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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025091995
(43)【公開日】2025-06-19
(54)【発明の名称】流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250612BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20250612BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20250612BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643C
H01L21/304 648K
H01L21/306 R
B08B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023207603
(22)【出願日】2023-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】青 諭志
【テーマコード(参考)】
3B201
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA01
3B201AB42
3B201BB22
3B201BB32
3B201BB42
3B201BB88
3B201BB92
5F043EE07
5F157AB02
5F157AB33
5F157BB11
5F157BB32
5F157BB42
5F157CB01
5F157CD27
5F157CE25
5F157CF40
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF92
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】ノズルの位置のずれを精度よく検知できる流体供給装置を提供する。
【解決手段】流体供給装置は、対象物に向けて第1流体を供給する第1ノズルと、検知用の光を発する発光部、および光を受光する受光部を含む光センサと、光を遮らない第1非遮光位置と光を遮る第1遮光位置とに配置可能な第1遮光部材と、受光部による受光量に基づいて第1ノズルの変位を検知する検知部と、を備える。第1遮光部材は、第1ノズルの変位に連動して変位することで第1遮光位置と第1非遮光位置を切り替え可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に向けて第1流体を供給する第1ノズルと、
検知用の光を発する発光部、および前記光を受光する受光部を含む光センサと、
前記光を遮らない第1非遮光位置と前記光を遮る第1遮光位置とに配置可能な第1遮光部材と、
前記受光部による受光量に基づいて前記第1ノズルの変位を検知する検知部と、を備え、
前記第1遮光部材は、前記第1ノズルの変位に連動して変位することで前記第1遮光位置と前記第1非遮光位置を切り替え可能である、
流体供給装置。
【請求項2】
前記対象物に向けて第2流体を供給する第2ノズルと、
前記光を遮らない第2非遮光位置と前記光を遮る第2遮光位置とに配置可能な第2遮光部材と、をさらに備え、
前記第2遮光部材は、前記第2ノズルの変位に連動して変位することで前記第2遮光位置と前記第2非遮光位置を切り替え可能である、
請求項1記載の流体供給装置。
【請求項3】
前記第1遮光部材に、前記光が通過する第1光通過領域が形成されている、請求項1記載の流体供給装置。
【請求項4】
前記第1光通過領域は、開口または透明窓である、請求項3記載の流体供給装置。
【請求項5】
前記第2遮光部材に、前記光が通過する第2光通過領域が形成されている、請求項2記載の流体供給装置。
【請求項6】
前記第2光通過領域は、開口または透明窓である、請求項5記載の流体供給装置。
【請求項7】
前記光センサは、少なくとも一部が前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間に配置されている、
請求項2に記載の流体供給装置。
【請求項8】
前記発光部は前記対象物から離れる方向に前記光を照射する、
請求項1項に記載の流体供給装置。
【請求項9】
前記第1遮光部材の少なくとも一部を覆うカバーをさらに備える、
請求項1~8のうちいずれか1項に記載の流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に向けて流体を供給する供給装置が用いられている。供給装置は、例えば、半導体ウェハ等の基板に流体(例えば、薬液、リンス液など)を供給するノズルを備える(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-217159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記装置では、ノズルの位置を正確に定めるのは容易でなかった。ノズルの位置が不正確となると、対象物に対して正しい位置に流体(薬液、リンス液など)を供給することが難しくなることがあった。そのため、ノズルの位置にずれが生じた場合に、このずれを精度よく検知することが求められていた。
