(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2026115386
(43)【公開日】2026-07-09
(54)【発明の名称】リアコンバーターレンズ、レンズ装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 15/12 20060101AFI20260702BHJP
G02B 15/20 20060101ALI20260702BHJP
【FI】
G02B15/12
G02B15/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024232055
(22)【出願日】2024-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】結城 明彦
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA30
2H087MA12
2H087MA18
2H087NA15
2H087PA03
2H087PA04
2H087PA05
2H087PA15
2H087PA16
2H087PA18
2H087PA19
2H087PB04
2H087PB05
2H087PB06
2H087PB07
2H087PB08
2H087PB20
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA05
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA19
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA33
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA32
2H087RA44
2H087SA43
2H087SA47
2H087SA50
2H087SA52
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2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA72
2H087SA76
2H087SA89
2H087SB07
2H087SB15
2H087SB24
2H087SB33
2H087SB41
2H087UA06
(57)【要約】
【課題】主レンズの近赤外光の色収差を補正可能な良好な光学性能を有するリアコンバーターレンズを提供する。
【解決手段】主レンズの像側に配置されるリアコンバーターレンズであって、第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを有し、前記第1正レンズ、前記第2正レンズ、前記第1負レンズの材料に関して、C線とt線に関する部分分散比及びd線におけるアッベ数に基づいて定義されるC線とt線の異常分散性を適切に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主レンズの像側に配置されるリアコンバーターレンズであって、
第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを有し、
材料のC線とt線に関する部分分散比をθct、d線におけるアッベ数をνdとしたとき、C線とt線に関する異常分散性Δθctを、
Δθct=θct-(0.0046925×νd+0.5466489)
と定義し、前記第1正レンズ、前記第2正レンズ、第1負レンズの材料のC線とt線の異常分散性をそれぞれ、Δθct_p1、Δθct_p2、Δθct_n1としたとき、
-0.20≦Δθct_p1≦-0.02
-0.20≦Δθct_p2≦-0.02
0.017≦Δθct_n1≦0.05
なる条件を満足することを特徴とするリアコンバーターレンズ。
【請求項2】
前記第1正レンズのアッベ数をνp1、前記第2正レンズのアッベ数をνp2としたとき、
50≦νp1≦100
50≦νp2≦100
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項3】
前記第1負レンズのアッベ数をνn1としたとき、
30≦νn1≦80
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項4】
第2負レンズを有し、
前記第2負レンズのC線とt線の異常分散性をΔθct_n2としたとき、
0.017≦Δθct_n2≦0.05
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項5】
前記第1正レンズの焦点距離をfp1、前記リアコンバーターレンズの焦点距離をfとしたとき、
0.02≦fp1/|f|≦0.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項6】
前記第2正レンズの焦点距離をfp2、前記リアコンバーターレンズの焦点距離をfとしたとき、
0.05≦fp2/|f|≦1.2
なる条件を満足することを特徴とする請求項4に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項7】
前記第1負レンズの焦点距離をfn1、前記リアコンバーターレンズの焦点距離をfとしたとき、
-0.9≦fn1/|f|≦-0.02
