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特開2025-84687部品の交換領域又はベース領域に印刷された部品用金属多孔質領域
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025084687
(43)【公開日】2025-06-03
(54)【発明の名称】部品の交換領域又はベース領域に印刷された部品用金属多孔質領域
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/38 20210101AFI20250527BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20250527BHJP
   B22F 10/50 20210101ALI20250527BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20250527BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20250527BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20250527BHJP
【FI】
B22F10/38
B22F10/28
B22F10/50
B33Y80/00
B33Y10/00
B33Y50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024180875
(22)【出願日】2024-10-16
(31)【優先権主張番号】18/495,816
(32)【優先日】2023-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サルム、ジェイコブ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】オストルート、ネイサン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ハント、マーク ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ペムリック、ジェイムズ ワレン
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン、スタンリー フランク
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品の交換領域又はそのベース領域に印刷された金属多孔質領域を用いて部品を補修する方法を提供する。
【解決手段】部品は、稠密なベース領域204、稠緻密な交換領域206、及び稠密なベース領域204と稠緻密な交換領域206との間に積層造成(AM)多孔質領域200とを含む。多孔質領域200は、AM多孔質領域200の総体積に対して2%~50%の空洞空間体積の間のポロシティを有する。多孔質領域200は、ベース領域204又は交換領域206に印刷することができる。ろう材は、ベース領域204、多孔質領域200及び交換領域206を結合し、少なくともポロシティの特性に基づいて多孔質領域200に溶浸する。多孔質領域200は、密集領域204、206間の接合部での応力を軽減し、ベース領域と交換領域204、206の物理的特性とは異なる物理的特性を作成するようにカスタマイズできる。
【選択図】図9C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(202)であって、当該部品(202)が、
稠密な第1の領域、
稠密な第2の領域、
稠密な第1の領域と稠密な第2の領域との間の積層造形(AM)多孔質領域(200)であって、積層造形多孔質領域(200)の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有する積層造形多孔質領域(200)、及び
稠密な第1の領域と積層造形多孔質領域(200)と稠密な第2の領域を結合するろう材(310)であって、少なくともそのポロシティの特性に基づいて積層造形多孔質領域(200)に溶浸しているろう材(310)
を含む部品(202)。
【請求項2】
前記積層造形多孔質領域(200)のポロシティが、稠密な第1の領域と稠密な第2の領域の間の長さ、幅及び厚さの少なくとも1つに沿って変化する、請求項1に記載の部品(202)。
【請求項3】
前記ポロシティが、積層造形多孔質領域(200)の総体積に対して10%~40%の空洞空間体積である、請求項1に記載の部品(202)。
【請求項4】
前記積層造形多孔質領域(200)がその内部に冷却通路(336)を含む、請求項1に記載の部品(202)。。
【請求項5】
稠密な第1の領域及び稠密な第2の領域が中実材料である、請求項1に記載の部品(202)。
【請求項6】
部品(202)を補修する方法であって、当該方法が、
前記部品(202)の稠密なベース領域(204)から交換すべき領域(320)を除去して、稠密なベース領域(204)上に第1の表面(322)を残すステップと、
稠密なベース領域(204)の第1の表面(322)及び稠密な交換領域(206)の第2の表面(330)のいずれかに多孔質領域(200)を積層造形するステップであって、多孔質領域(200)が、多孔質領域(200)の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有する、ステップと、
稠密な交換領域(206)及び稠密なベース領域(204)をそれらの間の多孔質領域(200)と共に配置するステップと、
稠密なベース領域(204)と稠密な交換領域(206)と多孔質領域(200)を結合するために多孔質領域(200)をろう材(310)で溶浸するステップと
を含む方法。
【請求項7】
積層造形するステップが、稠密なベース領域(204)の第1の表面(322)上に多孔質領域(200)を形成することを含んでおり、配置するステップが、多孔質領域(200)上に稠密な交換領域(206)を配置することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
積層造形するステップが、稠密な交換領域(206)に接する多孔質領域(200)の第3の表面又はその近傍の第1の位置に、稠密なベース領域(204)の第1の表面(322)に近い多孔質領域(200)内の第2の位置よりも高いポロシティを形成することを含んでおり、溶浸するステップが、第2の位置よりも第1の位置で多孔質領域(200)に多くのろう材(310)を溶浸させることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
積層造形するステップが、稠密な交換領域(206)の第2の部材(334)とロック係合するように構成された第1の部材(332)で多孔質領域(200)を形成することを含んでおり、配置するステップが、多孔質領域(200)及び稠密な交換領域(206)を第1及び第2の部材(332,334)と共にロック係合することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
積層造形するステップが、稠密な交換領域(206)の第2の表面(330)上に多孔質領域(200)を形成することを含んでおり、配置するステップが、稠密なベース領域(204)の第1の表面(322)上に多孔質領域(200)を配置することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
積層造形するステップが、稠密なベース領域(204)の第1の表面(322)に接触する多孔質領域(200)の第3の表面又はその近くで、稠密な交換領域(206)の第2の表面(330)に近い多孔質領域(200)の第2の位置よりも高いポロシティを形成することを含んでおり、溶浸するステップが、第2の位置よりも第1の位置で多孔質領域(200)により多くのろう材(310)を溶浸させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
積層造形するステップが、稠密なベース領域(204)の第2の部材(334)とロック係合するように構成された第1の部材(332)と多孔質領域(200)を形成することを含んでおり、配置するステップが、多孔質領域(200)及び稠密なベース領域(204)を第1及び第2の部材(332,334)と共にロック係合することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
多孔質領域(200)及び稠密な交換領域(206)が、集合的に、交換すべき領域(320)の形状及び寸法を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
多孔質領域(200)のポロシティが、稠密な交換領域(206)と稠密なベース領域(204)の間の長さ、幅及び厚さの少なくとも1つに沿って変化する、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
稠密なベース領域(204)及び稠密な交換領域(206)が中実材料である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、部品の補修に関するものであり、さらに具体的には、当該部品の交換領域又はそのベース領域に印刷された金属多孔質領域を用いて部品を補修することに関連する。
【背景技術】
【0002】
工業用部品は、時々補修を必要とすることが々ある。例えば、ターボ機械でエネルギー生成のため作動流体を導くのに使用される高温ガス経路部品は、補修を要することがある。高温ガス経路部品は、エネルギー生成のため作動流体を導く翼形部を含むタービンロータブレード又は静止ベーンのように、様々な形状をとり得る。ロータブレードはタービンロータに結合されてタービンロータを回転させるように作用し、静止ベーンはターボ機械のケーシングに結合されて作動流体をロータブレードに向けて導く。
【0003】
直接金属レーザ溶融(DMLM)又は選択的レーザ溶融(SLM)のような積層造形は、工業部品を製造するための信頼性の高い製造方法として登場した。積層造形技術の登場により、ターボ機械のノズルの前縁又は後縁の一部のような部品の一部を交換することもできるようになった。例えば、ターボ機械のノズルの前縁の一部を除去してノズルに切欠部を残し、新しいセクション(本明細書では「多孔質領域」という)を切欠部に結合してもよい。多孔質領域は、切欠部の形状と少なくとも概ね一致する形状をもつように積層造形される。この多孔質領域は、使用済みのターボ機械ノズルの一部を交換するか、新しいターボ機械ノズルの一部として追加できる。
【0004】
