(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025037349
(43)【公開日】2025-03-18
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/14 20060101AFI20250311BHJP
【FI】
D06F39/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144222
(22)【出願日】2023-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】山元 弘巳
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AE01
3B165AE02
3B165BA48
3B165BA50
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA03
3B165CA04
3B165CA11
3B165CA15
3B165CB01
3B165CB31
(57)【要約】
【課題】上蓋の中央を保持するように誘導することができる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、筐体2と、筐体2の上部を覆う上蓋3とを備える。上蓋3は、後端部が筐体2に回動可能に取り付けられ、上蓋3の前端部と筐体2との間に隙間が設けられ、隙間は、筐体2の幅方向での端部に向かうに従って狭くなる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の上部を覆う上蓋とを備えた洗濯機であって、
前記上蓋は、後端部が前記筐体に回動可能に取り付けられ、
前記上蓋の前端部と前記筐体との間に隙間が設けられ、
前記隙間は、前記筐体の幅方向での端部に向かうに従って狭くなること
を特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記上蓋の前端部には、前記筐体における前面側が上方へ傾斜した傾斜部が設けられていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯機であって、
前記傾斜部の先端から下方へ延びた延伸部が設けられ、
前記傾斜部と前記延伸部とがなす角度は、鋭角とされていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記筐体は、前面の上端と側面の上端とに、それぞれ深さが異なる面取部が設けられていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記隙間は、前記筐体の幅方向での両端まで設けられていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記上蓋は、上面視において、前端部が前記筐体の前端と重なるように覆っていること
を特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転可能に取り付けられた上蓋を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機では、衣類や水等の飛び出しを防ぐため、洗濯槽の開口部を覆う蓋が設けられている。蓋の使い勝手に対する配慮をすると、指を差し込む部分が大きくなるなどして、意匠性が損なわれることがあった。そこで、良好な意匠性を確保しつつ、使い勝手を向上させることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の洗濯機は、洗濯槽を収容する筐体と、筐体に回動自在に支持され、筐体の上面の開口を開閉する蓋とを備え、蓋は、一枚の板状に形成され、蓋の手前側において表面が凸状且つ裏面が凹状に形成された手掛け部を備え、手掛け部は、上面と上下方向において重なる突出形状部を有する。
【0005】
洗濯物の処理容量の増大に伴う洗濯機の大型化によって、蓋も大型となる傾向がある。蓋を大型化した際には、蓋の重量増加を抑制しながら、蓋が撓みにくい構造とすることが求められている。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、上蓋の中央を保持するように誘導することで、蓋の補強による重量増大を抑制しながら、蓋の左右方向の撓みを抑制することができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る洗濯機は、筐体と、前記筐体の上部を覆う上蓋とを備えた洗濯機であって、前記上蓋は、後端部が前記筐体に回動可能に取り付けられ、前記上蓋の前端部と前記筐体との間に隙間が設けられ、前記隙間は、前記筐体の幅方向での端部に向かうに従って狭くなることを特徴とする。
【0008】
本開示に係る洗濯機は、前記上蓋の前端部には、前記筐体における前面側が上方へ傾斜した傾斜部が設けられている構成としてもよい。
【0009】
本開示に係る洗濯機は、前記傾斜部の先端から下方へ延びた延伸部が設けられ、前記傾斜部と前記延伸部とがなす角度は、鋭角とされている構成としてもよい。
