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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059867
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】給液装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20250403BHJP
【FI】
B67D7/32 A
B67D7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170222
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉良 陸人
(72)【発明者】
【氏名】三浦 康史
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA02
3E083AB04
3E083AC02
3E083AD08
3E083AD30
3E083AG01
(57)【要約】
【課題】操作者の意図に依らないノズルからの液体の流出を抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る給液装置1は、供給対象に液体を送るための供給経路20と、供給経路20から延びるホース22と、ホース22の先端に設けられ、レバー部30dが操作されることにより供給経路20を通じて供給される液体を供給対象に向けて吐出可能な給液ノズル30と、供給経路20を通じて給液ノズル30側に液体を送るポンプ40と、レバー部30dの操作状態を検出する操作状態検出部90と、操作状態検出部90の検出結果に基づき、ポンプの起動又は停止を行う制御部70と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給対象に液体を送るための供給経路と、
前記供給経路から延びるホースと、
前記ホースの先端に設けられ、レバー部が操作されることにより前記供給経路を通じて供給される液体を前記供給対象に向けて吐出可能な給液ノズルと、
前記供給経路を通じて前記給液ノズル側に液体を送るポンプと、
前記レバー部の操作状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記レバー部が操作されているか否かを判定し、その判定結果に基づき前記ポンプの起動又は停止を行う制御部と、を備える、
給液装置。
【請求項2】
前記供給経路、前記ポンプ、及び前記制御部が搭載される本体部を備え、
前記検出部は、
前記本体部に搭載され、信号を送受信する送受信部と、
前記給液ノズルに搭載され、前記送受信部から信号を受信すると、無線により信号を返信する返信部と、
前記レバー部が操作されていない状態において前記送受信部から送信される信号が前記返信部で受信できないように遮断する遮断部と、を含む、
請求項1に記載の給液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液体供給用のノズルがノズル掛けから外されたことによりポンプが駆動し、ノズルのレバーが操作されることによりノズル内部の流路の弁が開弁し、ノズルより液体が吐出される給液装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-292100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズル内部の弁と弁座との間への異物の混入や弁自体の作動不良によって弁が閉弁しない可能性がある。このような場合、ノズル掛けからノズルが外されたことによりポンプが駆動されてしまうと、操作者の意図に依らず、ノズルから液体が流出してしまう可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、操作者の意図に依らないノズルからの液体の流出を抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
供給対象に液体を送るための供給経路と、
前記供給経路から延びるホースと、
前記ホースの先端に設けられ、レバー部が操作されることにより前記供給経路を通じて供給される液体を前記供給対象に向けて吐出可能な給液ノズルと、
前記供給経路を通じて前記給液ノズル側に液体を送るポンプと、
前記給液ノズルに設けられ、前記レバー部の操作状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき前記レバー部が操作されているか否かを判定し、その判定結果に基づき前記ポンプの起動又は停止を行う制御部と、を備える、
