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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026332
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】高周波皮膚美容装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/06 20060101AFI20250214BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20250214BHJP
【FI】
A61N1/06
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106566
(22)【出願日】2024-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2023-0104228
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524250547
【氏名又は名称】フォーエステック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】オム、テミン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB13
4C053DD03
4C053JJ24
4C053JJ33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高周波を用いた皮膚施術後の皮膚火傷を防止することができる高周波皮膚美容装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様による高周波皮膚美容装置は、電力を供給されて高周波電流を出力する高周波発生部120と、高周波発生部120から出力された高周波電流を交互磁場(alternating magnetic field)に変換するコイル部130と、交互磁場によって加熱されて皮膚に接触することによって皮膚治療を行う複数のニードルを備えるニードルアセンブリー150と、ニードルアセンブリー150を移動させて、ニードルアセンブリー150を皮膚に挿入させる移動部140と、高周波発生部120および移動部140を制御するコントローラー160と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給されて高周波電流を出力する高周波発生部と;
前記高周波発生部から出力された高周波電流を交互磁場(alternating magnetic field)に変換するコイル部と;
前記交互磁場によって加熱されて皮膚に接触することによって皮膚治療を行う複数のニードルを備えるニードルアセンブリーと;
前記ニードルアセンブリーを移動させて、前記ニードルアセンブリーを皮膚に挿入させる移動部と;
前記高周波発生部および移動部を制御するコントローラーと;を含む高周波皮膚美容装置。
【請求項2】
前記コイル部は、
基板と;
前記基板上に配置されるコイルと;
前記コイルの間に前記複数のニードルが貫通する複数の貫通ホールと;を含むことを特徴とする請求項1に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項3】
前記基板は、
不導体で形成され、一面が施術時にユーザの皮膚に接する密着面であり、他面が前記コイルに配置されることを特徴とする請求項2に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項4】
前記複数の貫通ホールは、
所定間隔で離隔して格子状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項5】
前記コイル部は、
ハンドピースケースの前端部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項6】
前記複数のニードルそれぞれは、
不導体で構成され、上端部が前記移動部と連結される円形棒部と;
前記円形棒部と連結され、前記コイル部から発生した交互磁場によって熱を発生する発熱部と;を含むことを特徴とする請求項1に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項7】
前記発熱部は、
伝導体で構成され、前記交互磁場によって流れる電流を渦電流損およびヒステリシス損によって熱に変換することを特徴とする請求項6に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項8】
前記発熱部から発生した熱は、前記円形棒部に伝達されず、前記発熱部と接触した真皮層の部分に熱エネルギーに伝達されることによって、皮膚を治療することを特徴とする請求項6に記載の高周波皮膚美容装置。
【請求項9】
前記ニードルアセンブリーの複数のニードルは、互いに同じ長さを有することを特徴とする請求項1に記載の高周波皮膚美容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波皮膚美容装置に関し、より詳細には、高周波を用いた皮膚施術後の皮膚火傷を防止することができる高周波皮膚美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、表皮層と真皮層と皮下脂肪層からなっている。表皮層は、細菌などの侵入を防止し、体内の水分が外に出てしまうことを遮断し、真皮層は、コラーゲンとエラスチンなどの線維性タンパク質と基質を含み、表皮層に栄養を提供する役割をする。また、皮下脂肪層は、真皮層の下部に位置し、外部から入る圧力や衝撃を吸収し、体温を維持させる機能をする。
