(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025090091
(43)【公開日】2025-06-17
(54)【発明の名称】衛生用紙束の振分方法及び衛生用紙束製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 25/14 20060101AFI20250610BHJP
B65G 47/31 20060101ALI20250610BHJP
【FI】
B65B25/14 A
B65G47/31 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205093
(22)【出願日】2023-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】坂野 賀津士
【テーマコード(参考)】
3E028
3F081
【Fターム(参考)】
3E028AA05
3E028AB01
3E028BB01
3E028CA02
3E028CA07
3E028EA01
3E028GA02
3E028GA04
3E028GA05
3E028GA09
3F081AA10
3F081BA01
3F081BD05
3F081BD08
3F081CC08
(57)【要約】
【課題】衛生用紙束を適切に複数の搬送経路に振り分ける。
【解決手段】衛生用紙束の振分方法であって、複数の衛生用紙束を間隔をあけて一つの搬送経路で搬送する工程と、その後に衛生用紙束を複数の搬送経路に振り分ける工程を含む。搬送工程は、上流側の調整コンベアの搬送速度V3と下流側の調整コンベアの搬送速度V4に関する第1速度パターンと第2速度パターンを含む。第1速度パターンでは、例えば上流側の調整コンベアの搬送速度V3と下流側の調整コンベアの搬送速度V4を実質的に等速とする。第2速度パターンでは、第1速度パターンの間に、下流側の調整コンベアの搬送速度V4を一時的に上流側の調整コンベアの搬送速度V3よりも高速にして、衛生用紙束の間の間隔を拡大させた広間隔部を形成する。振分工程では、広間隔部を挟んで下流側の衛生用紙束と上流側の衛生用紙束との間で搬送経路の切り替えを行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生用紙束の振分方法であって、
コンベアにより複数の衛生用紙束を間隔をあけて一つの搬送経路で搬送する搬送工程と、
前記搬送工程後に、前記衛生用紙束を複数の搬送経路に振り分ける振分工程とを含み、
前記搬送工程は、上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)と下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)に関する第1速度パターンと第2速度パターンを含み、
前記第1速度パターンは、前記上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)と前記下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を実質的に等速とするか、前記下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)から前記上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)を差し引いた速度差(ただし正の値とする)を前記第2速度パターンより小さくして前記衛生用紙束を搬送するパターンであり、
前記第2速度パターンは、前記第1速度パターンの間に、前記下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を一時的に前記上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)よりも相対的に高速にして、前記衛生用紙束の間の間隔を拡大させた広間隔部を形成するパターンであり、
前記振分工程では、
前記広間隔部を挟んで下流側の前記衛生用紙束と上流側の前記衛生用紙束との間で前記搬送経路の切り替えを行う
振分方法。
【請求項2】
前記第2速度パターンは、前記下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を前記第1速度パターン時よりも増速する
請求項1に記載の振分方法。
【請求項3】
前記第2速度パターンは、前記上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)を前記第1速度パターン時よりも減速する
請求項2に記載の振分方法。
【請求項4】
前記搬送工程は、前記第2速度パターン後、前記第1速度パターンに戻る前に、前記上流側の調整コンベアと前記下流側の調整コンベアの搬送速度(V3,V4)を実質的に等速にしつつ、前記第1速度パターン時よりも低速にして前記衛生用紙束を搬送する第3速度パターンを含む
請求項3に記載の振分方法。
【請求項5】
前記搬送工程は、前記衛生用紙束の間の間隔をセンサによって検査する工程を含み、
前記振分工程は、前記センサによって前記広間隔部が検出された場合に、当該広間隔部を挟んで下流側の前記衛生用紙束と上流側の前記衛生用紙束との間で前記搬送経路の切り替えを行う
請求項1又は請求項2に記載の振分方法。
【請求項6】
前記搬送工程は、
前記衛生用紙束の間の間隔をセンサによって検査する工程を含み、
前記第2速度パターン後、前記センサによって前記広間隔部が検出された場合に、前記第2速度パターンから前記第1速度パターンへと戻す
請求項1又は請求項2に記載の振分方法。
【請求項7】
請求項1に記載の振分方法により前記衛生用紙束を振り分ける工程と、
前記振分方法によって振り分けられた前記衛生用紙束を包装する工程を含む、
衛生用紙束製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー等の衛生用紙の束の搬送中にその搬送経路を振り分ける方法に関する。また、本発明は、衛生用紙束を可撓性のフィルム等で包装した衛生用紙製品の製造方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ティシュペーパー等の衛生用紙を樹脂フィルムで包装した製品(いわゆるソフトパック製品)が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、ティシュペーパーの製造には、一般的に、多数の原反ロールから繰り出された連続シートを多連機(マルチスタンド式インターフォルダとも称される)により折り重ねた後に、裁断機によって個別のサイズに切断して衛生用紙束を得る方式が用いられている(特許文献2)。このような方式によれば、衛生用紙束を高速かつ連続的に得ることができる。
【0004】
さらに、複数の物品が束状に集積されたものを樹脂フィルム等の包装袋に自動的に収容するための包装機も公知である(特許文献3)。このような包装機は、包装袋の開口部を広げた後に、包装袋を広げた状態を維持しながら、その開口部から複数の物品を包装袋内に押し込むように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-133981号公報
【特許文献2】特開2012-011170号公報
