(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025059869
(43)【公開日】2025-04-10
(54)【発明の名称】コリオリ式流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20250403BHJP
【FI】
G01F1/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170225
(22)【出願日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 智国
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035AA06
2F035JA02
(57)【要約】
【課題】マニホールドと一対のセンサチューブのそれぞれとの溶接部同士の重なりを抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る振動式測定装置1は、マニホールド50と、マニホールド50に溶接により接合され、被測定流体が通流するセンサチューブ52,53と、センサチューブ52,53を互いに近づける方向及び離れる方向に振動させる加振器54と、センサチューブ52,53において、加振器54により加振される箇所の上流側及び下流側に設けられ、センサチューブ52,53の相対変位に応じた信号を出力する振動ピックアップ55、56と、を備え、マニホールド50は、センサチューブ52が挿入される孔部504と、センサチューブ53が挿入される孔部505と、を有し、孔部504が設けられる表面部508aと孔部505が設けられる表面部508bとが孔部504と孔部505との間で溝部509により離隔されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体の入口及び出口の少なくとも一方が設けられるマニホールドと、
前記マニホールドに溶接により接合され、前記被測定流体が通流する一対のセンサチューブと、
前記一対のセンサチューブを互いに近づける方向及び離れる方向に振動させる励振部と、
前記一対のセンサチューブにおいて、前記励振部により加振される箇所の上流側及び下流側に設けられ、前記一対のセンサチューブの相対変位に応じた信号を出力する振動センサと、を備え、
前記マニホールドは、前記一対のセンサチューブの一方が挿入される第1の孔部と、他方が挿入される第2の孔部と、を有し、前記第1の孔部が設けられる第1の表面部と前記第2の孔部が設けられる第2の表面部とが前記第1の孔部と前記第2の孔部との間で離隔されている、
コリオリ式流量計。
【請求項2】
前記第1の孔部と前記第2の孔部との間を横切るように第1の溝部が形成されている、
請求項1に記載のコリオリ式流量計。
【請求項3】
前記第1の表面部及び前記第2の表面部を囲むように第2の溝部が形成されている、
請求項2に記載のコリオリ式流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コリオリ式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対のセンサチューブを相互に振動させ、一対のセンサチューブの相対変位を振動センサで検出することで、その相対変位から一対のセンサチューブ内を流れる流体の質量流量を測定するコリオリ式流量計が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一対のセンサチューブは、流体の出入口が設けられるマニホールドの孔部に挿入され溶接によってマニホールドに連結される場合がある。この場合、一対のセンサチューブの溶接部同士が重なる可能性がある。そのため、例えば、質量流量の測定対象が高圧ガスである場合に、溶接部同士の重なりの箇所がクラックの起点となる可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、マニホールドと一対のセンサチューブのそれぞれとの溶接部同士の重なりを抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
被測定流体の入口及び出口の少なくとも一方が設けられるマニホールドと、
前記マニホールドに溶接により接合され、前記被測定流体が通流する一対のセンサチューブと、
前記一対のセンサチューブを互いに近づける方向及び離れる方向に振動させる励振部と、
前記一対のセンサチューブにおいて、前記励振部により加振される箇所の上流側及び下流側に設けられ、前記一対のセンサチューブの相対変位に応じた信号を出力する振動センサと、を備え、
前記マニホールドは、前記一対のセンサチューブの一方が挿入される第1の孔部と、他方が挿入される第2の孔部と、を有し、前記第1の孔部が設けられる第1の表面部と前記第2の孔部が設けられる第2の表面部とが前記第1の孔部と前記第2の孔部との間で離隔されている、
