(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091475
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】合成樹脂製キャップ及び飲料製品
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20250612BHJP
【FI】
B65D41/04 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206646
(22)【出願日】2023-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132207
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】見城 広則
(72)【発明者】
【氏名】川村 伸生
(72)【発明者】
【氏名】大久保 健太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB02
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB03
3E084DB05
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FB05
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD04
3E084KA13
3E084KB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内容物を収容してなる容器の内圧上昇時においても当該容器の密封性を確保可能な合成樹脂製キャップ及びそれを用いた飲料製品を提供する。
【解決手段】容器の口部に取り付けられる合成樹脂製キャップは、天板部及びその周縁部に連続する筒状の側壁部を有し、筒状の側壁部の内周面には、当該内周面を周回するらせん軸に沿って順に配置された複数のネジ山が設けられており、複数のネジ山は、第1ネジ山群と第2ネジ山群とに区分され、第1及び第2ネジ山群は、それぞれ2つ以上のネジ山を含み、第1ネジ山群に含まれるネジ山は、らせん軸上に位置する区分点よりもらせん軸に沿って天板部側に位置し、その高さは基準高さ以下であり、第2ネジ山群に含まれるネジ山の高さは基準高さ以上であり、第1ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは基準高さよりも低く、第2ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは基準高さよりも高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられる合成樹脂製キャップであって、
天板部及び前記天板部の周縁部に連続する筒状の側壁部を有し、
前記筒状の側壁部の内周面には、当該内周面を周回するらせん軸に沿って順に配置された複数のネジ山が設けられており、
前記複数のネジ山は、第1ネジ山群と第2ネジ山群とに区分され、
前記第1ネジ山群及び前記第2ネジ山群は、それぞれ2つ以上のネジ山を含み、
前記第1ネジ山群に含まれるネジ山は、前記らせん軸上に位置する区分点よりも前記らせん軸に沿って前記天板部側に位置し、
前記第1ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以下であり、
前記第2ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以上であり、
前記第1ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも低く、
前記第2ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも高いことを特徴とする合成樹脂製キャップ。
【請求項2】
前記第1ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山の高さが最も低く、前記らせん軸に沿って前記天板部に最遠位のネジ山の高さが最も高いことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項3】
前記第2ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山の高さが最も低く、前記らせん軸に沿って前記天板部に最遠位のネジ山の高さが最も高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項4】
前記第2ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山及びその隣に位置するネジ山の高さが最も高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項5】
前記第1ネジ山群は、2つ以上のネジ山を含む第1低ネジ山群と、2つ以上のネジ山を含む第1高ネジ山群とに区分され、
前記第2ネジ山群は、2つ以上のネジ山を含む第2低ネジ山群と、2つ以上のネジ山を含む第2高ネジ山群とに区分され、
