(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025025294
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】情報送信プログラム及び情報受信プログラム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/06 20060101AFI20250214BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20250214BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20250214BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20250214BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20250214BHJP
H04M 1/724 20210101ALI20250214BHJP
【FI】
G06K19/06 112
G09G5/00 530T
G09G5/37 320
G06K19/06 037
G06K7/10 464
G06K7/14 017
H04M1/724
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023129942
(22)【出願日】2023-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】523303998
【氏名又は名称】株式会社Pyx23
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 明央
(72)【発明者】
【氏名】辻元 洋典
【テーマコード(参考)】
5C182
5K127
【Fターム(参考)】
5C182AB02
5C182AB08
5C182AB37
5C182BA68
5C182BC16
5C182CB44
5C182CC21
5C182DA68
5K127BA03
5K127CB02
5K127CB24
5K127DA13
5K127GD07
(57)【要約】
【課題】オフライン下において、安全かつ簡単に任意の情報量の伝達が可能になる情報送信プログラム及び情報受信プログラムを提供する。
【解決手段】送信側端末1において伝達対象情報の電子データを複数のQRコードに置き換え、それらのQRコードを画面11のリフレッシュレートに基づいて設定した表示間隔で連続して表示させる。一方、受信側端末2では、連続して画面表示されるQRコードをカメラ21を利用して読み取り、それらQRコードに埋め込まれた分割データをつなぎ合わせることで、1つの電子データに復元する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ端末の画面表示を読み取らせることで情報伝達を行わせるための情報送信プログラムであって、
伝達対象情報の電子データに基づくデータを所定の単位で分割して、それぞれの分割データに分割総数及びシーケンス番号を付与してQRコード(登録商標)に変換する手順と、
前記コンピュータ端末の画面のリフレッシュレートに基づいて設定した表示間隔で、前記分割データの前記QRコードを連続して前記画面に表示させる手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする情報送信プログラム。
【請求項2】
前記分割データの生成前に、設定された暗号鍵に基づいて暗号化する手順を備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報送信プログラム。
【請求項3】
前記QRコードを連続して前記画面に表示させる際に、前記コンピュータ端末の近距離無線通信を利用した読み取り確認を行う手順を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報送信プログラム。
【請求項4】
コンピュータ端末の画面表示を読み取らせることで情報伝達を行わせるための情報受信プログラムであって、
前記画面表示として複数のQRコード(登録商標)が連続して表示されているときに、別のコンピュータ端末のカメラによって前記QRコードを取得させる手順と、
取得した前記QRコードから分割データ並びに付与された分割総数及びシーケンス番号を読み取る手順と、
前記分割総数に基づいてすべての前記シーケンス番号の前記分割データが読み取られたか否かを判別する手順と、
前記分割総数の数の前記分割データを前記シーケンス番号の順番につなぎ合わせる手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする情報受信プログラム。
【請求項5】
設定された暗号鍵に基づいて、つなぎ合わせた前記分割データを復号する手順を備えたことを特徴とする請求項4に記載の情報受信プログラム。
【請求項6】
