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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025006321
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/687 20060101AFI20250109BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
H03K17/687 A
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023107034
(22)【出願日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高津 裕史
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB08
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH01
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5J055AX08
5J055AX64
5J055BX16
5J055DX13
5J055DX14
5J055DX22
5J055DX56
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY12
5J055EY21
5J055EZ04
5J055EZ20
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】出力電圧のスルーレートを向上させることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、外部から入力される電源電圧VDDよりゲート-ソース間の耐圧が低いローサイドドライバM0と、電源電圧VDDより低い第1電圧V1を出力する電源回路11と、第1電圧V1を電源としてローサイドドライバM0のゲートを駆動する第1回路と、電源電圧VDDが供給される電源電圧ノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給する第2回路とを具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される電源電圧よりゲート-ソース間の耐圧が低い第1トランジスタと、
前記電源電圧より低い第1電圧を出力する第1電源回路と、
前記第1電圧を電源として前記第1トランジスタのゲートを駆動する第1回路と、
前記電源電圧が供給される電源電圧ノードから前記第1トランジスタのゲートに第1電流を供給する第2回路と、
を具備する半導体装置。
【請求項2】
前記第2回路による第1電流の供給は、前記第1回路による前記第1トランジスタのゲートへの前記第1電圧の供給と並行して第1の期間、実行される請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2回路は、
前記第1トランジスタのゲートの電圧が前記第1電圧に達するまで、前記電源電圧ノードから前記第1トランジスタのゲートに前記第1電流を供給し、
前記第1トランジスタの前記ゲートの電圧が前記第1電圧に達したら、前記電源電圧ノードから前記第1トランジスタのゲートへの前記第1電流の供給を停止する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2回路は、
前記電源電圧ノードと前記第1トランジスタのゲートとの間に接続された第2トランジスタ、及び前記電源電圧ノードと接地電圧が供給される接地電圧ノードとの間に接続された第3トランジスタを有するカレントミラー回路と、
前記第3トランジスタと前記接地電圧ノードとの間に接続された第4トランジスタと、
を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2回路は、前記第1トランジスタのゲートに入力端が接続され、前記第4トランジスタのゲートに出力端が接続され、前記第1トランジスタのゲートの電圧に応じて、前記第4トランジスタのゲートに第1信号を供給する第3回路を備える請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3回路は、
前記第1トランジスタの前記ゲートの電圧が前記第1電圧より低いとき、前記第4トランジスタをオン状態に設定する前記第1信号を供給し、
前記第1トランジスタの前記ゲートの電圧が前記第1電圧以上であるとき、前記第4トランジスタをオフ状態に設定する前記第1信号を供給する請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2回路は、前記電源電圧ノードと前記第1トランジスタのゲートとの間に、互いに並列に接続されたトランジスタ、抵抗素子、及び容量素子を備える請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1トランジスタのゲートと、接地電圧が供給される接地電圧ノードとの間に接続され、前記第1トランジスタのゲートの電圧を前記第1電圧の電圧レベルに制限する保護回路をさらに具備する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
第2信号を受信し、第2信号に応じた第3信号を送信する送信回路と、
前記送信回路と電気的に絶縁され、前記第3信号を受け取り、前記第3信号に応じた第4信号を生成する受信回路と、
をさらに具備し、
前記第1回路及び前記第2回路は、前記第4信号を受け取り、前記第4信号に基づいて動作する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記電源電圧よりソース-ゲート間の耐圧が低い第5トランジスタと、
前記電源電圧より低い第2電圧を出力する第2電源回路と、
前記電源電圧と前記第2電源回路から出力される前記第2電圧とを電源として、前記第5トランジスタのゲートを駆動する第4回路と、
前記第5トランジスタのゲートから接地電圧が供給される接地電圧ノードに第2電流を供給する第5回路と、
をさらに具備する請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第5回路は、
前記第5トランジスタのゲートの電圧が前記第2電圧に達するまで、前記第5トランジスタのゲートから前記接地電圧ノードに前記第2電流を供給し、
前記第5トランジスタの前記ゲートの電圧が前記第2電圧に達したら、前記第5トランジスタのゲートから前記接地電圧ノードへの前記第2電流の供給を停止する請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第5回路は、
前記第5トランジスタのゲートと前記接地電圧ノードとの間に接続された第6トランジスタと、
前記第6トランジスタと前記接地電圧ノードとの間に接続された抵抗素子と、
を備える請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第5回路は、前記第5トランジスタのゲートに入力端が接続され、前記第6トランジスタのゲートに出力端が接続され、前記第5トランジスタの前記ゲートの電圧に応じて、前記第6トランジスタのゲートに第2信号を供給する第6回路を備える請求項12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧制御型のトランジスタ、例えば、MOS型電界効果トランジスタ、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタのゲートを駆動するゲートドライバが知られている。
【0003】
例えば、電源電圧(例えば、15~40V)より低いゲート耐圧をもつ出力素子には低電圧(例えば、5Vあるいは3V)の内部電源回路(LDO:Low drop out)が必要である。電源電圧を出力素子のゲートに直接加えることができないため、一般的にゲート耐圧以下の内部電源回路を介して出力素子のゲートに駆動電流を加える必要があり、ゲートに印加される駆動電流は内部電源回路の能力に依存する。
【0004】
一方、安価で、単機能及び高速の外部素子駆動用のゲートドライバ装置(出力素子)においては、出力側の端子は電源端子、接地端子および駆動用出力端子の構成の場合が多く、外付け容量を付加することができない。
【0005】
その場合、出力素子の高速駆動に必要な前段のトランジスタ(プリドライバ)の瞬時的な駆動電流を確保するためには、プリドライバの電源となる内部電源回路の出力に設置される容量を大きくする(内部容量の追加)必要がある。このため、内部電源回路の面積の肥大化と高速駆動がトレードオフの関係にあり、チップ面積を増大させる要因といえる。
【0006】
低いゲート耐圧の出力素子は電流駆動能力が高く、大電流のオン動作及びオフ動作に向いている。しかし、このようにゲート耐圧以下の内部電源回路を介して出力素子のゲートに駆動電流を加える必要があり、要求されるチップサイズ以下にする必要から内部電源回路の能力を抑えると出力素子の電流駆動能力を十分に発揮させることが出来ず、スルーレートを短く、すなわち向上させることができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5794195号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出力電圧のスルーレートを向上させることができる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の半導体装置は、外部から入力される電源電圧よりゲート-ソース間の耐圧が低い第1トランジスタと、前記電源電圧より低い第1電圧を出力する第1電源回路と、前記第1電圧を電源として前記第1トランジスタのゲートを駆動する第1回路と、前記電源電圧が供給される電源電圧ノードから前記第1トランジスタのゲートに第1電流を供給する第2回路とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面に対しては
図1】第1実施形態に係る半導体装置の構成の概要を示す回路図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。
図3】第1実施形態に係る半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係る半導体装置の変形例1の構成を示す回路図である。
図5】第1実施形態に係る半導体装置の変形例2の構成を示す回路図である。
図6】第1実施形態に係る半導体装置の変形例3の構成を示す回路図である。
図7】第1実施形態に係る半導体装置の変形例4の構成を示す回路図である。
図8】第1実施形態に係る半導体装置の変形例5の構成を示す回路図である。
図9】第1実施形態に係る半導体装置の変形例6の構成を示す回路図である。
図10】第2実施形態に係る半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。
図11】第2実施形態に係る半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図12】第2実施形態に係る半導体装置の変形例1の構成を示す回路図である。
図13】第2実施形態に係る半導体装置の変形例2の構成を示す回路図である。
図14】第3実施形態に係る半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。
図15】第3実施形態に係る半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
図16】第3実施形態に係る半導体装置の変形例1の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。また、以下に示す実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、及び配置等を下記のものに特定するものではない。
【0012】
実施形態における機能ブロックは、ハードウェア、コンピュータソフトウェアのいずれかまたは両者を組み合わせたものとして実現することができる。機能ブロックが以下の例のように区別されていることは必須ではない。例えば、一部の機能が例示の機能ブロックとは別の機能ブロックによって実行されてもよい。さらに、例示の機能ブロックがさらに細かい機能サブブロックに分割されていてもよい。
【0013】
実施形態の半導体装置は、電圧制御型トランジスタ、例えば、MOS型電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:MOSFET)、あるいは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(Insulated Gate bipolar Transistor:IGBT)のゲートを駆動するゲートドライバ(あるいは、ゲートドライブ回路)を含む。ゲートドライバは、駆動対象であるトランジスタのゲート電圧(即ち、ゲート-ソース間電圧)を制御し、トランジスタにおけるオン状態とオフ状態とを切り換える回路である。
以下、本発明の特徴である、ゲートドライバの出力回路部を中心に説明する。したがって、入力回路部、絶縁回路部、出力制御部、保護回路部分の説明はしないが、それらは含まれていることを前提にしている。また、図面においては技術的特徴ある部分を図示している。
【0014】
1.第1実施形態
第1実施形態の半導体装置について説明する。第1実施形態は、電源電圧VDDが供給されるノードからドライバを構成するトランジスタのゲートに、及びドライバを構成するトランジスタのゲートから接地電圧GNDが供給されるノードに、それぞれ電流を流す経路を設ける例を示す。電源電圧VDDは、外部から半導体装置に入力される電源電圧である。接地電圧GNDは、外部から半導体装置に入力される基準電圧である。
【0015】
1.1 半導体装置の構成
先ず、第1実施形態の半導体装置の構成の概要について説明する。図1は、第1実施形態の半導体装置の構成の概要を示す回路図である。
【0016】
第1実施形態の半導体装置1は、ローサイドドライバM0、ハイサイドドライバM1、ローサイドプリドライバ10、及びハイサイドプリドライバ20を最小構成として備え、少なくとも電源端子/接地端子/出力端子の3つの端子から構成される。電源端子には、外部から電源電圧VDDが供給される。接地端子には、外部から接地電圧GNDが供給される。出力端子は、外付けトランジスタの駆動用の端子である。
【0017】
ローサイドプリドライバ10は、ローサイドドライバM0のゲートを駆動する。すなわち、ローサイドプリドライバ10は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧を制御する。ハイサイドプリドライバ20は、ハイサイドドライバM1のゲートを駆動する。すなわち、ハイサイドプリドライバ20は、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧を制御する。ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1は、駆動対象であるトランジスタMXのゲートを駆動する。すなわち、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1は、駆動対象であるトランジスタMXのゲート-ソース間電圧を制御する。
【0018】
図示しないが、半導体装置1は、保護機能としてDESAT、アクティブミラークランプ、発熱などの検出機能およびその機能に付随する端子を有していてもよい。以下、他の実施形態についても同じである。
【0019】
ローサイドドライバM0は、例えば、MOS型電界効果トランジスタを含む。より具体的には、ローサイドドライバM0は、nチャネルのDMOS(Double-diffused Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタである。ハイサイドドライバM1は、例えば、MOS型電界効果トランジスタを含む。より具体的には、ハイサイドドライバM1は、pチャネルのDMOS(Double-diffused Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタである。ここで用いられるローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1は、例えば、ソース-ドレイン間の耐圧が電源電圧VDDより高く、ソース-ゲート間の耐圧が電源電圧VDDより低いトランジスタである。ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1の各々のソース-ゲート間の耐圧は、ソース-ドレイン間の耐圧より低い。なお、ローサイドプリドライバ10、及びハイサイドプリドライバ20の詳細については後述する。
【0020】
ローサイドプリドライバ10の入力端には、制御信号SA1が入力される。ローサイドプリドライバ10の出力端は、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。ハイサイドプリドライバ20の入力端には、制御信号SB1が入力される。ハイサイドプリドライバ20の出力端は、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。
【0021】
ローサイドドライバM0のソースは、接地電圧GNDが供給されるノード(以下、接地電圧GNDノードと称する)に接続される。接地電圧GNDは、例えば、0Vである。ハイサイドドライバM1のソースは、電源電圧VDDが供給されるノード(以下、電源電圧VDDノードと称する)に接続される。電源電圧は、例えば、20Vである。ローサイドドライバM0のドレイン及びハイサイドドライバM1のドレインは出力端子TOに接続される。
【0022】
出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、外部のトランジスタMXのゲートに出力される。トランジスタMXは、例えば、MOS型電界効果トランジスタあるいはIGBTを含む。例えば、トランジスタMXの一端には負荷LOが接続される。負荷LOには、電源電圧VDDと異なる電圧である電源電圧VDDXが供給される。トランジスタMXは、出力電圧VOXに応じてオン状態あるいはオフ状態に切り換えられる。これにより、負荷LOへの電源電圧VDDXの供給が制御される。