前記第1低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、
前記第1高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、
前記第2低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、
前記第2高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、
前記第1低ネジ山群、前記第1高ネジ山群、前記第2低ネジ山群及び前記第2高ネジ山群の順に、前記ネジ山の高さが高くなり、
前記第1低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山、前記第1高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山、前記第2低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山及び前記第2高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山は、その順で前記らせん軸に沿って配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項6】
前記区分点は、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿った距離が前記天板部に最も近いネジ山から前記らせん軸に沿って360°進んだ位置のネジ山と、前記らせん軸に沿って当該ネジ山の前記天板部側の隣りに位置するネジ山との間のベント内に位置する基準点を中心とし、前記らせん軸上における±135°の角度範囲内に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項7】
前記複数のネジ山は、3種類以上の異なる高さのネジ山を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップ。
【請求項8】
飲料を充填してなる容器と、
前記容器の口部に取り付けられてなる請求項1又は2に記載の合成樹脂製キャップと
を備えることを特徴とする飲料製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の包装容器の口部に取り付けられ、当該容器の口部を密封するための合成樹脂製キャップ及び飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の包装容器として、ポリエチレンテレフタレートに代表される合成樹脂製容器が広く利用されている。このような包装容器の口部に取り付けられる合成樹脂製キャップとしては、例えば、いわゆるワンピースキャップが挙げられる。ワンピースキャップは、天板部及び天板部の周縁部に連続して垂下する周壁部を有し、周壁部の内周面には、ネジ山が設けられ、包装容器の口部の内周面に密着可能な環状の中足部が、天板部の内面に連続している。
【0003】
周壁部の内周面に設けられているネジ山が包装容器の口部外周面に設けられているネジ山と螺合するが、例えば包装容器の内圧の上昇により合成樹脂製キャップのネジ山が包装容器のネジ山から外れてしまうと、包装容器の内部の密封性が確保されなくなってしまう。そのため、包装容器の内圧が上昇したときであっても、合成樹脂製キャップのネジ山が、包装容器のネジ山から外れてしまうことなく、包装容器内部の密封性が確保されることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-20814号公報
【特許文献2】特許第6671279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内容物を収容してなる容器の内圧上昇時においても当該容器の密封性を確保可能な合成樹脂製キャップ及びそれを用いた飲料製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器の口部に取り付けられる合成樹脂製キャップであって、天板部及び前記天板部の周縁部に連続する筒状の側壁部を有し、前記筒状の側壁部の内周面には、当該内周面を周回するらせん軸に沿って順に配置された複数のネジ山が設けられており、前記複数のネジ山は、第1ネジ山群と第2ネジ山群とに区分され、前記第1ネジ山群及び前記第2ネジ山群は、それぞれ2つ以上のネジ山を含み、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山は、前記らせん軸上に位置する区分点よりも前記らせん軸に沿って前記天板部側に位置し、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以下であり、前記第2ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以上であり、前記第1ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも低く、前記第2ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも高いことを特徴とする合成樹脂製キャップを提供する。
