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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026110230
(43)【公開日】2026-07-02
(54)【発明の名称】車両の二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20260625BHJP
   F02M 37/08 20060101ALI20260625BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20260625BHJP
【FI】
B01D53/04 220
F02M37/08 D
B01D53/04 110
B60P3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024225570
(22)【出願日】2024-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑛子
(72)【発明者】
【氏名】原田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】堀越 政寛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康一
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CA20
4D012CB07
4D012CD05
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF10
4D012CG01
4D012CK10
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、車両の火災を抑制する。
【解決手段】車両1の二酸化炭素回収装置2は、エンジン10と、燃料Fが貯留される燃料タンク20と、フロアパネル3の下方に配置され且つエンジン10と燃料タンク20とを接続する燃料配管30と、燃料配管30の外周側Roに配置され且つ燃料配管30に沿って延びる筒状の吸着フィルタ40と、吸着フィルタ40を加熱可能な位置に配置されたヒータ60と、ヒータ60を制御するコントローラ90と、を備える。吸着フィルタ40は、高温のときよりも低温のときの方が二酸化炭素COの吸着量が多くなる温度スイング式の吸着材44を含む。コントローラ90は、ヒータ60により吸着フィルタ40を加熱することによって、吸着材44から二酸化炭素COを脱離させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
燃料が貯留される燃料タンクと、
フロアパネルの下方に配置され且つ前記エンジンと前記燃料タンクとを接続する燃料配管と、
前記燃料配管の外周側に配置され且つ前記燃料配管に沿って延びる筒状の吸着フィルタと、
前記吸着フィルタを加熱可能な位置に配置されたヒータと、
前記ヒータを制御するコントローラと、を備え、
前記吸着フィルタは、高温のときよりも低温のときの方が二酸化炭素の吸着量が多くなる温度スイング式の吸着材を含み、
前記コントローラは、前記ヒータにより前記吸着フィルタを加熱することによって、前記吸着材から前記二酸化炭素を脱離させる、車両の二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記吸着フィルタの外周部に巻かれたリボンヒータである、請求項1に記載の車両の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記吸着フィルタに設けられた噴射弁を備え、
前記吸着フィルタには、前記吸着材から脱離した前記二酸化炭素が噴射される噴射口が設けられ、
前記噴射弁は、前記噴射口を開閉する、請求項1又は2に記載の車両の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記燃料配管の外周部と前記吸着フィルタの内周部との間に形成された隙間に配置された固定具を備え、
前記固定具は、前記燃料配管の前記外周部と前記吸着フィルタの前記内周部とを固定し、
前記噴射口は、前記吸着フィルタの前記内周部に設けられ、
前記噴射口は、前記隙間に臨んでいる、請求項3に記載の車両の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
前記車両における発火を検知する検知器を備え、
前記コントローラは、前記検知器からの検知信号を受けて、前記ヒータを起動する、請求項1又は2に記載の車両の二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
前記吸着フィルタに設けられ且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の噴射弁を備え、