【0003】
このような皮膚は、老化が進むにつれて徐々に弾力が低下し、シワが生ずるが、その理由は、概して、真皮層内部のコラーゲンとエラスチンと基質の量が減少し、水分量が減少するためである。
【0004】
皮膚の小ジワ、毛穴、老化、傷跡などを改善するために、真皮層に電気エネルギーを伝達する電極を挿入して高周波エネルギーを直接印加する高周波皮膚美容方法を用いている。高周波皮膚美容技術は、細いニードル(針)を電極として用いて周波数を有する電気的エネルギーを人体に直接印加し、この際、ニードル(針)と皮膚が接触する部分で電気エネルギーが熱エネルギーに転換され、転換された熱エネルギーが皮膚成長因子であるコラーゲンとエラスチン再生を刺激する方式である。
【0005】
しかしながら、従来の高周波皮膚美容方法は、電極に用いられるニードル(針)に熱が発生することによって、ニードル(針)の周辺の皮膚に熱が発生し、施術後に施術部位が赤く変わったり、皮膚に弱い火傷をしたりするなど後遺症が発生する問題がある。
【0006】
本発明の背景技術は、特許文献1(発行日:2012年3月19日)の「高周波を用いた皮膚施術装置」に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1124675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高周波を用いた皮膚施術後の皮膚火傷を防止することができる高周波皮膚美容装置を提供することにある。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による高周波皮膚美容装置は、電力を供給されて高周波電流を出力する高周波発生部と、前記高周波発生部から出力された高周波電流を交互磁場(alternating magnetic field)に変換するコイル部と、前記交互磁場によって加熱されて皮膚に接触することによって皮膚治療を行う複数のニードルを備えるニードルアセンブリーと、前記ニードルアセンブリーを移動させて、前記ニードルアセンブリーを皮膚に挿入させる移動部と、前記高周波発生部および移動部を制御するコントローラーと、を含む。
【0011】
本発明において前記コイル部は、基板と、前記基板上に配置されるコイルと、前記コイルの間に前記複数のニードルが貫通する複数の貫通ホールと、を含んでもよい。
【0012】
本発明において前記基板は、不導体で形成され、一面が施術時にユーザの皮膚に接する密着面であり、他面が前記コイルに配置されてもよい。
【0013】
本発明において前記複数の貫通ホールは、所定間隔で離隔して格子状に形成されてもよい。
【0014】
本発明において前記コイル部は、ハンドピースケースの前端部に配置されてもよい。
【0015】
本発明において前記複数のニードルそれぞれは、不導体で構成され、上端部が前記移動部と連結される円形棒部と、前記円形棒部と連結され、前記コイル部から発生した交互磁場によって熱を発生する発熱部と、を含んでもよい。
【0016】
本発明において前記発熱部は、伝導体で構成され、前記交互磁場によって流れる電流を渦電流損およびヒステリシス損によって熱に変換することができる。
【0017】
本発明において前記発熱部から発生した熱は、前記円形棒部に伝達されず、前記発熱部と接触した真皮層部分に熱エネルギーに伝達されることによって、皮膚を治療することができる。
【0018】
本発明において前記ニードルアセンブリーの複数のニードルは、互いに同じ長さを有することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置は、ニードルの円形棒部では熱が発生せず、ニードル先端の発熱部だけで熱が発生することによって、施術後に発生しうる皮膚火傷または赤く変わる現象を防止することができる効果がある。
【0020】
また、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置は、電気的エネルギーを、高周波誘導熱技術を用いて皮膚の内部に熱エネルギーとして伝達することによって、皮膚組織の再生および皮膚美容効果を増進させる効果がある。
【0021】
なお、本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、以下で説明する内容から通常の技術者に自明な範囲内で多様な効果が含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置の構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置のハンドピースを示す斜視図である。
図3】本実施形態による高周波皮膚美容装置の前端部を説明するための例示図である。
図4】本発明の一実施形態によるコイル部を説明するための例示図である。
図5】本発明の一実施形態によるコイル部の貫通ホールを説明するための例示図である。
図6】本発明の一実施形態によるニードルを説明するための例示図である。
