(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025024695
(43)【公開日】2025-02-20
(54)【発明の名称】収集システム、および宇宙船用トイレ
(51)【国際特許分類】
B64G 1/60 20060101AFI20250213BHJP
A47K 11/04 20060101ALI20250213BHJP
【FI】
B64G1/60
A47K11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024129666
(22)【出願日】2024-08-06
(31)【優先権主張番号】18/366,473
(32)【優先日】2023-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ルーカー
(72)【発明者】
【氏名】ロウシェル ラダウィエック
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036HA02
2D036HA12
2D036HA27
2D036HA72
2D036HA73
(57)【要約】
【課題】 改良された収集システムを提供する。
【解決手段】 人間の排泄物収集システムは、貯水槽であって、貯水槽空洞と、床に対して配置されるように構成された下端と、下端よりも平面から遠くに変位している上端とを画定する貯水槽と、貯水槽空洞内に配置された貯蔵バッグシステムと、貯水槽の上端に配置されたシートであって、蓋を有するシートと、貯水槽の上端に隣接して貯水槽空洞内に延びる第1の吸引導管を有する吸引システムと、月経分泌物及び固体排泄物を除去するための第1のモードと尿を除去するための第2のモードとを含む動作モードの間で選択するユーザー関与可能な特徴部を有するユーザーインターフェースを有するコントローラーと、を有し、第1のモードでは、月経分泌物及び固体排泄物が貯蔵バッグ内に収集され、第2のモードでは、吸引システムが尿を吸引する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無重力状態用の人間の排泄物収集システムであって、
貯水槽空洞を画定する貯水槽であって、下平面を画定し、床に対して配置されるように構成された下端と、前記下端から間隔をあけて配置され、前記下端よりも前記平面から遠くに変位している上端とを有する前記貯水槽と、
前記貯水槽空洞内に配置された貯蔵バッグシステムと、
前記貯水槽の前記上端に配置されたシートであって、前記シートは前記シートに旋回可能に結合された蓋を含む、前記シートと、
前記貯水槽の前記上端に隣接して前記貯水槽空洞内に延びる第1の吸引導管を含む吸引システムと、
月経分泌物及び固体排泄物を除去するための第1のモードと、前記シートに座っている人から尿を除去するための第2のモードとを含む動作モードの間で選択するユーザー関与可能な特徴部を含むユーザーインターフェースを有するコントローラーと、を含み、
前記第1のモードでは、月経分泌物及び固体排泄物は前記貯蔵バッグ内に収集され、
前記第2のモードでは、前記吸引システムが作動して、尿を吸引するために前記第1の吸引導管に吸引力を加える、収集システム。
【請求項2】
前記シートは、前記第2のモード中に展開される柔軟なスカート付きボウルであって、前記第1の吸引導管に接続されて尿を前記第1の吸引導管に向かって付勢する前記柔軟なスカート付きボウルを含み、
前記柔軟なスカート付きボウルは、前記貯水槽上に部分的または完全に展開されるように構成され、液体排泄物が前記貯蔵バッグに流れるのを防止するために前記第1の吸引導管に接続される、請求項1に記載の収集システム。
【請求項3】
前記シートは、前記柔軟なスカート付きボウルとともに展開されるメッシュ漏斗をさらに含む、請求項2に記載の収集システム。
【請求項4】
前記貯水槽の前記上端に隣接して前記貯水槽内に空気流を供給する空気移動機であって、前記吸引システムは、前記蓋が開いているときに作動し、前記蓋が閉じると作動停止する、前記空気移動機をさらに含む、請求項3に記載の収集システム。
【請求項5】
前記シートに結合されたビデノズルを前記シートの下に含むビデシステムをさらに含み、
前記動作モードは、前記ビデシステムを作動させるための第3のモードを含み、
前記柔軟なスカート付きボウルは、前記ビデが作動しているときに、前記貯水槽上に展開されて前記貯水槽空洞への流体流れを遮断するように構成されている、請求項4に記載の収集システム。