前記吸着フィルタには、前記吸着材から脱離した前記二酸化炭素が噴射され且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の噴射口が設けられ、
前記噴射弁は、前記噴射口を開閉し、
前記検知器は、前記車両に発生した煙を検知し且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の煙センサを含み、
前記コントローラは、複数の前記煙センサのうちの煙を実際には検知していない前記煙センサを特定するとともに、複数の前記噴射口のうちの特定された前記煙センサに最も近い前記噴射口を閉じるように前記噴射弁を作動させる、請求項5に記載の車両の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の二酸化炭素回収装置が開示されている。二酸化炭素回収装置は、走行中に周囲の外気を導入するとともに、導入した外気中の二酸化炭素を捕捉して回収する。車両は、外気中の二酸化炭素濃度を検出する検出手段と、検出された二酸化炭素濃度を搭乗者に告知する告知手段と、搭乗者が操作して二酸化炭素回収装置を起動及び停止させる切替操作部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-109488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、衝突などの事故に起因して、車両が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、車両の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素には、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素は、車両の火災の抑制に寄与する。
【0005】
本開示の目的は、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、車両の火災を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両の二酸化炭素回収装置は、エンジンと、燃料が貯留される燃料タンクと、フロアパネルの下方に配置され且つ前記エンジンと前記燃料タンクとを接続する燃料配管と、前記燃料配管の外周側に配置され且つ前記燃料配管に沿って延びる筒状の吸着フィルタと、前記吸着フィルタを加熱可能な位置に配置されたヒータと、前記ヒータを制御するコントローラと、を備え、前記吸着フィルタは、高温のときよりも低温のときの方が二酸化炭素の吸着量が多くなる温度スイング式の吸着材を含み、前記コントローラは、前記ヒータにより前記吸着フィルタを加熱することによって、前記吸着材から前記二酸化炭素を脱離させる。
【0007】
フロアパネルの下方に配置された燃料配管の外周側には、筒状の吸着フィルタが配置されている。フロアパネルの下方を流れる車両走行風が、吸着フィルタに導入される。吸着フィルタの吸着材には、二酸化炭素が吸着される。
【0008】
吸着フィルタの吸着材は、温度スイング式であって、高温のときよりも低温のときの方が二酸化炭素の吸着量が多くなる。コントローラは、ヒータにより吸着フィルタを加熱することによって、吸着フィルタの吸着材から二酸化炭素を脱離させる。
【0009】
衝突などの事故に起因して、車両が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、車両の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素には、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素は、車両の火災の抑制に寄与する。
【0010】
車両が発火した時に、ヒータにより吸着フィルタを加熱して、吸着フィルタの吸着材から二酸化炭素を脱離させることによって、車両の火災を抑制することができる。
【0011】
以上、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、車両の火災を抑制することができる。
【0012】
一実施形態に係る車両の二酸化炭素回収装置では、前記ヒータは、前記吸着フィルタの外周部に巻かれたリボンヒータである。
【0013】
リボンヒータであるヒータを吸着フィルタの外周部に巻くことによって、ヒータを、吸着フィルタを加熱可能な位置に、配置しやすくなる。
【0014】
一実施形態に係る車両の二酸化炭素回収装置は、前記吸着フィルタに設けられた噴射弁を備え、前記吸着フィルタには、前記吸着材から脱離した前記二酸化炭素が噴射される噴射口が設けられ、前記噴射弁は、前記噴射口を開閉する。
【0015】
吸着フィルタの吸着材から脱離した二酸化炭素を、噴射弁を作動させることによって、吸着フィルタの噴射口から噴射することができる。
【0016】
一実施形態に係る車両の二酸化炭素回収装置は、前記燃料配管の外周部と前記吸着フィルタの内周部との間に形成された隙間に配置された固定具を備え、前記固定具は、前記燃料配管の前記外周部と前記吸着フィルタの前記内周部とを固定し、前記噴射口は、前記吸着フィルタの前記内周部に設けられ、前記噴射口は、前記隙間に臨んでいる。
