(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026110245
(43)【公開日】2026-07-02
(54)【発明の名称】移動体の二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素の回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20260625BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20260625BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20260625BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20260625BHJP
【FI】
B01D53/04
B01D53/14 100
C01B32/50
B60P3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024225599
(22)【出願日】2024-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 瑛子
(72)【発明者】
【氏名】原田 雄司
(72)【発明者】
【氏名】内田 健司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】堀越 政寛
(72)【発明者】
【氏名】笠原 康一
【テーマコード(参考)】
4D012
4D020
4G146
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012CA03
4D012CB05
4D012CD07
4D012CD08
4D012CD10
4D012CE01
4D012CE02
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4D012CF02
4D012CF10
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4D020BC01
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4D020DA01
4D020DA02
4D020DA03
4D020DB01
4D020DB09
4D020DB20
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC21
4G146JC27
4G146JD02
(57)【要約】
【課題】大気中の二酸化炭素を効率よく回収する。
【解決手段】移動中に大気を取り込んで大気中の二酸化炭素を回収する移動体1の二酸化炭素回収装置2である。筐体10に収容される二酸化炭素の吸着材20aと、二酸化炭素の回収を制御する制御装置2bとを備える。筐体10は、移動体1の進行方向に対して異なる方向に臨む開閉式の複数の大気取入口14,15と、移動体1の進行方向に対して後方に臨む大気排出口16とを有している。制御装置2bが、移動体1の移動速度に応じて、複数の大気取入口14,15の開閉状態を制御する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動中に大気を取り込んで大気中の二酸化炭素を回収する、移動体の二酸化炭素回収装置であって、
前記移動体に取り付けられる筐体と、
前記筐体に収容される二酸化炭素の吸着材と、
二酸化炭素の回収を制御する制御装置と、
を備え、
前記筐体は、
前記移動体の進行方向に対して異なる方向に臨む開閉式の複数の大気取入口と、
前記移動体の進行方向に対して後方に臨む大気排出口と、
を有し、
前記制御装置が、前記移動体の移動速度に応じて、複数の前記大気取入口の開閉状態を制御する、二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置おいて、
前記大気取入口は、
前記移動体の進行方向に臨む第1大気取入口と、
前記第1大気取入口の側方に臨む第2大気取入口と、
を含み、
前記移動体が低速で移動している時には、前記制御装置が、前記第1大気取入口を開いて前記第2大気取入口を閉じる第1開閉制御を実行し、前記移動体が高速で移動している時には、前記制御装置が、前記第1大気取入口を閉じて前記第2大気取入口を開く第2開閉制御を実行する、二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置おいて、
前記移動体の進行方向に沿って拡がる前記筐体の外表面が曲面を含んで形成されている、二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置おいて、
前記吸着材に、乾燥状態で二酸化炭素を吸着して湿潤状態で二酸化炭素を脱離する湿度スイング式の吸着材が用いられ、
前記筐体又は前記吸着材が前記移動体から脱着可能に構成されている、二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項4に記載の二酸化炭素回収装置おいて、
前記移動体が、雨雪を検出して前記制御装置に出力する雨雪検知手段を更に備え、
