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  • -シート後処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025096925
(43)【公開日】2025-06-30
(54)【発明の名称】シート後処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/04 20060101AFI20250623BHJP
【FI】
B65H37/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023212924
(22)【出願日】2023-12-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 由博
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA36
(57)【要約】
【課題】製造コストの上昇を抑えながら用紙後処理の不良発生を抑えることができるシート後処理装置を提供する。
【解決手段】ステイプル手段と、移動台と、ベース部材と、移動駆動手段と、を備えるシート後処理装置である。ステイプル手段は、シート挿入凹部に挿入されたシート束にステイプラ針を打ち込む。移動台は、シート束のシート挿入凹部へのシート挿入方向に対して直交するシート幅方向にステイプル手段と一体的に移動する。ベース部材は、移動台を移動自在に支持する。移動駆動手段は、移動台をシート幅方向に移動させる。シート後処理装置は、移動駆動手段により移動台を介してステイプル手段を移動させてステイプラ針をシート束に打ち込んで綴じ処理を行う。ステイプル手段の重心は、ベース部材の移動台に対する支持点に対してシート挿入方向に離れて位置する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束が挿入されるシート挿入凹部を有し、前記シート挿入凹部に挿入された前記シート束にステイプラ針を打ち込むステイプル手段と、
前記シート束の前記シート挿入凹部へのシート挿入方向に対して直交するシート幅方向に前記ステイプル手段と一体的に移動する移動台と、
前記移動台を移動自在に支持するベース部材と、
前記移動台を前記シート幅方向に移動させる移動駆動手段と、を備え、
前記移動駆動手段により前記移動台を介して前記ステイプル手段を移動させて前記ステイプラ針を前記シート束に打ち込んで綴じ処理を行うシート後処理装置であって、
前記ステイプル手段の重心は、前記ベース部材の前記移動台に対する支持点に対して前記シート挿入方向に離れて位置する、シート後処理装置。
【請求項2】
前記ステイプル手段の重心は、前記シート挿入凹部の下端を通って前記シート挿入方向及び前記シート幅方向に直交するシート厚み方向に延びる第1仮想線と、前記支持点を通って鉛直方向に延びる第2仮想線との間に位置する、請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記ステイプル手段の重心は、前記シート挿入凹部の下端よりも鉛直方向下側に位置する、請求項1又は請求項2に記載のシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート後処理装置は、ステイプル手段と、移動台と、ベース部材と、移動駆動手段と、を備える。ステイプル手段は、複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束が挿入されるシート挿入凹部を有し、シート挿入凹部に挿入されたシート束にステイプラ針を打ち込む。移動台は、シート束のシート挿入凹部へのシート挿入方向に対して直交するシート幅方向にステイプル手段と一体的に移動する。ベース部材は、移動台を移動自在に支持する。移動駆動手段は、移動台をシート幅方向に移動させる。
【0003】
移動駆動手段により移動台を介してステイプル手段をシート幅方向に移動させてステイプラ針をシート束の所定位置に打ち込んで綴じ処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-031323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、ステイブル手段と一体的に移動する移動台がベース部材に対して浮き上がり、用紙後処理の不良が発生する可能性があった。また、移動台が浮き上がることを防止するための部材を設けた場合に、部品点数が増加して製造コストが上昇する可能性があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、製造コストの上昇を抑えながら用紙後処理の不良発生を抑えることができるシート後処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、ステイプル手段と、移動台と、ベース部材と、移動駆動手段と、を備えるシート後処理装置である。