(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026037
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】農業用ハウスの温度制御システム
(51)【国際特許分類】
A01G 9/24 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
A01G9/24 M
A01G9/24 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131370
(22)【出願日】2023-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】523307479
【氏名又は名称】インビスタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】上野 明敏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 遊二
(72)【発明者】
【氏名】谷本 憲治
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029AB10
2B029PA02
2B029PA03
2B029SA02
2B029SA03
2B029SB01
2B029SF08
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプ装置の吸熱と排熱をハウス二室の冷暖房用として同時に利用してヒートポンプ装置の効率性を高める。
【解決手段】農作物を栽培する農業用ハウス100、200の庫内温度をヒートポンプ装置30によって制御する温度制御システムであって、当該温度制御システムは、圧縮機と膨張弁を有するヒートポンプ装置本体に第1の熱交換器31と第2の熱交換器31が接続され、第1の熱交換機31は第1のハウス100に配設されると共に第2の熱交換機31は第2のハウス200に配設され、ヒートポンプ装置30の作動により第1のハウス100と第2のハウス200を交互に低温制御・高温制御することを特徴とする温度制御システム。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を栽培する農業用ハウスの庫内温度をヒートポンプ装置によって制御する温度制御システムであって、当該温度制御システムは、
圧縮機と膨張弁を有するヒートポンプ装置本体に第1の熱交換器と第2の熱交換器が接続され、前記第1の熱交換機は第1のハウスに配設されると共に前記第2の熱交換機は第2のハウスに配設され、ヒートポンプ装置の作動により前記第1のハウスと前記第2のハウスを交互に低温制御・高温制御することを特徴とする温度制御システム。
【請求項2】
前記第1のハウスと前記第2のハウスの低温制御・高温制御を、半日ごとに切替えることを特徴とする請求項1の温度制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2の温度制御システムが、前記第1のハウスと前記第2のハウスの換気装置と、前記第1のハウスと前記第2のハウスの庫外温度を検知する庫外温度センサと、培地温度を検知する培地温度センサと、前記庫外温度センサと前記培地温度センサの検知結果に基づいて、前記換気装置と前記ヒートポンプ装置を制御する制御部とを有し、当該制御部は、前記培地温度が高温適合範囲と低温適合範囲を所定時間ずつ持続した後に高温適合範囲と低温適合範囲に交互に切り替わるように、
前記培地温度を昇温する際は、前記庫外温度センサの検知温度が、前記高温適合範囲の温度に所定温度を加算した値よりも高い場合は、前記換気装置を、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで所定時間駆動すると共に、当該所定時間経過しても前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至らない場合は、前記ヒートポンプ装置を、前記換気装置と共に、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで駆動し、前記庫外温度センサの検知温度が、前記高温適合範囲の温度に所定温度加算した値よりも高くない場合は、前記ヒートポンプ装置を、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで駆動し、
前記培地温度を降温する際は、前記庫外温度センサの検知温度が、前記高温適合範囲の温度から所定温度を減算した値よりも低い場合は、前記換気装置を、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで所定時間駆動すると共に、当該所定時間経過しても前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至らない場合は、前記ヒートポンプ装置を、前記換気装置と共に、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで駆動し、前記庫外温度センサの検知温度が、前記高温適合範囲の温度から所定温度減算した値よりも低くない場合は、前記ヒートポンプ装置を、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで駆動する、
ことを特徴とする温度制御システム。
【請求項4】
前記第1のハウスと前記第2のハウスが暖房用のボイラ装置を備え、
