(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026110231
(43)【公開日】2026-07-02
(54)【発明の名称】移動体の二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
A62C 3/07 20060101AFI20260625BHJP
【FI】
A62C3/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024225573
(22)【出願日】2024-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑛子
(72)【発明者】
【氏名】原田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】堀越 政寛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康一
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、移動体の火災を抑制する。
【解決手段】移動体1の二酸化炭素回収装置2は、エンジン10と、燃料Fが貯留される燃料タンク20と、エンジン10と燃料タンク20とを接続する燃料配管30と、二酸化炭素CO
2を回収する二酸化炭素回収ユニット40と、二酸化炭素回収ユニット40で回収された二酸化炭素CO
2が貯留される二酸化炭素タンク50と、二酸化炭素タンク50に接続され且つ燃料配管30に沿って延びる二酸化炭素配管60と、二酸化炭素配管60に設けられた噴射口61を開閉する噴射弁70と、噴射弁70を制御するコントローラ90と、を備える。コントローラ90は、噴射弁70を作動させて噴射口61を開くことによって、二酸化炭素タンク50から二酸化炭素配管60を介して燃料配管30へ、二酸化炭素CO
2を噴射させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
燃料が貯留される燃料タンクと、
前記エンジンと前記燃料タンクとを接続する燃料配管と、
二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニットと、
前記二酸化炭素回収ユニットで回収された前記二酸化炭素が貯留される二酸化炭素タンクと、
前記二酸化炭素タンクに接続され且つ前記燃料配管に沿って延びる二酸化炭素配管と、
前記二酸化炭素配管に設けられた噴射口を開閉する噴射弁と、
前記噴射弁を制御するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記噴射弁を作動させて前記噴射口を開くことによって、前記二酸化炭素タンクから前記二酸化炭素配管を介して前記燃料配管へ、前記二酸化炭素を噴射させる、移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
前記移動体における発火を検知する検知器を備え、
前記コントローラは、前記検知器からの検知信号を受けて、前記噴射弁を作動させる、請求項1に記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
前記燃料配管に沿って並んだ複数の前記噴射弁を備え、
前記二酸化炭素配管には、前記燃料配管に沿って並んだ複数の前記噴射口が設けられ、
前記検知器は、前記移動体に発生した煙を検知し且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の煙センサを含み、
前記コントローラは、複数の前記煙センサのうちの煙を実際には検知していない前記煙センサを特定するとともに、複数の前記噴射口のうちの特定された前記煙センサに最も近い前記噴射口を閉じるように前記噴射弁を作動させる、請求項2に記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
前記二酸化炭素タンクは、前記二酸化炭素配管から取り外し可能であり、
前記二酸化炭素タンクにおける前記二酸化炭素配管との接続部には、開閉弁が設けられている、請求項1から3のいずれか1つに記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
前記二酸化炭素配管は、前記燃料配管と並行に延びている、請求項1から3のいずれか1つに記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
前記二酸化炭素回収ユニットは、前記エンジンから排出された排気ガス中の前記二酸化炭素を回収する、請求項1から3のいずれか1つに記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
前記噴射口は、前記燃料配管に臨んでいる、請求項1から3のいずれか1つ記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【請求項8】