ステイプル手段は、複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束が挿入されるシート挿入凹部を有し、シート挿入凹部に挿入されたシート束にステイプラ針を打ち込む。移動台は、シート束のシート挿入凹部へのシート挿入方向に対して直交するシート幅方向にステイプル手段と一体的に移動する。ベース部材は、移動台を移動自在に支持する。移動駆動手段は、移動台をシート幅方向に移動させる。シート後処理装置は、移動駆動手段により移動台を介してステイプル手段を移動させてステイプラ針をシート束に打ち込んで綴じ処理を行う。ステイプル手段の重心は、ベース部材の移動台に対する支持点に対してシート挿入方向に離れて位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の構成によれば、製造コストの上昇を抑えながら用紙後処理の不良発生を抑えることができるシート後処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るシート後処理装置1の概略構成図
図2】本発明の実施形態に係るシート後処理装置1のステイプル処理部3の斜視図
図3】本発明の実施形態に係るシート後処理装置1のステイプル処理部3の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態としての複合機100について説明する。図1は、本発明の実施形態としての複合機100を構成する複合機本体101及びシート後処理装置1の概略を説明するための模型的断面図である。図1に示すように、本実施形態の複合機100は、シートに画像を形成する画像形成部(図示せず)を有する画像形成装置本体としての複合機本体101と、シート後処理装置1と、を備える。
【0011】
複合機本体101は、用紙などのシートに画像を形成する画像形成部(図示せず)、画像形成部により画像が形成された(印刷された)シートをシート後処理装置1などへ排出する本体排出部102と、を備える。
【0012】
図1に示すように、シート後処理装置1は、複合機本体101において画像が形成され且つ複合機本体101から排出されたシートTを、シート後処理装置1の右側面上部に設けられた搬入部60からシート後処理装置1の筐体11の内部に搬入する。そして、この搬入されたシートTに対して、ステイプル処理、折り処理等の所定の後処理を行う。
【0013】
シート後処理装置1は、シート折り処理部2と、ステイプル処理部3と、パンチ部4と、メイン排出トレイ51と、サブ排出トレイ52と、を備える。また、シート後処理装置1は、搬入部60と、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、第1分岐部P1と、第2分岐部P2と、第3分岐部P3と、第1合流部Q1と、メイン排出部61と、サブ排出部62と、退避ドラム71と、各種の切り換え部材と、各種のローラ又はローラ対と、を備える。
【0014】
まず、シートTの搬送に係る構成について説明する。搬入部60は、複合機本体101の本体排出部102から排出されたシートTが搬入される部位である。第1搬送路L1は、搬入部60から搬入されたシートTをメイン排出部61に搬送する。メイン排出部61から排出されたシートTは、メイン排出トレイ51に排出される。
【0015】
第2搬送路L2は、第1搬送路L1から第1分岐部P1において分岐する。第2搬送路L2は、第1分岐部P1を搬送されるシートTをサブ排出部62に搬送する。サブ排出部62から排出されたシートTは、サブ排出トレイ52に排出される。
【0016】
第3搬送路L3は、第1搬送路L1から第2分岐部P2において分岐し、シート折り処理部2まで延びている。第2分岐部P2は、第1搬送路L1における第1分岐部P1よりも下流側に位置する。第4搬送路L4は、第3搬送路L3から第3分岐部P3において分岐し、退避ドラム71の周りに沿って湾曲し、第1合流部Q1において第1搬送路L1に合流する。第1合流部Q1は、第1搬送路L1における第1分岐部P1と第2分岐部P2との間に位置する。
【0017】
第1中間ローラ対80は、第1搬送路L1における第1分岐部P1の手前に配置される。第1中間ローラ対80は、第1搬送路L1における第1分岐部P1の手前を搬送するシートTを、下流側へ送り出す。
【0018】
第1切り換え爪72は、第1分岐部P1に設けられ、第1搬送路L1を搬送するシートTの搬送先を、そのまま第1搬送路L1とするか、あるいは、第2搬送路L2とするかを切り換える。第2切り換え爪73は、第2分岐部P2に設けられ、第1搬送路L1を搬送するシートTの搬送先を、そのまま第1搬送路L1とするか、あるいは、第3搬送路L3とするかを切り換える。
【0019】
パンチ部4は、第1搬送路L1における搬入部60と第1分岐部P1との間の領域に対向して配置される。パンチ部4は、シートTに対して所定のタイミングで穿孔処理を行う。
【0020】