前記QRコードの読み取りがされた前記シーケンス番号を、前記カメラを有するコンピュータ端末の近距離無線通信によって送信させる手順を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の情報受信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ端末の画面表示を読み取らせることで情報伝達を行わせるための情報送信プログラム及び情報受信プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどのコンピュータ端末を利用した情報伝達方法として、書籍などの紙面に印刷されたQRコード(登録商標)をスマートフォンのカメラで読み取らせ、インターネットを介して専用ウェブサイトに接続させることで、多量の文字情報や動画等が入手できるようにすることが行われている(特許文献1など参照)。
【0003】
一方、特許文献2に開示されているように、施設申請情報などの伝達対象情報をQRコードに変換し、生成された1つのQRコードを施設端末で読み取らせることで、インターネットを介することなく、直接、情報伝達を行わせることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-53702号公報
【特許文献2】特開2020-107032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているように、インターネットを利用した情報伝達は、ネットワークに接続可能な環境下でしか実行できないうえに、様々な場面において情報漏洩などのリスクを伴う。
【0006】
一方、特許文献2に開示されているような1つのQRコードを使った情報伝達では、1つのQRコードに埋め込める情報量に制限があるため、伝達できる情報量に限りがある。オフライン下でのコンピュータ端末への情報入力方法としては、この他にも、USBメモリ(USBフラッシュドライブ)やSDカード(SDメモリーカード)などの記憶媒体を介する方法も広く知られているが、記憶媒体を準備する必要があるうえに、記憶媒体を介したコンピュータウィルス感染のリスクを伴う。
【0007】
そこで本発明は、オフライン下において、安全かつ簡単に任意の情報量の伝達が可能になる情報送信プログラム及び情報受信プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の情報送信プログラムは、コンピュータ端末の画面表示を読み取らせることで情報伝達を行わせるための情報送信プログラムであって、伝達対象情報の電子データに基づくデータを所定の単位で分割して、それぞれの分割データに分割総数及びシーケンス番号を付与してQRコード(登録商標)に変換する手順と、前記コンピュータ端末の画面のリフレッシュレートに基づいて設定した表示間隔で、前記分割データの前記QRコードを連続して前記画面に表示させる手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記分割データの生成前に、設定された暗号鍵に基づいて暗号化する手順を備えた構成とすることができる。また、前記QRコードを連続して前記画面に表示させる際に、前記コンピュータ端末の近距離無線通信を利用した読み取り確認を行う手順を備えた構成とすることができる。
【0010】
一方、情報受信プログラムの発明は、コンピュータ端末の画面表示を読み取らせることで情報伝達を行わせるための情報受信プログラムであって、前記画面表示として複数のQRコード(登録商標)が連続して表示されているときに、別のコンピュータ端末のカメラによって前記QRコードを取得させる手順と、取得した前記QRコードから分割データ並びに付与された分割総数及びシーケンス番号を読み取る手順と、前記分割総数に基づいてすべての前記シーケンス番号の前記分割データが読み取られたか否かを判別する手順と、前記分割総数の数の前記分割データを前記シーケンス番号の順番につなぎ合わせる手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
ここで、設定された暗号鍵に基づいて、つなぎ合わせた前記分割データを復号する手順を備えた構成とすることができる。また、前記QRコードの読み取りがされた前記シーケンス番号を、前記カメラを有するコンピュータ端末の近距離無線通信によって送信させる手順を備えた構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
このように構成された本発明の情報送信プログラム及び情報受信プログラムは、送信側において伝達対象情報の電子データに基づくデータを複数のQRコードに置き換え、それらQRコードを連続して画面に表示させる。このQRコードを連続して画面に表示させる際には、コンピュータ端末の画面のリフレッシュレートに基づいてQRコードの表示間隔を設定する。
【0013】
一方、受信側では、連続して画面表示されるQRコードをカメラを利用して読み取り、それらQRコードに埋め込まれた分割データをつなぎ合わせることで、1つの電子データに復元する。
【0014】
このため、インターネットに接続する必要がないオフライン下において、安全かつ簡単に、コンピュータ端末間で情報伝達を効率的に行わせることができる。また、伝達対象情報の情報量に応じて生成するQRコードの数を調整できるので、制限を受けることなく任意の情報量の伝達を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムの実行時の概要を示した説明図である。
【
図2】QRコードの連続表示の概要を示した説明図である。
【
