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特開2025-23863ガスメータおよび関連する測定値送信方法
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  • 特開-ガスメータおよび関連する測定値送信方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025023863
(43)【公開日】2025-02-17
(54)【発明の名称】ガスメータおよび関連する測定値送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20250207BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20250207BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20250207BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20250207BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20250207BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20250207BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W84/10 110
H04W84/18
H04W88/06
H04W4/00 110
H04Q9/00 311H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024129234
(22)【出願日】2024-08-05
(31)【優先権主張番号】102023000016686
(32)【優先日】2023-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】524294943
【氏名又は名称】イタルガス レティ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョルジョ エミリオ フジャーニ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ マルティーニ
(72)【発明者】
【氏名】タリサ チェラソーリ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ サッタニーノ
【テーマコード(参考)】
5K048
5K067
【Fターム(参考)】
5K048AA06
5K048BA35
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB10
5K067AA33
5K067AA43
5K067BB27
5K067EE04
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の無線データ通信ユニットを備えるガスメータを提供する。
【解決手段】ガスメータ110(i)は、、ガス配送量を示す測定値を生成し、生成した測定値を制御ユニット215に送信する測定ユニット225と、第1のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信するとともに、制御ユニットによってあらかじめ受信又は生成された測定値を送信する第1の無線通信ユニットCU(1)~CU(j)と、第1のタイプの無線通信リンク以外の第2のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信し、制御ユニットによってあらかじめ受信または生成された測定値を送信する第2の無線通信ユニットCU(1)~CU(j)と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス配送量を示す測定値を生成する測定ユニット(225)であって、制御ユニット(215)に動作可能に接続されて、前記生成された測定値を特に前記制御ユニット(215)に送信する、測定ユニット(225)と、
第1の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;CU(j))であって、第1のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システム(180)と通信するように構成されるとともに、生成された測定値、特に、前記制御ユニット(215)によってあらかじめ受信された測定値を送信するように構成され、前記第1の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の各ユニットは通信リンクを有して構成されている、第1の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;CU(j))と、
第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;CU(j))であって、前記第1のタイプの無線通信リンク以外の第2のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システム(180)と通信するように構成されるとともに、生成された測定値、特に、前記制御ユニット(215)によってあらかじめ受信された測定値を送信するように構成され、前記第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の各ユニットは通信リンクを有して構成されている、第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;CU(j))と、
前記制御ユニット(215)であって、前記第1の通信モードまたは前記第2の通信モードによって前記遠隔取得システム(180)に測定値を送信するよう構成されるとともに、前記第1および第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))と、前記第1および第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の各々の前記通信リンクと、を順次制御することにより、複数の測定値送信試行を行うよう構成されている、前記制御ユニット(215)と、
を含むガスメータ(110(i))。
【請求項2】
前記第1のタイプの無線通信リンクは、前記ガスメータと、前記遠隔取得システム(180)と通信する通信ネットワーク送受信ステーション(185)との間の第1のタイプの無線通信リンク(C1;C2’)を含み、
前記第2のタイプの無線通信リンクは、前記ガスメータ(110(i))と、他のガスメータのグループから選択された1つのガスメータ(110(k))との間の第2のタイプの無線通信リンク(C2)を含み、
前記制御ユニット(215)は、
前記第1のタイプの無線通信リンク(C1;C2’)を利用して、前記測定値を前記遠隔取得システム(180)に送信するように、前記第1の通信複数(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を制御し、
前記第1のタイプの無線通信リンク(C1;C2’)が利用可能でない場合、少なくとも前記第2のタイプの無線通信リンク(C2)を利用して、前記測定値を前記遠隔取得システム(180)に送信するように、前記第2の通信複数(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を制御する
ことを含む一連の動作を実行することにより、前記測定値を送信するように構成される、
請求項1に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項3】
前記第1のタイプの無線リンク(C1;C2’)および第2のタイプの無線リンクは、認可周波数帯域を利用する無線通信リンクおよび無認可周波数帯域を利用する無線通信リンクを含み、
認可周波数帯域を利用する前記無線通信リンクは、
NB-IoTタイプの通信リンク、
GPRS通信リンク、
UMTS通信リンク、
GSM(登録商標)通信リンク、
LTE通信リンク、
5G通信リンク、
6G通信リンク
のうち少なくとも1つを含み、
無認可周波数帯域を利用する前記無線通信リンクは、
無線MBusタイプの通信リンク(169MHzなど)、
LoRa(登録商標)タイプの通信リンク、特にLoRaWANリンクa(登録商標)および/またはLoRaa(登録商標)P2Pリンク、
Bluetooth(登録商標)タイプの通信リンク、
BLEタイプの通信リンク、
6LoWPANタイプの通信リンク、
ZigBee(登録商標)タイプの通信リン、
のうち少なくとも1つを含む、
請求項2に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項4】
認可周波数帯域に基づく前記無線通信リンクによって前記測定値を送信するように構成された前記第1の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;CU(j))のうち少なくとも1つと、無認可周波数帯域に基づく無線通信リンクによって前記測定値を送信するように構成された前記第2の複数の無線通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))のうち少なくとも1つとを含む、請求項1~3に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項5】
前記第1のタイプの無線リンクは、ネットワークインフラストラクチャに基づくリンクであり、
前記第2のタイプの無線リンクは、P2Pタイプのリンクである、
請求項2または3に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項6】
前記制御ユニット(215)は、
前記第2の無線通信タイプ(C2)を利用して、他のガスメータの前記グループのさらなるガスメータから、前記さらなるガスメータによって生成された測定値を受信するように、前記第2の通信複数(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を制御し、
前記第1のタイプの無線通信リンク(C2’)を利用して、前記さらなるガスメータによって生成された前記受信された測定値を前記遠隔取得システムに送信するように、前記第1の通信複数(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を制御する
一連の動作を実行するように構成される、請求項2~5の1項に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項7】
