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特開2025-38603記録装置、記録装置の制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025038603
(43)【公開日】2025-03-19
(54)【発明の名称】記録装置、記録装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/21 20060101AFI20250312BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20250312BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J2/01 501
B41J2/01 451
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145323
(22)【出願日】2023-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 歩
(72)【発明者】
【氏名】栗山 恵司
(72)【発明者】
【氏名】吉川 世玲菜
(72)【発明者】
【氏名】永井 肇
(72)【発明者】
【氏名】西岡 真吾
(72)【発明者】
【氏名】現田 心
(72)【発明者】
【氏名】和田 聡
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB27
2C056EB41
2C056EE18
2C056FC02
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】白インクを用いる記録装置における各種調整を自動で行えるようにすること。
【解決手段】本発明の一実施形態は、記録媒体を搬送する搬送手段と、記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、を有し、前記記録手段により前記第1液体を用いて記録された下地としての第1画像が、前記定着手段により定着された後、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第2液体を用いて前記調整パターンが記録される、記録装置である。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、
前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、
前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、
を有し、
前記記録手段により前記第1液体または前記第2液体を用いて記録された下地としての第1画像が、前記定着手段により定着された後、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンが記録される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記調整は、レジ調整、搬送調整またはカラーキャリブレーションである、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記第1画像は、前記第1液体により記録され、前記調整パターンは、前記第2液体により記録される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記搬送手段による搬送方向の上流側から下流側に向けて、前記記録手段、前記読み取り手段、前記定着手段の順に設けられ、
前記定着手段により前記第1画像が定着された後、前記搬送手段により、前記記録媒体は、バックフィードされる結果、前記第1画像は、前記記録手段が記録可能な記録領域に到達する、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記定着手段により、前記調整パターンが定着された後、
前記読み取り手段により、前記調整パターンの読み取りが行われる、
ことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記調整パターンの読み取り結果に基づく濃度値を取得する取得手段と、
前記濃度値に基づき調整値を算出する算出手段と、
を更に有する、
ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体が、第1記録媒体グループに含まれるか、それとも第2記録媒体グループに含まれるかを判定する判定手段を更に有し、
白色の記録媒体は前記第1記録媒体グループに分類され、透明な記録媒体および有色な記録媒体は前記第2記録媒体グループに分類される、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項8】
記録媒体グループ情報を記憶する記憶手段を更に有し、
前記判定手段は、前記記録媒体グループ情報に基づき判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録媒体の反射率を測定する測定手段を更に有し、
前記判定手段は、前記測定手段により取得された測定値が閾値以上かに基づき判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項10】
前記記録媒体の色味を測定する測定手段を更に有し、
前記判定手段は、前記測定手段により取得された色味に基づき判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項11】
前記判定手段により、前記記録媒体が前記第2記録媒体グループに含まれると判定された場合、前記記録手段による前記第1画像の記録と、前記定着手段による前記第1画像の定着と、前記記録手段による前記調整パターンの記録と、が実行され、
前記判定手段により、前記記録媒体が前記第1記録媒体グループに含まれると判定された場合、前記記録手段による前記第1画像の記録を経ることなく、前記記録手段による前記調整パターンの記録が実行される、
ことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記調整がレジ調整または搬送調整の場合に、前記判定手段による判定が行われる、
ことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項13】
前記記録媒体は透明または有色な記録媒体であり、かつ、前記調整がカラーキャリブレーションの場合に、前記判定手段による判定が行われる、
ことを特徴とする請求項11に記載の記録装置。
【請求項14】
前記第1画像は、前記第2液体により記録され、前記調整パターンは、前記第1液体により記録される、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第1液体は、白インクであり、
前記第2液体は、黒色の色材を含有する黒インクであり、
前記調整は、白インクのカラーキャリブレーションである、
ことを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録手段により前記黒インクを用いて前記第1画像が記録され、
前記記録手段により前記白インクを用いて光量調整用画像が記録される、
ことを特徴とする請求項15に記載の記録装置。
【請求項17】
前記光量調整用画像を用いて、前記読み取り手段の光量調整処理を実行する実行手段を更に有する、
ことを特徴とする請求項16に記載の記録装置。
【請求項18】
前記第1液体の単位面積あたりの付与量に関して、前記調整パターンを記録するときは、任意の画像を記録するときより少ない、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項19】
前記調整パターンを記録する調整パターン記録モードでなく、任意の画像を記録する実画記録モードにおいては、前記定着手段により、前記第1画像を前記記録媒体に定着させることなく、前記記録手段により、前記第1画像上に第2画像を記録する、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項20】
前記第1液体を吐出させるノズル群と、前記第2液体を吐出させるノズル群とを異ならせる、
ことを特徴とする請求項19に記載の記録装置。
【請求項21】
前記記録手段と、前記搬送手段と、前記読み取り手段と、前記定着手段と、を制御する制御手段を更に有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項22】
記録媒体を搬送する搬送手段と、
記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、
前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、
前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、
前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、
を有する記録装置の制御方法であって、
前記記録手段により、前記第1液体または前記第2液体を用いて下地としての第1画像を記録する記録ステップと、
前記定着手段により、前記第1画像を前記記録媒体に定着させる定着ステップと、
前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンを記録する記録ステップと、
有する、ことを特徴とする制御方法。
【請求項23】
