(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026428
(43)【公開日】2025-02-21
(54)【発明の名称】カット及びピール用ナイフ
(51)【国際特許分類】
B26B 11/00 20060101AFI20250214BHJP
【FI】
B26B11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024131948
(22)【出願日】2024-08-08
(31)【優先権主張番号】CH000859/2023
(32)【優先日】2023-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(71)【出願人】
【識別番号】504319471
【氏名又は名称】ラーサ イワン
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ラーサ イワン
(72)【発明者】
【氏名】ラーサ ノウシャ
(72)【発明者】
【氏名】ラーサ シャジャン
(72)【発明者】
【氏名】ラーサ シェイダ
【テーマコード(参考)】
3C061
【Fターム(参考)】
3C061AA03
3C061AA08
3C061AA16
3C061AA50
3C061BA03
3C061CC17
3C061EE14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定の厚さの一部を切り落とすためにも、とりわけ皮をむくために用いられ得る、危険のないナイフを提供する。
【解決手段】ナイフ(1)は、ハンドル(2)とブレード(3)を備える。ブレードは、ナイフ中心面においてカッティングエッジ(4)から尖っていないスパイン(5)まで延在している。ナイフは、ナイフ中心面に対して直交するように配向されたピボット軸(7)の回りに、第1の位置と第2の位置との間を、尖っていないスパインを越えて運動可能なガイド要素(6)を有する。ガイド要素は、第1の位置においてはハンドルのところにある。第2の位置においては、ガイド要素が、カッティングエッジとガイド要素のアゴ部との間にブレードクリアランスが構成されているように、カッティングエッジに組み込まれている。ナイフは、通常のナイフとしても、また第2の位置にあるガイド要素を用いて、ピーラーとしても、最適に用いることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(2)と、前記ハンドル(2)に取り付けられた少なくとも一つのブレード(3)とを有するカット及びピール用ナイフ(1)であって、前記ブレード(3)が、ナイフ中心面においてはカッティングエッジ(4)から、前記カッティングエッジ(4)とは反対側の尖っていないスパイン(5)まで延在しており、前記ハンドル(2)がハンドル縦軸に沿って延在しており、かつ前記ナイフ(1)の前記ブレード(3)が、切り分けるか又は皮をむくときに前記ハンドル縦軸の向きに前記ハンドル(2)から遠ざかるように延在している、ナイフ(1)において、
前記ナイフ(1)が、前記ナイフ中心面に対して横向きに配向されたピボット軸(7)の回りに、第1の位置(8)と第2の位置(9)との間を、前記ハンドル縦軸の向きに前記ハンドル(2)から遠ざかるように延在している前記ブレード(3)の前記尖っていないスパイン(5)を越えて運動可能なガイド要素(6)を含み、前記ガイド要素(6)が、前記第1の位置(8)においては前記ハンドル(2)のところに位置しており、かつ前記第2の位置(9)においては、前記カッティングエッジ(4)と前記ガイド要素(6)のアゴ部(10)との間にブレードクリアランス(11)が構成されているように、前記カッティングエッジ(4)に組み込まれていることを特徴とする、ナイフ(1)。
【請求項2】
ピボット軸(7)がナイフ中心面と直交するように配向されていることを特徴とする、請求項1に記載のナイフ(1)。
【請求項3】
ガイド要素(6)が、ピボット軸(7)とは反対側の自由端の領域内に係合要素(12)を有し、前記係合要素(12)が、前記ガイド要素(6)が第2の位置(9)にあるときに、ブレード(3)を貫通する位置決め穴(13)の中に篏合し、前記ガイド要素(6)の指でつまむことができる取出し要素(14)が、前記係合要素(12)を前記位置決め穴(13)から取り出し、前記ガイド要素(6)を第1の位置(8)に向かって動かすことを可能にすることを特徴とする、請求項1又は2に記載のナイフ(1)。
【請求項4】
第2の位置(9)において、ガイド要素(6)上に切っ先領域(15)を有するブレード(3)がハンドル(2)から遠ざかるように突出し、前記切っ先領域が芽取り領域として用いることが可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のナイフ(1)。