前記雨雪検知手段が雨雪を検出した場合に、前記制御装置が前記大気取入口を閉じる、第3開閉制御を優先して実行する、二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
請求項4に記載の二酸化炭素回収装置おいて、
湿潤状態の前記吸着材が前記移動体に装着される場合に、前記制御装置が、前記大気取入口の少なくともいずれかを開く第4開閉制御を実行する、二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の二酸化炭素回収装置おいて、
前記移動体は自動車である、二酸化炭素回収装置。
【請求項8】
大気中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素の回収方法であって、
請求項4に記載されている二酸化炭素回収装置を用いて前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる回収ステップと、
前記筐体又は前記吸着材を前記移動体から取り外す取り外しステップと、
前記吸着材を湿潤状態にして二酸化炭素を脱離させる再生ステップと、
前記筐体又は前記吸着材を前記移動体に取り付ける取り付けステップと、
を含む、二酸化炭素の回収方法。
【請求項9】
大気中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素の回収方法であって、
請求項6に記載されている二酸化炭素回収装置を用いて前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる回収ステップと、
前記筐体又は前記吸着材を前記移動体から取り外す取り外しステップと、
前記吸着材を湿潤状態にして二酸化炭素を脱離させる再生ステップと、
湿潤状態のままで前記筐体又は前記吸着材を前記移動体に取り付ける取り付けステップと、
前記制御装置が前記第4開閉制御を実行し、大気中に気化させることによって前記吸着材を乾燥させる性能回復ステップと、
を含む、二酸化炭素の回収方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の二酸化炭素の回収方法であって、
前記再生ステップで脱離される二酸化炭素を再利用する再利用ステップを含む、二酸化炭素の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、移動体の二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガスを削減するために、カーボンニュートラル(CN)の実現が重要視されている。その実現手段の一つとして、二酸化炭素回収装置を移動体に搭載し、大気中の二酸化炭素を回収する技術が検討されている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の車両では、フロアパネルの下側に、前後方向に延びて走行時に大気が流れる管路が設けられている。その管路の途中に二酸化炭素回収装置が設置されている。その管路にはまた、二酸化炭素回収装置をバイパスするバイパス管が設けられている。シャッタの開閉により、二酸化炭素回収装置への大気の流入が切り替わる。それにより、二酸化炭素の回収と非回収とを操作できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、車両の速度については考慮されていない。
【0006】
すなわち、低速時と高速時とでは、大気の流速が変わる。二酸化炭素回収装置が吸着材で二酸化炭素を吸着する方式であると、高速時には、管路に多量の大気が流入し、吸着材と大気との接触が不十分になる。それに伴い、二酸化炭素の回収効率が低下する。空気抵抗も増加するので、車両の燃費及び電費も低下する。
【0007】
更に、特許文献1の技術では、二酸化炭素回収装置に回収した後についても考慮されていない。回収した二酸化炭素が満量になれば、二酸化炭素の取り出しや再生などの処理が必要になる。フロアパネルの下側では、そのような処理は難しいが、これら処理についての説明は無い。
【0008】
そこで、この明細書では、大気中の二酸化炭素を効率よく回収できる技術について開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示する技術は、移動中に大気を取り込んで大気中の二酸化炭素を回収する、移動体の二酸化炭素回収装置に関する。
【0010】
前記二酸化炭素回収装置は、前記移動体に取り付けられる筐体と、前記筐体に収容される二酸化炭素の吸着材と、二酸化炭素の回収を制御する制御装置と、を備える。前記筐体は、前記移動体の進行方向に対して異なる方向に臨む開閉式の複数の大気取入口と、前記移動体の進行方向に対して後方に臨む大気排出口と、を有している。そして、前記制御装置が、前記移動体の移動速度に応じて、複数の前記大気取入口の開閉状態を制御する。
【0011】
この二酸化炭素回収装置によれば、二酸化炭素の吸着材を収容する筐体が、移動体の進行方向に対して異なる方向に臨む開閉式の複数の大気取入口と、移動体の進行方向に対して後方に臨む大気排出口とを有している。従って、移動体の進行方向だけでなく、異なる方向からも筐体に大気を取り入れることができる。
【0012】