前記移動体は、車両である、請求項1から3のいずれか1つ記載の移動体の二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体の二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の二酸化炭素回収装置が開示されている。二酸化炭素回収装置は、走行中に周囲の外気を導入するとともに、導入した外気中の二酸化炭素を捕捉して回収する。車両は、外気中の二酸化炭素濃度を検出する検出手段と、検出された二酸化炭素濃度を搭乗者に告知する告知手段と、搭乗者が操作して二酸化炭素回収装置を起動及び停止させる切替操作部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、衝突などの事故に起因して、車両が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、車両の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素には、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素は、車両の火災の抑制に寄与する。
【0005】
このような二酸化炭素の作用は、車両以外の移動体における火災の抑制にも適用され得る。
【0006】
本開示の目的は、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、移動体の火災を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る移動体の二酸化炭素回収装置は、エンジンと、燃料が貯留される燃料タンクと、前記エンジンと前記燃料タンクとを接続する燃料配管と、二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収ユニットと、前記二酸化炭素回収ユニットで回収された前記二酸化炭素が貯留される二酸化炭素タンクと、前記二酸化炭素タンクに接続され且つ前記燃料配管に沿って延びる二酸化炭素配管と、前記二酸化炭素配管に設けられた噴射口を開閉する噴射弁と、前記噴射弁を制御するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記噴射弁を作動させて前記噴射口を開くことによって、前記二酸化炭素タンクから前記二酸化炭素配管を介して前記燃料配管へ、前記二酸化炭素を噴射させる。
【0008】
衝突などの事故に起因して、移動体が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、移動体の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素には、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素は、移動体の火災の抑制に寄与する。
【0009】
二酸化炭素回収ユニットで回収された二酸化炭素は、二酸化炭素タンクに貯留される。移動体が発火した時に噴射弁を作動させて二酸化炭素配管の噴射口を開くと、二酸化炭素は、二酸化炭素タンクから二酸化炭素配管を介して燃料配管へ、噴射される。燃料配管の周辺が二酸化炭素の雰囲気に置かれるので、燃料への引火が抑制され、移動体の火災が抑制される。
【0010】
以上、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、移動体の火災を抑制することができる。
【0011】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置は、前記移動体における発火を検知する検知器を備え、前記コントローラは、前記検知器からの検知信号を受けて、前記噴射弁を作動させる。
【0012】
噴射弁による噴射口からの二酸化炭素の噴射を、検知器からの検知信号に基づいて、自動的に行うことができる。
【0013】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置は、前記燃料配管に沿って並んだ複数の前記噴射弁を備え、前記二酸化炭素配管には、前記燃料配管に沿って並んだ複数の前記噴射口が設けられ、前記検知器は、前記移動体に発生した煙を検知し且つ前記燃料配管に沿って並んだ複数の煙センサを含み、前記コントローラは、複数の前記煙センサのうちの煙を実際には検知していない前記煙センサを特定するとともに、複数の前記噴射口のうちの特定された前記煙センサに最も近い前記噴射口を閉じるように前記噴射弁を作動させる。
【0014】
煙を実際には検知していない煙センサに最も近い噴射口を噴射弁により閉じることによって、逆に、発火箇所の近くの噴射口から二酸化炭素を集中的に噴射させることができる。
【0015】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置では、前記二酸化炭素タンクは、前記二酸化炭素配管から取り外し可能であり、前記二酸化炭素タンクにおける前記二酸化炭素配管との接続部には、開閉弁が設けられている。
