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特開2025-26805ガス処理モジュール、ガス処理方法及び気相有機化合物処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025026805
(43)【公開日】2025-02-25
(54)【発明の名称】ガス処理モジュール、ガス処理方法及び気相有機化合物処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/32 20060101AFI20250217BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20250217BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20250217BHJP
【FI】
B01D53/32
B01J35/39 ZAB
B01D53/86 280
B01J35/39
B01D53/32 ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】42
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024134519
(22)【出願日】2024-08-09
(31)【優先権主張番号】63/532,153
(32)【優先日】2023-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/569,297
(32)【優先日】2024-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524302341
【氏名又は名称】グリーンフィルテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ,イーフイ
(72)【発明者】
【氏名】ペン,クオミン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ユデ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジュティン
【テーマコード(参考)】
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
4D148AA17
4D148AA20
4D148AB03
4D148BA07X
4D148BA41X
4D148BB02
4D148CC31
4D148EA01
4D148EA07
4G169AA02
4G169BA04B
4G169BA13B
4G169BA48A
4G169CA07
4G169CA10
4G169CA11
4G169DA06
4G169EB17Y
4G169HA01
4G169HB01
4G169HE04
4G169HF03
4G169HF05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】混合ガスにおける気相有機化合物に対して良い処理効果を有するガス処理モジュール及びガス処理方法を提供する。
【解決手段】ガス処理モジュール900は、チャンバ100と、ガス導入ユニット210と、光源300と、光触媒400と、液体導入ユニット510と、ガス排出ユニット220と、液体排出ユニットとを含む。ガス導入ユニットはチャンバの内部と連通し、被処理ガスをチャンバに供給し、被処理ガスには、気相有機化合物が含まれる。光源は、チャンバに設けられ、第1の光線を提供する。光触媒は、チャンバに設けられ、第1の光線の照射を受ける場合、光触媒と接触する被処理ガスの気相有機化合物の少なくとも一部は、光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成する。液体導入ユニットは、チャンバの内部と連通し、溶媒を提供して光触媒の表面と接触させることができ、有機化合物生成物は、溶媒に溶解することができる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
前記チャンバの内部と連通しており、被処理ガスを前記チャンバに供給することができるガス導入ユニットであって、前記被処理ガスには、気相有機化合物が含まれる、ガス導入ユニットと、
前記チャンバに設けられており、第1の光線を提供することができる光源と、
前記チャンバに設けられている光触媒であって、前記第1の光線の照射を受ける場合、前記光触媒と接触する前記被処理ガスの前記気相有機化合物の少なくとも一部は、前記光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成することができる、光触媒と、
前記チャンバの内部と連通しており、溶媒を提供して前記光触媒の表面と接触できる液体導入ユニットであって、前記有機化合物生成物は、前記溶媒に溶解することができ、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の溶解度は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の揮発性は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の揮発性よりも低い、液体導入ユニットと、
前記チャンバの内部と連通しており、前記光触媒と分離した、前記光触媒と接触した前記被処理ガスを排出することができる、ガス排出ユニットと、
前記チャンバの内部と連通しており、前記光触媒と分離した、前記有機化合物生成物を含有する前記溶媒を排出することができる、液体排出ユニットと、を含む
ガス処理モジュール。
【請求項2】
前記光源は、前記第1の光線として、持続的に提供される紫外光を含む、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項3】
前記被処理ガスが通過できるろ過ユニットをさらに含む、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項4】
前記光触媒は、前記ろ過ユニットの一側に設けられており、前記光源及び前記液体導入ユニットは、前記ろ過ユニットの外側に設けられており、前記光触媒に面している、請求項3に記載のガス処理モジュール。
【請求項5】
複数あり且つ直列に接続するように設けることができる、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項6】
前記被処理ガスは、前記溶媒を通過して、前記気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させることができ、