【請求項5】
ハンドル(2)がガイド要素(6)のための収容領域(16)を有し、それにより第1の位置(8)において前記ガイド要素(6)が、前記収容領域(16)内に少なくとも部分的に収容されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のナイフ(1)。
【請求項6】
ピボット軸(7)が、前記ブレード(3)の領域内に配置されており、領域が、ハンドル(2)から遠ざかるように延在しているブレード(3)において前記ハンドル(2)と対向されており、前記ピボット軸(7)において好適には前記ガイド要素(6)に接続されたピン又はリベットが、前記ブレード(3)のボアに挿通されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のナイフ(1)。
【請求項7】
ピボット軸(7)が、ハンドル(2)の末端領域に配置されており、前記ピボット軸(7)において好適には、ガイド要素(6)を第2の位置(9)に固定して、予め定められた復元力を上回る力がかけられるか、又はロック機構が解除されるときにのみ、前記ガイド要素(6)が第1の位置(8)に向かって運動可能である、位置決め装置が構成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のナイフ(1)。
【請求項8】
ブレード(3)が、運動可能にハンドル(2)に取り付けられており、前記ブレード(3)のカッティングエッジ(4)が、閉じた位置(20)においては、前記ハンドル(2)のところに配置されており、それにより前記カッテイングエッジ(4)には触れることができないようになっており、かつ開いた位置(21)においては、前記ブレード(3)がハンドル縦軸の向きに前記ハンドル(2)から突出することを特徴とする、請求項7に記載のナイフ(1)。
【請求項9】
ブレード(3)の、閉じた位置(20)と開いた位置(21)との間の運動が、運動軸回りの開閉運動によって達成可能であり、前記運動軸が、ナイフ中心面に対して直交するように配向されて、ハンドル(2)の末端領域に配置されていること、かつ前記運動軸において好適には、前記ブレード(3)を前記開いた位置(21)及び前記閉じた位置(22)に固定して、予め定められた運動力を上回る力がかけられるときにのみ、前記ブレードがそれぞれ他方の位置(20、21)に向かって運動可能である位置決め装置が構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のナイフ(1)。
【請求項10】
ブレード(3)の、閉じた位置と開いた位置(20、21)との間の運動を、ハンドル縦軸の向きにハンドル(2)から出し入れするスライド運動によって達成可能であり、前記ブレードを前記開いた位置及び前記閉じた位置(21、22)に固定して、予め定められた運動力を上回る力がかけられたときにのみ、前記ブレードがそれぞれ他方の位置(20、21)に向かって運動可能である位置決め装置が構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のナイフ(1)。
【請求項11】
ガイド要素がアゴ部のところにカッティングエッジを有し、前記カッティングエッジが、前記ガイド要素が第2の位置にあるときにはブレードのカッティングエッジと対向しており、それにより選択可能な皮むき方向に応じて、前記両カッティングエッジのうちのそれぞれ一方が皮むきを達成できるようにし、かつ他方がアゴ部としてブレードクリアランスを設定できるようにし、前記ガイド要素が、そのカッティングエッジを始端として切断面に沿って延在しており、ナイフ中心面と前記切断面との間には、90°超180°未満の角度が構成されていることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載のナイフ(1)。
【請求項12】
二つのガイド要素(6)を有し、前記両ガイド要素(6)が、ナイフ中心面を挟んで左右対称に配置され、いずれも個別に、それぞれの第1及び第2の位置(8、9)間を同じように運動可能であり、皮をむくために、所望の皮むき方向に適したガイド要素(6)を前記第2の位置(9)に、他方のガイド要素(6)を前記第1の位置(8)に、それぞれ位置決め可能であることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載のナイフ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に記載のナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