【0023】
次に、第1実施形態の半導体装置1の詳細な構成について説明する。図2は、第1実施形態の半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。図2では、主にローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20について詳細に示す。
【0024】
ローサイドプリドライバ10は、トランジスタM11、M12、M13、及びM14、電源回路11、ゲート耐圧保護回路12、並びにゲート昇圧回路13を備える。
【0025】
電源回路11は、半導体装置1内の内部電源電圧として電圧V1を供給する。電圧V1は、例えば5Vであり、ローサイドドライバM0を一義的に駆動し、多くの場合は電源電圧VDDの1/2以下である。
【0026】
ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ローサイドドライバM0を保護する。ここでは、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間耐圧が例えば7Vであるとする。この場合、ゲート-ソース間耐圧7Vに対して余裕を取り、ゲート-ソース間電圧が5Vを越えないように制限される。ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が5Vより高くならないように、ゲートの電圧が5Vを越える場合に、ローサイドドライバM0のゲートから接地電圧GNDノードに電流を流し、ゲートの電圧を低下させる。
【0027】
ゲート昇圧回路13は、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流を供給し、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を昇圧する。ゲート昇圧回路13は、トランジスタM15、M16、及びM17、抵抗素子R1、並びにゲート制御回路G1を含む。
【0028】
トランジスタM15は、例えば、nチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。トランジスタM16及びM17の各々は、例えば、pチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。より具体的には、トランジスタM16及びM17の各々は、pチャネルのDMOS型電界効果トランジスタである。トランジスタM16及びM17は、カレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタM17を流れる電流Iaは、トランジスタM16を流れる電流Icとほぼ同じになる。抵抗素子R1は、トランジスタM15及びM16を流れる電流Icを制限する。
【0029】
ゲート制御回路G1は、制御信号SA1を受け取り、制御信号SA1に基づいたパルスあるいは制御信号SA1より短い矩形信号をトランジスタM15のゲートに出力する。
【0030】
トランジスタM11及びM13の各々は、例えば、pチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。トランジスタM12及びM14の各々は、例えば、nチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。
【0031】
ハイサイドプリドライバ20は、トランジスタM21及びM22、電源回路21、ゲート耐圧保護回路22、レベルシフタ23、並びにゲート降圧回路24を備える。
【0032】
電源回路21は、半導体装置1内の内部電源電圧として電圧V2を供給する。電圧V2は、例えば15Vで、電源電圧VDDから制御したいハイサイドドライバM1のソース-ゲート間の電圧を引いた値で駆動にかかわる電圧である。
【0033】
ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ハイサイドドライバM1を保護する。ここでは、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間耐圧が例えば7Vであるとする。この場合、ソース-ゲート間耐圧7Vに対して余裕を取り、ソース-ゲート間電圧が5Vを越えないように制限される。ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより低くならないように、ゲートの電圧が15Vより低下する場合に、電源電圧VDDノードからハイサイドドライバM1のゲートに電流を流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を上昇させる。
【0034】
レベルシフタ23は、入力される制御信号SB1の電圧レベルを変換し、変換した電圧レベルを出力する。例えば、レベルシフタ23は、制御信号SB1が5Vのとき20Vを出力し、制御信号SB1が0Vのとき15Vを出力する。
【0035】
ゲート降圧回路24は、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流を流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を降圧する。ゲート降圧回路24は、トランジスタM23、抵抗素子R2、及びゲート制御回路G2を含む。
【0036】
トランジスタM23は、例えば、nチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。より具体的には、トランジスタM23は、nチャネルのDMOS型電界効果トランジスタである。抵抗素子R2は、トランジスタM23を流れる電流Ibを制限する。
【0037】
ゲート制御回路G2は、制御信号SB1を受け取り、制御信号SB1に基づいたパルスあるいは制御信号SB1より短い矩形信号をトランジスタM23のゲートに出力する。
【0038】
トランジスタM21は、例えば、pチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。トランジスタM22は、例えば、nチャネルMOS型電界効果トランジスタを含む。
【0039】
以下に、図2に示す半導体装置1の回路接続について説明する。
【0040】
制御信号SA1は、ノードA1に入力される。ノードA1は、トランジスタM13のゲート及びトランジスタM14のゲートに接続される。
【0041】
トランジスタM13のドレインは、トランジスタM14のドレインに接続される。トランジスタM13及びM14のドレインはノードA2に接続される。ノードA2は、トランジスタM11のゲート及びトランジスタM12のゲートに接続される。トランジスタM13のソース及びトランジスタM11のソースには、電源回路11の出力端が接続される。
【0042】
トランジスタM11のドレインは、トランジスタM12のドレインに接続される。トランジスタM11及びM12のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。トランジスタM14のソース、トランジスタM12のソース、及びローサイドドライバM0のソースは、接地電圧GNDノードに接続される。
【0043】
ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路12が接続される。
【0044】
また、ノードA1は、ゲート制御回路G1の入力端に接続される。ゲート制御回路G1の出力端は、トランジスタM15のゲートに接続される。トランジスタM15のドレインは、トランジスタM16のゲート及びドレイン、並びにトランジスタM17のゲートに接続される。トランジスタM15のソースは、抵抗素子R1を介して接地電圧GNDノードに接続される。
【0045】
トランジスタM17のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。トランジスタM16のソース及びトランジスタM17のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。
【0046】
制御信号SB1は、ノードB1に入力される。ノードB1は、レベルシフタ23の入力端に接続される。レベルシフタ23の出力端は、ノードB2に接続される。ノードB2は、トランジスタM21のゲート及びトランジスタM22のゲートに接続される。
【0047】
トランジスタM21のドレインは、トランジスタM22のドレインに接続される。トランジスタM21及びM22のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM22のソースには、電源回路21の出力端が接続される。
【0048】
トランジスタM21のソース、及びハイサイドドライバM1のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。
【0049】
ハイサイドドライバM1のゲートと電源電圧VDDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路22が接続される。
【0050】
また、ノードB1は、ゲート制御回路G2の入力端に接続される。ゲート制御回路G2の出力端は、トランジスタM23のゲートに接続される。トランジスタM23のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM23のソースは、抵抗素子R2を介して接地電圧GNDノードに接続される。
【0051】
ローサイドドライバM0のドレイン、及びハイサイドドライバM1のドレインは、出力端子TOに接続される。
【0052】
1.2 半導体装置の動作
次に、第1実施形態の半導体装置1の動作について説明する。図3は、第1実施形態の半導体装置1の動作を示すタイミングチャートであり、半導体装置1内の各部の電圧及び電流を示す。
【0053】
半導体装置1の出力端子TOから出力される出力電圧VOXが、(1)20Vから0Vに遷移する場合、及び(2)0Vから20Vに遷移する場合の動作を説明する。ローサイドドライバM0には接地電圧GND(例えば、0V)が供給され、ハイサイドドライバM1には電源電圧VDD(例えば、20V)が供給されている。また、ノードA1には制御信号SA1が入力され、ノードB1には制御信号SB1が入力される。
【0054】
(1)出力電圧VOXが20Vから0Vに遷移する場合
先ず、時刻t0において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“L”レベル(以下、“L”と記す)、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G1からの出力電圧は0Vに設定されている。また、ノードB1に入力される制御信号SB1は、“H”レベル(以下、“H”と記す)、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G2からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0055】
次に、時刻t1において、制御信号SB1が“L”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は20Vから15Vに低下し、ノードB2の電圧は15Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに15Vが供給される。トランジスタM21のソースには、電源電圧VDDノードから20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0056】
一方、トランジスタM22のゲートに15Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0057】
トランジスタM21がオン状態に設定され、トランジスタM22がオフ状態に設定されると、ハイサイドドライバM1のゲートに20Vが供給される。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1は、オン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を停止する。
【0058】
次に、時刻t2において、制御信号SA1が“H”に設定される。すると、ノードA1の電圧は5Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに5Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0059】
一方、トランジスタM14のゲートに5Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は0Vに設定される。
【0060】
ノードA2が0Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに0Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0061】
一方、トランジスタM12のゲートに0Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0062】
トランジスタM11がオン状態に設定され、トランジスタM12がオフ状態に設定されると、電源回路11からローサイドドライバM0のゲートに5Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を開始する。
【0063】
また、時刻t2において、制御信号SA1が“H”に設定される。すると、ゲート制御回路G1からトランジスタM15のゲートに制御信号SA1が“H”期間より短い時間の間5Vが出力される。トランジスタM15のゲートに5Vが供給されると、トランジスタM15がオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM15の電流経路に電流Icが流れる。電流Icは、例えば10mAである。
【0064】
ここで、トランジスタM16とトランジスタM17は、カレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタM17の電流経路に流れる電流Iaの電流値は、電流Icと同じ電流値となる。この電流Iaは、電源電圧VDDノードからトランジスタM17を介してローサイドドライバM0のゲートに流れ込み、ローサイドドライバM0のゲートを充電する。電流Iaは、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を、0Vから5Vに上昇させるためのブースト電流として働く。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vに急速に上昇する。
【0065】
上記動作により、時刻t3において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力される。上述したように、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに流れ込む電流Iaが、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。このため、ローサイドドライバM0は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図3においてSR1にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、20Vから0Vへ急速に低下する。すなわち、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0066】
以上により、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへの20Vの供給が遮断され、ローサイドドライバM0から出力端子TOへ0Vが供給されることにより、時刻t3-t4において、出力電圧VOXが0Vに設定される。
【0067】
なお、ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路12が設けられている。ゲート耐圧保護回路12は、電流Iaの流れ込みによってローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなるのを防止する。ゲート耐圧保護回路12は、例えば、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が5Vより高くなるのを防止する。
【0068】
電源電圧VDDノードから電流IaがローサイドドライバM0のゲートに流れ込むと、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が上昇する。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vになった時点で、ゲート耐圧保護回路12が動作を開始する。このため、ローサイドドライバM0のゲートからゲート耐圧保護回路12を介して接地電圧GNDノードに電流Iaaが流れて、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が低下する。これにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧は、5V以下に制限される。詳述すると、時刻t2において、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaが流れ始める。時刻t3以前の時刻t2aにおいて、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が5Vに達すると、ゲート耐圧保護回路12が動作を開始し、ローサイドドライバM0のゲートから接地電圧GNDノードに電流Iaaが流れ始める。そして、時刻t3において、電流Iaと電流Iaaの流れが停止される。これにより、ゲート-ソース間の耐圧より高い電圧がゲート-ソース間に印加されることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。電流Iaaが流れる時間がなるべく短くなるよう時刻t3が設定されるのが望ましい。
【0069】