そして、移動体の移動速度に応じて、これら大気取入口の開閉状態を制御するので、移動速度に応じた適切な状態で大気を二酸化炭素回収装置に取り入れることができる。それにより、大気中の二酸化炭素を効率よく回収できる。
【0013】
筐体の設置部位は、大気に接する移動体の外表面であればよく、仕様に応じて選択できる。従って、設計の自由度が高い。アクセスが容易な部位に筐体を設置すれば、回収や再生などの処理も簡単に行える。
【0014】
前記大気取入口は、前記移動体の進行方向に臨む第1大気取入口と、前記第1大気取入口の側方に臨む第2大気取入口と、を含み、前記移動体が低速で移動している時には、前記制御装置が、前記第1大気取入口を開いて前記第2大気取入口を閉じる第1開閉制御を実行し、前記移動体が高速で移動している時には、前記制御装置が、前記第1大気取入口を閉じて前記第2大気取入口を開く第2開閉制御を実行する、としてもよい。
【0015】
低速時に筐体が受ける風圧は弱い。従って、風と正対する第1大気取入口を開くことで、多量の大気を取り入れて、吸着材に十分に接触させながら通過させることができる。従って、二酸化炭素の高い回収効率が得られる。
【0016】
一方、高速時に筐体が受ける風圧は強い。従って、第1大気取入口を開くと、過剰な量の大気が取り入れられて、その多くが吸着材との接触が不十分な状態で通過する。従って、二酸化炭素の回収効率が低下する。
【0017】
それに対し、第1大気取入口を閉じて第2大気取入口を開くと、流速が低下した大気が側方から筐体に入り込む。それにより、比較的多量の大気を筐体に取り入れて、しかも、吸着材に十分に接触させながら通過させることができる。従って、二酸化炭素の高い回収量とともに高い回収効率が得られる。
【0018】
前記移動体の進行方向に沿って拡がる前記筐体の外表面が曲面を含んで形成されている、としてもよい。
【0019】
そうすれば、筐体を移動体の外表面に設置しても、走行抵抗を低減できる。従って、移動体のエネルギーロスを抑制できる。
【0020】
前記吸着材に、乾燥状態で二酸化炭素を吸着して湿潤状態で二酸化炭素を脱離する湿度スイング式の吸着材が用いられ、前記筐体又は前記吸着材が前記移動体から脱着可能に構成されている、としてもよい。
【0021】
そうすれば、移動体から取り外した吸着材を水で濡らすことで、二酸化炭素を吸着材から脱離させることができる。従って、吸着材を比較的簡単に再生でき、回収した二酸化炭素を比較的簡単に再利用できる。
【0022】
前記移動体が、雨雪を検出して前記制御装置に出力する雨雪検知手段を更に備え、前記雨雪検知手段が雨雪を検出した場合に、前記制御装置が前記大気取入口を閉じる、第3開閉制御を優先して実行する、としてもよい。
【0023】
降雨や降雪によって湿度スイング式の吸着材が濡れると、二酸化炭素の回収が困難になる。それに対し、この二酸化炭素回収装置では、雨雪を検知すると、優先的に、筐体が全閉状態になる。従って、降雨等によって吸着材が濡れるのを防止できる。
【0024】
湿潤状態の前記吸着材が前記移動体に装着される場合に、前記制御装置が、前記大気取入口の少なくともいずれかを開く第4開閉制御を実行する、としてもよい。
【0025】
再生した吸着材がその性能を回復するには、乾燥する必要がある。しかし、濡れた吸着材は乾燥し難いので、乾燥するには時間および手間を要する。それに対し、この二酸化炭素回収装置の場合、吸着材が乾き易いように大気取入口が開かれるので、吸着材が湿潤状態のままで移動体に装着できる。
【0026】
移動体が移動すれば、風を利用して吸着材を乾燥できる。従って、扱い易いうえに、吸着材の性能を早期に回復できる。
【0027】
前記移動体の好適な具体例としては、自動車である。
【0028】
開示する技術はまた、大気中の二酸化炭素を回収する二酸化炭素の回収方法に関する。
【0029】
その回収方法は、上述した二酸化炭素回収装置を用いて前記吸着材に二酸化炭素を吸着させる回収ステップと、前記筐体又は前記吸着材を前記移動体から取り外す取り外しステップと、前記吸着材を湿潤状態にして二酸化炭素を脱離させる再生ステップと、前記筐体又は前記吸着材を前記移動体に取り付ける取り付けステップと、を含む。
【0030】
また、前記取り付けステップでは、湿潤状態のままで前記筐体又は前記吸着材を前記移動体に取り付け、前記制御装置が前記第4開閉制御を実行し、大気中に気化させることによって前記吸着材を乾燥させる性能回復ステップを含む、としてもよい。
【0031】
更に、前記再生ステップで脱離される二酸化炭素を再利用する再利用ステップを含む、としてもよい。
【0032】
これら回収方法によれば、大気中の二酸化炭素を効率よく回収できる。そして、吸着材の再生や回収した二酸化炭素の再利用も比較的簡単に行える。従って、カーボンニュートラル(CN)の実現に寄与できる。
【発明の効果】
【0033】
開示する技術を適用した二酸化炭素回収装置によれば、大気中の二酸化炭素を効率よく回収できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】開示する技術を適用した車両を示す図である。
【
図2】二酸化炭素回収装置を説明するための図である。
【
図3】実施例と比較例において、車速と走行抵抗との関係を表した図である。
【
図4】制御装置とその関連機器に関するブロック図である。
【
図5】低速時および高速時のCO2回収器を示す図である。
【
