(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009222
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20250110BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20250110BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20250110BHJP
G06Q 10/0836 20230101ALI20250110BHJP
【FI】
B65G1/137 E
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
G06Q10/0836
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112079
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】横寺 裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 彩代
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM11
3F022MM36
3F022NN57
3F522AA02
3F522BB19
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG13
3F522GG18
3F522GG22
3F522GG24
3F522GG25
3F522GG35
3F522GG39
3F522GG44
3F522GG46
3F522GG47
3F522GG48
3F522LL10
3F522LL31
3F522LL55
3F522LL56
3F522LL57
3F522LL59
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】各作業員の処理能力の平均値向上および能力の急激な低下を防ぐことができ、且つ長期的視点で各作業員の絶対的な作業時間を短縮する。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置のプロセッサが実行する情報処理方法は、外部システムから取得するオーダーリストに基づいてピッキング手段が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成することと、ピッキング作業データに整形処理を実行することと、整形処理したピッキング作業データに基づいて、ピッキング作業に対するピッキング手段の処理能力を予測することと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のプロセッサが実行する情報処理方法であって、
外部システムから取得するオーダーリストに基づいてピッキング手段が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成することと、
前記ピッキング作業データに整形処理を実行することと、
前記整形処理したピッキング作業データに基づいて、前記ピッキング作業に対する前記ピッキング手段の処理能力を予測することと、
を備える、情報処理方法。
【請求項2】
前記ピッキング手段は、作業員であり、
前記整形処理は、前記ピッキング作業それぞれに対する、前記ピッキング手段の属性、施策、前記ピッキング手段の作業負荷、前記ピッキング手段の処理能力を付与する処理である、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記ピッキング手段の属性は、作業員ID、年齢、性別、身長、運動経験、勤務年数、雇用形態、現時刻において勤務を開始してから経過した勤務継続時間、または疲労度のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記施策は、前記情報処理装置に接続された作業管理部を介した情報提示と、前記ピッキング手段に割り付けるピッキング作業の変更、前記ピッキング手段の作業負荷に関する制約のうちの少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報提示に関する施策は、作業時間に目標時間または業務終了の目安に関するもの、作業員が行うべきピッキング作業をサポートする情報の提示、キャラクターの提示、音楽の再生、インセンティブ量の提示、作業員のランキングの提示のうちの少なくとも1つを含む、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記ピッキング手段は、作業員であり、前記ピッキング作業データは、物品とピッキング作業に関する属性を付与したデータであり、
前記整形処理は、前記物品とピッキング作業に関する属性をダミー変数化または連続値化する変数処理を含む、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記整形処理は、前記ピッキング作業データに施策を付与する処理を含み、
前記予測することは、前記ピッキング手段への前記施策の有無で場合分けして実施される、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記予測することは、前記ピッキング作業データにより実施予定の作業に関する属性データを説明変数とし、前記ピッキング手段の処理能力を目的変数として学習された予測モデルを用いて前記ピッキング手段の処理能力を予測することを備える、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記予測モデルは、前記ピッキング手段ごとに構築される、
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
過去のピッキング作業に関する作業ログを記憶することをさらに備え、
前記予測することは、前記作業ログから前記ピッキング作業データにより実施予定と条件の近いピッキング作業の能力実績値を抽出し、前記能力実績値を予測値として用いることを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記ピッキング手段それぞれから収集される作業実績に基づいて施策設定条件を設定することをさらに備える、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記ピッキング手段の作業実績が前記予測された処理能力の所定の範囲内かどうかを判定することと、
前記所定の範囲外であると判定した場合、前記施策設定条件を変更することと、
をさらに備える、請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
外部システムから取得するオーダーリストに基づいてピッキング手段が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成する作業データ作成部と、
前記ピッキング作業データに整形処理を実行するデータ整形部と、
前記整形処理したピッキング作業データに基づいて、前記ピッキング作業に対する前記ピッキング手段の処理能力を予測する処理能力予測部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項14】
情報処理装置のプロセッサによって実行させるための命令を備える情報処理プログラムであって、
外部システムから取得するオーダーリストに基づいてピッキング手段が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成することと、
前記ピッキング作業データに整形処理を実行することと、
前記整形処理したピッキング作業データに基づいて、前記ピッキング作業に対する前記ピッキング手段の処理能力を予測することと、