【特許文献3】特開2014-125228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ティッシュペーパー等の衛生用紙束を樹脂フィルムで包装したソフトパック製品を製造する場合、多連機を用いて衛生用紙束を高速かつ連続的に生成し、その後に特許文献3のような包装機を利用して衛生用紙束を包装袋内に押し込むという製造工程を採用することが考えられる。しかしながら、樹脂フィルム用の包装機は、前述したように、包装袋を広げた後に、その状態を維持しながら包装袋の中に衛生用紙束を押し込む手順を経る必要があるため、衛生用紙束を包装袋内に高速に収納することが難しいという課題がある。特に、衛生用紙束と包装袋内は共に柔らかいものであるため、衛生用紙束を包装袋内に適切に収納するには、衛生用紙束を比較的低速で包装袋の中に押し込んでいく必要がある。このように、多連機では衛生用紙束を高速かつ連続的に生成できるのに対して、フィルム用の包装機がこの多連機の生成スピードに十分対応できないということが、ソフトパック製品の製造上の課題となっている。
【0007】
上記の問題に対応するために、本発明者は、主にソフトパック製品を製造するにあたり、多連機により得られた衛生用紙束を複数の搬送経路に振り分けて搬送するとともに、搬送経路ごとに包装機を配置して、複数の包装機によって衛生用紙束を順次包装することを検討している。そこで、本発明は、衛生用紙束を適切に複数の搬送経路に振り分けることのできる技術を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、衛生用紙束の振分方法に関する。本発明に係る振分方法は、搬送工程と振分工程を含む。搬送工程では、複数の衛生用紙束をコンベアにより間隔をあけて一つの搬送経路で搬送する。振分工程では、搬送工程後に、衛生用紙束を複数の搬送経路に振り分ける。ここで、搬送工程は、上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)と下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)に関する第1速度パターンと第2速度パターンを含む。第1速度パターンは、上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)と下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を実質的に等速とするパターンである。なお、本願明細書において、実質的に等速とは、2つの搬送速度が完全に等しい場合に加えて、2つの搬送速度に微差がある場合には、速い方の搬送速度を100%としたときに遅い方の搬送速度が90~100%である場合を含む。または、第1速度パターンは、下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)から上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)を差し引いた速度差(V4-V3、ただし正の値とする)を第2速度パターンより小さくして衛生用紙束を搬送するパターンであってもよい。第2速度パターンは、第1速度パターンの間に、下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を一時的に上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)よりも相対的に高速にして、衛生用紙束の間の間隔を拡大させた広間隔部を形成するパターンである。そして、振分工程では、広間隔部を挟んで下流側の衛生用紙束と上流側の衛生用紙束との間で搬送経路の切り替えを行う。このように、搬送中の衛生用紙束の間に広間隔部を形成し、この広間隔部において搬送経路の切り替えを行うことで、衛生用紙束を適切に複数の搬送経路に振り分けることができる。
【0009】
本発明に係る振分方法において、第2速度パターンは、下流側の調整コンベアの搬送速度(V4)を第1速度パターン時よりも増速することとしてもよい。また、第2速度パターンは、上流側の調整コンベアの搬送速度(V3)を第1速度パターン時よりも減速することとしてもよい。さらに、下流側の調整コンベアの増速と上流側の調整コンベアの減速を同時に行うこととしてもよい。これにより、衛生用紙束同士の間の間隔を効率的に広げることができる。なお、ここにいう「減速」には、搬送速度をゼロにすること、すなわち調整コンベアを停止させることも含まれる。
【0010】
本発明に係る振分方法において、搬送工程は、さらに第3パターンを含むこととしてもよい。第3パターンは、第2速度パターン後、第1速度パターンに戻る前に、上流側の調整コンベアと下流側の調整コンベアの搬送速度(V3,V4)を実質的に等速にしつつ、第1速度パターン時よりも低速にして衛生用紙束を搬送する。前述したように第2速度パターンを実行することにより衛生用紙束の間隔が広がるが、その後さらに第3速度パターンを実行することで衛生用紙束の間隔をさらに広げることができる。
【0011】
本発明に係る振分方法において、搬送工程は、衛生用紙束の間の間隔をセンサによって検査する工程を含んでいてもよい。この場合、振分工程は、センサによって広間隔部が検出された場合に、当該広間隔部を挟んで下流側の衛生用紙束と上流側の衛生用紙束との間で搬送経路の切り替えを行うことが好ましい。これにより、より確実に衛生用紙束の振り分けを行なうことができる。
【0012】
本発明に係る振分方法では、搬送工程が衛生用紙束の間の間隔をセンサによって検査する工程を含む場合、第2速度パターン後、センサによって広間隔部が検出された場合に、第2速度パターンから第1速度パターンへと戻すこととしてもよい。これにより、第2速度パターンと第2速度パターンの制御を適切に行なうことができる。また、第2速度パターン後、センサによって広間隔部が検出された場合に、第2速度パターンから第3速度パターンに移し、その後第1速度パターンへと戻すことも可能である。
【0013】
本発明の第2の側面は、衛生用紙束製品の製造方法に関する。ここにいう衛生用紙束製品とは、一束又は複数束の衛生用紙束を包装した製品である。衛生用紙束の包装体は、カートンではなく、樹脂フィルム等の包装袋であることが好ましい。本発明に係る衛生用紙束製品の製造方法は、前述した第1の側面に係る振分方法により衛生用紙束を振り分ける工程と、この振分方法によって振り分けられた衛生用紙束を包装する工程を含む。前述したとおり、多連機では衛生用紙束を高速かつ連続的に生成できるのに対して、フィルム用の包装機では多連機の生成スピードに十分対応できないという問題がある。そこで、衛生用紙束を複数の搬送経路ごとに包装機を設け、各搬送経路にて衛生用紙束を包装することで、包装機の包装スピードが比較的遅い場合であっても、多連機で生成した衛生用紙束を効率よく包装することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、衛生用紙束を適切に複数の搬送経路に振り分けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、衛生用紙束製品の製造方法を模式的に表している。
【
図2】
図2は、衛生用紙束の振分装置の一例を模式的に表した平面図である。
【
図3】
図3は、衛生用紙束の振分方法の一例を模式的に表した平面図である。
【
図4】
図4は、振分コンベアの一例を示した側面図である。
【
図5】
図5は、振分前に衛生用紙束の間隔を広げるためのコンベア装置の構成例を示している。
【
図6】
図6は、振分前に衛生用紙束の間隔を広げる方法の一例を示している。
【
図7】
図7は、振分前に衛生用紙束の間隔を広げる方法の変形例を示している。
【
図8】
図8は、衛生用紙束製品の製造方法の例を示したフロー図である。
【
図9】
図9は、衛生用紙束製品の製造方法における減速工程の一例を示した平面図である。
【
図10】
図10は、衛生用紙束製品の製造方法における間隔調整工程の一例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜変更したものも含む。
【0017】
図1は、衛生用紙束製品の製造方法であって、多連機1を利用して得られた衛生用紙束Bを包装機4で包装するまでの工程を示している。