ナイフは、ハンドルと、カッティングエッジを有する少なくとも一つのブレードとを備える。このブレードは、中心面のところでは、カッティングエッジから尖っていないスパインまで延在している。食品を加工するためには、ナイフが用いられる。そこでは、ナイフは、その時々の加工法及びそれらの利用場所に合わせて設計されている。慣行の加工法に数えられるのは、切り分け、突き刺し、刻み、及び皮むきである。果物、ジャガイモ又は野菜の皮をむくためには、ブレードの短いナイフ又はピーラーが用いられる。ピーラーは、カッティングエッジと、ブレードに固定式に接続された、食材に当てるアゴ部を有するガイド要素とを含み、このカッティングエッジとアゴ部との間にブレードクリアランスが構成されており、それにより皮をむく際に、その厚さが、このブレードクリアランスによって規定される皮片のみが切り落とされる。
【0003】
食品は、たいていキッチンで加工されるが、アウトドアでも加工される。ハンドル及びブレードの多様な形態は、その時々の加工法を容易にするべきである。切り分け用のナイフでは、ハンドルがハンドル縦軸(Grifflangsachse)に沿って延在しており、ブレードは、ハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在している。
【0004】
アウトドアで使用され、持ち運びの際に危害を及ぼす原因となってはならないナイフでは、ブレードが運動可能にハンドルに取り付けられている。ブレードのカッティングエッジは、閉じた位置においてはハンドルのところに配置されており、それによりカッティングエッジには触れることができないようになっている。ブレードを、ハンドルの末端領域のところでブレードピボット部回りに回転させて外に開き出すことによって、又はハンドルからのスライド運動によって、ブレード及びそのカッティングエッジは、ブレードがハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在している作業位置に、すなわち、開いた位置に到達する。
【0005】
ピーラーの場合、ハンドル縦軸に対するカッティングエッジの向きには、特徴が異なる二つの配向方式がある。ピーラーのカッティングエッジがハンドル縦軸に対して直交するように配向されている場合は、皮をむく際に、腕全体が動かされることが多い。ピーラーのカッティングエッジがハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在している場合は、皮をむくために手首を動かすだけで十分であり得る。
【0006】
CH292339には、フリーカット用として用いられ得るナイフが記載される。このナイフは、一つの直線部と二つの端部とを有するリジッドワイヤと一緒に、ジャガイモ、ニンジン、ナシ、リンゴ、及びその他の果物から一部を切り落とすために用いられ得る。このワイヤの両端部はいずれも、平行な巻取り軸回りに逆向きにコイル状に巻き取られている。両側の直線部に続いている両領域内においては、端部の円弧セグメントが平行な巻取り軸を中心として直接上下に重なり合うように延び、ナイフのブレードのための収容領域を一つずつ形成している。
【0007】
ワイヤをナイフのブレードに取り付けるために、ワイヤ及びナイフは、ブレードの中心面が平行な巻取り軸に対して直交するように延在するように配向される。このような相互の配向状態では、ブレードのカッティングエッジは、両端部のいずれも上下に重なり合うように延びている円弧セグメント間のこれらの収容領域内に挿入される。
【0008】
リジッドワイヤの直線部から巻き取られた両端部への移行部は、ブレードの中心面に対して横向きに、すなわち巻取り軸に沿った成分を有する向きに延び、ブレードのカッティングエッジ用のストッパを一つずつ形成している。リジッドワイヤが、両ストッパのところまで、ブレードに篏合されている場合には、カッティングエッジと対向する直線部の領域が、ブレードの中心面までの間隔をおいて延びるアゴ部を形成する。例えば、ブレードを用いて、果物、ジャガイモ又は野菜にこのアゴ部を当接させた際にこれらから切り落とされる皮などの、切り落とされる部分の厚さは、この間隔によって定義される。
【0009】