を備える、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流倉庫等で、物品のピッキング作業を効率化するために、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)を用いて物品が入った棚を複数のピッキングステーション(PS:Picking Station)に搬送するシステムが導入されている。各ピッキングステーションでは、作業員またはロボットなどのピッキング手段がAGVによって搬送された棚から物品をピッキングする。このシステムを用いてピッキング作業工程全体のスループットを最大化するためには、作業を並列処理している複数のPS間の作業終了時間を平準化しつつ、各PSのスループットを最大化する必要がある。
【0003】
ここで、各PSのスループットは、棚の待ち時間、ヒット率(1つの棚で同時に実施する作業数)、および各ピッキング作業に要する作業時間に依存する。
【0004】
各PSのスループットを向上させるためには、棚の待ち時間の短縮およびヒット率の向上が必要であり、AGVの運行計画およびオーダー処理順の最適化によって実現される。一方で、スループットの更なる向上のためには、作業員の絶対的な作業時間を短縮する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1では、作業者が作業に要する時間を予測し、目標時間として作業者に意識付けさせ、ピッキング作業の効率化を図る技術が開示されている。また、特許文献1では、各作業員の作業時間を短縮する方法として、割り付けた作業に要する時間を予測し、各作業員に目標時間として提示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
各作業時間を短縮する施策では、全ての作業員に効果があるとは限らないという問題がある。さらに、作業時間の短縮を促す施策のみでは作業員の疲れを早めるため、長期的視点では、作業員の効率が低下し、スループットの低下を招くという問題がある。
【0008】
この発明は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、各作業員の処理能力の平均値向上および能力の急激な低下を防ぐことができ、且つ長期的視点で各作業員の絶対的な作業時間を短縮することを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る情報処理装置のプロセッサが実行する情報処理方法は、外部システムから取得するオーダーリストに基づいてピッキング手段が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成することと、前記ピッキング作業データに整形処理を実行することと、前記整形処理したピッキング作業データに基づいて、前記ピッキング作業に対する前記ピッキング手段の処理能力を予測することと、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るピッキングシステムの構成例を概念的に示す図である。
【
図2】
図2は、ピッキングシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るピッキングシステムにおける上位管理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るピッキングシステムにおけるAGVの構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るピッキングシステムにおける上位管理装置が有する機能の例を示す図である。
【
図6】
図6は、作業データ作成部がピッキング作業データのリストを作成する処理の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、データ整形部がピッキング作業データを整形する処理の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、処理能力予測部および作業計画部が実施する処理の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るピッキングシステムの物品の出庫作業における上位管理装置の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、各ピッキング手段(作業員)の目標効果と、そのために実施する施策のイメージ例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら情報処理方法、情報処理装置、および情報処理プログラムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0012】
また、以下の説明において、AまたはBという記載は、AまたはBの少なくとも1つを意味し、A、B、またはCは、A、B、またはCの少なくとも1つを意味するものとする。さらに、AおよびBという記載もAおよびBのうちの少なくとも1つを意味し、A、B、およびCは、A、B、およびCのうちの少なくとも1つを意味するものとする。
【0013】
最初に、実施形態に係るピッキングシステムは、物流センタまたは倉庫などに設置される物流システムに含まれるシステムであって、棚から物品をピッキングするためのシステムである。ピッキングシステムは、無人搬送車(AGV)を用いて棚をピッキングステーションに搬送する。ピッキングシステムは、ピッキングステーション(PS)において棚から物品をピッキングし、ピッキングした物品を指定のトレイに仕分けるピッキング作業を制御する。ピッキングシステムは、作業員またはロボットなどのピッキング手段によって棚から物品をピッキングさせる。
【0014】
図1は、実施形態に係るピッキングシステム100の構成例を概念的に示す図である。
図2は、ピッキングシステム100の構成例を示すブロック図である。
図1および
図2が示すように、ピッキングシステム100は、複数(
図1の例では、3個)のピッキングステーションP、上位管理装置1、ネットワーク2、外部システム3、AGV7およびAGV棚8などを備える。ピッキングステーションPは、トレイ10、作業管理部112およびピッキング手段113などを備える。ネットワーク2は、上位管理装置1、AGV7および作業管理部112に接続する。上位管理装置1は、外部システム3に接続する。
【0015】
外部システム3は、ピッキングする物品を示すオーダーリストを上位管理装置1に送信する。外部システム3は、1つまたは複数のコンピュータで実現可能である。例えば、外部システム3は、物品の入出庫または在庫管理を担う倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)を備えるものであっても良い。
【0016】
上位管理装置1(情報処理装置)は、倉庫内に保管される物品に関する情報を管理する。例えば、上位管理装置1は、各AGV棚8が格納する物品を示す物品管理情報などを記憶する。また、上位管理装置1は、外部システム3からピッキングする物品を示すオーダーリストを取得する。上位管理装置1は、オーダーリストに基づいて、AGV棚8を各ピッキングステーションPに搬送させる。上位管理装置1は、ピッキングステーションPで待機するピッキング手段に対してピッキング作業を指示する。さらに、上位管理装置1は、各ピッキングステーションPにおける物品の処理に関する情報を取得する。
【0017】
なお、上位管理装置1と作業管理部112およびAGV7との間には、倉庫内設備を制御する倉庫制御システム(WCS:Warehouse Control System)を設けても良い。また、後述する上位管理装置1の機能の一部は、WMSまたはWCSが担うようにしても良い。
【0018】
ネットワーク2は、上位管理装置1、AGV7または作業管理部112の間の通信を中継する。例えば、ネットワーク2は、LAN(local area network)である。AGV7は、ネットワーク2に無線で接続するものであってもよい。