図1に示されるように、多連機1は、多数の原反ロールから繰り出された衛生用紙P(原紙)を折り重ねて、連続した衛生用紙Pの積層体を形成する。なお、多連機1には、原反ロールが衛生用紙の積層枚数と対応する数で設けられている。例えば2枚一組のティシュを200組(合計400枚)積層させた製品を得る場合、多連機1には2ロール1組の原反ロールが200組(合計400ロール)設置される。このような多連機1(マルチスタンド式インターフォルダ)は公知のものを採用すればよい。次に、多連機1により形成された衛生用紙Pの積層体は下流側へと搬送されて、裁断機2によって所定間隔で切断される。これにより、個別の衛生用紙束Bとなる。裁断機2としては、公知の回転式のカッターを採用すればよい。このようにして高速かつ連続的に衛生用紙束Bを生成することができる。衛生用紙束Bは、各衛生用紙がおよそ半分に折り畳まれており、ある1枚の衛生用紙の間にその上下に重なる別の2枚の衛生用紙の半片がそれぞれ差し込まれていることで、衛生用紙を一枚上に持ち上げるとその下層の衛生用紙も共に持ち上がるというポップアップ式で束状に一体化されている。
【0018】
その後、複数の衛生用紙束Bは、コンベア等によって一列で下流側へと搬送される。裁断装置2内での衛生用紙束Bの搬送速度と、その直後のコンベアによる衛生用紙束Bの搬送速度には速度差があり、直後のコンベアによる衛生用紙束Bの搬送速度のほうが速く設定されている。これにより衛生用紙束B同士の間の間隔が広がる。裁断装置2の下流側には、振分装置3が設けられている。振分装置3の詳細については後述するが、この振分装置3は、一つの搬送経路に沿って一列で搬送されてきた複数の衛生用紙束Bを複数の搬送経路に振り分ける機能を持つ。なお、裁断機2と振分装置3の間の搬送経路には、衛生用紙束Bの不良を検知して、不良と認められた衛生用紙束Bを排出する公知の排出装置を設置するとよい。このような排出装置は、初動時の製品にならない状態の衛生用紙束Bを排出することや、下流工程のトラブル等による急停止時に製品にならない状態の衛生用紙束Bを排出することなど目的として配置されている。
図1に示した例では、複数の衛生用紙束Bは3つの搬送経路に振り分けられる。なお、衛生用紙束Bの搬送経路は3つ限らず、2つであってもよいし、4つ以上とすることもできる。このとき、
図1に示したように、所定個数の衛生用紙束Bごとに搬送経路の切り替えを行うとよい。例えば、
図1の例では4個の衛生用紙束Bごとに搬送経路が切り替えられている。つまり、振分装置3は、ある搬送経路に所定個数(4個)の衛生用紙束Bを導出した後に、搬送経路の切り替えを実行し、これに隣接する別の搬送経路に再び所定個数の衛生用紙束Bを導出するという作業を繰り返し行う。なお、両サイドの搬送経路から中央側の搬送経路へと切り替える際には、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bを2回分(例えば8個)サイドの衛生用紙束に送り出してから中央側の搬送経路へと切り替えることが好ましい。これにより、両サイドの搬送経路と中央の搬送経路とで最終的には等量の衛生用紙束Bが送り出されることになる。
【0019】
また、各搬送経路の下流には、それぞれ包装機4が設けられている。包装機4としては、樹脂フィルム等の可撓性の包装袋に衛生用紙束Bを一個又は複数個ずつ包装する機能を持つものを採用するとよい。包装袋は、例えばポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル等の樹脂で形成されたものであることが好ましい。ただし、包装袋は紙袋であってもよい。このような包装機としては、例えば特許文献3に開示されているような公知のものを採用できる。このようにして、一個又は複数個の衛生用紙束Bを包装袋で包装した衛生用紙束製品(いわゆるソフトパック製品)を製造することができる。
【0020】
図2は、振分装置3の一例を示している。
図2に示されるように、振分装置3は、衛生用紙束Bを搬送するための搬送装置10と、衛生用紙束Bを振り分けるための振分コンベア20を備える。なお、
図2に示した例では、衛生用紙束Bの位置がわかり易いように、振分コンベア20が衛生用紙束Bを下面側からのみ支持するように描かれている。このように、振分コンベア20は、衛生用紙束Bの下面側にのみコンベア装置を有するように構成されていてもよいが、後述するように、振分コンベア20は、衛生用紙束Bをその下面と上面の両方から挟み込むための上下のコンベア装置を有するように構成されていることが好ましい。
【0021】
搬送装置10は、上流側から順に、主コンベア装置11、振分コンベア20、幅広コンベア12、及び複数の個別コンベア13(a)~(c)を含む。なお、主コンベア装置11は、後述するように複数のコンベアにより構成されている(
図5参照)。各コンベア11~13,20は、例えばそれぞれ駆動プーリと従動プーリを含むプーリに無端ベルトが架け渡された構造の一般的なコンベアを用いればよい。主コンベア装置11は、衛生用紙束Bを一列で搬送し、振分コンベア20に受け渡す。振分コンベア20により衛生用紙束Bの搬送経路の切り替えが行われる。また、振分コンベア20は、搬送経路の切り替えを行いながら、衛生用紙束Bを幅広コンベア12へと受け渡す。これにより、幅広コンベア12上に、衛生用紙束Bの複数の搬送経路が並列的に形成される。幅広コンベア12の下流側には複数の個別コンベア13(a)~(c)が並列的に配置されており、それぞれの個別コンベア13(a)~(c)が、幅広コンベア12上の搬送経路に対応している。つまり、幅広コンベア12は、振分コンベア20によって切り替えられた搬送経路に応じて、衛生用紙束Bを複数の個別コンベア13(a)~(c)のいずれかに受け渡す。なお、幅広コンベア12としては、
図2に示されるように、少なくとも複数の個別コンベア13(a)~(c)の横幅の合計以上の横幅を持つものが採用される。
【0022】
振分コンベア20は、主コンベア装置11と幅広コンベア12の間に配置されている。主コンベア装置11によって搬送されてきたすべての衛生用紙束Bは、振分コンベア20に導入され、振分コンベア20によって誘導された後、幅広コンベア12から個別コンベア13(a)~(c)のいずれに受け渡される。
図2に示されるように、振分コンベア20は、所定の回動支点23を有する。振分コンベア20は、その導出端部側が、所定の支点23に対して水平方向、すなわち幅広コンベア12の搬送面に沿って回動する。具体的には、振分コンベア20の回動動作の支点23は、その導入端部側(すなわち衛生用紙束Bを受け入れる端部側)に設けられている。このため、振分コンベア20の導入端部の位置は、主コンベア装置11の直後に略固定されているが、振分コンベア20の導出端部は幅広コンベア12側で大きく遷移することになる。このような支点23に対する振分コンベア20の回動動作は、モータやピストン等の公知のアクチュエータにより実現できる。また、振分コンベア20の回動動作は、コンピュータ等の制御装置(不図示)により制御されている。
【0023】
また、振分コンベア20は、導出端付近又は誘導経路内にセンサ24を含む。このセンサ24は、振分コンベア20から幅広コンベア12へと導出される衛生用紙束B同士の間の間隙を特定することを目的として配置されている。具体的には、センサ24は、振分コンベア20の先端付近又は誘導経路内において衛生用紙束Bの存在又は不存在を検知することにより、振分コンベア20の先端に衛生用紙束B同士の間の間隙が近づいてきたことを特定する。センサ24の検知情報に基づいて制御装置(不図示)により振分コンベア20を制御し、振分コンベア20の先端付近において衛生用紙束B同士の間の間隙が発生したタイミングで振分コンベア20を回動させて、衛生用紙束Bの搬送経路を切り替えることができる。また、センサ24によって、衛生用紙束B同士の間の間隔の長さを測定することもできる。衛生用紙束B同士の間の間隔が一定長さ以上であれば、その間隔で衛生用紙束Bの搬送経路を切り替えを実行し、当該間隔が一定長さ未満であれば、その間隔では衛生用紙束Bの搬送経路を切り替えは実行しないといった制御が可能である。センサ24は、衛生用紙束Bの存在又はその不存在を検知できるものであれば特に限定されず、例えば光センサ(光電センサ)や超音波センサ、感圧センサなど公知のセンサを用いればよい。また、搬送経路の切り替えは、センサ24により衛生用紙束B同士の間の間隙が検知された後のタイマー設定(検知してから所定時間経過後に切り替えを実行すること)や、センサ24の位置を調整することにより実行できる。