【0005】
本発明は、ノズルの位置のずれを精度よく検知できる流体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る流体供給装置は、対象物に向けて第1流体を供給する第1ノズルと、検知用の光を発する発光部、および前記光を受光する受光部を含む光センサと、前記光を遮らない第1非遮光位置と前記光を遮る第1遮光位置とに配置可能な第1遮光部材と、前記受光部による受光量に基づいて前記第1ノズルの変位を検知する検知部と、を備え、前記第1遮光部材は、前記第1ノズルの変位に連動して変位することで前記第1遮光位置と前記第1非遮光位置を切り替え可能である。
【0007】
本発明の第2の態様に係る流体供給装置は、第1の態様において、前記対象物に向けて第2流体を供給する第2ノズルと、前記光を遮らない第2非遮光位置と前記光を遮る第2遮光位置とに配置可能な第2遮光部材と、をさらに備え、前記第2遮光部材は、前記第2ノズルの変位に連動して変位することで前記第2遮光位置と前記第2非遮光位置を切り替え可能である。
【0008】
本発明の第3の態様に係る流体供給装置は、第1の態様において、前記第1遮光部材に、前記光が通過する第1光通過領域が形成されている。
【0009】
本発明の第4の態様に係る流体供給装置は、第3の態様において、前記第1光通過領域は、開口または透明窓である。
【0010】
本発明の第5の態様に係る流体供給装置は、第2の態様において、前記第2遮光部材に、前記光が通過する第2光通過領域が形成されている。
【0011】
本発明の第6の態様に係る流体供給装置は、第5の態様において、前記第2光通過領域は、開口または透明窓である。
【0012】
本発明の第7の態様に係る流体供給装置は、第2の態様において、前記光センサは、少なくとも一部が前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間に配置されている。
【0013】
本発明の第8の態様に係る流体供給装置は、第1~第7の態様うちいずれか1つにおいて、前記発光部は前記対象物から離れる方向に前記光を照射する。
【0014】
本発明の第9の態様に係る流体供給装置は、第1~第8の態様うちいずれか1つにおいて、前記第1遮光部材の少なくとも一部を覆うカバーをさらに備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、ノズルの位置のずれを精度よく検知できる流体供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る流体供給装置を備えた基板処理装置の構成図である。
図2】第1実施形態に係る流体供給装置の一部の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る流体供給装置の一部の斜視図である。
図4】第1実施形態に係る流体供給装置のノズルの断面図である。
図5】第1実施形態に係る流体供給装置の一部の平面図である。
図6】第1実施形態に係る流体供給装置の動作を示す説明図である。
図7】第1実施形態に係る流体供給装置の動作を示す説明図である。
図8】第1実施形態に係る流体供給装置の動作を示す説明図である。
図9】第1遮光部材および第2遮光部材の変形例を示す模式図である。
図10】第2実施形態に係る流体供給装置の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る流体供給装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
[基板処理装置]
図1は、第1実施形態に係る流体供給装置100を備えた基板処理装置110の構成図である。図2は、流体供給装置100の一部の斜視図である。図3は、流体供給装置100の一部の斜視図である。図4は、第1ノズル11および第2ノズル12の断面図である。図5は、流体供給装置100の一部の平面図である。
【0019】
図1に示すように、基板処理装置110は、例えば、洗浄用の液の存在下で、基板Wの中心軸の周りに基板Wを自転させながら基板Wの表面を洗浄する。基板Wとしては、例えば、半導体ウェハ等を挙げることができる。基板処理装置110は、例えば、基板洗浄装置である。基板Wは、対象物の一例である。
【0020】
基板処理装置110は、流体供給装置100と、基板支持部111と、を備える。
基板支持部111は、基板Wを周方向に回転可能に支持する。基板支持部111は、基板Wを水平な姿勢で支持することができる。
【0021】