【0019】
AGV7は、AGV棚8をピッキングステーションPに搬送する。AGV7は、上位管理装置1または作業管理部112からの制御信号などに基づき動作する。例えば、AGV7は、指定された積み込み位置へ向かって走行し、指定された積み込み位置のAGV棚8を持ち上げる。AGV7は、指定された積み降ろし位置へ向かって走行し、指定された積み降ろし位置(例えば、所定のピッキングステーションP)でAGV棚8を降ろす。また、AGV7は、ピッキングステーションPでのピッキング作業が終了した後、AGV棚8を物品保管エリアに戻す。
【0020】
AGV棚8は、物品保管エリアに配置されている。AGV棚8は、物品を格納する棚である。例えば、AGV棚8は、四本の支柱で直立する。AGV棚8の棚下の高さは(床面から棚底までの高さ)、AGV7の高さよりも高い。これにより、AGV7は、AGV棚8の棚下に潜り込むことができる。棚下に潜り込んだAGV7は、プッシャーにより床面から支柱の先端が数センチ離れる程度にAGV棚8を持ち上げて、AGV棚8を持ち上げた状態で走行する。このようにしてAGV7は、AGV棚8を搬送する。
【0021】
また、AGV棚8には、固定式カメラまたは移動式カメラ等で読み取り可能な棚識別情報が貼り付けられてもよい。物品にも、固定式カメラまたは移動式カメラ等で読み取り可能な物品識別情報が貼り付けられてもよい。例えば、棚識別情報および物品識別情報は、バーコードまたは二次元コードである。なお、ピッキングシステム100は、固定式カメラまたは移動式カメラとは別に、これら棚識別情報および物品識別情報を読み取る複数のリーダを備えてもよい。
【0022】
図1に示す例において、ピッキングステーションPは、出庫作業エリアに配置されている。ピッキングステーションPは、AGV7により搬送されたAGV棚8を受け入れる。ピッキングステーションPは、受け入れたAGV棚8から物品をピッキングする。
【0023】
ピッキングステーションPには、割り付けられた各注文情報に対応したトレイ10が用意される。ピッキングステーションPでは、ピッキングされた物品がトレイ10に投入される。ピッキングステーションPでは、割り付けられた各注文情報に対応するトレイ10が用意され、トレイ10内に必要な物品が全て揃ったら、ピッキングステーションPから排出され、空の新しいトレイが補充される。必要な物品が揃って排出されたトレイ10は、出庫作業エリアの後の工程に送られ、梱包、仕分け、荷積みが行われる。
【0024】
作業管理部112は、ピッキングステーションPでのピッキング作業を管理する。作業管理部112は、表示部および操作部などを備える。例えば、作業管理部112は、デスクトップPC、ノートPC、またはタブレットPCなどを含む。作業管理部112は、上位管理装置1からの制御に従って、ピッキングする物品を示す情報を表示部に表示する。また、作業管理部112は、ピッキング手段113としての作業員から、ピッキングが完了した物品を示す操作の入力を受け付ける。作業管理部112は、入力された操作を示す情報を上位管理装置1に送信する。
【0025】
例えば、作業管理部112は、デジタルアソートシステム(DAS:Digital Assort System)が用いられる。作業管理部112としてのDASは、ピッキング手段113が棚からピッキングした物品のバーコードをスキャンし、スキャンした物品の仕分け先となるトレイに対応するランプが点灯する。作業管理部112は、トレイに物品を仕分けし終えたら、当該トレイの位置にあるスイッチを作業員が押すことで作業完了とし、作業時間などの作業結果(作業実績)を示す作業ログを作成する。作業管理部112は、作業ログを作成すると、作成した作業ログを上位管理装置1へ供給する。
【0026】
ピッキング手段113は、上位管理装置1からの指示に従ってAGV棚8から物品を把持する。本実施形態において、ピッキング手段113は、作業者である。なお、
図1等で示すように、ピッキング手段113として作業者のみを示しているが、ピッキング手段113が作業者とピッキングロボの両方を含んでも良いのは勿論である。
【0027】
作業者としてのピッキング手段113は、作業管理部112に表示される物品を目視で確認して物品をピッキングする。ピッキング手段113は、ピッキングされた物品をトレイ10に投入する。ピッキング手段113は、物品をトレイ10に投入すると、ピッキングが完了した物品を示す操作を作業管理部112に入力する。
【0028】
なお、ピッキングステーションPには、ピッキング手段113の動作をモニタリングするカメラなどを備えていてもよい。カメラが撮影した画像に基づいてピッキング手段113の作業開始、および、終了を判定するようにしてもよい。また、作業中の割り込み処理、または異常の有無を判定し、その情報を作業ログに付与してもよい。
【0029】
次に、実施形態に係るピッキングシステム100における上位管理装置1の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るピッキングシステム100における上位管理装置1の構成例を示すブロック図である。
上位管理装置1は、1または複数のコンピュータにより構成される。例えば、上位管理装置1は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、補助記憶デバイス14、および通信インタフェース15などを備える。
【0030】
プロセッサ11と、ROM12、RAM13、補助記憶デバイス14、および通信インタフェース15とは、データバスまたはインタフェースなどを介して互いに接続する。
プロセッサ11は、上位管理装置1全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュおよび各種のインタフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12または補助記憶デバイス14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0031】
例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ11は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0032】
ROM12は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する。また、ROM12は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータまたは各種の設定値などを記憶する。RAM13は、データの読み書きに用いられるメモリである。
【0033】
RAM13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0034】
補助記憶デバイス14は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス14は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータまたは各種の設定値などを保存する。
【0035】
補助記憶デバイス(記憶装置)14は、各AGV棚8が格納する物品を示す物品管理情報を予め格納する。例えば、物品管理情報は、AGV棚8を示す棚コードとAGV棚8が格納する物品を示す物品コードとを対応付けて格納する。
【0036】
なお、ROM12または補助記憶デバイス14に上記のプログラムが記憶された状態で、上位管理装置1が譲渡されてもよいし、上記のプログラムを記憶しない状態で、上位管理装置1が譲渡されてもよい。後者の場合、上位管理装置1は、光ディスクまたは半導体メモリのようなリムーバブルな記憶媒体に記憶された上記のプログラムを読み取り、読み取ったプログラムを補助記憶デバイス14へ書き込む。或いは、上位管理装置1は、ネットワーク2などを介して上記のプログラムをダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを補助記憶デバイス14へ書き込む。