ワイヤをブレードのカッティングエッジ上に篏合させるのは危険である。というのも、そのために使われる人の指がカッティングエッジに対して勢いよく押し付けられ、その際に意図せずにカッティングエッジに触れてしまう可能性があるからである。これは、鋭利なナイフでは、高い切創リスクに結びついている。それに加え、リジッドワイヤの直線部から巻き取られた両端部への両移行部は、篏合される際にはカッティングエッジに対して押し付けられる。カッティングエッジは、この硬いワイヤにより接触地点に望ましくない変形を生じる。少なくともアゴ部を伴うワイヤの頻繁な着脱により、カッティングエッジは切れ味を落としてしまう。処理される生産物から一部を完全に切り落とす前に、ブレードを切る向きとは逆方向に引き戻してしまうと、ワイヤがブレードから脱落する可能性があり、切り落とされた皮の中からワイヤを探し出して再び篏合させなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、本発明の課題は、ナイフをフリーカットのためにも、また特定の厚さの一部を切り落とすためにも、とりわけ皮をむくために用いられ得る、危険のない解決策を見出すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1の特徴を具備したナイフにより解決される。従属クレームには、代替となる、又は有利な変形実施形態が記載され、それらによってさらなる課題が解決される。
【0013】
第1の発明ステップの枠内においては、カッティングエッジと、それとは反対側に尖っていないスパインとを有するブレードを備えたナイフの場合、利用者が尖っていないスパインを安全に押さえ付けることができることが分かった。
【0014】
第2の発明ステップの枠内においては、ガイド要素を、尖っていないスパインを越えてカッティングエッジまで、カッティングエッジとガイド要素のアゴ部との間にブレードクリアランスが構成されているように、動かすことができることが分かった。このブレードクリアランスの領域内において、野菜、果物又はジャガイモから、皮又はスライス片を切り落とすことが可能であり、それらの厚さは、ブレード中心面からのアゴ部の距離により予め定められている。
【0015】
本発明に係るナイフは、切り分け用及び皮むき用に用いられてもよい。ナイフは、ハンドルと、このハンドルに取り付けられた少なくとも一つのブレードとを備え、このブレードが、ナイフ中心面においては、カッティングエッジから、カッティングエッジとは反対側の尖っていないスパインまで延在している。ハンドルは、ハンドル縦軸に沿って延在している。切り分けるか又は皮をむく際には、ナイフのブレードが、このハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在している。ナイフはガイド要素を有し、ガイド要素は、ナイフ中心面に対して横向きに、好適には直交するように、配向されたピボット軸回りに、第1と第2の位置間を、ハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在しているブレードの尖っていないスパインを越えて運動可能である。ガイド要素は、第1の位置においては、ハンドルのところにある。ガイド要素は、第2の位置においては、カッティングエッジとガイド要素のアゴ部との間にブレードクリアランスが構成されているように、カッティングエッジに組み込まれている。
【0016】
本発明に係るナイフでは、ハンドルからブレードのみが突出した状態から、皮をむくためにブレードのガイド要素が繰り出されている状態へと切り替える際に、ブレードのカッティングエッジにより利用者の指を負傷する危険がない。それに加え、ナイフは、カッティングエッジと接触する要素を含まず、このため、カッティングエッジに望ましくない変形を生じることもない。ガイド要素によって、カッティングエッジの切れ味が損なわれない。本発明に係るナイフは、ハンドルとブレードとを有する通常のナイフとしても、またブレードに組み込まれたガイド要素でピーラーとしても、最適に用いることが可能である。切り分け及び皮むき加工を交互に行う必要がある場合、一本のナイフのみでこれらを実行することができる。異なる加工法間では、ガイド要素を、第1から第2の位置へ、又は第2から第1の位置へと位置調節することのみが必要である。
【0017】
有利な一実施形態においては、ガイド要素が、ピボット軸とは反対側の自由端の領域内に係合要素を有している。ブレードは、ブレードを貫通する位置決め穴を備え、この位置決め穴は、第2の位置においては係合要素が位置決め穴に重なりその中にはまり込むことができるように、配置されている。この場合は、係合要素が位置決め穴の中にはまり込むように、ガイド要素が構成されているか、又はこれに予荷重が付加されていると好適である。この係合部はとりわけ、ブレードクリアランスが形成されるように構成されており、このブレードクリアランスにより、皮をむくか又はスライスする際には、ブレードクリアランスに沿って実質的に一定の厚さを有する皮又はスライス片が切り落とされる。ガイド要素の、指でつまむことができる取出し要素は、係合要素の位置決め穴からの取出し及びガイド要素の第1の位置に向かう運動を可能にする。
【0018】
ガイド要素を第2の位置を越えて、又はカッティングエッジを越えて動かすことができないようにするために、有利な一実施形態においては、ガイド要素と、ブレード又はハンドルとの間にストッパが構成されている。