図6】実施例と比較例において、車速と回収効率との関係を表した図である。
【
図7】制御装置の制御例を表したフローチャートである。
【
図8】吸着材の再生および二酸化炭素の再利用の方法の一例を表した図である。
【
図9】制御装置とその関連機器に関するブロック図である。
【
図10】制御装置の制御例を表したフローチャートである。
【
図11】二酸化炭素回収装置の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、開示する技術について説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎない。説明で用いる前後、左右、及び、上下の各方向は、実施形態で示す車両を基準とする。
【0036】
<移動体>
図1に、開示する技術(二酸化炭素回収装置)を適用した移動体を例示する。例示の移動体は車両1(自動車)である。ただし、開示する技術は、船舶、鉄道車両など、移動するものであれば適用できる。
【0037】
車両1の駆動源は、エンジン、バッテリ、又は、これら双方であってもよい(いわゆる従来の自動車、電気自動車、ハイブリッド車)。車両1の形態も、ここでは乗用自動車を例示するが、貨物自動車などであってもよい。
【0038】
<二酸化炭素回収装置>
車両1の移動中(走行中)に大気を取り込んで大気中の二酸化炭素を回収するために、この車両1では、Bピラー1aに二酸化炭素回収装置(詳細にはCO2回収器2a)が設置されている。
【0039】
なお、Bピラー1aの設置は一例である。CO2回収器の設置部位は、車両1のボディの外面であればよく、仕様に応じて選択できる。具体的には、CO2回収器は、ボンネット、ルーフパネル、ドアパネルを含めたサイドパネル、各種ピラー、サイドシルなどに設置できる。ただし、車両1の下側はCO2回収器へアクセスし難い点で不利がある。
【0040】
図2に、このBピラー用のCO2回収器2aの具体的な構造を示す。CO2回収器2aは、Bピラー1aの外面に取り付けられている。
【0041】
CO2回収器2aは、帯状に延びる筐体10を有している。筐体10は、Bピラー1aに沿って上下方向に延びるように、Bピラー1aに取り付けられている。筐体10は、Bピラー1aの外面に固定される組付ベース11と、組付ベース11の表面に被さるように一体化されたカバーケース12とを有している。組付ベース11とカバーケース12との間には、収容室13が構成されている。
【0042】
収容室13には、二酸化炭素を吸着するカートリッジ(吸着カートリッジ20)が収容されている。吸着カートリッジ20は、複数のフィルタ状の吸着材20aを積層して帯状に構成されている。吸着カートリッジ20は、脱着可能な状態で収容室13に収容されている。本実施形態では、吸着材20aに湿度スイング式の吸着材が用いられている。
【0043】
湿度スイング式の吸着材は、公知であるため、その詳細な説明は省略する。湿度スイング式の吸着材は、例えば、ゼオライト、4級アンモニウム基を含む強塩基性陰イオン交換樹脂などからなり、含水量の違いで二酸化炭素の吸着性能が異なる。大略、湿度スイング式の吸着材は、乾燥状態で二酸化炭素を吸着して湿潤状態で二酸化炭素を脱離する性質を有している。
【0044】
組付ベース11にはフレーム(不図示)が組み付けられている。カバーケース12は、そのフレームに取り付けられた複数の外装部材によって構成されている。具体的には、カバーケース12は、正面パネル12a、側面パネル12b、背面パネル12c、一対の端面パネル12d、前端ビーム12e、後端ビーム12f、などからなる。
【0045】
前端ビーム12eは、フレームに支持された状態で、Bピラー1aの前縁部分に沿って延びている。後端ビーム12fは、フレームに支持された状態で、Bピラー1aの後縁部分に沿って延びている。
【0046】
正面パネル12aは、帯板状の部材からなり、その側縁の一方が、前端ビーム12eに回動自在に支持されている。それにより、正面パネル12aは、収容室13の前方を覆う閉じ位置(
図2に実線で示す)と、収容室13の前方を開放する開き位置(
図2に二点鎖線で示す)と、に変位可能に構成されている。正面パネル12aは、組付ベース11に回動自在に支持してあってもよい。
【0047】
側面パネル12bは、帯板状の部材からなり、その側縁の一方が、後端ビーム12fに回動自在に支持されている。それにより、側面パネル12bは、収容室13の側方を覆う閉じ位置(
図2に実線で示す)と、収容室13の側方を開放する開き位置(
図2に二点鎖線で示す)と、に変位可能に構成されている。
【0048】
背面パネル12cは、帯板状の部材からなり、その側縁の一方が、組付ベース11に回動自在に支持されている。それにより、背面パネル12cは、収容室13の後方を覆う閉じ位置(
図2に実線で示す)と、収容室13の後方を開放する開き位置(
図2に二点鎖線で示す)と、に変位可能に構成されている。背面パネル12cは、後端ビーム12fに回動自在に支持してあってもよい。
【0049】
なお、これらパネルの常態は閉じ位置である。従って、これらパネルは閉じ位置にあることを前提に説明する。一対の端面パネル12dは、収容室13の上方及び下方を覆うように、前端ビーム12e及び後端ビーム12fと共にフレームに取り付けられている。
【0050】
