(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025084688
(43)【公開日】2025-06-03
(54)【発明の名称】収着剤組成物、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
B01J 20/22 20060101AFI20250527BHJP
C08G 77/26 20060101ALI20250527BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20250527BHJP
【FI】
B01J20/22 A
C08G77/26
B01J20/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024181461
(22)【出願日】2024-10-17
(31)【優先権主張番号】63/592,783
(32)【優先日】2023-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2023/082721
(32)【優先日】2023-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドハティ、マーク ディー.
(72)【発明者】
【氏名】リピンスキー、ブライス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】オブライエン、マイケル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リトルジョン、マシュー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジエ ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ホンボ
(72)【発明者】
【氏名】シー、シャオレイ
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ジンボ
(72)【発明者】
【氏名】ス、ヤーリー
(72)【発明者】
【氏名】ダガル、アニル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ムーア、デビッド アール.
(72)【発明者】
【氏名】チャクラボルティ、ソウミヤ
(72)【発明者】
【氏名】ステラ、アルバート エス.
(72)【発明者】
【氏名】ナヤック、モハンダス
(72)【発明者】
【氏名】ガイクワッド、アミット
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ、アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴスワミ、スバディップ
(72)【発明者】
【氏名】ウッドラフ、デビッド ダブリュー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アミノシリコーン官能基を有するリガンドで官能化された収着剤、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】官能化収着剤が、収着剤、及びアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドを含んでおり、上記収着剤が3μm以下の平均粒子長を有する、官能化収着剤である。前記官能化収着剤が、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドをさらに含むことが好ましい。収着剤の製造方法は、(I)収着剤前駆体、結晶成長阻害剤、任意成分としての溶媒及び任意成分としての非溶媒を含む混合物を形成し(II)混合物を反応させることを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化収着剤であって、当該官能化収着剤が、
収着剤、及び
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンド
を含んでおり、上記収着剤が3μm以下の平均粒子長を有する、官能化収着剤。
【請求項2】
アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドをさらに含む、請求項1に記載の官能化収着剤。
【請求項3】
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとが、約10:1~約1:10の範囲内の比で存在する、請求項2に記載の官能化収着剤。
【請求項4】
当該官能化収着剤が、次の式(A-I)の官能化MOF化合物である、請求項1に記載の官能化収着剤。
MxLyFA
aFB
b (式A-I)
式中、
MはMOF金属又は金属含有クラスターであり、
LはMOFリンカーであり、
FAはアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドであり、
FBはアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドであり、
xは1~6の範囲内の数値であり、
yは1~6の範囲内の数値であり、
aは0超2以下の数値であり、
bは0~2の範囲内の数値である。
【請求項5】
MOF金属又は金属含有クラスターが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Mg、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、これらのイオン、これらの水和物、これらの塩、これらのハロゲン化物、これらのフッ化物、これらの塩化物、これらの臭化物、これらのヨウ化物、これらの硝酸塩、これらの酢酸塩、これらの硫酸塩、これらのリン酸塩、これらの炭酸塩、これらの酸化物、これらのギ酸塩、これらのカルボン酸塩及びこれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、請求項4に記載の官能化収着剤。
【請求項6】
MOFリンカーが、ポリトピックリンカー、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸(H4dobpdc)、4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(dobpdc4-)、4,4”-ジオキシド-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-3,3”-ジカルボキシレート(dotpdc4-)、2,5-ジオキシドベンゼン-1,4-ジカルボキシレート(dobdc4-)、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸(m-dobdc4-)、3,3’-ジオキシド-ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(para-carboxylate-dobpdc4-)、4,4’-[オキサリルビス(イミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4ODA)、4,4’-[1,4-フェニレンビス-(カルボニルイミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4TDA)、4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸(H4OSA)、ジカルボン酸塩、テレフタル酸、トリカルボン酸塩、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、アゾレート、テトラアゾレート、1,4-ブタンジカルボン酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、p-ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸、ペリレン-3,9-ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン-3,3-カルボン酸、4,4’-ジアミノ-1,1’-ジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1’-ジナフチル-8,8’-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4’-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス(カルボキシメチル)ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7,-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン-1,8-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-cisジカルボン酸、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、o-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E300-ジカルボン酸、Pluriol E400-ジカルボン酸、Pluriol E600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォンジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2’-3’-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4”-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソチオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2’,5’-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、1,1-ジオキシド-ペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-1,12-スルフォン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、メソ-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ポリトピックリンカー、ジトピックリンカー、トリトピックリンカー、テトラトピックリンカー、ペンタトピックリンカー、ヘキサトピックリンカー、ヘプタトピックリンカー、オクタトピックリンカー、混合リンカー、非対称リンカー、メタロリンカー、N-複素環式リンカー、これらのプロトン化形、部分又は完全脱プロトン化形並びにこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、請求項4に記載の官能化収着剤。
【請求項7】
前記収着剤が0.2超のアスペクト比を有する、請求項1に記載の官能化収着剤。
【請求項8】
前記収着剤が1μm未満の平均粒子長を有する、請求項1に記載の官能化収着剤。
【請求項9】
前記アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドが、以下の式(A-II)、式(A-III)、式(A-IV)、式(A-V)、式(A-VI)又は式(A-VII)のアミノ置換シロキサンである、請求項1に記載の官能化収着剤。
【化1】
【化2】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
9、R
10、R
13、R
14及びR
18は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
5、R
6、R
11、R
15及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
7、R
8、R
12及びR
16は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル及び次の式(A-VIII)の置換基からなる群から選択され、
【化3】
式中、
波形の結合は式(A-II)又は式(A-III)又は式(A-IV)又は式(A-V)又は式(A-VI)又は式(A-VII)との結合位置を示し、
R
19、R
20、R
21、R
22、R
23及びR
24は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
25及びR
26は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
25及びR
26が一緒にヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
27、R
28及びR
29は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
30は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
jは0~20の整数であり、
kは0~20の整数であり、
mは0~20の整数であり、
nは0~20の整数である。
【請求項10】
1以上の官能化リガンドが以下に示すものからなる群から選択されるアミノシリコーン基を含んでいる、請求項1に記載の官能化収着剤。
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項11】
請求項1に記載の官能化収着剤を含む収着剤系。
【請求項12】
収着剤の製造方法であって、当該方法が、
(I)収着剤前駆体、結晶成長阻害剤、任意成分としての溶媒、及び任意成分としての非溶媒を含む混合物を形成すること、及び
(II)上記混合物を反応させること
を含んでおり、上記収着剤が3μm以下の平均粒子長を有する、方法。
【請求項13】
前記収着剤前駆体がMOFリンカー及びMOF金属又は金属含有クラスターを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記溶媒が水性溶媒を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶成長阻害剤が、サリチル酸、4-フルオロサリチル酸、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)、安息香酸類、ビフェノール類、ビピリジン類及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、アミノシリコーン官能基を有するリガンドで官能化された収着剤、その製造方法並びにその使用方法に関する。本開示は、一般に、アミノアルキル置換ジシロキサンの製造方法並びに該方法で製造されるアミノアルキル置換ジシロキサンにも関する。本開示は、一般に、捕集系、特に水管理及び官能化収着剤を用いた吸着剤ベッドによる二酸化炭素ガスの吸着及び脱着の至適化に資する捕集系にも関する。本開示は、一般に燃焼後又は直接空気炭素捕集系のモデリング、特に燃焼後又は直接空気炭素捕集系における新規収着剤(特に有機金属構造体)の予測性能をモデリングするためのシステム及び方法並びにモデリングによって決定された炭素捕集性能値に基づいて1種以上の有望な収着剤を用いて燃焼後又は直接空気炭素捕集系を運転するためのシステム及び方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
固体収着剤は多種多様な用途に有用である。例えば、これらは、特に炭素捕集収着剤系、例えば二酸化炭素(CO2)のポイントソース燃焼後炭素捕集(PCC:post-combustion carbon capture)及び直接空気捕集(DAC:direct air capture)での使用に有用である。炭素捕集に用いられる固体収着剤は、従来の液体アミン系CO2捕集プロセスに代わる、有望で技術的経済的に優れた代替技術を提供する。例えば、固体収着剤は、活性液体アミンに比べて、吸着容量に優れ、再生エネルギー要件が低く、系の複雑さ並びに環境及び安全性リスクが低い傾向がある。
【0003】
収着剤材料には、それらの吸着メカニズムに基づいて、2つのタイプがある。第1のタイプの物理収着剤は、CO2及びH2Oのような気体種を吸収するのに、非共有相互作用(例えばファンデルワールス相互作用、双極子-双極子相互作用など)に依拠する。物理収着剤の例としては、活性炭、ゼオライト及び有機金属構造体(MOF)が挙げられる。第2のタイプの化学収着剤は、可逆的化学反応並びにカルバミン酸アンモニウム、カルバミン酸、炭酸アンモニウム及び/又は炭酸水素アンモニウムの形成を通してCO2を吸着する。化学収着剤の具体例としては、アミン官能化シリカ粒子、アミン官能化ポリマー及び樹脂、アミン官能化有機金属構造体(MOF)及びアミン官能化共有結合性有機構造体(COF)が挙げられる。
【0004】
化学結合の結果、化学収着剤材料は、N2、メタン及びCOのような干渉性化学種に対して、物理収着剤材料に比べて概してCO2吸着の選択性に優れる。しかし、化学収着剤系の有効性は、化学吸着を行う官能化分子の組成性状及び官能化プロセスによって制限される。そこで、高容量及び速い反応速度でCO2を選択的に吸収する化学的及び熱的に安定な分子種を含む官能化収着剤が必要とされている。
【0005】
これに関して、少なくとも幾つかの公知の産業及び発電プロセスでは、CO2のような形態の汚染物質を含むガス流を生じるおそれがある。そこで、排気流を大気中に放出する前にガス流から汚染物質を除去しておくために捕集系を用いることがある。例えば、CO2を捕集して地下に貯留し、大気中に放出されるCO2の量を減らすために、炭素捕集系を用いることがある。
【0006】
少なくとも幾つかの公知の炭素捕集系では、CO2を捕集及び放出するための吸着剤ベッドを使用することがある。幾つかの公知の系では、系の吸着容量及び効率を向上させるため、液体アミン系CO2捕集プロセスを用いる他の公知の系とは対照的に、固体収着剤材料を吸着剤ベッドと共に使用してCO2の吸着及び脱着を高めることができる。しかし、化学収着剤系の有効性は官能化並びに運転条件の詳細によって制限されることが多々ある。
【0007】
CO2捕集量の増加を図るため、少なくとも幾つかの公知の炭素捕集系では、CO2捕集効率を高めるための水を用いる。例えば、炭素捕集系はCO2吸着性能を高めるため湿性条件を使用することがある。しかし、H2Oの吸着量が多すぎると、H2O分子の干渉によって、吸着剤ベッドに使用される化学収着剤材料のCO2吸着容量が低減してしまうことがある。そこで、二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び生産性を至適化するため水の存在下で官能化化学収着剤を使用する捕集系が必要とされている。
【0008】
これに関して、アミノアルキル置換ジシロキサンが多種多様な用途に有用である。例えば、これらは炭素捕集系又はアミノシリコーン系製品に特に有用である。
【0009】
置換ジシロキサンは複数の公知の反応を介して生産されることが多い。しかし、公知の反応は範囲が限られていることがあり、アミノアルキル置換ジシロキサンの生産には有効でないことがある。例えば、中国出願公開第102675596号に記載されたプロセスで用いる反応経路は、環状生成物を優先的に生成する副反応のため、アミノアルキル置換ジシロキサンには適していない。同様に、中国出願公開第102351893号に記載されたプロセスでは、出発物質は1つの化合物にしか加水分解できない。さらに、Li, et al., Thermochimica Acta, 2012, 545, 75に記載されているような幾つかのプロセスは、多段階反応経路及び中間精製ステップを必要とし、比較的多数の反応ステップが必要とされることがあり、及び/又は全体的収率を低下させ、プロセスのコスト及び複雑さを増すおそれがある。
【0010】
このように、アミノアルキル置換ジシロキサンを製造する機会は限られている。そこで、アミノアルキル置換ジシロキサンの簡単な製造方法が必要とされている。
【0011】
これに関して、幾つかの発電プラントは、発生した廃ガス(煙道ガス)から二酸化炭素(CO2)を捕集するように構成された燃焼後炭素捕集系を含んでいることがある。PCC系は、例えば石炭燃焼システム、ガスタービン及び/又はボイラーを含む発電プラントで発生した廃ガスからCO2を捕集するのに用いられる。ある種のPCC系は炭素捕集を促進するため有機金属構造体を用いる。有機金属構造体は通例無機金属成分(二次構造単位(SBU)と呼ばれる)と有機成分(リンカーと呼ばれる)の2種類の主成分を含んでいる。多種多様なMOFが開発されており、それらの捕集容量(例えばある特定のMOFがCO2捕集にどの程度有効であるかの指標)について試験されている。しかし、MOFに用いることのできる金属とリンカーと他の官能基との組合せは潜在的に何百万も存在しており、成分の可能な組合せの各々について実世界で創製し研究することは経済的に難しい。
【0012】
本開示は、これらの関連するニーズに別個にかつまとめて対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】中国出願公開第102675596号
【特許文献2】中国出願公開第102351893号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Li, et al., Thermochimica Acta, 2012, 545, 75
【発明の概要】
【0015】
一態様では、官能化収着剤を提供する。官能化収着剤は、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。
【0016】
別の態様では、収着剤の製造方法を提供する。本方法は、(I)収着剤前駆体、結晶成長阻害剤、任意成分としての溶媒及び任意成分としての非溶媒を含む混合物を形成し(II)混合物を反応させることを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。
【0017】
別の態様では、1種以上のガスを捕集する方法を提供する。本方法は、(I)1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けるステップであって、官能化収着剤が、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1種以上の官能化リガンドとを含む、ステップ、及び(II)1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集するステップを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。
【0018】
別の態様では、1種以上のガスを回収する方法を提供する。本方法は、(I)1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けるステップであって、官能化収着剤が、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1種以上の官能化リガンドとを含む、ステップ、(II)1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集するステップ、及び(III)1種以上のガスを官能化収着剤から放出させるステップを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の上記その他の特徴、態様及び利点については、添付図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができよう。図面を通して、同様の符号は同様の部材を表す。
【
図1】本開示によるCO
2の捕集に使用し得る例示的な捕集系の概略図。
【
図2】本開示によるCO
2の捕集に使用し得る別の捕集系の概略図。
【
図3】本開示に係る
図2の捕集系が有し得る水分吸着等温線の例示的なタイプを示す。
【
図4】本開示に係る
図1及び
図2の捕集系で使用し得る例示的な制御システムの概略図。
【
図5】AEAM、スペルミジン、第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)又は第2のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物2、スペルミン:AEAM=0.32:0.46)で官能化した収着剤の例示的な潜在的H
2O吸着容量を本開示に従って動的水分収着(DVS)重量測定法を用いて25℃で測定した図。
【
図6】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的H
2O吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて様々な温度でのH
2O分圧の関数として示す図。
【
図7】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的H
2O吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて様々な温度での相対湿度の関数として示す図。
【
図8】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的CO
2及びH
2O吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて40℃での相対湿度の関数として示す図。
【
図9】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的CO
2吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて様々な温度での水圧の関数として示す図。
【
図10】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的H
2O吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて様々な温度での水圧の関数として示す図。
【
図11】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的CO
2吸着容量を、本開示に従ってDVS重量測定法を用いて様々な温度での相対湿度の関数として示す図。
【
図12A】第1のハイブリッドアミン(ハイブリッド化合物1、スペルミン:AEAM=0.65:0.35)で官能化した収着剤の例示的な潜在的CO
2吸着等温線を、DVS重量測定法を用いて40℃で乾燥CO
2及び相対湿度30%の湿性CO
2に対して測定した図。
【
図12B】ハイブリッド化合物3(スペルミン:AEAM=0.69:0.23)で官能化した収着剤の例示的なCO
2吸着及びH
2O等温線を、本開示に従って個別のCO
2及びH
2Oセンサーを備える破過試験装置を用いて25℃及び400ppmv CO
2濃度で乾燥CO
2及び様々な相対湿度の湿性CO
2に対して測定した図。
【
図13】本開示に係る例示的な方法のフローチャート。
【
図14】本開示によって、石炭火力発電プラントの排気ガスから二酸化炭素(CO
2)を捕集する際にある特定のMOFがどの程度の性能を発揮するかを予測するのに使用できる例示的なPCCモデリングシステムを示す図。
【
図15】本開示による、平衡条件下で測定した合成粉体から動的条件下で測定した基材上の最終フィルムコーティングに移行したときの例示的収着剤(例えばMOF)でのCO
2吸着生産性の低下を示すグラフ。
【
図16A】本開示に係る燃焼後炭素捕集系における有望な収着剤の予測性能を分析するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図16B】本開示に係る燃焼後炭素捕集系における有望な収着剤の予測性能を分析するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図16C】本開示に係る燃焼後炭素捕集系における有望な収着剤の予測性能を分析するための例示的な方法を示すフローチャート。
【
図18】本開示に係るMg
2(dobpdc)
1(IPA)
1.92の
1H NMR分析を示す図。
【
図19】本開示に従って製造した例示的MOF-274(試料ID#A2111)の走査電子顕微鏡(SEM)画像。
【
図20】本開示に従って結晶成長阻害剤としてサリチル酸(左)及びフルオロ-サリチル酸(右)を用いて製造した例示的MOF-274のSEM画像。
【
図21】本開示に従って結晶成長阻害剤として4,4’-ビフェノールを矢印に示す4,4’-ビフェノール:H
4dobpdc投入モル比で用いて製造した例示的MOF-274の粉末X線回折(XRD)スペクトル。
【
図22】本開示による、9.24重量%の4,4’-ビフェノールを投入せずに(左)及び投入して(右)製造した例示的MOF-274のSEM画像。
【
図23】本開示に従って結晶成長阻害剤として2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)を各ライン上に示すBPYDC:H
4dobpdc投入モル比で用いて製造した例示的MOF-274の粉末XRDスペクトル。
【
図24】本開示に従って結晶成長阻害剤としてBPYDC(投入量0.13重量%、2.29重量%及び24.78重量%)を用いて製造した例示的MOF-274のSEM画像。
【
図25】結晶成長阻害剤2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)並びにBPYDMを各ライン上に示すBPYDM:H
4dobpdc投入モル比で用いて製造したMOF-274の粉末XRDスペクトル。
【
図26】本開示に従って結晶成長阻害剤としてBPYDM(投入量1.17重量%、3.43重量%及び6.80重量%)を用いて製造した例示的MOF-274のSEM画像。
【
図27】本開示によるスペルミン及び例示的なアミノシリコーンの化学構造を示す図。
【
図28】慣用法で合成したMOF-274(ID#A21)を用いた比較例の収着剤(GE115-A259)(比較例3)のSEM画像。
【
図29】本開示に従って乳鉢ですりつぶしたMOF-274(ID#A21)を含む実施例の収着剤(GE115-A272)(実施例4)のSEM画像。
【
図30】本開示に従って機械的に粉砕したMOF-274を含む実施例の収着剤(GE115-A279)(実施例5)のSEM画像。
【
図31】本開示に従って、純スペルミン、純APAP及び各種比率の混合物を含む収着剤のCO
2吸収量を、スペルミン担持量の関数として、破過試験装置を用いて25℃、50%RH及び400ppmv CO
2で測定したグラフ。
【
図32】本開示に従って、純スペルミン、純APAP及び各種比率の混合物を含む収着剤のCO
2吸収量を、スペルミン担持量の関数として、DVS重量測定法を用いて120℃、100mbar CO
2分圧で測定したグラフ。
【
図33】本開示に従って、純スペルミン、純APAP及び各種比率の混合物を含む収着剤のCO
2吸収量作業容量を、スペルミン担持量の関数として示すグラフ。
【
図34】本開示技術に係る例示的な方法のフローチャート。
【
図35】本開示技術に係る例示的な方法のフローチャート。
【
図36】本開示技術に係る例示的な方法のフローチャート。
【
図37】本開示技術に係る例示的な方法のフローチャート。
【0020】
別途記載されていない限り、本願に添付した図面は、本開示技術の実施形態の特徴を例示するものである。これらの特徴は、本開示技術の1以上の実施形態を包含する多種多様なシステムに適用できると思料される。そのため、図面は、本明細書で開示する実施形態の実施に必要とされる当業者に公知の慣用的特徴をすべて含んでいるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示の複数の実施形態は、組成の実施形態、系の実施形態及び方法の実施形態の様々な組合せを含め、どのように組合せてもよい。便宜上見出しを設けるが、本開示の実施形態を分離又は限定するものではない。従って、以下の実施形態は例示にすぎず、本開示を限定するものではない。
【0022】
官能化収着剤及び水管理を用いる二酸化炭素捕集系
一態様では、二酸化炭素を捕集するための捕集系を提供する。本捕集系は、1以上の吸着モジュール及び官能化収着剤を含む吸着剤ベッドを含んでおり、1以上の吸着モジュールは、ガス流を受け取り、官能化収着剤によってガス流から二酸化炭素を吸着し、かつガス流を排出するように配向している。本補修系は、1以上の吸着モジュールの温度及び相対湿度の動的制御に用いるための接触器と、吸着剤ベッドに捕集される二酸化炭素の量を増大させるために官能化収着剤に基づいて温度及び相対湿度を調整するように構成されたコントローラーとをさらに含んでいる。
【0023】
