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特開2025-26763カルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法
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  • 特開-カルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026763
(43)【公開日】2025-02-25
(54)【発明の名称】カルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/16 20160101AFI20250217BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20250217BHJP
【FI】
A23L33/16
A23L29/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131683
(22)【出願日】2023-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】523308269
【氏名又は名称】蛭町 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100106378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 宏一
(72)【発明者】
【氏名】蛭町 裕司
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
【Fターム(参考)】
4B018MD04
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF14
4B041LD01
4B041LH08
4B041LK02
4B041LK07
4B041LK38
4B041LK41
4B041LP05
4B041LP25
(57)【要約】
【課題】人間が食品から摂取すべき重要な栄養素のうちの一つであるカルシウムを日々確実かつ迅速に摂取できるカルシウムの摂取促進用液状飲食物を提供する。
【解決手段】酢酸に卵殻を漬けて一定時間経過させることで酢酸に卵殻が溶け込んだ状態とするか、一定の割合に希釈した酢酸水溶液に卵殻を漬けて、一定時間経過させることで酢酸に前記卵殻が溶け込んだ状態とすることで、人間が食品から摂取すべき重要な栄養素のうちの一つであるカルシウムを日々確実かつ迅速に摂取できるカルシウムの摂取促進用液状飲食物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酢酸に卵殻を漬けて一定時間経過させることで前記酢酸に前記卵殻が溶け込んだ状態としたことを特徴とするカルシウムの摂取促進用液状飲食物。
【請求項2】
前記酢酸としては、所定割合の酢酸水溶液を含むことを特徴とする請求項1に記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物。
【請求項3】
前記酢酸水溶液を利用するにあたって、食用のお酢を用いることを特徴とする請求項2に記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物を含有した蒟蒻ゼリー
【請求項5】
酢酸又は酢酸の水溶液に卵殻を漬ける第1の工程と、
前記酢酸又は酢酸の水溶液に漬けた前記卵殻が固体状から溶け出して液体状になって前記酢酸又は酢酸の水溶液に混ざり合うまで放置する第2の工程と、
前記第2の工程で卵殻が含まれた酢酸又は酢酸の水溶液を攪拌して均一化した状態で保存容器に充填する第3の工程からなるカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間が食品から摂取すべき重要な栄養素のうちの一つであるカルシウムを日々確実かつ迅速に摂取できるカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から人間にとって重要な栄養素の一つとしてカルシウムがあげられる。このカルシウムは、骨や歯などの成分として重要な栄養素であり、カルシウム不足に陥ると骨密度の低下による骨粗鬆症や再石灰化のバランスが崩れて、むし歯になるリスクが上がってしまうので、日々必要量を摂取することが重要である。人間の摂取量の目安としては成人男性で700~800mg、女性で650mgとされている。一日の必要量を牛乳に例えると牛乳は100gあたり110mgのカルシウムを含んでいることから男性では6.5~7杯ほど、女性では6杯分に相当すると言われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の内容は、牛乳などの乳製品食品を凝縮してその中に含まれるカルシウムを効率的に摂取するものであるが、これを実現するために様々な成分を全て予め規定された所定の割合で添加しなければならず、これを製造するのに多大なコストがかかってしまう。そのため、これを商品化した場合、商品価格に転嫁してコストの高い飲食品となってしまう。
