(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025027180
(43)【公開日】2025-02-27
(54)【発明の名称】雪駄
(51)【国際特許分類】
A43B 13/20 20060101AFI20250219BHJP
A43B 3/00 20220101ALI20250219BHJP
A43B 3/12 20060101ALI20250219BHJP
A43B 7/32 20060101ALI20250219BHJP
【FI】
A43B13/20 A
A43B3/00 103A
A43B3/12 A
A43B7/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131765
(22)【出願日】2023-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】523308823
【氏名又は名称】NEWBASIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【弁理士】
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】大西 藍
(72)【発明者】
【氏名】武内 賢太
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA11
4F050AA15
4F050BA39
4F050HA56
4F050HA57
4F050HA58
(57)【要約】
【課題】 歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することのできる雪駄を提供する。
【解決手段】 雪駄10は、土台11と鼻緒12とで構成される。土台11は、鼻緒12が取り付けられる天板13と、底板としてのアウトソール部材14と、天板13とアウトソール部材14との間に設けられるミッドソール部材15を備え、ミッドソール部材15の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材16が設けられている。踵部に対応する位置において、土台11の厚みAに対する中空部材16の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台と鼻緒とで構成される雪駄であって、
前記土台は、
前記鼻緒が取り付けられる天板と、底板としてのアウトソール部材と、前記天板と前記アウトソール部材との間に設けられるミッドソール部材とを備え、
前記ミッドソール部材の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、
前記踵部に対応する位置において、前記土台の厚みAに対する前記中空部材の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されている、雪駄。
【請求項2】
前記踵部に対応する位置において、前記土台の幅Cに対する前記中空部材の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されている、請求項1に記載の雪駄。
【請求項3】
前記中空部材は、前記鼻緒の横緒が通される後穴の位置より後側に設けられている、請求項1に記載の雪駄。
【請求項4】
前記雪駄は、前記雪駄の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されており、
前記中空部材は、前記ミッドソール部材の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されている、請求項1に記載の雪駄。
【請求項5】
前記ミッドソール部材は、合成樹脂製であり、
前記中空部材をインサート品としたインサート成形により前記ミッドソール部材を製造することによって、前記ミッドソール部材の内部に前記中空部材が設けられている、請求項1に記載の雪駄。
【請求項6】
土台と鼻緒とで構成される雪駄であって、
前記土台は、
前記鼻緒が取り付けられる天板と、底板としてのソール部材とを備え、
前記ソール部材の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、
前記踵部に対応する位置において、前記土台の厚みAに対する前記中空部材の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されている、雪駄。
【請求項7】
前記踵部に対応する位置において、前記土台の幅Cに対する前記中空部材の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されている、請求項6に記載の雪駄。
【請求項8】
前記中空部材は、前記鼻緒の横緒が通される後穴の位置より後側に設けられている、請求項6に記載の雪駄。
【請求項9】
前記雪駄は、前記雪駄の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されており、
前記中空部材は、前記ソール部材の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されている、請求項6に記載の雪駄。
【請求項10】
前記ソール部材は、合成樹脂製であり、
