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特開2025-9439自動改札装置及び自動改札装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025009439
(43)【公開日】2025-01-20
(54)【発明の名称】自動改札装置及び自動改札装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20250110BHJP
【FI】
G07B15/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112445
(22)【出願日】2023-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 勝秀
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA56
3E127CA02
3E127DA02
3E127DA16
3E127DA17
3E127DA19
3E127EA02
3E127FA16
3E127FA25
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制しながら信頼性を向上できる自動改札装置を提供する。
【解決手段】搬送機構と調整機構とを有する筐体部と、搬送機構電源と、主電源と、メモリと、前記主電源がオンの状態で前記搬送機構電源をオフにする省電力運転モードの第1コマンドを前記メモリに記憶し、前記省電力運転モード中に前記主電源をオフにする際、前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合、前記メモリから前記第1コマンドを削除し、前記主電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合、前記調整機構による調整を行うコントローラと、を備えている、自動改札装置。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿って券媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構における調整動作を行う調整機構と、を有する筐体部と、
前記搬送機構に電力を供給する搬送機構電源と、
前記筐体部に電力を供給する主電源と、
運転モードのコマンドを記憶するメモリと、
前記主電源がオンの状態で前記搬送機構電源をオフにする省電力運転モードの第1コマンドを前記メモリに記憶し、前記省電力運転モード中に前記主電源をオフにする際、前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合、前記メモリから前記第1コマンドを削除し、前記主電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合、前記調整機構による調整を行うコントローラと、を備えている、
自動改札装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記搬送路を挟んで隙間を置いて対向する第1ローラ及び第2ローラと、前記第1ローラを回転させる第1モータと、前記第2ローラを回転させる第2モータと、を有し、
前記調整機構は、前記隙間の大きさを調整可能な隙間調整機構であり、
前記コントローラは、
搬送機構電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、
第1コマンドが記憶されていない場合、前記隙間調整機構により前記隙間の大きさを調整する隙間調整と、前記第1モータ及び前記第2モータにより前記第1ローラ及び前記第2ローラを回転させるクレンジングと、を行い、
前記メモリに前記第1コマンドが記憶されている場合、前記隙間調整及び前記クレンジングを省略する、
請求項1に記載の自動改札装置。
【請求項3】
前記筐体部の周辺にいる利用者を検知する人間検知部をさらに備え、
前記コントローラは、所定の期間、前記筐体部の周辺に利用者がいない場合、前記メモリに前記第1コマンドを記憶し、前記搬送機構電源をオフにする、
請求項1に記載の自動改札装置。
【請求項4】
前記メモリは、不揮発性メモリである、
請求項1に記載の自動改札装置。
【請求項5】
搬送路に沿って券媒体を搬送する搬送機構と前記搬送機構における調整動作を行う調整機構とを有する筐体部と、前記搬送機構に電力を供給する搬送機構電源と、前記筐体部に電力を供給する主電源と、運転モードのコマンドを記憶するメモリと、を備えている自動改札装置の制御方法であって、
前記主電源がオンの状態で前記搬送機構電源をオフにする省電力運転モードの第1コマンドを前記メモリに記憶し、