【0019】
第2の位置において、ガイド要素上に切っ先領域を有するブレードがハンドルから遠ざかるように突出していると好適である。この切っ先領域は、芽取り領域として用いることが可能である。皮をむく際に、取り除かなければならない局所的な箇所が残る場合には、同じナイフを用いて、詳しくは突出した切っ先領域を用いて、これらの箇所を取り除くことができる。
【0020】
切り分ける際にも、また皮をむく際にも、ハンドルのつかみ心地を良くするために、有利な一実施形態においては、ハンドルがガイド要素のための収容領域を有している。第1の位置においてガイド要素はこの収容領域内に少なくとも部分的に収容されており、このため、ハンドルから不都合に突出することはない。
【0021】
ブレードが、位置調節が不可能な接合部を介してハンドルに取り付けられており、かつそのために常時ハンドルからハンドル縦軸に沿って突出している場合は、ピボット軸が、ブレードの領域内に配置されており、ブレードにおいてハンドルと対向されていると好都合である。その場合は、ピボット軸において好適には、ガイド要素に接続されたピン又はリベットが、ブレードのボアに挿通されている。
【0022】
さらなる一実施形態によると、ピボット軸はハンドルの末端領域に配置されている。その場合ピボット軸において好適には、ガイド要素を第2の位置に固定して、予め定められた復元力を上回る力がかけられるか、又はロックが解除されるときにのみ、ガイド要素が第1の位置に向かって運動可能である、位置決め装置が構成されている。
【0023】
アウトドアで使用され、持ち運びの際に危害を及ぼす原因とならない、一実施形態においては、ブレードが運動可能にハンドルに取り付けられている。閉じた位置において、ブレードのカッティングエッジはハンドルのところに配置されており、それによりカッティングエッジには触れることができないようになっている。ブレード及びそのカッティングエッジは、ブレードがハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在している作業位置へと、すなわち、開いた位置へと、持って行くことができる。閉じた位置と開いた位置との間の切り替えは、ハンドルの末端領域のところでブレードピボット部回りにブレードを回転させて外に開き出すことによって、又はハンドルの外及びハンドルの中へのスライド運動によって、達成できる。
【0024】
ハンドルに対する相対的な位置を調節可能なブレードを備えたナイフは、ポケットナイフ、若しくはフォールディングナイフ、又はタクティカルナイフとして、特に普及している。ポケットナイフは、ハンドルを形成する二つの外面と、これらの両外面間に、互いに背を向けており、作業要素を収容可能にする、第1及び第2の収容側部とを含む。これらの作業要素は、必要に応じて運動軸回りの運動によって、ポケットナイフのハンドルの外及びハンドルの中へと動かされる。
【0025】
本発明に係るナイフの有利な一実施態様は、ポケットナイフを前提としている。ポケットナイフは、ハンドルの第1の末端領域において運動軸回りに運動可能な少なくとも一つのブレード以外にも、ハンドルのこの第1の末端領域のところでピボット軸回りに開閉可能なガイド要素も含む。
【0026】
ブレードの、閉じた位置と開いた位置との間の運動は、運動軸回りの開閉運動により達成できる。そこでは、運動軸が、ナイフ中心面に対して直交するように配向され、ハンドルから遠ざかるブレードと対向するハンドルの領域内に配置されている。運動軸において好適には、ブレードを開いた位置及び閉じた位置において固定して、予め定められた運動力を上回る力がかけられるときにのみ、ブレードがそれぞれ他方の位置に向かって運動可能である位置決め装置が構成されている。
【0027】
ピーリングナイフ機能を提供するために、ブレードは、ポケットナイフの第1の収容側部から第1の回転方向に開いた位置へと運動可能である。ガイド要素は、ポケットナイフの第2の収容側部から、第1の回転方向とは逆向きの旋回方向に、第1の位置から、ハンドル縦軸の向きにハンドルから遠ざかるように延在しているブレードの尖っていないスパインを越えて第2の位置へと運動可能である。ガイド要素のピボット軸は、ハンドルの、運動軸を備えた末端領域内に配置されている。
【0028】
ガイド要素は、ポケットナイフの他の作動要素と同様に、開閉させるために必要な力がガイド要素に加えられるまで、第1及び第2の位置にそれぞれ固く保持される。そのためにピボット軸において好適には、ガイド要素を第1及び第2の位置に固定して、それぞれに予め定められた調節力を上回る力がかけられた際にのみガイド要素が第2又は第1の位置に向かって運動可能である位置決め装置が構成されている。
