期間における上述の乗務員の労働可能時間の残余の目安を電子ボード10に表示させることが好ましい。残余の目安は、例えば、残余算出ステップにおいて算出された残余に基づいて当該乗務員の名前が表示されるユーザインターフェース要素を色分けする表示等である。当該色分けは、例えば、残余が第1閾値以上(例えば、2週を平均したときの1週当たり運転時間において11時間以上)である場合に水色等の第1色で表示し、第1閾値未満第2閾値以上(例えば、2週を平均したときの1週当たり運転時間において11時間未満3時間以上)である場合に黄色等の第2色で表示し、第2閾値未満(例えば、2週を平均したときの1週当たり運転時間において3時間未満)である場合に赤色等の第3色で表示する色分けである。このように色分けする表示により、乗務員は、当日に普段と同様のフルタイムで乗車して差支えないか、普段と同様に乗車できなくても短時間の乗車であれば可能か、実質的に乗車できないかを容易に判別できる。
【0221】
上記においては、例示として、2週を平均したときの1週当たり運転時間に係る労働可能時間の残余を特に詳細に説明したが、当業者であれば、他の上限等に係る労働可能時間の残余の目安を算出する処理についても、当該説明に基づいて容易に想到されよう。
【0222】
[残余算出処理の効果]
上述の残余算出処理によれば、管理装置20は、所定期間における乗務員の労働可能時間の残余の目安を電子ボード10に表示させることを介して、法令に基づく労働可能時間の残余を乗務員へ円滑に意思伝達できるよう支援できる。これにより、配車担当者は、配車計画の突発的な変更等によって残余が変化した場合に、残余を逐一計算し直すという負担を免れる。また、これにより、乗務員は、配車担当者に逐一残余を計算させることなく、また、自ら残余を逐一計算することなく、所定期間における自らの労働可能時間の残余を把握し、労働可能時間を有効に利用した勤務計画を自ら立案し、実行することが可能となる。
【0223】
<帰庫予定時刻の表示>
配車担当者の負担を抑えつつ帰庫予定時刻を乗務員に伝達すべく、管理装置20の情報表示制御部206は、乗務員により出勤時刻が打刻された場合に、当該出勤時刻に当該乗務員に係る配送計画に基づく拘束時間を加算する等して帰庫予定時刻を算出し、算出された帰庫予定時刻を電子ボード10に表示させることが好ましい。
【0224】
<出社指示時刻に係る警告の表示>
配車計画の作成に多大な労力及び時間を要するとの事情から、配車担当者は、しばしば、各日の配車計画をその前日に作成している。配車計画の作成に関し、運送業において、勤務終了後の乗務員に、所与のインターバル時間(例えば、9時間等)又はそれ以上の休息を確保させることが義務付けられている。そのため、このような配車計画の作成においては、乗務員の出社予定時刻が、当該乗務員の帰庫予定時刻に所与のインターバル時間を加えた時刻又はそれ以降の時刻となるよう、当該乗務員に係る配車計画が、配車担当者により手動で、又は、本実施形態の管理装置20等により自動で、当該乗務員の帰庫を待たず予め作成される。
【0225】
しかしながら、上述のように作成された配車計画は、交通事情、配送内容、配送先の事情等の各種事情によって乗務員が帰庫予定時刻を過ぎて帰庫した場合、出社予定時刻の見直しを要する場合がある。出社予定時刻の見直しを要するか否かを乗務員それぞれについて逐一判別するのは、多忙な配車担当者にとって大きな負担となる。そこで、乗務員が帰庫予定時刻を過ぎて帰庫した場合における出社予定時刻の見直しを要するか否かの判別に係る配車担当者の負担を低減する技術の要望がある。
【0226】
配車担当者の負担を抑えつつ出社指示時刻の変更の必要を配車担当者が把握できるようにすべく、管理装置20の情報表示制御部206は、乗務員により退勤時刻が打刻された場合に、当該退勤時刻に当該乗務員に係る所与のインターバル時間(例えば、法令により定められた時間に往復の通勤時間を加算した時間)を加算した出社可能時刻を算出し、当該出社可能時刻が出社予定時刻より後である場合に、当該出社予定時刻に係る警告を電子ボード10、運行管理端末101等に表示させる出社予定警告表示ステップを実行することが好ましい。これにより、配車担当者は、上記のような見直しを要する事態に対して、例えば、出社可能時刻が出社予定時刻より後になる乗務員と、当該乗務員に割り当てられていた作業を担当できる別の乗務員との予定を入れ替える対応を行う場合において、これら2名の乗務員にいち早く予定の変更を伝えることができる。
【0227】