【0017】
燃料配管が破損すると、燃料配管の外周部と吸着フィルタの内周部との隙間に、燃料が漏れるようになる。ここで、吸着フィルタの内周部に設けられた噴射口は、隙間に臨んでいる。吸着フィルタの噴射口から噴射される二酸化炭素は、燃料配管から漏れた燃料を追いかけるようにして、隙間に供給される。燃料を二酸化炭素の雰囲気に置くことによって、燃料への引火を抑制できる。
【0018】
一実施形態に係る車両の二酸化炭素回収装置は、前記車両における発火を検知する検知器を備え、前記コントローラは、前記検知器からの検知信号を受けて、前記ヒータを起動する。
【0019】
ヒータによる吸着フィルタの加熱を、検知器からの検知信号に基づいて、自動的に行うことができる。
【0020】
一実施形態に係る車両の二酸化炭素回収装置は、前記吸着フィルタに設けられ且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の噴射弁を備え、前記吸着フィルタには、前記吸着材から脱離した前記二酸化炭素が噴射され且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の噴射口が設けられ、前記噴射弁は、前記噴射口を開閉し、前記検知器は、前記車両に発生した煙を検知し且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の煙センサを含み、前記コントローラは、複数の前記煙センサのうちの煙を実際には検知していない前記煙センサを特定するとともに、複数の前記噴射口のうちの特定された前記煙センサに最も近い前記噴射口を閉じるように前記噴射弁を作動させる。
【0021】
煙を実際には検知していない煙センサに最も近い噴射口を噴射弁により閉じることによって、逆に、発火箇所の近くの噴射口から二酸化炭素を集中的に噴射させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、車両の火災を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、車両の二酸化炭素回収装置を示す。
図2図2は、燃料配管及びその周辺を前後方向に平行な断面図で示す。
図3図3は、燃料配管及びその周辺をIII線における断面図で示す。
図4図4は、燃料配管及びその周辺をIV線における断面図で示す。
図5図5は、吸着フィルタ及びヒータを分解図で示す。
図6図6は、吸着フィルタの吸着材における二酸化炭素の吸着量に係る圧力依存性及び温度依存性をグラフで示す。
図7図7は、コントローラの制御ブロック図を示す。
図8図8は、二酸化炭素の流れを示す。
図9図9は、フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。前・後・左・右・上・下は、車両1に乗った乗員の視点を、基準とする。
【0025】
(二酸化炭素回収装置)
図1は、車両1の二酸化炭素回収装置2を示す。二酸化炭素回収装置2は、車両1に搭載されている。二酸化炭素回収装置2は、車両1の走行中に周囲の外気を走行風として導入するとともに、導入した外気中の二酸化炭素COを捕捉して回収する。
【0026】
車両1の二酸化炭素回収装置2は、エンジン10と、燃料タンク20と、燃料配管30と、吸着フィルタ40と、固定具50と、ヒータ60と、複数の噴射弁70と、検知器80と、コントローラ90と、を備える。
【0027】
(エンジン)
図1に示すように、エンジン10は、車両1の前部のエンジンルームに配置されている。エンジンルームは、ダッシュパネルによって、(乗員が乗る)車室と仕切られている。エンジン10は、車両1の駆動源であって、トランスミッション等を介して車輪を回転させる。
【0028】
(燃料タンク)
図1に示すように、燃料タンク20は、車両1の後部に配置されている。車両1は、車室の床面を構成するフロアパネル3を含む。燃料タンク20は、フロアパネル3の下方に配置されている。燃料タンク20には、燃料Fが貯留される。燃料Fは、例えば、ガソリンなどである。
【0029】
(燃料配管)
図1に示すように、燃料配管30は、フロアパネル3の下方に配置されている。燃料配管30は、前後方向において、エンジン10と燃料タンク20との間に配置されている。燃料配管30は、前後方向に延びている。燃料配管30は、エンジン10と燃料タンク20とを接続する。燃料配管30の前端は、エンジン10に接続されている。燃料配管30の後端は、燃料タンク20に接続されている。燃料タンク20に貯留された燃料Fは、燃料配管30を通って、エンジン10の燃焼室に供給される。
【0030】
図2~4は、燃料配管30及びその周辺を示す。図2は前後方向に平行な断面図であり、図3はIII線における断面図であり、図4はIV線における断面図である。図2~4に示すように、燃料配管30は、筒状である。詳細には、燃料配管30は、円筒状である。