前記中空部材をインサート品としたインサート成形により前記ソール部材を製造することによって、前記ソール部材の内部に前記中空部材が設けられている、請求項6に記載の雪駄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪駄に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、雪駄は、日本の伝統的な履物として知られており、茶人や風流人などの男性が着物を着るときに多く用いられている。近年、伝統的な雪駄とは異なる新しい雪駄として、例えば、おしゃれ履き用の雪駄が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の雪駄においては、歩行時における踵への衝撃を軽減するための工夫はまったくなされておらず、雪駄の履き心地を改善する余地があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することのできる雪駄を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の雪駄は、土台と鼻緒とで構成される雪駄であって、前記土台は、前記鼻緒が取り付けられる天板と、底板としてのアウトソール部材と、前記天板と前記アウトソール部材との間に設けられるミッドソール部材とを備え、前記ミッドソール部材と前記アウトソール部材は、合成樹脂製であり、前記ミッドソール部材には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、前記踵部に対応する位置において、前記土台の厚みAに対する前記中空部材の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されている。
【0007】
この構成によれば、雪駄の土台のミッドソール部材の内部の少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、しかも、踵部に対応する位置における土台全体の厚みAに対する中空部材の厚みBが十分に大きく設定されている(B/Aの比が0.2以上に設定されている)ので、従来の雪駄(中空部材がない場合)に比べて歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。この場合、土台全体の厚みAに対する中空部材の厚みBが過度に大きく設定されていない(B/Aの比が0.7以下に設定されている)ので、天板とアウトソール部材の厚みを十分に確保することができる。天板の厚みが十分に確保されることにより、雪駄の履き心地が損なわれるのを避けることができ、また、アウトソール部材の厚みが十分に確保されることにより、雪駄の耐久性が損なわれるのを避けることができる。
【0008】
また、本発明の雪駄では、前記踵部に対応する位置において、前記土台の幅Cに対する前記中空部材の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されてもよい。
【0009】
この構成によれば、踵部に対応する位置における土台全体の幅Cに対する中空部材の幅Dが十分に大きく設定されている(D/Cの比が0.8以上に設定されている)ので、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0010】
また、本発明の雪駄では、前記中空部材は、前記鼻緒の横緒が通される後穴の位置より後側に設けられてもよい。
【0011】
この構成によれば、中空部材が後穴の位置より後側に設けられることにより、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0012】
また、本発明の雪駄では、前記雪駄は、前記雪駄の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されており、前記中空部材は、前記ミッドソール部材の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されてもよい。
【0013】
この構成によれば、雪駄が左右対称に構成されているので、雪駄を左右交互に履くことにより、雪駄のアウトソール部材の外側と内側の減り方が均等になり、雪駄を長く履くことができる。この場合、中空部材も左右対称に構成されているので、雪駄を左右どちらで履いても同じ履き心地を得ることができる。
【0014】
また、本発明の雪駄では、前記ミッドソール部材は、合成樹脂製であり、前記中空部材をインサート品としたインサート成形により前記ミッドソール部材を製造することによって、前記ミッドソール部材の内部に前記中空部材が設けられてもよい。
【0015】
この構成によれば、ミッドソール部材を合成樹脂製とし、中空部材をインサート品としたインサート成形によってミッドソール部材を製造することによって、中空部材が内部に設けられたミッドソール部材を、容易に製造することが可能になる。
【0016】
本発明の雪駄は、土台と鼻緒とで構成される雪駄であって、前記土台は、前記鼻緒が取り付けられる天板と、底板としてのソール部材とを備え、前記ソール部材の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、前記踵部に対応する位置において、前記土台の厚みAに対する前記中空部材の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されている。
【0017】