前記液相有機化合物は、前記光触媒の作用によって前記有機化合物生成物を生成することができる、
請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項7】
前記液体導入ユニットは、前記溶媒をバッチ式で供給する、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項8】
前記液体導入ユニットは、前記溶媒を連続式で供給する、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項9】
前記溶媒が前記光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である、請求項8に記載のガス処理モジュール。
【請求項10】
前記気相有機化合物が前記光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である、請
求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項11】
前記液体導入ユニットは、前記溶媒をシャワーによって前記光触媒の表面にスプレーする、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項12】
前記液体導入ユニットは、前記溶媒が往復浸漬により前記光触媒の表面を流れる、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項13】
前記気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項14】
前記気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない、請求項1に記載のガス処理モジュール。
【請求項15】
(S1000)気相有機化合物を含む被処理ガスを提供するステップと、
(S2000)前記被処理ガスを光触媒の表面と接触させて、前記気相有機化合物の少なくとも一部が前記光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップと、
(S3000)溶媒を提供するステップと、
(S4000)前記溶媒を前記光触媒と接触させて前記有機化合物生成物を前記溶媒に溶解させるステップであって、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の溶解度は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の揮発性は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の揮発性よりも低い、ステップと、
(S5000)前記光触媒と接触した前記被処理ガス、及び前記有機化合物生成物を含有する前記溶媒を、前記光触媒と分離するステップと、を含む
ガス処理方法。
【請求項16】
前記ステップS2000は、前記気相有機化合物が作用して前記有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して前記光触媒に照射することを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項17】
(S1200)前記被処理ガスを、ろ過ユニットを通過させるステップをさらに含む
請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項18】
前記ステップS2000は、前記気相有機化合物が前記光触媒によって複数回作用して前記有機化合物生成物を生成するようにすることを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項19】
(S3200)前記被処理ガスを、前記溶媒を通過させて、前記気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップと、
(S3400)前記液相有機化合物が前記光触媒の作用によって前記有機化合物生成物を生成させるステップと、をさらに含む
請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項20】
前記ステップS3400は、前記液相有機化合物が前記光触媒によって複数回作用して前記有機化合物生成物を生成させることを含む、請求項19に記載のガス処理方法。
【請求項21】
前記ステップS3000は、前記溶媒をバッチ式で供給することを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項22】
前記ステップS3000は、前記溶媒を連続式で供給することを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項23】
前記溶媒が前記光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である、請求項22に記載のガス処理方法。
【請求項24】
前記気相有機化合物が前記光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項25】
前記ステップS3000は、前記溶媒をシャワーによって前記光触媒の表面にスプレーすることを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項26】
前記ステップS3000は、前記溶媒が往復浸漬により前記光触媒の表面を流れることを含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項27】
前記気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項28】
前記気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない、請求項15に記載のガス処理方法。
【請求項29】
(A1000)気相有機化合物を提供するステップと、
(A2000)前記気相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップと、
(A3000)溶媒を提供するステップと、
(A4000)前記溶媒を前記光触媒の表面と接触させて前記有機化合物生成物を前記溶媒に溶解させるステップであって、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の溶解度は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、前記溶媒に対する前記有機化合物生成物の揮発性は、前記溶媒に対する前記気相有機化合物の揮発性よりも低い、ステップと、
