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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025099795
(43)【公開日】2025-07-03
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/04 20060101AFI20250626BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20250626BHJP
【FI】
B25J9/04 Z
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216729
(22)【出願日】2023-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】塔本 健太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707BT14
3C707CT04
3C707CT05
3C707CX01
3C707CX03
3C707CY36
3C707HT02
3C707NS13
5F131AA02
5F131AA12
5F131CA22
5F131CA37
5F131DA32
5F131DA42
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
(57)【要約】
【課題】直線移動機構によって移動させられるハンドを備えた搬送装置において、小型化を図るのに適した構造を提供する。
【解決手段】搬送装置A1は、固定ベース1と、固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Osの周りに旋回可能に支持されたガイド部材3と、ガイド部材3に支持された直線移動機構と、直線移動機構に支持され、直線移動機構の作動により第1方向xに延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する第1ハンド5Aと、ガイド部材3に旋回駆動力を与えるモータM2(旋回用駆動源)と、第1入力軸61に入力されたモータM2による回転を減速して第1出力軸62から出力する旋回用減速機6と、を備える。旋回用減速機6およびモータM2は、ガイド部材3に固定されており、第1出力軸62は、固定ベース1に直接または間接に取り付けられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定ベースと、
前記固定ベースに対して垂直状の旋回軸線の周りに旋回可能に支持されたガイド部材と、
前記ガイド部材に支持された直線移動機構と、
前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する第1ハンドと、
前記ガイド部材に旋回駆動力を与える旋回用駆動源と、
第1入力軸に入力された前記旋回用駆動源による回転を減速して第1出力軸から出力する旋回用減速機と、を備え、
前記旋回用減速機および前記旋回用駆動源は、前記ガイド部材に固定されており、
前記第1出力軸は、前記固定ベースに直接または間接に取り付けられている、搬送装置。
【請求項2】
前記直線移動機構は、各々が前記第1方向に延び、且つ鉛直方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向に離れて配置された一対の第1ガイドレールを含み、
前記一対の第1ガイドレールは、前記第1ハンドを移動可能に支持しており、
前記旋回用駆動源は、前記旋回用減速機に対して前記第1方向の一方側に位置し、且つ前記第2方向において前記一対の第1ガイドレールの間に位置する、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1入力軸は前記第1出力軸の上方に位置し、
前記旋回用駆動源の出力軸に取り付けられたプーリ、および前記第1入力軸に取り付けられたプーリにベルトが掛け回されている、請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により前記第1方向に延びる前記移動行程に沿って移動する第2ハンドと、
前記第1ハンドに駆動力を与えるための第1駆動源と、
前記第2ハンドに駆動力を与えるための第2駆動源と、をさらに備え、
前記第1駆動源および前記第2駆動源は、前記旋回用減速機に対して前記第1方向の他方側に位置する、請求項2または3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記固定ベースに対して昇降可能に支持され、且つ前記ガイド部材を支持する昇降ベースをさらに備え、
前記第1出力軸は、前記昇降ベースに固定されており、