給液装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、操作者の意図に依らないノズルからの液体の流出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体供給装置の一例の構成を示す図である。
図2】給液ノズルの一例を示す図である。
図3】制御部による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[給液装置の構成]
まず、図1図2を参照して、本実施形態に係る給液装置1の構成について説明する。
【0011】
図1は、給液装置1の一例の構成を示す図である。図2は、給液ノズルの一例を示す図である。
【0012】
尚、図2では、ノズル本体部30b及びレバー部30dの一部が断面図として描画されている。
【0013】
給液装置1は、ユーザの操作に応じて、所定の液体を所定の対象に供給する。例えば、所定の液体は、相対的にオクタン価の低いレギュラーガソリンや相対的にオクタン価の高いハイオクガソリンや軽油等の液体燃料であり、所定の対象は、自動車等の車両の燃料タンクである。給液装置1は、例えば、ガソリンスタンド等の給液施設に設置される。以下、給液装置1から車両の燃料タンクに液体燃料が供給される場合を中心に説明を行う。
【0014】
図1に示すように、給液装置1は、筐体10と、供給経路20と、ホース22と、給液ノズル30と、ノズル掛け32と、ノズルスイッチ34と、ポンプ40と、流量計50と、電磁弁60とを含む。また、給液装置1は、制御部70と、表示部80と、操作状態検出部90とを含む。
【0015】
筐体10は、給液装置1の各種構成要素を内部に収容したり、外部で保持したりする。
【0016】
供給経路20は、筐体10の内部に収容され、給液施設の貯留部(例えば、地下タンク)から液体燃料を車両の燃料タンクに向けて供給する経路である。
【0017】
ホース22は、供給経路20の先端に取り付けられる。ホース22は、可撓性を有し、筐体10から外部に延び出すように設けられる。
【0018】
給液ノズル30は、筐体10の外部におけるホース22の先端に設けられる。図2に示すように、給液ノズル30は、吐出パイプ30aと、ノズル本体部30bとを含む。以下、給液ノズル30の説明では、便宜的に、操作者が給液ノズル30の先端部(吐出パイプ30a)を給液対象の車両の給液口に挿入した状態(図2の状態)での上下の位置関係を用いる場合がある。
【0019】
吐出パイプ30aは、ノズル本体部30bから延び出すように設けられる。吐出パイプ30aは、車両の給液口に挿入され、ホース22及びノズル本体部30bを通じて供給される液体燃料を車両の燃料タンクに向けて吐出する。
【0020】
ノズル本体部30bは、ホース22を通じて供給される液体燃料をユーザの操作に応じて吐出パイプ30a側に供給し且つ液面検知により自動で供給停止が可能な弁機構等を内蔵する。ノズル本体部30bは、グリップ部30cと、レバー部30dと、レバーガード30eと、可動部30fとを含む。
【0021】
グリップ部30cは、ユーザが給液ノズル30を操作する際に手で握る部分である。
【0022】
レバー部30dは、グリップ部30cの下方に設けられ、ユーザが給液ノズル30を用いて車両の燃料タンクに液体燃料を供給する際に操作する部分である。レバー部30dは、ノズル本体部30bにおける吐出パイプ30a寄りの箇所に回転軸AXを有し、回転軸AXを中心に回転可能に設けられる。レバー部30dは、操作者が指を掛けるための指掛かり部30d1と、その非操作時にレバーガード30eと近接する近接部30d2とを含む。
【0023】
指掛かり部30d1は、レバー部30dにおいて、近接部30d2よりも回転軸AXから離れた部分に設けられる。指掛かり部30d1は、レバー部30dの非操作状態において、レバーガード30eとの間に指を差し入れることが可能な程度に離隔されるように配置される。
【0024】
近接部30d2は、レバー部30dにおいて、指掛かり部30d1よりも回転軸AXに近い部分に設けられる。近接部30d2は、レバー部30dの非操作状態において、レバーガード30eの上に近接するように配置される。また、近接部30d2の一部又は全部は、レバーガード30eに当接していてもよい。例えば、図2に示すように、近接部30d2の全体の一部がレバーガード30eと当接し、残りの部分は、レバーガード30eと近接して上下に対向するように配置される。
【0025】