(A5000)前記有機化合物生成物を含有する前記溶媒を前記光触媒と分離するステップと、を含む
気相有機化合物処理方法。
【請求項30】
前記ステップA2000は、前記気相有機化合物が作用して前記有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して前記光触媒に照射することを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項31】
前記ステップA2000は、前記気相有機化合物が前記光触媒によって複数回作用して前記有機化合物生成物を生成させることを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項32】
(A3200)前記気相有機化合物を、前記溶媒を通過させて、前記気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップと、
(A3400)前記液相有機化合物が前記光触媒の作用によって前記有機化合物生成物を生成させるステップと、をさらに含む
請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項33】
前記ステップA3400は、前記液相有機化合物が前記光触媒によって複数回作用して前記有機化合物生成物を生成させることを含む、請求項32に記載のガス処理方法。
【請求項34】
前記ステップA1000は、前記気相有機化合物を前記溶媒とともに提供することを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項35】
前記ステップA3000は、前記溶媒をバッチ式で供給することを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項36】
前記ステップA3000は、前記溶媒を連続式で供給することを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項37】
前記溶媒が前記光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である、請求項36に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項38】
前記気相有機化合物が前記光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項39】
前記ステップA3000は、前記溶媒をシャワーによって前記光触媒の表面にスプレーすることを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項40】
前記ステップA3000は、前記溶媒が往復浸漬により前記光触媒の表面を流れることを含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項41】
前記気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【請求項42】
前記気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない、請求項29に記載の気相有機化合物処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理モジュール、ガス処理方法及び気相有機化合物処理方法に関する。より具体的には、本発明は、半導体産業に関するプロセスにおいて揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)を含有する気中分子状汚染物質(Airborne Molecular Contaminants,AMC)を除去するために適用されるガス処理モジュール、ガス処理方法及び気相有機化合物処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造業などの工業製造分野では、製品の歩留まりをさらに向上させるために、クリーンルームは、清潔で汚染のない隔離環境で製品の生産製造を行うために広く使用されている。
【0003】
クリーンルームの環境要件を満たすために、通常、クリーンルームのガス入口にファンとろ過設備を設け、ファンを介してガスフローを、ろ過設備のフィルターを通過してからクリーンルームに入るように駆動することによって、粉塵及び様々な有機、無機汚染物質をろ過する。
【0004】
例えばベンゼン、アセトン、イソプロパノール、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、エタノールアミン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどの気中分子状汚染物質(Airborne Molecular
Contaminants,AMC)中の揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)に対して、一般的な除去方法の1つは、活性炭材料による吸着である。そのうち、活性炭材料は、VOCのうちのアルカン類、アルケン類、エーテル類、ベンゼン類化合物に対して、そのポアにより良好な物理吸着効果が得られるが、VOCのうちのアルコール類、ケトン類、酸類、エステル類化合物に対して物理吸着効果が劣るので、光触媒反応処理による方法を提出した。しかしながら、従来技術における光触媒反応処理の場合、生成物は光触媒の表面に蓄積し、反応速度が低下し、全体の効能が要件を満たさないことになる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、混合ガスにおける気相有機化合物に対して良い処理効果を有するガス処理モジュールを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、混合ガスにおける気相有機化合物に対して良い処理効果を有するガス処理方法を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、気相有機化合物に対して良い処理効果を有する気相有機化合物処理方法を提供することにある。
【0008】
本発明のガス処理モジュールは、チャンバと、ガス導入ユニットと、光源と、光触媒と、液体導入ユニットと、ガス排出ユニットと、液体排出ユニットとを含む。ガス導入ユニットは、チャンバの内部と連通しており、被処理ガスをチャンバ内に供給することができ、被処理ガスには、気相有機化合物が含まれる。光源は、チャンバ内に設けられており、第1の光線を提供することができる。光触媒は、チャンバ内に設けられており、第1の光線の照射を受ける場合、光触媒と接触する被処理ガスの気相有機化合物の少なくとも一部は、光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成することができる。液体導入ユニット
