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特開2025-26295コンピュータのための人体工学的及び高性能電源供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026295
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】コンピュータのための人体工学的及び高性能電源供給装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20250214BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20250214BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20250214BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
H02M3/28 Q
H02J1/00 306D
H02J1/00 306B
H02M7/06 G
G06F1/26
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024074332
(22)【出願日】2024-05-01
(31)【優先権主張番号】18/447,263
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524099865
【氏名又は名称】コルセア メモリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Corsair Memory, Inc.
【住所又は居所原語表記】115 N McCarthy Boulevard, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リオン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェロウ
【テーマコード(参考)】
5B011
5G165
5H006
5H730
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DB04
5B011EA02
5G165CA01
5G165DA01
5G165DA06
5G165EA01
5G165FA02
5G165HA01
5G165HA07
5G165LA01
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA05
5G165NA06
5H006CA07
5H006CB01
5H006HA02
5H006HA05
5H006HA08
5H730AA15
5H730AA18
5H730AS01
5H730AS19
5H730BB26
5H730BB66
5H730CC01
5H730CC04
5H730DD16
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ11
5H730ZZ16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本出願はデスクトップコンピュータのための電源供給装置だけでなく、関連するシステム及び方法に関する。
【解決手段】コンピュータシステムのための人体工学的な電源供給装置はメイン電気入力を電圧調整された直流電流出力に変換するように構成された印刷回路基板アセンブリを含む。印刷回路基板アセンブリはメイン入力を定義し、1つ以上のDC出力コネクタを含む。エンクロージャはファンと印刷回路基板アセンブリを収容する。エンクロージャは背面パネルと、印刷回路基板アセンブリに対して背面パネルの反対側に位置する前面パネルと、を有する。側面パネルは前面パネルと背面パネルとの間に位置する。メインコネクタはエンクロージャの背面パネルに定義された穴を通じて延長される。1つ以上のDC出力コネクタは側面パネルを通じて延長される。このような配列は従来の電源供給装置に比べて電源供給装置の出力に遥かに容易なアクセスを提供する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステム用電源供給装置であって、
前記電源供給装置は、
背面パネル、前記背面パネルの反対側に位置する前面パネル、及び前記前面パネルと前記背面パネルとの間に位置する1対の対向側面パネルを有するエンクロージャ(enclosure)と、
背面エッジ、前記背面エッジの反対側に位置する前面エッジ、及び1対の対向側面エッジを定義する印刷回路基板であって、それぞれの側面エッジは前記背面エッジから前記前面エッジまで延長され、前記印刷回路基板は前記エンクロージャ内に配向されて前記背面エッジ、前記前面エッジ、及びそれぞれの側面エッジが前記背面パネル、前記前面パネル、前記対向側面パネルのうち1つにそれぞれ対応する、印刷回路基板と、
前記エンクロージャの前記背面パネルに隣接して位置する前記印刷回路基板に対するメイン電気入力(mains electricity input)と、
前記印刷回路基板と結合され、前記印刷回路基板に対する前記メイン電気入力を交流電流(AC)から直流電流(DC)に変換するように構成されるダイオードブリッジであって、前記ダイオードブリッジは前記印刷回路基板の1対の側面エッジのうち1つに隣接して位置する、ダイオードブリッジと、
前記印刷回路基板に対して前記ダイオードブリッジの反対側の位置に前記印刷回路基板と結合されてACメイン入力から変換された電圧調整された形態のDCを出力する電気コネクタと、を含む、電源供給装置。
【請求項2】
前記電気コネクタは前記印刷回路基板の1対の側面エッジのうち他の1つに隣接して位置する、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項3】
前記電気コネクタを支持するバックプレートをさらに含み、前記電気コネクタは前記ダイオードブリッジに隣接する前記印刷回路基板の前記側面エッジの反対側の前記エンクロージャの前記側面パネルを通じて延長される、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項4】
前記ダイオードブリッジと前記バックプレートとの間に前記印刷回路基板と結合された力率補償コイル(power-factor correction coil)をさらに含む、請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項5】
12VDCを3.3VDC及び5VDCのうち1つまたは両方に変換するように構成されたDC-DCドーターボード(DC-to-DC daughter board)をさらに含み、前記ドーターボードは長手方向の軸を定義し、前記バックプレートは長手方向の軸を定義し、前記DC-DCドーターボードの前記長手方向の軸は前記バックプレートの前記長手方向の軸に対して横方向に配向される、請求項3に記載の電源供給装置。
【請求項6】
12VDCを3.3VDC及び5VDCのうち1つまたは両方に変換するように構成されたDC-DCドーターボードをさらに含み、前記ドーターボードは前記印刷回路基板の前記前面エッジと実質的に平行に配向された長手方向の軸を定義する、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項7】
前記DC-DCドーターボードは前記印刷回路基板の前記前面エッジに隣接して位置する、請求項6に記載の電源供給装置。
【請求項8】
前記ACメイン入力から変換された電圧調整された形態のDCは+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項9】
前記+3.3VDC出力、前記+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上は少なくとも1つの+3.3VDC出力、少なくとも1つの+5VDC出力、及び少なくとも1つの+12VDC出力を含む、請求項8に記載の電源供給装置。
【請求項10】
前記電気コネクタは第1DC電気コネクタであり、前記DCの電圧調整された形態は前記第1DC電気コネクタに対応する前記DCの第1電圧調整された形態であり、前記電源供給装置は前記印刷回路基板に対して前記ダイオードブリッジの反対側の位置で前記印刷回路基板と結合されて前記ACメイン入力から変換された前記DCの第2電圧調整された形態を出力する第2DC電気コネクタを含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項11】
前記ACメイン入力から変換された前記DCの前記第1電圧調整された形態及び第2電圧調整された形態のそれぞれは+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含む、請求項10に記載の電源供給装置。
【請求項12】
前記1対の対向側面エッジから互いに隣接し、側方向の内側に前記印刷回路基板と結合された複数のバルクキャパシタをさらに含む、請求項1に記載の電源供給装置。
【請求項13】
前記1対の対向側面エッジから側方向の内側に、そして前記複数のバルクキャパシタに隣接して前記印刷回路基板と結合されたメイン変圧器をさらに含む、請求項12に記載の電源供給装置。