【0037】
通信インタフェース15は、種々の装置とデータを送受信するためのインタフェースである。通信インタフェース15は、AGV7および作業管理部112などに接続する。また、通信インタフェース15は、外部システム3などからオーダーリストなどを取得する。例えば、通信インタフェース15は、LAN(local area network)接続などをサポートする。また、通信インタフェース15は、外部システム3とデータを送受信するためのインタフェースと、AGV7とデータを送受信するためのインタフェースと、作業管理部112とデータを送受信するためのインタフェースと、を備える構成しても良い。
【0038】
例えば、上位管理装置1は、通信インタフェース15、ネットワーク2を介して、WMSから新規のオーダーリストを取得してもよい。また、策定した作業計画データをWCSに送信し、WCSを通してAGV7またはピッキング手段113への作業指示を実行してもよい。
【0039】
次に、実施形態に係るピッキングシステム100におけるAGV7の構成について説明する。
図4は、実施形態に係るピッキングシステム100におけるAGV7の構成例を示すブロック図である。
AGV7は、プロセッサ71、ROM72、RAM73、補助記憶デバイス74、通信インタフェース75、駆動部76、センサ77、バッテリー78、充電機構79、およびタイヤ70などを備える。
【0040】
プロセッサ71は、AGV7全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ71は、内部キャッシュおよび各種のインタフェースなどを備えてもよい。プロセッサ71は、内部メモリ、ROM72または補助記憶デバイス74が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0041】
例えば、プロセッサ71は、CPUである。なお、プロセッサ71は、LSI、ASIC、またはFPGA等のハードウェアにより実現されてもよい。
プロセッサ71は、加速、減速、停止、方向転換、およびAGV棚8の積み降ろし等の動作に必要な演算および制御などの処理を行う。プロセッサ71は、上位管理装置1または作業管理部112などからの制御信号に基づき、ROM72等に記憶されたプログラムを実行することにより、駆動信号を生成し各部に出力する。
【0042】
例えば、上位管理装置1または作業管理部112は、AGV7を現在位置から第1の位置(目的のAGV棚8の位置)へ移動させて第1の位置から第2の位置(目的のピッキングステーションPの位置)へ移動させる制御信号を送信する。また、上位管理装置1または作業管理部112は、AGV7を第2の位置から第1の位置へ移動させる制御信号を送信する。AGV7のプロセッサ71は、上位管理装置1または作業管理部112から送信される制御信号に応じた駆動信号を出力する。これにより、AGV7は、現在位置から第1の位置へ移動し、第1の位置から第2の位置へ移動し、第2の位置から第1の位置へ移動する。また、プロセッサ71は、上位管理装置1または作業管理部112から送信される制御信号に含まれるAGV棚8の積み降ろし指示に応じた駆動信号を出力する。これにより、AGV7は、プッシャーによりAGV棚8を持ち上げたり、持ち上げたAGV棚8を降ろしたりする。
【0043】
ROM72は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する。また、ROM72は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で使用するデータまたは各種の設定値などを記憶する。RAM73は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM73は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0044】
補助記憶デバイス74は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス74は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ71での処理によって生成されたデータまたは各種の設定値などを保存する。
【0045】
通信インタフェース75は、無線LANアクセスポイントなどを通じて上位管理装置1または作業管理部112などとデータを送受信するインタフェースである。例えば、通信インタフェース75は、無線LAN接続をサポートする。
【0046】
駆動部76は、モータ等であり、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転または停止する。モータの動力は、タイヤ70に伝達され、操舵機構に伝達される。このようなモータからの動力により、AGV7は、目的位置へ移動する。
【0047】
また、AGV7がAGV棚8下に潜り込んだ状態で、駆動部76は、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転(順回転)する。このモータからの動力によりプッシャーが上昇しAGV棚8が持ち上げられる。また、AGV7が目的位置に到達した後、駆動部76は、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転(逆回転)する。このモータからの動力によりプッシャーが下降しAGV棚8が床面に降ろされる。
【0048】
センサ77は、複数の反射センサである。各反射センサは、AGV7の周囲に取り付けられる。各反射センサは、レーザ光を照射し、レーザ光を照射してからレーザ光が物体に反射して戻るまでの時間を検出し、検出された時間に基づき物体までの距離を検知し、検知信号をプロセッサ71へ通知する。
【0049】
プロセッサ71は、センサ77からの検知信号に基づき、AGV7の走行を制御する制御信号を出力する。例えば、プロセッサ71は、センサ77からの検知信号に基づき、物体への衝突を回避する減速または停止等の制御信号を出力する。なお、センサ77以外に、カメラを備え、カメラが、周辺を撮影し撮影画像をプロセッサ71へ出力してもよい。この場合、プロセッサ71は、撮影画像を解析し、物体への衝突を回避する減速または停止等の制御信号を出力する。
【0050】
バッテリー78は、駆動部76等に必要な電力を供給する。充電機構79は、充電ステーションとバッテリー78とを接続する機構であり、バッテリー78は、充電機構79を介して充電ステーションなどから供給される電力により充電される。
【0051】
次に、実施形態に係るピッキングシステム100における上位管理装置1が有する機能について説明する。
図5は、実施形態に係るピッキングシステム100における上位管理装置1が有する機能の例を示す図である。
上位管理装置1は、プロセッサ11の内部メモリ、ROM12、または補助記憶デバイス14などの記憶装置に設けられるデータベース121を有する。記憶装置としてのデータベース121は、各種のデータを格納する。データベース121が記憶するデータは、通信インタフェース15により上位管理装置1の外部へ出力される。また、通信インタフェース15により上位管理装置1に入力されるデータは、データベース121に保存される。
【0052】
データベース121が格納する各種のデータには、外部システム3から取得したオーダーリスト、倉庫内の物品データ、ピッキング手段データ、AGVデータ、モデルデータ、作業計画データ、オーダーリスト、および作業実績を基に整形した整形データなどが含まれる。
【0053】
物品データは、ピッキングの対象となる物品に関するデータである。物品データは、例えば、物品ID、個数、重量、体積、形状、材質、保管棚ID、および棚内での保管位置などである。
【0054】
ピッキング手段データは、ピッキング手段に関するデータである。ピッキング手段113が人(作業者)である場合、ピッキング手段データは、人の属性データである。ピッキング手段データとしての人の属性データは、例えば、作業者ID、年齢、性別、身長、運動経験、勤務年数、雇用形態、および勤務継続時間などである。