【0024】
続いて、
図3を参照して、主に振分コンベア20の動作について説明する。
図3に示されるように、振分コンベア20は、支点23を軸にして導出端部側を回動させる。これにより、振分コンベア20は、幅広コンベア12上の衛生用紙束Bの搬送経路を切り替える。
図3に示した状態では、幅広コンベア12の搬送先に第1から第3の個別コンベア13(a)~(c)が並列的に配置されている。ここで、
図3(a)に示した状態では、主コンベア装置11によって連続的に搬送されてきた複数の衛生用紙束Bは、振分コンベア20に導入された後、この振分コンベア20によって、第3の個別コンベア13(c)へ送り出すための幅広コンベア12上の搬送経路へと誘導されている。
【0025】
その後、
図3(b)に示されるように、振分コンベア20は、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bを第3の個別コンベア13(c)に向かう搬送経路へと送り出すと、次の所定個数の衛生用紙束Bを第2の個別コンベア13(b)へと送り出すために、搬送経路の切り替え動作を開始する。このとき、振分コンベア20の誘導経路に設けられたセンサ24の検知情報に基づいて、制御装置は、所定個数の衛生用紙束Bが振分コンベア20から導出されたことと、衛生用紙束B同士の間の間隙が振分コンベア20の導出端付近に到達したことを特定して、搬送経路切り替え動作を開始するように振分コンベア200を制御すればよい。
【0026】
なお、
図3(b)に示したように、搬送経路の切り替え時において、振分コンベア20の先頭に位置する衛生用紙束B´は、その一部が振分コンベア20上に位置し、別の一部が幅広コンベア12上に位置している場合がある。このように、衛生用紙束B´が振分コンベア20と幅広コンベア12の間に橋渡しとなっているような状態では、振分コンベア20が回動して搬送経路の切り替えが行われるため、この衛生用紙束B´は、幅広コンベア12の搬送面上を摺動することになる。このような場合に備えるために、衛生用紙束B´に型崩れが生じないように、振分コンベア20は、後述するように、衛生用紙束B´の少なくとも一部を上下から挟み込みながら所定の支点23に対して回動し、搬送経路を切り替えるように構成されているとよい。ただし、後述するように、所定個数の衛生用紙束Bごとに、衛生用紙束B同士の間隔(広間隔部)を十分に確保することが好ましい。このように衛生用紙束Bの十分な間隔(広間隔部)に相当するタイミングで、搬送経路の切り替えを行なうことで、衛生用紙束B´が幅広コンベア12の搬送面上で摺動することを回避することもできる。
【0027】
その後、
図3(c)に示されるように、振分コンベア20は、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bを第2の個別コンベア13(b)に向かう搬送経路へと送り出すと、次の所定個数の衛生用紙束Bを第1の個別コンベア13(a)に向かう搬送経路へと送り出すために、搬送経路の切り替え動作を開始する。このとき、振分コンベア20の誘導経路に設けられたセンサ24の検知情報に基づいて、制御装置は、所定個数の衛生用紙束Bが振分コンベア20から導出されたことと、衛生用紙束B同士の間の間隙が振分コンベア20の導出端付近に到達したことを特定して、搬送経路切り替え動作を開始するように振分コンベア200を制御すればよい。
【0028】
なお、振分コンベア20の誘導経路の長さと、振分コンベア20による搬送経路の切り替え時における1ピッチの振り幅の比は、振り幅:誘導経路の長さが1:5以上であることが好ましく、1:8以上であることがより好ましく、1:10以上であることが特に好ましい。この比率が小さいと振りの角度が大きくなり衛生用紙束Bに皺や崩れが発生しやすいため、この比率を1:5以上で確保するとよい。また、前述したように、両サイドの搬送経路(第1の個別コンベア13(a),第3の個別コンベア13(c))から中央側の搬送経路(第2の個別コンベア13(b))へと切り替える際には、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bを2回分(例えば8個)サイドの衛生用紙束に送り出してから中央側の搬送経路へと切り替えることが好ましい。これにより、両サイドの搬送経路と中央の搬送経路とで最終的には等量の衛生用紙束Bが送り出されることになる。
【0029】
図4は、
図3にて説明した各種動作の実行に適した振分コンベア20の一例を示している。
図4に示した例において、振分コンベア20は、下コンベア21と上コンベア22を備える。上下のコンベア21,22は、それぞれベルトコンベアによって構成されている。上下のコンベア21,22は、ベルト21a,22aによって衛生用紙束Bを上下から挟み込みながら、このベルト21a,22aの進行によって衛生用紙束Bを下流側へと搬送する。より具体的説明すると、上下のコンベア21,22は、それぞれ、無端状のベルト21a,22a、ドライブプーリ21b,22b、及びヘッドプーリ21c,22cを備える。ベルト21a,22aは、これらのプーリに架け渡されている。ドライブプーリ21b,22bは、ベルト21a,22aを一定方向に進行させるために自ら回転駆動しているプーリであり、各プーリのうち最も振分コンベア20の導入端側に配置されている。また、ヘッドプーリ21c,22cは、ベルト21a,22aの回転に伴って従動するプーリであり、各プーリのうち最も振分コンベア20の導出端側に配置されている。
【0030】
これにより、衛生用紙束Bの下面に下コンベア21のベルト21aが接触し、衛生用紙束Bの上面に上コンベア22のベルト22aに接触しながら、衛生用紙束Bはこれらの上下のコンベア21,22によって挟み込まれて下流側へと搬送されることになる。衛生用紙束Bは、振分コンベア20の誘導経路を通過している間、上下のコンベア21,22によって挟まれているが、誘導経路を進むに連れて、その先端側から上下のコンベア21,22から突出していくため、上下のコンベア21,22によって挟まれている長さの割合が徐々に減っていく。特に、振分コンベア20による搬送経路の切り替え動作時には、振分コンベア20の誘導経路の先頭に位置する衛生用紙束B´は、振分コンベア20の動作が停止するまで、搬送方向の長さにおける20%以上、より好ましくは30%以上が上下のコンベア21,22によって挟まれていることが好ましい。これにより、振分コンベア20が搬送経路の切り替え動作によって横方向に移動した場合でも、衛生用紙束B´に型くずれを生じさせることなく、搬送経路の切り替えを実行できる。なお、上下のコンベア21,22の回転速度は実質的に等速であることが好ましい。また、衛生用紙束Bが振分コンベア20によって誘導されている間、衛生用紙束Bの上面及び下面が上下のコンベア21,22に接触し続けるように、上下のコンベア21,22は実質的に平行に配置されていることが好ましい。
【0031】
なお、ここでは、
図2から