メイン排出部ローラ対81は、第1搬送路L1の終端部であってメイン排出部61の近傍に配置される。メイン排出部ローラ対81は、第1搬送路L1の終端部を搬送するシートTをメイン排出トレイ51へ送り出す。また、シートTをステイプル処理部3へ送り出す際には、メイン排出部ローラ対81は、離間し、ニップを解除する。そして、シートは、図示しないシート送り出し機構により、ステイプル処理部3へ送り出される。
【0021】
メイン排出トレイ51は、メイン排出部ローラ対81によりメイン排出部61から排出されたシートTを受け止める。メイン排出トレイ51は、主としてステイプル処理部3においてステイプル処理が行われた後、メイン排出部61から排出されるシートTの束を受け止める。メイン排出トレイ51は、排出されたシートTの束の部数の増加に従って、最上位の位置から順次下降されるようになっている。そして、メイン排出トレイ51は、シートTの束がメイン排出トレイ51から取り除かれると上昇し、基準位置に戻るようになっている。
【0022】
なお、シート後処理装置1において特に後処理が施されずに排出されるシートTや、パンチ処理だけが施されたシートTを、メイン排出トレイ51で受け止めるようにすることもできる。
【0023】
サブ排出部ローラ対82は、第2搬送路L2の終端部であってサブ排出部62の近傍に配置する。サブ排出部ローラ対82は、第2搬送路L2の終端部を搬送するシートTをサブ排出トレイ52へ送り出す。サブ排出トレイ52は、サブ排出部ローラ対82によりサブ排出部62から排出されたシートTを受け止める。サブ排出トレイ52は、主として、シート後処理装置1で特に後処理が施されずに排出されるシートTや、穿孔処理だけが施されたシートTを受け止める。
【0024】
シート折り処理部2は、筐体11の下部に配置される。シート折り処理部2は、シート後処理装置1の筐体11の最下部に配されている。シート折り処理部2は、第3搬送路L3の下流側に設けられ、主として、ステイプル処理が行われたシートTの束が導入される。従って、シート折り処理部2は、主としてシートTの束に折り処理を行う。そして、ユーザにより折り処理が選択されると、シートTの束に対し、2つ折り、3つ折り等の折り処理を行い、シート後処理装置1の筐体11の一側面の下部に設けられた下部排出トレイ224に排出する。
【0025】
ステイプル処理部3は、複数枚のシートTをスタックしてシートTの束を形成するスタック処理を行う。ステイプル処理部3は、スタックされたシートTの束の端部をステイプルで綴じる端部綴じ等の各種ステイプル処理を行うことができる。例えば、端部綴じには、シートTの束の先端の中央近傍を長手方向に沿って2箇所綴じる端部中央綴じ、シートTの束の先端の一方の隅を斜め45°に1箇所綴じる端部斜め綴じなどが含まれる。スタック処理又は端部綴じが行われたシートTの束は、メイン排出部ローラ対81によりメイン排出部61から排出される。
【0026】
退避ドラム71は、第1搬送路L1から分岐し且つ第3搬送路L3を搬送するシートTを、第4搬送路L4へ搬送させて、第1搬送路L1を介して循環させる。これにより、シートTを一時的に退避することができる。退避ドラム71は、複数部のシートTの束に連続してステイプル処理を施す場合に、先のシートTの束がステイプル処理部3でステイプル処理されている間、次のシートTの束の1枚及び複数枚を退避ドラム71の表面に巻き付けて待機させる。この退避ドラム71の働きにより、ステイプル処理が行われる間、複合機本体101からのシートTの排出を一時的に停止させる必要がなくなり、生産性が向上する。
【0027】
次に、図2を参照して、本実施形態のシート後処理装置1におけるステイプル処理部3の構造の詳細について説明する。図2は、ステイプル処理部3の斜視図であり、図3は、ステイプル処理部3の側面断面図である。本実施形態に係るステイプル処理部3は、シート後処理装置1の筐体11の上部に配されている。ステイプル処理部3は、第1搬送路L1の下流側に設けられる。ステイプル処理部3には、複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束Tが導入される。
【0028】
ステイプル処理部3は、ステイプラ(ステイプル手段)31を移動させてステイプラ針をシート束Tに打ち込んでステイプル処理(綴じ処理)を行う。ユーザによりステイプル処理が選択されると、ステイプル処理部3は、シート束Tに対してステイプル処理を行う。ステイプル処理が行われたシート束Tは、シート後処理装置1の筐体11の一側面の上部に設けられたメイン排出トレイ51に排出される。
【0029】
なお、以下の説明においては便宜上、「シート」には、シート束Tを含むものとする。また、シート束Tがステイプル処理部3のシート挿入凹部313へ挿入される方向又はシート束Tがシート挿入凹部313から搬送される方向を「シート挿入方向D1」という。シート挿入方向D1のうち、シート挿入凹部313へ接近する方向を「挿入下流方向D11」といい、シート挿入凹部313から離間する方向を「挿入上流方向D12」という。シート挿入方向D1は、鉛直方向(シート後処理装置1の上下方向)に対して傾斜している。