前記培地温度を昇温する際、前記庫外温度センサの検知温度が、前記高温適合範囲の温度に所定温度を加算した値よりも高くない場合は、前記ヒートポンプ装置を、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで所定時間駆動すると共に、当該所定時間経過しても前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至らない場合は、前記ボイラ装置を、前記ヒートポンプ装置と共に、前記培地温度が前記高温適合範囲又は前記低温適合範囲に至るまで駆動する、ことを特徴とする請求項3の温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業用ハウスの温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用ハウスの温度制御システムとして、例えば特許文献1に記載されている温度制御システムが知られている。この温度制御システムはヒートポンプ装置や暖房機を使用し、庫内の温度センサや湿度センサの検知結果に基づいて農作物の最適生育環境を提供しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術はヒートポンプ装置の吸熱と排熱のいずれか一方を冷房用か暖房用で利用するだけのため、ヒートポンプ装置の効率性を改善する余地があった。
【0005】
そこで本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ヒートポンプ装置の吸熱と排熱をハウス二室の冷暖房用として同時に利用してヒートポンプ装置の効率性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る農業用ハウスの温度制御システムは、農作物を栽培する農業用ハウスの庫内温度をヒートポンプ装置によって制御する温度制御システムであって、当該温度制御システムは、圧縮機と膨張弁を有するヒートポンプ装置本体に第1の熱交換器と第2の熱交換器が接続され、前記第1の熱交換機は第1のハウスに配設されると共に前記第2の熱交換機は第2のハウスに配設され、ヒートポンプ装置の作動により前記第1のハウスと前記第2のハウスを交互に低温制御・高温制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
ヒートポンプ装置の吸熱と排熱をハウス二室の冷暖房用として同時に利用することで冷暖房の効率性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る農業用ハウスの温度制御システムの概略図である。
【
図3A】換気扇フル稼働時の庫内気流を示す模式図である。
【
図3B】換気扇ハーフ稼働時の庫内気流を示す模式図である。
【
図4】ヒートポンプ装置によるハウス二室の温度制御フローチャートである。
【
図5】培地温度を高温適合範囲に制御するフローチャートである。
【
図6】培地温度を低温適合範囲に制御するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、農業用ハウスとしての椎茸栽培ハウス(ハウス1_100、ハウス2_200)を、2棟同時に制御する温度制御システムの概略を示すものである。この温度制御システムにより、ハウス100内の培地20に温度刺激(高温刺激と低温刺激)を与えて菌糸の成長を促進する。
【0010】
各ハウス100、200の庫内に置き棚10が複数列で配置されている。この置き棚10に複数の椎茸用培地20が搭載されている。
【0011】
椎茸用培地20の中に培地温度センサTH3a、TH3bが配置されている。この培地温度センサTH3a、TH3bは、有線又は無線(BLUETOOTH、登録商標)によって、制御部としてのコントローラ70に接続されている。培地温度センサTH3a、TH3bは、すべての培地20に配置してもよいが、庫内中央付近に位置するいずれか1つ又はいくつかの培地20に配置してもよい。
【0012】
なお、培地温度センサTH3a、TH3bの配置が困難な場合、庫内温度センサTH1の測定値を補正(加算補正又は減算補正)したものを培地内部温度として簡易的に代用することができる。すなわち、培地内部温度TH3aと庫内温度TH1との間には、
図2の垂直な4つの両矢印に示すように、降温期と昇温期で±2~3℃の温度差があることが判明している。
【0013】
したがって、
図2左側の降温期では、培地内部温度TH3a=庫内温度TH1+2~3℃の加算補正で培地内部温度を簡易的に算出することができる。また、
図2右側の昇温期では、培地内部温度TH3a=庫内温度TH1-2~3℃の減算補正で培地内部温度を簡易的に算出することができる。
【0014】
置き棚10の上方に、複数のミストノズル80が配設されている。これらミストノズル80によって、培地20に対して細かな水滴を霧状に噴霧することで適度の湿度と共に散水冷却を提供するようにしている。
【0015】
ハウス100、200の庫外にヒートポンプ装置30とボイラ40が配設されている。ヒートポンプ装置30は圧縮機と膨張弁を有し、2棟のハウス100、200で1台のヒートポンプ装置30を共用する。
【0016】
このヒートポンプ装置30は、庫内の複数の空気熱交換器31に接続されている。一方のハウスの空気熱交換器31が第1の熱交換器であり、他方のハウスの空気熱交換器31が第2の熱交換器である。ボイラ40は、庫内の温風ダクト41に接続されている。
