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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025004900
(43)【公開日】2025-01-16
(54)【発明の名称】交通管制装置および交通管制方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20250108BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20250108BHJP
【FI】
G08G1/01 E
G08G1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104785
(22)【出願日】2023-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢田 彩乃
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩輔
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC14
5H181DD04
(57)【要約】
【課題】車両が走行する道路に関して、より正確な渋滞位置を特定する。
【解決手段】実施形態の交通管制装置は、道路の区間ごとに設置された車両感知器から、感知した車両のデータである車両感知器データを取得する車両感知器データ取得部と、前記区間ごとに設置された撮影部から、前記道路の撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記区間ごとに、前記車両感知器データ、および、前記撮影データに基づいて渋滞を検知する渋滞検知部と、前記渋滞検知部によって渋滞が検知された場合に、渋滞が検知された前記区間および隣接する前記区間について、前記道路を走行するプローブ車両に関する速度情報と位置情報を含むプローブ情報に基づいて特定された渋滞の範囲を示す渋滞範囲情報を取得する渋滞範囲情報取得部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の区間ごとに設置された車両感知器から、感知した車両のデータである車両感知器データを取得する車両感知器データ取得部と、
前記区間ごとに設置された撮影部から、前記道路の撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記区間ごとに、前記車両感知器データ、および、前記撮影データに基づいて渋滞を検知する渋滞検知部と、
前記渋滞検知部によって渋滞が検知された場合に、渋滞が検知された前記区間および隣接する前記区間について、前記道路を走行するプローブ車両に関する速度情報と位置情報を含むプローブ情報に基づいて特定された渋滞の範囲を示す渋滞範囲情報を取得する渋滞範囲情報取得部と、
を備える交通管制装置。
【請求項2】
前記車両感知器データ、および、前記プローブ情報の少なくともいずれかに基づいて、前記渋滞の範囲を車両が通過するのに要する時間を示す渋滞通過時間を算出する渋滞通過時間算出部を、さらに備える、
請求項1に記載の交通管制装置。
【請求項3】
車両感知器データ取得部が、道路の区間ごとに設置された車両感知器から、感知した車両のデータである車両感知器データを取得する車両感知器データ取得ステップと、
撮影データ取得部が、前記区間ごとに設置された撮影部から、前記道路の撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
渋滞検知部が、前記区間ごとに、前記車両感知器データ、および、前記撮影データに基づいて渋滞を検知する渋滞検知ステップと、
前記渋滞検知ステップによって渋滞が検知された場合に、渋滞範囲情報取得部が、渋滞が検知された前記区間および隣接する前記区間について、前記道路を走行するプローブ車両に関する速度情報と位置情報を含むプローブ情報に基づいて特定された渋滞の範囲を示す渋滞範囲情報を取得する渋滞範囲情報取得ステップと、
を含む交通管制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、交通管制装置および交通管制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両(乗用車等)が走行する道路に関して、道路情報板などによって、渋滞区間(渋滞位置)や渋滞通過時間(渋滞区間を車両が通過するのに要する時間)などの情報が提供されている。
【0003】
その場合、例えば、渋滞区間は、道路の区間(例えば約2km)毎に設置されている車両感知器(トラフィックカウンタ等)が出力した車両速度データに基づいて決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-133790号公報
【特許文献2】特開2008-135070号公報
【特許文献3】特開2007-248307号公報
【特許文献4】特開平8-292057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、決定された渋滞区間と、実際に渋滞が発生している位置と、が一致していない場合があるという問題がある。例えば、約2kmの所定区間が渋滞区間であると決定された場合に、実際の渋滞はそのうちの1kmでしか発生していない場合がある。