【0031】
以下の説明において、軸方向、径方向及び周方向は、燃料配管30の中心軸Oを基準とする。径方向における外周側を単に外周側Roといい、径方向における内周側を単に内周側Riという。燃料配管30の中心軸Oが延びる軸方向は、前後方向に延びている。
【0032】
(吸着フィルタ)
図2~4に示すように、吸着フィルタ40は、筒状である。詳細には、吸着フィルタ40は、円筒状である。吸着フィルタ40は、燃料配管30の外周側Roに配置されている。吸着フィルタ40は、燃料配管30の中心軸Oに沿って、軸方向(前後方向)に延びている。
【0033】
吸着フィルタ40と燃料配管30とは、互いに同軸であって、共通の中心軸Oを持つ。吸着フィルタ40及び燃料配管30は、吸着フィルタ40が外周側Roに配置され且つ燃料配管30が内周側Riに配置された、二重管のような構造になっている。
【0034】
吸着フィルタ40は、径方向において所定の厚さを有する。吸着フィルタ40は、後述する吸着材44を含む。
【0035】
図2及び3に示すように、吸着フィルタ40には、複数の噴射口42が設けられている。噴射口42は、吸着フィルタ40の内周部41に設けられている。詳細は後述するが、噴射口42からは、吸着フィルタ40の吸着材44から脱離した二酸化炭素COが、噴射される。
【0036】
噴射口42は、複数ある。図2に示すように、複数の噴射口42は、燃料配管30に沿って、並んでいる。詳細には、複数の噴射口42は、燃料配管30の中心軸Oに沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。複数の噴射口42は、周方向において、同じ位置にあってもよいし、異なる位置にあってもよい。吸着フィルタ40の内周部41の噴射口42は、後述の隙間Eに臨んでいる。
【0037】
(固定具)
図2及び4に示すように、燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41との間には、隙間Eが形成されている。固定具50は、燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41との隙間Eに、配置されている。固定具50は、径方向に延びている。固定具50は、燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41とを、固定している。
【0038】
固定具50は、複数ある。本例では、図4に示すように、3つの固定具50が、1セットとなって、周方向に120°ずつ間隔を空けて、並んで配置されている。図2に示すように、複数の固定具50が、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。
【0039】
図2及び3に示すように、吸着フィルタ40の内周部41の噴射口42は、隙間Eに臨んでいる。
【0040】
(ヒータ)
図5は、吸着フィルタ40とヒータ60とを分解図で示す。図5に示すように、ヒータ60は、リボンヒータである。ヒータ60は、リボン状に形成されている。ヒータ60は、発熱体を外装体で被覆してなる。発熱体は、例えばニクロム線などである。外装体は、例えばガラスクロスなどである。
【0041】
ヒータ60は、吸着フィルタ40に固定されている。詳細には、ヒータ60は、吸着フィルタ40の外周部43に巻かれている。詳細には、ヒータ60は、吸着フィルタ40の外周部43に対して、中心軸Oを基準とした螺旋状に巻かれている。ヒータ60は、吸着フィルタ40の外周部43が露出しないように詰めて巻かれてもよいし、吸着フィルタ40の外周部43の一部が露出するように軸方向に間隔を空けて巻かれてもよい(簡単のため図2~4は前者を例示する)。
【0042】
ヒータ60は、吸着フィルタ40を加熱可能な位置に、配置されている。
【0043】
ヒータ60は、後述するコントローラ90からの命令を受けるまでは、停止しており、吸着フィルタ40を加熱しない。
【0044】
(噴射弁)
図2及び3に示すように、噴射弁70は、吸着フィルタ40に設けられている。噴射弁70は、吸着フィルタ40の内周部41の噴射口42に、設けられている。噴射弁70は、噴射口42を開閉する。
【0045】
噴射弁70は、噴射口42に対応するように、複数ある。図2に示すように、複数の噴射弁70は、燃料配管30に沿って、並んでいる。詳細には、複数の噴射弁70は、燃料配管30の中心軸Oに沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。複数の噴射弁70は、周方向において、同じ位置にあってもよいし、異なる位置にあってもよい。
【0046】
噴射弁70は、後述するコントローラ90からの命令を受けるまでは、停止しており、噴射口42を閉じている。
【0047】
(検知器)
図1に戻って、検知器80は、車両1における発火を検知する。検知器80は、車両1における発火を、直接的に又は間接的に検知する。検知器80は、衝突センサ81と、複数の煙センサ82と、を含む。なお、図1において、発火の様子を模式的にGで示す。
