(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025007879
(43)【公開日】2025-01-17
(54)【発明の名称】センサシステム及びセンサ素子の評価方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20250109BHJP
G01N 27/414 20060101ALI20250109BHJP
【FI】
G01N27/00 J
G01N27/414 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109580
(22)【出願日】2023-07-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】三木 弘子
(72)【発明者】
【氏名】富澤 英之
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA19
2G060AD06
2G060AF20
2G060DA06
2G060DA09
2G060DA14
2G060DA17
2G060KA09
2G060KA11
(57)【要約】
【課題】センサ素子の良否を評価することが可能なセンサシステム及びセンサ素子の評価方法の提供。
【解決手段】センサシステムは、感応部と、前記感応部の表面に位置するプローブ分子と、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極とを有するセンサ素子と、前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加し、前記センサ素子の電気特性から前記センサ素子の良否を評価する処理装置と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感応部と、前記感応部の表面に位置するプローブ分子と、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極とを有するセンサ素子と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加し、前記センサ素子の電気特性から前記センサ素子の良否を評価する処理装置と、
を備えるセンサシステム。
【請求項2】
前記感応部は、グラフェンを含む請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記感応部の前記表面に液を供給する第1液供給機構と、
前記感応部の前記表面に供給された前記液に電圧を印加するゲート電極と、
をさらに備え、
前記感応部を通じて前記第1電極と前記第2電極との間を流れる電流をId、前記ゲート電極の電圧をVgとした場合に、前記電気特性はId-Vg特性である請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記処理装置は、前記Vgを負電圧から正電圧にスイープさせたときの第1のId-Vg特性と、前記Vgを正電圧から負電圧にスイープさせたときの第2のId-Vg特性との比較から、前記センサ素子の良否を評価する請求項3に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記処理装置は、前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Vgが同じ値のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項4に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記処理装置は、前記Vgが0または負のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項5に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記処理装置は、前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Idが同じ値のときの前記Vgの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項4に記載のセンサシステム。
【請求項8】
疎水性の標的分子を含む検体雰囲気を親水性の有機溶剤に曝露する標的分子取り込みユニットと、
前記標的分子を含む前記有機溶剤を水溶液と混合して、検体液を作成する混合ユニットと、
前記検体液を前記感応部の前記表面に供給する第2液供給機構と、
をさらに備える請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記処理装置による前記センサ素子の良否の評価結果を記憶する記憶装置をさらに備える請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記プローブ分子は、たんぱく質、ペプチド、抗体、DNAアプタマー、又はこれらの誘導体生体分子の少なくともいずれか1つを含む請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項11】