【0010】
本開示に係る洗濯機では、前記筐体は、前面の上端と側面の上端とに、それぞれ深さが異なる面取部が設けられている構成としてもよい。
【0011】
本開示に係る洗濯機では、前記隙間は、前記筐体の幅方向での両端まで設けられている構成としてもよい。
【0012】
本開示に係る洗濯機では、前記上蓋は、上面視において、前端部が前記筐体の前端と重なるように覆っている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によると、上蓋と筐体との間に、ユーザが指を差し込むための隙間が空いているが、端部側の隙間が狭いので、上蓋の中央を保持するように誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
【
図2】蓋を開いた状態の洗濯機の外観を示す斜視図である。
【
図3】上蓋および筐体の上部の外観を示す斜視図である。
【
図4】上蓋および筐体の上部の外観を示す正面図である。
【
図5】上蓋および筐体の上部の外観を示す側面図である。
【
図6】上蓋および筐体の上部のうち、幅方向での一端部を拡大して示す拡大正面図である。
【
図7】上蓋および筐体の上部のうち、前端部の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施の形態に係る洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本開示の実施の形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図であって、
図2は、蓋を開いた状態の洗濯機の外観を示す斜視図である。
【0017】
本開示の実施の形態に係る洗濯機1は、筐体2の上面(筐体上面2a)に洗濯物を投入する投入口(図示しない)を設けた縦型洗濯機とされており、投入口を覆うように上蓋3が設けられている。
【0018】
上蓋3は、上面視において、略矩形状とされており、後端部が筐体2に回転可能に取り付けられている。本実施の形態において、上蓋3は、筐体2の上面のうち、背面側の一部を除いた略全体を覆う形状とされており、換言すると、上蓋3は、上面視において、前端部が筐体2の前端と重なるように覆っている。このように、上蓋3の前端側は、筐体2に応じた形状とされているので、一体感を持たせることができ、デザイン的に優れた外観とすることができる。なお、上蓋3の形状については、これに限定されず、例えば、円形状といった異なる形状としてもよいし、投入口よりも少し大きい程度のサイズとしてもよい。
図1では、
図2に示す洗濯槽4(槽の一例)を上蓋3が覆う閉状態を示している。
【0019】
図2では、上蓋3が洗濯槽4を開放する開状態を示している。筐体上面2aであって、投入口よりも背面側には、上蓋3を軸支する第1軸支部21および第2軸支部22が設けられている。本実施の形態において、第1軸支部21は、幅方向での右側に設けられ、第2軸支部22は、幅方向での左側に設けられている。
【0020】
上蓋3の後端部には、第1軸支部21に取り付けられる第1取付部31と、第2軸支部22に取り付けられる第2取付部32とが設けられている。第2軸支部22と第2取付部32とには、筐体2と上蓋3とを固定するピン5が取り付けられている。上蓋3は、第1取付部31および第2取付部32を支点にし、前端側を持ち上げて回転させることで、開閉することができる。
【0021】
筐体2は、前面(筐体前面2b)の上端と上面(筐体上面2a)との接続部、および、側面(筐体側面2c)の上端と上面(筐体上面2a)との接続部に、それぞれ深さが異なる面取部が設けられている。具体的に、筐体前面2bに設けた前面面取部2dは、筐体側面2cに設けた側面面取部2eよりも深く、すなわち、面取部の幅が大きく形成されている。前面面取部2dと側面面取部2eとの境界、つまり、筐体上面2aの前端側の角に対応する部分では、前面面取部2dと側面面取部2eとの深さの違いに応じて、緩やかに深さが変化するように傾斜した角面取部2fが設けられている。面取部は、断面が弧状のC面や平面状としてもよく、平面状の端部を弧状としてもよい。
【0022】
次に、上蓋3の詳細な形状と、筐体2に対する関係について、
図3ないし
図5を参照して説明する。なお、
図3ないし
図5では、筐体2のうち、上部を抽出した状態を示している。
【0023】
図3は、上蓋および筐体の上部の外観を示す斜視図であって、
図4は、上蓋および筐体の上部の外観を示す正面図であって、
図5は、上蓋および筐体の上部の外観を示す側面図である。
図3ないし
図5に関しては、上蓋3が閉状態とされた場合での位置関係に基づいて説明する。
【0024】
筐体上面2aは、背面側に比べて筐体前面2b側が低くなっており、徐々に高さを変えるように湾曲している。上蓋3は、筐体上面2aに応じた形状とされ、筐体上面2aを覆う蓋本体33は、前端側が低くなるように湾曲している。
【0025】
蓋本体33の上面の中央部には、外周部よりも上方へ突出した突出部33aが設けられており、突出部33aの外周には、僅かに凹んだ溝が設けられている。
【0026】