【0048】
衝突センサ81は、車両1の衝突を検知する。衝突センサ81は、例えば、車両1のフロントサイドフレーム近傍に配置されている。衝突センサ81が車両1の衝突を検知すると、エアバックが開いてもよい。車両1が衝突すると、車両1で発火が起こる可能性が高い。衝突センサ81は、車両1における発火を、間接的に検知する。
【0049】
煙センサ82は、噴射弁70に対応するように、複数ある。複数の煙センサ82は、燃料配管30に沿って、並んでいる。詳細には、複数の煙センサ82は、燃料配管30の中心軸Oに沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。
【0050】
煙センサ82は、車両1に発生した煙を検知する。車両1での煙の発生は、車両1での発火を、直接的に示す。煙センサ82は、車両1における発火を、直接的に検知する。
【0051】
(吸着材)
図6は、吸着フィルタ40の吸着材44における二酸化炭素COの吸着量に係る圧力依存性及び温度依存性をグラフで示す。図6において、横軸は吸着材44に導入される二酸化炭素COの圧力を示し、縦軸は吸着材44における二酸化炭素COの吸着量を示す。図6において、実線は吸着材44が低温の場合を示し、破線は吸着材44が高温の場合を示す。上述したように、吸着フィルタ40は、吸着材44を含む。吸着材44は、例えば、粒状であって、多数ある。多数の粒状の吸着材44を筒状に固めて形成するによって、筒状の吸着フィルタ40が形成される。
【0052】
吸着フィルタ40は、温度スイング式の吸着材44を含む。図6に示すように、温度スイング式の吸着材44は、同一の圧力条件下(圧力が等しい条件下)では、高温のときよりも低温のときの方が、二酸化炭素COの吸着量が多くなる。
【0053】
温度スイング式の吸着材44は、低温のとき(実線)、二酸化炭素COの吸着量が多くなるので、二酸化炭素COを吸着しやすい。温度スイング式の吸着材44は、高温のとき(破線)、二酸化炭素COの吸着量が少なくなるので、二酸化炭素COを脱離しやすい。
【0054】
また、吸着材44は、同一の温度条件下(温度が等しい条件下)では、低圧のときよりも高圧のときの方が、二酸化炭素COの吸着量が多くなる。
【0055】
温度スイング式の吸着材44として、例えば、ゼオライト、活性炭、又は金属有機構造体(MOF)などが挙げられる。
【0056】
(コントローラ)
図7は、コントローラ90の制御ブロック図を示す。コントローラ90は、プロセッサ、メモリ、インターフェースなどのハードウエアと、データベースや制御プログラムなどのソフトウエアと、で構成されている。図7に示すように、コントローラ90は、ヒータ60、噴射弁70及び検知器80(衝突センサ81及び煙センサ82)に、有線又は無線で接続されている。
【0057】
検知器80が車両1における発火を検知する(衝突センサ81が車両1の衝突を検知する、及び/又は、煙センサ82が車両1で発生した煙を検知する)と、検知器80から検知信号Taがコントローラ90に送られる。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受ける。
【0058】
コントローラ90は、ヒータ60を制御する。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けて、ヒータ60を起動する。ヒータ60は、コントローラ90に命令されるまでは、停止しており、吸着フィルタ40を加熱しない。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けると、ヒータ60に対して起動信号Tbを送って、ヒータ60を起動させる。ヒータ60が起動すると、ヒータ60が発熱して、吸着フィルタ40が加熱される。
【0059】
コントローラ90は、ヒータ60により吸着フィルタ40を加熱することによって、吸着フィルタ40の吸着材44から二酸化炭素COを脱離させる。
【0060】
コントローラ90は、噴射弁70を制御する。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けると、吸着フィルタ40が後述の脱離可能温度に達するのを待って、噴射弁70に対して作動信号Tcを送って、噴射弁70を作動させて、吸着フィルタ40の噴射口42を開く。
【0061】
コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの煙を実際には検知していない煙センサ82を特定するとともに、複数の噴射口42のうちの特定された煙センサ82に最も近い噴射口42を閉じるように噴射弁70を作動させてもよい。
【0062】
(二酸化炭素の流れ)
図8は、二酸化炭素COの流れを示す。なお、簡単のため、図8では、全ての噴射弁70が作動して全ての噴射口42が開いた場合を、例示する。
【0063】
車両1の衝突によって、燃料配管30が破損する。検知器80は、車両1における発火を検知する。具体的には、衝突センサ81が車両1の衝突を検知したり、煙センサ82が車両1で発生した煙を検知したりする。