感応部の表面にプローブ分子が位置し、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極の間に電圧を印加したセンサ素子の電気特性から、前記センサ素子の良否を評価するセンサ素子の評価方法。
【請求項12】
前記感応部の前記表面に液を供給し、
前記感応部の前記表面に供給された前記液にゲート電極から電圧を印加し、
前記感応部を通じて前記第1電極と前記第2電極との間を流れる電流をId、前記ゲート電極の電圧をVgとした場合に、前記電気特性としてId-Vg特性を測定する請求項11に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項13】
前記Vgを負電圧から正電圧にスイープさせたときの第1のId-Vg特性と、前記Vgを正電圧から負電圧にスイープさせたときの第2のId-Vg特性との比較から、前記センサ素子の良否を評価する請求項12に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項14】
前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Vgが同じ値のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項13に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項15】
前記処理装置は、前記Vgが0または負のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項14に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項16】
前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Idが同じ値のときの前記Vgの差から、前記センサ素子の良否を評価する請求項13に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項17】
溶媒中に前記プローブ分子を含む溶液を、前記感応部の前記表面に供給し、
前記溶媒を揮発させた後、前記感応部の前記表面に前記液を供給する請求項12に記載のセンサ素子の評価方法。
【請求項18】
前記センサ素子が良と評価された場合、前記感応部の前記表面に標的分子を供給して前記電気特性を測定する請求項11に記載のセンサ素子の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサシステム及びセンサ素子の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばグラフェンの表面をプローブ分子で機能化したセンサ素子が提案されているが、不良素子を検出する検査システムが確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、センサ素子の良否を評価することが可能なセンサシステム及びセンサ素子の評価方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサシステムは、感応部と、前記感応部の表面に位置するプローブ分子と、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極とを有するセンサ素子と、前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加し、前記センサ素子の電気特性から前記センサ素子の良否を評価する処理装置と、を備える。
【0006】
本発明の実施形態によれば、センサ素子の評価方法は、感応部の表面にプローブ分子が位置し、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極の間に電圧を印加したセンサ素子の電気特性から、前記センサ素子の良否を評価する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のセンサシステムの概略構成図である。
【
図2】実施形態のセンサユニットの概略構成図である。
【
図3】(a)は良素子におけるId-Vg特性図であり、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、
図3(a)のb点、c点、及びd点におけるプローブ分子の状態を示す模式図である。
【
図4】(a)は不良素子におけるId-Vg特性図であり、(b)、(c)、及び(d)は、それぞれ、
図4(a)のb点、c点、及びd点におけるプローブ分子の状態を示す模式図である。
【
図5】サンプル1~5についてのΔIdの測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
また、同一または同様の要素には、同じ符号を付している。
【0009】
図1に示すように、実施形態のセンサシステムは、センサユニット30と処理装置100とを備える。処理装置100は、例えば、CPUなどの演算装置、記憶装置、センサユニット30に印加する電圧を生成する電源装置、センサユニット30の電気特性を読み取る装置などを含む。処理装置100は、例えば、記憶装置に保存されたソフトウェアに従って、入力された信号を処理し、センサユニット30の動作を制御する。処理装置100は、センサ素子50の良否を判定する。
【0010】