【特許文献1】特開2023-091564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、人生100年時代といわれるように急速な高齢化が進んでおり、それに従って高齢になっても活動的でいられることがQ・O・L(クオリティー・オブ・ライフ)の観点から当然好ましいとされている。
【0005】
しかしながら、年齢を重ねるに従ってカルシウムの吸収率は自然と低下していき、それに伴い骨密度低下が進んでしまう。骨密度の低下は、骨の強度に直接影響し、転倒した際に骨折してしまったり、食べ物を咀嚼するために重要な歯の強度が低下したり、カルシウム不足で口腔内に細菌が繁殖してしまうことで歯周病の原因になってしまう。歯周病の進行することでやがては歯が抜け落ちてしまって咀嚼機能が急激に低下してしまって食べ物から十分なたんぱく質や食物繊維などを摂取できなくなってしまう。その結果、年齢に応じた健康維持が保たれなくなってしまう。
【0006】
特に、女性の場合には出産や閉経に伴ってカルシウムの吸収率が減ってしまう傾向があり、上述した高齢化によるカルシウムの吸収率の低下とは別に、その時期に応じた適切な量のカルシウムの摂取が必要である。
【0007】
また、牛乳アレルギーを持つ子供にとっては日々のカルシウム摂取のために牛乳を飲むことができず、そのほかの小魚などの魚介類を毎日食することも難しく、カルシウム不足に陥りやすい傾向にある。そして、カルシウムは成長途中の子供にとって特に必要不可欠な栄養であるため、このようなカルシウム摂取不足は成長を阻害する要因になってしまう。
【0008】
また、カルシウムの摂取不足がやがては歯周病を招く要因の1つとなっている。そのため、急速な高齢化社会を迎える近年においては、若い年齢の内からの必要かつ十分な量のカルシウムを持続的に摂取することが重要である。つまり歯周病の発生要因の1つをなくすことで、これに伴う歯根や歯根膜の劣化や破損、更には歯根自体の動揺から抜歯して義歯を装着することに伴う日常的な煩雑さやクオリティー・オブ・ライフの低減を防止したり、抜歯後にインプラントを装着する際の多大なコスト負担を回避したりすることがこれからの高齢化社会において重要であると言える。
【0009】
本発明の目的は、人間が食品から摂取すべき重要な栄養素のうちの一つであるカルシウムを日々確実かつ迅速に摂取できるカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物は、
酢酸に卵殻を漬けて一定時間経過させることで前記酢酸に前記卵殻が溶け込んだ状態としたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物は、請求項1に記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物において、
前記酢酸としては、所定割合の酢酸水溶液を含むことを特徴としている。
【0012】
また、請求項3に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物は、請求項2に記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物において、
前記酢酸水溶液を利用するにあたって、食用のお酢を用いることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に係る蒟蒻ゼリーは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のカルシウムの摂取促進用液状飲食物を含有したことを特徴としている。
【0014】
また、請求項5に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法は、
酢酸又は酢酸の水溶液に卵殻を漬ける第1の工程と、
前記酢酸又は酢酸の水溶液に漬けた前記卵殻が固体状から溶け出して液体状になって前記酢酸又は酢酸の水溶液に混ざり合うまで放置する第2の工程と、
前記第2の工程で卵殻が含まれた酢酸又は酢酸の水溶液を攪拌して均一化した状態で保存容器に充填する第3の工程からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、人間が食品から摂取すべき重要な栄養素のうちの一つであるカルシウムを日々確実かつ迅速に摂取できるカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一例としてのカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法を示すプロセス工程図である。
