(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026115299
(43)【公開日】2026-07-09
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 13/06 20060101AFI20260702BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20260702BHJP
G03B 35/20 20210101ALI20260702BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20260702BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20260702BHJP
H04N 23/698 20230101ALI20260702BHJP
G02B 13/00 20060101ALN20260702BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20260702BHJP
【FI】
G02B13/06
G03B15/00 W
G03B35/20
G03B37/00 A
H04N23/55
H04N23/698
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024231914
(22)【出願日】2024-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】小野 譲暉
【テーマコード(参考)】
2H059
2H087
5C122
【Fターム(参考)】
2H059AA10
2H059BA11
2H087LA01
2H087LA21
2H087PA07
2H087PA17
2H087PB07
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA44
5C122EA40
5C122FA03
5C122FA04
5C122FA18
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB06
5C122FH20
5C122HB06
(57)【要約】
【課題】良好な全周ステレオ撮像を行える撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、第1光学系Rjと第2光学系Ljからなる第1対の光学系が、5角形以上の多角形の頂点のそれぞれに位置するように配置されている。第1対とは異なる組み合わせでステレオ撮像を行うための第2対をなす第1光学系と第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をIPD、多角形の周方向において隣り合う2つの第1対の光学系における第1光学系同士または第2光学系同士のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をNPDとするとき、0.01≦NPD/IPD≦0.70を満足する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光学系と第2光学系からなる第1対の光学系が、5角形以上の多角形の頂点のそれぞれに位置するように配置された撮像装置であって、
前記第1対とは異なる組み合わせでステレオ撮像を行うための第2対をなす前記第1光学系と前記第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をIPD、前記多角形の周方向において隣り合う2つの前記第1対の光学系における前記第1光学系同士または前記第2光学系同士のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をNPDとするとき、
0.01≦NPD/IPD≦0.70
なる条件を満足することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1対における前記第1光学系と前記第2光学系の光軸同士がなす角度をθとするとき、
100°<θ<270°
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第2対をなす前記第1光学系と前記第2光学系との間に、1つ以上の前記第1対の光学系が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記1つ以上の第1対の光学系の数をQ、全ての前記第1対の光学系の数をN、ガウス記号を[ ]とするとき、
Q≦[N/2]-1
なる条件を満足することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