【0017】
ハウス100、200の片側壁面に排気ファン50が配設されている。ハウス100、200の他側壁面に吸気ダンパ60が配設されている。
【0018】
庫内のほぼ中央に、庫内温度センサTH1が配設されている。吸気ダンパ60の入口側に庫外温度センサTH2が配設されている。
【0019】
図2は、温度センサTH1、TH2、TH3a、TH3bによって測定された温度に基いて、ハウス100、200内の温度をコントローラ70によって制御する一例である。
図2の縦軸は温度を表し、横軸は時間を表す。
【0020】
温度制御は、2023年3月1日の12:36から翌日(2023年3月2日)の12:36まで、24時間連続して行った。最初は、培地内部温度TH3aを20℃前後に制御する高温制御(前半)である。この高温制御(前半)を6時間続けた。
【0021】
高温制御(前半)の前半は、庫内温度TH1が20℃前後(±3℃)で庫外温度TH2が14℃であったが、高温制御(前半)の終わりに近づくにつれて庫内温度TH1と庫外温度TH2が低下し始めた。これは日没の影響によるものである。高温制御(前半)の前半(16:00まで)は強暖房を行うが、後半(16:00以降)は低温制御に向けて弱暖房を行う。
【0022】
強暖房では、
図3A、
図3Bのように換気扇50を稼働すると共に吸気ダンパ60を開く。また、ヒートポンプ装置30による暖房(ヒーポン暖房)も行う。
【0023】
ヒートポンプ装置30の設定温度は20℃にすることができる。このように外気を積極的に庫内に導入することで、ヒートポンプ装置30の省エネを図ることができる。
【0024】
弱暖房では換気扇50を停止して吸気ダンパ60を閉じる。またヒートポンプ装置30による弱暖房を行う。
【0025】
弱暖房ではヒートポンプ装置30の設定温度を一時的に例えば5℃にすることができる。これにより、培地内部温度TH3a=10℃前後を速やかに実現することができる。培地内部温度TH3a=10℃前後に到達した後は、ヒートポンプ装置30の設定温度を5℃から10℃に戻すことができる。
【0026】
高温制御(前半)の後は低温制御を行う。この低温制御は翌日(3月2日)の日の出まで12時間続く。
【0027】
この低温制御ではヒートポンプ装置30の設定温度を10℃(弱暖房)に維持し、培地温度を10℃前後に制御する。低温制御の後半は、庫外温度TH2が約5℃まで低下するが庫内温度TH1は「冷暖房なし」でも約8℃で比較的安定していた。したがって、ヒートポンプ装置30の省エネを図ることができる。
【0028】
日の出(6:36)の直後に庫内温度TH1と庫外温度TH2が急上昇する。培地内部温度TH3aも上昇するが上昇速度は緩やかである。
【0029】
そこで、培地内部温度TH3aをできるだけ早く高温制御(後半)にするために強暖房を行う。この強暖房では、
図3A、
図3Bのように換気扇50を稼働すると共に吸気ダンパ60を開く。
【0030】
また、ヒートポンプ装置30による暖房(ヒーポン暖房)も行う。このように外気を積極的に庫内に導入することで、高温制御(後半)に速やかに移行することができ、ヒートポンプ装置30の省エネも図ることができる。
【0031】
換気扇50の稼働は、
図3Aのように2つの換気扇50を稼働して2つの吸気ダンパ60を全開にするフル稼働と、
図3Bのように片方のみの換気扇50を稼働し片方のみの吸気ダンパ60を全開にするハーフ稼働のいずれかを選択することができる。培地内部温度TH3aが20℃前後(高温適範囲)に近づくとフル稼働からハーフ稼働に切替えることができる。
【0032】
フル稼働やハーフ稼働を連続すると、特定の培地20(吸気ダンパ60付近の培地20)に強いエアが長時間当たる。そうすると培地20の湿度が急低下して椎茸の生育に悪影響が及ぶ。そこで、フル稼働やハーフ稼働の連続時間を所定時間以内に制限したり、吸気ダンパ60の開度を連続的又は間欠的に制限したりするのが望ましい。
【0033】
ハーフ稼働の場合は
図3Bの実線矢印と破線矢印のように、庫内の気流を所定時間ごとに対角気流1⇔対角気流2のように交互に切替えるのが望ましい。これにより、特定の培地20に強いエアが長時間当たるのを防止することができ、また庫内の温度分布を均一化することができる。
【0034】
なお、庫内温度センサTH1、エアコンセンサTH1a、暖房センサTH1bは、対角気流1と対角気流2が交差する箇所に配置するのが望ましい。これにより、庫内の温度を正確に測定することができる。
【0035】
●デュアル温度制御
本願の温度制御システムは、共通のヒートポンプ装置30によって2棟のハウス100、200を同時に温度制御することに特徴がある(デュアル温度制御)。椎茸栽培ハウス100、200では、高温制御と低温制御を繰り返して培地20の菌糸に温度刺激を与えることで、発茸を早期化すると共に発茸した子実体の生長を促進する。
【0036】
そこで、ヒートポンプ装置30によって一方のハウスから汲み上げた熱エネルギを他方のハウスに移動すると共に、所定時間後(例えば12時間後)に逆方向に熱エネルギ移動することで、高温制御と低温制御を繰り返すことにした。ヒートポンプ装置30は低温熱源から汲み上げた熱エネルギを高温側に移動するものであり、通常の冷暖房装置に比べて高効率(省エネ)でハウス100、200の冷暖房を実現することができる。
【0037】
図4は、ヒートポンプ装置30による2棟のハウス100、200(ハウス1と2)の高温制御と低温制御を示すフローチャートである。ステップS41でヒートポンプ装置30をONにすると、ハウス1の高温制御(ステップS42)とハウス2の低温制御(ステップS44)が開始する。