【0007】
また、本発明は、飲料を充填してなる容器と、前記容器の口部に取り付けられてなる上記合成樹脂製キャップとを備えることを特徴とする飲料製品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内容物を収容してなる容器の内圧上昇時においても当該容器の密封性を確保可能な合成樹脂製キャップ及びそれを用いた飲料製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップがプラスチックボトルの口部に取り付けられた状態を示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップのネジ山の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップの第1ネジ山群に含まれるネジ山の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップの第2ネジ山群に含まれるネジ山の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップのネジ山の他の態様の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製キャップのネジ山の高さを説明するための部分拡大切断端面図である。
【
図8】
図8は、比較例1の合成樹脂製キャップのネジ山の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【
図9】
図9は、比較例3の合成樹脂製キャップのネジ山の概略構成を説明するための側壁部の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態における第1の態様は、容器の口部に取り付けられる合成樹脂製キャップであって、天板部及び前記天板部の周縁部に連続する筒状の側壁部を有し、前記筒状の側壁部の内周面には、当該内周面を周回するらせん軸に沿って順に配置された複数のネジ山が設けられており、前記複数のネジ山は、第1ネジ山群と第2ネジ山群とに区分され、前記第1ネジ山群及び前記第2ネジ山群は、それぞれ2つ以上のネジ山を含み、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山は、前記らせん軸上に位置する区分点よりも前記らせん軸に沿って前記天板部側に位置し、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以下であり、前記第2ネジ山群に含まれるネジ山の高さは、基準高さ以上であり、前記第1ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも低く、前記第2ネジ山群に含まれる少なくとも1つのネジ山の高さは、前記基準高さよりも高いことを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0011】
本実施形態における第2の態様は、上記第1の態様において、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山の高さが最も低く、前記らせん軸に沿って前記天板部に最遠位のネジ山の高さが最も高いことを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0012】
本実施形態における第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記第2ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山の高さが最も低く、前記らせん軸に沿って前記天板部に最遠位のネジ山の高さが最も高いことを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0013】
本実施形態における第4の態様は、上記第1又は第2の態様において、前記第2ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿って前記天板部に最近位のネジ山及びその隣に位置するネジ山の高さが最も高いことを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0014】
本実施形態における第5の態様は、上記第1~第3の態様のいずれかにおいて、前記第1ネジ山群は、2つ以上のネジ山を含む第1低ネジ山群と、2つ以上のネジ山を含む第1高ネジ山群とに区分され、前記第2ネジ山群は、2つ以上のネジ山を含む第2低ネジ山群と、2つ以上のネジ山を含む第2高ネジ山群とに区分され、前記第1低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、前記第1高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、前記第2低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、前記第2高