Q=[N/2]-1であるとき、Nは奇数であることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記多角形の重心と前記第2対をなす前記第1光学系および前記第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の中点との間の距離をRとするとき、
0.05≦R・2tan(3π/2N)/IPD<1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1対における前記第1光学系と前記第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をLb、前記第1対ではなく前記多角形の周方向において互いに最も近い前記第1光学系と前記第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をLcとするとき、
0.10≦Lc/Lb≦1.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1対における前記第1光学系と前記第2光学系のうち少なくとも一方の前記多角形を含む面に直交する方向での画角が150°以上であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1対における前記第1光学系と前記第2光学系のうち少なくとも一方の前記多角形を含む面に平行な方向での画角が100°以上であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
40.0mm≦IPD≦150.0mm
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1および第2光学系の光学全長をLaとするとき、
0.01≦La/IPD≦0.25
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記撮像装置における全ての前記第1光学系の最も物体側のレンズ面の面頂点が前記多角形の頂点のそれぞれに位置することを特徴とする請求項1に撮像装置。
【請求項13】
前記撮像装置における全ての前記第2光学系の最も物体側のレンズ面の面頂点が前記多角形の頂点のそれぞれに位置することを特徴とする請求項1に撮像装置。
【請求項14】
前記撮像装置における全ての前記第1光学系のノーダルポイントが前記多角形の頂点のそれぞれに位置することを特徴とする請求項1に撮像装置。
【請求項15】
前記撮像装置における全ての前記第2光学系のノーダルポイントが前記多角形の頂点のそれぞれに位置することを特徴とする請求項1に撮像装置。
【請求項16】
第1光学系と第2光学系からなる第1対の光学系が、5角形以上の多角形の頂点のそれぞれに位置するように配置された撮像装置であって、
前記第1対とは異なる組み合わせでステレオ撮像を行うための第2対をなす前記第1光学系と前記第2光学系のそれぞれのノーダルポイント間の距離をIPD、前記多角形の周方向において隣り合う2つの前記第1対の光学系における前記第1光学系同士または前記第2光学系同士のそれぞれのノーダルポイントポイント間の距離をNPDとするとき、
0.01≦NPD/IPD≦0.70
なる条件を満足することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全周ステレオ撮像が可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、それぞれ並列配置された右眼用カメラと左眼用カメラからなるカメラペアを、互いに向きを異ならせて円に沿って配置することで全周ステレオ撮像を行う撮像装置が開示されている。各カメラペアにより、人の両眼視差を再現したステレオ撮像が可能である。このような撮像装置において複数の右眼カメラにより得られた複数の画像と複数の左眼カメラにより得られた複数の画像がそれぞれスティッチ処理にて繋ぎ合わされることで、ステレオ視が可能な全周パノラマ画像が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10,750,153号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来よりも良好な全周ステレオ撮像を行える撮像装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面としての撮像装置は、第1光学系と第2光学系からなる第1対の光学系が、5角形以上の多角形の頂点のそれぞれに位置するように配置された撮像装置である。第1対とは異なる組み合わせでステレオ撮像を行うための第2対をなす第1光学系と第2光学系のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点(またはノーダルポイント)間の距離をIPD、多角形の周方向において隣り合う2つの第1対の光学系における第1光学系同士または第2光学系同士のそれぞれの最も物体側の光学面の面頂点間の距離をNPDとするとき、