は、チャンバの内部と連通しており、光触媒の表面と接触するように溶媒を提供することができ、有機化合物生成物は、溶媒に溶解することができ、そのうち、溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い。ガス排出ユニットは、チャンバの内部と連通しており、光触媒と分離した、光触媒と接触した被処理ガスを排出することができる。液体排出ユニットは、チャンバの内部と連通しており、光触媒と分離した、有機化合物生成物を含有する溶媒を排出することができる。
【0009】
本発明の実施例では、光源は、第1の光線として、持続的に提供される紫外光を含む。
【0010】
本発明の実施例では、ガス処理モジュールは、被処理ガスが通過できるろ過ユニットをさらに含む。
【0011】
本発明の実施例では、光触媒は、ろ過ユニットの一側に設けられ、光源及び液体導入ユニットは、ろ過ユニットの外側に設けられており、光触媒に面している。
【0012】
本発明の実施例では、ガス処理モジュールは、複数あり且つ直列に接続するように設けられてもよい。
【0013】
本発明の実施例では、被処理ガスは、溶媒を通過して、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成するようにすることができ、液相有機化合物は、光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成することができる。
【0014】
本発明の実施例では、液体導入ユニットは、溶媒をバッチ式で供給する。
【0015】
本発明の実施例では、液体導入ユニットは、溶媒を連続式で供給する。
【0016】
本発明の実施例では、溶媒が光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である。
【0017】
本発明の実施例では、気相有機化合物が光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である。
【0018】
本発明の実施例では、液体導入ユニットでは、溶媒をシャワーによって光触媒の表面にスプレーする。
【0019】
本発明の実施例では、液体導入ユニットでは、溶媒が往復浸漬により光触媒の表面を流れる。
【0020】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。
【0021】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【0022】
本発明のガス処理方法は、(S1000)気相有機化合物を含む被処理ガスを提供するステップと、(S2000)被処理ガスを光触媒の表面と接触させて、気相有機化合物の少なくとも一部が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップと、(S3000)溶媒を提供するステップと、(S4000)溶媒を光触媒と接触させて有機化
合物生成物を溶媒に溶解させるステップであって、溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い、ステップと、(S5000)光触媒と接触した被処理ガス、及び有機化合物生成物を含有する溶媒を、光触媒と分離するステップと、を含む。
【0023】
本発明の実施例では、ステップS2000は、気相有機化合物が作用して有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して前記光触媒に照射することを含む。
【0024】
本発明の実施例では、ステップS2000は、気相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成することを含む。
【0025】
本発明の実施例では、ガス処理方法は、被処理ガスを、溶媒を通過させて、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップ(S3200)と、液相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップ(S3400)と、をさらに含む。
【0026】
本発明の実施例では、ステップS3400は、液相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0027】
本発明の実施例では、ステップS3000は、溶媒をバッチ式で供給することを含む。
【0028】
本発明の実施例では、ステップS3000は、溶媒を連続式で供給することを含む。
【0029】
本発明の実施例では、溶媒が光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である。
【0030】
本発明の実施例では、気相有機化合物が光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である。
【0031】
本発明の実施例では、ステップS3000は、溶媒をシャワーによって光触媒の表面にスプレーすることを含む。
【0032】
本発明の実施例では、ステップS3000は、溶媒が往復浸漬により光触媒の表面を流れることを含む。
【0033】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。
【0034】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【0035】
本発明の気相有機化合物処理方法は、(A1000)気相有機化合物を提供するステップと、(A2000)気相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップと、(A3000)溶媒を提供するステップと、(A4000)溶媒を光触媒の表面と接触させて有機化合物生成物を溶媒に溶解させるステップであって、溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い、ステップと、(A5000)有機化合物生成物を含有する溶媒を光触媒と分離するステップと、を含む。
【0036】
本発明の実施例では、ステップA2000は、気相有機化合物が作用して有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して光触媒に照射することを含む。
【0037】
本発明の実施例では、ステップA2000は、気相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0038】