【0006】
そこで、実施形態の課題は、車両が走行する道路に関して、より正確な渋滞位置を特定することが可能な交通管制装置および交通管制方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の交通管制装置は、道路の区間ごとに設置された車両感知器から、感知した車両のデータである車両感知器データを取得する車両感知器データ取得部と、前記区間ごとに設置された撮影部から、前記道路の撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記区間ごとに、前記車両感知器データ、および、前記撮影データに基づいて渋滞を検知する渋滞検知部と、前記渋滞検知部によって渋滞が検知された場合に、渋滞が検知された前記区間および隣接する前記区間について、前記道路を走行するプローブ車両に関する速度情報と位置情報を含むプローブ情報に基づいて特定された渋滞の範囲を示す渋滞範囲情報を取得する渋滞範囲情報取得部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の交通管制システムの全体構成図である。
図2図2は、実施形態の交通管制装置の機能構成図である。
図3図3は、実施形態における車両感知器データ、カメラ映像、プローブ情報ごとの特徴を示す表である。
図4図4は、実施形態における道路情報板への表示内容例等を示す図である。
図5図5は、実施形態の交通管制装置による処理を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態における第1のケースの説明図である。
図7図7は、実施形態における第2のケースの説明図である。
図8図8は、実施形態における第3のケースの説明図である。
図9図9は、実施形態における第4のケースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の交通管制装置、および、交通管制方法の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、道路として高速道路を例にとって説明する。
【0010】
図1は、実施形態の交通管制システムSの全体構成図である。交通管制システムSは、交通管制装置1と、車両感知器2と、CCTVカメラ3と、プローブ情報管理サーバ4と、路車間通信装置5と、道路情報板6と、を備える。交通管制装置1と、車両感知器2と、CCTVカメラ3と、プローブ情報管理サーバ4と、道路情報板6と、は通信ネットワークN(公衆通信回線、専用通信回線など)に接続される。
【0011】
交通管制装置1は、管制対象の道路の実際の交通状況の監視や管理を総合的に行うコンピュータシステムである(詳細は図2を用いて後述)。
【0012】
車両感知器2は、高速道路の区間(例えば、約2km)ごとに路側に設置される装置である。車両感知器2は、設置場所の近傍を通過する車両を感知し、感知した車両のデータである車両感知器データを収集する。車両感知器データには、例えば、交通量[台/h(hour)]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などが含まれ得る。
【0013】
CCTVカメラ3は、高速道路の路側に区間ごとに設置される撮影部である。CCTVカメラ3は、走行する車両等を撮影し、撮影データを交通管制装置1に送信する。交通管制装置1では、このような撮影データを利用することにより、撮影対象領域を通過する全車両の走行データ(速度情報等)を取得できるという利点が得られる(図3)。ただし、撮影対象領域以外に存在する車両についての情報は得られないという面もある(図3)。
【0014】
プローブ情報管理サーバ4は、道路を走行しているプローブ車両Pから路車間通信装置5(ITS(Intelligent Transport Systems)スポット等)を介して取得したプローブ情報を取り込み、そのプローブ情報を管理するコンピュータシステムである。
【0015】
ここで、プローブ情報とは、所定の機器(例えば、ETC2.0車載器)を搭載しているプローブ車両Pから取得されるデータであり、プローブ車両Pの挙動履歴、走行履歴等を示す情報である。プローブ情報には、例えば、速度情報、加速度情報、位置情報等が含まれる。
【0016】
路車間通信装置5は、路側に設置され、プローブ車両Pと通信を行うための装置である。路車間通信装置5は、プローブ車両Pに対して交通情報(渋滞情報等)等の提供を行ったり、プローブ車両Pからプローブ情報の取得を行ったりする。路車間通信装置5は、取得したプローブ情報をプローブ情報管理サーバ4に送信する。
【0017】
道路情報板6は、路側に設置され、高速道路を走行する車両に対して、交通管制装置1から受信した情報を表示する装置である。
【0018】
図2は、実施形態の交通管制装置1の機能構成図である。交通管制装置1は、コンピュータ装置であり、処理部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、通信部15と、を備える。
【0019】