本願に記載の実施形態は、吸着剤ベッドによる二酸化炭素の吸着及び脱着の至適化に資するため水の存在下で官能化化学収着剤を用いる系に関する。本願に記載の系の利点としては、少なくとも(i)吸着剤ベッドの温度変化の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、(ii)吸着剤ベッドでの官能化収着剤の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、(iii)吸着剤ベッドでの水分相対湿度の変化の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、並びに(iv)1以上の吸着モジュール内の官能化収着剤に基づく吸着ベッド内の1以上の吸着モジュール内の温度及び水分相対湿度の調整による捕集系の性能の向上が挙げられる。
【0024】
図1は、吸着剤ベッド102を用いたCO
2の回収に使用し得る例示的な捕集系100の概略図である。例示的な実施形態では、吸着剤ベッド102は1以上の吸着モジュール104を含む。さらに具体的には、例示的な実施形態では、吸着剤ベッド102は4個の吸着モジュール104a~dを含む。幾つかの実施形態では、捕集系100は、4個超又は4個未満の吸着モジュール104を含んでいてもよい。さらに、例示的な実施形態では、吸着剤ベッド102は入口106及び出口108を含む。入口106及び出口108は、運転中に、入口106から入ったガス流110が直列の各吸着モジュール104を通って出口108に向かって送られるように配向している。ガス流110が各吸着モジュール104を通って流れる際に、吸着剤ベッド102はガス流110からCO
2を捕集し、出口108から排気流112が排出される。
【0025】
吸着モジュール104は、CO2及びH2Oのような、ガス流110の特定の成分を優先的に捕集するための固体収着剤を含むことができる。例示的な実施形態では、吸着モジュール104は、収着剤と、限定されるものではないが、吸着剤ベッド102のCO2捕集容量及び生産性の向上に資するアミノシリコーン基のような、1種以上のアミン基を含む官能化リガンドとを含む官能化収着剤114を含む。一般に、官能化収着剤114は、本願に記載の系に資する当技術分野で公知の形態とすることができる。例えば、官能化収着剤114は、粉体、バインダーと混合した複合材、フィルム又はコーティング、充填ベッド及び/又はカラムの形態とすることができる。
【0026】
例示的な実施形態では、入口106に入った後、ガス流110は吸着モジュール104の第1のモジュール104aを通して導かれる。各々の吸着モジュール104は、ガス流110に含まれるCO2を吸着するための官能化収着剤114を含んでいる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤114は各吸着モジュール104で同一であってもよい。別の実施形態では、官能化収着剤114は1以上の吸着モジュール104で変更してもよい。
【0027】
一般に、ガス流110は、本願に記載の系に資する当技術分野で公知の適切なガスとすることができる。例えば、ガス流110は、空気、煙道ガス、燃焼後のガス、天然ガス、及び/又はこれらの組合せとすることができる。例示的な実施形態では、ガス流110はCO2及びH2Oを含む。幾つかの実施形態では、CO2は、ガス流110中に約1体積%~約10体積%の範囲内で存在し得る。別の実施形態では、CO2はガス流110中に1体積%未満の量、例えば約300~500ppm未満の体積で存在し得る。さらに別の実施形態では、CO2はガス流110中に10体積%超の量で存在し得る。幾つかの実施形態では、H2Oはガス流中に約0.01体積%~約20体積%の範囲内で存在し得る。別の実施形態では、H2Oは、ガス流110中に7体積%未満の量、例えば高温多湿の夏期の空気中のように約2体積%~7体積%、又は寒い冬期の空気中のように2体積%未満で存在し得る。さらに別の実施形態では、H2Oは、燃焼後のガス中のように、ガス流110中に5体積%超の量で存在し得る。
【0028】
例示的な実施形態では、ガス流110のCO2濃度は概してガス流110が入口106に入るときに最も高い。CO2は後段の各吸着モジュール104の官能化収着剤114に吸着されるので、ガス流110が出口108に向かって吸着モジュール104a~dを流れるにつれて、ガス流110中のCO2の濃度は減少する。例示的な実施形態では、吸着モジュール104a~dを流れるガス流110中のCO2濃度は、所定の吸着サイクルにおいて出口108で最も低くなる。
【0029】
例示的な実施形態では、捕集系100捕集系100の運転を動的に調節するコントローラー116も含んでいる。例えば、コントローラー116は、以下で説明する通り、1以上の吸着モジュール104の温度の変更及び/又は1以上の吸着モジュール104内のH2O含有量の変更によってCO2の捕集を最大限にすることができる。
【0030】
コントローラー116は、各吸着モジュール104a~dの温度の動的調節によって捕集系100の運転条件を調整する。例示的な実施形態では、吸着モジュール104は接触器118を含む。接触器118は接触器入口120及び接触器出口121を含む。例示的な実施形態では、接触器入口120から入る第1の流れ122は、熱伝達によって吸着モジュール104の温度を調整する。接触器118は、吸着モジュール104の温度を調整するため間接的又は直接的熱伝達を使用し得る。例えば、接触器118は接触器入口120と接触器出口121の間に画成されそれらの間に延在する流体回路(図示せず)を含んでいてもよく、流体回路(図示せず)内を流れる第1の流れ122と吸着モジュール104内の官能化収着剤114との間で間接的熱伝達が起こるようにしてもよい。さらに、例えば、接触器118は吸着モジュール104と直接流体連通していてもよく、第1の流れ122と吸着モジュール104内の官能化収着剤114との間で直接的熱伝達が起こる。幾つかの実施形態では、1以上の吸着モジュール104a~dの接触器118は直列及び/又は並列に結合し得る。
【0031】
コントローラー116は、第1の流れ122の調節温度T
regを監視しながら、1以上の吸着モジュール104の温度を調節し得る。幾つかの実施形態では、第1の流れ122は液体の形態であってもよい。別の実施形態では、第1の流れ122はガスの形態であってもよい。第1の流れ122と1以上の吸着モジュール104内の官能化収着剤114との間の熱伝達は、直接的であろうが間接的であろうが、官能化収着剤114の温度の制御に資する。コントローラー116は、接触器センサー130(
図4に示す)を用いて第1の流れ122の調節温度T
regを監視し得る。さらに、コントローラー116はモジュールセンサー134(
図4に示す)を用いて1以上の吸着モジュール104の制御温度T
cntlを監視し得る。1以上の吸着モジュール104の制御温度T
cntlが所望よりも低い運転条件では、コントローラー124は第1の流れ122の調節温度T
regを選択的に上昇させて、1以上の吸着モジュール104の温度を上昇させることができる。或いは、1以上の吸着モジュール104の制御温度T
cntlが所望よりも高い運転条件では、コントローラー124は第1の流れ122の調節温度T
regを選択的に低下させて、1以上の吸着モジュール104の温度を下げることができる。
【0032】
一般に、第1の流れ122の調節温度Treg及び吸着モジュール104の温度は、本願に記載の系によるCO2の捕集に資する当技術分野で公知の適切な温度とすることができる。幾つかの実施形態では、第1の流れ122の調節温度Tregは約0℃~約150℃の範囲内とすることができる。別の実施形態では、第1の流れ122の調節温度Tregは約60℃~約250℃の範囲内とすることができる。例示的な実施形態では、第1の流れ122の調節温度Tregは各吸着モジュール104a~d内で監視される。幾つかの実施形態では、第1の流れ122の調節温度Tregは各吸着モジュール104間で実質的に均一であってもよい。別の実施形態では、第1の流れ122の調節温度Tregは各吸着モジュール104a~d間で変更してもよい。
【0033】
さらに、コントローラー116は、吸着モジュール104a~dのいずれかで第1の流れ122の調節温度T
regwを変化させることができる。例えば、1以上の吸着モジュール104a~dは2以上のモジュールセンサー134(
図4に示す)を含んでいてもよい。そうすると、コントローラー116は、吸着モジュール104a~dのいずれか又はすべてにおける第1の流れ122の調節温度T
regの変動値を含む温度プロファイルを作成し得る。幾つかの実施形態では、第1の流れ122の調節温度T
regの変動値は、吸着モジュール104のいずれか又はすべてにおいて勾配温度プロファイルを形成し得る。別の実施形態では、第1の流れ122の調節温度T
regの変動値は、吸着モジュール104のいずれか又はすべてにおいて離散的温度プロファイルを形成し得る。
【0034】
図2は、吸着剤ベッド102を用いたCO
2の捕集に使用し得る例示的な捕集系200の概略図である。
図2に示す実施形態は、本願に記載の差異はあるが、
図1に示す実施形態と同様であるので、
図1で用いた符号と同じ符号を
図2で用いる。コントローラー116は、各吸着モジュール104a~d内のH
2O含有量の調節によるH
2O相対湿度の動的調整によって、捕集系200の運転条件の調整に資する。例示的な実施形態では、吸着モジュール104は、インジェクター入口204を含むインジェクター202を含む。インジェクター入口204から入る第2の流れ206は、吸着モジュール104内のH
2O含有量の調節によるH
2O相対湿度の調整に資する。例示的な実施形態では、第2の流れ206はH
2Oを含む。第2の流れ206は液体の形態(例えば水)又は気体の形態(例えば水蒸気)のH
2Oを含むことができる。幾つかの実施形態では、H
2Oは、第2の流れ206に約0.1体積%~約20体積%の範囲内で存在し得る。別の実施形態では、H
2Oは第2の流れ206に約4体積%~約15体積%の範囲内で存在し得る。さらに別の実施形態では、H
2Oは、大気中で一般にみられるように、第2の流れ206に約0.5体積%~約4体積%の範囲内で存在し得る。
【0035】
コントローラー116は、1以上の吸着モジュール104への第2の流れ206の流量を調節することによって、1以上の吸着モジュール104内のH
2O含有量を調節し得る。例えば、コントローラー116は、モジュールセンサー134(
図4に示す)を用いて吸着モジュール104のH
2O濃度Cの相対湿度レベルを監視し得る。1以上の吸着モジュール104においてH
2O濃度Cに対するH
2O相対湿度レベルが所望よりも低い運転条件では、コントローラー116は第2の流れ206の流量を選択的に増加させて、1以上の吸着モジュール104に追加のH
2Oを注入することができる。1以上の吸着モジュール104においてH
2O相対湿度レベルが所望よりも高い運転条件では、コントローラー116は第2の流れ206の流量を選択的に減少させて、1以上の吸着モジュール104に注入される追加のH
2O量を減少させることができる。別の実施形態では、吸着サイクルの始めに、コントローラー116は第2の流れ206の流量を選択的に増加させて、1以上の吸着モジュール104に追加のH
2Oを注入して所望相対湿度レベルを超えて相対湿度を増加させ、迅速なH
2O吸着ができるようにしてもよい。次いで、吸着サイクルの後段で、コントローラー116は第2の流れ206の流れを選択的に減少又は停止して、1以上の吸着モジュール104の相対湿度レベルを低下させてもよい。
【0036】
コントローラー116は、1以上の吸着モジュール104の第1の流れ122の調節温度Tregを監視することによって、1以上の吸着モジュール104内のH2O相対湿度を調節してもよい。1以上の吸着モジュール104においてH2O相対湿度レベルが所望よりも高い運転条件では、コントローラー116は第1の流れ122の調節温度Tregを選択的に上昇させて、1以上の吸着モジュール104の温度を上昇させ、昇温下での飽和蒸気圧の増大によってH2O相対湿度の低下を惹起するようにしてもよい。1以上の吸着モジュール104においてH2O相対湿度レベルが所望よりも低い運転条件では、コントローラー116は第1の流れ122の調節温度Tregを選択的に低下させて、1以上の吸着モジュール104の温度を低下させ、H2O相対湿度の上昇を惹起するようにしてもよい。第1の流れ122の調節温度Tregは、本願に記載のいずれかの系を用いて上昇又は低下させることができる。
【0037】
コントローラー116は、捕集系200の運転条件を調整して各吸着モジュール104a~dの相対湿度を維持することによってCO2の吸着及び脱着の至適化を促進する。各吸着モジュール104a~dの相対湿度は、第1の流れ122の調節温度Treg並びに吸着モジュール104のH2O濃度Cに基づくことができる。例示的な実施形態では、コントローラー116は、H2Oの単層吸着によるCO2の吸着及び脱着の至適化を促進するため、吸着モジュール104内の官能化収着剤114のH2O吸着等温線に基づいて、第1の流れ122の調節温度Treg並びに吸着モジュール104H2O濃度Cを調節する。
【0038】
一般に、捕集系200は、本願に記載の系によるCO
2の捕集に資する適切な吸着等温線を有し得る。水分吸着等温線にはIUPACで定義されているように6つのタイプがあり、その形状は相対湿度及び温度に依存する(
図3に示す)。これら6つのタイプのうち、タイプII、タイプIV及びタイプVIは各々H
2Oの単層被覆及び吸着に概ね対応するニーポイントまでの平坦な領域(例えば「変曲点」)を示す(
図3に示す)。例示的な実施形態では、コントローラー116は、官能化収着剤114によるH
2Oの単層被覆及び吸着のため捕集系200の運転条件を調整して、CO
2の吸着及び脱着の至適化を促進する。例えば、捕集系200はタイプII、タイプIV又はタイプVIの吸着等温線(
図3に示す)を有することができ、これらはH
2Oの単層被覆及び吸着を担保して官能化収着剤114のCO
2吸着容量を増加させるのに特に有益である。
【0039】
相対湿度及び温度に依存するだけでなく、吸着等温線は収着剤材料にも依存する。多くの実施形態では、官能化収着剤114は、本願に記載の系によるCO2の捕集に資するいかなる官能化収着剤材料であってもよい。例示的な実施形態では、官能化収着剤114は、収着剤と、H2Oの吸着に対してCO2捕集の容量及び生産性を至適化するためのアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む。
【0040】
一般に、本開示に係る官能化収着剤は、本開示に係る組成物、本開示に係る系及び本開示に係る方法と共に使用し得る。官能化収着剤は、本願に開示した特定の実施形態に限定されるモノではない。
【0041】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤は第1のタイプの官能化リガンドを含んでおり、第1のタイプの官能化リガンドには、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドが含まれる。一般に、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドには、本願に記載の官能化収着剤に資する適切なリガンドが含まれる。アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドには、アミノシリコーン基を含む1個だけの官能化リガンド、或いは各々アミノシリコーン基を含む2以上の官能化リガンドが含まれる。
【0042】
一般に、収着剤は、本願に記載の官能化収着剤に資する公知の適切な収着剤とすることができる。幾つかの実施形態では、収着剤は、配位構造体化合物、有機金属構造体(MOF)化合物、多孔性配位高分子(PCP)、共有結合性有機構造体(COF)化合物、ゼオライトイミダゾレート構造体(ZIF)化合物、結晶質多孔性材料、結晶質開骨格構造体、網目状構造化学、シリカ粒子、ゼオライト、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)、アルミノリン酸塩(AlPO)、多芳香環構造体(PAF)、活性炭、分子性有機固体及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0043】
本願で用いるMOF化合物とは、金属イオン又はクラスターに有機リガンドが配位して一次元、二次元又は三次元構造を形成する種類の化合物である。金属イオン又はクラスターは継手として作用し、多方向の有機リガンドで結合するが、有機リガンドは網目状構造におけるリンカーとして作用する。MOF化合物は、合成時の調整ができるモジュール性を有しており、精密な化学及び構造制御をもたらす。ポロシティ、安定性、粒子形態及び導電率のような特性を、特定の用途に合わせて調整できる。
【0044】
多くの実施形態では、収着剤は、MOF金属又は金属含有クラスターとMOFリンカーとを含むMOF化合物である。
【0045】
幾つかの実施形態では、MOF金属は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なMOF金属とすることができる。別の実施形態では、MOF金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、これらのイオン、これらの水和物、これらの塩、これらのハロゲン化物、これらのフッ化物、これらの塩化物、これらの臭化物、これらのヨウ化物、これらの硝酸塩、これらの酢酸塩、これらの硫酸塩、これらのリン酸塩、これらの炭酸塩、これらの酸化物、これらのギ酸塩、これらのカルボン酸塩及びこれらの組合せからなる群から選択される金属である。幾つかの実施形態では、MOF金属はMgを含む。
【0046】
幾つかの実施形態では、MOF金属含有クラスターは、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なMOF金属含有クラスターとすることができる。幾つかの実施形態では、MOF金属含有クラスターはMOF金属ノードとリンカーストラットとを含んでおり、MOF金属及びリンカーは各々本願で定義される通りである。別の実施形態では、MOF金属含有クラスターはMOF金属-オキシクラスターを含む。
【0047】
幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なMOFリンカーとすることができる。一般に、リンカーの形状及び連結性は、得られるMOF化合物の構造に寄与する。リンカー形状、長さ及び官能基の調節によって、目標の用途に合わせてMOF化合物の大きさ、形状及び内部表面特性を調整することができる。
【0048】
少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、ポリトピックリンカー、ジトピックリンカー、トリトピックリンカー、テトラトピックリンカー、ペンタトピックリンカー、ヘキサトピックリンカー、ヘプタトピックリンカー、オクタトピックリンカー、混合リンカー、非対称リンカー、メタロリンカー、N-複素環式リンカー及びこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーである。
【0049】
少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、ポリトピックリンカー、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸(H4dobpdc)、4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(dobpdc4-)、4,4”-ジオキシド-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-3,3”-ジカルボキシレート(dotpdc4-)、2,5-ジオキシドベンゼン-1,4-ジカルボキシレート(dobdc4-)、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸(m-dobdc4-)、3,3’-ジオキシド-ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(para-carboxylate-dobpdc4-)、4,4’-[オキサリルビス(イミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4ODA)、4,4’-[1,4-フェニレンビス-(カルボニルイミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4TDA)、4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸(H4OSA)、これらのプロトン化形、部分又は完全脱プロトン化形並びにこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーである。別の例として、少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、ジカルボキシレート(例えばテレフタル酸)、トリカルボキシレート(例えば1,3,5-ベンゼントリカルボン酸)、アゾレート、テトラアゾレート及びこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーである。
【0050】
別の例として、少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、1,4-ブタンジカルボン酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、p-ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸、ペリレン-3,9-ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン-3,3-カルボン酸、4,4’-ジアミノ-1,1’-ジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1’-ジナフチル-8,8’-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4’-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス(カルボキシメチル)ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7,-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン-1,8-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-cisジカルボン酸、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、o-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E300-ジカルボン酸、Pluriol E400-ジカルボン酸、Pluriol E600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォンジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2’-3’-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4”-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソチオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2’,5’-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選択されるジカルボン酸リンカーである。
【0051】
別の例として、少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選択されるトリカルボン酸リンカーである。
【0052】
別の例として、少なくとも幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、1,1-ジオキシド-ペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-1,12-スルフォン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、メソ-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸及びこれらの組合せからなる群から選択されるテトラカルボン酸リンカーである。
【0053】
例示的な実施形態では、MOFリンカーは4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸(H4dobpdc)及び/又は4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(dobpdc4-)である。幾つかの実施形態では、dobpdcには、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸、そのモノカルボン酸塩形、そのジカルボン酸塩形、そのモノフェノキシド形、そのジフェノキシド形及びこれらの組合せが含まれる。
【0054】
幾つかの実施形態では、MOFリンカーは、以下に示すリンカーの1種以上である。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
幾つかの実施形態では、MOF化合物は、MOF-74ファミリーのMOF化合物である。幾つかの実施形態では、MOF化合物は、MOF-274ファミリーのMOF化合物である。幾つかの実施形態では、MOF化合物は、MOF-303ファミリーのMOF化合物である。幾つかの実施形態では、MOF化合物はMg2(dobpdc)である。
【0059】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、次の式(A-I)の官能化MOF化合物である。
MxLyFA
aFB
b (式A-I)
式中、
MはMOF金属又は金属含有クラスターであり、
LはMOFリンカーであり、
FAはアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドであり、
FBはアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドであり、
xは1~6の範囲内の数値であり、
yは1~6の範囲内の数値であり、
aは0超2以下の数値であり、
bは0~2の範囲内の数値である。
【0060】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤は第2のタイプの官能化リガンドを含んでおり、第2のタイプの官能化リガンドは、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドを含む。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドも含んでいる。一般に、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドは、本願に記載の官能化収着剤に資する適切なリガンドを含むことができる。アノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドは、アミノシリコーン基を含まない官能化リガンドを1つしか含んでいなくてもよいし、アミノシリコーン基を含まない官能化リガンドを2以上含んでいてもよい。
【0061】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドは、アミンリガンド、モノアミンリガンド、ジアミンリガンド、トリアミンリガンド、テトラアミンリガンド、ペンタアミンリガンド、ヘキサアミンリガンド、ポリアミンリガンド、アルキルアミンリガンド及びアミノアルコールリガンドからなる群から選択される。例示的なリガンドとしては、限定されるものではないが、エチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N-エチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、ジ(N-メチル)エチレンジアミン、N-イソプロピルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-N-メチルエチレンジアミン、ジ(N,N-ジメチル)エチレンジアミン、N,N-ジイソプロピルエチレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノペンタン、ジエチレントリアミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン(スペルミジン)、トリエチレンテトラミン、N,N’-ビス(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン(スペルミン)、テトラエチレンペンタミン及び/又はこれらの組合せが挙げられる。
【0062】
一般に、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、本願に記載した官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な比で存在し得る。幾つかの実施形態では、比は、モル比、重量比及び体積比からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約10:1~約1:10の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約9:1~約1:9の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約8:1~約1:8の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約7:1~約1:7の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約6:1~約1:6の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約5:1~約1:5の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約4:1~約1:4の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約3:1~約1:3の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約2:1~約1:2の範囲内の比で存在する。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、1:1の比で存在する。
【0063】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドよりも少ない量で存在する。
【0064】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとは、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9又は約1:10の比で存在する。
【0065】
多くの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとすることができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミンを含む。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、1種以上の第一級アミン又は1種以上の第二級アミンを含む。
【0067】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、テトラアミン類、ペンタアミン類、ヘキサアミン類、ポリアミン類及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミンを含む。
【0068】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、線状アミノシリコーン、環状アミノシリコーン、枝分れアミノシリコーン、アミノ置換シロキサン、線状アミノ置換ジシロキサン、環状アミノ置換ジシロキサン、線状アミノ置換トリシロキサン、環状アミノ置換トリシロキサン、線状アミノ置換テトラシロキサン、環状アミノ置換テトラシロキサン、線状アミノ置換ポリシロキサン、環状アミノ置換ポリシロキサン、シルセスキオキサン、八面体型(polyoctahedral)シルセスキオキサン及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミノシリコーンを含む。
【0069】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは対称構造を含む。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは非対称構造を含む。