【0064】
コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けて、ヒータ60を起動する。ヒータ60は、吸着フィルタ40を加熱する。
【0065】
吸着フィルタ40が脱離可能温度に達すると、十分な量の二酸化炭素COを、吸着フィルタ40の吸着材44から脱離させることができる。吸着フィルタ40の温度は、例えば、吸着フィルタ40の近傍に配置された温度計によって計測したり、ヒータ60の出力及びヒータ60を起動してからの経過時間に基づいて算出したりすることができる。コントローラ90は、吸着フィルタ40が所定温度に達するのを待って、噴射弁70を作動させて、吸着フィルタ40の噴射口42を開く。
【0066】
燃料Fは、燃料配管30の破損によって、燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41との隙間Eに漏れてしまう。ここで、噴射口42は、吸着フィルタ40の内周部41に設けられており、隙間Eに臨んでいる。
【0067】
噴射弁70を作動させて吸着フィルタ40の噴射口42を開くと、吸着フィルタ40の吸着材44から脱離した二酸化炭素COが、隙間Eに供給される。吸着フィルタ40の吸着材44から脱離した二酸化炭素COは、燃料配管30から漏れた燃料Fを追いかけるようにして、隙間Eに供給される。
【0068】
燃料Fを二酸化炭素COの雰囲気に置くことによって、燃料Fの周辺での酸素の濃度が低下する。燃料Fへの引火が抑制される。
【0069】
(フローチャート)
図9は、フローチャートを示す。スタートから始まって、第1ステップS1において、検知器80は、車両1における発火を検知する。具体的には、衝突センサ81が車両1の衝突を検知したり、煙センサ82が車両1で発生した煙を検知したりする。
【0070】
第2ステップS2において、コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けて、ヒータ60を起動する。ヒータ60は、吸着フィルタ40を加熱する。
【0071】
第3ステップS3において、吸着フィルタ40が脱離可能温度に達した否かを判定する。吸着フィルタ40が脱離可能温度に達すると、十分な量の二酸化炭素COを、吸着フィルタ40の吸着材44から脱離させることができる。吸着フィルタ40が脱離可能温度に達しない場合、第4ステップS4に進む。吸着フィルタ40が脱離可能温度に達した場合、第5ステップS5に進む。
【0072】
第4ステップS4において、ヒータ60の出力(例えば電力)を上げる。ヒータ60の出力を上げると、吸着フィルタ40の温度が上昇しやすくなる。そして、第3ステップS3に戻る。
【0073】
第5ステップS5において、コントローラ90は、全ての噴射弁70を作動させて、全ての噴射口42を開く。噴射口42を、全開にするとよい。
【0074】
第6ステップS6において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、第7ステップS7に進む。燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第6ステップS6に戻る。
【0075】
第7ステップS7において、燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82に最も近い噴射弁70を停止させる(噴射口42を閉じる)。
【0076】
第8ステップS8において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、第9ステップS9に進む。燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第8ステップS8に戻る。
【0077】
第9ステップS9において、燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82に最も近い噴射弁70を停止させる(噴射口42を閉じる)。
【0078】
燃料タンク20に3番目に近い煙センサ82、燃料タンク20に4番目に近い煙センサ82、…についても、同様のことを行う。
【0079】
第10ステップS10において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちのエンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82は、例えばエンジンルームに配置されている。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、エンドに至る。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第10ステップS10に戻る。
【0080】
