(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024655
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】レーザアニール装置、レーザアニール方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20250213BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20250213BHJP
H01L 21/20 20060101ALI20250213BHJP
H10D 30/01 20250101ALI20250213BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20250213BHJP
【FI】
H01L21/268 T
H01L21/265 602C
H01L21/268 J
H01L21/20
H01L29/78 627G
H10K59/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191215
(22)【出願日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2023128365
(32)【優先日】2023-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521476506
【氏名又は名称】JSWアクティナシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大森 賢一
(72)【発明者】
【氏名】鄭 石煥
(72)【発明者】
【氏名】小林 直之
【テーマコード(参考)】
3K107
5F110
5F152
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107CC45
3K107EE04
5F110CC07
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5F110GG44
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5F152EE08
5F152EE10
5F152FF03
5F152FF06
5F152FF09
5F152FF28
5F152FG03
5F152FG12
5F152FG23
5F152FH03
5F152FH07
5F152FH19
(57)【要約】
【課題】安定してアニールプロセスを行うことができるレーザアニール装置、レーザアニール方法、製造方法を提供することである。
【解決手段】本実施の形態にかかるレーザアニール装置は、レーザ光L1を出射するレーザ光源11と、レーザ光L1を半導体膜に照射するアニール光学系10と、プローブ光L2を出射するプローブ光源21と、レーザ光L1が照射された後の半導体膜にプローブ光L2を照射する光学系と、基板100を透過したプローブ光の透過光又は基板で反射したプローブ光の反射光を検出する光検出器25と、基板100に対する照射位置を変えていくよう、基板100を搬送する搬送路と、基板を搬送したときの光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定する処理部と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を前記半導体膜に照射するアニール光学系と、
プローブ光を出射するプローブ光源と、
前記レーザ光が照射された後の前記半導体膜に前記プローブ光を照射する光学系と、
前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を検出する光検出器と、
前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送する搬送路と、
前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定する処理部と、を備えたレーザアニール装置。
【請求項2】
前記レーザ光がパルスレーザ光であり、
前記アニール光学系には、前記パルスレーザ光のパルス波形を成形する成形光学系が設けられている請求項1に記載のレーザアニール装置。
【請求項3】
前記アニール光学系が、前記レーザ光が基板上においてライン状の照射領域を形成するように、前記レーザ光を前記基板に照射し、
前記基板上において、前記プローブ光の照射位置が前記照射領域と重複し、
平面視において、前記照射領域の長手方向が、前記搬送路の搬送方向から傾いている請求項1に記載のレーザアニール装置。
【請求項4】
前記アニール光学系が前記レーザ光を前記半導体膜に照射することで、前記半導体膜が溶融し、
溶融状態の前記半導体膜に前記プローブ光が照射されている請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザアニール装置。
【請求項5】
(A)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、
(B)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、
(C)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、
(D)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、
(E)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、
(F)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップと、を備えたレーザアニール方法。
【請求項6】
前記レーザ光がパルスレーザ光であり、
前記(E)のステップでは、前記プロセス条件として、前記パルスレーザ光のパルス波形を調整する請求項5に記載のレーザアニール方法。
【請求項7】
前記(A)のステップでは、前記レーザ光が基板上においてライン状の照射領域を形成するように、前記レーザ光を前記基板に照射し、
前記基板上において、前記プローブ光の照射位置が前記照射領域と重複し、
平面視において、前記照射領域の長手方向が、前記基板の搬送方向から傾いている請求項5に記載のレーザアニール方法。
【請求項8】
前記(A)のステップでは、前記レーザ光を前記半導体膜に照射することで、前記半導体膜が溶融し、
溶融状態の前記半導体膜に前記プローブ光が照射されている請求項5~7のいずれか1項に記載のレーザアニール方法。
【請求項9】
(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、
(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップと、
(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップと、を備え、
(S1)プロセス条件を設定するステップは、
(a)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、
(b)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、
(c)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、
(d)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、
(e)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記レーザ光がパルスレーザ光であり、
前記(e)のステップでは、前記プロセス条件として、前記パルスレーザ光のパルス波形を調整する請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記(a)のステップでは、前記レーザ光が基板上においてライン状の照射領域を形成するように、前記レーザ光を前記基板に照射し、
前記基板上において、前記プローブ光の照射位置が前記照射領域と重複し、
平面視において、前記照射領域の長手方向が、前記基板の搬送方向から傾いている請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記(a)のステップでは、前記レーザ光を前記半導体膜に照射することで、前記半導体膜が溶融し、