【0070】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドがジシロキサン基を含む場合、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、ジシロキサン基の両側に同じアミンを含む。幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドがジシロキサン基を含む場合、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドはジシロキサン基の両側に異なるアミンを含む。
【0071】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、以下の式(A-II)、式(A-III)、式(A-IV)、式(A-V)、式(A-VI)又は式(A-VII)のアミノ置換シロキサンである。
【0072】
【0073】
【化5】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
9、R
10、R
13、R
14及びR
18は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
5、R
6、R
11、R
15及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
7、R
8、R
12及びR
16は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル及び次の式(A-VIII)の置換基からなる群から選択され、
【0074】
【化6】
式中、
波形の結合は式(A-II)又は式(A-III)又は式(A-IV)又は式(A-V)又は式(A-VI)又は式(A-VII)との結合位置を示し、
R
19、R
20、R
21、R
22、R
23及びR
24は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
25及びR
26は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
25及びR
26が一緒にヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
27、R
28及びR
29は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
30は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
jは0~20の整数であり、
kは0~20の整数であり、
mは0~20の整数であり、
nは0~20の整数である。
【0075】
幾つかの実施形態では、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドは、以下の群から選択される。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
図4は、捕集系100(
図1に示す)及び/又は捕集系200(
図2に示す)のような捕集系でCO
2捕集に使用し得る例示的な制御システム400の概略図である。例示的な実施形態では、コントローラー116はメモリー402及びプロセッサー404を含む。コントローラー116は、限定されるものではないが、第1の流れ122の調節温度T
regのような、接触器センサー130から制御システム400で受信されるデータに基づいて、1以上の吸着モジュール104a~dの温度を調節し得る。コントローラー116は、メモリー402に記憶されたデータ(例えば調節温度T
regの所望範囲)、メモリー402に記憶された命令、及び/又はプロセッサー404で分析されるデータとの比較に基づいて、1以上の吸着モジュール104a~dの温度を調節し得る。
【0083】
さらに、コントローラー116は、限定されるものではないが、1以上の吸着モジュール104a~d内の制御温度Tcntl及び/又はH2O相対湿度モジュールセンサー134から制御システム400で受信されるデータに基づいて、1以上の吸着モジュール104a~dの温度を調節し得る。コントローラー116は、メモリー402に記憶されたデータ(例えば制御温度Tcntl及び/又はH2O相対湿度の所望範囲)、メモリー402に記憶された命令、及び/又はプロセッサー404で分析されるデータとの比較に基づいて、1以上の吸着モジュール104a~dの温度を調節し得る。
【0084】
本願では、吸着剤ベッドによる二酸化炭素の吸着及び脱着の至適化に資するため水の存在下で官能化化学収着剤を用いるための例示的な系について説明する。本願に記載の例示的な系は、従来の設計及びプロセスに比べて、少なくとも、吸着剤ベッドの温度変化の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、吸着剤ベッドでの官能化収着剤の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、吸着剤ベッドでの水分相対湿度の変化の利用による二酸化炭素の吸着及び脱着の効率及び性能の向上、並びに1以上の吸着モジュール内の官能化収着剤に基づく吸着ベッド内の1以上の吸着モジュール内の温度及び水分相対湿度の調整による捕集系の性能の向上を始めとして、幾つかの利点をもたらす。
【0085】
本発明の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
【0086】
[実施態様項1]
二酸化炭素の捕集で使用するための捕集系であって、当該捕集系が、1以上の吸着モジュール及び官能化収着剤を含む吸着剤ベッドであって、1以上の吸着モジュールが、ガス流を受け取り、官能化収着剤によってガス流から二酸化炭素を吸着し、かつガス流を排出するように配向している、吸着剤ベッドと、1以上の吸着モジュールの温度及び相対湿度の動的制御に用いるための接触器と、吸着剤ベッドに捕集される二酸化炭素の量を増大させるために官能化収着剤に基づいて温度及び相対湿度を調整するように構成されたコントローラーとを備える、捕集系。
【0087】
[実施態様項2]
接触器が1以上の吸着モジュールの温度の動的制御に使用するための調節用流体を受けるように配向している、実施態様項1に記載の捕集系。
【0088】
[実施態様項3]
1以上の吸着モジュールの水分相対湿度を制御するための水分流を吐出するように配向した1以上のインジェクターをさらに備える、実施態様項1又は実施態様項2に記載の捕集系。
【0089】
[実施態様項4]
コントローラーが、さらに、水分相対湿度の増加を促進するために、接触器で受け取る調節用流体の流体温度を低下させるように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の捕集系。
【0090】
[実施態様項5]
コントローラーが、さらに、吸着剤ベッドで捕集される二酸化炭素の量の増加を促進するために、1以上の吸着モジュールの水分相対湿度を調整するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の捕集系。
【0091】
[実施態様項6]
コントローラーが、さらに、官能化収着剤で捕集される二酸化炭素の量の増加を促進するために、1以上の吸着モジュールの水分相対湿度を増加させるように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の捕集系。
【0092】
[実施態様項7]
コントローラーが、さらに、1以上の吸着モジュールの水分相対湿度の増加を促進するために、インジェクターから吐出される水分流の圧力を増加させるように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の捕集系。
【0093】
[実施態様項8]
コントローラーが、さらに、官能化収着剤の水分吸着等温線に基づいて所望の相対湿度を達成するために、1以上の吸着モジュールの温度及び水分相対湿度を調整するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の捕集系。
【0094】
[実施態様項9]
1以上の吸着モジュールの温度及び水分相対湿度が官能化収着剤の水分吸着等温線のニーポイントでの相対湿度に基づく、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の捕集系。
【0095】
[実施態様項10]
1以上の吸着モジュールが、直列流れ配置で接続された複数の吸着モジュールを含む、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の捕集系。
【0096】
[実施態様項11]
1以上のインジェクターが、複数の吸着モジュールの各々に結合したインジェクターを含む、実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の捕集系。
【0097】
[実施態様項12]
コントローラーが、さらに、複数の吸着モジュールの各々の温度及び水分相対湿度を調整するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項11のいずれか1項に記載の捕集系。
【0098】
[実施態様項13]
官能化収着剤が収着剤と、アミン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む、実施態様項1乃至実施態様項12のいずれか1項に記載の捕集系。
【0099】
[実施態様項14]
アミン基を含む1以上の官能化リガンドが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミンを含む、実施態様項1乃至実施態様項13のいずれか1項に記載の捕集系。
【0100】
[実施態様項15]
アミン基を含む1以上の官能化リガンドが、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、テトラアミン類、ペンタアミン類、ヘキサアミン類、ポリアミン類及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミンを含む、実施態様項1乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の捕集系。
【0101】
[実施態様項16]
官能化収着剤が、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む、実施態様項1乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の捕集系。
【0102】
[実施態様項17]
官能化収着剤が、次の式(A-I)の官能化MOF化合物である、実施態様項1乃至実施態様項16のいずれか1項に記載の捕集系。
MxLyFA
aFB
b (式A-I)
式中、
MはMOF金属又は金属含有クラスターであり、
LはMOFリンカーであり、
FAはアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドであり、
FBはアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドであり、
xは1~6の範囲内の数値であり、
yは1~6の範囲内の数値であり、
aは0超2以下の数値であり、
bは0~2の範囲内の数値である。
【0103】
[実施態様項18]
MOF金属又は金属含有クラスターが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Mg、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、これらのイオン、これらの水和物、これらの塩、これらのハロゲン化物、これらのフッ化物、これらの塩化物、これらの臭化物、これらのヨウ化物、これらの硝酸塩、これらの酢酸塩、これらの硫酸塩、これらのリン酸塩、これらの炭酸塩、これらの酸化物、これらのギ酸塩、これらのカルボン酸塩及びこれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、実施態様項1乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の捕集系。
【0104】
[実施態様項19]
MOFリンカーが、ポリトピックリンカー、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸(H4dobpdc)、4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(dobpdc4-)、4,4”-ジオキシド-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-3,3”-ジカルボキシレート(dotpdc4-)、2,5-ジオキシドベンゼン-1,4-ジカルボキシレート(dobdc4-)、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸(m-dobdc4-)、3,3’-ジオキシド-ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(para-carboxylate-dobpdc4-)、4,4’-[オキサリルビス(イミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4ODA)、4,4’-[1,4-フェニレンビス-(カルボニルイミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4TDA)、4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸(H4OSA)、ジカルボン酸塩、テレフタル酸、トリカルボン酸塩、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、アゾレート、テトラアゾレート、1,4-ブタンジカルボン酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、p-ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸、ペリレン-3,9-ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン-3,3-カルボン酸、4,4’-ジアミノ-1,1’-ジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1’-ジナフチル-8,8’-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4’-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス(カルボキシメチル)ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7,-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン-1,8-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-cisジカルボン酸、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、o-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E300-ジカルボン酸、Pluriol E400-ジカルボン酸、Pluriol E600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォンジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2’-3’-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4”-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソチオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2’,5’-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、1,1-ジオキシド-ペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-1,12-スルフォン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、メソ-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ポリトピックリンカー、ジトピックリンカー、トリトピックリンカー、テトラトピックリンカー、ペンタトピックリンカー、ヘキサトピックリンカー、ヘプタトピックリンカー、オクタトピックリンカー、混合リンカー、非対称リンカー、メタロリンカー、N-複素環式リンカー、これらのプロトン化形、部分又は完全脱プロトン化形並びにこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のリンカーを含む、実施態様項1乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の捕集系。
【0105】
[実施態様項20]
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドが、線状アミノシリコーン、環状アミノシリコーン、枝分れアミノシリコーン、アミノ置換シロキサン、線状アミノ置換ジシロキサン、環状アミノ置換ジシロキサン、線状アミノ置換トリシロキサン、環状アミノ置換トリシロキサン、線状アミノ置換テトラシロキサン、環状アミノ置換テトラシロキサン、線状アミノ置換ポリシロキサン、環状アミノ置換ポリシロキサン、シルセスキオキサン、八面体型シルセスキオキサン及びこれらの組合せからなる群から選択される1種以上のアミノシリコーンを含む、実施態様項1乃至実施態様項19のいずれか1項に記載の捕集系。
【0106】
アミノアルキル置換ジシロキサンの合成
一態様では、アミノアルキル置換ジ師団の製造方法を提供する。本方法は、I)1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンとシランとを含む混合物を形成し、II)混合物を第1の反応で反応させ、III)混合物に加水分解剤を添加し、IV)混合物を第2の反応で反応させてアミノアルキル置換ジシロキサンを形成することを含む。
【0107】
別の態様では、式(B-I)のアミノアルキル置換ジシロキサンを提供する。この式は以下の通りである。
【0108】
【化13】
式中、
R
12、R
13、R
14、R
15、は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
16及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
18及びR
19は各々独立に式(B-IV)の置換基からなる群から選択され、
【0109】
【化14】
式中、
波形の結合は式(B-I)との結合位置を示し、
R
25、R
26、R
27、R
28、R
29及びR
30は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
31及びR
32は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
31及びR
32はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
33、R
34及びR
35は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
36は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
mは0~20の整数であるが、
アミノアルキル置換ジシロキサンが次式のものでないことを条件とする。
【0110】
【0111】
本願に記載の実施形態は、公知のアミノアルキル置換ジシロキサンの製造方法及び公知のアミノアルキル置換ジシロキサンの短所の少なくとも幾つかを解消する。本願に記載の例示的実施形態は、アミノアルキル置換ジシロキサンの製造方法であって、当該方法が、I)1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンとシランとを含む混合物を形成し、II)混合物を第1の反応で反応させ、III)混合物に加水分解剤を添加し、IV)混合物を第2の反応で反応させてアミノアルキル置換ジシロキサンを形成することを含む方法を包含する。本願に記載の例示的実施形態は、副反応がなく、及び/又はアミノアルキル置換ジシロキサンの公知の製造方法よりも少ないステップ並びに優れた収率及び純度で所望の生成物を生じる。
【0112】
多くの実施形態では、本方法はワンポット合成である。本願において、ワンポット合成とは、単一の反応容器内で起こる合成である。分離及び/又は精製のため反応容器から中間体を取り出す必要はない。ワンポット合成は、1つの反応又は2以上の反応を含んでいてもよい。ワンポット合成は、反応の複雑さを低減し、かつ時間及びコストのかかる分離及び精製をなくすのに特に有益である。
【0113】
多くの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンはアミノ-C1-C6アルキル置換ジシロキサンである。C1-C6アルキル基を含む実施形態は、大きなアミノアルキル置換基又は別の置換基を含む他の化合物に比べて、熱力学的に有利に生成する。幾つかの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンはアミノメチル置換ジシロキサンである。
【0114】
図13は例示的な方法のフローチャート1310である。この例示的な実施形態では、方法のフローチャート1310は、本願に記載の例示的な実施形態の基本的な方法ステップを示し、本方法の実施形態を限定するものではない。最初に、1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンと、シランとを含む混合物を形成する(1312)。混合物を第1の反応で反応させ(1314)、混合物に加水分解剤を添加する(1316)。混合物を次いで第2の反応で反応させてアミノアルキル置換ジシロキサンを形成する(1318)。
【0115】
幾つかの実施形態では、本開示に係るアミノアルキル置換ジシロキサンは次の式(B-I)のアミノアルキル置換ジシロキサンからなる群から選択される。
【0116】
【化16】
式中、
R
12、R
13、R
14、R
15、は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
16及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群、好ましくはC
1-C
6線状アルキル、さらに好ましくはC
1アルキルから選択され、
R
18及びR
19は各々独立に式(B-IV)の置換基からなる群から選択され、
【0117】
【化17】
式中、
波形の結合は式(B-I)との結合位置を示し、
R
25、R
26、R
27、R
28、R
29及びR
30は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
31及びR
32は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
31及びR
32はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
33、R
34及びR
35は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
36は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
Mは0~20の範囲内、好ましくは0~10の範囲内、さらに好ましくは0~3の範囲内の整数であるが、
アミノアルキル置換ジシロキサンが次式のものでないことを条件とする。
【0118】
【0119】
幾つかの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンは以下の群から選択される。
【0120】
【0121】
【0122】
幾つかの実施形態では、1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンは、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の1以上の第一級アミン基を含む適切なジ又はポリアミンとすることができる。別の実施形態では、1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンは、式(B-II)の化合物である。
【0123】
【化21】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
7及びR
8は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
7及びR
8はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
9、R
10及びR
11は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
nは0~20の範囲内、好ましくは0~10の範囲内、さらに好ましくは0~3の範囲内の整数である。
【0124】
幾つかの実施形態では、シランは、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切なシランとすることができる。幾つかの実施形態では、シランはアルコキシシランである。少なくとも幾つかの実施形態では、シランは、次の式(B-III)の化合物である。
【0125】
【化22】
式中、
R
20はハロゲン化物、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物からなる群から選択され、
R
21及びR
22は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
23及びR
24は各々独立に置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、アリール及びフェニルからなる群から選択される。
【0126】
幾つかの実施形態では、R23及びR24は各々独立に置換又は非置換C1-C6線状アルキル、置換又は非置換C3-C6枝分れアルキル、C1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル及びC6アルキル、好ましくはC1-C6線状アルキルからなる群から選択される。
【0127】
幾つかの実施形態では、R23はC1アルキルである。
【0128】
幾つかの実施形態では、R24はC1アルキル、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、アリール又はフェニルである。
【0129】
【0130】
多くの実施形態では、混合物を第1の反応で反応させること(1314)は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切な反応条件下で行い得る。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で反応させること(1314)は、混合物を撹拌することを含む。
【0131】
多くの実施形態では、混合物を第1の反応で反応させること(1314)は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切な時間で行い得る。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で約1秒~約12時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1314)。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で約1秒~約6時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1314)。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で約1秒~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1314)。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で約1時間~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1314)。幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で約2時間~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1314)。
【0132】
幾つかの実施形態では、混合物を第1の反応で反応させること(1314)は、1以上の第一級アミン基を含むニートなジ又はポリアミンにシラン(例えばクロロメチルジメチルエトキシシラン)を約1時間滴下することを含む。発熱反応によって反応温度は約90℃まで上がり、反応の継続中(合計約2~3時間)はこの温度に維持される。この際に、アミンのHCl塩が形成され、アミンに応じて様々な程度で沈殿することがある。
【0133】
幾つかの実施形態では、加水分解剤は混合物に滴下される(1316)。幾つかの実施形態では、加水分解剤は混合物に所定の時間にわたって添加される。幾つかの実施形態では、加水分解剤は混合物に約1秒~約12時間の範囲内の期間にわたって添加される(1316)。幾つかの実施形態では、加水分解剤は30分間にわたって発熱条件で添加され(1316)、混合物を第2の反応で反応させる(1318)前に、室温まで冷却させる。
【0134】
幾つかの実施形態では、加水分解剤は、混合物を第2の反応で反応させる(1318)前に、30分間にわたって発熱条件で添加される(1316)。これらの実施形態では、反応(1318)を完了してから、反応混合物を室温まで冷却させる。
【0135】
多くの実施形態では、加水分解剤は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切な加水分解剤とすることができる。幾つかの実施形態では、加水分解剤は水性溶液である。幾つかの実施形態では、加水分解剤は水である。
【0136】
多くの実施形態では、混合物を第2の反応で反応させること(1318)は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切な反応条件下で行い得る。幾つかの実施形態では、混合物を第2の反応で反応させること(1318)は、混合物の温度を調節することを含む。幾つかの実施形態では、混合物を第2の反応で反応させること(1318)は、混合物を冷却することを含む。
【0137】
幾つかの実施形態では、さらに、反応混合物からアミノアルキル置換ジシロキサンを抽出する。幾つかの実施形態では、さらに、反応混合物から有機溶媒でアミノアルキル置換ジシロキサンを抽出する。
【0138】
幾つかの実施形態では、反応混合物からのアミノアルキル置換ジシロキサンの抽出は、反応混合物に有機溶媒(例えばクロロホルム及び/又はトルエン)を30分間滴下し、約1時間又は室温に冷却されるまで反応混合物を激しく撹拌することを含む。冷えたら、有機層を単離し、水性層を最小限の有機溶媒で逆抽出し、一緒にした有機層を真空下で濃縮し、有機溶媒で1回トリチュレーションを行い、真空下で乾燥させる。
【0139】
幾つかの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンはさらに精製する。幾つかの実施形態では、追加の精製は、蒸留、真空蒸留及び/又は熱の使用を含む。幾つかの実施形態では、追加の精製は、不純物及び副生物を除去するための真空蒸留の使用を含む。これらの実施形態では、蒸留ポット内の残留材料は、精製前の生成物よりも純度の高い生成物である。
【0140】
多くの実施形態では、混合物を第2の反応で反応させること(1318)は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切な時間で行い得る。幾つかの実施形態では、混合物は第2の反応で約1秒~約12時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1318)。幾つかの実施形態では、混合物は第2の反応で約1秒~約6時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1318)。幾つかの実施形態では、混合物は第2の反応で約1秒~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1318)。幾つかの実施形態では、混合物は第2の反応で約1時間~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1318)。幾つかの実施形態では、混合物は第2の反応で約2時間~約3時間の範囲内の期間にわたって反応させる(1318)。