以下の説明において、XYZ直交座標系を用いる場合がある。X方向およびY方向は、基板Wの上面と平行である。X方向とY方向とは互いに直交する。Z方向はX方向およびY方向に直交する。平面視は、Z方向から見ることである。X方向およびY方向に沿う面を「XY平面」という。XY平面は、例えば、水平面である。X方向およびZ方向に沿う面を「XZ平面」という。Y方向およびZ方向に沿う面を「YZ平面」という。X方向の一方の向きは+Xである。-Xは+Xと反対の向きである。-X側は前側である。+X側は後側である。Y方向の一方の向きは+Yである。-Yは+Yと反対の向きである。
【0022】
[流体供給装置](第1実施形態)
図2および図3に示すように、第1実施形態に係る流体供給装置100は、第1ノズル11と、第2ノズル12と、第1遮光部材21(第1ドグ)と、第2遮光部材22(第2ドグ)と、光センサ30と、検知部40と、支持部50とを備える。
【0023】
第1ノズル11は、基板Wに、第1供給管(図示略)から供給された洗浄用の液を供給する管状体である。「洗浄用の液」は、薬液であってもよいし、リンス液であってもよい。薬液は、例えば、アンモニア過酸化水素(SC1)、塩酸過酸化水素(SC2)、硫酸過酸化水素(SPM)、硫酸加水、フッ酸等を含む。リンス液としては、超純水、純水(DIW)等が挙げられる。本実施形態では、第1ノズル11は、薬液(第1流体)を供給する。薬液の噴射方向(供給方向)は、第1ノズル11の向きによって定められる。
【0024】
第2ノズル12は、基板Wに、第2供給管(図示略)から供給された洗浄用の液を供給する管状体である。本実施形態では、第2ノズル12は、リンス液(第2流体)を供給する。リンス液の噴射方向(供給方向)は、第2ノズル12の向きによって定められる。
【0025】
支持部50は、支持フレーム58と、第1支持体61と、第2支持体71とを備える。支持フレーム58は、例えば、XZ平面と平行な板状とされている。支持フレーム58は上下方向に延在する。
【0026】
第1支持体61は、第1ノズル11を支持する。第1支持体61は、第1取付板63と、第1支持板64と、を備える。第1取付板63は、支持フレーム58と平行である。第1取付板63は、支持フレーム58に取り付けられている。第1支持板64は、第1取付板63の前端から-Y側に突出する。第1支持板64は、第1ノズル11が挿通する挿通孔64aを有する。
【0027】
第2支持体71は、第2ノズル12を支持する。第2支持体71は、第2取付板73と、第2支持板74とを備える。第2取付板73は、支持フレーム58と平行である。第2取付板73は、支持フレーム58に取り付けられている。第2支持板74は、第2取付板73の前端から-Y側に突出する。第2支持板74は、第2ノズル12が挿通する挿通孔74aを有する。
【0028】
第1支持体61と第2支持体71とは、上下方向(Z方向)に位置を違えて設けられている。第1支持体61は、第2支持体71より高い位置にある。
【0029】
第1ノズル11には、第1保持部62が取り付けられている。第1保持部62は、第1支持板64の前側に配置されて第1ノズル11を保持する。第1保持部62は、第1ノズル11が挿通する挿通孔62aを有する。第1保持部62の側面には、固定具75,76によって連結部材65が取り付けられている。
【0030】
第1遮光部材21は、延在部23と、第1遮光部24とを備える。延在部23は、取付板13と、延出板14とを備える。取付板13はXZ平面と垂直な板状とされている。取付板13は+X側に向かって上昇するように傾斜している。取付板13は、連結部材65の上面に重ねられる。取付板13は、固定具77,78によって連結部材65に取り付けられている。
【0031】
延出板14は、前板部15と、後板部16とを備える。延出板14は、XZ平面と平行な板状とされている。前板部15は、取付板13の+Y側の側縁に連設されている。前板部15は+X側に向かって上昇するように傾斜している。後板部16は、前板部15の後端から後方(+X側)に延出する。
【0032】
第1遮光部24は、後板部16の後端から-Y側に突出する。第1遮光部24は、発光部31から出射した光の光軸に対して交差する板状とされている。第1遮光部24は、例えば、YZ平面と平行な板状とされている。
【0033】
第1遮光部24には、第1光通過領域21aが形成されている。第1光通過領域21aは、例えば、第1遮光部24を厚さ方向に貫通する開口(貫通孔)である。第1光通過領域21aは、発光部31から出射した光が通過可能である。第1光通過領域21aの形状は特に限定されないが、例えば、円形状である。
【0034】
第1遮光部材21は、連結部材65を介して第1保持部62に取り付けられているため、第1ノズル11の変位に連動して変位可能である。第1ノズル11は、例えば、挿通孔64aに挿通する箇所(支持箇所)を支点として回動することによって姿勢を変化させることができる。第1遮光部材21は、第1ノズル11の変位に伴って、第1ノズル11と一体的に変位する。
【0035】
第2ノズル12には、第2保持部72が取り付けられている。第2保持部72は、第2支持板74の前側に配置されて第2ノズル12を保持する。第2保持部72は、第2ノズル12が挿通する挿通孔72aを有する。