溶融状態の前記半導体膜に前記プローブ光が照射されている請求項9~11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を前記半導体膜に照射するアニール光学系と、
プローブ光を出射するプローブ光源と、
前記レーザ光が照射された後の前記半導体膜に前記プローブ光を照射する光学系と、
前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を検出する光検出器と、
前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送する搬送路と、
前記レーザ光の一部を取り出すビームサンプラと、
前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光を検出するレーザ光検出器と、
前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定する処理部と、を備えたレーザアニール装置。
【請求項14】
前記処理部が、前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、前記レーザ光の照射による前記半導体膜の溶融時間を計測し、
前記溶融時間が変化した場合に、前記レーザ光のパルス波形を基準波形に近づけるように、前記パルス波形を調整する請求項13に記載のレーザアニール装置。
【請求項15】
2つのパルスレーザ光を合成した前記レーザ光が前記半導体膜に照射され、
前記2つのパルスレーザ光の少なくとも一方の強度又は光路を変えることで前記パルス波形を調整する請求項14に記載のレーザアニール装置。
【請求項16】
(STA)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、
(STB)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、
(STC)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、
(STD)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップと、
(STE)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップと、
(STF)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、
(STG)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、
(STH)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップと、を備えたレーザアニール方法。
【請求項17】
前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、前記レーザ光の照射による前記半導体膜の溶融時間を計測し、
前記溶融時間が変化した場合に、前記レーザ光のパルス波形を基準波形に近づけるように、前記パルス波形を調整する請求項16に記載のレーザアニール方法。
【請求項18】
2つのパルスレーザ光を合成した前記レーザ光が前記半導体膜に照射され、
前記2つのパルスレーザ光の少なくとも一方の強度又は光路長を変えることで前記パルス波形を調整する請求項17に記載のレーザアニール方法。
【請求項19】
(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、
(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップと、
(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップと、を備え、
(S1)プロセス条件を設定するステップは、
(sta)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、
(stb)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、
(stc)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、
(std)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップと、
(ste)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップと、
(stf)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、
(stg)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、を備えた半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、前記レーザ光の照射による前記半導体膜の溶融時間を計測し、
前記溶融時間が変化した場合に、前記レーザ光のパルス波形を基準波形に近づけるように、前記パルス波形を調整する請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
2つのパルスレーザ光を合成した前記レーザ光が前記半導体膜に照射され、
前記2つのパルスレーザ光の少なくとも一方の強度又は光路長を変えることで前記パルス波形を調整する請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザアニール装置、レーザアニール方法、及び半導体装置の製造方法法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ライン状にレーザ光を基板に照射するレーザ照射装置が開示されている。このレーザ照射装置は、基板を浮上する浮上ユニットと、浮上ユニット上の基板を吸着保持する保持機構と、保持機構を搬送方向に移動する移動機構とを備えている。上面視において、矩形状の浮上ユニットの端辺にそれぞれ移動機構が設けられている。4つの移動機構が基板を循環搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレーザアニール装置では、安定してレーザアニールプロセスを行うことが望まれる。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、レーザアニール装置は、基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を前記半導体膜に照射するアニール光学系と、プローブ光を出射するプローブ光源と、前記レーザ光が照射された後の前記半導体膜に前記プローブ光を照射する光学系と、前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を検出する光検出器と、前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送する搬送路と、前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定する処理部と、を備えている。
【0007】
一実施の形態によれば、レーザアニール方法は、(A)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、(B)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、(C)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、(D)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、(E)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、(F)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップと、を備えている。
【0008】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップと、(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップと、を備え、(S1)プロセス条件を設定するステップは、(a)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、(b)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、(c)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、(d)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、(e)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、を備えている。