【0055】
AGVデータは、AGV7に関するデータである。AGVデータは、例えば、機器ID、使用年数、充電率、状態(待機、使用中、帰還途中)などである。
【0056】
整形データは、ピッキングの作業に関するピッキング作業データを整形することにより生成される。整形データは、オーダーリスト取得後、または作業ログを取得後に随時作成され、データベース121に保存されるものとする。
【0057】
作業ログは、指示されたピッキング作業に対する作業実績に関するデータである。例えば、作業ログは、作業管理部112から収集するデータを各ピッキング作業単位(物品ID、ピッキング個数、棚内での物品保管位置、物品投入先のトレイ位置)に付与したデータである。この場合、作業管理部112から収集するデータは、作業者ID、作業時間(実績値)、割り込み処理または異常の有無などのデータである。また、作業ログは、AGVから収集するデータを各搬送作業単位(搬送した棚ID、棚の初期位置、搬送先ピッキングステーションID)に付与したデータを含むものであっても良い。この場合、AGV7から収集するデータは、機器ID、作業開始時の位置、移動経路、衝突回避行動の有無、移動距離、消費電力、搬送時間などのデータである。
【0058】
図5に示すように、上位管理装置1は、作業データ作成部101、データ整形部102、処理能力予測部103、作業計画部104、および施策設定条件判定部105を有する。作業データ作成部101、データ整形部102、処理能力予測部103、作業計画部104、および施策設定条件判定部105は、プロセッサ11の内部メモリ、ROM12または補助記憶デバイス14などの記憶装置に格納されるプログラムをプロセッサ11が実行することにより実現される機能である。
【0059】
実施形態に係る上位管理装置1は、プロセッサ11が実行するプログラムとして、オーダーリストからピッキング作業データを作成するプログラム、ピッキング作業データを整形するプログラム、ピッキング手段113の処理能力を予測するプログラム、作業計画を行うプログラム、施策設定条件を判定するプログラム等をROMまたは補助記憶デバイス14などの記憶装置に記憶する。
【0060】
プロセッサ11は、オーダーリストからピッキング作業データを作成するプログラムを実行することにより作業データ作成部101として機能する。作業データ作成部101は、外部システム3から取得するオーダーリストおよびデータベース121に記憶された在庫データに基づいて、各ピッキングステーションPで実施する(すなわち、各ピッキング手段が実施する)作業内容に関するピッキング作業データのリストを作成する。ピッキング作業データは、物品のピッキング個数、重量、体積、棚内での物品保管位置、および物品投入先のトレイ10の位置などの作業属性データを含むデータである。
【0061】
プロセッサ11は、ピッキング作業データを整形するプログラムを実行することにより、データ整形部102として機能する。データ整形部102は、作業データ作成部101が作成したピッキング作業データ、およびピッキング作業データに作業ログを付加したデータに基づいて、ピッキング手段113の処理能力の予測、および作業計画に用いるためにピッキング作業データに対して整形処理を実行する。ここで、整形処理とは、ピッキング作業データに、ピッキング手段データ、施策データ、作業負荷データなどの紐付けと、各種データに対する変数変換およびスケーリングなどの前処理と、を含む。
【0062】
プロセッサ11は、処理能力を予測するプログラムを実行することにより、処理能力予測部103として機能する。処理能力予測部103は、整形処理されたピッキング作業データに基づいて、実施予定の各ピッキング作業に対する各ピッキング手段113の処理能力に関するデータを生成し、生成したデータを後述する作業計画部104に出力する。
【0063】
プロセッサ11は、作業計画を行うプログラムを実行することにより、作業計画部104として機能する。作業計画部104は、処理能力予測部103が出力したピッキング手段113の処理能力データ、および倉庫内の運用状況などのデータに基づいて、各ピッキング手段113への作業割付、適用する施策、および棚搬送に使用するAGV7などの作業計画を策定する。
【0064】
プロセッサ11は、施策設定条件を判定するプログラムを実行することにより、施策設定条件判定部105として機能する。施策設定条件判定部105は、作業ログにおける処理能力または疲労度の実績値に基づいて、次に設定すべき施策の条件を決定する。
【0065】
次に、上位管理装置1が有する機能である作業データ作成部101が実施する処理について説明する。
上位管理装置1は、外部システム3からオーダーリストを取得する。また、上位管理装置1は、外部システム3から、倉庫内の在庫データ、出荷時間、輸送トラックの運行データ等を取得してもよい。上位管理装置1は、取得したこれらのデータをデータベース121に記憶させる。
【0066】
オーダーリストは通常、出荷時間および輸送トラックの制約に基づいて決定された、バッチ単位で取得する。オーダーの並べ替え、または作業割付の変更は、このバッチ単位内で実施されるものとする。
【0067】
各ピッキングステーションPの作業進捗によっては、棚呼び出しの干渉またはピッキングステーションPでの作業待ちが起こり得る。これを回避するために、上位管理装置1は、ピッキングステーションPに作業を割り付けた後でも、割り付け済み作業の範囲内で実施順序(棚の呼び出し順序)を入れ替えてもよい。それでも回避が困難な場合、または作業平準化の観点から大きな計画変更が必要な場合、上位管理装置1は、割り付け済み作業の中でまだ棚の呼び出しを実施していない作業について、割り付け先のピッキングステーションPを変更してもよい。
【0068】
割り付け先ピッキングステーションPを変更可能な作業の範囲またはタイミングは、ピッキングステーションPが備えるトレイ10の数、またはその管理方法によって異なる。注文IDとトレイIDが予め紐づけされた状態で各ピッキングステーションPにトレイ10が補充される場合、補充済みのトレイ10に対応した作業は、作業順序の入れ替えが可能であるが、割り付け先を別のピッキングステーションPに変更することはできないものとする。注文IDとトレイIDの紐づけが各ピッキングステーションPで実施され、作業直前まで変更可能な場合、上位管理装置1は、より広い範囲に渡って計画を変更することができる。
【0069】
作業データ作成部101は、取得したオーダーリストとデータベース121に保存された在庫データに基づいて、物品とピッキング作業に関する属性X1,X2,…,Xnに関するデータを付与したピッキング作業データのリストを作成する。ここで、nは、属性の数を表す任意の正の整数でる。すなわち、作業データ作成部101は、オーダーリストおよび在庫データに基づいて、ピッキング手段113が物品をピッキングするピッキング作業に関するピッキング作業データを作成する。
【0070】
物品の属性とは、物品の重量、体積、保管されている棚ID、棚内での保管位置、保管状態(段ボールが開封されているか、または未開封であるか)等を含むデータである。さらに、ピッキング作業の属性とは、物品のピッキング個数、物品投入先のトレイ10の位置、踏み台の使用有無等を含むデータである。なお、投入するトレイ10の位置または踏み台の使用有無は、確定した時点で付与されるものとする。
【0071】
図6は、作業データ作成部101がピッキング作業データを作成する処理の一例を説明するための図である。
図6の例では、作業番号(作業ID)が「1」から「D」までの作業があり、各作業に対して物品とピッキング作業に関する属性Xが割り当てられている。例えば、X
1は、物品のピッキング個数、X
2は、棚内での保管位置、X
nは、物品投入先のトレイ位置を表す。
【0072】