上蓋3の前端部には、閉状態における筐体前面2b側が上方へ傾斜した傾斜部34と、傾斜部34の先端から下方へ延びた延伸部35とが設けられている。また、蓋本体33の側端部には、下方へ延びた側端延伸部36が設けられている。蓋本体33の前端側の角に対応する部分では、延伸部35と側端延伸部36との間を繋ぐ角延伸部37が設けられている。延伸部35、角延伸部37、および側端延伸部36の継ぎ目において、側端延伸部36の下端が、延伸部35の下端よりも下方まで延びており、角延伸部37は、側端延伸部36側が低くなるように、下端が湾曲(傾斜)している。
【0027】
図5に示すように、延伸部35は、下端が筐体前面2bに届かない程度まで延びている。その結果、上蓋3の前端部と筐体2との間には、隙間が設けられている。ユーザは、この隙間に指を差し入れることで、上蓋3の前端部に指を掛けることができる。延伸部35と筐体前面2bとの隙間は、筐体2の幅方向での両端まで設けられている。このように、ユーザが指を差し込むための隙間を設けつつ、それが目立たないようにして、機能性とデザイン性とを両立させた外観とすることができる。
【0028】
また、
図5に示すように、側端延伸部36は、筐体側面2cに対して、僅かな隙間ができる程度まで下端が延びている。そのため、延伸部35と筐体前面2bとの隙間は、側端延伸部36と筐体側面2cとの隙間よりも広くなっている。これにより、ユーザが上蓋3の側端部(側端延伸部36)に指を掛けることを自然に抑制できる。
【0029】
図6は、上蓋および筐体の上部のうち、幅方向での一端部を拡大して示す拡大正面図である。
【0030】
図6では、上蓋3および筐体2の上部について、幅方向における一端部(
図4の左端部)を拡大して示している。
【0031】
上述したように、延伸部35と筐体前面2bとの間には、隙間が設けられており、筐体2の幅方向での端部では、角延伸部37と角面取部2fとによって、隙間が形成されている。そして、両者の幅について比較すると、延伸部35と筐体前面2bとの隙間の広さ(第1隙間距離SL1)は、角延伸部37と角面取部2fとの隙間の広さ(第2隙間距離SL2)よりも広くなっている。つまり、上蓋3の前端部と筐体2との間に設けた隙間は、幅方向での端部に向かうに従って狭くなる。このように、上蓋3と筐体2との間に、ユーザが指を差し込むための隙間が空いているが、端部側の隙間が狭いので、上蓋3の中央を保持するように誘導することができる。さらに、傾斜部34が上方へ傾斜しているので、上蓋3の下方から指を差し込みやすい構造とすることができる。これにより、ユーザが指を差し込む位置を自然に左右方向の中央部近傍とすることができ、上蓋3を持ち上げた際に上蓋3が左右方向に撓むことを抑制する。したがって、上蓋3の左右方向の撓みを抑制するための補強部材を過度に形成せずともよくなり、上蓋3の軽量化が可能となる。また、上蓋3を持ち上げた際に上蓋3が左右方向に撓むことを抑制するため、ユーザの指に左右方向の応力が掛かりにくくなり、より軽快に上蓋3を持ち上げることができる。
【0032】
図5に示すように、蓋本体33では、傾斜部34との継ぎ目が少し低くなるように、湾曲しており、この部分に液体が溜まることが懸念される。そこで、上蓋3の上面のうち、側端部では、端に向かうに従って高さが低くなるように、僅かに湾曲(傾斜)させてもよい。上蓋3の上面に設けた高低差によって、溜まった液体を端から落下させることができる。
【0033】
図7は、上蓋および筐体の上部のうち、前端部の断面を拡大して示す拡大断面図である。
【0034】
図7は、上蓋3および筐体2の前端部の断面を拡大して示している。
【0035】
図7に示すように、延伸部35は、延伸部35との間の角度が鋭角となるように延びている。このようにした延伸部35を設けることで、ユーザの指を奥に誘い込み、上蓋3の外形に指がかかるため、上蓋3をしっかりと保持させることができる。
【0036】
延伸部35については、他の部分、例えば、側端延伸部36などよりも厚く形成されていることが好ましく、厚くすることでユーザが把持しやすくなったり、他の部分との違いを認識しやすくなったりする。また、延伸部35は、上端側と下端側とで厚みを異ならせ、前面側に段差を設けてもよい。このようにすることで、前面側から見た際、延伸部35に陰影が生じさせ、ユーザからの見た目に特別な印象を持たせることができ、例えば、上蓋3が実際の構造よりも薄いと錯覚させることができる。
【0037】
本実施の形態では、幅方向において、筐体2の端まで隙間が設けられた構成を示したが、これに限定されず、隙間を設ける範囲が、筐体2のうち、幅方向での一部とされていてもよい。その際には、隙間の端の方が、狭くなるように形成されていればよい。また、筐体2と上蓋3とのそれぞれに、隙間の広さを調整する部分、つまり、角面取部2fおよび角延伸部37を設けたが、これに限定されず、筐体2および上蓋3のうち、いずれか一方にだけ、隙間の広さを調整する部分を設けた構成としてもよい。
【0038】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 洗濯機
2 筐体
2a 筐体上面
2b 筐体前面
2c 筐体側面
2d 前面面取部
2e 側面面取部
2f 角面取部
3 上蓋
33 蓋本体
34 傾斜部
35 延伸部
36 側端延伸部
37 角延伸部