【0009】
一実施の形態によれば、レーザアニール装置は、基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するためのレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を前記半導体膜に照射するアニール光学系と、プローブ光を出射するプローブ光源と、前記レーザ光が照射された後の前記半導体膜に前記プローブ光を照射する光学系と、前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を検出する光検出器と、前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送する搬送路と、前記レーザ光の一部を取り出すビームサンプラと、前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光を検出するレーザ光検出器と、前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定する処理部と、を備えている。
【0010】
一実施の形態によれば、レーザアニール方法は、(STA)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、(STB)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、(STC)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、(STD)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップと、(STE)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップと、(STF)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、(STG)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、(STH)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップと、を備えている。
【0011】
一実施の形態によれば、半導体装置の製造方法は、(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップと、(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップと、を備え、(S1)プロセス条件を設定するステップは、(sta)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップと、(stb)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップと、(stc)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップと、(std)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップと、(ste)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップと、(stf)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップと、(stg)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
前記一実施の形態によれば、安定してアニールプロセスを行うことができるレーザアニール装置、レーザアニール方法、及び半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】レーザアニール装置の構成を示す側面図である。
【
図2】レーザアニール装置の構成を示す側面図である。
【
図3】基板上におけるレーザ光とプローブ光を説明するための模式図である。
【
図4】実施形態2にかかるレーザアニール装置の構成を示す側面図である。
【
図5】実施形態3にかかるレーザアニール装置の構成を示す側面図である。
【
図6】レーザ光L1とプローブ光L3の検出光量を示すグラフである。
【
図7】実施の形態4にかかるレーザアニール装置の構成を示す側面図である。
【
図8】レーザアニール装置におけるパルス波形の調整方法を示すフローチャートである。
【
図9】パルス波形を調整するための構成の一例を示す模式図である。
【
図10】パルス波形を調整するための構成の一例を示す模式図である。
【
図11】有機ELディスプレイの構成を簡略化して示す断面図である。
【
図12】本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図13】本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1
本実施の形態にかかるレーザアニール装置は、例えば、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Poly-Silicon)膜を形成するエキシマレーザアニール(ELA:Excimer laser Anneal)装置である。以下、図面を参照して本実施の形態にかかるレーザアニール装置、半導体装置の検査方法、及び製造方法について説明する。
【0015】
図1、
図2を用いて、本実施の形態にかかるELA装置1の構成について説明する。
図1は、ELA装置1を模式的に示す側面図である。
図2は、ELA装置1の構成を模式的に示すXY平面図である。
【0016】
図1に示されているように、ELA装置1は、レーザ光L1を基板100上に形成されたシリコン膜101に照射する。これにより、非晶質のシリコン膜(アモルファスシリコン膜:a-Si膜)101を多結晶のシリコン膜(ポリシリコン膜:p-Si膜)101に変換することができる。基板100は、例えば、ガラス基板などの透明基板である。
【0017】
なお、
図1、
図2では説明の明確化のため、XYZ三次元直交座標系が示されている。Z方向は鉛直方向となり、基板100に垂直な方向である。XY平面は、基板100のシリコン膜101が形成された面と平行な平面である。X方向は、矩形状の基板100の短手方向となり、Y方向は基板100の長手方向となる。
【0018】
また、ELA装置1では、レーザ光L1が、Y方向を長手方向とするラインビームとなっている。リニアモータなどによって基板100を+X方向に搬送しながら、シリコン膜101にレーザ光L1が照射される。なお、
図1では、シリコン膜101において、レーザ光L1の照射前のシリコン膜101をアモルファスシリコン膜101aと示し、レーザ光L1の照射後のシリコン膜101はポリシリコン膜101bと示している。
【0019】
ELA装置1は、アニール光学系10と、照明光学系20と、検出光学系30と、浮上ユニット43と、保持機構44と、チャンバ50と、を備えている。アニール光学系10は、アモルファスシリコン膜101aを結晶化するためのレーザ光L1をシリコン膜101に照射するための光学系である。照明光学系20と、検出光学系30とは、基板100の結晶状態のばらつきを評価するための光学系である。具体的には、プローブ光L3の検出結果に基づいて、アニールプロセスのプロセス条件を決定している。
【0020】
ELA装置1の光学系は、レーザ光源11、ミラー12、プロジェクションレンズ13、プローブ光源21、ミラー22、集光レンズ24、光検出器25、処理装置26、フィルタ27等を備えている。なお、
図2では、プロジェクションレンズ13が省略されている。
【0021】
基板100は、浮上ユニット43の上に配置されている。浮上ユニット43は、基板100を浮上するためのガスを噴出している。浮上ユニット43が上方にガスを噴出することで、基板100が浮上ユニット43の上に浮上する。つまり、基板100と浮上ユニット43との間にはエアギャップ(
図1では不図示)が設けられた状態となる。
【0022】
