(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023826
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】バネ加工機のリアルタイム補正装置
(51)【国際特許分類】
B21F 35/00 20060101AFI20250207BHJP
【FI】
B21F35/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115620
(22)【出願日】2024-07-19
(31)【優先権主張番号】112129390
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524274015
【氏名又は名称】ツー ルー シン ツー トン ホア ユー シェン コン スー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】チャン チー フォン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ シー チャン
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AB09
4E070BC23
4E070DA02
4E070DB02
(57)【要約】
【課題】バネ加工機に補正データを迅速に提供できるリアルタイム補正装置の提供。
【解決手段】リアルタイム補正装置が、バネ加工機5に面するように配置されて加工中のコイルの情報を反映する複数の検知結果を出力する検知部21及び検知部21に信号的に接続して検知部21により検知した複数の検知結果から対応する1つの判定信号を生成して出力する判定部22を有するセンサ手段2と、判定信号に関連付けられる複数の補正データが保存されるデータベース31を有すると共に、判定部22に信号的に接続することにより、判定部22から判定信号を受信すると、受信した判定信号に対応する補正データをデータベース31からバネ加工機5の制御手段54に出力する分析手段3と、を備えることで、バネ加工機5の制御手段54は分析手段3から受信した補正データに基づいてピッチ調整手段52及び各折り曲げ手段53を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材料からバネとして作製されるコイルのピッチを調整するピッチ調整手段と、前記コイルが曲げられる直径を調整する複数の折り曲げ手段と、前記ピッチ調整手段及び各前記折り曲げ手段の移動を制御する制御手段と、を備えたバネ加工機に用いられるバネ加工機のリアルタイム補正装置であって、
前記バネ加工機の隣に移動することができるように構成された保持枠と、
前記バネ加工機に面するように前記保持枠に配置されて前記コイルのピッチもしくは前記コイルが曲げられる直径を検知して対応の複数の検知結果を出力する検知部及び前記検知部に信号的に接続して前記検知部により検知した複数の検知結果から対応する1つの判定信号を生成して出力する判定部を有するセンサ手段と、
前記判定信号に関連付けられる複数の補正データが保存されるデータベースを有すると共に、前記判定部に信号的に接続することにより、前記判定部から前記判定信号を受信すると、受信した前記判定信号に対応する前記補正データを前記データベースから前記バネ加工機の前記制御手段に出力する分析手段と、を備えることで、
前記バネ加工機の前記制御手段は前記分析手段から受信した前記補正データに基づいて前記ピッチ調整手段及び各前記折り曲げ手段を制御することができる、バネ加工機のリアルタイム補正装置。
【請求項2】
前記保持枠は下板と、前記下板に取り付けられる複数のキャスターと、前記下板に取り付けられると共に、前記検知部を保持するセンサ保持部材と、を有するように構成される、請求項1に記載のバネ加工機のリアルタイム補正装置。
【請求項3】
前記保持枠は、前記下板に取り付けられるバネ受け取り手段を更に有し、前記バネ受け取り手段は、前記下板から上方に延伸するサポータと、
前記サポータに取り付けられると共に、伸縮可能に構成される微調整シリンダと、
前記微調整シリンダに取り付けられて前記微調整シリンダの伸縮に応じて上下位置が調整可能になっているバネ受け取り部と、を有するように構成される、請求項2に記載のバネ加工機のリアルタイム補正装置。
【請求項4】
前記バネ受け取り部は、前記保持枠が前記バネ加工機の隣に移動する際に前記バネ加工機に隣接すると共に、前記微調整シリンダにより保持されて且つ前記バネ加工機から離れる方向へ順次に配置される第1の受け取り皿と第2の受け取り皿とを有し、前記第2の受け取り皿の上下方向における傾きが前記第1の受け取り皿より大であるように構成される、請求項3に記載のバネ加工機のリアルタイム補正装置。
【請求項5】