【請求項6】
前記シートは、前記空気移動機から前記空気流を受け取る乾燥器であって、前記ビデが作動停止した後、第3のモード中に作動して前記空気流を前記シートに向かって送る前記乾燥器を含む、請求項5に記載の収集システム。
【請求項7】
前記乾燥器は前記空気流を加熱するように構成される、請求項6に記載の収集システム。
【請求項8】
前記貯水槽、蓋、またはシート内のUV光源をさらに含み、
前記動作モードは、前記メッシュ漏斗を消毒するための第4のモードを含み、
前記第4のモードでは、メッシュ漏斗を備えた前記柔軟なスカート付きボウルが展開され、前記UV光源が所定の時間作動される、請求項6に記載の収集システム
【請求項9】
前記第4のモードでは、前記UV光源を作動させる前に、前記ビデシステムが作動して、前記メッシュ漏斗を備えた前記柔軟なスカート付きボウルを洗浄する、請求項8に記載の収集システム。
【請求項10】
前記貯水槽及び前記シートとは別個の漏斗カップをさらに含み、
前記吸引システムは、前記漏斗カップに接続された第2の吸引導管を含み、
前記動作モードは、前記漏斗カップを利用する人から尿を除去するための第5のモードを含み、
前記第5のモードでは、前記吸引システムが作動して前記第2の吸引導管に吸引力を加える、請求項9に記載の収集システム。
【請求項11】
前記ビデノズルに流体的に結合されたポンプと、
前記ポンプに流体的に結合された液体供給タンクであって、前記液体供給タンクから前記ビデノズルを通してビデ流体をポンピングするための前記液体供給タンクと、をさらに含む、請求項10に記載の収集システム。
【請求項12】
前記シートは、前記ビデノズル及び前記メッシュ漏斗とともに前記貯水槽から取り外し可能であり、
前記シートは、前記貯水槽の前記上部の周囲に配置されるように構成された柔軟なスカート付きボウルを含む、請求項11に記載の収集システム。
【請求項13】
前記柔軟なスカート付きボウルは、弾性、膨張可能、及び折り畳み可能のうちの1つ以上である、請求項12に記載の収集システム。
【請求項14】
液体排泄物貯蔵タンクをさらに含み、
前記吸引システムは、尿を含む液体排泄物を前記液体排泄物貯蔵タンクに付勢する、請求項12に記載の収集システム。
【請求項15】
再生システムをさらに含み、
前記吸引システムは液体排泄物を前記再生システムに送る、請求項14に記載の収集システム。
【請求項16】
前記エアジェットシステムは、前記乾燥器内に空気を送るファンを含む、請求項15に記載の収集システム。
【請求項17】
前記ユーザー関与可能な特徴部は、仮想ボタンまたは触覚ボタンまたは音声制御を含む、請求項16に記載の収集システム。
【請求項18】
前記ユーザー関与可能な特徴部は、前記動作モードを区別するために色分けされている、請求項17に記載の収集システム。
【請求項19】
前記動作モードの1つ以上において、前記システムは、ユーザー選択可能な時間または所定の時間、前記ビデ及び前記乾燥器のうちの1つ以上を作動させるように構成される、請求項18に記載の収集システム。
【請求項20】
宇宙船用トイレであって、
請求項1に記載の収集システムを含み、
前記吸引システムは、前記蓋が開くと前記貯水槽の前記上端から前記貯水槽の前記下端まで前記貯水槽を通して空気流を送るファンを含む、宇宙船用トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、液体排泄物、固体排泄物、及び月経分泌物を収集するためのユーザー選択可能なモードを含む、無重力状態用の人間の排泄物収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙船内の排泄物管理システムは、女性にとって使い心地が悪い場合があり、月経分泌物の廃棄などの一般的な問題に対処するために追加のトレーニングが必要となる場合がある。