さらに、基板100を保持する保持機構44が設けられている。保持機構44と浮上ユニット43が基板100を搬送する搬送路を形成する。保持機構44は、基板100の-Y側の端部を保持するよう、浮上ユニット43の外側に配置されている。保持機構44は基板100の端部を真空吸着する。そして、基板100を保持した保持機構44が図示しない移動機構によりX方向に移動する。これにより、基板100がX方向に搬送されるため、基板100におけるレーザ光L1の照射位置が変化する。基板100がライン状の照射領域P1を通過することで、基板100のほぼ半分にレーザ光が照射される。そして、基板100をZ軸周りに180°回転して同様に搬送することで、基板100のほぼ全面にレーザ光L1を照射することができる。
【0023】
なお、チャンバ50は、浮上ユニット43や光学系を収容している。例えば、チャンバ50内には、浮上ユニット43、保持機構44、集光レンズ24、フィルタ27、光検出器25などが配置されている。また、チャンバ50には、レーザ光L1及びプローブ光L2が透過するウィンドウ51が設けられている。よって、ウィンドウ51を通過したレーザ光L1及びプローブ光L2が基板100に入射する。
【0024】
レーザ光L1をシリコン膜101に照射するためのアニール光学系10について説明する。アニール光学系10は、基板100の上側(+Z側)に配置されている。レーザ光源11は、例えば、中心波長308nmのエキシマレーザ光を放出するエキシマレーザ光源である。また、レーザ光源11はパルス状のレーザ光L1を放出する。レーザ光源11はレーザ光L1をミラー19に向けて出射する。ミラー19で反射されたレーザ光L1は成形光学系60に入射する。成形光学系60は、レーザ光L1を成形する。
【0025】
成形光学系60は、光軸と直交する平面において、レーザ光L1の空間分布を変えるように、レーザ光L1を成形してもよい。例えば、成形光学系60は、基板100上においてラインビームを形成するように、レーザ光L1を成形してもよい、さらに、基板100上において、ラインビームがトップフラット分布を有するように、レーザ光L1を成形してもよい。
【0026】
さらに、成形光学系60は、レーザ光L1のパルス波形などを調整することができる。例えば、成形光学系60は、分岐用のビームスプリッタ、合成用のビームスプリッタ、及びミラーなどを有している。分岐用のビームスプリッタで分岐された2本のビームが複数枚のミラーで反射される。そして、ミラーで反射された2本のビームが合成用のビームスプリッタで合成される。少なくとも一方のビーム光路において、ミラーの間隔を変えることで、ビームの光路長が変化する。これにより、レーザ光L1が所望のパルス長となるように、パルス波形を調整することができる。
【0027】
成形光学系60で成形されたレーザ光L1は、ミラー12に入射する。ミラー12、及びプロジェクションレンズ13が、基板100の真上に配置されている。ミラー12は、例えば、波長に応じて選択的に光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー12は、プローブ光L2の波長の光を透過し、レーザ光L1の波長の光を反射する波長特性を有している。したがって、ミラー12は、レーザ光L1を反射する。ミラー12で反射されたレーザ光L1は、-Z方向かつ-X方向の斜め方向に進んでいく。
【0028】
レーザ光L1はミラー12で反射して、プロジェクションレンズ13に入射する。プロジェクションレンズ13は、レーザ光L1を基板100上、すなわち、シリコン膜101に投射するための複数のレンズを有している。プロジェクションレンズ13からのレーザ光L1はウィンドウ51を介して、基板100に入射する。
【0029】
プロジェクションレンズ13はレーザ光L1を基板100上に集光している。ここで、
図3を参照して、基板100(シリコン膜101)上におけるレーザ光L1の照射領域P1の形状とその空間分布について説明する。基板100上において、レーザ光L1がY方向に沿ったライン状の照射領域P1を形成する。すなわち、基板100上において、レーザ光L1は、Y方向を長手方向、X方向を短手方向とするラインビームとなっている。+X方向に基板100を搬送しながら、レーザ光L1がシリコン膜101に照射される。これにより、Y方向における照射領域P1の長さを幅とする帯状の領域にレーザ光L1を照射することができる。また、搬送方向は、ラインビームの長手方向から傾いている方向であれば、直交するX方向でなくてもよい。
【0030】
例えば、X方向における照射領域P1は、750mm以上とすることができる。Y方向における照射領域P1のサイズは400μm以下とすることができる。また、X方向、及びY方向において、レーザ光L1はトップフラット分布となっている。もちろん、X方向及びY方向の少なくとも一方向で、レーザ光L1は、ガウス分布となっていてもよい。
【0031】
次に、プローブ光L2を基板100に照射するための照明光学系20について説明する。照明光学系20は、基板100の上側(+Z側)に配置されている。プローブ光源21は、レーザ光L1と異なる波長のプローブ光L2を放出する。プローブ光源21としては、例えば、連続発振(CW:Continuous Wave)の半導体レーザ光源等を用いることができる。プローブ光L2の中心波長は、例えば、401nmである。プローブ光L2の波長は、シリコン膜101における吸収率の低い波長であることが好ましい。そのため、プローブ光源21として、単色光を放出するレーザ光源やLED(Light Emitting Diode)光源等を用いることが好ましい。
【0032】
プローブ光源21は、ミラー22に向けてプローブ光L2を出射する。ミラー22は、プローブ光L2をミラー12に向けて反射する。ミラー12はダイクロイックミラーであるため、プローブ光L2を透過する。ここでは、プローブ光L2とレーザ光L1の光軸が一致している。例えば、レーザ光L1とプローブ光L2の光軸は、プロジェクションレンズ13の光軸と一致している。
【0033】
ミラー12を透過したプローブ光L2は、プロジェクションレンズ13に入射する。プロジェクションレンズ13からのプローブ光L2は、ウィンドウ51を介して、基板100に入射する。プロジェクションレンズ13は、プローブ光L2をシリコン膜101に集光する。
【0034】
図3に示すように、プロジェクションレンズ13は、プローブ光L2が微小スポットとなるように、プローブ光L2を集光する。シリコン膜101において、プローブ光L2は、照射領域P1に入射する。つまり、XY平面において、プローブ光L2の照射スポットは、照射領域P1と重複している。シリコン膜101上では、Y方向におけるレーザ光L1の中心近傍に、プローブ光L2のスポットが形成される。例えば、プローブ光L2のスポット径は300μm程度となっている。
【0035】
なお、シリコン膜101におけるプローブ光L2の照射位置は、レーザ光L1の照射領域P1あるいはその近傍にあればよい。例えば、
図3の破線に示すように、Y方向における照射領域P1の端部近傍に、プローブ光L2が照射されていてもよい。プローブ光L2の照射位置は、照射領域P1に含まれていてもよい。また、プローブ光L2の照射位置は、照射領域P1と重複する位置に限らず、照射領域P1からずれていてもよい。例えば、プローブ光L2の照射位置が、レーザ光L1の照射領域P1から+X方向にずれていてもよい。この場合、レーザ光L1がシリコン膜101に照射した直後において、プローブ光L2がシリコン膜101に入射する。したがって、レーザ光L1によってシリコン膜101が溶融している状態で、プローブ光L2がシリコン膜101に入射する。
【0036】
また、シリコン膜101の複数箇所にプローブ光L2が照射されていてもよい。例えば、Y方向における照射領域P1の中心、及び両端近傍の3箇所に、プローブ光L2が照射されていてもよい。複数のプローブ光L2をシリコン膜101に照射する場合、複数のプローブ光源21を用いることができる。あるいは、1つのプローブ光源21からのプローブ光L2をビームスプリッタなどで分岐して、複数のビームとしてもよい。
【0037】
プローブ光L2の少なくとも一部は、シリコン膜101を透過する。プローブ光L2のうち、シリコン膜101を透過した透過光をプローブ光L3とする。浮上ユニット43には、プローブ光L3が通過するための開口部43aが設けられている。プローブ光L3は、開口部43aを通過した後、検出光学系30を伝播する。
【0038】
基板100の下に配置された検出光学系30について説明する。検出光学系30は、集光レンズ24とフィルタ27とを備えている。集光レンズ24とフィルタ27は浮上ユニット43の下側に配置されている。
【0039】