前記旋回用減速機は、前記ガイド部材に固定されたフランジ部を有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送装置に関し、より詳細にはワークを直線状に搬送することができる搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置のうち、直線状の移動行程に沿ってハンドを移動させる機構(直線移動機構)を持つものがある。このような搬送装置は、たとえば、半導体製造装置の製造工程、あるいは、FPD(Flat Panel Display)の製造工程において、各処理室へのウエハ、あるいはガラス基板等の薄板状のワークの搬入あるいは搬出用として多用されている。
【0003】
このような薄板状のワークを搬送するための搬送装置としては、たとえば下記の特許文献1に開示されたものがある。この搬送装置は、固定ベースと、固定ベースに旋回可能に支持された旋回ベースと、旋回ベースに支持された直線移動機構と、直線移動機構に各別に支持された一対のハンドと、を備えている。直線移動機構は、一対のハンドをそれぞれ駆動する一対の駆動機構(たとえばベルト駆動機構)を有し、駆動機構が駆動すると、ハンドが水平方向に直線移動させられる。これにより、一対のハンドに保持された薄板状ワークを水平直線状の移動行程に沿って各別に搬送することが可能である。
【0004】
固定ベースないし旋回ベースの内部には、旋回ベースを旋回駆動させるためのモータ、および当該モータに対応する減速機が配置されている。上記の旋回駆動用のモータによる駆動力は、減速機を介して旋回ベースに伝達される。
【0005】
近年では、たとえばFPDに使用されるガラス基板等のサイズの大型化により、搬送装置において搬送するべきワークもまた、大型化するとともに相当の重量を有する。また、ワークを保持するハンドの移動距離についても長大化が求められる。そうすると、旋回ベースを駆動させるためのモータおよび減速機もそれぞれ大型化し、搬送装置全体の大型化を招く傾向にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-272847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、このような事情のもとで考え出されたものであって、直線移動機構によって移動させられるハンドを備えた搬送装置において、小型化を図るのに適した構造を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本開示では、次の技術的手段を採用した。
【0009】
本開示によって提供される搬送装置は、固定ベースと、前記固定ベースに対して垂直状の旋回軸線の周りに旋回可能に支持されたガイド部材と、前記ガイド部材に支持された直線移動機構と、前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により第1方向に延びる水平直線状の移動行程に沿って移動する第1ハンドと、前記ガイド部材に旋回駆動力を与える旋回用駆動源と、第1入力軸に入力された前記旋回用駆動源による回転を減速して第1出力軸から出力する旋回用減速機と、を備え、前記旋回用減速機および前記旋回用駆動源は、前記ガイド部材に固定されており、前記第1出力軸は、前記固定ベースに直接または間接に取り付けられている。
【0010】
好ましい実施の形態においては、前記直線移動機構は、各々が前記第1方向に延び、且つ鉛直方向および前記第1方向の双方に直交する第2方向に離れて配置された一対の第1ガイドレールを含み、前記一対の第1ガイドレールは、前記第1ハンドを移動可能に支持しており、前記旋回用駆動源は、前記旋回用減速機に対して前記第1方向の一方側に位置し、且つ前記第2方向において前記一対の第1ガイドレールの間に位置する。
【0011】
好ましい実施の形態においては、前記第1入力軸は前記第1出力軸の上方に位置し、前記旋回用駆動源の出力軸に取り付けられたプーリ、および前記第1入力軸に取り付けられたプーリにベルトが掛け回されている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、前記直線移動機構に支持され、前記直線移動機構の作動により前記第1方向に延びる前記移動行程に沿って移動する第2ハンドと、前記第1ハンドに駆動力を与えるための第1駆動源と、前記第2ハンドに駆動力を与えるための第2駆動源と、をさらに備え、前記第1駆動源および前記第2駆動源は、前記旋回用減速機に対して前記第1方向の他方側に位置する。
【0013】