【0030】
シート挿入方向D1に直交する方向を「シート幅方向D2」という。シート幅方向D2のうち、シート後処理装置1の手前側(図1における紙面手前側)を「手前方向D21」といい、シート後処理装置1の奥側(図1における紙面奥側)を「奥方向D22」という。
【0031】
シート挿入方向D1及びシート幅方向D2に直交する方向(換言すると、D1-D2平面に直交する方向)を「シート厚み方向D3」という。シート厚み方向D3のうち、上向きの方向を「厚み上方向D31」といい、下向きの方向を「厚み下方向D32」という。
【0032】
ステイプル処理部3は、ステイプラ(ステイプル手段)31と、移動台32と、ベース部材33と、移動駆動手段34と、を備える。すなわち、シート後処理装置1は、ステイプラ(ステイプル手段)31と、移動台32と、ベース部材33と、移動駆動手段34と、を備える。
【0033】
ステイプラ(ステイプル手段)31は、複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束Tにステイプラ針SPを打ち込む。シート挿入凹部313は、複数枚のシートにスタック処理を行って得られるシート束Tが挿入される。移動台32は、シート幅方向D2にステイプラ(ステイプル手段)31と一体的に移動する。ベース部材33は、移動台32を移動自在に支持する。移動駆動手段34は、移動台32をシート幅方向D2に移動させる。ステイプル手段の重心は、ベース部材の移動台に対する支持点に対してシート挿入方向に離れて位置する。
【0034】
ステイプラ(ステイプル手段)31は、クリンチャを有するステイプラ本体部311と、ステッチャ312と、シート挿入凹部313と、を備える。ステイプラ31は、シート挿入凹部313に挿入されたシート束Tをステッチャ312及びクリンチャとの間に挟み込み、このシート束Tにステイプラ針を打ち込む。本実施形態におけるステイプラ31は、シート束Tの隅部近傍にステイプラ針SPをシートTのシート挿入方向D1に対して、D1-D2平面内で所定角度傾けた状態で打ち込んで、斜め端綴じ処理を行うことができる。
【0035】
ベース部材33は、移動台32をシート幅方向D2に移動自在に支持する。ベース部材33は、板金部材を主体として構成される。ベース部材33は、略矩形状の主面部335を備える。主面部335は、D1-D2平面に拡がり、シート挿入方向D1の長さよりもシート幅方向D2の長さの方が長い。
【0036】
主面部335は、鉛直方向(シート後処理装置1の上下方向)に対して傾斜している。主面部335は、案内溝331及び移動用溝334が設けられている。案内溝331及び移動用溝334は、シート幅方向D2に沿って延びる溝であり、案内溝331は、移動用溝334よりも挿入上流方向D12の側に位置する。移動用溝334は、主面部335におけるシート挿入方向D1の略中央部に位置する。移動用溝334は、シート幅方向D2に、案内溝331よりも長く延びている。
【0037】
移動台32は、D1-D2平面に延びる台である。移動台32には、ステイプラ31が搭載されて保持される。移動台32は、ベース部材33に対して、シート幅方向D2に直線的に且つステイプラ31と一体的に移動する。移動台32は、シート厚み方向D3に延びる仮想回転軸を中心に回転する。
【0038】
移動台32には、一対の車輪(不図示)と、車輪327とが設けられる。車輪(不図示)は、移動台32の挿入上流方向D12の側に、シート幅方向D2に離間して配置される。車輪327は、移動台32の挿入下流方向D11の側であってシート幅方向D2の中央部に配置される。車輪(不図示)及び車輪327は、移動台32の基台部に対して回転自在になっている。車輪(不図示)及び車輪327は、ベース部材33の主面部335の上面に接触して回転する。これにより、移動台32は、ベース部材33の主面部335において、案内溝331に沿ってスムーズに移動自在となる。
【0039】
このとき、ステイプラ31の荷重は、挿入下流方向D11の端側に配置される車輪327とベース部材33との接触点(ベース部材33の移動台に対する支持点P)において、最も大きくなる。本実施形態では、ステイプラ31の重心Gは、支持点Pに対してシート挿入方向D1に離れて位置する。
【0040】
より詳細には、ステイプラ31の重心Gが、シート幅方向D2に直交する断面において、領域Sに位置することが好ましい。領域Sは、図3において一点鎖線で囲まれた台形状の領域であり、第1仮想線H1と第2仮想線H2とに囲まれている。領域Sは、シート挿入凹部313の下端よりも鉛直方向下側Z2に位置する。また、第1仮想線H1は、シート挿入凹部313の下端を通ってシート厚み方向D3に延びる。第2仮想線H2は、支持点Pを通って鉛直方向Z1に延びる。すなわち、ステイプラ31の重心Gは、第1仮想線H1と第2仮想線H2との間に位置する。
【0041】
移動台32は、ベース部材33の移動用溝334を介して、第1スライダ35との間でベース部材33を挟み込む。第1スライダ35は、移動用溝334が延びる方向に沿って移動用溝334に案内されて移動自在になっている。