また、トランジスタM15のソースと接地電圧GNDノードとの間には、抵抗素子R1が接続されている。抵抗素子R1は、トランジスタM15がオン状態に設定されたときに、トランジスタM15の電流経路に流れる電流Icを調整する。抵抗素子R1によって電流Icの電流値を調整することにより、ブースト電流としての電流Iaの電流値を調整する。これにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が0Vから5Vに上昇する速度を調整できる。
【0070】
(2)出力電圧VOXが0Vから20Vに遷移する場合
時刻t3において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“H”、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G1からの出力電圧は0Vに設定されている。また、ノードB1に入力される制御信号SB1は、“L”、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G2からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0071】
次に、時刻t4において、制御信号SA1が“L”に設定される。すると、ノードA1の電圧は0Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに0Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0072】
一方、トランジスタM14のゲートに0Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は5Vに設定される。
【0073】
ノードA2が5Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに5Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0074】
一方、トランジスタM12のゲートに5Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0075】
トランジスタM11がオフ状態に設定され、トランジスタM12がオン状態に設定されると、ローサイドドライバM0のゲートに0Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、5Vから0Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が0Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を停止する。
【0076】
次に、時刻t5において、制御信号SB1が“H”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は15Vから20Vに上昇し、ノードB2の電圧は20Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに20Vが供給される。トランジスタM21のソースには、20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0077】
一方、トランジスタM22のゲートに20Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0078】
トランジスタM21がオフ状態に設定され、トランジスタM22がオン状態に設定されると、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートに15Vの供給が開始される。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vへの遷移を開始する。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに遷移すると、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を開始する。
【0079】
また、時刻t5において、制御信号SB1が“H”に設定される。すると、ゲート制御回路G2からトランジスタM23のゲートに制御信号SB1が“H”の期間より短い時間の間5Vが出力される。トランジスタM23のゲートに5Vが供給されると、トランジスタM23がオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM23の電流経路に電流Ibが流れる。電流Ibは、例えば10mAである。
【0080】
この電流Ibは、ハイサイドドライバM1のゲートからトランジスタM23を介して接地電圧GNDノードに引き込まれ、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を低下させる。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vに急速に低下する。
【0081】
上記動作により、時刻t6において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力される。上述したように、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに流れる電流Ibが、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。このため、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図3においてSR2にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、0Vから20Vへ急速に上昇する。すなわち、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0082】
以上により、ローサイドドライバM0から出力端子TOへの0Vの供給が遮断され、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへ20Vが供給されることにより、時刻t6-t7において、出力電圧VOXが20Vに設定される。
【0083】
なお、電源電圧VDDノードとハイサイドドライバM1のゲートとの間には、ゲート耐圧保護回路22が設けられている。ゲート耐圧保護回路22は、電流Ibが流れることによってハイサイドドライバM1のゲートの電圧が下がり、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなるのを防止する。ゲート耐圧保護回路22は、例えば、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより低くなるのを防止する。
【0084】
ハイサイドドライバM1のゲートから電流Ibが接地電圧GNDノードに吸い込まれると、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が低下する。ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vになった時点で、ゲート耐圧保護回路22が動作を開始する。このため、電源電圧VDDノードからゲート耐圧保護回路22を介してハイサイドドライバM1のゲートに電流Ibbが流れて、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を上昇させる。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、15V以上に制限される。詳述すると、時刻t5において、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibが流れ始める。時刻t6以前の時刻t5aにおいて、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vまで低下すると、ゲート耐圧保護回路22が動作を開始し、電源電圧VDDノードからハイサイドドライバM1のゲートに電流Ibbが流れ始める。そして、時刻t6において、電流Ibと電流Ibbの流れが停止される。これにより、ゲートの電圧が下がり、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。電流Ibbが流れる時間はなるべく短く設定されるのが望ましい。
【0085】
また、トランジスタM23のソースと接地電圧GNDノードとの間には、抵抗素子R2が接続されている。抵抗素子R2は、トランジスタM23がオン状態に設定されたときに、トランジスタM23の電流経路に流れる電流Ibを調整する。抵抗素子R2によって電流Ibの電流値を調整することにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が20Vから15Vに低下する速度を調整できる。
【0086】
また、第1実施形態の動作では、ハイサイドドライバM1がオフ状態に設定された後、ローサイドドライバM0がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t1において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vに設定して、ハイサイドドライバM1をオフ状態に設定する。その後、時刻t2において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧の0Vから5Vへの遷移を開始させて、ローサイドドライバM0のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0087】
同様に、ローサイドドライバM0がオフ状態に設定された後、ハイサイドドライバM1がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t4において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vに設定して、ローサイドドライバM0をオフ状態に設定する。その後、時刻t5において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧の20Vから15Vへの遷移を開始させて、ハイサイドドライバM1のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0088】
このように、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0のオン状態が切り換わるときに、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0とが共にオフ状態になる期間を設けることで、電源電圧VDDと接地電圧GNDとが短絡するといった不具合が生じないようにしている。
【0089】
1.3 半導体装置の変形例
次に、第1実施形態の半導体装置の変形例について説明する。
【0090】
図1に示した半導体装置1では、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20に、電気信号として制御信号SA1及びSB1をそれぞれ直接入力したが、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20の入力段に、電気的に絶縁された送信回路と受信回路を設け、送信回路から受信回路へ信号を伝達するようにしてもよい。以下に、半導体装置が送信回路と受信回路を備える変形例1を示す。
【0091】
図4は、第1実施形態の変形例1の構成を示す回路図である。半導体装置1Aは、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20の入力段に設けられた制御回路30、送信回路31、受信回路32、及び制御回路33を備える。送信回路31と受信回路32との間には、例えば、絶縁部34が設けられている。
【0092】
各制御回路30及び33、送信回路31および受信回路32を動作させるための電源およびそれらに関する端子および接続は省略している。以下の変形例2から4についても同様である。
【0093】
制御回路30は、外部から入力信号VINを受け取る。制御回路30は、受け取った入力信号VINに基づいて送信回路31を駆動するための駆動信号を生成し、送信回路31に出力する。送信回路31は、制御回路30から供給された駆動信号に基づいて信号を生成し、生成した信号を絶縁部34を介して受信回路32に伝達する。受信回路32は、送信回路31から伝達された信号に基づいて信号を生成し、生成した信号を制御回路33に出力する。
【0094】
制御回路33は、受信回路32から供給された信号に基づいて制御信号SA1及びSB1を生成する。制御回路33は、生成した制御信号SA1及びSB1をローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20にそれぞれ出力する。
【0095】
送信回路31と受信回路32は、例えば、絶縁部34により電気的に絶縁されている。送信回路31から受信回路32への信号の伝達は、例えば、光信号、磁気信号、あるいは電界信号を用いる。
【0096】
以下に、送信回路31から受信回路32への信号の伝達に、光信号、磁気信号、あるいは電界信号をそれぞれ用いる変形例2~4について説明する。
【0097】
図5は、第1実施形態の変形例2の構成を示す回路図である。半導体装置1Bは、送信回路31から受信回路32への信号の伝達に光信号を用いる例である。
【0098】
送信回路31は、発光素子、例えば、発光ダイオードDaを含む。受信回路32は、受光素子、例えば、フォトダイオードDbを含む。
【0099】
制御回路30は、入力信号VINに基づいて送信回路31内の発光ダイオードDaを駆動するための駆動信号を生成し、送信回路31に出力する。送信回路31は、制御回路30にて生成された駆動信号を用いて発光ダイオードDaを発光させる。送信回路31内の発光ダイオードDaから出射された光は、絶縁部34を介して受信回路32内のフォトダイオードDbにより受光される。フォトダイオードDbは、受光した光を電気信号に変換する。受信回路32は、フォトダイオードDbにて変換された電気信号を制御回路33に出力する。制御回路33は、受信回路32から供給された電気信号に基づいて制御信号SA1及びSB1を生成する。制御回路33により生成された制御信号SA1及びSB1は、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20にそれぞれ入力される。
【0100】
半導体装置1Bのその他の構成、及び動作は、図2及び図3に示した第1実施形態と同様である。
【0101】
図6は、第1実施形態の変形例3の構成を示す回路図である。半導体装置1Cは、送信回路31から受信回路32への信号の伝達に磁気信号を用いる例である。
【0102】
送信回路31は、例えば、インダクタLaを含む。受信回路32は、例えば、インダクタLbを含む。
【0103】
制御回路30は、入力信号VINに基づいて送信回路31内のインダクタLaを駆動するための駆動信号を生成し、送信回路31に出力する。送信回路31は、制御回路30にて生成された駆動信号を用いてインダクタLaに電流を流す。送信回路31内のインダクタLaに電流が流れると、インダクタLaの近傍に磁界が発生する。インダクタLaにより発生された磁界は、絶縁部34を介して受信回路32内のインダクタLbの近傍にも磁界の変化を及ぼす。インダクタLbは、インダクタLaにより発生された磁界に応じた起電力により、電流を発生する。受信回路32は、インダクタLbにて発生した電流による電気信号を制御回路33に出力する。制御回路33は、受信回路32から供給された電気信号に基づいて制御信号SA1及びSB1を生成する。制御回路33により生成された制御信号SA1及びSB1は、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20にそれぞれ入力される。
【0104】
図示しないが、ノイズ(EMS(Electromagnetic susceptibility)やEMI(Electromagnetic interference))耐性やCMTI(Common mode transient immunity)特性を上げるため、送信回路31および受信回路32は差動信号を伝送してもよく、その場合は、2個のインダクターコイル対によって信号伝達が行われる。
【0105】
図7は、第1実施形態の変形例4の構成を示す回路図である。半導体装置1Dは、送信回路31から受信回路32への信号の伝達に電界信号を用いる例である。
【0106】
送信回路31は、例えば、第1電極Eaを含む。受信回路32は、例えば、第2電極Ebを含む。これら第1電極Eaと第2電極Ebは容量素子(即ち、コンデンサ)Caを形成する。
【0107】
制御回路30は、入力信号VINに基づいて送信回路31内の第1電極Eaに電圧を印加するための信号を生成し、送信回路31に出力する。送信回路31は、制御回路30にて生成された信号を用いて第1電極Eaに電圧を印加する。送信回路31内の第1電極Eaに電圧が印加されると、第1電極Eaに電荷が充電される。すると、第1電極Eaに充電された電荷に応じて、絶縁部34を介して受信回路32内の第2電極Ebに電荷が充電される。受信回路32は、第2電極Ebに充電された電荷により生じる電気信号を制御回路33に出力する。制御回路33は、受信回路32から供給された電気信号に基づいて制御信号SA1及びSB1を生成する。制御回路33により生成された制御信号SA1及びSB1は、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20にそれぞれ入力される。
【0108】
図示しないが、ノイズ(EMSやEMI)耐性やCMTI特性を上げるため、送信回路31および受信回路32は差動信号を伝送してもよく、その場合は、2個の容量素子対によって信号伝達が行われる。
【0109】
なお、前述した変形例1~4では、制御回路30を備えており、入力信号VINが制御回路30を介して送信回路31に入力されたが、制御回路30を備えず、入力信号VINが送信回路31に直接入力される場合もある。
【0110】