開口部43aを通過したプローブ光L3は、集光レンズ24に入射する。集光レンズ24は、プローブ光L3を光検出器25の受光面上に集光する。光検出器25は、例えば、フォトダイオードなどあり、プローブ光L3を検出する。さらに、集光レンズ24と光検出器25の間にはフィルタ27が配置されている。フィルタ27は、プローブ光L3の波長の光を透過し、レーザ光L1の波長をカットする波長フィルタである。これにより、浮上ユニット43やチャンバ50などで拡散されたレーザ光L1が光検出器25に入射することを防ぐことができる。例えば、フィルタ27はバンドパスフィルタやロングパスフィルタなどである。
【0040】
光検出器25は、プローブ光L3の検出光量に応じた検出信号を処理装置26に出力する。処理装置26はメモリやプロセッサなどを有するコンピュータである。検出信号の検出値は、シリコン膜101の透過率に対応する。また、基板100が一定速度で+X方向に搬送されているため、光検出器25は、X方向における検出光量(つまり、シリコン膜101の透過率)のプロファイルを検出する。
【0041】
処理装置26は、検出信号の検出値に対して所定の演算を行う演算器である。なお、処理装置26は、アナログの検出信号をデジタルの検出値にA/D変換するA/Dコンバータを備えていてもよい。あるいは、光検出器25がアナログの検出信号をデジタルの検出値にA/D変換するA/Dコンバータを備えていてもよい。
【0042】
基板100を+X方向に走査しながら、光検出器25がプローブ光L3を検出する。したがって、光検出器25又はA/Dコンバータのサンプリングレートに応じて、処理装置26は複数の検出値を取得する。処理装置26は、複数の検出値を記憶するメモリなどを有している。基板100が+X方向に一定速度で走査されているため、複数の検出値は、X方向における透過率のプロファイルを示す。
【0043】
ここで、シリコン膜101の透過率は、シリコンの溶融状態に応じて変化する。具体的には、シリコンが溶融すると、反射率が増加して、透過率が減少する。シリコンが十分に溶融していない場合、プローブ光L3の透過光量が減少する。光検出器25の検出光量は、シリコン膜101の状態に応じて変化する。処理装置26は、光検出器25からの検出信号に基づいて、成形光学系60を制御する。具体的には、処理装置26は、ポリシリコン膜101bのばらつきが小さくなるようのパルス波形を制御する。例えば、処理装置26は、パルス長などを制御するための制御信号を生成して、成形光学系60に出力する。これにより、成形光学系60のミラーの位置が調整され、パルス波形が変化する。
【0044】
このように、レーザ光L1の照射直後の領域にプローブ光L2が照射されている。つまり、溶融状態のシリコン膜101にプローブ光L2が入射する。そして、基板100を透過したプローブ光L3を光検出器25が検出する。そして、光検出器25からの検出信号に基づいて、処理装置26がパルス波形を決定する。このようにすることで、ELA装置1は、照射ムラを抑制することができるプロセス条件を設定することができる。処理装置26は、アニールプロセスに最適なプロセス条件を決定することができる。ELA装置1は、設定したプロセス条件で、生産用の基板100に対してアニールプロセスを実行する。安定したアニールプロセスを実現することができる。このようにすることで、生産性を向上することができる。
【0045】
なお、レーザアニールのプロセス条件はパルス波形に限られるものではない。例えば、プロセス条件は、レーザ光L1のピーク強度、繰り返し周波数、空間分布、偏光状態等であってもよい。さらに、、基板100の搬送速度や、搬送方向からのラインビームの傾き角度をプロセス条件としてもよい。また、最適なプロセス条件を設定するための複数の基板100を処理してもよい。
【0046】
なお、基板100の上方には、光学系モジュール40が配置されている。光学系モジュール40は上記の光学系の少なくとも一部を搭載している。具体的には、光学系モジュール40は、ミラー19、成形光学系60、ミラー12、プロジェクションレンズ13を備えている。光学系モジュール40は、チャンバ50に設置されている。
【0047】
また、上記のように、複数のプローブ光L2を基板100に照射してもよい。そして、基板100を透過した複数のプローブ光L3をそれぞれ、光検出器25が検出してもおい。この場合、複数のプローブ光L3に対応する複数の光検出器25を基板100の下に配置してもよい。そして、複数のプローブ光L3の検出信号の平均値などに基づいて、処理装置26がプロセス条件を設定する。これにより、より適したプロセス条件でアニール処理を行うことができる。
【0048】
実施の形態2
本実施形態にかかるELA装置1の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、ELA装置1の構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態のELA装置1は、レーザ光L1とプローブ光L2とが同軸となっていない点で、実施と形態1と異なっている。なお、ELA装置1の主要な構成については実施の形態1と同様であるため、適宜説明を省略する。例えば、
図4において、レーザ光源11、ミラー12、成形光学系60等については省略されている。
【0049】
プローブ光源21からのプローブ光L2は、ミラー22に入射する。ミラー22は、基板100の上に配置されている。ミラー22は、プローブ光L2を基板100に向けて反射する。ミラー22で反射したプローブ光L2は、レンズ28で基板100に集光される。したがって、
図3で示したように、プローブ光L2は、基板100上において、微小なスポットを形成する。なお、プローブ光L2はレーザ光L1と同軸となっていないため、プローブ光L2はプロジェクションレンズ13に入射していない。したがって、プローブ光L2はプロジェクションレンズ13の外側から、基板100に入射する。
【0050】
基板100を透過したプローブ光L2をプローブ光L3とする。プローブ光L3は、浮上ユニット43の開口部43aを通過して、集光レンズ24に入射する。集光レンズ24は、プローブ光L3を光検出器25の受光面に集光する。集光レンズ24からのプローブ光L3はフィルタ27を介して、光検出器25に入射する。
【0051】
このような構成においても、実施の形態1と同様に、レーザ光L1の適切なプロセス条件を設定することができる。つまり、検出信号に基づいて、成形光学系60がレーザ光L1のパルス波形を成形する。よって、安定したアニールプロセスが可能となり、生産性を向上することができる。なお、実施の形態2では、プローブ光L2がミラー12に入射しないため、ミラー12を金属反射ミラーや多層膜反射ミラーとすることができる。
【0052】
図1、
図4において、基板100の下側に光検出器25が配置され、上側にプローブ光源21が配置されていたが、プローブ光源21と光検出器25の配置が上下反対でもよい。例えば、光検出器25が、基板100の上側に配置され、プローブ光源21が基板100の下側に配置されていてもよい。この場合も、プローブ光が、プロジェクションレンズ13を通過してもよく、通過しなくてもよい。
【0053】
実施の形態3
本実施形態にかかるELA装置1の構成について、
図5を用いて説明する。
図5は、ELA装置1の構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態のELA装置1では、光検出器25が基板100で反射した反射光を検出している点で、実施と形態1、2と異なっている。つまり、光検出器25は基板100を透過した透過光を検出していない。なお、実施の形態1,2と同様の構成については、適宜説明を省略する。例えば、アニール光学系10については、実施の形態1であり、照明光学系20は実施の形態2と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0054】
実施の形態3では、検出光学系30が基板100の上に配置されている。具体的には、集光レンズ24、ミラー29、フィルタ27、光検出器25がチャンバ50の上側に配置されている。
【0055】
シリコン膜101で反射した反射光をプローブ光L4とする。プローブ光L4は、ウィンドウ51を透過して、集光レンズ24に入射する。集光レンズ24からのプローブ光L4は、ミラー29で反射して、フィルタ27に入射する。フィルタ27を透過したプローブ光L4が光検出器25に入射する。このような構成によっても実施の形態1、2と同様に、適切なプロセス条件を設定することができるため、安定したプロセスが可能となる。
【0056】
さらに、本実施の形態では浮上ユニット43の代わりに、基板100を吸着するステージ46が用いられている。つまり、基板100がステージ46の上に載せられている。ステージ46は、基板100を真空吸着等により保持する。さらに、ステージ46は駆動ステージであり、基板100をX方向に搬送する。よって、ステージ46が移動することで、基板100に対するレーザ光L1及びプローブ光L2の照射位置が変化する。このように、ステージ46が基板100を搬送する搬送路を形成する。