前記省電力運転モード中に前記主電源をオフにする際、前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合、前記メモリから前記第1コマンドを削除し、
前記主電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合、前記調整機構による調整を行う、
自動改札装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札装置及び自動改札装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
駅構内や遊戯施設などで改札業務を行う自動改札装置が知られている。自動改札装置は、券媒体を搬送する搬送機構、搬送機構を有する筐体部、搬送機構に電力を供給する搬送機構電源、筐体部に電力を供給する主電源、メモリなどを備えている。自動改札装置の運転モードは、所定の期間利用されていない場合、消費電力を抑制するための省電力運転モードに切り替わる。省電力運転モードでは、例えば、搬送機構電源を切り、メモリに省電力運転モードのコマンドを記憶する。主電力モード中に主電源をオフにした場合、メモリ内に省電力運転モードのコマンドが残る。そのため、主電源をオンにする際、省電力運転モードが維持される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-73372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の課題は、消費電力を抑制しながら信頼性を向上できる自動改札装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る自動改札装置は、搬送路に沿って券媒体を搬送する搬送機構と、前記搬送機構における調整動作を行う調整機構と、を有する筐体部と、前記搬送機構に電力を供給する搬送機構電源と、前記筐体部に電力を供給する主電源と、運転モードのコマンドを記憶するメモリと、前記主電源がオンの状態で前記搬送機構電源をオフにする省電力運転モードの第1コマンドを前記メモリに記憶し、前記省電力運転モード中に前記主電源をオフにする際、前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合、前記メモリから前記第1コマンドを削除し、前記主電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合、前記調整機構による調整を行うコントローラと、を備えている。
【0006】
また、一実施形態に係る自動改札装置の制御方法は、搬送路に沿って券媒体を搬送する搬送機構と前記搬送機構における調整動作を行う調整機構とを有する筐体部と、前記搬送機構に電力を供給する搬送機構電源と、前記筐体部に電力を供給する主電源と、運転モードのコマンドを記憶するメモリと、を備えている自動改札装置の制御方法であって、前記主電源がオンの状態で前記搬送機構電源をオフにする省電力運転モードの第1コマンドを前記メモリに記憶し、前記省電力運転モード中に前記主電源をオフにする際、前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されている場合、前記メモリから前記第1コマンドを削除し、前記主電源をオンにする際、前記メモリに前記第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、記憶されていない場合、前記調整機構による調整を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係る自動改札装置を示す斜視図である。
図2図2は、上記実施形態に係る自動改札装置を示す断面図である。
図3図3は、上記実施形態に係る自動改札装置の分離装置を示す側面図である。
図4図4は、図3に示す分離装置の一部を示す斜視図である。
図5図5は、上記実施形態に係る自動改札装置の制御構成を示すブロック図である。
図6図6は、上記実施形態に係る自動改札装置が実施する処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、図6に続く、上記実施形態に係る自動改札装置が実施する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宣変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面や説明をより明確にするため、実際の様態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宣省略することがある。
以下、図面を参照しながら一実施形態に係る自動改札装置について詳細に説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係る自動改札装置10を示す斜視図である。