図4を参照して振分装置3の一例について説明したが、本発明において振分装置3は前述したものに限られない。例えば、振分装置3としては、前述したようなコンベアが左右に首振りする方式のものの他、例えば、幅広コンベア上で衛生用紙束の両サイドを一対のベルトで挟みながら左右に首振りする方式や、幅広コンベア上で衛生用紙束の両サイドをガイドで挟みながら左右に首振りする方式、衛生用紙束を上下から一対のコンベアで挟みながら上下に首振りする方式、パドルにより衛生用紙束を別経路に払い出す方法などを採用することができる。
【0032】
図5は、裁断機2から振分装置3(具体的には振分コンベア20)までの搬送工程において、衛生用紙束B同士の間隔を調整することが可能な主コンベア装置11の例を示している。
図5に示されるように、主コンベア装置11は、上流側から順に、カッターコンベア11a、切離しコンベア11b、第1調整コンベア11c、及び第2調整コンベア11dを含む。カッターコンベア11aは、裁断機2によって個別に切断された衛生用紙束Bを裁断機2から排出するためのコンベアである。カッターコンベア11a上においては、衛生用紙束B同士の間にはほとんど隙間が生じていない。切離しコンベア11bは、カッターコンベア11aの下流側に位置し、このカッターコンベア11aよりも搬送速度が高速に設定されている。このため、衛生用紙束Bがカッターコンベア11aから切離しコンベア11bに乗り移る際に、衛生用紙束B同士の間の間隔が拡大する。第1調整コンベア11cは、切離しコンベア11bの下流側に位置し、その搬送速度を調整できるように構成されている。また、第2調整コンベア11dは、第1調整コンベア11cの下流側に位置し、その搬送速度を調整できるように構成されている。さらに、第2調整コンベア11dの下流側には、振分装置3を構成する振分コンベア20が配置されている。
図5に示したように、本願明細書では、カッターコンベア11aの搬送速度をV1とし、切離しコンベア11bの搬送速度をV2とし、第1調整コンベア11cの搬送速度をV3とし、第2調整コンベア11dの搬送速度をV4とし、振分コンベア20の搬送速度をV5とする。
【0033】
図6は、主コンベア装置11の動作の一例を示している。まず、
図6(a)は、主コンベア装置11の第1速度パターンを示す。この第1速度パターンでは、カッターコンベア11aの搬送速度V1と比較して、切離しコンベア11bの搬送速度V2が高速に設定されており、他のコンベア(第1調整コンベア11c、第2調整コンベア11d、及び振分コンベア20)の搬送速度V3,V4,V5は、この切離しコンベア11bの搬送速度V2と実質的に等速に設定されている。このように、切離しコンベア11bの搬送速度V2をカッターコンベア11aの搬送速度V1に対して高速に設定することで、衛生用紙束Bがカッターコンベア11aから切り離しコンベア11bに乗り移る際に、衛生用紙束B同士の間の間隔が拡大することとなる。
図6では、このときに生じる衛生用紙束B同士の間隔を、符号αで示している。このような間隔αは、基本的にはすべての衛生用紙束B同士の間に形成されることになる。
【0034】
より具体的には、カッターコンベア11aの搬送速度V1を100%とした場合に、切離しコンベア11bの搬送速度V2は105~150%であることが好ましく、110%~130%であることが特に好ましい。搬送速度V2が搬送速度V1に対して105%未満であると、衛生用紙束B同士の間隔αを十分に確保できなくなる。反対に、搬送速度V2が搬送速度V1に対して150%を超える場合、衛生用紙束Bがカッターコンベア11aから切離しコンベア11bに乗り移る際に急激に加速することになるため、衛生用紙束Bが崩れてしまう恐れがある。このため、搬送速度V2は搬送速度V1に対して105~150%とすることが適切である。間隔αは、例えば20~150mmであることが好ましく、30~100mmであることがより好ましく、30~80mmであることが特に好ましい。なお、カッターコンベア11aの搬送速度V1と切離しコンベア11bの搬送速度V2は、基本的には常に一定に維持される。本実施形態では、これらの搬送速度V1と搬送速度V2を変更することは想定されていない。
【0035】
次に、
図6(b)は、主コンベア装置11の第2速度パターンを示す。主コンベア装置11の速度パターンは、基本的には前述した第1速度パターンとなるが、所定のタイミングにおいて一時的に第2速度パターンに遷移し、その後再び第1パターンに戻ることになる。この第2パターンでは、下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4を、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3よりも高速に調整する(V4>V3)。
図6(b)に示した例では、下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4を第1速度パターンのときよりも増速し、かつ、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3を第1速度パターンのときよりも減速することとしている。このため、この例では、下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4は、切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも高速になり、他方で、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3は、切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも低速になる。なお、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3は、カッターコンベア11aの搬送速度V1と実質的に等速にすることとしてもよいし、あるいは搬送速度V1以上、搬送速度V2未満の速度としてもよい。このように、第2速度パターンを実行することで、衛生用紙束Bが第1調整コンベア11cから第2調整コンベア11dに乗り移る際に、衛生用紙束B同士の間の間隔が前述した間隔αよりもさらに拡大することとなる。
図6では、この第2速度パターンの実行により生じる衛生用紙束B同士の間隔を、符号βで示している。また、本願明細書では、この衛生用紙束の間隔βを、「広間隔部」とも称する。なお、第1調整コンベア11cの搬送速度V3が、切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも低速になるため、切離しコンベア11bから第1調整コンベア11cに乗り移る際に衛生用紙束B同士の間の間隔が狭くなるが、その後の工程において衛生用紙束B同士の間の間隔は再度拡大するため特に問題はない。ただし、第1調整コンベア11cの搬送速度V3をカッターコンベア11aの搬送速度V1よりも遅くすると、衛生用紙束B同士の間の間隔がなくなり追突してしまうため好ましくない。
【0036】
より具体的には、また、第2パターンでは、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3を、第1速度パターンのときの速度を100%とした場合に、65~95%に減速することが好ましい。第2パターンでは、下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4を、第1速度パターンのときの速度を100%とした場合に、105~150%に増速することが好ましい。上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3を100%とした場合に、下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4は105~230%であることが好ましく、110%~150%であることが特に好ましい。搬送速度V4が搬送速度V3に対して105%未満であると、衛生用紙束B同士の間の広間隔部βを十分に確保できなくなる。反対に、搬送速度V4が搬送速度V3に対して150%を超える場合、衛生用紙束Bが第1調整コンベア11cから第2調整コンベア11dに乗り移る際に急激に加速することになるため、衛生用紙束Bが崩れてしまう恐れがある。このため、搬送速度V4は搬送速度V3に対して105~150%とすることが適切である。広間隔部βは、例えば100~350mmであることが好ましく、150~280mmであることが特に好ましい。また、広間隔部βは、間隔αの2倍以上であることが好ましく、4倍以上又は5倍以上であることが特に好ましい。なお、