【0016】
二酸化炭素タンクを二酸化炭素配管から取り外した時に、開閉弁を閉じることよって、二酸化炭素タンクに貯留された二酸化炭素が、二酸化炭素タンクの外部に漏れるのを、抑制できる。
【0017】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置では、前記二酸化炭素配管は、前記燃料配管と並行に延びている。
【0018】
二酸化炭素配管を、燃料配管に沿って延ばしやすくなる。
【0019】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置では、前記二酸化炭素回収ユニットは、前記エンジンから排出された排気ガス中の前記二酸化炭素を回収する。
【0020】
エンジンから排出される排気ガス中の二酸化炭素を回収するので、移動体を運転しながら二酸化炭素を効率よく回収できる。
【0021】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置では、前記噴射口は、前記燃料配管に臨んでいる。
【0022】
二酸化炭素配管の噴射口から噴射される二酸化炭素を、燃料配管の周辺に供給しやすくなる。燃料配管の周辺を二酸化炭素の雰囲気に置きやすくなる。
【0023】
一実施形態に係る移動体の二酸化炭素回収装置では、前記移動体は、車両である。
【0024】
二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、車両の火災を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、二酸化炭素回収装置で回収した二酸化炭素を用いて、移動体の火災を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】
図2は、排気ガス中の二酸化炭素の回収を示す。
【
図3】
図3は、二酸化炭素回収ユニットの吸着材における二酸化炭素の吸着量に係る圧力依存性及び温度依存性をグラフで示す。
【
図4】
図4は、燃料配管と二酸化炭素配管との位置関係を示す。
【
図5】
図5は、二酸化炭素タンクの二酸化炭素配管からの取り外しを示す。
【
図6】
図6は、コントローラの制御ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。前・後・左・右・上・下は、車両1に乗った乗員の視点を、基準とする。
【0028】
(二酸化炭素回収装置)
図1は、車両1の二酸化炭素回収装置2を示す。
図2は、排気ガスE中の二酸化炭素CO
2の回収を示す。二酸化炭素回収装置2は、移動体としての車両1に搭載されている。車両1は、移動体の一例である。二酸化炭素回収装置2は、エンジン10から排出された排気ガスEを導入するとともに、導入した排気ガスE中の二酸化炭素CO
2を捕捉して回収する。
【0029】
図1及び2に示すように、車両1の二酸化炭素回収装置2は、エンジン10と、燃料タンク20と、燃料配管30と、二酸化炭素回収ユニット40と、二酸化炭素タンク50と、二酸化炭素配管60と、複数の噴射弁70と、開閉弁75と、検知器80と、コントローラ90と、を備える。
【0030】
(エンジン)
図1に示すように、エンジン10は、車両1の前部のエンジンルームに配置されている。エンジンルームは、ダッシュパネルによって、(乗員が乗る)車室と仕切られている。エンジン10は、車両1の駆動源であって、トランスミッション等を介して車輪を回転させる。
【0031】
図2に示すように、エンジン10の燃焼室11からは、排気ガスEが排出される。排気ガスEには、二酸化炭素CO
2が含まれている。エンジン10から排出された排気ガスEは、排気管3を通って、車両1の後方に送られ、最終的には、テールパイプ4を介して大気に放出される。車両1は、車室の床面を構成するフロアパネルを含む。排気管3は、フロアパネルの下方に配置されている。排気管3の途中、具体的には排気管3におけるエンジン10とテールパイプ4との間には、後述の二酸化炭素回収ユニット40が設けられている。
【0032】
(燃料タンク)
図1に示すように、燃料タンク20は、車両1の後部に配置されている。燃料タンク20は、フロアパネルの下方に配置されている。燃料タンク20には、燃料Fが貯留される。燃料Fは、例えば、ガソリンなどである。
【0033】
(燃料配管)
図1に示すように、燃料配管30は、フロアパネルの下方に配置されている。燃料配管30は、前後方向において、エンジン10と燃料タンク20との間に配置されている。燃料配管30の中心軸の延びる軸方向は、前後方向に延びている。燃料配管30は、筒状である。
【0034】
燃料配管30は、エンジン10と燃料タンク20とを接続する。燃料配管30の前端は、エンジン10に接続されている。燃料配管30の後端は、燃料タンク20に接続されている。燃料タンク20に貯留された燃料Fは、燃料配管30を通って、エンジン10の燃焼室11に供給される。
【0035】
(二酸化炭素回収ユニット)