【0057】
このように、実施の形態3では、基板100で反射されたした反射光がプローブ光L4となっている。もちろん、実施の形態1、2のように基板100を透過した透過光がプローブ光L3となっていてもよい。つまり、光検出器25は基板100を透過した透過光を検出してもよく、基板100で反射した反射光を検出してもよい。さらには、光検出器25を2つ以上用意して、透過光と反射光の両方を検出してもよい。
【0058】
図6は、レーザ光L1のパルス波形と、反射光強度(プローブ光L4の検出光量)を示すグラフである。横軸は時間、縦軸は、光量となっている。シリコン膜101の溶融が進むにつれて、反射率が高くなるため、反射光強度が高くなる。レーザ光L1のパルス波形のピークから溶融が開始するため、反射光強度が変化する。ピークの直後に反射光強度が最大値を示す。反射光強度の最大値がシリコンの最大溶融深さを示す。最大溶融深さに到達後、膜厚方向に徐々に固化が進んでいくため、反射光強度が徐々に減少していく。シリコンが完全に固化した状態になり、反射光強度がパルス光照射前に戻る。
【0059】
そして、処理装置26は、溶融時間がより長くなるに、プロセス条件を変更する。溶融時間は
図6のt1からt2までの時間で示される。パルス光の1ショットで、シリコンがより長い時間溶融状態となるパルス波形を設定する。つまり、t2の時間が遅くなるようにパルス波形のプロセス条件を設定する。このようにすることで、より安定したアニールプロセスが可能となる。なお、t2は、シリコンの固化が進み、反射光強度が閾値を下回るタイミングに対応する。
【0060】
本実施の形態にかかるELA装置を用いたレーザアニール方法は、以下のステップ(A)~(F)を有していてもよい。
(A)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップ。
(B)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップ。
(C)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップ。
(D)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップ。
(E)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
(F)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップ。
これにより、安定してレーザアニールを行うことができる。
【0061】
本実施の形態にかかるELA装置を用いたレーザアニール方法は、以下のステップ(STA)~(STH)を有していてもよい。
(STA)基板上に形成された非晶質の半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップ。
(STB)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップ。
(STC)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップ。
(STD)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップと。
(STE)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップ。
(STF)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップ。
(STG)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
(STH)前記プロセス条件で前記レーザ光を基板に照射するレーザアニールを行い、前記半導体膜を結晶化するステップ。
【0062】
さらに、プロセス条件の設定では、条件出し専用の基板を用いてもよく、実際のデバイスが形成された実基板を用いてもよい。また、プロセス条件の設定は定期的に行うことが好ましい。例えば、数日、あるいは数週間毎に、プロセス条件を設定するための基板100を搬送して、レーザアニールを行ってもよい。そして、最新の測定結果に基づいて、プロセス条件を更新する。
【0063】
また、プロセス条件は、プロセス中に更新してもよい。つまり、処理装置26が、測定結果に基づいてフィードバックを行うことで、プロセス中にプロセス条件を最適化することができる。これにより、ELA装置1が、最適なプロセス条件で、レーザアニールを行うことができる。
【0064】
実施の形態4
実施の形態4にかかるELA装置1について、
図7を用いて説明する。
図7は、ELA装置1の構成を模式的に示す側面図である。本実施の形態では、アニール光学系10にレンズ15、及びレーザ光検出器16が追加されている。さらに、アニール光学系10、照明光学系20において、ミラー12の代わりに、レーザ光の一部を取り出すビームサンプラ14が設けられている。ビームサンプラ14、レンズ15、及びレーザ光検出器16以外の基本的な構成については、上記の実施の形態と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0065】
レーザ光L1の光路中にビームサンプラ14が配置されている。具体的には、ビームサンプラ14が入射光の一部を透過して、残りを反射する部分透過ミラーとなっている。例えばビームサンプラ14は、レーザ波長に対する反射率が高くなっており、透過率が低い光学特性を有している。あるいは、ビームサンプラ14が微小な穴が開いている穴開きミラーとなっていてもよい。このようにすることで、ビームサンプラ14がレーザ光L1の一部を取り出す。ビームサンプラ14はレーザ光L1の大半をプロジェクションレンズ13に向けて反射する。
【0066】
ビームサンプラ14を透過したレーザ光を光ビームL5とする。光ビームL5は、レンズ15を介して、レーザ光検出器16に入射する。レンズ15は、光ビームL5をレーザ光検出器16に集光する。レーザ光検出器16はフォトダイオードなどであり、光ビームL5を検出する。レーザ光検出器16は、光ビームL5を検出して、検出光量に応じた検出信号を処理装置26に出力する。
【0067】
処理装置26は光ビームL5のパルス波形を検出することができる。そして、処理装置26は、光ビームL5のパルス波形に基づいて、プロセス条件を設定する。例えば、処理装置26は、
図6に示した溶融時間が長くなるようにプロセス条件を調整する。
【0068】
具体的には、処理装置26には、溶融時間が長くなるような基準波形が予め登録されていてもよい。そして、処理装置26はパルス波形が基準波形に近づくように、プロセス条件を設定する。具体的に、処理装置26はパルス光のピーク強度を調整する。あるいは、
図5に示した第1ピーク(1st Peak)と第2ハンプ(2nd Hump)の時間間隔を調整する。このようにすることで、安定してアニールを行うことができる。
【0069】
処理装置26によるパルス波形調整について、
図8を用いて説明する。
図8は、パルス波形の調整方法を示すフローチャートである。なお、ここでは、
図7に示したように、レーザ光検出器16が光ビームL5を検出し、光検出器25がプローブ光L3を検出しているとする。処理装置26は、
図6に示したように、光ビームL5のパルス波形と、プローブ光L3のパルス波形を検出している。また、プローブ光L3は、基板100で反射した反射光であるとして説明するが、基板100を透過した透過光であってもよい。
【0070】
まず、処理装置26がプローブ光L3の検出結果から溶融時間を計測する(S101)。上記の通り、シリコンが溶融すると、反射率が増加して、透過率が減少する。従って、プローブ光L3の検出結果から処理装置26が溶融時間を算出することができる。例えば、
図6に示すように、溶融時間はt1からt2までの期間である。t1は、光ビームL5のピーク時間に対応する。t2は、プローブ光L3である反射光強度が閾値レベルを下回った時間に対応する。よって、t1からt2の期間を溶融時間として設定することができる。
【0071】
次に、処理装置26が溶融時間に変化があったか否かを判定する(S102)。例えば、処理装置26は、最新のパルス照射による溶融時間と、前回のパルス照射による溶融時間とを比較して、溶融時間が変化したか否を判定する。あるいは、処理装置26は、溶融時間を予め設定された閾値時間と比較することで、溶融時間が変化したことを検出してもよい。