レバーガード30eは、レバー部30dの下方を覆うように設けられる。レバーガード30eは、レバー部30dの非操作状態において、レバー部30dの近接部30d2と当接することにより、レバー部30dを下方から支持すると共に、レバー部30dの回転可能な可動範囲の一端側の基準位置(即ち、図2の状態での下端位置)を規定する。
【0026】
可動部30fは、レバー部30dの近接部30d2の上面と当接し、レバー部30dの操作状態に応じて変化する、近接部30d2の位置に応じて移動する部材である。可動部30fは、レバー部30dの近接部30d2の上面に当接するようにノズル本体部30bから飛び出しており、レバー部30dの近接部30d2がグリップ部30c側(図中のA方向)に引き上げられることでノズル本体部30b側に押し込まれるように移動可能である。可動部30fは、ノズル本体部30bから飛び出した状態からのノズル本体部30b側に押し込まれることにより、ノズル本体部30bの内部の弁機構を操作し、ホース22側と吐出パイプ30a側との間の流路が連通しない状態から連通する状態に移行させる。これにより、ユーザは、レバー部30dの操作によって、給液ノズル30を用いた車両の燃料タンクへの液体燃料の供給を行うことができる。可動部30fのノズル本体部30b側への移動可能な量は予め規定されている。そのため、可動部30fの移動可能な量に応じて、レバー部30dの回転可能な範囲の他端側の基準位置(即ち、図2の状態での上端位置)が規定される。例えば、可動部30fの全てがノズル本体部30bに押し込まれるように移動可能な場合、ノズル本体部30bによって、レバー部30dの回転移動が規制され、その結果、レバー部30dの回転可能な範囲の上端位置が規定される。また、可動部30fの一部がノズル本体部30bから飛び出した状態で可動部30fの移動が停止する場合、移動が停止した状態の可動部30fによって、レバー部30dの回転移動が規制され、その結果、レバー部30dの回転可能な範囲の上端位置が規定される。
【0027】
レバー部30dは、操作者がグリップ部30cを握りながら指の先端部で指掛かり部30d1をグリップ部30c側(図中のA方向)に引き上げる態様で操作される。この際、指掛かり部30d1がA方向に引き上げられると、近接部30d2もA方向に引き上げられ(即ち、A方向側に位置が変位し)、レバーガード30eから離れるように移動すると共に、可動部30fをノズル本体部30b側に押し込む。これにより、給液ノズル30から車両の燃料タンクへの給液が開始される。その後、操作者が指掛かり部30d1に指を掛ける状態を解除したり引き上げる力を弱めたりすると、レバー部30dが操作されていない状態に移行する。具体的には、可動部30fに作用する図示しないバネの付勢力によって、レバー部30dは、レバーガード30e側(図中のB方向)に移動し、近接部30d2はレバーガード30eに当接する。これにより、給液ノズル30から車両の燃料タンクへの給液が停止される。
【0028】
図1に戻り、ノズル掛け32は、筐体10の外面に設けられ、給液ノズル30が所定の姿勢状態で掛けられることにより、非使用状態の給液ノズル30を保持する。
【0029】
ノズルスイッチ34は、ノズル掛け32に設けられ、ノズル掛け32に給液ノズル30が掛けられているか否かを表す信号を出力する。例えば、ノズルスイッチ34は、ノズル掛け32に給液ノズル30が掛けられていない状態でオフ状態にあり、ノズル掛け32に給液ノズル30が掛けられることにより給液ノズル30の所定の箇所と接触しオン状態に切り換わる。ノズルスイッチ34の出力は、1対1の通信線等の所定の通信回線を通じて制御部70に取り込まれる。これにより、制御部70は、ノズルスイッチ34の出力がオン状態を表す信号(ノズルON信号)であるか、オフ状態を表す信号(ノズルOFF信号)であるかによって、ノズル掛け32に給液ノズル30が掛けられた状態であるか否かを判定できる。
【0030】
ポンプ40は、供給経路20に設けられ、制御部70の制御下で、液体燃料を給液ノズル30側に向けて圧送する。
【0031】
流量計50は、供給経路20を通過する液体燃料の流量を計測する。流量計50は、供給経路を通過する液体燃料の流速或いは瞬時流量に比例した計測信号(流量パルス)をパルス発信器52により制御部70に送信する。
【0032】
電磁弁60は、供給経路20に設けられ、制御部70の制御下で、供給経路20の開閉状態を切り換える。
【0033】
制御部70は、給液装置1の稼働に関する制御を行う。
【0034】