0.01≦NPD/IPD≦0.70
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、良好な全周ステレオ撮像を行える撮像装置が得られる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例1~10の撮像装置の光学系の概略図。
【
図2】実施例1~10の撮像装置の第1対の光学系の概略図。
【
図4】実施例1~3の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図5】実施例4、5の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図6】実施例6の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図7】実施例7の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図8】実施例8の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図9】実施例9の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【
図10】実施例10の撮像装置における光学系の配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、図面上ではX方向とZ方向を表し、X方向とZ方向に直交する方向(図の紙面に垂直な方向)をY方向と表す。
【0009】
図1は、実施例1~10の撮像装置に用いられる光学系101の基本構成(XZ断面)を示している。X方向は光学系101の光軸AXが延びる方向(光軸方向)であり、Y方向は水平方向、Z方向は垂直方向である。光学系101は、水平視野角HFOVと、不図示の垂直視野角VFOVを有する。光軸AXは、光学系101の最も物体側の光学面(レンズ面)の面頂点(以下、単に最も物体側の面頂点という)を通り、光学系101の像面に直交する。像面には、撮像素子102の撮像面が配置されている。
【0010】
各実施例の撮像装置は、それぞれ
図1に示す光学系101により構成される第1光学系としての右眼光学系と第2光学系としての左眼光学系からなる第1対の光学系を5つ(5対)以上有する。これら5対以上の第1対の光学系はそれぞれ、後に図に示して説明するように、5角形以上の多角形の頂点に配置されている。具体的には、全ての第1光学系の最も物体側のレンズ面の面頂点、全ての第2光学系の最も物体側のレンズ面の面頂点、全ての第1光学系のノーダルポイント(ノーパララクスポイント)または全ての第2光学系のノーダルポイントが5角形以上の多角形の頂点に配置されている。このように配置された複数の光学系101を有する撮像装置は、多角形の中心回りでの360°全周の立体撮像を行う。
【0011】
なお、各光学系101を撮像装置(カメラ)と称し、第1対の光学系101を第1対の撮像装置と称してもよいが、この場合でも複数の第1対の撮像装置を含む撮像システムは、各実施例にいう「撮像装置」に相当する。
【0012】
図1に示す光学系101において、Laは最も物体側のレンズ面の面頂点から像面までの光軸上の距離であり、光学系101の光学全長を示す。
【0013】
図2と
図3はそれぞれ、第1例としての第1対の光学系103と第2例として第1対の光学系104における右眼光学系101Rと左眼光学系101L4の配置を示している。右眼光学系101Rと左眼光学系101Lは、それらの光軸AX同士が角度θをなすように配置されている。角度θは、左眼光学系101Lの光軸AXから右眼光学系101Rの射光軸AXまで反時計回り方向で測った角度である。角度θは、
図2に示すように180°であってもよいし
図3に示すように180°より小さくてもよく、後述する式(2)の条件を満足することが好ましい。また第1対の右眼光学系101Rと左眼光学系101Lのそれぞれの最も物体側の面頂点間の距離をLbとする。
【0014】
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9および
図10はそれぞれ、実施例1から10における5つ以上の第1対の光学系の配置を示している。各図において、jを時計回り方向に数えたときの順番(1,2,3,…)として、右眼光学系をRj、左眼光学系をLjとして示す。第1対の光学系は、jが同一の右眼光学系Rjと左眼光学系Ljの対である。
【0015】
前述したように、5対以上の第1対の光学系は5角形以上の多角形の頂点に配置されている。言い換えれば、5つ以上の右眼光学系101Rjの最も物体側の面頂点を結んだ線および5つ以上の左眼光学系101Ljの最も物体側の面頂点を結んだ線がそれぞれ5角形以上の多角形となるように配置されている。