図2】本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法に関する実施例を示す一覧表である。
図3】本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物をカートリッジ充填式の形態とし、これを定期的に交換して十分なカルシウムを含有したガロンボトル状の浄水装置の構成の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法に関する各実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
最初に第1の実施形態について説明する。第1の実施形態に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法は、酢酸に卵殻を漬けて一定時間経過させることで酢酸に卵殻が溶け込んだ状態としたことを特徴としている。なお、ここでいう「卵殻」とは、一般的な食料品店やスーパーマーケットパック入り商品として販売している卵の殻を意味する。
【0019】
第1の実施形態によると、酢酸100%に卵殻を漬けて溶かすので、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を最も短い時間で製造することができる。第1の実施形態の利点について以下に説明する。酢酸の量が多いことで保存性に優れ、近年問題となっている地球温暖化に基づく巨大台風や線状降水帯による集中豪雨などの異常気象やいつ発生するか予測が難しい大地震など自然災害に加えて、国家間の紛争などの人為的な災害に基づいて長期間避難生活を突然余儀なく送らなければならない状況にある。
【0020】
そのため、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物をこのような不測の事態に備えて常備品として常に保管しておくことで、人間にとって必要不可欠な摂取要素であるカルシウムをこのような長期間の避難生活を送る間に避難者の健康維持に役立てることができる。
【0021】
また、本実施形態によると、酢酸の量が多いため酸味が残ってしまう場合があるが、常備品として保管しておいて実際に使用する際は通常の水などで希釈すれば酸味を薄めて問題なく使用することが可能である。
【0022】
続いて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法は、第1の実施形態に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法と実質的に同一のものであるが、それを製造する過程において、酢酸としては、所定割合の酢酸水溶液を含むことを特徴としている。
【0023】
第2の実施形態の利点について以下に説明する。上述した第1の実施形態によると、酢酸に卵殻が溶け込んだ状態だと酸味が強く残っていてお菓子やゼリーに使用すると酸味が残ってしまうが、第2の実施形態によると酢酸水溶液を更に薄めて使用することにより、卵殻のカルシウムが溶け出した後酸味が抜けてお菓子やゼリーに使用して違和感がない。
【0024】
すなわちこの第2の実施形態によると、お菓子やゼリーに加えたときにフルーツを原料にしている味を邪魔することがなくなり、この点を気にしなくて自由に使用することが可能となる。
【0025】
続いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法は、第1及び第2の実施形態に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法と実質的に同一のものであるが、それを製造する過程において、第2の実施形態において用いた酢酸水溶液を利用するにあたって、この酢酸水溶液として食用のお酢を用いることを特徴としている。
【0026】
第3の実施形態の利点について以下に説明する。第3の実施形態によると、家庭で常時使用されるお酢を酢酸水溶液の代わりに使用するので、余ったお酢をそのまま廃棄せず再利用することができると共に、通常生ゴミとして出している卵殻についても廃棄せずにそのまま再利用できるので、廃棄物の削減による省資源を達成できることに加えて、廃棄物を処理する際に生じる二酸化炭素の削減に貢献することが可能となる。
【0027】
続いて、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法の基本的製造工程について説明する。この製造工程は、第1の工程乃至第3の工程からなり、具体的には酢酸又は酢酸の水溶液に卵殻を漬ける第1の工程と、この酢酸又は酢酸の水溶液に漬けたこの卵殻が固体状から溶け出して液体状になってこの酢酸又は酢酸の水溶液に混ざり合うまで放置する第2の工程と、この第2の工程で卵殻が含まれた酢酸又は酢酸の水溶液を攪拌して均一化した状態で保存容器に充填する第3の工程からなる。この製造方法については、以下の説明及び実施例においてより詳細に説明する。
【0028】