図7】本発明の一実施形態によるニードルが真皮層の内部に熱エネルギーを出力する姿を説明するための例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置を説明する。この過程で図面に示された線の厚さや構成要素のサイズなどは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されていてもよい。
【0024】
また、本明細書において使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本開示を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを説明しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0025】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素の説明に使用され得るが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0026】
以下、本発明による実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明することとし、添付の図面を参照して説明するに際して、同一または対応の構成要素は、同じ図面番号を付与し、これに関する重複説明は省略することとする。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置の構成を概略的に示す図であり、図2は、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置のハンドピースを示す斜視図であり、図3は、本実施形態による高周波皮膚美容装置の前端部を説明するための例示図であり、図4は、本発明の一実施形態によるコイル部を説明するための例示図であり、図5は、本発明の一実施形態によるコイル部の貫通ホールを説明するための例示図であり、図6は、本発明の一実施形態によるニードルを説明するための例示図であり、図7は、本発明の一実施形態によるニードルが真皮層の内部に熱エネルギーを出力する様子を説明するための例示図である。
【0028】
図1および図2を参照すると、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置は、高周波発生部120、コイル部130、移動部140、ニードルアセンブリー150およびコントローラー160を含む。ここで、高周波発生部120は、高周波皮膚美容装置の本体(不図示)に設けられ、コイル部130、移動部140、およびニードルアセンブリー150は、図2に示されたハンドピースケース110に設けられてもよい。
【0029】
ハンドピースケース110は、ユーザが把持できる取っ手の役割を兼ねるものであり、内部空間を提供することができる。ハンドピースケース110は、略円筒形の形状を有し、コイル部130、ニードルアセンブリー150、および移動部140が設置される内部空間を有することができる。このようなハンドピースケース110は、プラスチックなどのような絶縁物質で形成されてもよい。
【0030】
ハンドピースケース110の前端部は、ハンドピースケース110のうち皮膚と接触する部分でありうる。
【0031】
高周波発生部120は、電力を供給されて高周波電流を出力することができる。
【0032】
高周波発生部120は、誘導起電力を発生できるように直流電源を100kHz~10MHzの交流に変換するインバータ部(不図示)を含んでもよい。具体的には、高周波発生部120は、入力フィルター回路(不図示)、一次整流回路(不図示)、力率改善回路(不図示)、スイッチング回路(不図示)、絶縁変圧器(不図示)、二次整流回路(不図示)、インバータ回路(不図示)、および出力共通フィルター(不図示)を含んでもよい。入力フィルター回路は、入力された交流電源のノイズを遮断し、一次整流回路と力率改善回路は、力率を改善すると同時に、入力電圧範囲を85~264Vとし、スイッチング回路は、力率改善回路から入力された直流電源をスイッチングして絶縁変圧器に交流として伝達し、絶縁変圧器は、一次側と二次側を絶縁すると同時に、出力電圧を調節し、二次整流回路は、絶縁変圧器から入力された交流電源を直流に整流し、インバータ回路は、コイル部130に伝達される周波数を調整し、出力共通フィルターは、出力電源に含まれたコモンモードノイズを除去した後に、コイル部130に伝達することができる。
【0033】
高周波発生部120は、コイル部130と(+)と(-)極にそれぞれ連結され、電源を供給されてコイル部130に伝達することができる。高周波発生部120は、高周波電流をコイル部130に流すことができる。
【0034】
コイル部130は、高周波発生部120から出力された高周波電流を交互磁場(alternating magnetic field)に変換することができる。すなわち、コイル部130は、高周波発生部120から入力された交流電流を、エネルギーを有する交互磁場(alternating magnetic field)に変換することができる。例えば、コイル部130は、高周波発生部120から伝達された100kHz~10MHzの交流電流を、コイル134を介して交互磁場に変換することができる。
【0035】
コイル部130は、図3に示されたように、ハンドピースケース110の前端部に配置されてもよい。すなわち、コイル部130は、皮膚と接触する部分に配置されてもよい。
【0036】
このようなコイル部130は、図4に示されたように、コイル134、コイル134が配置される基板132、および複数の貫通ホール136を含んでもよい。