図4は5対の第1対の光学系が5角形の頂点に配置された例を示しており、他の図はN対の第1対の光学系が、N角形の頂点に配置されている。
【0016】
また各実施例の撮像装置は、第1対とは異なる組み合わせの第2対の右眼光学系と左眼光学系での撮像により互いに視差を有して立体視が可能な撮像画像(右眼画像と左眼画像からなる視差画像)を取得する。以下の説明では、第2対をステレオペアともいう。第1対の光学系をN対配置すると、ステレオペアの数もN対となる。
【0017】
図4~
図10に示す距離IPDは、ステレオペアである右眼光学系と左眼光学系のそれぞれの最も物体側の面頂点間の距離であり、基線長ともいう。距離IPDは、視差画像を良好に立体視できるようにするために、人間の両眼の間隔である約65mmに応じて約50~80mmの範囲で設定されることが好ましい。ただし、遠距離物体の立体感をより大きくするために、距離IPDを100mmや150mm等に設定してもよい。このように距離IPDは、主たる撮像対象となる物体に応じて設定すればよい。
【0018】
図4~
図10に示す距離NPDは、多角形の周方向において隣り合う(つまりは最も近い)2つの第1対の光学系における右眼光学系同士または左眼光学系同士のそれぞれの最も物体側の面頂点間の距離である。全周のパノラマ右眼画像とパノラマ左眼画像を得るために、撮像装置は、全ての右眼光学系で取得された複数の右眼画像と全ての左眼光学系で取得された複数の左眼画像のそれぞれをスティッチ処理によって繋ぎ合わせる。この際、距離NPDが大きすぎると、スティッチ処理により繋ぎ合わされ2つ画像間の視差が大きくなりすぎて、繋ぎ目の不整合が発生したり、該不整合を低減するために複雑なスティッチ処理が必要になったりする。
【0019】
距離NPDは、各ステレオペアの距離(基線長)IPDと、各第1対の光学系での距離Lbと、5つ以上の第1対の光学系の配置とによって一義的に決まる。そして各実施例の撮像装置は、以下の式(1)の条件を満足することが好ましい。
【0020】
0.01≦NPD/IPD≦0.70 (1)
式(1)の条件は、ステレオペアの基線長と、スティッチ処理により繋ぎ合わされる2つの画像の取得に用いられる2つの光学系間の距離との適切な関係を示している。
図4~
図10では代表として1箇所の第1対の光学系(左眼光学系L1)を基準としたIPDとNPDを示しているが、第1対の光学系がN対配置されている場合はIPDをN箇所で計測でき、NPDを2×N箇所で計測できる。すべてのIPDとNPDは、式(1)を満足することが好ましい。
【0021】
NPD/IPDが式(1)の上限を上回ると、ステレオペアの基線長を十分に確保した際にスティッチ処理により繋ぎ合わされる画像の取得に用いられる2つの光学系間の視差が大きくなり過ぎて前述したスティッチ処理上の問題が生じる。また良好なスティッチ処理を行うためにステレオペアの基線長を十分に確保できず、観賞者が得られる立体感が損なわれる。さらにNPD/IPDが式(1)の上限を上回らないためには、第1対の光学系の数が5対以上になる。4対の場合はNPD/IPDの値が最低でも0.71以上になる。
【0022】
一方、NPD/IPDが式(1)の下限を下回ると、第1対の光学系の数が非常に多くなり、その結果、スティッチ処理の対象となる画像の数が膨大になり、スティッチ処理が困難になる。例えば、NPD/IPDが0.10を下回ると、第1対の光学系の必要数が32以上となる。
【0023】
なお、式(1)の下限を0.05、0.10、0.15、0.20または0.25とするとより好ましく、式(1)の上限を0.69または0.65とするとより好ましい。
【0024】
さらにここでは式(1)中のIPDとNPDを2つの光学系の最も物体側の面頂点としたが、「最も物体側の面頂点」に代えてノーダルポイント(ノーパララクスポイント)としてもよい。すなわち、ステレオペアの右眼光学系と左眼光学系のそれぞれのノーダルポイント間の距離をIPD、多角形の周方向において隣り合う2つの第1対の光学系の右眼光学系同士または左眼光学系同士のそれぞれのノーダルポイントポイント間の距離をNPDとしてもよい。光学系の最も物体側の面頂点とノーダルポイントは一致してもよいし、これらに差があってもよい。
【0025】
上述した構成と式(1)の条件を満足することで、ステレオペアの基線長を十分に確保しつつ、良好なスティッチ処理を行うことができる。
【0026】
各実施例において、前述した第1対の右眼光学系と左眼光学系の光軸同士がなす角度θは、以下の式(2)の条件を満足することが好ましい。
【0027】
100°<θ<270° (2)