ただし、交換用多孔質領域は、部品の除去部分と同じ材料及び外装構造で作られる。そのため、交換用多孔質領域には、元の部品及び/又は切欠部と同じ短所の幾つかがみられ、多孔質領域強度、耐酸化性、サイクル疲労、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、熱伝導率又は導電率及び/又は質量減少のような全般的性能特性が改善されることはない。1種類のろう材を用いて交換用多孔質領域を部品に結合すると、上述の全般的性能特性、さらには継手密着強さ及び信頼性の向上、ろう付け後に必要とされる機械加工/ブレンディング作業の低減のような、継手に関連する追加の性能特性の改善もできなくなる。また、除去した切欠部と実質的に同一材料の多孔質領域を使用すると、交換用多孔質領域の高額な材料コストを削減できず、交換用領域と部品の残部との継手の応力が高くなるおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
以下に挙げるすべての態様、具体例及び特徴は、技術的に可能な方法で組合せることができる。
【0006】
本開示の一つの態様は、以下を含む部品を提供するが、本部品は、稠密な第1の領域、稠密な第2の領域、稠密な第1の領域と稠密な第2の領域との間の積層造形(AM)多孔質領域であって、AM多孔質領域の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有するAM多孔質領域、及び稠密な第1の領域とAM多孔質領域と稠密な第2の領域を結合するろう材であって、少なくともそのポロシティの特性に基づいてAM多孔質領域に溶浸しているろう材を含む。
【0007】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM多孔質領域のポロシティは、稠密な第1の領域と稠密な第2の領域の間の長さ、幅及び厚さの少なくとも1つに沿って変化する。
【0008】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、ポロシティは、AM多孔質領域の総体積に対して10%~40%の空洞空間体積である。
【0009】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、AM多孔質領域はその内部に冷却通路を含む。
【0010】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、稠密な第1の領域及び稠密な第2の領域は中実材料である。
【0011】
本開示の別の態様は、部品を補修する方法を包含し、本方法は、部品の稠密なベース領域から交換すべき領域を除去して、稠密なベース領域上に第1の表面を残すステップと、稠密なベース領域の第1の表面及び稠密な交換領域の第2の表面のいずれかに多孔質領域を積層造形するステップであって、多孔質領域は、多孔質領域の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有する、ステップと、稠密な交換領域及び稠密なベース領域をそれらの間の多孔質領域と共に配置するステップと、稠密なベース領域と稠密な交換領域と多孔質領域を結合するために多孔質領域をろう材で溶浸するステップとを含む。
【0012】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密なベース領域の第1の表面上に多孔質領域を形成することを含んでおり、配置するステップは、多孔質領域上に稠密な交換領域を配置することを含む。
【0013】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密な交換領域に接する多孔質領域の第3の表面又はその近傍の第1の位置に、稠密なベース領域の第1の表面に近い多孔質領域内の第2の位置よりも高いポロシティを形成することを含んでおり、溶浸するステップは、第2の位置よりも第1の位置で多孔質領域に多くのろう材を溶浸させることを含む。
【0014】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密な交換領域の第2の部材とロック係合するように構成された第1の部材で多孔質領域を形成することを含んでおり、配置するステップは、多孔質領域及び稠密な交換領域を第1及び第2の部材と共にロック係合することを含む。
【0015】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密な交換領域の第2の表面上に多孔質領域を形成することを含んでおり、配置するステップは、稠密なベース領域の第1の表面上に多孔質領域を配置することを含む。
【0016】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密なベース領域の第1の表面に接触する多孔質領域の第3の表面又はその近傍に、稠密な交換領域の第2の表面に近い多孔質領域の第2の位置よりも高いポロシティを形成することを含んでおり、溶浸するステップは、第2の位置よりも第1の位置で多孔質領域により多くのろう材を溶浸させることを含む。
【0017】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密なベース領域の第2の部材とロック係合するように構成された第1の部材と多孔質領域を形成することを含んでおり、配置するステップは、多孔質領域及び稠密なベース領域を第1及び第2の部材と共にロック係合することを含む。
【0018】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域及び稠密な交換領域は、集合的に、交換すべき領域の形状及び寸法を有する。
【0019】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティは、稠密な交換領域と稠密なベース領域の間の長さ、幅、及び厚さの少なくとも1つに沿って変化する。
【0020】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、稠密なベース領域及び稠密な交換領域は中実材料である。
【0021】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、多孔質領域に冷却通路を形成することを含む。
【0022】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、溶浸するステップは、真空ろう付け、誘導ろう付け又は不活性ガス雰囲気加熱を使用することを含む。
【0023】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域を積層造形するステップは、金属粉末の層を融合するために1以上の溶融ビーム源を有するシステムを使用することを含んでおり、さらに、多孔質領域のポロシティを制御するためのシステムのパラメータを調整することを含む。
【0024】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、パラメータを調整することは、1以上の溶融ビームの溶融領域の重複量を調整すること、システム走査速度を調整すること、及び溶融ビームスポットのサイズ、焦点又は出力の1以上を調整することの1以上を含む。
【0025】
本開示の別の態様は、部品を補修する方法を包含し、本方法は、部品の稠密なベース領域から交換すべき領域を除去して、稠密なベース領域上に第1の表面を残すステップと、稠密なベース領域の第1の表面に多孔質領域、及び多孔質領域上に稠密な交換領域を積層造形するステップであって、多孔質領域は、多孔質領域の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有する、ステップと、稠密なベース領域と稠密な交換領域と多孔質領域とを一緒に固定するために多孔質領域をろう材で溶浸するステップとを含む。
【0026】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、稠密な交換領域に最も近い多孔質領域の第1のセクション及び稠密なベース領域に最も近い多孔質領域の第2のセクションの少なくとも1つにおいて第1のセクションと第2のセクションとの間の多孔質領域の第3のセクションよりもポロシティを高く形成することを含んでおり、溶浸するステップは、多孔質領域の第3セクションよりも第1セクション及び第2セクションのうちの少なくとも1つに多くのろう材を溶浸させることを含む。
【0027】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域及び稠密な交換領域は、集合的に、交換すべき領域を置き換える形状及び寸法を有する。
【0028】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、多孔質領域のポロシティは、稠密な交換領域と稠密なベース領域の間の長さ、幅、及び厚さの少なくとも1つに沿って変化する。
【0029】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、稠密なベース領域及び稠密な交換領域は中実材料である。
【0030】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、積層造形するステップは、多孔質領域に冷却通路を形成することを含む。
【0031】
本開示の別の態様は、上述の態様のいずれかを包含し、溶浸するステップは、真空ろう付け、誘導ろう付け又は不活性ガス雰囲気加熱を使用することを含む。
【0032】
この発明の概要の欄に記載した態様も含めて、本開示に記載した2以上の態様を組合せて、本明細書に具体的に記載されていない実施態様としてもよい。すなわち、本願に記載された実施形態はすべて互いに組合せることができる。
【0033】
1以上の実施態様の詳細を、添付の図面及び以下の説明に記載する。その他の特徴、態様及び利点は、発明の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示の上記その他の特徴については、本開示の様々な実施形態について記載する添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。
図1】本開示の実施形態に係る部品を含むガスタービンシステムの形態の例示的な産業機械の概略図。
図2】本開示の実施形態に係る部品を含む図1のガスタービンシステムで使用し得る例示的なガスタービンアセンブリの断面図。
図3】本開示の実施形態に係る金属多孔質領域を含むタービン回転ブレードの形態の部品の斜視図。
図4】本開示の実施形態に係る金属多孔質領域を含むタービンノズルの形態の部品の斜視図。
図5】本開示の実施形態に従って金属多孔質領域を積層造形するための例示的な積層造形システムの概略ブロック図。
図6A】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属多孔質領域の上面図。