【0141】
多くの実施形態では、本方法は、本願に記載の方法の成功に資する当技術分野で公知の適切なプロセスステップを含んでいてもよい。かかるプロセスステップには、限定されるものではないが、洗浄、乾燥、濾過、精製、分離、遠心分離及びこれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態では、本方法は、アミノアルキル置換ジシロキサン化合物を洗浄することをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、アミノアルキル置換ジシロキサン化合物を精製することをさらに含む。幾つかの実施形態では、精製は、蒸留、真空蒸留及び/又は熱の使用を含む。幾つかの実施形態では、本方法は、揮発性反応副生物を除去することをさらに含む。
【0142】
幾つかの実施形態では、本方法は、I)1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンと、クロロメチルジメチルアルコキシシランとを含む混合物を形成し、II)混合物を、第1の反応において、制御された発熱によって、反応させ、III)混合物に加水分解剤を添加し、IV)混合物を第2の反応で反応させてアミノアルキル置換ジシロキサンを形成し、(V)アミノアルキル置換ジシロキサンを抽出し、(VI)アミノアルキル置換ジシロキサンを精製することを含む。
【0143】
多くの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンは、当技術分野で公知の適切な目的に従って使用し得る。幾つかの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンは炭素捕集系で用いられる。幾つかの実施形態では、アミノアルキル置換ジシロキサンはアミノシリコーン系生成物に用いられる。
【0144】
本開示技術の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
【0145】
[実施態様項1]
アミノアルキル置換ジシロキサンの製造方法であって、当該方法が、I)1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンとシランとを含む混合物を形成するステップと、II)混合物を第1の反応で反応させるステップと、III)混合物に加水分解剤を添加するステップと、IV)混合物を第2の反応で反応させてアミノアルキル置換ジシロキサンを形成するステップとを含む方法。
【0146】
[実施態様項2]
アミノアルキル置換ジシロキサンが以下の式(B-I)の化合物である、実施態様項1に記載の方法。
【0147】
【化24】
式中、
R
12、R
13、R
14、R
15、は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
16及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
18及びR
19は各々独立に式(B-IV)の置換基からなる群から選択され、
【0148】
【化25】
式中、
波形の結合は式(B-I)との結合位置を示し、
R
25、R
26、R
27、R
28、R
29及びR
30は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
31及びR
32は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
31及びR
32はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
33、R
34及びR
35は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
36は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
mは0~20の整数である。
【0149】
[実施態様項3]
アミノアルキル置換ジシロキサンが以下に示すものからなる群から選択される化合物である、実施態様項1又は実施態様項2に記載の方法。
【0150】
【0151】
【0152】
[実施態様項4]
1以上の第一級アミン基を含むジ又はポリアミンが、次の式(B-II)の化合物である、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
【化28】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
7及びR
8は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
7及びR
8はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
9、R
10及びR
11は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
nは0~20の整数である。
【0154】
[実施態様項5]
シランが、次の式(B-III)の化合物である、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
【化29】
式中、
R
20はハロゲン化物、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物からなる群から選択され、
R
21及びR
22は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
23及びR
24は各々独立に置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、アリール及びフェニルなる群から選択される。
【0156】
[実施態様項6]
シランが以下のいずれかである、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の方法。
【0157】
【0158】
[実施態様項7]
混合物を第1の反応で反応させることが混合物を撹拌することを含む、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の方法。
【0159】
[実施態様項8]
混合物を第1の反応で反応させることが、混合物を第1の時間反応させることを含む、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の方法。
【0160】
[実施態様項9]
第1の時間が、約1秒~約12時間の範囲内の時間である、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の方法。
【0161】
[実施態様項10]
加水分解剤が水性溶液である、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の方法。
【0162】
[実施態様項11]
加水分解剤が水である、実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の方法。
【0163】
[実施態様項12]
加水分解剤が、第2の時間かけて混合物に添加される、実施態様項1乃至実施態様項11のいずれか1項に記載の方法。
【0164】
[実施態様項13]
第2の時間が、約1秒~約12時間の範囲内の時間である、実施態様項1乃至実施態様項12のいずれか1項に記載の方法。
【0165】
[実施態様項14]
加水分解剤が混合物に滴下される、実施態様項1乃至実施態様項13のいずれか1項に記載の方法。
【0166】
[実施態様項15]
当該方法が、アミノアルキル置換ジシロキサンを精製することをさらに含む、実施態様項1乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の方法。
【0167】
[実施態様項16]
1以上の方法ステップが、混合物の温度を調節することを含む、実施態様項1乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の方法。
【0168】
[実施態様項17]
混合物を第2の反応で反応させることが、混合物の温度を調節することを含む、実施態様項1乃至実施態様項16のいずれか1項に記載の方法。
【0169】
[実施態様項18]
混合物を第2の反応で反応させることが、混合物を冷却することを含む、実施態様項1乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の方法。
【0170】
[実施態様項19]
当該方法がワンポット合成である、実施態様項1乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の方法。
【0171】
[実施態様項20]
実施態様項1乃至実施態様項19のいずれか1項に記載の方法で製造されるアミノアルキル置換ジシロキサン。
【0172】
[実施態様項21]
次の式(B-I)のアミノアルキル置換ジシロキサン。
【0173】
【化31】
式中、
R
12、R
13、R
14、R
15、は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
16及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
18及びR
19は各々独立に式(B-IV)の置換基からなる群から選択され、
【0174】
【化32】
式中、
波形の結合は式(B-I)との結合位置を示し、
R
25、R
26、R
27、R
28、R
29及びR
30は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
31及びR
32は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
31及びR
32はヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成しており、
R
33、R
34及びR
35は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
36は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
mは0~20の整数であるが、
アミノアルキル置換ジシロキサンが次式のものでないことを条件とする。
【0175】
【0176】
[実施態様項22]
アミノアルキル置換ジシロキサンが、以下に示すものからなる群から選択される化合物である、実施態様項21に記載のアミノアルキル置換ジシロキサン。
【0177】
【0178】
【0179】
燃焼後炭素捕集のための収着剤の物理的特徴を組み込んだ機械学習モデル
一態様では、発電システムを提供する。発電システムは、二酸化炭素の捕集に用いる捕集系と、捕集系を運転するように構成されたコントローラーと、プロセッサーを含むモデリングシステムとを含む。プロセッサーは、モデル訓練データセットを同定するように構成されており、モデル訓練データセットの各インスタンスは、捕集系で使用される収着剤、収着剤の炭素捕集性能値、及び複数の一次的特徴に関連する複数の一次的特徴値を同定する。プロセッサーは、また、複数の一次的特徴の1以上に基づいて、1以上の二次的特徴であって、1以上の二次的特徴の各々が複数の一次的特徴の2以上の組合せである、1以上の二次的特徴を生成し、複数の一次的特徴の各々と1以上の二次的特徴の各々との間の相関度値を含む複数の相関度値を決定するように構成される。プロセッサーは、また、複数の相関度値に基づいてモデル訓練データセットの第1のサブセットを同定し、モデル訓練データセットの第1のサブセットの各インスタンスについて統計的有意性を決定し、統計的有意性に基づいてモデル訓練データセットの第2のサブセットを同定するように構成されており、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについての統計的有意性は所定の閾値未満である。プロセッサーは、さらに、モデル訓練データセットの第2のサブセットに基づいて伝達関数を生成し、伝達関数を用いて、炭素捕集性能値に基づいて捕集系で使用すべき1以上の有望な収着剤を決定するように構成されている。コントローラーは、モデリングシステムで決定した1以上の有望な収着剤を用いて捕集系を運転する。
【0180】
別の態様では、二酸化炭素の捕集系の運転に使用される1種以上の有望な収着剤を選択する方法を提供する。本方法は、モデル訓練データセットを同定するステップを含んでおり、モデル訓練データセットの各インスタンスは、捕集系で使用される収着剤、収着剤の炭素捕集性能値、及び複数の一次的特徴に関連する複数の一次的特徴値を同定する。本方法は、複数の一次的特徴の1以上に基づいて、1以上の二次的特徴であって、1以上の二次的特徴の各々が複数の一次的特徴の2以上の組合せである、1以上の二次的特徴を生成するステップと、複数の一次的特徴の各々と1以上の二次的特徴の各々との間の相関度値を含む複数の相関度値を決定するステップと、複数の相関度値に基づいてモデル訓練データセットの第1のサブセットを同定するステップも含む。本方法は、モデル訓練データセットの第1のサブセットの各インスタンスについて統計的有意性を決定するステップと、統計的有意性に基づいてモデル訓練データセットの第2のサブセットを同定するステップであって、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについての統計的有意性は所定の閾値未満である、ステップと、モデル訓練データセットの第2のサブセットに基づいて伝達関数を生成するステップも含む。本方法は、さらに、伝達関数を用いて、炭素捕集性能値に基づいて捕集系で使用すべき1以上の有望な収着剤を決定するステップも含んでおり、コントローラーは、モデリングシステムで決定した1以上の有望な収着剤を用いて捕集系を運転する。
【0181】
一実施形態では、コンピュータープログラムを提供するが、プログラムはコンピューター可読媒体上に実装される。例示的な実施形態では、システムは単一のコンピューターシステムで実行され、サーバーコンピューターとの接続を必要としない。追加の実施形態では、システムはWindows(登録商標)環境(WindowsはMicrosoft社(米国ワシントン州レッドモンド)の登録商標である)で実行される。さらに別の実施形態では、システムはメインフレーム環境及びUNIX(登録商標)サーバー環境(UNIXはX/Open Company Limited(英国バークシャー州レディング)の登録商標である)で実行される。追加の実施形態では、システムはiOS(登録商標)環境(Cisco Systems社(米国カリフォルニア州サンノゼ)の登録商標である)で実行される。さらに別の実施形態では、システムはMacOS(登録商標)環境(Apple社(米国カリフォルニア州クパチーノ)の登録商標である)で実行される。さらに別の実施形態では、システムはAndroid(登録商標)OS(AndroidはGoogle社(米国カリフォルニア州マウンテンビュー)の登録商標である)で実行される。別の実施形態では、システムはLinux(登録商標)OS(LinuxはLinus Torvalds(米国マサチュ-セッツ州ボストン)の登録商標である)で実行される。アプリケーションは適応性に富み、主要な機能を損なわずに、様々な環境で動作するように設計される。幾つかの実施形態では、システムは、複数のコンピューティングデバイス間に分散した複数のコンポーネントを含む。1以上のコンポーネントは、コンピューター可読媒体に実装されたコンピューター実行可能命令の形態であってもよい。
【0182】
本発明の実施形態は、燃焼後炭素捕集(PCC)のための収着剤の物理的特徴を分析するためのシステム及び方法、特に有機金属構造体(MOF)の成分及び二酸化炭素(CO2)の捕集容量におけるそれらの性能に基づいて有機金属構造体(MOF)の態様をモデリングするためのシステム及び方法に関する。例示的実施形態では、モデリングシステムは、公知の有機金属構造体(MOF)及びそれらの付随成分の性能特性に基づいてモデルを訓練するように構成される。このモデルは次いでそれらのMOFの特定の成分に基づいて他のMOFの予測性能を評価するのに用いられる。かかるモデリングは、科学者及び技術者が各候補を物理的に試験しなくても、様々なMOFを評価するのに役立ち、CO2の捕集容量の性能が向上したMOFの開発の迅速化につながる。
【0183】
図14は、石炭火力発電プラント1410の排気ガス1416から二酸化炭素(CO
2)を捕集する際にある特定のMOFがどの程度の性能を発揮するかを予測するのに使用できる例示的なPCCモデリングシステム1440を示す。この例の実施形態では、発電プラント1440は送配電網1414を介して配電される電力1412を発生する。発電プラント1440は、排気ガス1416からCO
2を除去しておいてから、処理した排気を環境に放出するように構成された燃焼後炭素捕集(PCC)系1420も含む。この例のPCC系1420は、PCC系1420の捕集機能を発揮する有機金属構造体(MOF)1422を含む。MOF1422は、3種類の主成分、すなわち金属1424、有機リンカー1426及び1以上の官能基1428からなる。運転中、PCC系1420は幾つかの性能結果をもたらすが、これらは本願では説明のため「捕集性能」1430(例えばPCC容量)として表す。PCCモデリングシステム1440は、ある特定のMOF(例えば、成分の特定の組合せ及び種々付随する物理的特徴)がPCC系1420に実装したときにどのように機能するか(例えば「実世界」設定での性能予測)を推定するように構成される。
【0184】
この例の実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、機械学習モデル(例えば教師付き予測モデル)の訓練に使用されるデータを同定して記憶するように構成されたデータ収集・準備モジュール1442を含む。この準備モジュール1442は、様々な収着剤(例えばMOF1422)の履歴記録並びにそれらに付随する特徴及び公知の性能を記憶する。各履歴記録は、例えば、特定の収着剤の成分のような収着剤データ(例えば二次構造単位(SBU)に用いた金属1424に関する情報、有機リンカー1426に関する情報、及び/又は特定のMOF1422に付随する官能基1428又はアミンに関する情報)、収着剤の様々な物理的特徴(例えば細孔径、細孔容積、細孔径分布、表面積など)、並びに収着剤に関する公知の性能データ(例えば等量吸着熱(QST)、ヘンリーの法則の定数(ヘンリー定数)、選択性比、ミリモルCO2毎グラム収着剤で示す収着剤容量、ミリモルCO2毎グラム収着剤毎単位時間で示す収着剤生産性など、特定の圧力及び/又は温度におけるもの)を含むことができる。これらの履歴記録の各々はモデルデータ1460として(例えばデータベースに)記憶してもよく、本願に記載の他のデータを含んでいてもよい。これらのデータの一部は刊行物から収集してもよく、他の記録は、実験室で測定したデータ或いはPCC系1420の運転性能(例えば運転中に収集したデータ)から収集したデータを含んでいてもよい。
【0185】
PCCモデリングシステム1440は、履歴データの態様に関する単変量データ分析をアナリスト1402が行うのに役立つように構成された探索的データ分析モジュール1444も含む。例示的実施形態では、探索的データ分析モジュ-ル1444は、1つの特徴に対して公知のMOFの1個の成分を表示するグラフを生成してアナリスト1402が様々なMOF間での特徴の傾向をみえるように構成されている。例えば、分析モジュール1444は、化学収着剤及び物理収着剤、2種類のMOF、並びにそれらがヘンリー定数、選択性比、吸着熱、PCC容量及びPCC生産性に関してどのように挙動するか(例えばそれら2種類のMOF間の複合材として)のプロットを生成することができる。別の例では、分析モジュール1444は、物理収着剤又は化学収着剤MOFにおける様々な金属の種類並びにそれらの各々の吸着熱(例えば各々の金属の種類についての数値範囲、平均値など)のプロットを生成することができる。これらのプロットはモデルデータ1460で同定された履歴記録からコンパイル及び生成され、コンピューティングデバイス1404のディスプレイを介してアナリスト1402に表示することができる。このデータから、アナリスト1402は1以上の二次的特徴をさらに同定することができるが、二次的特徴は、以下でさらに説明する通り、2以上の一次的特徴の組合せとすることができる。かかる二次的特徴は後のモデル訓練及び分析に使用し得る。
【0186】
PCCモデリングシステム1440は、この例の実施形態では、履歴記録の様々な特徴のペア間の正又は負の相関についてモデルデータ1460を分析するように構成された相関・二変量分析モジュール1446も含む。例えば、この分析モジュール1446は、一次的特徴のセット及び場合によって1以上の二次的特徴を同定し、付随する特徴間の相関分析を実行し得る。2つの特徴の特定のペア毎に、分析モジュール1446は、相関係数(例えばモデルデータ1460の全記録について)を計算するが、相関係数はこれら2つの特徴が互いにどの程度相関するかを示す(例えば正の係数は2つの特徴間の正の相関を示し、負の係数はそれらの2つの特徴間の負の相関を示す)。これらの相関係数は、例えばピアソンの相関係数などとすることができる。これらの相関係数は行列形式でアナリスト1402に表示することができ、アナリスト1402は様々な特徴ペア間の相関の強さをみれるようになる。幾つかの例では、行列は、例えば、スペクトルの一方の端で強い正の相関を示す色(例えば濃い青)を有し、スペクトルの反対側の端で強い負の相関を示す別の色(例えば濃い赤)を有するカラースペクトルの色で、各相関係数を相関係数の大きさに基づいて色分けして表示するヒートマップであってもよい。幾つかの例では、分析モジュール1446は、特徴のペアの各々についてペアプロットを生成してもよく、2つの特徴がどのようなタイプの関係性(例えば線形、非線形など)を有するかをアナリスト1402が評価できるようになる。
【0187】
PCCモデリングシステム1440は、モデルデータ1460を用いて回帰分析を行うように構成された回帰分析モジュール1448も含む。この例の実施形態では、回帰分析モジュール1448は、回帰分析のための着目すべき1以上の特徴を同定する。幾つかの実施形態では、アナリスト1402は、上述の相関行列及び/又はペアプロットを調べて、着目すべき特徴のサブセットを選択することができる。幾つかの実施形態では、回帰分析モジュール1448は、(例えば行列の相関係数に基づいて)回帰分析のための着目すべき1以上の特徴を自動的に同定し得る。例えば、回帰分析モジュール1448は、PCC容量が特定の閾値を超える正の相関係数を有する(例えば強い正の相関がある)すべての特徴を選択し得る。幾つかの実施形態では、回帰分析モジュール1448は、PCC容量が特定の閾値未満である負の相関係数を有する(例えば強い負の相関がある)すべての特徴を選択し得る。幾つかの実施形態では、回帰分析の開始に使用される特徴は、ユーザーなどによって手動で選択される。
【0188】
特徴のサブセットが同定されたら、回帰分析モジュール1448は、その特徴のサブセットから開始される回帰分析プロセスを実行する。幾つかの実施形態では、モデルデータ1460の一部を、自動的又は手動で訓練データ(例えばこの回帰分析プロセスで使用するため)として同定し、モデルデータ1460の残りの部分を、得られるモデルを評価するために残しておいてもよい(例えば60%訓練データ、40%テストデータ)。この例の実施形態では、回帰分析プロセスは1以上の段階で実行され、各段階は現在の特徴のセットに対して複数の線形回帰分析を行うことを含む。各段階の結果に基づいて、1以上の特徴が後の分析段階から除外され、ある特定の停止基準が達成されるまで、次の分析段階のためのダウンセレクトした(選択範囲を狭めた)特徴のサブセットが残る。この最終段階で、回帰分析モジュール148は、最終的に残るダウンセレクトした特徴を用いて伝達関数を生成する(例えば特定のダウンセレクトした特徴の関数としてのPCC容量)。この伝達関数を新規MOF及びそれに付随する特徴値に適用すると、その新規MOFがPCC容量、生産性などに関してどのような性能を発揮するかについて予測することができる。
【0189】
PCCモデリングシステム1440で実行される追加の詳細及び関連機能については、
図16及び
図17に関してさらに詳しく説明する
【0190】
図15は、平衡条件下で測定した合成粉体から動的条件下で測定した基材上の最終フィルムコーティングに移行したときの例示的な収着剤(例えばMOF)についてのCO
2吸着生産性の低下を示すグラフ1500である。この例の実施形態では、グラフ1500のY軸1502は、キログラムCO
2(kgCO
2)毎キログラム収着剤(kgs)毎時(hr)単位で示すMOFの収着剤生産性である。X軸は、初期段階1504Aでの平衡粉体生産性から、動的時間効果段階1504B、フィルム物質移動効果段階1504C、熱力学的効果(吸着と脱着の間の作業容量)段階1504Dを経て、最終フィルム作業生産性段階1504Eに至るまでのPCC生産性の幾つかの段階1504を示す。この例では、初期段階1504Aにおいて、収着剤は、衡条件下で測定した合成粉体で約0.58kgCO
2/kgs/hrの生産性を示す。段階1504A~1504Eの各々で、収着剤は上述の様々な効果に基づく様々な生産性の低下を経る。例えば、動的時間効果段階1504Bで、収着剤は約0.2降下して計約0.35kgCO
2/kgs/hrとなる生産低下1512を経る。さらに、例えばフィルム物質移動効果段階1504Cでは、収着剤は約0.05降下して計約0.3kgCO
2/kgs/hを僅かに下回る第2の生産低下1514を経る。さらに、例えば熱力学的効果作業容量段階1504Dでは、収着剤は約0.1降下して約0.2kgCO
2/kgs/hrの最終コーティング作業生産性1520までの第3の生産低下1516を経る。こうして、この例では、収着剤は、合計で約0.38kgCO
2/kgs/hrの生産性低下1522、すなわち約65%の低下(例えば約35%利用)を経る。このノックダウン効果は、各々の収着剤、フィルムコーティング及びサイクル時間操作に特有である。
【0191】
図15の例に示す収着剤のPCC生産性の低下は、一般にコーティングタイプ及び測定タイプの特性に依存し、複数の因子の組合せ(例えば、吸着のサイクル時間の速度論により平衡に達しないこと、コーティング物質移動抵抗、等量吸着熱による収着剤の加熱及び性能容量の低下など)による可能性がある。
図14のPCCモデリングシステム1440がない場合、所与の収着剤の最終的な生産性を理解するため、これらの因子のすべてを実験に決定する。
【0192】
低濃度での初期収着については、ヘンリー定数で収着剤の平衡容量が決まる。収着剤iの収着剤容量Niはヘンリー定数Hiの関数であり、収着剤の気相濃度Ciを乗じたものであり、Ni=HiCiとなる。ヘンリー定数の値が大きいほど、等温線の初期の傾きは大きくなる。このことは、Hiの大きい収着剤は、このような等温線の低濃度線形領域において収着質に対して大きな容量を有していることを意味する。Hiを最大にすると、低い気相収着質濃度での収着剤の生産性も増大する。そこで、PCCモデリングシステム1440は、各種のMOF成分がヘンリー定数に応じて独立にどのように変化するかを解析することによって、CO2吸着に対するヘンリー定数が高い収着剤を探索する。ヘンリー定数は熱力学的項(例えば速度論的項ではない)ので、収着剤生産性を決定するのに収着剤の速度論を評価してもよい。これらの測定値は、公知のMOFの文献には通例記載されておらず、そのため、このPCCモデリングシステム1440は、最低CO2気相濃度でCO2最大容量となる可能性のあるMOF成分を同定するのに、まずヘンリー定数を検索してもよい。速度論的吸収データが利用できる場合、それらはPCCモデリングシステムへの入力として用いられる。
【0193】
図16A~
図16Cは、燃焼後炭素捕集系における有望な収着剤の予測性能を分析するための例示的な方法1600を示すフローチャートである。幾つかの実施形態では、方法1600はPCCモデリングシステム1440で実行してもよく、同定した収着剤は
図14のPCC系1420。この例の実施形態では、方法1600は、作業工程1610で公知の収着剤(例えば公知の性能データが存在するMOF)に関するモデル訓練データを収集すること、さもなければ同定することを含む。
【0194】
同定されるモデル訓練データは、例示的実施形態では、モデルデータデータベースのようなデータベースに格納された個々の収着剤のインスタンス並びにそれらの特定の組成及び公知の性能データ(例えば特定の公知の収着剤に関する様々な変数)を含む。各収着剤は、その特定の収着剤インスタンスの成分に関する情報(例えば特定の金属、有機リンカー及び/又は官能基もしくは官能性)、収着剤インスタンスの様々な物理的特徴(例えば細孔径、細孔容積、等量吸着熱、ヘンリー定数、選択性比、ラングミュア/BET表面積、吸収速度など)、収着剤インスタンスに関する公知の性能データ(例えばPCC容量及び生産性)、並びに場合によっては収着剤インスタンスに関する他の情報、例えば一意識別子又は他の収着剤データ(例えば物理収着剤又は化学収着剤の分類)を含んでいてもよい。金属としては、例えば、ニッケル、クロム、マグネシウム、銅、マンガン、ジルコニウム、亜鉛、コバルト、インジウム、鉄、アルミニウム、ジスプロシウム、チタン、カリウムなど、或いは幾つかの組合せ又は合金が挙げられる。有機リンカーとしては、例えば、1,4-ジオキシド-2,5-ベンゼンジカルボキシレート(DOBDC)、1,4-ベンゼン-ジカルボキシレート(BDC)、4,4’-オキシド-1,1’-ビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(DOBPDC)、1,3,5-トリ(1H-1,2,3-トリゾール-4-イル)ベンゼン)(BTTri)、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート(BTC)、1H,5H-ベンゾ(1,2-d:4,5-d’)ビストリアゾール(BBTA)、1,1’-ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(BPDC)、1,1’-ビフェニル-3,3’,5,5’-テトラカルボキシレート(BPTC)、1,5-ジオキシド-2,6-ナフタレンジカルボキシレート(DONDC)、1,2,4,5-ベンゼン-テトラ-カルボキシレート(BTEC)、1,4-ビス(1H-ピラゾール-4-イルエチニル)ベンゼン(BPEP)、2,5-ジ(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル)テレフタレート(BTTA)、2,4,6-トリス(3,5-ジカルボキシルフェニルアミノ)-1,3,5-トリアジン(TDPAT)、2,3,5,6-テトラクロロテレフタレート(TCDC)、4,4’-ジ安息香酸-2,2’スルフォン(SBPDC)などが挙げられる。官能性としては、例えばオープンメタルサイト[OMS]、マイクロポロシティ[MP]、ルイス塩基部位[LBS]、極性官能性部位[PFS]、合成後修飾[PSM]などが挙げられる。金属、リンカー、官能基及び物理的特徴の例を挙げたが、他のものも可能であり、本開示の範囲内である。状況によっては、このような収着剤のモデル訓練データを手動で(例えばアナリスト1402によって)収集してモデルデータデータベースに記録してもよい。幾つかの実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、(例えば他のオンラインデータベースを介して、PCC系1420を介して取得した性能又は試験データから)このようなデータを収集するように構成し得る。
【0195】
この収着剤データはPCCモデリングシステム1440で使用され、この例の実施形態では、有望な収着剤(例えば実世界で未だ研究及び試験されていない金属とリンカーと官能基の新規な組合せ)の予測性能を解析するための機械学習モデルを訓練するためのモデル訓練データとして使用される。このモデル訓練データは、モデル構築の際のラベル付訓練データとして使用できる(例えば公知の結果又は「ラベル」を有する特定の「入力」のモデル訓練データのインスタンス)。幾つかの実施形態では、モデル訓練データの1つのサブセットをモデルの訓練のために同定し、別のサブセットをモデルのテストのために同定してもよい(例えば収着剤の60%を訓練用に同定し40%をテスト用に同定する、70%を訓練用に同定し30%をテスト用に同定するなど)。幾つかの実施形態では、アナリスト1402は訓練及びテストのための収着剤を手動で同定する(例えばデータベースの特定の行によって)。幾つかの実施形態では、PCCモデリングシステム1440は訓練用サブセット及びテスト用サブセットを自動的に同定する(例えば予め設定しておいたパーセンテージの使用、無作為の選択など)。