接続部材を介して前記保持枠に取り付けられる照明ユニットを更に備える、請求項2に記載のバネ加工機のリアルタイム補正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属の線材料を捻じ曲げてコイル状のバネを作製するバネ加工機の加工をリアルタイムに検知して補正を行うバネ加工機のリアルタイム補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル状のバネは通常バネ加工機を用いて金属の線材料を捻じ曲げてコイル状に形成することで作製されるが、バネ加工機は例えば特許文献1に記載されるように、高速で出力される線材料を2つの折り曲げ手段でその出力方向を案内することでカーブ状に折り曲げると共に、ピッチ調整手段で折り曲げられる線材料をコイル状に整えた上で、決まった長さのコイルを切り取ってコイルバネとして作製する構成になっている。この加工は高速で出力される線材料に対して行われるので、折り曲げ手段とピッチ調整手段を迅速に制御しないと、製品のコイルバネの品質が落ちる問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許第104487186号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題点に鑑て、本発明は線材料の加工状況をリアルタイムで管理してバネ加工機に補正データを迅速に提供できるバネ加工機のリアルタイム補正装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく、本発明は線材料からバネとして作製されるコイルのピッチを調整するピッチ調整手段と、前記コイルが曲げられる直径を調整する複数の折り曲げ手段と、前記ピッチ調整手段及び各前記折り曲げ手段の移動を制御する制御手段と、を備えたバネ加工機に用いられるバネ加工機のリアルタイム補正装置であって、
前記バネ加工機の隣に移動することができるように構成された保持枠と、
前記バネ加工機に面するように前記保持枠に配置されて前記コイルのピッチもしくは前記コイルが曲げられる直径を検知して対応の複数の検知結果を出力する検知部及び前記検知部に信号的に接続して前記検知部により検知した複数の検知結果から対応する1つの判定信号を生成して出力する判定部を有するセンサ手段と、
前記判定信号に関連付けられる複数の補正データが保存されるデータベースを有すると共に、前記判定部に信号的に接続することにより、前記判定部から前記判定信号を受信すると、受信した前記判定信号に対応する前記補正データを前記データベースから前記バネ加工機の前記制御手段に出力する分析手段と、を備えることで、
前記バネ加工機の前記制御手段は前記分析手段から受信した前記補正データに基づいて前記ピッチ調整手段及び各前記折り曲げ手段を制御することができる、バネ加工機のリアルタイム補正装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバネ加工機のリアルタイム補正装置における判定部と分析手段は、いずれも受信した情報(検知結果もしくは判定信号)に応じて予めに決められた対応の情報を出力する構成になっているので、計算に時間を費やすことなく、バネ加工機の加工中に補正データをリアルタイムにバネ加工機の制御手段に提供することができるので、製品のコイルバネの品質の維持に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のバネ加工機のリアルタイム補正装置の実施例が示される側面図である。
【
図2】同実施例における保持枠の構成が示される斜視図である。
【
図4】同実施例がバネ加工機に適用される様子が示される斜視図である。
【
図5】
図4に示されるバネ加工機の構成が示される側面図である。
【
図6】
図4に示されるバネ加工機におけるピッチ調整手段の構成が示される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図3に本発明のバネ加工機のリアルタイム補正装置の実施例が示されている。
【0009】
図示のように、この実施例は保持枠1と、保持枠1に取り付けられるセンサ手段2と、センサ手段2に信号的に接続する分析手段3と、保持枠1に取り付けられる2つの照明ユニット4と、を備える。
【0010】
この実施例において、保持枠1は下板11と、下板11の下側に取り付けられて地面に接触することにより、その転がり運動で下板11が地面に対して移動可能になる複数のキャスター12と、それぞれ下板11から上方へ延伸する保持柱110の上端に配置される2つのセンサ保持部材13と、下板11から上方へ延伸する接続部材14と、各センサ保持部材13と接続部材14との間の配置されるバネ受け取り手段15と、を有する。
【0011】
バネ受け取り手段15は下板11から上方に延伸するサポータ151と、サポータ151に取り付けられると共に、伸縮可能に構成される微調整シリンダ153と、微調整シリンダ153に取り付けられて微調整シリンダ153の伸縮に応じて上下位置が調整可能になっているバネ受け取り部154と、を有するように構成される。そしてバネ受け取り部154は、保持枠1がバネ加工機5の隣に移動する際にバネ加工機5に隣接すると共に、微調整シリンダ153により保持されて且つバネ加工機5から離れる方向へ順次に配置される第1の受け取り皿156と第2の受け取り皿155とを有し、第2の受け取り皿155の上下方向における傾きが第1の受け取り皿156より大であるように構成される。この構成により、バネ加工機による加工が完了して切り出されるコイルバネを第1の受け取り皿156でまず受け取り、それから第2の受け取り皿155を経由して排出することができる。