制御部70の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。例えば、制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェースを含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(State Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリである。インタフェースは、制御部70の外部との間のやり取りを行う。この場合、制御部70は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。
【0035】
表示部80は、制御部70の制御下で、給液装置1の稼働に関する情報を表示する。他例えば、表示部80は、制御部70の制御下で、車両の燃料タンクへの液体燃料の供給開始から燃料供給量を表示する。
【0036】
操作状態検出部90は、給液ノズル30のレバー部30dの操作状態、具体的には、操作の有無を検出する。操作状態検出部90は、送受信部92と、返信部94とを含む。また、操作状態検出部90は、遮断部96を含んでもよい。
【0037】
送受信部92は、筐体10に設けられ、制御部70の制御下で、返信部94が受信可能な態様の信号を無線により送信し、返信部94から無線により送信される信号を受信する。送受信部92は、筐体10の外面に取り付けられてもよいし、筐体10に内蔵されてもよい。
【0038】
返信部94は、給液ノズル30に設けられ、送受信部92からの信号を受信し、その信号の受信に応じて、送受信部92が受信可能な態様の信号を外部に無線により送信(返信)する。これにより、送受信部92は、返信部94から返信される信号を受信することができる。
【0039】
返信部94は、後述の如く、レバー部30dの操作状態によって、送受信部92からの信号の受信可否に変化が生じるように給液ノズル30に取り付けられる。その結果、返信部94は、レバー部30dの操作状態によって、送受信部92の信号への返信ができる場合とできない場合とは生じうる。よって、操作状態検出部90は、送受信部92による返信部94からの信号の受信状況によって、レバー部30dの操作状態を検出することができる。
【0040】
遮断部96は、レバー部30dの非操作状態において、返信部94が送受信部92からの信号を受信しにくくなるように(例えば、受信することができないように)遮断する。
【0041】
尚、送受信部92の機能は、制御部70に内蔵されてもよい。
【0042】
[操作状態検出部の一例]
次に、引き続き、図2を参照して、操作状態検出部90の一例について説明する。
【0043】
本例では、返信部94は、トランスポンダコイルを含み、トランスポンダコイルが送受信部92から送信される信号を受信することによって、信号のエネルギを利用して起動する。これにより、返信部94は、専用の電源を有することなく、起動することができる。そのため、専用の電源のために必要な防爆構造等を省略することができ、その結果、返信部94を含む給液ノズル30側の構造を簡素化し、コストを抑制することができる。返信部94は、送受信部92から受信される信号に応じて起動すると、送受信部92が受信可能な態様な所定の信号を外部に返信する。これにより、送受信部92は、自身が送信した信号に対する返信部94からの返信の信号を受信することができる。返信部94は、例えば、RF(Radio Frequency)タグ(或いはRFID(Radio Frequency Identification)タグとも称する)である。
【0044】
送受信部92は、返信部94に搭載されるトランスポンダコイルにより受信可能な信号を送信し、返信部94から返信される信号を受信する。送受信部92は、例えば、RFタグに信号を送受信することにより、RFタグのデータの読み取りや書き換えが可能なRFリーダライタである。
【0045】
返信部94は、レバー部30dが操作されていない状態では、給液ノズル30の所定の部材により覆われ、レバー部30dが操作されている状態では、その所定の部材により覆われる状態が解除される。例えば、図2に示すように、返信部94は、表面がレバーガード30e側(下側)に露出するようにレバー部30dの近接部30d2に埋設され、レバー部30dが操作されていない状態で対向するレバーガード30eにより覆われている。そのため、返信部94は、レバー部30dが操作されていない状態では、レバー部30dの近接部に埋設され且つ表面(下面)がレバーガード30eにより覆われることにより、送受信部92からの信号を受信しにくい状態が実現される。一方、レバー部30dが操作されると、レバー部30dと返信部94に対向している部材(例えば、レバーガード30e)との間が離れるようにレバー部30dが移動し、返信部94は、その表面が覆われる状態が解除される。