【0037】
コイル134は、基板132上にらせん状に配置されてもよい。
【0038】
コイル134は、基板132に位置し、基板132と皮膚に接するハンドピースケース110の密着面との間に位置することができる。コイル部130が皮膚に最も近く位置したとき、最大エネルギー伝達が可能である。
【0039】
基板132の一面は、施術時にユーザの皮膚に接する密着面であってもよく、基板132の他面には、コイル134が配置されてもよい。基板132には、複数の貫通ホール136が形成されてもよい。基板132は、ボビンを含む概念でありうる。
【0040】
基板132は、コイル134に流れる高周波電流に影響を与えないように、ゴム、シリコーン、プラスチックのような非金属材料を用いて製作することが好ましい。
【0041】
複数の貫通ホール136は、基板132上に配置され、コイル134の間に複数のニードル155を貫通させることができる。複数の貫通ホール136は、図5に示されたように、所定間隔で離隔して格子状に形成されてもよい。本実施形態では、複数の貫通ホール136が格子状に形成されたが、必ずこれに限定されるものではなく、ケース110の前端部の全体にわたって多様な形状に形成されることもできる。このようなケース110の前端部は、ユーザの皮膚と接触することとなる。
【0042】
ユーザの皮膚に接する密着面で皮膚を押した状態でニードルアセンブリー150を下降させると、ニードルアセンブリー150のニードル155が貫通ホール136を下向き通過して皮膚の真皮層を刺激することとなる。
【0043】
ニードル155が貫通ホール136に容易に挿入され得るように、貫通ホール136の直径は、ニードル155の直径より大きくてもよい。
【0044】
コイル部130は、複数のニードル155を複数の貫通ホール136内に位置させることによって、複数のニードル155を皮膚に挿入する直前に複数のニードル155が曲がることを防止し、複数のニードル155の直進性を向上させることができる。
【0045】
移動部140は、ハンドピースケース110内に設置され、ニードルアセンブリー150を(垂直方向に)移動させて、ニードルアセンブリー150を皮膚に接触または非接触させることができる。
【0046】
移動部140は、複数のニードル155を垂直に昇降させることができる。このような移動部140に複数のニードル155が固定され、移動部140の移動によって複数のニードル155が垂直に昇降することとなる。移動部140により複数のニードル155は、ケース110の前端部の一面から突出して皮膚に挿入され得る。移動部140は、ケース110の内部または外部に設けられた別途の駆動手段(不図示)を介して垂直に昇降するように構成されてもよい。駆動手段は、モーターとボールねじ、空気圧式アクチュエータ、電磁石装置などを適用することができる。
【0047】
ニードルアセンブリー150は、コイル部130から発生した交互磁場によって加熱されて皮膚に接触することによって皮膚治療を行う複数のニードル155を備えることができる。
【0048】
複数のニードル155それぞれは、0.1~4mm程度皮膚に挿入することができるように設計され、コイル部130から発生した交互磁場によって皮膚に挿入された発熱部155bに電流が流れることとなり、発熱部155bは、この際に発生した電流による渦電流損とヒステリシス損によって電流を熱に変換することができる。
【0049】
ニードルアセンブリー150の複数のニードル155は、互いに同じ長さを有することができる。各ニードル155の直径は、マイクロ単位でありうる。
【0050】
このようなニードル155は、図6に示されたように、円形棒部155aおよび発熱部155bを含んでもよい。すなわち、ニードル155は、上端部が、電気が通らず(不導体の特性を有し)、熱抵抗が大きい円形棒部155aで構成され、下端部が、導電性を有し、熱抵抗が小さい発熱部155bで構成されてもよい。
【0051】
円形棒部155aは、絶縁体(不導体)で構成され、上端部が移動部140と接続されてもよい。
【0052】
発熱部155bは、円形棒部155aと連結され、コイル部130から発生した交互磁場によって熱を発生させることができる。
【0053】
発熱部155bは、伝導体で構成され、交互磁場によって電流が流れることとなり、その電流による渦電流損とヒステリシス損によって熱を発生させることができる。発熱部155bは、例えば、金属材質からなってもよい。
【0054】
交互磁場は、伝導体で構成された発熱部155bに渦電流(Eddy current)を誘導することができる。渦電流は、発熱部155bにおいて渦電流損とヒステリシス損によって熱に転換され得る。ヒステリシス損は、交互磁場によって発熱部155bが磁化(Magnetize)から減磁(Demagnetize)するときに発生するエネルギー損失を意味する。発熱部155bから発生した熱は、熱抵抗が大きい円形棒部155aに伝達されず、発熱部155bと接触した真皮層部分に熱エネルギーとして伝達され得る。皮膚の真皮層に伝達された熱によって皮膚を治療することができる。
【0055】
ニードルアセンブリー150を皮膚に挿入すると、各ニードル155は、表皮から0.1~4mm程度挿入され得る。発熱部155bは、皮膚の真皮層まで挿入されて熱を用いて皮膚を治療することができる。例えば、ニードルアセンブリー150に高周波を印加すると、熱エネルギー到達領域Aが真皮層の厚さ方向に多数分布することとなる。
【0056】
コントローラー160は、高周波発生部120および移動部140を制御することができる。