図2に示すように、二酸化炭素回収ユニット40は、排気管3の途中、具体的には排気管3におけるエンジン10とテールパイプ4との間に、設けられている。排気管3を流れる排気ガスEは、二酸化炭素回収ユニット40を通過する。二酸化炭素回収ユニット40は、二酸化炭素CO
2を回収する。具体的には、二酸化炭素回収ユニット40は、エンジン10の燃焼室11から排出された排気ガスE中の二酸化炭素CO
2を、回収する。
【0036】
図3は、二酸化炭素回収ユニット40の吸着材における二酸化炭素CO
2の吸着量に係る圧力依存性及び温度依存性をグラフで示す。二酸化炭素回収ユニット40は、吸着材を含む。吸着材は、例えば、粒状であって、多数ある。
【0037】
吸着材は、二酸化炭素CO2を吸着する。吸着材の種類として、圧力スイング式、温度スイング式、湿度スイング式などがある。本例では、吸着材として、圧力スイング式及び温度スイング式のものを採用した。このような吸着材として、例えばゼオライトが挙げられる。
【0038】
図3において、横軸は吸着材に導入される二酸化炭素CO
2の圧力を示し、縦軸は吸着材における二酸化炭素CO
2の吸着量を示す。
図3において、実線は吸着材が低温の場合を示し、破線は吸着材が高温の場合を示す。
【0039】
吸着材は、温度スイング式であるため、同一の圧力条件下(圧力が等しい条件下)では、高温のときよりも低温のときの方が、二酸化炭素CO2の吸着量が多くなる。
【0040】
温度スイング式の吸着材は、低温のとき(実線)、二酸化炭素CO2の吸着量が多くなるので、二酸化炭素CO2を吸着しやすい。温度スイング式の吸着材は、高温のとき(破線)、二酸化炭素CO2の吸着量が少なくなるので、二酸化炭素CO2を脱離しやすい。
【0041】
また、吸着材は、圧力スイング式であるため、同一の温度条件下(温度が等しい条件下)では、低圧のときよりも高圧のときの方が、二酸化炭素CO2の吸着量が多くなる。
【0042】
圧力スイング式の吸着材は、高圧のとき、二酸化炭素CO2の吸着量が多くなるので、二酸化炭素CO2を吸着しやすい。圧力スイング式の吸着材は、低圧のとき、二酸化炭素CO2の吸着量が少なくなるので、二酸化炭素CO2を脱離しやすい。
【0043】
二酸化炭素回収ユニット40を通過する排気ガスEの温度及び/又は圧力を調整することによって、二酸化炭素CO2を吸着材に対して吸着させたり、二酸化炭素CO2を吸着材から脱離させたりすることができる。
【0044】
(二酸化炭素タンク)
図1に示すように、二酸化炭素タンク50は、車両1の後部に配置されている。二酸化炭素タンク50は、フロアパネルの下方に配置されている。
図2に示すように、二酸化炭素回収ユニット40と二酸化炭素タンク50とは、接続管5によって接続されている。二酸化炭素回収ユニット40の吸着材から脱離された二酸化炭素CO
2は、接続管5を通って、二酸化炭素タンク50に導入される。
【0045】
二酸化炭素タンク50には、二酸化炭素回収ユニット40で回収された二酸化炭素CO2が、貯留される。具体的には、二酸化炭素タンク50には、二酸化炭素回収ユニット40の吸着材から脱離された二酸化炭素CO2が、貯留される。
【0046】
(二酸化炭素配管)
図1に示すように、二酸化炭素配管60は、フロアパネルの下方に配置されている。二酸化炭素配管60は、二酸化炭素タンク50よりも前方に配置されている。二酸化炭素配管60の中心軸の延びる軸方向は、前後方向に延びている。二酸化炭素配管60は、筒状である。
【0047】
二酸化炭素配管60は、二酸化炭素タンク50に接続されている。具体的には、二酸化炭素配管60の後端部は、二酸化炭素タンク50に接続されている。二酸化炭素配管60の前端部は、燃料配管30の前端部の近傍に位置する。
【0048】
図4は、燃料配管30と二酸化炭素配管60との位置関係を軸方向に見た図で示す。
図1及び4に示すように、二酸化炭素配管60は、燃料配管30に沿って延びている。詳細には、二酸化炭素配管60は、燃料配管30と並行に延びている。より詳細には、二酸化炭素配管60は、燃料配管30と幾何学的に平行に延びている。
【0049】
二酸化炭素配管60と燃料配管30とは、左右方向及び/又は上下方向に隣り合っている。なお、
図1では、分かりやすさのため、二酸化炭素配管60と燃料配管30とを、異なる高さに図示したが、二酸化炭素配管60と燃料配管30とは、同じ高さに配置されてもよい(もちろん異なる高さに配置されてもよい)。
【0050】
二酸化炭素配管60には、複数の噴射口61が設けられている。噴射口61は、二酸化炭素配管60の壁部を貫通し、二酸化炭素配管60の内外を連通している。
図4に示すように、噴射口61は、燃料配管30に臨んでいる。噴射口61は、燃料配管30に向いている。
【0051】
図1に示すように、噴射口61は、複数ある。複数の噴射口61は、二酸化炭素配管60に沿って並んでいる。すなわち、複数の噴射口61は、燃料配管30に沿って並んでいる。複数の噴射口61は、二酸化炭素配管60及び燃料配管30に沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。
【0052】
(噴射弁)