そのため、返信部94は、レバー部30dが操作されている状態では、レバー部30dの表面が露出されることにより、送受信部92からの信号を受信し易い状態が実現される。その結果、返信部94は、レバー部30dが操作されていない場合、送受信部92からの信号を受信できない可能性が高い一方、レバー部30dが操作されている場合、送受信部92からの信号を受信し送受信部92が受信可能な態様の信号を返信できる可能性が高い。よって、制御部70は、例えば、送受信部92から周期的に外部に信号を送信させながら、返信部94から返信される信号の受信状況を監視することによって、レバー部30dの操作の有無を判断することができる。換言すると、操作状態検出部90は、レバー部30dの回転軸AXを中心とする回転位置に応じて返信部94から送信される信号の送受信部92での受信状況からレバー部30dが操作されているか否かを検出することができる。
【0046】
また、例えば、図2に示すように、返信部94の周囲には、遮断部96が設けられてもよい。遮断部96は、例えば、遮断部材97,98の少なくとも一方を含む。
【0047】
遮断部材97は、送受信部92から送信される信号を遮断するための部材である。具体的には、遮断部材97は、送受信部92から送信される信号の電波を減衰させることにより、送受信部92から送信される信号を遮断してよい。例えば、遮断部材97は、銀や銅やニッケルやアルミニウム等の電波の減衰効果が比較的高い金属部材である。遮断部材97は、レバー部30dの近接部30d2に埋設され、返信部94のレバー部30dから露出する表面を除く周囲を取り囲むように配置される。例えば、遮断部材97は、返信部94を表面が露出する態様で嵌め込み可能な形状に形成され、返信部94が嵌め込まれた状態でレバー部30dに埋設される。これにより、遮断部材97は、レバー部30dを通過して返信部94に到達しようとする信号を遮断することができる。そのため、返信部94は、レバー部30dが操作されていない場合に、更に、送受信部92からの信号を受信できない可能性が高くなる。その結果、レバー部30dが操作されている場合と操作されていない場合との間での返信部94から返信される信号の送受信部92による受信状況の変化がより顕著に表れるようになる。よって、制御部70は、レバー部30dの操作の有無をより適切に判断することができる。
【0048】
遮断部材98は、送受信部92から送信される信号を遮断するための部材である。具体的には、遮断部材98は、遮断部材97と同様、送受信部92から送信される信号の電波を減衰させることにより、送受信部92から送信される信号を遮断してよい。例えば、遮断部材98は、遮断部材97と同様、銀や銅やニッケルやアルミニウム等の電波の減衰効果が比較的高い金属部材である。遮断部材98は、給液ノズル30のノズル本体部30bにおいて、レバー部30dが操作されていない状態で返信部94と対向し返信部94の表面を覆っている箇所(例えば、レバーガード30e)に埋設される。これにより、レバー部30dが操作されていない状態において、遮断部材98は、ノズル本体部30bの返信部94と対向している箇所を通過して返信部94に到達しようとする信号を遮断することができる。そのため、返信部94は、レバー部30dが操作されていない場合に、更に、送受信部92からの信号を受信できない可能性が高くなる。その結果、レバー部30dが操作されている場合と操作されていない場合との間での返信部94から返信される信号の送受信部92による受信状況の変化がより顕著に表れるようになる。よって、制御部70は、レバー部30dの操作の有無をより適切に判断することができる。
【0049】
尚、図2において、返信部94は、レバー部30dに代えて、レバー部30dが操作されていない状態でレバー部30dと近接する形で対向しているノズル本体部30bの部材(例えば、レバーガード30e)に表面が露出するように埋設されてもよい。具体的には、図2において、遮断部材98の埋設場所と、返信部94及び遮断部材97の埋設場所とが入れ替えられてもよい。
【0050】
[操作状態検出部の他の例]
次に、操作状態検出部90の他の例について説明する。
【0051】
返信部94は、既知の方法を採用することによって、専用の電源を搭載することなく、レバー部30dの操作状態に応じた信号を外部に送信可能な送信部に置換されてもよい。例えば、返信部94は、レバー部30dの操作に応じて作用する外部からの押圧力により発電し信号を外部に送信可能なリミットスイッチである。この場合、送受信部92は、給液ノズル30に搭載される送信部(リミットスイッチ)から押圧されたことを示す信号を受信可能な受信部に置換される。これにより、制御部70は、筐体10側の受信部によって給液ノズル30側の送信部(リミットスイッチ)からの信号が受信されているか否かによって、レバー部30dの操作の有無を判断することができる。