商業宇宙船業界では、その女性の乗客及び観光客のために、比較的使い易くて快適な排泄物管理システムが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、上記の不利な点が低減されるように、冒頭で述べた種類の収集システムを改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示しているのは、無重力状態用の人間の排泄物収集システムであって、収集システムは、貯水槽空洞を画定する貯水槽であって、下平面を画定し、床に対して配置されるように構成された下端と、下端から間隔をあけて配置され、下端よりも平面から遠くに変位している上端とを有する貯水槽と、貯水槽空洞内に配置された貯蔵バッグシステムと、貯水槽の上端に配置されたシートであって、シートはシートに旋回可能に結合された蓋を含む、シートと、貯水槽の上端に隣接して貯水槽空洞内に延びる第1の吸引導管を含む吸引システムと、月経分泌物及び固体排泄物を除去するための第1のモードと、シートに座っている人から尿を除去するための第2のモードとを含む動作モードの間で選択するユーザー関与可能な特徴部を含むユーザーインターフェースを有するコントローラーと、を含み、第1のモードでは、月経分泌物及び固体排泄物は貯蔵バッグ内に収集され、第2のモードでは、吸引システムが作動して、尿を吸引するために第1の吸引導管に吸引力を加える。
【0005】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、シートは、第2のモード中に展開されるメッシュ漏斗を備えた柔軟なスカート付きボウルであって、第1の吸引導管に接続されて尿を第1の吸引導管に向けて付勢する柔軟なスカート付きボウルを含み、柔軟なスカート付きボウルは、貯水槽上に部分的または完全に展開されるように構成され、液体排泄物が貯蔵バッグに流れるのを防止するために第1の吸引導管に接続される。
【0006】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、シートは、柔軟なスカート付きボウルとともに展開されるメッシュ漏斗をさらに含む。
【0007】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは、貯水槽の上端に隣接して貯水槽内に空気流を供給する空気移動機を含み、吸引システムは、蓋が開いているときに作動し、蓋が閉じると作動停止する。
【0008】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは、シートに結合されたビデノズルをシートの下に含むビデシステムを含み、動作モードは、ビデシステムを作動させるための第3のモードを含み、柔軟なスカート付きボウルは、ビデが作動しているときに、貯水槽上に展開されて貯水槽空洞への流体流れを遮断するように構成されている。
【0009】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、シートは、空気移動機から空気流を受け取る乾燥器であって、ビデが作動停止した後、第3のモード中に作動して空気流をシートに向かって送る乾燥器を含む。
【0010】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、乾燥器は空気流を加熱するように構成される。
【0011】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは、貯水槽、蓋、またはシート内のUV光源を含み、動作モードは、メッシュ漏斗を消毒するための第4のモードを含み、第4のモードでは、メッシュ漏斗を備えた柔軟なスカート付きボウルが展開され、UV光源が所定の時間作動される。
【0012】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、第4のモードでは、UV光源を作動させる前に、ビデシステムが作動して、メッシュ漏斗を備えた柔軟なスカート付きボウルを洗浄する。
【0013】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは、貯水槽及びシートとは別個の漏斗カップを含み、吸引システムは、漏斗カップに接続された第2の吸引導管を含み、動作モードは、漏斗カップを利用する人から尿を除去するための第5のモードを含み、第5のモードでは、吸引システムが作動して第2の吸引導管に吸引力を加える。
【0014】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは、ビデノズルに流体的に結合されたポンプと、ポンプに流体的に結合された液体供給タンクであって、液体供給タンクからビデノズルを通してビデ流体をポンピングするための液体供給タンクと、を含む。