図1及び4に示すように、噴射弁70は、二酸化炭素配管60に設けられている。詳細には、噴射弁70は、二酸化炭素配管60の噴射口61に、設けられている。噴射弁70は、噴射口61を開閉する。
【0053】
図1に示すように、噴射弁70は、噴射口61に対応するように、複数ある。複数の噴射弁70は、二酸化炭素配管60に沿って、並んでいる。すなわち、複数の噴射弁70は、燃料配管30に沿って、並んでいる。詳細には、複数の噴射弁70は、二酸化炭素配管60及び燃料配管30に沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。
【0054】
噴射弁70は、後述するコントローラ90からの命令を受けるまでは、停止しており、噴射口61を閉じている。
【0055】
(開閉弁)
図5は、二酸化炭素タンク50の二酸化炭素配管60からの取り外しを示す。二酸化炭素タンク50は、二酸化炭素配管60から取り外し可能である。二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60から取り外した時、二酸化炭素配管60は、車両1に固定されたまま残る。二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60から取り外した時、二酸化炭素タンク50は、車両1からも取り外される。
【0056】
取り外した二酸化炭素タンク50は、例えば、二酸化炭素回収ステーションに提供される。そして、二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO2が、二酸化炭素回収ステーションで回収される。二酸化炭素回収ステーションは、例えば、ガソリンスタンドなどに設置される。
【0057】
二酸化炭素タンク50における二酸化炭素配管60との接続部51には、開閉弁75が設けられている。接続部51は、二酸化炭素タンク50における二酸化炭素配管60への、二酸化炭素CO2の流出部である。開閉弁75は、二酸化炭素タンク50の接続部51を開閉する。
【0058】
二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60から取り外した時には、開閉弁75によって、二酸化炭素タンク50の接続部51を閉じるとよい。これにより、二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO2が、二酸化炭素タンク50の外部に漏れるのが抑制される。
【0059】
二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60に取り付けた時には、開閉弁75によって、二酸化炭素タンク50の接続部51を開くとよい。これにより、二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO2が、二酸化炭素配管60に供給されるようになる。二酸化炭素配管60の内部には、二酸化炭素CO2が充満される。
【0060】
(検知器)
図1に戻って、検知器80は、車両1における発火を検知する。検知器80は、車両1における発火を、直接的に又は間接的に検知する。検知器80は、衝突センサ81と、複数の煙センサ82と、を含む。なお、
図1において、発火の様子を模式的にGで示す。
【0061】
衝突センサ81は、車両1の衝突を検知する。衝突センサ81は、例えば、車両1のフロントサイドフレーム近傍に配置されている。衝突センサ81が車両1の衝突を検知すると、エアバックが開いてもよい。車両1が衝突すると、車両1で発火が起こる可能性が高い。衝突センサ81は、車両1における発火を、間接的に検知する。
【0062】
煙センサ82は、噴射弁70に対応するように、複数ある。複数の煙センサ82は、燃料配管30に沿って、並んでいる。また、複数の煙センサ82は、二酸化炭素配管60に沿って、並んでいる。詳細には、複数の煙センサ82は、燃料配管30及び二酸化炭素配管60に沿って、軸方向(前後方向)に間隔を空けて、並んで配置されている。
【0063】
煙センサ82は、車両1に発生した煙を検知する。車両1での煙の発生は、車両1での発火を、直接的に示す。煙センサ82は、車両1における発火を、直接的に検知する。
【0064】
(コントローラ)
図6は、コントローラ90の制御ブロック図を示す。コントローラ90は、プロセッサ、メモリ、インターフェースなどのハードウエアと、データベースや制御プログラムなどのソフトウエアと、で構成されている。
図6に示すように、コントローラ90は、噴射弁70及び開閉弁75並びに検知器80(衝突センサ81及び煙センサ82)に、有線又は無線で接続されている。
【0065】
検知器80が車両1における発火を検知する(衝突センサ81が車両1の衝突を検知する、及び/又は、煙センサ82が車両1で発生した煙を検知する)と、検知器80から検知信号Taがコントローラ90に送られる。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受ける。
【0066】