図3】本実施の形態の情報送信プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図4】本実施の形態の情報受信プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図5】複数のQRコードの読み取り完了を判別させる処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムの実行時の概要を示した説明図である。また、
図2は、QRコードの連続表示の概要を示した説明図である。
【0017】
本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムは、インターネットに接続する必要がないオフライン下において、2台のコンピュータ端末間で情報伝達を行う際に実行される。
【0018】
コンピュータ端末としては、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ(PC)などが利用できる。データの送受信を行う際に使用される2台のコンピュータ端末の組み合わせは、同じ種類であっても、異なる種類の組み合わせであってもよい。
【0019】
また、スマートフォンのように、画面となるディスプレイとカメラの両方が一体に搭載されているコンピュータ端末であってもよいし、デスクトップPCに、ディスプレイやカメラを接続させるといった構成であってもよい。
【0020】
以下では、
図1に示すように、情報の送信側のコンピュータ端末をスマートフォンである送信側端末1とし、情報の受信側のコンピュータ端末をスマートフォンである受信側端末2とした場合について主に説明する。
【0021】
送信側端末1は、QRコードを連続表示させる画面11を備えている。また、受信側端末2は、送信側端末1の画面表示を撮影することができるカメラ21を備えている。また、送信側端末1及び受信側端末2は、近距離無線通信手段として、Bluetooth(登録商標)を備えている。Bluetoothは、10m程度の短距離の通信規格である。
【0022】
コンピュータ端末(送信側端末1、受信側端末2)は、演算処理部となるハードウェアとして、SoC(System on a Chip)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを備えている。また、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えている。
【0023】
さらに、コンピュータ端末(送信側端末1、受信側端末2)は、記憶部として、フラッシュメモリ、SDメモリーカード、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクなどを備えている。
【0024】
本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムは、コンピュータ端末(送信側端末1、受信側端末2)にインストールされるアプリケーションである。このアプリケーションは、情報送信プログラム及び情報受信プログラムの両方が組み込まれたパッケージであってもよいし、情報送信プログラムと情報受信プログラムのそれぞれが別のアプリケーションであってもよい。
【0025】
本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムの情報伝達に利用するQRコード(登録商標)は、公知のマトリックス型2次元コードである。QRコードには、通常の大きさのQRコードの他に、マイクロQRコード、iQRコードなどがあるが、本実施の形態では、これらをまとめてQRコードと呼ぶこととする。
【0026】
通常の大きさのQRコードの1つあたりの容量は、数字のみであれば最大7,089文字、英数(US-ASCII)であれば最大4,296文字、バイナリデータ(8ビット)であれば最大2,953バイト、漢字・かな(Shift JIS)であれば最大1,817文字である。
【0027】
本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムの伝達対象情報となる電子データは、どのような形式であってもよい。例えば、漢字・かなや英数字などからなるテキストデータであってもよい。また、数字等の項目をカンマ(,)で区切ったCSV(comma separated values)ファイルであってもよい。さらに、他のアプリケーションに取り込まれるようなプログラムコードなどの情報であってもよい。
【0028】
上述したように、1つのQRコードに埋め込める情報量には上限があるため、伝達対象情報となる電子データの情報量がその上限を上回る場合は、複数のQRコードに分割して情報伝達を行うことになる。
【0029】
図2には、伝達対象情報となる電子データを、3つのQRコードに分割した状況を例示している。このように分割されたQRコードを送信側端末1の画面11に連続表示させ、受信側端末2のカメラ21を利用して読み取らせ、分割されたQRコードに埋め込まれた分割データを1つにまとめて復元させることで、オフライン下での情報伝達が可能になる。
【0030】
ここで、コンピュータ端末(送信側端末1)のディスプレイ(画面11)には、リフレッシュレートが設定されている。リフレッシュレートとは、ディスプレイが1秒間に何回、新しい画像を描画するかを指す。このリフレッシュレートは、ヘルツ(Hz)で表され、例えばディスプレイのリフレッシュレートが30Hzの場合、画像は1秒間に30回更新されることになる。