【請求項14】
前記電気コネクタを支持するバックプレートをさらに含み、前記メイン変圧器と前記複数のバルクキャパシタは前記ダイオードブリッジと前記バックプレートとの間に位置する、請求項13に記載の電源供給装置。
【請求項15】
インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイを有するLLC共振回路をさらに含み、前記インダクタとハーフブリッジMOSFETの前記アレイは前記メイン変圧器と前記複数のバルクキャパシタとの間ではない隣接して位置する、請求項13に記載の電源供給装置。
【請求項16】
前記インダクタとハーフブリッジMOSFETの前記アレイは前記エンクロージャの背面パネルと前記メイン変圧器及び前記複数のバルクキャパシタのうち1つまたは両方の間に位置する、請求項15に記載の電源供給装置。
【請求項17】
コンピュータシステムであって、
直流電流(DC)電源入力を受信するための電源コネクタを有するマザーボードであって、前記マザーボードは処理ユニットとメモリに入力されるDC電源を伝達する回路をさらに有し、前記マザーボードは前記処理ユニットと前記メモリを相互接続する信号バスをさらに有する、マザーボードと、
背面パネル、前記背面パネルの反対側に位置する前面パネル、及び前記前面パネルと前記背面パネルとの間に位置する1対の対向側面パネルを有するエンクロージャと、
前記エンクロージャ内にあり、ACメイン電源入力を前記処理ユニット及び前記メモリに電力を供給するのに適した1つ以上の電圧調整されたDC出力に整流するように構成された印刷回路基板アセンブリであって、前記印刷回路基板アセンブリは前記エンクロージャの前記背面パネルに隣接して位置したメイン入力と、前記1対の側面パネルにおいて前記側面パネルのうち選択された1つに隣接して位置したDC出力コネクタと、を有し、前記印刷回路基板アセンブリは前記メイン電力入力を交流電流から直流電流に変換するように構成されたダイオードブリッジをさらに有し、前記ダイオードブリッジは前記1対の側面パネルにおいて前記側面パネルの他の1つに隣接して位置する、印刷回路基板アセンブリと、
1つ以上の電圧調整されたDC出力で前記処理ユニット及び前記メモリに電力を供給するように構成されるように前記DC出力コネクタ及び前記マザーボードの回路と電気的に結合された電気ケーブルと、を含む、コンピュータシステム。
【請求項18】
前記印刷回路基板アセンブリは、力率補償コイルと、前記DC出力コネクタを支持するバックプレートと、をさらに含み、前記力率補償コイルは前記ダイオードブリッジと前記バックプレートとの間で前記印刷回路基板アセンブリと結合される、請求項17に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
互いに隣接する前記印刷回路基板アセンブリと結合された複数のバルクキャパシタと、
前記複数のバルクキャパシタに隣接する位置において前記印刷回路基板アセンブリと結合されたメイン変圧器と、をさらに含む、請求項17に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記メイン変圧器及び前記複数のバルクキャパシタは前記エンクロージャの前記対向側面パネルに対して前記ダイオードブリッジ及び前記バックプレートの側面に内側に位置する、請求項19に記載のコンピュータシステム。
【請求項21】
インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイを有するLLC共振回路をさらに含み、前記インダクタとハーフブリッジMOSFETの前記アレイは前記メイン変圧器と前記複数のバルクキャパシタとの間ではない隣接して位置する、請求項19に記載のコンピュータシステム。
【請求項22】
前記インダクタとハーフブリッジMOSFETの前記アレイは前記エンクロージャの背面パネルと前記メイン変圧器及び前記複数のバルクキャパシタのうち1つまたは両方の間に位置する、請求項21に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願及び本明細書に開示された主題(総称して「開示」という)は、一般的にデスクトップコンピュータのための電源供給装置(power supply)だけでなく、関連するシステム及び方法に関する。より具体的には、これに限定されないが、本開示の内容は拡張されたATX(Advanced Technology Extended)仕様と互換できる電源供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデスクトップコンピュータシステムは最も基本的な構成として、処理ユニット及びメモリを有する。しかし、殆どのデスクトップコンピュータシステムはいくつかの追加機能サブシステムを含む。電源供給装置はコンピュータの内部構成要素に必要な様々な電圧レベルでメイン電源からの交流電流(AC)を直流電流(DC)に変換するためにデスクトップコンピュータに使用される基本構成要素である。1990年代にインテルコーポレーション(Intel Corporation)によって開発され公表されたATX標準は、業界全般にわたった採択と様々なコンピュータハードウェア及びフォームファクタ(form factor)との互換性によって現代のデスクトップコンピュータにおいてコンピュータシャーシ(例えば、ハウジング及びエンクロージャ(enclosure))及び電源供給装置に対する事実上の標準となった。シャーシまたは電源供給装置の脈絡で考慮されるATX標準は様々な構成要素とサブシステムを機能的なデスクトップコンピュータシステムに統合及び組み立てるための体系的なフレームワークを提供する。
【0003】
例えば、ATXシャーシ仕様及び設計指針は構成要素及びインタフェースの寸法及び位置を定義する。特に、ATXシャーシ標準はシャーシ内にマザーボード及び関連する構成要素を取り付けるための穴の位置とサイズ、及びスタンドオフ高さ(stand-off height)だけでなく、ドライブベイ、拡張カード、冷却システム、及び電源供給装置を取り付けるためのその他の特徴の位置とサイズを定義する。
【0004】
ATX互換電源供給装置はマザーボード、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックカード、記憶装置、及びその他の周辺機器(peripheral)に電源を供給する。これはコンピュータシステムの安定且つ信頼できる動作を保障するために重要な役割をする。また、ATX電源供給装置の標準はATX仕様を準拠する電源供給装置の構成要素のレイアウトを指定するとともに、コンピュータの様々なサブシステムに規制され効率的な電力を供給するための要求事項を指定する。例えば、ATX電源供給装置の仕様は電源供給装置のハウジングの寸法と特徴位置を明示してATX互換電源供給装置が他のATX互換構成要素と組み立てられるように保障する。また、ATX仕様は、例えば、電気メイン入力(electrical mains input)、メイン変圧器及びフィルタリング、DC-DC変換、出力整流、冷却、保護回路、及び外部からアクセス可能なDCコネクタに関するその他の機能の要求事項も明示している。
【0005】
コンピュータの電源供給装置は、一般的に入力ステージ、メイン変圧器及びフィルタリングだけでなく、冷却構成要素及び選択された保護回路を含む。入力ステージはメイン電源に接続するための入力コネクタ(例えば、IEC C14コネクタ)を含んでもよい。また、入力ステージは入ってくるメイン電源を調整されていないDC電圧に変換する役割をする、例えば、EMC/EMI(電磁互換性/電磁干渉)フィルタ、ブリッジ整流器、バルクキャパシタのようなその他の構成要素を含んでもよい。
【0006】
メイン変圧器は調整されていないDC電圧をコンピュータの内部構成要素に適する他の電圧レベルに変換し、フィルタリングステージはリップル(ripple)を減らし、安定したDC出力電圧を保障するためにキャパシタ及びインダクタを含む。DC-DCコンバータは変換されたDC電圧を調整して+12V、+5V、及び+3.3Vなどの必要な様々な出力電圧を提供する。DC-DCコンバータにより調整されたDC電圧はコンピュータの構成要素にきれいで安定したDC出力電圧を提供するためにさらに整流及び平滑化される。
【0007】
また、電源供給装置は1つ以上の冷却構成要素、例えば、ファン(fan)及びヒートシンク(heat sink)を含んでもよい。ファンは電源供給装置を通じて空気の流れを円滑にすることで、電源供給装置の構成要素によって発生する熱を放散(dissipate)する。電力トランジスタ、ダイオード、及びその他の構成要素は相当な熱を発生させ、空気の流れだけでできる熱の放散をそれ以上に向上させるためにヒートシンクがしばしば取り付けられる。
【0008】
また、開示の電源供給装置は選択された保護メカニズム、例えば、過電流保護、過電圧及び低電圧保護、短絡保護、及び過熱保護を含んでもよい。このような保護形態のそれぞれはモニタリング側面と制御側面を含む。例えば、モニタリングされた量(例えば、温度)が選択されたしきい値を超えると、制御側面の保護回路が活性化されて電源供給装置及び/または電源供給装置によって電源が供給される構成要素の損傷を防止するために出力を制限または遮断することができる。