【0015】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムが含むシートは、ビデノズル及びメッシュ漏斗とともに貯水槽から取り外し可能であり、シートは、貯水槽の上部の周囲に配置されるように構成された柔軟なスカート付きボウルを含む。
【0016】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムが含む柔軟なスカート付きボウルは、弾性、膨張可能、及び折り畳み可能のうちの1つ以上である。
【0017】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは液体排泄物貯蔵タンクを含み、吸引システムは、尿を含む液体排泄物を液体排泄物貯蔵タンクに付勢する。
【0018】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、システムは再生システムを含み、吸引システムは液体排泄物を再生システムに送る。
【0019】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、エアジェットシステムは、乾燥器内に空気を送るファンを含む。
【0020】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、ユーザー関与可能な特徴部は、仮想ボタンまたは触覚ボタンまたは音声制御を含む。
【0021】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、ユーザー関与可能な特徴部は、動作モードを区別するために色分けされている。
【0022】
システムの1つ以上の態様に加えて、または代替として、動作モードの1つ以上において、システムは、ユーザー選択可能な時間または所定の時間、ビデ及び乾燥器のうちの1つ以上を作動させるように構成されている。
【0023】
さらなる開示は、宇宙船用のトイレであって、前述で開示した特徴部の1つ以上を有する収集システムを含み、吸引システムは、蓋が開くと貯水槽の上端から貯水槽の下端まで貯水槽を通して空気流を送るファンを含む、トイレである。
【0024】
本開示は、一例として例示しており、添付図に限定されない。添付図では、同様の参照数字は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態による、液体排泄物、固体排泄物、及び月経分泌物を収集するためのユーザー選択可能なモードを含む、無重力状態用の人間の排泄物収集システムの態様を示す図である。
【
図2A】柔軟なスカート付きボウルが第1の状態(完全に引っ込められた状態)にあるシートを示す図であり、ボウルが便座のシート開口部と重なっていない図である。
【
図2B】柔軟なスカート付きボウルが第2の状態(部分的に引っ込められた状態)にあるシートを示す図であり、ブローがシート開口部の前方部分の下に延びて前方キャッチを形成する図である。
【
図2C】柔軟なスカート付きボウルが第3の状態(完全に展開された状態)にあるシートを示す図であり、実質的にシート開口部全体の下にボウルが延びて中央キャッチを形成する図である。
【
図3】収集システム用のシートを示す図であり、シートは、ベースとベースの下に展開された任意選択のメッシュ漏斗とを有する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、開示した実施形態の態様を、図を参照して扱う。いずれか1つの図における態様は、特に断りのない限り、任意の他の図にも等しく適用される。図に例示した態様は、本開示をサポートすることを目的としており、開示した実施形態の範囲を限定することは決して意図されていない。図中の番号付けの順序はどれも、参照のみを目的としている。
【0027】
図1を参照して、開示しているのは、キャビン110と、キャビン110とは別個のトイレ120とを含む宇宙船100である。無重力状態用の人間の排泄物収集システム(または収集システム)130を開示している。
【0028】
収集システム130は、貯水槽140であって、貯水槽空洞150と、下平面145を画定し、床(または地面)に対して配置されるように構成された下端145と、下端145から間隔をあけて配置され、下端145よりも平面145から遠くに変位している上端160と、を画定する貯水槽140を含む(上端160から下端145まで延びる軸149は、システム130に対する上下方向を規定する)。貯水槽140は、細長い円筒状のキャニスタであってもよい。排泄物貯蔵バッグ165が、貯水槽空洞150内に配置される。シート170が貯水槽140の上端160に配置される。シート170は、ベース180と、シート170(より具体的には、ベース180)に旋回可能に結合された蓋190とを含む。