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山のそれぞれの高さは同一であり、前記第1低ネジ山群、前記第1高ネジ山群、前記第2低ネジ山群及び前記第2高ネジ山群の順に、前記ネジ山の高さが高くなり、前記第1低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山、前記第1高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山、前記第2低ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山及び前記第2高ネジ山群に含まれる2つ以上のネジ山は、その順で前記らせん軸に沿って配置されていることを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0015】
本実施形態における第6の態様は、上記第1~第5の態様のいずれかにおいて、前記区分点は、前記第1ネジ山群に含まれるネジ山のうち、前記らせん軸に沿った距離が前記天板部に最も近いネジ山から前記らせん軸に沿って360°進んだ位置のネジ山と、前記らせん軸に沿って当該ネジ山の前記天板部側の隣りに位置するネジ山との間のベント内に位置する基準点を中心とし、前記らせん軸上における±135°の角度範囲内に位置することを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0016】
本実施形態における第7の態様は、上記第1~第6の態様のいずれかにおいて、前記複数のネジ山は、3種類以上の異なる高さのネジ山を含むことを特徴とする合成樹脂製キャップである。
【0017】
本実施形態における第8の態様は、飲料を充填してなる容器と、前記容器の口部に取り付けられてなる上記第1~第7の態様のいずれかの合成樹脂製キャップとを備えることを特徴とする飲料製品である。
【0018】
本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10(
図2参照)の口部11に被せるようにして取り付けられ、当該プラスチックボトル10を閉栓するためのものである。なお、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1の説明において、「上」及び「下」は、口部11に合成樹脂製キャップ1が取り付けられたプラスチックボトル10を水平面に立てた状態での鉛直方向における「上」及び「下」を意味するものとする。
【0019】
プラスチックボトル10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂材料により構成され得る。プラスチックボトル10は、例えば、穀類分解物含有発泡性飲料、サワー類、カクテル類、チューハイ類等の発泡性飲料(アルコール飲料及び非アルコール飲料を含む)を内容物とする包装容器であって、その容量は例えば100~5000mLである。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10に上記内容物を収容してなる製品(飲料製品等)において、当該プラスチックボトル10の口部11に取り付けられてなる蓋材として用いられるものである。
【0020】
なお、本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」としては、穀類の分解物を含む発泡性飲料であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、麦芽、大麦の分解物を含む飲料を例示することができる。本実施形態において、「穀類」とは、穀物であれば特に限定されるものではなく、例えば、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆等が挙げられ、好ましくは大麦が挙げられる。穀類の分解物の具体的な態様としては、麦芽、大麦、小麦、大豆、エンドウ豆、トウモロコシの分解物であり、例えば、大豆タンパク、大豆ペプチド、エンドウ豆タンパク、コーンタンパク分解物が挙げられる。
【0021】
本実施形態における「穀類分解物含有発泡性飲料」の具体例としては、好ましくは麦芽分解物含有発泡性飲料であり、より好ましくはビール系飲料である。ビール系飲料とは、通常、ビールを製造した場合(酵母等による発酵に基づいてビールを製造した場合)に得られるビール特有の味わい、香りを有する飲料を意味し、例えば、ビール、発泡酒、リキュール等の発酵麦芽飲料や、その他の醸造酒、若しくは完全無アルコール麦芽飲料(非アルコール麦芽飲料)等の非発酵麦芽飲料が挙げられる。また、ビール系飲料としては、麦芽飲料のみならず、麦や麦芽を使用しない非麦飲料であってもよい。かかる非麦飲料としては、エンドウ豆、大豆、トウモロコシ等を用いた、ビール風の発泡性アルコール含有飲料、完全無アルコール飲料等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、キャップ本体2と、キャップ本体2の下方端部に複数のブリッジ3を介して連結されているタンパーエビデンスバンド4とを有し、他にパッキン等を有しない、いわゆるワンピース(1ピース)キャップである。
【0023】