【0009】
ATX仕様、設計指針、及びこのような仕様及び指針の従来の具現は数十年間、ATX互換シャーシ、マザーボード、電源供給装置、及び周辺機器が機能的なコンピュータに組み立てられるように保障してきた。例えば、当該下位システムの標準化された位置と構成要素の冷却(例えば、空気の流れ)及び当該下位システムをケーブルと相互接続することに関する実用的な考慮事項だけでなく、美的考慮事項はATX互換コンピュータシステム内でケーブルをルーティングするための従来のアプローチ方式を主導してきた。従来のATX互換電源供給装置は、一般的に電源供給装置のハウジングの前面パネル(front panel)にDC出力コネクタ(例えば、CPU、グラフィックカード、記憶装置及びその他の周辺機器に電源を供給するため)を配置する。このような従来のATX互換電源供給装置において、DC出力コネクタは電源供給装置のハウジングの外側に向かってコンピュータシャーシの前面パネルを向く。従来のATX互換電源供給装置の前面を向くDCコネクタ(forward-facing DC connector)は、(1)マザーボード電源コネクタ、マザーボード、及びそれに関連する構成要素に電力を供給するための24ピンコネクタ、(2)CPU電源コネクタ、中央処理ユニット(CPU)に電力を供給するための4/8ピンCPU電力コネクタ、(3)PCIeコネクタ、グラフィックカード、及び拡張カードに電力を供給するためのPCIeコネクタ、(4)直列ATA(SATA)コネクタ、ストレージデバイス、例えば、ハードドライブ及びソリッドステートドライブに電力を提供するためのSATAコネクタ、及び(5)レガシー周辺機器(legacy peripheral)及び冷却デバイス(例えば、ファン)に電源を供給するためのモレックスコネクタ(Molex Connector)を含む。
【0010】
このような長期的かつ産業全般にわたるATX標準の採択と様々なATX構成要素の既存の具現を通じて、消費者は様々な構成要素が機能的なコンピュータシステムに組み立てられることを知り、様々な供給業者からATX互換構成要素を自信を持って購入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ATX互換電源供給装置用DCコネクタを電源供給装置のハウジングの前面を向くパネルに位置させる産業全般の長い慣行にもかかわらず、開示された電源供給装置はDCコネクタを電源供給装置のハウジングの側面パネルに沿って位置させる。側面パネル上にDCコネクタを提供することによって、ユーザは従来のATX互換電源供給装置に比べてコネクタにより便利にアクセスすることができる。例えば、開示された電源供給装置の場合、ユーザはドライブベイに対して指定された位置に本質的に近い前面を向くパネルにDCコネクタを配置する従来のATX互換電源供給装置に比べて、シャーシの内部または開放された狭い空間に手を深く伸ばす必要がない。また、電源供給装置の側面パネルにDCコネクタを位置させるATX互換電源供給装置はDCコネクタを前面を向くパネルに位置させる従来の電源供給装置に比べてストレイトフォワードケーブルルーティング(straight-forward cable routing)を通じてケーブル管理を向上させることができる。また、開示された電源供給装置によって提供されるストレイトフォワードケーブルルーティングは電源供給装置のハウジングの前面を向くパネルに位置するDCコネクタによって駆動される従来のケーブルルーティングと比較してより良いシステム冷却を促進する。DC接続部をそれらの既存の位置で再配置するにもかかわらず、開示された電源供給装置のレイアウトは指定された電気パラメータ、安全特性及びフォームファクタの寸法を準拠するATX標準の現在及びレガシーバージョンに完全に準拠する。
【0012】
一部の観点において、本明細書に開示の概念は一般的にデスクトップコンピュータのための人体工学的及び高性能電源供給装置に関する。概念は利便性及び簡潔性のためにATX互換実施例と関連して説明する。一部の開示された概念はATX互換構成要素(例えば、電源供給装置、マザーボード、及びシャーシ)に関連している。それにも関わらず、開示された概念は一般的にそのように制限されず、ATX仕様の一部、全部、または全く準拠していない実施例に適応されてもよい。また、開示された概念は任意の他の仕様を準拠していない実施例にも適応されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1態様によると、コンピュータシステム用電源供給装置は対応する印刷回路基板を収容するエンクロージャを含む。エンクロージャは背面パネルと、背面パネルの反対側に位置する前面パネルと、前面パネルと背面パネルとの間に位置する1対の対向側面パネルと、を有する。印刷回路基板は背面エッジ、背面エッジの反対側に位置する前面エッジ、及び1対の対向側面エッジを定義し、それぞれの側面エッジは背面エッジから前面エッジに延長される。印刷回路基板は印刷回路基板の背面エッジ、前面エッジ、及びそれぞれの側面エッジがエンクロージャの背面パネル、前面パネル、及び対向側面パネルのうち1つに対応するエンクロージャ内に配向されている。
【0014】
第1態様によると、印刷回路基板に対するメイン電気入力(mains electricity input)はエンクロージャの背面パネルに隣接して位置する。印刷回路基板に対するメイン電気入力を交流電流(AC)から直流電流(DC)に変換するように構成されたダイオードブリッジが印刷回路基板と結合される。より具体的には、ダイオードブリッジは印刷回路基板の1対の側面エッジのうち1つに隣接して位置する。電気コネクタは印刷回路基板に対してダイオードブリッジの反対側の位置で印刷回路基板と結合される。例えば、電気コネクタは印刷回路基板の1対の側面の他の1つに隣接して位置してもよい。電源供給装置が作動する間、電気コネクタはACメイン入力から変換されたDCの電圧調整された形態を出力する。
【0015】
バックプレート(back plate)は電気コネクタを支持することができる。そして、電気コネクタはダイオードブリッジに隣接する印刷回路基板の側面エッジの反対側のエンクロージャの側面パネルを通じて延長されてもよい。
【0016】
また、一部の電源供給装置の実施例はダイオードブリッジとバックプレートとの間に印刷回路基板と結合された力率補償コイル(power-factor correction coil)を含む。
【0017】
また、一部の電源供給装置の実施例は12VDCを3.3VDC及び5VDCのうち1つまたは両方に変換するように構成されたDC-DCドーターボード(daughter board)を含む。このようなドーターボードは長手方向の軸を定義することができる。同様に、バックプレートは長手方向の軸を定義することができる。一部の電源供給装置の実施例において、DC-DCドーターボードの長手方向の軸はバックプレートの長手方向の軸に対して横方向に配向される。一部の実施例では、ドーターボードの長手方向の軸は印刷回路基板の前面エッジと実質的に平行に配向されてもよい。一部の実施例において、DC-DCドーターボードは印刷回路基板の前面エッジに隣接して位置する。従って、一部の電源供給装置の実施例の場合、ACメイン入力から変換されたDCの電圧調整された形態は+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含んでもよい。例えば、ACメイン入力から変換されたDCの電圧調整された形態は少なくとも1つの+3.3VDC出力、少なくとも1つの+5VDC出力、及び少なくとも1つの+12VDC出力を含んでもよい。
【0018】
一部の電源供給装置の実施例は1つ以上のDC電気コネクタを提供する。例えば、第1態様による電気コネクタは第1DC電気コネクタであってもよく、DCの電圧調整された形態は第1DC電気コネクタに対応するDCの第1電圧調整された形態であってもよい。また、このような電源供給装置は印刷回路基板に対してダイオードブリッジの反対側の位置で印刷回路基板と結合された第2DC電気コネクタを含んでもよい。第2DC電気コネクタはACメイン入力から変換されたDCの第2電圧調整された形態を出力することができる。ACメイン入力から変換されたDCの第1電圧調整された形態と第2電圧調整された形態のそれぞれは3.3VDC出力、5VDC出力、及び12VDC出力のうち1つ以上を含んでもよい。
【0019】
また、一部の電源供給装置の実施例は1対の対向側面エッジから互いに隣接し、側方向の内側(laterally inboard)に印刷回路基板と結合された複数のバルクキャパシタを含む。また、このような電源供給装置は1対の対向側面エッジから側方向の内側に、そして複数のバルクキャパシタに隣接して印刷回路基板と結合されたメイン変圧器を含んでもよい。上述したように、バックプレートは電気コネクタを支持することができる。メイン変圧器と複数のバルクキャパシタはダイオードブリッジとバックプレートとの間に位置してもよい。
【0020】