図6B】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属多孔質領域の上面図。
図6C】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属多孔質領域の上面図。
図6D】本開示の実施形態に係るポロシティの異なる複数の多孔質領域を有するサンプル金属多孔質領域の上面図。
図7A】本開示の様々な実施形態に従って、部品から交換すべき領域を除去する側面図。
図7B】本開示の様々な実施形態に従って、部品から交換すべき領域を除去する側面図。
図8A】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図8B】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図8C】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図8D】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図8E】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9A】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9B】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9C】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9D】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9E】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図9F】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図10A】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図10B】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図10C】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図10D】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図10E】本開示の様々な実施形態に係る方法の側面図。
図11A】本開示の実施形態に係る金属多孔質領域の上面図。
図11B】本開示の実施形態に係る金属多孔質領域の概略側面図。
【0035】
本開示の図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は、本開示の典型的な態様を例示するものにすぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。図面において、同様の符号は複数の図面間で同様の構成要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
まず、本開示の技術的内容を明確に説明するため、ターボ機械の例示的用途で関連する機械部品について言及及び説明する際に、用語を選択する必要がある。できるだけ、当技術分野で一般的な用語を、その通常の意味と一致するように用いる。別途記載されていない限り、かかる用語は、本願の文脈及び添付の特許請求の範囲に則して広義に解釈すべきである。ある部品について幾つかの異なる又は重複する用語を用いて言及することが多々あることは当業者には明らかであろう。本明細書において、単一の部材として記載したものであっても、別の文脈では複数の部品からなるものとして記載することもある。或いは、本明細書のある箇所で複数の部品を含むものとして記載したものであっても、別の箇所では単一の部材として記載することもある。
【0037】
さらに、本明細書では幾つかの記述的用語を繰返し用いるが、本欄の冒頭でこれらの用語を定義しておくと有用であろう。これらの用語及びその定義は、別途明記しない限り、以下の通りである。本明細書で用いる「下流」及び「上流」という用語は、流体の流れ(例えばタービンエンジンを通る作動流体の流れ、或いは燃焼器を通る空気又はタービンの部品系の1つを通る冷却剤の流れなど)に関する方向を示す用語である。「下流」という用語は流体が流れていく方向に対応し、「上流」という用語は流れと反対の方向(すなわち、流れてくる方向)をいう。「前方」及び「後方」という用語は、それ以上は特定されない方向をいい、「前方」はターボ機械の前方又は圧縮機端を示し、「後方」はターボ機械の後方又はタービン端を示す。
【0038】
さらに、本明細書では、以下に記載する通り、幾つかの記述的用語を繰返し用いる。「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を示すものではない。
【0039】
本明細書で用いる用語は、特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、開示内容を限定するものではない。本明細書において、単数形で記載したものであっても、前後関係から別途明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。本明細書において、「備える」、「含む」及び/又は「有する」という用語は、記載した特徴、整数、ステップ、操作、構成要素及び/又は部品が存在することを示し、他の1以上の特徴、整数、ステップ、操作、構成要素、部品及び/又はこれらの群の存在又は追加を除外するものではない。「任意」又は「適宜」という用語は、その用語に続いて記載された事象が起きても起きなくてもよい、或いはその用語に続いて記載された特徴が存在しても存在しなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象が起こる又はその特徴が存在する場合と、その事象が起こらない又はその特徴が存在しない場合とを包含する。
【0040】
ある構成要素又は層が別の構成要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」、「に結合」又は「に装着」しているという場合、その別の構成要素又は層の上に直接位置していても、その別の構成要素又は層に直接係合、接続、結合又は装着していてもよいし、或いは介在する構成要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素又は層「の直接上」、「に直接係合」、「に直接接続」又は「に直接結合」しているという場合、介在する構成要素又は層は存在しない。構成要素間の関係について説明するために用いられる他の用語(例えば、「~の間」と「直接~の間」、「隣接」と「直接隣接」など)も同様に解釈される。「結合」及び「装着」の動詞形は、同義に用いられることがある。
【0041】
上述したように、本開示は、稠密なベース領域、稠密な交換領域、及び稠密なベース領域と稠密な交換領域との間の積層造形(AM)多孔質領域を含む構成要素を提供する。多孔質領域は、多孔質領域の総体積に対して2%~50%の空洞空間体積の間のポロシティを有する。多孔質領域は、ベース領域又は交換領域に印刷できる。ろう材は、ベース領域、多孔質領域、及び交換領域を結合し、少なくともポロシティの特性に基づいて多孔質領域に溶浸する。部品の修復方法は、部品の稠密なベース領域から交換すべき領域を除去し、その稠密なベース領域上に第1の表面を残し、ベース領域の第1の表面と交換領域の第2の表面の1つに多孔質領域を積層造形することを含んでいてもよい。ベース領域と交換領域を一緒に配置した後、ろう材が多孔質領域に溶浸し、ベース領域、交換領域、及び多孔質領域を結合する。他の実施形態では、多孔質領域及び交換領域をベース領域に順次印刷してもよく、次いで、多孔質領域にろう材を溶浸させてもよい。多孔質領域の1以上のポロシティは、1以上のろう材の流れを、以前に可能であったものとは異なる物理的特性を作り出すために、例えば、必要な場所でより多くのろう材を向けることによって、特別な形状にろう材を向けることによって、及び/又は複数のろう材の使用を可能にすることによって、異なる方法で方向付けるように構成される。カスタマイズされた多孔質領域は、元の部品やカットアウトと同じ欠点を被らず、(ろう材を使用して)カスタマイズして、例えば、継手密着強さ、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、サイクル疲労、熱伝導率、電気伝導率、表面粗さ、硬度、及び質量。この補修は、従来の狭ギャップろう付けプロセスよりも強力で、特定の補修後の仕上げを必要とせず、事前に焼結したプリフォーム(PSP)などの現在の技術と比較して物理的特性が改善されている。1つ又は複数のろう材を使用して、交換領域をベース領域に結合し、継手密着強さや信頼性など、継手に関連する性能特性を向上させ、必要なろう付け後の機械加工/ブレンドを減らすことができる。特に、多孔質領域は、ベース領域と交換領域との間の接合部での応力を軽減する。多孔質領域を使用すると、例えば、接合部でより高価な材料の使用を減らすことにより、材料コストを削減することもできる。
【0042】
図1は、例示的な産業機械の概略図を示しており、産業機械は、本開示の教示内容に則した部品を含むことができる。本例では、機械は燃焼又はガスタービン(GT)システムの形態のターボ機械100を含んでいる。ターボ機械100は、圧縮機102及び燃焼器104を含む。燃焼器104は、燃焼領域106及び燃料ノズルアセンブリ108を含んでいる。ターボ機械100は、タービンアセンブリ110及び共通の圧縮機/タービンシャフト(すなわちロータ112)112も含んでいる。一実施形態では、ターボ機械100は、GE Vernoa社から市販の7HA.03エンジンである。本開示は、いかなる特定のGTシステムに限定されるものではなく、例えばGE Vernoa社の他のHA、F、B、LM、GT、TM及びEクラスエンジンモデル、さらには他社のエンジンモデルを始めとする、他のエンジンに関しても実施し得る。本開示は、いかなる特定のターボ機械に限定されるものではなく、製造又は補修時に多孔質領域を使用するあらゆる工業部品部品に適用し得る。
【0043】
運転中、圧縮機102を通って空気が流れ、燃焼器104に圧縮空気が供給される。具体的には、圧縮空気は、燃焼器104に内蔵された燃料ノズルアセンブリ108に供給される。アセンブリ108は燃焼領域106と流体連通している。燃料ノズルアセンブリ108は燃料源(図1には図示せず)とも流体連通しており、燃料及び空気を燃焼領域106に導く。燃焼器104は燃料を点火して燃焼させる。燃焼器104はタービンアセンブリ110と流体連通している。タービンアセンブリ110は、ロータ112に回転可能に結合してロータ112を駆動するタービン111を含んでいる。圧縮機102もロータ112に回転可能に結合している。例示的な実施形態では、複数の燃焼器104及び燃料ノズルアセンブリ108が存在する。