図6(b)に示した例のように、第1速度パターンと比較して搬送速度V4を増速し、かつ、搬送速度V3を減速することが好ましいが、これに限られない。すなわち、搬送速度V4の増速と搬送速度V3の減速のどちらか一方を行えば、結果として搬送速度V4が搬送速度V3よりも高速になるため、搬送速度V4と搬送速度V3の速度差により広間隔部βを形成することが可能である。
【0037】
また、
図6(b)に示されるように、衛生用紙束B同士の間に形成される広間隔部βは、全ての衛生用紙束B同士の間に形成する必要はなく、所定個数の衛生用紙束Bおきに形成するとよい。すなわち、
図6(b)に示した例では、4個の衛生用紙束Bによって1つのグループが形成されており、あるグループとそれに続く別のグループの間に広間隔部βが形成されている。つまり、広間隔部βは衛生用紙束Bの4個おきに形成されることとなる。なお、1つのグループに含まれる衛生用紙束Bの数は4個に限られず、2個や3個であってもよいし、5個以上であってもよい。また、
図6に示した例では、全てのグループに4個の衛生用紙束Bが含まれることとなるが、これに限らず、あるグループと別のグループとで衛生用紙束Bが含まれる数を異ならせることもできる。
【0038】
このように、所定個数の衛生用紙束Bおきに広間隔部βを形成するためには、第1速度パターンから一時的に第2速度パターンへと遷移させ、再び第1速度パターンへと戻すといった制御が必要となる。すなわち、
図6(b)に示されるように、例えば1つのグループに4個の衛生用紙束Bが含まれる場合、先のグループの最後尾の衛生用紙束B
1が下流側の第2調整コンベア11dに乗り移った後、これに続く後のグループの先頭の衛生用紙束B
2が第2調整コンベア11dに乗り移る前に(すなわち衛生用紙束B
2がまだ上流側の第1調整コンベア11cに乗っている状態で)、これらの2つの調整コンベア11c,11dの搬送速度を第1速度パターンから第2速度パターンへと変化させる。言い換えると、広間隔部βとすべき間隔が第1調整コンベア11cと第2調整コンベア11dの境界に到達したときに、第1速度パターンから第2速度パターンに遷移する。これにより、先のグループに含まれる4個の衛生用紙束Bが相対的に加速するため、先のグループの最後尾の衛生用紙束B
1と後のグループの先頭の衛生用紙束B
2との間に広間隔部βが形成される。
【0039】
続いて、
図6(c)に示されるように、所望の長さの広間隔部βが形成された後、この広間隔部βを挟んで下流側の先のグループに属する全ての衛生用紙束Bが、第2調整コンベア11dから振分コンベア20に乗り移り終えた後、これに続く後のグループの衛生用紙束Bが振分コンベア20に乗り移る前に(すなわち第2調整コンベア11d上にある状態で)、第2調整コンベア11dと第1調整コンベア11cの搬送速度を第2速度パターンから第1速度パターンへと戻す。つまり、第2調整コンベア11dを減速させるとともに、第1調整コンベア11cを増速させる。言い換えると、広間隔部βが第2調整コンベア11dと振分コンベア20の境界に到達したときに、第2速度パターンから第1速度パターンに戻す。これにより、第1調整コンベア11cと第2調整コンベア11dの搬送速度が実質的に等速となるため、これらの2つの調整コンベア11c,11dによって広間隔部βは形成さなくなる。このように、通常時は衛生用紙束Bを第1速度パターンで搬送しつつ、所定個数の衛生用紙束Bごとに一時的に第2速度パターンを実行することにより、所定個数の衛生用紙束Bおきに広間隔部βを形成することができる。
【0040】
また、広間隔部βが第2調整コンベア11dと振分コンベア20の境界に到達したかどうかを、センサ25によって検知することとしてもよい。具体的には、
図5及び
図6に示されるように、第2調整コンベア11dの導出端付近又は誘導経路内にセンサ25を設ける。このセンサ25からの検知情報に基づいて、制御装置(不図示)は、衛生用紙束B同士の間の間隔を測定し、その間隔が広間隔部βに相当すると判断する。そして、制御装置は、衛生用紙束B同士の間の間隔が広間隔部βに相当すると判断したときに、第1調整コンベア11cと第2調整コンベア11dを制御し、これらのコンベアの搬送速度を第2速度パターンから第1速度パターンへと戻す。これにより、適切に速度パターンの切り替えを行なうことができる。センサ25は、衛生用紙束Bの存在又はその不存在を検知できるものであれば特に限定されず、例えば光センサ(光電センサ)や超音波センサ、感圧センサなど公知のセンサを用いればよい。また、速度パターンの切り替えは、センサ25により衛生用紙束B同士の間の間隙が検知された後のタイマー設定(検知してから所定時間経過後に切り替えを実行すること)や、センサ25の位置を調整することにより実行できる。
【0041】
また、
図6(c)では、主に、振分コンベア20(振分装置3)によって衛生用紙束Bの搬送経路を切り替えるタイミングを示している。前述した通り、衛生用紙束Bの搬送列には、所定個数おきに広間隔部βが形成されている。この場合に、振分コンベア20は、この広間隔部βを挟んで下流側の衛生用紙束B
1と上流側の衛生用紙束B
2との間で搬送経路の切り替えを行う。すなわち、本実施形態では、前述した通り、振分コンベア20の下流側に幅広コンベア12が設けられており、振分コンベア20を通過した衛生用紙束Bはこの幅広コンベア12に受け渡される。また、この幅広コンベア12には複数の搬送経路が形成されるようになっている。この場合に、広間隔部βを挟んで下流側の衛生用紙束B
1が振分コンベア20から幅広コンベア12上へと乗り移った後、広間隔部βを挟んで下流側の衛生用紙束B
2がまだ振分コンベア20上にあるタイミングで、振分コンベア20を回動させて搬送経路を切り替える。その結果、衛生用紙束B
1と衛生用紙束B
2とでは、振分コンベア20によって、幅広コンベア12上の別の搬送経路を送られることとなる。このように、衛生用紙束Bの搬送列に十分な間隔の広間隔部βを形成しておき、この広間隔部βにおいて搬送経路を切り替えることで、搬送経路の切替時に衛生用紙束Bが崩れたりコンベア上から落下したりする事態を回避することができる。
【0042】
また、前述したように、振分コンベア20は、導出端付近又は誘導経路内にセンサ24を含む(
図2等参照)。このセンサ24からの検知情報に基づいて、制御装置(不図示)は、衛生用紙束B同士の間の間隔を測定し、その間隔が広間隔部βに相当すると判断することとしてもよい。そして、制御装置は、衛生用紙束B同士の間の間隔が広間隔部βに相当すると判断したときに、振分コンベア20を制御し、振分コンベア20の先端付近において衛生用紙束Bの間隙が発生したタイミングで振分コンベア20を回動させて、衛生用紙束Bの搬送経路を切り替えることができる。これにより、確実に広間隔部βにおいて搬送経路の切り替えを実行できる。
【0043】
図7は、
図6に示した主コンベア装置11の動作の変形例を示している。
図7(a)は、
図6(b)と同様に第2速度パターンを示している。この第2速度パターンの実行後、
図6(c)に示した第1速度パターンに戻す前に、
図7(b)に示した第3速度パターンを実行する。つまり、