このように構成することにより、本実施形態の筐体10は、車両1の進行方向に対して異なる方向に臨む開閉式の複数の大気取入口14,15と、車両1の進行方向に対して後方に臨む大気排出口16と、を有している。具体的には、正面パネル12aにより、車両1の進行方向に臨む開閉式の第1大気取入口14が構成され、側面パネル12bにより、第1大気取入口14の側方に臨む開閉式の第2大気取入口15が構成されている。そして、背面パネル12cにより、開閉式の大気排出口16が構成されている。
【0051】
進行方向に沿って拡がる筐体10の外表面は、曲面を含んで形成されている。特に流線形にするのが好ましい。本実施形態の筐体10の外表面は流線形状に形成されている。
【0052】
具体的には、側面パネル12bの外面は、外方へ膨らむように前後方向に湾曲した曲面となっている。そして、その前側の縁よりも後側の縁の方が組付ベース11の方に位置している。それにより、第1大気取入口14の側よりも大気排出口16の側の方が断面幅の小さい曲面で形成されている。
【0053】
そして、正面パネル12aは、側面パネル12bの曲面に連なるように、前方に向かって下り傾斜している。正面パネル12aの基端側よりも遊端側の方が前方に位置している。
【0054】
このように、筐体10の外表面を形成することにより、車両1の走行抵抗を低減できる。
【0055】
図3に、筐体10の形状の違いによる車速と走行抵抗との関係の一例を示す。
図3は、筐体10の断面形状が流線形状の場合(実線:実施例)と、筐体10の断面形状が矩形の場合(破線:比較例)とを示している。
【0056】
車速が高くなるほど、比較例は顕著に走行抵抗が増加するのに対し、実施例は比較的穏やかに走行抵抗が増加する。高速の同じ速度で比較した場合、比較例よりも実施例の方が、圧倒的に走行抵抗が小さい。従って、筐体10の外表面を流線形状にすることで走行抵抗を効果的に低減できる。特に、高速域において有効である。
【0057】
なお、筐体10の形状は仕様に応じて適宜調整できる。例えば、側面パネル12bだけを曲面で形成してもよい。前後の断面幅は同じであってもよい。
【0058】
図2に示すように、収容室13には、正面パネル12a、側面パネル12b、及び、背面パネル12cの各々を開閉する第1モータ17、第2モータ18、及び、第3モータ19が設置されている。これらモータの駆動を制御して二酸化炭素の回収を制御するために、CO2回収器2aには、制御装置2bが付設されている。
【0059】
(制御装置)
図4に、制御装置2bおよびその関連機器に関するブロック図を示す。制御装置2bは、プロセッサ、メモリ、インターフェースなどのハードウエアと、メモリに実装されたデータ、制御プログラムなどのソフトウエアとで構成されている。
【0060】
車両1には、車速を計測する車速センサ3が設置されている。制御装置2bは、車速センサ3から車速の信号を入力する。車両1にはまた、雨雪、つまり降雨や降雪を検知する雨雪センサ4が設置されている。制御装置2bは、雨雪センサ4から雨雪の信号を入力する。
【0061】
制御装置2bは、第1モータ17、第2モータ18、及び、第3モータ19と電気的に接続されており、車速センサ3及び雨雪検知手段から入力される信号に基づいて、これらに制御信号を出力する。それにより、制御装置2bは、車両1の移動速度に応じて、あるいは、天候に応じて、上述した、CO2回収器2aの各大気取入口14,15および大気排出口16の開閉状態を制御する。CO2回収器2a及び制御装置2bは、二酸化炭素回収装置2を構成している。
【0062】
車両1にはまた、二酸化炭素回収装置2を利用するためのアプリケーションが実装されている。ユーザがそのアプリケーションを起動することにより、二酸化炭素回収装置2が動作して大気中の二酸化炭素の回収が可能になる。アプリケーションには、CO2回収モード、再生モードなど、二酸化炭素回収装置2の状態に対応した各種の動作モードが設定されている。
【0063】
(CO2回収モード)
ユーザによってアプリケーションが起動されると、制御装置2bは、大気中の二酸化炭素の回収に関する処理を開始する。すなわち、二酸化炭素回収装置2は、車両1の走行中に、走行風を利用してCO2回収器2aに大気を取り込み、吸着カートリッジ20に二酸化炭素を吸着させる。そうすることにより、大気中の二酸化炭素を回収する処理を実行する(CO2回収モード)。
【0064】
その際、車速は絶えず高低に変化する。車速に応じて走行風も強弱に変化する。従って、低速時と高速時とでは、大気の流速が変わる。
【0065】
低速時の走行風は弱く、大気の流速は遅い。従って、CO2回収器2aに大気を多く導入しても、大気と吸着材20aとを十分に接触させることができる。二酸化炭素の高い回収効率を確保できる。
【0066】
それに対し、高速時の走行風は強く、大気の流速は速い。従って、CO2回収器2aに大気を多く導入すると、大気と吸着材20aとの接触が不十分になる。それに伴い、二酸化炭素の回収効率が低下する。
【0067】
そこで、この二酸化炭素回収装置2では、車速の変化による二酸化炭素の回収効率への影響を抑制するために、制御装置2bが、車速に応じて、各大気取入口14,15の開閉状態を制御する。
【0068】
具体的には、低速時には、制御装置2bが、第1大気取入口14を開いて第2大気取入口15を閉じる制御(第1開閉制御)を実行する。そして、高速時には、制御装置2bが、第1大気取入口14を閉じて第2大気取入口15を開く制御(第2開閉制御)を実行する。