【0196】
幾つかの実施形態では、方法1600は、作業工程1620で、モデル訓練データについて単変量データ分析の態様を実施することも含む。このデータ分析は、訓練データ総体で、特定の個々の収着剤変数(特定の成分又は特徴など)を他の変数(別の成分、特徴、性能値など)に対して評価することを含む。この分析は、特定の成分又は特徴に付随する高レベルの傾向を特定するのに用いることができる。
【0197】
この例の実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、着目すべき他のターゲット特徴に対する特定の特徴のプロットを表示するグラフィカルユーザーインターフェースをアナリスト1402に提供して、アナリスト1402がそれらの特定の特徴間の傾向及び関係を調査できるようにする。インターフェースは、アナリスト1402が一次変数(例えばドメインとして)及び着目すべき二次変数(例えば範囲として)を選択できるようにし、次いでPCCモデリングシステム1440は、それらの変数を有する訓練データ全体で、平均/平均値/中央値及び/又は棒グラフ、フォレストプロットなどのための数値範囲(例えば連続的二次変数と共に離散値で変動するドメイン)を計算してもよし、或いは散布図などを生成してもよい(例えば連続的な一次変数及び二次変数の場合)。例えば、PCCモデリングシステム1440は、等量吸着熱又はヘンリー定数又は平均細孔径に対する有機リンカーのプロットを生成してもよいし、物理収着剤又は化学収着剤を別個に(例えば色分け又はシェーディングによって)同定してもよい。別の例では、PCCモデリングシステム1440は、訓練データで同定された金属の等量吸着熱又は選択性比に対するプロットを生成してもよい。
【0198】
作業工程1630において、この例の実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、モデル訓練で使用する二次的特徴を生成する。二次的特徴は2以上の一次的特徴の組合せである。「一次的特徴」という用語は、等量吸着熱、ヘンリー定数、細孔径、細孔容積、表面積などの、公知の変数(例えば過去に実在した吸着の既存の主要効果パラメーター)の1つをいう。「二次的特徴」という用語は、2つの一次的特徴の間の相互作用に関与する2以上の一次的特徴(例えば相互作用パラメーター)の組合せをいう。幾つかの実施形態では、アナリスト1402は、モデルの新たな二次的特徴として組合せる2以上の一次的特徴を指定することによって、PCCモデリングシステム1440内で、手動で二次的特徴を作成し得る。一例では、二次的特徴「A」を(BET表面積×細孔容積(Vpore))として、二次的特徴「B」を(Vpore×等量吸着熱(QST))として、二次的特徴「C」を(BET表面積×QST)として作成し得る。これらの二次的特徴は以下で説明するモデル訓練及び分析に使用し得る。
【0199】
幾つかの実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、自動選択プロセスの使用によって、モデル訓練時に用いる二次的特徴を選択し得る。例えば、PCCモデリングシステム1440は、確率値などを介して、一次的特徴の各々の統計的有意性を分析し得る。確率値(p値)モデルに対する変数の有意性の尺度である。0.05未満のp値は、モデルにおける因子が95%の信頼度で統計的に有意であり、結果がランダムであることに対する強力な反証を示しており、結果がランダムである確率は5%未満である。
【0200】
幾つかの実施形態では、PCCモデリングシステム1440は所定の数の二次的特徴を選択する。例えば、PCCモデリングシステム1440で分析した一次的特徴の数をnとすると、二次的特徴の設定数はnCとすることができる。この例では、一次的特徴及び二次的特徴の総数(n+nC)をPCCモデリングシステム1440で自動的に選択し得る。
【0201】
作業工程1640において、この例の実施形態では、PCCモデリングシステム1440はモデルデータの相関及び二変量解析を行う。ここで
図16Bを参照すると、この分析は、モデル訓練のための特徴セットを同定することを含む。作業工程1642において、モデル訓練のための有望な特徴セットを同定する。この特徴セットは、モデル訓練で使用すべき一次的特徴1602(又は一次特徴)及び二次的特徴1604(又は二次特徴)のリストを含む。上述の通り、一次的特徴1602は、モデルデータ1460で収着剤に付される物理的特徴又は公知の変数(例えば吸着熱、細孔径、細孔容積、ヘンリー定数など)のリストを含んでおり、二次的特徴1604は作業工程1630で定義されるそれらの特徴の組合せを含む。一次的特徴1602及び二次的特徴1604は、モデル訓練のための「特徴セット」1606と総称される。例示的実施形態では、一次的特徴1602は、PCC容量、BET表面積、ラングミュア表面積、細孔容積(V
pore)、等量吸着熱(Q
ST)及び平均細孔径(Å)を含み、二次的特徴1604は、上述の3つの例示的な二次的特徴、すなわち「A」=(BET表面積×細孔容積(V
pore))、「B」=(V
pore×等量吸着熱(Q
ST))及び「C」=(BET表面積×Q
ST)を含む。そこで、訓練データは、n次元空間を定義するものとみなすことができ、nはモデル訓練に使用される特徴1606の数である。
【0202】
作業工程1644において、PCCモデリングシステム1440は、特徴セット1606における一次的特徴1602と二次的特徴1604の組合せ毎にペアプロット又は散布図を作成し得る。例えば、PCCモデリングシステム1440は、特徴の組合せ1606毎に、訓練データ上のBET面積及びPCC容量を示す第1のペアプロット、訓練データ上のラングミュア表面積及びPCC容量を示す第2のペアプロット、訓練データ上のVpore及びPCC容量を示す第3のペアプロットなどを生成し得る。PCCモデリングシステム1440は、アナリスト1402による検査及び検討のため、これらのプロットをグラフィカルユーザーインターフェースで表示してもよい。幾つからの組合せについては、これらのプロットは、訓練データ内のこれら2つの変数の間に相関があるか否か、その相関が線形であるか非線形であるか、それらが正の相関であるか負の相関であるかについて、アナリスト1402が同定するのに役立つ。さらに、これらのプロットは、訓練データ内の統計的に有意な変数をアナリスト1402が同定するのに役立つ。
【0203】
作業工程1646において、PCCモデリングシステム1440は、特徴セット1606における一次的特徴1602と二次的特徴1604の様々なペアに関する相関係数の相関行列1608を生成する。さらに具体的には、この例の実施形態では、相関行列1608はn×n行列であり、特徴セット1606における個々の特徴1602,1604には行及び列の両方が割り当てられる(例えば正方形の反射行列)。行列308の各セルは、特徴セット1606内のある2つの特徴1602,1604の組合せ(例えばそのセルの特定の行及び列に基づいて)を表し、そのセルに含まれる値は、それら2つの特徴の間の相関の程度又は大きさを表す相関係数である。2つの特徴1602,1604の各組合せについて、PCCモデリングシステム1440は、作業工程1648においてこれら2つの特徴の相関関数を(例えば訓練データ全体で)計算する。相関係数は、この例の実施形態では、+1.0~-1.0の範囲から正規化され、2つの特徴間で正の相関が強いほど+1.0に近く、負の相関が強いほど-1.0に近く、中立的な(例えば弱い又は存在しない)相関は0.0に近い(例えばピアソンの相関係数)。作業工程1650において、PCCモデリングシステム1440は、これら2つの特徴に付随する相関係数を特定のセル(1又は複数)に配置する。完了すると、この相関行例及びそれらに付随する数値は検査及び検討のためアナリスト1402に表示され、幾つかの実施形態では、ヒートマップとして(例えば個々のセルがその値に基づいて色分けされている)提示してもよく、特定の特徴間の正負の相関をアナリスト1402が見分けやすくなる。例示的な相関行列1608に関する詳細は、
図17に関して後述する。
【0204】
再び
図16Aを参照すると、この例の方法1600は作業工程1660へと続き、この工程でPCCモデリングシステム1440は、他の(例えば未検討の)収着剤のPCC性能を見積もるのに役立てることのできる伝達関数を生成するための回帰分析を行う。さらに具体的には、
図16Cは作業工程1660の回帰分析プロセスの例を示す。
【0205】
この例の実施形態では、モデルデータ1460から回帰作業工程1660の際に使用するためのモデル訓練データのセットを同定する。幾つかの実施形態では、上述の通り、訓練データの特定のインスタンスを(例えばアナリスト1402によって)手動で同定してもよいし、或いはPCCモデリングシステム1440によって(例えば自動的に)選択してもよい。訓練データは、こうして、どの公知の収着剤がこの特定の回帰分析の範囲内にあるかを表し、残りのモデルデータはこの訓練の結果を検証するために使用できる。
【0206】
作業工程1664において、初期特徴セット1680に関して、特徴のセットを選択する(例えば全特徴セット1606の一次的特徴1602及び二次的特徴1604から)。幾つかの実施形態では、最初に全特徴セット1606のすべての特徴を初期特徴セット1680として使用してもよい。別の実施形態では、アナリスト1402が初期特徴セット1680の特徴を手動で選択する(例えばペアプロット及び/又は相関行列の検査に基づいて)。さらに別の実施形態では、PCCモデリングシステム1440で初期特徴セット1680を自動的に選択してもよい。例えば、PCCモデリングシステム1440は、PCC容量について所定の閾値超(例えば0.2超)又は所定の閾値未満(例えば-0.2未満)の相関係数を有する初期特徴セット1680にすべての特徴1602,1604を追加することができる。これらの特徴fを、回帰を開始するための現在の特徴セット1682として使用する。
【0207】
作業工程1666において、PCCモデリングシステム1440は、現在の特徴セットを用いて(例えばPCC容量及びCO2吸収速度(例えば吸着速度論)に基づいて決定してPCC生産性が着目すべき従属変数である場合、訓練データの通常の最小二乗モデルフィットを用いて)モデル訓練データについて多重線形回帰を行う。ここで、着目すべきパラメーター(例えばPCC容量、Å)と、初期特徴セット1680について選択した様々な物理的属性(例えばBET表面積、細孔容積、等量熱、並びに上述の二次特徴「A」、「B」及び「C」))との間の依存性を調べるため、線形回帰法を次の数式1に適用する。
【0208】
【0209】
この回帰において、f現在の特徴1682の各々は、数式1において、付随する線形係数biと共に、Xiで表される。最初にすべての初期特徴1680を数式1の伝達関数に含めて回帰を繰り返し、すべての現在の特徴1682が所定の閾値を下回るp値(例えば95%の確率で統計的に有意であることを意味する0.05未満)をもつまで、最も高いp値を有する現在の特徴1682を除外する。このモデルにおける関連変数は、所定の閾値を下回る確率値(p値)を有するものである。
【0210】
さらに具体的には、この例の実施形態では、繰り返しの各ステップで、現在の特徴1682のセットに残る各特徴についてp値を生成する。テスト1668で、PCCモデリングシステム1440は、現在の特徴1682のp値を評価することによって回帰が完了したか否かをチェックする。残りの現在の特徴1682のp値がすべて所定の閾値を下回っていたら、繰り返しを終了する。さもなければ、繰り返しは作業工程1670に進む。作業工程1670において、PCCモデリングシステム1440は、最も高いp値を有する現在の特徴を同定し、次の繰り返しのため現在の特徴1682からその特定の特徴を除外する。回帰プロセスは作業工程1666に戻り、減少した現在の特徴セット1682で継続し、残りの特徴がすべて所定の閾値を下回るまで、再度新たなp値を生成する。一次的特徴が閾値を超えるp値を有しているが、その一次的特徴を含む二次的特徴が閾値未満のp値を有している場合には、その一次的特徴の個々のp値が閾値より大きかったとしても、その一次的特徴をモデルの一部として保持する。これは、閾値未満のp値をもつ二次的特徴をモデルの一部として保持するために必要とされる。
【0211】
回帰の繰り返しが完了して繰り返しを終えた時には、PCCモデリングシステム1440は、最終特徴セット1684に含めるべき1以上の残りの特徴の同定を終えていてもよく、その各々は所定の閾値以下のp値を有しており、統計的に有意である。この例の実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、モデルに過剰適合の兆候がないか最終結果を検査する。最終特徴セット1684について、PCCモデリングシステム1440は、r二乗及び調整済みr二乗値も生成するが、これら2つの数値間の差は過剰適合の指標となり得る(例えば、それらがかけ離れている場合)。r二乗値と調整済みr二乗値との間の差(例えばabs(r二乗値-調整済みr二乗値))が所定の閾値よりも大きい場合、モデルに過剰適合の可能性がある。このような状況では、PCCモデリングシステム1440は、最終特徴セット1684における残りの特徴の各組合せを解析し、その組合せでモデルを実行して、各組合せについてr二乗及び調整済みr二乗値を生成し、r二乗値と調整済みr二乗値が最も近い(例えば最小のabs(r二乗値-調整済みr二乗値))組合せを選択する。
【0212】
残りの特徴及びそれらに付随する数値を用いてこのモデルから最終的な伝達関数を生成する。さらに具体的には、回帰によって、最終特徴セット1684における残りの特徴の各々に最終的な係数、並びに定数(例えばy切片)が得られる。そこで、数式1のXf変数の各々を残りの特徴の各々で特定し、各々に付随する係数bfを定数b0と共に数式1に加えるて、最終的な伝達関数を生成する。こうして、この伝達関数を、有望な収着剤及びそれらに付随する数値と共に用いると、その特定の収着剤の予測PCC容量を求めることができる。
【0213】
幾つかの実施形態では、PCCモデリングシステム1440は、モデルをテストデータで使用して、それが予測能力の点でどのような性能を発揮するか評価してもよい。例えば、PCCモデリングシステム1440は、訓練データ及びテストデータの両方で線形回帰モデルのための残差プロットを生成して、モデルのパフォーマンスをアナリスト1402が評価できるようにする。
【0214】
ある特定の例では、回帰作業工程1660は、等量吸着熱(QST)、BET表面積、細孔容積(Vpore)並びに3つの例示的な二次的特徴「A」、「B」及び「C」の初期特徴セットで開始される例示的な訓練セットで行われる。最初の繰り返しで、BET表面積のp値が0.948で最も高いと同定され、除外される。2回目の繰り返しで、二次的特徴「A」のp値が0.769で最も高いと同定され、除外される。3回目の繰り返しで、二次的特徴「B」のp値が0.441で最も高いと同定され、除外される。4回目の繰り返しで、残ったすべての現在の特徴(例えば、QST、Vpore及び二次的特徴「C」)のp値が0.05未満となり、これら3つの特徴を最終特徴セットとして回帰繰り返しを終える。ただし、この例では、最終的なr二乗値は0.400で、調整済みr二乗値は0.363であり、その差は過剰適合の解析のトリガーとなる。最終特徴セット1684には3つの特徴が残っているので、これらの特徴の各々の組合せをモデルで検査した(例えば合計3!=6通りの組合せ、すなわち[QST]、[QST,Vpore]、[QST,Vpore,「C」]、[Vpore]、[Vpore,「C」]及び[「C」])。この例では、[QST]だけの組合せで0.567のr二乗値と0.560の調整済みr二乗値が得られ、差が0.007と最も低い。そこで、単独の特徴QST及びそれに付随する数値を用いて、残りの特徴が1つだけ(すなわちX1=QST)の最終的な伝達関数、すなわちÅ=b1X1+b0=0.0318×QST-0.4243を生成する。ここで、b0=-0.4243は定数である。この特定の例において、テストデータを最終モデルに適用すると、0.331のテストr二乗値が得られ、訓練モデルのr二乗値は0.567であった。こうして、等式はp値が0.05未満である1つの特徴しか含んでいない。さらに、テストデータの正のr二乗値は、このモデルで、吸着熱(QST)を用いた容量の60%を説明できることを示している。
【0215】
PCCモデリングシステム1440は、生成した伝達関数を、例えば、限定されるものではないが、燃焼後炭素系で使用すべき1以上の有望な収着剤を決定することによって、燃焼後炭素捕集系を運転するために用いることができる。例えば、PCCモデリングシステム1440は、燃焼後炭素捕集系の全体的な炭素捕集性能の向上を図るために、伝達関数で求めた炭素捕集性能値に基づいて、1種以上の有望な収着剤を同定することができる。
【0216】
図17は、相関行列1608の例を示す。幾つかの実施形態では、相関行列1608はPCCモデリングシステム1440によって生成され、
図16B~
図16Cに記載された方法1600に使用される。この例の実施形態では、相関行列1608は9×9の正方形の反射行例である。9行1702と9列1704が存在し、この例のモデルの主題である9つの特徴1712がある。9つの特徴1712の各々が、関係する行1702と関係する列1704とを有する。特徴1712は、
図16B~
図16Cに示す例と同様に、6つの一次的(「一次」)特徴1712A及び3つの二次的(「二次」)特徴1712Bを含む。行列の各セルは、そのセルで交差する2つの特徴の間で計算された相関係数を含んでいる。例えば、BET表面積とPCC容量の相関係数は-0.12である。
【0217】
本発明の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
【0218】
[実施態様項1]
二酸化炭素の捕集に用いる捕集系と、捕集系を運転するように構成されたコントローラーと、プロセッサーを含むモデリングシステムとを備える発電システムであって、プロセッサーが、モデル訓練データセットを同定するステップであって、モデル訓練データセットの各インスタンスが、捕集系で使用される収着剤、収着剤の炭素捕集性能値、及び複数の一次的特徴に関連する複数の一次的特徴値を同定する、ステップと、複数の一次的特徴の1以上に基づいて1以上の二次的特徴を生成するステップであって、1以上の二次的特徴の各々が複数の一次的特徴の2以上の組合せである、ステップと、複数の一次的特徴の各々と1以上の二次的特徴の各々との間の相関度値を含む複数の相関度値を決定するステップと、複数の相関度値に基づいてモデル訓練データセットの第1のサブセットを同定するステップと、モデル訓練データセットの第1のサブセットの各インスタンスについて統計的有意性を決定するステップと、統計的有意性に基づいてモデル訓練データセットの第2のサブセットを同定するステップであって、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについての統計的有意性が所定の閾値未満である、ステップと、モデル訓練データセットの第2のサブセットに基づいて伝達関数を生成するステップと、伝達関数を用いて、炭素捕集性能値に基づいて捕集系で使用すべき1以上の有望な収着剤を決定するステップとを行うように構成されており、コントローラーが、モデリングシステムで決定した1以上の有望な収着剤を用いて捕集系を運転する、発電システム。
【0219】
[実施態様項2]
複数の一次的特徴の1以上に基づいて1以上の二次的特徴を生成するステップが、複数の一次的特徴について単変量データ分析を行うことを含む、実施態様項1に記載の発電システム。
【0220】
[実施態様項3]
複数の相関度値を決定するステップが、複数のセルを含む相関行列であって、複数のセルが、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴に関する複数の行と複数の列とに配置されており、複数のセルの各々が複数の相関度値の1つを含む、相関行列を生成することを含む、実施態様項1又は実施態様項2に記載の発電システム。
【0221】
[実施態様項4]
モデリングシステムのプロセッサーが、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴から初期特徴セットを選択するように構成されている、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の発電システム。
【0222】
[実施態様項5]
初期特徴セットを選択することが、ユーザーから、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴のうちの1以上の特徴の選択を示すユーザー入力を受け取ることを含む、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の発電システム。
【0223】
[実施態様項6]
初期特徴セットを選択することが、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴のうちの1以上の特徴を選択することを含んでおり、1以上の特徴の各々が、所定の閾値よりも大きい相関係数を有する、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の発電システム。
【0224】
[実施態様項7]
1以上の特徴の各々が、所定の閾値よりも大きい1以上のPCC性能データ値を有する、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の発電システム。
【0225】
[実施態様項8]
モデリングシステムのプロセッサーが、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスの各組合せについてr二乗及び関連する調整済みr二乗値を決定し、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスの各組合せについてr二乗値と関連する調整済みr二乗値との間の差の値を決定し、差の値に基づいてモデル訓練データセットの第3のサブセットを同定するように構成されており、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについて差の値が所定の閾値よりも大きい、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の発電システム。
【0226】
[実施態様項9]
モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについて差の値が所定の閾値よりも小さい、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の発電システム。
【0227】
[実施態様項10]
複数の一次的特徴が少なくとも炭素捕集容量及び等量吸着熱値を含む、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の発電システム。
【0228】
[実施態様項11]
1以上の二次的特徴が、選択性比、細孔容積及び等量吸着熱値の1以上に基づく、実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の発電システム。
【0229】
[実施態様項12]
二酸化炭素の捕集系の運転に使用される1種以上の有望な収着剤を選択する方法であって、当該方法が、モデル訓練データセットを同定するステップであって、モデル訓練データセットの各インスタンスが、捕集系で使用される収着剤、収着剤の炭素捕集性能値、及び複数の一次的特徴に関連する複数の一次的特徴値を同定する、ステップと、複数の一次的特徴の1以上に基づいて1以上の二次的特徴を生成するステップであって、1以上の二次的特徴の各々が複数の一次的特徴の2以上の組合せである、ステップと、複数の一次的特徴の各々と1以上の二次的特徴の各々との間の相関度値を含む複数の相関度値を決定するステップと、複数の相関度値に基づいてモデル訓練データセットの第1のサブセットを同定するステップと、モデル訓練データセットの第1のサブセットの各インスタンスについて統計的有意性を決定するステップと、統計的有意性に基づいてモデル訓練データセットの第2のサブセットを同定するステップであって、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについての統計的有意性が所定の閾値未満である、ステップと、モデル訓練データセットの第2のサブセットに基づいて伝達関数を生成するステップと、伝達関数を用いて、炭素捕集性能値に基づいて捕集系で使用すべき1以上の有望な収着剤を決定するステップとを含んでおり、コントローラーが、モデリングシステムで決定した1以上の有望な収着剤を用いて捕集系を運転する、方法。
【0230】
[実施態様項13]
複数の一次的特徴の1以上に基づいて1以上の二次的特徴を生成するステップが、複数の一次的特徴について単変量データ分析を行うことを含む、実施態様項12に記載の方法。
【0231】
[実施態様項14]
複数の相関度値を決定するステップが、複数のセルを含む相関行列であって、複数のセルが、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴に関する複数の行と複数の列とに配置されており、複数のセルの各々が複数の相関度値の1つを含む、相関行列を生成することを含む、実施態様項12又は実施態様項13に記載の方法。
【0232】
[実施態様項15]
複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴から初期特徴セットを選択することをさらに含む、実施態様項12乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の方法。
【0233】
[実施態様項16]
初期特徴セットを選択することが、ユーザーから、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴のうちの1以上の特徴の選択を示すユーザー入力を受け取ることを含む、実施態様項12乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の方法。
【0234】
[実施態様項17]
初期特徴セットを選択することが、複数の一次的特徴及び1以上の二次的特徴のうちの1以上の特徴を選択することを含んでおり、1以上の特徴の各々が、所定の閾値よりも大きい相関係数を有する、実施態様項12乃至実施態様項16のいずれか1項に記載の方法。
【0235】
[実施態様項18]
モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスの各組合せについてr二乗及び関連する調整済みr二乗値を決定するステップ、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスの各組合せについてr二乗値と関連する調整済みr二乗値との間の差の値を決定するステップ、及び差の値に基づいてモデル訓練データセットの第3のサブセットを同定するステップをさらに含む、実施態様項12乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の方法。
【0236】
[実施態様項19]
モデル訓練データセットの第3のサブセットを同定するステップが、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについて差の値が所定の閾値よりも大きい、実施態様項18に記載の方法。
【0237】
[実施態様項20]
モデル訓練データセットの第3のサブセットを同定するステップが、モデル訓練データセットの第2のサブセットの各インスタンスについて差の値が所定の閾値よりも小さい、実施態様項18に記載の方法。
【0238】
固体収着剤材料
一態様では、官能化収着剤を提供する。官能化収着剤は、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む。収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。別の態様では、収着剤は2μm以下の平均粒子長を有する。別の態様では、収着剤は1μm以下の平均粒子長を有する。
【0239】
今回、収着剤の粒子径の減少、収着剤のアスペクト比の増大及び収着剤の水性合成の1以上によって、CO2吸収速度が格段に向上した収着剤が得られるという知見が得られた。
【0240】
一般に、収着剤は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な粒子径を含む。幾つかの実施形態では、収着剤は3μm以下、2.9μm以下、2.8μm以下、2.7μm以下、2.6μm以下、2.5μm以下、2.4μm以下、2.3μm以下、2.2μm以下、2.1μm以下、2μm以下、1.9μm以下、1.8μm以下、1.7μm以下、1.6μm以下、1.5μm以下、1.4μm以下、1.3μm以下、1.2μm以下、1.1μm以下、1μm以下、0.9μm以下、0.8μm以下、0.7μm以下、0.6μm以下、0.5μm以下、0.4μm以下、0.3μm以下、0.2μm以下又は0.1μm以下の平均粒子長を有する。幾つかの実施形態では、収着剤は3μm以上、2.9μm以上、2.8μm以上、2.7μm以上、2.6μm以上、2.5μm以上、2.4μm以上、2.3μm以上、2.2μm以上、2.1μm以上、2μm以上、1.9μm以上、1.8μm以上、1.7μm以上、1.6μm以上、1.5μm以上、1.4μm以上、1.3μm以上、1.2μm以上、1.1μm以上、1μm以上、0.9μm以上、0.8μm以上、0.7μm以上、0.6μm以上、0.5μm以上、0.4μm以上、0.3μm以上、0.2μm以上又は0.1μm以上の平均粒子長を有する。
【0241】
一般に、収着剤は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なアスペクト比を有する。本願では、アスペクト比は収着剤の平均粒子長と収着剤の平均粒子幅との比である。幾つかの実施形態では、収着剤は、約0~約1の範囲内のアスペクト比を有する。幾つかの実施形態では、収着剤は、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下又は0.1以下のアスペクト比を有する。幾つかの実施形態では、収着剤は、0.9以上、0.8以上、0.7以上、0.6以上、0.5以上、0.4以上、0.3以上、0.2以上、0.1以上又は0以上のアスペクト比を有する。
【0242】
使用したすべての粒子径測定は、SEM画像の粒子長及び粒子幅を個別に測定することによって或いはソフトウェアパッケージによって粒子径分布から求めた平均である。どのように測定するかは実際には重要でないので、使用した方法の詳細を含める必要なないと思料される。
【0243】
幾つかの実施形態では、粒子径は個々の粒子径である。個々の粒子径測定は、SEM画像での粒子径の測定によるものなど、当技術分野で公知の適切な手段によって行うことができる。
【0244】
幾つかの実施形態では、粒子径測定値は平均粒子径測定値である。平均粒子径測定は、粒子径分布情報の解析によるものなど、当技術分野で公知の適切な手段によって行うことができる。
【0245】
一般に、収着剤の粒子径は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な技術によって制御、変更又は減少させることができる。幾つかの実施形態では、粒子径の制御、変更又は減少に適した技術としては、機械的粉砕(例えば乳鉢でのすりつぶし)、マイクロフルイダイザー、乾式ミリング、湿式ミリング、化学的粒度減少(例えば結晶成長阻害剤の導入)、音響キャビテーション、流体力学的キャビテーション及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0246】
一般に、収着剤は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な形態とすることができる。幾つかの実施形態では、収着剤は、粉体、ペレット、複合材、バインダーと混合した複合材、フィルム、コーティング、充填ベッド、カラム、モノリス及びこれらの組合せからなる群から選択される形態である。
【0247】
本願に記載の例示的実施形態は収着剤系を含む。一般に、収着剤系は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な収着剤系とすることができる。幾つかの実施形態では、収着剤系は、官能化収着剤及び任意成分としてのバインダーを含む。幾つかの実施形態では、収着剤系はポリマーフィルム上に配置される。
【0248】
幾つかの実施形態では、収着剤系は1以上の接触器を含む。幾つかの実施形態では、収着剤系は2以上の接触器を含む。幾つかの実施形態では、収着剤系は、吸着サイクル用の接触器及び脱着サイクル用の接触器を含む。接触器は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な接触器とすることができる。幾つかの実施形態では、収着剤は、接触器の1以上のチャネル内に組み込まれる。幾つかの実施形態では、接触器は収着剤自体から作成される。幾つかの実施形態では、接触器は収着剤系で被覆される。幾つかの実施形態では、接触器は、2以上の収着剤コーティングを含んでおり、その1以上の収着剤コーティングは収着剤系である。