図2に示すように、センサユニット30は、センサ素子50を有する。センサ素子50は、感応部20と、プローブ分子32と、第1電極41と、第2電極42とを有する。感応部20は、標的分子の近接に対して電気的な感応性を有する。例えば、感応部20はグラフェンを含み、センサ素子50はGFET(graphene field effect transistor)構造を有する。なお、感応部20として、グラフェン以外に、例えば、カーボンナノチューブなどを用いることもできる。
【0011】
感応部20、第1電極41、及び第2電極42は、基板10上に支持されている。基板10は、例えば、シリコン基板である。感応部20は、基板10上に下地膜を介して設けることができる。下地膜として、例えば、シリコン酸化膜を用いることができる。また、下地膜に、グラフェンを形成するための化学的触媒の機能をもたせることもできる。
【0012】
第1電極41はFETにおけるドレイン電極として機能し、第2電極42はFETにおけるソース電極として機能することができる。第1電極41及び第2電極41は、感応部20に電気的に接続している。電源44により、第1電極41と第2電極42との間に電圧を印加すると、感応部20を通じて第1電極41と第2電極42との間に電流(ドレイン電流)Idが流れる。センサシステムは、ドレイン電流Idを計測する計測装置45を備えることができる。
【0013】
プローブ分子32は、感応部20の表面に位置する。プローブ分子32が感応部20の表面に位置するとは、プローブ分子32が、感応部20の表面に、化学的、電荷による引力、π-π相互作用、カチオン-π相互作用、又は疎水性相互作用などによって結合、吸着、若しくは、近接し、感応部20の表面にプローブ分子32が拘束されていることを表す。プローブ分子32は、例えば、たんぱく質、ペプチド、抗体、DNAアプタマー、又はこれらの誘導体生体分子の少なくともいずれか1つを含む。プローブ分子32は、例えば、リンカー(または足場分子)33を介して、感応部20の表面に位置することができる。リンカー33として、例えば、ピレンを用いることができる。
【0014】
後述するように、感応部20の表面に、検体雰囲気が取り込まれた溶液が供給される。または、感応部20の表面に検体雰囲気を気相として供給してもよい。プローブ分子32は、検体雰囲気に含まれ得る標的分子を特異的に認識可能、または標的分子と特異的に相互作用可能である。プローブ分子32が標的分子を認識又は捕獲すると、標的分子が感応部20の表面に近接するため、標的分子の持つ電荷、又は標的分子を捕獲することによるプローブ分子32の構造変化によって感応部20の電子状態が変わる。これを、上記ドレイン電流Idの変化として検出することにより、検体雰囲気中の標的分子の存在や濃度を知ることができる。
【0015】
処理装置100は、電源44を制御し第1電極41と第2電極42との間に電圧を印加する。また、処理装置100は、計測装置45によって得られるセンサ素子50の電気特性からセンサ素子50の良否を評価する。これにより、不良素子を除去することができ、検体雰囲気中の標的分子の存在や濃度の誤検知を抑制できる。
【0016】
以下、センサ素子50の電気特性及び良否の評価方法の具体例について説明する。
【0017】
実施形態のセンサシステムは、感応部20の表面に液31を供給する第1液供給機構と、感応部20の表面に供給された液31に電圧を印加するゲート電極43とをさらに備えることができる。第1液供給機構については、
図1を参照して後述する。
【0018】
図2に示すように、感応部20の表面及びプローブ分子32は、液31中に浸漬される。これにより、プローブ分子32が生体由来の分子である場合に、プローブ分子32による標的分子の捕捉能力を向上させることができる。液31は、例えば、水溶液であり、さらに具体的には緩衝液である。
【0019】
第1電極41及び第2電極42は、例えば、絶縁膜(図示せず)で被覆され、第1電極41及び第2電極42は液31と直接接しないようになっている。
【0020】
前述したドレイン電流をId、ゲート電極43の電圧をVgとした場合に、センサ素子50の良否を評価する指標となる電気特性として、Id-Vg特性を用いることができる。
【0021】
Id-Vg特性の一例を、
図3(a)及び
図4(a)に示す。
【0022】
処理装置100は、例えば、Vgを負電圧から正電圧にスイープさせたときの第1のId-Vg特性I(実線)と、Vgを正電圧から負電圧にスイープさせたときの第2のId-Vg特性II(破線)との比較から、センサ素子50の良否を評価する。
【0023】
例えば、第2電極42を接地し、第1電極41に電源44から5mVの電圧を印加する。この状態で、ゲート電極43の電圧Vgを-500mVから+350mVまで10mVステップでスイープさせたときのIdを測定して第1のId-Vg特性Iが得られ、+350mVから-500mVまで10mVステップでスイープさせたときのIdを測定して第2のId-Vg特性IIが得られる。
【0024】
図3(a)は良素子におけるId-Vg特性の一例であり、
図4(a)は不良素子におけるId-Vg特性の一例である。不良素子においては、第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとにおけるVgが同じ値のときのIdの差ΔIdが、良素子のΔIdよりも大きくなる傾向が確認された。
【0025】