前記第1のタイプの無線通信リンク(C1;C2’)は、
前記ガスメータの前記複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の第1のユニットと、NB-IoTネットワークのステーションとの間のNB-IoTタイプの通信リンクと、
前記ガスメータの第1の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))と、LoRaWANネットワークのステーションとの間のLoRaWANタイプの通信リンクと
の間の1つ以上の無線通信リンクを含む、請求項2~6の1項に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項8】
前記LoRaWANタイプの通信リンクが、LoRa(登録商標)Relayノード、特に他のガスメータの前記グループの1つの通信ユニットによって行われる、請求項7に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項9】
前記ガスメータ(110(i))が2つ以上の第1の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を含み、その各々が異なる無線通信リンクを利用して遠隔取得システム(180)と通信するように構成され、前記制御ユニット(215)は、前記第1の通信ユニット(CU(j))を順次制御して、それぞれの無線通信リンクを利用して、前記測定値を前記遠隔取得システム(180)に送信するように構成される、請求項7または8に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項10】
前記第2のタイプの無線通信リンク(C2)は、
前記ガスメータの第2の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))と、前記グループの他のガスメータのうち1つの第2の通信ユニットとの間のBLE通信リンクと、
前記ガスメータの第2の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))と、前記グループの他のガスメータのうちの1つの第2の通信ユニットとの間のLoRa(登録商標)P2P通信リンクと、
前記ガスメータの第2の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))と、前記グループの他のガスメータのうちの1つの第2の通信ユニットとの間のZigBee(登録商標)通信リンクと、
の間の2つ以上の無線通信リンクを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項11】
前記ガスメータ(110(i))が2つ以上の第2の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を含み、その各々が異なる無線通信リンクを利用して遠隔取得システム(180)と通信するように構成され、前記制御ユニット(215)は、前記第2の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を順次制御して、それぞれの無線通信リンクを利用して、前記測定値を遠隔取得システム(180)に送信するように構成される、請求項10に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項12】
前記制御ユニット(215)は、他のガスメータの前記グループを列挙した近接テーブルを生成するように構成され、
他のガスメータの前記グループは、潜在的な第2のタイプの無線通信リンク(C2)を確保するために、前記ガスメータに十分に近い他のガスメータを含む
請求項1~11のいずれか1項に記載のガスメータ(110(i))。
【請求項13】
複数の地点(105(i))において、ガスメータ(110(i)によって生成されたガス配送量の示す測定値を中央取得システム(180)に送信する方法であって、
a)一次通信モード(G1)の無線通信チャネル(C1)によって、通信ネットワーク送受信ステーション(185)との接続を確立するために、制御ユニット(215)によって、第1の複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の第1の通信ユニット(CU(1))を選択および起動し、
b)前記接続に成功した場合、前記一次通信モード(G1)の通信チャネル(C1’)により、測定データを中央取得システム(180)に送信し、
c)前記中央取得システム(180)により、ガス配送量を示す前記測定値を取得し、
d)前記接続が成功しなかった場合、前記第1の複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニット(CU(2)からCU(j)まで)について、ステップa)からb)を繰り返し(2からjまで)、
e)前記繰り返し(j)の間に接続が成功しなかった場合、二次通信モード(G2)の通信チャネル(C2)によって、k=iとして前記ガスメータ(110(k))との接続を確立するために、制御ユニット(215)によって、第2の複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の第1の通信ユニット(CU(1))を選択および起動し、
f)前記接続が成功しなかった場合、前記第2の複数の通信ユニットCU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニット(CU(2)からCU(j))について、ステップe)を繰り返し(2からjまで)、
g)前記接続に成功した場合、前記制御ユニット(215)によって、前記ガスメータ(110(k))と前記無線通信ネットワーク(185)との間で、前記二次通信モード(G2)の通信チャネル(C2’)による通信を接続およびチェックし、
h)前記制御ユニット(215)によるチェックが否定された場合、前記第2の複数の通信ユニットCU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニット(CU(2)からCU(j)まで)について、ステップg)を繰り返し(2からjまで)、
i)前記制御ユニット(215)によるチェックが肯定された場合、前記二次通信モード(G2)の通信チャネル(C1’)によって、測定データを中央取得システム(180)に送信し、
j)前記中央取得システム(180)により、ガス配送量を示す前記測定値を取得する、
各ステップを含む、方法。
【請求項14】
前記メータ(110(k))のいずれも、前記通信チャネル(C2)によって前記ガスメータ(110(i))から前記測定データを受信できない場合、または前記受信した測定データを前記チャネル(C2’)および(C1’)によって前記通信ネットワーク(185)を通じて前記中央取得システムへ転送できない場合、制御ユニット(215)は前記送信データを前記ガスメータ(110(i))のメモリユニットに保存する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の地点(105(i))におけるガス配送量を示す測定値を取得するためのシステム(100)であって、
前記地点の各々に設置されるガスメータ(110(i))であって、前記ガスメータは、それが設置された地点におけるガス配送量を示す測定値を生成するように構成されている、ガスメータと、
ガスメータから前記測定値を受信するように構成された遠隔取得システム(180)と、
を含み、
各ガスメータは、請求項1~14のいずれか1項に記載のガスメータである、
システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスメータの分野に関する。より詳細には、本発明は無線データ通信ユニットを備えるガスメータに関する。
【0002】
さらに、本発明は、無線データ通信ユニットを備えるガスメータによって生成される、ガス配送量を示す測定値の送信方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスメータは、ガス供給者から可燃性ガスの配送を受けている地点(住宅、共同住宅、商業用建築物、工業用建築物など)に設置され、その場所に実際に配送されるガスの測定値を生成する機能を有する装置であることが知られている。
【0004】
ガス配送量を測定するために使用される技術によって、様々な種類のガスメータが存在する。しかし、最も重要な違いは、動的測定原理と静的測定原理にある。
【0005】
ガスメータにより作成される測定値は、ガス供給者がガス供給契約の受益者に実際に配送されたガス量に応じた料金を請求できるようにするため、定期的に報告されなければならない。
【0006】
このため、ガスメータは、ガスメータによって局所的に取得された測定値を示すデータを、遠隔取得システムに自動的に(例えば、定期的に)送信することができるデータ送信モジュールを備えるのが一般的である。
【0007】
また、データ送信の場合、通信技術の違いによって様々なタイプのデータ送信モジュールが存在する。
【0008】
有線通信技術の中で最も普及しているのはPLC(powerline communication:電力線通信)技術であり、電力網という物理的媒体を利用するものである。
【0009】
無線通信技術の中で最も普及しているのはWAN通信技術、LAN通信技術、および近接通信技術である。
【0010】
特許文献US2018332103号に一例が記載されているように、測定モジュールと、記憶モジュールと、短距離通信モジュールと、場合によっては長距離通信モジュールとに結合されたプロセッサモジュールを備えるスマートメータが知られている。
【0011】
スマートメータがポータルとして選択されたスマートメータでない場合、スマートメータは近距離通信モジュールを使用してオペレータまたは次の最も近いスマートメータに測定値を通信し、ポータルまたはポータルに最も近い次のスマートメータに測定値を転送する。
【0012】
スマートメータがポータルとして選択されたスマートメータである場合、スマートメータはリモート通信モジュールを使用してオペレータに測定値を転送し、アクセスネットワークインフラストラクチャに測定値を送信する。
【0013】
このスマートメータのプロセッサモジュールは、近距離通信モジュールによって他のスマートメータから読取値または測定値を受信し、公益事業運営者に転送し、また、測定値を集め、他のメータから受信した測定値と組み合わせまたは集約して、公益事業運営者に送信することもできる。したがって、このようなプロセッサモジュールがいかにポータルメータとインフラストラクチャと最寄りのメータとの間の通信効率を評価できないかは明らかである。このスマートメータは、プロセッサモジュールによる、測定通信効率の評価、または、主通信に障害が発生した場合の代替測定通信の起動を許可しない。