【0044】
図2は、図1のガスタービンシステムで使用し得るターボ機械100(図1)の例示的なタービンアセンブリ110の断面図を示す。タービンアセンブリ110のタービン111は、ターボ機械100の静止ケーシング122に結合したノズル又はベーンの列120と、軸方向に隣接したブレードの列124とを含んでいる。静止ベーン又はノズル126は、半径方向外側プラットフォーム128及び半径方向内側プラットフォーム130によってタービンアセンブリ110内に保持し得る。タービンアセンブリ110のブレードの列124は、ロータ112に結合してロータと共に回転する回転ブレード132を含んでいる。回転ブレード132は、ロータ112に結合した半径方向内側プラットフォーム148(ブレードの根元、図3)と、適宜、半径方向外側先端136(ブレードの先端)とを含んでいてもよい。本願で用いる「部品」という用語は、静止ノズル126、回転ブレード132又はその他本開示に係る1以上の多孔質領域を含む金属クーポンを用いることのできる構造体を総称して表す。
【0045】
図3及び図4は、ターボ機械の高温ガス経路部品のような、本開示の教示内容を用いることのできる例示的な部品を示す。図3は、本開示の実施形態を用いることができるタイプのタービンロータブレード132の斜視図を示す。タービンロータブレード132は根元140を含んでおり、ロータブレード132は根元140によってロータ112(図2)に取り付けられる。根元140は、ロータ112(図2)のロータホイール144(図2)の外周上の対応ダブテールスロットに装着されるように構成されたダブテール142を含むことができる。根元140は、ダブテール142とプラットフォーム148との間に延在するシャンク146をさらに含んでもよく、プラットフォーム148は、翼形部150と根元140の連結部に配置され、タービンアセンブリ110を通る流路の一部を画成する。翼形部150は、作動流体151(すなわち高温燃焼ガス)の流れ(図2)を受け止めて、ロータディスク回転を惹起させるロータブレード132の能動部品である。
回転ブレード132の翼形部150は、凹面状正圧側(PS)外壁152と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁154とを含んでおり、軸方向に前縁156と後縁158の間に延在する。側外壁152及び154は、半径方向にプラットフォーム148から外側先端160まで延在ており、先端60は先端シュラウド136(図2)を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0046】
図4は、本開示の実施形態で使用し得るタイプの静止ノズル126の斜視図である。静止ノズル126は外側プラットフォーム170を含んでおり、外側プラットフォーム170によって静止ノズル126はターボ機械の静止ケーシング122(図2)に取り付けられる。外側プラットフォーム170は、ケーシングの対応マウントに取り付けるための現在公知の又は将来開発される任意の取付け構成を含んでいてもよい。静止ノズル126は、隣接するタービンロータブレード132(図3)及びプラットフォーム148(図3)の間に配置される内側プラットフォーム174をさらに含んでいてもよい。プラットフォーム170,130は、タービンアセンブリ110を通る流路の外側及び内側境界のそれぞれの部分を画成する。翼形部176は、作動流体の流れを受け止めて、その流れをタービンロータブレード132(図3)に向ける静止ノズル126の能動部品である。静止ノズル126の翼形部176は、凹面状正圧側(PS)外壁178と、周方向又は横方向に反対側の凸面状負圧側(SS)外壁180とを含んでおり、軸方向に前縁182と後縁184との間に延在する。側外壁178及び180も、半径方向にプラットフォーム170からプラットフォーム174まで延在している。
【0047】
ブレード132又はノズル126は、冷却剤の供給源を含む内部冷却構造、例えば冷却剤をフィルム冷却のためにその表面に届けるための通路、導管その他の構造を含んでいてもよい。冷却剤としては、例えば圧縮機102からの空気が挙げられる。
【0048】
本明細書に記載される開示の実施形態は、静止ノズル126、タービン回転ブレード132、及び/又は多孔質領域を使用する任意の他の工業部品のいずれかに適用可能な態様を含んでいてもよい。その部品は、例えば、静止ノズル126、回転ブレード132、又は交換領域を使用する任意の他の工業部品とすることができる。図3及び図4はまた、部品202における積層造形(AM)多孔質領域200(以下、「多孔質領域200」、「多孔質領域200」、「多孔質領域200」又は「AMポロシティ多孔質領域(複数可)200」)を例示する。多孔質領域200が破線で示されているのは、これを説明するように、ろう材310(図3図4には示されていない)が部品202の領域を結合するために溶浸するためである。多孔質領域200は、稠密なベース領域204、すなわち、交換すべき領域が除去された後に残る領域と、部品202の稠密な交換領域206との間、すなわち、多孔質領域200とろう材によってベース領域204に結合された領域との間であってもよい。示された例では、交換領域206は、図3の回転ブレード132の先端160の少なくとも一部又は先端160のコーナー、又は図4の静止ノズル126のプラットフォーム174の少なくとも一部を含む。しかし、多孔質領域200は、任意の交換領域206を部品202のベース領域204に結合するために使用できることが強調される。交換領域206は、部品202の任意の部分とすることができる。
【0049】
積層造形多孔質領域200は、別の部品上に多孔質金属を形成することができる、現在公知の又は将来開発される任意の技術を用いて積層造形してもよい。さらに、積層造形多孔質領域200及び緻密な交換領域206は、他の部分上に多孔質金属を形成し、多孔質領域200上に稠密な(例えば、中実)金属を形成することができる、現在公知の又は将来開発される任意の技術を使用して積層造形してもよい。図5は、多孔質領域200又は複数の多孔質領域200A、200B(図示の倍数)、及び/又は緻密な交換領域206又は複数の緻密な交換領域206A、206B(図示の倍数)を生成するための例示的なコンピュータ化された金属粉末積層造形システム210(以下「AMシステム210」)の概略図/ブロック図を示す。いずれかの領域200、206の単層のみが示されている。開示の教示は、複数の溶融ビーム源212、214、216、218を使用して多孔質領域200又は交換領域206を構築することに関連して説明されるが、開示の教示が、稠密なベース領域204(図5の粉末床内)上に複数の多孔質領域200A、200Bを構築すること、及び/又は複数の交換領域206Aを構築するために等しく適用可能であることが強調され、容易に認識されるであろう。206Bは、多孔質領域200(図5の粉末床内)に、任意の数の溶融ビーム源を使用する。この例では、AMシステム210は、直接金属レーザ溶融(DMLM)用に配置されている。開示の一般的な教示は、選択的レーザ溶融(SLM)のような他の形態の金属粉末応用、又は金属被覆技術(例えば、稠密なベース領域204の表面への金属源の溶融)のような他の形態の金属粉末積層造形に等しく適用可能である。多孔質領域200A、200B又は交換領域206A、206Bは、長方形の要素として示される。しかし、積層造形プロセスは、任意の形状の多孔質又は稠密な領域、所与の多孔質領域内の多種多様な異なるポロシティ多孔質領域又は部分領域、又は所与の交換領域内の多種多様な異なる稠密な交換領域又は部分領域、及びビルドプラットフォーム220上の多数の密集又は多孔質領域を製造するために容易に適合させることができる。
【0050】
AMシステム210は、一般に、積層造形制御システム230(「制御システム」)及びAMプリンタ232を含む。後述の通り、制御システム230は、複数の溶融ビーム源212,214,216,218を使用して稠密又は多孔質領域を生成するために、コンピュータ実行可能な命令又はコード234のセットを実行する。図に示す例では、4つの溶融ビーム源は4つのレーザを含む。ただし、本開示の教示内容は、任意の溶融ビーム源、例えば電子ビーム、レーザなどにも適用できる。制御システム230は、コンピュータプログラムコードとしてコンピュータ236に実装された状態で示してある。これに関して、コンピュータ236は、メモリ238及び/又はストレージシステム240、プロセッサユニット(PU)244、入出力(I/O)インターフェース246、及びバス248を含む状態で示してある。また、コンピュータ236は、外部I/Oデバイス/リソース250と通信状態にあるものとして示してある。一般に、プロセッサユニット(PU)244は、メモリ238及び/又はストレージシステム240に格納されたコンピュータプログラムコード234を実行する。コンピュータプログラムコード234を実行している間、プロセッサユニット(PU)244は、メモリ238、ストレージシステム240、I/Oデバイス250及び/又はAMプリンタ232との間でデータを読み書きすることができる。バス248は、コンピュータ236内の各オブジェクト間の通信リンクを提供し、I/Oデバイス250は、ユーザがコンピュータ236と対話できるようにする任意のデバイス(例えばキーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイなど)を備えることができる。コンピュータ236は、ハードウェアとソフトウェアの様々な可能な組合せを代表しているに過ぎない。例えば、プロセッサユニット(PU)244は、単一の処理ユニットを備えてもよいし、1以上の場所、例えばクライアント及びサーバ上の1以上の処理ユニットに分散してもよい。同様に、メモリ238及び/又はストレージシステム240は、1以上の物理的な場所に常駐し得る。メモリ238及び/又はストレージシステム240は、磁気媒体、光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを含む、様々なタイプの非一時的コンピュータ可読記憶媒体の任意の組合せを備えることができる。コンピュータ236は、産業用コントローラ、ネットワークサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、ハンドヘルドデバイスなど、任意のタイプのコンピューティングデバイスを含むことができる。
【0051】