また、図2に示した半導体装置1では、ある固定の抵抗値を持つ抵抗素子R1及びR2を用いたが、抵抗素子R1及びR2に換えて温度依存性を持つ可変抵抗素子をそれぞれ用いてもよい。抵抗素子R1及びR2をそれぞれ可変抵抗素子に換えることで、半導体装置1Eの温度が上昇したときに、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1のオン抵抗が上昇して、電流駆動能力が低下してしまうのを防止する。以下に、抵抗素子R1及びR2に換えて可変抵抗素子を備える変形例5を示す。
【0111】
図8は、第1実施形態の変形例5の構成を示す回路図である。半導体装置1Eは、抵抗素子R1及びR2に換えて、温度依存性を持つ可変抵抗素子VR1及びVR2をそれぞれ備える。
【0112】
例えば、半導体装置1Eの温度が上昇すると、ローサイドドライバM0のオン抵抗が上昇し、電流駆動能力が低下する。このため、電流Iaを増加させてローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に変化させる。これにより、ローサイドドライバM0の電流駆動能力が低下するのを補う。同様に、電流Ibを増加させてハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に変化させる。これにより、ハイサイドドライバM1の電流駆動能力が低下するのを補う。
【0113】
具体的には、可変抵抗素子VR1及びVR2は、温度が上昇するのに従って、抵抗値が低下する温度特性を有する。半導体装置1Eの温度が高くなったとき、半導体装置1Eの温度の上昇に従って、可変抵抗素子VR1の抵抗値は低下する。可変抵抗素子VR1の抵抗値が低下すると、電流Icの電流値が増加し、電流Iaの電流値も増加する。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させることができ、ローサイドドライバM0による0Vの供給動作を速めることができる。
【0114】
同様に、半導体装置1Eの温度が高くなったとき、半導体装置1Eの温度の上昇に従って、可変抵抗素子VR2の抵抗値は低下する。可変抵抗素子VR2の抵抗値が低下すると、電流Ibの電流値が増加する。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させることができ、ハイサイドドライバM1による20Vの供給動作を速めることができる。
【0115】
なおここでは、温度が上昇するのに従って抵抗値が低下する温度特性を持つ可変抵抗素子VR1及びVR2を用いたが、温度が上昇するのに従って抵抗値が低下する温度特性を持つ素子であれば、抵抗素子以外の素子あるいは回路を用いてもよい。また、温度が上昇するのに従って、電流Icの電流値を増加させる回路を用いてもよい。
【0116】
また、電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。さらに、電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。これらダイオードを設けることにより、ローサイドドライバM0のゲートから電源回路11へ電流が流れるのを防止する。あるいは、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートへ電流が流れるのを防止する。以下に、ダイオードを設けた変形例6を示す。
【0117】
図9は、第1実施形態の変形例6の構成を示す回路図である。半導体装置1Fは、電源回路11からの電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間に接続されたダイオードD1を備える。さらに、電源回路21からの電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間に接続されたダイオードD2を備える。
【0118】
ダイオードD1のアノードはトランジスタM11のドレインに接続され、ダイオードD1のカソードはトランジスタM12のドレイン及びローサイドドライバM0のゲートに接続される。ダイオードD2のアノードはトランジスタM21のドレイン及びハイサイドドライバM1のゲートに接続され、ダイオードD2のカソードはトランジスタM22のドレインに接続される。
【0119】
ダイオードD1を設けることにより、トランジスタM17からの電流IaがトランジスタM11を通って電源回路11に逆流するのを防ぐことができる。さらに、ダイオードD2を設けることにより、トランジスタM23が引き抜く電流により生じるトランジスタM1のゲートの電圧低下によって、トランジスタM22を介して電源回路21から電流が引き抜かれること防ぐことができる。
また図示しないが、ダイオードD1(あるいはD2)を抵抗に変えたり、ダイオードD1(あるいはD2)と直列に抵抗を挿入して電源回路11(あるいは電源回路21)から引き抜く電流を制限して電源回路11(あるいは電源回路21)に与える影響を減らしても良い。
【0120】
また図示しないが、ダイオードD1(あるいはD2)と並列に抵抗を設置して一定時間後にはダイオードD1(あるいはD2)の順方向電圧VFをキャンセル出来るようにしても良い。
【0121】
1.4 第1実施形態の効果
第1実施形態のゲートドライバを含む半導体装置によれば、出力電圧のスルーレートを向上させることができる。
【0122】
一般的に、例えば、半導体装置上のゲートドライバで使用される電源電圧は4V~50Vであり、多くは15V~50Vであるが、ゲートドライバの出力素子であるMOS型電界効果トランジスタのゲート-ソース間電圧は電源電圧以下の耐圧(例えば、5V)しか持たない場合がある。そのような場合、出力素子のゲートを駆動するために半導体装置の内部に電源回路を設ける。このとき、外部と接続可能な端子数の少ないゲートドライバでは、内部電源回路の出力を端子として設けることができず、内部電源回路の出力にバイパスコンデンサを外付けすることができない。このような場合、内部電源回路を用いて出力素子を高速に駆動する必要がある。このため、内部電源回路の電流駆動能力を大きくする必要があり、これによりチップ面積、すなわち半導体装置の面積が増加する場合がある。
【0123】
これに対して、第1実施形態の構成では、内部電源回路として半導体装置内に設けられた電源回路11と異なる電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給するゲート昇圧回路13を備えることにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。これにより、電源回路11の電流駆動能力を大きくすることなく、すなわちチップ面積(半導体装置の面積)を増加させることなく、ローサイドドライバM0をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ローサイドドライバM0から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。また、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibを流すゲート降圧回路24を備えることにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。これにより、内部電源回路として半導体装置内に設けられた電源回路21の電流駆動能力を大きくすることなく、すなわちチップ面積を増加させることなく、ハイサイドドライバM1をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ハイサイドドライバM1から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。
【0124】
また、第1実施形態の構成では、ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間にゲート耐圧保護回路12を備えることにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限することができる。これにより、ゲートの電圧が上昇し、ゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。また、電源電圧VDDノードとハイサイドドライバM1のゲートとの間にゲート耐圧保護回路22を備えることにより、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限することができる。これにより、ゲートの電圧が低下し、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。
【0125】
また、第1実施形態の構成では、半導体装置の温度が上昇するのに従って電流Ia及びIbを増加させる素子あるいは回路を備えることにより、温度が上昇した場合でも、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。
【0126】
また、以下に本実施形態の課題及び効果について詳述する。
【0127】
半導体装置上の回路では、電源端子に供給される電源電圧VDDよりも低いゲート耐圧のローサイドドライバM0と、電源電圧VDDを電源としてローサイドドライバM0のゲート耐圧以下の電圧V1を出力する電源回路11を持つ。しかし、電圧V1の出力は外部に接続可能な端子に接続されておらず、カップリングコンデンサを外部に持つことが出来ない。出力端子TOから出力される出力電圧VOXのスルーレートを高速化したいとき、ローサイドドライバM0のゲート容量を高速に充電する必要があるが、トランジスタM11をオン状態にしたとき電圧V1を低下させないために、回路内部にカップリングコンデンサを設けると半導体チップのチップ面積を増大させてしまう。
【0128】
そこで、ローサイドドライバM0をオン状態に設定する際に、電圧V1を電源とするトランジスタM11をオン状態にするのと並行して、電源電圧VDDからトランジスタM17を介してローサイドドライバM0のゲートへ直接電流を流す経路を用いて、トランジスタM17がオン状態の間、ローサイドドライバM0のゲートにブースト電流を流す。これにより、電圧V1を供給する電源回路11の電流能力に依らずに、ローサイドドライバM0のゲート容量の充電を高速化させる。これによって、本実施形態では、出力電圧VOXが“H”(20V)から“L”(0V)に切り換わるときのスルーレートを高速化させている(例えば、20nsを12nsに高速化させる)。
【0129】
2.第2実施形態
第2実施形態の半導体装置について説明する。第2実施形態は、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1をそれぞれ構成するトランジスタのゲートの電圧をモニタして電流Ia及びIbをそれぞれ調整することにより、ゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように制御する例を示す。第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0130】
2.1 半導体装置の構成
第2実施形態の半導体装置の構成の概要は、図1に示した第1実施形態と同様である。ここでは、半導体装置の構成の概要の説明は省略し、構成の詳細から説明する。
【0131】
図10は、第2実施形態の半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。
【0132】
第2実施形態の半導体装置2は、ローサイドドライバM0、ハイサイドドライバM1、ローサイドプリドライバ10、及びハイサイドプリドライバ20を備える。
【0133】
ローサイドプリドライバ10は、トランジスタM11、M12、M13、及びM14、電源回路11、ゲート耐圧保護回路12、並びにゲート昇圧回路14を備える。
【0134】
電源回路11は、半導体装置2内の内部電源電圧として電圧V1を供給する。電圧V1は、例えば5Vである。
【0135】
ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲートソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ローサイドドライバM0を保護する。ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲート電圧が5Vより高くならないように、ゲートの電圧が5Vを越える場合に、ローサイドドライバM0のゲートから接地電圧GNDノードに電流を流し、ゲートの電圧を低下させる。
【0136】
ゲート昇圧回路14は、制御信号SA1とローサイドドライバM0のゲートの電圧とに基づいて、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給し、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を昇圧する。ゲート昇圧回路14は、トランジスタM15、M16、及びM17、抵抗素子R1、並びにゲート制御回路G3を含む。
【0137】
ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲートの電圧をモニタし、ゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧を超えると、トランジスタM15をオフ状態にする電圧をトランジスタM15のゲートに出力する。例えば、ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲートの電圧と制御信号SA1に基づいて、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)より低いとき、トランジスタM15をオン状態に設定する信号(例えば、5V)を出力する。一方、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)以上のとき、トランジスタM15をオフ状態に設定する信号(例えば、0V)を出力する。
【0138】
トランジスタM16及びM17はカレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタM17を流れる電流Iaは、トランジスタM16を流れる電流Icとほぼ同じになる。抵抗素子R1は、トランジスタM15及びM16を流れる電流Icを制限する。
【0139】
ハイサイドプリドライバ20は、トランジスタM21及びM22、電源回路21、ゲート耐圧保護回路22、レベルシフタ23、並びにゲート降圧回路25を備える。
【0140】
電源回路21は、半導体装置2内の内部電源電圧として電圧V2を供給する。電圧V2は、例えば15Vである。
【0141】
ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ハイサイドドライバM1を保護する。ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより低くならないように、ゲートの電圧が15Vより低下する場合に、電源電圧VDDノードからハイサイドドライバM1のゲートに電流を流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を上昇させる。
【0142】
レベルシフタ23は、入力される制御信号SB1の電圧レベルを変換し、変換した電圧レベルを出力する。例えば、レベルシフタ23は、制御信号SB1が5Vのとき20Vを出力し、制御信号SB1が0Vのとき15Vを出力する。
【0143】
ゲート降圧回路25は、制御信号SB1と、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧とに基づいて、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibを流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を降圧する。ゲート降圧回路25は、トランジスタM23、抵抗素子R2、及びゲート制御回路G4を含む。
【0144】
ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧をモニタし、ソース-ゲート間電圧が設定された閾値以上になると、トランジスタM23をオフ状態にする電圧をトランジスタM23のゲートに出力する。例えば、ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧と、制御信号SB1(ノードB1の電圧)とに基づいて、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)より低いとき、トランジスタM23をオン状態に設定する信号(例えば、5V)を出力する。一方、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)以上のとき、トランジスタM23をオフ状態に設定する信号(例えば、0V)を出力する。抵抗素子R2は、トランジスタM23を流れる電流Ibを制限する。
【0145】
以下に、図10に示す半導体装置2の回路接続について説明する。
【0146】
制御信号SA1は、ノードA1に入力される。ノードA1は、トランジスタM13のゲート及びトランジスタM14のゲートに接続される。
【0147】
トランジスタM13のドレインは、トランジスタM14のドレインに接続される。トランジスタM13及びM14のドレインはノードA2に接続される。ノードA2は、トランジスタM11のゲート及びトランジスタM12のゲートに接続される。トランジスタM13のソース及びトランジスタM11のソースには、電源回路11の出力端が接続される。
【0148】
トランジスタM11のドレインは、トランジスタM12のドレインに接続される。トランジスタM11及びM12のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。トランジスタM14のソース、トランジスタM12のソース、及びローサイドドライバM0のソースは、接地電圧GNDノードに接続される。
【0149】
ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路12が接続される。
【0150】
また、ノードA1は、ゲート制御回路G3の第1入力端に接続される。ローサイドドライバM0のゲートは、ゲート制御回路G3の第2入力端に接続される。そして、ゲート制御回路G3の出力端は、トランジスタM15のゲートに接続される。
【0151】