キャップ本体2は、平面視略円形の天板部21と、天板部21の周縁部22に連続して垂下する筒状の側壁部23とを有する。この側壁部23の下端に複数のブリッジ3を介してタンパーエビデンスバンド4が連結されている。天板部21の内面には、プラスチックボトル10の口部11を密封するための中足部5及び外足部6が設けられている。側壁部23の内周面には、プラスチックボトル10の口部11に設けられているネジ山に対応する複数のネジ山7が設けられている。合成樹脂製キャップ1をプラスチックボトル10の口部11に取り付けたとき、外足部6はプラスチックボトル10の口部11の外面に密着し、中足部5は口部11の内面に密着する(
図2参照)。これにより、プラスチックボトル10の口部11が良好に密封される。
【0024】
合成樹脂製キャップ1(キャップ本体2)の直径(外径)は、プラスチックボトル10の口部11の大きさに応じて適宜設定され得るものではあるが、例えば、20~60mm程度である。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10の内圧が上昇しても、当該合成樹脂製キャップ1のネジ山7がプラスチックボトル10の口部11のネジ山12から外れにくく、プラスチックボトル10の密封性を確保することができる。この効果は、合成樹脂製キャップ1の直径(外径)が大きくなるほど顕著に表れる。したがって、合成樹脂製キャップ1の直径(外径)が33~60mm程度であると、上記効果が顕著に表れると考えられる。
【0025】
複数のネジ山7は、キャップ本体2の側壁部23の内周面に、所定のらせん軸HAに沿って実質的に等間隔で配置されている。隣接するネジ山7間には、ベント75が設けられている。各ネジ山7の幅W7は実質的に同一であればよく、各ベント75の幅W75は実質的に同一であればよい。複数のネジ山7は、らせん軸HA上に位置する所定の区分点DPから当該らせん軸HAに沿って天板部21側に向かって配置されている複数のネジ山71,71を有する第1ネジ山群G71と、当該区分点DPから当該らせん軸HAに沿って下方に向かって配置されている複数のネジ山72,72を有する第2ネジ山群G72とに区分される。
【0026】
区分点DPは、らせん軸HA上のベント75内に位置する点である。区分点DPは、基準点RPを中心とした、らせん軸HA上における±135°、好ましくは±90°の角度範囲内に位置すればよい。基準点RPは、第1ネジ山群G71に含まれるネジ山71,71のうち、らせん軸HAに沿った距離が天板部21に最も近いネジ山711から、らせん軸HAに沿って360°周回した位置のネジ山720の隣(らせん軸HAに沿って天板部21側の隣)のネジ山723の間のベント751内に位置する点である(
図3参照)。なお、
図3に示す例においては、基準点RPが第2ネジ山群G72内のベント751内に位置するが、この態様に限定されるものではなく、基準点RPが第1ネジ山群G71内のベント75内に位置していてもよいし、基準点RPと区分点DPとが同一ベント75内に位置していてもよい。
【0027】
一般に、プラスチックボトル内の圧力が上昇した際に、合成樹脂製キャップの側壁部の内周面に設けられた複数のネジ山のうち、プラスチックボトルの口部に設けられたネジ山から外れやすい部分がある。例えば、合成樹脂製キャップの天板部の最近位のネジ山を通る、天板部に対する垂直方向に沿った線分を中心とした±90°の角度範囲において、合成樹脂製キャップのネジ山がプラスチックボトルの口部のネジ山から外れやすく、プラスチックボトルの密封性を確保することが困難となる。そのため、上記基準点RPを中心とした上記角度範囲内に上記区分点DPを設定し、らせん軸HAに沿って区分点DPよりも天板部21側に位置する第1ネジ山群G71に含まれるネジ山71の高さを相対的に低くし、第2ネジ山群G72に含まれるネジ山72の高さを相対的に高くすることで、プラスチックボトル10の内圧が上昇しても、合成樹脂製キャップ1のネジ山7がプラスチックボトル10の口部11のネジ山12から外れにくくなり、プラスチックボトル10の密封性を確保することができると考えられる。
【0028】
第1ネジ山群G71に含まれる複数のネジ山71,71の高さは、所定の基準高さ以下であって、当該複数のネジ山71,71のうちの少なくとも1つのネジ山71の高さは、当該基準高さよりも低い。基準高さよりも低いネジ山71の高さは、プラスチックボトル10の内圧が上昇しても密封性を確保可能な程度の高さであればよいが、例えば、基準高さに対して60~95%程度の高さであればよい。例えば、らせん軸HAに沿った配列順において、天板部21に最も近いネジ山71の高さは、基準高さよりも低ければよい。また、天板部21に最も近いネジ山711及びその隣に位置するネジ山712の高さが基準高さよりも低く、その他のネジ山71の高さが基準高さであってもよい(