【0014】
本特許文献には、決定木アルゴリズムによって、含まれるメータ間のポータルを特定して選択し、またはアクセスノードと通信する能力、信号品質、電源タイプ(バッテリもしくは有線)、可能性のあるポータルが通信するメータ数などの関数として、コスト関数を計算する方法も記載されている。
【0015】
したがって、本特許文献が解決する技術的課題は、相互に十分に近接するとともに、通信リンクによって互いに通信し、短距離ネットワークを形成する複数のコネクタで接続されたポータルメータを選択することによって、各メータの個々の測定値を送信するインフラストラクチャにアクセスする直接接続の数を削減することであることが明らかである。
【0016】
また、第2の特許文献であるEP403627号は、サービスプロバイダから供給される消耗品の使用量を監視し、消耗品の使用量に関するメッセージを中央制御システムに送信し、短距離通信モードから長距離通信モードにインテリジェントに(intelligently)切り替えるように構成されたメータに関するものとして知られている。
【0017】
このメータは、消耗品(電気、ガス、水など)の使用量を測定するように構成された計測コア、および、計測コアに動作可能に結合され、1つ以上の所定の性能基準に対するローカルメッシュネットワークの性能をチェックするように構成されたコントローラを備える。メッシュローカルエリアネットワークの性能が1つ以上の所定の性能基準を満たしている場合、コントローラは、メッシュローカルエリアネットワークによる短距離通信モードを使用して、最初のセットの情報を中央制御システムに通信する。ローカルメッシュネットワークの性能が1つ以上の所定の性能基準を満たしていない場合、コントローラは、長距離通信モードを使用して、第2のセットの情報を中央制御システムに通信するように構成される。本特許文献では、NB-IoT、LTE、CAT-M1、LoRaWAN(登録商標)、SigFox(登録商標)、5Gから選択される通信技術を、短距離に代わる長距離通信モードとして列挙する。
【0018】
このようなメータでは、所定の性能基準の関数として、短距離通信または代替的に長距離通信を評価し、起動することは可能であるが、複数の通信モードを順次起動させることにより複数の試行を順次実施することは可能でなく、したがって、複数のカスケード通信技術を起動することによって信号のカバレッジが貧弱な状況においても測定データ送信の強化および高い信頼性の確保が可能でないことは明らかである。
【0019】
最後に、特許文献US2017142653号が知られており、この特許文献には、通信デバイス、および通信デバイスを使用してデータを通信する方法、ならびに、中継ノードとして機能する通信デバイス、および中継ノードによって通信するための方法が記載されているが、通信デバイス間の適切な通信を検証するための専用のコンポーネントは存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本出願人は、既知の解決策には、測定データ送信の性能および信頼性を制限する欠点があることを見出した。
【0021】
有線通信技術を利用したガスメータの使用は、専用の配線を設置するか、さらに既存の配線に接続する必要があり、設置の面で高価である。
【0022】
WAN通信技術を利用するガスメータは、狭い信号通信範囲や不安定の不安定さに起因する問題の影響を受ける可能性がある。
【0023】
LANまたは近接通信技術は、遠隔取得システムから離れた位置にあるガスメータには使用できない。
【0024】
無線通信技術によってデータを通信するように構成されたガスメータのさらなる問題は、電力消費に関するものである。実際、無線通信は電力を過剰に消費する可能性がある。
【発明を解決するための手段】
【0025】
以上のことから、本出願人は上記のおよびさらなる不都合を改善するための解決策を考案した。
【0026】
本発明の1つ以上の態様は独立請求項に記載されており、同じ発明の有利な特徴は従属請求項に記載されており、その文言は参照することによりそのまま本明細書に組み込まれる(有利な特徴は、本発明の他の態様にも準用される本発明の特定の態様を参照して記載されている)。
【0027】
本発明の一実施形態による解決策は、各ガスメータに少なくとも2つの通信ユニットを搭載し、その各々が異なるタイプの無線通信リンクによって通信するように構成される。さらに、本発明の一実施形態による解決策は、各ガスメータに、第1のインフラストラクチャネットワークベースの通信モードを利用する無線通信技術を使用して中央取得システムと通信するように構成された少なくとも1つの通信ユニットと、隣接するガスメータ間の第2のP2P通信モードを利用する無線通信技術を使用して中央取得システムと通信するように構成された少なくとも1つの通信ユニットとを搭載することを含む。
【0028】
特に、本発明は、ガス配送量を示す測定値を生成する測定ユニットを含むガスメータに関する。
【0029】
前記測定ユニットは制御ユニットに動作可能に接続され、測定ユニットはメータ内に包含されていてもよく、生成された測定値を特に制御ユニットに送信する。
【0030】
ガスメータは、第1のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信し、生成された測定値、特に制御ユニットによってあらかじめ受信された測定値を、典型的には測定データの形態で送信するように構成された少なくとも1つの第1の無線通信ユニットをさらに含む。
【0031】
ガスメータは、第1のタイプの無線通信リンクとは異なる第2のタイプの無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信し、生成された測定値、特に制御ユニットからあらかじめ受信された測定値を、典型的には測定データの形態で送信するように構成された少なくとも1つの第2の無線通信ユニットをさらに含む。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、前記第1のタイプの無線リンクおよび前記第2のタイプの無線リンクはそれぞれ、認可周波数帯域を利用する無線通信リンクおよび無認可周波数帯域を利用する無線通信リンクを含む。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータはさらに制御ユニットを含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記第1のタイプの無線通信リンクは、ガスメータと、遠隔取得システムと通信している通信ネットワーク送受信ステーションと、の間の第1のタイプの無線通信リンクを含む。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、前記第2のタイプの無線通信リンクは、ガスメータと、他のガスメータのグループから選択された1つとの間の第2のタイプの無線通信リンクを含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニットは、以下の一連の動作を実行することにより、前記測定値を送信するように構成される:
前記第1のタイプの無線通信リンクを利用して前記測定値を前記遠隔取得システムに送信するように、前記第1の通信ユニットを制御し、
前記第1のタイプの無線通信リンクが利用可能でない場合、少なくとも前記第2のタイプの無線通信リンクを利用して前記測定値を前記遠隔取得システムに送信するように、前記第2の通信複数を制御する。
【0037】
既知の解決策と比較すると、測定値は、有利なことに、より確実に送信される。これは、第1のタイプの無線通信リンクが利用できない、または正しく動作しない場合に備えて(前記第2のタイプの無線通信リンクに基づく)バックアップシステムが提供されるためである。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、前記第1のタイプの無線リンクおよび第2のタイプの無線リンクは、認可周波数帯域を利用する無線通信リンクおよび無認可周波数帯域を利用する無線通信リンクを含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、認可周波数帯域を利用する前記無線通信リンクは、以下の間の少なくとも1つを含む:
NB-IoTタイプの通信リンク(特にETSI TS 136 331規格に準拠するもの);
GPRS 通信リンク(特にETSI EN 301 344規格に準拠するもの);
UMTS 通信リンク(特にETSI TS 129 002規格に準拠するもの);
GSM(登録商標) 通信リンク(特にETSI EN 301 511規格に準拠するもの);
LTE通信リンク(特にETSI TS 136 101規格に準拠するもの);
5G通信リンク(特にETSI TS 123 501規格に準拠するもの);
6G通信リンク。
ここでは、測定値、特に測定データの転送のための、ガスメータと遠隔取得システムとの間の通信を扱っていることから、リンクはそうした転送に適するリンクタイプ特性を利用しなければならないことは勿論である。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、無認可周波数帯域を利用する前記無線通信リンクは、以下の間の少なくとも1つを含む:
例えば169MHzの無線MBusタイプの通信リンク(特にETSI TS 103 357規格に準拠するもの);
LoRa(登録商標、以下同様)タイプの通信リンク(特にETSI TR 103 526規格に準拠するもの)、例えばLoRaWAN(登録商標、以下同様)リンク(特にETSI TR 103 526規格に準拠するもの)および/またはLoRa(登録商標、以下同様)P2Pリンク;
Bluetooth(登録商標)タイプの通信リンク(特にETSI EN 300 328規格に準拠するもの);
BLEタイプの通信リンク(特にETSI EN 300 328規格に準拠するもの);
6LoWPANタイプの通信リンク(特にETSI EN 300 328規格に準拠するもの);
ZigBee(登録商標)タイプの通信リンク(特にETSI EN 300 328規格に準拠するもの)。
ここでは、測定値、特に測定データの転送のための、ガスメータと遠隔取得システムとの間の通信を扱っていることから、リンクはそうした転送に適するリンクタイプ特性を利用しなければならないことは勿論である。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、前記第1のタイプの無線リンクは、ネットワークインフラストラクチャに基づくリンクである。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、前記第2のタイプの無線リンクは、P2Pタイプのリンクである。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、前記制御ユニットは、以下の一連の動作を実行するように構成される:
前記第2の無線通信タイプを利用して、他のガスメータの前記グループのさらなるガスメータから、前記さらなるガスメータによって生成された測定値を受信するように、前記第2の通信ユニットを制御し、
前記第1のタイプの無線通信リンクを利用して、前記さらなるガスメータによって生成された前記受信された測定値を前記遠隔取得システムに送信するように、前記第1の通信ユニットを制御する。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、前記第1のタイプの無線通信リンクは、以下の間の1つ以上の無線通信リンクを含む:
第1のガスメータ通信ユニットとNB-IoTネットワーク内のステーションとの間のNB-IoTタイプの通信リンク;
第1のガスメータ通信ユニットとLoRaWANネットワーク内のステーションとの間のLoRaWAN型通信リンク。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記LoRaWANタイプの通信リンクは、LoRa(登録商標)Relayノード、特に、グループの他のガスメータの1つの通信ユニットによって行われる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータは、各々が異なる無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信するように構成された2つ以上の第1の通信ユニットを含む。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、前記制御ユニットは、前記第1の通信ユニットを順次制御して、それぞれの無線通信リンクを利用して前記測定値を前記遠隔取得システムに送信するように構成される。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、前記第2のタイプの無線通信リンクは、以下のうちの1つ以上の無線通信リンク含む:
ガスメータの第2の通信ユニットと、グループの他のガスメータの第2の通信ユニットとの間のBLE通信リンク;
ガスメータの第2の通信ユニットと、グループの他のガスメータの第2の通信ユニットとの間のLoRaP2P通信リンク;
ガスメータの第2の通信ユニットと、グループの他のガスメータの第2の通信ユニットとの間のZigBee(登録商標)通信リンク。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータは、それぞれが異なる無線通信リンクを利用して遠隔取得システムと通信するように構成された2つ以上の第2の通信ユニットを含み、前記制御ユニットは、前記第2の通信ユニットを順次制御して、それぞれの無線通信リンクを利用して前記測定値を遠隔取得システムに送信するように構成される。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、前記制御ユニットは、他のガスメータのグループを列挙した近接テーブルを生成するように構成される。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、他のガスメータの前記グループは、潜在的な第2のタイプの無線通信リンクを保証するために、前記ガスメータに十分に近い他のガスメータを含む。
【0052】
本発明のさらなる態様は、複数の地点におけるガス配送量を示す測定値を取得するシステムに関する。
【0053】
前記システムは、
前記各地点に設置されたガスメータであって、前記ガスメータは設置された地点におけるガス配送量を示す測定値を生成するように構成されている、ガスメータと、
前記ガスメータから前記測定値を受信するように構成された遠隔取得システムと、
を含む。
【0054】
本発明の上記およびその他の特徴および利点は、本発明の例示的かつ非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことで、より明らかになるであろう。よりよい理解のため、以下の説明は添付図面を参照しながら読まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】本発明の一実施形態による、複数の地点に配送されるガスの測定値を管理するためのシステムを示す。
図1B図1Aのシステムの一バージョンであり、本発明の一実施形態によるガスメータ通信ユニットと中央取得システムとの間の第1の通信モードが示されている。
図1C図1Aのシステムの一バージョンであり、本発明の一実施形態によるガスメータ通信ユニットと中央取得システムとの間の第2の通信モードが示されている。
図2】本発明の一実施形態によるガスの機能簡略ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による中央取得システムに測定データを送信するために、図2のガスメータ制御ユニットによって実行される動作を説明するフローチャートである。
図4A】は、本発明の一実施形態による中央取得システムに測定データを送信するために、図2のガスメータ制御ユニットによって実行される動作をより詳細に説明するフローチャートを示す。
図4B】は、本発明の一実施形態による中央取得システムに測定データを送信するために、図2のガスメータ制御ユニットによって実行される動作をより詳細に説明するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面を参照すると、図1Aは、本発明の一実施形態による、ガス供給者により住宅、共同住宅、別荘(villas)、商業用建築物、工業用プラント、倉庫などの複数の地点105(i)(i=1,2,…)に配送されるガスの測定値を管理するためのシステム100を示す。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、地点105(i)に配送されるガスの量を測定するように構成されたそれぞれのガスメータ110(i)(i=1,2,…)が、各地点105(i)に設置される。
【0058】
図2は、本発明の一実施形態によるガスメータ110(i)の例を簡略化された機能ブロックで示す。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、ガス供給ネットワーク(不図示)からガスを受け取るインレットパイプ202(in)を含む。
【0060】
一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、インレットパイプ202(in)と流体連通するとともにアウトレットパイプ202(out)と流体連通し、これによって、インレットパイプ202(in)からアウトレットパイプ202(out)へのガスの通路を画定している、測定チャンバ(またはパイプ)210を含む。アウトレットパイプ202(out)は、地点105(i)のガス配給ネットワーク(不図示)に接続され、地点105(i)内の1つ以上のガス使用ポイントで受け取られるガスを配送する。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、ガスメータ110(i)によって実行される動作を管理するように構成された、例えば1つ以上の電子プロセッサを含む制御ユニット215を含む、「スマート」ガスメータである。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、インレットパイプ202(in)からアウトレットパイプ202(out)へ流れるガスの流れを測定するためのセンサ220が、測定チャンバ210に結合される(例えば、測定チャンバ210の内部に配置される)。センサ220は、測定チャンバ210を横切るガス流に関連し/によって影響され/によって決定される、1つ以上の物理量である測定値を示す検知データRを生成するように構成される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、センサ220は、ファミリーIIガス(天然ガス)、天然ガス/水素混合ガス、および/またはファミリーIIIガス(液体プロパンガス)を測定するように構成された静的技術に基づくセンサである。センサ220と制御ユニット215とは、制御ユニット215がセンサ220を制御するための(制御ユニット215からセンサ220へ)コマンドなどの、データおよびメッセージ、ならびにセンサ220によって生成された検知データR(センサ220から制御ユニット215へ)を交換するために接続されている。当業者に公知の詳細には立ち入らないが、制御ユニット215は、センサ220から受け取った検知データRを処理して、ガスメータ110(i)によって地点105(i)に配送されたガスの実際の量を示す対応する測定データMを計算するように構成される。
【0064】
しかしながら、本発明の概念は、ダイヤフラム、ロータリーピストン、タービン、および赤外線センサなど、異なる技術で作られたセンサを備えるメータにもそのまま適用し得ることが強調される。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、弁204、例えば、インレットパイプ202(in)に有利には電磁弁が設けられ、測定チャンバ210へのガスの進入を選択的に有効/無効とし、その結果として、地点105(i)内のガス使用ポイントで受け取られるガスの配送を選択的に有効/無効とするように、制御ユニット215によって操作可能である。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、制御ユニット215によって制御されるとともに、例えば、情報(制御ユニット215によって計算される測定データMなど)を表示するためのディスプレイ、ボタン、および/または、ユーザもしくはオペレータがガスメータ110(i)と相互作用できるようにするための有線接続用インタフェース(RS232、USBおよび光ポートなど)を含む、ユーザインタフェース225をさらに含む。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、測定データMなどのデータを記憶するように構成された記憶ユニット230を含む。例えば、メモリユニット230は、制御ユニット215に結合されてもよく、または制御ユニット215の直接的な一部(部品)であってもよい。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、後に説明で詳述するように、制御ユニット215によって制御されて測定データMをガス供給者に送信する複数の通信ユニットCU(j)(j=1,2,…)を含む。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、ガスメータ110(i)の電子部品に電力を供給するための、例えば1つ以上のバッテリを含む、電源ユニット235を含む。例えば、電源ユニット235は、通信ユニットCU(j)に電力を供給する通信バッテリと、測定データMの生成および管理に特化したガスメータ素子110(i)に電力を供給する計測バッテリを含んでもよい。