【0042】
また、移動台32は、ベース部材33の案内溝331を介して、第2スライダ(不図示)との間でベース部材33を挟み込む。第2スライダ(不図示)は、案内溝331が延びる方向に沿って案内溝331に案内されて移動自在になっている。
【0043】
第1スライダ35は、車輪353を有する。車輪353は、ベース部材33の主面部335の下面に接触して回転する。これにより、第1スライダ35は、ベース部材33の主面部335の下面において、移動用溝334に沿ってスムーズに移動自在となる。
【0044】
第2スライダ(不図示)は、車輪(不図示)を有する。第2スライダの車輪(不図示)は、ベース部材33の主面部335の下面に接触して回転する。これにより、第2スライダは、ベース部材33の主面部335の下面において、案内溝331に沿ってスムーズに移動自在となる。
【0045】
移動駆動手段34は、移動台直線移動駆動手段と移動台回転駆動手段とステイプル手段傾き保持手段とで構成される。移動台直線移動駆動手段は、移動台32をシート幅方向D2に直線的に移動させる。移動台回転駆動手段は、ステイプラ針SPをシート挿入方向D1に対して所定角度傾かせて打ち込める位置にステイプラ31が傾くように移動台32を回転させる。ステイプル手段傾き保持手段は、ステイプラ31が傾いた状態を維持するように移動台32を機械的に保持する。
【0046】
移動駆動手段34は、モータ361を有する。モータ361は、シャフト(図示せず)等を介してプーリ(不図示)を回転駆動させる駆動源である。モータ361は、例えば、ベース部材33の主面部335の上面において、奥方向D22の側に固定される。
【0047】
モータ361は、プーリ、無端ベルト、移動台32等を介して、ステイプラ31をシート幅方向D2に移動させると共にシート厚み方向D3に延びる仮想回転軸を中心にステイプラ31を回転させる駆動源となる。
【0048】
移動駆動手段34により、ステイプラ31をシート幅方向D2に直線的に移動させた後、ステイプラ31を回転させることができる。そして、ステイプラ31は、シート束Tの隅部近傍にステイプラ針SPをシート挿入方向D1及びシート幅方向D2に対して所定角度傾けた状態で打ち込んで、斜め端綴じ処理を行う。
【0049】
このとき、ステイプラ31の重心Gは、支持点Pに対してシート挿入方向D1に離れて位置しており、ステイプラ31と一体的に移動する移動台32は、支持点Pを支点にしてベース部材33側に押圧する力が働く。これにより、移動台32がベース部材33に対して浮き上がることを防止できる。また、ステイプラ31の重心の位置を変更するのみで用紙後処理の不良を発生することができ、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0050】
また、ステイプラ31の重心Gを、第1仮想線H1と、第2仮想線H2との間に配置するとともに、シート挿入凹部313の下端よりも鉛直方向下側Z2に配置することにより、移動台32がベース部材33に対して浮き上がることをよる防止できる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。例えば、本実施形態では、斜め端綴じ処理を行うシート後処理装置について説明したが、ステイプラ31を回転させない平行綴じ処理のみを行うシート後処理装置についても本発明は含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、シート後処理装置を備える画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 シート後処理装置
2 シート折り処理部
3 ステイプル処理部
4 パンチ部
11 筐体
31 ステイプラ
32 移動台
33 ベース部材
34 移動駆動手段
35 第1スライダ
51 メイン排出トレイ
52 サブ排出トレイ
60 搬入部
61 メイン排出部
62 サブ排出部
71 退避ドラム
72 第1切り換え爪
73 第2切り換え爪
80 第1中間ローラ対
81 メイン排出部ローラ対
82 サブ排出部ローラ対
100 複合機
101 複合機本体
102 本体排出部
224 下部排出トレイ
311 ステイプラ本体部
312 ステッチャ
313 シート挿入凹部
327 車輪
331 案内溝
334 移動用溝
335 主面部
353 車輪
361 モータ
D1 シート挿入方向
D11 挿入下流方向
D12 挿入上流方向
D2 シート幅方向
D21 手前方向
D22 奥方向
D3 シート厚み方向
D31 厚み上方向
D32 厚み下方向
G 重心
L1 第1搬送路
L2 第2搬送路
L3 第3搬送路
L4 第4搬送路
H1 第1仮想線
H2 第2仮想線
P 支持点
P1 第1分岐部
P2 第2分岐部
P3 第3分岐部
Q1 第1合流部
S 領域
SP ステイプラ針
T シート束
Z1 鉛直方向上側
Z2 鉛直方向下側
図1
図2
図3