したがって、処理装置100は、第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとにおけるVgが同じ値のときのIdの差ΔIdから、センサ素子50の良否を評価することができる。処理装置100は、図示しないインターフェイスによってセンサ素子50の良否を出力することができる。処理装置100は、センサ素子50の良品と評価されたときに、当該センサ素子50用いたセンシング動作を実行する。処理装置100は、センサ素子50の不良品と評価されたときに、当該センサ素子50用いたセンシング動作を実行しない又はセンシング動作を停止する。
【0026】
5つのサンプル1~5についてΔIdの測定を行った。その結果を、
図5に示す。各サンプルにおいて、センサ素子は、感応部としてグラフェンを用いたGFET構造を有する。プローブ分子として、コカインアプタマー(コカイン分子を特異的に認識可能、またはコカイン分子と特異的に相互作用可能な核酸アプタマー)を用いた。グラフェンの表面及びプローブ分子を、リン酸緩衝生理食塩水に浸漬させた。
【0027】
前述した条件で測定された第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとにおけるVgが0mVのときのIdの差ΔIdを測定した。サンプル1のΔIdは0.0009μAであり、サンプル2のΔIdは0.0036μAであり、サンプル3のΔIdは0.068μAであり、サンプル4のΔIdは0.090μAであり、サンプル5のΔIdは0.15μAであった。
【0028】
上記ΔIdを測定した後、各サンプル1~5について、リン酸緩衝生理食塩水に安息香酸メチルを溶解させた。この安息香酸メチル溶液における安息香酸メチルのモル濃度は100μMである。サンプル1及びサンプル2は、安息香酸メチルを入れる前後でIdの大きな変化が見られ、安息香酸メチルに対して応答した。したがって、サンプル1及びサンプル2は、良素子とみなせる。サンプル3~5は、安息香酸メチルを入れる前後でIdの大きな変化は見られず、安息香酸メチルに対して未応答であった。したがって、サンプル3~5は、不良素子とみなせる。
【0029】
上記
図5の結果より、第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとにおけるΔIdの大きさによって、センサ素子の良否を評価することができる。例えば、
図5の例においては、良否判定の閾値として、ΔId=0.04μAを設定することができる。処理装置100は、記憶装置200に保存された閾値と、実測されたΔIdとを比較し、ΔIdが0.04μA以下または0.04μAより小さい場合には良素子と判定し、ΔIdが0.04μAより大きい場合には不良素子と判定することができる。好ましくは、良否判定の閾値として、ΔId=0.01μAを設定することができる。さらに精度を求める場合は、良否判定の閾値として、ΔId=0.006μAを設定することができる。
【0030】
不良素子についてのId-Vg特性を示す
図4(a)を見ると、Vgが正のときの第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとのΔIdよりも、Vgが0または負のときの第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとのΔIdの方が大きい。そのため、処理装置100は、Vgが0または負のときのIdの差ΔIdから、センサ素子50の良否を評価することで、良否判定の精度を向上できる。
【0031】
なお、Id-Vg特性の極小値は、電荷中性点(CNP:Charge Neutral Point)であり、伝導に寄与するキャリア(電子または正孔)が変わる点である。
図4(a)によると、Vgが電荷中性点での値よりも低い値の領域において、第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとの相違が大きくなる。そのため、Vgが電荷中性点での値よりも低い値の領域のΔIdから、センサ素子50の良否を評価することが好ましい。
【0032】
また、処理装置100は、第1のId-Vg特性Iと第2のId-Vg特性IIとにおけるIdが同じ値のときのVgの差ΔVgから、センサ素子50の良否を評価してもよい。良否判定の閾値として、Id=1μAの時のΔVg=10mVを設定することができる。ΔVgが10mV以下または10mVより小さい場合には良素子と判定し、ΔVgが10mVより大きい場合には不良素子と判定することができる。さらに好ましくは、良否判定の閾値として、Id=1μAの時のΔVg=2mVを設定することができる。
【0033】
実施形態のセンサシステムは、処理装置100によるセンサ素子50の良否の評価結果を記憶する記憶装置200(
図1に示す)をさらに備えることができる。また、良否判定の閾値も記憶装置200に記憶しておくことができる。
【0034】
図3(b)は、
図3(a)に示す第1のId-Vg特性Iのb点(Vg<0)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
図3(c)は、
図3(a)に示す第1のId-Vg特性Iのc点(Vg=CNP近傍)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
図3(d)は、