【0036】
第2保持部72には、連結部材80が取り付けられている。連結部材80は、取付板81と、延出板82とを備える。取付板81は、XZ平面と平行な板状とされている。取付板81は、固定具85,86によって第2保持部72の側面に取り付けられている。
【0037】
延出板82は、前板部83と、後板部84とを備える。延出板82はXZ平面と垂直な板状とされている。前板部83は、取付板81の下縁に連設されている。前板部83は+X側に向かって上昇するように傾斜している。後板部84は、前板部83の後端から後方(+X側)に延出する。後板部84の上面には、固定部材87が設けられている。固定部材87は、固定具89によって後板部84に取り付けられている。
【0038】
第2遮光部材22は、取り付け部25と、第1延出部26と、第2延出部27と、第2遮光部28とを備える。取り付け部25は、固定具88によって固定部材87に取り付けられている。取り付け部25は、XZ平面と平行な板状とされている。第1延出部26は、取り付け部25の+X側の端から+Y側に延出する。第2延出部27は、第1延出部26の+Y側の端から下方(-Z側)に延出する。第1延出部26および第2延出部27は、YZ平面と平行な板状とされている。
【0039】
第2遮光部28は、第2延出部27の下端から-Y側に延出する。第2遮光部28は、発光部31から出射した光の光軸に対して交差する板状とされている。第2遮光部28は、例えば、YZ平面と平行な板状とされている。第2遮光部28は、後板部84より低く位置する。
【0040】
第2遮光部28には、第2光通過領域22aが形成されている。第2光通過領域22aは、例えば、第2遮光部28を厚さ方向に貫通する開口(貫通孔)である。第2光通過領域22aは、発光部31から出射した光が通過可能である。第2光通過領域22aの形状は特に限定されないが、例えば、円形状である。
【0041】
第1ノズル11および第2ノズル12が基準位置にあるとき、第1光通過領域21aと第2光通過領域22aとは、X方向から見て少なくとも一部が重なる位置にある。
【0042】
第1光通過領域21aの内径と第2光通過領域22aの内径とは異なり、X方向から見て光通過領域21a,22aのうち一方が他方を包含していてもよい。第1光通過領域21aと第2光通過領域22aとは同径であって、X方向から見て光通過領域21a,22aの全域が重なっていてもよい。
【0043】
第2遮光部28は、第1遮光部材21の第1遮光部24に対して+X側に位置する。第2遮光部28は、例えば、第1遮光部24と平行である。第2遮光部28は、第1遮光部24に対して+X側に離間していることが望ましい。
【0044】
第2遮光部材22は、固定部材87および連結部材80を介して第2保持部72に取り付けられているため、第2ノズル12の変位に連動して変位可能である。第2ノズル12は、例えば、挿通孔74aに挿通する箇所(支持箇所)を支点として回動することによって姿勢を変化させることができる。第2遮光部材22は、第2ノズル12の変位に伴って、第2ノズル12と一体的に変位する。
【0045】
図4に示すように、第1遮光部24は、第1ノズル11(第1支持板64の挿通孔64aに挿通する箇所)までの第1距離と、第2ノズル12(第2支持板74の挿通孔74aに挿通する箇所)までの第2距離とが同等である位置に設置するのが好ましい。「第1距離と第2距離とが同等」は、例えば、第1距離/第2距離が0.8~1.2の範囲にあることである。第2遮光部28についても、第1距離と第2距離とが同等であることが好ましい。
【0046】
図3に示すように、光センサ30は、発光部31と、受光部32とを備える。発光部31は、検知用の光を発する。受光部32は、発光部31からの光を受光する。発光部31および受光部32は、支持台33に支持されている。発光部31は、支持台33の保持溝33aに保持される。受光部32は、発光部31は、支持台33の保持溝33bに保持される。発光部31は、例えば、発光ダイオード(LED)である。受光部32は、例えば、フォトトランジスタである。
【0047】
受光部32は、発光部31に対して+X側に離れた位置に設置されている。そのため、発光部31からの光は、基板Wから離れる方向に照射される。
光センサ30は、X方向から見て、少なくとも一部が第1ノズル11と第2ノズル12との間の空間に配置されていることが望ましい。
【0048】
検知部40は、受光部32による受光量に基づいて、第1ノズル11と第2ノズル12のうち少なくとも一方の変位を検知する。例えば、受光量が予め定められた設定範囲内であれば、第1ノズル11と第2ノズル12の変位は小さい(または変位していない)と判定することができる。受光量が設定範囲の下限値を下回った場合には、第1ノズル11と第2ノズル12のうち少なくとも一方が大きく変位したと判定することができる。
【0049】