まず、互いに直交する第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zを定義する。第1方向Xは自動改札装置10の長さ方向に相当し、第2方向Yは自動改札装置10の高さ方向に相当し、第3方向Zは自動改札装置10の幅方向に相当する。
自動改札装置10は、例えば、鉄道駅の改札口などに配置され、利用者の通行(入出場)を許可又は禁止する改札業務を行う。上記利用者とは、例えば、鉄道を利用する旅客(乗降客)、駅構内への入出場者、駅務員、保守作業員などである。
【0010】
図1に示すように、自動改札装置10は、筐体部12、投入口EN、読取部13、放出口EX、第1表示部14a、第2表示部14b、扉16a,16b、複数の高さ検知部17、複数の通行検知部18、及び人間検知部19を備えている。
筐体部12は、ほぼ扁平な立方体形状に形成され、上面12a、内面12b、側面12c、センサ取付け部12dなどを有している。上面12aには、投入口EN、読取部13、放出口EX、第1表示部14aが並んで設けられている。
【0011】
投入口ENは、券媒体Pが投入される。上記券媒体は、例えば、磁気乗車券である。
読取部13は、媒体に記録された情報を読み取る。より具体的には、読取部13は、媒体と無線通信により乗車情報を読み取る。上記媒体は、例えば、IC(Integrated Circuit)チップが埋め込まれた無線ICカードや、スマートフォンなどの電子機器である。上記乗車情報は、例えば、媒体に固有の識別情報、利用者の識別情報、及び有効期間、有効期間、入場記録、出場記録などに関する各種情報である。
放出口EXは、投入口ENから投入された券媒体Pが放出される放出口である。
【0012】
第1表示部14aは、例えば、複数の点光源を有する表示パネルを有し、上記表示パネルに改札処理の結果などを表示する。
第2表示部14bは、筐体部12の側面12cに設けられている。第2表示部14bは、例えば、複数の点光源を有する表示パネルを有し、上記表示パネルに筐体部12によって規定される通路PWへの進入の可否などの情報を表示する。
【0013】
一対の扉16a,16bは、それぞれ筐体部12の内面12bに設けられている。一対の扉16a,16bは、通路PWを閉鎖する閉位置から通路PWを開く開位置まで移動可能である。図1に示す例において、一対の扉16a,16bは、開位置に位置している。
複数の高さ検知部17は、筐体部12のセンサ取付け部12dに並べて設けられている。図1に示す例において、3つの高さ検知部が設けられている。高さ検知部17は、身長が所定の高さ以上である利用者が通路PWを通行していることを検知する。
【0014】
複数の通行検知部18は、筐体部12の内面12bに並べて設けられている。図1に示す例において、6つの通行検知部18が設けられている。通行検知部18は、投光部と受光部とを有するセンサであり、通路PWに進入した利用者の位置や進行方向などを追従して検知する。
人間検知部19は、筐体部12の側面12cに設けられている。人間検知部19は、筐体部12から所定の距離までの範囲における利用者を検知する。例えば、人間検知部19は、超音波センサであり、筐体部12から3m離れた位置までの範囲内に人がいるか否かを検知できる。
【0015】
次に、筐体部12内の機器について説明する。
図2は、上記実施形態に係る自動改札装置10を示す断面図である。
図2に示すように、自動改札装置10は、分離装置20と、整列装置100と、磁気処理装置110と、パンチ・印刷装置120と、放出・集札装置130と、を備えている。分離装置20、整列装置100、磁気処理装置110、パンチ・印刷装置120、及び放出・集札装置130は、筐体部12の内部に位置し、投入口ENから投入された券媒体Pを搬送路36に沿って搬送する搬送機構22を有している。
【0016】
投入口ENは、複数枚、例えば、4枚の磁気乗車券を重ねた状態で投入可能な寸法(長さ、幅、高さ)を有している。
分離装置20は、投入口ENに複数枚の券媒体Pが同時に(重ねて)投入された場合に、券媒体Pを1枚ずつ分離し、1枚ずつ整列装置100に搬送する。
整列装置100は、分離装置20から搬送された券媒体Pの搬送方向及び位置を整列させ、磁気処理装置110に券媒体Pを搬送する。
磁気処理装置110は、整列装置100から搬送された券媒体Pに対して、磁気処理を行う。上記磁気処理としては、例えば、駅構内に入場する際に自動改札装置10を利用する場合、入場駅、入場時刻などの情報を券媒体Pに記録する処理がある。磁気処理装置110は、磁気処理した券媒体Pをパンチ・印刷装置120に搬送する。
【0017】
パンチ・印刷装置120は、磁気処理装置110から搬送された券媒体Pに自動改札装置10を通過したことを示す孔をパンチにより形成すると共に、券媒体Pに必要な上方を印刷する。パンチ・印刷装置120は、パンチ処理及び印刷処理をした券媒体Pを放出・集札装置130に搬送する。