好ましい実施の形態においては、前記固定ベースに対して昇降可能に支持され、且つ前記ガイド部材を支持する昇降ベースをさらに備え、前記第1出力軸は、前記昇降ベースに固定されており、前記旋回用減速機は、前記ガイド部材に固定されたフランジ部を有する。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る搬送装置によれば、旋回用減速機および旋回用駆動源をガイド部材の内部に配置することで、固定ベースの内部に旋回用減速機および旋回用駆動源を配置するための空間が不要となる。これにより、固定ベースの径方向(旋回軸線に直交する方向)のサイズを小さくすることができ、搬送装置の小型化を図ることができる。また、旋回用減速機がガイド部材に固定され、且つ旋回用減速機の第1出力軸が固定ベース側に取り付けられることで、旋回用減速機自体がガイド部材を支持しながら旋回する部材として機能する。したがって、従来構成のガイド部材を支持するための旋回ベース(別部材)が不要となる。これにより、固定ベースの鉛直方向のサイズを小さくすることができ、搬送装置の小型化を図ることができる。
【0015】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示に係る搬送装置一例を示す全体斜視図である。
図2図1に示す搬送装置の平面図である。
図3図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿う部分断面図である。
図5図3のV-V線に沿う部分断面図である。
図6図3のVI-VI線に沿う部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の好ましい実施形態につき、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】
本開示における「第1」、「第2」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、必ずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0019】
図1図6は、本開示に係る搬送装置の一例を示している。搬送装置A1は、たとえば液晶表示パネル用の基板等といった薄板状のワークWを搬送するためのものである。搬送装置A1は、図1図4に表れているように、固定ベース1と、この固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Os周りに旋回可能に支持されたガイド部材3と、ガイド部材3に支持された直線移動機構4と、直線移動機構4に各別に支持された第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bと、旋回用減速機6と、モータM1,M2,M3,M4と、を備えている。第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bは、上記薄板状のワークWを水平姿勢で保持するためのものである。
【0020】
本実施形態において図示された例において、第1方向xは、本開示の「第1方向」に相当し、第2方向yは、本開示の「第2方向」に相当する。第1方向xおよび第2方向yは、互いに直交しており、いずれも水平面に沿う方向である。鉛直方向zは、第1方向xおよび第2方向yと直交する方向であり、搬送装置A1が所定の搬送室(図示略)等に載置された場合に鉛直方向に相当する方向であり、本開示の「鉛直方向」に相当する。以下の説明では、また、第1方向xの一方側を適宜「第1方向xのx1側」と呼び、第1方向xの他方側を適宜「第1方向xのx2側」と呼ぶ。第1方向xのx1側は、本開示の「第1方向の一方側」に相当し、第1方向xのx2側は本開示の「第1方向の他方側」に相当する。
【0021】
図3によく表れているように、固定ベース1は、底壁部11と、円筒状の側壁部12と天井壁13とを備えた、略円柱状の外形を有するハウジング10を備えている。天井壁13には、中心開口13Aが形成されている。固定ベース1の内部下端寄りには、モータM1が配置されている。なお、固定ベース1を構成する底壁部11、側壁部12および天井壁13は、互いに分割された各部材が組み付けられた構成とされている。これにより、後述する昇降ベース14、ガイド部材16、ボールネジ機構18等の各部材を固定ベース1の内部に適切に配置することができる。
【0022】
固定ベース1の内部には、昇降ベース14が支持されている。昇降ベース14は、中心開口13Aよりも小径の外径をもち、上下方向に所定の寸法を有する円筒部141と、この円筒部141の下端につながる外向フランジ部142と、円筒部141の上端につながる上側フランジ部143とを有している。円筒部141は、旋回軸線Osを中心とする円筒状とされている。ハウジング10の側壁部12の内壁には、上下方向の直線ガイドレール15が複数取り付けられているとともに、昇降ベース14の外向フランジ部142に設けた複数のガイド部材16が直線ガイドレール15に対して上下方向スライド移動可能に支持されている。これにより、昇降ベース14は、固定ベース1に対し、上下方向に所定範囲内で移動可能である。なお、昇降ベース14の円筒部141の上部および上側フランジ部143は、ハウジング10の中心開口13Aから出没している。
【0023】