コンピュータに請求項22に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、記録ヘッドのノズルからインクを吐出して画像を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非吸収性または低吸収性の記録媒体にインクを吐出し、加熱ないし送風機能を有した定着器を用いて記録媒体上に付与されたインクを乾燥させることにより画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。このような装置において、白色の記録媒体と比較し反射率が低い透明な記録媒体または有色の記録媒体に対して、画像を記録することがある。また、高品質な画像を記録するためには、実際に画像を記録する記録媒体を使用して、記録ヘッドの調整および記録装置の調整を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、台紙と台紙に貼り付けられたシートとを有する記録媒体を用いて調整パターンを記録し測色する場合に、台紙の色の影響を排すため白インクの下地を記録してからカラーチャートを記録する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-133601
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において、加熱ないし送風機能を有した定着期を用いて、インクを乾燥させる定着工程は考慮されていない。非吸収性または低吸収性の記録媒体に第1インクで下地を記録した後、定着工程を経ずに第2インクで調整パターンを記録した場合、下地の乾燥が不十分であるため、第1インクと第2インクとが混色する虞がある。従って、第2インクの記録位置にずれが発生すること、所望のドット形状とならないことなどの課題がある。
【0006】
そこで本開示は、上記課題に鑑み、白インクを用いて記録可能な記録装置における各種調整を自動で行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、記録媒体を搬送する搬送手段と、記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、を有し、前記記録手段により前記第1液体または前記第2液体を用いて記録された下地としての第1画像が、前記定着手段により定着された後、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンが記録される、ことを特徴とする記録装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、白インクを用いて記録可能な記録装置における各種調整を自動で行えるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】記録装置の斜視図
図2】記録装置の概略側面図
図3】記録ヘッドの模式図
図4】光学センサの模式図
図5】記録装置の制御系の構成を示すブロック図
図6】マルチパス記録を説明するための図
図7】レジ調整パターンについて説明するための図
図8】レジ調整処理(または搬送調整処理)を実行する際のフローチャート
図9】搬送調整パターンについて説明するための図
図10】カラーキャリブレーションを実行する際のフローチャート
図11】カラーキャリブレーション調整パターンについて説明するための図
図12】下地となる画像を定着させる場合の模式図
図13】下地となる画像を定着させない場合の模式図
図14】各種調整を実行する際のフローチャート
図15】S1403の詳細なフローチャート
図16】下地の画像の上に任意の画像を記録する処理のフローチャート
図17】Wノズルのカラーキャリブレーションのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
<インクジェット記録装置の構成>
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置A(以下、記録装置、プリンタとも称する)の外観を示す斜視図である。記録装置Aは、所謂シリアル走査型のプリンタであり、記録媒体PのY方向(副走査方向)に対して交差(具体的には直交)するX方向(主走査方向)に記録ヘッドを走査して画像を記録する。以下、図1を参照して、記録装置Aの構成および記録時動作の概略を説明する。
【0012】
まず不図示の搬送モータによりギヤを介して駆動される搬送ローラによって、記録媒体Pを保持する巻き取りスプール12に向けて記録媒体PがY方向に搬送される。一方、記録媒体Pが所定の搬送位置にあるとき、不図示のキャリッジモータによりキャリッジ22を、X方向に延在するガイドシャフト8に沿って往復走査(往復移動)させる。そして、この走査の過程で、エンコーダ7によって得られる位置信号に基づいたタイミングで、キャリッジ22に装着可能な記録ヘッド(後述)のノズルからインク吐出動作を行わせ、ノズルの配列範囲に対応した一定のバンド幅の画像を記録する。その後、記録媒体Pの搬送を行い、さらに次のバンド幅の画像の記録を行う。本実施形態では、走査速度40インチ毎秒で走査し、1200dpi(1/1200インチ間隔)の記録解像度で吐出動作を行う構成とした。但し、40インチ毎秒以上の速度で走査することも可能である。
【0013】
キャリッジモータからキャリッジ22への駆動力の伝達には、キャリッジベルトを用いることができる。尚、キャリッジベルトの代わりに、例えばキャリッジモータにより回転駆動されX方向に延在するリードスクリュと、キャリッジ22に設けられ、リードスクリュの溝に係合する係合部とを具えたものなど、他の伝達手段を採用することも可能である。
【0014】
送給された記録媒体Pは、給紙ローラとピンチローラとに挟持搬送されて、プラテン4上の記録位置(記録ヘッドが走査可能な領域の範囲内の位置であり、記録ヘッドによる記録が行われる位置)に導かれる。以下、記録位置周辺の画像記録を行う構成を「画像記録部(画像記録手段)」とする。記録装置の休止状態では通常、記録ヘッドのフェイス面にキャッピングが施されているため、記録に先立ってキャップを開放することで、記録ヘッドを記録ないし走査可能状態にする。その後、1走査分のデータがバッファに蓄積されたらキャッリッジモータによりキャリッジ22を走査させ、上述のように記録を行う。
【0015】
図2は、記録装置A本体の概略側面図である。キャリッジ22に装着した記録ヘッド9がX方向(主走査方向)に往復走査する位置よりも、副走査方向Yの下流側に、キュアリング領域(以下、キュアリング領域周辺の画像定着を行う構成を「画像定着部(画像定着手段)」とする)が設けられている。画像定着部では、図示しないフレームに支えられたヒーター10が配置され、熱により記録媒体P上の液体状のインクを乾燥させる。ヒーター10はヒーターカバー11に覆われており、ヒーターカバー11はヒーター10の熱を記録媒体P上に効率よく照射する機能と、ヒーター10の保護の機能を担っている。記録媒体Pは記録ヘッド9により記録された後、巻き取りスプール12により巻き取られ、ロール状の巻き取り媒体を形成する。ヒーター10として具体的に、シーズヒーター、ハロゲンヒーターなどが挙げられる。前述した画像定着部における加熱部の加熱温度は、水溶性樹脂微粒子の造膜性と生産性、記録媒体Pの耐熱性を考慮した上で設定する。尚、画像定着部における加熱部の加熱のやり方としては、上方からの温風送風による加熱や、記録媒体の下方からの接触型の熱伝導型ヒーターによる加熱等を用いてよい。また、加熱部の設置箇所について、本実施形態では1箇所だが、記録媒体P上において放射温度計(不図示)を用いて測定される測定温度が、加熱温度の設定値を超えない限り、2箇所以上設けて併用してもよい。
【0016】
本実施形態の記録装置Aでは、記録ヘッドの複数回(n回)の走査で記録媒体P上の所定領域(1/nバンド)に対して画像を記録する、所謂マルチパス記録を行うことができる。このマルチパス記録については、後で詳細に説明する。
【0017】
<記録ヘッドの構成>
図3は、本実施形態における記録ヘッド9のノズル面34を示す。記録ヘッド9は、ブラックインク吐出するノズル列33K、シアンインクを吐出するノズル列33C、マゼンタインクを吐出するノズル列33M、イエローインクを吐出するノズル列33Y、白インクを吐出するノズル列33Wを有する。尚、本明細書では、特に色で区別する必要が無い場合、ノズル列33と総称する。また、かかる総称ルールは、ノズル列以外の構成要素について、同様に適用する。
【0018】
記録ヘッド9には、+X方向に向かって、ノズル列33K、ノズル列33C、ノズル列33M、ノズル列33Y、ノズル列33Wの順となるように、これらのノズル列が並んで配置されている。これらのノズル列はそれぞれ、対応するインクを吐出する1280個のノズル30が1200dpiの密度でY方向(配列方向)に配列されることで構成されている。尚、本実施形態における1つのノズル30から1度に吐出されるインクの吐出量は、約4.5plである。
【0019】
これらのノズル列はそれぞれ、対応するインクを貯蔵する不図示のインクタンクに接続され、インクの供給が行われる。尚、本実施形態における記録ヘッド9とインクタンクについて、一体的に構成されてもよいし、分離して構成されてもよい。
【0020】
記録ヘッド9には、インクをノズルから吐出させるための吐出エネルギーを発生させるエネルギー発生素子(以下、記録素子ともいう)が配置されている。このエネルギー発生素子として、インクを局所的に加熱して膜沸騰を起こさせ、その圧力によってインクを吐出させる電気熱変換体を用いる。但し、本開示の技術は、電気熱変換体に限定されるものではなく、電気機械変換素子を用いる場合にも適用可能である。
【0021】
<光学センサ>
図4(a)は、光学センサの概略構成を示す模式図であり、図4(b)は、検出スポットを示す図である。光学センサ200は、Y方向において測定領域が記録ヘッド9に設けられた複数列のノズル列よりも+Y方向下流側に位置するように、キャリッジ22に固定的に設けられている。光学センサ200の下面200aは、Z方向においてノズル面34と一致、あるいは、ノズル面34よりも+Z方向下流側に位置する。
【0022】
光学センサ200は、赤色、緑色、青色などの可視LEDで実現される発光部202と、フォトダイオードで実現される受光部204と、を有する。発光部202および受光部204は、光学センサ200の下面200aに設けられており、発光部202は、記録媒体Pに対して光を照射し、受光部204は、記録媒体Pにおいて反射された反射光を受光する。従って、光学センサ200では、発光部202から照射した光206が記録媒体Pによって乱反射され、この反射光208が受光部204によって受光される。発光部202から照射した光206が記録媒体Pによって乱反射される検出スポット210の直径は、例えば、略3mmとなる。
【0023】