なお、本実施形態では、交通管制装置1について、説明を簡潔にするために、1台のコンピュータ装置によって構成されているものとして説明するが、これに限定されない。交通管制装置1は、例えば、複数のコンピュータ装置によって実現されてもよいし、あるいは、クラウドサーバによって実現されてもよい。
【0020】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置であり、各種情報を記憶する。記憶部12は、例えば、道路データ、車両感知器データ、撮影データ、各種受信データ、各種演算結果などを記憶する。
【0021】
道路データは、道路の構造に関する情報であり、例えば、区間の識別情報や長さ(区間長)や最大収容車両数等、車線数、インターチェンジ、パーキングエリアの場所等の情報である。
【0022】
車両感知器データは、車両感知器2から取得した、交通量[台/h]、平均速度[km/h]、車両密度[台/km]、占有率(オキュパンシー)[%]などの情報である。
【0023】
撮影データは、CCTVカメラ3から取得した、走行車両を含む撮影画像のデータである。なお、記憶部12に記憶されるデータは上記に限定されるものではない。
【0024】
処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を備える。CPUは、交通管制装置1の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部12等に格納されたプログラムを実行する。
【0025】
処理部11は、機能構成として、取得部111と、渋滞検知部112と、算出部113と、作成部114と、制御部115と、を備える。
【0026】
取得部111は、車両感知器2、CCTVカメラ3、プローブ情報管理サーバ4等からから各種情報を取得する。例えば、取得部111(車両感知器データ取得部)は、車両感知器2から車両感知器データを取得する。
【0027】
また、取得部111(撮影データ取得部)は、CCTVカメラ3から道路の撮影データを取得する。
【0028】
また、渋滞検知部112によって渋滞が検知された場合に、取得部111(渋滞範囲情報取得部)は、渋滞が検知された区間および隣接する区間について、プローブ情報に基づいて特定された渋滞の範囲を示す渋滞範囲情報をプローブ情報管理サーバ4から取得する。つまり、プローブ情報管理サーバ4は、そのような渋滞範囲情報を作成して、交通管制装置1に送信する。
【0029】
また、取得部111は、プローブ情報管理サーバ4から、プローブ情報に基づく第2の区間所要時間情報(対象区間を通過するのに要する時間の情報)を取得する(詳細は後述)。
【0030】
渋滞検知部112は、区間ごとに、車両感知器データ、および、撮影データに基づいて渋滞を検知する。具体的には、例えば、渋滞検知部112は、車両感知器データや撮影データに基づいて算出した車両走行速度が所定の速度閾値を下回った場合に、渋滞していると判定する。なお、車両感知器データと撮影データのそれぞれの両方で渋滞を検知したとき(AND条件を満たしたとき)に渋滞を検知したものとしてもよいし、あるいは、車両感知器データと撮影データのそれぞれの少なくとも一方で渋滞を検知したとき(OR条件を満たしたとき)に渋滞を検知したものとしてもよい。
【0031】
算出部113は、各種情報を算出する。例えば、算出部113は、区間ごとに、車両感知器データに基づいて、第1の区間所要時間情報(対象区間を通過するのに要する時間の情報)を算出する。
【0032】
また、算出部113(渋滞通過時間算出部)は、車両感知器データ、および、プローブ情報の少なくともいずれかに基づいて、渋滞の範囲を車両が通過するのに要する時間を示す渋滞通過時間を算出する。具体的には、例えば、算出部113は、まず、第1の区間所要時間情報と第2の区間所要時間情報のうち、第2の区間所要時間情報を優先的に用いて(つまり、両者が異なるときは第2の区間所要時間情報を選択して)、区間所要時間情報を算出する。その後、算出部113は、後述する渋滞事象データや区間所要時間情報などに基づいて、渋滞通過時間を算出する。
【0033】
作成部114は、各種情報を作成する。例えば、作成部114は、渋滞範囲情報に基づいて、渋滞事象データ(渋滞事象が発生したことを示すデータ)を作成する。また、作成部114は、渋滞事象データや渋滞通過時間情報などに基づいて、道路情報板6に対する提供情報を作成する。
【0034】
図3は、実施形態における車両感知器データ、カメラ映像、プローブ情報ごとの特徴を示す表である。車両感知器2を利用することにより、車両感知器2が設置された位置を通過する全車両の車両感知器データを取得できるという利点が得られる。ただし、車両感知器2を設置していない位置での車両についての情報は得られないという面もある。車両感知器2は、収集した車両感知器データを交通管制装置1に送信する。
【0035】
また、プローブ情報を利用する場合、路車間通信装置5と通信できる車載器を搭載した車両(プローブ車両P)からしかデータを収集できないという面がある。しかし、その一方、車両感知器2やCCTVカメラ3により情報を取得できない位置の車両のデータを収集できるという利点がある。例えば、プローブ情報によって、約200m毎の区間について、プローブ車両Pの速度などを認識できる。