【0052】
また、操作状態検出部90は、給液ノズル30に設けられ、レバー部30dの操作状態を検出可能な任意のスイッチやセンサであってもよい。この場合、スイッチやセンサの動作に必要な専用の電源が給液ノズル30に設けられ、専用の電源は、防爆の基準に適合するような配置構造が採用される。例えば、操作状態検出部90は、リミットスイッチ、ポテンショメータ、磁気センサ等である。これにより、制御部70は、操作状態検出部90としてのスイッチやセンサの出力に基づき、レバー部30dの操作の有無を判断することができる。この場合、操作状態検出部90の出力は、無線により制御部70に取り込まれてもよいし、ホース22と並列に配置される通信線等の有線により制御部70に取り込まれてもよい。
【0053】
[給液装置の稼働に関する処理]
次に、図3を参照して、給液装置1の稼働に関する処理について説明する。
【0054】
図3は、制御部70による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0055】
尚、本例(図3)は、返信部94が図2で表される場合、具体的には、返信部94がRFタグであり、返信部94の周囲に遮断部材97,98が配置されている場合を前提とする処理を表す。
【0056】
図3は、給液装置1の稼働中において、所定時間ごとに繰り返し実行される。
【0057】
図3に示すように、ステップS102にて、制御部70は、給液許可の有無を判定する。例えば、制御部70は、表示部80の操作画面を通じて自動車の燃料タンクへの給液のために必要な操作がユーザ(操作者)によって実行され全て完了すると給液許可ありと判定する。給液のために必要な操作とは、例えば、給液量、液体燃料の油種、支払い方法等の設定操作である。制御部70は、給液許可ありと判定するとステップS104に進み、それ以外の場合、給液許可ありになるまでステップS102の処理を繰り返す。
【0058】
ステップS104にて、制御部70は、ノズルスイッチ34からノズルOFF信号が受信されているか否かを判定する。制御部70は、ノズルOFF信号が受信されていない、即ち、ノズルON信号が受信されている場合、給液ノズル30がノズル掛け32から外されていないと判断し、ノズルOFF信号が受信されるまでステップS106の処理を繰り返す。一方、制御部70は、ノズルOFF信号が受信されている場合、給液ノズル30がノズル掛け32から外されたと判断し、ステップS106に進む。
【0059】
ステップS106にて、制御部70は、RFリーダライタ(送受信部92)を制御し、RFリーダライタからRFタグ(返信部94)が受信可能な態様の信号を外部に無線により送信させる。
【0060】
ステップS106の処理が完了すると、制御部70は、ステップS108に進む。
【0061】
ステップS108にて、制御部70は、給液ノズル30に搭載されるRFタグからの信号がリーダライタにより受信されたか否かを判定する。制御部70は、RFタグからの信号が受信されていない場合、給液ノズル30のレバー部30dが操作されていないと判断し、ステップS110に進む。一方、制御部70は、RFタグからの信号が受信された場合、給液ノズル30のレバー部30dが操作されていると判断し、ステップS114に進む。
【0062】
尚、制御部70は、送受信部92から時系列で繰り返し信号を送信させ、直近の所定回数の信号の送信に対する返信部94からの信号の返信の信号の受信回数(受信頻度)に応じて、レバー部30dの操作の有無を判断してもよい。
【0063】
ステップS110にて、制御部70は、リーダライタからの信号の送信開始のタイミング、或いは、ノズルOFF信号の受信のタイミングから所定時間T1が経過したか否かを判定する。制御部70は、所定時間T1が経過している場合、ステップS112に進み、経過していない場合、ステップS108に戻る。
【0064】
ステップS112にて、制御部70は、表示部80や表示部80に併設されるスピーカ等を通じて、給液ノズル30のレバー部30dの操作を促す報知をユーザ(操作者)に対して行う。
【0065】
これにより、制御部70は、給液ノズル30がノズル掛け32から外されてからある程度の時間が経過しているにも関わらず、給液が開始されない場合に、給液のためのレバー部30dの操作を促すことができる。
【0066】