受光部204では、受光した反射光208の検出信号(アナログ信号)が、フレキシブルケーブル(不図示)などを介して、記録装置Aの電気基板上の制御回路に伝えられ、制御回路におけるA/D変換器によってデジタル信号に変換される。後述する調整パターンの光学特性の検出の際に、Y方向に沿った記録媒体Pの搬送と、光学センサ200が取り付けられたキャリッジ22のX方向での移動とが交互に実施される。これにより、エンコーダ7によって得られる位置信号に基づいたタイミングと同期をとり、光学センサ200は、記録媒体P上に記録された画像の濃度を光学反射率として検出する。
【0024】
<制御系の構成>
以下、記録装置Aの制御系の構成について説明する。図5は、記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【0025】
記録装置の全体の制御を行う制御部100は、CPU102、ROM104、RAM106およびメモリ108を有する。CPU102は、各種のプログラムに基づいて、記録装置における各構成要素の動作制御や入力された画像データに対する処理などを行う。ROM104は、CPU102が実行する各種の制御に関するプログラムおよび画像データの処理に関するプログラムなどを記憶するメモリとして機能している。RAM106には、記録装置の制御に用いられる各種データが一時的に記憶される。メモリ108には、後述するマスクパターンや調整パターンなどの各種データが記憶されている。また、制御部100は、入出力ポート110を有し、この入出力ポート110を介して、各種ドライバおよび駆動回路などに接続される。
【0026】
制御部100は、入出力ポート110を介してインターフェース回路112に接続され、このインターフェース回路112を介してホスト装置114に接続される。また、制御部100は、入出力ポート110を介して、ユーザが操作可能な操作パネル124に接続されている。ユーザは、ホスト装置114を介して画像データを記録装置に入力するとともに、ホスト装置114および操作パネル124を介して各種情報を記録装置に入力する。また、制御部100は、入出力ポート110を介して、モータドライバ116に接続され、このモータドライバ116を介してモータ118の駆動を制御する。尚、図5では、キャリッジ22を移動させるモータ、記録媒体Pを搬送する搬送部を駆動するモータなどの記録装置における各種モータを、まとめてモータ118として示している。
【0027】
制御部100は、入出力ポート110を介してヘッドライバ120と接続され、ヘッドライバ120を介して記録ヘッド9を制御してインクを吐出する。また、制御部100は、入出力ポート110を介して駆動回路122に接続され、駆動回路122を介してヒーター10の駆動を制御する。さらに、制御部100は、入出力ポート110を介して光学センサ200に接続され、光学センサ200の駆動を制御するとともに、光学センサ200からの出力に基づいて、調整パターンの光学特性を検出する。このように、本実施形態では、制御部100および光学センサ200が、記録媒体に記録された画像の光学特性を検出可能な検出部として機能している。
【0028】
制御部100では、CPU102が、ホスト装置114から入力された画像データを記録データに変換してRAM106に格納する。具体的には、CPU102は、RGB各8ビット256値の情報(0~255)によって表される、ビットマップ形式の画像データを取得すると、この画像データについて、記録に用いるK、C、M、Y、Wで表される多値データに変換する。この色変換処理によって、複数の画素からなる画素群それぞれにおけるK、C、M、Y、Wの各インクの階調を定める8ビット256値の情報(0~255)によって表される多値データが生成される。
【0029】
次に、K、C、M、Y、Wで表される多値データの量子化を実行し、各画素に対するK、C、M、Y、Wの各インクの吐出または非吐出を定める1ビット2値の情報(0、1)によって表される量子化データ(2値データ)を生成する。この量子化の処理としては、誤差拡散法、ディザ法、インデックス法など公知の種々の量子化方法を用いることができる。その後、量子化データを記録ヘッド9の単位領域に対する複数回の走査に分配する分配処理を行う。この分配処理により、記録媒体Pの単位領域に対する複数回の走査それぞれにおける各画素に対するK、C、M、Y、W各インクの吐出または非吐出を定める1ビット2値の情報(0、1)によって表される記録データが生成される。この分配処理は、複数回の走査に対応し、各画素に対するインクの吐出の許容または非許容を定めるマスクパターンを用いて実行される。尚、こうした記録データの生成については、制御部100で実行されることに限定されず、ホスト装置114で実行してもよいし、一部の処理をホスト装置114で行い、残りの処理を制御部100で実行するようにしてもよい。
【0030】
<マルチパス記録方式>
本実施形態では、K、C、M、Y、W各インクを用い、記録媒体上の所定領域に対して複数回の走査で記録を行う、所謂マルチパス記録によって画像を記録する。
【0031】
まず初めに、ノズル列全領域を使用するマルチパス記録について、WインクとKインクを例に挙げて説明する。
【0032】
図6(a)は、WインクとKインクのノズル列全領域を使用してマルチパス記録方式を説明するための図である。ここでは、ノズル列33Wおよびノズル列33KをY方向に分割して構成される6つのノズル群A1~A6それぞれから、所定領域に対する6回の走査それぞれにおいてWインクおよびKインクを吐出させる。WインクとKインクの記録データは、それぞれ6回の走査で画像の記録が完了するように、各走査に振り分けられる。尚、実際には記録ヘッド9の走査間に記録媒体PをY方向下流側に搬送するが、図6では簡単のため、走査間に記録ヘッド9をY方向上流側に移動させるように記載している。
【0033】
まず、1回目の走査(1走査目)では、1走査目に対応するWインクとKインクとのそれぞれの記録データに従って、所定領域80に対してノズル列33W、ノズル列33K内のノズル群A1からWインク、Kインクを吐出させる。この1走査目が終了した後、記録媒体をY方向に1つのノズル群に対応する距離だけ搬送させる。その後、2回目の走査(2走査目)が行われ、所定領域80に対してノズル群A2からWインク、Kインクを吐出させる。以降、記録媒体の搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを交互に行い、所定領域80に対する3~6回目の走査におけるノズル群A3~A6からのインク吐出を実行させる。このようにして、所定領域80に対するマルチパス記録が完了する。
【0034】
続いて、インクの色によって使用するノズル列の領域を異ならせるマルチパス記録方式について説明する。図6(b)は、ノズル列33K、ノズル列33Wの全ノズルのうち、ノズル群A1~A3にあたるノズル領域と、ノズル群A4~A6にあたるノズル領域を説明する図である。ノズル列33Kに対して、ノズル群A1~A3にあたるノズル領域44Kと、ノズル群A4~A6にあたるノズル領域55Kとが存在する。また、ノズル列33Wに対して、ノズル群A1~A3にあたるノズル領域44Wと、ノズル群A4~A6にあたるノズル領域55Wとが存在する。
【0035】
図6(c)は、図6(a)で示したノズル群A1~A6のうち、Wインクはノズル領域44Wにあたるノズル群A1~A3で吐出され、Kインクはノズル領域55Kにあたるノズル群A4~A6で吐出されることを示す図である。ここで、Wインクの記録データは1~3回目の走査で画像の記録が完了するように振り分けられ、Kインクの記録データは4~6回目の走査で画像の記録が完了するように振り分けられる。
【0036】
まず、1回目の走査(1走査目)では、1走査目に対応するWインクの記録データに従って、所定領域80に対してノズル列33W内のノズル群A1からWインクを吐出させる。この1走査目が終了した後、記録媒体をY方向に1つのノズル群に対応する距離だけ搬送する。以降、記録ヘッドからのインク吐出と記録媒体の搬送とを交互に行い、2~3回目の走査(2~3走査目)が行われ、所定領域80に対してノズル列33W内のノズル群A2~A3からWインクを吐出させ、3走査目の記録でWインクの画像を完成させる。続いて、4回目の走査に対応するKインクの記録データに従って、所定領域80に対してノズル列33K内のノズル群A4からKインクを吐出させる。以降、記録媒体の搬送と記録ヘッドからのインク吐出とを交互に行い、所定領域80に対する4~6回目の走査でノズル列33K内のノズル群A4~A6からKインクを吐出させる。このようにして、所定領域80に対するマルチパス記録が完了する。
【0037】
このようにWインクとKインクとで、使用するノズル列群を分けることで、所定領域80に対する6回の走査のうち先の3回の走査でWインクの画像を完成させ、後の3回の走査でKインクの画像を完成させるよう画像を記録することができる。つまり、所定領域80に対してWインクで記録した画像の上にKインクの画像を重ねて記録することができる。
【0038】
<インク>
以下、本実施形態で用いるKインク、Cインク、Mインク、YインクおよびWインクについて説明する。これらのインクは、画像を記録する固形成分と揮発する液体成分を含む。固形成分としては顔料や染料等の色材が挙げられ、液体成分としては水や水溶性有機溶剤が挙げられる。いずれのインクにも、記録媒体と色材とを密着させ記録画像の耐擦過性(定着性)を向上させるための水溶性樹脂微粒子が含有される。
【0039】
<記録媒体>
本実施形態における記録装置は、水分が浸透しにくい低浸透性の記録媒体に記録を行う。ここでいう低浸透性記録媒体とは、前述の通り、水の吸収性が全くないかその吸収量が極めて少ない媒体を指す。従って、有機溶媒を含まない水性インクでは、インクが弾かれて画像記録できない。但し、低浸透性記録媒体は、耐水性および耐候性に優れており、屋外での使用が想定される記録物を記録する媒体として適している。通常、25℃において水の接触角が45°以上、好ましくは60°以上である記録媒体を用いる。
【0040】