上述した概略説明に関連して、以下にカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法の製造工程についての具体的一例を説明する。なお、以下の製造工程は、あくまでその一例であって使用する酢酸水溶液の容量やこれを更に希釈する水の容量、これに漬ける卵殻の量については例示的に示したものであり、これ以外の酢酸水溶液や水の容量、これに漬ける卵殻の量については様々な値が本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0029】
最初に50%の濃度の酢酸を含んだ市販の酢酸水溶液を100cc用意する(工程ステップS1)。そして、この100ccの酢酸水溶液に水を加えることで更に希釈して25%の濃度の200ccの酢酸水溶液とする(工程ステップS2)。
【0030】
次いで、この濃度25%に希釈した200ccの酢酸水溶液に卵殻20グラムを漬ける(工程ステップS3)。次いで、この状態で4日間放置する(工程ステップS4)。これによって、固体状であった20グラムの卵殻が200ccの酢酸水溶液に完全に溶け込んで本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を製造する。そして、念のためこのようにして製造したカルシウムの摂取促進用液状飲食物の酸味を確認して製造工程を終える(工程ステップS4)。
【実施例0031】
本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物について、6種類の濃度の酢酸水溶液を用いてこれに所定量の卵殻を一定時間漬けて酢酸水溶液中に溶かした場合のカルシウムの含有量について調べた。この際、元々の酢酸水溶液に関しては小堺製薬株式会社製の食品添加物:酸味料「酢酸」500ミリリットル(組成としては酢酸含有量29.0%~31.0%を含む。)の1次酢酸水溶液を利用した。そして、この酢酸水溶液に水50グラムを加えて100グラムの酢酸水溶液に更に希釈した後、所定量の卵殻(10グラム)を漬けて一定時間経過した後に、できあがった本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物100ミリリットル中に含まれるカルシウムの量を測定した。その結果、以下の通りとなった。なお、図2は、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物の製造方法に関する以下の各実施例の内容を示す一覧表である。
(実施例1)
1次酢酸水溶液20グラム、この1次酢酸水溶液に水道水80グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは555ミリグラムであった。
(実施例2)
1次酢酸水溶液25グラム、この1次酢酸水溶液に水道水75グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは654ミリグラムであった。
(実施例3)
1次酢酸水溶液30グラム、この1次酢酸水溶液に水道水70グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは714ミリグラムであった。
(実施例4)
1次酢酸水溶液40グラム、この1次酢酸水溶液に水道水60グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは845ミリグラムであった。
(実施例5)
1次酢酸水溶液45グラム、この1次酢酸水溶液に水道水55グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは975ミリグラムであった。
(実施例6)
1次酢酸水溶液50グラム、この1次酢酸水溶液に水道水50グラムを加えて更に希釈することで卵殻を漬けて溶かす卵殻含浸用酢酸水溶液を用意し、これに卵殻10グラムを含浸させて一定期間放置することで卵殻自体を完全に溶かしこんだ場合、できあがったカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムは1220ミリグラムであった。
【0032】
続いて、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を水道水を浄化してミネラルウォーターとして飲料する装置に取り付けた形態例について説明する。図3は、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を水道水を浄化して製造する装置に取り付け、このウォータータンクから本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物に含まれるカルシウムを所望の割合で含有させた状態でコップなどの容器に所定量の水を計量する飲料水供給装置の向上を示す概略図である。
【0033】