上述の通り、AMシステム210、特に制御システム230は、コード234を実行して1以上の多孔質領域200又は稠緻密な交換領域を生成する。コード234は、とりわけ、AMプリンタ232を操作するための一組のコンピュータ実行可能命令234S(本明細書では「コード234S」ともいう)と、AMプリンタ232によって物理的に生成される1以上の多孔質領域200及び/又は交換領域206を定義する一組のコンピュータ実行可能命令234O(本明細書では「コード234O」ともいう)を含むことができる。本明細書に記載されるように、積層造形プロセスは、コード234を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えばメモリ238、ストレージシステム240など)から始まる。AMプリンタ232を操作するためのコンピュータ実行可能命令234Sは、AMプリンタ232を動作させることができる、現在公知の又は将来開発される任意のソフトウェアコードを含んでいてもよい。
【0052】
1以上の多孔質領域200/又は交換領域206を定義するコンピュータ実行可能命令234Oのセットは、多孔質領域200の正確に定義された3Dモデルを含んでいてもよく、AutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD3DMaxのような周知のコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムから生成することができる。この点に関して、コード234Oは、現在公知の又は将来開発される任意のファイルフォーマットを含むことができる。さらに、多孔質領域200及び/又は交換領域206を表すコード234Oは、異なるフォーマット間で変換してもよい。例えば、コード234Oは、3DSystemsのステレオリソグラフィCADプログラム用に作成されたSTL(Standard Tessellation Language)ファイル、又はいかなるCADソフトウェアであっても任意のAMプリンタで製造すべきあらゆる3次元の形状及び組成を記述できるように設計された拡張可能なマークアップ言語(XML)ベースのフォーマットである米国機械学会(ASME)標準である積層造形ファイル(AMF)を含んでいてもよい。多孔質領域200及び/又は交換領域206を表すコード234Oは、必要に応じて、一組のデータ信号に変換して送信したり、一組のデータ信号として受信したり、コードに変換したり、格納したりすることもできる。コード234Oは、本開示の実施形態に従って、後述の通り重複場領域で境界及び内部セクションを形成できるように構成してもよい。いずれにせよ、コード234Oは、AMシステム210への入力であってもよく、部材設計者、知的財産(IP)提供者、設計会社、AMシステム210のオペレータ又は所有者、又は他の供給元に由来するものでもよい。いずれにせよ、制御システム230は、コード234S及び234Oを実行し、1以上の多孔質領域200及び/又は交換領域206を一連の薄いスライスに分割して、それらをAMプリンタ232を用いて材料の連続層へと積層する。
【0053】
AMプリンタ232は、多孔質領域200のプリントのための制御された雰囲気を供給するためにの密閉処理チャンバ260を含んでいてもよい。多孔質領域200及び/又は交換領域206が造形されるビルドプラットフォーム220は、処理チャンバー260内に配置される。多数の溶融ビーム源212,214,216,218は、ビルドプラットフォーム220上の金属粉末の層を溶融して多孔質領域200を生じるように構成される。4つの溶融ビーム源212,214,216,218が例示されているが、本開示の教示内容は、任意の数(例えば1、2、3又は5以上)のビーム源を使用するシステムにも適用できる。各溶融ビーム源212,214,216,218は、金属粉末を独占的に溶融することができる非重複場領域を含む場を有していてもよいし、或いは2以上のビーム源で金属粉末を溶融できる1以上の重複場領域を含んでいてもよい。この点に関して、各溶融ビーム源212,214,216,218は、コード234Oによって定義される各スライスのために、粒子を融合する溶融ビームを生成し得る。例えば、図5に、溶融ビーム源212が、溶融ビーム262を用いて1つの領域で多孔質領域200及び/又は交換領域206の層を作成し、溶融ビーム源216が別の領域で溶融ビーム262’を用いて多孔質領域200及び/又は交換領域206の層を作成していることが示してある。各溶融ビーム源212,214,216,218は、現在公知の又は将来開発される任意の方法で較正される。すなわち、各溶融ビーム源212,214,216,218は、その個々の精度を確保するための個々の位置補正(図示せず)を提供するため、ビルドプラットフォーム220に対するレーザビーム又は電子ビームの予想位置をその実際の位置と相関させている。一実施形態では、複数の溶融ビーム源212,214,216,218の各々が、同じ断面寸法(例えば動作時の形状及び大きさ)、出力及び走査速度を有する溶融ビーム(例えば262,262’)を作成し得る。
【0054】
続けて図5を参照すると、アプリケータ(又はリコーターブレード)270は、空白キャンバスとして広げられた原料272の薄層を作成することができ、その上で多孔質領域200及び/又は交換領域206の連続スライスの各々が作成される。AMプリンタ232の様々な部分は、追加される各々の新層を収容するために移動させることができ、例えば各層の後に、ビルドプラットフォーム220を下降及び/又はチャンバ260及び/又はアプリケータ270を上昇させてもよい。本プロセスは、細粒金属粉末の形態の様々な原料を使用することができ、原料のストックを、アプリケータ270でアクセス可能なチャンバ260内に保持してもよい。この事例では、多孔質領域200及び/又は交換領域206は金属から作ることができ、金属は純金属又は合金を含むことができる。一例では、金属は、実質的に任意の非反応性金属粉末、すなわち、非爆発性又は非導電性の粉末、例えば限定されるものではないが、コバルトクロムモリブデン(CoCrMo)合金、ステンレス鋼、オーステナイトニッケル-クロム基合金、例えばニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金(NiCrMoNb)(例えばInconel 625又はInconel 718)、ニッケル-クロム-鉄-モリブデン合金(NiCrFeMo)(例えばHaynes International社から入手可能なハステロイ(登録商標)X)、又はニッケル-クロム-コバルト-モリブデン合金(NiCrCoMo)(例えばHaynes International社から入手可能なHaynes282)等が挙げられる。その他可能なものとして、例えばRene 108、CM247LC、MarM247、その他の析出硬化型(PH)ニッケル基合金などが挙げられる。ベース領域204は、同一又は異なる材料で作ることができ、積層造形或いは鋳造のような別のプロセスで製造し得る。
【0055】
処理チャンバ260は、アルゴン又は窒素のような不活性ガスで満たされ、酸素を最小限に抑制又は完全に除去するように制御される。制御システム230は、不活性ガス276の供給源から処理チャンバ260内のガス混合物274の流れを制御するように構成されている。この場合、制御システム230は、ポンプ280及び/又は不活性ガス用の流量弁システム282を制御して、ガス混合物274の含有量を制御してもよい。流量弁システム282は、特定のガスの流れを正確に制御することができる、1以上のコンピュータ制御可能な弁、流量センサ、温度センサ、圧力センサなどを含んでいてもよい。ポンプ280は、弁システム282の有無にかかわらず設けることができる。ポンプ280が省略される場合、不活性ガスは、処理チャンバ260への導入に先立って、単に導管又はマニホールドに入ることができる。不活性ガス276の供給源は、その中に含まれる材料のための任意の従来の供給源、例えばタンク、貯留層又は他の供給源の形態をとることができる。ガス混合物274を測定するために必要な任意のセンサ(図示せず)を設けてもよい。ガス混合物274は、従来の方法でフィルタ286を用いて濾過することができる。
【0056】
動作中、処理チャンバ260内には金属粉体を載せたビルドプラットフォーム220が設けられ、制御システム230は、不活性ガス276の供給源から処理チャンバ260内のガス混合物274の流れを制御する。本明細書で説明する通り、ベース領域204又は交換領域206は金属粉末内に配置され、その表面はその上に多孔質領域200を造形するため露出されている。制御システム230は、AMプリンタ232、特に、アプリケータ270及び溶融ビーム源212,214,216,218も制御して、ビルドプラットフォーム220上の金属粉末の層を順次溶融し、本開示の実施形態に係る多孔質領域200及び/又は交換領域206を生成する。
【0057】
ここでは特定のAMシステム210について説明してきたが、本開示の教示は、ある特定の積層造形システム又は方法に限定されるものではない。また、本開示の教示は、積層造形された多孔質領域200及び/又は交換領域206に関するものであるが、部品202(初期部品)は、積層造形(おそらく多孔質領域200について記載したものと同様)、鋳造その他の方法など、現在公知の又は将来開発される任意の方法で製造し得る。部品202のベース領域204及び交換領域206は、多孔質領域200に関して本明細書で挙げた材料のいずれかを含んでいてもよい。
【0058】
本明細書で用いる「ポロシティ」とは、標記の構造(例えば多孔質領域)の総体積に対する空洞空間(open space)体積の比率である。通例、この点に関して、ポロシティは、標記の構造の全又は総体積に対する空洞空間の体積の百分率として記載される。空洞空間は、中実材料内の空の領域であり、本明細書では「細孔」201といい、標記の構造の材料内部の相互連結通路を含んでいてもよい。したがって、「多孔質領域」は、100%未満の中実度であり、細孔201及び/又は相互連結通路の形態の空洞空間を含んでいる。本明細書において、その「総体積」を特定するための多孔質領域又は部分領域の三次元境界は、隣接する領域又は部分領域に対して2%超のポロシティの変化が起こる箇所及び/又は多孔質領域200の縁が存在する箇所によって特定することができる。「空洞空間体積」とは、総称して、領域又は部分領域内の空の(すなわち、空所、空隙、空空間、及び/又は材料で満たされていない)3次元空間である。本明細書において「異なるポロシティ」又は「ポロシティの差」とは、一般に、総体積に対する空洞空間体積の百分率、所与の体積内部の細孔201の数、細孔201の容積(すなわち、サイズ)、細孔201の形状、及び実際の離散細孔と認識できないことのある細孔201間の連結通路の変動(本明細書では「細孔連結通路」という)などの様々な特性の変動を意味する。非限定的な一例として、細孔径は、例えば1.07×10-6~8.58×103mm(6.54×10-11~5.24×10-7立方インチ)の範囲内とすることができ、或いは別の非限定的な例として、細孔径は0.0127mm~0.254mm(0.0005インチ~0.01インチ)の範囲内とすることができる図面には、異なる多孔質領域又は部分領域は、典型的には連続的又は互いに接した状態で示してあるが、それらは互いに(例えばそれらの間の中実領域によって)隔てられていてもよい。すなわち、1枚の金属クーポンは、1以上の孤立した非接触状態の多孔質領域を含んでいてもよい。「領域」及び/又は「部分領域」という用語は、ポロシティの変化を示すために互換的に使用し得る。例えば細孔形状又は細孔連結通路の差などにより、ポロシティの差が総体積に対する空洞空間の体積の百分率だけに基づくものではないことは明らかであろう。ただし、ポロシティの差を程度について(例えば高低で)比較する場合に、参照される差は、専ら体積特性に関するもの、つまり総体積に対する空洞空間体積の百分率の差である。本明細書において「稠密」は、材料が非常に低いポロシティ(例えば1%以下)を有し、中実材料(すなわち0%ポロシティ)であってもよいことを示す。したがって、稠密材料のポロシティは1%未満であり、ろう材が溶浸するのを防ぐ。部品202のベース領域204及び部品202の交換領域206は、稠密材料で作られており、中実材料であってもよい。ベース領域204又は交換領域206の材料は、多孔質領域200について本明細書に記載した材料のいずれかであってもよい。