低浸透性記録媒体には、基材の最表面にプラスチックの層が形成されている記録媒体や、基材上にインク受容層が形成されていない記録媒体、あるいはガラスやユポ、プラスチック等のシートやフィルム、バナー等が含まれる。前述の塗工されているプラスチックの一例としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらの低浸透性記録媒体は、耐水性、耐光性および耐擦過性に優れているため、一般に屋外展示用の記録物を記録する際に用いられる。
【0041】
記録媒体の浸透性を評価する方法の一例として、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51の「紙及び板紙の液体吸収性試験方法」に記載されたブリストー法を用いることができる。ブリストー法の測定方法を次に簡単に説明する。まず、所定量のインクを所定の大きさの開口スリットを有する保持容器に注入し、スリットを介して、短冊状に加工し円盤に巻きつけられた記録媒体と接触させる。次に、保持容器の位置を固定したまま、円盤を回転させ記録媒体に転移するインク帯の面積(長さ)を測定する。このインク帯の面積から単位面積辺りの1秒間での転移量(ml・m-2)を算出できる。本実施形態では、このブリストー法による30msec1/2でのインクの転移量(吸水量)が10ml・m-2よりも小さい記録媒体を低浸透性記録媒体とみなす。
【0042】
<各種調整>
以下、本実施形態で行う各種調整について説明する。
【0043】
(1)レジ調整
まず、レジ調整について、具体的に説明する。
【0044】
本実施形態における記録ヘッド9は、主走査方向に移動するとともに、その方向と交差する方向(副走査方向)にインクを吐出するノズルを配列している。このような記録ヘッド9を用いた記録装置では、それぞれのノズル列から吐出するインク滴の着弾位置を一致させるために適切な吐出タイミングを求める処理(これを、レジストレーション調整またはレジ調整と呼ぶ)が必要となる。
【0045】
記録ヘッドを往復走査しながら記録を行う双方向記録においても往方向記録と復方向記録との着弾位置を一致させるため、レジ調整が行われる。双方向記録のレジ調整は、復方向記録のインクの吐出タイミングを、往方向記録に対して補正することで実現される。
【0046】
レジ調整の方法としては、例えばある基準となるノズル列で基準パターンを記録し、他のノズル列では記録位置を少しずつずらした複数のパターンを記録することで記録位置が一致するレジ調整の補正量(以下、レジ調整値と呼ぶ)を求める方法がある。また、双方向記録では往方向記録で基準パターンを記録し、復方向記録で記録位置をずらした複数のパターンを記録することで往方向と復方向との記録位置が一致するレジ調整値を求める方法がある。
【0047】
ここで、図7を参照して、レジ調整処理時に用いられるレジ調整パターンの構成について説明する。
【0048】
図7(a)は、本実施形態の光学センサで濃度検出する場合のレジ調整パターンの構成例を説明する図である。
【0049】
レジ調整パターンは、i画素×n画素の矩形パターンがm画素の空白領域毎に主走査方向に周期的に繰り返されるような構成になっている。レジ調整パターンとして、基準パターン501と、ずらしパターン502とがあり、ずらしパターン502は、基準パターン501に対して所定画素数a分、その記録位置がずらされて記録される。これらレジ調整パターンの解像度やずらし量は、記録装置の記録解像度に応じて決めればよい。尚、本実施形態では、記録解像度が1200dpiであるものとする。また、図7(a)では説明の都合上、基準パターンとずらしパターンとを縦方向にずらしてそれぞれ図示しているが、実際には、これらのパターンは重ねて記録される。つまり、基準パターンは、主走査方向に所定画素数a分ずらしたずらしパターンと重ねて記録される。
【0050】
図7(b)は、図7(a)に示すレジ調整パターンを主走査方向に複数並べた構成を示している。この場合、図7(b)に示すレジ調整パターン群610は、ずらしパターンのずらし量aを-3画素から+3画素まで変更させながら記録されている。つまり、図7(b)から分かるように、ずらし量が0の場合には、基準パターンとずらしパターンとが重なって記録される。一方、ずらし量が多くなるほど、基準パターンとずらしパターンとのズレが多くなるので、パターンの幅が太くなる。尚、図7(b)では便宜上、ずらし量が0の場合に基準パターンとずらしパターンとのズレが少なくなる例を示したが、実際にレジ調整パターンを記録した場合には、各種の条件により、基準パターンとずらしパターンとのズレが少ないずらし量の値は異なる。
【0051】
基準パターンとずらしパターンの記録位置とのずらし量が変わると、図7(b)に示すように記録媒体上に占めるインクの面積率が変わる。
【0052】
図7(c)は、光学センサ200によって図7(b)に示すずらしパターンそれぞれを測定した場合の光学反射率の測定結果720を示している。尚、濃度は反射率と反比例の関係にあり、記録媒体上に実際に記録されるレジ調整パターン間の位置ずれが少ないほど濃度が低くなる。つまり、反射率が高いずらしパターンほど位置ずれが生じていないパターンとなり、レジ調整パターンの濃度が最も低くなったときのずらし量を、レジ調整値として設定すればよい。
【0053】
尚、記録媒体上に記録するレジ調整パターンの数やずらし量は、装置の機械的公差から要求される調整範囲や、記録位置のずらし単位に応じて決めればよい。即ち、レジ調整処理の精度に合わせて決めればよい。また、レジ調整パターンの記録領域は、光学センサ200の検出領域の大きさ、一度の記録走査で記録可能な領域幅、レジ調整パターン群と記録媒体の記録可能領域の大きさなどに応じて決めればよい。
【0054】
また、基準パターンとずらしパターンとの記録に用いるノズル列は、調整対象となるノズル列のインク色や走査方向などの組み合わせで決まる。例えば、ノズル列のインク色のレジ調整については基準ノズル列(例えば、ノズル列33K)を決めて基準パターンを記録し、他方のノズル列(例えば、ノズル列33C)でずらしパターンを記録する。また、双方向記録時のレジ調整についても上記同様に行うことができる。例えば、基準パターンの記録では、ノズル列33Kを用いて往方向記録を行い、ずらしパターンの記録では、ノズル列33Kを用いて復方向記録を行う。これにより、同一ノズル列33Kによる双方向記録のレジ調整についても、精度良く調整を行える。尚、ノズル列の組み合わせはこれに限られるものではなく、適宜組み合わせればよい。
【0055】
このようにして決定された位置ずらし量aに基づいてレジ調整値が決定ないし設定される。レジ調整値はインク吐出タイミングの補正量を示す値であり、このレジ調整値に基づいて各ノズル列のインクの吐出タイミングが制御される。尚、位置ずらし量aをそのままレジ調整値として用いてもよいし、位置ずらし量aに基づいて導出される値をレジ調整値として用いてもよい。
【0056】
図8は、本実施形態において白色の記録媒体を用いてレジ調整処理を実行する際のフローチャートである。
【0057】
まず、ステップS801において、CPU102は、記録媒体の紙白部を使用して光学センサ200の光量調整処理を実行する。尚、以降では簡単のため「ステップS~」を「S~」と略記する。
【0058】
S802において、CPU102は、画像記録部を用いて、図7(a)および図7(b)に示す調整パターンを記録媒体に記録する記録処理を実行する。
【0059】
S803において、CPU102は、光学センサを用いて、S802で記録した調整パターンを読み取る読み取り処理を実行する。
【0060】
S804において、CPU102は、S803の読み取りの検出結果に基づいて、調整値を算出する。
【0061】
S805において、CPU102は、レジ調整値を設定、つまりS804で算出した調整値をRAM106に記憶する。
【0062】
S806において、CPU102は、調整パターンの記録に使用されたインクによる汚れが発生しないように、記録媒体をフィードする。本ステップのフィードの結果、記録媒体に記録された調整パターンが、画像定着部に到達する。尚、フィードとは、記録媒体を順方向に搬送することを指す。順方向とは、搬送方向における上流側から下流側への方向、即ち+Y方向である(図1など参照)。また、「記録媒体に記録された調整パターンが画像定着部に到達する」ための制御として、例えば、光学センサと画像定着部との距離に対応するモータの回転数を予め記憶し、当該記憶した回転数と、実際の動作時の回転数とを比較することが考えられる。
【0063】
最後に、S807において、CPU102は、画像定着部を用いて、調整パターンを記録するインクを記録媒体に定着させる定着処理を実行し、レジ調整処理を終了する。
【0064】
(2)搬送調整
続いて、搬送調整について、具体的に説明する。
【0065】
搬送調整とは、先の記録走査によるドット着弾位置と、記録媒体の搬送後に続く記録走査によるドット着弾位置とが合うように副走査方向(記録媒体の搬送量)の補正を行うことである。搬送調整の方法としては、記録媒体搬送時に生じる搬送量の変動を測定するために、2つの調整パターンの差分から搬送量変動量を算出する方法がある。
【0066】
図9は、ノズル列33Kを用いて搬送調整パターンを記録する例を示した図である。図9に示すように、1つの調整パターンは、7つのパッチ(図中0~6と記載)により構成される。尚、ここでは7つのパッチを用いる例を説明するが、パッチ数は7つに限るものではなく、使用するインクや記録媒体に応じて最適な搬送量を設定できるよう任意の数に設定してよい。
【0067】
1列のノズルを、副走査方向に対し2分割する。下流側のノズルをブロック1、上流側のノズルをブロック2とする。まず、図9(a)に示すように、副走査方向上流側のブロック2に位置する所定のノズルを用いて基準パターンを記録する。キャリッジの走査方向に並ぶ7つの基準パターンは、ブロック2の同じ所定のノズルにより記録される。
【0068】
次に、指令パルス値を5120とし、記録媒体を搬送する。図9(b)に示すように、ブロック1のノズルを用いて記録される7つのずらしパターンは、それぞれ異なるノズルの組み合わせにより記録することにより、基準パターンと相対的にずれたパターンを記録する。ここでは、白抜きで描かれるドットは上流側のノズルを用いて記録されたドットで、黒で描かれるドットは下流側のノズルを用いて記録されたドットを示している。このように、基準パターンとずらしパターンを異なる記録走査でそれぞれ記録することにより、1つのパッチを形成している。
【0069】