コントローラ90は、噴射弁70を制御する。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けると、噴射弁70に対して噴射信号Tbを送る。噴射弁70は、コントローラ90から噴射信号Tbを受けると、作動して、二酸化炭素配管60の噴射口61を開く。コントローラ90は、検知器80からの検知信号Taを受けて、噴射弁70を作動させる。
【0067】
ここで、二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60に取り付けた時には、開閉弁75によって、二酸化炭素タンク50の接続部51を開いている。二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO2が、二酸化炭素配管60に供給されるようになる。二酸化炭素配管60の内部には、二酸化炭素CO2が充満する。
【0068】
噴射弁70を作動させて、二酸化炭素配管60の噴射口61を開くと、二酸化炭素配管60に充満した二酸化炭素CO
2が、二酸化炭素配管60の噴射口61から燃料配管30へ噴射される(
図4参照)。
【0069】
まとめると、コントローラ90は、噴射弁70を作動させて二酸化炭素配管60の噴射口61を開くことによって、二酸化炭素タンク50から二酸化炭素配管60を介して燃料配管30へ、二酸化炭素CO2を噴射させる。
【0070】
コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの煙を実際には検知していない煙センサ82を特定するとともに、複数の噴射口61のうちの特定された煙センサ82に最も近い噴射口61を閉じるように噴射弁70を作動させてもよい。
【0071】
コントローラ90は、開閉弁75を制御する。コントローラ90は、例えばユーザからの開閉命令を受けて、開閉弁75に対して開閉信号Tcを送る。開閉弁75は、コントローラ90から開閉信号Tcを受けると、作動して、二酸化炭素タンク50における二酸化炭素配管60との接続部51を、開閉する(開く又は閉じる)。
【0072】
(フローチャート)
図7は、フローチャートを示す。スタートから始まって、第1ステップS1において、コントローラ90は、開閉弁75を作動させて、二酸化炭素タンク50における二酸化炭素配管60との接続部51を開く。二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO
2が、二酸化炭素配管60に供給されるようになる。二酸化炭素配管60の内部には、二酸化炭素CO
2が充満する。
【0073】
第2ステップS2において、検知器80は、車両1における発火を検知する。具体的には、衝突センサ81が車両1の衝突を検知したり、煙センサ82が車両1で発生した煙を検知したりする。
【0074】
第3ステップS3において、コントローラ90は、全ての噴射弁70を作動させて、全ての噴射口61を開く。噴射口61を、全開にするとよい。二酸化炭素CO2は、二酸化炭素タンク50から二酸化炭素配管60を介して燃料配管30へ、噴射される。
【0075】
第4ステップS4において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、第5ステップS5に進む。燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第4ステップS4に戻る。
【0076】
第5ステップS5において、燃料タンク20に1番目に近い煙センサ82に最も近い噴射弁70を停止させる(噴射口61を閉じる)。
【0077】
第6ステップS6において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、第7ステップS7に進む。燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第6ステップS6に戻る。
【0078】
第7ステップS7において、燃料タンク20に2番目に近い煙センサ82に最も近い噴射弁70を停止させる(噴射口61を閉じる)。
【0079】
燃料タンク20に3番目に近い煙センサ82、燃料タンク20に4番目に近い煙センサ82、…についても、同様のことを行う。
【0080】
第8ステップS8において、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちのエンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知したか否かを判定する。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82は、例えばエンジンルームに配置されている。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知していない場合、エンドに至る。エンジン10に1番目に近い(燃料タンク20から最も遠い)煙センサ82が実際に煙を検知した場合、再び第8ステップS8に戻る。
【0081】