第6ステップS6~第10ステップS10では、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの煙を実際には検知していない煙センサ82を特定するとともに、複数の噴射口42のうちの特定された煙センサ82に最も近い噴射口42を閉じるように噴射弁70を作動させる。
【0081】
(作用効果)
フロアパネル3の下方に配置された燃料配管30の外周側Roには、筒状の吸着フィルタ40が配置されている。車両1の走行時において、フロアパネル3の下方を流れる車両走行風が、吸着フィルタ40に導入される。吸着フィルタ40の吸着材44には、二酸化炭素COが吸着される。
【0082】
吸着フィルタ40の吸着材44は、温度スイング式であって、高温のときよりも低温のときの方が二酸化炭素COの吸着量が多くなる。コントローラ90は、ヒータ60により吸着フィルタ40を加熱することによって、吸着フィルタ40の吸着材44から二酸化炭素を脱離させる。
【0083】
衝突などの事故に起因して、車両1が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、車両1の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素COには、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素COは、車両1の火災の抑制に寄与する。
【0084】
車両1が発火した時に、ヒータ60により吸着フィルタ40を加熱して、吸着フィルタ40の吸着材44から二酸化炭素COを脱離させることによって、車両1の火災を抑制することができる。
【0085】
以上、二酸化炭素回収装置2で回収した二酸化炭素COを用いて、車両1の火災を抑制することができる。
【0086】
リボンヒータであるヒータ60を吸着フィルタ40の外周部43に巻くことによって、ヒータ60を、吸着フィルタ40を加熱可能な位置に、配置しやすくなる。
【0087】
吸着フィルタ40の吸着材44から脱離した二酸化炭素COを、噴射弁70を作動させることによって、吸着フィルタ40の噴射口42から噴射することができる。
【0088】
燃料配管30が破損すると、燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41との隙間Eに、燃料Fが漏れるようになる。ここで、吸着フィルタ40の内周部41に設けられた噴射口42は、隙間Eに臨んでいる。吸着フィルタ40の噴射口42から噴射される二酸化炭素COは、燃料配管30から漏れた燃料Fを追いかけるようにして、隙間Eに供給される。燃料Fを二酸化炭素COの雰囲気に置くことによって、燃料Fへの引火を抑制できる。
【0089】
コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けて、ヒータ60を起動する。ヒータ60による吸着フィルタ40の加熱を、検知器80からの検知信号Taに基づいて、自動的に行うことができる。
【0090】
煙を実際には検知していない煙センサ82に最も近い噴射口42を噴射弁70により閉じることによって、逆に、発火箇所の近くの噴射口42から二酸化炭素COを集中的に噴射させることができる。
【0091】
第5ステップS5において、一旦、全ての噴射弁70を作動させて、全ての噴射口42を開く。車両1の火災を抑制する上で、安全側の設計がなされている。
【0092】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変、置換又は組合せが可能である。
【0093】
コントローラ90は、(車両1における発火を検知した)ユーザからの指令に基づいて、ヒータ60及び/又は噴射弁70を起動してもよい。ユーザからの指令は、例えば、ダッシュボードなどに配置されたスイッチを押すことによって、行われる。
【0094】
ヒータ60は、リボンヒータでなくてもよい。ヒータ60は、吸着フィルタ40に固定されなくてもよい。ヒータ60は、吸着フィルタ40から離れた位置に且つ吸着フィルタ40を加熱可能な位置に、配置されてもよい。
【0095】
燃料配管30の外周部31と吸着フィルタ40の内周部41は、互いに接触してもよい(両者の間に隙間Eが無くてもよい)。
【0096】
噴射弁70は、噴射口42に設けられなくてもよい。噴射弁70は、例えば、噴射口42よりも上流側の流路に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、車両の二酸化炭素回収装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0098】
O 中心軸
Ro 外周側
F 燃料
E 隙間
CO 二酸化炭素
Ta 検知信号
1 車両
2 二酸化炭素回収装置
3 フロアパネル
10 エンジン
20 燃料タンク
30 燃料配管
31 外周部
40 吸着フィルタ
41 内周部
42 噴射口
43 外周部
44 吸着材
50 固定具
60 ヒータ
70 噴射弁
80 検知器
82 煙センサ
90 コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9