θが式(2)の上限を上回ると、第1対の右眼光学系と左眼光学系はともに撮像装置の内側の領域の撮像に用いられることになる。撮像装置の内側の領域は、全周ステレオ撮像において余分な撮像領域となる。このような余分な撮像領域があると、全周ステレオ撮像において1つの光学系あたりに必要な水平視野(HFOV)が大きくなる。例えば、第1対の数N=5のときにθ=270°とすると、HFOVは最低でも200°が必要となる。必要なHFOVが大きいと、HFOV1°あたりに撮像素子が取得する画像のピクセル数が少なくなり、解像度の指標である角度分解能が低下する。このため、θは270°より小さいことが好ましい。
【0028】
一方、θが式(2)の下限を下回ると、第1対の右眼光学系と左眼光学系のそれぞれの水平視野が互いに重複する。これら重複した水平視野での撮像にはほぼ視差がなく、全周ステレオ撮像において不要な撮像となる。例えば、N=5のときにθ=100°とすると、第1対の右眼光学系と左眼光学系に水平視野に8°程度の重複が発生する。このため、θは100°よりも大きいことが好ましい。
【0029】
なお、式(2)の下限を110°または120°とするとより好ましく、式(2)の上限を260°、250°または200°とするとより好ましい。
【0030】
また各実施例において、ステレオペアの右眼光学系と左眼光学系との間に1つ以上の第1対の光学系が配置されていることが好ましい。例えば、
図4において多角形の周方向においてステレオペアの間に配置された第1対の光学系の数は1つであり、Q=1である。Qは、ガウス記号の[ ]を用いた以下の式(3)の条件を満足することが好ましい。
【0031】
Q≦[N/2]-1 (3)
式(3)において、すべてのNに対して、Qは1以上であることが好ましい。Qが0のときはIPD<NPDとなり、すべてのNに対して角度θが式(1)の上限を上回るためである。
【0032】
また、Q=[N/2]-1であるとき、Nは奇数であることが好ましい。Q=[N/2]-1のときにNを偶数にすると、多角形の最長の対角線上に位置する2つの第1対の光学系のうち一方の左眼光学系と他方の右眼光学系がステレオペアとなる。例えば、
図6に示すN=6、Q=2の場合、ステレオペアは左眼光学系L1と右眼光学系R4となる。この場合、左眼光学系L1と右眼光学系R4で同じ撮像領域の立体画像を取得すると、立体画像中に右眼光学系R2と左眼光学系L3が映り込む。すなわち、撮像装置において第1対をなす右眼光学系と左眼光学系がそれぞれ6つあると、水平360°のパノラマ右眼画像とパノラマ左眼画像を生成するためには各光学系の水平視野が360/6=60°必要となる。このとき、左眼光学系L1の水平視野の一方の端の6角形の一辺と一致することで、左眼光学系L1で取得されたパノラマ左眼画像に右眼光学系R2の一部が映り込む。このような映り込みがあると、映り込みが生じる撮像領域を避けたスティッチ処理が必要になり、スティッチ処理が複雑になる。このため、Q=[N/2]-1であるとき、Nが奇数であることが好ましい。
【0033】
また各実施例において、多角形の重心Pとステレオペアの右眼光学系と左眼光学系のそれぞれの最も物体側の面頂点間の中点Mとの間の距離をRとするとき、以下の式(4)の条件を満足することが好ましい。
【0034】
0.05≦R・2tan(3π/2N)/IPD<1.00 (4)
距離Rは、式(1)の条件が満足される範囲で任意に設定できる。
【0035】
R・2tan(3π/2N)/IPDが式(4)の上限を上回ると、式(1)の条件を満足するために必要な第1対の光学系の数が非常に多くなり、スティッチ処理の対象となる画像数が増大するため、好ましくない。R・2tan(3π/2N)/IPDが式(4)の下限を下回ると、前述した距離Lbが非常に小さくなり、必要な数の第1対の光学系を配置するためのスペースを確保するのが困難になるため、好ましくない。
【0036】
なお、式(4)の下限を0.10、0.15または1.16とするとより好ましく、式(4)の上限を0.97または0.95とするとより好ましい。
【0037】
各実施例において、第1対をなさずに多角形の周方向において互いに最も近い第1光学系と第2光学系(例えば
図4中の右眼光学系R1と左眼光学系L5)のそれぞれの最も物体側の面頂点間の距離をLcとする。このとき、以下の式(5)の条件を満足することがこのましい。
【0038】
0.10≦Lb/Lc≦1.00 (5)
Lb/Lcが式(5)の上限を上回ると、式(1)の条件を満足するために必要な第1対の光学系の数が非常に多くなり、スティッチ処理の対象となる画像数が増大するため、好ましくない。Lb/Lcが式(5)の下限を下回ると、距離Lbが非常に小さくなり、必要な数の第1対の光学系を配置するためのスペースを確保するのが困難になるため、好ましくない。
【0039】
なお、式(5)の下限を0.15、0.20または0.50とするとより好ましく、式(5)の上限を0.95または0.90とするとより好ましい。
【0040】
各実施例において、第1対をなす右眼光学系と左眼光学系のうち少なくとも一方の多角形を含む面に直交する垂直方向での画角(垂直視野VFOV)が150°以上であることが好ましい。