コリオリ式流量計が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、マニホールドと一対のセンサチューブのそれぞれとの溶接部同士の重なりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】比較例に係るマニホールドとセンサチューブとの溶接の実験結果を示す図である。
【
図7】実施形態に係るマニホールドとセンサチューブとの溶接の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0010】
[振動式測定装置の構成]
図1、
図2を参照して、本実施形態に係る振動式測定装置1について説明する。
【0011】
図1は、振動式測定装置1の一例を示す図である。具体的には、
図1は、振動式測定装置1の一例を示す正面図であり、
図2は、振動式測定装置1の一例を示す側面図である。
【0012】
以下、本実施形態では、
図1、
図2に示す方向(前後左右上下の方向)を便宜的に用いて説明を行う場合がある。
【0013】
振動式測定装置1は、被測定流体の密度を測定する振動式密度計や、測定結果の密度を利用して被測定流体の質量流量を測定するコリオリ式質量流量計として用いられる。振動式密度計とコリオリ式質量流量計とは、構成が同じであるため、本例では、コリオリ式質量流量計として利用される場合について説明する。
【0014】
振動式測定装置1(コリオリ式質量流量計)は、例えば、自動車の燃料タンクに所定のガスを供給するガス供給ステーション等に設置されるガス供給装置に内蔵され、ガス供給装置から自動車の燃料タンクに供給されるガスの質量流量を計測する。被測定流体としての所定のガスは、例えば、都市ガスを所定の圧力に圧縮した圧縮天然ガス(CNG:Compressed Natural Gas)や高圧の水素ガス等である。
【0015】
図1、
図2に示すように、振動式測定装置1は、マニホールド50,51と、一対のセンサチューブ52,53と、加振器54と、振動ピックアップ55,56と、温度センサ57と、制御回路60とを含む。
【0016】
マニホールド50は、金属製であり、被測定流体の流入部50aが設けられる。同様に、マニホールド51は、金属製であり、被測定流体の流出部51aが設けられる。
【0017】
センサチューブ52,53は、金属製であり、マニホールド50,51の上面に接続される。
【0018】
センサチューブ52は、マニホールド50から上方に延びる管路部52aと、マニホールド51から上方に延びる管路部52bと、管路部52a,52bの先端に接続され、曲線形状(円弧形状)を有する管路部52cとを含む逆U字形状を有する。
【0019】
同様に、センサチューブ53は、マニホールド50から上方に延びる管路部53aと、マニホールド51から上方に延びる管路部53bと、管路部53a,53bの先端に接続され、曲線形状(円弧形状)を有する管路部53cとを含む逆U字形状を有する。
【0020】
センサチューブ52,53の管路部52a,53aの基端がマニホールド50の流入部50aに連通され、センサチューブ52,53における管路部52b,53bがマニホールド51の流出部51aに連通される。これにより、流入部50aから流入する被測定流体は、センサチューブ52,53を通過して流出部51aより外部に流出する。
【0021】
加振器54は、センサチューブ52,53における円弧状の管路部52c,53c間に取り付けられる。センサチューブ52の先端に取り付けられる励振コイル54aと、センサチューブ53の先端に取り付けられるマグネット54bとを含む。加振器54は、制御回路60の制御下で、センサチューブ52,53を相互に近づく方向及び離れる方向に振動させる。
【0022】
具体的には、加振器54は、励振コイル54aに正負のある交番電圧(交流信号)が印加されて生じる磁界に対してマグネット54bが吸引或いは反発することで、センサチューブ52の管路部52cを水平方向(具体的には、前後方向)に振動させる。一方、センサチューブ53には、その反力として同じ大きさの力が働き、センサチューブ53は、反対方向に振動する。
【0023】
振動ピックアップ55は、センサチューブ52,53における加振器54により加振される箇所よりも被測定流体の上流側(流入側)に設けられ、被測定流体の流入側におけるセンサチューブ52,53の相対的な振動状態を計測(検出)する。振動ピックアップ55は、例えば、変位検出器に相当し、センサチューブ52,53の流入側における相対変位を検出信号として検出する。振動ピックアップ55は、センサチューブ52に取り付けられるセンサコイル55aと、センサチューブ53に取り付けられるマグネット55bとを含む。振動ピックアップ55(センサコイル55a)により検出された検出信号は、制御回路60に入力される。
【0024】
振動ピックアップ55は、そのセンサコイル55a及びマグネット55bが流入側のセンサチューブ52及びセンサチューブ53の振動と共に近づいたり離れたりする。そのため、センサコイル55aからは、被測定流体の流入側におけるセンサコイル55aとマグネット55bの変位量(変位速度)に応じて生じる起電力が検出信号として出力される。
【0025】