【0038】
ハウス1の高温制御は、
図5のフローチャートに示すように行われる(ステップS43)。ハウス2の低温制御は、
図6のフローチャートに示すように行われる(ステップS45)。
【0039】
ハウス1の高温制御とハウス2の低温制御の開始から例えば12時間が経過すると(ステップS46)、ヒートポンプ装置30の冷暖を切り換える(ステップS47)。すなわち、今度はハウス1の低温制御とハウス2の高温制御を行う(ステップS48、S50)。
【0040】
ハウス1の低温制御は、
図6のフローチャートに示すように行われる(ステップS49)。ハウス2の高温制御は、
図5のフローチャートに示すように行われる(ステップS51)。
【0041】
ハウス1の低温制御とハウス2の高温制御の開始から12時間が経過すると、ヒートポンプ装置30、ボイラ40、排気ファン50などを停止する。これで低温制御と高温制御のワンサイクルが終了する。温度制御を中止せずに次のサイクルを開始する場合は、ステップS41~ステップS53を繰り返す。
【0042】
以上の実施形態では、高温制御と低温制御のワンサイクルを12時間+12時間=24時間としたが、ワンサイクルの時間は地域や季節等によって適宜変更可能である。例えば、夜間が長い冬季では低温制御の時間を12時間よりも長くすると共に高温制御の時間を12時間よりも短くすることができる。これとは反対に、夜間が短い夏季では低温制御の時間を12時間よりも短くすると共に高温制御の時間を12時間よりも長くすることができる。
【0043】
●高温制御
培地20の
図2に示す高温制御と
図4に示す高温制御は、
図5のフローチャートによって行うことができる。このフローチャートは、
図1、
図3A、
図3Bのコントローラ70の制御内容を示している。
【0044】
培地温度センサTH3a、TH3bによって測定した温度を、培地内部温度TH3a、培地表面温度TH3bとする。培地温度センサTH3aは培地20の内部に配置し、培地温度センサTH3bは培地20の表面に配置する。培地表面温度TH3bはモニタリング用に使用し、高温制御と低温制御の温度制御用としては使用しない。なお、培地内部温度TH3aに代えて培地表面温度TH3bを使用することも可能である。
【0045】
まず、培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)かどうか判定される(ステップS1)。培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)でない場合、培地内部温度TH3aを昇温するかどうかを判定する(ステップS2)。TH3a≦17℃であればステップS3に移行する。23℃≦TH3aであればステップS11の庫外排熱(ヒーポン冷房)に移行する。
【0046】
昇温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上高い場合、排気ファンをONにして省エネのため暖かい外気を庫内に導入する(ステップS3⇒S4)。この段階では、ヒーポン暖房やボイラ暖房は行わない。α℃は任意の大きさに設定可能であるが、ここではα℃=1℃に設定するものとする(
図6も同様)。
【0047】
排気ファンによる外気導入は、培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、排気ファンを停止する(ステップS7)。
【0048】
しかし、外気導入を連続して1時間しても培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)に到達しない場合は、ステップS5からステップS9に進んで外気導入と共にボイラ暖房も行う。そして培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、排気ファンとボイラ暖房を停止する(ステップS7)。ステップS5の「1時間経過?」の起算点は、ステップS3の判断時である。
【0049】
昇温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上高くない場合、つまり外気温度を昇温用に利用できない場合、ステップS3⇒S9に移動してボイラ暖房を行う。排気ファンはOFFである。
【0050】
ボイラ暖房は、培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、ボイラ暖房を停止する(ステップS7)。
【0051】
昇温しない場合(降温する場合)、ヒーポン冷房により庫外排熱を行う(ステップS11)。また、庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上低い場合、排気ファンをONにして省エネのため冷たい外気も庫内に導入する(ステップS12⇒S13)。
【0052】
排気ファンによる外気導入は、培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、排気ファンを停止する(ステップS7)。
【0053】
しかし、外気導入を連続して1時間しても培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)に到達しない場合は、ステップS14からステップS16に進んで外気導入と共にミストノズル80による散水冷却も行う。そして培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、排気ファン、ヒーポン冷房、散水冷却を停止する(ステップS7)。ステップS14の「1時間経過?」の起算点は、ステップS12の判断時である。