図7では、第1速度パターン、第2速度パターン、第3速度パターン、第1速度パターンの順に速度パターンが繰り返し変化することを想定している。
【0044】
より具体的には、所望の長さの広間隔部βが形成された後、この広間隔部βを挟んで下流側の先のグループに属する全ての衛生用紙束Bが、第2調整コンベア11dから振分コンベア20に乗り移り終えた後、これに続く後のグループの衛生用紙束Bが振分コンベア20に乗り移る前に(すなわち第2調整コンベア11d上にある状態で)、第2調整コンベア11dと搬送速度V4を第2速度パターンから第3速度パターンへ遷移させる。
図7(b)に示されるように、第3速度パターンでは、第1調整コンベア11cの搬送速度V3を、第1速度パターンのときの搬送速度よりも低速に調整するとともに、この搬送速度V3をと第2調整コンベア11dの搬送速度V4と実質的に等速にしている。すなわち、第2速度パターンのときには、第2調整コンベア11dの搬送速度V4は切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも高速とされ、第1調整コンベア11cの搬送速度V3は切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも低速(具体的にはカッターコンベア11aの搬送速度V1と実質的に等速)とされていたが(
図7(a)参照)、これに続く第3速度パターンでは、第2調整コンベア11dの搬送速度V4を、第1調整コンベア11cの搬送速度V3と実質的に等速となるように減速させる(V4=V3)。なお、このとき、第1調整コンベア11cの搬送速度V3を変える必要はなく、搬送速度V3は、切離しコンベア11bの搬送速度V2よりも低速、具体的にはカッターコンベア11aの搬送速度V1と実質的に等速にしたままとすればよい。これにより、この例では、搬送速度V4、搬送速度V3、及び搬送速度V1が実質的に等速となる(V4=V3=V1)。なお、振分コンベア20の搬送速度V5は、切離しコンベア11bの搬送速度V2と実質的に等しく設定されている。これにより、第2調整コンベア11d上にある衛生用紙束Bは第1調整コンベア11c上の衛生用紙束Bと同程度まで減速するため、第2調整コンベア11d上にある衛生用紙束Bと振分コンベア20上にある衛生用紙束Bとの間隔がさらに拡大する。すなわち、第3速度パターンを実行することより、広間隔部βをさらに拡大することができる。
図7(b)では、拡大された広間隔部を符号β´で示している。なお、広間隔部βが第2調整コンベア11dと振分コンベア20の境界に到達したかどうかは、第2調整コンベア11dの導出端付近等に設けられたセンサ25からの検知情報に基づいて判断することとしてもよい。このように第2速度パターンから第1速度パターンへと戻すまでの間に、一時的に第3速度パターンを実行することにより、広間隔部βをさらに拡大した広間隔部β´を形成することができる。なお、上述した例では、第2速度パターンから第3速度パターンへの遷移の際に第1調整コンベア11cの搬送速度V3は変化させないこととしているが、例えば第2速度パターン時に第1調整コンベア11cの搬送速度V3がカッターコンベア11aの搬送速度V1以上に設定されている場合、第3速度パターンへの遷移時に第1調整コンベア11cの搬送速度V3をカッターコンベア11aの搬送速度V1と実質的に等速になるように減速させることとしてもよい。
【0045】
その後、所望の長さの広間隔部β´が形成された後、この広間隔部β´を挟んで下流側の先のグループに属する全ての衛生用紙束Bが、第2調整コンベア11dから振分コンベア20に乗り移り終えて、さらにこれに続く後のグループの先頭の衛生用紙束B2が振分コンベア20に乗り移った以降に、第2調整コンベア11dと第1調整コンベア11cの搬送速度を第2速度パターンから第1速度パターンへと戻す。つまり、第1調整コンベア11cと第2調整コンベア11dの搬送速度V3,V4を、切離しコンベア11bの搬送速度V2と実質的に等速になるように増速させる。また、その後、衛生用紙束の間隔がαに戻った箇所が第1調整コンベア11cと第2調整コンベア11dの間に到達して以降、所定のタイミングで、再び第2速度パターンへと遷移させる。
【0046】
なお、前述した例では、第1速度パターンで、上流側の第1調整コンベア11cの搬送速度V3と下流側の第2調整コンベア11dの搬送速度V4を実質的に等速としている。ただし、これに限らず、第1速度パターンでは、第2調整コンベア11dの搬送速度V4から第1調整コンベア11cの搬送速度V3を差し引いた速度差(ただし正の値とする)を第2速度パターンのときよりも小さくすればよい。すなわち、前述した通り、第2速度パターンでは、基本的に搬送速度V4を搬送速度V3よりも高速に調整するため、これらの搬送速度V4と搬送速度V3の速度差は比較的大きくなる。一方で、第1速度パターンでは、搬送速度V3と搬送速度V4の速度差を実質的にゼロにすることが理想的ではあるが、実際にはこれらの速度差をなくすことは困難である。このため、第1速度パターンでは、少なくとも、搬送速度V3と搬送速度V4の速度差が、第2速度パターンのときの搬送速度V3と搬送速度V4の速度差よりも小さくなっていればよい。例えば、第2速度パターンのときの搬送速度V3と搬送速度V4の速度差を100%としたときに、第1速度パターンのときの搬送速度V3と搬送速度V4の速度差は0~50%であることが好ましく、0~30%又は0~10%であることが好ましい。
【0047】
続いて、
図8は、衛生用紙束B同士の間の間隔を拡大して、衛生用紙束Bを複数の搬送経路に振り分けてから、各搬送経路において衛生用紙束Bを包装して衛生用紙束製品を得るまでのフロー図を示している。
図8に示されるように、衛生用紙束製品の製造方法は、搬送工程(S1)、振分工程(S2)、減速工程(S3)、間隔調整工程(S4)、及び包装工程(S5)をこの順に含むことが好ましい。
【0048】
搬送工程(S1)は、裁断機2によって形成された個別の衛生用紙束Bを一つの経路に沿って連続的に搬送しつつ、その搬送経路において衛生用紙束B同士の間の間隔を拡大させる工程である。この搬送工程の詳細については、前述したとおりである。
【0049】
振分工程(S2)は、一つの経路に沿って連続的に搬送されてくる複数の衛生用紙束Bを複数の搬送経路に振り分ける工程である。振分工程の詳細については、前述したとおりである。
【0050】
減速工程(S3)は、振分工程後に、各搬送経路において衛生用紙束Bの搬送速度を減速する工程である。前述した通り、多連機1(
図1参照)では高速で衛生用紙束Bが生成され、衛生用紙束Bは搬送速度を維持したまま振分装置3によって各搬送経路へと振り分けられる。このとき、振分工程後の搬送速度のままでは、各搬送経路に設けられた包装機4が対応できない場合がある。そこで、振分工程後に衛生用紙束Bの搬送速度を包装機4が対応できる速度まで減速することが好ましい。特に衛生用紙束Bの製品長(搬送方向の長さ)に対して、衛生用紙束B同士の間の間隔を55%以上にした場合は、振分工程後に減速工程が必須である。
図9は、この減速工程の一例を示している。
図9に示した例では、各搬送経路において、個別コンベア13の下流側に複数の減速用コンベア14,15を配置し、衛生用紙束Bの搬送速度を段階的に減速することとしている。衛生用紙束Bの搬送速度を急激に減速すると、衛生用紙束B同士の間の間の間隔が詰まり過ぎて衛生用紙束B同士が衝突したり、衛生用紙束Bが型崩れしたりする恐れがあることから、衛生用紙束Bの搬送速度は段階的に落とすとよい。
図9に示した例では、搬送経路ごとに、幅広コンベア12から衛生用紙束Bを受け取る個別コンベア13、この個別コンベア13よりも搬送速度が遅い第1の減速用コンベア14、及びこの第1の減速用コンベア14よりもさらに搬送速度が遅い第2の減速用コンベア15を、この順に配置している。これにより、衛生用紙束Bの搬送速度を、包装機4が対応可能な速度まで段階的に減速することができる。