また、ピッキング作業データを作成する際、作業データ作成部101は、一度の棚呼び出しで同時に実行可能なピッキング作業がまとまるように、ピッキング作業を並び替え、複数のピッキング作業をまとめてピッキング手段113に割り付ける作業単位としてよい。この場合、作業データ作成部101は、まとめた作業単位毎に呼び出す棚を紐づける。
【0073】
ピッキング作業を並べ替えてまとめる方法には、例えば、以下の2つの方法がある。1つ目は、呼び出した棚の中に保管されている物品IAが複数の注文情報に記載されている場合、棚から同一物品IAを複数個ピッキングし、複数のトレイ10に投入してもよい。2つ目は、ある注文情報に記載された異なる物品IA,IBが呼び出した棚にまとめて保管されている場合、異なる物品IA,IBを同じ棚からまとめてピッキングしてもよい。また、上記2つのまとめ方を組み合わせてもよい。
【0074】
次に、上位管理装置1が有する機能であるデータ整形部102がピッキング作業データを整形する処理について説明する。
データ整形部102は、例えば、ピッキング作業データの作業1からDまでに対し、ピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ym、施策Z1,Z2,…,Zl、作業負荷W、ピッキング手段113の処理能力T等の情報を付与する処理と、各データ列に対する前処理と、を含む作業データの整形を実施する。ここで、mおよびlはそれぞれ、ピッキング手段113の属性の数および施策の数を表す任意の正の整数である。すなわち、データ整形部102は、ピッキング作業データに整形処理を実行する。
【0075】
ピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ymとは、例えば、作業員ID、年齢、性別、身長、運動経験、勤務年数、雇用形態、現時刻において勤務を開始してから経過した勤務継続時間、疲労度、等である。
【0076】
ここで、疲労度は、例えば、作業員がリストバンド型センサを装着し、計測される脈拍および体動に基づいて、推定されてもよい。または、疲労度は、ピッキングステーションPに設置したカメラで作業の動作を撮影し、当該撮影された動作に基づいて推定されてもよい。或いは、疲労度は、作業ログとして収集される処理能力の実績に基づいて推定されてもよい。
【0077】
施策Z1,Z2,…,Zlとは、作業管理部112を介した情報提示と、割り付ける作業の変更、作業負荷Wに関する制約等である。例えば、目標作業時間を表示する施策をZ1に対応させるとき、この施策を実施することをZ1=1と表し、実施しないことをZ1=0と表す。
【0078】
情報提示に関する施策は、作業時間の目標時間および業務終了の目安に関するものを含む。例えば、作業員のペースを上げたいときは、現状より速い目標作業時間または現状のペースで予想される業務終了時間を、下げたいときは現状より遅い目標作業時間を提示する。
【0079】
さらに情報提示に関する施策は、作業員が行うべきピッキング作業をサポートする情報の提示、キャラクターの提示、音楽の再生、インセンティブ量の提示、作業員のランキングの提示等を含む。
【0080】
割り付け作業の変更に関する施策は、作業属性を基にピッキング作業の負荷を定量化し、作業員のペースが遅い、または疲労により処理能力が低下しているときは、負荷の小さい作業を当該作業員に割り付け、想定よりペースが速い、または飛ばし過ぎている作業員に対しては負荷の高い作業を割り付ける施策である。
【0081】
作業負荷Wとは、例えば、ピッキング作業を実施する際に身体にかかる負荷を表す数値である。作業負荷は、物品とピッキング作業に関する属性X1,X2,…,Xnとピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ymとの組み合わせによって、予め数値を設定したデータを用意し、対応する数値を読み込んでもよい。また、過去の物品とピッキング作業に関する属性X1,X2,…,Xn、ピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ym、疲労度の実績値の関係を分析し、負荷を推定するモデルを用意しても良い。
【0082】
作業負荷Wは、例えば、高所に保管された物品を、踏み台を使用しなければピッキングできない場合には数値が高くなる。また、投入先のトレイ10がピッキング位置から離れた位置にあるほど、数値は高くなる。或いは、物品の個数または重量が大きいほど、作業負荷Wの数値は、高くなる。
【0083】
逆に、例えば、物品が腰の高さ付近に保管されており、踏み台を使用せずにピッキングできる場合、作業負荷Wの数値は、低くなる。また、投入先のトレイ10がピッキング位置から近い位置にあるほど、作業負荷Wの数値は、低くなる。或いは、物品の個数または重量が小さいほど、作業負荷Wの数値は、低くなる。
【0084】
施策に含まれる作業負荷Wに関する制約とは、作業負荷Wの小さい作業、あるいは作業負荷Wの大きい作業に限定して割り付ける施策を指す。特定の作業員の作業ペースを落としたい場合には、例えば、
図8に示すようにW<0.3となるような施策による作業負荷Wに関する制約を設定する。
【0085】
ピッキング手段113の処理能力Tとは、例えば、ピッキング作業に要した作業時間である。
【0086】
作業時間は、例えば、作業管理部112としてデジタルアソートシステムを使用し、AGV7の到着時刻と投入先トレイ10の位置にあるスイッチが押された時刻の差から算出してもよい。または、上位管理装置1は、ピッキングステーションPに設置したカメラの映像から、ピッキング作業の開始、終了時刻を判定し、作業時間を算出してもよい。
【0087】
上位管理装置1は、作業実績として、カメラの映像から、作業中の割り込み処理または異常の有無を判定し、その情報をフラグデータとして作業ログに付与してもよい。上位管理装置1は、フラグのあるデータを除いて各種データ処理または分析を実施してもよい。
【0088】
各データ列に対する前処理とは、例えば、変数変換またはスケーリングの前処理である。
【0089】
物品の保管位置および投入先トレイ10の位置に関する情報は、例えば
図6示すように、A1またはB21のようにアルファベットと数字で管理される。但し、このままでは、データ処理または分析上意味のある情報にならないため、データ整形部102は、ダミー変数(0または1の二値)化する、または設備の機器情報に基づいて連続値化する、等の方法を実施する。
【0090】
整形処理されたピッキング作業データ内の変数間で取り得る値の範囲が異なる場合、データ整形部102は、スケーリング処理を実行する。例えば、各変数の値を指定した範囲に正規化する処理を実施する。例えば、[0,1]の範囲に正規化する処理は、以下の式1を用いて実行される。ここで、x(i)は、データxのi番目のサンプルであり、xminおよびxmaxはそれぞれ、データxの最小値および最大値であり、xnorm
(i)は、正規化後の変数である。
【0091】
xnorm
(i)=(x(i)-xmin)/(xmax-xmin) (式1)
【0092】
図7は、データ整形部102がピッキング作業データを整形する処理の一例を説明するための図である。
図7に示す整形処理されたピッキング作業データは、ピッキング作業データ、ピッキング手段データ、施策データ、および作業ログデータを用いて整形処理されたピッキング作業データを示している。
図7の例では、物品とピッキング作業に関する属性にダミー変数化(0または1の二値化)処理、または連続値化処理がされ、各セルのデータに対してスケーリング処理が実行されている。そのため、
図7の例では、整形処理された物品とピッキング作業に関する属性であることを明示するため、X´で示している。なお、データ整形部102は、整形処理したピッキング作業データをデータベース121に記憶させる。
【0093】
次に、上位管理装置1が有する機能である処理能力予測部103および作業計画部104が実施する処理について説明する。
図8は、処理能力予測部103および作業計画部104が実施する処理の一例を説明するための図である。
図8の例では、作業1からDまでを、ピッキング手段aからcのいずれかに割り付けることを考える。