【0072】
溶融時間に変化がない場合(S102のNO)、処理装置26が引き続き溶融時間を計測する。溶融時間に変化がある場合(S102のYES)、処理装置26がパルス波形を比較する(S103)。例えば処理装置26には、標準パルス波形が予め登録されている。標準パルス波形は溶融時間を長くすることができる波形である。標準パルス波形は、
図6で示した第1ピークと第2ハンプとの時間間隔や強度比に関する情報を含んでいる。処理装置26は、測定したパルス波形を標準パルス波形と比較する。
【0073】
次に、処理装置26は、比較結果に基づいて、補正方法を演算する(S104)。例えば、処理装置26は測定したパルス波形を標準パルス波形に近づけるような補正演算を行う。具体的には、処理装置26は、第1ピークと第2ハンプとの時間間隔、強度に関する補正量を算出する。処理装置26は、パルス波形が標準パルス波形に近づけるように、補正量を演算する。例えば、処理装置26は、第1ピークと第2ハンプとの時間間隔を長くするように、第2ハンプの補正量を算出する。あるいは、処理装置26は、第1ピークや第2ハンプの強度比に関する補正量を算出する。
【0074】
そして、処理装置26は、パルス波形を補正する(S105)。例えば、処理装置26は、レーザ光強度等を変えるような補正信号をレーザ光源11に出力する。処理装置26は、第1ピークと第2ハンプとの時間間隔を変えるような補正信号をレーザ光源11に出力する。あるいは、処理装置26は、レーザ光強度を変えるような補正信号をレーザ光源11に出力する。このようにすることで、ELA装置1が、適切なプロセス条件でレーザアニールを行うことができるため、シリコンを安定して結晶化することができる。
【0075】
(パルス波形調整)
次に、パルス波形を調整するための構成について、
図9を用いて説明する。
図9は、レーザ光源11として2つのレーザ光源11a、11bを備える構成を模式的に示す図である。なお、
図9では、レーザ光源11と成形光学系60までの構成が示されている。レーザ光源11aとレーザ光源11bはそれぞれパルスレーザ光源であり、パルスレーザ光を発生する。
【0076】
レーザ光源11aからのレーザ光をレーザ光L1aとし、レーザ光源11bからのレーザ光をレーザ光L1bとする。レーザ光L1aとレーザ光L1bはビームスプリッタ17に入射する。ビームスプリッタ17は、ハーフミラーなどであり、レーザ光L1aとレーザ光L1bを合成する。ビームスプリッタ17で合成されたレーザ光L1aとレーザ光L1bとが同軸となって伝播する。なお、レーザ光L1aとレーザ光L1bとが合成されたレーザ光をレーザ光L1とする。レーザ光L1は、成形光学系60に入射する。成形光学系60は、以降は、上記の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0077】
レーザ光L1は、2つのパルス光を合成した波形となる。レーザ光L1aのピークが
図6の第1ピークに対応しており、レーザ光L1bのピークが
図6の第2ハンプに対応している。処理装置26は、レーザ光源11aとレーザ光源11bを独立して制御する。処理装置26が、レーザ光源11aとレーザ光源11bを制御することで、パルス波形を調整することができる。例えば、処理装置26が、レーザ光源11aとレーザ光源11bの出力を制御することで、レーザ光強度を調整する。レーザ光強度を調整することで、溶融時間を長くすることができる。つまり、処理装置26がプローブ光L3や光ビームL5の検出結果に基づいて、レーザ光強度や強度比を調整する。よって、溶融時間を長くすることができ、安定したプロセスが可能となる。
【0078】
あるいは、処理装置26が、レーザ光源11aとレーザ光源11bの発振タイミングを制御することで、パルス波形を調整することができる。あるいは、処理装置26がレーザ光L1aとレーザ光L1bの少なくとも一方の光路長を変えることで、パルス波形を調整してもよい。発振タイミングや光路長を調整することで、例えば、第1ピークと第2ハンプとの間の時間を変化させることができる。よって、溶融時間を長くすることができ、安定したプロセスが可能となる。
【0079】
図10は、パルス波形を調整するための別の構成を示す図である。
図10では、成形光学系60の一部の構成を示している。成形光学系60の光路には、ビームスプリッタ17a、17bと、ミラー18a~18cが設けられている。ビームスプリッタ17a、17bは例えば、ハーフミラーである。
【0080】
レーザ光源11からのレーザ光L11がビームスプリッタ17aで2本の光ビームL12、L13に分岐されている。ビームスプリッタ17aで反射した光ビームL12は、ミラー18aに入射する。ミラー18aで反射した光ビームL12はビームスプリッタ17bに入射する。
【0081】
ビームスプリッタ17aを透過した光ビームL13は、直接、ビームスプリッタ17bに入射する。ビームスプリッタ17bは光ビームL12と光ビームL13とを合成する。ビームスプリッタ17bで同軸に合成されたレーザ光L1とする。ビームスプリッタ17bからのレーザ光L1はミラー18cに入射する。ミラー18cで反射したレーザ光L1は、
図1で示した成形光学系60に入射する。レーザ光L1は2つのパルス光を合成した波形となる。
【0082】
ここで、光ビームL12と光ビームL13には光路長差があるため、光ビームL12のパルスが光ビームL13のパルスよりも遅れる。そして、ミラー18a、18bの位置を変えることで、光路長差が変化する。つまり、処理装置26がミラー18a、18bの位置を制御することで、パルス波形を調整することができる。例えば、処理装置26がミラー18a、18bを+X方向に同じ距離だけ移動させることで、光ビームL12の光路長を長くすることができる。
【0083】
処理装置26は、プローブ光L3や光ビームL5の検出結果に基づいて、光路長を変化させる。これにより、例えば、第1ピークと第2ハンプとの間の時間を変化させることができる。よって、溶融時間を長くすることができ、安定したプロセスが可能となる。
【0084】
また、
図10の構成においても、レーザ光強度を調整することができる。例えば、透過率の異なる複数の減光フィルタを予め用意しておく。光路中に配置する減光フィルタを変えることで、レーザ光強度や強度比を調整することができる。
【0085】
このように、実施の形態1~4にかかるELA装置1は、レーザ光L1が照射された後の半導体膜にプローブ光L2を照射する。そして、光検出器25は、半導体膜で反射したプローブ光L4又は半導体膜を透過したプローブ光L3を検出している。ここで、半導体膜にプローブ光L2を照射するタイミングはレーザ光L1が照射された後であればよい。つまり、パルスのレーザ光L1の照射開始タイミングの直後にプローブ光L2が半導体膜に照射されていても良い。これにより、レーザ光L1が照射中の半導体膜にプローブ光L2が照射される。そして、溶融状態の半導体膜からのプローブ光を光検出器25が検出することができる。パルスのレーザ光L1とプローブ光L2の照射タイミング及び照射位置は少なくとも一部が重複していても良い。つまり、レーザ光L1の照射中にプローブ光L2が半導体膜に照射されていても良い。
【0086】
あるいは、プローブ光L2の照射位置がレーザ光の照射位置よりも搬送方向の下流側にずれていてもよい。この場合、パルスのレーザ光L1の照射が完了した直後の半導体膜にプローブ光L2が半導体膜に照射されても良い。これにより、溶融状態の半導体膜からのプローブ光を光検出器25が検出することができる。つまり、パルスのレーザ光L1とプローブ光L2の照射タイミング及び照射位置はずれていてもよい。
【0087】
(有機ELディスプレイ)
上記のポリシリコン膜を有する半導体装置は、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ用のTFT(Thin Film transistor)アレイ基板に好適である。すなわち、ポリシリコン膜は、TFTのソース領域、チャネル領域、ドレイン領域を有する半導体層として用いられる。
【0088】
以下、本実施の形態にかかる半導体装置を有機ELディスプレイディスプレイに適用した構成について説明する。
図11は、有機ELディスプレイの画素回路を簡略化して示す断面図である。
図11に示す有機ELディスプレイ300は、各画素PXにTFTが配置されたアクティブマトリクス型の表示装置である。
【0089】
有機ELディスプレイ300は、基板310、TFT層311、有機層312、カラーフィルタ層313、及び封止基板314を備えている。