【0036】
ここで、図4は、実施形態における道路情報板6への表示内容例等を示す図である。道路情報板6は、交通管制装置1から受信した提供情報に基づいて図4に示すような表示を行う。図4では、道路情報板6において、B・ICとC・ICの間において、7kmの渋滞が発生していて、渋滞通過時間は20分であることを示している。
【0037】
図2に戻って、制御部115は、各種制御を実行する。例えば、制御部115は、作成部114によって作成された提供情報を道路情報板6に送信する制御を実行する。なお、提供情報の送信先は、道路情報板6に限定されず、ほかに、所定のユーザ(例えば車両の乗員等)が使用するスマートフォン等であってもよい。
【0038】
入力部13は、交通管制装置1に対するユーザ(例えばシステム管理者等)の操作を受け付ける入力装置であり、例えば、キーボード、マウス等である。
【0039】
出力部14は、各種情報の出力手段であり、例えば、液晶表示装置(LCD(Liquid Crystal Display))や有機EL(Electro-Luminescence)表示装置等の表示装置や、スピーカなどの音声出力装置である。
【0040】
通信部15は、外部装置との通信を行うための通信インタフェースである。
【0041】
図5は、実施形態の交通管制装置1による処理を示すフローチャートである。なお、交通管制装置1は、以下の処理を実行する間、並行して、車両感知器2から車両感知器データを取得し、CCTVカメラ3から撮影データを取得しているものとする。
【0042】
ステップS1において、渋滞検知部112は、区間ごとに、車両感知器データ、および、撮影データに基づいて渋滞を検知したか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0043】
ステップS2において、制御部115は、プローブ情報管理サーバ4に、渋滞を検知した区間に関する渋滞位置情報を送信する。これを受けて、プローブ情報管理サーバ4は、受信した渋滞位置情報と、自身が記憶しているプローブ情報を用いて、渋滞位置情報(例えば約2kmごと)よりも粒度の細かい渋滞範囲情報(例えば約200mごと)を算出し、交通管制装置1に送信する。また、プローブ情報管理サーバ4は、渋滞区間(約2km)について、プローブ情報に基づいて第2の区間所要時間情報を算出し、交通管制装置1に送信する。
【0044】
次に、ステップS3において、取得部111は、プローブ情報管理サーバ4から、渋滞範囲情報を受信(取得)する。
【0045】
次に、ステップS4において、作成部114は、渋滞範囲情報に基づいて、渋滞事象データを作成する。
【0046】
次に、ステップS5において、算出部113は、渋滞区間(約2km)について、車両感知器データに基づいて、第1の区間所要時間情報を算出する。
【0047】
次に、ステップS6において、取得部111は、プローブ情報管理サーバ4から、当該渋滞区間について、プローブ情報に基づく第2の区間所要時間情報を取得する。
【0048】
次に、ステップS7において、算出部113は、渋滞区間(約2km)について、第1の区間所要時間情報と第2の区間所要時間情報のうち、第2の区間所要時間情報を優先的に用いて、区間所要時間情報を算出する。
【0049】
次に、ステップS8において、算出部113は、渋滞範囲(例えば約200m)について、区間所要時間情報に基づいて、渋滞通過時間を算出する。
【0050】
次に、ステップS9において、作成部114は、渋滞範囲情報(例えば約200m)やその渋滞範囲に関する渋滞通過時間情報などに基づいて、道路情報板6に対する提供情報を作成する。
【0051】
次に、ステップS10において、制御部115は、提供情報を道路情報板6に送信する。これを受けて、道路情報板6は、当該渋滞に関する情報(渋滞範囲、渋滞通過時間など)を表示する(図4)。
【0052】
このようにして、車両が走行する道路に関して、より正確な渋滞位置を特定することが可能になる。本実施形態の処理や作用効果などについて、以下、図6以降を参照しながら、4つのケースを例にとって説明する。
【0053】
図6は、実施形態における第1のケースの説明図である。
(a)は、道路状況を示す。車両の進行方向は紙面右方向である。ここでは、車両C1~C5が渋滞せずに走行しているケースである。
【0054】
(b)は、道路において区間(例えば約2km)ごとに設置された4つの車両感知器2(TC1~TC4)を示す。(c)は、道路において区間ごとに設置されたCCTVカメラ3(TC1~TC4)を示す。(d)は、道路において設置された2つの路車間通信装置5(I1、I2)を示す。
【0055】
この例では、渋滞検知部112は、すべての区間Z1~Z4について、車両感知器2による車両感知器データ、および、CCTVカメラ3による撮影データに基づいて渋滞を検知しない(図5のステップS1でNo)。したがって、図5の処理でステップS2以降に移行しない。
【0056】
次に、図7は、実施形態における第2のケースの説明図である。この例では、(a)に示すように、車両C4の前方で事故が発生し、車両C2~C4の位置で渋滞が発生しているケースである。
【0057】