【0051】
また、減速工程(S3)の別例としては、幅広コンベア12の後に金属板等の非駆動エリアを設け、幅広コンベア12からこの非駆動エリアに衛生用紙束Bを投入して、非駆動力エリア上で衛生用紙束Bを一旦停止させることとしてもよい。衛生用紙束Bは、幅広コンベア12による搬送の勢いで非駆動エリア上に乗り移り、非駆動エリアの摩擦抵抗を受けて停止する。その後、非駆動エリアに衛生用紙束Bを一定数溜めた後に、プッシャー(搬送バー等)などを利用して、非駆動エリア上の衛生用紙束Bを下流の個別コンベア13へと送り出す。これにより、より短いスペースで衛生用紙束Bの急激な減速が可能となる。
【0052】
間隔調整工程(S4)は、減速工程後に、各搬送経路において衛生用紙束B同士の間の間隔を調整する工程である。各搬送経路に振り分けられた衛生用紙束Bは、その間隔にバラツキが生じている可能性があることから、衛生用紙束Bを包装機4に導入する前の段階で、衛生用紙束B同士の間の間隔をある程度均一に調整するとよい。ここでは、主に、衛生用紙束B同士の間の間隔を広げる目的で間隔調整工程を実行する例について説明する。上記の通り、各搬送経路において衛生用紙束Bの速度を段階的に減速させることが好ましいが、この場合、衛生用紙束B同士の間の間隔が段階的に狭くなっていく。すなわち、各搬送経路では、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bが連なって搬送されるが、例えば第1の衛生用紙束Bを搬送速度の速いコンベアから搬送速度の遅いコンベアに衛生用紙束Bを受け渡すときに、第1の衛生用紙束Bは減速することになる。すると、その後ろに続く第2の衛生用紙束Bは引き続き速いコンベアによって搬送されていることになるため、第1の衛生用紙束Bと第2の衛生用紙束B同士の間の間隔が詰まることになる。そこで、減速工程を経て狭くなってしまった衛生用紙束B同士の間の間隔を再度広げることを目的として、間隔調整を実行するとよい。なお、設備全体の搬送速度が遅い場合、減速工程(S3)は必ずしも必要ではなく、間隔調整工程(S4)のみで対応可能である。
【0053】
図10は、この間隔調整工程の一例を示している。
図10に示した例では、各搬送経路において、前述した減速用コンベア14,15の下流側に、第1の間隔調整用コンベア16と第2の間隔調整用コンベア17をこの順に配置している。この場合に、下流側の第2の間隔調整用コンベア17は、例えば、上流側の第1の間隔調整用コンベア16と比べて、衛生用紙束Bの搬送速度が速く設定されている。この場合、衛生用紙束Bは、第1の間隔調整用コンベア16から第2の間隔調整用コンベア17に受け渡されるときに加速し、そのときに衛生用紙束B同士の間の間隔が広くなる。また、下流側の第2の間隔調整用コンベア17は、上流側の第1の間隔調整用コンベア16と比べて、衛生用紙束Bの搬送速度が遅く設定されていてもよい。この場合、衛生用紙束Bは、第1の間隔調整用コンベア16から第2の間隔調整用コンベア17に受け渡されるときに減速し、そのときに衛生用紙束B同士の間の間隔が狭くなる。このように、搬送速度の異なる第1の間隔調整用コンベア16と第2の間隔調整用コンベア17を利用して、衛生用紙束Bの間隔を調整できる。例えば、この間隔調整工程では、振り分けでグループ(数個の束)ごとに開いてしまった衛生用紙束Bの間隔を詰めたり、衛生用紙束Bの間隔を等間隔に近づけたり、包装直前のコンベアでは包装機のタイミングに合わせて衛生用紙束を1束ずつ払い出すといった調整を行うことができる。
【0054】
一例として、
図10に示した例では、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bごとに、衛生用紙束B同士の間の間隔を広げる動作を実行している。つまり、所定個数の衛生用紙束Bでグループを形成し、第1のグループの末尾の衛生用紙束B
1と次の第2のグループの先頭の衛生用紙束B
2の間にて間隔調整を行う。なお、各グループ内での衛生用紙束B同士の間の間隔の調整は行わない。具体的には、間隔調整を行わないタイミングでは、第1の間隔調整用コンベア16と第2の間隔調整用コンベア17の搬送速度をほぼ等しくする。一方で、第1のグループに含まれる全ての衛生用紙束B(衛生用紙束B
1を含む)が第2の間隔調整用コンベア17の上に乗り、第1のグループに含まれる全て衛生用紙束B(衛生用紙束B
2を含む)が第1の間隔調整用コンベア16に乗った段階で、第2の間隔調整用コンベア17の搬送速度と第1の間隔調整用コンベア16の搬送速度を異ならせる。
図10に示した例では、第1のグループの末尾の衛生用紙束B
1と第2のグループの先頭の衛生用紙束B
2との間の間隔Gを拡大させている。例えば、第2の間隔調整用コンベア17を加速させて、その搬送速度を、第1の間隔調整用コンベア16の搬送速度よりも速く設定する。このとき、第1の間隔調整用コンベア16の搬送速度を減速させることとしてもよいし、第1の間隔調整用コンベア16を一時的に停止させることとしてもよい。これにより、衛生用紙束B
1と衛生用紙束B
2の間の間隔を拡大させることができる。また、状況に応じて、衛生用紙束B
1と衛生用紙束B
2の間の間隔を狭くするように、第1の間隔調整用コンベア16と第2の間隔調整用コンベア17の搬送速度を制御することとも可能である。この場合、上記したものと逆の動作を第1の間隔調整用コンベア16と第2の間隔調整用コンベア17に行わせる。これにより、各グループの間隔をある程度均一なものとすることができる。
【0055】
包装工程(S5)は、間隔調整後に、搬送経路ごとに配置された包装機4を用いて衛生用紙束Bを包装し、衛生用紙束製品を得る。包装機4は、衛生用紙束Bを一つずつ包装袋内に個包装するものであってもよいし、複数の衛生用紙束Bを集積して包装袋内に包装するものであってもよい。
図10に示した例では、所定個数(例えば4個)の衛生用紙束Bごとにグループが形成されている。この場合は、各グループに属する複数の衛生用紙束Bを集積して包装するとよい。
【0056】
以上、本願明細書では、本発明の内容を表現するために、図面を参照しながら本発明の実施形態の説明を行った。ただし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
【0057】
また、振り分け以降の各ラインの衛生用紙束の数量状態をセンサ等により検知することにより、振り分け先を調整する機能があるとなお好ましい。不具合やトラブルなどで間引いたりした場合、バランスが変わるのを自動的に直すことができる。
【0058】
また、例えば振分工程後の個別コンベア13以降の1部にて搬送経路(ライン)が停止した場合は、その信号を受けて、該当搬送経路への供給をやめるように、振分コンベア20を制御することとしてもよい。このように、振分コンベア20は、稼働中の搬送経路にのみ振り分けを行うように制御装置によって制御される。また、もし振分コンベア20よりも下流の搬送経路の一部にて一部停止が発生している場合、同じ速度で衛生用紙束の供給を続けると溢れてしまうことから、振分コンベア20よりも上流の搬送経路の搬送速度や、裁断機2による衛生用紙の積層体の切断速度を低下させる制御を行うことが好ましい。振り分けで1か所ラインを飛ばす動作となり、可動幅が倍となるため、速度を下げて対応する必要がある。
【符号の説明】
【0059】
11…主コンベア装置 11a…カッターコンベア
11b…切離しコンベア 11c…第1調整コンベア
11d…第2調整コンベア 12…幅広コンベア
13…個別コンベア 14…第1の減速用コンベア
15…第2の減速用コンベア 16…第1の間隔調整用コンベア
17…第2の間隔調整用コンベア 20…振分コンベア
21…下コンベア 22…上コンベア
23…支点 24…センサ
25…センサ P…衛生用紙
B…衛生用紙束