図3(a)に示す第2のId-Vg特性IIのd点(Vg<0)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
【0035】
図3(a)~
図3(d)に示すように、良素子においては、Vgが変動してもプローブ分子32が感応部(グラフェン)20の表面に近接した状態が維持され、プローブ分子32に捕捉された標的分子に対して感応部20が感応しやすいと考えられる。
【0036】
図4(b)は、
図4(a)に示す第1のId-Vg特性Iのb点(Vg<0)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
図4(c)は、
図4(a)に示す第1のId-Vg特性Iのc点(Vg=CNP近傍)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
図4(d)は、
図4(a)に示す第2のId-Vg特性IIのd点(Vg<0)におけるプローブ分子32の状態を示す模式図である。
【0037】
図4(a)~
図4(d)に示すように、不良素子においては、感応部(グラフェン)20の表面に対するプローブ分子32の拘束力が弱く、Vgの変動に伴って、電荷(例えば、負電荷)を持つプローブ分子32が液31中において静電引力により感応部20の表面に対して近づいたり、離れたりしていると考えられる。プローブ分子32の標的分子のトラップサイトが感応部20の表面から離れていると、トラップサイトに標的分子を捕捉しても、感応部20が標的分子の電荷に感応しにくいと考えられる。
【0038】
実施形態のセンサシステムは、
図1に示すように、疎水性の標的分子を含む検体雰囲気を親水性の有機溶剤に曝露する標的分子取り込みユニット62と、標的分子を含む有機溶剤を水溶液と混合して検体液を作成する混合ユニット91と、検体液を感応部20の表面に供給する第2液供給機構とをさらに備えることができる。第2液供給機構は、例えば、混合ユニット91とセンサユニット30とを接続する配管95と、配管95に接続されたバルブ94とを有することができる。
【0039】
標的分子取り込みユニット62は、配管61と配管64に接続されている。配管64には、吸排気装置63が接続されている。吸排気装置63は、例えば、ポンプまたはファンである。吸排気装置63の駆動により、配管61を介して、標的分子取り込みユニット62に検体雰囲気が取り込まれる。本実施形態において、センサ素子の検出対象は、検体雰囲気中に含まれる疎水性の標的分子である。
【0040】
標的分子取り込みユニット62は、有機溶剤の供給源に接続されている。例えば、標的分子取り込みユニット62は、配管69、バルブ68、及び配管66を介して、有機溶剤が貯留された有機溶剤タンク65に接続されている。有機溶剤は、親水性の有機溶剤であり、例えば、エタノール、メタノールなどの低級アルコール、DMSO(Dimethyl Sulfoxide)、DMF(N,N-dimethylformamide)、アセトン、及びアセトニトリルからなる群より選択されるいずれかである。
【0041】
有機溶剤タンク65から有機溶剤が標的分子取り込みユニット62に供給される。標的分子取り込みユニット62は、疎水性の標的分子を含む可能性のある検体雰囲気を親水性の有機溶剤に曝露する。
【0042】
標的分子取り込みユニット62は、排液するための配管77に接続され、配管77にはバルブ76が接続されている。また、標的分子取り込みユニット62は、配管73、バルブ72、及び配管74を介して、計量ユニット78に接続されている。
【0043】
有機溶剤タンク65は、配管66、バルブ68、配管71、バルブ72、及び配管74を介して、計量ユニット78に接続されている。
【0044】
計量ユニット78は、排液するための配管79に接続され、配管79にはバルブ81が接続されている。また、計量ユニット78は、配管83を介して混合ユニット91に接続され、配管83にはバルブ82が接続されている。
【0045】
混合ユニット91には、水溶液の供給源が接続されている。例えば、混合ユニット91は、計量ユニット87を介して、水溶液が貯留された水溶液タンク84に接続されている。水溶液タンク84と計量ユニット87とを接続する配管85にはバルブ86が接続されている。混合ユニット91と計量ユニット87とを接続する配管89にはバルブ88が接続されている。水溶液は、例えば、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、トリス塩酸緩衝液などである。
【0046】
混合ユニット91には、標的分子取り込みユニット62から標的分子を含み得る有機溶剤が供給され、さらに水溶液タンク84から水溶液が供給される。そして、混合ユニット91は、標的分子を含み得る有機溶剤を水溶液と混合して、検体液を作成する。
【0047】
混合ユニット91は、配管95を介してセンサユニット30に接続されている。配管95には、バルブ94が接続されている。混合ユニット91は、排液するための配管93に接続され、配管93にはバルブ92が接続されている。
【0048】
センサユニット30における感応部20の表面は、検体液が供給される流路内に曝露されている。感応部20の表面及びプローブ分子32は検体液に曝露される。センサユニット30は、排液するための配管97に接続され、配管97にはバルブ96が接続されている。
【0049】