また、電源供給装置の一部の実施例はインダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイを有するLLC共振回路を含む。インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイはメイン変圧器と複数のバルクキャパシタの間ではなく隣接して位置することができる。例えば、インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイはエンクロージャの背面パネルとメイン変圧器及び複数のバルクキャパシタのうち1つまたは両方の間に位置してもよい。
【0021】
他の態様によると、コンピュータシステムは開示された原理から派生した実施例を統合する。例えば、コンピュータシステムは直流電流(DC)電源入力を受信するための電源コネクタを有するマザーボードを含んでもよい。また、マザーボードはDC電源入力を処理ユニット及びメモリに伝達する回路だけでなく、処理ユニット及びメモリを互いに接続する信号バスを有することができる。また、このようなコンピュータシステムは背面パネル、背面パネルの反対側に位置する前面パネル、及び前面パネルと背面パネルとの間に位置する1対の対向側面パネルを有するエンクロージャを含む。印刷回路基板アセンブリはエンクロージャに位置し、ACメイン電源入力を処理ユニット及びメモリに電源を供給するのに適した1つ以上の電圧調整されたDC出力に整流するように構成される。印刷回路基板アセンブリはエンクロージャの背面パネルに隣接して位置したメイン入力と、1対の側面パネルにおいて側面パネルのうち選択された1つに隣接して位置したDC出力コネクタと、を有する。印刷回路基板アセンブリは追加でメイン電源入力を交流電流から直流電流に変換するように構成されたダイオードブリッジを有する。ダイオードブリッジは1対の側面パネルにおいて側面パネルのうち他の1つに隣接して位置する。また、電気ケーブルはDC出力コネクタ及びマザーボード回路と電気的に結合して1つ以上の電圧調整されたDC出力を処理ユニット及びメモリに電源を供給する。
【0022】
一部のコンピュータシステムの実施例によると、印刷回路基板アセンブリは力率補償コイルとDC出力コネクタを支持するバックプレートを含む。力率補償コイルはダイオードブリッジとバックプレートとの間の印刷回路基板と結合されてもよい。
【0023】
また、コンピュータシステムの実施例は複数のバルクキャパシタ及びメイン変圧器を含んでもよい。複数のバルクキャパシタは互いに隣接して印刷回路基板アセンブリと結合されてもよい。メイン変圧器は複数のバルクキャパシタに隣接する位置で印刷回路基板アセンブリと結合されることができる。メイン変圧器と複数のバルクキャパシタはエンクロージャの対向側面パネルに対してダイオードブリッジ及びバックプレートの側面に内側に位置することができる。
【0024】
コンピュータシステムの実施例はインダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイを有するLLC共振回路を含んでもよい。インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイはメイン変圧器と複数のバルクキャパシタの間ではなく隣接して位置することができる。一部の実施例では、インダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイはエンクロージャの背面パネルとメイン変圧器及び複数のバルクキャパシタのうち1つまたは両方の間に位置する。
【0025】
さらに他の態様によると、コンピュータシステムのための電源供給装置はメイン電気入力(例えば、120VACまたは240VAC)を1つ以上の電圧調整された直流電流(DC)出力に変換するように構成された印刷回路基板アセンブリを含む。印刷回路基板アセンブリはメイン入力を定義し、1つ以上の出力コネクタを含む。1つ以上の出力コネクタのそれぞれは1つ以上の電圧調整されたDC出力の選択に対応する。また、電源供給装置はメイン電気入力を受信するためのメインコネクタを含む。ファンは印刷回路基板アセンブリを通って空気の流れを促進するように配列される。また、電源供給装置はファンと印刷回路基板アセンブリを収容するエンクロージャを有する。エンクロージャは背面パネル、背面パネルの反対側に位置する前面パネル、及び前面パネルと背面パネルとの間に位置する側面パネルを有する。エンクロージャの背面パネルは穴を定義し、メインコネクタはエンクロージャの背面パネルによって定義された穴を通じて延長される。側面パネルは1つ以上の出力コネクタのうち少なくとも1つに対応する少なくとも1つの穴を定義する。
【0026】
一部の実施例では、印刷回路基板アセンブリによって定義されたメイン入力はメインコネクタを含んでもよい。
【0027】
1つ以上の電圧調整されたDC出力は+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含んでもよい。一部の実施例において、DC出力は少なくとも1つの+3.3VDC出力、少なくとも1つの+5VDC出力、及び少なくとも1つの+12VDC出力を含む。
【0028】
一部の実施例では、1つ以上の出力コネクタのうち少なくとも1つは複数の電気導体を含む。複数の電気導体のうち少なくとも1つは+3.3VDC出力に対応し、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+5VDC出力に対応し、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+12VDC出力に対応することができる。
【0029】
1つ以上の出力コネクタはATX互換24ピンマザーボードコネクタに電源を供給するために、+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力にわたって十分な電力を供給するように構成されてもよい。
【0030】
印刷回路基板アセンブリはエンクロージャの前面パネルとエンクロージャの背面パネルとの間に位置する1対の対向側面を定義することができる。また、印刷回路基板アセンブリは1つ以上の出力コネクタを支持するバックプレートと、メイン電気入力を交流電流(AC)から直流電流(DC)に変換するためのダイオードブリッジと、を含んでもよい。バックプレートは印刷回路基板アセンブリの1対の対向側面のうち1つと1つ以上の出力コネクタのうち少なくとも1つに対応する穴を定義する側面パネルに隣接して位置することができる。ダイオードブリッジはバックプレートの反対側の印刷回路基板アセンブリの1対の側面の他の1つに隣接して位置することができる。
【0031】
一部の実施例では、印刷回路基板アセンブリはダイオードブリッジとバックプレートとの間に位置する力率補償コイルをさらに含む。
【0032】
印刷回路基板アセンブリはエンクロージャの前面パネルとエンクロージャの背面パネルとの間に位置する1対の対向側面を定義することができる。また、印刷回路基板アセンブリは互いに隣接して位置する複数のバルクキャパシタ及びメイン変圧器を含んでもよい。メイン変圧器及び複数のバルクキャパシタのそれぞれは印刷回路基板アセンブリの対向側面の側方向の内側に位置することができる。また、印刷回路基板アセンブリはインダクタとハーフブリッジMOSFETのアレイを有するLLC共振回路を含んでもよい。一部の実施例では、インダクタまたはハーフブリッジMOSFETのアレイのいずれもメイン変圧器と複数のバルクキャパシタとの間に位置しない。
【0033】
さらに他の態様によると、コンピュータシステムは直流電流(DC)電源入力を受信するための電源コネクタを有するマザーボードを含む。また、マザーボードは処理ユニットとメモリを相互接続する信号バスだけでなく、DC電源入力を処理ユニット及びメモリに伝達する回路も有する。
【0034】
また、コンピュータシステムはシャーシを含むエンクロージャを有する。マザーボード及びシャーシはエンクロージャ内にマザーボードを取り付けるのに適する相補的な取り付け特徴を有する。
【0035】
また、コンピュータシステムは電源供給装置を含む。電源供給装置及びシャーシはエンクロージャ内に電源供給装置を取り付けるのに適する相補的な取り付け特徴を有する。シャーシは背面パネルを有し、電源供給装置はシャーシの背面パネルに対応する背面パネルを有する。電源供給装置はメイン電気入力を1つ以上の電圧調整された直流電流(DC)出力に変換するように構成された印刷回路基板アセンブリを含む。電源供給装置は印刷回路基板アセンブリに対して電源供給装置の背面パネルの反対側に位置する前面パネルを有する。また、電源供給装置は電源供給装置の前面パネルと電源供給装置の背面パネルとの間に位置する側面パネルを定義する。また、電源供給装置は電源供給装置の背面パネルを通じて延長されるメイン入力コネクタと、電源供給装置の側面パネルを通じて延長される複数のDC出力コネクタと、を含む。
【0036】
また、コンピュータシステムは少なくとも1つのケーブルを含む。ケーブルは第1コネクタから第2コネクタまで延びる複数の電気導体を有する。第1コネクタは第1コネクタとマザーボードの電源コネクタが互いに嵌合できるようにマザーボードの電源コネクタに対して相補的な構成を有する。また、第2コネクタは第2コネクタが複数のDC出力コネクタのうち1つ以上と嵌合できるように電源供給装置の複数のDC出力コネクタのうち1つ以上に対して相補的な構成を有する。
【0037】