この構成によれば、雪駄の土台のソール部材の内部の少なくとも踵部に対応する位置に中空部材が設けられており、しかも、踵部に対応する位置における土台全体の厚みAに対する中空部材の厚みBが十分に大きく設定されている(B/Aの比が0.2以上に設定されている)ので、従来の雪駄(中空部材がない場合)に比べて歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。この場合、土台全体の厚みAに対する中空部材の厚みBが過度に大きく設定されていない(B/Aの比が0.7以下に設定されている)ので、天板とソール部材の厚みを十分に確保することができる。天板の厚みが十分に確保されることにより、雪駄の履き心地が損なわれるのを避けることができ、また、ソール部材の厚みが十分に確保されることにより、雪駄の耐久性が損なわれるのを避けることができる。
【0018】
また、本発明の雪駄では、前記踵部に対応する位置において、前記土台の幅Cに対する前記中空部材の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されてもよい。
【0019】
この構成によれば、踵部に対応する位置における土台全体の幅Cに対する中空部材の幅Dが十分に大きく設定されている(D/Cの比が0.8以上に設定されている)ので、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0020】
また、本発明の雪駄では、前記中空部材は、前記鼻緒の横緒が通される後穴の位置より後側に設けられてもよい。
【0021】
この構成によれば、中空部材が後穴の位置より後側に設けられることにより、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0022】
また、本発明の雪駄では、前記雪駄は、前記雪駄の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されており、前記中空部材は、前記ソール部材の中心線を軸として平面視で左右対称に構成されてもよい。
【0023】
この構成によれば、雪駄が左右対称に構成されているので、雪駄を左右交互に履くことにより、雪駄のソール部材の外側と内側の減り方が均等になり、雪駄を長く履くことができる。この場合、中空部材も左右対称に構成されているので、雪駄を左右どちらで履いても同じ履き心地を得ることができる。
【0024】
また、本発明の雪駄では、前記ソール部材は、合成樹脂製であり、前記中空部材をインサート品としたインサート成形により前記ソール部材を製造することによって、前記ソール部材の内部に前記中空部材が設けられてもよい。
【0025】
この構成によれば、ソール部材を合成樹脂製とし、中空部材をインサート品としたインサート成形によってソール部材を製造することによって、中空部材が内部に設けられたソール部材を、容易に製造することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の雪駄の側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態の雪駄の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態の雪駄の分解側面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態の雪駄の説明図(側断面図)である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態の雪駄の説明図(平断面図)である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態の雪駄の側面図である。
【
図7】本発明の第2の実施の形態の雪駄の平面図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態の雪駄の分解側面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態の雪駄の説明図(側断面図)である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態の雪駄の説明図(平断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態の雪駄の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の雪駄を示す側面図であり、
図2は、本実施の形態の雪駄を示す平面図である。また、
図3は、本実施の形態の雪駄の分解側面図である。
図1~
図3に示すように、雪駄10は、土台11と鼻緒12とで構成されており、土台11は、鼻緒12が取り付けられる天板13と、底板としてのアウトソール部材14と、天板13とアウトソール部材14との間に設けられるミッドソール部材15を備えている。
【0029】
鼻緒12は、例えば、中綿入りのビロードで構成されているが、これに限定されるものではなく、従来の雪駄で用いられている公知の鼻緒を用いてもよい。また、図示は省略するが、天板13は、芯材と、芯材の上に設けられる表(おもて)と、芯材と表との間に設けられる低反発クッションで構成される。芯材としては、例えば木板や厚紙などを用いることができる。また、低反発クッションとしては、例えば、発泡プラスチック部材やスポンジ部材などを用いることができる。また、表としては、カスリ染糸やイグサなどの織物を用いることができる。なお、天板13も、上記の例に限定されるものではなく、従来の雪駄で用いられている公知の天板を用いてもよい。
【0030】
ミッドソール部材15の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材16が設けられている(