振動ピックアップ56は、センサチューブ52,53における加振器54により加振される箇所よりも被測定流体の下流側(流出側)に設けられ、被測定流体の流出側におけるセンサチューブ52,53の振動状態を計測(検出)する。振動ピックアップ56は、例えば、変位検出器に相当し、センサチューブ52,53の流出側における相対変位を検出する。振動ピックアップ56は、センサチューブ52に取り付けられるセンサコイル56aと、センサチューブ53に取り付けられるマグネット56bとを含む。振動ピックアップ56(センサコイル56a)により検出される検出信号は、制御回路60に入力される。
【0026】
振動ピックアップ56は、振動ピックアップ55と同様、センサコイル56a及びマグネット56bが被測定流体の流出側のセンサチューブ52,53の振動と共に、近づいたり離れたりする。そのため、センサコイル56aからは、被測定流体の流出側におけるセンサコイル56aとマグネット56bの変位量(変位速度)に応じて生じる起電力が検出信号として出力される。
【0027】
例えば、
図1に示すように、加振器54、振動ピックアップ55、及び振動ピックアップ56は、正面(前)から見て、センサチューブ52,53の中間位置を横切る縦線に対して対称に配置される。また、振動ピックアップ55、振動ピックアップ56は、加振器54を中心に対称に配置される。
【0028】
温度センサ57は、センサチューブ52,53の流入側の管路部52a,53a或いはマニホールド50の流入部50a付近の温度を測定する。
【0029】
尚、温度センサ57は、省略されてもよい。
【0030】
制御回路60は、振動式測定装置1に関する制御を行う。制御回路60の機能は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、制御回路60は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。
【0031】
例えば、制御回路60は、加振器54に交流信号を印加し、加振器54を加振させる制御を行う。
【0032】
また、制御回路60は、振動ピックアップ55,56から取り込まれる検出信号に基づき、センサチューブ52,53を通流する被測定流体の密度及び質量流量を測定(演算)してもよい。
【0033】
[マニホールドの構成]
次に、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係る振動式測定装置1のマニホールド50,51の構成について説明する。
【0034】
図3は、マニホールド50の一例を示す斜視図である。
図4は、マニホールド50の一例を示す上面図である。
図5は、マニホールド50の一例を示す断面図である。具体的には、
図5は、
図4のA-A線の断面図である。
【0035】
以下、本例では、マニホールド50,51は、同じ構成を有することから、マニホールド50の構成を中心に説明を行い、マニホールド51の構成の説明の一部を省略する場合がある。
【0036】
図3~
図5に示すように、マニホールド50は、本体部501と、フランジ部502とを含む。
【0037】
本体部501には、外部から被測定流体が流入する。本体部501は、例えば、円柱形状を有する。また、本体部501は、円柱形状を基本として、軸方向の一部の外径が縮径されていてもよい。
【0038】
尚、マニホールド51における本体部501に相当する構成部は、外部に被測定流体を流出させる。
【0039】
フランジ部502は、本体部501の上端に設けられ、センサチューブ52,53の管路部52a,53aが挿入され溶接により連結(固定)される。フランジ部502は、例えば、円板形状を有する。また、フランジ部502は、上面視で、円板形状の一部が2本の平行な弦により切り欠かれた形状を有していてもよい。
【0040】
尚、マニホールド51におけるフランジ部502に相当する構成部には、センサチューブ52,53の管路部52b,53bが挿入され溶接により連結(固定)される。
【0041】
マニホールド50には、孔部503~505と、接続部506と、溝部507と、表面部508と、溝部509とを含む。
【0042】
孔部503は、本体部501の下端面を起点として上向きに延びるように設けられる。孔部503には、図示しない管路が連結され、外部から被測定流体が流入する。
【0043】
孔部504は、フランジ部502の上面を起点として下向きに延びるように設けられる。孔部504には、センサチューブ52の管路部52aの基端部が上から挿入されている。
【0044】
孔部505は、孔部504と同様、フランジ部502の上面を起点として下向きに延びるように設けられる。孔部505には、センサチューブ53の管路部53aの基端部が上から挿入されている。
【0045】
孔部504,505は、フランジ部502の上面において、前後に隣り合うように設けられる。例えば、孔部504,505は、上面視で、フランジ部502の外周の円孤の中心を基準として対称になるように前後に隣り合う。
【0046】