固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の円筒部141との間には、シール機構17が介装されている。このシール機構17は、昇降ベース14の上下方向の移動にかかわらず、固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の円筒部141との間を気密シールする。シール機構17の具体的構成は特に限定されず、たとえばリップシールを採用することができる。
【0024】
固定ベース1の内部にはまた、鉛直方向zに配置されて回転するネジ軸181と、このネジ軸181に螺合され、かつ昇降ベース14の外向フランジ部142に貫通状に固定されたナット部材182とからなるボールネジ機構18が配置されている。ネジ軸181は、その下端に取付けたプーリ183と、モータM1の出力軸に取付けたプーリ185とに掛け回されたベルト184によってモータM1に連係されており、このモータM1の駆動により、正逆方向に回転させられる。このようにしてネジ軸181を回転することにより、昇降ベース14が昇降させられる。なお、詳細な図示は省略するが、ネジ軸181は、たとえばグリス飛散防止用のカバーによって覆われていてもよい。
【0025】
ガイド部材3は、第1方向xに延びる長手軸線(移動行程GL)を有する平面視略長矩形の箱状とされており、底壁31、側壁32、中間壁33、上部壁34、カバー35およびケース壁36を有する。ガイド部材3は、固定ベース1に支持されている。本実施形態においては、旋回用減速機6を介して昇降ベース14に支持されている。底壁31の中央には開口が形成されており、この開口を通じて旋回用減速機6がガイド部材3の内部に配置される。
【0026】
図2図4に表れているように、旋回用減速機6は、第1入力軸61、第1出力軸62、およびフランジ部63を有する。フランジ部63は、ガイド部材3の底壁31に固定されている。図4によく表れているように、第1入力軸61は第1出力軸62の上方(鉛直方向zの上側)に位置する。第1入力軸61にはプーリ64が取り付けられている。モータM2は、本開示の旋回用駆動源の一例に相当し、当該モータM2の出力軸71にはプーリ72が取り付けられている。当該プーリ72、および第1入力軸61側のプーリ64にベルト8が掛け回されており、第1入力軸61は、ベルト8によってモータM2に連係されている。第1出力軸62は、昇降ベース14の上側フランジ部143に固定されている。これにより、ガイド部材3は、旋回用減速機6を介して昇降ベース14ないし固定ベース1に支持されている。そして、モータM2を駆動させると、旋回用減速機6の中心軸を旋回軸線Osとして、ガイド部材3および旋回用減速機6が旋回する。本実施形態において、旋回用減速機6は、中央部分が鉛直方向zに貫通する中空状である。旋回用減速機6の適所には、図示しないシール部材が配置されている。具体的には、ガイド部材3の底壁31と旋回用減速機6のフランジ部63との間、フランジ部63と第1出力軸62との間、および第1出力軸62と昇降ベース14の上側フランジ部143との間は、それぞれ図示しないシール部材によって気密シールされている。
【0027】
旋回用減速機6およびモータM2は、底壁31、中間壁33および上部壁34により囲まれた内部に配置されている。また、上部壁34には、当該上部壁34よりも上方に突出するケース壁36が取り付けられており、プーリ64,72は、ケース壁36の内部に配置されている。図2および図4に表れているように、モータM2は、旋回用減速機6に対して第1方向xのx1側に位置している。
【0028】
直線移動機構4は、第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bを水平直線状の移動行程GLに沿って搬送するためのものである。図2および図3に表れているように、直線移動機構4は、ガイド部材3上に設けられた第1ガイドレール41Aおよび第2ガイドレール41Bと、第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bに水平方向の駆動力を伝達する第1駆動機構43Aおよび第2駆動機構43Bと、第1連結部材44Aおよび第2連結部材44Bと、を含む。第1ガイドレール41Aおよび第2ガイドレール41Bは、それぞれが第2方向yに離れて対をなして設けられており、いずれも第1方向xに延びている。一対の第1ガイドレール41Aは第2方向yにおいて内側に配置されており、一対の第2ガイドレール41Bは、一対の第1ガイドレール41Aに対して第2方向yの外側に配置されている。図2図4から理解されるように、モータM2は、第2方向yにおいて一対の第1ガイドレール41Aの間に位置する。
【0029】