図11では、封止基板314側が視認側となるトップエミッション方式の有機ELディスプレイを示している。なお、以下の説明は、有機ELディスプレイの一構成例を示すものであり、本実施の形態は、以下に説明される構成に限られるものではない。例えば、本実施の形態にかかる半導体装置は、ボトムエミッション方式の有機ELディスプレイに用いられていてもよい。
【0090】
基板310は、ガラス基板又は金属基板である。基板310の上には、TFT層311が設けられている。TFT層311は、各画素PXに配置されたTFT311aを有している。さらに、TFT層311は、TFT311aに接続される配線(図示を省略)等を有している。TFT311a、及び配線等が画素回路を構成する。
【0091】
TFT層311の上には、有機層312が設けられている。有機層312は、画素PXごとに配置された有機EL発光素子312aを有している。さらに、有機層312には、画素PX間において、有機EL発光素子312aを分離するための隔壁312bが設けられている。
【0092】
有機層312の上には、カラーフィルタ層313が設けられている。カラーフィルタ層313は、カラー表示を行うためのカラーフィルタ313aが設けられている。すなわち、各画素PXには、R(赤色)、G(緑色)、又はB(青色)に着色された樹脂層がカラーフィルタ313aとして設けられている。
【0093】
カラーフィルタ層313の上には、封止基板314が設けられている。封止基板314は、ガラス基板などの透明基板であり、有機層312の有機EL発光素子の劣化を防ぐために設けられている。
【0094】
有機層312の有機EL発光素子312aに流れる電流は、画素回路に供給される表示信号によって変化する。よって、表示画像に応じた表示信号を各画素PXに供給することで、各画素PXでの発光量を制御することができる。これにより、所望の画像を表示することができる。
【0095】
有機ELディスプレイ等のアクティブマトリクス型表示装置では、1つの画素PXに、1つ以上のTFT(例えば、スイッチング用TFT、又は駆動用TFT)が設けられている。そして、各画素PXのTFTには、ソース領域、チャネル領域、及びドレイン領域を有する半導体層が設けられている。本実施の形態にかかるポリシリコン膜は、TFTの半導体層に好適である。すなわち、上記の製造方法により製造したポリシリコン膜をTFTアレイ基板の半導体層に用いることで、TFT特性の面内ばらつきを抑制することができる。よって、表示特性の優れた表示装置を高い生産性で製造することができる。
【0096】
<半導体装置の製造工程>
本実施の形態にかかるレーザアニール装置を用いた半導体装置の製造方法は、TFTアレイ基板の製造に好適である。TFTを有する半導体装置の製造方法について、
図12、
図13を用いて説明する。
図12、
図13は半導体装置の製造工程を示す工程断面図である。以下の説明では、逆スタガード(inverted staggered)型のTFTを有する半導体装置の製造方法について説明する。
図12、
図13では、半導体製造方法におけるポリシリコン膜の形成工程を示している。なお、その他の製造工程については、公知の手法を用いることができるため、説明を省略する。
【0097】
図12に示すように、ガラス基板401上に、ゲート電極402が形成されている。ゲート電極402の上に、ゲート絶縁膜403が形成されている。ゲート絶縁膜403の上に、アモルファスシリコン膜404を形成する。アモルファスシリコン膜404は、ゲート絶縁膜403を介して、ゲート電極402と重複するように配置されている。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、ゲート絶縁膜403とアモルファスシリコン膜404とを連続成膜する。
【0098】
そして、アモルファスシリコン膜404にレーザ光L1を照射することで、
図13に示すように、ポリシリコン膜405が形成される。すなわち、
図1~等で示したELA装置1によって、アモルファスシリコン膜404を結晶化する。これにより、シリコンが結晶化したポリシリコン膜405がゲート絶縁膜403上に形成される。ポリシリコン膜405は、上記したポリシリコン膜101bに相当する。
【0099】
本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法は、以下のステップを有していてもよい。
(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップ。
(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップ。
(S1)プロセス条件を設定するステップは、以下のステップ(a)~(e)を備えている。
(a)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップ。
(b)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップ。
(c)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップ。
(d)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップ。
(e)前記基板を搬送したときの前記光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
これにより、安定してレーザアニールを行うことができるため、生産性を向上することができる。
【0100】
本実施の形態にかかる半導体装置の製造方法は、以下のステップを有していてもよい。
(S1)レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
(S2)基板上に非晶質の半導体膜を形成するステップ。
(S3)前記半導体膜を結晶化するよう、前記プロセス条件で前記半導体膜にレーザ光を照射して、レーザアニールを行うステップ。
(S1)プロセス条件を設定するステップは以下のステップを備えていても良い。
(sta)基板上に形成された半導体膜を結晶化するよう、前記半導体膜にレーザ光を照射するステップ。
(stb)前記レーザ光が照射された後の半導体膜にプローブ光を照射するステップ。
(stc)前記基板を透過した前記プローブ光の透過光又は前記基板で反射した前記プローブ光の反射光を光検出器で検出するステップ。
(std)前記レーザ光の光路中に配置されたビームサンプラによって前記レーザ光の一部を取り出すステップ。
(ste)前記ビームサンプラで取り出されたレーザ光をレーザ光検出器で検出するステップ。
(stf)前記基板に対する前記レーザ光及び前記プローブ光の照射位置を変えていくよう、前記基板を搬送するステップ。
(stg)前記基板を搬送したときの前記光検出器及び前記レーザ光検出器での検出結果に基づいて、レーザアニールのプロセス条件を設定するステップ。
【0101】
さらに、上記の説明では、本実施の形態にかかるレーザアニール装置が、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射してポリシリコン膜を形成するものとして説明したが、アモルファスシリコン膜にレーザ光を照射してマイクロクリスタルシリコン膜を形成するものであってもよい。さらには、アニールを行うレーザ光はエキシマレーザに限定されるものではなく、Nd:YAGレーザ等であってもよい。また、本実施の形態にかかる方法は、シリコン膜以外の半導体膜を結晶化するレーザアニール装置に適用することも可能である。すなわち、半導体膜にレーザ光を照射して、半導体膜を結晶化するレーザアニール装置であれば、本実施の形態にかかる方法は適用可能である。本実施の形態にかかるレーザアニール装置によれば、安定してレーザアニールプロセスを実行することができる。
【0102】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 ELA装置
11 レーザ光源
12 ミラー
13 プロジェクションレンズ
15 レンズ
16 レーザ光検出器
17a、17b ビームスプリッタ
18a、18b ミラー
20 照明光学系
21 プローブ光源
22 ミラー
24 集光レンズ
25 光検出器
26 処理装置
27 フィルタ
28 レンズ
30 検出光学系
40 光学系モジュール
60 成形光学系
100 基板
101 シリコン膜
101a アモルファスシリコン膜
101b ポリシリコン膜
300 有機ELディスプレイ
310 基板
311 TFT層
311a TFT
312 有機層
312a 有機EL発光素子
312b 隔壁
313 カラーフィルタ層
313a カラーフィルタ(CF)
314 封止基板
401 ガラス基板
402 ゲート電極
403 ゲート絶縁膜
404 アモルファスシリコン膜
405 ポリシリコン膜
PX 画素