トランジスタM15のドレインは、トランジスタM16のゲート及びドレイン、並びにトランジスタM17のゲートに接続される。トランジスタM15のソースは、抵抗素子R1を介して接地電圧GNDノードに接続される。
【0152】
トランジスタM17のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。トランジスタM16のソース及びトランジスタM17のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。
【0153】
制御信号SB1は、ノードB1に入力される。ノードB1は、レベルシフタ23の入力端に接続される。レベルシフタ23の出力端は、ノードB2に接続される。ノードB2は、トランジスタM21のゲート及びトランジスタM22のゲートに接続される。
【0154】
トランジスタM21のドレインは、トランジスタM22のドレインに接続される。トランジスタM21及びM22のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM22のソースには、電源回路21の出力端が接続される。
【0155】
トランジスタM21のソース、及びハイサイドドライバM1のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。
【0156】
ハイサイドドライバM1のゲートと電源電圧VDDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路22が接続される。
【0157】
また、ノードB1は、ゲート制御回路G4の第1入力端に接続される。ハイサイドドライバM1のゲートは、ゲート制御回路G4の第2入力端に接続される。そして、ゲート制御回路G4の出力端は、トランジスタM23のゲートに接続される。
【0158】
トランジスタM23のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM23のソースは、抵抗素子R2を介して接地電圧GNDノードに接続される。
【0159】
ローサイドドライバM0のドレイン、及びハイサイドドライバM1のドレインは、出力端子TOに接続される。
【0160】
なおここでは、ゲート耐圧保護回路12及び22を備える例を示すが、ゲート耐圧保護回路12及び22は削除することも可能である。削除することによって回路の消費電力を削減、また、回路面積を縮小し、より低コストな設計とすることも可能である。
【0161】
2.2 第2実施形態の動作
次に、第2実施形態の半導体装置2の動作について説明する。図11は、第2実施形態の半導体装置の動作を示すタイミングチャートであり、半導体装置2内の各部の電圧及び電流を示す。
【0162】
半導体装置2の出力端子TOから出力される出力電圧VOXが、(1)20Vから0Vに遷移する場合、及び(2)0Vから20Vに遷移する場合の動作を説明する。ローサイドドライバM0には接地電圧(例えば、0V)が供給され、ハイサイドドライバM1には電源電圧(例えば、20V)が供給されている。また、ノードA1には制御信号SA1が入力され、ノードB1には制御信号SB1が入力される。
【0163】
(1)出力電圧VOXが20Vから0Vに遷移する場合
先ず、時刻t0において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“L”、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G3からの出力電圧は0Vに設定されている。また、ノードB1に入力される制御信号SB1は、“H”、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G4からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0164】
次に、時刻t1において、制御信号SB1が“L”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は20Vから15Vに低下し、ノードB2の電圧は15Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに15Vが供給される。トランジスタM21のソースには、電源電圧VDDノードから20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0165】
一方、トランジスタM22のゲートに15Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0166】
トランジスタM21がオン状態に設定され、トランジスタM22がオフ状態に設定されると、ハイサイドドライバM1のゲートに20Vが供給される。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1は、オン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を停止する。
【0167】
次に、時刻t2において、制御信号SA1が“H”に設定される。すると、ノードA1の電圧は5Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに5Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0168】
一方、トランジスタM14のゲートに5Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は0Vに設定される。
【0169】
ノードA2が0Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに0Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0170】
一方、トランジスタM12のゲートに0Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0171】
トランジスタM11がオン状態に設定され、トランジスタM12がオフ状態に設定されると、電源回路11からローサイドドライバM0のゲートに5Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を開始する。
【0172】
また、時刻t2において、制御信号SA1が“H”に設定されると、ゲート制御回路G3の第1入力端に5Vが入力される。ゲート制御回路G3の第2入力端には、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が入力される。ここで、ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)より低く、かつ制御信号SA1が“H”のとき、ゲート制御回路G3の出力端から5Vを出力する。一方、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧以上であるとき、0Vを出力する。ここでは、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が、設定された閾値電圧より低いため、ゲート制御回路G3の出力端からトランジスタM15のゲートに5Vが供給される。このため、トランジスタM15がオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM15の電流経路に電流Icが流れる。電流Icは、例えば10mAである。
【0173】
ここで、トランジスタM16とトランジスタM17は、カレントミラー回路を構成する。このため、トランジスタM17の電流経路に流れる電流Iaの電流値は、電流Icと同じ電流値となる。この電流Iaは、電源電圧VDDノードからトランジスタM17を介して、ローサイドドライバM0のゲートに流れ込み、ローサイドドライバM0のゲートを充電する。電流Iaは、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を、0Vから5Vに上昇させるためのブースト電流として働く。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vに急速に上昇する。
【0174】
ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに上昇するまで、トランジスタM15のゲートに5Vを供給する。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに達すると、ゲート制御回路G3は5Vの供給を停止する。
【0175】
上記動作により、時刻t3において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力される。上述したように、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに流れ込む電流Iaが、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。このため、ローサイドドライバM0は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図11においてSR3にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、20Vから0Vへ急速に低下する。すなわち、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0176】
以上により、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへの20Vの供給が遮断され、ローサイドドライバM0から出力端子TOへ0Vが供給されることにより、時刻t3-t4において、出力電圧VOXが0Vに設定される。
【0177】
なお、本実施形態では、ゲート制御回路G3でローサイドドライバM0のゲートの電圧を制限できない場合に備えて、ゲート耐圧保護回路12を設けている。ゲート耐圧保護回路12は、ゲート制御回路G3でローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧をゲート-ソース間の耐圧以下に制限できない場合に動作する。ゲート耐圧保護回路12は、電流Iaの流れ込みによってローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなるのを防止する。
【0178】
ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲートの電圧と制御信号SA1とを受け取り、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)より低く、かつ制御信号SA1が”H“のときとき、トランジスタM15をオン状態に設定するための信号(例えば、5V)を出力する。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに達すると、トランジスタM15をオフ状態に設定するための信号(例えば、0V)を出力する。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに達するまで、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaが流れ込む。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに達すると、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに流れる電流Iaが停止する。このため、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧は、5V以下に制限される。これにより、ゲート-ソース間の耐圧より高い電圧がゲート-ソース間に印加されることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。
【0179】
また、トランジスタM15のソースと接地電圧GNDノードとの間には、抵抗素子R1が接続されている。抵抗素子R1は、トランジスタM15がオン状態に設定されたときに、トランジスタM15の電流経路に流れる電流Icを調整する。抵抗素子R1によって電流Icの電流値を調整することにより、ブースト電流としての電流Iaの電流値を調整する。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が0Vから5Vに上昇する速度を調整できる。
【0180】
(2)出力電圧VOXが0Vから20Vに遷移する場合
時刻t3において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“H”、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G3からの出力電圧は0Vに設定されている。ノードB1に入力される制御信号SB1は、“L”、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G4からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0181】
次に、時刻t4において、制御信号SA1が“L”に設定される。すると、ノードA1の電圧は0Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに0Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0182】
一方、トランジスタM14のゲートに0Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は5Vに設定される。
【0183】
ノードA2が5Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに5Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0184】
一方、トランジスタM12のゲートに5Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0185】
トランジスタM11がオフ状態に設定され、トランジスタM12がオン状態に設定されると、ローサイドドライバM0のゲートに0Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、5Vから0Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が0Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を停止する。
【0186】
次に、時刻t5において、制御信号SB1が“H”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は15Vから20Vに上昇し、ノードB2の電圧は20Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに20Vが供給される。トランジスタM21のソースには、20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0187】
一方、トランジスタM22のゲートに20Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0188】
トランジスタM21がオフ状態に設定され、トランジスタM22がオン状態に設定されると、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートに15Vの供給が開始される。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vへの遷移を開始する。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに遷移すると、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を開始する。
【0189】
また、時刻t5において制御信号SB1が“H”に設定されると、ゲート制御回路G4の第1入力端に5Vが入力される。ゲート制御回路G4の第2入力端には、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が入力される。ここで、ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧(例えば、5V)より低く、かつ制御信号SB1が“H”のとき、ゲート制御回路G4の出力端から5Vを出力する。一方、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧以上であるとき、0Vを出力する。ここでは、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧より低いため、ゲート制御回路G4の出力端からトランジスタM23のゲートに5Vが供給される。このため、トランジスタM23がオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM23の電流経路に電流Ibが流れる。電流Ibは、例えば10mAである。
【0190】
この電流Ibは、ハイサイドドライバM1のゲートからトランジスタM23を介して、接地電圧GNDノードに引き込まれ、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を低下させる。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vに急速に低下する。
【0191】
ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに低下するまで、トランジスタM23のゲートに5Vを供給する。そして、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに低下すると、ゲート制御回路G4は5Vの供給を停止する。
【0192】