【0094】
処理能力予測部103は、ピッキング作業データを整形処理したデータに基づいて、割付予定のピッキング作業に対する各作業員(ピッキング手段113)の処理能力を予測する。このとき、ピッキング手段113の処理能力の予測は、作業員への施策Z
1,Z
2,…,Z
lの有無で場合分けして実施する。
図8において、施策ごとにピッキング手段113の処理能力の予測を行っている例を示している。そして、作業計画部104は、実現可能な割り付けの組み合わせのうち、各種制約を満たしつつ、最適な割付作業と施策の組み合わせを作業計画として策定する。
図8において、ピッキング手段aからcに各作業が割り付けられた例を示している。
【0095】
処理能力の予測とは、例えば、過去の作業ログから、次に実施予定のピッキング作業と条件の近いピッキング作業の能力実績値を抽出し、当該能力実績値を予測値として用いてもよい。または、機械学習などを用いて、実施予定の作業に関する属性データを説明変数に、処理能力を目的変数とする関数(予測モデル)を構築してもよい。
【0096】
すなわち、処理能力予測部103は、ピッキング作業データにより実施予定のピッキング作業に関する属性データを説明変数とし、ピッキング手段113の処理能力を目的変数として学習された予測モデルを用いてピッキング手段113の処理能力を予測する。
【0097】
処理能力は、作業時間の確率分布であってもよい。その場合、確率分布の平均値および片側α点の値を処理能力の代表値として、作業時間に用いても良い。
【0098】
処理能力の予測モデルは、ピッキング手段113ごとに個別に構築してもよい。また、ピッキング手段113の属性またはスペックで分類したモデルを複数構築してもよい。さらに、ピッキング作業またはピッキング手段113の属性と施策の有無から処理能力を予測する汎用モデルを構築してもよい。
【0099】
過去の作業実績がないピッキング手段113について処理能力を予測する場合、過去の作業ログからピッキング手段113の属性が近い作業実績から能力を算出してもよい。または、すでに構築済みの予測モデルの中から、属性またはスペックの近いピッキング手段のモデルを選び、運用を始めてもよい。
【0100】
物品とピッキング作業に関する属性X1,X2,…,Xn、ピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ym、施策Z1,Z2,…,Zlの内容、および作業負荷Wの算出ルールは、システム管理者が設定できるものとする。また、システム管理者は、システムの稼働状況に応じて、設定を見直してもよい。
【0101】
また、各種制約とは、まず、AGV棚8およびAGV7の稼働状況から実現可能であること、そして、各ピッキングステーションPが割り付けられたピッキング作業をすべて処理し終える時刻について、その最も遅い時刻が、出荷時間を基に決まる、工程の締め切り時刻を超えないことである。
【0102】
その中で、最適な割付作業と施策の組み合わせとは、各ピッキングステーションPの作業終了時刻を平準化し、かつ最も時間のかかるステーションの合計所要時間を最小化するものである。そのため、各作業員への施策は基本的に、施策なしの場合と比べて処理能力の平均が上がるような施策がそれぞれ選択される。
【0103】
次に、上位管理装置1が有する機能である施策設定条件判定部105が実施する機能について説明する。
施策設定条件判定部105は、ピッキング手段113の処理能力が上記予測した処理能力の所定の範囲内にない場合に、次に実施すべき施策を変更する。
【0104】
施策設定条件の判定は、各ピッキングステーションP(すなわち、ピッキング手段113それぞれ)から収集される作業実績に基づいて実施される。例えば、作業の最初に設定する際は、各ピッキングステーションPにおいて、処理能力を上げるものに限定する。よって、最初に作成される作業計画では、逆の効果を生む(処理能力を下げる)施策の組み合わせは除外される。ピッキング作業が進むにつれ、処理能力の低下または疲労の蓄積が生じたと判定したピッキングステーションPに対しては、施策設定条件を負荷低減に変更し再度作業計画を立案する。このとき、該当のステーションの処理能力を上げる、負荷の大きい作業を割り付けるといった施策は除外される。
【0105】
処理能力の平均を上げるような施策として、例えば、目標の作業時間を提示する方法が考えられる。この目標の作業時間は、対象の作業員よりも勤務年数が長く、ピッキング作業の処理能力が高い人の過去の実績データから設定しても良い。また、施策設定条件判定部105は、対象の作業員本人の過去の作業実績を基に、一定の割合(例えば、10%短縮)を乗算した値を目標時間(新たな施策)として設定しても良い。
【0106】
また、処理能力の平均を上げる他の施策として、業務終了までの残り時間を提示する方法が考えられる。この残り時間は、例えば、未実施のピッキング作業について予想される作業時間の和を基に算出される。
【0107】
一方で、勤務時間が増えてくると、疲労によって作業員の処理能力が低下する場合がある。しかし、自由に休憩を取ることが難しく、作業を継続しなければならない場合、負荷の小さいピッキング作業に限定して割り付けるような施策が考えられる。これにより、処理能力の更なる低下防止、または処理能力の回復を図る。
【0108】
逆に、想定よりも高い処理能力を発揮し、平準化を乱してしまうと予想される場合には、負荷の大きいピッキング作業を多く割り付けるような施策が考えられる。
【0109】
各作業員への施策は、全員一律である必要はなく、各自にその時効果的なものを個別に実施してよい。そのため、あるピッキングステーションPには目標時間を提示する施策がなされている一方で、別のピッキングステーションPでは作業員の疲労を検知して、負荷の小さいピッキング作業に限定して割り付ける施策がなされてもよい。また、何も施策を行わない方が最も良いと判断されてもよい。
【0110】
上記の説明では、ピッキングステーションPに待機するピッキング手段113の作業時間についてのみ言及した。しかし、次に使用するAGV棚8がピッキングステーションPに到着しておらず、作業の待ち時間が発生する場合、工程全体のスループットにも影響を及ぼす。そのため、作業割付は、予想される待ち時間も考慮して、総合的に判断する必要がある。
【0111】
AGV7の台数が限られている場合、ピッキングステーションPでの待ち時間、またはAGV7の移動時間が短くなるようにAGV7の運用も最適化する必要がある。そのため、ピッキング手段113の処理能力の観点から見て、必ずしも最適でない作業計画が採用されることもあり得る。
【0112】
次に実施形態に係るピッキングシステム100における上位管理装置1の動作について説明する。
図9は、実施形態に係るピッキングシステム100の物品の出庫作業における上位管理装置1の動作例を説明するためのフローチャートである。
このフローチャートの動作は、上位管理装置1のプロセッサ11がプロセッサ11の内部メモリ、ROM12、またはRAM13に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、実現される。
【0113】
ステップS101で、物品の出庫作業において、上位管理装置1は、通信インタフェース15を介して、外部システム3からオーダーリストを取得する。例えば、オーダーリストは、ピッキングする物品と当該物品の配送先などとを対応付けるオーダーから構成される。ここでは、オーダーリストは、複数のオーダーから構成される1バッチ分のオーダーであるとする。オーダーは、注文伝票などであっても良い。なお、上位管理装置1は、外部記憶デバイス用のインタフェースを介して外部記憶デバイスからオーダーリストを取得しても良いし、操作部などを用いて作業員が入力するオーダーリストを受け付けても良い。
【0114】
ステップS102で、プロセッサ11は、ピッキング作業データを作成する。作業データ作成部101として機能するプロセッサ11は、上述した処理により、オーダーリストおよび在庫リストに基づいてピッキング作業データを作成する。