【0031】
そこで、複数のQRコードを送信側端末1の画面11に連続表示させる際には、画面11のリフレッシュレートに近い間隔(フレームレート)でQRコードを切り替えて表示させる。
図2には、1/30(約0.03)秒間隔で、3つのQRコードを次々と切り替えて、繰り返し連続表示させる場合を例示している。すなわち、フレームレート30fps(1/30秒間隔)でQRコードを切り替えている。
【0032】
一方、受信側端末2のカメラ21は、例えば1920×1080以上の解像度で60fps(1/60秒)以上のフレームレートで動画撮影が可能な性能を有するカメラ機器とする。本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムを実行して情報伝達を行うに際しては、送信側端末1の画面11のリフレッシュレートと、QRコードを切り替えるフレームレートとを合わせることが、効率的にQRコードを読み取らせるためのポイントになる。
【0033】
例えば、ディスプレイのリフレッシュレートが1/60秒であるときに、フレームレート15fps(1/15秒)でQRコードを切り替えるように設定してしまうと、ディスプレイの再表示のタイミングにQRコードの切り替えのタイミングが合ってしまう回数が増え、まっ黒な画面表示を撮影することになって新たなQRコードが読み取れない機会が増え、その分読み取りに時間がかかることになる。
【0034】
これに対して本実施の形態の情報送信プログラムでは、送信側端末1の画面11のリフレッシュレートにQRコードの切り替えのフレームレートを合わせるとともに、受信側端末2のカメラ21を画面11のリフレッシュレート以上のフレームレートで動画撮影が可能なカメラ性能のものとすることで、効率的にQRコードを次々と読み取らせていくことができるようにする。
【0035】
以下、本実施の形態の情報送信プログラムの処理の流れについて、
図3に示したフローチャートを参照しながら説明する。
送信側端末1には、少なくとも情報送信プログラム(アプリケーション)がインストールされていて、以下で説明する手順がコンピュータによって実行されることになる。
【0036】
まずステップS1では、送信側端末1において、情報送信プログラムである送信アプリを起動させる。この送信側端末1の記憶部には、伝達対象情報となる電子データが予め記憶されている。
【0037】
そこでステップS2では、伝達対象情報となる電子データの読み込みを行う。ここで、伝達対象情報となる電子データは、インターネットなどのネットワークを介して外部から取り込むこともできる。また、USBメモリなどの記憶媒体から取り込むこともできる。この段階では、あらゆる公知の手段によって、伝達対象情報となる電子データの読み込みを行うことができる。
【0038】
ステップS2で読み込まれた電子データは、本実施の形態では、ステップS3でバイナリデータに変換される。この変換後のバイナリデータは、変換前の電子データに基づくデータである。なお、読み込んだ電子データのままでこの後の処理を進めることもでき、その場合は電子データそのものが、「伝達対象情報の電子データに基づくデータ」になる。
【0039】
また、この後の処理として、バイナリデータをそのまま分割してQRコードに変換する(ステップS5,S6参照)こともできるが、本実施の形態では、データ圧縮と暗号化を行う場合について説明する。
【0040】
例えば、機密性の高い情報を伝達する場合は、意図しない相手が保有するコンピュータ端末に情報伝達がされることを防ぐ必要がある。そこで、ステップS4では、圧縮されてデータサイズが縮小されたバイナリデータを、予め決められた暗号鍵(暗号キー)に基づいて暗号化する。この暗号鍵は、送信側と受信側との間で決められ、暗号鍵を取得できない者が操作するコンピュータ端末には、情報伝達がされないようにすることができる。
【0041】
例えば暗号化には、AES-256(Advanced Encryption Standard 256-bit)が利用できる。AES-256とは、256ビット長の暗号鍵を用いてデータ等を暗号化するための方式であり、データの送信者と受信者との双方で同じ鍵を用いる共通鍵暗号である。
【0042】
続くステップS5では、圧縮して暗号化されたバイナリデータを所定の単位で分割する。例えば、1,152バイトずつに分割して、分割されたそれぞれの分割データには、分割総数とシーケンス番号とを付与する(ステップS6)。
【0043】
上述したように1つのQRコードの容量は、バイナリデータであれば最大2,953バイトであるため、1,152バイト毎に分割するのであれば、容量に余裕がある。そこで、分割総数と、分割データのシーケンス番号という情報を追加する。
【0044】
そして、分割データ、分割総数及びシーケンス番号を、1つのQRコードに変換する。このQRコードへの変換は、すべての分割データに対して行われる。要するにステップS6では、分割総数と同じ数のQRコードが生成される。
【0045】
ステップS7以降の処理は、受信側端末2に対して情報伝達を行う際に実行される。まずステップS7では、送信側端末1の画面11のリフレッシュレートを取得する。リフレッシュレートは、機種によって異なっている可能性があり、送信側端末1から取得されたリフレッシュレートに近いQRコードの表示間隔(フレームレート)に設定する。例えば、1/30(約0.03)秒間隔と、1/60(約0.016)秒間隔とのいずれか近い方を、連続表示の表示間隔(フレームレート)として設定する。