【0029】
収集システム130は、エアジェットシステム200を含む。エアジェットシステム200は、貯水槽140の上端160に隣接して貯水槽140内に延びる乾燥器350を含む。
【0030】
エアジェットシステム200は、シート170の下の貯水槽空洞150内に空気流221を送る空気移動機220(ファン226であってもよい)を含む。より具体的には、ファン226は、蓋190が開く(たとえば、開いた状態で、シートベース180から離れて旋回する)と、キャビン110から空気を送る。ファン226は、蓋190が開くと自動的に作動してもよく、蓋190が閉じる(たとえば、閉じた状態で、シートベース180に対して旋回する)と作動解除してもよい。エアジェットシステム200は、後述するファン226及び/またはビデシステム300の動作中に使用してもよい乾燥器350を含む。
【0031】
収集システム130は、吸引システム230を含む。吸引システム230は、貯水槽140の上端に隣接して貯水槽空洞内に延びる第1の吸引導管235を含む。吸引システム230は、シート170上に座る前に蓋190を開くことによって作動される。
【0032】
収集システム130は、コントローラー240を含む。コントローラー240は、動作モードの間で選択するユーザー関与可能な特徴部250を含むユーザーインターフェース245を有する。ユーザー関与可能な特徴部250は、仮想ボタンまたは触覚ボタンを含む。ユーザー関与可能な特徴部250は、本明細書で開示した動作モードに対してまたはこのようなモードの組み合わせにおいて色分けしてもよい。ユーザーインターフェース245はまた、音声制御によって作動してもよい。
【0033】
動作モードは、月経分泌物及び固体排泄物を除去するための第1のモードと、シート170に座っている人から尿を除去するための第2のモードとを含む。第1のモードでは、吸引システム230が作動して、月経分泌物及び任意の固体排泄物を排泄物貯蔵バッグ165内に付勢する。柔軟なスカート付きボウル400は部分的に展開されており(
図2b)、しかしユーザーが望む場合は自動または手動で完全に収容することができる(
図2a)。収容された状態とは、貯水槽150全体(及び少なくともシートベース180の開口部180a全体)に障害物がないことを意味する。第2のモードでは、ボウル400が部分的に展開された状態で、吸引システム230が作動して、第1の吸引導管235に吸引力を加え、柔軟なスカート付きボウル400が貯水槽空洞150上に完全に展開された状態で、尿を人の体から遠ざけて貯蔵タンク330または再生システム340内に付勢する。
【0034】
柔軟なスカート付きボウルは、内部メッシュ漏斗280(
図3)を含み、たとえば、ユーザーインターフェース245上のボタンなどのユーザー関与可能な特徴部によって、たとえばモーター295を介して、または自動的に、デフォルト位置に選択的に展開される。このメッシュ漏斗280を使用して尿を捕らえ、ユーザーの下側での跳ね返りを最小限にする。柔軟なスカート付きボウル400は、第1の吸引導管235に接続され、尿を第1の吸引導管235内に引き込む。メッシュ漏斗280は、複数のセクションまたは象限290A~290D内に設けてもよい。象限290A~290Dは、使用中に重なり合って、まとまりのあるメッシュを形成してもよい。
【0035】
シート170は、ビデノズル310及びメッシュ漏斗280とともに、貯水槽140から任意選択で取り外し可能である。シート170(より具体的には、シート170のベース180)は、貯水槽140上に完全または部分的に配置され、シート開口部180aの下に配置された柔軟なスカート付きボウル400を含む(
図2a~2c)。柔軟なスカート付きボウル400は、弾性、膨張可能、及び折り畳み可能な材料(エラストマーなど)で形成してもよい。
図2bに示すように、柔軟なスカート付きボウル400は、貯水槽140に沿って軸方向に延びる軸方向部分400aを、シートベース180の下側と平行に、かつそれに沿って有していてもよい。柔軟なスカート付きボウル400は、ベース180に沿って半径方向内側に延びる半径方向部分400Rを、シートベース180から離れる方向に有していてもよく、また柔軟なスカート付きボウル400は、以下に示すように、空洞150へのアクセスを防止するための中央キャッチ400を形成してもよい。