搬送解像度は、プリンタの性能に依存する数値であるが、ここでは、9600dpiの解像度で記録媒体搬送が行えることとする。これらの条件において、ノズルの半分に相当する量を搬送させるために、用いる指令パルス値(ノズル列の半分に相当するノズル数×ノズル列の解像度/搬送量の解像度)は、次の通りである。
【0070】
640×25.4/1200/25.4×9600=5120・・・式(1)
尚、式(1)では、ノズル列の半分に相当するノズル数640個、ノズル列の解像度(ノズルの間隔)を1200dpi、搬送量の解像度を9600dpiとしている。また、この指令パルス値(5120)により搬送される記録媒体の搬送量の理論値は、次の通りである。
【0071】
640×25.4/1200=13.55[mm]・・・式(2)
上述の記録媒体の搬送量の理論値だけ記録媒体を搬送した後、記録ヘッドの下流側のノズルを用いて調整用パターンを記録する。
【0072】
尚、図9(b)では便宜上、パッチ3の場合に基準パターンとずらしパターンとのズレが少なくなる例を示したが、実際に搬送調整パターンを記録した場合には、各種の条件により、基準パターンとずらしパターンとのズレが少ないパッチ識別番号は異なる。
【0073】
搬送調整においても記録媒体上に記録される基準パターンとずらしパターンの位置ずれが少ないほど濃度が低くなる。従って、濃度の最も低いパッチを記録したときの記録媒体の搬送量が、理想的な搬送量となる。つまり、前述の(1)レジ調整と同様、濃度が最も低いパッチ(反射率が高いパッチ)を選択することで、最適な紙搬送量を導出できる。
【0074】
尚、本実施形態では、上流側のブロック2のノズルを用いて基準パターンを、下流側のブロック1のノズルを用いて調整用パターンを記録しているが、ブロック1、ブロック2においてどちらのパターンを記録しても差異はない。
【0075】
図8は、本実施形態において白色の記録媒体を用いて搬送調整処理を実行する際のフローチャートである。前述の(1)レジ調整と同じフローチャートを用いて搬送調整処理を行うことができる。つまり、(1)レジ調整では、S802で記録する調整パターンは図7(a)および図7(b)に示すレジ調整パターンだったが、(2)搬送調整では、図9(a)および図9(b)に示した搬送調整パターンを記録する。搬送調整処理とレジ調整処理とは記録する調整パターンが異なるだけなので、搬送調整処理のフローチャートの説明は省略する。
【0076】
(3)カラーキャリブレーション
続いて、カラーキャリブレーションについて、具体的に説明する。
【0077】
複数の記録ヘッドを有する記録装置、本実施形態で使用する記録ヘッド9のように複数のノズル列を有する記録装置では、個々の記録ヘッドないし個々のノズル列の吐出特性の違いに起因して、記録画像において所望の色調が得られないことがある。記録ヘッドごとまたはノズル列ごとに、吐出特性の違いが存在すること、あるいは事後的に生じることが、その原因となっている。これは、吐出特性が異なることにより、記録画像の濃度値が変わるためである。
【0078】
記録ヘッドごとまたはノズル列ごとの吐出特性の違いに起因した色調の違いに対処する技術として、色ずれ補正処理(カラーキャリブレーション)がある。
【0079】
具体的には、記録媒体上に測定用カラーパッチを含む調整パターンを記録し、当該記録した調整パターンを測定することで記録ヘッドにより記録される画像の色に関する情報を取得する。そして、所望の色調が記録されるように、取得した情報に基づき色補正用パラメータを生成する。この色補正用パラメータを用いて画像データを補正することで、所望の色調を記録できるようになる。
【0080】
ここで、本実施形態において白色の記録媒体を用いてカラーキャリブレーションが実行されたときの測色処理のフローチャートを図10(a)に示す。
【0081】
S1001において、CPU102は、記録媒体の紙白部を使用する光学センサ200の光量調整処理を実行する。
【0082】
S1002において、CPU102は、画像記録部を用いて、調整パターン400を記録媒体に記録する記録処理を実行する。
【0083】
ここで、図11を参照して、色補正用パラメータ生成処理に用いる調整パターン400の構成を説明する。前述のS1002で記録される調整パターン400は、Kインクのパッチ401、Cインクのパッチ402、Mインクのパッチ403、Yインクのパッチ404、Wインクのパッチ405の5色のパッチからなり、色毎に16階調のパッチで構成される。
【0084】
調整パターン400の記録を行った直後は、調整パターン400は記録媒体に定着していない。そのため、S1003において、CPU102は、調整パターン400が画像定着部まで到達するように、記録媒体をフィードする。
【0085】
S1004において、CPU102は、画像定着部を用いて、調整パターン400を定着させる定着処理を実行する。
【0086】
S1005において、CPU102は、調整パターン400が画像記録部まで到達するように、記録媒体をバックフィードする。尚、バックフィードとは、記録媒体を逆方向に搬送することを指す。逆方向とは、搬送方向における下流側から上流側への方向、即ち-Y方向である(図1など参照)。
【0087】
S1006において、CPU102は、光学センサ200を用いて調整パターン400の読み取り処理を実行し、調整パターン400に含まれる各パッチの濃度を測定する。
【0088】
尚、本実施形態では光学センサ200がキャリッジ22に固定的に設けられているため、S1005にて、画像記録部で記録可能な画像記録領域まで調整パターン400が到達するように、記録媒体をバックフィードする必要があった。しかし、光学センサの設置場所はキャリッジ22に限られておらず、光学センサが別の場所に設けられている場合は、光学センサが設置されている場所に調整パターンが到達するように、記録媒体をフィードする。
【0089】
S1007において、CPU102は、測定結果である各パッチの濃度値を制御部100のRAM106に記憶し、図10(a)の測色処理は終了する。
【0090】
図10(b)は、図10(a)の結果に基づき色補正用パラメータを生成し、当該生成した色補正用パラメータを適用して入力画像データを補正し、当該補正した入力画像データに基づいて画像の記録を行う処理を示すフローチャートである。
【0091】
S1011において、CPU102は、図10(a)の測色処理によって取得された濃度値をRAM106から読み出す。
【0092】
S1012において、CPU102は、S1011で取得した濃度値に基づき、入力画像データを補正するための色補正用パラメータを生成する。
【0093】
S1013において、CPU102は、入力画像データに対して、S1012で生成した色補正用パラメータを適用して補正する。本ステップにより、色目標値を有する基準色が出力されるように入力画像データを補正することができる。
【0094】
S1014において、CPU102は、S1013で補正された画像データに基づく記録処理を実行する。
【0095】
以上説明したように、必要に応じて色補正用パラメータを随時適用することで、色変動のない安定した画像を常に出力することができる。
【0096】
尚、前述の各種調整(1)~(3)で説明したように、調整を行う際には必ず光学センサの光量調整を行う必要がある。光学センサの光量調整は白色板校正を行うことが一般的であるが、記録装置Aでは白色板の代わりに記録媒体を使用して光量調整を行っている。従って、記録媒体が白色でない場合は適切な光量調整を行うことができない。例えば、光学反射率が低い透明な記録媒体では、投光した光が記録媒体を通過してしまい受光部に返ってこないため、適切な光量調整を行うことができない。有色の記録媒体では、一部の波長の光が吸収され受光部に返ってこないため適切な光量調整を行うことができない。
【0097】
また、調整パターンは下地(記録媒体)の色の影響を受けるため、下地は一様な白色や黒色である必要がある。記録媒体が透明であった場合は調整パターンの下地の色としては記録装置Aのプラテン4の色の影響を受ける。プラテン4は凹凸のある形状のため凹凸に起因した影があり、また測定に適した背景色ではないため、調整パターンの適切な測定値を得ることができない。記録媒体が有色である場合も同様に、記録媒体の色味が原因で調整パターンの適切な測定値を得ることができない。
【0098】
しかし、以下で説明する本実施形態の特徴的構成、詳しくは、定着された下地となる画像の上に調整パターンを記録することによって、透明または有色な記録媒体であっても前述の(1)~(3)の調整が可能となる。
【0099】
<特徴的構成>
本実施形態の特徴は、画像記録部にて第1インクを用いて第1画像の記録を完了した後、前述の画像定着部にて第1画像を定着させ、その後再び、前述の画像記録部にて第1画像上に調整パターンを記録する点にある。
【0100】
調整パターンは、記録ヘッドや記録装置の調整に使用されるパターンである。調整パターンの記録完了後に、光学センサを用いて、記録した調整パターンの読み取りを行う。定着した第1画像上に記録した調整パターンを読み取ることで、記録媒体の色や光学センサの反射率、調整パターン記録に使用する第2インクの色によらず、測定値を高精度に取得できる。
【0101】
前述した低浸透性記録媒体を用いて下地となる第1画像上に調整パターンを記録する場合、第1画像の定着が不十分な状態であると、第1画像を記録する第1インクと、調整パターンを記録する第2インクとが混色してしまう。第1インクと第2インクとが混色すると、第2インクを適切な位置やドット形状で記録することができない。
【0102】
図12は、十分に定着された第1インク層(第1画像を形成する)上に記録した第2インク滴を断面から見た模式図である。記録媒体P上に第1インクを滴下し(図12(a))、記録媒体P上の第1インク滴を定着させると均一な層Qとなる(図12(b))。均一なインク層Q上に滴下された第2インク滴(図12(c))は、所望の場所で一様に広がることができる(図12(d))。
【0103】