【0059】
多孔質金属クーポン200は、本明細書に記載のAMシステム210或いは多孔質金属を形成できる他の金属積層造形システム又は方法を用いて、異なるポロシティを有する異なる多孔質領域(異なるポロシティを有する1以上の多孔質部分領域を含んでいても、含んでいなくてもよい)をもつように形成することができる。AMシステム210の動作に関して、溶融ビーム源212,214,216,218は、金属を焼結させず、中実材料ではなく金属粉末が残るように間欠的にプログラムすることができる。このプロセスは、レーザ場領域を様々な量で重複させること及び/又は細孔302を設計することをビルドファイル(すなわちコード234O)に含んでいてもよい。各レーザ走査の重複が少ないほどポロシティは高まり、一連の走査間でレーザ重複が多いほどポロシティは低くなる。ポロシティを調整するため、レーザスポットサイズ、走査速度、焦点及び出力も制御することができる。さらに具体的には、積層造形は、金属粉末の層を融合するために1以上の溶融ビーム源212,214,216,218を有するAMシステム210を使用すること、及び2以上の多孔質領域のポロシティを制御するためにシステムのパラメータを調整することを含む。パラメータの調整は、(ビーム源212,214,216,218からの)1以上の溶融ビーム262,262’(図5)の溶融領域の重複量を調整すること、システム走査速度を調整すること、及び溶融ビームスポットのサイズ、焦点又は出力の1以上を調整することの1以上を含むことができる。未溶融の金属粉末が金属クーポン200から除去されると、細孔302が細孔302間の相互連結通路と共に残り、1以上の多孔質領域が形成される。いずれにせよ、金属クーポン200の積層製造は、所望の層内の任意の数、形状及び/又はサイズの多孔質領域について所望のポロシティを生じるように制御することができる。
【0060】
図6A図6Dは、様々なポロシティを有するサンプル金属クーポン200の上面概略図を示す。細孔302は、図面では暗い空洞空間として示される。図6Aは、試料の総体積に対する空洞空間体積が約40%の第1のポロシティを有するサンプル多孔率領域200(概して低い空洞空間量及び多量もしくは大型の細孔302を有する)を示し、図6Bは、試料の総体積に対する空洞空間体積が約30%の第1のポロシティを有するサンプル多孔率領域200を示し、図6Cは、サンプルの総体積に対する空洞空間体積が約20%の第1のポロシティを有するサンプル多孔率領域200を示し、図6Dは、サンプルの総体積に対する空洞空間体積が約10%の第1のポロシティを有するサンプル多孔率領域200(概して空洞空間の量が少ない)を示す。各多孔質領域は、多孔質領域の総体積に対して2%~50%の空洞空間体積(すなわち、2~50%の空洞空間と残る50~98%の中実)を有することができる。他の実施形態では、各ポロシティは、多孔質領域300の総体積に対して10%~40%の空洞空間体積(すなわち、10%~40%の空洞空間と残る60~90%の中実)であってもよい。他の実施形態では、多孔質領域は、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、35%未満、40%未満、45%未満、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、10%~50%、20%~50%、25%~50%、30%~50%、35%~50%又は40%~50%の範囲内のポロシティを有する金属クーポンに設けることができる。本明細書に記載の通り、他の範囲内のポロシティも可能である。
【0061】
図3図4図7A図7B図8A図8E図9A図9F図10A図10AE及び図11A図11Bを参照して、本開示による方法の実施形態について説明する。この方法は、部品202の補修を含んでいてもよい。図7A図7B図8A図8E図9A図9F及び図10A図10AEは、開示の実施形態に係る様々な方法の側面図を示す。図11Aは上から下図を示し、図11Bは、開示の実施形態に係る例示的な多孔質領域200の側面図をそれぞれ示している。
【0062】
図7A図7Bは、部品、すなわち、補修すべき初期部品202Xの稠密なベース領域204から、交換すべき領域320、すなわち切り欠きを除去することを示している。この除去により、稠密なベース領域204上に表面322が残る。補修の均一性のために、特に複数の部品202Xが同様のタイプの損傷補修を受ける場合、全てのベース領域204を同じ長さに切断してもよい。交換すべき領域320は、任意の形態を有してもよいが、典型的には、領域320を新しい又は損傷していないファクシミリと交換することによって修正すべき何らかの形態の欠陥324を含む。図3図4に示す例では、領域320は、ブレード132の損傷した先端部160又はノズル126の損傷したプラットフォーム174を含んでいてもよい。或いは図3にも示すように、領域320は、ブレード132の先端160のコーナーなど、より小さな部分であってもよい。欠陥324は、摩耗した表面、孔食、酸化、亀裂及び/又は変形など、様々な形態をとることができるが、これらに限定されない。領域320は、部品202の材料、すなわちベース領域204に適した、現在公知の又は将来開発される任意の除去プロセスを使用して除去することができる。例えば、領域320は、切削加工、放電加工、研削加工などにより除去することができる。ベース領域204の表面322は、典型的には、多孔質領域200を容易に積層造形する、すなわち、その上に印刷することができるような形態である。この点に関して、表面322は、例えば、AMシステム210の粉末床に配置され、多孔質領域200(及びおそらく交換領域206)をその上に印刷できるように、平面状であってもよい。ある実施形態では、表面322は、多孔質領域200をそれに接着するための選択された粗さも有し得る。ただし、すべての場合にこれが必要なわけではない。
【0063】
代替的な実施形態では、交換すべき領域320が存在しない可能性があり、開示の教示がベース領域204の表面322に適用されて、それに新たな領域(本明細書で説明される交換領域206と同様)が追加される。例えば、新しい摩耗層又は領域(図示せず)は、以前に存在していた領域320を除去することなく、ベース領域204に追加してもよい。
【0064】
図8A図8Bに示すように、開示の実施形態は、積層造形することができ、すなわち、稠密なベース領域204の表面322上に多孔質領域200を形成し、おそらく交換すべき領域320を除去した後、続いて既に形成された稠緻密な交換領域206が多孔質領域200に結合される。或いは図9A~Bに示すように、開示の実施形態は、(既に形成された)稠緻密な交換領域206の表面330上に多孔質領域200を積層造形し、次いで、多孔質領域200(その上に交換領域206を有する)を稠密なベース領域204の表面322に結合してもよい。したがって、多孔質領域200は、稠密なベース領域204の表面322(以下、簡潔にするために「ベース領域204」)と稠緻密な交換領域206の表面330(以下、簡潔にするために「交換領域206」)のいずれかに積層造形してもよい。より詳細には、図8A図8Bは、緻密なベース領域域204の表面322上の積層造形多孔質領域200を示し、図9A図9Bは、交換領域206の表面330上の積層造形多孔質領域200を示している。いずれにせよ、多孔質領域200は、多孔質領域の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有してもよい。別の実施形態では、多孔質領域200は、多孔質領域の総体積に対して10~40%の空洞空間体積のポロシティを有してもよい。或いは多孔質領域200は、本明細書で前述した任意のポロシティを有してもよい。本明細書でさらに説明されるように、多孔質領域200は、異なるポロシティを有する任意の数の部分領域を有してもよい。
【0065】
図8B図8E及び図9B図9Fに関して、開示の任意の実施形態は、交換領域206又はベース領域204のいずれかの第2の部材334とロック可能に係合するように構成された第1の部材332を備えた多孔質領域200を積層造形してもよい。図8B中、積層造形は、必要に応じて多孔質領域200を形成し、第1の部材332は、図8C~Eに示すように、交換領域206の第2の部材334とロック可能に係合するように構成された。交換領域206は、第2の部材334を含むように形成されるか、又は変更される。これに対し、図9Bでは、積層造形は、図9C~Fに示すように、ベース領域204の第2の部材334とロック可能に係合するように構成された第1の部材332と共に、任意に多孔質領域200を形成することを含む。ベース領域204は、例えば、ベース領域204の表面322にそれらを追加するか、又はそれらを加工することによって、第2の部材334を含むように形成されるか、又は修正される。図8B図8E中、部材332、334は、例示的な直線舌溝部材を含んでおり、図9B図9F中、部材332、334は、例示的な舌と溝のアリ溝部材を含む。多孔質領域200と交換領域206又はベース領域204との間の移動を整列及び/又は制限することができる任意の形態の部材332、334を使用することができる。1組の部材332、334が示されているが、複数の組を併用することができる。
【0066】