放出・集札装置130は、パンチ・印刷装置120から搬送された券媒体Pを放出口EXから放出する。このとき、券媒体Pが複数枚、例えば、2枚同時に投入口ENに投入され、分離装置20で分離され、順次、整列装置100、磁気処理装置110、パンチ・印刷装置120に搬送されている場合、2枚の券媒体Pは、放出・集札装置130で集札され、放出口EXから2枚同時に放出される。
【0018】
次に、分離装置20の構成について説明する。
図3は、上記実施形態に係る自動改札装置10の分離装置20を示す側面図である。図4は、図3に示す分離装置20の一部を示す斜視図である。
図3及び図4に示すように、分離装置20は、搬送機構22と、支持機構34と、隙間調整機構56と、を備えている。分離装置20における搬送機構22は、厚さセンサ24、フィードローラ26、分離ローラ28、変位センサ30、ピックアップローラ32、第1モータ38、第2モータ40などを有している。
【0019】
まず、搬送機構22の基本的な構成について説明する。
搬送機構22の搬送路36は、各種のローラやベルトによって規定されている。図3に示す例において、搬送路36は、搬送ベルトB1と搬送ローラRa1との間、搬送ベルトB1と厚さセンサ24との間、搬送ベルトB1と搬送ベルトB2との間、搬送ベルトB1と分離ローラ28との間、及びピックアップローラ32と回転体42との間である。搬送路36は、第1方向Xに延在している。
搬送機構22は、第1モータ38及び第2モータ40の他に各種のローラやベルトを駆動するためのモータを有している。
【0020】
搬送ベルトB1は、無端状のベルトである。搬送ベルトB1の内側には、搬送ローラRa2,Ra3,Ra4、従動ローラRb1,Rb2、及びフィードローラ26(より詳細には、搬送ローラRa5)が配置されている。搬送ベルトB1は、搬送ローラRa5及び従動ローラRb1,Rb2に巻き付けて設けられている。搬送ベルトB1は、搬送ローラRa5及び従動ローラRb1,Rb2に同期して回転する。搬送ベルトB1は、従動ローラRb3に外側から付勢されている。
【0021】
搬送ベルトB2は、搬送ベルトB1の上方に位置している。搬送ベルトB2は、搬送ベルトB1よりも短い無端状のベルトである。搬送ベルトB2の内側には、駆動ローラRc1,搬送ローラRa6,Ra7、及び従動ローラRb4が配置されている。搬送ベルトB2は、駆動ローラRc1及び従動ローラRb4に巻き付けて設けられている。搬送ベルトB2は、駆動ローラRc1及び従動ローラRb4と同期して回転する。
搬送ローラRa6は、第2方向Yにおいて搬送ローラRa3に対向している。搬送ローラRa7は、第2方向Yにおいて搬送ローラRa4に対向している。
【0022】
次に、搬送機構22の各機器について説明する。
厚さセンサ24は、投入口ENから投入された券媒体Pの厚さや枚数を検出する。厚さセンサ24は、第2方向Yにおける一端に接触子25を有している。接触子25は、下方に付勢されている。厚さセンサ24は、接触子25の変位量(移動量)を基に券媒体Pの厚さや券媒体Pの枚数を検出する接触式のセンサである。なお、厚さセンサ24は、接触式のセンサであることに限定されず、例えば、光の反射を利用する非接触式のセンサであってもよい。
【0023】
フィードローラ26は、第1ローラR1と、第1回転軸44と、2つの搬送ローラRa5と、を有している。第1ローラR1は、2つの搬送ローラRa5の間に位置している。第1ローラR1及び搬送ローラRa5は、第1回転軸44に固定され、第1回転軸44を中心として回転可能である。第1回転軸44は、第1モータ38に接続されている。フィードローラ26は、第1モータ38によって駆動される。
【0024】
分離ローラ28は、厚さセンサ24の下流側に位置し、第2ローラR2と、第2回転軸46と、を有している。分離ローラ28は、第2方向Yにおいてフィードローラ26に隙間を置いて対向している。より詳細には、第2ローラR2は、第1ローラR1に隙間を置いて対向している。
上記隙間の大きさは、自動改札装置10で処理する券媒体Pの厚さに応じて予め設定され、券媒体Pの厚さよりも僅かに大きい。
【0025】
第2ローラR2は、第2回転軸46を中心として回転可能である。第2回転軸46は、第2モータ40に接続されている。分離ローラ28は、第2モータ40によって駆動される。分離ローラ28は、複数枚の券媒体Pが重ねて投入口ENに投入された場合、分離動作を行う。分離動作とは、厚さセンサ24で検出された値が所定の大きさ以上であった場合に、券媒体Pを搬送方向に送らない向きに分離ローラ28を回転させることである。一例では、分離装置20は、分離ローラ28を反時計回りに回転させることで、複数枚の券媒体Pを分離する。
【0026】