【0054】
降温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上低くない場合、つまり外気温度を降温用に利用できない場合、ステップS12⇒S16に移動してミストノズル80による散水冷却を行う。排気ファンはOFFである。
【0055】
ヒーポン冷房と散水冷却は、培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが高温適範囲(17℃<TH3a<23℃)になると、ヒーポン冷房と散水冷却を停止する(ステップS7)。以上の温度制御は、ステップS8で「温度制御中止」にしない限り連続して行う。
【0056】
●低温制御
培地20の
図2に示す低温制御と
図4に示す低温制御は、
図6のフローチャートによって行うことができる。このフローチャートは、
図1、
図3A、
図3Bのコントローラ70の制御内容を示している。
【0057】
まず、培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)かどうか判定される(ステップS21)。
【0058】
培地内部温度TH3aが低温適範囲でない場合、培地内部温度TH3aを昇温するかどうかを判定する(ステップS22)。TH3a≦7℃であればステップS23に移行する。13℃≦TH3aであればステップS31に移行する。
【0059】
昇温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上高い場合、排気ファンをONにして省エネのため暖かい外気を庫内に導入する(ステップS23⇒S24)。この段階では、まだヒーポン暖房やボイラ暖房は行わない。
【0060】
排気ファンによる外気導入は、培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、排気ファンを停止する(ステップS27)。
【0061】
しかし、外気導入を連続して1時間しても培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)に到達しない場合は、ステップS25からステップS29に進んで外気導入と共にヒーポン暖房も行う。そして培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、排気ファンとヒーポンを停止する(ステップS27)。ステップS25の「1時間経過?」の起算点は、ステップS23の判断時である。
【0062】
昇温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上高くない場合、つまり外気温度を昇温用に利用できない場合、ステップS23⇒S29に移動してヒーポン暖房を行う。排気ファンはOFFである。
【0063】
ヒーポン暖房は、培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、ヒーポン暖房を停止する(ステップS27)。
【0064】
昇温しない場合(降温する場合)であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上低い場合、排気ファンをONにして省エネのため冷たい外気を庫内に導入する(ステップS31⇒S32)。この段階では、まだヒーポン冷房は行わない。
【0065】
排気ファンによる外気導入は、培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、排気ファンを停止する(ステップS27)。
【0066】
しかし、外気導入を連続して1時間しても培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)に到達しない場合は、ステップS23からステップS35に進んで外気導入と共にヒーポン冷房も行う。そして培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、排気ファンとヒーポン冷房を停止する(ステップS27)。ステップS33の「1時間経過?」の起算点は、ステップS31の判断時である。
【0067】
降温する場合であって庫外温度TH2が培地内部温度TH3aよりもα℃以上低くない場合、つまり外気温度を降温用に利用できない場合、ステップS31⇒S35に移動してヒーポン冷房を行う。排気ファンはOFFである。
【0068】
ヒーポン冷房は、培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になるまで継続する。培地内部温度TH3aが低温適範囲(7℃<TH3a<13℃)になると、ヒーポン冷房を停止する(ステップS27)。以上の温度制御は、ステップS28で「温度制御中止」にしない限り連続して行う。
【0069】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
10:培地の置き棚 20:椎茸の培地
30:ヒートポンプ装置 31:空気熱交換器
40:ボイラ 41:温風ダクト
50:排気ファン(換気装置) 60:吸気ダンパ(換気装置)
70:コントローラ(制御部) 80:ミストノズル
TH1:庫内温度センサ TH1a:庫内エアコンセンサ
TH1b:庫内暖房センサ TH2:庫外温度センサ
TH3a、TH3b:培地温度センサ 100:椎茸栽培ハウス1
200:椎茸栽培ハウス2