一方、図13は、定着が不十分な第1インク層(第1画像を形成する)上に記録した第2インク滴を断面から見た模式図である。記録媒体P上に第1インクを滴下し(図13(a))、その後、定着が不十分な第1インク層R上に第2インクを滴下すると(図13(b))、図13(c)に示すような状態となる。図13(c)では、定着が不十分な第1インクの層Rへ第2インクを滴下した結果、第2インク滴が所望の記録位置から移動した様子や、埋没した様子が示されている。このように、第2インク滴の所望の記録位置からの移動や埋没が起きると、調整パターンは記録ヘッドや記録装置の調整に求められる精度を満たすことができず、前述した(1)~(3)の調整を精度良く実行することができない。
【0104】
従って、適切な調整を実行するためには、図12に示すように、下地となる第1画像を十分に定着した後、調整パターンを記録することが必要である。
【0105】
以下、本実施形態における特徴的構成の1つ、具体的には、透明または有色な記録媒体を用いて記録ヘッドのレジ調整、記録装置の搬送調整を行う方法について説明する。
【0106】
本実施形態では、まず記録媒体Pに下地となる画像(第1画像)をWインクで記録し、当該記録した画像を十分に定着した後、当該下地の上にカラーインク、即ちK、C、M、Yインクで調整パターンを記録する。こうすることで、透明または有色な記録媒体Pを用いる場合であっても、記録ヘッドのK、C、M、Yノズルの位置調整を行うことができる。
【0107】
記録装置Aにおいて使用可能な種々の記録媒体は、光学反射率と、色味とに基づき、第1記録媒体グループと、第2記録媒体グループとに予め分類されている。白色の記録媒体は第1記録媒体グループに、透明な記録媒体および有色な記録媒体は第2記録媒体グループに分類され、記録装置Aはそれらの記録媒体グループ情報を保持している。本実施形態の技術的特徴は、この記録媒体グループ情報を利用して実現される(図14参照)。
【0108】
図14は、前述の(1)レジ調整、(2)搬送調整が実行された場合のフローチャートである。図14の処理は、記録ヘッドに対する(1)レジ調整および(2)搬送調整の実行開始の指示をCPU102が受け付けたことをトリガーとして開始される。
【0109】
まずS1401において、CPU102は、記録対象の記録媒体Pが第1記録媒体グループに含まれるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1402に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合(つまり、記録媒体Pが第2記録媒体グループに含まれる場合)、S1403に進む。尚、本実施形態では、記録媒体グループ情報を用いて本ステップの判定を行うが、この形態に限定されない。他の例として、記録対象の記録媒体Pが第1記録媒体グループと、第2記録媒体グループと何れに該当するかを示す情報が、記録装置が取得する印刷ジョブに含まれ、この情報を用いて本ステップの判定を行ってもよい。また或いは、ユーザが自分で、記録媒体Pについて、第1記録媒体グループか第2記録媒体グループかを選択してもよい。
【0110】
S1402において、CPU102は、調整処理を実行、具体的には、図8のフローチャートに示したS801~S807の処理を実行する。
【0111】
S1403において、CPU102は、調整パターンの下地を記録し、その後、調整処理を実行する。
【0112】
ここで図15に、S1403の詳細なフローチャートを示す。
【0113】
まず、S1501において、CPU102は、図3に示すWインクを吐出するノズル列33Wの全領域のノズルを使用し、マルチパス記録方式にてWインクで下地画像(第1画像)を記録する記録処理を実行する。尚、本例では、記録する第1画像を、A4サイズの200%ベタ画像(1200dpiに1dotを100%とする)とする。
【0114】
S1502において、CPU102は、記録(S1501)完了した第1画像が画像定着部まで到達するように、記録媒体をフィードする。
【0115】
S1503において、CPU102は、80℃の温風に第1画像を晒すことで、第1画像を十分に定着させる。「十分に定着させる」ために、本実施形態では、80℃の温風に第1画像を、予め設定された所定時間晒す。
【0116】
S1504において、CPU102は、S1503で定着した第1画像が画像記録部まで到達するように、記録媒体をバックフィードする。
【0117】
S1505において、CPU102は、Wインクで記録された第1画像を用いて光学センサの光量調整処理を実行する。
【0118】
S1506において、CPU102は、調整処理を実行、具体的には図8のフローチャートに示したS802~S807の処理を実行する。
【0119】
以上説明したS1501~S1505の処理が本実施形態における特徴的構成である。かかる処理によって、透明または有色な低浸透性記録媒体を用いる場合であっても、(1)レジ調整または(2)搬送調整を実行するにあたって必要な、適切な調整を実行することが可能となる。
【0120】
前述の通り本実施形態では、下地となる第1画像の記録を完了し、画像定着部にて定着させる。その後、画像記録部による記録が可能な画像記録領域に第1画像が到達するように記録媒体をバックフィードし、第1画像上に重ねて調整パターンを記録する。
【0121】
ここで、記録した第1画像を画像定着部にて定着させてから、記録媒体をバックフィードするといった本実施形態の仕様では、バックフィードする際の搬送精度の観点から、第1画像と、調整パターンとの記録開始位置がずれる恐れがある。しかし本実施形態では、第1画像は調整パターンの背景となる領域全域に記録しているため、第1画像と、調整パターンとの記録開始位置の多少のずれは問題にならない。尚、前述の観点から、調整パターンを記録する調整パターン記録モードでなく、任意の画像を記録する実画記録モードにおいては、記録した第1画像を定着部により定着させることなく、第1画像上に第2画像を記録する。
【0122】
下地となる第1画像と、その上に重ねる画像との記録開始位置のずれがより少ない方法として、前述のインクに応じて使用するノズル群を異ならせるマルチパス記録方式が挙げられる。かかるマルチパス記録方式では、下地となる画像の記録の後、画像定着部での定着を行わず、下地の画像上への別の任意画像の記録が行われる。
【0123】
以下、インクに応じて使用するノズル群を異ならせるマルチパス記録方式のフローチャートとして、所定領域に対して6回の走査でWインクとKインクの画像の記録を完了させるケースについて、図16を参照しながら説明する。
【0124】
まずS1601において、1~3回目の走査でWインクを用いて画像を記録する。Wインクの記録データは、1~3回目の走査で画像の記録が完了するように振り分けられており、3回目の走査が終了すると、Wインクによる画像の記録が完了する。
【0125】
続いて、S1602において、4~6回目の走査でKインクを用いて画像を記録する。Kインクの記録データは、4~6回目の走査で画像の記録が完了するように振り分けられている。4~6回目の走査においては、3回目までの走査で記録完了しているWインクの画像の上にKインクの画像が記録される。6回目の走査が終了すると、Kインクの画像の記録が完了し、所定領域に対するWインクの画像上にKインクの画像の記録が完了する。
【0126】
S1603において、CPU102は、記録完了した画像が画像定着部まで到達するよう、記録媒体をフィードする。
【0127】
S1604において、CPU102は、画像定着部を用いて、記録媒体に画像を定着させる定着処理を実行する。
【0128】
図16に示す記録方法では、下地の画像上に重ねて画像を記録する際に、記録媒体をバックフィードする必要がないため、下地となる画像と、その上に記録した画像とのずれが少なく、高画質な画像を得ることができる。
【0129】
しかし、前述したインクに応じて使用するノズル群を異ならせるマルチパス記録方式では、下地となる画像のみを画像定着部にて定着させることができない。従って、下地となる画像を記録するためのインク(第1インク)と、下地に重ねる画像を記録するためのインク(第2インク)とが混色する恐れがある。そのため、第1インクと第2インクとが混色しないよう、記録走査のスピードを遅くして、記録走査中に第1インクをある程度乾燥させる必要がある。
【0130】
このような理由から、マルチパス記録方式は通常、下地となる画像が必要な場合、かつ記録時間の短縮よりも、高画質が求められる画像を記録する場合に採用される。
【0131】
調整パターンの記録においては、前述したように、下地となる画像の領域と、調整パターンの画像の領域とを高精度に位置合わせする必要がないため、調整時間を短縮できるよう本実施形態で説明した記録方法を採用する。
【0132】
このように本実施形態では、記録媒体Pに下地となる画像をWインクで記録し、Wインクの画像を十分に定着した後、下地の上にK、C、M、Yインクで調整パターンを記録する。その後、記録した調整パターンを読み取る。この構成により、K、C、M、Yインクの基準パターンとずらしパターンとのずらし量に因る濃度差が測定可能となり、記録ヘッドのK、C、M、Yノズルのレジ調整、搬送調整を行うことができる。
【0133】
[第2実施形態]
本実施形態では、透明または有色な記録媒体を用いてカラーキャリブレーションを行う方法を説明する。本実施形態の特徴は、調整パターンの定着タイミングが第1実施形態と異なる点である。
【0134】
第1実施形態の(1)レジ調整、(2)搬送調整で説明した通り、レジ調整または搬送調整と、カラーキャリブレーションとでは、調整パターンを定着させるタイミングが異なる。詳しくは、レジ調または搬送調整では、S803における調整パターンの読み取りの後、最後にS807において調整パターンの定着が行われる(図8参照)。一方、カラーキャリブレーションでは、S1004において調整パターンを定着した後、S1006において調整パターンの読み取りを行っている(図10参照)。
【0135】
カラーキャリブレーションを行う際には、調整パターンの色が安定していることが重要であるため、調整パターンを記録したインクを十分に乾燥させる必要がある。そのため、調整パターンの読み取りの前に画像定着部にて調整パターンを定着させる。
【0136】
一方、レジ調整または搬送調整では、図7(a)、図7(b)、図9(a)、図9(b)に示すように、調整パターンの基準パターンとずらしパターンとの位置ずれに起因する濃度を測定しているため、調整パターンの色を安定させる必要はない。従って、調整時間をより短縮するために、調整パターンの定着は調整パターンの読み取り後に行う。調整パターンの読み取り後に定着を行う場合、図10に示すS1005(バックフィード工程)を行う必要がないため、調整時間を短縮できる。