変位センサ30は、分離ローラ28の第2方向Yにおける変位量(移動量)を検出可能に設けられている。変位センサ30は、第2方向Yにおける一端に接触子31を有している。接触子31は、下方に付勢されている。変位センサ30は、接触子31の変位量を基に分離ローラ28(第2ローラR2)の変位量を検出する接触式のセンサである。なお、変位センサ30は、接触式のセンサであることに限定されず、例えば、光の反射を利用する非接触式のセンサであってもよい。
【0027】
ピックアップローラ32は、フィードローラ26及び分離ローラ28の下流側に位置している。ピックアップローラ32は、回転体42に押圧されている。回転体42は、例えば、ベアリングである。ピックアップローラ32は、フィードローラ26及び分離ローラ28から送り出された券媒体Pを受け取り、券媒体Pを整列装置100に搬送する。
【0028】
次に、支持機構34について説明する。
支持機構34は、連結部材48と、支持部材50と、第1アーム52と、第2アーム54と、を有している。
連結部材48は、本体部48aと、延出部48b,48cと、を有している。延出部48b,48cは、本体部48aの端部から第1方向Xに延出して形成され、分離ローラ28の第2回転軸46の両端を回転可能に支持している。
支持部材50は、円柱状に形成され、連結部材48の本体部48aに固定されている。また、支持部材50は、筐体部12に固定された図示しないフレームに回転可能に支持されている。支持部材50の第1方向X及び第2方向Yへの移動は、制限されている。
【0029】
第1アーム52は、アーム本体58と、ブラケット60と、回転体62と、を有している。アーム本体58は、略L字形状に形成され、支持部材50の第3方向Zにおける一端に固定されている。
ブラケット60は、板状に形成され、アーム本体58にねじで固定されている。ブラケット60は、アーム本体58と反対側の端部に円柱状の支持部64を有している。支持部64には、回転体62が取付けられている。回転体62は、変位センサ30の接触子31に接触している。
【0030】
第2アーム54は、連結部66と、調整部68と、を有している。連結部66は、支持部材50の第3方向Zにおける他端に固定されている。調整部68は、第3方向Zに貫通して形成された取付け孔Hを有している。取付け孔Hには、バネ70が取付けられている。図4に示す例において、バネ70は、調整部68を下方に引っ張っている。
上記のように支持機構34が構成されているため、分離ローラ28(第2ローラR2)、連結部材48、第1アーム52、及び第2アーム54は、支持部材50を中心として回動可能である。また、第2ローラR2の移動量は、第1アーム52を介して変位センサ30に伝わる。
【0031】
次に、隙間調整機構56について説明する。
隙間調整機構56は、搬送機構22の調整動作を行う調整機構である。調整隙間調整機構56は、第3モータ72と、押圧機構76と、を有している。第3モータ72は、調整部68の下方に位置し、モータ軸78を有している。第3モータ72は、図示しないフレームに固定され、位置が固定されている。モータ軸78の上端78aは、調整部68に対向している。第3モータ72を駆動すると、モータ軸78が上下に移動する。
上記のように第3モータ72が構成されているため、モータ軸78の上端78aを調整部68に押し付けることにより、調整部68に上向きの力を作用させ、第2ローラR2を第1ローラR1から離間させることができる。
【0032】
押圧機構76は、ソレノイド82と、ソレノイドレバー84と、ソレノイドリンク86と、を有している。ソレノイド82は、図示しないフレームに位置が固定されたソレノイド本体82aと、ソレノイド本体82aから延出する可動部82bと、を有している。可動部82bは、ソレノイド本体82aに対して出し入れ可能である。つまり、可動部82bは、第1方向Xに移動可能である。
【0033】
ソレノイドレバー84は、第1方向Xに延出して板状に形成され、可動部82bに連結された一端84aを有している。
ソレノイドリンク86は、第2方向Yに延出して板状に形成され、ソレノイドレバー84の他端84bに回転可能に連結された一端86aと、枢軸88及び押圧ピン90が設けられている他端86bと、を有している。
【0034】
枢軸88は、円柱状に形成され、図示しないフレームに回転可能に支持されている。枢軸88の第1方向X及び第2方向Yへの移動は、制限されている。
押圧ピン90は、円柱状に形成され、第1方向Xにおいて枢軸88から離間して位置している。押圧ピン90は、調整部68に対向する外周面を有している。
上記のように押圧機構76が構成されているため、ソレノイド82の駆動により枢軸88を中心としてソレノイドリンク86を回動させ、押圧ピン90を介して調整部68に下向きの力を作用させ、第2ローラR2を第1ローラR1に押し付けることができる。
【0035】