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項8】
第3正レンズLp3を有し、
前記第3正レンズのC線とt線の異常分散性をΔθct_p3、d線に対する屈折率をNd3としたとき、
-0.05≦Δθct_p3≦-0.02
1.6≦Np3≦1.8
なる条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項9】
前記第1負レンズは、前記第1正レンズ又は前記第2正レンズの少なくともいずれかと接合レンズを構成していることを特徴とする請求項1に記載のリアコンバーターレンズ。
【請求項10】
主レンズの像側に配置されるリアコンバーターレンズであって、正レンズ、負レンズを含み、
材料のC線とt線に対する部分分散比をθct、d線におけるアッベ数をνdとし、C線とt線の異常分散性Δθctを、
Δθct=θct-(0.0046925×νd+0.5466489)
と定義し、前記正レンズ、前記負レンズの材料のC線とt線の異常分散性をそれぞれ、Δθct_p1、Δθct_n1としたとき、
-0.20≦Δθct_p1≦-0.02
0.017≦Δθct_n1≦0.05
なる条件を満足することを特徴とするリアコンバーターレンズ。
【請求項11】
主レンズと、前記主レンズの像側に着脱可能に装着された請求項1から10までの何れか一項に記載のリアコンバーターレンズとを有し、
前記主レンズの焦点距離に対する前記主レンズと前記リアコンバーターレンズの合成焦点距離の比をβとしたとき、
0.6≦β≦2.2
なる条件を満足することを特徴とするレンズ装置。
【請求項12】
請求項1から10までの何れか一項に記載のリアコンバーターレンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアコンバーターレンズ、レンズ装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主レンズの像側に配置され、種々の機能を付加するリアコンバーターレンズが提案されている。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-226648号公報
【特許文献2】特開平9-33806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、可視光に最適化されたズームレンズは、可視光以外の近赤外領域の色収差については補正が不十分という課題があった。このような課題に対して、リアコンバーターレンズで主レンズの近赤外領域の色収差を補正することが考えられる。特許文献1、2のリアコンバーターレンズは、リアコンバーターレンズ自体で発生する可視光から近赤外光の色収差補正については十分であるが、主レンズの近赤外光の色収差を補正する効果については不十分である。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、主レンズの近赤外光の色収差を十分に補正するリアコンバーターレンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のリアコンバーターレンズは、主レンズの像側に配置されるリアコンバーターレンズであって、第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを有し、材料のC線とt線に関する部分分散比をθct、d線におけるアッベ数をνdとしたとき、C線とt線に関する異常分散性Δθctを、
Δθct=θct-(0.0046925×νd+0.5466489)
と定義し、前記第1正レンズ、前記第2正レンズ、前記第1負レンズの材料のC線とt線の異常分散性をそれぞれΔθct_p1、Δθct_p2、Δθct_n1としたとき、
-0.20≦Δθct_p1≦-0.02
-0.20≦Δθct_p2≦-0.02
0.017≦Δθct_n1≦0.05
なる条件を満たすことを特徴とする。
【0006】
また、本発明の別の態様のリアコンバーターレンズは、主レンズの像側に配置されるリアコンバーターレンズであって、正レンズ、負レンズを含み、材料のC線とt線に対する部分分散比をθct、d線におけるアッベ数をνdとし、C線とt線の異常分散性Δθctを、
Δθct=θct-(0.0046925×νd+0.5466489)
と定義し、前記正レンズ、前記負レンズの材料のC線とt線の異常分散性をそれぞれ、Δθct_p1、Δθct_n1としたとき、
-0.20≦Δθct_p1≦-0.02
0.017≦Δθct_n1≦0.05
なる条件を満足することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主レンズの近赤外光の色収差を十分に補正するリアコンバーターレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】主レンズに実施例1のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の断面図である。
【
図2】主レンズに実施例1のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図3】主レンズに実施例2のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。
【