【0069】
図5に、低速時および高速時における各大気取入口14,15の開閉状態を示す。二酸化炭素の回収時には、大気排出口16から大気を排出させるために、背面パネル12cは開き位置に保持される。
【0070】
そうして、低速時には、
図5の上図に示すように、第1モータ17が駆動されて正面パネル12aが開き位置に変位される。すなわち、低速時には、第2大気取入口15は閉じて、第1大気取入口14および大気排出口16は開かれた状態になる(第1開閉状態)。
【0071】
第1大気取入口14は、走行風と正対する。従って、大気の流速が遅く、そして、開口面積が小さくても、必要かつ十分な量の大気を効率よく収容室13に導入できる。そして、収容室13に導入された大気は、遅い流速で吸着カートリッジ20の断面の長手方向に沿って流れるから、大気と吸着材20aとを十二分に接触させることができる。従って、二酸化炭素の高い回収効率が得られる。
【0072】
一方、高速時には、
図5の下図に示すように、第2モータ18が駆動されて側面パネル12bが開き位置に変位される。すなわち、高速時には、第1大気取入口14は閉じて、第2大気取入口15および大気排出口16は開かれた状態になる(第2開閉状態)。
【0073】
第2大気取入口15は、走行風に直交する。そして、走行風と正対する第1大気取入口14は閉じている。従って、強い走行風が筐体10の正面に衝突する。それにより、走行風が弱められて、大気の流速は低速時の流速に近づく。
【0074】
そして、速度の低下した大気は、その表面に沿って後方に流れる。第2大気取入口15が開かれているので、その界面で乱流が生じて収容室13の側に大気が引き込まれ易い。第2大気取入口15の開口面積は大きく、大気が吸着カートリッジ20の断面の長手方向に沿って流れるから、多量の大気を収容室13に導入できる。
【0075】
そして、収容室13に導入された大気は、低下した流速で吸着カートリッジ20の断面の短手方向に向かいつつその長手方向に流れるから、大気と吸着材20aとを十二分に接触させることができる。従って、二酸化炭素の高い回収効率が得られる。高速時の二酸化炭素の回収効率が低速時に比べて低下するのを抑制できる。車速に応じて比較的安定した回収効率で二酸化炭素を回収できる。
【0076】
図6に、本実施形態のCO2回収器2aにおいて、第1開閉状態(前方開口:破線)と、第2開閉状態(側方開口:一点鎖線)と、これらを組み合わせた場合(実施例:実線)とについて、車速と回収効率との関係を表した図を示す。
【0077】
低速の領域では、同じ車速で比較した場合、側方開口は、前方開口よりも収容室13に導入される大気量は少ない。そのため、前方開口の方が側方開口よりも回収効率は高い。車速が高くなるにつれて、吸着カートリッジ20を流れる流速は双方ともに速まるが、側方開口の場合、大気が回り込んで入ってくるため、前方開口よりもその流速は低く、その上がり方も小さい。そのため、これら双方の回収効率の差は次第に小さくなっていく。
【0078】
それにより、所定の車速Vsにおいて、前方開口と側方開口とで回収効率が逆転する。そこで、このCO2回収器2aは、その回収効率が逆転する車速Vsで前方開口から側方開口に切り替える(切替車速Vs)。すなわち、切替車速Vsで第1開閉制御から第2開閉制御に切り替える。その結果、このCO2回収器2aでは、双方の優れた特性を利用でき、高い回収効率を実現できる。
【0079】
なお、車速が極めて低い領域では(V0以下)、吸着カートリッジ20は、導入した大気が含む二酸化炭素のほぼ全てを吸着できるので、車速が高くなるほど回収効率は高くなる。そして、前方開口よりも流速が低くなる側方開口の場合、矢印で示すように、その特性は、より高い車速へシフトする。
【0080】
切替車速Vsが頻繁に使用される速度領域に位置していると、高頻度で切り替えが実行されるので、耐久性に影響する。車両1の場合であれば、切替車速Vsが中速領域に位置するのは好ましくない。従って、車両1の切替車速Vsとしては、道路事情も考慮し、80km/h以上に設定するのが好ましい。本実施形態の切替車速Vsは80km/hとされている。
【0081】
なお、第1開閉制御から第2開閉制御に切り替える車速は必ずしも回収効率が逆転する車速に限らない。例えば、回収効率が逆転する車速が、頻繁に使用される速度領域に位置する場合、その速度領域を外れた車速で切り替えてもよい。また、低速時は、車両1が停止している状態も含む(車速が0km/h)。
【0082】
(雨雪対応)
上述したように、本実施形態では、吸着カートリッジ20に湿度スイング式の吸着材20aが用いられている。従って、降雨や降雪によって吸着カートリッジ20が濡れてしまうと、吸着材20aに吸着した二酸化炭素が脱離する。
【0083】
そこで、この二酸化炭素回収装置2では、雨雪センサ4が雨雪を検出した場合に、制御装置2bが全閉(大気取入口14,15および大気排出口16が閉じた状態)する制御(第3開閉制御)を優先して実行するように構成されている。例えば、低速での走行時に降雨が検知されると、制御装置2bは、走行中であっても、第1大気取入口14及び大気排出口16を閉じる。なお、二酸化炭素回収装置2の不使用時には、CO2回収器2aが全閉状態であるため、降雨等で濡れるおそれはない。
【0084】