【0137】
本実施形態ではまず、透明または有色な記録媒体Pに対し、下地となる画像(第1画像)をWインクで記録し、Wインクの画像を十分に定着した後、下地の上にK、C、M、Yインクで前述の図11に示す調整パターンを記録する。こうすることで、透明または有色な記録媒体Pを用いる場合であっても、記録ヘッドにおけるKノズル、Cノズル、Mノズル、Yノズルに対するカラーキャリブレーションを行うことができる。
【0138】
記録装置Aにおいて使用可能な種々の記録媒体は、光学反射率と色味とに基づき、第1記録媒体グループと第2記録媒体グループとの何れかに予め分類されている。具体的には、白色の記録媒体は第1記録媒体グループに、透明な記録媒体および有色な記録媒体は第2記録媒体グループに分類され、記録装置Aはそれらの記録媒体グループ情報を保持している。本実施形態の技術的特徴は、この記録媒体グループ情報を利用して実現される。
【0139】
図14は、本実施形態において、カラーキャリブレーションが実行された場合のフローチャートである。かかる処理は、第1実施形態におけるレジ調整または搬送調整が実行された場合のフローチャートと同様である。
【0140】
まずS1401において、CPU102は、記録対象の記録媒体Pが第1記録媒体グループに含まれるか判定する。本ステップの判定結果が真の場合、S1402に進む。一方、本ステップの判定結果が偽の場合、S1403に進む。
【0141】
S1402において、CPU102は、調整処理を実行、具体的には、図10のフローチャートに示したS1001~S1007の処理を実行する。
【0142】
S1403において、CPU102は、調整パターンの下地を記録し、その後、調整処理を実行する。
【0143】
ここで図15に、S1403の詳細なフローチャートを示す。図15は、第1実施形態で説明したフローチャートであり、本実施形態においても同様のフローチャートを用いて説明する。
【0144】
まず、S1501において、CPU102は、図3に示すWインクを吐出するノズル列33Wの全領域のノズルを使用し、マルチパス記録方式にてWインクで下地画像(第1画像)を記録する記録処理を実行する。尚、本例では、記録する第1画像を、A4サイズの200%ベタ画像(1200dpiに1dotを100%とする)とする。
【0145】
S1502において、CPU102は、記録(S1501)完了した第1画像が画像定着部まで到達するように、記録媒体をフィードする。
【0146】
S1503において、CPU102は、80℃の温風に第1画像を晒すことで、第1画像を十分に定着させる。「十分に定着させる」ために、本実施形態では、80℃の温風に第1画像を、予め設定された所定時間晒す。
【0147】
S1504において、CPU102は、S1503で定着した第1画像が画像記録部まで到達するように、記録媒体をバックフィードする。
【0148】
S1505において、CPU102は、Wインクで記録された第1画像を用いて光学センサの光量調整処理を実行する。
【0149】
S1506において、CPU102は、調整処理を実行、具体的には図10のフローチャートに示したS1002~S1007の処理を実行する。
【0150】
以上説明したS1501~S1505の処理が本実施形態における特徴的構成である。かかる処理によって、透明または有色な低浸透性記録媒体を用いる場合であっても、カラーキャリブレーションを実行するにあたって必要な、適切な調整が可能となる。
【0151】
尚、記録媒体や下地となる第1画像の色が白色の場合は、Wインクで記録されたパッチの測定値を取得できない。この点を考慮し、本実施形態ではWインクを吐出するWノズルの調整は行わない。本実施形態で使用する調整パターン400にはWインクのパッチ405が含まれるが、パッチ405についてはS1006において調整パターン400の読み取りを行わない。または、記録する調整パターンについて、パッチ405を含めないようにパッチ401~404としてもよい。
【0152】
ここまで本実施形態では、第1実施形態と同様に、下地となる第1画像の記録を完了させ、画像定着部にて定着させた後、第1画像が画像記録部まで到達するように、記録媒体をバックフィードさせ、第1画像の上に重ねて調整パターンを記録することを説明した。
【0153】
記録した第1画像を画像定着部にて定着させてから、第1画像が画像記録領域まで到達するように記録媒体をバックフィードするといった仕様では、バックフィードする際の搬送精度の観点から、第1の画像と、調整パターンとの記録開始位置がずれる虞がある。しかし、第1画像は下地として、調整パターンの背景となる領域全域に記録しているため、第1の画像と、調整パターンとの記録開始位置の多少のずれは問題にならない。そのため、第1実施形態で説明したように、第1画像を画像定着部で定着することが可能となり、調整時間を短縮することができる。
【0154】
一方、任意の画像の記録においては、第1画像を画像定着部で定着した後、記録媒体をバックフィードして、画像記録部にて第2画像を第1画像上に記録するといった方法は、第1実施形態でも説明したように、画質の観点から好ましくない。従って、任意の画像の記録方法については、第1実施形態と同様である。
【0155】
このように本実施形態では、記録媒体Pに下地となる画像をWインクで記録し、Wインクの画像を十分に定着した後、下地の上にK、C、M、Yインクで調整パターンを記録する。その後、記録した調整パターンを定着し、調整パターンを読み取る。この構成により、K、C、M、Yインク量に応じて下地のWインクの露出量の差に因る濃度差が測定可能となり、記録ヘッドのK、C、M、Yノズルのカラーキャリブレーションを行うことができる。
【0156】
[第3実施形態]
本実施形態では、Wノズルから吐出されるWインク(ホワイトインク、白インクとも称呼する)のカラーキャリブレーションを行う方法について説明する。白色の記録媒体上に記録されたWインクのパッチの濃度差は、インクと記録媒体とが同色であるため測定することができない。また、透明な記録媒体上に記録されたWインクのパッチの濃度差も、プラテン4の色の影響を受けるため測定することができない。
【0157】
そこで本実施形態では、まず記録媒体Pに下地となる画像(第1画像)をKインク(ブラックインク、黒インクとも称呼する)で記録し、Kインクの画像を十分に定着した後、下地の上にWインクで調整パターンを記録する。これにより、Wインク量に応じて下地のKインクの露出量の差に因る濃度差が測定可能となり、Wインクのカラーキャリブレーションを行うことができる。尚、下地を記録するインクは光の吸収特性が高いKインクが好ましいが、Kインクに限定されるわけではない。その他のインク(例えばCインク)でも所望の濃度差が測定できれば、使用可能である。
【0158】
図17は、本実施形態におけるWインクのカラーキャリブレーションのフローチャートである。Wインクのカラーキャリブレーションでは、記録媒体Pの種類によらず、必ず調整パターンの下地を記録する。
【0159】
まず、S1701において、CPU102は、図3に示すKインクを吐出するノズル列33Kの全領域のノズルを使用し、マルチパス記録方式にてKインクで下地画像(第1画像)を記録する。同時に、第1画像に対して主走査方向に並べて、Wインクを吐出するノズル列33Wの全領域のノズルを使用し、光量調整を実行するための光量調整用画像を記録する。尚、本例では、記録する第1画像および光量調整用画像を、A4サイズの200%ベタ画像(1200dpiに1dotを100%とする)とする。
【0160】
S1702において、CPU102は、記録(S1701)完了した第1画像および光量調整用画像が画像定着部まで到達するように、記録媒体をフィードする。
【0161】
S1703において、CPU102は、80℃の温風に第1画像および光量調整用画像を晒すことで、第1画像および光量調整用画像を十分に定着させる。「十分に定着させる」ために、本実施形態では、80℃の温風に予め設定された所定時間晒す。
【0162】
S1704において、CPU102は、S1703で定着した第1画像および光量調整用画像が、画像記録部まで到達するように、記録媒体をバックフィードする。
【0163】
S1705において、CPU102は、Wインクで記録された光量調整用画像を用いて光学センサの光量調整処理を実行する。
【0164】
S1706において、CPU102は、調整処理を実行、具体的には図10のフローチャートに示したS1002~S1007の処理を実行する。
【0165】
以上説明したS1701~S1705の処理が本実施形態における特徴的構成である。かかる処理によって、Wインクのカラーキャリブレーションのための適切な調整が可能となる。
【0166】
尚、本実施形態で使用する調整パターン400にはWインク以外のパッチ401~404が含まれるが、パッチ401~404についてはS1006において調整パターン400の読み取りを行わない。または、記録する調整パターンについて、Wインクのパッチ405のみとしてもよい。
【0167】
また、本実施形態では、光学センサの光量調整を、Wインクで記録された光量調整用画像を用いて行ったが、他のものを用いてよい。例えば、記録装置に白色板が設置されていれば、当該白色板を用いて行ってもよい。また、記録媒体が白色の場合は、当該記録媒体を用いてもよい。この場合、光量調整用画像を記録しなくてよい。
【0168】
このように本実施形態では、記録媒体Pに下地となる画像をKインクで記録し、Kインクの画像を十分に定着した後、下地の上にWインクで調整パターンを記録する。その後、記録した調整パターンを定着し、調整パターンを読み取る。この構成により、Wインク量に応じて下地のKインクの露出量の差に因る濃度差が測定可能となり、Wインクのカラーキャリブレーションを行うことができる。
【0169】
[その他の実施形態]
