(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025008767
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】フライヤー
(51)【国際特許分類】
A47J 37/12 20060101AFI20250109BHJP
【FI】
A47J37/12 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111233
(22)【出願日】2023-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】521175403
【氏名又は名称】株式会社エコ・フライヤー
(74)【代理人】
【識別番号】100175536
【弁理士】
【氏名又は名称】高井 智之
(72)【発明者】
【氏名】和合 秀典
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AB18
4B059AD14
4B059AE03
4B059AE15
4B059BB03
4B059BD01
4B059BD10
4B059BF04
4B059BF08
4B059BG03
4B059CA14
(57)【要約】
【課題】従来に比べ簡易な構成にて、揚げ物用の油の劣化を防止しつつ、従来よりも揚げ物の状態を容易且つ正確に把握することが可能なフライヤーを提供する。
【解決手段】フライヤーは、光透過材料にて形成され収納部に水層を有する貯槽と、光透過材料にて形成され所定の間隔をあけて連結される内壁と外壁とを有し内部空間に油を収納可能な筒状部材とを備え、筒状部材は、少なくとも内壁が耐熱性を有する光透過材料にて形成されるとともに内部空間の油層の所定位置に加熱手段が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過材料にて形成され、水を収納可能な収納部を有するとともに、該収納部に収納された前記水にて形成される水層を有する貯槽と、
前記貯槽の所望の位置に配置されるものであり、光透過材料にて筒状に形成され、内壁と、該内壁と所定の間隔をあけて連結され前記内壁の外側に配置される外壁とを有し、前記内壁にて形成される内部空間に揚げ物用の油を収納可能な筒状部材と、
を備え、
前記筒状部材は、少なくとも前記内壁が耐熱性を有する光透過材料にて形成されるとともに、前記内部空間に収納された前記油にて形成される油層の所定位置に加熱手段が配置されることを特徴とするフライヤー。
【請求項2】
前記筒状部材は、少なくとも前記内壁が、摂氏50度以上摂氏250度以下の温度に対する耐熱性を有する光透過材料にて形成されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【請求項3】
前記筒状部材は、前記内壁と前記外壁との間の所定の間隔が空気層として形成されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【請求項4】
前記筒状部材は、前記内壁と前記外壁それぞれの上端が開放端として形成されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記油層の深さ方向における中間部に配置されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【請求項6】
前記筒状部材は、円筒状に形成されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油層と水層とを有する貯槽を備えたフライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油層と水層とを有する貯槽を備えたフライヤーとして、特許文献1、2に開示されたものが知られている。特許文献1、2は、いずれも、油層にて生じた揚げカスを水層へ落下させることにより油の劣化を防止し、油の寿命の長期化を図っている。
【0003】
揚げカスを水層へ落下させることによる油の劣化防止は、特許文献1、2では、具体的には下記のように行われている。
【0004】
すなわち、特許文献1では、貯槽水槽部側面に設けられたノズルにて若干下方に水流を噴射させて揚げカスをカス溜り部に導くことにより行われている。また、特許文献2では、揚げカスを貯槽の水槽へ落下させ水槽の水がポンプの吸引力により貯槽底部の吸水口から異物とともに循環パイプを通って濾過水槽へと流入し濾過水槽内のフィルターにて濾過され循環パイプを通り貯槽に戻すことにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-172677号公報