一部の実施例において、ケーブルは第1ケーブルであり、複数の導体は第1複数の導体である。マザーボードの電源コネクタは第1マザーボード電源コネクタであってもよく、マザーボードは処理ユニットに電源を提供するように構成された第2マザーボード電源コネクタを有することができる。このような実施例において、また、コンピュータシステムは電源供給装置のDC出力コネクタのうち対応する1つと嵌合するように構成されたコネクタからマザーボードの第2電源コネクタと嵌合するように構成されたコネクタまで延びる複数の第2導体を有する第2ケーブルを含んでもよい。
【0038】
また、電源供給装置はエンクロージャの内部から空気を引き込み、空気が印刷回路基板アセンブリを通過するようにし、シャーシの背面パネルを介して排出させるように構成されたファンを含んでもよい。
【0039】
また、コンピュータシステムの一部の実施例は電源コネクタを含み、マザーボードと作動できるように結合可能なグラフィックカードを含む。コンピュータシステムは電源供給装置のDC出力コネクタのうち対応する1つと嵌合するように構成されたコネクタからグラフィックカードの電源コネクタと嵌合するように構成されたコネクタまで延びる対応する複数の導体を有する追加ケーブルを含んでもよい。
【0040】
一部のコンピュータシステムの実施例では、1つ以上の電圧調整されたDC出力は+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含む。+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上は少なくとも1つの+3.3VDC出力、少なくとも1つの+5VDC出力、及び少なくとも1つの+12VDC出力を含んでもよい。また、1つ以上の出力コネクタのうち少なくとも1つは複数の電気導体を含んでもよく、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+3.3VDC出力に対応し、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+5VDC出力に対応し、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+12VDC出力に対応する。
【0041】
一部の実施例において、マザーボードの電源コネクタはATX互換24ピンマザーボードコネクタである。
【0042】
一部のコンピュータシステムの実施例において、電源供給装置の印刷回路基板アセンブリは電源供給装置の前面パネルと電源供給装置の背面パネルとの間に位置する1対の対向側面を定義することができる。また、印刷回路基板アセンブリは1つ以上の出力コネクタを支持するバックプレートを含んでもよく、ここで、バックプレートは印刷回路基板アセンブリの1対の対向側面のうち1つと複数のDC出力コネクタが延長される側面パネルに隣接して位置する。また、印刷回路基板アセンブリはメイン電気入力を交流電流(AC)から直流電流(DC)に変換するためのダイオードブリッジを含んでもよい。ダイオードブリッジはバックプレートの反対側の印刷回路基板アセンブリの1対の側面のうち他の1つに隣接して位置することができる。
【0043】
また、電源供給装置の印刷回路基板アセンブリはダイオードブリッジとバックプレートとの間に位置する力率補償コイルを含んでもよい。
【0044】
電源供給装置の印刷回路基板アセンブリは電源供給装置の前面パネルと電源供給装置の背面パネルとの間に位置する1対の対向側面を定義することができる。電源供給装置の印刷回路基板アセンブリは互いに隣接して位置する複数のバルクキャパシタ及びメイン変圧器をさらに含んでもよく、メイン変圧器と複数のバルクキャパシタのそれぞれは印刷回路基板アセンブリの対向側面の側方向の内側に位置する。
【0045】
上述の内容及び他の特徴と利点は添付の図面を参照して説明する以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図面を参照すると、同じ数字は複数の図面及び本明細書の全体にわたって同じ部分を指し、現在開示された原理の態様は制限するためではなく例として例示される。
図1】電源供給装置、ドライブベイ及びマザーボードが内部に取り付けられたデスクトップコンピュータシャーシの等角図を概略的に示す。
図2】メイン電気が背面パネルを介して入って複数のDC電源出力が背面パネルの反対側に位置する前面パネルを介して出る従来技術の電源供給装置の分解図を示す。
図3図2に示した従来技術の電源供給装置の印刷回路基板アセンブリのレイアウトを概略的に示す。
図4図5に示した人体工学的な電源供給装置に対する印刷回路基板のレイアウトを概略的に示す。
図5】メイン電気が背面パネルを介して入って複数のDC電源出力が背面パネルに隣接して位置する側面パネルを介して出る人体工学的な電源供給装置の分解図を示す。
図6】本明細書に開示の人体工学的な電源供給装置によって電源を供給され得るコンピューティング環境のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に、コンピュータシステムのための人体工学的及び高効率電源供給装置に関する様々な原理を説明する。例えば、開示された原理の特定態様はATX互換電源供給装置のDC出力のための便利なモジュラー接続部(modular connection)と関連している。即ち、本明細書における特定の装置構成及び方法行為の組み合わせに対する説明は開示された原理の便利な例示として選択された考慮された実施例の特定例に過ぎない。開示された原理のうち1つ以上は様々な他の実施例に統合されて様々な対応するシステム特性のうち任意のものを達成することができる。
【0048】
従って、本明細書で論じた特定例とは異なる属性を有する実施例は1つ以上の現在開示された原理を具現することができ、本明細書で詳細に説明されていない応用分野に使用されることができる。そのため、その代案的な実施例も本開示の範囲内に含まれる。
【0049】
I.概要
【0050】
従来のATX互換電源供給装置は背面パネルを介してメイン電気を受信し、前面パネル、即ち、コンピュータエンクロージャ(computer’s enclosure)の深い内部に位置する背面パネルの反対側を介してDC出力を提供する。前面パネルのDC出力を有する従来のATX電源供給装置のレイアウトは依然として効果的であり、広範囲に使用することができるが、長い間解決されていない問題も有する。例えば、前面パネル上のDCコネクタの位置はコンピュータエンクロージャの深い内部にあるDCコネクタへのアクセス困難を招くだけでなく、空気の流れを妨げずにケーブルを様々なサブシステムにルーティングすることや全体システムの冷却を減少させることに困難を招くことができる。また、このような従来の配列は固有のフォームファクタまたは構成を有するコンピュータシステムに最適でない可能性がある。
【0051】
図1は代表的なデスクトップコンピュータシステム50を概略的に示す。コンピュータシステム50はシャーシ52と本体パネル(不図示)を有するエンクロージャを含む。本体パネルはシステム設計者が外部カスタマイズ(external customization)またはその他の美的品質(例えば、ブランディング)を提供する機会を提供することができる。シャーシ52は前面パネル51及び背面パネル53を定義し、例えば、背面パネル付近の電源供給装置54、側面パネル付近のマザーボード56、前面パネル51付近のドライブベイ58、及びマザーボードと結合された拡張カード(不図示)などのサブシステムの構成要素を支援するためのフレームワークを提供する。図1には電源供給装置54の側面パネル60から出てマザーボードの構成要素に電源を供給するためにマザーボード56と接続されるケーブル57が示されている。様々なサブシステムの構成要素の配列(例えば、位置及び配向)は一般的にATX3.0標準に対応する。もちろん、本明細書に開示された原理から外れずに他のサブシステムの配列も可能である。図示された実施例とは対照的に、電源供給装置54が従来の方式で具現される場合、様々なサブシステムの構成要素(マザーボードを含む)に電源を供給するためのケーブルは図示されたように側面パネル60ではない電源供給装置54の前面パネル55から出るだろう。
【0052】
II.代表的な負荷
【0053】
一般的なコンピュータシステムは電源供給装置によって電源を供給されなければならない様々な負荷を有する。例えば、マザーボードとその構成要素は一般的にATX互換24ピンコネクタを介してATX仕様に応じて電源の供給を受ける。このコネクタはマザーボードのための基本電源コネクタであり、+3.3V、+5V、+12V、-12V、及び+5V待機(standby)を含む様々な電圧レール(voltage rail)を含む。一部のマザーボードは特定のサブシステム、例えば、処理ユニットに電源を供給するための1つ以上の補助電源コネクタを含む。一部の実施例において、マザーボードは処理ユニット、例えば、中央処理ユニット(CPU)に専用の電源を提供するための4ピンまたは8ピンコネクタを含む。一部の開示された電源供給装置は当該ATX互換24ピンマザーボードコネクタ、及び4ピン及び8ピンコネクタに電源を供給するのに適した1つ以上のDC出力接続部を含む。
【0054】