以下、図3に基づいてこの実施形態の構成について説明する。カルシウム含有浄水供給装置10の上部にはここに水道水を供給するための水道水浄水化タンク100が備わっている。また、カルシウム含有浄水供給装置10の下部には、メイン供給パイプ110が備わっており、カルシウム含有浄水供給装置10の一方の側方にカルシウム摂取促進ボトルカートリッジ200とこれを保持するボトルカートリッジ保持部210が備わっている。
【0034】
そして、ボトルカートリッジ保持部210からはサブ供給パイプ220から伸びてカルシウム含有・攪拌作動装置300にメイン供給パイプ110と共にそれぞれの液体を供給するようになっている。カルシウム含有・攪拌作動装置300の側方にはカルシウム含有・攪拌作動装置300に供給されたミネラルウォーターと希釈された本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を充填したボトルカートリッジ保持部210からサブ供給パイプ220を介して供給され希釈されたカルシウム摂取補助用液体が一定の割合で混ざり合いながら一定の割合で十分攪拌して混ざり合うようにするためのカルシウム含有・攪拌作動装置300及びカルシウム含有・攪拌作動制御部400が備わっている。
【0035】
なお、上述のカルシウム摂取促進ボトルカートリッジ200を充填したボトルカートリッジ保持部210に関しては、その中身がなくなった段階で新たなカルシウム摂取促進ボトルカートリッジ200を充填したボトルカートリッジ保持部210に交換してミネラルウォーターのカルシウム供給を中断させることなく連続的に行うことを可能にしている。
【0036】
カルシウム含有・攪拌作動制御部400は、カルシウム含有・攪拌作動装置を作動制御するためのものである。カルシウム含有・攪拌作動制御部400には、その一部にコントローラーやディスプレイやスイッチの類を有する表示・操作部410が備わっており、この表示・操作部410を適切に操作することで最適な割合のカルシウム含有率を有したカルシウム含有飲料水をカルシウム含有浄水供給装置10の下側に設けられたカルシウム含有浄水ノズル450を介して流下させるようになっている。そして、受け容器500の内側に置いたコップ550の中に最適な量のカルシウムを含んだカルシウム含有飲料水が常時提供できるようになっている。
【0037】
続いて、その他の形態例について説明する。その好ましい一例として本発明を利用して例えばバースデーケーキなどの誰もが好む食べものであるケーキを作る場合について説明する。具体的には、直径15cmのホールケーキを作る際、1台当たり卵1個分でスポンジを焼き、その卵1個分の殻(10g)に対し100gの酢酸水溶液に浸し、カルシウムが溶け出した液にシロップ、レモンジュースを加え、それをスポンジに塗ってスポンジ全体を生クリームでコーティングすることで食事の際に摂取するのに適切な量のカルシウムを含んだケーキを製造することができる。
【0038】
そして、このケーキを家族皆で楽しく食することで、発育ざかりの子供たち、日々の仕事や家事に追われる父親や母親、高齢期を迎えてカルシウム不足による骨粗鬆症の発症を未然に防止する必要のある祖父母や曾祖父母、これに加えて出産直後の女性や閉経後の女性を含む家族が食事をしながらその際に必要かつ十分な量のカルシウムも摂取することが可能となる。
【0039】
続いて、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を用いる対象食品を例示的に挙げると以下の通りになる。例えば飲料としては、通常の飲料水、ジュース、お菓子と一緒に飲むお茶や紅茶、コーヒー、ペットボトル入りの冷やしたスポーツドリンクや麦茶やお茶等(このような飲み物は真夏の熱中症対策として使用することで、これと同時に炎天下の活動や何らかの作業だけでなく、運動時の技量向上のための骨の強化に必要なカルシウム補給の役割も果たすことができる。)、菓子としては、ゼリー、グミ、クッキー、チョコ、ケーキ、焼き菓子等、調味料としては、醤油、塩、味噌、出汁、酢等、乳製品としては、ヨーグルト、チーズ等、レトルト食品としては、カレー、中華料理、シチュー等、インスタント食品としてはラーメンや焼きそばなどのヌードル食品等が挙げられる。特にインスタント食品に関しては、日常的に多忙で十分な栄養を含んだ食事をとることができない人が食べる際や、災害時の常備品や支給品としてのものを食べる際に同時にカルシウムの摂取ができて効果的である。
【0040】
また、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物によると以下の更なる優位点を有している。具体的には、親が子供にカルシウム補給のサプリメント等を与える場合が一例として挙げられる。このようなサプリメントは、その成分や品質が適切なものであるかどうか、購買者としての親の立場からは客観的に把握することが難しく、かつ子供に1回ずつ与えるサプリメントに含まれるカルシウムの実際の含有量も一目で適切に把握するのは難しい。
【0041】