本発明の実施例では、気相有機化合物処理方法は、(A3200)気相有機化合物を、溶媒を通過させて、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップと、(A3400)液相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップと、をさらに含む。
【0039】
本発明の実施例では、ステップA3400は、液相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0040】
本発明の実施例では、ステップA1000は、気相有機化合物を溶媒とともに提供することを含む。
【0041】
本発明の実施例では、ステップA3000は、溶媒をバッチ式で供給することを含む。
【0042】
本発明の実施例では、ステップA3000は、溶媒を連続式で供給することを含む。
【0043】
本発明の実施例では、溶媒が光触媒の表面を流れる流速は、75.6L/min・m以上である。
【0044】
本発明の実施例では、気相有機化合物が光触媒の表面を流れる流速は、0.7m/s以下である。
【0045】
本発明の実施例では、ステップA3000は、溶媒をシャワーによって光触媒の表面にスプレーすることを含む。
【0046】
本発明の実施例では、ステップA3000は、当該溶媒が往復浸漬により光触媒の表面を流れることを含む。
【0047】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。
【0048】
本発明の実施例では、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1A】本発明のガス処理モジュールの実施例の模式図である。
【0050】
図1B図1AにおけるAA’断面模式図である。
【0051】
図1C】本発明のガス処理モジュールにおける液体導入ユニットにスプレーホールが設けられている実施例の模式図である。
【0052】
図2A】水洗ありと水洗なしのアセトン除去効果の模式図である。
【0053】
図2B】水洗ありのイソプロパノール、アセトン、トルエンの除去効果の模式図である。
【0054】
図3A】水洗なし、循環水洗、連続水洗によるアセトンの除去結果の模式図である。
図3B】水洗なし、循環水洗、連続水洗によるアセトンの除去結果の模式図である。
【0055】
図3C】異なる流量の水によって光触媒を連続的にリンスすることによるアセトンの除去結果の模式図である。
【0056】
図4】本発明のガス処理方法の実施例のフローの模式図である。
【0057】
図5】本発明のガス処理方法の異なる実施例のフローの模式図である。
図6】本発明のガス処理方法の異なる実施例のフローの模式図である。
【0058】
図7】本発明の気相有機化合物処理方法の実施例のフローの模式図である。
【0059】
図8】本発明の気相有機化合物処理方法の異なる実施例のフローの模式図である。
図9】本発明の気相有機化合物処理方法の異なる実施例のフローの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下では、特定の具体的な実施例及び図面により、本発明で開示される接続アセンブリの実施形態を説明するが、本分野の技術者は、本明細書で開示される内容から本発明の利点及び効果を理解することができる。しかしながら、以下に開示される内容は本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、本分野の技術者であれば、本発明の構想精神から逸脱することなく、異なる観点と用途に基づいて他の異なる実施例で本発明を実現することができる。添付図面では、明確にするために層、膜、パネル、領域などの厚さが拡大されている。明細書全体では、同じ符号は、同じ要素を表す。理解すべきことは、層、膜、領域又は基板などの要素が別の要素「上」にある、又は別の要素「に接続される」と表現されると、その要素が別の要素上に直接ある、又は別の要素に直接接続されてもよいし、中間要素が存在してもよい。逆に、要素が「別の要素上に直接ある」又は別の要素「に直接接続される」と表現されると、中間要素が存在しない。本文において使用されるように、「接続」とは、物理及び/又は電気的接続を指し得る。なお、「電気的接続」又は「結合」の場合、二つの要素の間に他の要素があってもよい。
【0061】
理解すべきことは、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本文において各種の要素、部材、領域、層及び/又は部分を説明するために使用されるが、これらの要素、部材、領域、及び/又は部分は、これらの用語によって制限されるべきではない点である。これらの用語は、一つの要素、部材、領域、層又は部分と別の要素、部材、領域、層又は部分との区別のみに使用される。したがって、以下で説明する「第1の要素」、「部材」、「領域」、「層」又は「部分」は、本文の教示から逸脱することなく、第2の要素、部材、領域、層又は部分と呼ぶことができる。
【0062】
その他、「下」又は「底部」と「上」又は「頂部」という相対的な用語は、図面に示すように、本文において一つの要素と別の要素との関係を説明するために使用され得る。理解すべきことは、相対的な用語は、図面に示す方位以外の装置の異なる方位を含むことを意図する点である。例えば、ある図面における装置が反転すると、他の要素の「下」側にあると表示される要素は、他の要素の「上」側に配向される。したがって、例示的な用語「下」は、図面の特定の向きに依存して「下」と「上」の向きを含み得る。類似的に、あ
る図面における装置が反転すると、他の要素の「下方」又は「下側」にあると表示される要素は、他の要素の「上方」に配向される。したがって、例示的な用語「下方」又は「下側」は、「上方」と「下方」の向きを含み得る。
【0063】
本文において使用される「約」、「およそ」、又は「実質的に」には、説明される測定と測定に関連する誤差の特定の数(つまり、測定システムの制限)を考慮して、記載された値、及び本分野の通常の技術者によって決定される特定の値の許容可能な偏差範囲内にある平均値が含まれる。例えば、「約」は、記載された値の一つ以上の標準偏差内、又は±30%、±20%、±10%、±5%内にあることを示すことができる。なお、本文において使用される「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、すべての特性に1つの標準偏差を適用することなく、光学特性、エッチング特性、又はその他の特性により、相対的に許容可能な偏差範囲又は標準偏差を選択し得る。
【0064】