【0070】
図1A図2と組み合わせて考慮すると、本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、通信ユニットCU(j)によって、測定データMを中央取得システム180に送信するように構成される(これによってユーザによる消費の決定が可能となる)。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、通信ユニットCU(j)の各々は、以下に説明する2つの通信モードG1、G2のうちの一方によって、中央取得システム180と通信するように構成される。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、一次通信モードG1は、汎用ガスメータ110(i)の通信ユニットCU(j)が、以下を含むリンクを利用して中央取得システム180と通信することを規定する:
- ガスメータ110(i)とインフラストラクチャ通信ネットワーク送受信ステーション185との間の無線通信チャネルC1;
- 通信ネットワーク送受信ステーション185と中央取得システム180との間の無線通信チャネルC1’。
【0073】
この一次通信モードG1は、図1Bにおいて強調表示されている。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、二次通信モードG2は、ガスメータ110(i)の通信ユニットCU(j)が、以下を含むリンクを利用して中央取得システム180と通信することを規定する:
- ガスメータ110(i)と、当該ガスメータの近傍の別のガスメータ110(k)(k≠i)との間の無線通信チャネルC2(例えば、P2Pタイプ);
- ガスメータ110(k)と、通信ネットワーク送受信ステーション185との間の無線通信チャネルC2’;
- 通信ネットワーク送受信ステーション185と中央取得システム180との間の無線通信チャネルC1’。
【0075】
二次通信モードG2は、図1Cにおいて強調表示されている。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、各ガスメータ110(i)は、一次通信G1を利用する無線通信技術を使用して中央取得システム180と通信するように構成された少なくとも1つの通信ユニットCU(j)と、二次通信モードG2を利用する無線通信技術を使用して中央取得システム180と通信するように構成された通信ユニットCU(j)とを含む。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、各通信ユニットCU(j)は、以下から選択される無線通信技術を使用して、中央取得システム180と通信するように構成される:
- 認可周波数帯に基づくWAN(Wide Area Network)技術(GPRS技術(特にETSI EN 301 344規格に準拠するもの)、UMTS技術(特にETSI TS 129 002規格に準拠するもの)、GSM(登録商標)技術(特にETSI EN 301 511規格に準拠するもの)、LTE技術(特にETSI TS 136 101規格に準拠するもの)、5G技術(特にETSI TS 123 501規格に準拠するもの)、6G技術、ECGSM IoT技術(Internet of things用拡張カバレッジGSM)、LTE-M(マシン間通信用LTE)、およびNB-IoT(narrowband Internet of Things)(特にETSI TS 136 331規格に準拠するもの)など)
- 無認可周波数帯域に基づくWANもしくはLAN(Local Area Network)または近接技術(例えば169MHzの無線MBus(Meter Bus)技術(特にETSI TS 103 357に準拠するもの)、LoRa技術(特にETSI TR 103 526に準拠するもの)(広域スペクトラム周波数変調)(例えば、LoRaWAN(特にETSI TR 103 526に準拠するもの)および/またはLoRaP2P)、Bluetooth(登録商標)技術(ETSI EN 300 328)、BLE技術(特にETSI EN 300 328に準拠するもの)、6LoWPAN技術(特にETSI EN 300 328に準拠するもの)、およびZigBee(登録商標)技術(特にETSI EN 300 328に準拠するもの)など)。
【0078】
認可帯域の通信技術は、国内の携帯電話事業者の用途や需要に合わせて設計および導入されており、したがってガス事業者の需要には十分に適合しない。実際、これらのネットワークは全国をカバーしているが、カバー範囲が狭いかまたは不十分な地域が依然として残っており、携帯電話事業者は、ガス事業者が必要とするカバー範囲の拡大やサービスを提供する柔軟性を提供しない。
【0079】
一方、無認可帯域の通信技術は、地域全域にサービスを拡大する柔軟性を提供し得るが、極めて高いコストとインフラストラクチャ工事を伴う。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、各ガスメータ110(i)は、認可周波数帯域に基づく無線通信技術を使用して通信するように構成された少なくとも1つの通信ユニットCU(j)と、無認可周波数帯域に基づく無線通信技術を使用して通信するように構成された少なくとも1つの通信ユニットCU(j)とを含む。
【0081】
このようにして、ガスメータ110(i)は、認可周波数帯域と無認可周波数帯域の両方を使用して有利に通信し得る。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、一次G1通信モードのためにCU(j)通信ユニットによって利用される技術は、NB-IoT技術とLoRaWAN技術の間の少なくとも1つを含む。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、二次通信モードG2のためにCU(j)通信ユニットによって利用される技術は、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)技術とLoRa Peer-to-Peer(LoRaP2P)技術の間の少なくとも1つを含む。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、3GPP(登録商標)リリース13/LTE Cat NB1(EU)および3GPP(登録商標)リリース14/LTE Cat NB2(EU)改正版に適合するNB-IoT規格に準拠した送信のために構成された通信ユニットCU(j)を含んでもよい。本発明の例示的な実施形態によれば、通信ユニットCU(j)は、例えばB3、B5、B8、B20、B28、B32の周波数帯域のうち1つ以上において動作するとともに、例えば、全等方感度(total isotropic sensitivity)TIS≦-110dBmおよび全放射電力(total radiant power)TRP≧18.5dBmを保証するNB-IoTモデム(SIMオンチップまたはeSIMを備える)を含む。本発明の有利な一実施形態によれば、通信はIPv4とIPv6の両方をサポートしてもよい。
【0085】
ガスメータ110(i)は、NB-IoT規格に準拠した送信用に構成された通信ユニットCU(j)を使用することから、通信チャネルC1およびC1’はNB-IoT通信チャネルであり、通信ネットワーク185は、NB-IoT規格に対応した送受信ステーションを含むNB-IoT通信ネットワークである。NB-IoT技術の特性を考慮すると、通信チャネルC1、C1’の各々によりカバーされ得る距離は、約1km(都市環境)から約10km(農村環境)の範囲であり得る。
【0086】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、(NB-IoT規格に準拠した送信のために構成された通信ユニットCU(j)に加えて、またはその代わりに)LoRaWAN規格に準拠した送信のために構成された通信ユニットCU(j)を含んでもよい。本発明の例示的な実施形態によれば、通信ユニットCU(j)は、無認可スペクトル帯域(例えば、433MHz、868MHz、915MHz)で動作するLoRaWANモデムを含み、それは全等方感度TIS≦-125dBmおよび全放射電力TRP≧14dBmを保証し、0.3~10kbpsの間で可変のデータレートを有し、固有の(native)セキュリティ層を有し、高い到達性レベル(95%以上)を有する。
【0087】
本発明の一実施形態によれば、通信ユニットCU(j)は、例えば、以下のように構成される:
明示的な送信(ペイロード長、プロット内で定義された符号化率);
Time-on-Airを1秒以下に制限するための所定の拡散係数;
定義されたアプリケーションペイロードおよび長さ(バイト):CF48のAPDU(ただし、定義可能/パラメータ表示可能);
タイプBデバイス;
事前に割り当てられたセキュリティパラメータ(NwkSKey、AppSKey)および一意識別子(DevAddr)(パーソナライズによるアクティベーション)。
【0088】
このようにして、有利にはTime-on-Airを事前に計算することができ、通信周波数を固定することで、関連する電力消費を測定し評価することができる。
【0089】
ガスメータ110(i)は、LoRaWAN規格に準拠した、送信用に構成された通信ユニットCU(j)を使用することから、通信チャネルC1およびC1’はLoRaWAN通信チャネルであり、通信ネットワーク185はLoRaWAN規格に対応した送受信ステーションを含むLoRaWAN通信ネットワークである。LoRaWAN技術の特性を考慮すると、通信チャネルC1、C1’によってカバーされ得る距離は、約3~5km(都市環境)から約10km(農村環境)までであり得る。
【0090】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、BLE送信用に構成された通信ユニットCU(j)を含んでもよい。本発明の一実施形態の一例によれば、通信ユニットCU(j)は、Bluetooth(登録商標)5.1規格に準拠した通信モジュールを含む。
【0091】
ガスメータ110(i)は、BLE通信用に構成された通信ユニットCU(j)を使用することから、通信チャネルC2はBLE通信チャネルであり、通信チャネルC2’およびC1’はLoRaWANまたはNB-IoT通信チャネルである。BLE技術の特性を考慮すると、通信チャネルC2でカバーされ得る距離は約20~25mである。