ステップS112の処理が完了すると、制御部70は、ステップS108に戻る。
【0067】
一方、ステップS114にて、制御部70は、ポンプ40に駆動信号を送信することにより、ポンプ40の稼働を開始させる。
【0068】
これにより、制御部70は、給液ノズル30のレバー部30dの操作をトリガにして、ポンプ40の稼働を開始させることができる。
【0069】
ステップS114の処理が完了すると、制御部70は、ステップS116に進む。
【0070】
ステップS116にて、制御部70は、RFリーダライタを制御し、RFリーダライタから信号を外部に送信させる。
【0071】
ステップS116の処理が完了すると、制御部70は、ステップS118に進む。
【0072】
ステップS118にて、制御部70は、給液ノズル30に搭載されるRFタグからの信号がリーダライタから受信されたか否かを判定する。制御部70は、RFタグからの信号が受信された場合、給液ノズル30のレバー部30dの操作が継続している判断し、ステップS116に戻る。一方、制御部70は、RFタグからの信号が受信されていない場合、給液ノズル30のレバー部30dの操作が終了したと判断し、ステップS120に進む。
【0073】
ステップS120にて、制御部70は、RFタグからの信号が受信される状態から受信されない状態に移行してから所定時間T2が経過したか否かを判定する。制御部70は、所定時間T2が経過していない場合、給液が再開される可能性があると判断し、ステップS116に戻り、経過している場合、給液が終了したと判断し、ステップS122に進む。所定時間T2は、例えば、給液の途中でユーザ(操作者)が給液ノズル30のグリップ部30cを握り直してレバー部30dの操作を再開するような状況やレバー部30dの操作を断続的に行い少しずつ追加の給液を行うような状況を想定して予め規定される。
【0074】
ステップS122にて、制御部70は、ポンプ40に停止信号を送信することにより、ポンプ40の稼働を停止させる。
【0075】
これにより、制御部70は、給液ノズル30を用いた車両の燃料タンクへの給液の終了をトリガにして、ポンプの稼働を停止させることができる。
【0076】
ステップS122の処理が完了すると、制御部70は、ステップS124に進む。
【0077】
ステップS124にて、ノズルスイッチ34からノズルON信号が受信されているか否かを判定する。制御部70は、ノズルON信号が受信されていない、即ち、ノズルOFF信号が受信されている場合、給液ノズル30がノズル掛け32に掛けられていない(即ち、戻されていない)と判断し、ノズルON信号が受信されるまでステップS124の処理を繰り返す。一方、制御部70は、ノズルON信号が受信されている場合、給液ノズル30がノズル掛け32に掛けられた(即ち、戻された)と判断し、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0078】
尚、制御部70は、レバー部30dの操作の終了に応じて、ポンプ40を停止させ、レバー部30dの操作が再開されたらポンプ40を再起動させるようにしてもよい。この場合、ステップS120の処理が省略され、ステップS122の処理の後に、ステップS106,S108と同様の処理が追加されてよい。そして、ステップS124の条件が成立する前に、追加した処理でRFタグから信号が受信されたと判定されると、ステップS114に戻るフローが採用されてよい。
【0079】
このように、本例では、制御部70は、送受信部92による返信部94からの返信の信号の受信状況に応じて、レバー部30dの操作の有無を判断し、レバー部30dの操作開始に応じて、ポンプ40の稼働を開始させる。また、本例では、制御部70は、レバー部30dの操作停止に応じて、ポンプ40の稼働を停止させる。
【0080】
例えば、給液ノズル30の内部の弁と弁座との間への異物の混入や弁自体の作動不良等によって、給液ノズル30の内部の弁が閉弁しない状況に陥る可能性がある。この場合、例えば、ノズルOFF信号の受信時等のレバー部30dの操作開始前のタイミングで、ポンプ40の稼働が開始されると、ユーザ(操作者)の意図に依らず、給液ノズル30から液体燃料が流出してしまう可能性がある。また、例えば、ノズルON信号の受信時等のレバー部30dの操作終了後に吐出パイプ30aが給液口から抜き出されたタイミングで、ポンプ40の稼働が停止されると、ユーザの意図に依らず、給液ノズル30から液体燃料が流出してしまう可能性がある。
【0081】