また、一部のコンピュータシステムは特定機能、例えば、向上したグラフィック処理、入力及び出力通信、及び制御システムのための電源接続部などを提供するための拡張カードを含む。当該拡張カードは専用の電源コネクタ、例えば、PCIeコネクタを含んでもよい。一部の開示された電源供給装置は1つ以上のPCIeコネクタに電源を供給するのに適した1つ以上のDC出力接続部を含む。また、一部のコンピュータシステムはマザーボード及び拡張カードとは別途で電源が必要な記憶装置、例えば、ソリッドステートドライブ(solid-state drive)を含む。当該記憶装置は電源を受信するためのいわゆるSATAコネクタを含むこともある。一部の開示された電源供給装置は1つ以上のSATAコネクタに電源を供給するのに適した1つ以上のDC出力接続部を含む。また、一部のコンピュータシステムはレガシー周辺機器及び冷却システムを含み、これらのそれぞれは別途の電源接続部が必要である。しばしば、いわゆるMolexコネクタはレガシー周辺機器及び冷却システムに電源を供給するために使用され、一部の開示された電源供給装置は1つ以上のMolexコネクタに電源を供給するのに適した1つ以上のDC出力接続部を含む。
【0055】
前面パネル上のDC接続部の従来の配置は、ユーザがケーブルをコンピュータケース内の適切な構成要素に容易かつ効率的にルーティングすることができるため、アクセスしやすく、ケーブルの管理が容易である。また、標準化されたアプローチ方式を提供してATX電源供給装置を収容するように設計された殆どのコンピュータケースとの互換性を保障する。このアプローチ方式は数十年間効果があった。
【0056】
III.電源供給装置の設計上の考慮事項及び従来のレイアウト
【0057】
デスクトップコンピュータのための一般的なATX電源供給装置を設計するためには、ATX指定形態、適合性及び機能を準拠しながら外部からアクセスできるDC接続部の位置及び配向だけでなく、電源供給装置の印刷回路基板アセンブリにある様々な構成要素の位置と配向を慎重に考慮しなければならない。ATX互換電源供給装置は標準化された寸法に収めて、そのATX互換電源供給装置が標準ATX互換コンピュータシャーシにうまく収まるようにする。ATX互換電源供給装置のエンクロージャの一般的な寸法の範囲は、長さが約150mm~約200mm(前面パネルから背面パネルまで)、幅が約150mm(例えば、前面パネルと背面パネルとの間の側面パネルの間)、高さが約85mm(例えば、前面パネルと背面パネルとの間の上端パネルと下端パネルの間)である。また、ATX仕様は互換されるコンピュータシャーシ内に電源供給装置を組み立てるための標準化されたネジを収容することができる取り付け穴に対する特定位置及びサイズを識別する。
【0058】
電源供給装置の印刷回路基板アセンブリの適切なレイアウトは、例えば、AC入力、整流、及びフィルタリングのような高電圧構成要素と、例えば、DC-DCコンバータ及び出力コネクタのような低電圧構成要素との間の明確な分離及び隔離を保障しなければならない。例えば、高電圧構成要素は電気的危険(electrical hazard)を防ぐために低電圧セクションから遠く配置されなければならない。また、例えば、IEC C14などのAC入力コネクタはメイン電源への容易なアクセス及び接続のために、一般的に電源供給装置の背面パネルに外側を向くように位置する。このような周知の設計上の考慮事項を容易にするために、従来の電源供給装置は電源供給装置の背面パネルを介したAC入力と電源供給装置の前面パネルを介したDC出力をルーティングし、様々な電源供給構成要素(例えば、整流器、変圧器及びフィルタ)は実質的にそれらの間で線形にルーティングされる。
【0059】
以下では、図2及び図3を参照して、従来の方法において当該設計上の考慮事項を考慮した従来の電源供給装置のレイアウトを簡単に説明する。図2では、電源供給装置100はファスナ102’と一緒に固定されたトレイ102とカバー104を有する2ピースエンクロージャ(two-piece enclosure)を有する。また、電源供給装置は印刷回路基板アセンブリ110及び冷却ファン120を含む。トレイ102は前面パネル101及び背面パネル103を有する。前面パネルはトレイ102内に嵌め込む印刷回路基板アセンブリのDC出力コネクタ112を収容するための複数の穴106を定義する。電源供給装置100の背面パネル103は電源供給装置をメイン電源に接続するためのAC入力コネクタ105を有する。冷却ファン120は印刷回路基板アセンブリ110の上端の上に位置してファンの排気が印刷回路基板アセンブリの様々な構成要素の上を向かうようにする。背面パネル103はEMI放射を遮断しながらファンからの空気の流れが抜け出るように十分に開放された通気口を定義する。カバー104は通風できる上端側面108と下側に延びる側壁107、109を含む。側壁107及び109は電源供給装置内の空気の流れとEMI放射を部分的に制限するソリッドパネルである。
【0060】
ここで、図3を参照して、印刷回路基板アセンブリ110の従来のレイアウトを説明する。図3において、メイン入力105と背面パネル103は図面の左側に示されており、前面パネル101とDC出力コネクタ112は図面の右側に示されている。印刷回路基板アセンブリ110の様々な電源供給ステージの相対的な物理的位置は下記表1のように番号が付されたブロックを使用して示されている。
【0061】
【表1】
【0062】
図3に示すように、従来の電源供給装置100の様々な機能ステージは背面パネル103のAC入力から前面パネル101のDC出力まで線形に配列される。
【0063】
IV.人体工学的な電源供給装置のレイアウト
【0064】
開示された電源供給装置は従来の電源供給装置と関連して上述したのと類似または同じ電源供給装置のステージを有することができるが、開示された電源供給装置はDC接続部のための側面パネル出口(side-panel exit)を容易にするために互いに異なるレイアウトを有する。また、開示された電源供給装置は従来の電源供給装置と類似する寸法化されたエンクロージャを有することができるが、エンクロージャの配列及び特徴は実質的に異なってもよい。
【0065】
例えば、図2及び図3のような従来の電源供給装置とは対照的に、開示された人体工学的な電源供給装置は印刷回路基板アセンブリの革新的なレイアウトを通してDC出力に対するより便利なアクセスを提供しながら従来の電源供給装置の効率性及び高性能を保持する。開示された電源供給装置は電源供給装置の側面パネルに位置した共通して求められるDC出力を有することができ、これはコンピュータのエンクロージャの深い内部の背面パネルより遥かに容易にアクセスすることができる。例えば、図1を再び参照すると、開示された電源供給装置からのDC出力は従来の電源供給装置と異なって、前面パネル55ではない側面パネル60または側面パネル61から出ることができる。この新しい配列は従来の電源供給装置の配列に比べて改善されたケーブル管理、例えば、より便利なケーブルルーティング、冷却効率性、及び様々なコンピュータケースのフォームファクタとの互換性を提供する。よりきれいなケーブルルーティングを提供することによって、全般的なシステム美観も従来の電源供給装置より改善される。また、開示された電源供給装置はコンピュータシステムに共通して使用される様々なDC出力電圧に対して嵌合可能及び分離可能な電気コネクタを提供することによって、ある程度のモジュール化(modularity)を提供してユーザがシステムにある負荷に必要なケーブルのみを含むようにすることができ、美観を妨げ、冷却及びその他のシステムと干渉し得る過度な未使用ケーブルを除去する。
【0066】
ここで、図4及び図5を参照すると、電源供給装置200はメイン電気入力(例えば、120VACまたは240VAC)を1つ以上の電圧調整された直流電流(DC)出力に変換するように構成された印刷回路基板アセンブリ210を含む。印刷回路基板アセンブリ210はメイン入力を定義し、1つ以上の出力コネクタ212を含む。1つ以上の出力コネクタ212のそれぞれは1つ以上の電圧調整されたDC出力の選択に対応する。また、電源供給装置200はメイン電気入力を受信するためのメインコネクタ205を含む。ファン220(図5)は印刷回路基板アセンブリ210を通って空気の流れを促進するように配列される。また、電源供給装置200はファン220と印刷回路基板アセンブリ210を収容するエンクロージャを有する。図5に示すように、エンクロージャは背面パネル203と、背面パネルの反対側に位置する前面パネル201と、前面パネルと背面パネルとの間に位置する側面パネル207、209と、を有する。エンクロージャの背面パネル203は穴を定義し、メインコネクタ205はエンクロージャの背面パネルによって定義された穴を通じて延長される。側面パネル207は1つ以上の出力コネクタ212のうち少なくとも1つに対応する少なくとも1つの穴206を定義する。一部の実施例では、印刷回路基板アセンブリによって定義されたメイン入力はメインコネクタ205を含んでもよい。
【0067】