上記動作により、時刻t6において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力される。上述したように、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに流れる電流Ibが、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。このため、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図11においてSR4にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、0Vから20Vへ急速に上昇する。すなわち、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0193】
以上により、ローサイドドライバM0から出力端子TOへの0Vの供給が遮断され、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへ20Vが供給されることにより、時刻t6-t7において、出力電圧VOXが20Vに設定される。
【0194】
なお、本実施形態では、ゲート制御回路G4でハイサイドドライバM1のゲートの電圧を制限できない場合に備えて、ゲート耐圧保護回路22を設けている。ゲート耐圧保護回路22は、ゲート制御回路G4でハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧をソース-ゲート間の耐圧以下に制限できない場合に動作する。ゲート耐圧保護回路22は、電流Ibが流れることによってハイサイドドライバM1のゲートの電圧が下がり、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなるのを防止する。
【0195】
ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧と、制御信号SB1(ノードB1の電圧)とを受け取り、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより高いとき、トランジスタM23をオン状態に設定するための信号(例えば、5V)を出力する。そして、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15V以下に低下すると、トランジスタM23をオフ状態に設定するための信号(例えば、0V)を出力する。このため、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに低下するまで、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibが流れる。そして、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに低下すると、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに流れる電流Ibが停止する。このため、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、15V以上に制限される。これにより、ゲートの電圧が下がり、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。
【0196】
また、トランジスタM23のソースと接地電圧GNDノードとの間には、抵抗素子R2が接続されている。抵抗素子R2は、トランジスタM23がオン状態に設定されたときに、トランジスタM23の電流経路に流れる電流Ibを調整する。抵抗素子R2によって電流Ibの電流値を調整することにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が20Vから15Vに低下する速度を調整できる。
【0197】
また、第2実施形態の動作では、ハイサイドドライバM1がオフ状態に設定された後、ローサイドドライバM0がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t1において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vに設定して、ハイサイドドライバM1をオフ状態に設定する。その後、時刻t2において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧の0Vから5Vへの遷移を開始させて、ローサイドドライバM0のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0198】
同様に、ローサイドドライバM0がオフ状態に設定された後、ハイサイドドライバM1がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t4において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vに設定して、ローサイドドライバM0をオフ状態に設定する。その後、時刻t5において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧の20Vから15Vへの遷移を開始させて、ハイサイドドライバM1のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0199】
このように、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0のオン状態が切り換わるときに、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0とが共にオフ状態になる期間を設けることで、電源電圧VDDと接地電圧GNDとが短絡するといった不具合が生じないようにしている。
【0200】
2.3 半導体装置の変形例
次に、第2実施形態の半導体装置の変形例について説明する。
【0201】
図10に示した半導体装置2では、第1実施形態と同様に、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20に、電気信号として制御信号SA1及びSB1をそれぞれ直接入力したが、図4に示したように、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20の入力段に、電気的に絶縁された送信回路31と受信回路32を設け、送信回路31から受信回路32へ信号を伝達するようにしてもよい。
【0202】
送信回路31から受信回路32への信号の伝達には、例えば、図5図6、及び図7に示したように、それぞれ光信号、磁気信号、及び電界信号が用いられる。
【0203】
また、抵抗素子R1及びR2に換えて温度依存性を持つ可変抵抗素子を用いてもよい。抵抗素子R1及びR2をそれぞれ可変抵抗素子に換えることで、半導体装置1Eの温度が上昇したときに、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1のオン抵抗が上昇して、電流駆動能力が低下してしまうのを防止する。以下に、抵抗素子R1及びR2に換えて可変抵抗素子を備える変形例1を示す。
【0204】
図12は、第2実施形態の変形例1の構成を示す回路図である。半導体装置2Aは、抵抗素子R1及びR2に換えて、温度依存性を持つ可変抵抗素子VR1及びVR2をそれぞれ備える。この変形例1における動作及び効果は、図8に示した第1実施形態の変形例5と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0205】
前述したように、例えば、半導体装置2Aの温度が上昇すると、ローサイドドライバM0のオン抵抗が上昇し、電流駆動能力が低下する。このため、電流Iaを増加させてローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に変化させる。これにより、ローサイドドライバM0の電流駆動能力が低下するのを補う。同様に、電流Ibを増加させてハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に変化させる。これにより、ハイサイドドライバM1の電流駆動能力が低下するのを補う。
【0206】
また、電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。さらに、電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。これらダイオードを設けることにより、ローサイドドライバM0のゲートから電源回路11へ電流が流れるのを防止する。あるいは、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートへ電流が流れるのを防止する。以下に、ダイオードを設けた変形例2を示す。
【0207】
図13は、第2実施形態の変形例2の構成を示す回路図である。半導体装置2Bは、電源回路11からの電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間に接続されたダイオードD1を備える。さらに、電源回路21からの電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間に接続されたダイオードD2を備える。この変形例2における動作及び効果は、図9に示した第1実施形態の変形例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0208】
2.3 第2実施形態の効果
第2実施形態のゲートドライバを含む半導体装置によれば、出力電圧のスルーレートを向上させることができる。
【0209】
第2実施形態の構成では、内部電源回路として半導体装置内に設けられた電源回路11と異なる電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給するゲート昇圧回路14を備えることにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。これにより、ローサイドドライバM0をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ローサイドドライバM0から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。また、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibを流すゲート降圧回路25を備えることにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。これにより、ハイサイドドライバM1をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ハイサイドドライバM1から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。
【0210】
また、第2実施形態の構成では、ローサイドドライバM0のゲートの電圧をモニタし、ゲート-ソース間電圧が設定された閾値電圧を超えると、トランジスタM15をオフ状態に設定する電圧を出力するゲート制御回路G3を備える。ゲート制御回路G3は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がローサイドドライバM0をオン状態に遷移させる電圧(5V)に達するまで、トランジスタM15をオン状態に設定する信号を出力する。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧がローサイドドライバM0をオン状態に遷移させる電圧に達すると、トランジスタM15をオフ状態に設定する信号を出力する。これにより、ゲートの電圧が上昇し、ゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。
【0211】
また、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧をモニタし、ソース-ゲート間電圧が設定された閾値電圧以上になると、トランジスタM23をオフ状態に設定する電圧を出力するゲート制御回路G4を備える。ゲート制御回路G4は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧がハイサイドドライバM1をオン状態に遷移させる電圧(15V)に達するまで、トランジスタM23をオン状態に設定する信号を出力する。そして、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧がハイサイドドライバM1をオン状態に遷移させる電圧に達すると、トランジスタM23をオフ状態に設定する信号を出力する。これにより、ゲートの電圧が低下し、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。
【0212】
また、第2実施形態の構成では、半導体装置の温度が上昇するのに従って電流Ia及びIbを増加させる素子あるいは回路を備えることにより、温度が上昇した場合でも、ローサイドドライバM0及びハイサイドドライバM1から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。
【0213】
3.第3実施形態
第3実施形態の半導体装置について説明する。第3実施形態は、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0を構成するトランジスタのゲートへ電流Iaを流す経路に容量素子を設けることにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が閾値電圧に達するまでの時間を短縮する例を示す。同様に、ハイサイドドライバM1を構成するトランジスタのゲートから接地電圧GNDノードへ電流Ibを流す経路に容量素子を設けることにより、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧が閾値電圧に達するまでの時間を短縮する例を示す。第3実施形態では、主に第1実施形態と異なる点について説明する。
【0214】
3.1 半導体装置の構成
第3実施形態の半導体装置の構成の概要は、図1に示した第1実施形態と同様である。ここでは、半導体装置の構成の概要の説明は省略し、構成の詳細から説明する。
【0215】
図14は、第3実施形態の半導体装置の構成の詳細を示す回路図である。
【0216】
第3実施形態の半導体装置3は、ローサイドドライバM0、ハイサイドドライバM1、ローサイドプリドライバ10、及びハイサイドプリドライバ20を備える。
【0217】
ローサイドプリドライバ10は、トランジスタM11、M12、M13、及びM14、電源回路11、ゲート耐圧保護回路12、並びにゲート昇圧回路15を備える。
【0218】
電源回路11は、半導体装置3内の内部電源電圧として電圧V1を供給する。電圧V1は、例えば5Vである。
【0219】
ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ローサイドドライバM0を保護する。ゲート耐圧保護回路12は、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vより高くならないように、ゲートの電圧が5Vを越える場合に、ローサイドドライバM0のゲートから接地電圧GNDノードに電流を流し、ゲートの電圧を低下させる。
【0220】
ゲート昇圧回路15は、電源電圧VDDノード及び容量素子(即ち、コンデンサ)C1からローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給し、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を昇圧する。ゲート昇圧回路15は、トランジスタM15及びM18、抵抗素子R3、容量素子C1、レベルシフタ16、並びにゲート制御回路G5を含む。
【0221】
レベルシフタ16は、ノードA2に供給された信号の電圧レベルを変換し、変換した信号を出力する。例えば、レベルシフタ16は、ノードA2に供給された信号が5Vのとき20Vを出力し、ノードA2の供給された信号が0Vのとき15Vを出力する。
【0222】
ゲート制御回路G5は、レベルシフタ16からの出力信号を受け取り、出力信号に基づいた信号をトランジスタM15のゲートに出力する。
【0223】
ハイサイドプリドライバ20は、トランジスタM21及びM22、電源回路21、ゲート耐圧保護回路22、レベルシフタ23、並びにゲート降圧回路26を備える。
【0224】
電源回路21は、半導体装置3内の内部電源電圧として電圧V2を供給する。電圧V2は、例えば15Vである。
【0225】
ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧を越えないように、ゲートの電圧を制限し、ハイサイドドライバM1を保護する。ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより低くならないように、ゲートの電圧が15Vより低下する場合に、電源電圧VDDノードからハイサイドドライバM1のゲートに電流を流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を上昇させる。
【0226】
レベルシフタ23は、入力される制御信号SB1の電圧レベルを変換し、変換した電圧レベルを出力する。例えば、レベルシフタ23は、制御信号SB1が5Vのとき20Vを出力し、制御信号SB1が0Vのとき15Vを出力する。
【0227】
ゲート降圧回路26は、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibを流し、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を降圧する。ゲート降圧回路26は、トランジスタM23及びM24、抵抗素子R4、容量素子(即ち、コンデンサ)C2、並びにゲート制御回路G6を含む。
【0228】
ゲート制御回路G6は、制御信号SB1を受け取り、制御信号SB1に基づいた信号をトランジスタM23のゲートに出力する。
【0229】
以下に、図14に示す半導体装置3の回路接続について説明する。
【0230】
制御信号SA1は、ノードA1に入力される。ノードA1は、トランジスタM13のゲート及びトランジスタM14のゲートに接続される。
【0231】