【0115】
ステップS103で、プロセッサ11は、ピッキング作業データを整形する。データ整形部102として機能するプロセッサ11は、上述した処理により、作業データおよびログデータに基づいて、ピッキング作業データを整形する。ここで、ログデータがなく、最初にピッキング作業データを整形する場合、プロセッサ11は、ピッキング手段113の属性Y1,Y2,…,Ym、施策Z1,Z2,…,Zl、作業負荷W、について、仮のデータをログデータとして用いてピッキング作業データを整形して良い。
【0116】
ステップS104で、プロセッサ11は、施策設定条件を設定する。施策設定条件判定部105は、施策設定条件を設定する。上述したように、最初にステップS104を実施する場合、施策設定条件判定部105は、各ピッキングステーションPにおいて、処理能力を上げるものに限定する。しかしながら、2回目以降にS104を実施する場合(すなわち2バッチ目以降の処理の場合)は、上記のような条件を付ける必要はなく、後述するステップS112で設定された施策設定条件を用いる。
【0117】
ステップS105で、プロセッサ11は、処理能力を予測する。処理能力予測部103として機能するプロセッサ11は、上述した処理により、施策の有無で場合分けして各ピッキング手段113の処理能力を予測する。
【0118】
ステップS106で、プロセッサ11は、作業計画を決定する。作業計画部104として機能するプロセッサ11は、上述した処理により作業計画データを作成する。例えば、最初にステップS106を処理する場合、ステップS104で設定される施策が各ピッキング手段113において処理能力を上げるものに限定されている。そのため、作業計画部104は、当該施策に従って、ピッキング手段113の効率を下げるような作業計画を除外する。
【0119】
図10は、各ピッキング手段113(作業員)の目標効果と、そのために実施する施策のイメージ例を示した図である。
図10の例では、一番上の作業員の処理能力予測は、一般的な作業員の処理能力と比較して効率が良く、真ん中の作業員の処理能力予測は、一般的な処理能力であり、一番下の作業員の処理能力予測は、一般的な処理能力より低い場合を示している。このような場合、作業計画部104は、一番上の作業員には負担の大きな作業を割り付け、真ん中の作業員には処理をどの程度でやればよいのかの目標分布を提示し、一番下の作業員には、負担の軽い作業または調子を取り戻し易い作業を割り付ける。
【0120】
ステップS107で、プロセッサ11は、作業計画に従って棚搬送に使用するAGVを選定して搬送指示を送ることにより、AGV7を用いてピッキングステーションに棚を呼び出す。
【0121】
ステップS108で、プロセッサ11は、ピッキングステーションにAGV棚8を呼び出すと、ピッキングステーションPに存在するピッキング手段113によってAGV7が運んできたAGV棚8に対応したピッキング作業を実行させる。
【0122】
ステップS109で、プロセッサ11は、ピッキング作業中において、実施した作業内容を示す作業ログを生成し、作業ログに含まれる実績値を追記した整形作業ログデータを作成する。例えば、プロセッサ11は、指定した物品のピッキング作業(仕分け作業)が終了するごとに実施した作業内容を示す作業ログを作成し、作成した作業ログをデータベース121に保存(更新)する。プロセッサ11は、作業ログが更新されると、
図7で示した整形作業データと同様の情報となるような整形作業ログデータを作成する。
【0123】
ステップS110で、プロセッサ11は、各ピッキングステーションPに未処理の割り付け作業が残っているかどうかを判定する。未処理の作業が残っている場合、処理はステップS107戻り、棚の呼び出し(ステップS107)、ピッキング作業(ステップS108)、および作業ログの作成および生成(ステップS109)を継続して行う。一方、未処理の割り付け作業が残っていない場合、処理は、ステップS111に進む。
【0124】
ステップS111で、プロセッサ11は、ピッキング手段113の能力が想定の範囲内であるかどうか判定する。例えば、プロセッサ11は、作業計画部104により決定された各ピッキング手段113の処理に対する設定時間と、実際の処理に掛かった時間の差を算出する。当該差が所定の閾値を超えていない場合、設定された施策を変更する必要がないと判定し、処理を終了する。すなわち、次のバッチ処理に進むことになる。
【0125】
一方、当該差が所定の閾値を超えている場合、プロセッサ11は、想定の範囲外であると判定する。この場合、処理はステップS112に進む。なお、ピッキング手段113である作業員は、人であるため、処理にばらつきが生じる。そのため、本実施形態では、バッチ処理に対する設定時間と実際の処理に掛かった時間の差を算出している。しかしながら、本実施形態はこれに限られず、バッチ処理の各処理、或いは、任意の処理数に対する差を算出し、施策設定条件を変更するかどうかの判定をしても良いのは勿論である。
【0126】
ステップS112で、プロセッサ11は、施策設定条件を変更する。プロセッサ11は、次回のバッチ処理におけるステップS104で使用するための施策設定条件を変更する。例えば、所定のピッキング手段113(作業員)が疲れており、効率が低下していると判定された場合、当該作業員の調子を取り戻すような施策を設定する。
【0127】
(実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、倉庫の作業計画を決定する上位管理装置1が、直接的、または 間接的に作業員の処理能力に作用する施策を有し、その効果を考慮し た作業計画を決定することができる。また、作業進捗に応じて各作業員への施策を適宜変更する。これにより、各作業員の処理能力の平均値向上および能力の急激な低下を防ぐことができ、且つ長期的視点で各作業員の絶対的な作業時間を短縮することを可能にする。
【0128】
(変形例)
上述した実施形態は、ピッキングシステム100が出庫作業を行う場合を想定して説明したが、上述した実施形態は、入庫作業に適用しても良い。例えば、ピッキングシステム100が運用される倉庫には、
図1に示す物品管理エリアと出庫作業エリアとに加えて、入庫作業エリアを備えても良い。上述した出庫作業と同様に、入庫作業エリアに作業員が待機するステーションを配置し、上位管理装置1から指示に応じて、入庫(物品補充)作業が実施されるようにしても良い。
【0129】
ピッキングシステム100が運用される倉庫での入庫作業としては、ピッキングステーションPに配置されたトレイ10には新しく入荷した物品が入っているものとし、新しく入荷した物品をAGV7が搬送するAGV棚8にセットする作業が想定される。なお、新しく入荷した物品は、トレイ10でなく段ボールなどに詰められた状態であってもよい。
【0130】
本実施形態に係るプログラムは、上位管理装置1としての電子機器(コンピュータ)に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、上位管理装置1としてのコンピュータが読み取り可能な媒体(コンピュータ可読媒体)である。記憶媒体は、光ディスク(例えば、CD-ROM)、磁気ディスク、半導体メモリ(例えば、メモリカード)などのプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
100…ピッキングシステム
1…上位管理装置
11…プロセッサ
101…作業データ作成部
102…データ整形部
103…処理能力予測部
104…作業計画部
105…施策設定条件判定部
12…ROM
13…RAM
14…補助記憶デバイス
121…データベース
15…通信インタフェース
2…ネットワーク
3…外部システム
7…AGV
71…プロセッサ
72…ROM
73…RAM
74…補助記憶デバイス
75…通信インタフェース
76…駆動部
77…センサ
78…バッテリー
79…充電機構
70…タイヤ
8…AGV棚
P…ピッキングステーション
10…トレイ
112…作業管理部
113…ピッキング手段