【特許文献2】特開2010-183971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2では、貯槽に高温の油が収納されていることから、貯槽に耐熱性を付与するため、フライヤー全体の素材、特に貯槽を形成する素材として、ステンレス等の耐熱性を有する金属が用いられていた。
【0007】
このように、油槽が不透明な金属で形成されていることから、特許文献1、2に係るフライヤーでは、揚げ物の状態を確認する際、油槽の側面から確認することはできず、油槽の上方から確認するしかなく、揚げ物の状態を正確に把握し難いという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1、2に係るフライヤーでは、先に説明した通り、比較的複雑な構成を備えているため、フライヤーの洗浄やメンテナンスが煩雑であるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、従来に比べ簡易な構成にて、揚げ物用の油の劣化を防止しつつ、従来よりも揚げ物の状態を容易且つ正確に把握することが可能なフライヤーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明にあっては、光透過材料にて形成され、水を収納可能な収納部を有するとともに、該収納部に収納された前記水にて形成される水層を有する貯槽と、前記貯槽の所望の位置に配置されるものであり、光透過材料にて筒状に形成され、内壁と、該内壁と所定の間隔をあけて連結され前記内壁の外側に配置される外壁とを有し、前記内壁にて形成される内部空間に揚げ物用の油を収納可能な筒状部材と、を備え、前記筒状部材は、少なくとも前記内壁が耐熱性を有する光透過材料にて形成されるとともに、前記内部空間に収納された前記油にて形成される油層の所定位置に加熱手段が配置されることを特徴とする。
【0011】
上記(1)のような特徴を有する本発明によれば、少なくとも筒状部材の内壁が耐熱性を有する光透過材料にて形成されるとともに、内部空間に形成される油層の所定位置に加熱手段が配置されることから、加熱された油層に投入された揚げ物の状態を確認する際、上方からのみならず側面からも容易に目視することが可能となる。また、油の状態を容易に目視することが可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、貯槽と、貯槽の所望の位置に配置される筒状部材とを備える構成で済むことから、フライヤーを従来に比べ簡易な構成とすることが可能となる。
【0013】
(2)本発明にあっては、前記筒状部材は、少なくとも前記内壁が摂氏50度以上摂氏250度以下の温度に対する耐熱性を有する光透過材料にて形成されることを特徴とする。
【0014】
上記(2)のような特徴を有する本発明によれば、少なくとも筒状部材の内壁が摂氏50度以上摂氏250度以下の耐熱性を有する光透過材料にて形成されることから、油層の温度を、揚げ物を揚げるのに最適な温度に加熱することが可能となる。
【0015】
(3)本発明にあっては、前記筒状部材は、前記内壁と前記外壁との間の所定の間隔が空気層として形成されることを特徴とする。
【0016】
上記(3)のような特徴を有する本発明によれば、筒状部材における内壁と外壁との間の所定の間隔が空気層として構成されることから、空気層にて断熱されることにより油層の熱が水層に伝わり難くなる。
【0017】
(4)本発明にあっては、前記筒状部材は、前記内壁と前記外壁それぞれの上端が開放端として形成されることを特徴とする。
【0018】
上記(4)のような特徴を有する本発明によれば、筒状部材における内壁と外壁それぞれの上端が開放端として形成されることから、筒状部材の上端には開口部が形成され、開口部から、油層の熱を逃がすことが可能となる。その結果、油層の熱が水層に伝わり難くなる。
【0019】
(5)本発明にあっては、前記加熱手段は、前記油層の深さ方向における中間部に配置されることを特徴とする。
【0020】
上記(5)のような特徴を有する本発明によれば、加熱手段が油層の深さ方向における中間部に配置されることから、加熱手段の下方の油は常温に近い温度に維持され油層の熱が水層に伝わり難くなる。
【0021】
(6)本発明にあっては、前記筒状部材は、円筒状に形成されることを特徴とする。
【0022】