例示された電源供給装置200のエンクロージャはトレイ202と、モジュラー側面パネル207と、上端側面208と側面パネル209を有するモジュラーカバーと、を含む。トレイ202、モジュラー側面パネル207、及びモジュラーカバーが組み立てられるとき、モジュラーカバーのフランジ231は背面パネル203によって定義される対応及び相補的な形状の凹部内に嵌め込まれてもよい。ファスナ202’は背面パネル203の穴とフランジ231の穴を通って延長されてフランジ231を背面パネル203と固定させることができる。同様に、モジュラー側面パネル207はトレイ202によって定義される1つ以上(例えば、複数)のフランジ231に置かれてもよく、ファスナ202’はモジュラー側面パネル207をトレイ202と固定させることができる。また、上端パネル208はモジュラー側面パネル207によって定義された対応するU字形チャネル207’内に嵌め込まれるフランジまたはタブ208を定義することができ、上端側面208及びモジュラー側面パネル207との間のシーム(seam)を前面パネル201から背面パネル203まで長手方向に固定させる。モジュラー側面パネル207は印刷回路基板アセンブリの1つ以上のDC出力コネクタ212にそれぞれ対応する複数の穴206を定義することができる。
【0068】
1つ以上の電圧調整されたDC出力212は+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力のうち1つ以上を含んでもよい。一部の実施例では、DC出力は少なくとも1つの+3.3VDC出力、少なくとも1つの+5VDC出力、及び少なくとも1つの+12VDC出力を含む。一般的に言うと、開示された人体工学的な電源供給装置の実施例は、デスクトップコンピュータシステムにおける従来の電源コネクタ、例えば、マザーボード電源コネクタ、CPU電源コネクタ、グラフィック及びその他の拡張カードのための電源コネクタ、例えば、ソリッドステートストレージドライブ(Solid State Storage Drive)などのストレージドライブのための電源コネクタに十分な電力を伝達するのに適したピンアウトをそれぞれ有する複数の出力コネクタ、レガシー周辺機器及びファンだけでなく、例えば、最終ユーザが望むLED照明及びその他の周辺機器のようなその他の周辺機器を含む。
【0069】
一部の実施例において、出力コネクタは複数の電気導体を含む。複数の電気導体の少なくとも1つは+3.3VDC出力に対応し、複数の電気導体のうち少なくとも1つは+5VDC出力に対応し、複数の電気導体の少なくとも1つは+12VDC出力に対応することができる。
【0070】
1つ以上の出力コネクタはATX互換24ピンマザーボードコネクタに電源を供給するために+3.3VDC出力、+5VDC出力、及び+12VDC出力にわたって十分な電力を供給するように構成されてもよい。
【0071】
続けて図4及び図5を参照すると、印刷回路基板アセンブリ210はエンクロージャの前面パネル201とエンクロージャの背面パネル203との間に位置し、側面パネル209及び207にそれぞれ対応する1対の対向側面211、213を定義することができる。説明のために、図4に示す印刷回路基板アセンブリ210の平面図は一般的に図5に示す矢印250に沿った位置から見たものである。印刷回路基板アセンブリ210は1つ以上の出力コネクタ212を支持するバックプレート18と、メイン電気入力を交流電流(AC)から直流電流(DC)に変換するためのダイオードブリッジ2と、を含んでもよい。バックプレート18は印刷回路基板アセンブリ210の側面213と出力コネクタ212が延長される穴206を定義する側面パネル207に隣接して位置してもよい。図示された実施例において、ダイオードブリッジ2はバックプレート18及び側面213の反対側の印刷回路基板アセンブリの他の側面211に隣接して位置する。
【0072】
一部の実施例では、図4及び図5に示すように、印刷回路基板アセンブリ210はダイオードブリッジ2とバックプレート18との間に位置した力率補償コイル4をさらに含む。
【0073】
また、図4及び図5に示すように、開示された印刷回路基板アセンブリ210は互いに隣接して位置した複数のバルクキャパシタ6及びメイン変圧器7を含んでもよい。メイン変圧器7と複数のバルクキャパシタ6のうち1つまたは両方は図4に示すように印刷回路基板アセンブリ210の対向側面211、213の側方向の内側に位置してもよい。図4において、メイン変圧器7と複数のバルクキャパシタ6はダイオードブリッジ2とバックプレートとの間に位置する。より具体的には、メイン変圧器7と複数のバルクキャパシタ6は力率補償コイル4とバックプレート18との間に位置する。また、印刷回路基板アセンブリ210はインダクタ11とハーフブリッジMOSFET12のアレイを有するLLC共振回路を含んでもよい。図4及び図5に示す実施例を含む一部の実施例では、インダクタ11またはハーフブリッジMOSFETのアレイ12のいずれもメイン変圧器7と複数のバルクキャパシタ6との間に位置しない。むしろ、インダクタ11とハーフブリッジMOSFET12はメイン変圧器7とバルクキャパシタ6に隣接して位置する。より具体的には、図4に示す実施例においてインダクタ11及びハーフブリッジMOSFET12は背面パネル203とメイン変圧器7及びバルクキャパシタ6のうち1つまたは両方の間に位置する。また、図4に示す実施例では、12VDCを3.3VDC及び5VDCに変換するためのDC-DCドーターボード16は前面パネル201に隣接して位置し、バックプレート18に対して横方向に配向される。例えば、図4に示されたドーターボード16はエンクロージャの前面パネル201に平行であり、側面パネル213に平行なバックプレート18によって定義された類似する長手方向の軸に横方向に配向される長い主軸を定義する。
【0074】
このような変更されたレイアウトで、本発明者らは側面パネル207を介して出るDC出力コネクタ212を提供するとともに、メイン電気のATX互換整流を安定したDC出力電圧、例えば、12VDC、5VDC及び3.3VDCで提供する方法を見出した。一般的に図4及び図5に示され本明細書に説明されたようなレイアウトは従来の電源供給装置の効率性及び高性能を保持しながらもDC出力212に対するより便利なアクセスを可能にする人体工学的な電源供給装置を提供することができる。当該電源供給装置は前面パネルを介してのみDC出力を提供する従来のATX互換電源供給装置に比べてユーザの利便性を実質的に向上させ、本明細書に説明された他の利点を提供する。
【0075】
VI.コンピューティング環境
【0076】
図6は開示された人体工学的な電源供給装置を統合し、これにより利益が得られるコンピューティング環境90(例えば、コンピュータシステム)の一般化された例を示す。コンピューティング環境90はそれぞれの技術が様々な汎用または特殊目的の実施例で具現されることができるため、本明細書に開示された技術の使用範囲または機能に対する任意の制限を提示するためのものではない。例えば、開示されたそれぞれの技術はマルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサ基盤またはプログラミング可能な家電製品、組み込みプラットフォーム(embedded platform)、ネットワークコンピュータ、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータ、データセンター、オーディオ機器などを含む他のコンピュータシステムの構成で具現されてもよい。
【0077】
コンピューティング環境90は少なくとも1つの中央処理ユニット91とメモリ92を含む。図6において、このような最も基本的な構成93は点線内に含まれる。中央処理ユニット91はコンピュータ実行可能な命令語を実行し、実際または仮想プロセッサであってもよい。マルチプロセッシングシステムまたはマルチコア中央処理ユニットにおいて、複数の処理ユニットはコンピュータ実行可能な命令語(例えば、スレッド)を実行して処理速度を増加させ、これにより、処理ユニット91が単一機能ブロックとして表現されるにもかかわらず、複数のプロセッサを同時に実行することができる。処理ユニットはアプリケーション特定集積回路(ASIC)、汎用のマイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号コントローラ、または命令語を処理するように配列されたハードウェア論理構造のセットを含んでもよい。処理ユニット91は汎用マザーボードコネクタまたは専用電源コネクタから電力の供給を受けることができる。
【0078】
メモリ92は揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、RAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリなど)、またはこれらの組み合わせであってもよい。メモリ92はプロセッサ、例えば、処理ユニット91によって実行されるとき、例えば、本明細書に説明された技術のうち1つ以上を具現することができるソフトウェア98aを保存する。
【0079】
コンピューティング環境は追加の特徴を有することができる。例えば、コンピューティング環境90はストレージ94、1つ以上の入力デバイス95、1つ以上の出力デバイス96、及び1つ以上の通信接続部97を含む。バス、コントローラ、またはネットワークなどの相互接続メカニズム(不図示)はコンピューティング環境90の構成要素を相互接続する。典型的に、オペレーティングシステムソフトウェア(不図示)はコンピューティング環境90で実行される他のソフトウェアに対するオペレーティング環境を提供し、コンピューティング環境90の構成要素の活動を調整する。このような付加的な特徴は開示された人体工学的な電源供給装置から直接的に、または、例えば、マザーボードなどの中間構成要素から間接的に電力を引き出すことができる。