しかしながら、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物によると、例えば第2の実施形態において、市販されている酢酸:食品添加物:酸味料(小堺製薬株式会社製、酢酸含有率29.0%から31.0%)に水50グラムを加えて卵殻10gを浸して4日間放置して溶かした場合、100ミリリットル中1220ミリグラムのカルシウムが含まれていることが分かった。これを利用することで、約大さじ1杯分で牛乳1本分のカルシウムが摂取できることになり、カルシウムの摂取量を客観的かつ直感的に把握することが容易となることが理解できる。
【0042】
すなわち、発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物によると、上述したような場合においては、約大さじ1杯分が卵殻1個分、すなわち牛乳200ミリリットルに含まれるカルシウムに相当することを感覚的かつ直感的に頭で記憶して理解しておくことができるため、子供に与える際に適切な量のカルシウムを間違いなく与えることができ、上述のようなサプリメントを子供に与える場合の不安感を払拭することが可能となる。
【0043】
また、カルシウム自体が卵殻を溶かしたものなので、それ自体が自然食品であり、どのような人工的成分が含まれているか把握できないサプリメントを成長期の子供に与える際に親が抱える不安感についても払拭することができる。
【0044】
更には、上述したサプリメントを子供に与える以外の場合であっても、例えば子どもや大人がカルシウム毎日食品から摂取するためには、毎日欠かさずイワシの丸干し、小松菜、ヒジキ、豆腐等を購入・調理して食しなければならず、日々の時間の流れが速い現代においてはこのような食品を日々購入したり丁寧に調理して食するにはそれに費やす時間的負担と経済的負担が大きくなる。
【0045】
しかしながら、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物によると、このような問題を生じさせることなく、カルシウム不足による様々な弊害防止するのに必須である毎日の必要かつ十分なカルシウムの摂取を時間的かつ経済的負担を格段に低減させながら実現することが可能となる。
【0046】
これに加えて、咀嚼力の低下した高齢者等にとっては、小魚の骨等を十分に消化してカルシウムを体内に摂取することが問題望ましいが、年齢及び咀嚼力の経過に伴って消化機能の能力も低下しており、そのまま排出してしまい本来の目的とする量のカルシウムを摂取することができないことが多い。
【0047】
また、上述した咀嚼力の低下と相まって、食べ物の好みの偏りに起因して小松菜やヒジキ、豆腐等を食べずに残してしまうことも十分に考えられる。しかしながら、例えば本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を野菜スープなど、極めて流動性の高い柔らかい食べ物に混ぜてこのような高齢者に食してもらうことで、上述した小魚等の固体状の中に含まれるカルシウムを消化器官で完全に消化させて吸収するような必要がなく、液体に含まれたカルシウムの形で消化器官において無理なく効率的に吸収することができる。
【0048】
その点でも本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物は他のカルシウムを含む食品に比べて日々の必要かつ十分なカルシウム摂取の観点から極めて優れたメリットを有していると言える。
【0049】
最後に、以下に本発明の発明者がどのような経緯で本発明の着想するに至ったかについて説明する。本発明の発明者は、ケーキ屋を営んでおり、仕事している際に卵の殻の有効活用は無いものかと思い、お酢1リットルに卵の殻を100グラム漬けて7日放置したものの組成を調べてみた。
【0050】
その結果、お酢100g中カルシウムが1120mgも含まれていたことが分かった。牛乳コップ1杯に含まれるカルシウムが227mg含まれることが知られているが、カルシウムが溶け出した酢(卵殻酢)で考えてみると大さじ1杯(15mg)の中に168mgも含まれていたことになることが分かった。ということは卵殻酢20mgで牛乳コップ1杯分のカルシウムが摂取できることが判明した。
【0051】
ここで、厚生労働省は成人1人当たりの推奨量を男性で700mgから800mg、女性で650mgと設定している。牛乳はコップ1杯で一日に必要なカルシウム量が30%摂取できるので一日1杯飲みましょうと言われている。しかし、現代では乳アレルギーの人や牛乳を飲むとおなかがゴロゴロする人も増えている。そのため、今回試験製造してみた卵殻酢はそういう方々でも問題なく摂取できると考えている。
【0052】
更に調べていくと日本人の半数はカルシウム不足ということが分かった。半数とはほぼ女性である。カルシウム不足が常態化しているため、高齢になった時に骨粗鬆症を発症してしまう。これもほぼ女性である。高齢になってから骨密度を下げないためにはどうするのかについても着目してみた。