【0092】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、(BLE送信用に構成された通信ユニットCU(j)に加えて、またはその代わりに)LoRaP2P送信用に構成された通信ユニットCU(j)を含んでもよい。本発明の一実施形態の一例によれば、通信ユニットCU(j)は、LoRaP2P規格に準拠した通信モジュールを含む。
【0093】
ガスメータ110(i)は、LoRaP2P通信用に構成された通信ユニットCU(j)を使用することから、通信チャネルC2はLoRaP2P通信チャネルであり、通信チャネルC2’およびC1’はLoRaWANまたはNB-IoT通信チャネルである。LoRaP2P技術の特性を考慮すると、通信チャネルC2でカバーされ得る距離は、周囲の環境特性によって約100mから約1kmまで変化する。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、BLEおよび/またはLoRaP2P技術を用いて通信可能な通信ユニットCU(j)によって、BLEおよび/またはLoRaP2Pの受信側として選択され得る、BLEおよび/またはLoRaP2Pの範囲内に存在する(存在する場合には)近傍のガスメータ110(i)を列挙した近接テーブルPTを定期的に生成するように構成されている。例えば、近接テーブルPTは、ガスメータ110(i)のメモリユニット230に格納されてもよい。本発明の一実施形態によれば、近接テーブルPTは、全てのガスメータ110(i)について同一に設定される時間、持続時間、および定期性を有するサーチ時間ウィンドウFRの間に定期的に生成される。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、全てのガスメータ110(i)に対して同一である定期的な送信時間ウィンドウFT内においてのみ、通信チャネルC2による送信を可能とするように構成される。このようにして、BLEまたはLoRaP2P技術に典型的な実質的に高い電力消費は、例えば15年のバッテリ寿命235を保証するのに依然として許容し得る閾値内にある。
【0096】
本発明のさらなる実施形態によれば、BLE送信用とLoRaP2P送信用の、2つの異なる送信時間ウィンドウFTが提供されてもよい。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、BLEによって送信されるデータの安全性を高め、機密性を確保するために、そのような通信のために配置されたCU(j)通信ユニットは、例えば、ボンディングタイプのJust Worksペアリングを実施するように有利に構成され得る。
【0098】
上記から分かるように、通信チャネル(BLEおよびLoRaP2P)C2と通信チャネル(NB-IoTおよびLoRaWAN)C1、C1’、C2’との間の大きな違いは、カバーできる距離と関係がある(通信チャネルC2の範囲は他よりずっと狭い)。もう一つの大きな違いは、通信が完了するまでの時間枠に関する。通信チャネルC1、C1’、C2’のみを含む通信は同期型であるが、通信チャネルC2を含む通信は非同期型である。これは、通信チャネルC2上の送信が定期的な送信時間枠FTに排他的に制限されるためである。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、複数の地点105(i)においてガスメータ110(i)によって生成されたガス配送量を示す測定値を中央取得システム180に送信する方法が記載され、該方法は、以下のステップを含む:
a)一次通信モードG1の無線通信チャネルC1によって、通信ネットワーク送受信ステーション185との接続を確立するために、制御ユニット215によって、第1の通信ユニット(CU(1))第1の複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))を選択および起動し;
b)接続が成功した場合、一次通信モードG1の通信チャネルC1’によって測定データを中央取得システム180に送信し;
c)ガス配送量を示す測定値を中央取得システム180で取得し;
d)接続が成功しなかった場合、第1の複数の通信ユニットCU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニットCU(2)からCU(j)について、ステップa)からb)を繰り返し(2からjまで);
e)繰り返し(j)の間に接続が成功しなかった場合、二次通信モードG2の通信チャネルC2によって、k=iとしてガスメータ110(k)との接続を確立するために、制御ユニット215によって、第2の複数の通信ユニット(CU(1);CU(2);…;(CU(j))の第1の通信ユニット(CU(1))を選択および起動し;
f)接続が成功しなかった場合、第2の複数の通信ユニットCU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニットCU(2)からCU(j)について、ステップe)を繰り返し(2からjまで);
g)接続が成功した場合、通信制御ユニット215により、ガスメータ110(k)と無線通信ネットワーク185との間の、通信チャネルC2’二次通信モードG2による接続およびチェックを行い;
h)制御ユニット(215)によるチェックが否定された場合、第2の複数の通信ユニットCU(1);CU(2);…;(CU(j))の各通信ユニット(CU(2)からCU(j)まで)について、ステップg)を繰り返し(2からjまで);
i)制御ユニット215によるチェックが肯定された場合、二次通信モードG2の通信チャネルC1’によって測定データを中央取得システム180に送信し;
j)ガス配送量を示す測定値を中央取得システム180で取得する。
【0100】
図3のフローチャートを参照すると、本発明の一実施形態によれば、汎用ガスメータ110(i)の制御ユニット215は、定期的に(例えば、1日に1度)、以下の一連の動作を実行することにより、測定データMを中央取得システム180に送信するように構成されている。
【0101】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、まず、一次通信モードG1で測定データMを中央取得システム180に送信する試行を行う(ブロック310)。この点に関して、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、NB-IoT技術またはLoRaWAN技術のいずれか一方を利用するように構成された、ガスメータ110(i)で利用可能な通信ユニットCU(j)から選択されたユニットを制御する。本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)が、一次通信モードG1を実施することが可能な複数の異なる通信ユニットCU(j)(例えば、NB-IoT技術で通信するように構成された通信ユニットCU(j)、およびLoRaWAN技術で通信するように構成された通信ユニットCU(j))を備える場合、制御ユニット215は、毎回異なるCU(j)通信ユニット(したがって、異なる送信技術)を使用して、複数の試行を順次実施できる。
【0102】
本発明の一実施形態によれば、中央取得システム180への測定データMの送信が成功裡に実行された場合(ブロック320の出力ブランチS)、シーケンスは終了し、後で(例えば、翌日)繰り返す準備が整う。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、一次通信モードG1によって送信するように構成された通信ユニットCU(j)のいずれも、中央取得システムへの測定データMの送信に成功しなかった場合(ブロック320の出力ブランチN)、制御ユニット215は二次通信モードG2によって測定データMを中央取得システム180に送信する試行を行う(ブロック330)。一実施形態によれば、二次通信モードG2は、一次通信モードG1を使用する試行が失敗した後に、「バックアップ」通信モードとしてのみ有利に採用されることが強調される。これは、二次通信モードG2が非同期通信モードであり(したがって、効果的な双方向通信を可能としない)、無視できない電力消費を使用するためである。
【0104】
これに関して、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)で利用可能な、測定データMを近傍のガスメータ110(k)に送信する目的でBLEまたはLoRaP2P技術のいずれかを利用するように構成された、通信ユニットCU(j)から選択されたユニットを制御し、ガスメータ110(k)は、可能であれば、受信した測定データMを中央取得システム180に転送する。本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)が、二次通信モードG2を実行可能な複数の異なる通信ユニットCU(j)(例えば、BLE技術で通信するように構成された通信ユニットCU(j)と、LoRaP2P技術で通信するように構成された通信ユニットCU(j))を備える場合、制御ユニット215は、毎回異なるCU(j)通信ユニット(したがって、異なる送信技術)を使用して、複数の試行を順次実施できる。
【0105】
本発明の一実施形態によれば、中央取得システム180への測定データMの送信が成功裡に実行された場合(ブロック340の出力ブランチS)、シーケンスは終了し、後で(例えば、翌日に)繰り返す準備が整う。
【0106】
本発明の一実施形態によれば、二次通信モードG2によって送信するように構成された通信ユニットCU(j)のいずれも、中央取得システムへの測定データMの送信に成功しなかった場合(ブロック340の出力ブランチN)、制御ユニット215は送信されなかった測定データMをローカル、例えば記憶ユニット230に保存し(ブロック350)、シーケンスは終了し、後で(例えば、翌日に)、送信されなかった測定データMを、最後に失敗した送信の試行以降に生成された任意の新しい測定データMとともに送信する新たな試行を行うことにより、繰り返す準備が整う。
【0107】
図4Aおよび図4Bは、本発明の一実施形態による汎用ガスメータ110(i)が以下を備える場合に、中央取得システム180への測定データMの送信を管理するためにガスメータ110(i)の制御ユニット215によって実行される動作を(機能ブロックの観点から)より詳細に示す:
NB-IoT送信用に構成された第1の通信ユニットCU(1);
LoRaWAN送信用に構成された第2の通信ユニットCU(2);
BLE送信用に構成された第3の通信ユニットCU(3);
LoRaP2P送信用に構成された第4の通信ユニットCU(4)。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、通信ユニットCU(1)を制御して、NB-IoT通信チャネルC1により、通信ネットワーク185(この場合、NB-IoTネットワーク)(の送受信ステーション)との接続を確立する(ブロック402)。