図4】主レンズに実施例2のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図5】主レンズに実施例3のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。
【
図6】主レンズに実施例3のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図7】主レンズに実施例4のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。
【
図8】主レンズに実施例4のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図9】主レンズに実施例5のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。
【
図10】主レンズに実施例5のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【
図11】主レンズに実施例6のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。
【
図12】主レンズに実施例6のリアコンバーターレンズを取り付けた場合の広角端における無限遠合焦時の縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本実施形態に係るリアコンバーターレンズGrは、主レンズGmの像側に配置され、第1正レンズLp1及び第2正レンズLp2、第1負レンズLn1を有して構成される。第1正レンズLp1、第2正レンズLp2、第1負レンズLn1の材料のC線とt線に関する異常分散性をそれぞれ、Δθct_p1、Δθct_p2、Δθct_n1としたとき、
-0.20≦Δθct_p1≦-0.02 ・・・(1)
-0.20≦Δθct_p2≦-0.02 ・・・(2)
0.017≦Δθct_n1≦0.05 ・・・(3)
なる条件を満足する。
【0010】
ただし、材料のC線とt線に関する異常分散性Δθctは、材料のC線とt線に関する部分分散比をθct、d線に対するアッベ数をνdとしたとき、
Δθct=θct-(0.0046925×νd+0.5466489)
で表される。ここで、光学材料のd線、C線、F線、t線に対する屈折率をそれぞれNd、NC、NF、Ntとしたとき、アッベ数νd及び部分分散比θctはそれぞれ、
νd=(Nd-1)/(NF-NC)
θct=(NC-Nt)/(NF-NC)
で定義される。
【0011】
このように、本実施形態に係るリアコンバーターレンズGrは、C線とt線に関する適切な異常分散性を有する材料で構成された第1正レンズLp1、第2正レンズLp2、第1負レンズLn1を有して構成されている。これにより、主レンズGmの近赤外光の色収差を補正可能なリアコンバーターレンズGrを実現している。
【0012】
一般的に、可視光の色収差補正に特化した主レンズGmは、基準波長(d線)に対してオーバー方向(物体から遠ざかる方向)に近赤外光の軸上色収差が残存する。
本発明では、リアコンバーターレンズGrの少なくとも2枚の正レンズ(第1正レンズLp1、第2正レンズLp2)に近赤外光の屈折率が可視光に対して相対的に高い材料を適用することで、主レンズGmのオーバー方向の軸上色収差を補正している。具体的には、第1正レンズLp1及び第2正レンズLp2にC線とt線の異常分散性が負方向に大きい材料を適用している。
【0013】
更に、本発明では、リアコンバーターレンズGrの少なくとも1枚の負レンズ(第1負レンズLn1)に近赤外光の屈折率が可視光に対して相対的に低い材料を適用している。これにより、リアコンバーターレンズGrの可視光の色補正で残存する近赤外光のオーバー方向の軸上色収差の発生を抑制している。具体的には、第1負レンズLn1にC線とt線の異常分散性が正方向に大きい材料を適用している。
【0014】
条件式(1)又は条件式(2)の上限を超えると、第1正レンズLp1、第2正レンズLp2の材料の異常分散性が正方向に大きくなりすぎてしまい、近赤外光の軸上色収差を補正する効果が小さくなりすぎてしまう。条件式(1)又は条件式(2)の下限を超えると、第1正レンズLp1、第2正レンズLp2に基準波長(d線)の屈折率が低すぎる材料を選択することになってしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0015】
条件式(3)の上限を超えると、第1負レンズLn1のアッベ数が低分散すぎる材料を選択することになってしまい、可視光の1次の色消しをすることが困難となる。条件式(3)の下限を超えると、第1負レンズLn1の異常分散性が負方向に大きくなりすぎてしまい、近赤外光のオーバー方向の軸上色収差を抑制することが困難となる。
さらに好ましくは、条件式(1)~(3)式は次のごとく設定するのが良い。
-0.18≦Δθct_p1≦-0.03 ・・・(1a)
-0.18≦Δθct_p2≦-0.03 ・・・(2a)
0.018≦Δθct_n≦0.04 ・・・(3a)
【0016】
さらに好ましくは、条件式(1a)~(3a)は次のごとく設定するのが良い。
-0.17≦Δθct_p1≦-0.04 ・・・(1b)
-0.17≦Δθct_p2≦-0.04 ・・・(2b)
0.0182≦Δθct_n≦0.036 ・・・(3b)
【0017】