図4および
図5も参照)。ここで、ミッドソール部材15の内部に中空部材16が設けられるとは、中空部材16の大部分がミッドソール部材15の内部に設けられていればよく、中空部材16の一部がミッドソール部材15の外部に露出していてもよい。
【0031】
また、
図4に示すように、踵部に対応する位置において、土台11の厚みAに対する中空部材16の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されており、より好ましくは、0.3以上かつ0.6以下に設定されている。さらに、
図5に示すように、踵部に対応する位置において、土台11の幅Cに対する中空部材16の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されており、より好ましくは0.9以上に設定されている。
図4の例では、土台11の厚みAに対する中空部材16の厚みBの比B/Aは、0.357であり、
図5の例では、土台11の幅Cに対する中空部材16の幅Dの比D/Cは、0.967である。ここで、中空部材16の厚みBとは、中空部材16の厚みの最大値をいう。例えば、中空部材16の部位によって厚みが異なる場合には、中空部材16の部位のなかで最も厚みの大きい部位の厚みの値が該当する。
【0032】
また、
図5に示すように、中空部材16は、鼻緒12の横緒が通される後穴17の位置Pより後側(踵側。
図5における右側)に設けられている、さらに、
図2に示すように、雪駄10は、雪駄10の中心線Lを軸として平面視で左右対称に構成されており、
図5に示すように、中空部材16は、ミッドソール部材15の中心線Lmを軸として平面視で左右対称に構成されている。なお、本実施の形態では、雪駄10の中心線Lとミッドソール部材15の中心線Lmは、平面視で一致している。
【0033】
ミッドソール部材15は、合成樹脂製であり、中空部材16をインサート品としたインサート成形によりミッドソール部材15を製造することによって、ミッドソール部材15の内部に中空部材16が設けられている。ミッドソール部材15の材料としては、例えば、PU(ポリウレタン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)などが用いられる。
【0034】
また、アウトソール部材14も、合成樹脂製であり、アウトソール部材14の材料としては、例えば、PU(ポリウレタン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)などが用いられる。アウトソール部材14の材料は、耐久性の高い材料を用いることが望ましい。アウトソール部材14の材料は、ミッドソール部材15と同じ材料を用いてもよく、異なる材料を用いてもよい。
【0035】
このような第1の実施の形態の雪駄10によれば、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができるという作用効果が奏される。
【0036】
すなわち、本実施の形態では、雪駄10の土台11のミッドソール部材15の内部の少なくとも踵部に対応する位置に中空部材16が設けられており、しかも、踵部に対応する位置における土台11全体の厚みAに対する中空部材16の厚みBが十分に大きく設定されている(B/Aの比が0.2以上に設定されている)ので、従来の雪駄(中空部材16がない場合)に比べて歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。この場合、土台11全体の厚みAに対する中空部材16の厚みBが過度に大きく設定されていない(B/Aの比が0.7以下に設定されている)ので、天板13とアウトソール部材14の厚みを十分に確保することができる。天板13の厚みが十分に確保されることにより、雪駄10の履き心地が損なわれるのを避けることができ、また、アウトソール部材14の厚みが十分に確保されることにより、雪駄10の耐久性が損なわれるのを避けることができる。
【0037】
また、本実施の形態では、踵部に対応する位置における土台11全体の幅Cに対する中空部材16の幅Dが十分に大きく設定されている(D/Cの比が0.8以上に設定されている)ので、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、中空部材16が後穴17の位置より後側に設けられることにより、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0039】
また、本実施の形態では、雪駄10が左右対称に構成されているので、雪駄10を左右交互に履くことにより、雪駄10のアウトソール部材14の外側と内側の減り方が均等になり、雪駄10を長く履くことができる。この場合、中空部材16も左右対称に構成されているので、雪駄10を左右どちらで履いても同じ履き心地を得ることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、ミッドソール部材15を合成樹脂製とし、中空部材16をインサート品としたインサート成形によってミッドソール部材15を製造することによって、中空部材16が内部に設けられたミッドソール部材15を、容易に製造することが可能になる。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の雪駄について説明する。ここでは、第2の実施の形態の雪駄が、第1の実施の形態と相違する点を中心に説明する。ここで特に言及しない限り、本実施の形態の構成および動作は、第1の実施の形態と同様である。