【0109】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク185への接続に成功した場合(ブロック404の出力ブランチS)、制御ユニット215は、通信ユニットCU(1)を制御して、測定データMを含むデータパケットPKをガスメータ110(i)から中央取得システム180に送信する(ブロック406)。したがって、本発明の一実施形態によれば、データパケットPKは、NB-IoT通信チャネルC1によって通信ネットワーク185に送信され、NB-IoT通信チャネルC1’によって通信ネットワーク185から中央取得システム180に転送される。通信ネットワーク185への正しい接続は、制御ユニット215によって、既知のNB-IoTネットワーク接続チェック手順のいずれかによってチェックされ得る。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、データパケットPKは、以下の追加データのうちの1つ以上を含むことができる:
可能性のある警報メッセージ;
可能性のあるエラーメッセージ;
記録された温度に関するデータ;
記録された圧力に関するデータ;
火災記録に関するデータ;
地震記録に関するデータ。
【0111】
本発明の一実施形態によれば、データパケットPKが中央取得システム180に送信されると、制御ユニット215は、所定の時間間隔(例えば、1日)待機し(ブロック408)、CU(1)通信ユニットにNB-IoT通信ネットワーク185との接続を再度確立するように命令する試行を行う(ブロック402に戻る)。
【0112】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク185への接続が成功しなかった場合(ブロック404の出力ブランチN)、制御ユニット215は、通信CU(2)に、LoRaWAN通信チャネルC1により、通信ネットワーク185(この場合、LoRaWANネットワーク)(の送受信ステーション)との接続を確立するように命令する(ブロック410)。
【0113】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク185への接続が成功であった場合(ブロック412の出力ブランチS)、制御ユニット215は、通信ユニットCU(2)を制御して、測定データMを含むデータパケットPKをガスメータ110(i)から中央取得システム180に送信する(ブロック406)。したがって、本発明の一実施形態によれば、データパケットPKは、LoRaWAN C1によって通信ネットワーク185に送信され、LoRaWAN通信チャネルC1’によって通信ネットワーク185から中央取得システム180に転送される。通信ネットワーク185への正しい接続は、既知のLoRaWANネットワークバックアップ手順のいずれか1つによって、制御ユニット215によってチェックされ得る。
【0114】
本発明の一実施形態によれば、この場合も、データパケットPKが中央取得システム180に送信されると、制御ユニット215は、所定の時間間隔(例えば、1日)待機し、通信ユニットCU(1)にNB-IoT通信ネットワーク185との接続を再度確立するよう命令する試行を行う(ブロック402に戻る)。
【0115】
本発明の一実施形態によれば、通信ネットワーク185への接続が成功しなかった場合(ブロック412の出力ブランチN)、それは、例えば、185通信ネットワークに問題があるためか、またはガスメータ110(i)が設置されている地点105(i)が通信ネットワーク185による無線カバレッジ下にない場所に位置しているために、ガスメータ110(i)が現在、一次通信モードG1による通信を許可できないことを意味する。この場合、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、二次通信モードG2により「バックアップ」通信の確立を試行する。したがって、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、近接テーブルPTから、ガスメータ110(i)の近傍に位置するガスメータ110(k)(k≠i)を選択する(ブロック414)。
【0116】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、そのようなガスメータ110(k)がBLE通信チャネルC2によって通信ユニットCU(3)から到達可能であるか否かをチェックする(ブロック416)。例えば、このチェックは、ガスメータ110(k)が応答を受信するか否かに基づく、P2Pネットワーク用の既知の接続チェック手順のいずれかによって行われ得る。
【0117】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がBLE通信チャネルCU(3)C2から到達可能でないことが判明した場合(ブロック416の出力ブランチN)、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)の近傍に位置するさらなるガスメータ110(k)(k≠i)が近接テーブルPTに存在するか否かをチェックする(ブロック418)。
【0118】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)の近傍に位置するさらなるガスメータ110(k)が近接テーブルPTに存在する場合(ブロック418の出力ブランチS)、制御ユニット215は、当該さらなるガスメータ110(k)を選択し(ブロック420)、当該さらなるガスメータ110(k)が、BLE通信チャネルC2によって通信ユニットCU(3)から到達可能であるか否かをチェックするため前述の動作を繰り返す(ブロック416に戻る)。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がBLE通信チャネルC2を介して通信ユニットCU(3)から到達可能である場合(ブロック416の出力ブランチS)、制御ユニット215は、ガスメータ110(k)がNB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’によって通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信可能であるか否かをチェックする(ブロック422)。
【0120】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がNB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’によって通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信できない場合(ブロック422の出力ブランチN)、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)の近傍に位置するさらなるガスメータが近接テーブルPT110(k)(k≠i)に存在するか否かをチェックする(ブロック418に戻る)。
【0121】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がNB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’によって通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信し得る場合(ブロック422の出力ブランチS)、制御ユニット215は、通信ユニットCU(3)を制御して、測定データMを含むデータパケットPKを、BLE通信チャネルC2によって、ガスメータ110(i)からさらなるガスメータ110(k)へ送信する(ブロック424)。さらなるガスメータ110(k)の通信ユニットCU(3)によって受信されたデータパケットPKは、次いで、NB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’およびC1’によって、通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)を介して、さらなるガスメータ110(k)の通信ユニットCU(1)またはCU(2)により中央取得システム180に送信される。
【0122】
この時点で、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、所定の時間間隔(例えば、1日)待機し(ブロック408)、通信ユニットCU(1)に、NB-IoT通信ネットワーク185との接続を再度確立するように命令する試行を行う(ブロック402に戻る)。
【0123】
本発明の一実施形態によれば、近接テーブルPTに列挙されたガスメータ110(k)のいずれも、BLE通信チャネルC2によってガスメータ110(i)からデータパケットPKを受信できず、また、受信したデータパケットPKを、NB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’およびC1’によって、通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)を介して、中央取得システム180に転送できない場合、あるいは、近接テーブルPTが空である場合(ブロック418の出力ブランチN)、制御ユニット215は、LoRaP2P通信チャネルC2を利用して、「バックアップ」通信の確立を試行する。
【0124】
したがって、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、近接テーブルPTにおいて、ガスメータ110(i)の近傍に位置するガスメータ110(k)(k≠i)を選択する(ブロック440)。
【0125】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、ガスメータ110(k)が、LoRaP2P通信チャネルC2によって、通信ユニットCU(4)から到達可能であるか否かをチェックする(ブロック442)。例えば、このチェックは、ガスメータ110(k)が応答を受信するか否かに基づく、P2Pネットワークにおける既知の接続チェック手順のいずれかによって行われ得る。
【0126】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がLoRaP2P通信チャネルCU(4)C2から到達可能でない場合(ブロック442の出力ブランチN)、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)の近傍に位置するさらなるガスメータ110(k)(k≠i)が近接テーブルPTに存在するか否かをチェックする(ブロック444)。