【0029】
ポケットナイフの形態での様々な有利な実施形態はいずれも、ハンドル縦軸の向きにハンドルから固く突出したブレードを備えたナイフについて説明した要素を、少なくとも一つずつ有している。
【0030】
有利な一実施形態においては、ガイド要素が、アゴ部のところにカッティングエッジを有するように構成されており、ガイド要素が第2の位置にあるときには、このカッティングエッジがブレードのカッティングエッジと対向し、それにより皮むき方向に応じて、両カッティングエッジのうちのいずれか一方が皮むきを実現できるようにし、かつ他方がアゴ部としてブレードクリアランスを設定する。ガイド要素は、そのカッティングエッジを始端として切断面に沿って延在している。ナイフ中心面及びこの切断面は、両カッティングエッジ間の領域内において、交線のところである角度をなして互いに交わり、この角度は90°超180°未満である。
【0031】
その代わりに、ブレードのカッティングエッジを用いて、又はガイド要素のカッティングエッジを用いて、その時々に一律な皮むきが可能となるように、ガイド要素のカッティングエッジとナイフ中心面との間隔は、ブレードのカッティングエッジと切断面との間隔と実質的に同じ大きさになっている。ブレードのカッティングエッジを用いて皮をむく場合は、ガイド要素のカッティングエッジがアゴ部となる。ガイド要素のカッティングエッジを用いて皮をむく場合は、ブレードのカッティングエッジがアゴ部となる。互いに対向する両カッティングエッジの各々と、それぞれ他方のカッティングエッジによって形成されるアゴ部との間には、皮をむく際に切り落とされる皮又はスライスの厚さを設定するブレードクリアランスが構成されている。
【0032】
互いに対向する両カッティングエッジは、その時々の利用者に、本人が好む皮むき方向に、その時々に好む右手又は左手で皮をむくことを可能にする。
【0033】
さらなる有利な一実施形態においては、本発明に係るナイフが二つのガイド要素を有している。両ガイド要素は、ナイフ中心面を挟んで左右対称に配置されており、いずれも個別に、それぞれの第1及び第2の位置間を同じように運動可能である。皮をむくためには、所望の皮むき方向に適したガイド要素を第2の位置に、他方のガイド要素を第1の位置に、それぞれ位置させることができる。二つの異なるガイド要素間の選択により、その時々の利用者は、本人が好む皮むき方向に応じて、又は皮むき運動を右手若しくは左手で行うのかに応じて、適したガイド要素を常に使用できるようになる。
【0034】
以下では幾つかの図に基づいて本発明をより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ガイド要素がハンドルのところの第1の位置にある、ナイフの側面図である。
【
図2】ガイド要素が第1及び第2の位置間を運動中である、ナイフの側面図である。
【
図3】ガイド要素がブレードのところの第2の位置にある、ナイフの側面図である。
【
図4】ガイド要素が第2の位置にあるナイフのガイド要素とは反対側を示す図である。
【
図5】ガイド要素が第2の位置にあるナイフの、カッティングエッジを示す図である。
【
図6】第2の位置にあるガイド要素を備えたナイフの側面を示す図である。
【
図7】ガイド要素が第2の位置にあるナイフの、尖っていないスパインを示す図である。
【
図8】ブレードが閉じた位置にあり、ガイド要素が第1の位置にある、ポケットナイフの側面図である。
【
図9】ブレードが閉じた位置と開いた位置との間にあり、ガイド要素が第1の位置と第2の位置との間にある、ポケットナイフの側面図である。
【
図10】ブレードが開いた位置にあり、ガイド要素が第1の位置と第2の位置との間にある、ポケットナイフの側面図である。
【
図11】ブレードが開いた位置にあり、ガイド要素が第2の位置にある、ポケットナイフの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1~
図7は、本発明に係るナイフ1の第1実施形態を示す。ナイフ1は、ハンドル2と、このハンドル2に取り付けられたブレード3とを備える。
図1~
図4及び
図6においては、ブレード3が、図の平面に対して平行なナイフ中心面内で、カッティングエッジ4からこのカッティングエッジ4とは反対側の尖っていないスパイン5まで延在している。ハンドル2は、ハンドル縦軸(Grifflangsachse)に沿って延在している。この第1実施形態においては、ナイフ1のブレード3が、位置調節が不可能なように、ハンドル縦軸の向きにハンドル2から遠ざかるように延在している。ナイフ1は、ナイフ中心面に対して直交するように配向されたピボット軸7の回りに、第1の位置8と第2の位置9との間を尖っていないスパイン5を越えて運動可能なガイド要素6を有する。ガイド要素6は、第1の位置8にあるときにはハンドル2のところにある。ガイド要素6は、第2の位置9にあるときにはカッティングエッジ4に組み込まれており、それにより、カッティングエッジ4とガイド要素6のアゴ部10との間にブレードクリアランス11が構成されるようにしている。