【0012】
センサ手段2は2つのセンサ保持部材13にそれぞれ取り付けられる検知部21と、検知部21に信号的に接続する判定部22と、を有する。検知部21としては例えばイメージセンサを用いて構成することができ、そして判定部22は検知部21から出力されてきた情報をまとめて処理して対応する判定信号を出力できるプロセッサを用いて構成することができる。
【0013】
分析手段3は判定部22に信号的に接続すると共に、判定部22により出力される判定信号に関連付けられる複数の補正データが保存されるデータベース31を有する構成により、判定部22から判定信号を受信すると、受信した判定信号に対応する補正データをデータベース31から出力できるように構成されるものであり、例えばマイクロコンピュータなどを分析手段3として用いることができる。
【0014】
また、照明ユニット4は、センサ手段2により行われる検知をサポートするように対応する接続部材14に取り付けられ、接続部材14を介して保持枠1に取り付けられる。
【0015】
図4~
図6に示されるようにこの実施例のバネ加工機のリアルタイム補正装置はキャスター12を有することで、保持枠1は対応するバネ加工機5の隣における適切な位置まで移動することができる。
【0016】
そしてバネ加工機5に関しては、バネとして作製される金属の線材料を所定の供給方向Bに沿って供給する材料供給手段51と、線材料からバネとして作製されるコイルAのピッチを調整するピッチ調整手段52と、コイルAが曲げられる直径を調整する複数の折り曲げ手段53と、ピッチ調整手段52及び各折り曲げ手段53の移動を制御する制御手段54と、を備える。この構成により、材料供給手段51により高速で出力される線材料を2つの折り曲げ手段53でその出力方向を案内することでカーブ状に折り曲げると共に、折り曲げられた線材料をピッチ調整手段52でコイルAに整えた上で、決まった長さのコイルAを切り取ってコイルバネとして作製する。
【0017】
また、バネ加工機5におけるピッチ調整手段52の具体的構成に関しては
図6に示されるように、モータ521と、モータ521により回転駆動されるワーム522と、ワーム522に取り付けられることにより回転するワーム522により駆動されてワーム522の延伸方向に沿って移動できる接続アーム523と、接続アーム523に取り付けられると共に、互いに向かい合って延伸するように配置される2つのピッチブレード524とを有する。この構成により、モータ521からの駆動力で接続アーム523を移動させることで、各ピッチブレード524はワーム522の延伸方向であって供給方向Bと直交するピッチ方向Cに沿って移動することができる。
【0018】
図1と
図4と
図5に示されるように、センサ手段2の各検知部21はバネ加工機5に面すると共に、バネ加工機5による加工を受けるコイルAに向かって検知を行うので、例えばコイルAの複数の部位のピッチもしくはコイルAが曲げられる直径をそれぞれ検知して対応の複数の検知結果を判定部22に出力する。判定部22は検知部21からコイルAの複数の部位の情報(ピッチもしくは直径など)を受信し、これら複数の情報に対応する1つの判定信号を生成して分析手段3に出力する。分析手段3は判定部22から判定信号を受信すると、データベース31から受信した判定信号に対応する補正データを見つけ出してバネ加工機5の制御手段54に送信する。バネ加工機5の制御手段54は分析手段3から受信した補正データに基づいてピッチ調整手段52及び各折り曲げ手段53を制御する。
【0019】
従って、本発明のバネ加工機のリアルタイム補正装置における判定部22と分析手段3は、いずれも受信した情報(検知結果もしくは判定信号)に応じて予め決められた対応の情報を出力する構成になっているので、計算に時間を費やすことなく、バネ加工機の加工中に補正データをリアルタイムにバネ加工機5の制御手段54に提供することができるので、製品のコイルバネの品質の維持に寄与することができる。
【0020】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 保持枠
11 下板
110 保持柱
12 キャスター
13 センサ保持部材
14 接続部材
15 バネ受け取り手段
151 サポータ
153 微調整シリンダ
154 バネ受け取り部
155 第2の受け取り皿
156 第1の受け取り皿
2 センサ手段
21 検知部
22 判定部
3 分析手段
31 データベース
4 照明ユニット
5 バネ加工機
51 材料供給手段
52 ピッチ調整手段
521 モータ
522 ワーム
523 接続アーム
524 ピッチブレード
53 折り曲げ手段
54 制御手段
A コイル
B 供給方向
C ピッチ方向