図6参照)。好ましくは、天板部21に最も近いネジ山711の高さが、その隣に位置するネジ山712の高さよりも低ければよい。より好ましくは、第1ネジ山群G71に含まれるすべてのネジ山71,71の高さが、基準高さよりも低ければよい。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、例えば、合成樹脂製キャップ1を構成する樹脂材料を、金型を用いた圧縮成形等により成形したのち、金型から成形品である合成樹脂製キャップ1を無理抜きで抜き出すことで製造される。金型から成型品(合成樹脂製キャップ1)を抜き出すとき、ネジ山7の高さによっては、当該ネジ山7に変形が生じることがある。本実施形態における「基準高さ」とは、合成樹脂製キャップ1の製造時にネジ山7に変形が生じにくい高さを意味する。より具体的には、「基準高さ」とは、らせん軸HAに沿って並列する複数のネジ山7のうち、天板部21に最も近いネジ山711と天板部21から最も遠いネジ山721との間の中央に位置するネジ山720の高さを意味していてもよい(
図3参照)。ネジ山7の数が偶数である場合(
図6参照)、基準高さは、中央に位置する2つのネジ山724,725の高さの算術平均値であればよい。当該基準高さは、一定の数値ではなく、合成樹脂製キャップ1の直径等によって変わり得るものである。なお、ネジ山7(71,72)の高さH
7は、側壁部23の内周面231に対する接線TLに直交し、ネジ山7(71,72)の幅方向中心(らせん軸HA方向における中心)を通る線分と平行な方向における当該内周面231とネジ山7(71,72)の天面7Tとの間の長さを意味する(
図7参照)。ネジ山7(71,72)の高さH
7は、例えば、輪郭形状測定機(コントレーサ,ミツトヨ社製)を用いて計測され得る。
【0029】
第2ネジ山群G72に含まれる複数のネジ山72,72の高さは、所定の基準高さ以上であって、当該複数のネジ山72,72のうちの少なくとも1つのネジ山72の高さは、当該基準高さよりも高い。基準高さよりも高いネジ山72の高さは、プラスチックボトル10の内圧が上昇しても密封性を確保可能な程度の高さであり、かつ合成樹脂製キャップ1の製造時にネジ山に変形が生じない程度の高さであればよいが、例えば、基準高さに対して105~150%程度の高さであればよい。例えば、らせん軸HAに沿った配列順において、天板部21から最も遠いネジ山72(721)の高さが、基準高さよりも高くてもよい(
図3参照)。また、らせん軸HAに沿った配列順において、天板部21に最も近いネジ山72(724)及びその隣に位置するネジ山72(725)の高さが、基準高さよりも高くてもよい(
図6参照)。
図6に示す態様において、第2ネジ山群G72に含まれる複数のネジ山72のうち、ネジ山724,725以外のネジ山72の高さは、基準高さであればよいが、第2ネジ山群G72に含まれるすべてのネジ山72,72の高さが、基準高さよりも高くてもよい。
【0030】
本実施形態において、複数のネジ山7は、3種類以上の高さのネジ山7を含んでいればよい。例えば、基準高さ未満の高さのネジ山7と、基準高さのネジ山7と、基準高さを超える高さのネジ山7とを含んでいればよい。好ましくは、複数のネジ山7は、4種の高さのネジ山7を含んでいればよく、例えば、第1ネジ山群G71(複数のネジ山71,71)は、複数のネジ山71L,71Lを含む第1低ネジ山群GL71と、複数のネジ山71H,71Hを含む第1高ネジ山群GH71とに区分されればよく、第2ネジ山群G72(複数のネジ山72,72)は、複数のネジ山72L,72Lを含む第2低ネジ山群GL72と、複数のネジ山72H,72Hを含む第2高ネジ山群GH72とに区分されればよい(
図3~5参照)。この場合において、第1低ネジ山群GL71に含まれる複数のネジ山71L,71Lの高さ、第1高ネジ山群GH71に含まれる複数のネジ山71H,71Hの高さ、第2低ネジ山群GL72に含まれる複数のネジ山72L,72Lの高さ及び第2高ネジ山群GH72に含まれる複数のネジ山72H,72Hの高さは、それぞれ同一であり、らせん軸HAに沿って、ネジ山71L、ネジ山71H、ネジ山72L、ネジ山72Hの順にその高さが高くなっていればよい。すなわち、らせん軸HAに沿った配列順において、天板部21に最も近い第1低ネジ山群GL71に含まれるネジ山71Lの高さが最も低く、らせん軸HAに沿って下方に向かうに従い、ネジ山7の高さが高くなっていればよい。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、当該合成樹脂製キャップ1を構成する樹脂材料を、金型を用いた圧縮成形等により成形したのち、金型から成形品である合成樹脂製キャップ1を無理抜きで抜き出すことで製造される。金型から成形品である合成樹脂製キャップ1を抜き出すとき、ネジ山7の高さが基準高さよりも高いと、ネジ山7の変形が生じやすくなる。特に、天板部21に相対的に近いネジ山7(例えば、第1ネジ山群G71に含まれるネジ山71)において変形が生じやすく、天板部21から相対的に遠いネジ山7(例えば、第2ネジ山群G72に含まれるネジ山72)においては変形が生じにくい。ネジ山7に変形が生じてしまうと、プラスチックボトル10の口部11に設けられているネジ山12との接触面積が相対的に低減するため、密封性が低下してしまう。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1においては、第1ネジ山群G71(第1低ネジ山群GL71及び第1高ネジ山群GH71)に含まれる複数のネジ山71,71(ネジ山71L,71H)の高さが基準高さ以下であることで、合成樹脂製キャップ1の製造時においてそれらのネジ山71,71(ネジ山71L,71H)に変形が生じるのを抑制することができる。