【0037】
図1~
図7に図示される実施形態においては、ガイド要素6が、ピボット軸7とは反対側の自由端の領域内に係合要素12を有し、ブレード3は、ブレード3を貫通する位置決め穴13を備え、この位置決め穴13は、第2の位置9においては係合要素12がこの位置決め穴に重なり、その中にはまり込むことができるように、配置されている。ガイド要素6は、係合要素12が、位置決め穴13の中にはまり込んで、その際に第1の位置に向かって戻ろうとするのを阻止するように、構成されているか、又はこれに予荷重が付加されていると、好適である。この係合部は、ガイド要素6とカッティングエッジ4との間にブレードクリアランス11が形成され、このブレードクリアランス11により、皮をむくか又はスライスする際には、ブレードクリアランス11に沿って実質的に一定の厚さを有する皮又はスライス片が切り落とされるように、構成されている。
【0038】
図示の実施形態においては、位置決め穴13のカッティングエッジ4とは反対側で、係合要素12が、ブレード3のガイド要素6とは反対側のところでこれに当接する。それにより、皮をむく際にガイド要素6に作用する力が、ガイド要素6をブレード3から浮き上がらせることがないことが保証される。
【0039】
指でつまむことができるガイド要素6の取出し要素14は、係合要素12を位置決め穴13から取り出し、ガイド要素6を第1の位置8に向かって動かすことを可能にする。この取出し要素14は、ブレード3から若干、突出しており、それによりガイド要素6が第2の位置9にあるときには、取出し要素14の自由端を下側から指で簡単につまみ、ガイド要素6を位置決め穴13から持ち上げ、ガイド要素6を第1の位置8に向かって旋回させることができる。
【0040】
図1~
図7の実施形態においても、また
図8~
図11の実施形態においても、ブレード3の切っ先領域15は、ハンドル2から遠ざかる向きに、位置決め穴13を越えて、又は第2の位置9にあるガイド要素6を越えて、突出している。この切っ先領域15は、芽取り領域として用いることが可能である。
【0041】
図示のハンドル2は、ガイド要素6のための収容領域16を有する。第1の位置8において、ガイド要素6は、この収容領域16内に少なくとも部分的に収容されており、そのため、ハンドル2から不都合に突出することはない。
【0042】
図1~
図7による実施形態においては、ブレード3が、位置調節が不可能な接合部を介してハンドル2に取り付けられており、ピボット軸7が、ブレード3の領域内に配置されており、ブレードにおいてハンドルと対向されていると好都合である。ピボット軸7において、好適には、ガイド要素6に接続されたピン又はリベットが、ブレード3のボアに挿通されている。
【0043】
図8~
図11は、ポケットナイフとして構成されているナイフ1の一実施形態を示す。ピボット軸7は、ナイフ中心面に対して直交するように配向され、ハンドル2の末端領域に配置されている。これは、ブレード3の運動軸にもなる。このピボット軸7のところには、ポケットナイフにおいては慣用の位置決め装置が構成されており、この位置決め装置により、ガイド要素6は第2の位置9に、ブレード3は開いた位置21にそれぞれ固定されて、それによりこれらが、それぞれに予め定められた復元力を上回る力が作用する際にのみ、第1の位置8又は閉じた位置20に向かって運動可能にしている。この位置決め装置はまた、ガイド要素6及びブレード3を第1の位置8又は閉じた位置20に保持しており、それにより回転させて外に開き出すためには、少なくとも予め定められた力をかけなければならない。
【0044】
図示のポケットナイフは、ナイフ中心面に対して直交する向きにハンドル2を少なくとも部分的に閉止する二つの外面17と、両外面17間に、互いに背を向けている第1の収容側部18及び第2の収容側部19とを含む。第1の収容側部18にはブレード3が、第2の収容側部19にはガイド要素6が収容される。ブレード3及びガイド要素6は、ピボット軸7回りにそれぞれ逆方向に、ポケットナイフのハンドル2の外及びハンドル2の中へと動かされる。
【0045】
ピーリングナイフ機能を提供するために、ブレード3は、第1の収容側部18から、開いた位置21へと運動可能である。ガイド要素6は、第2の収容側部19から、第1の位置8からハンドル縦軸の向きにハンドル2から遠ざかるように延在しているブレード3の尖っていないスパイン5を越えて第2の位置9へと運動可能である。
【外国語明細書】