図1図3に表れているように、第1ハンド5Aは、一対の支持アーム51aおよび複数の保持片53aを有する。図3に表れているように、第1ハンド5Aは、一対の支持アーム51aの各々に固定されたスライダ42Aを介して、一対の第1ガイドレール41Aに支持されている。一対の第1ガイドレール41Aおよび一対の第2ガイドレール41Bの上方は、カバー35によって覆われている。第1ハンド5Aの支持アーム51aは、カバー35の上面に形成されたスリット35aを貫通しており、支持アーム51aには、第1連結部材44Aが設けられている。第1連結部材44Aは、上部壁34に形成されたスリットを貫通して後述する第1駆動機構43Aの第1出力ベルト434Aに連結されている。これにより、第1連結部材44Aは、第1ハンド5Aおよび第1出力ベルト434Aを連結している。複数の支持アーム51aは、第2方向yにおいて互いに離れており、各々が第1方向xに延びている。これら支持アーム51a上に上記薄板状のワークWが載置保持される。
【0030】
図1図3に表れているように、第2ハンド5Bは、一対の支持アーム51bおよび複数の保持片53bを有する。図3に表れているように、一対の支持アーム51bは、第1ハンド5Aの第2方向yにおける外側を迂回するように形成されている。第2ハンド5Bは、一対の支持アーム51bの各々に固定されたスライダ42Bを介して、一対の第2ガイドレール41Bに支持されている。第2ハンド5Bの支持アーム51bは、カバー35の側面に形成されたスリット35bを貫通しており、支持アーム51bには、第2連結部材44Bが設けられている。第2連結部材44Bは、上部壁34に形成されたスリットを貫通して後述する第2駆動機構43Bの第2出力ベルト434Bに連結されている。これにより、第2連結部材44Bは、第2ハンド5Bおよび第2出力ベルト434Bを連結している。複数の支持アーム51bは、第2方向yにおいて互いに離れており、各々が第1方向xに延びている。これら支持アーム51b上にワークWが載置保持される。
【0031】
なお、図示した例では、第1ハンド5A(第2ハンド5B)が2つの支持アーム51a(支持アーム51b)を有するが、当該支持アーム51a(支持アーム51b)の数は1つまたは3つ以上でもよい。支持アーム51a(支持アーム51b)の形状も特に限定されない。また、各図では簡略化して示したが、第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bはそれぞれ、たとえば複数の部材が互いに連結された構成を有する。
【0032】
第1駆動機構43Aおよび第2駆動機構43Bは、第1ハンド5Aおよび第2ハンド5Bを各別に移動行程GLに沿って移動させるためのものである。第1駆動機構43Aおよび第2駆動機構43Bは、基本的に同様の構成を有しているので、以下に第1駆動機構43Aの構成について具体的に説明し、第2駆動機構43Bについては適宜説明を省略する。
【0033】
第1駆動機構43Aは、図2図3および図5に表れているように、減速機構431aと、第1駆動プーリ432aと、複数のプーリ432b,432c,432d,432eと、第1出力ベルト434Aと、を備え、ガイド部材3に収容されている。第1駆動プーリ432aは、減速機構431aの出力軸に取り付けられている。当該第1駆動プーリ432aは、旋回軸線Osに対して直交する水平軸線周りに回転可能である。詳細な図示は省略するが、減速機構431aの入力軸には、モータM3の出力軸が連結されている。モータM3は、第1駆動機構43Aを介して第1ハンド5Aに駆動力を与えるものである。モータM3は、本開示の第1駆動源の一例に相当する。モータM3は、旋回用減速機6に対して第1方向xのx2側に位置している。
【0034】
図5に表れているように、プーリ432b~432eは、ガイド部材3内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。第1出力ベルト434Aは、第1駆動プーリ432aおよびプーリ432b~432eに対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ432b,432cは、ガイド部材3の長手方向(移動行程GLに沿う第1方向x)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ432d,432eは、第1駆動プーリ432aの近傍に設けられており、第1出力ベルト434Aの外側に配置されている。これにより、第1出力ベルト434Aには、適度な張力が付与されている。第1出力ベルト434Aとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0035】
このような構成により、モータM3を駆動させると、モータM3の回転駆動力は、減速機構431aによって減速されたうえで、第1駆動プーリ432aが回転させられる。この第1駆動プーリ432aの回転に伴って第1出力ベルト434Aが所定の垂直面内において往復動する。
【0036】