例えば、標的分子取り込みユニット62は、検体雰囲気を有機溶剤にバブリングさせるタンクを有する。このタンクは、配管69、バルブ68、及び配管66を介して、有機溶剤タンク65と接続されている。配管66にはポンプ67が接続されている。バルブ68を配管69側に開き、ポンプ67を駆動させることで、有機溶剤タンク65に貯留された有機溶剤が標的分子取り込みユニット62のタンク内に供給される。
【0050】
配管61の一端部には雰囲気捕集口が形成されている。配管61の他端部は、標的分子取り込みユニット62のタンク内の有機溶剤中に位置する。配管64の一端部は、標的分子取り込みユニット62のタンク内の有機溶剤より上部の気相部に位置し、配管64の他端部は排気口となっている。標的分子取り込みユニット62のタンクと、配管64の排気口の途中に吸排気装置63が接続されている。吸排気装置63を駆動させることにより、雰囲気捕集口から配管61内に取り込まれた検体雰囲気は、標的分子取り込みユニット62のタンク内の有機溶剤にバブリングされ、検体雰囲気中の標的分子は有機溶剤に溶解する。
【0051】
標的分子取り込みユニット62のタンクは、配管73、バルブ72、及び配管74を介して、計量ユニット78に接続されている。バルブ72を配管73側に開き、配管74に接続されたポンプ75を駆動させることで、標的分子取り込みユニット62のタンク内の標的分子を含み得る有機溶剤が計量ユニット78に供給される。
【0052】
実施形態のセンサシステムを用いた標的分子の検出方法は、以下に説明するステップを備えることができる。
【0053】
(第1ステップ)
吸排気装置63を駆動させ、配管61を通じて、検体雰囲気を標的分子取り込みユニット62に取り込む。また、バルブ68を配管66と配管69との間を連通させる状態に切り替え、ポンプ67を駆動し、有機溶剤タンク65から有機溶剤を標的分子取り込みユニット62に供給する。この標的分子取り込みユニット62において、検体雰囲気中の標的分子が有機溶剤に溶解する。
【0054】
疎水性の標的分子は水溶液には難溶性であるが、有機溶剤には溶解し、有機溶剤中に分散する。したがって、疎水性の標的分子を空気中から液体に効率的に取り込むことができる。
【0055】
(第2ステップ)
バルブ72を、配管73と配管74との間を連通させる状態に切り替え、ポンプ75を駆動し、標的分子取り込みユニット62から、標的分子が溶解した有機溶剤を計量ユニット78に供給する。また、バルブ86を開いて、水溶液タンク84から水溶液を計量ユニット87に供給する。
【0056】
水溶液は、例えば、標的分子と親和性がある標識分子を含んでもよい。標識分子は親水性であり、水溶液中に溶解している。水溶液は、例えば、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、トリス塩酸緩衝液などである。標識分子の分子数は、標的分子の分子数よりも多い。標識分子は、標的分子よりも分子量の大きな分子と、電荷を持つ分子と、分極を持った極性分子とのいずれかである。標識分子は、例えば、アルギニン、アルギニンメチルエステル、アルギニンアミド、核酸アプタマー、またはペプチドである。
【0057】
(第3ステップ)
バルブ82を開いて、計量ユニット78において計量された第1所定量の有機溶剤(標的分子を含み得る)を混合ユニット91に供給する。また、バルブ88を開いて、計量ユニット87において計量された第2所定量の水溶液を混合ユニット91に供給する。これにより、混合ユニット91において、標的分子を含み得る第1所定量の有機溶剤が、第2所定量の水溶液と混合された検体液が作成される。
【0058】
親水性の有機溶剤は水溶液中で拡散し、有機溶剤と水溶液は混和する。そして、有機溶剤に標的分子が含まれる場合、標的分子は水溶液中に急激に放散し、検体液が得られる。標的分子は疎水性であるため、検体液中で不安定な状態で取り残される。標的分子は、疎水性であるが、水溶液に混合する際には親水性の有機溶剤中に分散している。この親水性の有機溶剤が水溶液に混合するので、有機溶剤を介さずに疎水性の標的分子を直接水溶液に取り込むよりも小さなエネルギーで、標的分子を水溶液中に効率よく分散させることができる。
【0059】
また、前述したように水溶液には標識分子が分散している。したがって、検体液中にも標識分子が分散している。検体液は有機溶剤を水溶液で希釈した水溶液であり、検体液中の疎水性の標的分子は不安定な状態である。この不安定な標的分子は、近傍の標識分子と会合する。例えば、標的分子としてのリモネンと、標識分子としてのアルギニンアミドとがΠ-Π相互作用で結合し、会合体を形成する。
【0060】
(第4ステップ)
検体液は、バルブ94を開くことで、混合ユニット91から配管95を通じてセンサユニット30に供給される。そして、センサユニット30において、検体液中の標的分子に応じた電気特性(例えば、前述したId-Vg特性)が測定される。
【0061】
標的分子がプローブ分子32に捕捉され、感応部20の表面に近接すると、感応部20の表面の電子状態が変化し、Idが変動する。このIdの変動により、検体液中の標的分子の存在や濃度の検出が可能になる。
【0062】