更に望ましい本発明の態様として、第1正レンズLp1と第2正レンズLp2のd線に対するアッベ数をそれぞれνp1、νp2としたとき、
50≦νp1≦100 ・・・(4)
50≦νp2≦100 ・・・(5)
なる条件を満足することを特徴とする。
【0018】
条件式(4)又は条件式(5)の上限が満たされないと、第1正レンズLp1、第2正レンズLp2の材料が高分散になりすぎてしまい、可視光の軸上色収差を補正することが困難となる。条件式(4)又は条件式(5)の下限が満たされないと、第1正レンズLp1、第2正レンズLp2に基準波長(d線)の屈折率が低くすぎる材料を選択することになってしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0019】
更に望ましい本発明の態様として、第1負レンズLn1のd線に対するアッベ数をνn1としたとき、
30≦νn1≦80 ・・・(6)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(6)の上限が満たされないと、第1負レンズLn1のアッベ数が低分散の材料になりすぎてしまい、可視光の1次の色消しをすることが困難となる。条件式(6)の下限が満たされないと、第1負レンズLn1のアッベ数が高分散の材料になりすぎてしまい、可視光の2次スペクトルを補正することが困難となる。
【0020】
更に望ましい本発明の態様として、第1負レンズLn1とは別に、第2負レンズLn2を有し、第2負レンズLn2のC線とt線の異常分散性Δθct_n2としたとき、
0.017≦Δθct_n2≦0.05 ・・・(7)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(7)の上限が満たされないと、第2負レンズLn2のアッベ数が低分散すぎる材料を選択することになってしまい、可視光の1次の色消しをすることが困難となる。条件式(7)の下限が満たされないと、第2負レンズLn2の異常分散性が負方向に大きくなりすぎてしまい、近赤外光のオーバー方向の軸上色収差を抑制することが困難となる。
【0021】
更に望ましい本発明の態様として、第1正レンズLp1の焦点距離をfp1、リアコンバーターレンズGrの焦点距離をfとしたとき、
0.02≦fp1/|f|≦0.8 ・・・(8)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(8)の上限が満たされないと、第1正レンズLp1の屈折力が弱すぎてしまい、近赤外光の軸上色収差を補正する効果が小さくなりすぎてしまう。条件式(8)の下限が満たされないと、第1正レンズLp1の屈折力が弱すぎてしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0022】
更に望ましい本発明の様態として、第2正レンズLp2の焦点距離をfp2、リアコンバーターレンズGrの焦点距離をfとしたとき、
0.05≦fp2/|f|≦1.2 ・・・(9)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(9)の上限が満たされないと、第2正レンズLp2の屈折力が弱すぎてしまい、近赤外光の軸上色収差を補正する効果が小さくなりすぎてしまう。条件式(9)の下限が満たされないと、第2正レンズLp2の屈折力が弱すぎてしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0023】
更に望ましい本発明の態様として、第1負レンズLn1の焦点距離をfn1、リアコンバーターレンズGrの焦点距離をfとしたとき、
-0.9≦fn1/|f|≦-0.02 ・・・(10)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(10)の上限が満たされないと、第1負レンズLn1の屈折力が強すぎてしまい、近赤外光のオーバー方向の軸上色収差を抑制することが困難となる。条件式(10)の下限が満たされないと、第1負レンズLn1の屈折力が弱すぎてしまい、可視光の1次の色消しをすることが困難となる。
【0024】
更に望ましい本発明の様態として、リアコンバーターレンズGrは、第3正レンズLp3を有し、第3正レンズLp3の材料のC線とt線の異常分散性をΔθct_p3、d線に対する屈折率をNp3としたとき、
-0.20≦Δθct_p3≦-0.02 ・・・(11)
1.6≦Np3≦1.8 ・・・(12)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(11)の上限が満たされないと、第3正レンズLp3の材料の異常分散性が正方向に大きくなりすぎてしまい、近赤外光の軸上色収差を補正する効果が小さくなりすぎてしまう。条件式(11)の下限が満たされないと、第3正レンズLp3に基準波長(d線)の屈折率が低い材料を選択することになってしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0025】
条件式(12)の上限が満たされないと、第3正レンズLp3の材料が高分散になりすぎてしまい、可視光の軸上色収差を補正することが困難となる。条件式(12)の下限が満たされないと、第3正レンズLp3に基準波長(d線)の屈折率が低い材料を選択することになってしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0026】