【0080】
ストレージ94は取り外し可能または取り外し不可能であってもよく、機械判読可能なメディアの選択された形態を含んでもよい。一般的に、機械判読可能なメディアは磁気ディスク、磁気テープまたはカセット、不揮発性固体メモリ、CD-ROM、CD-RW、DVD、磁気テープ、光学データストレージデバイス、及びキャリアウェーブ(carrier wave)、または情報の保存に使用することができ、コンピューティング環境90内でアクセスできる任意の他の機械判読可能な媒体を含む。ストレージ94は本明細書に説明された技術を具現することができるソフトウェア98bに対する命令語を保存することができる。
【0081】
また、ストレージ94はソフトウェア命令語が分散方式で保存され実行されるようにネットワークを通じて分散されてもよい。他の実施例では、このような動作の一部はハードワイヤードロジック(hardwired logic)を含む特定ハードウェアの構成要素によって実行されてもよい。当該動作は代案としてプログラムされたデータ処理の構成要素と固定されたハードワイヤ回路の構成要素の任意の組み合わせによって実行されてもよい。ストレージ94は開示された人体工学的な電源供給装置から直接電力を引き出すか、または、例えば、マザーボードなどの中間構成要素から間接的に電力を引き出すことができる。
【0082】
入力デバイス95はキーボード、キーパッド、マウス、ペン、タッチスクリーン、タッチパッドまたはトラックボールなどのタッチ入力デバイス、マイクロフォントランスデューサ、音声認識ソフトウェア及びプロセッサなどの音声入力デバイス、スキャニングデバイス、またはコンピューティング環境90に入力を提供する他のデバイスのうち1つ以上であってもよい。オーディオの場合、入力デバイス95はマイクロフォンまたは他のトランスデューサ(例えば、アナログまたはデジタル形態のオーディオ入力を収容するサウンドカードまたは類似するデバイス)、またはオーディオサンプルをコンピューティング環境90に提供するコンピュータ判読可能なメディアリーダ(media reader)を含んでもよい。当該入力デバイスは開示された人体工学的な電源供給装置から直接的に電力を引き出すか、または、例えば、マザーボードなどの中間構成要素から間接的に電力を引き出すことができる。
【0083】
出力デバイス96はディスプレイ、プリンタ、スピーカトランスデューサ、DVDライタ、またはコンピューティング環境90から出力を提供する他のデバイスのうちの任意の1つ以上であってもよい。当該出力デバイスは開示された人体工学的な電源供給装置から直接的に電力を引き出すか、または、例えば、マザーボードなどの中間構成要素から間接的に電力を引き出すことができる。
【0084】
通信接続部97は通信媒体(例えば、接続ネットワーク)を介してまたはそれを介して他のコンピューティング個体との通信を可能にする。通信接続部は近距離通信網(LAN)、広域通信網(WAN)接続部、またはその両方を介して通信するのに適した送信機及び受信機を含んでもよい。LAN及びWAN接続部は有線接続または無線接続部によって促進されることができる。LANまたはWAN接続部が無線である場合、通信接続部は1つ以上のアンテナまたはアンテナアレイを含んでもよい。通信媒体はコンピュータ実行可能な命令語、圧縮されたグラフィック情報、処理された信号情報(処理されたオーディオ信号を含む)、または変調されたデータ信号の他のデータなどの情報を伝達する。いわゆる有線接続部のための通信媒体の例には光ファイバケーブルと銅線がある。無線通信のための通信媒体は1つ以上の選択された周波数帯域内に電磁放射線を含んでもよい。このような通信接続部は開示された人体工学的な電源供給装置から直接的に電力を引き出すか、または、例えば、マザーボードなどの中間構成要素から間接的に電力を引き出すことができる。
【0085】
VII.その他の実施例
【0086】
上述した実施例は、一般的にコンピュータシステムに電源を供給するための人体工学的な電源供給装置に関する。それにもかかわらず、上述の説明は当業者が開示された原理を作成または使用することできるように提供される。詳細に上述したこと以外の実施例は、本開示の精神または範囲から外れず、本明細書に開示された原理に基づいてそれぞれの装置の構成に任意に伴われる変更または本明細書に説明された方法動作の順序変更と一緒に考慮される。本明細書に説明された例に対する様々な修正は当業者には容易且つ明確であろう。
【0087】
方向及び他の相対的な参照(例えば、上、下、上端、下端、左側、右側、後側、前側など)は本明細書の図面及び原理に対する議論を容易にするために使用することができるが、制限するためのものではない。例えば、「上」、「下」、「上部」、「下部」、「水平」、「垂直」、「左側」、「右側」などの特定用語を使用することができる。これらの用語は、適用可能な場合、特に例示された実施例と関連して相対的な関係を扱うときに説明の明確性を提供するために使用される。しかし、これらの用語は絶対的な関係、位置、及び/または配向を示唆するものではない。例えば、物体に関して、「上部」の表面は単に物体を反転するだけで「下部」の表面になることができるが、これは依然として同じ表面であり、物体は同一に保持される。本明細書で使用される「及び/または」は、「及び」または「または」だけでなく、「及び」及び「または」を意味する。さらに、本明細書に引用されたすべての特許及び非特許文献はすべての目的のためにその全体が参考として本明細書に含まれる。
【0088】
そして、当業者は本明細書に開示された例示的な実施例が開示された原理から外れずに様々な構成及び/または用途に適応され得ることが理解できるであろう。本明細書に開示された原理を適用すると、コンピュータシステム、及び関連方法及びシステムのための様々な人体工学的及び高効率電源供給装置を提供することができる。例えば、任意の特定例と関連して上述した原理は本明細書に説明された他の例と関連して説明した原理と組み合わせることができる。従って、当業者に知られているか、後で知られるようになる本開示の内容の全体にわたって説明された様々な実施例の特徴及び方法行為に対するすべての構造的及び機能的等価物は本明細書に説明された原理及び請求される特徴及び行為によって包括されるものである。従って、特許請求の範囲またはこの詳細な説明は制限的な意味で解釈されず、本開示の内容を検討した後、当業者は本明細書に説明された様々な概念を用いて考案できる非常に多様な実施例が理解できるであろう。
【0089】
さらに、本明細書に開示された如何なる内容もそのような開示が特許請求の範囲に明示的に引用されているかどうかにかかわらず、大衆に提供されることを意図しない。如何なる請求特徴も、その特徴が「~のための手段」または「~のための段階」という句を使用して明示的に言及しない限り、その用途にのみ制限されると解釈されない。
【0090】
添付の特許請求の範囲は本明細書に示される実施例に制限されるものではなく、特許請求の範囲の言語と一致する全体範囲によるものであり、ここで、「1つ」または「一」の使用などの単数形の特徴を指すのは特に言及しない限り、「1つだけ」を意味するのではなく、「1つ以上」を意味するものである。また、開示された原理が適用され得る数多くの可能な実施例を考慮して、本出願人は当業者によって理解されるように本出願の出願または本出願の利益または優先権を請求するすべての請求項において文字通り及び同等に引用された組み合わせだけでなく、例えば、上述の説明の範囲及び精神内にあるすべてを請求する権利を含み、特に添付の特許請求の範囲において排他的ではないが、これに限定されないすべての機能及び技術の組み合わせを請求する権利を留保する。
【符号の説明】
【0091】
50 デスクトップコンピュータシステム
51 前面パネル
52 シャーシ
53 背面パネル
54 電源供給装置
55 電源供給装置の前面パネル
56 マザーボード
57 ケーブル
58 ドライブベイ
60,61 電源供給装置の側面パネル
90 コンピューティング環境
91 処理ユニット
92 メモリ
93 最も基本的な構成
94 ストレージ
95 入力デバイス
96 出力デバイス
97 通信接続部(接続コネクタ)
98a,98b ソフトウェア
100 電源供給装置
101 前面パネル
102 トレイ
102’ ファスナ
103 背面パネル
104 カバー
105 AC入力コネクタ
106 穴
107 側壁
108 上端側面
109 側壁
110 印刷回路基板アセンブリ
112 DC出力コネクタ
120 冷却ファン
200 電源供給装置
201 前面パネル
202 トレイ
202’ ファスナ
203 背面パネル
205 メインコネクタ
206 穴
207 モジュラー側面パネル
208 上端側面
209 側面パネル
210 印刷回路基板アセンブリ
211 対向側面
212 出力コネクタ
213 対向側面
220 ファン
231 フランジ
250 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6