上記(6)のような特徴を有する本発明によれば、筒状部材が円筒状に形成されることから、揚げ物の状態を確認する際、上方からのみならず側面からも、より一層容易に目視することが可能となり、また、油の状態を、より一層容易に目視することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、従来に比べ簡易な構成にて、揚げ物用の油の劣化を防止しつつ、従来よりも揚げ物の状態を容易且つ正確に把握することが可能なフライヤーを提供することができるという効果を奏する。
【0024】
その他、本発明によれば、従来に比べ簡易な構成を備えることから、フライヤーの洗浄やメンテナンスを容易に行うことが可能なフライヤーを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤーを示す概略図である。
【
図2】
図1に図示するフライヤーを上方から視たときの筒状部材付近の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るフライヤーを示す概略図、
図2は
図1に図示するフライヤーを上方から視たときの筒状部材付近の拡大平面図、
図3は
図2における矢印A-A間断面図である。なお、図中に図示する矢印は、上下方向を示している(一例であるものとする)。
【0027】
図1に図示する本実施形態に係るフライヤー1は、揚げ物を揚げるための装置であり、貯槽2と、筒状部材3と、加熱手段4とを備えている。以下、フライヤー1の各構成について説明する。
【0028】
まず、貯槽2について説明する。
図1に図示する貯槽2は、光透過材料にて平面視矩形の有底筒状に形成され、水5を収納可能な収納部6を有している。上記「光透過材料」は、外部から収納部6内を視認可能な光透過性を有する材料である。貯槽2は、収納部6に収納された水5にて形成される水層7を有している。
【0029】
図1に図示するように、貯槽2は、収納部6内に金魚等の魚20や水草21を配置してもよいものとする。
【0030】
つぎに、筒状部材3について説明する。
図1乃至
図3に図示する筒状部材3は、光透過材料にて全体円筒状に形成され、内壁8と、内壁8の外側に配置される外壁9とを有している。筒状部材3は、水層7の上層側に配置されている。
【0031】
本実施形態では詳細な説明を省略するが、筒状部材3は、貯槽2の側壁11に連結された1又は2以上の支持アーム12(
図1参照)にて支持されている(一例であるものとする)。
【0032】
図2に図示する内壁8は、光透過材料にて円筒状に形成されている。また、
図2に図示する外壁9は、光透過材料にて円筒状に形成され、内壁8と所定の間隔をあけて連結され内壁8の外側に配置されている。
【0033】
内壁8は、本実施形態では、耐熱性を有する光透過材料にて形成されている。より具体的には、内壁8は、揚げ物18を揚げるのに最適な温度(すなわち、摂氏50度以上摂氏250度以下)に対する耐熱性を有する光透過材料にて形成されている。
【0034】
内壁8は、この内側に内部空間13が形成され、内部空間13に揚げ物用の油14を収納可能に形成されている。内部空間13には、収納された油14にて油層15(
図1及び
図3参照)が形成されている。油層15の所定位置には、加熱手段4が配置されている。
【0035】
図3に図示するように、筒状部材3は、本実施形態では、内壁8と外壁9それぞれの上端が開放端として形成されている。したがって、筒状部材3は、この上端に開口部16が形成される構成を備えている。
【0036】
図3に図示するように、筒状部材3は、本実施形態では、内壁8と外壁9それぞれの下端が底壁10にて連結されている。内壁8と外壁9との間の所定の間隔は、空気層17として形成されている。上記「所定の間隔」は、油層15が加熱された際に生じる熱を、開口部16から逃がし易く、且つ、上記熱が水層7に伝わり難くなることが可能な間隔であるものとする。
【0037】
つぎに、加熱手段4について説明する。
加熱手段4は、油14を揚げ物18(
図1参照)を揚げるのに最適な温度(例えば、摂氏50度以上摂氏250度以下)に加熱することが可能なものであり、本実施形態では、電熱ヒーターを採用している。加熱手段4は、油層15の深さ方向(すなわち、上下方向)における中間部に配置されている。
【0038】
つぎに、フライヤー1の使用方法について説明する。
図1に図示するように、フライヤー1は、平面19の上に載置されている。貯槽2の収納部6には、水5が収納され水層7が形成されている。筒状部材3の内壁8の内部空間13には、揚げ物18を効率よく揚げることが可能な分量の油14が収納され油層15が形成されている。内部空間13の下方には、水層7が配置されている。