ある実施形態では、積層造形は、多孔質領域200における部品202の任意の様々な改良を形成すること、例えば、除去された損傷部品に以前に存在しなかった構造を含むことも含んでいてもよい。例えば、図11Aに示すように、積層造形は、多孔質領域200に冷却通路336を形成することを適宜含んでいてもよい。冷却通路336は、任意の方法で、例えば、その中の蛇行経路で、又は多孔質領域200の外部側面を通って延在する、任意の方法で多孔質領域200内に延在することができる。任意の有利な内部構造変更は、多孔質領域(複数可)200で行うことができる。
【0067】
図8C及び図9C図9Dを参照すると、この方法は、配置交換領域206及び基部領域204と、その間の多孔質領域200をさらに含んでいてもよい。図8Cにおいて、多孔質領域200はベース領域204上に形成されているため、配置は、多孔質領域200上、すなわち多孔質領域200の表面352上に配置交換領域206を含んでいてもよい。このアプローチは、任意の数及び種類の交換領域206を製造し、部品202の補修作業に利用可能であるため、有利である。オプションとして、部材332、334が設けられる場合、配置は、図8Cに示すように、第1及び第2の部材332、334と共に多孔質領域200及び交換領域206をロック係合することを含んでいてもよい。図9C図9Dにおいて、多孔質領域200が交換領域206上に形成されているので、配置は、ベース領域204上、すなわち、ベース領域204の表面322上に多孔質領域200(これに交換領域206が付着した)を配置することを含んでいてもよい。オプションとして、部材332、334が設けられる場合、配置は、図9Cに示すように、第1及び第2の部材332、334と共に多孔質領域200及びベース領域204をロッキング可能に係合することを含んでいてもよい。配置は、領域の任意のタイプの必要な移動、例えば、垂直及び/又は水平位置合わせ、スライド噛み合いなどを含んでいてもよい。領域を一時的に所定の位置に保持するために必要な任意の技術、例えば、クランプ、粘着テープなどを使用してもよい。
【0068】
図8D図9Eは、ベース領域204、交換領域206、及び多孔質領域200を結合するためにろう材310を用いて多孔質領域200が溶浸していることを示している。ろう材310は、GE(Alstom)B1P、AmdryTMD15、DF4B、又はBRBなど、現在公知の又は将来開発されるろう付け組成物を含んでいてもよく、その配合の一部は、次の表に他のろう材配合とともにリストされている。
【0069】
【表1】
【0070】
溶浸は、真空ろう付けシステム、誘導ろう付けシステム、及び/又は不活性ガス雰囲気加熱システム及び関連技術を使用するなど、現在知られている又は後で開発されたろう付けプロセスを含んでいてもよい。1つの非限定的な例では、ろう付けは、例えば、ろう材を適用し、それを液化し、毛細管現象によって多孔質領域200に、通って周囲に流入させるために加熱を含んでいてもよい。
【0071】
溶浸は、少なくともそのポロシティ又はポロシティの特性に基づいて、ろう材310を多孔質領域200に注入する。本明細書中で使用されるように、ポロシティの「少なくとも特性に基づく」溶浸は、ポロシティが、ろう材の体積、ポロシティ内のパターン、結晶化、化学勾配及び組成などの異なる溶浸特性をもたらし得ることを示している。しかし、当技術分野において理解されるように、他の要因もまた、ろう材の種類及びろう付けプロセスの特性などの溶浸特性、例えば、これらに限定されない:温度、圧力、部品202及び多孔質領域200の位置に影響を与えることができる。同じろう材310を有する多孔質領域200の部分領域内の異なるポロシティは、少なくとも1つの異なる物理的特性を有してもよい。このようにして、ポロシティがそれらの物理的特性に影響を与える可能性がある限り、ポロシティをカスタマイズしてそれらの物理的特性を選択できる。一例では、多孔質領域200の特定の部分領域のポロシティは、多孔質領域200の他の多孔質部分領域のポロシティよりも高い(すなわち、密度が低い)場合があり、その中により多くのろう材310を含んでいてもよい。別の例では、異なるポロシティの部分領域は、その内部から外縁の部分領域340までの多孔質領域200内の層であり得る。別の例では、図11Aに示す、多孔質領域200の異なる側部で異なるポロシティを使用することができ、例えば、多孔質領域200の側面326及び328は異なるポロシティを有してもよい。このように、多孔質領域200と部品202の異なる側面は、異なる物理的特性を有してもよい。ノズル126又はブレード132の翼150,176に関しては、図3及び図4に示すように、翼の圧力側外壁152,178は、それぞれ翼の吸込側外壁154,180とは異なる物理的特性を有していてもよい。本明細書に記載されている物理的特性のいずれも、異なるポロシティ及び/又は異なるろう材に基づいてカスタマイズすることもできる。前述のように、使用されるろう材310に応じて、異なるポロシティは、部品202の物理的特性(単数又は複数可)のカスタマイズを可能にする場合がある:継手接着剤接着強度、応力/ひずみ耐性、延性、耐摩耗性、耐酸化性、熱伝導率、電気伝導率、表面粗さ、硬度、及び/又は質量。可変ポロシティが存在する場合、溶浸は、ろう材310を移動させ、その特性(例えば、ポロシティの勾配、階段状ポロシティなど)に基づいて変化したポロシティを溶浸させることを含む。ある例では、ろう材310が多いほど、接合部接着接着強度が強くなり、延性が高くなり、熱伝導率又は電気伝導率が高くなり、又は酸化抵抗が大きくなると、ろう材310が少なくなりますと、表面粗さが少なくなり、硬度が低くなり、接合部接着接着強度が低くなり、延性が低くなり、熱伝導率又は電気伝導率が低くなり、又は酸化抵抗が低下する可能性がある。いずれにせよ、ろう材の量及び多孔質領域200の部分領域のポロシティを制御することにより、最終製品の物理的特性を制御することができる。さらに、多孔質領域300を使用するろう材310のマルチフローパスは、従来の狭いギャップ充填ろう付けプロセスと比較して、また狭いギャップろう付けに必要な厳しい製造公差のために、ろう付け接合部に沿った充填及び/又は空隙の不足の可能性を減少させる可能性がある。したがって、部品202は、その内部に多孔質領域200が使用されているにもかかわらず、少なくとも98%が中実であり得る。
【0072】
ある実施形態では、異なるろう材310を多孔質領域200の異なる部分で使用することができ、これにより、部品202における多孔質領域200の結合及び部品202の領域の物理的特性のさらなるカスタマイズを提供する。例えば、図11Aを参照すると、第1ろう材310Aは、部品202の第1の部分又は側面326に使用してもよく、別のろう材310Bは、第1のろう材310Aとは異なる、部品202の異なる部品又は側面328に使用してもよい。一例では、図3図4及び図11Aを参照すると、部品202の第1の部品又は側面326は、翼形部150,176の第1(凹面状正圧側)側外壁152、178、及び部品202の第2又は側面328であってもよいし、翼形部150,176の第2の(凸面状負圧)側外壁154,180であってもよい。異なるろう材310A、310Bは、多孔質領域200の部分領域の異なるポロシティに加えて、異なる部分又は側面326、328で、それらの位置における部品202の予想される環境に合わせてカスタマイズすることができる。自明であろうが、様々な状況に対処するために可能なろう材及び/又は多孔質領域のバリエーションは計り知れない。
【0073】
図8E及び図9Fはまた、部品202の任意の仕上げステップを例示しており、例えば、外部表面を平滑化し、余分なろう材を除去するための機械加工などに限定されない。上述したように、本開示の教訓は、積層造形後の材料に存在する残留応力に対処するために通常使用される他の仕上げ工程、例えば、ピーニング、熱処理、熱間静水圧プレス(HIP)の必要性を排除する可能性がある。
【0074】
図7A図7B及び図10A図10Eを参照して、本開示による方法の別の実施形態について説明する。図7A図7Bを参照すると、方法は、部品202の稠密なベース領域204から交換すべき領域320を除去し、ベース領域204上の表面322を残すことを含んでいてもよい。プロセスは、本明細書で前述した通りであってもよい。
【0075】
図10A図10ACは、稠密なベース領域204の表面322上の多孔質領域200を積層造形し、次いで多孔質領域200上の稠緻密な交換領域206を示している。より詳細には、多孔質領域200と次いで交換領域206が、ベース領域204の表面322に順次印刷される。ベース領域204又は交換領域206のための稠密な材料及び多孔質領域200のための多孔質材料を印刷することからの切り替えは、AMシステム210、特に、印刷が進行するにつれて、すなわち、その場で、溶融ビーム源212、214、216、218の動作を制御することができる。上述の通り多孔質領域200は、多孔質領域の総体積に対して2~50%の空洞空間体積のポロシティを有してもよい。或いは多孔質領域200は、本明細書に記載される任意の他のポロシティ範囲を有してもよい。多孔質領域200には、異なるポロシティを形成することができる。図10Cに示すように、積層造形は、少なくとも1つにおいて、多孔質領域200の交換領域206に最も近い第1のセクション390及びベース領域204に最も近い多孔質領域200の第2のセクション392において、第1のセクション390と第2のセクション392との間の多孔質領域200の第3セクション394よりも高いポロシティを形成することを含んでいてもよい。すなわち、多孔質領域200のセクション390及び/又は392は、それぞれ交換領域206及び/又はベース領域204に近く、多孔質セクション200の中央セクション394よりも多孔質化されている。また、異なるポロシティの他の配置も可能である。多孔質領域200はまた、本明細書に記載されるように、任意の種類の内部構造、例えば、冷却通路336(図11A)を有してもよい。
【0076】
図10Dは、固定ベース領域204、交換領域206及び多孔質領域200を一緒に固定するためにろう材310を用いて多孔質領域200を溶浸させていることを示している。溶浸は、本明細書に記載される任意のろう付けプロセスを含んでいてもよい。「fix」は、積層造形のみから存在する領域よりも領域間の結合が強いことを示す。多孔質領域200の異なるセクション390、392、394における異なるポロシティにより、図10Cに関連して説明したように、より多くのろう材310が、多孔質領域200の第3セクション394よりも第1セクション390及び第2セクション392の少なくとも1つに溶浸する。このように、ろう材310に応じて、多孔質領域200と交換領域206との間、及び多孔質領域200とベース領域204との間の接合部370,372の一部は、それぞれ、強力な接合接着強度、耐酸化性、耐応力性などのカスタマイズされた物理的特性を有することができる。上述の通り異なるセクションにおける異なるろう材310は、異なる物理的特性も提供し得る。
【0077】