【0249】
幾つかの実施形態では、収着剤系はフレームを含む。フレームは、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切なフレームとすることができる。フレームは、接触器内又は2つの接触器の間に含めることができる。フレームは、1片又は2以上の片のからなる。幾つかの実施形態では、フレームはエアフレームである。幾つかの実施形態では、多角形構成、矩形構成、正方形構成、円形構成、非対称構成及びこれらの組合せからなる群から選択される構成である。幾つかの実施形態では、収着剤系はフレームに装着される。
【0250】
幾つかの実施形態では、収着剤系1以上の濃縮器を含む。濃縮器は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な濃縮器とすることができる。濃縮器は、受動型濃縮器であっても、能動型濃縮器であってもよい。
【0251】
幾つかの実施形態では、収着剤系は、流体の流れを駆動するように構成された1以上の部品を含む。流体の流れを駆動するように構成された部品は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な流体の流れを駆動するように構成された部品とすることができる。幾つかの実施形態では、流体の流れを駆動するように構成された部品は、ポンプ、ファン及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0252】
幾つかの実施形態では、収着剤系は、温度を変更するように構成された1以上の部品を含む。温度を変更するように構成された部品は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な温度を変更するように構成された部品とすることができる。幾つかの実施形態では、温度を変更するように構成された部品は、ヒーター、冷却器及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0253】
幾つかの実施形態では、収着剤系は、流体を搬送するように構成された1以上の部品を含む。流体を搬送するように構成された部品は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な流体を搬送するように構成された部品とすることができる。幾つかの実施形態では、流体を搬送するように構成された部品は、管、多孔管、プラスチック多孔管、高分子多孔管、金属多孔管、複合材多孔管及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0254】
一般に、官能化収着剤は、本願に記載の官能化収着剤の使用に資する当技術分野で公知の適切な目的に応じて使用し得る。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は収着剤系に用いられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は炭素捕集収着剤系に用いられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は水分収着剤系に用いられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、水の存在下での炭素捕集収着剤系に用いられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤はガスの捕集に用いられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、CO2の燃焼後捕集及び/又はCO2の直接空気捕集のために用いられる。
【0255】
本願に記載の例示的実施形態は収着剤系の製造方法を包含する。一般に、官能化収着剤は、本願に記載の官能化収着剤に資する当技術分野で公知の適切な合成方法で製造される。
【0256】
多くの実施形態では、収着剤系の製造方法は、3μm以下の平均粒子長を有する収着剤を製造し、任意段階としてアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドで収着剤を官能化することを含む。幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、2μm未満の平均粒子長を有する収着剤を製造し、任意段階としてアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドで収着剤を官能化することを含む。幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、1μm未満の平均粒子長を有する収着剤を製造し、任意段階としてアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドで収着剤を官能化することを含む。
【0257】
幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、各々アミノシリコーン基を含む2種以上の官能化リガンドで収着剤を官能化することを含んでおり、アミノシリコーン基は互いに異なる。幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドで収着剤を官能化することをさらに含む。幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドの比を制御することを含む。
【0258】
幾つかの実施形態では、収着剤系の製造方法は、官能化収着剤をアニールすること(アニーリング)をさらに含む。収着剤系のアニーリングによって過剰のリガンドを除去し得る。幾つかの実施形態では、官能化収着剤のアニーリングは、官能化収着剤を昇温下でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約50℃~約400℃の温度でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約100℃~約300℃の温度でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約150℃~約250℃の温度でアニールすることを含む。
【0259】
図34は、例示的な方法のフローチャート3410である。この例示的な実施形態では、方法のフローチャート3410は、本願に記載の方法の実施形態の例示的なステップを示し、方法の実施形態を限定するものではない。例示的な実施形態では、本方法は、収着剤前駆体と、結晶成長阻害剤と、任意成分としての溶媒と、任意成分としての非溶媒とを含む混合物を形成すること(3412)を含む。本方法は、混合物を反応させること(3414)も含む。幾つかの実施形態では、収着剤は3μm以下の平均粒子長を有する。幾つかの実施形態では、収着剤は2μm以下の平均粒子長を有する。幾つかの実施形態では、収着剤は1μm以下の平均粒子長を有する。
【0260】
混合物の形成(3412)は、当技術分野で公知の適切な手段で行うことができる。幾つかの実施形態では、すべての成分を同時に加える。幾つかの実施形態では、1以上の成分を他の成分とは異なる時点で加える。
【0261】
幾つかの実施形態では、収着剤前駆体は、MOFリンカー及びMOF金属又は金属含有クラスターを含む。収着剤前駆体は、混合物の形成(3412)前に形成して混合物に単一成分として加えてもよいし、或いは混合物の形成(3412)時に混合物中のその場で形成してもよい。例えば、MOFリンカーを別個に脱プロトン化してから添加してもよいし、或いはその場で脱プロトン化してもよい。同様に、MOF金属又は金属含有クラスターを予め形成しておいてから添加してもよいし、或いはその場で形成してもよい。
【0262】
幾つかの実施形態では、溶媒は水性溶媒を含む。幾つかの実施形態では、溶媒は水を含む。水性溶媒の使用は、幾つかの利点をもたらす。特に、水性溶媒の使用は、少なくとも幾つかの公知のMOF化合物の製造方法と比較して、スケーラビリティ、安全性、コスト及び廃棄物処理の点で利点をもたらす。さらに、水性溶媒中で調製したMOF化合物は、公知の方法で製造したMOF化合物よりも、例えば溶媒洗浄などによる精製が概して簡単である。この改善された精製は、公知の方法で同じMOF化合物の製造に利用される強固に結合した溶媒分子(例えばジメチルホルムアミド(DMF))の除去に比べて、本願に記載のMOF化合物からの溶媒分子(例えば水)の除去が比較的容易であることに由来する。さらに精製したMOF化合物は、ガス吸収、表面積及び/又は全体的な細孔容積を低下させてしまう強固に結合した溶媒分子を含まない。最後に、毒性の低い精製方法が必要とされるので、精製が改善される。
【0263】
幾つかの実施形態では、溶媒は有機溶媒である。幾つかの実施形態では、溶媒は有機溶媒と水性溶媒との混合物である。
【0264】
一般に、非溶媒は、溶液又は混合物の所定の成分を溶解することができない物質である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、反応混合物に含まれる液体系成分である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、反応混合物の成分の1つが限られた溶解度しかもたない溶媒である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、有機溶媒、水性溶媒及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0265】
幾つかの実施形態では、結晶成長阻害剤は、サリチル酸、4-フルオロサリチル酸、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)、安息香酸類、ビフェノール類、ビピリジン類及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0266】
図35は例示的な方法のフローチャート3510である。この例示的な実施形態では、方法のフローチャート3510は、本願に記載の方法の実施形態の例示的なステップを示し、方法の実施形態を限定するものではない。例示的な実施形態では、本方法は、収着剤、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンド、任意成分としてアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンド、任意成分としての溶媒、及び任意成分としての非溶媒を含む混合物を形成すること(3512)を含む。本方法は、収着剤を官能化すること(3514)も含む。
【0267】
幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は混合物を撹拌することを含む。
【0268】
幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は不活性ガスの存在下で収着剤を官能化(114)することを含む。
【0269】
幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は収着剤を約0℃~約100℃の範囲内の温度で官能化すること(3514)を含む。幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は収着剤を約20℃~約80℃の範囲内の温度で官能化すること(3514)を含む。幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は収着剤を約20℃~約60℃の範囲内の温度で官能化すること(3514)を含む。
【0270】
幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は収着剤を約1分~約7日間にわたって官能化すること(3514)を含む。幾つかの実施形態では、収着剤を官能化すること(3514)は収着剤を約1時間~約3日間にわたって官能化すること(3514)を含む。
【0271】
幾つかの実施形態では、収着剤は官能化(3514)の前に脱溶媒される。幾つかの実施形態では、収着剤は官能化(3514)の前に乾燥される。
【0272】
幾つかの実施形態では、収着剤は、官能化(3514)の後にアニールされる。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を昇温下でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約50℃~約400℃の温度でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約100℃~約300℃の温度でアニールすることを含む。幾つかの実施形態では、収着剤のアニーリングは、収着剤を約150℃~約250℃の温度でアニールすることを含む。
【0273】
幾つかの実施形態では、溶媒は有機溶媒である。幾つかの実施形態では、溶媒は水性溶媒である。幾つかの実施形態では、溶媒は有機溶媒と水性溶媒との混合物である。
【0274】
一般に、非溶媒は、溶液又は混合物の所定の成分を溶解することができない物質である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、反応混合物に含まれる液体系成分である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、反応混合物の成分の1つが限られた溶解度しかもたない溶媒である。幾つかの実施形態では、非溶媒は、有機溶媒、水性溶媒及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0275】
幾つかの実施形態では、非溶媒は官能化に役立つ。幾つかの実施形態では、相対的溶解度によって、官能化の選択性を制御する。例えば、収着剤又はアミンの1種以上は、別の吸着又はアミン又は官能化収着剤に比べて、液体系反応混合物中で異なる溶解度を有し得る。こうして、相対的溶解度によって、反応及び/又は試薬の制限が導入される。
【0276】
多くの実施形態では、本方法は、本願に記載の方法の成功に資する当技術分野で公知の適切なプロセスステップを含んでいてもよい。かかるプロセスステップには、限定されるものではないが、洗浄、乾燥、濾過、精製、分離、遠心分離及びこれらの組合せが挙げられる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤を洗浄することをさらに含む。幾つかの実施形態では、官能化収着剤を精製することをさらに含む。幾つかの実施形態では、精製は、蒸留、真空蒸留及び/又は熱の使用を含む。
【0277】
本願に記載の例示的実施形態は、1種以上のガスを捕集する方法を包含する。
【0278】
図36は例示的な方法のフローチャート3610。例示的な実施形態では、方法のフローチャート3610は、本願に記載の方法の実施形態の例示的なステップを示し、方法の実施形態を限定するものではない。本方法は、1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けること(3612)を含んでおり、官能化収着剤は、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、各々アミノシリコーン基を含む2種以上の官能化リガンドを含んでおり、アミノシリコーン基は互いに異なる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドをさらに含む。本方法は、1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集すること(3614)も含む。収着剤は、1μm以下の平均粒子長を有する。
【0279】
幾つかの実施形態では、本方法は、(I)1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けるステップ(3612)であって、官能化収着剤が、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1種以上の官能化リガンドとを含む、ステップ、及び(II)1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集するステップ(3614)を含む。
【0280】
一般に、ガス源は、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切なガス源とすることができる。幾つかの実施形態では、ガス源は、空気、煙道ガス、燃焼後のガス、天然ガス、シンガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、水素、窒素、酸素、メタン、オレフィンガス、窒素酸化物、二酸化硫黄、アンモニア、硫化水素及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0281】
一般に、1種以上のガスは、本願に記載の方法に資する当技術分野で公知の適切なガスとすることができる。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは、空気、煙道ガス、燃焼後のガス、天然ガス、シンガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、水素、窒素、酸素、メタン、オレフィンガス、窒素酸化物、二酸化硫黄、アンモニア、硫化水素及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0282】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約40%(v/v)の範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約15%(v/v)の範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約10%(v/v)の範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約5%(v/v)の範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約1%(v/v)の範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に10%(v/v)超の量で存在する。
【0283】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約100ppmv~約1000ppmvの範囲内の量で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約300ppmv~約5000ppmvの範囲内の量で存在する。
【0284】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは水蒸気を含まない。
【0285】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは水蒸気を含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは約0.001%(v/v)~約25%(v/v)の範囲内の量の水蒸気を含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは約0.01%(v/v)~約20%(v/v)の範囲内の量の水蒸気を含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは約0.5%(v/v)~約15%(v/v)の範囲内の量の水蒸気を含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは約0.5%(v/v)~約4%(v/v)の範囲内の量の水蒸気を含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは約4%(v/v)~約15%(v/v)の範囲内の量の水蒸気を含む。
【0286】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約10%(v/v)の範囲内の量で、かつ水蒸気の存在下で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約5%(v/v)の範囲内の量で、かつ水蒸気の存在下で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約0.001%(v/v)~約1%(v/v)の範囲内の量で、かつ水蒸気の存在下で存在する。幾つかの実施形態では、1種以上のガスは原料ガス中に約10%(v/v)超の量で、かつ水蒸気の存在下で存在する。幾つかの実施形態では、水蒸気は約0.001%(v/v)~約25%(v/v)の範囲内の量で存在する幾つかの実施形態では、水蒸気は約0.01%(v/v)~約20%(v/v)の範囲内の量で存在する幾つかの実施形態では、水蒸気は約0.5%(v/v)~約10%(v/v)の範囲内の量で存在する
【0287】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集すること(3614)は、1種以上のガスのある量を官能化収着剤で吸着することを含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集すること(3614)は、水蒸気の存在下で1種以上のガスのある量を官能化収着剤で吸着することを含む。
【0288】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約100%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約10%(v/v)~約90%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約20%(v/v)~約80%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約30%(v/v)~約70%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約40%(v/v)~約60%(v/v)の範囲内である。
【0289】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約25%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約20%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約15%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約10%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約1%(v/v)~約5%(v/v)の範囲内である。
【0290】
幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約80%(v/v)~約100%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約85%(v/v)~約100%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約90%(v/v)~約100%(v/v)の範囲内である。幾つかの実施形態では、官能化収着剤で捕集(3614)される1種以上のガス量は、原料ガス中に存在する1種以上のガスの約95%(v/v)~約100%(v/v)の範囲内である。
【0291】
幾つかの実施形態では、原料ガスは、水蒸気の量を変更するように調整される。幾つかの実施形態では、水蒸気の量の変更は、水蒸気の量を増加させることを含む。幾つかの実施形態では、水蒸気の量の変更は、水蒸気の量を減少させることを含む。幾つかの実施形態では、水蒸気の量の増加は、水蒸気を原料ガスに添加又は注入することを含む。幾つかの実施形態では、水蒸気の量の減少は、原料ガスから、蒸発、凝縮及び/又は予備吸着によって水蒸気を除去することを含む。幾つかの実施形態では、水蒸気の量の変更は、排気ガス再循環(EGR)及び/又は混合を含む。
【0292】
多くの実施形態では、官能化収着剤、原料ガス、1種以上のガス又はこれらの組合せは、特定の温度にある。各温度は、本願に記載の方法に資するために変更し得る。各温度は、均一な温度プロファイル、勾配温度プロファイル、離散温度プロファイル又はこれらの組合せを有し得る。
【0293】
幾つかの実施形態では、本方法は吸着サイクルを含む。幾つかの実施形態では、本方法は脱着サイクルを含む。幾つかの実施形態では、官能化収着剤、原料ガス、1種以上のガス又はこれらの組合せのうちの1種以上は、ガス吸着サイクル時に約0℃~約150℃の範囲内の温度にある。幾つかの実施形態では、官能化収着剤、原料ガス、1種以上のガス又はこれらの組合せのうちの1種以上は、ガス脱着サイクル時に約60℃~約250℃の範囲内の温度にある。
【0294】
幾つかの実施形態では、本方法は温度を制御することを含む。温度は、官能化収着剤、原料ガス、1種以上のガス又はこれらの組合せについて制御することができる。
【0295】
本願に記載の例示的実施形態は、ガス源から1種以上のガスを回収する方法を包含する。
【0296】
図37は例示的な方法のフローチャート3710である。この例示的な実施形態では、方法のフローチャート3710は、本願に記載の例示的な実施形態の基本的な方法ステップを示し、本方法の実施形態を限定するものではない。本方法は、1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けること(3712)を含んでおり、官能化収着剤は、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとを含む。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、各々アミノシリコーン基を含む2種以上の官能化リガンドを含んでおり、アミノシリコーン基は互いに異なる。幾つかの実施形態では、官能化収着剤は、アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドをさらに含む。本方法は、1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集すること(3714)も含む。本方法は、1種以上のガスを官能化収着剤から放出させること(3716)も含む。収着剤は、1μm以下の平均粒子長を有する。
【0297】
幾つかの実施形態では、本方法は、(I)1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けるステップ(3712)であって、官能化収着剤が、収着剤と、アミノシリコーン基を含む1種以上の官能化リガンドとを含むステップと、(II)1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集するステップ(3714)と、(III)1種以上のガスを官能化収着剤から放出させるステップ(3716)とを含む。
【0298】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスを官能化収着剤から放出させるステップ(3716)は、パージガスで1種以上のガスを官能化収着剤から放出させることを含む。幾つかの実施形態では、1種以上のガスを官能化収着剤から放出させるステップ(3716)は、官能化収着剤で温度又は圧力の変化を起こすことを含む。
【0299】
幾つかの実施形態では、1種以上のガスは官能化収着剤から受容ガス中に放出される(3716)。幾つかの実施形態では、受容ガスは、空気、N2、蒸気及びこれらの組合せからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、受容ガスは、1種以上のガスを受け取った後、官能化収着剤の存在下から取り除かれる。幾つかの実施形態では、受容ガスは、原料ガスに比べて、1種以上のガスの濃度が高い。
【0300】
本開示技術の追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
【0301】
[実施態様項1]
官能化収着剤であって、
収着剤と、
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドと
を含んでおり、収着剤が3μm以下の平均粒子長を有する、官能化収着剤。
【0302】
[実施態様項2]
アミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドをさらに含む、実施態様項1に記載の官能化収着剤。
【0303】
[実施態様項3]
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドとアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドとが、約10:1~約1:10の範囲内の比で存在する、実施態様項1又は実施態様項2に記載の官能化収着剤。
【0304】
[実施態様項4]
官能化収着剤が、次の式(A-I)の官能化MOF化合物である、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
MxLyFA
aFB
b (式A-I)
式中、
MはMOF金属又は金属含有クラスターであり、
LはMOFリンカーであり、
FAはアミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドであり、
FBはアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンドであり、
xは1~6の範囲内の数値であり、
yは1~6の範囲内の数値であり、
aは0超2以下の数値であり、
bは0~2の範囲内の数値である。
【0305】
[実施態様項5]
MOF金属又は金属含有クラスターが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、Mg、Ca、Mn、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、これらのイオン、これらの水和物、これらの塩、これらのハロゲン化物、これらのフッ化物、これらの塩化物、これらの臭化物、これらのヨウ化物、これらの硝酸塩、これらの酢酸塩、これらの硫酸塩、これらのリン酸塩、これらの炭酸塩、これらの酸化物、これらのギ酸塩、これらのカルボン酸塩及びこれらの組合せからなる群から選択される金属を含む、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0306】
[実施態様項6]