第4ステップS4~第8ステップS8は、コントローラ90は、複数の煙センサ82のうちの煙を実際には検知していない煙センサ82を特定するとともに、複数の噴射口61のうちの特定された煙センサ82に最も近い噴射口61を閉じるように噴射弁70を作動させる。
【0082】
(作用効果)
衝突などの事故に起因して、車両1が発火することがある。発火箇所での酸素濃度が高いと、燃焼が促進されて、車両1の火災につながってしまう。ここで、二酸化炭素CO2には、酸素の濃度を低下させる効果がある。二酸化炭素CO2は、車両1の火災の抑制に寄与する。
【0083】
二酸化炭素回収ユニット40で回収された二酸化炭素CO2は、二酸化炭素タンク50に貯留される。車両1が発火した時に噴射弁70を作動させて二酸化炭素配管60の噴射口61を開くと、二酸化炭素CO2は、二酸化炭素タンク50から二酸化炭素配管60を介して燃料配管30へ、噴射される。燃料配管30の周辺が二酸化炭素CO2の雰囲気に置かれるので、燃料配管30の周辺での酸素の濃度が低下する。燃料Fへの引火が抑制されるので、車両1の火災が抑制される。
【0084】
以上、二酸化炭素回収装置2で回収した二酸化炭素CO2を用いて、車両1の火災を抑制することができる。
【0085】
噴射弁70による噴射口61からの二酸化炭素CO2の噴射を、検知器80からの検知信号Taに基づいて、自動的に行うことができる。
【0086】
煙を実際には検知していない煙センサ82に最も近い噴射口61を噴射弁70により閉じることによって、逆に、発火箇所の近くの噴射口61から二酸化炭素CO2を集中的に噴射させることができる。
【0087】
第3ステップS3において、一旦、全ての噴射弁70を作動させて、全ての噴射口61を開く。車両1の火災を抑制する上で、安全側の設計がなされている。
【0088】
二酸化炭素タンク50における二酸化炭素配管60との接続部51には、開閉弁75が設けられている。二酸化炭素タンク50を二酸化炭素配管60から取り外した時に、開閉弁75を閉じることよって、二酸化炭素タンク50に貯留された二酸化炭素CO2が、二酸化炭素タンク50の外部に漏れるのを、抑制できる。
【0089】
二酸化炭素配管60は、燃料配管30と並行に延びている。二酸化炭素配管60を、燃料配管30に沿って延ばしやすくなる。
【0090】
エンジン10の燃焼室11から排出される排気ガスE中の二酸化炭素CO2を回収するので、車両1を運転しながら二酸化炭素CO2を効率よく回収できる。
【0091】
二酸化炭素配管60の噴射口61は、燃料配管30に臨んでいる。二酸化炭素配管60の噴射口61から噴射される二酸化炭素CO2を、燃料配管30の周辺に供給しやすくなる。燃料配管30の周辺を二酸化炭素CO2の雰囲気に置きやすくなる。
【0092】
移動体が車両なので、特に車両の火災の抑制に寄与できる。
【0093】
(その他の実施形態)
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変、置換又は組合せが可能である。
【0094】
コントローラ90は、(車両1における発火を検知した)ユーザからの指令に基づいて、噴射弁70を起動してもよい。ユーザからの指令は、例えば、ダッシュボードなどに配置されたスイッチを押すことによって、行われる。
【0095】
二酸化炭素配管60及び燃料配管30は、互いに同軸の二重管のような構造でもよい。この場合、二酸化炭素配管60は、燃料配管30と同軸であるとともに、燃料配管30の内周側又は外周側に配置され、燃料配管30に沿って延びる。
【0096】
二酸化炭素配管60は、燃料配管30に対して真直ぐに沿って延びるのではなく、燃料配管30に沿いつつも多少斜めに延びてもよい。
【0097】
二酸化炭素配管60の噴射口61は、必ずしも、燃料配管30に臨んでなくてもよい。燃料配管30の周辺が二酸化炭素CO2の雰囲気に置かれるような、噴射口61の配置及び向きであればよい。
【0098】
二酸化炭素回収ユニット40の吸着材は、圧力スイング式や温度スイング式に限定されず、例えば、湿度スイング式などでもよい。
【0099】
開閉弁75は、常時閉でもよく、車両1の発火を検知した後に開いてもよい。開閉弁75は、二酸化炭素回収ステーションにおいて、ユーザによって、手動で開閉されてもよい。
【0100】
二酸化炭素回収ユニットは、外気中に含まれる二酸化炭素CO2を、車両走行風を導入することによって、回収してもよい。
【0101】
上記実施形態では、移動体は、車両であったがこれに限定されない。移動体は、例えば、航空機や船舶や建設機械などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示は、移動体の二酸化炭素回収装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0103】
CO2 二酸化炭素
E 排気ガス
F 燃料
Ta 検知信号
1 車両(移動体)
2 二酸化炭素回収装置
10 エンジン
20 燃料タンク
30 燃料配管
40 二酸化炭素回収ユニット
50 二酸化炭素タンク
51 接続部
60 二酸化炭素配管
61 噴射口
70 噴射弁
75 開閉弁
80 検知器
82 煙センサ
90 コントローラ