【0036】
より具体的には、第2のモードでは、柔軟なスカート付きボウル400の半径方向部分400Rは、貯水槽140の側面(たとえば、側壁140a)からひらけて、尿を収集する中央キャッチ400Cを形成する。こうして、尿はバッグ165内に入らない。柔軟なスカート付きボウル400は、貯水槽140内に側壁140aに対して収容する(たとえば、巻き上げる、または圧縮する)ことができ、バッグ165の上及びシート開口部180aの下で、所定の位置に作動させる(たとえば、巻きを解くまたは展開する)ことができる。柔軟なスカート付きボウル400は、尿が送られる吸引導管235に流体的に結合されたドレイン294を有する。柔軟なスカート付きボウル400は、水平軸に沿って(すなわち、シートベース180の下でシートベース180に沿って)展開して、バッグシステム全体(たとえば、シート開口部180aの下側全体)を覆うこともできるし、またはユーザーが望む場合は、第1のモード及び第2のモード中にバッグシステムの前面296(シート旋回軸297から最も遠い)にのみ配置することもできる。これにより、ユーザーに排便及び排尿の両方を同時に行う機会が与えられる。別の実施形態では、柔軟なスカート付きボウル400は、垂直軸V1に沿って(シート180の下側に向かって、貯水槽140の長軸に沿って)移動することができ、ユーザーはその下側に、ボウル400aの上部の柔軟な縁400bを排尿前に密閉することができる。同様に、これは、インターフェース245上の手もしくはコントローラーまたは別の手動コントローラー(たとえば、貯水槽140または他の場所に取り付けられたトグルレバー)を介して、自動または手動で移動することができる。いくつかの実施形態では、位置は、種々のユーザー選好(たとえば、メモリシート)に基づいてプログラムすることができる。
【0037】
動作モードは、ビデシステム300を作動させるための第3のモード(またはビデモード)を含む。ビデシステム300は、シート170に結合された1つ以上のビデノズル(複数可)310を、シート170の下(より具体的には、ベース180の下)に含む。ビデポンプ315が、ビデノズル310に流体的に結合されている。液体供給タンク320が、液体供給タンク320からビデノズル310を通してビデ流体をポンピングするために、ポンプ315に流体的に結合されている。ビデの水流は、水がたまらないように吸引しながらパルス状で噴射される。吸引システム230は、液体排泄物(たとえば、尿及び使用済みのビデ液体)を液体排泄物貯蔵タンク330に付勢してもよい。代替的に、吸引システム230は、液体排泄物を再生システム340内に付勢してもよい。ビデモードでは、柔軟なスカート付きボウル400がひらけて(
図2c)、貯水槽空洞150上で完全に展開された状態になり、ビデからの洗浄水を収集する。こうして、汚染された洗浄水はバッグ165に流入しない。このモードでは、柔軟なスカート付きボウル400は、貯水槽空洞150及びシート開口部180aを完全に覆う。柔軟なスカート付きボウル400は、吸引導管235に接続されている。吸引導管235は、貯水槽空洞165を覆わないように、柔軟なスカート付きボウル400の前面に取り付けられている。
【0038】
シート170は、図示したように、乾燥器350を含む。乾燥器350は、ビデシステム300が液体供給タンク320から液体を分配することを完了した後に作動する。乾燥器350は、加熱乾燥動作用に任意選択の内部加熱要素(コイルなど)を有する。一実施形態では、洗浄及び乾燥機能は、時間ベースのメカニズムを使用することにより、コントローラーインターフェース245上の仮想ボタンまたは触覚ボタンを介したユーザー操作であってもよい。
【0039】
収集システム130は、貯水槽140、蓋190、またはシート170内にUV光源370を含む。動作モードは、メッシュ漏斗280を消毒するための第4のモードを含む。第4のモードでは、柔軟なスカート付きボウル400及びメッシュ漏斗280は完全に展開され(
図2c)、UV光源370は所定の時間作動される。第4のモードでは、UV光源370を作動させる前に、ビデシステム300を作動させてメッシュ漏斗280を洗浄してもよい。UV光源370を蓋の下に配置して、シート170を消毒することもできる。
【0040】