なお、標的分子が無電荷で分子量が小さい場合(例えば分子量が300以下の場合)、標的分子の近接による感応部20の表面の電子状態の変化を検出することが難しい場合がある。本実施形態によれば、前述したように、標的分子は標識分子に会合しているため、標的分子がプローブ分子32に捕捉されると、標識分子も感応部20の表面に近接する。ここで、標識分子がアルギニンアミドのように強い電荷を持つ場合、あるいは核酸やペプチドのような大きな分子量(例えば500以上)を持つ場合には、この標識分子の近接(例えば標識分子がもつ電荷の近接や大きな標識分子が近接したことによる溶液界面のイオンの分布の変化)による感応部20の電子状態の変化を検出することができる。これにより、標的分子だけの近接では検出が困難な場合であっても、標識分子の近接を検出することによって、検体液中の標的分子の存在や濃度を検出することが可能となる。
【0063】
(第5ステップ)
バルブ76を開いて、標的分子取り込みユニット62内の検体雰囲気が曝露された有機溶剤の残りを、配管77を通じて標的分子取り込みユニット62から排出する。また、バルブ92を開いて、混合ユニット91内の検体液の残りを、配管93を通じて混合ユニット91から排出する。
【0064】
(第6ステップ)
バルブ68及びバルブ72を、それぞれ配管69及び配管73側に開き、さらにバルブ81を開いて、有機溶剤タンク65から有機溶剤を標的分子取り込みユニット62及び計量ユニット78を経由して配管79へと排液する。標的分子取り込みユニット62及び計量ユニット78は、検体雰囲気が曝露されない有機溶剤タンク65内の有機溶剤によって洗浄される。標的分子取り込みユニット62及び計量ユニット78から、標的分子が排出される。
【0065】
(第7ステップ)
バルブ68及びバルブ72を配管71側に開いて、有機溶剤タンク65から有機溶剤を配管71を通じて計量ユニット78に供給する。有機溶剤タンク65から有機溶剤を標的分子取り込みユニット62を経由せずに計量ユニット78に供給する。また、バルブ86を開いて、水溶液タンク84から、水溶液を配管85を通じて計量ユニット87に供給する。
【0066】
(第8ステップ)
バルブ82を開いて、計量ユニット78において計量された上記と同じ第1所定量の有機溶剤(これは標的分子を含まない)を、混合ユニット91に供給する。また、バルブ88を開いて、計量ユニット87において計量された上記と同じ第2所定量の水溶液を混合ユニット91に供給する。これにより、混合ユニット91において、標的分子を含まない第1所定量の有機溶剤が、第2所定量の水溶液と混合されたコントロール溶液が作成される。混合ユニット91から配管95を通じてセンサユニット30に供給される溶液が液31となる。標的分子を取り込んだ有機溶剤水溶液を検体液と称する。
【0067】
(第9ステップ)
コントロール溶液は、バルブ94を開くことで、混合ユニット91から配管95を通じてセンサユニット30に供給される。標的分子を含まないコントロール溶液に曝露されたセンサ素子50における計測信号(電気特性)と、検体液に曝露されたセンサ素子50における計測信号(電気特性)とを比較することで、検体液中に標的分子が含まれる場合には、外乱ノイズを補正した高精度の標的分子の検出を行うことができる。
【0068】
本実施形態によれば、疎水性の標的分子が有機溶剤に濃縮して取り込まれ、その標的分子を取り込んだ有機溶剤水溶液(検体液)を感応部20の表面に曝露するので、疎水性の標的分子を直接水溶液に取り込む場合よりも、標的分子の検出感度を高くすることができる。
【0069】
生体由来の分子(例えば、ペプチド、DNAアプタマーなど)は水溶液中で機能する。そのため、生体由来の分子をプローブ分子32として用いた場合に有機溶剤を感応部20の表面に曝露すると、生体由来のプローブ分子32の構造が変わってしまう、あるいは破壊されてしまい、プローブ分子32による標的分子の捕捉能力が低下する。
【0070】
また、グラフェンは疎水性のため、有機溶剤との親和性が高く、有機溶剤を感応部20としてのグラフェンの表面に曝露するとダメージを受ける可能性がある。このダメージにより、グラフェンと下地膜との接着面や、第1及び第2電極41、42と、これを覆う保護絶縁膜との界面に有機溶剤が浸入して、グラフェンや保護絶縁膜の剥離を誘発する懸念がある。
【0071】
本実施形態では、有機溶剤を水溶液で希釈した水溶液である検体液が、感応部20の表面に曝露されるため、上記問題が起こらない。
【0072】
センサ素子50の良否を評価する際に感応部20の表面に供給される液31としては、上記コントロール溶液を用いることができる。または、水溶液タンク84内の水溶液のみを感応部20の表面に供給される液31として用いてもよい。感応部20の表面に液31を供給する上記第1液供給機構は、少なくとも、水溶液タンク84と、水溶液タンク84とセンサユニット30との間を接続する配管85、89、95とを含むことができる。
【0073】
実施形態のセンサ素子の評価方法において、溶媒中にプローブ分子32を含む溶液を、感応部20の表面に供給し、溶媒を揮発させた後、感応部20の表面に液31を供給することができる。例えば、プローブ分子32を含む溶液を感応部20の表面に供給した後、感応部20の表面を常温で所定時間以上乾燥させることで溶媒を揮発させる。これにより、前述した
図3(b)~(d)に示すようにプローブ分子32が感応部20の表面に近接して拘束されやすくなり、センサ素子を良素子にしやすくできる。溶媒として、例えば、緩衝液を用いることができる。
【0074】
また、実施形態のセンサ素子の評価方法において、センサ素子50が良と評価された場合、感応部20の表面に標的分子を供給して電気特性を測定することができる。この電気特性の測定において感応部20が標的分子に感応することが確認できれば、そのセンサ素子が良素子であると確定することができる。