出社予定時刻に係る警告は、例えば、出社可能時刻が出社予定時刻より後であることを示す警告、出社可能時刻が添えられた警告、又は出社可能時刻とその時点での出社指示時刻とが添えられた警告等である。
【0228】
これにより、配車担当者は、乗務員それぞれについて逐一出社可能時刻を算出する負担を負うことなく、乗務員に対して必要なインターバル時間を確保できない場合を把握し、配車計画を見直せる。配車担当者が出社予定時刻の修正を要する乗務員をいち早く判別できるようにすべく、出社可能時刻に係る表示は、当該出社可能時刻に係る乗務員を特定する情報を含むことが好ましい。
【0229】
配車担当者の負担をさらに抑えるべく、管理装置20の情報表示制御部206は、出社予定警告表示ステップにおいて、翌日の出社予定時刻から当該乗務員に係る所与のインターバル時間を減算した限界帰庫時刻を算出し、当該限界帰庫時刻又はそれ以前に乗務員が帰庫しなかった場合に、警告表示を電子ボード10、運行管理端末101等に表示させることが好ましい。
【0230】
これにより、管理装置20は、配車担当者が、配車計画が修正を要すると判別できるようになってすぐに、当該乗務員の帰庫を待たずして、当該乗務員に係る配車計画が修正を要することを把握し、いち早く当該修正作業に着手することを可能にする。そして、これにより、配車担当者は、上記のような見直しを要する事態に対して、例えば、出社可能時刻が出社予定時刻より後になる乗務員と、当該乗務員に割り当てられていた作業を担当できる別の乗務員との予定を入れ替える対応を行う場合において、これら2名の乗務員によりいっそう早く予定の変更を伝えることができる。
【0231】
<レイアウト設定>
本実施形態のシステムSの利用を開始する前に用いていた物理的な配車板に近い使用感を提供すべく、管理装置20の情報表示制御部206は、電子ボード10に表示される配車表等のレイアウトをカスタマイズする処理を実行することが好ましい。当該カスタマイズは、例えば、乗務員、車両ごとの配車計画を横方向に並べ、乗務員、車両等が縦方向に並べられる横向きレイアウトと、乗務員、車両ごとの配車計画を縦方向に並べ、乗務員、車両等が横方向に並べられる縦向きレイアウトとを切り替えるカスタマイズ等である。
【0232】
<データ出力>
本実施形態のシステムSの利用を開始する前に用いていた物理的な帳票に近い使用感を提供すべく、管理装置20は、電子ボード10に表示される配車データのうち指定された一部又は全部を指定された様式でまとめた帳票を出力する処理を実行することが好ましい。当該帳票のフォーマットは、特に限定されない。当該フォーマットは、例えば、Excel(登録商標)のスプレッドシート形式、Portable Document Format(PDF)形式等である。
【0233】
また、外部システムと連携すべく、管理装置20は、管理装置20において管理されるデータのうち指定された一部又は全部をまとめたデータを出力する処理を実行することが好ましい。多様な外部システムとの連携を実現すべく、当該処理に関し、管理装置20は、当該データ出力に係る出力項目をカスタマイズする処理を実行することが好ましい。また、多様な外部システムとの連携を実現すべく、当該処理に関し、管理装置20は、選択肢として提示された各種形式(例えば、カンマ区切り数値(CSV)形式、JavaScript Object Notation(JSON)形式等)から指定された形式でデータを出力することが好ましい。
【0234】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものである。よって、それら変更例及び修正例は、本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0235】
1 配車システム
10 電子ボード
11 制御部
12 ディスプレイ部
13 タッチパネル部
20 管理装置
21 制御部
21a CPU
21b メモリ
21c クロック
22 入出力部
100 ネットワーク
101 運行管理端末
102 物流営業所端末
103 乗務員端末
104 車載端末
105 電子ボード表示制御装置
200 制御部
201 動態管理部
202 車両管理部
203 拘束時間管理部
204 配車計画作成支援部
205 点呼簿作成部
206 乗務員宛情報表示制御部
207 出勤時間打刻部
208 配置操作受信部
209 個別情報受信部
210 記憶部
211 乗務員データベース
212 車両情報データベース
213 配送先情報登録部
214 作業情報登録部
215 動態情報格納部
216 配車情報格納部
217 表示情報格納部