図1Aに示す実施例のように、本発明のガス処理モジュール900は、チャンバ100、ガス導入ユニット210、光源300、光触媒400、液体導入ユニット510、ガス排出ユニット220及び液体排出ユニット520を含む。一実施例では、チャンバ100はステンレス鋼からなるが、異なる実施例では、チャンバ100は他の合金、金属、金属酸化物、又は、例えば高分子、ガラスなどの非金属物質からなってもよい。ガス導入ユニット210は、チャンバ100の内部と連通しており、被処理ガスをチャンバ100に供給することができる。具体的には、一実施例では、ガス導入ユニット210は、チャンバ100の一側の開口又は外部ラインと繋がる接続口などであってもよく、被処理ガスは、例えばポンプ又はファンなどの装置によって輸送され、ガス導入ユニット210を通過してチャンバ100に供給されてもよい。
【0065】
被処理ガスは、気相有機化合物を含む。気相有機化合物は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)を含む。一実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。異なる実施例では、例えば起こり得る効能低下などを回避するために、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【0066】
図1Aに示す実施例のように、光源300はチャンバ100に設けられており、持続的又は間欠的に第1の光線を提供することができる。光触媒400は、チャンバ100に設けられており、第1の光線の照射を受ける場合、光触媒400と接触する被処理ガスの気相有機化合物の少なくとも一部は、光触媒400の作用によって有機化合物生成物を生成することができる。より具体的には、一実施例では、光源300は、波長が400nmよりも小さい紫外光を発することができるランプであってもよく、反応モジュール900は、被処理ガスが通過可能なろ過ユニット410をさらに含み、光触媒400は、例えばハニカムセラミックフィルターであるろ過ユニット410の一側などの光線が直接又は間接に照射できる場所にある二酸化チタン(TiO)である。気相有機化合物は、アセトンであり、ろ過ユニット410を通過する時に、光触媒400の作用によって、例えば以下の式(1)及び式(2)の反応が起こり得る。言い換えれば、この実施例では、有機化合物生成物はギ酸(HCOOH)である。
CHCOCH→HCOOH+CHCHO……式(1)
CHCHO→2HCOOH……式(2)
しかしながら、異なる実施例では、光源300は、他の波長の第1の光線を発する発光装置であってもよく、光触媒400は、二酸化チタンに限定されず、有機化合物生成物は、酢酸(Acetic acid)などであってもよい。
【0067】
図1Bは、図1AにおけるAA’断面模式図である。図1Bに示す実施例のように、液
体導入ユニット510は、チャンバ100の内部と連通しており、光触媒400の表面と接触するように溶媒を提供することができる。有機化合物生成物は、例えば水である溶媒に溶解することができ、溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い。具体的には、一実施例では、液体導入ユニット510は、チャンバ100の外部から貫入するラインであってもよく、溶媒は、例えばポンプなどの装置による輸送又は重力作用によりチャンバ100に入って、光触媒400の表面と接触することができる。ラインのチャンバ100内にある一端に、光触媒400に向かうスプレーホール511をさらに設けることにより、溶媒をシャワーによって光触媒400の表面にスプレーしてもよい。異なる実施例では、ラインのチャンバ100内にある一端は光触媒400に向かうことなく、溶媒を簡単にチャンバ100に流れ込み、チャンバ100から流れ出し、往復浸漬により光触媒400の表面を流れてもよい。液体導入ユニット510は、バッチ式又は連続式で溶媒を供給してもよく、即ち、溶媒が断続的又は連続的に光触媒400の表面を流れてもよい。
【0068】
図1Bに示す実施例のように、ガス排出ユニット220は、チャンバ100の内部と連通しており、光触媒400と分離された、光触媒と接触した被処理ガスを排出することができる。具体的には、一実施例では、ガス排出ユニット220は、チャンバ100の一側の開口又は外部ラインと繋がる接続口などであってもよく、被処理ガスは、例えばポンプ又はファンなどの装置によって輸送され、ガス排出ユニット220を通過してチャンバ100から排出されてもよい。液体排出ユニット520は、チャンバ100の内部と連通しており、光触媒400と分離された、有機化合物生成物を含有する溶媒を排出することができる。具体的には、一実施例では、液体排出ユニット520は、チャンバ100の外部から貫入するラインであってもよく、溶媒は、例えばポンプなどの装置による輸送又は重力作用によりチャンバ100から離れることができる。
【0069】
さらには、一実施例では、前述した気相有機化合物であるアセトンは、光触媒400の作用によって、有機化合物生成物であるギ酸を生成し、その少なくとも一部が光触媒400の表面に付着することができる。一般的には、ギ酸は、以下の式(3)の反応を行って、
2HCOOH+O→2CO+2HO......式(3)
二酸化炭素及び水に分解することができる。しかしながら、この反応は速度が遅く、律速段階(rate-determining step,RDS)と見なすことができる。光触媒400の表面は、ギ酸の付着により、気相有機化合物であるアセトンと反応し続けることができないので、反応速度が大幅に低下してしまう。これに対して、本発明では、光触媒400の表面と接触するように溶媒が提供され、また、溶媒(水)に対する有機化合物生成物(ギ酸)の溶解度は、溶媒(水)に対する気相有機化合物(アセトン)の溶解度よりも高いか、又は、溶媒(水)に対する有機化合物生成物(ギ酸)の揮発性は、溶媒(水)に対する気相有機化合物(アセトン)の揮発性よりも低いので、光触媒400の表面に付着したギ酸は迅速に水によって取り除かれることができ、光触媒400はアセトンと反応し続け、反応速度を大幅に向上させることができる。例えばアセトンなどの気相有機化合物は、光触媒と接触する時間が、光触媒と反応して例えばギ酸である有機化合物生成物を生成する時間よりも長いが、完全に反応して例えば二酸化炭素及び水である最終反応物となるのにかかる時間よりも短いことが好ましい。異なる角度から見ると、本発明では、気相有機化合物の完全な反応の加速ではなく、溶媒に対する気相有機化合物及び有機化合物生成物の溶解度又は揮発性の差異を利用し、溶媒で実質的に光触媒400の表面をリンスして、光触媒400の表面に付着した有機化合物生成物を取り除き、光触媒400を紫外光の照射下で気相有機化合物と持続的に反応可能にすることによって、反応速度を大幅に向上させることが求められている。
【0070】