接続部506は、孔部503の上端と、孔部504,505の下端との間に上下に隣接して配置され、孔部503と孔部504,505とを流路として接続するための空間である。接続部506は、例えば、円柱状の空間である。
【0047】
孔部503~505及び接続部506によって、流入部50aが構成される。
【0048】
尚、マニホールド51では、孔部503~505及び接続部506に相当する構成群によって、流出部51aが構成される。
【0049】
溝部507は、フランジ部502の上面において、孔部504,505を全周に亘って囲むように形成される。例えば、溝部507は、上面視で、孔部504を中心とする円弧状の溝部と孔部505を中心とする円弧状の溝部との組み合わせにより構成される。
【0050】
表面部508は、フランジ部502の上面において、孔部504,505が設けられる部分であり、フランジ部502の上面のうちの溝部507よりも内側の部分に相当する。
【0051】
溝部509は、フランジ部502の上面において、孔部504と孔部505との間を横切るように設けられる。例えば、溝部509は、上面視で、溝部507における孔部504を中心とする円弧状の溝部と孔部505を中心とする円弧状の溝部との2か所の接続部同士を左右に繋ぐように形成される。
【0052】
尚、溝部509の深さは、溝部507と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0053】
溝部509によって、表面部508は、孔部504が設けられる表面部508aと、孔部505が設けられる508bとに前後で分離される。
【0054】
[マニホールドとセンサチューブとの溶接部]
次に、
図3~
図5に加えて、
図6、
図7を参照して、マニホールド50とセンサチューブ52,53との溶接により形成される溶接部WD1,WD2について説明する。
【0055】
図6は、比較例に係るマニホールドとセンサチューブとの溶接の実験結果を示す図である。具体的には、マニホールド50から溝部509が省略された形態の比較例に係るマニホールドとセンサチューブとの溶接の実験結果を示す図である。
図7は、実施形態に係るマニホールド50とセンサチューブ52,53との溶接の実験結果を示す図である。
【0056】
尚、上述の如く、マニホールド50,51は、同じ構成を有することから、マニホールド50とセンサチューブ52,53との溶接部についての説明を省略する。
【0057】
図5に示すように、表面部508aにおけるセンサチューブ52の管路部52aの全周に亘る周囲の部分には、マニホールド50と管路部52aとを接合する溶接部WD1が形成されている。同様に、表面部508bにおけるセンサチューブ53の管路部53aの全周に亘る周囲の部分には、マニホールド50と管路部53aとを接合する溶接部WD2が形成されている。
【0058】
例えば、溝部507は、フランジ部502の上面における孔部504との距離が溶接部WD1の想定される脚長よりも大きくなるように設定される。同様に、溝部507は、フランジ部502の上面における孔部505との距離が溶接部WD2の想定される脚長よりも大きくなるように設定されてよい。
【0059】
例えば、
図6に示すように、溝部509が設けられない場合、孔部504と孔部505との間の表面部508において、孔部504側の溶接部WD1と孔部505側の溶接部WD2とに重なりが生じる場合がある(図中の破線の丸枠参照)。この場合、溶接部WD1,WD2同士の重なり箇所がクラックの起点となる可能性がある。特に、被測定流体が上述の高圧ガスである場合、その可能性が非常に高くなり、その結果、高圧ガスに対応できなくなる可能性がある。
【0060】
また、センサチューブ52,53同士の距離を広く確保することによって、孔部504側の溶接部WD1と孔部505側の溶接部WD2との重なりを抑制することも可能である。しかしながら、この場合、センサチューブ52,53の双方に取り付けられる形で設置される加振器54や振動ピックアップ55,56が大型化し、質量増加を招来する可能性がある。そのため、センサチューブ52,53に対する付加的な質量の増加によって、加振器54によるセンサチューブ52,53の振動が不安定になる可能性あり、その結果、被測定流体の密度や質量流量の測定結果の精度が低下する可能性がある。
【0061】
これに対して、
図7に示すように、溝部509が設けられる場合、孔部504,505の距離を広げることなく、孔部504側の溶接部WD1は、表面部508aの中に収まっており、孔部505側の溶接部WD2は、表面部508bの中に収まっている。
【0062】
このように、本例では、表面部508aと表面部508bとが離隔される。これにより、センサチューブ52,53の距離を広げることなく、孔部504側の溶接部WD1と孔部505側の溶接部WD2との間の重なりを抑制することができる。
【0063】
また、本例では、溝部509が設けられる。これにより、マニホールド50の熱容量を小さくすることができる。そのため、センサチューブ52,53とマニホールド50との間の溶接時に必要な入熱量を低減することができる。よって、例えば、溶接時のセンサチューブ52,53の内部へ金属の溶け込み等の発生を抑制することができる.