【0046】
そして、ステップS8では、設定された表示間隔(フレームレート)で、送信側端末1の画面11に複数のQRコードを連続して表示させる。この連続表示では、シーケンス番号の1番から順番に分割総数のシーケンス番号までのQRコードを、表示間隔ごとに画面11に表示させていく。
【0047】
例えば送信側端末1の画面11のリフレッシュレートが30Hzであると取得されたときには、QRコードの連続表示のフレームレートを30fpsに設定して、画面11のリフレッシュレートの開始のタイミングで最初のQRコードが表示されるようにして、分割総数のQRコードを1/30秒間隔で次々と表示させていく。
【0048】
このQRコードの連続表示がされている画面11は、
図1に示すように、受信側端末2のカメラ21によって撮影される。受信側端末2のカメラ21は、60fps(1/60秒)以上のフレームレートで動画撮影ができるので、1/30秒間隔で表示されるQRコードを効率よく撮影することができる。
【0049】
受信側端末2では、シーケンス番号の1番から分割総数のシーケンス番号までのQRコードのすべてを認識して、取得する必要がある。このすべてのQRコードの読み取りが行われた否かの判別方法については、複数の方法が適用できるので、詳細については後述する。
【0050】
ステップS9で、分割総数のすべてのQRコードの読み取りが完了したか否かの判別を行い、読み取りが完了していない場合はステップS8に戻って連続表示を継続し、すべてのQRコードの読み取りが完了した場合は、ステップS10に移行して、送信側端末1におけるQRコードの連続表示を停止させる。
【0051】
続いて、本実施の形態の情報受信プログラムの処理の流れについて、
図4に示したフローチャートを参照しながら説明する。
受信側端末2には、少なくとも情報受信プログラム(アプリケーション)がインストールされていて、以下で説明する手順がコンピュータによって実行されることになる。
【0052】
まずステップS11では、受信側端末2において、情報受信プログラムである受信アプリを起動させる。そして、受信アプリのQRコード取得画面への切り替えを行う(ステップS12)。
【0053】
受信側端末2においてQRコードが取得できる状態になった後に、
図1に示すように、QRコードの連続表示がされている送信側端末1の画面11(ステップS8)を、受信側端末2のカメラ21によって撮影する。
【0054】
撮影が開始されると、連続表示されている1番から分割総数までのシーケンス番号のいずれか1つのQRコードが取得されることになる(ステップS13)。ステップS14では、取得されたQRコードから、付与された分割総数及びシーケンス番号の情報を読み取る。
【0055】
そして、読み取られたシーケンス番号が読み取り済みか否かの判別を、ステップS15において行う。要するに、読み取りが行われたシーケンス番号は、受信側端末2のメモリに記憶されており、その記憶されたシーケンス番号との照合が行われる。
【0056】
まだ読み取りがされていないシーケンス番号の分割データは、ステップS16で読み取りが行われる。こうした分割データの読み取りは、分割総数のすべてのQRコードに埋め込まれた分割データの読み取りが完了するまで行われる(ステップS17)。そこで、すべてのQRコードの読み取りが完了したか否かの判別方法について、いくつか説明する。
【0057】
まず単純な方法としては、最初に受信側端末2でQRコードの読み取りが行われた際に、分割総数とシーケンス番号とを記憶させておき、1番から分割総数までのすべてのシーケンス番号が揃うまで、送信側端末1のQRコードの連続表示を続ける。この際、送信側端末1では、1番から分割総数までのQRコードの連続表示を繰り返し行うことになる。
【0058】
別の読み取り確認方法として、
図5に、複数のQRコードの読み取り完了を判別させる処理の流れを示した。この方法では、画面11へのQRコードの連続表示と併せて、補助的にBluetoothなどの近距離無線通信手段を利用する。
【0059】
受信側端末2では、QRコードの読み取りが行われると、Bluetooth通信によって読み取り済みのシーケンス番号の発信を行う(ステップS21)。この受信側端末2から発信された読み取り済みのシーケンス番号の信号は、
図1に示すように隣接した位置に存在する送信側端末1のBluetooth通信によって受け取られることになる。
【0060】
送信側端末1では、読み取り済みのシーケンス番号の信号を受け取ると、そのシーケンス番号に該当するQRコードを、連続表示のリストから外す(ステップS22)。要するに、当初は分割総数のすべてのQRコードが登録されていた連続表示リストから、読み取り済みのシーケンス番号のQRコードを除外する。
【0061】
続くステップS23では、連続表示リストに残ったQRコードの連続表示を行う。要するに、送信側端末1で受け取っていないシーケンス番号のQRコードを、繰り返し画面11に表示させる。
【0062】
ステップS24では、送信側端末1において、分割総数のすべてのシーケンス番号の信号を受信側端末2とのBluetooth通信によって受け取ったか否かの判別が行われ、受け取っていないシーケンス番号がある場合は、ステップS21からステップS23までの処理が繰り返される。