更に望ましい本発明の態様として、主レンズGmの焦点距離に対する主レンズGmとリアコンバーターレンズGrの合成焦点距離の比をβ(β=(主レンズGmとリアコンバーターレンズGrの合成焦点距離)/(主レンズGmの焦点距離))としたとき、
0.6≦β≦2.2 ・・・(13)
なる条件を満足することを特徴とする。
条件式(13)の上限が満たされないと、リアコンバーターレンズGrの倍率が大きくなり過ぎてしまい、主レンズGmの近赤外光の色収差を補正することが困難となる。条件式(13)の下限が満たされないと、リアコンバーターレンズGrの正の屈折力が強くなりすぎてしまい、球面収差を良好に補正することが困難となる。
【0027】
更に望ましい本発明の態様として、条件式(4)~(13)の数値範囲を以下のように設定するのが良い。
60≦νp1≦98 ・・・(4a)
60≦νp2≦98 ・・・(5a)
32≦νn1≦70 ・・・(6a)
0.018≦Δθct_n2≦0.04 ・・・(7a)
0.03≦fp1/|f|≦0.75 ・・・(8a)
0.06≦fp2/|f|≦1.15 ・・・(9a)
-0.88≦fn1/|f|≦-0.03 ・・・(10a)
-0.1≦Δθct_p3≦-0.025 ・・・(11a)
1.67≦Nd3≦1.78 ・・・(12a)
0.67≦β≦2.1 ・・・(13a)
【0028】
以下、実施形態に係る各実施例について図面を参照しつつ説明する。
最初に、後述する各実施例のリアコンバーターレンズGrが適用される、共通の構成を有する主レンズGmについて説明する。
【0029】
(主レンズGm)
主レンズGmは、物体側から像側に、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5から構成されている。互いに隣り合うレンズ群同士の間隔は、ズーミングに際して変化する。
【0030】
広角端から望遠端へのズーミングに際し、第2レンズ群L2は像側に移動し、第3レンズ群L3及び第4レンズ群L4は物体側へ凸の互いに異なる軌跡に沿って移動する。第1レンズ群L1、第5レンズ群L5はズーミングのためには移動しない。
【0031】
第1レンズ群L1は、物体側から第1面から第11面までで構成され、第8面から第11面までに対応する第5番目と第6番目のレンズはフォーカシングに際し光軸に沿って移動する。第2レンズ群L2は、物体側から第12面から第18面までで構成される。第3レンズ群L3は、物体側から第19面から第23面までで構成される。第4レンズ群L4は、物体側から第24面から第27面までで構成される。第28面は開口絞りであり、ズーミングのためには移動しない。第5レンズ群L5は、物体側から第29面から第41面までで構成されている。
【0032】
Iは像面であり、監視用カメラ、ビデオカメラの撮像光学系として使用する際には、主レンズGmとリアコンバーターレンズGrにより形成された像を受光し、光電変換する固体撮像素子(光電変換素子)等の撮像面に相当している。
次に各実施例のリアコンバーターレンズGrの特徴について説明する。
【実施例0033】
図1は、広角端で無限遠合焦時の主レンズGmに実施例1に係るリアコンバーターレンズGrを配置した状態の光学系全体の構成を示す図である。
図2は、広角端で無限遠合焦時の主レンズGmに実施例1に係るリアコンバーターレンズGrを配置した状態の縦収差図を示している。縦収差図において、球面収差における直線と破線は各々d線、t線である。非点収差における破線と実線は各々メリディオナル像面、サジタル像面であり、倍率色収差における一点鎖線はt線である。ωは半画角、FnoはFナンバーである。縦収差図では、球面収差は0.34mm、非点収差は0.34mm、歪曲は5%、倍率色収差は0.065mmのスケールで描かれている。
【0034】
実施例1に係るリアコンバーターレンズGrは、主レンズGmの像側に配置することで、主レンズGmの焦点距離を1.3倍に拡大する。実施例1に係るリアコンバーターレンズGrは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、負レンズ、第2正レンズLp2と第2負レンズLn2を接合した接合レンズ、第1正レンズLp1と第1負レンズLn1を接合した接合レンズ、第3正レンズLp3の6枚から構成される。
【0035】
リアコンバーターレンズGrを正レンズ3枚と負レンズ3枚で構成することで、可視光の球面収差と像面湾曲の補正に有利な構成としている。さらに、それらのレンズにC線とt線の部分分散比についての異常分散性を有する材料を適用したレンズを含むようにすることで、主レンズGmの近赤外光の色収差をリアコンバーターレンズGrで補正する効果を達成している。
【0036】
図2の収差図に示すように、実施例1のリアコンバーターレンズGrは各収差を良好に補正している。また、実施例1に対応する数値実施例1の各条件式対応値を表1に示すように、実施例1のリアコンバーターレンズGrは(1)~(13)式を満足し、主レンズの近赤外光の色収差を十分に補正するリアコンバーターレンズを実現している。
リアコンバーターレンズGrを正レンズ2枚と負レンズ2枚で構成することで、可視光の球面収差と像面湾曲の補正に有利な構成としつつ、かつ、それらのレンズにC線とt線の部分分散比が異常分散性を有する材料を適用することで、主レンズGmの近赤外光の色収差をリアコンバーターレンズGrで補正する効果を達成している。