トランジスタM13のドレインは、トランジスタM14のドレインに接続される。トランジスタM13及びM14のドレインはノードA2に接続される。ノードA2は、トランジスタM11のゲート及びトランジスタM12のゲートに接続される。トランジスタM13のソース及びトランジスタM11のソースには、電源回路11の出力端が接続される。
【0232】
トランジスタM11のドレインは、トランジスタM12のドレインに接続される。トランジスタM11及びM12のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。トランジスタM14のソース、トランジスタM12のソース、及びローサイドドライバM0のソースは、接地電圧GNDノードに接続される。
【0233】
ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路12が接続される。
【0234】
また、ノードA2は、レベルシフタ16の入力端に接続される。レベルシフタ16の出力端はノードA3に接続され、ノードA3はゲート制御回路G5の入力端に接続される。ゲート制御回路G5の出力端は、トランジスタM15のゲートに接続される。
【0235】
トランジスタM15のソースは、抵抗素子R3の一端、容量素子C1の一端、及びトランジスタM18のドレインにそれぞれ接続される。抵抗素子R3の他端、容量素子C1の他端、及びトランジスタM18のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。すなわち、抵抗素子R3、容量素子C1、及びトランジスタM18の電流経路は、電源電圧VDDノードとトランジスタM15のソースとの間にそれぞれ並列に接続される。トランジスタM18のゲートには、電源回路21の出力端が接続される。さらに、トランジスタM15のドレインは、ローサイドドライバM0のゲートに接続される。
【0236】
制御信号SB1は、ノードB1に入力される。ノードB1は、レベルシフタ23の入力端に接続される。レベルシフタ23の出力端は、ノードB2に接続される。ノードB2は、トランジスタM21のゲート及びトランジスタM22のゲートに接続される。
【0237】
トランジスタM21のドレインは、トランジスタM22のドレインに接続される。トランジスタM21及びM22のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM22のソースには、電源回路21の出力端が接続される。
【0238】
トランジスタM21のソース、及びハイサイドドライバM1のソースは、電源電圧VDDノードに接続される。
【0239】
ハイサイドドライバM1のゲートと電源電圧VDDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路22が接続される。
【0240】
また、ノードB1は、ゲート制御回路G6の入力端に接続される。ゲート制御回路G6の出力端は、トランジスタM23のゲートに接続される。トランジスタM23のドレインは、ハイサイドドライバM1のゲートに接続される。トランジスタM23のソースは、抵抗素子R4の一端、容量素子C2の一端、及びトランジスタM24のドレインにそれぞれ接続される。抵抗素子R4の他端、容量素子C2の他端、及びトランジスタM24のソースは、接地電圧GNDノードに接続される。すなわち、抵抗素子R4、容量素子C2、及びトランジスタM24の電流経路は、トランジスタM23のソースと接地電圧GNDノードとの間にそれぞれ並列に接続される。トランジスタM24のゲートには、電源回路11の出力端が接続される。
【0241】
ローサイドドライバM0のドレイン、及びハイサイドドライバM1のドレインは、出力端子TOに接続される。
【0242】
3.2 第3実施形態の動作
次に、第3実施形態の半導体装置3の動作について説明する。図15は、第3実施形態の半導体装置の動作を示すタイミングチャートであり、半導体装置3内の各部の電圧及び電流を示す。
【0243】
半導体装置3の出力端子TOから出力される出力電圧VOXが、(1)20Vから0Vに遷移する場合、及び(2)0Vから20Vに遷移する場合の動作を説明する。ローサイドドライバM0には接地電圧(例えば、0V)が供給され、ハイサイドドライバM1には電源電圧(例えば、20V)が供給されている。また、ノードA1には制御信号SA1が入力され、ノードB1には制御信号SB1が入力される。
【0244】
(1)出力電圧VOXが20Vから0Vに遷移する場合
先ず、時刻t10において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“L”、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G5からの出力電圧は20Vに設定されている。また、ノードB1に入力される制御信号SB1は、“H”、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G6からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0245】
次に、時刻t11において、制御信号SB1が“L”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は20Vから15Vに低下し、ノードB2の電圧は15Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに15Vが供給される。トランジスタM21のソースには、電源電圧VDDノードから20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0246】
一方、トランジスタM22のゲートに15Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0247】
トランジスタM21がオン状態に設定され、トランジスタM22がオフ状態に設定されると、ハイサイドドライバM1のゲートに20Vが供給される。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1は、オン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を停止する。
【0248】
次に、時刻t12において、制御信号SA1が“H”に設定される。すると、ノードA1の電圧は5Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに5Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0249】
一方、トランジスタM14のゲートに5Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は0Vに設定される。
【0250】
ノードA2が0Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに0Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0251】
一方、トランジスタM12のゲートに0Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0252】
トランジスタM11がオン状態に設定され、トランジスタM12がオフ状態に設定されると、電源回路11からローサイドドライバM0のゲートに5Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を開始する。
【0253】
また、時刻t12において、制御信号SA1が“H”に設定されて、ノードA2の電圧が0Vに設定されると、レベルシフタ16からの出力電圧は20Vから15Vに低下し、ノードA3の電圧は15Vに設定される。すると、ゲート制御回路G5からトランジスタM15のゲートに15Vが出力される。また、電源回路21からトランジスタM18のゲートに15Vが供給され、トランジスタM18のソースに20Vが供給されている。このため、トランジスタM18はオン状態に設定される。トランジスタM18がオン状態に設定されると、トランジスタM15のソースには、20Vが供給される。このため、トランジスタM15はオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM15の電流経路に電流Iaが流れる。電流Iaは、例えば10mAである。
【0254】
ここで、電源電圧VDDノードとトランジスタM15のソースとの間には、容量素子C1が設けられている。このため、容量素子C1から電流IaがトランジスタM15を介してローサイドドライバM0のゲートに急速に流れ込み、ローサイドドライバM0のゲートを急速に充電し、ローサイドドライバM0の閾値電圧以上にローサイドドライバM0のゲートの電圧を引き上げる。電流Iaは、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を、0Vから5Vに上昇させるためのブースト電流として働く。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、0Vから5Vに急速に上昇する。
【0255】
上記動作により、時刻t13において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力される。上述したように、電源電圧VDDからローサイドドライバM0のゲートに流れ込む電流Iaが、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。このため、ローサイドドライバM0は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図15においてSR5にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、20Vから0Vへ急速に低下する。すなわち、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧が閾値電圧に達するまでの時間を速めることができ、制御信号SA1を“H”に設定してから出力電圧VOXが電圧変化を開始するまでの時間を短縮できる。さらに、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0256】
以上により、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへの20Vの供給が遮断され、ローサイドドライバM0から出力端子TOへ0Vが供給されることにより、時刻t13-t14において、出力電圧VOXが0Vに設定される。
【0257】
なお、ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間には、ゲート耐圧保護回路12が設けられている。ゲート耐圧保護回路12は、電流Iaの流れ込みによってローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなるのを防止する。
【0258】
電源電圧VDDノード及び容量素子C1から電流IaがローサイドドライバM0のゲートに流れ込むと、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が上昇する。そして、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vになった時点で、ゲート耐圧保護回路12が動作を開始する。このため、ローサイドドライバM0のゲートからゲート耐圧保護回路12を介して接地電圧GNDノードに電流Iaaが流れて、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が低下する。これにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧は、5V以下に制限される。詳述すると、時刻t12において、電源電圧VDDノードからローサイドドライバM0のゲートに電流Iaが流れ始める。時刻t13以前の時刻t12aにおいて、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が5Vに達すると、ゲート耐圧保護回路12が動作を開始し、ローサイドドライバM0のゲートから接地電圧GNDノードに電流Iaaが流れ始める。そして、時刻t13において、電流Iaと電流Iaaの流れが停止される。これにより、ゲート-ソース間の耐圧より高い電圧がゲートに印加されることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。
【0259】
(2)出力電圧VOXが0Vから20Vに遷移する場合
時刻t13において、出力端子TOから出力電圧VOXとして0Vが出力されている。このとき、ノードA1に入力される制御信号SA1は、“H”、例えば、5Vに設定され、ゲート制御回路G5からの出力電圧は15Vに設定されている。また、ノードB1に入力される制御信号SB1は、“L”、例えば、0Vに設定され、ゲート制御回路G6からの出力電圧は0Vに設定されている。
【0260】
次に、時刻t14において、制御信号SA1が“L”に設定される。すると、ノードA1の電圧は0Vに設定される。このため、トランジスタM13のゲートに0Vが供給される。トランジスタM13のソースには、電源回路11から5Vが供給される。これにより、トランジスタM13はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0261】
一方、トランジスタM14のゲートに0Vが供給され、トランジスタM14のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM14はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ノードA2の電圧は5Vに設定される。
【0262】
ノードA2が5Vに設定されると、トランジスタM11のゲートに5Vが供給される。トランジスタM11のソースには、電源回路11から5Vが供給される。このため、トランジスタM11はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0263】
一方、トランジスタM12のゲートに5Vが供給され、トランジスタM12のソースに0Vが供給される。このため、トランジスタM12はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0264】
トランジスタM11がオフ状態に設定され、トランジスタM12がオン状態に設定されると、ローサイドドライバM0のゲートに0Vの供給が開始される。これにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧は、5Vから0Vへの遷移を開始する。ローサイドドライバM0のソースには、0Vが供給されている。このため、ローサイドドライバM0のゲートの電圧が0Vに遷移すると、ローサイドドライバM0はオン状態からオフ状態に遷移する。これにより、ローサイドドライバM0は、出力端子TOへの0Vの供給を停止する。
【0265】
次に、時刻t15において、制御信号SB1が“H”に設定される。すると、レベルシフタ23からの出力電圧は15Vから20Vに上昇し、ノードB2の電圧は20Vに設定される。このため、トランジスタM21のゲートに20Vが供給される。トランジスタM21のソースには、20Vが供給されている。これにより、トランジスタM21はオン状態からオフ状態に遷移する。
【0266】
一方、トランジスタM22のゲートに20Vが供給され、電源回路21からトランジスタM22のソースに15Vが供給される。このため、トランジスタM22はオフ状態からオン状態に遷移する。
【0267】
トランジスタM21がオフ状態に設定され、トランジスタM22がオン状態に設定されると、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートに15Vの供給が開始される。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vへの遷移を開始する。ハイサイドドライバM1のソースには、20Vが供給されている。このため、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに遷移すると、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態に遷移する。これにより、ハイサイドドライバM1は、出力端子TOへの20Vの供給を開始する。
【0268】
また、時刻t15において、制御信号SB1が“H”に設定される。すると、ゲート制御回路G6からトランジスタM23のゲートに5Vが出力される。トランジスタM23のゲートに5Vが供給されると、トランジスタM23がオフ状態からオン状態に遷移する。これにより、トランジスタM23の電流経路に電流Ibが流れる。電流Ibは、例えば10mAである。
【0269】
ここで、トランジスタM23のソースと接地電圧GNDノードとの間には、容量素子C2が設けられている。このため、ハイサイドドライバM1のゲートから電流IbがトランジスタM23を介して容量素子C2に急速に引き込まれ、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を低下させる。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、20Vから15Vに急速に低下する。
【0270】
上記動作により、時刻t16において、出力端子TOから出力電圧VOXとして20Vが出力される。上述したように、ハイサイドドライバM1のゲートから容量素子C2に流れる電流Ibが、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。このため、ハイサイドドライバM1は、オフ状態からオン状態へ急速に遷移する。これにより、図15においてSR6にて示すように、出力端子TOから出力される出力電圧VOXは、0Vから20Vへ急速に上昇する。すなわち、出力電圧VOXのスルーレートを向上させることができる。
【0271】
以上により、ローサイドドライバM0から出力端子TOへの0Vの供給が遮断され、ハイサイドドライバM1から出力端子TOへ20Vが供給されることにより、時刻t16-t17において、出力電圧VOXが20Vに設定される。
【0272】