プーリ432b,432cは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図5において第1出力ベルト434Aにおけるプーリ432b,432cの上方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間46aとなっており、第1出力ベルト434Aは、この区間46aにおいて往復動しうるように構成されている。第1出力ベルト434Aにおける上記区間46aの所定部位には、第1ハンド5Aの支持アーム51aに一端が連結された第1連結部材44Aの他端が連結されている。これにより、第1ハンド5Aは、第1駆動機構43Aの駆動により、内側2つの第1ガイドレール41Aに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0037】
第2駆動機構43Bは、図2図3および図6に表れているように、減速機構431bと、第2駆動プーリ433aと、複数のプーリ433b,433c,433d,433eと、第2出力ベルト434Bと、を備え、ガイド部材3に収容されている。第2駆動プーリ433aは、減速機構431bの出力軸に取り付けられている。当該第2駆動プーリ433aは、旋回軸線Osに対して直交する水平軸線周りに回転可能である。詳細な図示は省略するが、減速機構431bの入力軸には、モータM4の出力軸が連結されている。モータM4は、第2駆動機構43Bを介して第2ハンド5Bに駆動力を与えるものである。モータM4は、本開示の第2駆動源の一例に相当する。モータM4は、旋回用減速機6に対して第1方向xのx2側に位置している。
【0038】
図6に表れているように、プーリ433b~433eは、ガイド部材3内においてそれぞれ所定の水平軸線周りに回転可能に支持されている。第2出力ベルト434Bは、第2駆動プーリ433aおよびプーリ433b~433eに対し、垂直面内に沿うように掛け回されている。プーリ433b,433cは、ガイド部材3の長手方向(移動行程GLに沿う第1方向x)の両端部近傍に設けられている。一方、プーリ433d,433eは、第2駆動プーリ433aの近傍に設けられており、第2出力ベルト434Bの外側に配置されている。これにより、第2出力ベルト434Bには、適度な張力が付与されている。第2出力ベルト434Bとしては、たとえばタイミングベルトが好適に用いられる。
【0039】
このような構成により、モータM4を駆動させると、モータM4の回転駆動力は、減速機構431bによって減速されたうえで、第2駆動プーリ433aが回転させられる。この第2駆動プーリ433aの回転に伴って第2出力ベルト434Bが所定の垂直面内において往復動する。
【0040】
プーリ433b,433cは、移動行程GLの平行線に沿って配置されている。そして、図6において第2出力ベルト434Bにおけるプーリ433b,433cの上方に位置する領域は、移動行程GLと平行な区間46bとなっており、第2出力ベルト434Bは、この区間46bにおいて往復動しうるように構成されている。第2出力ベルト434Bにおける上記区間46bの所定部位には、第2ハンド5Bの支持アーム51bに一端が連結された第2連結部材44Bの他端が連結されている。これにより、第2ハンド5Bは、第2駆動機構43Bの駆動により、外側2つの第2ガイドレール41Bに支持されながら移動行程GLに沿って水平にスライド走行する。
【0041】
詳細な図示説明は省略するが、モータM3,M4は、底壁31、中間壁33および上部壁34により囲まれた内部に配置されている。また、上述のように、旋回用減速機6およびモータM2についても、底壁31、中間壁33および上部壁34により囲まれた内部に配置されている。これら旋回用減速機6およびモータM2,M3,M4が配置されたガイド部材3の内部空間は、外部に対して図示しないシール部材により気密シールされている。
【0042】
上述のように、旋回用減速機6は、中央部分が鉛直方向zに貫通する中空状であり、旋回用減速機6の適所にはシール部材(図示略)が配置されている。固定ベース1の天井壁13と昇降ベース14の円筒部141との間には、シール機構17が介装されている。また、旋回用減速機6およびモータM2,M3,M4が配置されたガイド部材3の内部は、外部に対して気密シールされている。旋回用減速機6が中空状であることより、ガイド部材3の内部から旋回用減速機6の中空部を介して連通する昇降ベース14の内側空間は、外部に対して気密シールされている。このように外部に対して気密シールされた、ガイド部材3の内部から旋回用減速機6の中空部を介して連通する昇降ベース14の内側空間にかけて、モータM2,M3,M4につながる配線(図示略)が通じている。
【0043】
本実施形態の搬送装置A1は、たとえばFPDの製造工程において、プロセスチャンバへワークを搬入し、あるいは搬出するために用いられる。この場合、搬送装置A1は、たとえば周部に複数のプロセスチャンバが配置されたトランスポートチャンバ内に真空環境下で配置される。
【0044】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0045】