前述の実施形態では、記録媒体をグループ(第1記録媒体グループ、第2記録媒体グループ)に分類するための記録媒体グループ情報を予め保持し、この記録媒体グループ情報を用いて、調整パターンの下地を記録するかを判定した。しかし、本開示はこの形態に限定されず、記録媒体グループ情報を保持しなくてもよい。例えば、記録対象の記録媒体が、何れの記録媒体グループの記録媒体であるかユーザが選択してもよい。また例えば、記録装置に設置された光学センサで記録媒体の反射率を測定し、当該測定した反射率に基づいて、自動的に選択してもよい。反射率に基づく自動選択の一例として、反射率の閾値を0.5と設定し、測定した反射率が閾値以上の場合は第1記録媒体グループ用の処理を、閾値未満の場合は第2記録媒体グループ用の処理を選択するようにすることが挙げられる。また例えば、記録装置に設置された光学センサで記録媒体の色味を測定し、当該測定した色味に基づいて、自動的に選択してもよい。
【0170】
また、前述の実施形態では、下地である第1画像の記録方式としてマルチパス記録方式を採用したが、記録方式はマルチパス方式に限定されない。例えば、インクや調整パターン等に応じて、1回の走査にて下地となる画像の記録を完了させてもよい。より少ない走査で画像の記録を完了させれば、画像の記録時間が短くなるため、調整時間を短縮できる。
【0171】
また、前述の実施形態では、調整パターンの下地である第1画像を200%ベタ画像(1200dpiに1dotを100%とする)としたが、第1画像は200%ベタ画像に限定されない。
【0172】
調整パターンによっては、より少ない記録Duty%の第1画像であっても調整値の取得が可能な場合もある。従って、記録Duty%を適宜設定すればよい。例えば、調整パターンによっては、任意の画像の下地としての第1画像の記録Duty%よりも、調整パターンの下地としての第1画像の記録Duty%の方が少なくてよい場合がある。調整パターンの下地としての第1画像の記録Duty%が少ないほど、第1画像の定着時間を短くすることができるため、調整時間を短縮できる。尚、記録Dutyとは、単位面積あたりのインク付与量を意味する。
【0173】
また、前述の実施形態では、調整パターンの下地である第1画像をA4サイズとしたが、第1画像の大きさはA4サイズに限定されない。調整パターンの大きさに応じて、調整パターンの背景として十分な大きさがある範囲で下地の第1画像の大きさも適宜変更すればよい。調整パターンの記録領域が小さい場合は、第1画像も小さくすればよい。記録する第1画像が小さいほど、第1画像の記録時間および第1画像の定着時間が短くなるため、調整時間を短縮できる。
【0174】
また、レジ調整、搬送調整、カラーキャリブレーションの各種調整における調整パターンの測定値として、光学センサ200により濃度値を取得するものとしたが、測定値は濃度値に限定されない。例えば、色彩値を取得可能な測色機などを用いて、パターンのCMYK値やL*a*b*値、XYZ値、RGB値を取得するような形態をとることも可能である。
【0175】
また、一般的な光量調整で使用される白色板を用いて光量調整をする場合においても、前述した調整パターンの下地の色の影響により、適切な測定値を得ることができないため、本開示の特徴的構成を適用することで、適切な調整が可能となる。
【0176】
[本開示の技術的特徴]
本開示は、以下の構成を含む。
(構成1)記録媒体を搬送する搬送手段と、記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、を有し、前記記録手段により前記第1液体または前記第2液体を用いて記録された下地としての第1画像が、前記定着手段により定着された後、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンが記録される、ことを特徴とする記録装置。
(構成2)前記調整は、レジ調整、搬送調整またはカラーキャリブレーションである、ことを特徴とする構成1に記載の記録装置。
(構成3)前記第1画像は、前記第1液体により記録され、前記調整パターンは、前記第2液体により記録される、ことを特徴とする構成1または2に記載の記録装置。
(構成4)前記搬送手段による搬送方向の上流側から下流側に向けて、前記記録手段、前記読み取り手段、前記定着手段の順に設けられ、前記定着手段により前記第1画像が定着された後、前記搬送手段により、前記記録媒体は、バックフィードされる結果、前記第1画像は、前記記録手段が記録可能な記録領域に到達する、ことを特徴とする構成1乃至3の何れか1つに記載の記録装置。
(構成5)前記定着手段により、前記調整パターンが定着された後、前記読み取り手段により、前記調整パターンの読み取りが行われる、ことを特徴とする構成1乃至4の何れか1つに記載の記録装置。
(構成6)前記調整パターンの読み取り結果に基づく濃度値を取得する取得手段と、前記濃度値に基づき調整値を算出する算出手段と、を更に有する、ことを特徴とする構成1乃至5の何れか1つに記載の記録装置。
(構成7)前記記録媒体が、第1記録媒体グループに含まれるか、それとも第2記録媒体グループに含まれるかを判定する判定手段を更に有し、白色の記録媒体は前記第1記録媒体グループに分類され、透明な記録媒体および有色な記録媒体は前記第2記録媒体グループに分類される、ことを特徴とする構成1乃至6の何れか1つに記載の記録装置。
(構成8)記録媒体グループ情報を記憶する記憶手段を更に有し、前記判定手段は、前記記録媒体グループ情報に基づき判定する、ことを特徴とする構成1乃至7の何れか1つに記載の記録装置。
(構成9)前記記録媒体の反射率を測定する測定手段を更に有し、前記判定手段は、前記測定手段により取得された測定値が閾値以上かに基づき判定する、ことを特徴とする構成1乃至8の何れか1つに記載の記録装置。
(構成10)前記記録媒体の色味を測定する測定手段を更に有し、前記判定手段は、前記測定手段により取得された色味に基づき判定する、ことを特徴とする構成1乃至9の何れか1つに記載の記録装置。
(構成11)前記判定手段により、前記記録媒体が前記第2記録媒体グループに含まれると判定された場合、前記記録手段による前記第1画像の記録と、前記定着手段による前記第1画像の定着と、前記記録手段による前記調整パターンの記録と、が実行され、前記判定手段により、前記記録媒体が前記第1記録媒体グループに含まれると判定された場合、前記記録手段による前記第1画像の記録を経ることなく、前記記録手段による前記調整パターンの記録が実行される、ことを特徴とする構成1乃至10の何れか1つに記載の記録装置。
(構成12)前記調整がレジ調整または搬送調整の場合に、前記判定手段による判定が行われる、ことを特徴とする構成1乃至11の何れか1つに記載の記録装置。
(構成13)前記記録媒体は透明または有色な記録媒体であり、かつ、前記調整がカラーキャリブレーションの場合に、前記判定手段による判定が行われる、ことを特徴とする構成1乃至12の何れか1つに記載の記録装置。
(構成14)前記第1画像は、前記第2液体により記録され、前記調整パターンは、前記第1液体により記録される、ことを特徴とする構成1乃至13の何れか1つに記載の記録装置。
(構成15)前記第1液体は、白インクであり、前記第2液体は、黒色の色材を含有する黒インクであり、前記調整は、白インクのカラーキャリブレーションである、ことを特徴とする構成1乃至14の何れか1つに記載の記録装置。
(構成16)前記記録手段により前記黒インクを用いて前記第1画像が記録され、前記記録手段により前記白インクを用いて光量調整用画像が記録される、ことを特徴とする構成1乃至15の何れか1つに記載の記録装置。
(構成17)前記光量調整用画像を用いて、前記読み取り手段の光量調整処理を実行する実行手段を更に有する、ことを特徴とする構成1乃至16の何れか1つに記載の記録装置。
(構成18)前記第1液体の単位面積あたりの付与量に関して、前記調整パターンを記録するときは、任意の画像を記録するときより少ない、ことを特徴とする構成1乃至17の何れか1つに記載の記録装置。
(構成19)前記調整パターンを記録する調整パターン記録モードでなく、任意の画像を記録する実画記録モードにおいては、前記定着手段により、前記第1画像を前記記録媒体に定着させることなく、前記記録手段により、前記第1画像上に第2記録媒体を記録する、ことを特徴とする構成1乃至18の何れか1つに記載の記録装置。
(構成20)前記第1液体を吐出させるノズル群と、前記第2液体を吐出させるノズル群とを異ならせる、ことを特徴とする構成1乃至19の何れか1つに記載の記録装置。
(構成21)前記記録手段と、前記搬送手段と、前記読み取り手段と、前記定着手段と、を制御する制御手段を更に有する、ことを特徴とする構成1乃至20の何れか1つに記載の記録装置。
(構成22)記録媒体を搬送する搬送手段と、記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、を有する記録装置の制御方法であって、前記記録手段により、前記第1液体または前記第2液体を用いて下地としての第1画像を記録する記録ステップと、前記定着手段により、前記第1画像を前記記録媒体に定着させる定着ステップと、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンを記録する記録ステップと、有する、ことを特徴とする制御方法。
(構成23)コンピュータに、記録媒体を搬送する搬送手段と、記録ヘッドを有し、画像を記録する記録手段であって、前記記録ヘッドは、白色の色材が含有される第1液体を吐出する第1ノズルと、第2液体を吐出する第2ノズルとを有し、前記画像は、調整パターンを含む、前記記録手段と、前記記録媒体に記録された前記画像を読み取る読み取り手段と、前記記録手段によって記録された前記画像を、前記記録媒体に定着させる定着手段と、前記読み取り手段による前記調整パターンの読み取り結果に基づく調整を行う調整手段と、を有する記録装置の制御方法であって、前記記録手段により、前記第1液体または前記第2液体を用いて下地としての第1画像を記録する記録ステップと、前記定着手段により、前記第1画像を前記記録媒体に定着させる定着ステップと、前記記録手段により、前記第1画像上に、前記第1液体または前記第2液体のうち前記第1画像の記録に用いられなかった液体を用いて前記調整パターンを記録する記録ステップと、有する、ことを特徴とする制御方法を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0177】
P 記録媒体
9 記録ヘッド
10 ヒーター
102 CPU
118 モータ
200 光学センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17