図10Eは、部品202の任意の仕上げステップを例示するが、これらに限定されない、外面を平滑化し、余分なろう材を除去するための機械加工などを示す。上述したように、本開示の教示は、他の仕上げ工程、例えば、ピーニング、熱処理、熱間静水圧プレス(HIP)などの必要性を排除することができる。
【0078】
多孔質領域200に関して、本明細書に記載される実施形態のいずれかにおいて、多孔質領域200の寸法は、多孔質領域200及びろう材310によって形成される継手370(図8E、9F、10E)又は372(図10E)の任意の所望の物理的特性を作り出すためにユーザー選択することができる。すべてではないが、ほとんどの場合、多孔質領域200は、それが積層造形されるベース領域204の表面322又は交換領域206の表面330の水平形状及び寸法を有する。多孔質領域200の厚さT(図8C図9D図10C)は、接合部370、372のための任意の所望の物理的特性、例えば、交換領域206とベース領域204との間の任意の所望の物理的特性、例えば、より優れた耐酸化性又は耐応力性を作り出すために、必要なだけ多くのろう材310を吸収するように選択することができる。厚さTは、AMシステム210を用いて作成された多孔質領域200の層数によって制御することができる(図5)。多孔質領域200及び交換領域206は、集合的に、置換対象領域320の形状及び寸法を有する(図7A図7B)。このようにして、多孔質領域200及びろう材310を用いてベース領域204に結合された交換領域206が完成すると、最終部品202は、最初に補修される部品202Xと同じ寸法を有する(図7A図7B)。
【0079】
多孔質領域200のポロシティについてさらに考慮して、図11Aは、例示的な多孔質領域200の上から下図を示している。多孔質領域200のポロシティは、ろう材310(図8D図8E図9E図9F図10D図10E)を任意の方法で導き、その上にろう材310が溶浸した多孔質領域200の所望の物理的特性を作り出すために、多種多様な方法でカスタマイズすることができる。すなわち、多孔質領域200のポロシティは、ベース領域204と交換領域206とを多孔質領域200と結合するろう付けプロセス中のその中のろう材の流れを制御するように制御、すなわち、カスタマイズされる。この点に関して、多孔質領域200のポロシティは、交換領域206とベース領域204との間の長さL(図11A)、幅W(図11A)、及び厚さT(図8C図9D図10C)の少なくとも1つに沿って変化し得る。すなわち、多孔質領域200は可変のポロシティを有していてもよい。可変ポロシティの変化は、緩やか、段階的、又は漸進的であり得る。異なるポロシティの部分領域は、総体積に対する空洞空間体積の割合、細孔形状、細孔サイズ、細孔の数、及び細孔接続通路の特性の少なくとも1つの点で互いに異なっていてもよい。図11Aは、多孔質領域200の外縁部分領域340が、外縁部分領域340の内側に位置する1以上の内側の多孔質部分領域342よりも高いポロシティを有する一例を示している。このようにして、より多くのろう材310は、交換領域206及び/又はベース領域204のエッジと出会うエッジ部分領域340に侵入して、より強力な継手を作り出すことができる。他の実施形態では、図11Bの側面図に示すように、ベース領域204の表面322及び/又は交換領域206の表面330に接触する可能性のある多孔質領域200の表面部分領域344又は346は、表面部分領域344の内側に位置する1以上の内側の多孔質部分領域348よりも高いポロシティを有してもよい。346.このようにして、より多くのろう材310は、交換領域206及び/又はベース領域204のそれぞれの表面と出会う表面部分領域344、346に溶浸し、より強力な継手370(図8E図9F図10E)、372(図10E)を作成することができる。例えば、図8A~Eの実施形態について図8Bに示すように、積層造形は、多孔質領域200の表面206に接触する多孔質領域200の表面352又はその近くの位置350において、ベース領域204の表面322に近い多孔質領域200内の別の位置354よりも高いポロシティを形成することを含んでいてもよい。同様に、図9A図9Fの実施形態について図9Bに示すように、積層造形は、多孔質領域200の接触面322又はその近くの位置356において、多孔質領域200内の別の位置360における交換領域206の表面330に近い位置360よりも高いポロシティを形成することを含んでいてもよい。いずれの場合も、溶浸工程中に、より多くのろう材310が、ポロシティの低い位置よりも高いポロシティを有する位置の多孔質領域200に溶浸する。図8B図9B図11A及び図11Bに示すオプションは、一緒に又は別々に使用することができることが認識される。他の実施形態では、エッジ部分領域340及び/又は表面部分領域344、346の特定のセクションのみが、異なるポロシティを有してもよい。多孔質領域200内のポロシティに関する多種多様な選択肢は、多孔質領域200及びろう材310によって作成される構造の所望のろう材310の溶浸及び物理的特性を提供するために可能である。
【0080】
図3図4図8E図9F及び図10Eは、実施形態に係る部品202の実施形態を示す。部品202は、稠密なベース領域204、稠緻密な交換領域206、及びベース領域204と交換領域206との間のAM多孔質領域200を含む。ベース領域204及び交換領域206は、本明細書に記載されるように、稠密な材料であってもよく、また一例では、中実材料、すなわち、ポロシティが0%の中実材料であってもよい。上述の通り多孔質領域200は、AM多孔質領域の総体積に対して2%~50%の空洞空間体積のポロシティを有する。ろう材310は、少なくともそのポロシティの特性に基づいて多孔質領域200に溶浸し、ベース領域204と結合して非多孔質とし、多孔質領域200と交換領域206とを一体にする。すなわち、多孔質領域200とその内部にろう材310が中実又はほぼ中実の断面、すなわち稠密な断面を形成し、結合ベースと交換領域204、206が一体となる。上述の通り多孔質領域200のポロシティは、ベース領域204と交換領域206との間の長さ、幅、及び厚さの少なくとも一方に沿って変化し得る。また、ベース領域204と交換領域206は、同じポロシティ又は同じ材料を有する必要はないことに留意されたい。多孔質領域200は、その内部に追加の構造、例えば、冷却通路336(図11A)を含んでいてもよい。図11Aにも示されるように、異なるろう材310A、310Bを多孔質領域200の異なる部分領域で使用して、多孔質領域200の周囲又は内部で異なる物理的特性を作り出すことができる。多孔質領域200における部分領域の異なるポロシティの特定の位置が本明細書に例示されているが、異なる多孔質部分領域は、部品202に対して異なるろう材の溶浸特性及び異なる物理的特性を提供するために任意の方法で配置できる。
【0081】
本開示の実施形態は、図1図2に示すように、タービンアセンブリ110を含むターボ機械100、及び本明細書に記載されるように、少なくとも1つの部品202も含んでいてもよい。部品202は、タービン静止ノズル126、タービン回転ブレード132、又はターボ機械100の他の部品の形態をとることができる。多孔質領域200は、新たに製造された部品又は補修された部品で使用することができる。
【0082】
本開示は、様々な技術的及び商業的利点を提供し、その例を本明細書で論じる。補修のために、多孔質領域は、特定の領域で卑金属合金の高い割合(例えば、>60%)を提供する可能性があり、これにより、例えば、予め焼結したプリフォームと比較して物理的特性が改善される可能性がある。多孔質領域は、ろう材で囲まれた従来の金属粒子と比較して強度の高いろう材充填を含む、溶接/溶融粒子マトリックス(例えば、超合金金属ベース)を提供することもできる。多孔質領域を使用したろう材のマルチフローパスは、従来の狭いギャップ充填ろう付けプロセスと比較して、ろう付け継手に沿った充填及び/又は空隙の不足の可能性も減少する可能性がある。多孔質領域は、高度にカスタマイズされたろう材の流れを可能にするために、ポロシティの違いで形成することができる。また、多孔質領域は、ろう材用のギャップが狭い機械加工された中実多孔質領域と比較して、より大きな継手ギャップ寸法のばらつきに対応する。開示の教示を使用した補修は、従来のナローギャップろう付けプロセスよりも強力であり、特定の補修後の仕上げを必要としないが、予備焼結プリフォーム(PSP)などの現在の技術と比較して物理的特性が改善されている。多孔質領域は、密集領域間の接合部での応力を軽減し、ベース領域と交換領域とは異なる物理的特性を作成するようにカスタマイズできる。さらに、高密度のクーポンを直接印刷するのではなく、多孔質領域を持つ金属クーポンの積層造形は、ひずみ経年劣化亀裂の可能性を減少又は排除する(ショットピーニング、HIPなど、後処理の必要性を排除することに加えて)。
【0083】
本明細書及び特許請求の範囲で用いる近似表現は、数量の修飾語であって、その数量が関係する基本的機能に変化をもたらさない許容範囲内で変動し得る数量を表すために適用される。したがって、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳稠密な数値に限定されない。幾以上かの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。場合によっては、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能である。かかる範囲は、前後関係等から別途明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を特定しかつ包含する。範囲の特定の値に用いられる「約」は、上下限に適用され、その値を測定する機器の精度に依存する場合を除いて、記載された数値の±10%を示すことがある。
【0084】
以下の特許請求の範囲において機能的記載によって特定された構成要素の対応する構造、材料、行為及び均等物は、特許請求の範囲に具体的に記載された他の構成要素と組合せて機能を発揮するあらゆる構造、材料又は行為を包含する。本開示の記載は、例示及び説明を目的としたものであり、網羅的なものでもなければ、開示された形態に限定するものでもない。本開示の技術的範囲及び技術的思想から逸脱せずに、数多くの修正及び変形が当業者には明らかであろう。本開示の実施形態は、本開示の原理及び実用的用途の説明として最も適しかつ当業者が様々な実施形態に関する開示内容及び特定の用途に適した様々な修正について理解できるように、選択して記載したものである。
【符号の説明】
【0085】
200 積層造形多孔質領域
202 部品
204 稠密なベース領域
206 緻密な交換領域
320 交換すべき領域
322 稠密なベース領域の第1の表面
330 緻密な交換領域の第2の表面
310 ろう材
332 第1の部材
334 第2の部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
【外国語明細書】