【0075】
実施形態は、以下のセンサシステム及びセンサ素子の評価方法を含むことができる。
【0076】
[構成1]
感応部と、前記感応部の表面に位置するプローブ分子と、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極とを有するセンサ素子と、
前記第1電極及び前記第2電極の間に電圧を印加し、前記センサ素子の電気特性から前記センサ素子の良否を評価する処理装置と、
を備えるセンサシステム。
[構成2]
前記感応部は、グラフェンを含む構成1に記載のセンサシステム。
[構成3]
前記感応部の前記表面に液を供給する第1液供給機構と、
前記感応部の前記表面に供給された前記液に電圧を印加するゲート電極と、
をさらに備え、
前記感応部を通じて前記第1電極と前記第2電極との間を流れる電流をId、前記ゲート電極の電圧をVgとした場合に、前記電気特性はId-Vg特性である構成1または2に記載のセンサシステム。
[構成4]
前記処理装置は、前記Vgを負電圧から正電圧にスイープさせたときの第1のId-Vg特性と、前記Vgを正電圧から負電圧にスイープさせたときの第2のId-Vg特性との比較から、前記センサ素子の良否を評価する構成3に記載のセンサシステム。
[構成5]
前記処理装置は、前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Vgが同じ値のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成4に記載のセンサシステム。
[構成6]
前記処理装置は、前記Vgが0または負のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成5に記載のセンサシステム。
[構成7]
前記処理装置は、前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Idが同じ値のときの前記Vgの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成4に記載のセンサシステム。
[構成8]
疎水性の標的分子を含む検体雰囲気を親水性の有機溶剤に曝露する標的分子取り込みユニットと、
前記標的分子を含む前記有機溶剤を水溶液と混合して、検体液を作成する混合ユニットと、
前記検体液を前記感応部の前記表面に供給する第2液供給機構と、
をさらに備える構成1~7のいずれか1つに記載のセンサシステム。
[構成9]
前記処理装置による前記センサ素子の良否の評価結果を記憶する記憶装置をさらに備える構成1~8のいずれか1つに記載のセンサシステム。
[構成10]
前記プローブ分子は、たんぱく質、ペプチド、抗体、DNAアプタマー、又はこれらの誘導体生体分子の少なくともいずれか1つを含む構成1~9のいずれか1つに記載のセンサシステム。
[構成11]
感応部の表面にプローブ分子が位置し、前記感応部と電気的に接続された第1電極及び第2電極の間に電圧を印加したセンサ素子の電気特性から、前記センサ素子の良否を評価するセンサ素子の評価方法。
[構成12]
前記感応部の前記表面に液を供給し、
前記感応部の前記表面に供給された前記液にゲート電極から電圧を印加し、
前記感応部を通じて前記第1電極と前記第2電極との間を流れる電流をId、前記ゲート電極の電圧をVgとした場合に、前記電気特性としてId-Vg特性を測定する構成11に記載のセンサ素子の評価方法。
[構成13]
前記Vgを負電圧から正電圧にスイープさせたときの第1のId-Vg特性と、前記Vgを正電圧から負電圧にスイープさせたときの第2のId-Vg特性との比較から、前記センサ素子の良否を評価する構成12に記載のセンサ素子の評価方法。
[構成14]
前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Vgが同じ値のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成13に記載のセンサ素子の評価方法。
[構成15]
前記処理装置は、前記Vgが0または負のときの前記Idの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成14に記載のセンサ素子の評価方法。
[構成16]
前記第1のId-Vg特性と前記第2のId-Vg特性とにおける前記Idが同じ値のときの前記Vgの差から、前記センサ素子の良否を評価する構成13に記載のセンサ素子の評価方法。
[構成17]
溶媒中に前記プローブ分子を含む溶液を、前記感応部の前記表面に供給し、
前記溶媒を揮発させた後、前記感応部の前記表面に前記液を供給する構成12~16のいずれか1つに記載のセンサ素子の評価方法。
[構成18]
前記センサ素子が良と評価された場合、前記感応部の前記表面に標的分子を供給して前記電気特性を測定する構成11~17のいずれか1つに記載のセンサ素子の評価方法。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
10…基板、20…感応部、30…センサユニット、31…液、32…プローブ分子、41…第1電極、42…第2電極、43…ゲート電極、50…センサ素子、100…処理装置、200…記憶装置