一方で、第2ネジ山群G72(第2低ネジ山群GL72及び第2高ネジ山群GH72)に含まれる複数のネジ山72,72(ネジ山72L,72H)の高さは基準高さ以上であるが、複数のネジ山7のうち、相対的に下方に位置するネジ山7には製造時に変形が生じにくい。すなわち、合成樹脂製キャップ1の製造時において、基準高さ以上である第2ネジ山群G72に含まれるネジ山72,72(ネジ山72L,72H)には変形が生じにくい。そのため、合成樹脂製キャップ1のすべてのネジ山7において変形が生じるのを抑制することができる。その結果として、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、プラスチックボトル10の内圧が上昇したときであっても、プラスチックボトル10における密封性を確保することができる。
【0031】
キャップ本体2の側壁部23とタンパーエビデンスバンド4との境界部分には、複数のブリッジ3が周方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。キャップ本体2の側壁部23とタンパーエビデンスバンド4とを連結する複数のブリッジ3は、所定の力で引っ張られることで破断するように構成されている。タンパーエビデンスバンド4の内面には、その下端部から内側斜め上方に向かって折り返され、かつ周方向に沿って断続的な係止部8が設けられている。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1がプラスチックボトル10の口部11に取り付けられた状態で、係止部8は、プラスチックボトル10の口部11の膨出部13の直下に位置しており、開栓操作によって当該膨出部13に係止される。
【0032】
プラスチックボトル10の口部11に取り付けられた合成樹脂製キャップ1が開栓方向に回転し始めると、係止部8が口部11の膨出部13に係止され、複数のブリッジ3に引張力が作用する。合成樹脂製キャップ1がさらに回転すると、複数のブリッジ3は大きく引っ張られて破断する。これにより、天板部21及び側壁部23がタンパーエビデンスバンド4から分離され、プラスチックボトル10が開栓される。開栓後のタンパーエビデンスバンド4は、係止部8が膨出部13に引っ掛かることで、プラスチックボトル10から脱離することはない。
【0033】
本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1によれば、プラスチックボトル10の内圧上昇時においても、プラスチックボトル10の口部11から合成樹脂製キャップ1が外れてしまうこと、それに伴い内容物が漏洩してしまうことを防止することができるため、プラスチックボトル10の密封性を確保することができる。なお、プラスチックボトル10に飲料を充填し、口部11に合成樹脂製キャップ1を取り付けて閉栓した飲料製品の生産時において、加熱殺菌工程が施されることがある。この加熱殺菌工程により、プラスチックボトル10に充填された飲料が50℃以上に加熱され、それに伴いプラスチックボトル10の内圧が上昇する。この内圧が基準となる圧力(基準圧力)を超えて上昇し、合成樹脂製キャップ1が外れてしまうと、内容物である飲料の漏洩が生じてしまう。基準圧力は、プラスチックボトル10の内容物である発泡性飲料のガス圧(炭酸ガス圧)及び温度(液温)等によって異なるが、一例として、内容量3000mL、口部内径φ29.1mmのプラスチックボトル10に穀類分解物含有発泡性飲料を充填し、合成樹脂製キャップ1により閉栓し、50℃程度に加熱した場合、プラスチックボトル10の内圧は550kPa程度にまで上昇する。本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1によれば、プラスチックボトル10の内圧が550kPa以上に上昇したとしても、口部11のネジ山12から外れることなく、プラスチックボトル10の密封性を十分に確保することができる。また、本実施形態に係る合成樹脂製キャップ1は、基準高さよりも高いネジ山72Hを有するが、当該ネジ山72Hが合成樹脂製キャップ1の製造時に変形しにくいことで、プラスチックボトル10の口部11のネジ山12と密着し、十分な密封性を確保することができる。
【0034】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0035】
上記実施形態において、
図3に示すように、第1ネジ山群G71に含まれるネジ山71がその高さに応じて第1低ネジ山群GL71及び第1高ネジ山群GH71に区分され、第2ネジ山群G72に含まれるネジ山72がその高さに応じて第2低ネジ山群GL72及び第2高ネジ山群GH72に区分された態様を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、この態様において、第1ネジ山群G71に含まれるすべてのネジ山71の高さが基準高さよりも低く、かつ同一であってもよいし、第2ネジ山群G72に含まれるすべてのネジ山の高さが基準高さよりも高く、かつ同一であってもよい。すなわち、すべてのネジ山7が、その高さに応じて3つの群に区分されていてもよいし、5つ以上の群に区分されていてもよい。
【0036】
また、上記実施形態において、