さらに、上記のように隙間調整機構56が構成されているため、第2ローラR2の位置を調整し、第1ローラR1と第2ローラR2との間の隙間を所望の大きさに調整することができる。以下、隙間調整の手順の一例について説明する。
まず、ソレノイド82を駆動して押圧ピン90を調整部68に押し付け、第2ローラR2を第1ローラR1に押圧する。次に、第3モータ72を駆動してモータ軸78の上端78aを調整部68に押し付ける。このとき、ソレノイド82による力が作用しているため、第2アーム54は回動しない。次いで、このときの上端78aの位置を記憶し、ソレノイド82による押圧を解除する。続いて、隙間が所望の大きさになるようにモータ軸78を上方に移動させることで隙間調整が完了する。
【0036】
次に、自動改札装置10の制御構成について説明する。
図5は、上記実施形態に係る自動改札装置の制御構成を示すブロック図である。
図5に示すように、自動改札装置10は、筐体部12に設けられている各種の機器の動作を制御するコントローラ80と、筐体部12に設けられている各種の機器に電力を供給する主電源81と、搬送機構22に設けられている各種の機器に電力を供給する搬送機構電源85と、を備えている。コントローラ80は、不揮発性メモリであるメモリ87を有している。
【0037】
コントローラ80は、筐体部12に設けられた各種の機器に接続され、メモリ87を有している。メモリ87は、不揮発性のメモリである。
コントローラ80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)などを備えるコンピュータとして構成され、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、搬送機構22が有する機器のそれぞれの動作など、自動改札装置10の全体の動作を制御する。
【0038】
例えば、コントローラ80は、第1モータ38及び第2モータ40を駆動して、クレンジングを行うことができる。上記クレンジングとは、第1モータ38及び第2モータ40により第1ローラR1及び第2ローラR2を回転させ、第1ローラR1及び第2ローラR2に付着したゴミや埃などを取り除く動作のことである。
コントローラ80は、隙間調整機構56(ソレノイド82及び第3モータ72)を駆動して、隙間調整を行うことができる。
【0039】
コントローラ80は、搬送機構電源85をオンにする際、隙間調整やクレンジングなどの調整動作を行うことができる。一例において、コントローラ80は、隙間調整をしてからクレンジングを行う。
コントローラ80は、人間検知部19から情報を取得し、所定の期間、利用者が筐体部12の周辺にいなかったか否かを判断することができる。つまり、コントローラ80は、人間検知部19の情報を基に、所定の期間の間に利用者の接近があったか否かを判断することができる。上記所定の期間は、例えば、1時間である。
【0040】
コントローラ80は、自動改札装置10の運転モードを通常運転モードから省電力運転モードに切り替えることができる。
通常運転モードでは、筐体部12に設けられている各種の機器が起動した状態であり、改札処理を実行することができる。省電力運転モードでは、自動改札装置10の一部の機器の電源が切られており、消費電力を抑制することができる。一例において、省電力運転モードは、主電源81がオンの状態で搬送機構電源85をオフにし、且つ、点灯可能な機器、例えば、読取部13、第1表示部14a、第2表示部14bなどを消灯する。
【0041】
コントローラ80は、運転モードを通常運転モードから省電力運転モードに切り替える際、メモリ87に省電力運転モードのコマンド(以下、「第1コマンド」とも称する)を記憶することができる。
コントローラ80は、メモリ87に第1コマンドが記憶されているか否かを判断することができる。
コントローラ80は、自動改札装置10の運転モードが通常運転モードか省電力運転モードかを判断することができる。
【0042】
コントローラ80は、省電力運転モード中に筐体部12の周辺に利用者がいること(筐体部12への利用者の接近)を人間検知部19で検知した場合、運転モードを通常運転モードに切り替え、搬送機構電源85をオンにすることができる。このとき、コントローラ80は、メモリ87内に第1コマンドが記憶されているか否かを判断し、メモリ87内に第1コマンドが記憶されている場合、隙間調整やクレンジングなどの調整動作を行わない。つまり、省電力運転モードから通常運転モードに移行する場合、調整動作は省略される。
【0043】
コントローラ80は、操作部83を介した操作者の操作に基づいて主電源81をオフにすることができる。主電源81がオフになると、搬送機構電源85もオフになる。
コントローラ80は、省電力運転モード中に主電源81をオフにする際、メモリ87から第1コマンドを消去することができる。