収集システム130は、貯水槽140及びシート170とは別個の漏斗カップ380を含む。吸引システム230は、漏斗カップ380に接続された第2の吸引導管390を含む。動作モードは、漏斗カップ380を利用する人から尿を除去するための第5のモードを含む。第5のモードでは、吸引システム230が、たとえば、漏斗カップ380が収容される漏斗ドック385に関連付けられたスイッチによって作動されて、第2の吸引導管390に吸引力を加える。スイッチ384は、漏斗カップ380が漏斗ドック385から取り外されたことを感知し得るトグルスイッチ、圧力スイッチ、または感光性スイッチなどであってもよい。
【0041】
本明細書の実施形態によって、選択可能な動作モードを提供することにより、女性及び男性に対する異なる身体機能に対応する排泄物収集システム130が提供される。モードは、たとえば、ユーザー関与可能な特徴部250を介して選択される。ユーザー関与可能な特徴部250は、押されるかまたは音声制御によって作動されて、どのタイプの排泄物を除去するかを表示する。このシステムの1つのモードは、月経分泌物及び固体排泄物を除去することに向けられている。このモードでは、月経分泌物及び固体排泄物は、貯水槽またはキャニスタ内の排泄物貯蔵バッグ165内に送られる。またこのモードによって、蓋190から最も遠い接続点を持つ、部分的に展開された柔軟なスカート付きボウル400を介して、ユーザーが排便及び排尿を同時に行うことができる。第2のモードは、シート170に座っている人から尿を除去することである。これは、女性及びある割合の男性にはよくみられることである。このモードでは、尿は、第1の吸引導管235またはホースを介して吸引される。メッシュ漏斗280を、シート170の下で、柔軟なスカート付きボウル400内に展開してもよく、これにより、尿を第1の吸引導管235内に送り、糞便/月経分泌物バッグを保護する。第3のモードでは、ビデシステム300を利用して、消耗品ワイプを使用せずに人を洗浄できるようにし、またビデシステム300を利用して、メッシュ漏斗280を洗浄してもよい。メッシュ漏斗280は、様々な人が再使用してもよく、収集システム130の第4のモード(衛生モード)によって衛生的にしてもよい。このモードでは、柔軟なスカート付きボウル400が貯水槽空洞150を完全に覆うため、液体を送ることができる唯一の場所は吸引導管235内になる。最後に、第5のモードでは、漏斗カップ380を、立っている人から尿を捕らえるために利用してもよい。
【0042】
実施形態によって、月経分泌物用の消耗品フィルター及び消耗品ワイプの必要性がなくなる。また実施形態によって、人が座って排尿できるようになることで、女性の快適さも高まる。また実施形態によって、人が2つの身体機能(排尿及び排便)を一度に実行できるようになることで、ユーザーの快適さも高まる。また実施形態によって、比較的に簡単に作動するユーザーインターフェース245も提供される。
【0043】
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定することは意図されていない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに別の意味が示される場合を除き、複数形も含むことが意図されている。用語「含む(comprises)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、要素、ステップ、動作、要素、及び/または成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、要素、ステップ、動作、要素、成分、及び/またはそれらのグループの存在もしくは追加を除外しないことが、さらに理解されよう。
【0044】
当業者であれば分かるように、様々な実施形態例が本明細書において図示され記載されており、それぞれが特定の実施形態において特定の特徴を有しているが、本開示はそれに限定されない。むしろ、本開示は、これまで説明していないが本開示の範囲と対応する任意の数の変形、変更、置換、組み合わせ、部分組み合わせ、または等価配置を組み込むように修正することができる。さらに、本開示の種々の実施形態について説明してきたが、本開示の態様は、説明した実施形態の一部のみを含んでいてもよいことを理解されたい。したがって、本開示は、前述の説明によって限定されるとみなされるべきではなく、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。