これに対して、本例では、制御部70は、レバー部30dの操作開始を確認した上で、ポンプ40の稼働を開始させることで、仮に、給液ノズル30の内部の弁が閉弁していなくとも、吐出パイプ30aの給液口への挿入前に液体燃料が流出する事態を抑制できる。また、本例では、制御部70は、レバー部30dの操作終了を確認した上で、所定時間T2の経過後にポンプ40の稼働を停止させることで、仮に、給液ノズル30の内部の弁が閉弁していなくても、給液口からの吐出パイプ30aの抜き出し後に液体燃料が流出する事態を抑制できる。そのため、制御部70は、ユーザ(操作者)の意図に依らず、給液ノズル30から液体燃料が流出してしまうような事態を抑制することができる。
【0082】
[作用]
次に、本実施形態に係る給液装置の作用について説明する。
【0083】
本実施形態の第1の態様では、給液装置は、供給経路と、ホースと、給液ノズルと、ポンプと、検出部と、制御部と、を備える。給液装置は、例えば、上述の給液装置1である。供給経路は、例えば、上述の供給経路20である。ホースは、例えば、上述のホース22である。給液ノズルは、例えば、上述の給液ノズル30である。ポンプは、例えば、上述のポンプ40である。検出部は、例えば、上述の操作状態検出部90である。制御部は、例えば、上述の制御部70である。具体的には、供給経路は、供給対象に液体を送るために設けられる。供給対象は、例えば、車両の燃料タンクである。また、ホースは、供給経路から延びるように設けられる。また、給液ノズルは、ホースの先端に設けられ、レバー部が操作されることにより供給経路を通じて供給される液体を供給対象に向けて吐出可能である。また、ポンプは、供給経路を通じて給液ノズル側に液体を送る。また、検出部は、給液ノズルに設けられ、レバー部の操作状態を検出する。レバー部は、例えば、レバー部30dである。そして、制御部は、検出部の検出結果に基づきレバー部が操作されているか否かを判定し、その判定結果に基づきポンプの起動又は停止を行う。
【0084】
これにより、給液装置は、給液ノズルのレバー部の操作の開始に応じて、ポンプを起動させたり、レバー部の操作の終了に応じて、ポンプを停止させたりすることができる。そのため、給液装置は、操作者の意図に依らず、給液ノズル30から液体燃料が流出してしまうような事態を抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態の第2の態様では、上述の第1の態様を前提として、給液装置は、供給経路、ポンプ、及び制御部を搭載される本体部を備えてもよい。本体部は、例えば、上述の筐体10である。また、検出部は、本体部に搭載され、信号を送受信する送受信部と、給液ノズルに搭載され、送受信部から信号を受信すると、無線により信号を返信する返信部とを含んでもよい。送受信部は、例えば、上述の送受信部92である。返信部は、例えば、上述の返信部94である。より具体的には、送受信部は、信号を本体部の周囲に無線により送信し、送信した信号に応じて検出部から無線により返信される信号を受信してもよい。そして、返信部は、送受信部からの信号の受信可否がレバー部の操作状態に応じて変化するように給液ノズルに設けられ、送受信部から信号を受信すると、無線により信号を返信してもよい。
【0086】
これにより、検出部は、送受信部による返信部から返信される信号の受信状況によって、レバー部の操作状態を検出することができる。
【0087】
また、本実施形態では、給液ノズルにおける返信部の周囲に設けられ、レバー部が操作されていない状態で送受信部からの信号を返信部が受信しにくくなるように(好ましくは、受信できないように)遮断する遮断部を備えもよい。遮断部は、例えば、遮断部96である。
【0088】
これにより、返信部は、レバー部が操作されていない状態での送受信部からの信号の受信の可能性が低くなる一方、レバー部が操作されている状態での送受信部からの信号の受信の可能性が高くなる。そのため、制御部は、送受信部による返信部からの信号の受信がある場合、或いは、その受信の成功率が高い場合に、レバー部が操作されており、送受信部による返信部からの信号の受信がない場合、或いは、その受信の成功率が低い場合に、レバー部が操作されていないと判断することができる。
【0089】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 給液装置
10 筐体
20 供給経路
22 ホース
30 給液ノズル
30a 吐出パイプ
30b ノズル本体部
30c グリップ部
30d レバー部
30d1 指掛かり部
30d2 近接部
30e レバーガード
30f 可動部
32 ノズル掛け
34 ノズルスイッチ
40 ポンプ
70 制御部
90 操作状態検出部
92 送受信部
94 返信部
96 遮断部
97,98 遮断部材
図1
図2
図3