異なる実施例では、被処理ガスは、溶媒を通過して、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成し、液相有機化合物は、光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成することができる。異なる角度から見ると、チャンバに入った被処理ガスは、水洗によって、その中の気相有機化合物の少なくとも一部を水に溶解させて液相有機化合物を形成し、その後、同様に光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成し、水によって光触媒の表面から取り除くことができる。
【0071】
図1A図1Cに示す実施例のように、ガス処理モジュール900における各要素の形状、サイズ、配列、相対角度などは、必要に応じて調整することができる。一方、ガス処理モジュール900は、複数あり且つ直列に接続するように設けられることによって、気相有機化合物に対する処理効果及び/又は処理量を向上させてもよい。
【0072】
ガス処理モジュールの実施例1:長さが150mm、幅が150mm、厚さが50mm、ポア径が4mmであり、材質がコーディエライト、ムライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、窒化ケイ素などである基材を使用して、その表面に二酸化チタンである光触媒を設け、波長が400nmよりもやや小さい紫外光を発するランプによって、30°のテーパー角、150mmのランプ間隔で光触媒に照射し、また、スプレーヘッドの間隔は50mmであった。被処理ガスの流量が0.4m/minであった時、水洗なしの結果及び流量75.6L/min・mの水が光触媒を連続的に流れた結果は、以下の表1及び図2Aに示され、連続水洗を経たアセトン平均除去量及び平均除去効率は、明らかに水洗なしのものよりも優れたことが明らかになった。このことから、本発明のガス処理モジュールが混合ガスにおける気相有機化合物に対して好ましい除去効果を有することが証明できる。
【表1】
【0073】
前述したガス処理モジュールの実施例1において、被処理ガスの流量が0.4m/minで、流量75.6L/min・mの水が光触媒を連続的に流れた場合の、イソプロパノール(Isopropanol)、アセトン(Acetone)、トルエン(Toluene)に対する除去結果は、図2Bに示され、本発明のガス処理モジュールが上記の3つの全てに対して良い除去効果を有することが明らかになった。
【0074】
前述したガス処理モジュールの実施例1において、被処理ガスの流量0.4m/min、且つ水洗なし、循環水洗、連続水洗(流量75.6L/min・mの水でシャワーによって光触媒を連続的にリンス)の場合の、アセトンに対する除去結果は、図3A及び図3Bに示され、連続水洗は好ましい効果を有することが明らかになった。
【0075】
前述したガス処理モジュールの実施例1において、被処理ガスの流量が0.4m/minで、それぞれ流量4.27、50.7、75.6L/min・mの水で光触媒を連続的にリンスした場合の、アセトンに対する除去結果は、以下の表2及び図3Cに示され、75.6L/min・mで好ましい効果を有することが明らかになった。
【表2】
【0076】
前述したガス処理モジュールの実施例1において、被処理ガスの流速がそれぞれ2.5、1.5、0.7m/sで、流量75.6L/min・mの水が光触媒を連続的に流れた場合の、アセトンに対する除去結果は、以下の表3に示され、0.7m/sで好ましい効果を有することが明らかになった。
【表3】
【0077】
図4に示す実施例のフローの模式図のように、本発明のガス処理方法は、例えば以下のステップを含む。
【0078】
ステップS1000において、気相有機化合物を含む被処理ガスを提供する。一実施例では、このステップは、被処理ガスを溶媒とともに提供することを含む。より具体的には、気相有機化合物は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)を含む。一実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。異なる実施例では、例えば起こり得る効能低下などを回避するために、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【0079】
ステップS2000において、被処理ガスを光触媒の表面と接触させて、気相有機化合物の少なくとも一部が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させる。より具体的には、一実施例では、被処理ガスを、図1Aに示すような光触媒400の表面と接触させて、気相有機化合物の少なくとも一部が光触媒400の作用によって有機化合物生成物を生成させる。その他、一実施例では、このステップは、気相有機化合物が作用して有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して光触媒に照射することをさらに含む。別の実施例では、このステップは、気相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることをさらに含む。
【0080】
ステップS3000において、溶媒を提供して光触媒と接触させて有機化合物生成物を溶媒に溶解させる。溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い。より具体的には、一実施例では、図1Aに示すように、有機化合物生成物を溶媒に溶解させるように、溶媒を光触媒400と接触させる
。このステップは、バッチ式又は連続式で溶媒を供給すること、即ち、溶媒が断続的又は連続的に光触媒400の表面を流れることを含んでもよい。溶媒が光触媒の表面を流れる流速は、好ましくは、75.6L/min・m以上である。気相有機化合物が光触媒の表面を流れる流速は、好ましくは、0.7m/s以下である。このステップは、溶媒をシャワーによって光触媒の表面にスプレーすることや、往復浸漬により光触媒の表面を流れることを含んでもよい。
【0081】
ステップS4000において、光触媒と接触した被処理ガス、及び有機化合物生成物を含有する溶媒を、光触媒と分離する。より具体的には、一実施例では、図1Bに示すように、光触媒400と接触した被処理ガス、及び有機化合物生成物を含有する溶媒を、光触媒400と分離する。さらには、例えばアセトンなどの気相有機化合物は、光触媒と接触する時間が、光触媒と反応して例えばギ酸である有機化合物生成物を生成する時間よりも長くなるが、完全に反応して例えば二酸化炭素及び水である最終反応物となるのにかかる時間よりも短くなるべきである。
【0082】