図6に示すように、第2ネジ山群G72に含まれるネジ山72のうち、天板部21に最も近いネジ山724及びそれに隣接するネジ山725の高さが基準高さよりも高く、その他のネジ山72が基準高さである態様を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、この態様において、当該ネジ山724,725に加え、天板部21から最も遠いネジ山72及び/又はそれに隣接するネジ山72の高さが基準高さよりも高くてもよい。さらに、上記実施形態において、らせん軸HAに沿って720°超で配列される複数のネジ山7を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、複数のネジ山7は、らせん軸HAに沿って360°以上720°以下で配列されていてもよい。また、らせん軸HAに沿って配列される複数のネジ山7のうち、天板部21に最も近いネジ山711と天板部21から最も遠いネジ山721との間の中央に位置するネジ山の高さが最も高くてもよい。
【実施例0037】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0038】
〔実施例1〕
図1及び
図3に示す態様の合成樹脂製キャップ1を製造した。当該合成樹脂製キャップ1において、第1低ネジ山群GL71のネジ山71Lの高さを0.6mm、第1高ネジ山群GH71のネジ山71Hの高さを0.8mm、第2低ネジ山群GL72のネジ山72Lの高さを0.95mm、第2高ネジ山群GH72のネジ山72Hの高さを1.1mmとした。なお、当該合成樹脂製キャップ1における基準高さは0.85mmである。製造された合成樹脂製キャップ1において、すべてのネジ山7(71,72)に変形が生じておらず、特に基準高さよりも高いネジ山72L,72Hにおいても変形が生じていなかった。
【0039】
〔実施例2〕
図1及び
図6に示す態様の合成樹脂製キャップ1を製造した。当該合成樹脂製キャップ1において、第1ネジ山群G71のネジ山711の高さを0.3mm、ネジ山712の高さを0.6mm、第2ネジ山群G72のネジ山724,725の高さを1.0mm、その他のすべてのネジ山7(71,72)の高さを0.85mmとした。なお、当該合成樹脂製キャップ1における基準高さは0.85mmである。製造された合成樹脂製キャップ1において、すべてのネジ山7(71,72)に変形が生じておらず、特に基準高さよりも高いネジ山724,725においても変形が生じていなかった。
【0040】
〔比較例1〕
図8に示す態様のネジ山7’を有する合成樹脂製キャップを製造した。当該合成樹脂製キャップにおいて、すべてのネジ山7’の高さを0.85mmとした。なお、当該合成樹脂製キャップにおける基準高さは0.85mmである。
【0041】
〔比較例2〕
天板部に最も近いネジ山とその隣のネジ山の高さを0.6mm、それ以外のすべてのネジ山の高さを0.85mmとした以外は実施例1と同様の構成を有する合成樹脂製キャップを製造した。なお、当該合成樹脂製キャップにおける基準高さは0.85mmである。
【0042】
〔比較例3〕
図9に示す態様のネジ山7”を有する合成樹脂製キャップを製造した。当該合成樹脂製キャップにおいて、天板部に最も近いネジ山711”の高さを0.6mm、それ以外のネジ山7”の高さを0.85mmとした。天板部から最も遠いネジ山721”及びそれに隣接するネジ山722”の間のベント751”かららせん軸HAに沿って360°周回した位置と、ネジ山722”及びそれに隣接するネジ山723”の間のベント752”かららせん軸HAに沿って360°周回した位置とにベントを形成せず、相対的に幅の長い1つのネジ山724”(隣接する3つのネジ山を一体化させた形状)を設けた。なお、当該合成樹脂製キャップにおける基準高さは0.85mmである。
【0043】
[試験例1]高温保管評価試験
内容量3000mL、口部内径φ29.1mmのプラスチックボトルに発泡性飲料を充填し、実施例1~2及び比較例1~3の各合成樹脂製キャップを用いて閉栓して試験サンプルとした。各試験サンプルを殺菌した後、55℃の恒温槽で9時間保管、23℃の恒温庫で15時間保管するヒートサイクルを2回繰り返して行った。高温保管後の試験サンプルを外観観察することにより、内容液の漏洩について以下の基準で評価した。
【0044】
<評価基準>
○:内圧600kPa以上で内容液の漏洩なし
△:内圧550kPa以上で内容液の漏洩なし、600kPa以上で内容液の漏洩あり
×:内圧550kPa未満で内容液の漏洩あり
結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
表1に示すように、実施例1及び実施例2においては、少なくとも内圧550kPaまで上昇しても合成樹脂製キャップがプラスチックボトルの口部から外れることなく、内容液の漏洩を防止可能であることが確認された。
【0047】
また、実施例1の合成樹脂製キャップ1の天板部21の肉厚を変化させたものも製造し、上記高温保管評価試験を実施したところ、実施例1の合成樹脂製キャップ1と同等の効果を奏することが確認された。したがって、実施例1及び実施例2(
図3~6)におけるネジ山7の態様により、プラスチックボトルの内圧上昇時における密封性の確保の効果を奏するものと考えられる。