第1ノズル11および第2ノズル12の姿勢が変動すると、流体(薬液、リンス液等)が基板Wに吹き付けられる位置が変化する。第1ノズル11および第2ノズル12の向きは、例えば、上下(Z方向)に変動できる(図4参照)。第1ノズル11および第2ノズル12の向きは、例えば、左右(Y方向)に変動できる(図5参照)。第1ノズル11および第2ノズル12の向きが上下に変動すると、第1遮光部24および第2遮光部28は概略、上下に変位する。第1ノズル11および第2ノズル12の向きが左右に変動すると、第1遮光部24および第2遮光部28は概略、左右に変位する。
【0050】
[流体供給装置の使用方法]
図6図8を参照して、流体供給装置100の使用方法について説明する。
図6に示すように、第1非遮光位置P11は、発光部31からの光を遮らない第1遮光部材21の位置である。図7に示すように、第1遮光位置P21は、発光部31からの光を遮る第1遮光部材21の位置である。第1遮光部材21は、第1非遮光位置P11と第1遮光位置P21とを切り替え可能である。
【0051】
図6に示すように、第2非遮光位置P12は、発光部31からの光を遮らない第2遮光部材22の位置である。図8に示すように、第2遮光位置P22は、発光部31からの光を遮る第2遮光部材22の位置である。第2遮光部材22は、第2非遮光位置P12と第2遮光位置P22とを切り替え可能である。
【0052】
図6に示すように、第1ノズル11および第2ノズル12が予め定められた基準位置にあるとき、第1遮光部材21は第1非遮光位置P11にある。第2遮光部材22は第2非遮光位置P12にある。発光部31からの光は、光通過領域21a,22aを通過し、受光部32に達する。そのため、受光部32の受光量は予め定められた設定範囲内となる。この場合、検知部40は、第1ノズル11と第2ノズル12の変位が小さい(または変位していない)と判定する。
【0053】
図7に示すように、第1ノズル11の姿勢が基準位置から変動したとき、第1遮光部24の位置は変わり、第1光通過領域21aも変位する。図7では、第1遮光部材21は、発光部31からの光を遮る第1遮光位置P21にある。受光部32の受光量が予め定められた設定範囲を下回った場合、検知部40は、第1ノズル11と第2ノズル12の少なくとも一方の変位が大きいと判定する。
【0054】
図8に示すように、第2ノズル12の姿勢が基準位置から変動したとき、第2遮光部28の位置は変わり、第2光通過領域22aも変位する。図8では、第2遮光部材22は、発光部31からの光を遮る第2遮光位置P22にある。受光部32の受光量が予め定められた設定範囲を下回った場合、検知部40は、第1ノズル11と第2ノズル12の少なくとも一方の変位が大きいと判定する。
【0055】
流体供給装置100は、基板Wに対して流体(薬液、リンス液等)が吹き付けられる位置が基準位置から、予め定められた設定値以上、変化したときに、検知部40がノズル11,12の変位を検知できることが望ましい。光通過領域21a,22aの内径は、この変位を検知できるように定めることができる。
【0056】
[実施形態の流体供給装置が奏する効果]
流体供給装置100では、第1遮光部材21は、第1ノズル11の変位に連動して変位することで第1非遮光位置P11と第1遮光位置P21とを切り替え可能である。そのため、利用者が第1ノズル11に誤って触れることなどによって第1ノズル11が変位したときに、第1ノズル11の変位を精度よく検知できる。
【0057】
流体供給装置100では、第1遮光部材21の変位を光センサ30で検知できるため、ノズルの画像に基づいて変位を検知する場合とは異なり、撮像装置などの大掛かりな構成は不要であり、装置構成を簡略化できる。流体供給装置100は、装置構成の簡略化により、装置の小型化および低コスト化の点で有利となる。
【0058】
流体供給装置100では、第2遮光部材22は、第2ノズル12の変位に連動して変位することで第2非遮光位置P12と第2遮光位置P22とを切り替え可能である。そのため、第2ノズル12が変位したときに、第2ノズル12の変位を精度よく検知できる。流体供給装置100では、1つの光センサ30を用いて第1ノズル11および第2ノズル12の変位を検知できるため、省スペース化が可能である。よって、装置構成を簡略にするとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0059】
流体供給装置100では、第1遮光部材21(第1遮光部24)に、開口である第1光通過領域21aが形成されている。そのため、第1遮光部24がYZ平面に沿ういずれの方向(例えば、上下および左右方向)に変位した場合でも、この変位を検知できる。よって、第1ノズル11の変位の検知精度を高めることができる。
【0060】
流体供給装置100では、第2遮光部材22(第2遮光部28)に、開口である第2光通過領域22aが形成されている。そのため、第2遮光部28がYZ平面に沿ういずれの方向に変位した場合でも、この変位を検知できる。よって、第2ノズル12の変位の検知精度を高めることができる。
【0061】
光センサ30は、少なくとも一部が第1ノズル11と第2ノズル12との間の空間に配置されていると、省スペース化の点で好適である。