【0064】
[他の実施形態]
次に、他の実施形態に係る振動式測定装置1について説明する。
【0065】
上述の実施形態に係る振動式測定装置1には、適宜、変形や変更が加えられてもよい。
【0066】
例えば、上述の実施形態において、マニホールド50,51は、一体化されていてもよい。換言すれば、マニホールド50,51に代えて、被測定流体の流入部50a及び流出部51aの双方を有するマニホールドが設けられてもよい。
【0067】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例において、孔部504と孔部505との間に溝部509が横切るように設けられる方法とは別の方法で、孔部504が設けられる表面部508aと孔部505が設けられる表面部508bとが離隔されてもよい。例えば、表面部508a及び表面部508bがフランジ部502の上端の基本面よりも突出するように形成されることにより、表面部508a,508bのそれぞれが離隔された島状の構造が実現される。また、溝部509に代えて、表面部508a及び表面部508bの間の同様の位置に上方に突出する壁部が設けられることにより、表面部508a及び表面部508bが離隔されてもよい。
【0068】
また、上述の実施形態やその変形・変更の例において、孔部504が設けられる表面部508aと、孔部505が設けられる表面部508bとは、孔部504,505の間で隔離されている限り、他の部分で繋がっていてもよい。例えば、孔部504,505が対向する方向と直交する方向において、溝部509は、孔部504,505が存在する範囲のみに設けられ、それ以外の範囲では、表面部508a,508bとが繋がっていてもよい。
【0069】
[作用]
次に、本実施形態に係るコリオリ式流量計の作用について説明する。
【0070】
本実施形態では、コリオリ式流量計は、マニホールドと、一対のセンサチューブと、励振部と、振動センサと、を備える。コリオリ式流量計は、例えば、上述の振動式測定装置1である。マニホールドは、例えば、上述のマニホールド50,51である。一対のセンサチューブは、例えば、上述のセンサチューブ52,53である。励振部は、例えば、上述の加振器54である。振動センサは、例えば、上述の振動ピックアップ55,56である。具体的には、マニホールドには、被測定流体の入口及び出口の少なくとも一方が設けられる。被測定流体は、例えば、上述のCNGや水素ガス等の高圧ガスである。入口及び出口は、例えば、上述の流入部50a及び流出部51aである。また、一対のセンサチューブは、マニホールドに溶接により接合され、被測定流体が通流する。また、励振部は、一対のセンサチューブを互いに近づける方向及び離れる方向に振動させる。また、振動センサは、一対のセンサチューブにおいて、励振部により加振される箇所の上流側及び下流側に設けられ、一対のセンサチューブの相対変位に応じた信号を出力する。そして、マニホールドは、一対のセンサチューブの一方が挿入される第1の孔部と、他方が挿入される第2の孔部と、を有し、第1の孔部が設けられる第1の表面部と第2の孔部が設けられる第2の表面部とが第1の孔部と第2の孔部との間で離隔されている。第1の孔部及び第2の孔部は、例えば、上述の孔部504,505である。第1の表面部及び第2の表面部は、例えば、上述の表面部508a,508bである。
【0071】
これにより、第1の表面部に形成される、一方のセンサチューブとマニホールドとの間の溶接部と、第2の表面部に形成される、他方のセンサチューブとマニホールドとの間の溶接部とが重なりにくくなる。そのため、マニホールドと一対のセンサチューブのそれぞれとの溶接部同士の重なりを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態では、第1の孔部と第2の孔部との間を横切るように第1の溝部が形成されていてもよい。第1の溝部は、例えば、溝部509である。
【0073】
これにより、第1の溝部によって、第1の表面部と第2の表面部とを離隔することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第1の表面部及び第2の表面部を囲むように第2の溝部が形成されていてもよい。第2の溝部は、例えば、上述の溝部507である。
【0075】
これにより、マニホールドの熱容量を小さくすることができる。そのため、一対のセンサチューブとマニホールドとの間の溶接時に必要な入熱量を低減することができる。よって、例えば、溶接時のセンサチューブの内部へ金属の溶け込み等の発生を抑制することができる。
【0076】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 振動式測定装置
50 マニホールド
50a 流入部
51 マニホールド
51a 流出部
52 センサチューブ
52a,52b,52c 管路部
53 センサチューブ
53a,53b,53c 管路部
54 加振器
54b マグネット
55,56 振動ピックアップ
501 本体部
502 フランジ部
503 孔部
504 孔部
507 溝部
508 表面部
508a,508b 表面部
509 溝部
WD1,WD2 溶接部