(CO2回収モードにおける制御装置の制御例)
図7に、CO2回収モードにおける制御装置2bの制御例を示す。ユーザが乗車して車両1の電源を入れると(ステップS1でNo)、各種センサが起動する。そうして、上述したように、ユーザがアプリケーションを起動すると、制御装置2bは、大気中の二酸化炭素の回収に関する処理を開始する。
【0085】
制御装置2bは、雨雪センサ4からの信号に基づいて降雨または降雪の有無を判定する(ステップS2)。降雨または降雪が有ると判定すると、制御装置2bは第3開閉制御を実行する(ステップS3、CO2回収器2aは全閉状態)。なお、上述したように二酸化炭素回収装置2の不使用時は、CO2回収器2aは全閉状態である。従って、走行を開始する前に降雨等があれば、その状態が保持される。
【0086】
一方、降雨および降雪は無いと判定すると、制御装置2bは、車速センサ3からの信号に基づいて車速が切替車速Vs以上か否かを判定する(ステップS4)。そして、車速が切替車速Vs未満と判定すると、第1開閉制御を実行する(ステップS5)。車速が切替車速Vs以上と判定すると、第2開閉制御を実行する(ステップS6)。
【0087】
そうして、車両1の電源が入っている間は、これら一連の制御が継続される(ステップS2~ステップS6)。車両1の運転が終了してその電源が切られると(ステップS1でYes)、制御装置2bは、CO2回収器2aを初期状態(全閉状態)に戻す(初期化制御、ステップS7)。
【0088】
(吸着材の再生、CO2の再利用)
上述した回収方法によれば、二酸化炭素を効率よく回収できる。そうして、二酸化炭素の吸着量が上限に達すると、それ以上、吸着材20aは二酸化炭素を吸着できない。従って、吸着カートリッジ20はその吸着性能を回復させる再生処理が必要になる。大気中から二酸化炭素を効果的に回収するには、再生処理も比較的高頻度にならざるを得ない。その場合、ユーザの負担は大きい。
【0089】
そこで、この二酸化炭素回収装置2では、湿度スイング式の吸着材20aを用いて着脱可能にすることにより、比較的簡単な方法で、吸着カートリッジ20が再生できるように工夫されている。
【0090】
具体的には、上述したように、CO2回収モードにより、二酸化炭素回収装置2を用いて吸着材20aに二酸化炭素を吸着させる処理が行われる(回収ステップ)。それにより、吸着材20aへの二酸化炭素の吸着量が上限に達すると、
図8に示すように、吸着カートリッジ20を車両1から取り外す処理(取り外しステップ)、吸着カートリッジ20を湿潤状態にして吸着材20aから二酸化炭素を脱離させる処理(再生ステップ)、吸着カートリッジ20を車両1に取り付ける処理(取り付けステップ)が、順次行われる。
【0091】
本実施形態では更に、再生ステップで脱離される二酸化炭素を再利用する処理(再利用ステップ)、吸着カートリッジ20の性能を早期に回復させる処理(性能回復ステップ)も行われる。
【0092】
図9に、吸着材20aの再生に関連した制御装置2bおよびその関連機器に関するブロック図を示す。車両1には、吸着カートリッジ20の二酸化炭素の吸着状態を検知する手段(吸着状態検知手段5)が設置されている。
【0093】
吸着状態検知手段5の具体例としては、例えば、二酸化炭素の濃度センサを収容室13に設置して、吸着カートリッジ20の二酸化炭素の吸着状態を実測してもよい。車速、各大気取入口14,15の開き時間などから、吸着カートリッジ20の二酸化炭素の吸着状態を推定してもよい。吸着カートリッジ20の適切な再生タイミングを知るための情報が得られればよい。
【0094】
車両1にはまた、吸着カートリッジ20の再生処理を行う際にユーザが操作する再生スイッチ6が設置されている。車両1には更に、ユーザに吸着カートリッジ20の再生を促す再生警告手段7(点滅表示やブザーなど)も設置されている。
【0095】
図10に、再生モード(吸着カートリッジ20の再生処理に関する動作モード)における制御装置2bの制御の一例を示す。制御装置2bは、アプリケーションの起動中、吸着状態検知手段5からの信号に基づいて、吸着カートリッジ20の再生が必要か否かについて判定する(ステップS10)。そして、吸着カートリッジ20の再生が必要と判定すると、制御装置2bは、再生警告手段7を制御して、ユーザに再生処理の実行を促す。
【0096】
その結果、再生処理を実行するために、ユーザが再生スイッチ6をオンにすると(ステップS11でYes)、制御装置2bは、第2モータ18を駆動させ、第2大気取入口15を開く(ステップS12)。それにより、筐体10から吸着カートリッジ20を取り出せるようになる。ユーザは、吸着カートリッジ20を車両1から取り外す(
図8の取り外しステップを参照、以下同様)。
【0097】
そうして、ユーザは、取り外した吸着カートリッジ20に通水する。通水すれば、吸着材20aから二酸化炭素が脱離し、吸着カートリッジ20を再生できる。その際、二酸化炭素の多くは、水に溶解する。残りの二酸化炭素も、空気よりも重いので、その水とともに流下させることができる。従って、
図8の再生・再利用ステップに示すように、その水および二酸化炭素を農作物や園芸植物などに撒布すれば、大気中から回収した二酸化炭素を有効活用でき、再利用できる。
【0098】