発光部31は、基板Wから離れる方向に光を照射する構成であると、基板Wが検知用の光による影響(例えば、基板Wの表面の酸化)を受けるのを回避できる。
【0062】
図4に示すように、第1遮光部24および第2遮光部28は、第1ノズル11からの距離と第2ノズル12からの距離とが同等であると、第1ノズル11の変位による第1光通過領域21aの位置ずれ量と、第2ノズル12の変位による第2光通過領域22aの位置ずれ量とを同等にすることができる。そのため、第1ノズル11の変位と第2ノズル12の変位とをいずれも精度よく検知できる。
【0063】
[第1遮光部材および第2遮光部材の変形例]
図9は、第1遮光部材21および第2遮光部材22の変形例を示す模式図である。
図9に示すように、第1遮光部材21Aは、第1光通過領域21aに、透明材料で形成された窓部41(透明窓)が形成されている。第2遮光部材22Aは、第2光通過領域22aに、透明材料で形成された窓部42(透明窓)が形成されている。窓部41,42は、例えば、ガラス、プラスチックなどで形成される。
【0064】
[流体供給装置](第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る流体供給装置200の一部の斜視図である。
流体供給装置200は、第1カバー120(カバー)と、第2カバー130(カバー)とを備える点で、流体供給装置100(図2参照)と異なる。
第1カバー120は、発光部31および受光部32を覆う。第1カバー120は、支持台33の外面に取り付けられる。
【0065】
第2カバー130は、前板131と、側板132と、後板133と、を備える。第2カバー130は、遮光部材21,22の少なくとも一部(詳しくは、遮光部24,28)(図2参照)を覆う。前板131、側板132および支持台33は、連結部材80の後板部84の下面から垂下する。
【0066】
前板131は、YZ平面と平行とされている。前板131は、第1遮光部24に比べて前方(-X側)に位置する。前板131は、X方向から見て光通過領域21a,22aを包含する大きさとされている。側板132は、前板131の-Y側の端から+X側に延出する。側板132は、XZ平面と平行とされている。側板132は、遮光部24,28(図2参照)に対して外側方(-Y側)に位置する。側板132は、Y方向から見て光通過領域21a,22aを包含する。後板133は、側板132の+X側の端から+Y側に延出する。後板133は、YZ平面と平行とされている。後板133は、第2遮光部28に比べて後方(+X側)に位置する。後板133は、X方向から見て光通過領域21a,22aを包含する。
【0067】
流体供給装置200は、遮光部材21,22の少なくとも一部(詳しくは、遮光部24,28)を覆う第2カバー130を備える。そのため、流体(例えば、洗浄用の液)の飛沫が光通過領域21a,22aに付着することによる誤検知を抑制することができる。
【0068】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
流体供給装置において供給される「流体」は液体が好ましいが、流体は液体に限定されない。例えば、流体は気体であってもよい。流体は、気液混合物であってもよい。流体は、液体と固体とを含む固液混合物であってもよい。
【0069】
図2に示す流体供給装置100は、2つのノズルを有するが、ノズルの数は特に限定されない。ノズルの数は1でもよいし、複数(2以上の任意の数)であってもよい。例えば、流体供給装置は、薬液を供給する複数のノズルと、リンス液を供給する1つのノズルとを備えていてもよい。
【0070】
図3に示す第1遮光部材21および第2遮光部材22の光通過領域21a,22aは開口であるが、光通過領域は第1遮光部材および第2遮光部材の周縁に形成された凹部であってもよい。
第1遮光位置P21は、発光部31からの光の少なくとも一部を遮る第1遮光部材21の位置であってよい。第2遮光位置P22は、発光部31からの光の少なくとも一部を遮る第2遮光部材22の位置であってよい。
光センサ30は、第1遮光部材21と第2遮光部材22のうち少なくとも一方が遮光位置となったときにこれを検知する構成であるが、光センサは、第1遮光部材と第2遮光部材のうち少なくとも一方が非遮光位置となったときにこれを検知する構成であってもよい。
【0071】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
11…第1ノズル、12…第2ノズル、21…第1遮光部材、21a…第1光通過領域、22…第2遮光部材、22a…第2光通過領域、30…光センサ、31…発光部、32…受光部、40…検知部、41,42…窓部(透明窓)、100,200…流体供給装置、130…第2カバー(カバー)、P11…第1非遮光位置、P12…第2非遮光位置、P21…第1遮光位置、P22…第2遮光位置、W…基板(対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10