【0063】
そして、送信側端末1ですべてのシーケンス番号の受け取りが確認できたときには、送信側端末1の画面11へのQRコードの連続表示が停止される(ステップS25)。このステップS24と同様の判別は、受信側端末2においてもステップS17で行われる。
【0064】
図4のステップS17では、分割総数のすべてのQRコードに埋め込まれた分割データの読み取りが完了したか否かの判別が行われ、完了していない場合は、ステップS13に戻って、読み取りがされていないQRコードの取得が繰り返される。ステップS15の読み取り済みのシーケンス番号か否かの判別は、すべてのQRコードが繰り返し表示されるときの処理であり、上述したBluetooth通信を補助的に利用する場合は、ステップS15の処理を省略することができる。
【0065】
分割総数のすべてのQRコードに埋め込まれた分割データが読み取られた後には、ステップS18で、シーケンス番号の順番に分割データのつなぎ合わせが行われる。通常は、シーケンス番号の1番から昇順で分割総数のシーケンス番号が付された分割データまでのつなぎ合わせが行われる。
【0066】
続くステップS19では、暗号化されているつなぎ合わせた分割データの復号を行う。受信側端末2では、伝達対象情報を受け取るために必要となる暗号鍵(暗号キー)が事前に取得されており、それによって設定された暗号鍵に基づいて復号が行われる。要するに、暗号鍵(共通鍵暗号)が設定されていないコンピュータ端末では、送信側端末1の画面表示からQRコードを読み取ることはできても、暗号化されたバイナリデータを復号することはできない。復号されたバイナリデータは、圧縮から伸長されて元のデータサイズに戻される。
【0067】
ステップS20では、元のデータサイズに伸長されたバイナリデータを電子データに変換する。受け取った電子データがテキストデータの場合は、そのまま文章として情報の内容を理解することができる。また、受け取ったデータがCSVファイルやプログラムコードや各種指示情報の場合は、それらを受信側端末2で起動させた別のアプリケーションに取り込んで実行させることができる。
【0068】
次に、本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムの作用について説明する。
【0069】
このように構成された本実施の形態の情報送信プログラム及び情報受信プログラムは、送信側端末1において伝達対象情報の電子データに基づくデータを複数のQRコードに置き換え、それらQRコードを連続して画面11に表示させる。このQRコードを連続して画面11に表示させる際には、送信側端末1の画面11のリフレッシュレートに基づいてQRコードの表示間隔(フレームレート)を設定する。要するに、画面11のリフレッシュレートの開始のタイミングで1番目のQRコードを表示させることで、リフレッシュレートとフレームレートとのタイミングを合わせる。
【0070】
一方、受信側端末2では、送信側端末1の画面11に連続して表示されるQRコードをカメラ21を利用して読み取り、それらQRコードに埋め込まれた分割データをつなぎ合わせることで、1つの電子データに復元する。
【0071】
このため、インターネットに接続する必要がないオフライン下において、安全かつ簡単に、送信側端末1と受信側端末2との間で情報伝達を行わせることができる。また、送信側端末1の画面11のリフレッシュレートとQRコードの表示間隔(フレームレート)とを合わせているので、読み取り漏れが少なく、効率的にQRコードを読み取らせることができる。さらに、伝達対象情報の情報量に応じて生成するQRコードの数を増減させればよいだけなので、制限を受けることなく任意の情報量の伝達を行うことができる。
【0072】
また、電子データ又はそれに基づくバイナリデータを設定された暗号鍵に基づいて暗号化するのであれば、特定の人との間での情報伝達にすべき機密性の高い情報であっても、安全かつ簡単に伝達を行わせることができる。
【0073】
さらに、補助的にBluetooth通信などの近距離無線通信を利用した読み取り確認を行うようにすれば、QRコードの枚数が増えても、読み取りが完了していないQRコードだけを連続表示させることができるので、効率的に情報伝達を行わせることが可能になる。
【0074】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0075】
例えば、前記実施の形態では、電子データをバイナリデータに変換した後に、データ圧縮及び暗号化をする場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、バイナリデータへの変換やデータ圧縮や暗号化は、必要に応じて行えばよい。
【0076】
また、前記実施の形態では、本実施の形態の情報送信プログラムを使用して生成されたQRコードの連続表示を受信側端末2で読み取らせる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、どのようにして生成されたQRコードの連続表示であっても、本実施の形態の情報受信プログラムで読み取らせることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 :送信側端末(コンピュータ端末)
11 :画面
2 :受信側端末(別のコンピュータ端末)
21 :カメラ