【0057】
コントローラー160は、ハンドピースケース110の外側面に配列されているスイッチ(不図示)とも連結されてもよい。ユーザがスイッチを操作して制御信号を発生することができる。
【0058】
以下、上記のように構成された高周波皮膚美容装置100の作動について説明することとする。
【0059】
施術者が高周波皮膚美容装置100を把持した状態でハンドピースケース110の前端部の密着面を患者の皮膚に密着させる。密着が完了した場合、ケース110に配置されているスイッチ(不図示)を操作して移動部140を皮膚方向に下降させることができる。移動部140が下降すると、移動部140に連結されているニードルアセンブリー150が共に下降し、ニードル155が図7に示したように表皮層を通過して真皮層を刺す。ニードル155が真皮層に挿入された瞬間、高周波発生部120が作動して高周波を発生させることができる。高周波発生部120は、高周波電流をコイル部130に伝達し、コイル部130は、高周波発生部120から出力された高周波電流を交互磁場に変換することができる。
【0060】
複数のニードル155それぞれは、コイル部130から発生した交互磁場によって皮膚に挿入された発熱部155bに電流が流れることとなり、発熱部155bは、流れる電流による渦電流損とヒステリシス損によって電流を熱に変換することができる。すなわち、各ニードル155の発熱部155bは、コイル部130から発生した交互磁場によって加熱されて、図7のAのように熱エネルギーを出力することができる。各ニードル155の発熱部155bから出力された熱エネルギーは、真皮層内部の組織を凝固させ、コラーゲンを再生および活性化させることができる。
【0061】
上述したように、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置は、ニードルの円形棒部では熱が発生せず、ニードル先端の発熱部だけで熱が発生することによって、施術後に発生しうる皮膚火傷または赤く変わる現象を防止することができる効果がある。
【0062】
また、本発明の一実施形態による高周波皮膚美容装置は、電気的エネルギーを、高周波誘導熱技術を用いて皮膚の内部に熱エネルギーとして伝達することによって、皮膚組織の再生および皮膚美容効果を増進させる効果がある。
【0063】
本発明は、図面に示された実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者ならこれから様々な変形および均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができる。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【0064】
(付記)
(付記1)
電力を供給されて高周波電流を出力する高周波発生部と;
前記高周波発生部から出力された高周波電流を交互磁場(alternating magnetic field)に変換するコイル部と;
前記交互磁場によって加熱されて皮膚に接触することによって皮膚治療を行う複数のニードルを備えるニードルアセンブリーと;
前記ニードルアセンブリーを移動させて、前記ニードルアセンブリーを皮膚に挿入させる移動部と;
前記高周波発生部および移動部を制御するコントローラーと;を含む高周波皮膚美容装置。
【0065】
(付記2)
前記コイル部は、
基板と;
前記基板上に配置されるコイルと;
前記コイルの間に前記複数のニードルが貫通する複数の貫通ホールと;を含むことを特徴とする付記1に記載の高周波皮膚美容装置。
【0066】
(付記3)
前記基板は、
不導体で形成され、一面が施術時にユーザの皮膚に接する密着面であり、他面が前記コイルに配置されることを特徴とする付記2に記載の高周波皮膚美容装置。
【0067】
(付記4)
前記複数の貫通ホールは、
所定間隔で離隔して格子状に形成されることを特徴とする付記2に記載の高周波皮膚美容装置。
【0068】
(付記5)
前記コイル部は、
ハンドピースケースの前端部に配置されることを特徴とする付記1に記載の高周波皮膚美容装置。
【0069】
(付記6)
前記複数のニードルそれぞれは、
不導体で構成され、上端部が前記移動部と連結される円形棒部と;
前記円形棒部と連結され、前記コイル部から発生した交互磁場によって熱を発生する発熱部と;を含むことを特徴とする付記1に記載の高周波皮膚美容装置。
【0070】
(付記7)
前記発熱部は、
伝導体で構成され、前記交互磁場によって流れる電流を渦電流損およびヒステリシス損によって熱に変換することを特徴とする付記6に記載の高周波皮膚美容装置。
【0071】
(付記8)
前記発熱部から発生した熱は、前記円形棒部に伝達されず、前記発熱部と接触した真皮層の部分に熱エネルギーに伝達されることによって、皮膚を治療することを特徴とする付記6に記載の高周波皮膚美容装置。
【0072】
(付記9)
前記ニードルアセンブリーの複数のニードルは、互いに同じ長さを有することを特徴とする付記1に記載の高周波皮膚美容装置。
【符号の説明】
【0073】
100 皮膚美容装置
110 ハンドピースケース
120 高周波発生部
130 コイル部
132 基板
134 コイル
134 貫通ホール
140 移動部
150 ニードルアセンブリー
155 ニードル
155a 円形棒部
155b 発熱部
160 コントローラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7