【0041】
これにより、垂直視野が150°以上あると、垂直方向において広い撮像領域をカバーすることができる。特にVR(Virtual Reality)等の用途で全周ステレオ画像を使用する場合に垂直方向に広い表示範囲の画像を表示することで、より没入感のある立体画像の鑑賞が可能となる。VFOVが150°より小さいと、立体画像の垂直方向での表示範囲が狭くなり、没入感も低下する。全周ステレオ画像の下底部や天頂部をスティッチ処理する場合は、VFOVが180°以上、さらには190°以上あることが好ましい。また、下底部や天頂部を除いた部分のVFOVが180°以上で、撮像装置を支える部材が存在する下底部や天頂部のVFOVが150°以上であってもよい。
【0042】
また、第1対をなす右眼光学系と左眼光学系のうち少なくとも一方の多角形を含む面に平行な方向での水平画角(水平視野HFOV)が100°以上であることが好ましい。
【0043】
これにより、360°の全周撮像における撮像領域をカバーすることができる。HFOV野が100°より小さいと、全周ステレオ画像を生成するために十分な画角を得ることが困難となり、スティッチ処理により繋ぎ合わされる画像同士が滑らかに繋がらなくなるおそれが高いため、好ましくない。HFOVが110°以上、さらには120°以上であるとより好ましい。
【0044】
各実施例において、以下の式(8)の条件を満足することが好ましい。
【0045】
40.0mm≦IPD≦150.0mm (8)
式(8)の条件は、立体画像から良好な立体感を得るためのステレオペアの光学系の適切な基線長の範囲を示している。IPDが式(8)の上限を上回ると、特に近距離物体の視差が大きくなりすぎて、観賞者における近距離物体の融像が困難となったり、近距離物体が自然な立体感で見られなかったりするため、好ましくない。IPDが式(8)の下限を下回ると、近距離物体であっても十分な立体感を得ることが困難になるため、好ましくない。
【0046】
なお、式(8)の下限を45.0mm、50.0mmまたは60mmとするとより好ましく、式(8)の上限を100.0mm、90.0mmまたは85mmとするとより好ましい。
【0047】
各実施例において、以下の式(9)の条件を満足することが好ましい。
【0048】
0.01≦La/IPD≦0.25 (9)
式(9)の条件は、右眼および左眼光学系の光学全長Laと基線長との適切な関係を示している。La/IPDが式(9)の上限を上回ると、全周ステレオ撮像において光学系が映り込むため。好ましくない。La/IPDが式(9)の下限を下回ると、光学系の光学全長が非常に小さくなって光学設計の自由度が下がるため、好ましくない。またIPDが非常に大きくなって近距離物体に対する視差が大きくなることで、観賞者における近距離物体の融像が困難となったり近距離物体が自然な立体感で見られなかったりするため、好ましくない。
【0049】
なお、式(9)の下限を0.03または0.05とするとより好ましく、式(9)の上限を0.23、0.20または0.15とするとより好ましい。
【0050】
以下、実施例1~10について具体的に説明する。また実施例10の説明の後には、光学系101の数値例1、2を示している。
【実施例0051】
実施例1の撮像装置は、
図4に示すように5対の第1対の光学系が5角形の頂点のそれぞれに配置された構成を有する。本実施例における右眼および左眼光学系には、数値例1に示す光学系が用いられている。数値例1の光学系の垂直および水平視野は180°、光学全長は7.95mmである。
【0052】
各第1対の光学系において、右眼および左眼光学系の光軸AX同士がなす角度θは180°、距離Lbは20.00mmである。
【0053】
本実施例における5つのステレオペアは、L1とR3、L2とR4、L3とR5、L4とR1およびL5とR2である。これらステレオペアのIPDはすべて等しく、Q=1である。またスティッチ処理により繋ぎ合わされる2つの画像を取得する対の光学系(第3対:以下、スティッチペアという)は、L1とL2、L2とL3、L3とL4、L4とL5、L5とL1、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR1である。これらスティッチペアにおけるNPDはすべて等しい。IPDは70.0mm、NPDは48.5mmである。
【0054】
さらに距離Lcを介した2つの光学系(第4対:以下、近接ペアという)は、L1とR2、L2とR3、L3とR4、L4とR5およびL5とR1である。これら近接ペアにおけるLcはすべて等しい。Lcは30.90mmである。
本実施例におけるステレオペア、スティッチペアおよび近接ペアはそれぞれ、実施例1と同じである。本実施例において、IPDは70.0mm、NPDは48.1mmである。Lcは31.65mmである。