【0127】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)の近傍に位置する近接テーブルPTにさらなるガスメータ110(k)が存在する場合(ブロック444の出力ブランチS)、制御ユニット215は、さらなるガスメータ110(l)を選択し(ブロック446)、さらなるガスメータ110(k)が、LoRaP2P通信チャネルC2によって通信ユニットCU(4)から到達可能であるか否かをチェックするように前述の動作を繰り返す(ブロック442に戻る)。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がLoRaP2P通信チャネルC2BLEを介して通信ユニットCU(4)によって到達可能である場合(ブロック442の出力ブランチS)、制御ユニット215は、ガスメータ110(k)が、通信チャネルC2’NB-IoTまたはLoRaWANによって、通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信可能であるか否かをチェックする(ブロック450)。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がNB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’によって通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信できない場合(ブロック450の出力ブランチN)、215制御ユニットは、ガスメータ110(i)の近傍に位置するさらなるガスメータがPT近接テーブル110(k)(k≠i)に存在するか否かをチェックする(ブロック444に戻る)。
【0130】
本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(k)がNB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’によって通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)と通信し得る場合(ブロック450の出力ブランチS)、制御ユニット215は、通信ユニットCU(4)を制御して、測定データMを含むデータパケットPKを、ガスメータ110(i)からさらなるガスメータ110(k)へLoRaP2P通信チャネルC2によって送信する(ブロック452)。さらなるガスメータ110(k)の通信ユニットCU(4)によって受信されたデータパケットPKは、次いで、NB-IoTまたはLoRaWAN通信チャネルC2’およびC1’によって、通信ネットワーク185(NB-IoTまたはLoRaWAN)を介して、さらなるガスメータ110(k)の通信ユニットCU(1)またはCU(2)により、中央取得システム180に送信される。
【0131】
この時点で、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、所定の時間間隔(例えば、1日)待機し(ブロック408)、通信ユニットCU(1)にNB-IoT通信ネットワーク185との接続を再度確立するように命令する試行を行う(ブロック402に戻る)。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、近接テーブルPTに列挙されたガスメータ110(k)のいずれも、受信したデータパケットPKを、NB-IoTもしくはLoRaWAN通信チャネルC2’およびC1’によって、通信ネットワーク185(NB-IoTもしくはLoRaWAN)を介して中央取得システム180に転送するために、LoRaP2P通信チャネルC2によってガスメータ110(i)からデータパケットPKを受信できない場合、または近接テーブルPTが空である場合(ブロック444の出力ブランチN)、ガスメータ110(i)は中央取得システム180と通信できない。この状況において、本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)の動作を、測定データMが中央取得システム180に送信されずにメモリユニット230にローカルに記憶される「計測モード」に切り替える(ブロック460)。
【0133】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)を所定の時間間隔TM、例えば15日間、計測モードに維持する(ブロック462)。
【0134】
本発明の一実施形態によれば、所定の時間間隔TMが経過すると、制御ユニット215は、NB-IoT通信を確立することが可能となったか否かをチェックする(ブロック464)。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、NB-IoT通信が依然確立できなかった場合(ブロック464の出力ブランチN)、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)を計測モードに保持する(ブロック460に戻る)。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、所定の時間間隔TMの経過時に、NB-IoT通信を再度確立し得る場合(ブロック464の出力ブランチS)、制御ユニット215はガスメータ110(i)の計測モードを中断し(ブロック466)、通信ユニットCU(1)に、NB-IoT通信チャネルC1により、NB-IoT通信ネットワーク185(の送受信ステーション)との接続を確立するように命令する(ブロック402に戻る)。この場合、データパケットPKは、ガスメータ110(i)が計測モードで経過した期間に関連する複数の計測データMを含んでもよい。
【0137】
404ブロックに戻り、本発明の一実施形態によれば、NB-IoT通信ネットワーク185への接続が成功しなかった場合(ブロック404の出力ブランチN)、既に説明された動作と並行して、制御ユニット215は、所定の時間(例えば、180日に等しい時間)についてタイマーTRSを開始し(ブロック470)、当該タイマーTRSが満了すると、通信ユニットCU(1)のNB-IoTモデムのリセットを実行する(ブロック472)。
【0138】
本発明の一実施形態によれば、NB-IoTモデムリセットの後、依然NB-IoT通信を確立することができなかった場合(480ブロックの出力ブランチN)、制御ユニット215は、後続のNB-IoTモデムリセットのためにTRSタイマーを再初期化する(ブロック470に戻る)。
【0139】
本発明の一実施形態によれば、NB-IoTモデムリセットの後でNB-IoT通信が確立できた場合(ブロック480の出力ブランチS)、制御ユニット215は、ガスメータ110(i)の測定モード(であった場合)を中断し(ブロック466)、通信ユニットCU(1)に、NB-IoT通信チャネルC1により、NB-IoT通信ネットワーク185(の送受信ステーション)との接続を確立するように命令する(ブロック402に戻る)。
【0140】
図4Aおよび図4Bに記載された動作は、最初に試行されるのがNB-IoT技術であり、次いでLoRaWAN、BLE、およびLoRaP2P技術が順次続く、通信技術の明確な順序を含むが、本発明の概念は、一次通信モードG1に関連する通信技術が、二次通信モードG2に関連する通信技術の前に実行される限りにおいて、異なる順序の通信技術に適用され得ることが強調される。例えば、最初に試行される通信技術がLoRaWAN技術で、その後にNB-IoT技術、BLE技術、LoRaP2P技術が順次続いてもよいし、NB-IoT技術、LoRaP2P技術、BLE技術が順次続いてもよい。
【0141】
さらに、本発明の概念は、異なる数の異なる通信技術のシーケンスにも適用され得る。例えば、LoRaWAN技術および/またはLoRaP2P技術などの通信技術の一部が提供されなくてもよく、LoRaRelay技術またはZigBee(登録商標)技術などの追加の通信技術が提供されてもよい。
【0142】
例えば、本発明の一実施形態によれば、ガスメータ110(i)は、隣接するガスメータの通信ユニットをLoRaRelayノードとして利用することにより、LoRaWANネットワークステーションと接続するように構成された通信ユニットCU(j)を備えることができる。
【0143】
本発明の一実施形態によれば、(例えば、BLEまたはLoRaP2P通信チャネルC2を利用する)二次通信モードG2のみが利用可能である場合、データパケットPKの内容は、無駄な電力を最小限に抑えるために、削減され得る(例えば、測定データMのみを含む)。
【0144】
当然ながら、局所的かつ特定の要件を満たすために、当業者では上記の発明に様々な論理的および/または物理的な修正および変更を加えることができる。より具体的には、本発明をその好ましい実施形態を参照してある程度具体的に説明したが、形態および詳細における様々な省略、置換および変更、ならびに他の実施形態が可能であることを理解されたい。特に、本発明の様々な実施形態は、それをより深く理解するために、先の説明で示した具体的な詳細がなくても実施することができる。逆に、不必要な詳細で説明に負担をかけないよう、周知の機能が省略または簡略化されている場合もある。
【0145】
(使用例)
表は、アドホック検知システムにより収集された、以下によって送信されたデータ受信性能に関する複数のデータを示す:
- 単一の通信技術(NB-IoT技術)のみで構成された先行技術のガススマートメータ(表では「先行技術」と呼ぶ)、および
- それぞれNB-IoT技術およびLoRaWAN技術で構成された一次通信モードG1による2つの通信ユニットと、それぞれBLE技術およびLoRaP2P技術で構成された二次通信モードG2による2つの通信ユニットとを備える、本発明のガススマートメータ(表では、本発明の対象と呼ぶ)。
【0146】
【表1】
【0147】
3つの物理的設置地点であるヴィッラフランカ・イン・ルニジャーナ(MS)、ローマ、コゼンツァが表に示されている。本発明によるガススマートメータは、同じ物理的地点の先行技術のガススマートメータと置き換えるために全く同じ顧客の場所に設置されたものであり、同一の物理的地点で、2つのタイプのメータ間で性能を直接比較することが可能である。
【0148】
表に示すように、例えば、先行技術のガススマートメータのローマ地点についてNB-IoT技術による性能値が75.35%であるというのは、本発明によるガススマートメータにより同物理的地点について、NB-IoT、LoRaWAN、BLEおよびLoRaP2P技術のカスケード起動によって得られる性能値98.24%よりも大幅に低く、本発明が測定データの送信において高い性能と顕著な信頼性を実現することができる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
【外国語明細書】