搬送装置A1は、固定ベース1と、固定ベース1に対して垂直状の旋回軸線Osの周りに旋回可能に支持されたガイド部材3と、ガイド部材3に支持された直線移動機構4と、第1ハンド5Aと、旋回用減速機6と、モータM2(旋回用駆動源)と、を備える。第1ハンド5Aは、直線移動機構4の作動により第1方向xに延びる水平直線状の移動行程GLに沿って移動する。旋回用減速機6は、第1入力軸61に入力されたモータM2による回転を減速して第1出力軸62から出力する。旋回用減速機6およびモータM2は、ガイド部材3に固定されており、第1出力軸62は、固定ベース1に直接または間接(本実施形態では昇降ベース14を介して間接)に取り付けられている。旋回用減速機6および旋回駆動用のモータM2をガイド部材3の内部に配置することで、固定ベース1の内部に旋回用減速機6およびモータM2を配置するための空間が不要となる。これにより、固定ベース1の径方向(旋回軸線Osに直交する方向)のサイズを小さくすることができ、搬送装置A1の小型化を図ることができる。また、旋回用減速機6がガイド部材3に固定され、且つ旋回用減速機6の第1出力軸62が固定ベース1側に取り付けられることで、旋回用減速機6自体がガイド部材3を支持しながら旋回する部材として機能する。したがって、従来構成のガイド部材3を支持するための旋回ベース(別部材)が不要となる。これにより、固定ベース1の鉛直方向zのサイズを小さくすることができ、搬送装置A1の小型化を図ることができる。
【0046】
直線移動機構4は、第1ハンド5Aを移動可能に支持する一対の第1ガイドレール41Aを含む。一対の第1ガイドレール41Aは、各々が第1方向xに延びるとともに、第2方向y(鉛直方向zおよび第1方向xに直交する方向)に離れて配置される。モータM2は、旋回用減速機6に対して第1方向xのx1側に位置するとともに、第2方向yにおいて一対の第2方向yの間に位置する。このような構成によれば、旋回用のモータM2を効率よく配置することができる。
【0047】
旋回用減速機6の第1入力軸61は第1出力軸62の上方に位置し、モータM2の出力軸71に取り付けられたプーリ72、および第1入力軸61に取り付けられたプーリ64にベルト8が掛け回されている。このような構成によれば、モータM2を旋回用減速機6により近接して配置することが可能であり、モータM2を配置するための占有スペースを小さくすることができる。このことは、搬送装置A1の小型化を図る上でより好ましい。
【0048】
搬送装置A1は、第2ハンド5Bと、第1ハンド5Aに駆動力を与えるモータM3と、第2ハンド5Bに駆動力を与えるモータM4と、を備える。モータM3,M4は、旋回用減速機6に対して第1方向xのx2側に位置しており、旋回用減速機6に対してモータM2とは反対側に位置する。このような構成によれば、ガイド部材3の内部に3つのモータM2,M3,M4を効率よく配置するこができる。また、固定ベース1の内部にモータM3,M4を配置するための空間が不要となる。このことは、搬送装置A1の小型化を図る上でより好ましい。
【0049】
搬送装置A1は、固定ベース1に対して昇降可能に支持された昇降ベース14を備え、当該昇降ベース14は、ガイド部材3を支持する。旋回用減速機6の第1出力軸62は、昇降ベース14(上側フランジ部143)に固定されている。また、旋回用減速機6はフランジ部63を有し、当該フランジ部63はガイド部材3(底壁31)に固定されている。このような構成によれば、ガイド部材3が旋回可能、且つ昇降可能であり、第1ハンド5A等に保持されたワークWを効率よく搬送することができる。
【0050】
本開示に係る搬送装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係る搬送装置の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。上記実施形態においては、旋回用減速機6とモータM2(旋回用駆動源)とがベルト8を介して連係されていたが、これに代えて、旋回用減速機6とモータM2とがギア機構を介して連係された構成でもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、旋回用減速機6の第1出力軸62は昇降ベース14の上側フランジ部143に固定されていたが、本開示はこれに限定されない。昇降機構が不要な搬送装置の場合、第1出力軸62が固定ベース1に直接取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0052】
A1:搬送装置、1:固定ベース、14:昇降ベース、3:ガイド部、4:直線移動機構、41A:第1ガイドレール、5A:第1ハンド、5B:第2ハンド、6:旋回用減速機、61:第1入力軸、62:第1出力軸、63:フランジ部、64:プーリ、71:出力軸、72:プーリ、8:ベルト、GL:移動行程、M2:モータ(旋回用駆動源)、M3:モータ(第1駆動源)、M4:モータ(第2駆動源)、Os:旋回軸線、x:第1方向、y:第2方向、z:鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6