本実施形態の自動改札装置10は、上記のように構成されている。なお、搬送機構22が第1コマンドを記憶するメモリを有していてもよい。その場合、省電力運転モード中に主電源81をオフにする際、搬送機構電源85をオンにしてからメモリ内のコマンドを消去する。
【0044】
次に、自動改札装置10で実施される処理について説明する。
図6は、上記実施形態に係る自動改札装置10で実施される処理の一例を示すフローチャートである。図7は、図6に続く、上記実施形態に係る自動改札装置10で実施される処理の一例を示すフローチャートである。
図6及び図7に示すように、コントローラ80は、操作部83を介して主電源81をオンにするコマンドを受けると、主電源81をオンにし(S1)、搬送機構電源85をオンにする(S2)。
【0045】
次に、コントローラ80は、メモリ87に第1コマンドが記憶されているか否かを判断し(S3)、記憶されていない場合、隙間調整やクレンジングなどの調整動作を行い(S4)、運転モードを通常運転モードに設定する(S5)。
メモリ87に第1コマンドが記憶されていない場合(S3)、ステップ4を行わずにステップS5を実行する。つまり、搬送機構電源85をオンにする際、メモリ87に第1コマンドが記憶されている場合、調整動作を省略する。
【0046】
続いて、コントローラ80は、筐体部12に接近する利用者(接近者)がいるか否かを判断し(S6)、接近者がいる場合、再度、ステップS7を実施する。
接近者がいない場合(S6)、接近者がいない状態が所定の期間続いたか否かを判断し(S7)、所定の期間続いていない場合、再度、ステップS6を実行する。
接近者がいない状態が所定の期間続いた場合、コントローラ80は、搬送機構電源85をオフにし、運転モードを通常運転モードから省電力運転モードに切り替える(S8)。
【0047】
次いで、コントローラ80は、主電源81をオフにするコマンドを受けたか否かを判断し(S9)、コマンドを受けていない場合、接近者がいるか否かを判断する(S10)。接近者がいる場合、コントローラ80は、ステップS2に移行して搬送機構電源85をオンにする。
接近者がいない場合(S10)、再度、ステップS9を実行する。
【0048】
一方、主電源81をオフにするコマンドを受けた場合(S9)、コントローラ80は、メモリ87内に第1コマンドが記憶されているか否かを判断し(S11)、第1コマンドが記憶されている場合、メモリ87から第1コマンドを削除し(S12)、主電源をオフにし(S13)、自動改札装置10の処理を終了する。
第1コマンドが記憶されていない場合(S11)、コントローラ80は、ステップS13を実行し、処理を終了する。
なお、上述したように、搬送機構22が運転モードのコマンドを記憶するメモリを有してもよい。その場合、ステップS12では、搬送機構電源85をオンにしてから第1コマンドをメモリから削除し、ステップS13を実行する。
【0049】
次に、本実施形態の効果について説明する。
上記のように構成された自動改札装置10によれば、コントローラ80は、省電力運転モード中に主電源81をオフにする場合、メモリ87から第1コマンドを消去する。そのため、省電力運転モード中に主電源81をオフにしてから主電源81をオンにする場合であっても、隙間調整やクレンジングなどの調整動作が実施される。これにより、消費電力を抑制しながら信頼性を向上できる自動改札装置10及び自動改札装置10の制御方法を得ることができる。
【0050】
コントローラ80は、搬送機構電源85をオンにする際、メモリ87に第1コマンドが記憶されている場合、隙間調整及びクレンジングを省略し、第1コマンドが記憶されていない場合、隙間調整及びクレンジングを実施する。隙間調整及びクレンジングには時間(例えば、10秒から15秒程度)を要するため、省電力運転モードから通常運転モードに素早く切り替えることができる。
【0051】
自動改札装置10は、人間検知部19を備えている。コントローラは、人間検知部19により、所定の期間、筐体部12の周辺に利用者がいるか否かを判断することができる。所定の期間、筐体部12の周辺に利用者がいない(つまり、接近者がいない)と判断した場合、コントローラ80は、第1コマンドをメモリ87に記憶し、搬送機構電源85をオフにする。これにより、自動改札装置10が利用されていない期間の消費電力を抑制することができる。例えば、厚さセンサ24や変位センサ30などで消費される電力を抑制することができる。
【0052】
本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…自動改札装置、12…筐体部、19…人間検知部、22…搬送機構、36…搬送路、38…第1モータ、40…第2モータ、56…隙間調整機構、80…コントローラ、81…主電源、85…搬送機構電源、87…メモリ、P…券媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7