【0042】
図6は、本実施の形態の雪駄を示す側面図であり、
図7は、本実施の形態の雪駄を示す平面図である。また、
図8は、本実施の形態の雪駄の分解側面図である。
図6~
図8に示すように、
図6~
図8に示すように、雪駄20は、土台21と鼻緒22とで構成されており、土台21は、鼻緒22が取り付けられる天板23と、底板としてのソール部材24を備えている。
【0043】
ソール部材24の内部には、少なくとも踵部に対応する位置に中空部材26が設けられている(
図9および
図10も参照)。ここで、ソール部材24の内部に中空部材26が設けられるとは、中空部材26の大部分がソール部材24の内部に設けられていればよく、中空部材26の一部がソール部材24の外部に露出していてもよい。
【0044】
また、
図9に示すように、踵部に対応する位置において、土台21の厚みAに対する中空部材26の厚みBの比B/Aは、0.2以上かつ0.7以下に設定されており、より好ましくは、0.3以上かつ0.6以下に設定されている。さらに、
図10に示すように、踵部に対応する位置において、土台21の幅Cに対する中空部材26の幅Dの比D/Cは、0.8以上に設定されており、より好ましくは0.9以上に設定されている。
図9の例では、土台21の厚みAに対する中空部材26の厚みBの比B/Aは、0.357であり、
図10の例では、土台21の幅Cに対する中空部材26の幅Dの比D/Cは、0.976である。ここで、中空部材26の厚みBとは、中空部材26の厚みの最大値をいう。例えば、中空部材26の部位によって厚みが異なる場合には、中空部材26の部位のなかで最も厚みの大きい部位の厚みの値が該当する。
【0045】
また、
図10に示すように、中空部材26は、鼻緒22の横緒が通される後穴27の位置Pより後側(踵側。
図10における右側)に設けられている、さらに、
図7に示すように、雪駄20は、雪駄20の中心線Lを軸として平面視で左右対称に構成されており、
図10に示すように、中空部材26は、ソール部材24の中心線Lsを軸として平面視で左右対称に構成されている。なお、本実施の形態では、雪駄20の中心線Lとソール部材24の中心線Lsは、平面視で一致している。
【0046】
ソール部材24は、合成樹脂製であり、中空部材26をインサート品としたインサート成形によりソール部材24を製造することによって、ソール部材24の内部に中空部材26が設けられている。ソール部材24の材料としては、例えば、PU(ポリウレタン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、EVA(エチレン酢酸ビニル)などが用いられる。
【0047】
このような第2の実施の形態の雪駄20によっても、第1の実施の形態と同様の作用効果が奏される。
【0048】
本実施の形態では、雪駄20の土台21のソール部材24の内部の少なくとも踵部に対応する位置に中空部材26が設けられており、しかも、踵部に対応する位置における土台21全体の厚みAに対する中空部材26の厚みBが十分に大きく設定されている(B/Aの比が0.2以上に設定されている)ので、従来の雪駄(中空部材26がない場合)に比べて歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。この場合、土台21全体の厚みAに対する中空部材26の厚みBが過度に大きく設定されていない(B/Aの比が0.7以下に設定されている)ので、天板23とソール部材24の厚みを十分に確保することができる。天板23の厚みが十分に確保されることにより、雪駄20の履き心地が損なわれるのを避けることができ、また、ソール部材24の厚みが十分に確保されることにより、雪駄20の耐久性が損なわれるのを避けることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、踵部に対応する位置における土台21全体の幅Cに対する中空部材26の幅Dが十分に大きく設定されている(D/Cの比が0.8以上に設定されている)ので、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、中空部材26が後穴27の位置より後側に設けられることにより、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、雪駄20が左右対称に構成されているので、雪駄20を左右交互に履くことにより、雪駄20のソール部材24の外側と内側の減り方が均等になり、雪駄20を長く履くことができる。この場合、中空部材26も左右対称に構成されているので、雪駄20を左右どちらで履いても同じ履き心地を得ることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ソール部材24を合成樹脂製とし、中空部材26をインサート品としたインサート成形によってソール部材24を製造することによって、中空部材26が内部に設けられたソール部材24を、容易に製造することが可能になる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる雪駄は、歩行時における踵への衝撃を軽減することができ、これまでにない良好な履き心地を実現することができるという効果を有し、履物として有用である。
【符号の説明】
【0055】
10 雪駄
11 土台
12 鼻緒
13 天板
14 アウトソール部材
15 ミッドソール部材
16 中空部材
17 後穴
20 雪駄
21 土台
22 鼻緒
23 天板
24 ソール部材
26 中空部材
27 後穴