【0039】
上記の状態において、加熱手段4にて油層15の油14を揚げ物18を揚げるのに最適な温度(例えば、摂氏50度以上摂氏250度以下)に加熱する。
【0040】
油層15の油14を加熱することにより、加熱手段4の上方に配置される油14の温度が揚げ物18を揚げるのに最適な温度に達した状態において、揚げ物用の食材を油層15に投入して揚げ物を行う。
【0041】
本実施形態によれば、少なくとも筒状部材3の内壁8が耐熱性を有する光透過材料にて形成されるとともに、内部空間13に形成される油層15の所定位置に加熱手段4が配置されることから、加熱された油層15に投入された揚げ物18の状態を確認する際、上方からのみならず側面からも容易に目視することが可能となる。また、油14の状態を容易に目視することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態によれば、筒状部材3が円筒状に形成されることから、揚げ物18の状態を確認する際、上方からのみならず側面からも、より一層容易に目視することが可能となり、また、油14の状態を、より一層容易に目視することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態によれば、貯槽2と、貯槽2の所望の位置に配置される筒状部材3とを備える構成で済むことから、フライヤー1を従来に比べ簡易な構成とすることが可能となる。その結果、本実施形態によれば、揚げ物18を揚げている際に生じる揚げカスは、油層15から貯槽2の水層7へと落下する。したがって、油層15の油14の劣化を効率よく防止することが可能となる。
【0044】
また、本実施形態によれば、少なくとも筒状部材3の内壁8が摂氏50度以上摂氏250度以下の耐熱性を有する光透過材料にて形成されることから、油層15の温度を、揚げ物18を揚げるのに最適な温度に加熱することが可能となる。内壁8は、耐熱性を有するので、油層15の油14の温度が上昇しても、内壁8が破損し難くなっている。
【0045】
また、本実施形態によれば、筒状部材における内壁と外壁との間の所定の間隔が空気層として構成されることから、油層15に当接する内壁8から水層7への伝熱は生じ難くなる。したがって、水層7の水5の温度は上昇し難くなり、水層7に魚20を配置した場合であっても、魚20に影響を来し難くなる。
【0046】
また、本実施形態によれば、加熱手段4が油層の深さ方向における中間部に配置されることから、加熱手段4の下方に配置される油14の温度は、常温に近い温度に維持されるので、加熱された油14の熱が水層7に伝達し難くなる。したがって、この点からも水層7の水5の温度は上昇し難くなる。
【0047】
また、本実施形態によれば、筒状部材3における内壁8と外壁9それぞれの上端が開放端として形成されることから、筒状部材3の上端には開口部16が形成され、開口部16から、油層15の熱を逃がすことが可能となる。その結果、油層15の熱が水層7に伝わり難くなる。
【0048】
つぎに、本実施形態により得られる効果について説明する。
本実施形態によれば、従来に比べ簡易な構成にて、揚げ物用の油14の劣化を防止しつつ、従来よりも揚げ物18の状態を容易且つ正確に把握することが可能となる。
【0049】
その他、本実施形態によれば、従来に比べ簡易な構成を備えることから、フライヤー1の洗浄やメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0050】
なお、上記実施形態に記載した構成に関しては、本発明の範囲内において適宜の変更が可能であり、上記実施形態の構成には限定されない。
【0051】
上記実施形態では、貯槽2は、平面視矩形の有底筒状に形成されているが、これに限らず、例えば、有底円筒状に形成される構成を採用してもよいものとする。
【0052】
また、上記実施形態では、筒状部材3は、全体円筒状に形成されているが、これに限らず、例えば、平面視多角形(三角形、四角形等)となる全体角筒状に形成される構成を採用してもよいものとする。
【0053】
また、上記実施形態では、筒状部材3は、内壁8が耐熱性を有する光透過材料にて形成されているが、これに限らず、例えば、筒状部材3全体を耐熱性を有する光透過材料にて形成される構成を採用してもよいものとする。
【符号の説明】
【0054】
1…フライヤー
2…貯槽
3…筒状部材
4…加熱手段
5…水
6…収納部
7…水層
8…内壁
9…外壁
10…底壁
11…側壁
12…支持アーム
13…内部空間
14…油
15…油層
16…開口部
17…空気層
18…揚げ物
19…平面
20…魚
21…水草