再生後の吸着カートリッジ20は水に濡れた状態(湿潤状態)である。それに対し、吸着カートリッジ20の性能を回復させるためには、吸着カートリッジ20を十分に乾燥させる必要がある。しかし、吸着カートリッジ20はフィルタ状である。従って、吸着カートリッジ20は乾き難く、その性能が回復するまでには時間を要する。
【0099】
そこで、この二酸化炭素回収装置2では、走行風を利用して吸着カートリッジ20を乾燥し、早期にその性能を回復できるよう構成されている。具体的には、湿潤状態の吸着カートリッジ20が車両1に装着される場合に、制御装置2bが、大気取入口の少なくともいずれかを開く制御(第4開閉制御)を実行する。
【0100】
従って、ユーザは、吸着カートリッジ20の再生処理を行った後、湿潤状態のままで吸着カートリッジ20を車両1に取り付けることができる(取り付けステップ)。吸着カートリッジ20を車両1に取り付けた後に、ユーザが再生スイッチ6をオフにすると(ステップS13でYes)、性能回復処理が実行される。
【0101】
すなわち、制御装置2bは、降雨等が無ければ(ステップS14でNo)、第4開閉制御を実行する(ステップS15)。一方、降雨等があれば、降雨等が無くなるまで、第3開閉制御を実行する(ステップS16)。
【0102】
図8の性能回復ステップに示すように、第4開閉制御では、状況に応じて、制御装置2bが各大気取入口14,15及び大気排出口16を開閉する。すなわち、車両1が運転されていない場合には、全開にする。車両1が運転されている場合には、車速に応じて開閉する。大気中への気化によって吸着カートリッジ20の乾燥が促進され、早期にその性能を回復させることができる。
【0103】
制御装置2bには、それぞれの開閉状態における吸着カートリッジ20の乾燥状態と時間に関するデータが記憶されている。そのデータとそれぞれの開閉状態での累積時間とに基づいて、制御装置2bは、吸着カートリッジ20の乾き具合を推定する。そして、制御装置2bは、吸着カートリッジ20が乾燥したと判定すると(ステップS17でYes)、CO2回収モードに移行する(ステップS18)。
【0104】
走行風を利用すれば、吸着カートリッジ20の吸着性能を短時間で回復できる。従って、大気中の二酸化炭素を効率的に回収できる。ユーザは、濡れたままの状態で吸着カートリッジ20を筐体10に取り付けられるので、取り扱いが簡単で、利便性に優れる。
【0105】
<変形例>
上述した実施形態では、揺動式のパネルを用いて大気取入口14,15および大気排出口16を開閉するCO2回収器2aを例示した。しかし、大気取入口14,15および大気排出口16は、シャッタ式のパネルで開閉するように構成してもよい。
【0106】
図11に、シャッタ式のパネルで開閉するCO2回収器の一例(シャッタ式CO2回収器30)を示す。シャッタ式CO2回収器30の基本的な構成は、上述したCO2回収器2aと同じである。従って、同じ構成は同じ符号を用いてその説明は簡略ないし省略する。
【0107】
各モータ17,18,19の近傍に各シャッタ(正面シャッタ32a、側面シャッタ32b、背面シャッタ32c)の収容ケース31が設置されている。各シャッタ32a,32b,32cの両側にはそれらを支持して案内する一対のガイドバー33,33が設置されている。各モータ17,18,19の駆動により、各シャッタ32a,32b,32cが出し入れされる。各シャッタ32a,32b,32cは、ガイドバー33に沿って閉じ位置と開き位置とに変位する。
【0108】
シャッタ式は、開き位置における走行抵抗が小さい、車窓からの視界を妨げ難いといった利点がある。いずれかの方式のみで構成するのではなく、スイング式とシャッタ式を併用してもよい。
【0109】
なお、開示する技術は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。例えば、実施形態では、吸着カートリッジ20が筐体10から脱着できる場合を例示したが、吸着材20aが筐体10と共に車両1から脱着できるようにしてもよい。その場合、制御装置2bと筐体10との電気的な接続は、簡易な着脱式のコネクタで構成すればよい。
【0110】
吸着材20aは、二酸化炭素の再利用および利便性の観点からは湿度スイング式が好ましいが、温度スイング式または圧力スイング式であってもよい。
【0111】
吸着材は、移動体の進行方向に密度差を設け、進行方向の後側よりも前側の方が、密度が高くなる(吸着材の表面積が大きくなる)ように構成してもよい。進行方向の前側から二酸化炭素が吸着されていくので、効率よく吸着できる。
【0112】
大気取入口を3つ以上設け、速度に応じた2段回以上の開閉制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 車両(移動体)
1a Bピラー
2 二酸化炭素回収装置
2a CO2回収器
2b 制御装置
3 車速センサ
4 雨雪センサ
5 吸着状態検知手段
6 再生スイッチ
7 再生警告手段
10 筐体
11 組付ベース
12 カバーケース
12a 正面パネル
12b 側面パネル
12c 背面パネル
12d 端面パネル
12e 前端ビーム
12f 後端ビーム
13 収容室
14 第1大気取入口
15 第2大気取入口
16 大気排出口
17 第1モータ
18 第2モータ
19 第3モータ
20 吸着カートリッジ
20a 吸着材
30 シャッタ式CO2回収器
31 収容ケース
32a,32b,32c シャッタ
33 ガイドバー