なお、電源電圧VDDノードとハイサイドドライバM1のゲートとの間には、ゲート耐圧保護回路22が設けられている。ゲート耐圧保護回路22は、ハイサイドドライバM1のゲートから電流Ibが流れることによってハイサイドドライバM1のゲートの電圧が下がり、ゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなるのを防止する。ゲート耐圧保護回路22は、例えば、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vより低くなるのを防止する。
【0273】
ハイサイドドライバM1のゲートから電流Ibが容量素子C2に流れると、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が低下する。ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vに低下した時点で、ゲート耐圧保護回路22が動作を開始する。このため、電源電圧VDDノードからゲート耐圧保護回路22を介してハイサイドドライバM1のゲートに電流Ibbが流れて、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を上昇させる。これにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧は、15V以上に制限される。詳述すると、時刻t15において、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノードに電流Ibが流れ始める。時刻t16以前の時刻t15aにおいて、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧が15Vまで低下すると、ゲート耐圧保護回路22が動作を開始し、電源電圧VDDノードからハイサイドドライバM1のゲートに電流Ibbが流れ始める。そして、時刻t16において、電流Ibと電流Ibbの流れが停止される。これにより、ゲートの電圧が下がり、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。
【0274】
また、第3実施形態の動作では、ハイサイドドライバM1がオフ状態に設定された後、ローサイドドライバM0がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t11において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vに設定して、ハイサイドドライバM1をオフ状態に設定する。その後、時刻t12において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧の0Vから5Vへの遷移を開始させて、ローサイドドライバM0のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0275】
同様に、ローサイドドライバM0がオフ状態に設定された後、ハイサイドドライバM1がオフ状態からオン状態へ遷移を開始するまでの間にデッドタイムを設けている。例えば、時刻t14において、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vに設定して、ローサイドドライバM0をオフ状態に設定する。その後、時刻t15において、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧の20Vから15Vへの遷移を開始させて、ハイサイドドライバM1のオフ状態からオン状態への遷移を開始させる。
【0276】
このように、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0のオン状態が切り換わるときに、ハイサイドドライバM1とローサイドドライバM0とが共にオフ状態になる期間を設けることで、電源電圧VDDと接地電圧GNDとが短絡するといった不具合が生じないようにしている。
【0277】
3.3 半導体装置の変形例
次に、第3実施形態の半導体装置の変形例について説明する。
【0278】
図14に示した半導体装置3では、第1実施形態と同様に、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20に、電気信号として制御信号SA1及びSB1をそれぞれ直接入力したが、図4に示したように、ローサイドプリドライバ10及びハイサイドプリドライバ20の入力段に、電気的に絶縁された送信回路31と受信回路32を設け、送信回路31から受信回路32へ信号を伝達するようにしてもよい。
【0279】
送信回路31から受信回路32への信号の伝達には、例えば、図5図6、及び図7に示したように、それぞれ光信号、磁気信号、及び電界信号が用いられる。
【0280】
また、電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。さらに、電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間にダイオードを設けてもよい。これらダイオードを設けることにより、ローサイドドライバM0のゲートから電源回路11へ電流が流れるのを防止する。あるいは、電源回路21からハイサイドドライバM1のゲートへ電流が流れるのを防止する。以下に、ダイオードを設けた変形例1を示す。
【0281】
図16は、第3実施形態の変形例1の構成を示す回路図である。半導体装置3Aは、電源回路11からの電圧V1を供給するトランジスタM11と、トランジスタM12及びローサイドドライバM0のゲートとの間に接続されたダイオードD1を備える。さらに、電源回路21からの電圧V2を供給するトランジスタM22と、トランジスタM21及びハイサイドドライバM1のゲートとの間に接続されたダイオードD2を備える。この変形例1における動作及び効果は、図9に示した第1実施形態の変形例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0282】
3.3 第3実施形態の効果
第3実施形態のゲートドライバを含む半導体装置によれば、出力電圧のスルーレートを向上させることができる。
【0283】
第3実施形態の構成では、内部電源回路として半導体装置内に設けられた電源回路11と異なる電源電圧VDDノード及び容量素子C1からローサイドドライバM0のゲートに電流Iaを供給するゲート昇圧回路15を備えることにより、ローサイドドライバM0のゲートの電圧を0Vから5Vに急速に上昇させる。これにより、ローサイドドライバM0をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ローサイドドライバM0から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。また、ハイサイドドライバM1のゲートから接地電圧GNDノード及び容量素子C2に電流Ibを流すゲート降圧回路26を備えることにより、ハイサイドドライバM1のゲートの電圧を20Vから15Vに急速に低下させる。これにより、ハイサイドドライバM1をオフ状態からオン状態に急速に遷移させることができ、ハイサイドドライバM1から出力される出力電圧のスルーレートを高めることができる。
【0284】
また、第3実施形態の構成では、ローサイドドライバM0のゲートと接地電圧GNDノードとの間にゲート耐圧保護回路12を備えることにより、ローサイドドライバM0のゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧を越えないように、ゲート-ソース間電圧を制限することができる。これにより、ゲートの電圧が上昇し、ゲート-ソース間電圧がゲート-ソース間の耐圧より高くなることによって生じるローサイドドライバM0の破壊を防止することができる。また、電源電圧VDDノードとハイサイドドライバM1のゲートとの間にゲート耐圧保護回路22を備えることにより、ハイサイドドライバM1のソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧を越えないように、ソース-ゲート間電圧を制限することができる。これにより、ゲートの電圧が低下し、ソース-ゲート間電圧がソース-ゲート間の耐圧より高くなることによって生じるハイサイドドライバM1の破壊を防止することができる。
【0285】
4.その他
前述した実施形態の半導体装置は、以下のような実施態様を取り得る。
【0286】
1. 外部から入力される電源電圧(VDD)よりゲート-ソース間の耐圧が低い第1トランジスタ(M0)と、
前記電源電圧より低い第1電圧(V1)を出力する第1電源回路(11)と、
前記第1電圧(V1)を電源として前記第1トランジスタ(M0)のゲートを駆動する第1回路(M11、M12)と、
前記電源電圧が供給される電源電圧ノードから前記第1トランジスタ(M0)のゲートに第1電流(Ia)を供給する第2回路(13(14、15))と、
を具備する半導体装置。
【0287】
2. 前記第2回路による第1電流(Ia)の供給は、前記第1回路(M11、M12)による前記第1トランジスタ(M0)のゲートへの前記第1電圧の供給と並行して第1の期間、実行される上記1に記載の半導体装置。
【0288】
3. 前記第2回路(13)は、
前記第1トランジスタ(M0)のゲートの電圧が前記第1電圧(V1)に達するまで、前記電源電圧ノードから前記第1トランジスタ(M0)のゲートに前記第1電流(Ia)を供給し、
前記第1トランジスタ(M0)の前記ゲートの電圧が前記第1電圧(V1)に達したら、前記電源電圧ノードから前記第1トランジスタ(M0)のゲートへの前記第1電流の供給を停止する上記1または2に記載の半導体装置。
【0289】
4. 前記第2回路(13)は、
前記電源電圧ノードと前記第1トランジスタ(M0)のゲートとの間に接続された第2トランジスタ(M17)、及び前記電源電圧ノードと接地電圧(GND)が供給される接地電圧ノードとの間に接続された第3トランジスタ(M16)を有するカレントミラー回路と、
前記第3トランジスタ(M16)と前記接地電圧ノードとの間に接続された第4トランジスタ(M15)と、
を備える上記1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0290】
5. 前記第2回路(13)は、前記第4トランジスタ(M15)と前記接地電圧ノードとの間に接続された抵抗素子(R1)を備える上記4に記載の半導体装置。
【0291】
6. 前記第2回路(13)は、前記第4トランジスタ(M15)と前記接地電圧ノードとの間に接続され、温度の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗素子(VR1)を備える上記4に記載の半導体装置。
【0292】
7. 前記第2回路(14)は、前記第1トランジスタ(M0)のゲートに入力端が接続され、前記第4トランジスタ(M15)のゲートに出力端が接続され、前記第1トランジスタ(M0)のゲートの電圧に応じて、前記第4トランジスタ(M15)のゲートに第1信号を供給する第3回路(G3)を備える上記4乃至6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0293】
8. 前記第3回路(G3)は、
前記第1トランジスタ(M0)の前記ゲートの電圧が前記第1電圧より低いとき、前記第4トランジスタ(M15)をオン状態に設定する前記第1信号を供給し、
前記第1トランジスタ(M0)の前記ゲートの電圧が前記第1電圧以上であるとき、前記第4トランジスタ(M15)をオフ状態に設定する前記第1信号を供給する上記7に記載の半導体装置。
【0294】
9. 前記第2回路(15)は、前記電源電圧ノードと前記第1トランジスタ(M0)のゲートとの間に、互いに並列に接続されたトランジスタ(M18)、抵抗素子(R3)、及び容量素子(C1)を備える上記1に記載の半導体装置。
【0295】
10. 前記第1トランジスタ(M0)のゲートと、接地電圧(GND)が供給される接地電圧ノードとの間に接続され、前記第1トランジスタ(M0)のゲートの電圧を前記第1電圧の電圧レベルに制限する保護回路(12)をさらに具備する上記1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0296】
11. 第2信号を受信し、第2信号に応じた第3信号を送信する送信回路(31)と、
前記送信回路と電気的に絶縁され、前記第3信号を受け取り、前記第3信号に応じた第4信号を生成する受信回路(32)と、
をさらに具備し、
前記第1回路及び前記第2回路は、前記第4信号を受け取り、前記第4信号に基づいて動作する上記1乃至10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0297】
12. 前記送信回路から前記受信回路に送信される前記第3信号は、光信号、磁気信号、及び電界信号のいずれか1つである上記11に記載の半導体装置。
【0298】
13. 前記第1回路は、
前記第1電源回路(11)の出力端と、接地電圧が供給される接地電圧ノードとの間に接続された第5トランジスタ(M11)及び第6トランジスタ(M12)と、
前記第5トランジスタ(M11)と前記第6トランジスタ(M12)との間に接続されたダイオード(D1)を備え、
前記第5トランジスタ(M11)の第1端に前記第1電圧(V1)が供給され、
前記第5トランジスタ(M11)の第2端に前記ダイオード(D1)のアノードが接続され、前記ダイオード(D1)のカソードに前記第1トランジスタ(M0)のゲート及び前記第6トランジスタ(M12)の第1端が接続され、
前記第6トランジスタ(M12)の第2端に前記接地電圧が供給される上記1乃至12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0299】
14. 前記第1トランジスタ(M0)のゲート-ソース間の耐圧は、前記第1トランジスタ(M0)のドレイン-ソース間の耐圧より低い上記1乃至13のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0300】
15. 前記第1トランジスタ(M0)は、トランジスタ(MX)のゲートを駆動するゲートドライバである上記1乃至14のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0301】
16. 前記電源電圧(VDD)よりソース-ゲート間の耐圧が低い第7トランジスタ(M1)と、
前記電源電圧より低い第2電圧(V2)を出力する第2電源回路(21)と、
前記電源電圧(VDD)と前記第2電源回路(21)から出力される前記第2電圧(V2)とを電源として、前記第7トランジスタ(M1)のゲートを駆動する第4回路(M21、M22)と、
前記第7トランジスタ(M1)のゲートから接地電圧が供給される接地電圧ノードに第2電流(Ib)を供給する第5回路(24(25、26))と、
をさらに具備する上記1乃至15のいずれかに記載の半導体装置。
【0302】
17. 前記第5回路(24)は、
前記第7トランジスタ(M1)のゲートの電圧が前記第2電圧(V2)に達するまで、前記第7トランジスタ(M1)のゲートから前記接地電圧ノードに前記第2電流(Ib)を供給し、
前記第7トランジスタ(M1)の前記ゲートの電圧が前記第2電圧(V2)に達したら、前記第7トランジスタ(M1)のゲートから前記接地電圧ノードへの前記第2電流の供給を停止する上記16に記載の半導体装置。
【0303】
18. 前記第5回路(24)は、
前記第7トランジスタ(M1)のゲートと前記接地電圧ノードとの間に接続された第8トランジスタ(M23)と、
前記第8トランジスタ(M23)と前記接地電圧ノードとの間に接続された抵抗素子(R2)と、
を備える上記16または17に記載の半導体装置。
【0304】
19. 前記第5回路(25)は、前記第7トランジスタ(M1)のゲートに入力端が接続され、前記第8トランジスタ(M23)のゲートに出力端が接続され、前記第7トランジスタ(M1)の前記ゲートの電圧に応じて、前記第8トランジスタ(M23)のゲートに第2信号を供給する第6回路(G4)を備える上記18に記載の半導体装置。
【0305】
20. 前記第5回路(26)は、
前記第7トランジスタ(M1)のゲートと前記接地電圧ノードとの間に接続された第8トランジスタ(M23)と、
前記第8トランジスタ(M23)のソースと前記接地電圧ノードとの間に、互いに並列に接続されたトランジスタ(M24)、抵抗素子(R4)、及び容量素子(C2)と、
を備える上記16に記載の半導体装置。
【0306】
なお、本実施形態のゲートドライバを含む半導体装置には、例えば、フォトカプラあるいはデジタルアイソレータ等が用いられる。
【0307】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0308】
1…半導体装置、1A…半導体装置、1B…半導体装置、1C…半導体装置、1D…半導体装置、1E…半導体装置、1F…半導体装置、2…半導体装置、2A…半導体装置、2B…半導体装置、3…半導体装置、3A…半導体装置、10…ローサイドプリドライバ、11…電源回路、12…ゲート耐圧保護回路、13…ゲート昇圧回路、14…ゲート昇圧回路、15…ゲート昇圧回路、16…レベルシフタ、20…ハイサイドプリドライバ、21…電源回路、22…ゲート耐圧保護回路、23…レベルシフタ、24…ゲート降圧回路、25…ゲート降圧回路、26…ゲート降圧回路、30…制御回路、31…送信回路、32…受信回路、33…制御回路、34…絶縁部、A1…ノード、A2…ノード、A3…ノード、B1…ノード、B2…ノード、C1…容量素子、C2…容量素子、Ca…容量素子、D1…ダイオード、Da…発光ダイオード、Db…フォトダイオード、Ea…電極、Eb…電極、G1…ゲート制御回路、G2…ゲート制御回路、G3…ゲート制御回路、G4…ゲート制御回路、La…インダクタ、Lb…インダクタ、M0…ローサイドドライバ、M1…ハイサイドドライバ、M11…トランジスタ、M12…トランジスタ、M13…トランジスタ、M14…トランジスタ、M15…トランジスタ、M16…トランジスタ、M17…トランジスタ、M18…トランジスタ、M21…トランジスタ、M22…トランジスタ、M23…トランジスタ、M24…トランジスタ、R1…抵抗素子、R2…抵抗素子、R3…抵抗素子、R4…抵抗素子、SA1…制御信号、SB1…制御信号、VR1…温度特性を持つ可変抵抗素子、VR2…温度特性を持つ可変抵抗素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16