その場合、渋滞検知部112は、区間Z3について、車両感知器TC3による車両感知器データ、および、CCTVカメラ3による撮影データに基づいて渋滞を検知する(図5のステップS1でYes)。したがって、図5の処理でステップS2以降に移行する。
【0058】
そして、ステップS2において、制御部115は、プローブ情報管理サーバ4に、渋滞を検知した区間に関する渋滞位置情報(区間Z3)を送信する。これを受けて、プローブ情報管理サーバ4は、受信した渋滞位置情報(区間Z3)とその隣接する区間(区間Z2、Z4)について、自身が記憶しているプローブ情報を用いて、渋滞位置情報(区間Z3)よりも粒度の細かい(つまり、より正確な)渋滞範囲情報(渋滞範囲R1)を算出し、交通管制装置1に送信する。
【0059】
その後、ステップS3において、取得部111は、プローブ情報管理サーバ4から、渋滞範囲情報(渋滞範囲R1)を受信(取得)する。
【0060】
このようにして、本ケースでは、渋滞範囲として、実際に渋滞が発生している位置に近い渋滞範囲R1を認識することができる。また、渋滞範囲が高精度であるので、それに基づいて算出される渋滞通過時間も高精度となる。
【0061】
一方、従来技術では、渋滞範囲を区間Z3として認識することになり、精度が低い。また、渋滞範囲が低精度であるので、それに基づいて算出される渋滞通過時間も低精度となる。
【0062】
図8は、実施形態における第3のケースの説明図である。この例では、(a)に示すように、車両C3の前方で事故が発生し、車両C3の位置で渋滞が発生しているケースである。
【0063】
その場合、渋滞検知部112は、区間Z3について、車両感知器TC3による車両感知器データ、および、CCTVカメラ3による撮影データに基づいて渋滞を検知する(図5のステップS1でYes)。したがって、図5の処理でステップS2以降に移行する。
【0064】
そして、ステップS2において、制御部115は、プローブ情報管理サーバ4に、渋滞を検知した区間に関する渋滞位置情報(区間Z3)を送信する。これを受けて、プローブ情報管理サーバ4は、受信した渋滞位置情報(区間Z3)とその隣接する区間(区間Z2、Z4)について、自身が記憶しているプローブ情報を用いて、渋滞位置情報(区間Z3)よりも粒度の細かい渋滞範囲情報(渋滞範囲R2)を算出し、交通管制装置1に送信する。
【0065】
その後、ステップS3において、取得部111は、プローブ情報管理サーバ4から、渋滞範囲情報(渋滞範囲R2)を受信(取得)する。
【0066】
このようにして、本ケースでは、渋滞範囲として、実際に渋滞が発生している位置に近い渋滞範囲R2(例えば約1km)を認識することができる。一方、従来技術では、渋滞範囲を、区間Z3(例えば約2km)として認識することになり、精度が低い。
【0067】
つまり、渋滞の位置について、本実施形態のほうが従来技術よりも高精度な結果を得ることができる。したがって、道路情報板6においてより正確な渋滞情報(渋滞の位置、渋滞通過時間)を表示できる(図4)。
【0068】
図9は、実施形態における第4のケースの説明図である。この例では、(a)に示すように、車両C4(プローブ車両であるものとする)の1台のみが低速で走行しているケースである。
この場合、車両C4のプローブ情報だけが渋滞検知をして、(d)の領域R3の位置で渋滞が発生していると誤検知してしまう場合がある。
【0069】
しかし、本実施形態では、図5に示すように、ステップS1において、全車両を観測可能な車両感知器2とCCTVカメラ3で得た情報(車両感知器データと撮影データ)を用いて渋滞検知を行うので、渋滞の誤検知は起きない。
【0070】
本実施形態の交通管制装置1のCPUで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0071】
さらに、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される当該プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0072】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0073】
例えば、上述の実施形態では、プローブ情報管理サーバ4がプローブ情報に基づいて渋滞範囲情報を作成して交通管制装置1に送信するものとしたが、これに限定されない。ほかに、例えば、交通管制装置1が、プローブ情報管理サーバ4からプローブ情報を取得して、そのプローブ情報に基づいて渋滞範囲情報を作成してもよい。
【0074】
また、対象となる道路は、高速道路に限定されず、車両感知器データ、撮影データ、および、プローブ情報を取得できる道路であれば、高速道路以外であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…交通管制装置、2…車両感知器、3…CCTVカメラ、4…プローブ情報管理サーバ、5…路車間通信装置、6…道路情報板、11…処理部、12…記憶部、13…入力部、14…出力部、15…通信部、111…取得部、112…渋滞検知部、113…算出部、114…作成部、115…制御部、N…通信ネットワーク、P…プローブ車両、S…交通管制システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9