MOFリンカーが、ポリトピックリンカー、4,4’-ジヒドロキシ-[1,1’-ビフェニル]-3,3’-ジカルボン酸(H4dobpdc)、4,4’-ジオキシドビフェニル-3,3’-ジカルボキシレート(dobpdc4-)、4,4”-ジオキシド-[1,1’:4’,1”-テルフェニル]-3,3”-ジカルボキシレート(dotpdc4-)、2,5-ジオキシドベンゼン-1,4-ジカルボキシレート(dobdc4-)、4,6-ジヒドロキシイソフタル酸(m-dobdc4-)、3,3’-ジオキシド-ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート(para-carboxylate-dobpdc4-)、4,4’-[オキサリルビス(イミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4ODA)、4,4’-[1,4-フェニレンビス-(カルボニルイミノ)]ビス(2-ヒドロキシ安息香酸)(H4TDA)、4,4’-ジヒドロキシアゾベンゼン-3,3’-ジカルボン酸(H4OSA)、ジカルボン酸塩、テレフタル酸、トリカルボン酸塩、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、アゾレート、テトラアゾレート、1,4-ブタンジカルボン酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1,2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、p-ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロピラン-4,4-ジカルボン酸、ペリレン-3,9-ジカルボン酸、ペリレンジカルボン酸、Pluriol E200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン-3,3-カルボン酸、4,4’-ジアミノ-1,1’-ジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニル-3,3’-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3’-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1’-ジナフチル-8,8’-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4’-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス(カルボキシメチル)ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7,-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン-1,8-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリジン-4,5-cisジカルボン酸、2,2’-ビキノリン-4,4’-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、o-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、Pluriol E300-ジカルボン酸、Pluriol E400-ジカルボン酸、Pluriol E600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォンジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2’-3’-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4”-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソチオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2’,5’-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、1,1-ジオキシド-ペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリレン-1,12-スルフォン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、メソ-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ポリトピックリンカー、ジトピックリンカー、トリトピックリンカー、テトラトピックリンカー、ペンタトピックリンカー、ヘキサトピックリンカー、ヘプタトピックリンカー、オクタトピックリンカー、混合リンカー、非対称リンカー、メタロリンカー、N-複素環式リンカー、これらのプロトン化形、部分又は完全脱プロトン化形並びにこれらの組合せからなる群から選択されるリンカーを含む、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0307】
[実施態様項7]
前記収着剤が0.2超のアスペクト比を有する、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0308】
[実施態様項8]
前記収着剤が1μm未満の平均粒子長を有する、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0309】
[実施態様項9]
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンドが、以下の式(A-II)、式(A-III)、式(A-IV)、式(A-V)、式(A-VI)又は式(A-VII)のアミノ置換シロキサンである、実施態様項1乃至実施態様項8のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0310】
【0311】
【化37】
式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
9、R
10、R
13、R
14及びR
18は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、アリール、フェニル、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
5、R
6、R
11、R
15及びR
17は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル及びC
6アルキルからなる群から選択され、
R
7、R
8、R
12及びR
16は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル及び次の式(A-VIII)の置換基からなる群から選択され、
【0312】
【化38】
式中、
波形の結合は式(A-II)又は式(A-III)又は式(A-IV)又は式(A-V)又は式(A-VI)又は式(A-VII)との結合位置を示し、
R
19、R
20、R
21、R
22、R
23及びR
24は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、置換又は非置換線状ヘテロアルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状ヘテロアルキル、置換又は非置換枝分れヘテロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択され、
R
25及びR
26は各々独立に水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル及び置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキルからなる群から選択されるか、或いはR
25及びR
26が一緒にヘテロシクロアルキル又はヘテロアリールからなる群から選択される単環を形成し、
R
27、R
28及びR
29は各々独立に直接結合、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、C
1アルキル、C
2アルキル、C
3アルキル、C
4アルキル、C
5アルキル、C
6アルキル、エーテル、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2-、-NHCH
2CH
2CH
2-及び-NHCH
2CH
2CH
2CH
2-からなる群から選択され、
R
30は水素、置換又は非置換線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
6線状アルキル、置換又は非置換C
1-C
3線状アルキル、置換又は非置換枝分れアルキル、置換又は非置換C
3-C
6枝分れアルキル、メチル、エチル、プロピル、置換又は非置換シクロアルキル、置換又は非置換C
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換C
4-C
6シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びヘテロアリールからなる群から選択され、
jは0~20の整数であり、
kは0~20の整数であり、
mは0~20の整数であり、
nは0~20の整数である。
【0313】
[実施態様項10]
1以上の官能化リガンドが以下のものからなる群から選択されるアミノシリコーン基を含む、実施態様項1乃至実施態様項9のいずれか1項に記載の官能化収着剤。
【0314】
【0315】
【0316】
【0317】
【0318】
【0319】
【0320】
[実施態様項11]
実施態様項1乃至実施態様項10のいずれか1項に記載の官能化収着剤を含む収着剤系。
【0321】
[実施態様項12]
収着剤の製造方法であって、当該方法が、
収着剤前駆体、結晶成長阻害剤、任意成分としての溶媒、及び任意成分としての非溶媒を含む混合物を形成すること、及び
上記混合物を反応させること
を含んでおり、上記収着剤が3μm以下の平均粒子長を有する、方法。
【0322】
[実施態様項13]
収着剤前駆体がMOFリンカー及びMOF金属又は金属含有クラスターを含む、実施態様項12に記載の方法。
【0323】
[実施態様項14]
溶媒が水性溶媒を含む、実施態様項12又は実施態様項13に記載の方法。
【0324】
[実施態様項15]
結晶成長阻害剤が、サリチル酸、4-フルオロサリチル酸、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)、安息香酸類、ビフェノール類、ビピリジン類及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施態様項12乃至実施態様項14のいずれか1項に記載の方法。
【0325】
[実施態様項16]
官能化収着剤の製造方法であって、当該方法が、
(I)混合物であって、
実施態様項12乃至実施態様項15のいずれか1項に記載の方法で製造した収着剤、
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンド、
任意成分としてアミノシリコーン基を含まない1以上の官能化リガンド、
任意成分としての溶媒、及び
任意成分としての非溶媒
を含む混合物を形成するステップと、
(II)収着剤を官能化するステップと
を含む、方法。
【0326】
[実施態様項17]
1種以上のガスを捕集する方法であって、当該方法が、
(I)1種以上のガスを含むガス源を官能化収着剤で受けるステップであって、官能化収着剤が、
3μm以下の平均粒子長を有する収着剤、及び
アミノシリコーン基を含む1以上の官能化リガンド
を含む、ステップと、
(II)1種以上のガスのある量を官能化収着剤で捕集するステップと
を含む、方法。
【0327】
[実施態様項18]
ガス源が、空気、煙道ガス、燃焼後のガス、天然ガス、シンガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、水素、窒素、酸素、メタン、オレフィンガス、窒素酸化物、二酸化硫黄、アンモニア、硫化水素及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施態様項17に記載の方法。
【0328】
[実施態様項19]
1種以上のガスが、空気、煙道ガス、燃焼後のガス、天然ガス、シンガス、二酸化炭素、一酸化炭素、水蒸気、水素、窒素、酸素、メタン、オレフィンガス、窒素酸化物、二酸化硫黄、アンモニア、硫化水素及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施態様項17又は実施態様項18に記載の方法。
【0329】
[実施態様項20]
1種以上のガスを回収する方法であって、当該方法が、
実施態様項17乃至実施態様項19のいずれか1項に記載の方法で1種以上のガスを捕集することと、
(III)1種以上のガスを官能化収着剤から放出させること
を含む、方法。
【0330】
[実施例]
これ以上説明しなくても、当業者であれば、以上の説明から、本発明を最大限活用できると思料される。以下の実施例は、単なる例示にすぎず、本開示を限定するものではない。以下の実施例のための出発物質は、別の実施形態で手順について説明した特定の調製作業で調製したものとは限らない。また、本明細書に記載された数値範囲は、下限値から上限値までのあらゆる値を包含する。例えば、範囲について10~50と記載されている場合、本明細書では、12~30、20~40、30~50のような値が明示的に記載されているものとする。以下の実施例のための出発物質は、別の実施形態で手順について説明した特定の調製作業で調製したものとは限らない。また、本明細書に記載された数値範囲は、下限値から上限値までのあらゆる値を包含する。例えば、範囲が10~50と記載されている場合、12~30、20~40、又は30~50などの値が本明細書に明示的に列挙されることが意図されている。これらは、具体的に意図されているものの一例にすぎず、記載された下限と上限の間の数値のあらゆる可能な組合せが、本願に明示的に記載されていると解される。
【0331】
官能化収着剤及び水管理を用いる二酸化炭素捕集系
例A1.
水分等温線の比較
AEAM、スペルミジン、スペルミン:AEAM=0.65:0.35のハイブリッドアミン(「ハイブリッド化合物1」)及びスペルミン:AEAM=0.32:0.46のハイブリッドアミン(「ハイブリッド化合物2」)で官能化した収着剤の、DVS量測定法により25℃で測定した相対湿度の関数としてのH
2O吸着容量を
図5に示す。この図は、水分吸着等温線並びにH
2Oの単層吸着のニーポイントの起こる相対湿度が官能化収着剤の化学構造によって変化することを示している。
図5に示すように、AEAMを除くすべての収着剤が、タイプIVに最も近い形状の吸湿等温線を有しており、H
2Oの単層被覆及び吸着に対応するニーポイントまでの平坦な領域を、2種類のハイブリッド化合物では相対湿度約30%に、スペルミジンでは約35%に含んでいる。
【0332】
例A2.
ハイブリッド化合物1の水分吸着等温線
ハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のH
2O吸着容量を、様々な温度での相対湿度の関数として
図6に示す。DVS量測定法で測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のH
2O吸着容量を、様々な温度でのH
2O分圧(kPa)の関数として
図7に示す。これらの図は、絶対H
2O分圧の関数として変化するものの、水分等温線の形状、そしてH
2Oの単層吸着のニーポイントが起こる相対湿度は、温度が変化してもほぼ同じままであることを示している。
【0333】
例A3.
ハイブリッド化合物1の吸着性能
DVS量測定法を用いて4.5体積%CO
2下40℃で測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のCO
2及びH
2O吸着性能を、相対湿度の関数として、
図8に示す。この図はCO
2吸着が相対湿度に影響されることを示唆している。H
2Oの単分子膜吸着のニーポイントは、
図5のハイブリッド化合物1に示すように、臨界的閾値のように思われる。DVS重量測定法は堆積質量の変化の測定に基づくので、二成分系(例えばこの場合にはCO
2及びH
2O)における個々の成分を区別できないため、CO
2吸着対H
2O吸着の個々の量を正確に計算することはできない。CO
2及びH
2O吸着を区別して定量的に評価するには、CO
2及びH
2O用に設計された個別のセンサーを備える破過試験装置及び分析装置を使用すべきである。
【0334】
例A4.
温度、水分含量及び相対湿度の関数としてのハイブリッド化合物1の吸着性能
DVS量測定法を用いて4.5体積%CO
2下で測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のCO
2吸着性能を、様々な温度での水圧(kPa)の関数として
図9に示す。DVS量測定法を用いて測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のH
2O吸着容量を、様々な温度での水圧(kPa)の関数として
図10に示す。DVS量測定法を用いて測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)のCO
2吸着性能を、様々な温度での相対湿度の関数として
図11に示す。これらの図は、ハイブリッド化合物1の吸着性能が温度及び水圧によって変動するものの、温度及び水分含量の調節による相対湿度の調整によって高い性能を維持できることを示している。これらの図は、さらに、CO
2吸着が相対湿度に影響されることを示唆している。H
2Oの単分子膜吸着のニーポイントは、
図5のハイブリッド化合物1に示すように、臨界的閾値のように思われる。同様に、CO
2及びH
2O吸着を区別して定量的に評価するには、CO
2及びH
2O用に設計された個別のセンサーを備える破過試験装置及び分析装置を使用すべきである。
【0335】
例A5.
吸着容量の比較
DVS量測定法を用いて40℃で測定したハイブリッド化合物1(スペルミン:AEAM=0.65:0.35)の乾燥CO
2及び相対湿度30%の湿性CO
2に対するCO
2吸着等温線を
図12Aに示す。この図は、ハイブリッド化合物1の吸着性容量が、乾燥条件に比して、相対湿度30%の湿性条件下で増大していることを示す。
【0336】
個別のCO
2及びH
2Oセンサーを備える破過試験装置を用いて25℃及び400ppmv CO
2濃度のDAC適合条件で測定したハイブリッド化合物3(スペルミン:AEAM=0.69:0.23)の乾燥CO
2及び様々な相対湿度の湿性CO
2に対するCO
2吸着を
図12Bに示す。
図12Bには、ハイブリッド化合物3の純H
2O吸着の等温線も示す。この図は、少なくともDAC用途に適合する試験条件では、
図12Bにハイブリッド化合物3について示すように、(1)湿性CO
2は、乾燥CO
2(相対湿度0%)に比して、CO
2吸着が増大すること、(2)CO
2吸着量が実際の相対湿度に影響されること、並びに(3)CO
2吸着は、最低相対湿度に達すると、H
2Oの単層吸着のニーポイントと調和して、平坦になるらしいこと、を定量的に示している。
【0337】
吸着剤ベッドによる二酸化炭素の吸着及び脱着の至適化に資するため水の存在下で官能化化学収着剤を用いる例示的な系について、以下で説明する。本願に記載の例示的な系は、従来の設計のプロセスに対して、少なくとも、吸着剤ベッド内の温度及び/又は水分相対湿度の変化、吸着剤ベッド内の官能化収着剤の変化による二酸化炭素吸着及び脱着の効率及び性能の向上、及び/又は1以上の吸着モジュール内の官能化収着剤に基づく吸着ベッド内の1以上の吸着モジュール内の温度及び水分相対湿度の調整による捕集系の性能の向上を始めとする、幾つかの利点をもたらす。
【0338】
アミノアルキル置換ジシロキサンの合成
例B1. 4当量のエチレンジアミンを用いたアミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
エチレンジアミン(396mL、5.93モル)を、添加漏斗及び還流凝縮器を装着した2L三首丸底フラスコに添加した。フラスコを氷水浴に入れ、ヘッドスペースをN2でパージした。クロロメチルジメチルエトキシシラン(240mL、1.48モル)を滴下漏斗に入れて、エチレンジアミンに1時間かけて滴下したところ、反応は90~100℃に発熱した。さらに1時間経過後、反応が完了したと1H NMRで判定され、その時点で300mLの水を反応混合物に30分かけて滴下し、発熱を生じた。反応混合物を撹拌しながら室温まで冷却し、室温に達した時点で300mLのクロロホルムを滴下した。得られた混合物を1時間激しく撹拌し、しかる後、有機層を単離し、水性層を最小量のクロロホルムで抽出した。有機層を一緒にして室温減圧下で乾燥させた。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。40~80℃及び380mTorrで最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(167g、収率81%)は1H NMR分光法によると75%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:2.80(t,4H,H2NCH2CH2),2.65(t,4H,H2NCH2),2.05(s,4H,SiCH2),1.30(brs,6H,NH&NH2),0.12(s,12H,SiCH3)。
【0339】
例B2. アミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(3-アミノプロピルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
例B1と同じ手順に従ったが、250mL三首フラスコ内で1,3-プロパンジアミン(52mL、0.62モル)、クロロメチルジメチルエトキシシラン(25mL、0.15モル)、40mLの水及び40mLのクロロホルムを使用した。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。40~65℃で最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(17.6g、収率74%)は1H NMR分光法によると95%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:2.75(t,4H,H2NCH2CH2CH2),2.65(t,4H,H2NCH2),2.05(s,4H,SiCH2),1.60(mult,4H,H2NCH2CH2),1.30(brs,6H,NH&NH2),0.12(s,12H,SiCH3)。
【0340】
例B3. アミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-メチル-3-アミノプロピルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
例B1と同じ手順に従ったが、15mLフラスコ内で2-メチル-1,3-プロパンジアミン(2.84mL、0.028モル)、クロロメチルジメチルエトキシシラン(1.14mL、0.0071モル)、2mLの水及び2mLのクロロホルムを使用した。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。110℃で最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(0.60g、収率51%)は1H NMR分光法によると95%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:2.8-2.5(オーバーラップmult,8H,H2NCH2CH(CH3)CH2),2.05(mult,4H,SiCH2),1.75(mult,2H,H2NCH2CH),1.95(brs,6H,NH&NH2),0.90(δ,6H,H2NCH2CHCH3)0.12(s,12H,SiCH3
【0341】
例B4. アミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2,2-ジメチル-3-アミノプロピルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
例B1と同じ手順に従ったが、15mLフラスコ内で2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(3.41mL、0.028モル)、クロロメチルジメチルエトキシシラン(1.12mL、0.0071モル)、2mLの水及び2mLのクロロホルムを使用した。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。80~90℃で最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(0.95g、収率74%)は1H NMR分光法によると95%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:3.10(brs,6H,NH&NH2),2.67(s,4H,H2NCH2),2.60(s,4H,H2NCH2C(CH3)2CH2),2.15(s,4H,SiCH2),0.95(s,12H,H2NCH2C(CH3)2),0.19(s,12H,SiCH3)。
【0342】
例B5. 8当量のエチレンジアミンを用いたアミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
エチレンジアミン(793mL、11.9モル)を、添加漏斗及び還流凝縮器を装着した2L三首丸底フラスコに添加した。フラスコを氷水浴に入れ、ヘッドスペースをN2でパージした。クロロメチルジメチルエトキシシラン(240mL、1.48モル)を滴下漏斗に入れて、エチレンジアミンに1時間かけて滴下したところ、反応は90~100℃に発熱した。さらに1時間経過後、反応が完了したと1H NMRで判定され、その時点で300mLの水を反応混合物に30分かけて滴下し、発熱を生じた。反応混合物を撹拌しながら室温まで冷却し、室温に達した時点で300mLのクロロホルムを滴下した。得られた混合物を1時間激しく撹拌し、しかる後、有機層を単離し、水性層を最小量のクロロホルムで抽出した。有機層を一緒にして室温減圧下で乾燥させた。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。40~80℃及び380mTorrで最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(326g、収率79%)は1H NMR分光法によると90%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:2.80(t,4H,H2NCH2CH2),2.65(t,4H,H2NCH2),2.05(s,4H,SiCH2),1.30(brs,6H,NH&NH2),0.12(s,12H,SiCH3)。
【0343】
例B6. 10当量のエチレンジアミンを用いたアミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成
エチレンジアミン(400mL、5.99モル)を、添加漏斗及び還流凝縮器を装着した2L三首丸底フラスコに添加した。フラスコを氷水浴に入れ、ヘッドスペースをN2でパージした。クロロメチルジメチルエトキシシラン(97mL、0.59モル)を滴下漏斗に入れて、エチレンジアミンに1時間かけて滴下したところ、反応は90~100℃に発熱した。さらに1時間経過後、反応が完了したと1H NMRで判定され、その時点で300mLの水を反応混合物に30分かけて滴下し、発熱を生じた。反応混合物を撹拌しながら室温まで冷却し、室温に達した時点で300mLのクロロホルムを滴下した。得られた混合物を1時間激しく撹拌し、しかる後、有機層を単離し、水性層を最小量のクロロホルムで抽出した。有機層を一緒にして室温減圧下で乾燥させた。得られた物質は次いで真空蒸留で精製した。40~80℃及び380mTorrで最初の画分を回収したが、主に環状副生物と若干の生成物を含んでいた。残りの物質(117g、収率70%)は1H NMR分光法によると95%超の純度であった。1H NMR(CDCl3)δ:2.80(t,4H,H2NCH2CH2),2.65(t,4H,H2NCH2),2.05(s,4H,SiCH2),1.30(brs,6H,NH&NH2),0.12(s,12H,SiCH3)。
【0344】
比較例B1. 1,3-ビス(クロロメチル)テトラメチルジシロキサンからのアミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成の試行
エチレンジアミン(13g、0.216モル、10当量)を、窒素ブランケット、磁気攪拌子、凝縮器及び添加漏斗を備えた50ml三首丸底フラスコに添加した。これを油浴で110℃の設定油温に加熱した。油浴の温度が安定したら、1,3-ビス(クロロメチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(5g、0.0216モル)を2時間かけて滴下した。反応を一晩撹拌し、反応を冷却した。1H NMR分析を行って反応が完了したかチェックした。反応混合物を250mL分液ロートに入れて、クロロホルムと10%NaOHとの間で分配させ、脱イオン水で3回、飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、次いで無水塩化カリウムで乾燥させた。濾過後、ロータリーエバポレーターでクロロホルムをストリッピングすると無色透明の粘稠液体が得られた。1H NMR分析で、環状副生物2,2,6,6-テトラメチル-1-オキサ-4-アザ-2,6-ジシラシクロヘキサン-4-エタンアミンを含む生成物の混合物が確認された。所望の1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンは形成されなかった。
【0345】
比較例B2. 1,3-ビス(ヨードメチル)テトラメチルジシロキサンからのアミノメチル置換ジシロキサン1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンの合成の試行
エチレンジアミン(13g、0.216モル、10当量)を、窒素ブランケット、磁気攪拌子、凝縮器及び添加漏斗を備えた50ml三首丸底フラスコに添加した。1,3-ビス(ヨードメチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(10.16g、0.0216モル)を2時間かけて滴下した。反応を室温で一晩撹拌した。1H NMR分析を行って反応が完了したかチェックした。反応混合物を250mL分液ロートに入れて、クロロホルムと10%NaOHとの間で分配させ、脱イオン水で3回、飽和塩化ナトリウムで1回洗浄し、次いで無水塩化カリウムで乾燥させた。濾過後、ロータリーエバポレーターでクロロホルムをストリッピングすると無色透明の粘稠液体が得られた。1H NMR分析で、環状副生物の2,2,6,6-テトラメチル-1-オキサ-4-アザ-2,6-ジシラシクロヘキサン-4-エタンアミンのはっきりとした形成が確認された。所望の1,3-ビス(2-アミノエチルアミノメチル)テトラメチルジシロキサンは形成されなかった。2,2,6,6-テトラメチル-1-オキサ-4-アザ-2,6-ジシラシクロヘキサン-4-エタンアミンの1H NMR(CDCl3)δ:2.70(t,2H,CH2),2.40(t,2H,CH2),1.75(オーバーラップs,4H+2H,SiCH2NCH2Si+H2N),0.10(s,12H,SiCH3)。
【0346】
固体収着剤材料
これらの例では、MOF-274[Mg2(dobpdc)]を具体例として用いる。ただし、本例はMOF-274に限定されず、本開示に従う他の材料又は方法に広く適用可能である。
【0347】
キャラクタリゼーション技術
粒径
平均粒子形状及び粒子径のキャラクタリゼーションには走査電子顕微鏡(SEM)を用いる。アスペクト比は、平均粒子長と平均粒子幅との比として定義される。
【0348】
動的水分収着測定装置(DVS)重量測定法によるCO
2
及びH
2
O吸収量
CO2及びH2O吸着の性能は、動的水分収着測定装置(DVS)重量測定法を用いて調べた。本件で示す実験で使用したガスはそれぞれCO2及び水である。DVS Vacuum測定装置は、精密に制御された濃度の水及びガス分子を吸着する際の試料の質量変化を正確に測定するように設計される。試料は、マイクロバランスから吊り下げられた試料容器内に配置される(マイクロバランスの反対側には通常「対照」として空容器が吊り下げられている)。DVS Vacuumは、試料の質量変化を記録しながら収着質の流れの出入りを同時に制御及び測定する。主要装置であるマイクロバランス(UltraBalance(商標))は、精密に制御された温度制御式筐体(インキュベータと呼ばれる)内に収容される。これによって、非常に安定した機器ベースライン並びに実験温度での正確な蒸気発生制御が担保される。
【0349】
以下に示す通り、2サイクル逐次吸着試験プロトコルを開発した。各試験の開始時に、収着剤材料を10-5mbar未満の真空下120℃での活性化(又は再生)ステップに30~90分間付す。設定分圧の水を所定の温度でキャリアガスの干渉なしで真空下で導入する。Surface Measurement SystemsのUltra精密マイクロバランスを用いて、0.1μgの分解能で試料の重量を直接かつ連続的に測定する。本件でのすべての収着測定は、質量平衡基準が毎分質量変化(dm/dt<0.0035)に設定された質量平衡モードを用いて行った。
【0350】
破過試験装置によるCO
2
及びH
2
O吸収量
CO2及びH2O吸着の性能は、自家製の破過試験装置を用いて調べることもできる。この試験装置は、収着剤粉体の形態又は被覆形態(すなわち基材上の収着剤-バインダーフィルム)のいずれかの試験試料を収容する試料チャンバーと、試料チャンバー手前のガス入口及び試料チャンバーの後のガス出口の両方に配置された別個の較正されたCO2及び相対湿度(RH)センサーを有する。この試験装置は、予め設定されたRHの乾燥又は湿潤CO2条件下で、CO2及びH2Oに関する個々の破過曲線を測定することができる。吸収量は破過曲線を経時的に積分することによって計算できる。
【0351】
CO
2
及びH
2
O吸収量及び速度
CO2吸収量又は容量は、グラムCO2吸着量毎g収着剤(gCO2/g収着剤)で表す。CO2吸収量は、経時的な指数関数的成長とみなすことができ、次式であらわすことができる。
【0352】
【数2】
式中、Q
max及びQ
(t)は、それぞれ、平行吸収量及び所与の吸着時間t(min)での吸収量であり、kは1/min単位での指数関数的成長の特性である。kの項はCO
2吸収の速度論又は速度を比較するために用いられ、kが大きいほど、CO
2吸収速度は速くなる。
【0353】
例C1.