【0053】
これを解決するためには、子供のうちからカルシウムを摂取しなければならないことが必要である。これに加えて、骨に負荷をかける適度の運動が有効である。このように発育期から十分なカルシウムを摂取することで特に女性にとって非常にメリットがあることが分かった。具体的には、女性は20歳ごろまでに充分なカルシウム摂取が必要。生理のたびや妊娠出産でカルシウムが減少し、閉経後には特にカルシウムが減少してしまう。このような女性特有の問題の解決に本発明は十分に貢献できることが理解できる。
【0054】
本発明の発明者は、更なる観点から本発明の優位性について着目したので、この点について以下に説明する。日本人がカルシウム不足に陥ってしまう原因の主要な要因の1つとしては、日本の水道水が軟水であることが言われている。この理由として、軟水は癖が無くお茶を入れてもご飯を炊いてもおいしくできることが挙げられる。
【0055】
もちろん雨も軟水である。その軟水で育った野菜たちにも残念ながらカルシウムが含まれていないということも挙げられるである。一方、硬水の国々は水にカルシウムが含まれているので料理には適していないと言われる。そのため、ボトルウォーターと水道水を使い分けているようである。
【0056】
以上のような諸要因を勘案して、本発明の発明者はいろいろ調べた結果、カルシウムが溶け出したお酢を販売しようと考えたが、お酢の酸味が抜けてしまっていておいしくなかったことを実感した。
【0057】
そこで、本発明の発明者は、酸味が抜けているのであれば、このような状態の液状飲食物をカルシウムの摂取促進用液状飲食物として、お菓子や調味料に混ぜても違和感が出にくいのではないかということに気が付いた。
【0058】
具体的には、一例として本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を用いた蒟蒻ゼリーが挙げられる。ここで蒟蒻ゼリーを例示的に挙げた理由として、第1に蒟蒻ゼリーはヘルシーなおやつであるということ。第2に蒟蒻ゼリーであれば母親が子供に安心して与えられるおやつであるということ。第3に例えば体型を気にしている若い女性が通常市販されている蒟蒻ゼリーをバックに入れて小腹が空いた際に食している人が多いということが挙げられる。
【0059】
これ以外にも、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物入りのお菓子や調味料等を利用して老若男女年齢や性別に関わらず様々な人達が日常的に自然な形で日々必要とされる量のカルシウムを摂取できるようにすることを本発明の発明者は目指している。具体的にはクッキー1枚で牛乳1杯分のカルシウムが摂取できるようなお菓子が好ましいと考えている。
【0060】
これに加えて、本発明の適用対象として、上述した蒟蒻ゼリーや他のお菓子以外にも、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物を必要な量だけレトルトカレーに入れたり、味噌汁1杯で牛乳1杯分のカルシウムが摂取できる味噌などの調味料に入れたりすることも考えられる。更には、真夏の熱中症対策として欠かせないスポーツドリンク1本を飲むことで牛乳1杯分のカルシウムを摂取できるようにするのに好ましい形態として考えている。
【0061】
上述した蒟蒻ゼリーに本発明を適用する場合、お酢には酢酸が10%~20%含まれているので、その酢酸がカルシウムを溶け出してくれるので沸騰させた水道水に30%~50%の酢酸を合わせそこに10%の卵殻を漬けて、1週間ほど置いたものを蒟蒻ゼリーに混ぜることで、本発明の作用効果を発揮できる蒟蒻ゼリーとすることが可能である。
【0062】
蒟蒻ゼリーは一般的に1個20g~25gが一般的で、1個の中に牛乳1杯分のカルシウムを入れて毎日1個ずつ食べれば牛乳1杯分のカルシウムが摂取できる蒟蒻ゼリーを作ることができる。すなわち、このような蒟蒻ゼリーを毎日3個食べたら厚生労働省が推奨している日々のカルシウム摂取量を取ることが可能となる。なお、最初に考えていたのはお酢に卵殻を漬けていたがお酢である必要はない。
【0063】
以上説明したように、本発明に係るカルシウムの摂取促進用液状飲食物及びその製造方法によると、上述した本発明に関する課題を全て解決することが可能となる。なお、上述した実施形態や実施例の質量%を容量%、具体的材質、具体的な希釈率はあくまで例示的にもので、本発明の作用効果を生じうる範囲内で適宜変更は可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
10 カルシウム含有浄水供給装置
100 水道水浄水化タンク
110 メイン供給パイプ
200 カルシウム摂取促進ボトルカートリッジ
210 ボトルカートリッジ保持部
220 サブ供給パイプ
300 カルシウム含有・攪拌作動装置
400 カルシウム含有・攪拌作動制御部
410 表示・操作部
450 カルシウム含有浄水ノズル
500 受け容器
550 コップ
図1
図2
図3