従来の光触媒を使用して気相有機化合物を分解させる技術では、光触媒の表面は、有機化合物生成物の付着により、気相有機化合物と反応し続けることができないので、反応速度が大幅に低下してしまう。これに対して、本発明では、光触媒の表面と接触するように溶媒が提供され、また、溶媒(水)に対する有機化合物生成物(ギ酸)の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物(アセトン)の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低いので、光触媒の表面に付着した有機化合物生成物は迅速に溶媒によって取り除かれることができ、光触媒は気相有機化合物と反応し続け、反応速度を大幅に向上させることができる。異なる角度から見ると、本発明では、気相有機化合物の完全な反応の加速ではなく、溶媒に対する気相有機化合物及び有機化合物生成物の溶解度又は揮発性の差異を利用し、溶媒で実質的に光触媒の表面をリンスして、光触媒の表面に付着した有機化合物生成物を取り除き、光触媒が気相有機化合物と反応し続けることができることによって、反応速度を大幅に向上させることが求められている。
【0083】
図5に示す実施例のフローの模式図のように、本発明のガス処理方法は、被処理ガスをろ過ユニットを通過させるステップS1200をさらに含む。より具体的には、図1Bに示すように、被処理ガスを、ろ過ユニット410を通過させる。
【0084】
図6に示す実施例のフローの模式図のように、本発明のガス処理方法は、被処理ガスを、溶媒を通過させて、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップS1500と、液相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップS2500と、をさらに含む。異なる角度から見ると、チャンバに入った被処理ガスは、水洗によって、その中の気相有機化合物の少なくとも一部を水に溶解させて液相有機化合物を形成し、その後、同様に光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成し、水によって光触媒の表面から取り除くことができる。ステップS2500は、液相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0085】
上記のガス処理方法では、被処理ガスは、一つ又は複数の気相有機化合物を含んでもよく、即ち、一つ又は複数の気相有機化合物を同時に処理してもよい。一実施例では、同じ概念は気相有機化合物単独及びその混合物の処理に適用することができる。
【0086】
図7に示す実施例のフローの模式図のように、本発明の気相有機化合物処理方法は、例えば以下のステップを含む。
【0087】
ステップA1000において、気相有機化合物を提供する。一実施例では、このステッ
プは、気相有機化合物を溶媒とともに提供することを含む。より具体的には、気相有機化合物は、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds,VOC)を含む。一実施例では、気相有機化合物は、イソプロパノール、アセトン、トルエンから選ばれる一種又は複数種を含む。異なる実施例では、例えば起こり得る効能低下などを回避するために、気相有機化合物は、ポリハロゲン化合物、ベンゼン環類化合物、多環芳香族炭化水素、長鎖アルカン類化合物から選ばれる一種又は複数種を含まない。
【0088】
ステップA2000において、気相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させる。一実施例では、このステップは、気相有機化合物が作用して有機化合物生成物を生成するように、紫外光を持続的に提供して光触媒に照射することを含む。別の実施例では、このステップは、気相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0089】
ステップA3000において、溶媒を提供して光触媒の表面と接触させて有機化合物生成物を溶媒に溶解させる。溶媒に対する有機化合物生成物の溶解度は、溶媒に対する気相有機化合物の溶解度よりも高いか、又は、溶媒に対する有機化合物生成物の揮発性は、溶媒に対する気相有機化合物の揮発性よりも低い。ステップA3000は、溶媒をバッチ式又は連続式で供給することを含む。溶媒が光触媒の表面を流れる流速は、好ましくは、75.6L/min・m以上である。気相有機化合物が光触媒の表面を流れる流速は、好ましくは、0.7m/s以下である。一実施例では、このステップは、溶媒をシャワーによって光触媒の表面にスプレーすることを含む。別の実施例では、このステップは、溶媒が往復浸漬により光触媒の表面を流れることを含む。
【0090】
ステップA4000において、有機化合物生成物を含有する溶媒を光触媒と分離する。
【0091】
図8に示す実施例のフローの模式図のように、本発明の気相有機化合物処理方法は、気相有機化合物をろ過ユニットを通過させるステップA1200をさらに含む。
【0092】
図9に示す実施例のフローの模式図のように、本発明の気相有機化合物処理方法は、気相有機化合物を、溶媒を通過させて、気相有機化合物の少なくとも一部が液相有機化合物を形成させるステップA1500と、液相有機化合物が光触媒の作用によって有機化合物生成物を生成させるステップA2500と、をさらに含む。ステップA2500は、液相有機化合物が光触媒によって複数回作用して有機化合物生成物を生成させることを含む。
【0093】
前述の説明及び図面は本発明の好ましい実施例を開示したが、添付の特許請求の範囲によって限定されるような本発明の原理の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施例に対して様々な追加、多くの修正及び置換を行うことができることを理解すべきである。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明は多くの形態、構造、配置、割合、材料、要素、及びアセンブリの修正に使用され得ることを理解できる。したがって、ここで開示された実施例は、本発明を制限するためのものではなく、本発明を説明するためのものと見なされる。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって限定され、その合法的な均等物を包含し、前の説明に限定されない。
【符号の説明】
【0094】
100:チャンバ
210:ガス導入ユニット
220:ガス排出ユニット
300:光源
400:光触媒
410:ろ過ユニット
510:液体導入ユニット
511:スプレーホール
520:液体排出ユニット
900:処理モジュール
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】