MOF及び収着剤合成の一般手順
まず、MOFを、水性調製法で合成し、水で3回及びイソプロピルアルコールで3回洗浄する。反応は、PCT/US2022/082243に開示されているように、ジメチルホルムアミド(DMF)/メタノール(MeOH)混液のような非水性溶媒、水性溶媒又はその両方を用いて実施できる。次いで、この物質を真空濾過によって乾燥させて、約70~75%溶媒和物質を得る。担持用の材料を調製するには、これを120℃真空オーブンで一晩脱溶媒和して、アルコール含有量を0.5~1等量イソプロピルアルコール(IPA)/金属部位まで減少させる。オープンメタルサイトを酸化から保護するとともにMOFの細孔から過剰の溶媒を除去するためである。
図18に示すようにMOF中にどれくらいの残存溶媒が存在しているかを
1H NMRで決定することによって(例えばMg
2(dobpdc)
1(アルコール)
x)、MOFの正確なモル量を求めることができる。従って、極性溶媒中の~4当量のアミンの添加によって、Mg
2(dobpdc)
1(アミン)
xの組成の物質を形成することができる。
図19に示すのは、標準的な水性調製法に従って製造した例示的MOF-274(試料ID#A2111)のSEM画像である。
【0354】
例C2. NMRによるアミン含有量の一般的分析方法
アミン付加MOFを消化するため、10mgの材料を20μLの35%DCl(D2O中)、200μLのD2O及び600μLのDMSO-d6と共にバイアルに加えた。バイアルを超音波処理して構造体を溶解させ、1H NMRを行った。担持量は、構造体リガンドピーク(H4dobpdc)とアミンピークの1H NMR積分比によって決定した。
【0355】
例C3. 粒子径減少
ロッド状結晶の粒子径又は長さは、限定されるものではないが、乳鉢でのすりつぶしのような機械的粉砕、マイクロフルイダイザーの使用、乾式もしくは湿式ミリングの使用、或いは結晶成長阻害剤の導入のような化学的手段によるものを始めとして、数多くの方法で、減少させることができる。表1に、ある実施形態に従って調製したMOF-274の粒子径及びアスペクト比をまとめた。
【0356】
【0357】
例C4. 結晶阻害剤を用いるMOF-274の小規模合成の一般手順
Mg2(dobpdc)は、まず、xモルのH4dobpdc、yモルの合成結晶成長阻害剤及び4x+2yモルのNaOHを水中で60℃に加熱して溶解することによって合成した。合成結晶成長阻害剤の例として、限定されるものではないが、サリチル酸(SA)、4-フルオロサリチル酸(FSA)、4,4’-ビフェノール(BP)、2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)及び2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)がある。結晶成長阻害剤のモル数は、99.9~50モル%のH4dobpdcに対して0.1~50モル%とすることができる。このリンカーと結晶成長阻害剤の脱プロトン化溶液に、Mg2+塩の水溶液(対陰イオンはNO3
-、Cl-、Br-、SO4
2-、OAc-、O2-、Otf-のいずれか)を加えて溶液とする。Mg2+塩の添加は、急速に(例えば1分未満)行ってよいし、或いは長時間(例えば1時間超)かけて滴下してもよい。温度を97℃に上昇させてN2下で12~16時間還流する。白色沈殿を水で3回及びイソプロピルアルコールで3回洗浄し、後で使用するまで溶媒和して保存する。
【0358】
例C5.
結晶阻害剤としてサリチル酸を用いるMOF-274の小規模合成の例示的手順
Mg
2(dobpdc)を300mLスケールで調製した。まず、リンカー、結晶成長阻害剤及び塩基を500mL丸底フラスコに加え、加熱して水に溶解させた。この例では、フラスコ内で溶液が透明になるまでN
2下で撹拌及び60℃に加熱することによって、水酸化ナトリウム(76mmol、3.04g)、H
4dobpdc(18mmol、4.94g)及びサリチル酸(2mmol、0.276g)を水(220mL)に溶解させた。次いで、別の容器内でMg(NO
3)
2六水和塩(45mmol、11.54g)を80mLの水に溶解し、脱プロトン化リンカー溶液に素早く添加してMOFを析出させた。混合物を開放フラスコ内で大気圧下97℃で穏やかに還流しながら12~16時間反応させた。この反応でMOF化合物Mg
2(dobpdc)(サリチル酸)
xが生成し、水で3回及びイソプロパノールで3回洗浄して、アルコール中で保存した。表面積測定用に、最高の吸収量を得るため材料を250℃で活性化した。この反応で、別個のバッチの各々について、4.2~4.7g(収率72~81%)のMg
2(dobpdc)(サリチル酸e)
xが生成した。材料は85℃で脱溶媒和して通常のMOF-274として普通に担持できる。
図20に示すのは、結晶成長阻害剤としてサリチル酸(左)及びフルオロ-サリチル酸(右)を用いて製造した例示的MOF-274のSEM画像である。
【0359】
例C6.
結晶阻害剤として4,4’-ビフェノールを用いるMOF-274の小規模合成の例示的手順
Mg
2(dobpdc)を20mLスケールで調製した。まず、リンカー、結晶成長阻害剤及び塩基を20mLシンチレーションバイアルに加え、加熱して水に溶解させた。この例では、バイアル内で溶液が透明になるまで撹拌及び60℃に加熱することによって、水酸化ナトリウム(4mmol、0.160g)、H
4dobpdc(0.9mmol、0.247g)及び4,4’-ビフェノール(0.1mmol、0.019g)を水(10mL)に溶解させた。次いで、別の容器内でMg(NO
3)
2六水和塩(2mmol、0.512g)を5mLの水に溶解し、脱プロトン化リンカー溶液に素早く添加してMOFを析出させた。混合物をバイアル内で大気圧下約97℃で穏やかに還流しながら12~16時間反応させた。この反応でMOF化合物Mg
2(dobpdc)(BP)
xが生成し、水で3回及びイソプロパノールで3回洗浄して、アルコール中で保存した。表面積測定用に、最高の吸収量を得るため材料を250℃で活性化した。この反応で、阻害剤の使用量に基づいて、収率37~72%のMg
2(dobpdc)(BP)
xが生成した。材料は85℃で脱溶媒和して通常のMOF-274として普通に担持できる。
図21に示すのは、結晶成長阻害剤として4,4’-ビフェノールを用いて合成したMOF-274粉末X線回折スペクトルであり、MOF-274相はBPの50モル%投入で保持される。
図22に示すように、4,4’-ビフェノールの導入によって、粒子径は明らかに減少する。
【0360】
【0361】
例C7.
結晶阻害剤としてBPYDCを用いるMOF-274の小規模合成の例示的手順
Mg
2(dobpdc)を20mLスケールで調製した。まず、リンカー、結晶成長阻害剤及び塩基を20mLシンチレーションバイアルに加え、加熱して水に溶解させた。この例では、バイアル内で溶液が透明になるまで撹拌及び60℃に加熱することによって、水酸化ナトリウム(4mmol、0.160g)、H
4dobpdc(0.9mmol、0.247g)及び2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(0.1mmol、0.024g)を水(10mL)に溶解させた。次いで、別の容器内でMg(NO
3)
2六水和塩(2mmol、0.512g)を5mLの水に溶解し、脱プロトン化リンカー溶液に素早く添加してMOFを析出させた。混合物をバイアル内で大気圧下約97℃で穏やかに還流しながら12~16時間反応させた。この反応でMOF化合物Mg
2(dobpdc)(BPYDC)
xが生成し、水で3回及びイソプロパノールで3回洗浄して、アルコール中で保存した。表面積測定用に、最高の吸収量を得るため材料を250℃で活性化した。この反応で、阻害剤の使用量に基づいて、収率68~74%のMg
2(dobpdc)(BPYDC)
xが生成した。材料は85℃で脱溶媒和して通常のMOF-274として普通に担持できる。
図23に示すのは、結晶成長阻害剤として2,2’-ビピリジン-5,5’-ジカルボン酸(BPYDC)を用いて合成したMOF-274の粉末X線回折スペクトルである。MOF-274相はBPYDCの50モル%投入まで保持される。
図24に示すように、BPYDCの導入によって、粒子径は明らかに減少する。
【0362】
【0363】
例C8.
結晶阻害剤としてBPYDMを用いるMOF-274の小規模合成の例示的手順
Mg
2(dobpdc)を20mLスケールで調製した。まず、リンカー、結晶成長阻害剤及び塩基を20mLシンチレーションバイアルに加え、加熱して水に溶解させた。この例では、バイアル内で溶液が透明になるまで撹拌及び60℃に加熱することによって、水酸化ナトリウム(4mmol、0.160g)、H
4dobpdc(0.9mmol、0.247g)及び2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(0.1mmol、0.022g)を水(10mL)に溶解させた。次いで、別の容器内でMg(NO
3)
2六水和塩(2mmol、0.512g)を5mLの水に溶解し、脱プロトン化リンカー溶液に素早く添加してMOFを析出させた。混合物をバイアル内で大気圧下約97℃で穏やかに還流しながら12~16時間反応させた。この反応でMOF化合物Mg
2(dobpdc)(BPYDM)
xが生成し、水で3回及びイソプロパノールで3回洗浄して、アルコール中で保存した。表面積測定用に、最高の吸収量を得るため材料を250℃で活性化した。この反応で、阻害剤の使用量に基づいて、収率53~81%のMg
2(dobpdc)(BPYDM)
xが生成した。
図25に示すのは、結晶成長阻害剤として2,2’-ビピリジン-5,5’-ジメタノール(BPYDM)を用いて合成したMOF-274の粉末X線回折スペクトルである。BPYDMの導入によって、最初はMOF-274の粒子長さは減少する。しかし、BPYDM担持量をさらに増やすと、
図26に示すように、粒子長が増大し、アスペクト比が減少する。
【0364】
【0365】
例C9. 裸MOF例:CO
2
吸収速度の向上
比較例1;IDがA2173のMOF裸試料は、例1に記載した一般手順に従って水性溶媒(H2O)を用いて調製した。
【0366】
比較例2;IDがA315BのMOF裸試料は例C5の一般手順に従って調製したが、非水性溶媒のDMFを使用した。
【0367】
実施例1;IDがA2177のMOF裸試料は、例C1に記載した一般手順に従って水性溶媒(H2O)を用いて調製した。
【0368】
実施例2;IDがA316のMOF裸試料は例C5の一般手順に従って調製したが、結晶成長阻害剤としてのサリチル酸(SA)及び水性溶媒(H2O)を使用した。
【0369】
実施例3;IDがA39CのMOF裸試料は例C5の一般手順に従って調製したが、結晶成長阻害剤としてのサリチル酸(SA)及び水性溶媒(H2O)を使用した。
【0370】
表2は、粒子径、アスペクト比並びに濃度4.5体積%の乾燥CO2下でDVS量測定法を用いて測定したCO2吸収量性能の詳細をまとめたものである。粒子径の減少、アスペクト比の増加及びMOFの水性合成の組合せによって、CO2吸収速度が大幅に向上したMOFが得られることが分かる。
【0371】
【0372】
例C10.
収着剤の例;CO
2
吸収速度の向上
水性合成したMOF-274[Mg
2(dobpdc)]を具体例として用いる。例示的な収着剤材料は、水性溶媒を用いて合成し、さらに本願並びにPCT/US2023/060396及びPCT/US2023/021542の開示に従ってスペルミンとAEAMからなるハイブリッドアミンで官能化したMOF-274である。
図27に示すのは、アミノシリコーン。スペルミン及び幾つかの例示的なアミノシリコーンの化学構造である。追加のアミノシリコーンの化学構造は、本願並びにPCT/US2023/060396及びPCT/US2023/021542に見出すことができる。例C1に記載された一般手順に従って合成したMOF-274は、一般に六角形のチャネルを含んでおり、1乃至数ミクロンの細くて長いロッド状形状を有している(Fu et al., Science Advances,2023,9,6及びUS 2022/0266219)。
【0373】
例C1に従って調製したMOF-274を用いてスペルミン及びAEAMで官能化した収着剤を、比較例(以下、比較例3)として用いた(GE115-A259)。このMOF-274(ID#A21)は約2.2μmの粒子径を有する(
図28)。
【0374】
図29に示すのは、実施例(以下、実施例4)(GE115-A272)の例示的なSEM画像である。同じバッチのMOFを、GE115-A259及びGE115-A272の両方に使用する。唯一の違いは、GE115-A272用のMOFは、アミン担持前に、乳鉢ですりつぶして粒子長を約2.2μmから約0.8μmに減少させたことである。
図30に示すのは、別の実施例(以下、実施例5)(GE115-A279)の例示的なSEM画像である。GE115-A279に用いたMOFは、アミン担持前に機械的に粉砕して粒子長を減少させた。
【0375】
CO2及びH2O吸収は、DVS量測定法を用いて25℃、50%RH及び5000ppmv CO2で測定した。アミン担持量、CO2吸収量及びCO2速度の詳細を表3にまとめた。表から明らかなように、粒子長を減少させた実施例は、同様のCO2吸収量を示すが、比較例に比して速度が大幅に向上している。
【0376】
【0377】
例C11.
ハイブリッドアミンの比率調節による作業容量の改善
水性合成したMOF-274[Mg2(dobpdc)]を、スペルミン、APAP(
図27;N
1,N
1’-((1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン-1,3-ジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(プロパン-1,3-ジアミン))及びそれらの各種比率の混合物を、例示的な例として用いる(表4)。MOF-274は、例C4に記載した手順に従って合成し、平均粒子径は0.4μmであった。
図31に示す破過試験装置を用いて測定したCO
2及びH
2O吸収量は、上述の破過試験装置を用いてDAC適合条件(25℃、50%RH及び400ppmv CO
2)で測定する。
図32に示すのは、DVS重量測定法を用いて測定した100mbar CO
2濃度に対する120℃での乾燥CO
2吸収であり、これは100mbar CO
2分圧下での脱着残留の指標として使用される。吸着容量から脱着残留を減算すると、CO
2吸収の作業容量が推定される(
図33)。純スペルミンで修飾した吸着剤(GE5-A2175)が、DAC適合条件下で最も高い吸着吸収量、及び最も高い脱着残留を有しており、作業容量は0.07gCO
2/g収着剤となる。純APAPで修飾した収着剤(GE281-111B1)は大幅に減少した脱着残留及び吸着容量を有しており、作業容量は0.01gCO
2/g収着剤となる。ハイブリッドアミンで修飾した収着剤(GE283-151A)及びGE284-151B)は、純スペルミン又は純APAPで修飾した収着剤に比して、格段に増大した作業容量を有する。
【0378】
【0379】
今回、収着剤の粒子径の減少、収着剤のアスペクト比の増大及び収着剤の水性合成の1以上によって、CO2吸収速度が格段に向上した収着剤が得られるという知見が得られた。一般に、CO2吸収速度が高いほど、単位時間当たりのCO2捕集量が多くなり、捕集のコスト及び潜在的エネルギー使用量が削減される。
【0380】
定義
本願において、本開示の「例示又は例示的な実施形態」又は「一実施形態」という場合、記載された特徴を備える追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈すべきではない。
【0381】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴が、ある図面には記載され、他の図面には記載されていないこともあるが、これは便宜上のものにすぎない。本発明の原理に則して、ある図面に記載された特徴を、他の図面に記載された特徴と組合せて参照し及び/又は特許請求の範囲に記載することができる。
【0382】
本発明を様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、特許請求の範囲の技術的思想及び技術的範囲内で修正を加えて本願発明を実施できることは当業者には明らかであろう。
【0383】
本願で開示する様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「備える」、「含む」及び「有する」という用語は、内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の構成要素が存在していてもよいことを意味する。
【0384】
別途記載されていない限り、本明細書で用いる「略」、「実質的に」及び「約」などの近似表現は、それらで修飾された用語が、絶対的又は厳密なものではなく、当業者に自明の近似的なものにすぎないことを示す。従って、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されるものではない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。さらに、別途記載されていない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本願では単なる付票にすぎず、それらが付されたものに、数的、位置的又は階層的要件を課すものではない。さらに、例えば「第2」という場合、例えば「第1」以下又は「第3」以上のものの存在を必要とするものでも、排除するものでもない。
【0385】
別途記載されていない限り、本明細書で用いる「略」、「実質的に」及び「約」などの近似表現は、それらで修飾された用語が、絶対的又は厳密なものではなく、当業者に自明の近似的なものにすぎないことを示す。従って、「約」、「略」及び「実質的に」のような用語で修飾された値はその厳密な数値に限定されるものではない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度に対応する。さらに、別途記載されていない限り、「第1」、「第2」などの用語は、本願では単なる付票にすぎず、それらが付されたものに、数的、位置的又は階層的要件を課すものではない。さらに、例えば「第2」という場合、例えば「第1」以下又は「第3」以上のものの存在を必要とするものでも、排除するものでもない。
【0386】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、当業者が本発明を実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本開示の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0387】
本開示の幾つかの置換基が他の置換基の存在に依拠しており、任意であることは当業者には明らかであろう。例えば、式A-IIにおいて、R9が直接結合の場合、R1及びR2は化合物に存在しない任意の置換基である。同様に、式A-IIにおいて、nが0のとき、R9とR10の間は直接結合であり、R3、R4及びR11は化合物に存在しない任意の置換基である。ある実施形態において置換値が任意であったとしても、他の実施形態における置換基の存在について限定するものではない。
【0388】
本願で用いる「アルキル」という用語は、単独でも或いは「ハロアルキル」のように化合物名で用いる場合にも、メチル、エチル、n-プロピル及びi-プロピル、又は各種ブチル、ペンチルもしくはヘキシル異性体のような直鎖又は枝分れアルキルを包含する。炭素原子数で定義されるアルキル(例えばC6アルキル)は、その数の炭素原子を有するものと理解され、それ以上は限定されない。
【0389】
本願で用いる「ヘテロアルキル」という用語は、鎖骨格を形成する元素の1以上が炭素以外のものであるアルキル鎖をいう。
【0390】
本願で用いる「アミノアルキル」は、N-基を直鎖又は枝分れアルキルで置換したものを包含する。
【0391】
本願で用いる「ハロゲン」又は「ハライド」という用語は、単独でも或いは「ハロアルキル」のように化合物名で用いる場合にも、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」のように化合物名で用いる場合、そのアルキルは、同一又は異なるハロゲン原子で部分的又は完全に置換される。「ハロアルキル」の具体例としては、F3C、ClCH2、CF3CH2及びCF3CCl2が挙げられる。「ハロアルコキシ」などの用語も、「ハロアルキル」という用語と同様に定義される。「ハロアルコキシ」の具体例としては、CF3O、CCl3CH2O、F2CHCH2CH2O及びCF3CH2Oが挙げられる。
【0392】
本願で用いる「複素環式」という用語は、環骨格を形成する元素の1以上が炭素以外のものである環をいう。別途記載されていない限り、複素環式は、飽和、部分飽和又は完全に不飽和であってもよい。完全に不飽和の複素環式環はヒュッケル則を満たし、そのような環は「ヘテロアリール」又は芳香族複素環式環とも呼ばれる。「飽和複素環式環」とは、環員原子間に単結合しか含まない複素環式環をいう。
【0393】
本願で用いる「アミノシリコーン基」という用語は、Si-O-Si結合を含むシロキサン基(ジシロキサン基とも呼ばれる)とアミン基とを両方含む官能基を包含する。
【0394】
1H NMRスペクトルはテトラメチルシランの低磁場側のppmで示し、「s」は一重線、「d」は二重線、「dd」は二重線の二重線、「ddd」は二重線の二重線の二重線、「t」は三重線、「m」は多重線及び「br s」は幅広な一重線を意味する。
【0395】
本願で用いる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」という用語は互換的であり、RAMメモリー、ROMメモリー、EPROMメモリー、EEPROMメモリー及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリーを始めとして、プロセッサーで実行するためにメモリーに記憶された任意のコンピュータープログラムを含む。上記のメモリーの種類は例示にすぎず、コンピュータープログラムの記憶に使用できるメモリーの種類に関して限定するものではない
【0396】
本願では、プロセッサーは、マイクロコントローラー、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、その他本願に記載の機能を実行できる任意の回路又はプロセッサを用いるシステムを含む任意のプログラマブルシステムを包含し得る。上記の例は例示にすぎず、「プロセッサー」という用語の定義及び/又は意味を限定するものではない。
【0397】
システム及びプロセスは、本願に記載した特定の実施形態に限定されるものではない。さらに、各システムの構成要素及び各プロセスは、本願に記載した他の構成要素及びプロセスとは別個独立に実施することができる。各構成要素及びプロセスは、他のアセンブリパッケージ及びプロセスと組合せて使用できる。
【0398】
本願で用いる「非一時的コンピューター可読媒体」という用語は、任意のデバイスにおけるコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール及びサブモジュールその他のデータのような、情報の短期及び長期保存のための方法又は技術で具体化される有形コンピューター装置を表すものである。従って、本願に記載の方法は、限定されるものではないが、記憶デバイス及び/又はメモリー装置を始めとする、有形の非一時的コンピューター可読媒体に実装された実行可能命令としてエンコードし得る。かかる命令は、プロセッサーによって実行されると、本願に記載の方法の少なくとも一部をプロセッサーに実行させる。さらに、本願で用いる「非一時的コンピューター可読媒体」という用語は、あらゆる有形コンピューター可読媒体を包含し、限定されるものではないが、揮発性及び不揮発性媒体を始めとする非一時的コンピューター記憶装置、並びにファームウェア、物理及び仮想記憶装置、CD-ROM、DVDのようなリムーバブル及び非リムーバブル媒体、並びにネットワーク又はインターネットのような他のデジタルソース、さらには未だ開発されていないデジタル手段などが挙げられ、唯一の例外は一時的な伝搬信号である。
【外国語明細書】